ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Darkstar 失われたレイヴに代わるもの (interviews)
  2. The Soft Pink Truth ──マトモスの片割れ、ドリュー・ダニエルによるザ・ソフト・ピンク・トゥルースがクラストコアのカヴァー集をリリース (news)
  3. Wire - Mind Hive (review)
  4. Ralph ──東京の気鋭のラッパーが新曲を発表、プロデュースは Double Clapperz (news)
  5. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか (columns)
  6. Various Artists - Gilles Peterson Presents MV4 (Live from Maida Vale) (review)
  7. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  8. Play For SCOOL ──三鷹のスペース SCOOL を救済するためのコンピがリリース (news)
  9. Sleaford Mods ──ベスト盤がUKトップ・チャート入りのスリーフォード・モッズの新MVが面白い (news)
  10. Tomas Phillips Pulse Bit Silt (style)
  11. Roger Eno & Brian Eno - Mixing Colours (review)
  12. King Of Opus ──渋谷系レネゲイド・サウンドウェイヴことキング・オブ・オーパス、2007年の静岡での素晴らしいライヴがCDリリース (news)
  13. interview with Laurent Garnier & Eric Morand 祝・Fコミ25周年、ダンスフロアでまた会おう! (interviews)
  14. Takuro Okada ──岡田にはじまり岡田に終わる、アンビエントからポップスまで精力的にリリース (news)
  15. Politics 日本の現状を海外と比較する(事業規模108兆円の虚像) (columns)
  16. Satoko Shibata ──柴田聡子が仮想全国ツアーを開催 (news)
  17. Moses Sumney - GRÆ (review)
  18. Tom Misch & Yussef Dayes - What Kinda Music (review)
  19. Darkstar - North (review)
  20. Frank Ocean × KOHH ──これは事件! フランク・オーシャンの新作にKOHHが参加 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Earl- Open Your Eyes

DJ Earl

FootworkJukeTechno

DJ Earl

Open Your Eyes

Teklife

Amazon

野田努   Sep 29,2016 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 OPNがシカゴのフットワーク/ジュークにおける重要レーベル〈テックライフ〉の作品に参加していること自体が事件だが、それはいまや超売れっ子のテクノ・コンセプチュアル・アーティストがゲットー・ミュージックにアプローチしているから事件なのではなく、シカゴのフットワーク/ジュークというスタイルが、ゲットーに閉じることなく他との接触を好み、そして拡張していることが事件なのだ。このところCDでしか買っていなかったぼくもさすがにヴァイナルで(しかフィジカルがないので)買いました。何故なら、才能あるDJラシャドが他界して、そしてシカゴのフットワーク/ジュークのリズム/手法はさんざんいろいろなところで引用/消費されていて、この先どうなんだろうと思っていたところに、『Open Your Eyes』はそのタイトル通りリスナーの「目を開かせ」、この音楽を延命させたと言えるだろうから。また、アフリカ系アメリカ人をめぐる政治的状況が、もはや一触即発を越えているこのとき、こうした異種混合(ハイブリッド)をやってみせるところにパーティ・ミュージックのもっとも理想的な考えが具現化されていると解釈するのは、飛ばしすぎだろうか。
 
 OPNが関わっているのは全8曲中3曲だが、その3曲はやはり面白い。シニカルに言えば、知性派は得てしてストリートのワイルドネスに過剰な憧れを抱きがちだが、ダニエル・ロパティンは、理性的に彼らのファンクネスに色味を加えているだけではなく、明らかに彼らの可能性を押し広げている。とくに“Let's Work”という曲がそうだ。いっぽうDJアールのほうでも、たとえばTaso(昨年ジェシー・ランザとコラボしている)との共作“Smoke Dat Green”なる曲は、直球なその曲名と、そしていかにもフットワーク/ジューク的な声ネタ・チョップを使いつつ、しかしその展開はドラムンベースを取り入れたDJラシャドの遺産を継承しながらも、それでは飽き足らないと言わんばかりにハウスやテクノを吸収し、さらにもっと前に進んでやろうじゃないのと言っているようだ。それはたとえば、ジョージ・クリントンが〈ブレインフィーダー〉から作品を出すような、よき方向に向かっているということなのだろう。

 昔ながらのシカゴ・ハウス・ミュージックのファンにとって、「オープン・ユア・アイズ」といえば、マーシャル・ジェファーソンのあの曲である。ジェファーソンはそこで、ハウス・ミュージックには真実へと目を開かせる力があることを主張したが、DJアールは、フットワーク/ジュークというスタイルそれ自体が見開いていることを証明した。これを聴けば、キミの目も開かれるだろう。

野田努