ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Moses Boyd - Displaced Diaspora (review)
  2. Joe Strummer - 001 (review)
  3. Gottz ──強烈なインパクトを放つ KANDYTOWN のMCがソロ・デビュー作をリリース (news)
  4. Drexciya ──ドレクシアのドキュメンタリー映像が公開 (news)
  5. Puce Mary - The Drought (review)
  6. DMBQ ──13年ぶりのアルバム『KEEENLY』のアナログ盤が〈DRAG CITY〉よりリリース (news)
  7. 差別や貧困と闘うLA発チカーノ・バンド、エル・ハル・クロイ ──来日直前インタヴュー (news)
  8. R.I.P 小杉武久 (news)
  9. J Dilla - Ruff Draft (Dilla's Mix) (review)
  10. Columns Yves Tumor いま話題のアーティスト、イヴ・トゥモアとは何者か? (columns)
  11. interview with tofubeats 走る・走る・走る (interviews)
  12. Time Grove ──イスラエルのジャズ&クラブ・シーンを支える音楽家たちが集結、デビュー・アルバムをリリース (news)
  13. Yves Tumor - Safe In The Hands Of Love (review)
  14. shotahirama ──グリッチ・ノイズの雄 shotahirama がニュー・シングルをリリース (news)
  15. Columns はてなフランセ 第17回 フレンチ・ポップの王道からあえてズレる (columns)
  16. Gazelle Twin - Pastoral (review)
  17. special talk : ISSUGI × CRAM 特別対談:ISSUGI × CRAM (interviews)
  18. Columns 坂本龍一の『BTTB』をいま聴いて、思うこと (columns)
  19. Neneh Cherry × Four Tet ──ネナ・チェリーが新作をリリース、プロデュースはフォー・テット (news)
  20. interview with Yo La Tengo ヨ・ラ・テンゴ来日直前インタヴュー (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Earl- Open Your Eyes

DJ Earl

FootworkJukeTechno

DJ Earl

Open Your Eyes

Teklife

Amazon

野田努   Sep 29,2016 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 OPNがシカゴのフットワーク/ジュークにおける重要レーベル〈テックライフ〉の作品に参加していること自体が事件だが、それはいまや超売れっ子のテクノ・コンセプチュアル・アーティストがゲットー・ミュージックにアプローチしているから事件なのではなく、シカゴのフットワーク/ジュークというスタイルが、ゲットーに閉じることなく他との接触を好み、そして拡張していることが事件なのだ。このところCDでしか買っていなかったぼくもさすがにヴァイナルで(しかフィジカルがないので)買いました。何故なら、才能あるDJラシャドが他界して、そしてシカゴのフットワーク/ジュークのリズム/手法はさんざんいろいろなところで引用/消費されていて、この先どうなんだろうと思っていたところに、『Open Your Eyes』はそのタイトル通りリスナーの「目を開かせ」、この音楽を延命させたと言えるだろうから。また、アフリカ系アメリカ人をめぐる政治的状況が、もはや一触即発を越えているこのとき、こうした異種混合(ハイブリッド)をやってみせるところにパーティ・ミュージックのもっとも理想的な考えが具現化されていると解釈するのは、飛ばしすぎだろうか。
 
 OPNが関わっているのは全8曲中3曲だが、その3曲はやはり面白い。シニカルに言えば、知性派は得てしてストリートのワイルドネスに過剰な憧れを抱きがちだが、ダニエル・ロパティンは、理性的に彼らのファンクネスに色味を加えているだけではなく、明らかに彼らの可能性を押し広げている。とくに“Let's Work”という曲がそうだ。いっぽうDJアールのほうでも、たとえばTaso(昨年ジェシー・ランザとコラボしている)との共作“Smoke Dat Green”なる曲は、直球なその曲名と、そしていかにもフットワーク/ジューク的な声ネタ・チョップを使いつつ、しかしその展開はドラムンベースを取り入れたDJラシャドの遺産を継承しながらも、それでは飽き足らないと言わんばかりにハウスやテクノを吸収し、さらにもっと前に進んでやろうじゃないのと言っているようだ。それはたとえば、ジョージ・クリントンが〈ブレインフィーダー〉から作品を出すような、よき方向に向かっているということなのだろう。

 昔ながらのシカゴ・ハウス・ミュージックのファンにとって、「オープン・ユア・アイズ」といえば、マーシャル・ジェファーソンのあの曲である。ジェファーソンはそこで、ハウス・ミュージックには真実へと目を開かせる力があることを主張したが、DJアールは、フットワーク/ジュークというスタイルそれ自体が見開いていることを証明した。これを聴けば、キミの目も開かれるだろう。

野田努