ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Gonno & Masumura - In Circles (review)
  2. August Greene - August Greene (review)
  3. Against All Logic - 2012-2017 (review)
  4. IDM definitive 1958 - 2018 ──IDM/エレクトロニカの大カタログ刊行のお知らせ (news)
  5. SILENT POETS ──サイレント・ポエツ、奇跡的メンツの「スペシャル・ダブ・バンド・ライヴ・ショー」決定 (news)
  6. Gonno & Masumura ──ゴンノ&マスムラ、テクノとアフロビートで宇宙を目指す (news)
  7. 078 KOBE 2018 ──神戸のフリーフェスにてURがライヴ出演 (news)
  8. Lolina - The Smoke (review)
  9. Tom Misch - Geography (review)
  10. interview with Kaoru Inoue 人はいかにして、このハードな人生を生きながらゆるさを保てるか? (interviews)
  11. Gang Gang Dance ──ギャング・ギャング・ダンスが7年ぶりにアルバムをリリース (news)
  12. コーネリアス - (review)
  13. R.I.P. Cecil Taylor すべての棺桶をこじ開けろ (news)
  14. RAINBOW DISCO CLUB 2017──いよいよ開催間近、レインボー・ディスコ・クラブの魅力とは!? (news)
  15. interview with Unknown Mortal Orchestra 暗闇の先のメロウネス (interviews)
  16. 国府達矢 - ロックブッダ (review)
  17. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  18. Moodymann ──ムーディマンがニュー・アルバムをリリース (news)
  19. interview with CVN 更新されるインディーズの形態/異端者たちの広場 (interviews)
  20. Frank Ocean × KOHH - ──これは事件! フランク・オーシャンの新作にKOHHが参加 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Earl- Open Your Eyes

Album Reviews

DJ Earl

FootworkJukeTechno

DJ Earl

Open Your Eyes

Teklife

Amazon

野田努   Sep 29,2016 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 OPNがシカゴのフットワーク/ジュークにおける重要レーベル〈テックライフ〉の作品に参加していること自体が事件だが、それはいまや超売れっ子のテクノ・コンセプチュアル・アーティストがゲットー・ミュージックにアプローチしているから事件なのではなく、シカゴのフットワーク/ジュークというスタイルが、ゲットーに閉じることなく他との接触を好み、そして拡張していることが事件なのだ。このところCDでしか買っていなかったぼくもさすがにヴァイナルで(しかフィジカルがないので)買いました。何故なら、才能あるDJラシャドが他界して、そしてシカゴのフットワーク/ジュークのリズム/手法はさんざんいろいろなところで引用/消費されていて、この先どうなんだろうと思っていたところに、『Open Your Eyes』はそのタイトル通りリスナーの「目を開かせ」、この音楽を延命させたと言えるだろうから。また、アフリカ系アメリカ人をめぐる政治的状況が、もはや一触即発を越えているこのとき、こうした異種混合(ハイブリッド)をやってみせるところにパーティ・ミュージックのもっとも理想的な考えが具現化されていると解釈するのは、飛ばしすぎだろうか。
 
 OPNが関わっているのは全8曲中3曲だが、その3曲はやはり面白い。シニカルに言えば、知性派は得てしてストリートのワイルドネスに過剰な憧れを抱きがちだが、ダニエル・ロパティンは、理性的に彼らのファンクネスに色味を加えているだけではなく、明らかに彼らの可能性を押し広げている。とくに“Let's Work”という曲がそうだ。いっぽうDJアールのほうでも、たとえばTaso(昨年ジェシー・ランザとコラボしている)との共作“Smoke Dat Green”なる曲は、直球なその曲名と、そしていかにもフットワーク/ジューク的な声ネタ・チョップを使いつつ、しかしその展開はドラムンベースを取り入れたDJラシャドの遺産を継承しながらも、それでは飽き足らないと言わんばかりにハウスやテクノを吸収し、さらにもっと前に進んでやろうじゃないのと言っているようだ。それはたとえば、ジョージ・クリントンが〈ブレインフィーダー〉から作品を出すような、よき方向に向かっているということなのだろう。

 昔ながらのシカゴ・ハウス・ミュージックのファンにとって、「オープン・ユア・アイズ」といえば、マーシャル・ジェファーソンのあの曲である。ジェファーソンはそこで、ハウス・ミュージックには真実へと目を開かせる力があることを主張したが、DJアールは、フットワーク/ジュークというスタイルそれ自体が見開いていることを証明した。これを聴けば、キミの目も開かれるだろう。

野田努