ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Cremation Lily - Dreams Drenched in Static (review)
  2. Pine Barons ——フィラデルフィアのインディ・バンドが、フィッシュマンズのカヴァー・アルバムをリリース (news)
  3. interview with Shintaro Sakamoto 坂本慎太郎、新作『物語のように』について語る (interviews)
  4. Adrian Sherwood ——エイドリアン・シャーウッドが女性ダブ・アーティストのコンピレーションをリリースする (news)
  5. リコリス・ピザ - (review)
  6. Vladislav Delay ——ロシア占領下の18世紀フィンランドを主題にしたヴラディスラヴ・ディレイの新作は、〈Planet Mu〉からリリース (news)
  7. Whatever The Weather - Whatever The Weather (review)
  8. P.E. - The Leather Lemon (review)
  9. interview with Kikagaku Moyo 無国籍ロウファイ・サイケデリア (interviews)
  10. The Ephemeron Loop - Psychonautic Escapism (review)
  11. Ecstasy Boys ──90年代ジャパニーズ・ハウスの伝説、エクスタシー・ボーイズの幻の作品がリイシュー (news)
  12. Autechre ──オウテカが未発表ライヴ音源集をリリース、計8時間弱 (news)
  13. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第5回 反誕生日会主義 (columns)
  14. Spiritualized - Everything Was Beautiful (review)
  15. Telefon Tel Aviv - Dreams Are Not Enough (review)
  16. Funkadelic - Maggot Brain (review)
  17. Smerz ──北欧新世代電子デュオ、スメーツが初のアルバムをリリース (news)
  18. Ghostly Kisses - Heaven, Wait (review)
  19. 遊佐春菜 - Another Story Of Dystopia Romance (review)
  20. Nicolás Jaar, Other People ──ニコラス・ジャーが20世紀後半のポーランドの前衛/実験音楽をコンパイル (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Vacant- Nocturnal

Vacant

Vacant

Nocturnal

Fent Plates

DISC SHOP ZERO

BurialDubstepUK Garage

Various

Various

Disparity Of Time

Fent Plates

DISC SHOP ZERO

DubstepUK GarageDowntempoDark AmbientChillwave

野田努   Aug 24,2017 UP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ヴェイカントなる名前からも察することができよう。完全にベルリアル・フォロワー。10数年前はアルファやファーリーズのメンバーなんかとも一緒にやっているので、新人というわけではなさそうだ。配信のみだが“High Rise”なる曲も発表しており、J.G.バラーディアンぶりもしっかり見せている。『アントゥルー』の続きを聴きたかった……という人にはオススメである。
 UKアンダーグラウンド・シーンも過渡期の真っ直中にあり、こうした寄り戻し、バック・トゥ・ベーシックがそれを物語っている。ハウス・ミュージックと同じように、2ステップ・ガラージのリズムも汎用性が高く、雑食的な展開が可能で、なおかつメロディも載せやすく、とにかく型としての応用がきく。ベリアルは敢えてそれをやらない試練/苦行を自らに課したわけだが、殺風景な都会のランドスケープのサウンドによる描写は、今日の厭世的な動きとリンクする。ヴェイカントの12"と同時にリリースされたエイサー(Aether)の12"、ないしはこのレーベル、〈Fent Plates〉のコンピレーションを聴けばわかることだが、それら作品にはベリアルを教科書にしながら、この5年のあいだに起きた厭世派が好むところのダーク・アンビエントやチルウェイヴをはじめ、トリップホップ、ウェイトレス、ディープ・ハウス、ブロークンビート・リヴァイヴァル、IDMリヴァイヴァルがミックスされている。まあいかにもUKらしい折衷ぷりで、ハウスを基本とする〈Rhythm Section International〉が〝陽〟といえるなら、〈Fent Plates〉は徹底した〝陰〟であり、終末的な雰囲気を弄んでいるようですらある。エイサーの12"の題名は「私たちがかつて持っていた未来」……だ。

 ちなみに〈Fent Plates〉傘下には〈White Peach〉なるサブレーベルがあり、ここからはパワフルなグライムの12"が精力的にリリースされている。今年に入ってからもすでに8枚も出しているようだから、すごい勢いである。ぼくがゲットしたのはOpusという新人の「 Marbles EP」だが、ダンス・ミュージックへのパッションのなかに初期ダブステップの見直しがあり、また、インストゥルメンタル・グライムがいま音楽の実験場にもなっていることも示している。もっと詳しいことが知りたければ、下北沢の階段を上がってZEROのドアを開けることだ。

野田努