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grooveman Spot

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Resynthesis (Purple)

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大前至   May 23,2019 UP
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 仙台を拠点に活動するDJ/プロデューサー、grooveman Spot によるビート・アルバム『Resynthesis』シリーズの第三弾である本作。ここ1年だけでも向井太一や iri といった人気シンガーや、ラッパーである ZORN のプロデュース、あるいは THE BLUE HEARTS のリミックス・アルバムなど、grooveman Spot はその幅広い音楽性を武器に様々なプロジェクトを手がけている。そして、ソロ・アーティストとしては、2014年にリリースされた『Supernatural』まで通算6枚のソロ・アルバムをリリースし、ヒップホップやR&Bだけでなく、ブギー、ファンク、ハウス、テクノ、アフリカなど、様々なダンス・ミュージックのスタイルをミックスさせ、自らのスタイルを作り上げてきた。その一方で、これまで『Resynthesis (Red)』(2016年)、『Resynthesis (Green)』(2018年)とリリースを重ねてきた、この『Resynthesis』シリーズに関しては、彼のルーツであるヒップホップに軸が置かれており、ソロ・アルバムとはまた別のカラーを持った、良い意味で非常に尖った作品になっている。

 これまでの『Resynthesis』シリーズと同様に、今回の『Resynthesis (Purple)』で表現しているサウンドは、個人的には90年代後半から2000年代にかけてのアンダーグラウンド・ヒップホップがときおり思い出される。しかも、それはどちらかと言えば、あの当時のアンダーグラウンド・ヒップホップの中でも亜流と言われるような、ダークでノイジーなヒップホップの中にエレクトロニカやブレイクビーツといった要素がミックスされたようなサウンドであり、日本で言えば、INDOPEPSYCHICS(インドープサイキックス)がやっていたようなことにも近い感触だ。ただ、それはこのアルバムにノスタルジーを感じているからというわけではなく、むしろその逆で、2000年以降の様々なスタイルのヒップホップを内包した上での、1歩も2歩も先を行く、未来のサウンドが本作には詰まっている。ちなみに“Pegasus”という曲に関しては、明らかにJ・ディラへのオマージュとして作られているのだが、もし、J・ディラがいまも生きていたら、あの名盤『Donuts』の続編として、こんなアルバムを作ったのでは?とも、勝手な想像さえも膨らんでしまう。

 もともと、grooveman Spot 自身がダンサー出身ということもあるだろうが、この『Resynthesis』シリーズはヒップホップ・ダンサーにも人気が高い。サンプリングだけでなく、おそらくヴィンテージのシンセサイザーなども駆使して、直感的でありながらも、実に複雑に絡んでいくエッジの効きまくったビートに、ダンスという表現方法が見事にピッタリとハマるのは納得できる。ただ、ないものねだりであるが、このスタイルのビートだけで構築された、ラッパーやシンガーをフィーチャーした作品も、個人的には聴いてみたいとも思ったりもする。ジャジスポさん、いかがでしょうか?

大前至