ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Darkstar 失われたレイヴに代わるもの (interviews)
  2. The Soft Pink Truth ──マトモスの片割れ、ドリュー・ダニエルによるザ・ソフト・ピンク・トゥルースがクラストコアのカヴァー集をリリース (news)
  3. Wire - Mind Hive (review)
  4. Ralph ──東京の気鋭のラッパーが新曲を発表、プロデュースは Double Clapperz (news)
  5. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか (columns)
  6. Various Artists - Gilles Peterson Presents MV4 (Live from Maida Vale) (review)
  7. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  8. Play For SCOOL ──三鷹のスペース SCOOL を救済するためのコンピがリリース (news)
  9. Sleaford Mods ──ベスト盤がUKトップ・チャート入りのスリーフォード・モッズの新MVが面白い (news)
  10. Tomas Phillips Pulse Bit Silt (style)
  11. Roger Eno & Brian Eno - Mixing Colours (review)
  12. King Of Opus ──渋谷系レネゲイド・サウンドウェイヴことキング・オブ・オーパス、2007年の静岡での素晴らしいライヴがCDリリース (news)
  13. interview with Laurent Garnier & Eric Morand 祝・Fコミ25周年、ダンスフロアでまた会おう! (interviews)
  14. Takuro Okada ──岡田にはじまり岡田に終わる、アンビエントからポップスまで精力的にリリース (news)
  15. Politics 日本の現状を海外と比較する(事業規模108兆円の虚像) (columns)
  16. Satoko Shibata ──柴田聡子が仮想全国ツアーを開催 (news)
  17. Moses Sumney - GRÆ (review)
  18. Tom Misch & Yussef Dayes - What Kinda Music (review)
  19. Darkstar - North (review)
  20. Frank Ocean × KOHH ──これは事件! フランク・オーシャンの新作にKOHHが参加 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > grooveman Spot- Resynthesis (Purple)

grooveman Spot

BreakbeatHip Hop

grooveman Spot

Resynthesis (Purple)

Jazzy Sport

disk union Tower HMV Amazon

大前至   May 23,2019 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 仙台を拠点に活動するDJ/プロデューサー、grooveman Spot によるビート・アルバム『Resynthesis』シリーズの第三弾である本作。ここ1年だけでも向井太一や iri といった人気シンガーや、ラッパーである ZORN のプロデュース、あるいは THE BLUE HEARTS のリミックス・アルバムなど、grooveman Spot はその幅広い音楽性を武器に様々なプロジェクトを手がけている。そして、ソロ・アーティストとしては、2014年にリリースされた『Supernatural』まで通算6枚のソロ・アルバムをリリースし、ヒップホップやR&Bだけでなく、ブギー、ファンク、ハウス、テクノ、アフリカなど、様々なダンス・ミュージックのスタイルをミックスさせ、自らのスタイルを作り上げてきた。その一方で、これまで『Resynthesis (Red)』(2016年)、『Resynthesis (Green)』(2018年)とリリースを重ねてきた、この『Resynthesis』シリーズに関しては、彼のルーツであるヒップホップに軸が置かれており、ソロ・アルバムとはまた別のカラーを持った、良い意味で非常に尖った作品になっている。

 これまでの『Resynthesis』シリーズと同様に、今回の『Resynthesis (Purple)』で表現しているサウンドは、個人的には90年代後半から2000年代にかけてのアンダーグラウンド・ヒップホップがときおり思い出される。しかも、それはどちらかと言えば、あの当時のアンダーグラウンド・ヒップホップの中でも亜流と言われるような、ダークでノイジーなヒップホップの中にエレクトロニカやブレイクビーツといった要素がミックスされたようなサウンドであり、日本で言えば、INDOPEPSYCHICS(インドープサイキックス)がやっていたようなことにも近い感触だ。ただ、それはこのアルバムにノスタルジーを感じているからというわけではなく、むしろその逆で、2000年以降の様々なスタイルのヒップホップを内包した上での、1歩も2歩も先を行く、未来のサウンドが本作には詰まっている。ちなみに“Pegasus”という曲に関しては、明らかにJ・ディラへのオマージュとして作られているのだが、もし、J・ディラがいまも生きていたら、あの名盤『Donuts』の続編として、こんなアルバムを作ったのでは?とも、勝手な想像さえも膨らんでしまう。

 もともと、grooveman Spot 自身がダンサー出身ということもあるだろうが、この『Resynthesis』シリーズはヒップホップ・ダンサーにも人気が高い。サンプリングだけでなく、おそらくヴィンテージのシンセサイザーなども駆使して、直感的でありながらも、実に複雑に絡んでいくエッジの効きまくったビートに、ダンスという表現方法が見事にピッタリとハマるのは納得できる。ただ、ないものねだりであるが、このスタイルのビートだけで構築された、ラッパーやシンガーをフィーチャーした作品も、個人的には聴いてみたいとも思ったりもする。ジャジスポさん、いかがでしょうか?

大前至