MOST READ

  1. Cornelius - Mellow Waves (review)
  2. special talk : ISSUGI × CRAM 特別対談:ISSUGI × CRAM (interviews)
  3. Moonchild - Voyager (review)
  4. Second Woman - S/W (review)
  5. Japan Blues - Sells His Record Collection (review)
  6. RAMZA × TAKCOM ──「郊外」という場所が浮かび上がるのは時間の問題だったのかもしれない (news)
  7. リヴァイヴァルじゃないのだ。 - ──行かないと何かを逃すかもしれない、DYGL(デイグロー)・ジャパン・ツアーは明日から! (news)
  8. Cornelius ──別冊ele-king『コーネリアスのすべて』刊行のお知らせ (news)
  9. interview with Cornelius - 星の彼方へ (interviews)
  10. Laurel Halo ──ローレル・ヘイローがニュー・アルバムをリリース (news)
  11. Nick Hakim - Green Twins (review)
  12. interview with shotahirama きれいなひとりぼっち (interviews)
  13. Columns R.I.P. 佐藤将 (columns)
  14. Columns 即興音楽の新しい波 ──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド (columns)
  15. R.I.P.生悦住英夫 (news)
  16. special talk : BES × senninshou特別対談:BES×仙人掌 (interviews)
  17. You me FORESTLIMITで聴いて良いと思った曲 (chart)
  18. interview with Formation 壁にパンチする代わりに (interviews)
  19. yahyel - ──この一風変わった名前のバンドをきみはもう知っているか? ヤイエルが500枚限定の初CD作品をリリース (news)
  20. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)

Home >  Reviews >  DVD+BD Reviews > さかもと しょうた- THE DVD

DVD+BD Reviews

さかもと しょうた

さかもと しょうた

THE DVD

DE-FRAGMENT

野田 努   Jan 08,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 デ・フラグメント=断片化を阻止する......時代に反抗的な、こんな大きな野心を込めた名前を持つ大阪のレーベル(neco眠る、ズイノシン、ボガルタなどのリリースで知られる)から2009年にリリースされたDVD。さかもとしょうたなる映像作家による作品集で、neco眠る、ボガルタ、オーディオ・フード、トリオ・ロス・ヘグシオ、KINKI KIKKIらの音楽をバックに映像を付けた5作品をはじめ、他10編以上の映像作品(主にアニメ)が収録されている。多くが底抜けにバカバカしく、呆れかえるほどナンセンスで、ところがさりげなく毒を放ちながら、しかもまったく笑える。そしてそのすべてがこの国のエキゾティズムをあぶり出している。

 "ENGAWA DE DANCEHALL"はneco眠るの演奏に乗って、江戸時代の町民と農民の踊りをキングストンのダンスホールへと繋げる。"メッ政治"は、ボガルタの演奏とともに、ヤンキー(暴走族)とヘヴィメタとアニメとゲームが渾然一体となって、この国のB級サブカルを思う存分に賞揚する。"dumdumdum"は、オーディオ・フードのダンス・ミュージックとともにNHKみんなの歌のアシッド・ヴァージョンを展開する。"SUMO"は京都の幻のバンドだというトリオ・ロス・ヘグシオの演奏をバックに、実写を使ってスラップスティック風に青春ドラマのゲイ・ヴァージョン(らしきもの)を披露する。"スバルSTYLA"は、KINKI KIKKIによるヒップホップとその壮絶なパロディで、今回の作品集のなかでは確実にベストのひとつだ。人びとが寛容に、この冗談を理解することを祈る。他にも、高校球児と応援団長とヤンキーと秀才が登場するアニメ"野球ドラマー"、Jポップを小馬鹿にしているとしか思えない"もちおフレンド"等々、愛と毒に満ちた作品が続く。

 初期の作品集も押し詰めているために、ぜんたいで70分もあり、すべてを通して観るのは少々根気がいるだろう。それでもここに収録されている半分以上は注目に値する。好き嫌いは分かれるかもしれないが、彼のバカバカしさにはそれなりのリスクがある。それは人畜無害なお笑いとは一線を画するもので、ある意味ではモンティ・パイソンにも通じる危険な因子が潜んでいるのだ。要するに彼の作品はカリカチュア(風刺)であり、モチーフすべてはこの国の文化にある。そしてそれらはときにえげつなく、ときにドープに、ときにアシッディに、ときに気色悪く、ときに奇怪に描かれている。観ている者は笑いころげ、そして笑いの果てに己の姿を見るという仕組みである。が、しかし......重要なのはそのすべてに温かい眼差しが注がれていることなのだ。

 とにかくこれは、この国のアニメ文化に落とされた火薬......というよりもネズミ花火のようなものである。可愛らしいが、間違えると怪我をする。

野田 努