「MAN ON MAN」と一致するもの

RHYDA (VITAL) - ele-king

秋 2014.10.03

都内を中心に活動するサウンドフリーク集団「VITAL」のMC。
B-BOY文学でありながらパンクとも形容されるLIVEは唯一無二!必見です。

秋、これからどんどん気温下がりそうですがチャートはケッコー夏を引きずった感じで。いい音楽聞いてまだまだHOTにぶっこきましょう!

10/25(sat)にホームである吉祥寺WARPにてPARTY開催!こちらもぜひ!

2014.10.25(sat)
Vital presents
YougonnaPUFF?
at Kichijoji WARP

Open-24:00
Entrance: 1500yen[1d]

◆LIVE
RAP BRAINS / VOLO
COCKROACHEEE'z / RHYDA

◆DJ
Endless aka Resort / Crash / OG from Militant B
g1 / m28 / NSR dubby X / Chara-bomb

◆CLOTHING BOOTH
DELTA CREATION STUDIO / RWCHE / mo' / MBJP

More INFO:
https://vitality-blog.blogspot.jp/

アイタル・テックとパズルの世界へ! - ele-king

 東京で最先端なサウンドを最高な環境で体験できるパーティ、〈サウンドグラム〉。ディスタル、ループス・ハウント、そしてテセラなどなど、ユニークかつリリースのたびに注目を集める面々ばかりです。会場に持ち込まれるサウンドシステムもこのパーティの魅力のひとつで、低音で揺れるフロア、そこで聴くアンセムは一生記憶に残ることでしょう。4月のテセラ、最高でしたよ。
 今週末、サウンドグラムが大阪と東京で開催されます。今回は光が乱反射するようなエレクトロニカからフットワークまでを手掛けるアイタル・テックと、あらゆるベース・ミュージックを知りつくしているパズルが登場! 
 本当に何が新しいのかを現場で体感して考えてみませんか? 踊りまくりたい方も大歓迎です。今週末は〈サウンドグラム〉へ! 

■SOUNDGRAM TOKYO/OSAKA
ITAL TEK & PUZZLE Japan Tour

大阪公演
日時:10月11日(土) OPEN/START 22:00
会場:TRIANGLE
料金:ADV 2000yen+1D DOOR 2500yen+1D
出演:
Ryuei Kotoge (Daytripper Records), D.J.Fulltono (Booty Tune), CLOCK HAZARD TAKEOVER 3HOUR, CHELSEA JP (GRIME.JP), madmaid (irregular), utinaruteikoku (irregular), DISTEST, ZZZ, Saeki Seinosuke, KEITA KAWAKAMI, D.J.Kaoru Nakano, PPR aka Paperkraft, SHAKA­ITCHI, DJ AEONMALL, HSC, JaQwa, PortaL

東京公演
日時:10月12日(日曜祝日前) OPEN/START 23:00
会場:TOKYO GLAD & LOUNGE NEO
料金:ADV 3000yen DOOR 3500yen
出演:
Submerse (Project: Mooncircle, UK), 19­t Takeover (TECHNOMAN Utabi SKYFISH Cow'P Amjik), HABANERO POSSE, Mike Rhino (UK), D.J.Kuroki Kouichi VS Gonbuto, Chicago vs Detroit, D.J. APRIL, DJ DON, FRUITY, tesco suicide, Mismi, Nishikawacchi, JaQwa, PortaL HATEGRAPHICS (VJ), knzdp (VJ), XVIDEOS (VJ), GENOME (VJ), Shinjuku DUUSRAA (FOOD), zeroya (FOOD), Broad Axe Sound System (SOUNDSYSTEM)

*各公演にItal TekとPuzzeleは出演

ITAL TEK (Planet-Mu/Civil Music, UK)

イギリスのブライトンを拠点に活動する様々なジャンルをまたぐUKならではのエレクトロニックアーティスト。2007年にPlanet­MuのレーベルオーナーであるMike ParadinasがMyspaceにアップされていた楽曲を聴いて気に入ったのが始まりで「Blood Line EP」をリリース。翌年2008年には1stフルアルバム「cYCLiCAL」をリリース。IDMとDubstepの融合を見せたItal Tekならではの作品となった。2009年には自身のレーベルAtomic River Recordsを設立し、その後も順調に多くのリリースとライブ活動を行いジワジワとその名をイギリス国内から欧州へ、そして世界へと知らしめていく。2012年にリリースをした3rdアルバム「Nebula Dance」では自身の解釈世界観のフットワーク・サウンドで展開させ、多くのリスナーを驚かせた。2013年にはCivil Musicより3rdアルバムをアップデートさせたEPをリリース。同年のミニアルバムではフットワーク/ジャングル/エレクトロニカ/アンビエントと独自のスタイルを一歩前進させることなる。そして今年2014年にリリースされたCivil Musicからの2nd EPではよりディープでハイブリッドなサウンドとなり、デビューから現在までブレることの無い確固たるサウンドを披露し、Planet­Muの主要アーティストとして活動している。

PUZZLE (Leisure System, GER)

15年以上に及ぶDJと作曲の経験を持ち、現在はベルリンの世界的に有名なクラブ「Berghain」で行われている「Leisure System」のレジデントとして活動。またLeisure System Recordsの経営と並行して、世界最大級のクラブやSonar、Dimentiions、Arma 17、Redbull Music Academy、Nitsa等のフェスティバルでプレイしている。2012年にはObjektとAsiaツアーを行い、過去にはClark、Rustie、Jimmy Edgar、Machinedrum、Kuedo、Joy O、Blawanやその他多くのアーティストと同じステージで競演。 常に遊び心に富んだジャンルレスなMIXでフロアを狂喜に導く。


SUNS OF DUB JAPAN TOUR 2014 - ele-king

 ダブステッパーに限らず、ダブを愛するモノたるやオーガスタス・パブロの名前はマスト。家に最低3枚。これ常識。僕は、若い頃、パブロのライヴは2回とも行った。これ超自慢です。
 今週末、パブロの息子(お父上は1999年に亡くなられている)のアディス・パブロが来日します。名義は、SUNS OF DUB。西から東へ5都市でツアーを開催します。東京では、こだま和文さんが出演します。その低音で、台風なんか吹っ飛ばして。

<東京公演概要>

liquidroom presents
──PABLO & KODAMA──

オーガスタス・パブロ、そのダブの系譜を継ぎ、そして前進させる者たち

1973年のルーツ・ダブのクラシック中のクラシック『King Tubbys Meets Rockers Uptown』をはじめ、自身のメロディカ、そしてタビーによるミックスによってルーツ・ダブのスタイルを提示したオーガスタス・パブロ。自身のレーベル〈Rockers Internationl〉を中心に展開した、ストイックにラスタな、そのルーツ・スタイルは、1999年の没後も、ルーツ・ダブに限らず、さまざまなダ ブ/ベース・ミュージックに影響を与え続けている。その“系譜”を継ぐ”SUNS OF DUB、彼らがKATAにてライヴを行う。パブロの意志を引き継ぐメロディカ・マスター、ADDIS PABLOとセレクターのRAS JAMMYによるプロジェクト。〈Rockers Internationl〉を引き継ぎ、さらにはこれまでにディプロ率いるMajor LazerやToddla Tといった新世代のデジタル・ダンスホール系のアーティストとも共演するなど、現存のベース・ミュージックとの邂逅など、新たなスタイルの創出に余念がない。さらには、MUTE BEAT時代の名曲"Still Echo"にて、オーガスタス・パブロとの共演も果たし現在も日本のレゲエ・ダブ・シーンを牽引するトランペッター、こだま和文、そして“Apach”のカヴァー7インチをリリースしたばかりのトロンボーン奏者、KEN KEN率いるKEN2D SPECIAL、とダブを新たな解釈で突き進める、2アーティストのライヴも行われる。

featuring live
SUNS OF DUB(ROCKERS INTERNATIONAL)
 ADDIS PABLO(SON OF AUGUSTUS PABLO MELODICA MASTER)
 RAS JAMMY(ROCKERS INTERNATIONAL SELECTA)
feat. JAH BAMI
こだま和文 from DUB STATION
KEN2D SPECIAL(Reality Bites Recordings)

dj
Q a.k.a. INSIDEMAN(GRASSROOTS)
Yabby
SEIJI BIGBIRD/LITTLE TEMPO

2014.10.13 monday/holiday
KATA + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
open/start 16:00 close 21:00
adv.(9.13(sat) on sale!!)* 2,000yen door 2,500yen
*PIA[P code 243-948]、LAWSON[L code 74932]、e+、DISK UNION(取扱店選定中)、Lighthouse Records、LOS APSON?、LIQUIDROOM

info LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net/

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▼SUNS OF DUB(ROCKERS INTERNATIONAL, Kingston, Jamaica)
ADDIS PABLO[Melodica], RAS JAMMY[Selecta]

ジャマイカの若獅子、アディス・パブロは99年に44歳の若さで亡くなったルーツ・ロック・レゲエ/ダブ・プロデューサー、メロディカ奏者の父、オーガスタス・パブロのスピリチュアルな音楽を21世紀に継承、発展させる新世代アーティストである。89年生まれのアディスはニュージャージーとジャマイカを行き来して過ごし、キーボードとメロディカを習得。2005年にはオーガスタス・パブロの追悼公演でステージに立ち、ロッカーズ・インターナショナルのヴェテラン・ミュージシャンや伝説的ギタリスト、アール・チナ・スミスと共演、これを機にソロ奏者としてダブ・レゲエの作曲を開始する。10年、アディスはトリニダードからジャマイカにやって来たラス・ジャミーと意気投合し、"サンズ・オブ・ダブ"として伝統的なロッカーズ・サウンドをニューエイジのフォーマットによるダブ・レゲエで提示するべく活動を共にする。11~12年の"For The Love Of Jah"、"13 Months in Zion"以降、100作以上をデジタル・リリース、またメジャー・レイザーのウォルシー・ファイアー、クロニックス、プロトジェイ、クライヴ・チン、マイキー・ジェネラル等、幅広いコラボレーションを展開している。13年には初のヴァイナル・レコード"Selassie Souljahz In Dub"を発表、ヨーロッパ・ツアーを成功させ、英BBCのデヴィッド・ロディガンの番組では「キング・タビー、オーガスタス・パブロ以来のベスト・ダブ・レコードの1枚」と評される。14年にはオランダのJahsolidrockからアディス・パブロ名義の1stアルバム『IN MY FATHERS HOUSE』がリリースされ、北米、ヨーロッパ各国のフェスティヴァル出演で賞賛を浴びている。サンズ・オブ・ダブはダブのニューウェイヴ、ドラム&ベース、ダブステップ、トラップ、ハウス等のクラブミュージックとの触媒として貢献する、ロッカーズ・インターナショナルの新世代である。
https://sunsofdub.com/
https://soundcloud.com/sunsofdub
https://www.facebook.com/sunsofdub
https://www.facebook.com/sunsofdub

▼こだま和文 from DUB STATION

1981年、ライブでダブを演奏する日本初のダブバンド「MUTE BEAT」結成。通算7枚のアルバムを発表。1990年からソロ活動を始める。ファースト・ソロアルバム「QUIET REGGAE」から2003年発表の「A SILENT PRAYER」まで、映画音楽やベスト盤を含め通算8枚のアルバムを発表。2005年にはKODAMA AND THE DUB STATION BANDとして 「IN THE STUDIO 」、2006年には「MORE」を発表している。プロデューサーとしての活動では、FISHMANSの1stアルバム「チャッピー・ドント・クライ」等で知られる。また、DJ KRUSH、UA、EGO-WRAPPIN’、LEE PERRY、RICO RODRIGUES等、国内外のアーティストとの共演、共作曲も多い。現在、ターン・テーブルDJをバックにした、ヒップホップ・サウンドシステム型のライブを中心に活動してしている。また水彩画、版画など、絵を描くアーティストでもある。著述家としても「スティル エコー」(1993)、「ノート・その日その日」(1996)、「空をあおいで」(2010)「いつの日かダブトランペッターと呼ばれるようになった」(2014)がある。

▼KEN2D SPECIAL(Reality Bites Recordings)
TRIAL PRODUCTIONのトロンボーン兼MCを務めるKEN KEN(トロンボーン&MC)によるソロDUBプロジェクトとしてスタート。現在はICHIHASHI DUBWISE(DUB mix)、Gulliver(guitar)の3人編成で活動中!BEASTIE BOYSからの影響を独自にREGGAE DUBにトランスフォーム!!!??したサウンドは、DUCK SOUP PRODUCTIONS、PART2STYLEから数々のアナログ7インチをリリースし、そのほとんどは即完売し入手困難なアイテム多数。2008年にはPART2STYLEから初のアルバム『Reality Bites』をリリースしイギリス国営放送BBCの番組など複数で紹介され、有名誌"WIRE"にレビューが載るなど注目を集めた。2013年自らのセルフ・レーベル<Reality Bites Recordings>を立ち上げ7枚目の7インチ・シングル「I Fought The Law」をリリース、あのDon LettsもBBCで即座にプレイ!前代未聞のド・オリジナル解釈で驚きのカバー曲を連発してるKEN2D SPECIALですが、今年2014年9月には8枚目の7インチEP、APACHEをリリース、こちらもまたKEN2D節炸裂してます!要チェック!!!!
https://m.facebook.com/profile.php?id=503540573038521&_rdr

▼Q a.k.a. INSIDEMAN(GRASSROOTS)
東京・東高円寺の桃源郷レゲエ・バーNATURAL MYSTIC育ち。レコードショップWAVEにてバイヤー経験の後に、NATURAL MYSTIC閉店後の97年同所にてGRASSROOTSをオープンする。「MUSIC LOVERS ONLY」を掲げ、バーであってバーでない、クラブであってクラブでない、人間交差点音楽酒場代表となる。INSIDEMAN名義でのMIX-CDは異才フィメール集団WAG.より『YGKG』、 POSSE KUTから『DEAR』、地下最重要レーベルBlack Smokerより『Back In The Dayz』などリリースしている。
https://insideman-q.blogspot.jp/
https://www.grassrootstribe.com/


 いまさら、というかここまで女児文化について書いてきて超そもそももいいところなのですが、「女の子」とはいったい何なのでしょうか。たとえば余裕のある「おじさん」はこんなことを言ったりします。「論理や社会にがんじがらめな僕たち男に比べて、感性のままに生きる女の子はすばらしい! 女の子はもともと自由な存在なんだから、勉強したり女性運動なんかしたりして窮屈な男の仲間入りすることはないんだよ」。一方、メディアに登場する「女の子」(たいていは成人女性ですが)たちも「私たち女の子はスイーツを食べてかわいいものに囲まれていれば幸せ。社会問題なんて難しいこと興味ないわ」とニコリ。そういえば、モダンガールの名付け親とされる北澤秀一は、大正時代に出版された雑誌『女性』で、こんなふうにモダンガールを定義していたのでした。

「〈モダーンガール〉は、いはゆる新しい女でもない。覚めたる女でもない。もちろん女権拡張論者でもなければ、いはんや婦人参政権論者でもない。」「私の云ふモダーン・ガールは自覚もなければ意識もない。」「彼らは唯だ人間として、欲するままに万事を振る舞ふだけである。」「モダーン・ガールは、少しも伝統的思想をもたない、何より自己を尊重する全く新しい女性である。」

 自我に目覚めて男性と同じ地位を得ようとする女性たちと対比させた上で、自我を持たない動物的で非社会的存在として「女の子」の自由さを称える思想は、どうやらフェミニズム思想の輸入および女性の社会進出・高学歴化(への反感)とセットで登場したものであるようです。

 こうした女の子像の政治的な正しさ問題はいったん措くとして、現実に本物の女の子・男の子を育てている親からすると、体感的に飲み込みかねるというのが正直なところではないでしょうか。なぜなら自由ということで言うなら、平均的にみて男児は女児よりもはるかに自由な存在であるからです。Twitter上で、男児のお母さんたちが「アホ男子母死亡カルタ」なるタグのもとに「ひとりが脱げばみんな脱ぐ」「アイス8本一気食い」などの男児のおバカでかわいいネタを寄せ合って盛り上がっていたのは、記憶に新しいところ。これらがお母さんたちの誇張でないことは、小学1年生の授業参観に参加してみればわかります。先生の言うことを従順に聞き、熱心に手を動かす女の子。そもそも大人しく座っちゃいない男の子。お勉強はできても挙手には慎重な女の子。積極的に挙手するも指されたら「わからない!」と堂々と宣言する男の子。その差は一目瞭然です。私が「長女がパンツ一丁で「ありのままで」を歌っている」という内容のぼやきツイートしたところ、すぐさま男児のお母さんからこんなリプライがかえってきました。「女の子はいいですね。パンツはいてくれるから」。

 現役「女の子」がいかにまじめか。それがわかる7歳の女の子のお手紙が今年初めにネットで話題になったので、ご紹介します。彼女がLEGO社宛に書いたお手紙を、お母さんがTwitterで画像アップしたものです。

「今日お店に行ったら、LEGO売り場はピンクの女の子ブースとブルーの男の子ブースにわかれていました。女の子のLEGOがすることといえば、おうちで座っていたり、ビーチに行ったり、お買い物したりするだけ。女の子には仕事がありません。男の子のLEGOは冒険に出たり、働いたり、人を救ったり、サメと泳いだりしてるのに。もっとたくさんの女の子の人形を作って、冒険を楽しませてあげてほしいんです。OK!?!」。

 日本のいち母親からすると、彼女がピンクのLEGOと呼んでいる女児向けの「LEGOフレンズ」シリーズは、女の子の興味を制限しないよう、相当な配慮が施されているように見えます。ラインナップの中には、科学実験をしている理系女子から手品女子、空手女子までユニークなものも。もちろんピンク、ラベンダー、水色といういまどきの女児の目をひきつけるカラーリング。わが家の長女も5歳の頃、科学実験を楽しむ少女をモチーフにした「サイエンススタジオ 3933」をLEGOショップで祖父にねだって買ってもらっています(往年のLEGOファンである父は「海賊セットのほうがかっこいいだろ……」と不服そうでしたが)。が、家の中ばかりと言われればたしかにそう。有職婦人率も少なめです。そこに気づくとは、目線が高いとしかいいようがありません。社会が期待している「女の子」像をまだ内面化していない幼い女の子たちは、そうした枠に縛られていないために、退役「女の子」たちよりもかえって社会参加への意識が強いのかもしれません。


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一部で「リケジョセット」と呼ばれる
「レゴ フレンズ サイエンススタジオ 3933」


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瓦割りもお部屋の中でするLEGOガール。
「レゴ フレンズ・カラテレッスン 41002」



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「Research Institute」

 このかわいくも勇ましい女の子の手紙が好意的に拡散されてから約半年後の8月、LEGO社は再び話題の的になりました。女性の化学者、天文学者、古生物学者をモチーフとした「Research Institute」セットを発売したのです。女の子の願いをさっそく叶えた同社に、人々は喝采を送りました。

 とはいえ実際にはこの新製品、ストックホルム在住の女性地球科学者Ellen Kooijman(※1)が「LEGO Ideas」に2012年に投稿し、ネット投票で10,000票を獲得したアイデアがようやく日の目をみたもの。2013年秋の審査では見送りになったアイデアが復活当選した背景には、女の子の手紙がバズったことも多少関係していたかもしれませんが……。実態はどうあれ、この新製品は女の子の手紙に応えたという文脈で多くのネット・メディアに紹介されました。宣伝効果は抜群だったことでしょう。つづいて開設された、イギリスの女性科学者が同製品を使って女性研究者の日常を再現するTwitterアカウント「@LegoAcademics」も話題になっています。

※1 Ellen Kooijmanはギークドラマ『Big Bang Theory』のフィギュア化も「LEGO Ideas」に投稿し、こちらも1万票を獲得して現在レヴュー中。同アイデアの製品化が実現したら、女性科学者フィギュアがまたまた増えることになりそうです。

 この連載でもたびたび取り上げてきたように、アメリカには「女の子はファッションとスイーツと家事のことだけを考えているおバカさんでいなさい」というジェンダー観に抗う「女の子」を応援する風土があるように見えます。自由の国ってうらやましいですね。それにひきかえウチら日本は……とついついスネたくなるところですが、そういえばかの国の「男の子」はどうなのでしょうか。「海賊ごっこをしろだって!? 男だからって盗んだり闘ったりなんてごめんだね。僕らだってカフェでスイーツ食べて、ショッピングして、ビーチで遊んで、かわいいものに囲まれて過ごすようなLEGOで遊びたいんだ!」、あるいは「男の子用のおままごとセットを作って!」といった主張があってもよさそうなものです。しかし、ミシガン州の教育研究機関のコンサルタントMichelle Gravesによれば、おままごとコーナーで遊んだ男児は、そのことを大人に隠す傾向があるとのこと。ソースは失念してしまいましたが、子どもしかいない部屋ならおままごとで遊ぶ小さな男児も、部屋に父親が入ってくるとやめてしまうという調査も見たことがあります。小さな男の子は、いったいなににおびえているのでしょうか。

 2013年放送の『セサミストリート』のとあるエピソードが、「男らしさの概念への攻撃である!!」「性役割の否定だ!!」「セクシャリティとジェンダーに対する破滅的な教えだ!!!」などとキリスト教保守派から厳しく批判されたことがありました。その神をも恐れぬセンセーショナルなストーリーとは……妹といっしょにお人形で遊んでいたクマのお兄さんが、ブルドーザーの玩具を持った男友だちが遊びにきたときに恥ずかしがって人形は妹のものだと言ってしまう。そんな兄に、ゴードンは男の子向け・女の子向けという区分に理由はないし、男の子がお人形で遊ぶことは将来お父さんになるためのレッスンになるんだよ、と説明する……えっそれだけ? 2014年1月には、11歳男子がかわいい馬のアニメ『マイリトルポニー』が好きだともらしたことから学校でいじめにあい、自室の2段ベッドで首つり自殺を図って意識不明の重体に陥る事件が起きました。彼は自殺を図る前、母親に「ママ、僕はもう疲れたよ。みんなが僕を「ゲイ」「キモイ」「うすのろ」って言うんだ」と語っていたそうです。『マイリトルポニー』のバックパックで学校に通ったことから「自殺しろ」などと言われるいじめに遭って登校できなくなったノースカロライナ州に住む9歳の男の子は、学校側から『マイリトルポニー』バッグ禁止令を出されてしまいました(この処分に納得できなかった少年の母親がFacebook上でキャンペーンを行ったことが有名メディアに取り上げられた後、学校側は『マイリトルポニー』禁止令を解いています)。こうしてみると、女の子的な「カワイイ」界に男の子が足を踏み入れることについては差別が激しく、小さい男の子自身が社会に向けて訴えられるほどの自尊心を築くのは難しそうだという印象を受けます。

 欧米に比べて母性原理が強いとされ、育児が母子密着型になりやすい日本では、少なくとも少年期にこれほどの男らしさプレッシャーはないように思えます。ママはかわいい男の子が大好きですし、かわいい趣味に理解がある女性的な見た目の少年なんて、ファンクラブができかねません。でも日本においても「自由でおバカでかわいい男の子」を満喫できる時期は、そう長くはないでしょう。女性が家事育児に囲い込まれて排除される社会は、必然的に男社会にならざるをえず、そこに投げ込まれたら最後、「かわいい僕」とは訣別しなければなりません。競って、勝って、他人を従え、見目麗しく育ちのよい「女の子」をゲットして勝ち組となるレースに参加しなければならないのですから。その厳しさは女性の社会参加率が低いぶん、かえって他国よりも苛烈かもしれません。たとえば動物園などに行くと、小さな男の子が「カワイイね~」と動物を愛でている様子をよく目にしますが、ある程度大きくなると「女の子」への性的評価以外で「カワイイ~」なんて口にしなくなります。そして「カワイイ」は、口にするのもその対象となるのも、「女の子」の専売特許になってしまうのです。私には、「女の子(少女)とは……」と熱を込めて語る日本のおじさんたちが、「かつてお母さんに愛されていた、自由でおバカでかわいい男の子だった自分」を語っているように思えてなりません。

 かわいくあることが許されない男性。子どもの頃と変わらぬ生真面目さで社会が求める「自由でおバカでかわいい女の子」を演じる女性。なんだか息苦しいですね。でも、こうした息苦しさも徐々に変わっていくのかもしれません。というのは、“ポケモン”を凌駕する勢いで現代の男児のハートをとらえているアニメ『妖怪ウォッチ』を子どもたちとしばらくいっしょに見ての感想。こちらの男児アニメに対する先入観、ひいては男児に対する先入観をことごとく覆す内容なのです。どういう内容かというと……いいかげん話が長くなりすぎてなんらかの妖怪に取り憑かれそうなので、この話はまたいずれ。

IPPI - ele-king

旅先で聞いたアルバム 2014.10

パーティーを開催します!
楽しもう!

PYRAMID ROOTS
2014.10.10.FRI.
at BONOBO
https://bonobo.jp/schedule/2014/10/001524.php

僕のHPです!
https://www.ippi.jp


Yasuyuki Suda (inception records) - ele-king

Recent Favorite Music

群馬県桐生市でinception recordsというレコード屋やっています。
同じ桐生市のLEVEL-5にて、"TIME"(奇数月第2土曜)、"HOWSAUCE"(偶数月第2土曜)でDJもやっています。今回、店に入荷したタイトルを中心に、自分の最近のお気に入りをピックアップしました。
https://inceptionrecords.com

Aphex Twin - ele-king

五野井郁夫/Ikuo J. Gonoï
1979年、東京都生まれ。国際政治学者・政治哲学者。著書に『「デモ」とは何か――変貌する直接民主主義』(NHK出版)など。世界中のフェスや美術展、流行の研究と批評も行っている。去年は新語・流行語大賞を受賞。

若山忠毅/Tadataka Wakayama
1980年生まれ。写真家。
主な展示 第10回写真「1_WALL」展 / 銀座 ガーディアンガーデン(2014)。テクノ・ハウス全般に造詣が深い。
https://twitter.com/t_waka1980
https://www.facebook.com/waqayama.tadataqa
https://rcc.recruit.co.jp/gg/exhibition/gg_wall_ph_201403/gg_wall_ph_201403.html

Aphex Twinにいつ、どのようにして出会ったか

五野井:Aphex Twinといえば、われわれの世代からすると、挑むにせよ、模倣するにせよ、ひとつの準拠点なわけですが、まだネットがなかった頃の電子音楽、そしてAFX体験っていつでしたね? 思春期の頃には、お互いすでに聴いていたのだけど。

若山:はじめて知ったのはレコード屋ではなく、まず雑誌ですね。クラブミュージックを取り扱ったほとんどの雑誌の情報はなんでも仕入れていました。あとは海外の雑誌をたまに。高校ぐらいからは『ele-king』が創刊されて読むようになった世代ですね。そんな情報の中でアンビエントってジャンルがあるんだと知りました。いろいろ聴いていると変なのが引っかかった。それがAphex Twinです。音としては、最初に〈Warp Records〉が発表した『Artificial Intelligence』(1992)。あとはソニーの〈Warp〉のコンピに入っていた、Polygon Window名義の“Quoth”(1993)って曲ですね。90年代は何々テクノやらハウスやらがいろいろあって、それを必死で追いかけていました。

五野井:そうですね。『Artificial Intelligence』にはThe Diceman名義の“Polygon Window”(1992)が入っていたんですよね。ネットが普及していないので、まず、音を紙で聴いて、情報を仕入れてCDを買いに行くっていう感じでしたね。身体性を気にしない澄んだ音だったから、90年代の帰宅部カルチャーだったわれわれにとっては、すぐれて心地よくもあったわけで。1992年にアルファ・レコードから『HI-TECH / NO CRIME』と1993年の『Hi-Tech / U.S. Crime』(YMOのリミックスCD)が相次いで発売されて、これが未来なんだって当時感じましたね。徹底的にテクノの「洗礼」を受けた時期かな。雑誌といえば『i-D』や『Face』、あと季刊の『Vouge Hommes』で、音楽はもちろんモードや写真にも入っていきましたね。2000年にターナー賞受賞したウォルフガング・ティルマンスなんかが、90年代当時のUKクラブシーンを撮っていたし。

若山:ぼくはティルマンスが写真撮っていたことは、当時まったく気づかなかった。あの頃は写真に興味がなかったから(笑)。でも彼がAphex Twinの写真を撮っていたんですよね。当時のAphex Twinへの入り方は、お互い歳がそんなに離れていないから、ここは2人の共有できる点ですね。そのCDから誰がリミックスしているとかから、アーティスト名を調べていた時期です。彼らのオリジナルやその周辺のアーティストを漁りはじめたころ。最初のころは曲名の意味や発音が分からなかったですから。Aphex Twinの場合だと『Selected ambient Works 85-92』(1992)の“Xtal”や“Tha”とか、そもそも辞書に載っていないじゃないですか。現に存在する言葉をいじる、もしくは作ってしまえという発想は新鮮でした。それは今回もやっていますね。

五野井:しかもAphex Twinはもちろん、ほかのアーティストも別名義を幾つか持っていたりするから、ああいう文化も衝撃的だったなあ。いずれにせよ、ベンチマークになりましたよね。多重人格ではなくして、分割可能な人格って、政治哲学者のウィリアム・コノリーとかが現在でも唱えているプルーラリズム(pluralism:多元主義)そのものですから。

若山:あのころ分割可能なアーティストって多かったですね。リチャード・D・ジェイムスの旧友のTom Middletonなんかもいろいろ使い分けていたなぁ。本人も様々な名義を使い分けてトラックをリリースしていましたね。でも、だからこそ抽象的な次元から飛び出てくる多様な音や言葉(=意味不明な曲名)を視聴することで、音楽の自由さみたいなのを知ることができたといっても過言ではないです。パンクの人がNeu!を聴いた衝撃に近いかも。「あ、こんなのでいいんだ!」って。あとは中二的ですけど、無機質人間っぽさのない状況に入り込んでみたかったっていうのは、郊外における日々の生活の退屈さゆえにありましたね。
※「neu!」https://www.youtube.com/watch?v=vQCTTvUqhOQ/
「neu!2」https://www.youtube.com/watch?v=tOfhR6uybNo

五野井:そういえばYMOやクラフトワークへと続く古典的な黎明期テクノのロボティックで機械的な音だとされているなかで、Aphex Twinの位置づけって、電子音楽というよりはむしろ牧歌的で、とくに第二期以降は露悪的だとする評価がありますけど、どうです?

若山:たしかにAphex Twinをそう位置取りする方が多いのかもしれませんね。いくつかの仕事を取り上げれば、牧歌的で露悪的というのは賛同できます。でも当時テクノの細分化のなかで、もっと露悪で牧歌的なのってあったと思うんです。だから彼だけにそうした意識を強く感じることはなかったです。

五野井:70年代後半以降生まれの世代からすると、シェーンベルクからメシアンという純粋音楽の延長線上にブーレーズ、シュトックハウゼンら、「管理された偶然性」としてジョン・ケージから貶された系譜だとも云える。とくにYMOの『増殖』と2枚のHi-Techが所与だったせいか、社会風刺としての露悪や諧謔もテクノの一部だと思っていました。  とりわけ、90年代前半に中学生って、Blurの“Park life”(1994)を日本で実体験していた世代だから、あの露悪は自然な流れというか、妙なリアル感があるんですよね。あとはクリスチャン・マークレーみたいに音の外のアイデアで戦うのはなく、あくまで諧謔は補足的なものでしかなく、何だかんだいって純粋に音の中で勝負するっていう姿勢には感銘を受けました。

若山:パークライフ的な冴えない生活環境だからこそ、純粋な音楽で別次元に行きたいっていうのはありましたね。まだ郊外に住んでいるから、それはいまでも変わらないかな。

五野井:むかしだと、寺山修司が演劇『レミング 世界の涯まで連れてって』(1979)のなかで「室内亡命」という提案をしていますね。いまだとネットに逃げそうだけど、当時は普及してなかったからできなかった。「室内亡命手段」の1つは、書を捨てて街に出るのだけど、行き着く先はクラブ。そういえばそのダンスフロアからも、苦手な音の時は室内亡命をするっていうのは、建築雑誌の『10+1』に以前書いたなあ。まあ、でもフロアも疲れるときってありますよね。

若山:でも、なぜAphex Twinなのかといえば、爆音のフロアで聴かなくても、チルアウトスペースでも、さらには自宅の畳の部屋でも電気を暗くすれば、同じ効果が得られるっていうところですよね。「畳とテクノ」って(笑)。まぁ、ベッドルームテクノの本質ですね。

五野井:家で聴けるって、お金もかからないし、中高生の懐にも優しい音楽でしたよね。

若山:当時のクラブ・ミュージック、とりわけ・は退屈な曲が多くなっていっていましたよね。それよりもAphex Twinは、普通の音でも、爆音で聴いてもいい。そんな特徴があったのだと思います。“Didgeridoo”(1991)や“Polynomial-C”(1992)なんかは、面白いですよね。ダンス・ミュージックの名曲って箱でも家でもどちらでも聴いても楽しむことが可能なのが多いですね。

五野井:“Didgeridoo”は当時のワールド・ミュージックに対する嫌がらせであるとともに、引きずられた感じの両方があるのではないかと。第二期へのとっかかりとも取れるわけですけど、あれって、ジャングルとかトリップ・ホップの前で、目の前の不安感をそのまま出した感じがするんですよ。ウィトゲンシュタインの「言語のザラザラした大地」を音で垣間見たというか。

若山:バカにしているのか、本気なのか、どっちだったのでしょう。「流行りの音なんて、もううんざりだー!」って風潮はあったのかもしれない。失礼かもしれませんが、AFXってあまりクラブとか行かなそうだし。仮に家で地道にやってたいらなおさらなわけです。

五野井:本人に聞いたら絶対にはぐらかされるだろうけど、90年代のいくつかの雑誌インタヴューで本人は代表曲としていたから、本気でしょうね。当時のアーティストがみんな語り口からして真面目だったのに対して、Aphex Twinって基本姿勢は諧謔キャラだけど、でも音はもちろんとして、インタビューでも真面目な部分がちらりと見えます。誰に似ているかというと、デミアン・ハーストの、シニシズムでキャラをつくりながらも「俺の作品は残酷だって言うくせに、一番スキャンダルなのは新聞の紙面で、戦場で兵士の頭が吹っ飛んだって書いてあるのに平気な奴らだ」っていうアレかな。

若山:ぼくらがみてきたイギリス人特有のふざけた感覚ですね。ストレートな面白さと真面目さではない、ねじれた面白さと真面目さですね。多感な時期に斜に構えたスタンスを植え付けられたというか。今考えるともっと普通に青春時代を過ごしていればよかったなぁって、感慨深いです(笑)。

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新作『Syro』について

五野井:で、『Syro』なわけですが。あの純粋な音、何か懐かしい感じがしませんか。

若山:トラックごとに聴いてみると、初期の別名義の作品に似ていたりするのかなと。そして格別に新機軸ってわけでもないんですよね。AFX名義で「Analord」(2005)シリーズを発展させた感じで聴いてくださいっていうAFXの新しい楽しみ方をみつけました。

五野井:たしかにそれは新しい提案だと思う。さて、しっかりと分析していきますか。

若山:まず、“minipops 67 [source field mix]”ですね。これはGAK(AFX変名)に似ているのかな。基本に帰るっていうかアマチュアっぽいのがなんとも、どうでしょう?

五野井:GAK 1”(1994)はビートがいわゆる「完全に一致」ってやつで懐かしくもあります。Aphex Twinをこれから聴いてみようっていう人には、入門としてよい1曲目ですね。でも一般的な商業テクノの市場はこれを求めているのだろうか。

若山:たぶん、この人は一般的な市場とかどうでもいいんじゃないでしょうか。市場でのエレクトロニカ系は知的な音楽っていう嫌いがある。話がずれますが、岡崎京子の『東京ガールズブラボー』(1990-1992)でも、ニューウェーブ好きの男の子ってそういう設定で描かれていますよね。

五野井:『東京ガールズブラボー』の犬山のび太くんは、かなりナードですよね。その設定を商業的なマーケットからは求められているけど、あえて今回『Syro』では肩透かししたった、と。

若山:おそらく。先ほどから言っている予期せぬ作用があるわけです。“XMAS_EVET10 [thanaton3 mix]”はそこまでキャッチーじゃないけど、Metro Areaの“Caught Up”(2001)を思い出してしまいました。メローだからかな。

五野井:2000年代初頭の音に還っていってますね。にしてもマッシュアップ感、パねえなあ……(笑)

若山:03. produk 29、前半の緩めのビートの部分はやはり2000年代前後のダブディスコを想起してしまいます。Chicken Lipsとか……その辺かと (笑)

五野井:このあたりはさほどAphex Twinの得意分野でもないのかもしれませんね。とまれ、「神は細部に宿る」とは云ったもので、Aphex Twinが他のミュージシャンが保ち続けることの出来なかったベテランとしてのクオリティを保っていることは分かるわけで。そういう意味では、この辺りはフォロワーに対して「過去のグラマーお前らに教えてやんよ」、なのですかね?

若山:一応ベテランなわけですしね。04.4 bit 9d api+e+6はピッチを曲げるデトロイトっぽいシンセがいいですね。似ているというわけではないのですが、このトラックのシンセやベースの懐かしさがわかるといえば、Rhythm is Rhythmの“Nude Photo”(1987) とMr. Fingersの“Washing Machine”(1986)あたりとかを聴くと「おぉ!」ってなるんじゃないかな。

五野井:たしかに。この前『短夜明かし』(河出書房新社)を出した作家の佐々木中さんが講義で学生にRhythm is Rhythm聴かせたら、学生が感動したらしいですからね。われわれの世代が聴くと今回の『Syro』は2000年代初頭にくわえて、80年代〜90年代のいくつかの牧歌的な音にも戻ってきている気がするのですよ。踊らせてやるぜっていう感じとこれがテクノのクロノロジー(年代記)だよっていうメッセージも感じます。

若山:“180db_”は4つ打ちになりますね、これに関してはフロアチューンと言わないまでも、そっちの方向ですよね。でもすごいだるーいですね。ハードコア・テクノみたいだけど、音がスカスカ。Human Resourceの“Dominator[Joey Beltram remix]」”(1991)、全然違うかもしれないけど、思い出してしまいました。

五野井:刻みのよいビートなので素材としても使えるしフロア的ですね。他方、“CIRCLONT6A [syrobonkus mix]”は擬似的な感じですね。速さがあり、クラシックで、やはりベーシック。いじくり回して打ち込んでいる感じがたまらない。これがうまくいくというのは往年の技を見た気がします。とくにリズムの刻みが激しくなり巻き返すところは極めてオーソドックス。必ずどこかで聴いているような気がするっていうのはすごいことですよ。

若山:すでに聴いたことがある、どうでもいい音を再度取り上げるスタンスは大切だと思います。“CIRCLONT6A [syrobonkus mix]”も2000年くらいのBreaksってこんな感じでしたね。Plump DJsの“Soul Vibrates”(2004)はたしかこういうビートでした。でも、やはりAphex Twinらしさは十分にありますね。あと中盤のところがPsycheの“Crack Down”(1990)の後半みたいな疾走感がありますね。

五野井:たしかにPsycheのときのカール・クレイグっぽいかも。他方“fz pseudotimestretch+e+3”は転調しますね。“CIRCLONT14 [shrymoming mix]”のアンビエントな入りだけど、這うような音が入り、スピードが上がる。不安さから心地よい速さへすすむ。Aphex Twinが歳をとったのか、我々がこの音のもとで育ったからなのか、追いかけてくるような音もずしんと来る音も、オーソドックスで安心しますね。Roland TR-808と909ですよね。

若山:はい、ぼくらはこの音にやられていた。大好きな808と909です。やっぱり加工していない生の音に安心する。“CIRCLONT14 [shrymoming mix]”は極端なシャッフルが面白くて聴き入ってしまいます。クセになりますね。DJがターンテーブルで遊んでいる感じですね。リズムボックスで遊んだことがある人だったらこの機能は試したことあるんじゃないかな。おそらく機材をそのままの使っているかのようで。

五野井:生の音、というか安心できる素の音ですよね。。電子音楽における「生」っていうのは、明らかに語義矛盾なのだけど、これはたしかに生の音だなあ。TR-808、TR-909あたりで、音圧で潰さない感じがそういって差し支えないかと。

若山:いまはソフトシンセでトラックを作る時代。過去の機材もソフト上でその音を再現してくれます。最近はこうしたビンテージ機材を見直す動きみたいなのがあるのでしょうかね。

五野井:“syro u473t8+e [piezoluminescence mix]”のシンセのベタなメロディが引っ張って、後半の高音4音が純粋に気持ちいいし、そのあとのテンポの下げ方もよい。まるで他のエレクトロニカを嘲うかのように、他ジャンルをAphex Twinの音に仕上げているけど、これやる人あんまりいないですよね。

若山:こうやってコミカルにやるのはコーンウォール一派の人たちですかね。みんないいやつです(笑)。

五野井:先生と生徒(mentor and disciple)の関係ですね。そういえばスクエアプッシャーがジーマのCMに曲提供していたけど、そういう時代になったんですね。ええと、“PAPAT4 [pineal mix]”ですが、テクノポップみたいなシンセの入り方でお得意のスネアのうねりがあって、聴覚だけではなく、他の五感や身体性が拡張される感じがします。メトロノームの刻みのような音はウィリアム・ケントリッジの『The Refusal of Time』(2012)なんかにも影響を与えている、安定のAphex Twinサウンドですね。

若山:もっともAphex Twinっぽいですよね、聴きやすい。10の雰囲気はAFX名義の“Hangable Auto Bulb”(1995)みたい。

五野井:かわいた感じがたまらないですね。近頃、世界はウェットなもので溢れているから。

若山:ええ、あらゆる事象がウェットすぎですね(笑)。まま、ドリルンベースで刻むところとかいいですね。こういう音を昔のサンプラーで編集するとかなり時間がかかるんですよね、それに比べるとだいぶ楽ですよ、いまは。

五野井:“PAPAT4 [155][pineal mix]”と“s950tx16wasr10 [earth portal mix]”まで聴いていると、ひさびさにホアン・アトキンス先生のModel 500“Night Drive”(1985)が聴きたくなります。今回の『Syro』はback to the basicだと感じるのはこういう昔からの音をもう一度聴きたい気にさせる曲調が多いからでしょうか。“s950tx16wasr10 [earth portal mix]”はドリルンベースとはかくあるべしと言う曲ですね。鉄線を擦るような、ウォルター・デ・マリアの“Apollo's Ecstasy” (1990)のように、ジリジリとした感じがたまらない。曲の作りはグラマーのお手本だなあと。でも、最後の“aisatsana”は、評価が分かれますね。

若山:11曲目のタイトルにある「S950」ってサンプラーの名前かな? 最後はどうなんでしょうかね。ここまで打ち込みだったから、最後まで同じノリでやるのかなと予想していたのですが、意外な展開ですね。『Drukqs』の“jynweythek”的なのを思い出してしまって、少し驚きました。

五野井:11はAKAIのあれですかね。12曲目はたしかにウェブ上にアップされている“jynweythek”をピアノで弾いたのを聴いてみると、曲調がかなり似ている気がします。欧州圏のミックスCDのお手本のような無理のない終わり方ですね。

『Syro』を聴いてから、もう一度Aphex Twinの意義を考える

若山:今回『Syro』を聴いてみて気づいたのは、やはりルーツを調べることや戻ることの大切さということですかね。音だけで勝負するのってわれわれの世代にはすごく影響を与えていますよ。例えばテクノとハウス最初に聴いていた頃は、白人が作っているって先入観がありましたから。それこそ初めて聴いたときはDJピエールって字面であの音聴いたらみたらね。そしたら違った(笑)。テクノとハウスの歴史を紐解いてみると必ずしもそうではない。世界では音と実力で勝負出来るのだと理解できて、価値観が変わったのを今でも覚えています。それ以降、通り一遍で物事を考えず、多方面から物事をみるのがデフォルトになりましたね。

五野井:とくにAphex Twinは実際どの方向から攻め込んできてもおかしくないですからね。今回の『Syro』がそうだったけど、聴く側の隙あらばやられてしまう(笑)

若山:その隙があればやられてしまうのって、たしかに聴く側もそうですが、ポップスにとっても最大級の脅威だと思うのですよ。宅録してさじ加減ひとつでああいうものができちゃうから、お金儲けという意味での音楽関係者にとっては恐ろしいでしょうね。

五野井:いつの時代もテクノって人生の闘い方を教えてくれるよね。

若山:そうですね、そんなポップスからも奪えますからね、さらにそれで攻撃が出来るっていう、サンプリングとかでいろんな手段を使って取り込んで、ショッピングモールとそこでたれ流される音楽とか、すでにある生産物から自分に都合のよいものを、都合のよいやり方で利用することができますし。

五野井:ポップスに代表される社会の「戦略」は、どうでもいい曲を大量生産し、碁盤の目のようにレコード屋やダンスフロアを区切り、流行を押しつけてくる権力です。対してテクノの「戦術」は、この流行の権力を逆手にとって利用し、巧みにあやつり、サンプリングによってアプロプリエーションしていくわけですよね。社会が押しつけてくる「戦略」の隙をついて、押しつけてくる「戦略」の武器をそのまま逆機能にして、オセロをひっくり返すのがテクノの「戦術」。ポップスは資本の「戦略」側に「踊らされる音楽」。対してテクノとは、踊れる音楽だけど「踊らされない音楽」かな。そこではポップスの曲調はYMOがテクノポップとしてやってみせたように、すべて「戦術」へと転用可能だけど、ポップスはテクノを取り込むことはできない。ポップスでそれをやるとただの剽窃になるし、なによりも商業的な採算も合わないから。身を委ねない音楽としてのテクノと、他の身を委ねていい音楽の違いはこういったところでしょうね。

若山:Aphex Twinに話を戻すと、テクニカルな面白さと全体的な面白さもある。電子音楽の基本とは違うし、クソみたいなポップスの詰め込みました、っていうのとも違いますよね。AFXは醜悪な映像は持ってきても、たとえば適当なアイドルとかグッズとか二次元キャラとか、音楽以外の付加価値で騙すってことをしないから。利潤追求じゃなくて、たぶん面白いとか適当にやっていた。その程度の事なんじゃないでしょうか。その結果として、たまたま評価されて大変なことになったみたいな状況なんじゃないでしょうか。

五野井:Aphex Twinの場合、第二期以降とくにそうですけど、騙すときは、商業的な理由とは別のどうでもいい理由で騙しますよね(笑)。しかも、皿や電子音というフラットなかたちで。アプロプリエーションの極地ですね。でも主戦場はあくまで音という。ジョン・オズワルドの「プランダー・フォニックス(plunder phonics:略奪音)」の電子音楽版というか。

若山:こうしてAphex Twinについて話をしていると、突き抜けそうで、突き抜けてない(笑)。奇才とか言われているけど、意外とコツコツ真面目な人だと思いますよ、彼は。

五野井:音だけを追求するっていう突き抜け感だけでは、シカゴやデトロイトの先行するアーティストのほうが振り切っていますね。でも、Aphex Twinの自分が他人からどう見られているのかを気にする「まなざしの地獄」(見田宗介)は、現代人の多くが抱えている悩みでしょう。そのシャイさがAphex Twinに身体性からは自由なはずなのに、人間味や憎めなさを与えている。なぜ我々はAphex Twinにわくわくするのかといえば、Aphex Twinは洒脱で諧謔なフリして、実際にはそれなりに本気で作り込んでいるところですね。

若山:おそらく、過去の遺産を食いつぶし、切り貼りをする貼り合わせがどのように文化産業のなかで行われているのが現代じゃないですか。Aphex Twinは音楽も映像も、すべてどこかで聴いた音(過去のAphex Twinの音も含む、あのback to the basic感など)、どこかで見たもの、拾って彼の音に再構成してくるというスタイルはダンスミュージックの基本に忠実な人ですね。

五野井:どこかで聴いたかなっていう断片を虚焦点にして、そこから新しい音を作っている点が今回の聴きどころかなあと。自分の過去の作品も含むコピー(コピーのコピーの……)からオリジナルを作る技というのは、つねに今の自分をも越えようとする試みです。この完成度をもって今回世に出た『Syro』というアルバムは、過去の遺産の切り貼りになっている現在の「n周目の世界」におけるひとつの到達点なのかもしれないですね。

※10月7日(火)
21:00-23:30 DOMMUNE「ele-king TV エイフェックス・ツイン特集」
https://www.dommune.com/
https://www.3331.jp/access/
出演者:
野田努(ele-king)、佐々木渉(クリプトン・フューチャー・メディア)、五野井郁夫(政治学者)、三田格(音楽ライター)
DJ:DJまほうつかい(西島大介)

※10月15日
ele-king vol.14「エイフェックス・ツイン特集号」発売
リチャード・D・ジェイムス、独占2万字インタヴュー掲載!

YOUNG ANIMAL - ele-king

最近よくかける曲を選びました

不定期でWASTELAND、偶数月の第一土曜日にDEUZEBRAというパーティーを京都で主催中。

2014. 10. 4 (SAT) DEUZEBRA@Spanish Harlem Latin Club
DJ: KAZUMA / RILLA / YOUNG ANIMAL

2014. 11. 15(SAT) WASTELAND@SOCRATES
DJ: Ooshima Shigeru / HARA / YOUNG ANIMAL

https://twitter.com/YoungAnimal240

HOLY (NO MORE DREAM) - ele-king

~MY 90's HEAVY METAL CLASSIC ALBUMS 10~
ティーン時代のリアルタイム炸裂盤。MR.BIG入れ忘れました。

完全孤高のヘヴィメタルDJパーティ“NO MORE DREAM"が、10.5(sun)青山蜂に再臨!
興奮、涙、激愛が神の領域でスパークする奇跡の夜を、是非とも体感しに来て下さい。

NO MORE DREAM
~THE WORLD'S HEAVIEST HEAVY METAL PARTY~

@青山蜂
2014.10.5(sun)
17時~
入場料 ¥1000

DJS
HOLY
増田勇一
クボタタケシ
JAM DIABRO
山名昇
BLACK BELT JONES DC FROM METALCLUB
METAGURO
Wcchei

METAL DIRECTION&ARTWORK
ヴィッソン

TEQUILA GIRL
yucco&ミサンガ

FOOD
POOPTHEHOPE

HEADBANGER
PAUL

ROADIE
ロベルト吉野

HM-T&PINS
Rhododendron

DJ SHINYA (JAPONICA / BUTTER) - ele-king


1
UCND - TERRA INCOGNITA EP PART 1 (INCL.DJ NATURE REMIX)

2
COFFEE & CIGARETTES BAND - LOVE THING (7EDIT) / TOKYO HYO-RYU (ON THE RUN EDIT)

3
BACAO RHYTHM & STEEL BAND - BACAO SUAVE

4
DIGGS DUKE - THE UPPER HAND & OTHER GRAND ILLUSIONS

5
JOHN GIBBS AND THE UNLIMITED SOUND OF STEEL ORCHESTRA - J'OUVERT
(LORD ECHO REMIX)

6
MR. SCRUFF - WE ARE COMING (MAX GRAEF REMIX)

7
UC BEATZ - UNTITLED TRACK 1 / UNTITLED TRACK 2

8
MANNMADEMUSIC / ROUGH TIMES EP

9
STEPAK-TAKRAW - PHAT FAT JACKSON / CHANG MOI

10
ORLANDO JULIUS WITH THE HELIOCENTRICS - JAIYEDE AFRO

京都のセレクト・レコードショップJAPONICA music storeのバイヤー。
アナログ制作/パーティー・オーガナイズもしております。
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