「AY」と一致するもの

QN - ele-king

越境者としての彼 文:中里 友

QN
New Country

Summit

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 5月31日にポストされたQNのツイート...そこに貼られたOMSB'Eatsに対するディス曲"OMSBeef"の音源。その、あまりに唐突過ぎる決別の報を、この楽曲によって知った人がほとんどではないだろうか。このビーフ自体が相当衝撃的だったのだけれど、"OMSBeef"を聴いて、さらに驚かされてしまった。それは、前作以上の拡張と深化を遂げている彼の音楽に、だ。

 どんなジャンルの音楽にも熟練というものはある。僕が日本語ラップを面白いと思うのは、それぞれ独自の言語――それは言葉のアクセントや起伏、間の取り方、もちろん生来の声質によるところはかなり大きい――を思考錯誤して体得しているところにある。10人いれば10通りのスタイルがある。それはキャラクターとも言い換えられ、それは彼らの最大の「武器」でもある。他にはない表現やスキルを見せようとする初期作は冒険心に溢れ、フレッシュでいて、ときとして非常にトリッキーであったりする。それが作品を重ねる毎に、じょじょに言葉は削ぎ落とされて整理され、次第に聴きとりやすいオーソドックスなラップ・スタイルへ移行していく(それはメッセージ性に重きを置きはじめるというより、メッセージを持ちはじめるというケースが多いような気がする)。イコール独自の言語を捨てていくという事では必ずしもない......が、表現がこなれて洗練されていくという事はこういうことなのか? と疑問を感じたりもする。
 ヒップホップというシーンへの帰属意識の高いアーティストほどこういう面が強く、かたやジャンルの横断を繰り返すアーティストほどブレずに言語の独自性を保持・深化させながら、音楽性を拡張させていっている。僕は彼らを「越境者」と呼んでいる。韻踏を早くに抜けたミンちゃんやEVISBEATS、さらに言えばKREVAやイルリメは拡張の末にポップ・フィールドにまで波及した例だと思う。もちろん例外はあって、降神はさらに独自のコミュニティで表現に磨きをかけていった気がするし、KILLER BONGなどは越境......というよりも間違って地球に産み落とされた宇宙人のよう。

 QNは間違いなく越境者だ。越境者は実験を繰り返す(ミレニアルズ以降のネット・ネイティヴな世代は生まれながらに「越境者」なのかもしれないが)。QNの作品にはいつも耳を惹くアイデアがある。先月リリースされたDJ松永のアルバムにラップで客演した"Tell The Truth"での甘いフックを聴かせた後の1バース目はつかみとしても最高だし、昨年、名義を変えてトラックメイカーとしてリリースしたEarth No Madでは実験的な試みにも意欲的で、自身を拡張しようとしている意図がとれる。相模原CITYのLABORATORYから、自らをProfessorと名乗っているのも頷ける。

 そして件の"OMSBeef"だ。このトラックはやや風変わりなクラウドラップで、おまけに彼のラップはどんどん訛っていっている(同時にアップされている歌詞がなければ聴き取れなかっただろう......)。先の持論を漠然と考えていた折に、編集部から今作『New Country』が届き、聴き通してみて、やはり! と思った。もちろんまだ彼がSIMI LABに所属していた際に作られた作品なのだが、よりグルーヴを求めて削ぎ落とされたタイトなサウンドで、前作以上に無国籍なビートを鳴らしている。
 フリーキーでエキゾチックな"Cray Man"、"Hands"。ベースとドラムとわずかな音色、その上をラップでスイングする"Freshness"、"DaRaDaRa"。ファニーなルーディーズ・ミュージック"Hill"、"Boom Boom"、そしてJUMAのフックが効いたモラトリアムなメロー・ソング"Cheez Dogg"からは彼のプロデュース能力の高さが伺い知れる。アルバムの終焉にふさわしい"船出"と"Flava"は旅情と言うべき感傷さが漂っていて、総じて温かみに溢れた作品となっている。

 熟練というのは、キャリアの積み方という事でもある。3年の間に、2枚のソロ、SIMI LABのアルバム、別名義Earth No Madのアルバム、Dyyprideのアルバムのプロデュース...そして前作から5カ月というハイペースで発表された今作の『New Country』。早い。彼の初となる商業作品のタイトルを『THE SHELL』(抜け殻)とした意味も「やりたい事がコロコロ変わるから、このアルバムも今やりたいことではもうないんですよ。」とかつてインタヴュー(https://amebreak.ameba.jp/interview/2010/08/001618.html)で語っていたが、本当にそのスピード感で彼は成長を続けている。今回の脱退は残念だが、すでにRAU DEFと共にMUTANTANERSなるユニットを組んでYOUTUBEに作品をアップしている。歩調や歩幅を変えても、この先も決して歩むことはやめないのだろう。

 ラジオを通じてQNとOMSB'eatsに熱いメッセージを送った菊地成孔じゃないが、4月のDCPRGとのライヴで、STUDIO COASTという大舞台で見せたSIMI LABの素晴らしいステージング......世代も越えて観客をロックした、あの光景に夢を見てしまった僕も含めて、多くのファンが今回のQNの脱退がとても残念な事に思えてしまうのは、それはしようがないことだ。いや、こんなこと書いても本当にしようがないのだけれど。
 

文:中里 友

»Next 竹内正太郎

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物語の外側へ 文:竹内正太郎

QN
New Country

Summit

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 「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。

 「もう僕はSIMI LABには居ません。QN」、突如そうツイートされたのは5月22日だった。ツイートは確かに本人のアカウント(@professorQN)だったが、前後の書き込みからしてもまったくの無文脈だったので、私は何かの冗談だと思っていた。が、6月1日、QNのSoundCloudに"OMSBeef(Dis)"がアップされ(https://soundcloud.com/simi-lab/omsbeef-qn)、どうやら事態は想像以上にシリアスであると、多くの人がさらなる深刻化を覚悟してしまったのではないだろうか。少なくとも、OMSB'Eats(@WAH_NAH_MICHEAL)やMARIA(@MariaPPgirl)のアンサー・ツイートを見る限り、QNとSIMI LABメンバーとのあいだには何か決定的な行き違いがあり、容易には復しがたい距離が存在する、それがどうやら一定の事実であるようだった(注:残念だが、6月12日、QNの脱退がオフィシャルで報じられた......)。当然、詳しい内部事情はいっさい承知していない。無用な推測は控えるべきだろう。何かを言うべき立場の人はもうコメントを出している、例えば菊地成孔のように。オーケー、私が言いたいこと(言えること)はたったひとつ、『New Country』は本当に素晴らしいアルバムだ。

 そもそも、OMSB'EatsもMARIAも、そしてDyyPRIDEも、このアルバムに参加している。あたかもそこになくてはならない既定の風景のように、SIMI LABの面々はこの作品に協力し、パフォーマンスしている。それに、RAU DEFや田我流もいる。本来であれば、純度100%の、大きな祝福の中で聴かれるべき作品だと思う。もちろん、例の件をできる限り肯定的に捉えれば、SIMI LABが馴れ合いで運営される仲良しクラブでないことが公けに示されたとも言えるが、この作品の完成とこのタイミングでの発売を、決してよく思わない人たちもいるであろうことは、(ぶり返すようだが)残念ではある......。SIMI LABのデビュー・フルレンスに寄せ、かつて「個人的にはQNにもう少し出しゃばりを期待」している、などと書いた人間からすれば、本作はまさにあのとき理想に描いたとおり作品であるが、だからこそ余計、複雑な感情になってしまうのもまた事実で......。

 いや、妙な感情論はやめよう。QN(今後はプロフェッサーQNと呼ぶべきなのだろうか?)は、さらに磨きあげたトラック・プロデュースで、すべての協力者に報いている。音楽家としては、まず間違いなく最高の仕事を果たしている。アレンジメントされる多彩な弦類、重く揺れ動くベース・サウンド、淡々とリズムを刻む軽やかなドラムスは、彼の手によって美しい循環構造を描いている。そして、これは相変わらずと言っていいのか、この1990年生まれが持つ雰囲気というのは、ちょっと並はずれたものがある。絶対に浮かれてたまるかと言わんばかりの、常にローにコントロールされた異様なテンション。ビートの鳴りやループの展開は、前作『Deadman Walking 1.9.9.0』(2011)以上にタイトになっている。そして、ベースの効かせ方がとにかく心地よい。J・ディラのビート・プロダクションを"21世紀のヘッドフォン・ファンク"と評した海外のライターがいたが、それはこの作品にもそのまま当てはまるのではないか。これはQNによるファンク解釈のグルーヴィな作品である。

 そしてラッパーとしても、その不遜な口振りは更なる自信を見せつけている。この年功序列国家においては、ときに過剰なまでの謙遜が重んじられる傾向にあるが、ヒップホップはその道徳を破棄する文化でもある。そう、QNは誰よりもクールに、だが自分がナンバーワン・ラッパーであるかのように、ファンク・ビートの上で堂々と韻を流している。日本語も英語もない交ぜに、とにかく滑らかに流れていく。引用すべきパンチ・ラインも、もちろんある。とくに、表題である「新国家」の、おそらくは同義語として「夢」という言葉がふたつの意味で使われる"Better(feat. RAU DEF, MARIA)"には、QNの決意がもっとも強く表れている。が、韻文として組んだリリックを、あくまでも散文のように崩して聞かせる技術には舌を巻く。ゼロ年代、ドメスティック・ラップの潮流に物語回帰(それも、"Street Dreams"としての物語ではなく、"My Space"としての物語への回帰)があったとすれば、QNはまたぶらぶらと物語の外側へ出て、意味のあること/ないことを問わず、背景にある物語からいくつかの場面や感情のみを取り出し、新たな世界を立ち上げているように思える。

 また、こうした純粋なラップの機能性からの影響なのか、浅からぬ縁を持つ田我流を招いた"船出"は、粒揃いの本作でも群を抜いたコズミック・ファンクで、『B級映画のように2』という、おそらくは現在の日本に対する複雑な心境を込めたアングリーなアルバムからは一転、「こんな国は捨てて/空を突き抜けて/大気圏に突入/無重力でパーティ」とラップする田我流が、私には実に楽しそうに見える。彼の『B級映画のように2』が、ヒップホップの圏外へと向かう社会性の作品だったとすれば、本作はヒップホップの原理的な魅力にこだわった、周囲との国境線を強く意識した作品だ。貫禄めいたこの落ち着きぶりはいったいなんだ? 表情はまだどこかに十代の面影を残しているが、「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。浮かれることを知らない弱冠21歳が、新たな王国を築こうというのか。月並みの結論であるが、事情はどうあれ、作られた音楽そのものに罪はないと思う。おそらくは多くの人の期待を凌いでいるのではないか。『New Country』、その確信めいたヘッドフォン・ファンク。存分に楽しんで欲しい。


文:竹内正太郎

MANDOG - ele-king

Mandog web - Mandog Official Info : https://mandog.info/

「ROOM FULL OF RECORDS」
マンハッタンレコードのハウスセクション主宰レーベル「ROOM FULL OF RECORDS」記念すべき第一弾シングル。
"ライブ演奏が可能なオリジナル曲とそのリミックス"
をコンセプトにワールドワイドな展開で国産ミュージック紹介の一旦を担う事を目指す。
第一弾は、未だにシーンに多大な影響力を持つドイツ発プログレッシブロックバンドCANの日本人ヴォーカリストであったダモ鈴木氏に絶賛され、当初のギタリストを変更してツアーに同行されたという実力派ギタリストMandogによるオリジナル曲を、DJ Harvey等要人が関わる最重要レーベルの一つ<International Feel>から堂々のリリースを果たし世界的知名度を上げるDJ GONNOがリミックス。オリジナルが持つ多重録音によるサイケデリックなプログレ感とGONNO独特のビート感と空気感が融合した作品。
https://www.roomfullofrecords.com/

2012.06.15 (FRI)
ENESPNO.1 ROOM FULL OF RECORDS KICK OFF PARTY @ eleven
LIVE: MANDOG、 KAORU INOUE
DJ: LOVEFINGERS、THE BACKWOODS aka DJ KENT、5IVE、CHIDA

2012.06.19(MON)
MANDOG LIVE & DJ GONNO @ DOMMUNE

ギターを弾きたいと思わせてくれた曲


1
CAN - Oh Yeah 「Tago Mago」 - United Artists Records

2
Manuel Gottsching - Echo Waves 「Inventions For Electric Guitar」 - Kosmische Musik

3
Les Paul - Lover「The New Sound」 - Capital Records

4
寺内タケシとブルージーンズ - 津軽じょんがら節「レッツ・ゴー・エレキ節」 - King Records

5
Suicide - Ghost Rider「Suicide」 - Reachout International Records

6
Johnny Mathis / Open Fire 「Open Fire, Two Guitars」 - Columbia

7
Dick Hyman - Evening Thoughts 「Moog」- Command

8
V.A. - ヌドクパ族の音楽 「世界民族音楽大集成 中央アフリカの音楽」- King Records

9
Raymond Scott - Little Miss Echo 「Soothing Sounds For Baby Vol.3」- Basta

10
Django Reinhardt / Nuages 「The Quintet Of The Hot Club Of France」- Decca

Chart by JET SET 2012.06.11 - ele-king

Shop Chart


1

Bepu N'Gali - I Travel To You - Todd Terje Remix (International Feel) /
幼少期を南アフリカにて過ごしたという経歴を持ち、同時に収集していたカセット音源からアフロ・ビートやカルチャーを習得していったというボツワナ出身のニューカマーBepu N'Galiをフックアップ。

2

Bottin - Lust (Tin) /
Bear Funk、Eskimo、Italians Do It Betterといった人気ディスコ・レーベルからリリースを重ねてきたヴェニスの気鋭プロデューサー、Bottinによるスペース・ディスコ最新トラックを渾身のワンサイデッド・プレス。

3

Janka Nabay & The Bubu Gang - An Letah (True Panther) /
DeloreanやLemonadeらのリリースでお馴染みUsレーベルTrue Pantherから、500年の伝統を持つ西アフリカ/シエラレオネ共和国発のアフロ・グルーヴをモダンに蘇らせた衝撃盤が到着です!!

4

Lord Finesse - Pull Ya Card / Check Me Out Baby Pah (Slice Of Spice ) /
クラシックとして名高い95年リリースの3rdアルバム『Awakening』に惜しくも収録されなかった楽曲がコチラ。2003年にレア音源集としてコンパイルされましたが、インスト収録は本盤のみとなっています!

5

Anthony Valadez - Just Visiting (Plug Research) /
2009年にDublubからKutmahとのスプリットも印象的だったLaの新鋭ビートメイカー=Anthony Valadez。SonnymoonのAnna Wiseや、Miles Bonny, Damon Aaronらと共に美しくまどろむ世界を形成した全11曲!

6

Hot Chip - In Our Heads (DOMINO) /
2010年の世界的ヒット作『One Life Stand』に続く2年ぶり5枚目のアルバムは、名門Dominoに移籍してのリリース!!Us盤アナログ2枚組、ダウンロード・コード封入。

7

The Saint Petersburg Disco Spin Club & Lipelis - I Need It (Teardrops) /
Shanti~"Tusk Wax"といった要注目レーベルのコンピレーションに参加してきたThe Saint Petersburg Disco Spin ClubとLeonid Lipelisのロシアン新鋭コンビによるデビュー作。

8

Tyrone Evans / Greenwood Rhythm Coalition - Rise Up (Names You Aan Trust) /
'70~'80年代にかけて活躍したジャマイカのシンガーTyrone Evansが"Wackie's"から'83年にリリースしたアルバム『For Lovers Only』に収録されたレア・パーカッシヴ・ブギー「Rise Up」を復刻。

9

The Backwoods - Cloud Nine (Esp Institute / Ene) /
躍進が続く国産インディペンデント・レーベル"Ene"とLovefingersが指揮する"Esp Institute"による話題沸騰コラボレート・リリース第一弾、FonのDj Kent A.K.A. The Backwoodsによるデビュー傑作アルバムからのリミックスEpが遂に入荷しました!!

10

V.A - Oh Everywhere! (Love Edits) /
Miami Sound Machine「Dr. Beat」ネタのフロア・ライク・エディット前作も素晴しい一作だったミステリアス・エディット・シリーズ"Love Edits"からの最新作。引き続き大推薦!!

 6月に入り、ニューヨークはイヴェントで目白押し。





 まずはいま、ブルックリンでいちばん面白いアート・エリア、ブシュウィックで、「ブシュウィック・オープン・スタジオ」が、6月第一週末に開催された。
 アーティストのスタジオを、その週末だけ一般開放して、スタジオを見学をするイヴェントである。ブシュウィックには数えきれないほどのアーティストがスタジオを構えているので、場所によってはミュージック・ショーがあったり、ヴィデオ上映会があったり、ライヴ・ペインティングがあったり、盛りだくさんなのである。
 たくさんあるので、案内所として、いくつかのハブ・スタジオがあり、そこで地図やインフォをもらい、オススメを教えてもらえる。駅でいうと、3、4離れて固まっているので、プランをたてて行動するのが良い。デタラメに行っても、そこそこ面白いものが見れる。みんなフレンドリーで、アーティストと触れ合えるし、フリードリンク、フード、見る物満載、楽しい週末イヴェントである。
 私がチェックしたのは、デカルブ・アベニューとブロードウェイの角にある「ロード・サインズ」。道の角に、大きなサインが作られていて、サインの先には、このサインを作ったアーティスト(スコット・グッドマン、サキ・サトウ)も含む10人ぐらいのアーティストのスタジオ「1100broadway」があり、その近所の「ブルックリン・ウェイ・フェアーズ」にもお邪魔した。友だちの家に来たかのようで、スナックなどが持ち寄り。アーティストの作品は、ドローイング、ペインティング、彫刻、クリスタル、ボトル、ヴィデオ......などなど。作者は、気軽に作品について説明してくれる。

 同じ週末には、「ブルックリン・フィルム・フェスティヴァル」のキックオフ。ニューヨークでは、次々とフィルムフェスティヴァルが開催されるが、有名所では「トライベッカ・フィルム・フェスティヴァル」がある。私が個人的に好きなのは、監督の顔が見える、インディ感漂うフェスティヴァルで、「Res fest」(レス・フェスト)、「ニューヨークUFF」(ニューヨーク・アンダーグラウンド・フィルム・フェスティヴァル)、「BFF」(バイスクル・フィルム・フェスティヴァル)などが印象に残っている。
 今回のブルックリン・フィルム・フェスティヴァルも、私の心を動かすインディ・フェスティヴァルである。アメリカ、ロシア、イタリア、トルコ、スペイン、ドイツなどの映画が集まっているのだが、監督やロケ地、ストーリーなどが、ブルックリンに関連していて、ブルックリンが映画の中心であることをアピールし、インディの映画制作、アーティストの素晴らしさ、アーティストの創造の自由を促進している、ブルックリンから世界に発信するフェスティヴァルだ。

 こちらがトレーラー。






 このなかからひとつ、「lefty loosey righty tighty (レフティ・ルージー・ライティ・タイティ)」をピックアップする。
私が昔働いていた音楽オンラインショップで、現在働いていて、私のレーベルの物もいつも扱ってくれるパトリックが脚本を書いたというので、個人的にも親近感をもっていた。
 ストーリーは彼と同世代の典型的なアメリカ人30代男の生活、その恋愛模様が描かれている。3人の友だちが、これまでのバブルの崩壊を悟り、歳を取るごとに直面する自分自身や生活の変化のなかでドラマは繰り広げられる。
 撮影場所はブルックリンのパークスロープ。ここは、ブシュウィックとは対象的な、家族が住む地域で、ストローラーを押したお母さんを良く見かける。エッジさはないが、別面のブルックリンという感じが伝わる。
 ブルックリンと言っても、とても広く、インディ・ロック界でいうブルックリンはウィリアムスバーグ、ブシュウィック、グリーンポイント辺りなので、機会があれば、他の地域も紹介していきたい。例えば、どこに住んでいるの? と聞いてブシュウィックというと、「ああ、ミュージシャンかアーティストなのね」と、パークスロープと言うと、「ああ、落ち着いてるのね。子供がいるの?」などと、会話がはじまる。地域ごとに「顔」がある。

 さて、席は100席もなかったが、ほとんど埋まっていた。監督が言うには、DIYでどこまでできるかがテーマで、脚本家、俳優、映画音楽(ミュージシャン)、いやいや、お客さんもほとんどが彼の友だちだったかもしれない。見に来ている人は登場人物が経験していることを自分と照らし合わせ「ああ、わかるわー」という、共感を楽しんでいるように思えた。
 日本人の私から見ると、30代の微妙なお歳頃のアメリカ人が作った、ローカル感満載の映画で、「まったくアメリカ人はルーズでイージー(良い意味で)」と、表面的に思えるのだが、そのなかに見える登場人物の、微妙な心の動きや葛藤には、共感できるものがある。
 結局この映画で伝えたかったメッセージは、特異性を越え、生活を混乱させ、壮大で恐ろしい現実に自分の心を開いていくことだろう。ちなみに映画の最初に出てくる制作者のクレジットが、デリのサインを使って表され(つまり、かなりニューヨーク的)、オーディエンスにもしっかり受けてたが(拍手まで起こった)、ただこれは、アメリカの地方に住んでいる人にも理解し難いかもしれない。日本で言うと、町の商店街のサインを使って、名前を載せるという感覚なのだが、そのユーモアのセンスが、ここにいるからわかるという限定的なもの。笑いは、世界共通で有りながらツボは違う。上映後の監督への質問には、これでもか、というぐらい質問する(的外れな質問でもお構いなし)。

 もうひとつ見た映画は、「Cat Scratch Fever(キャット・スクラッチ・フィヴァー)」。こちらはルームメイトで親友のふたりの女の子が主人公、彼女たちは自分たちの生活を別次元の世界で見れることを発見する。そう、現在の生活とテクノロジーの数えきれない可能性の暗喩でもある。 こちらも、ストーリーからロケーションからとてもDIYで親近感を感じた。いずれせによ、これもまた、今日的なテーマである。

 話しは飛ぶが、たまたま見つけたこのプロモ・ヴィデオ(https://news.aol.jp/2012/06/04/italian-supermarket-lip-dub_n_1537380/)、イタリアの生協のスタッフが、オープン記念で作っているのだが、素人でここまでできるのは、イタリア人の血筋(ジェスチャーに長けている国民)なのか!

CHIDA (ene / FUNIKI ENE) - ele-king

【CHIDA's DJ SCHEDULE 】
6.15 (Fri) ENESP No.1 feat. ROOM FULL OF RECORDS KICK OFF PARTY@eleven
6.20.Wed. Aoyama Tunnel/Tokyo
6.29.Fri. G6 at Taipei

ene Europe Tour 2012
with THE BACKWOODS(aka DJ KENT/Force of Nature)
7.19.Thu. Guimaraes / Portugal
7.20.Fri. LUX Fragil / Lisbon / Portugal
7.21.Sat. Sunstream(Boat) / Lisbon / Portugal
7.27.Fri. Dalston Superstore / London / UK
7.28.Sat. City Music Hall / Newcastle / UK
8.3.Fri. TBA / Istanbul / Turkey
8.4.Sat. TBA / Helsinki / Finland
8.10.Fri. TBA / Moscow / Russia
8.11.Sat. Loftus Hall / Berlin / Germany

ボム10 NOW.


1
Cos/Mes - Sadistic EP♯2 - FUNIKI ENE

2
Hatchback - Main County EP - Adult Contemporary

3
Iori - NEXUS - Bitta(Album)

4
Kaoru Inoue - Ground Rhythm(The Backwoods Remix) - SEEDS AND GROUND

5
Phreek Plus One - La Spirale(Justin Vandervolgen Remix) - Internasjonal

6
Still Going - Work That Shit Party - Still Going Records

7
Soft Rocks - The Revenge of Soft Rocks - ESP Institute(Album)

8
The Backwoods - Flying Bugz(Kaoru Inoue Remix) - ene

9
The Backwoods - Cloud Nine(The Stallions Remix) - ENESP

10
Windsurf - Weird Energy(9dw Remix) - catune

5ive (cos/mes) - ele-king

【スケジュール】
https://underground.jp/
https://soundcloud.com/cosmes
Schedule
6.9 (Sat) Oath 7th Anniversary Day2 @Oath
6.15 (Fri) ENESP No.1 feat. ROOM FULL OF RECORDS KICK OFF PARTY@eleven
6.28 (Thu) We Here Now @seco

Every Wednesday Chida&5ive @Aoyama Tunnel May2012 Chart


1
Reynold - Coolin - Eintakt

2
Still Going - D117 - Still Going Records

3
Jonsson/Alter - Mod Mixes - Kontra Musik

4
Pharaohs - Flutter & Moon - 100% Silk

5
Anthony Naples - Mad Disrespect EP - Mister Saturday Night

6
Uku Kuut - Vision Of Estonia - Peoples Potential Unlimited

7
Cos/Mes - Sadistic EP♯2 - FUNIKI ENE

8
The Backwoods - Awakening (Cos/Mes Morikawa Remix) - ENESP

9
Soft Rocks - Little Lights (Cos/Mes Remix) - ESP Institute

10
Rune Lindbaek feat Kurt Maloo - Wonder (Cos/Mes Remix) - Drum Island

田我流 - ele-king

枯死していく風景のなかで 文:竹内正太郎

田我流
B級映画のように2

Mary Joy Recordings

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 序盤からオーヴァー・ペース気味のライヴ・パフォーマンス、だが一向に止まらないラップ、次から次へと吐き出される言葉、語られる思い、求めてやまないオーディエンス、 DJが落とす雷か発破音のようなビート......5月4日27時、私は渋谷〈Glad〉にいた。終盤、バースが丸ごと吹っ飛ぶほどの充実した消耗の中で、ますます発熱していくフロアをふと見渡すと、前列の方にいた、メガネをかけた同世代くらいの女性が目を引いた。凡庸な観察をすれば......彼女は、およそヒップホップを聴くタイプの女性には見えなかった(客観的に言って、筆者もそうだろう)。しかし、男性陣のフィジカルなモッシュのすぐ後ろで自由に、口元に微笑みを浮かべながら、いかにも伸び伸びと踊る彼女は、ヒップホップのビートと、パワフルなラップを切実に欲していたように見えた。言わば彼女は、会場全体のノリや、ラッパーの意図的な煽りとは無関係のレベルで、ただ自分自身のために、自らの人生のために踊っていたのだと思う。本人が喜ぶ形容ではないかもしれないが、その踊りはとても......そう、とても美しかった(誰が彼女からダンスを奪うのか?)。

 インディペンデント・ヒップホップ・イヴェント、〈INNOVATION)〉のオーガナイズ。無料での入場条件が事前に告知・ツイートされ、実質フリー・パーティのようになったイヴェントだ、何が彼女をあの会場に呼んだのかはわからない。だがやはり、田我流その人が呼んだのだと思う。「いま日本語ラップでこんなに盛り上がるライヴってねーんじゃねえの?」――ヤング・Gがそう煽るように、会場内は強固な空気が支配していた。だがそれは、映画『サウダーヂ』(富田克也監督)で田我流らが演じたアーミー・ヴィレッジが少しずつ巻き込まれたような、誰かを排除するための強固さではない。「ここにいる全員が原発反対ってことはないと思うし、それでいいと思う」――彼は震災後のディスコミュニケーションに、言わばより大きな寛容さをもって対峙しようとしていた。「未来なんかねえ(No-Future)」というパンク・ロックの逆説的な態度があるが、田我流は未来の変化を切望し、そのために言葉の最短距離を選ぶ。 SNSが包囲する諸縁に尽くすことで、個人的な幸福をある程度は堅守できるような時代にあっても、放置した未来がいまより悪くなるというのなら、彼はただまっすぐに声を上げるのだ。

下らねーシーンより目の前の危機
国は民を守らねー悪魔は無慈悲
今なら見える何を成すべきか
今なら見えるだろ? 何が必要か
"Resurrection"

 音楽的には、本作『 B級映画のように2』は総合度の高い作品である。ヤング・Gの作曲とプロデュースは、トラックとしてはサンプリング・ベースからバンド演奏まで、そして趣向としてはサウス・アレンジから中南米情緒まで、というように、本作にオムニバス作品ほどのふり幅を与えている。だが、前作『作品集 JUST』(2008 )と本作を重ね、透かして見てみると、そこにはやはり、主題という点でも大きな膨らみが見受けられる。ごく抽象的に言えば、富田が『サウダーヂ』で点描し、忌野清志郎がかつて歌ったバラバラ、言わば剥き出しのディスコミュニケーションと、田我流には向き合う準備があるのだ。

 さて、こういう典型の物言いをすると、反発や失笑があるだろうが、言わせてもらう。田我流は基本的には地方都市のレプリゼンターである。山梨県旧一宮町という、実に「見えにくい」場所の告発者として、彼はそもそもマイクを握っている。例えば、市町村合併、 TSUTAYA、BOOK-OFF 、ドン・キホーテ、乱立するショッピング・モール、大量の車を吸い込むパチンコ屋、閉ざされるシャッター、客よりもキャッチが多い夜の繁華街、何をするでもなく駅前にたむろするヤンキー......現在の渋谷を細かく因数分解したような繁栄の断片が、いま地方都市にはなし崩しにばら撒かれている。シネマテークたかさき( https://takasaki-cc.jp/)で『サウダーヂ』を観た後、私は人通りのない夜の高崎市が醸す映画世界との既視感で完全にバッド・トリップしていた(目の前をチープな単車が騒音をまき散らして走り去る......)。田我流はいち生活者として、そうした類型的な地方都市の退屈さを否定しないが、『サウダーヂ』での主演(あるいは 3.11の経験)は、その個人的な回路から、その背後に潜むより大きな社会圏へと接触していくための経験だったと言える。

 そして、この『 B級映画のように2』は、田我流というラッパーの二律背反するモチベーションを反映した複雑な作品でもある(それはブックレットの巻頭言としても綴られている)。 stillichimiyaを逆フィーチャーした"やべ~勢いですげー盛り上がる"を、仮に表題どおりの乱痴気騒ぎとするなら、インダストリアル・ロック調の"ロンリー"の深刻さは同一人物とは思えないほどの距離を跨いでいる(実際、田我流は声色をかなり使い分けるラッパーでもある)。現在分裂中のSIMI LAB から3人が参加した"ハッピーゲーム"はサラリーマン社会の緩やかな風刺。アルバム冒頭の"パニックゲーム"は、もはやナイーブな正義がいっさい成り立たないという、映画『ダークナイト』(2008)が抱え込んだ帝国の苦悩を楽曲内に移植しつつ、ヒップホップの戦闘性の中で愉快犯を気取るが、 ECD と組んだプロテスト・ラップ" Straight outta 138"ではその戦闘性を外に向けている。敗戦の象徴、世界戦争のアイコン、そうした核を平和的/科学的に克服しようとする二十世紀的(成長願望的)な想像力に対して、ハッキリとその有効期限切れを宣告する。某昭和歌謡曲からバトンを一方的に受け取る"あの鐘を鳴らすのは、、俺"は、分厚いシンセが高揚するヒップホップのチャンピオン・ソングだが、さらに深く掘り下げていくと、物語は"夜に唄えば"の内省に行き当たる。ひとりのヒーローとデカい愛ではなく、無数の小さな愛、その孤独な誠実さを想って、アルバムは終幕する。

これ以上は嘘はいらない 捨てよう
手探りで別の道をさ 探そう
きっと何かが変わりだす そっと
きっと何かが変わりだす そっと
"夜に唄えば"

 3.11後の「急速に失われていく社会」と、 3.11以前から「緩やかに失われていた社会」が互いに浸食し合っていく、 2012年というこの微妙なポイントで、実際的、物理的、行政的な復興の他に、希望はどのようにして回復しうるのか? そう、緩慢かつ急速に枯死していくこの風景のなかで――。田我流が立ち上げた問題意識はたぶん、そのようなものだと思う。結局のところ、アートは問題提起性以上のものを提出できるのだろうか? 教育に対する具体的な言及があるとはいえ、本作も基本的には問題提起役に徹している、それこそ爆弾魔のように。「たまに思うよこの世は地獄で」"夜に唄えば"、田我流はだが、そこをどうにかして破りたがっているように見える。彼が操守に生きるというのなら、それは長い戦いになるだろう。ボーナス・トラック"教訓・"(加川良、 1971)のカヴァーは、希望を語ろうとすれば摩耗することがあまりにもわかり切った時代に、それでもストラグルすることを選んだ人たちに対する彼の優しさだろうか。

 ここでいちど、冷静にピンを打つなら、ほぼすべてのMCで反射的・爆発的に盛り上がるあの夜のライヴの非日常的な一体感には、少しばかり危うさを感じたのも事実だ。そこでは、このアルバムの抱える複雑な感情が、良くも悪くも吹っ飛ばされていたように思たのだ。やや欄外になるが、すでに17万再生を超えている"ゆれる( EVISBEATS feat. 田我流)"のミュージック・ヴィデオ、その4分43秒過ぎが秀逸だ。ゼロ年代、前野健太が「だれかのいとなみ/ぼくはしらない」"だれかの"と歌った、断絶された他者への想像力を、彼らは再び強く掻き立てている。日本語ラップという文化圏の外側、その圏外に暮らす人たちとの終わらない対話にこそ、田我流の目指す未来はあるのだと思う。私が期待するのはその一点だ。例えば、地方の片隅から都市のざわめきに耳を傾けること。異なる物語を生きる人びとに、届くかわからない手紙を出し続けること。繋がりの時代におけるディスコミュニケーションに、より大きな寛容さで挑み続けること。田我流の表情を見ていると、何だか前向きな予感さえしてしまう。これは何かの達成ではないが、少なくとも何かの始点、辛抱強い再出発だ。そう、多義的な作品集『 B級映画のように2』は、決定的に変化したはずの、だが驚くほど変わらないこの時代に、どこかにいるハズの仲間(それは地球の裏側にしかいないかもしれない)を探して強くもがいている。底知れぬ分断、バラバラ、あるいは泥の河の底で――。


文:竹内正太郎

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ティス・イズ・ア・レベル・ミュージック 文:中里 友

田我流
B級映画のように2

Mary Joy Recordings

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無理っていっそ言っちまいな
もうダメって認めて行くぜ、一から
"Straight out 138"

 昨年夏に公開されてから実に長いあいだロングランを続けている映画『サウダーヂ』。東京はGWの渋谷オーディトリウムでのアンコール上映最終回をもって一応の終了を迎えた......のだが、この回は早々に完売、遅れて観に行った僕は2時間半強、立ち見するハメに......(7月より再度上映する予定)。知らない人のために簡単に記しておくと、『サウダーヂ』は、富田克也監督によって、地方都市・山梨県甲府市を舞台に生活を送る日雇い労働者や移民を描いた作品で、登場人物は皆ここではないどこかに叶わない夢を託し、心の郷愁を求めている。

 そんな『サウダーヂ』でもひときわ存在感のある演技が素晴らしかった、田我流の『B級映画のように2』について。率直に言うと、僕は震災以降というタームの日本語ラップ作品のなかでは、今作は重要なコンセプトを持った作品だと思う。映画主演を経たことは彼に大きなインスピレーションを与えたらしく、トレーラーやらタイトルもそのものズバリで、物語性のある作品構造を持ち、同時に批評的ともいえる。B級という考え方やセンスもヒップホップと親和性は高く、これも重要なポイントと言えるかもしれない。

 コンセプトは何かと言えば、「自分殺し」だ。社会や周囲との対立や屹立を描くとともに、自分の弱さ――それまで国にお任せ、無関心で突き通していたのが3.11以降、初めて命が危険に晒されることによって露わになった自分たちの愚鈍さ、無力感のようでもあって......これは彼のインタヴューでも確認できるのだけど、彼は本作をつくることで、なかばセラピーのような浄化作用を自身にもたらしたようだ。
 本作のちょうど中間に並ぶ楽曲は、後半にかけて展開されるカタルシスを生むための重要な役目を果たしている。グロテスクな描写が印象的な"ロンリー"、実際に「自分殺し」を決行する"Resurrection(復活)"、そして"愛のテーマ"だ。これらの並びは、ある種の苦難を経験したからこそ表現できる内容だ。
 例えば"Straight out 138"。自身をアナーキストと称し、かつて「言う事聞くよなヤツらじゃないぞ」とラップしていたECDが、具体的な目的を持った反原発デモを継続中の現在では「言う事聞かせる番だ、オレたちが」とラップしていることにも言える(2月20日に行われた経産省前原発再稼働抗議で、ECDはこのバースをラップした)。「自分殺し」とは何なのか。言い換えて言うならば、まずは「自分を認めること」なのだということを田我流は強調し、繰り返す。冒頭の一節もそのなかのひとつだ。

 こうしたテーマを説得力をもって聴かせるのは難しい。たんに言葉を乗せるだけでは説教じみてしまうし、メタファーもときとしてメッセージを薄めてしまう。そこを『サウダーヂ』で天野猛という微妙な役柄を演じきった彼が、自らを自作自演し、エモーショナルにまとめあげたところに、彼のアーティストとしての地力を感じる。
 同時に、彼はレベル・ミュージックとしてのヒップホップの可能性を3.11から1年を経たいま、再提起している(この部分においてはTHA BLUE HERBの最新作にも同じことを感じ得たのだけど)。今作において言うならば、"Resurrection"を経たからこそ、"あの鐘を鳴らすのは、、俺"は感動的なクライマックスとなっている。貧しさのなかから生まれて隆盛を極めたヒップホップ・カルチャーと自分を重ね合わせながら、「ヒップホップにはやっぱ栄光が似合う」と高らかに歌うラインに泣けてくるのも、その曲が表現している葛藤があったからこそだ。

 本作にはひとつ仕掛けがある。それは隠しトラックとして収録されている加川良の代表曲なプロテスト・ソング"教訓I"のカヴァーだ。これはボーナストラックながら、田我流という表現者の本質を掴むキモだと思っていて、あくまで現実から目をそむけずに理想を掲げる本編を補完するかのように、「死んで神と言われるよりも/生きてバカと呼ばれましょうヨネ/きれいごと ならべられた時も/この命 捨てないようにネ/青くなって しりごみなさい/にげなさい かくれなさい」と、逃避もひとつの手段だとしっかり意見し、バランスをとっている。楽曲と彼の歌声とが素晴らしくマッチしていて、ブルージーで味わい深い曲に仕上がっている。
 賞味50分、カオスを経てネガポジ逆転、自分自身に戻るという流れをもった本作は、ひとつのストーリーテリングとしても素晴らしく、社会的関心を高めることの契機としても、僕は評価したい。大きな岐路に立たされている僕たちが聴くべき、エモーショナルで、清々しく、美しいアルバムだ。


文:中里 友

Shop Chart


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Ruf Kutz

Ruf Kutz Ruf Kutz #5 Ruf Kutz / UK / 2012/5/31 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!LTD.250pcs.!!絶好調<RUF KUTZ>第5弾!こちらシリーズ史上最高傑作なのでは・・

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Kenny Dixon Jr

Kenny Dixon Jr Ultra Rare Jan Remixes & Edits 3 Unknown / FRA / 2012/5/30 »COMMENT GET MUSIC
入手困難なMOODYMANNレア・ワークスをコンパイルしたMOODYMANN公認と思われる「ULTRA RARE JAN REMIXES & EDITS」第3弾!今回も垂涎級の極上レア・トラックが並びます。謎の初アナログ化トラックも!?

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Craig Huckaby

Craig Huckaby Black Music / Child Of The Sun Sound Signature / US / 2012/5/23 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!<SOUND SIGNATURE>新作はあのMIKE HUCKABYの実兄CRAIG HUCKABYにフォーカスした興味深い一枚。黒人音楽愛に満ちたその名も"BLACK MUSIC"の初アナログ化&PIRAHNAHEADとの共作"CHILDREN OF THE SUN"をカップリング!

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J Dilla

J Dilla Jay Dee's Revenge / Birthright Ruff Draft / US / 2012/5/31 »COMMENT GET MUSIC
間もなくリリースされるJ DILLA未発表音源を集めたニューアルバム「REBIRTH OF DETROIT」から先行10"シングル!リミテッド・クリアヴァイナル!

5

Mental Remedy feat. Carlos Roberto

Mental Remedy feat. Carlos Roberto Children From Bahia The Remixes Sacred Rhythm Music / US / 2012/5/20 »COMMENT GET MUSIC
JOE CLAUSSELLバンド=MENTAL REMEDYによる極上ラテン・フュージョン・ハウス!アコースティックなオリジナルは勿論、密林アマゾンを駆け抜けるB面テイクも◎

6

V.A.

V.A. Deep Classics Amour / FRA / 2012/5/30 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!第1弾/2弾共に絶好調の注目新興レーベル<AMOUR>第3弾!"LOVE & HAPPINESS"使いのA-1を筆頭に5 KING'S a.k.a. MR. K ALEXI SHELBY、DJ AAKMAELらによる極上ハウス・トラック搭載。

7

Nick Sole

Nick Sole Flower Soil Mojuba / GER / 2012/5/30 »COMMENT GET MUSIC
<MOJUBA>看板NICK SOLE新作!ダビーな陶酔感に包まるメディテーショナル・スロー・トラック"MISSION OF LOVE"◎

8

Will Sessions

Will Sessions True Story / Dub Rock Funk Night / US / 2012/5/30 »COMMENT GET MUSIC
BLACK MILKインスト・カヴァーにて恐らくキャリア初(?)となるレゲエ/ダブ・アプローチの"DUB ROCK"!USのヒップホップ/生音ファンクなグッド・レーベル<FUNK NIGHT>から主軸WILL SESSIONS新曲カップリング7"。

9

Girls We Like / D Bo

Girls We Like / D Bo The Do-Over Vol.4 The Do-Over / US / 2012/5/17 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!上質ビートダウンをカップリングした話題作。LAのサンデーアフタヌーン・パーティー代表格「DO-OVER」より派生したアナログ・ レーベル第4弾!

10

Los Miticos Del Ritmo

Los Miticos Del Ritmo Los Miticos Del Ritmo Soundway / UK / 2012/5/11 »COMMENT GET MUSIC
QUANTIC指揮の元、現地凄腕ミュージシャンからなる"QUANTICと神話の打楽器隊"、待望のフル・アルバム!伝統的な演奏形態を踏襲し つつも豊潤な音楽観と洗練のアレンジでアップデートした2012年型ハイブリッド・クンビア極上盤◎

Chart by JET SET 2012.06.04 - ele-king

Shop Chart


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Calm Presents K.F.

Calm Presents K.F. Dawn Ep (Music Conception) »COMMENT GET MUSIC
4月発売のCalm Presents K.F.名義でのアルバム『From Dusk Till Dawn』からシングル・カット第二弾。本作もハーフスピード・カッティングを施した珠玉の一品です。

2

Beck

Beck I Just Started Hating Some People Today (Third Man) »COMMENT GET MUSIC
Jack WhiteのThird Manからの限定7インチ!!

3

Pacific Horizons

Pacific Horizons Re-Illumination Series Volume 1 (Pacific Wizard Foundation) »COMMENT GET MUSIC
Laのニュー・バレアリック人気ユニット、Pacific Horizonsによる2011年リリースの最新オリジナル・トラック2作をDj Cosmo & Yam Who?、Split Secsがリミックス。

4

Still Going

Still Going Walk That Shit Party (Still Going) »COMMENT GET MUSIC
Eric Duncan(Rub N Tug) x Liv Spencer(House Of House)の最強コンビStill Goingが手掛ける注目のレーベル第2弾作品!

5

Keep Shelly In Athens

Keep Shelly In Athens In Love With Dusk / Our Own Dream (Forest Family) »COMMENT GET MUSIC
チルウェイヴ~エレクトロニカ~ダウンビートの枠を超えるサウンドで絶大な人気を博すギリシアの男女デュオ。2枚のレアEpがForest Familyから嬉しすぎる再登場!!

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Sweatson Klank

Sweatson Klank Elevate Me (Project Mooncircle) »COMMENT GET MUSIC
L.a.名門Alpha Pupからのリリースでもお馴染みTakeによるダブステップ通過以降の新プロジェクトSweatson Klank第1弾。当店大人気Project Mooncircleからの超話題作です!!

7

King Midas Sound

King Midas Sound Without You (Hyperdub) »COMMENT GET MUSIC
レジェンドThe BugことKevin Martinと日本人女性ヴォーカルHitomiのBlack Chowコンビに詩人のRoger Robinsonを加えた人気トリオの楽曲を、これ以上ない豪華メンバーが仕立て直した超話題盤です!!

8

Ital / Magic Touch

Ital / Magic Touch Anywhere You Want Me / From A Dream (100% Silk) »COMMENT GET MUSIC
100% Silkを代表する2人がソロで初顔合わせ。それぞれのオリジナルとお互いのリミックスを披露。どちらも気合の入りまくったミュータント・ディスコです!!

9

Arsenal

Arsenal One Day At A Time Ep (Play Out!) »COMMENT GET MUSIC
Hendrik Willemyns & John Roanからなるブリュッセルの古株ユニット、Arsenalによる昨年リリースの4thアルバム『Lokemo』から豪華リミックス・カットが新着!!

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Lord Of The Isles

Lord Of The Isles Unthank003 (Unthank) »COMMENT GET MUSIC
Eneからリリースされた"Pacific Affinity"でも話題となったスコティッシュ・プロデューサーLord Of The Islesによる新作10インチ。

casette player chillout - ele-king

 先日、千駄木の養源寺で開かれたコンサート、「LIVE AT YOUGENJI」において最安値のテレコとカセットテープが大活躍したように、もっとも手頃で安価なこの再生装置とメディアは、デジタル全盛の今日に再発見され続けている。福岡のカセットテープ・レーベルの〈ダエン〉はこの度、「カセットテープをMP3に変換するプレーヤー」というUSB付カセットプレーヤーを発売した。その名も、「USB CASSETTE PLAYER "CHILL OUT"」。税込みの3980円で、限定100台。ステッカー、付属音源として「duenn feat NYANTORA」も付きます。カセットをUSBに取り込めるので、デジタル音源としても楽しめるわけです! これは嬉しいですね!
 

■商品概要
・サイズ 幅110×奥行き77×高さ30(mm) 重量 214g
・対応OS Windows XP / Vista / 7 電源 USB給電 電池駆動(単三乾電池×2) インターフェース USB2.0
・付属品 本体、日本語マニュアル、アプリケーションCD、USBケーブル USBケーブル長 80cm
・オーディオ変換フォーマット wav,mp3,wma (128kbps) *ご注意 単三乾電池は付属しません。別途ご用意ください。

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