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Album Reviews

Sylvester Anfang II

Sylvester Anfang II

Untitled

Latitude

倉本 諒      Mar 29,2012 UP

 やはりホフマン先生の代物はいざという時のために取って置くべきだった。
シルヴェスター・アンファング II(Sylvester Anfang II)が2枚連続でリリースを続けたために僕は後悔した。
 自身をフューネラル・フォークと形容し、前身シルヴェスター・アンファングとして活動を開始した彼らはフレミッシュ帝国時代のアイコンとKKKのマスク、60'sホラー・ポルノをグシャグシャにしたような(野田編集長いわくエコエコアザラクのような)ドローン・ジャムを演奏してきた。いつの間にやらシルヴェスター・アンファング IIとアモン・デュール II以外連想させない改名を機に、現在のようなクラウト・ジャム・バンドへと変貌していたのだが。
 ベア・ボーン・レイ・ロウ(Bear Bones Lay Low)、イグナッツ(Ignatz)、キス・ジ・アヌス・オブ・ブラック・キャッと( Kiss the Anus of Black Cat)とともにベルギーのゲントを中心とするアーティストをフォーカスした自主制作ドキュメンタリー映画『Drone Volk』はN、HK的な作りながらも小さなコミュニティの素のミュージシャンたちを映していて、なかなかおもしろかった。劇中、中心メンバーのヘルヴェート(Hellvete)ことグレンが「すべては楽しむためにあるんだ」と言った言葉からも伺い知れるが、彼らのすべてのタブーも笑い飛ばすフリー・ジャム・コミュニティーというヒッピーの夢のような姿勢は、結成当初から現代まで一貫している。彼らの近年のヨーロッパのアンダーグラウンドにおける活躍のひとつの到達点とも言える期間限定スタジオテイク・シリーズである〈Latitude〉からのリリースは、そうそうたるメンツと比べてもまったく聴き劣りしない。

 そもそもベルギーやオランダはいったい何なんだろう。クラーク(Kraak)やウルトラ・エクゼマ(Ultra Eczema)などを中心とするエクスペリメンタルやノイズ・ミュージックといったアンダーグラウンド文化が市民権を得ているかと思わせる。近年の日本において良質なジャム・バンドが生まれてこない要因のひとつとして、規格化されたレディメイドの都市機構のなかでのバンド活動があげられるが、ヨーロッパにおけるスクワット文化はまだまだこれから僕らの国で形成されても不思議ではないだろう。地震も恐いし、そういった新たなムーヴメントが生まれることを切に望むよとボング片手にグチりながら聴いたこのレコード。
 5つの摩訶不思議ジャムは心の師であるリアリー先生の言葉とともにすべての快楽主義者に捧げられるだろう。Turn on, Tune in, Drop out.

倉本 諒