「Not Waving」と一致するもの

KABUTO(LAIR) - ele-king

LAIR CHART


1
Sit - Year 3000 - Jesus loved you

2
Red Rack'em - How I program - Bergerac

3
Shakarchi & Straneus - Macedonia - Geography

4
Rondenion - In one's mind - Bosconi extra

5
Rills - Peep show - All inn

6
Signor Andreoni - Soul Burner - T-Bet

7
Lowtec - Use Me(Laid mix) - Laid

8
TT ENSEMBLE - Fiul Risiptor - Yojik ConCon

9
Jus-ed - Shit - Underground Quality

10
Delano smith - I Fly - Undertones

瀬尾リンタロウ(探心音) - ele-king

探心音クラシックス


1
Floating Points - Shark Chase - EGLO

2
Blagger - Strange Behavior (Dj Koze aka Swahimi Remix) - Perspectiv

3
DJ Sprinkles - Masturjakor Dub - mule musiq

4
Khixbrrr - Fairies - Northern General

5
OZKA - Intel Dub - Mowar

6
Cultural Vibes - Ma foom Bey - Easy Street

7
Namlook - Subharmonic Atoms - Macro

8
Four Tet - Love Cry - Domino

9
Blackalicious - Make You Feel That Way - MCA

10
Monty Alexander - Monticello - MPS

TETSUJI TANAKA - ele-king

ドラムンベース12"/その他


1
BROOKES BROTHERS - Last Night -BREAKBEAT KAOS

2
PROTOTYPES - Need The Love - INFRARED

3
SEBA - Keep Me Waiting - 31 RECORDS

4
METRIK - T-1000 - VIPER

5
METRIK - Arrival - VIPER

6
CAMO & KROOKED- Without You - BREAKBEAT KAOS

7
DJ VADIM - Terrorist(PROTOTYPES RMX) - NINJA TUNE

8
FURLONGE - This Love - VIPER

9
CUTLINE - Die For You(SHOCKONE RMX) - NEVER SAY DIE

10
MUFFLER - Mindgames(DABS RMX)

UPCOMING EVENTS
11/17 (wed) Shibuya FM 18:00~19:00 MIX SHOW
11/20 (sat) DBS "Bristol Bass" at unit "14th anniversary" ft. DJ KRUST/RSD
12/4 (sat) Judgement Day at plastic theater "Sapporo DJ Tour"

ele-king - ele-king

ele-king Chart


1
Darkstar - North - Hyperdub

2
Terror Danjah - Undeniable - Hyperdub

3
Lone - Emerald Fantasy Tracks - Magic Wire

4
Robot Koch - Songs For Trees And Cyborgs - Project:Mooncircle

5
Robert Wyatt/Ros Stephen/Gilad - For the Ghosts Within -Domino

6
Cornelius - Fantasma - Warner Japan

7
Girls - Brocken Dream Club - True Panther

8
Colored Mushroom And The Medicine Rocks - Wagon

9
Magnetic Man - Magnetic Man - Sony Music

10
Mount Kimbie - Crooks & Lovers - Hotflush Recordings

Magnetic Man - ele-king

 ミズ・ダイナマイトのラップをフィーチャーした"ファイヤー"を聴いた瞬間から、手は震え、舌は乾き、胸の鼓動は激しさを増し......「マグネティック・マン、最高!」と叫んでいる。家のなかで......。
 これを聴いていると、久しぶりにクラブに行きたくなる。音楽から週末の夜の匂いがしてくるのだ。猥雑で、エロティックで、少しばかり危険で、激しい歓声が聞こえてくる。レイヴ・カルチャーの懐かしい感覚は、しかし彼らが作るダブステップ/グライム・サウンドによって掻き消される。
 完璧なアルバムではない。冗長な曲もあるし、お決まりのダーク・ストリングス系の曲など要らないと思う。それでもずば抜けて良い曲が不満を吹き飛ばす。スクリーム、ベンガ、アートワークの3人によるライヴ・プロジェクト、マグネティック・マンのデビュー・アルバムは、エネルギッシュでストレートな、シンプルで大迫力のダンス・ミュージックである。

 いま、UKは20年振りにダンスの季節の真っ直中にいる。インディ・キッズはライヴハウスに背を向けてクラブに押し寄せ、ロックのシングルにはダブステップやファンキーやウォンキーのリミキサーが名を連ねる。次から次へと新しいDJ、新しいプロデューサーが現れている。
 マグネティック・マンのデビューを促したのはそうした時代の風向きだが、このプロジェクトにはある種批判めいた声もあった。まさに「20年前と同じことが起きている」と『ガーディアン』の記者は書いている。アンダーグラウンドの純粋主義者たちは、あからさまに商業主義に臨んでいるこのプロジェクトをよく思っていないという話だ。まあ......僕もどうかと思っていた。スクリームのセカンド・アルバムで充分ではないかと思ったし、アンダーグラウンドにおけるポスト・ダブステップがやたら面白いので、シーンの重鎮3人によるスーパー・プロジェクトという、ハナからヒット狙いのあざとさに引き気味だったのも事実である。が、マグネティック・マンはそんな雑音を尻目に、2010年の夏をキャッチーな"アイ・ニード・エア"で制覇すると(UKチャートで10位)、続いてシングル・カットされたR&Bナンバー"パーフェクト・ストレンジャー"(16位)によって、クロイドンの地下室から生まれたこの音楽のポップとしての実力をまざまざと見せつけたのである。
 場数を踏んでいる3人だけあって、無闇にベースを鳴らしたりはしない。抑えるところと出すところを心得ているし、その最悪な瞬間でさえも包み込んでしまう、ダブステップを生んだコミュニティのマナーの説得力というモノがある。そしてとくにかく、"ファイヤー"、"アイ・ニード・エア"、"パーフェクト・ストレンジャー"の3曲がずば抜けている(僕と同世代のいい歳した連中には、これらはゴールディーの"インナーシティ・ライフ"の現代版であると言っておきましょう)。お陰様でというか、マグネティック・マンがここまで魅力的なのだから、スルーしていたロスカ(UKファンキーの第一人者)のアルバムもやっぱ聴いてみようかと思い直している。それを聴かずして、2010年を終えてしまうのもアレだし......。三田格も良いって書いているし......。
 
 7年前、ディジー・ラスカルは「ロンドンよ、立ち上がれ!」と言った。マイノリティの就業率が60%を下回るほどの格差社会の生んだグライムからの切なる叫び声である。マグネティック・マンは最近のライヴでこうMCした。「ロンドンよ! ぶっ飛ぶ準備はできてるかい?」
 そこで「イェーイ!」と叫ぶ人が僕は20年前から好きなのである。もっとも、立ち入り禁止の領域からチャート・ヒットまでものにしてしまったサウス・ロンドンの不良がステージいれば、押し黙りながらひとりで踊るなんてこともできないだろう。連中はマナーの悪いクラフトワークではない。これはジャングル、ヒップホップ、R&B、ダンスホール、テクノがごちゃ混ぜになった現代のアーバン・ミュージックであり、要するに、20年振りの高みを迎えているUKダンス・カルチャーからのどでかい一発である。

Haruka (FUTURETERROR) - ele-king

Impulse 10


1
Donato Dozzy & DJ Say - Your Transparent Eyes - Attic Music

2
Blakkat - In This World (Bkat Dtla Dub) - Mild Pitch

3
Space Dimension Controller - BBD Alignment - Royal Oak

4
Andre Zimma feat. Thief - Time Exists In Memories (Slope Dub) - Swedish Brandy

5
Lerosa - Plesso - Ost-Gut-Ton

6
Tiefschwarz - Renix - Classic

7
Dewalta - Eftive - Meander

8
Jacob Korn - Sand - Dolly

9
Sun Electric - Toninas(Fehlman / Meteo RMX) - Shitkatapult

10
Aybee - Ozzie Davis - Deepblak

Hot Warm House and Disco!


1
Giom and Derek Dunbar - Poulet Gauffre Original Mix - Amenti

2
Lenoardus - D.I.S.K.O. - Guesthouse

3
Go Go Bizkitt! - StutterFunk - Deepfunk Records

4
Groove Junkies & Joi Cardwell - What's Freedom (GJ's Classic Vox Mix) - More House

5
Andrew Chiable - Lincoln & Pennsylvania - Salted

6
Blackjoy - Jenny's Disco With Aqueel - Blackjoy

7
Gayle Adams - Baby Don't Make Me Do It - Unidisk

8
Artie Flexs - Sweet Nightfall (Get Up) (Original Mix) - Stilnovo Music

9
Mike Disco - Lifestyles Mark Farina Remix - Full Flavor Music

10
Ed Mazur featuring Alexandra Lojek - It's All About Laron a.k.a. Swan remix - House On The Hill

FUMI SATO - ele-king

最近グサッとキタ新譜&相性の良さそな中古※順不同


1
Seahawks - Omega Beach - Captains Log ('10)

2
Colored Mushroom And The Medicine Rocks -S.T - Wagon ('10)

3
Shackleton Vs. Kasai Allstars - Mukuba Special - Crammed Discs ('10)

4
Discodeine - Falkenberg (Pilooski Edit) - Dark & Lovely ('10)

5
Thierfeldt - S.T - MMR ('86)

6
Magic Aum Gigi - Starring Keiko - Fractal('07)

7
Treats Vol.2 - Session Victim -Retreat ('10)

8
Basso - Basso's EP - Blackdisco ('10)

9
Jolly Kunjapu - I love dancing - CMC'83

10
Julian Babiga - Mbongo Percussion - SafariAmbianence ('84)

Antony & The Johnsons - ele-king

 iPodにはこんなに容量があるのに、聴きたいものがなにひとつ入っていないように感じることがないだろうか。所詮は自分で集め、取り込んだものだから、驚きや偶然というものが生まれにくい。好きなものはたくさん入っていても、未知のものに揺さぶられるということは稀である。私は私のライブラリという世界の中で、いくつかのレイヤーを設けて曲を分類し、必要に応じて呼び出す。自分の限界がiPodの限界である。

 アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの"サンキュー・フォー・ユア・ラヴ"は、そこに途方もない力で押し入ってきた。本作の要といえる曲で、先行EPの表題曲でもある。再生するたびに同じように驚く。もちろん入れたのは自分自身だが、なにか自分ではさばききることのできない異物を取り込んでしまった感触だ。あの控えめな、しかし非常にクリアな音質のピアノのイントロ。冒頭の2拍だけで完全に掴まれてしまう。明るく、深いかなしみのにじむ和音である。アルペジオがいち音ずつ心を切り開く。すぐにヴォーカルが入る。その瞬間に視界の色が一変する。ここまで約1秒の出来事だ。そして何度聴いても同じ鮮度でこの体験がある。アントニー・ハガティは、実にすごい声を持っている。
 「あなたの愛に感謝します。けれど、もうたくさん。もう生きるのはじゅうぶんです」、てっきりそんなふうなことを歌っているのかと思った。「アイ・ウォント・トゥ・サンキュー」の「アイ・ウォント・トゥ」が、「ノー・ワン」とか「ノー・モア」のように聴こえるのである。音声としてもそうだし、アントニー・ハガティの歌い方がそのように感じさせる。しかし、リテラルにはまるでそんな表現はない。「苦しみ、迷い、魂が崩壊したときに、私はあなたの愛に感謝を捧げたい」という内容の、短い詩である。
 アントニーはとても複雑な声を持っている。この世にあって、この世の外(ほか)を請い願う声。同時にそれが叶わないことを知っている声。彼は、クイアな存在として知られている。そもそも「ジョンソンズ」という名称自体が1969年のストーンウォールの暴動の首謀者のひとりとして記憶される、ニューヨークの伝説的なドラッグ・クイーン、マーシャ・P・ジョンソンの名から採られている。彼はジョアンナ・コンスタンティンらとともに前衛的パフォーマンス集団を立ち上げ、活動していた。ニューヨークのアンダーグラウンドなシーンでは注目を浴びる存在であった。マーキュリー・プライズを受賞したセカンド・アルバム『アイ・アム・ア・バード・ナウ』はもちろんゲイ雑誌からも高い評価を受けているが、遡る2004年にはゲイ映画への出演を果たし、あの美声を披露してもいる。

 ところが、こうした彼の精力的な活動が、彼の孤独を救うものだとは限らないようだ。前作『クライング・ライト』収録の名曲"アナザー・ワールド"は、「私にはどこかほかの場所、ほかの世界が必要だ」という歌い出しとは矛盾するように、この世界への執着がつづられている。この世を離れたがりつつも、この世に留まりたいのだ。
 そんな彼の分裂した思いを聴いていると、もしかするとほんとに世界は残酷な場所なのかもしれないと思わせられもする。あの泣いているようなヴィブラート、"サンキュー・フォー・ユア・ラヴ"は、間違いなく新作『スワンライツ』の白眉である。"サンキュー・フォー・ユア・ラヴ"......「私はあなたの愛に感謝を捧げたい」というこの一行は、迷いつづけても、世界が壊れてしまっても、そして他の世界を見つけたとしても、唯一約束される行為である。曲は速度を増し、ホーンが加わり、いよいよ衝迫をもって「サンキュー」が叫ばれる。なまやさしい「サンキュー」ではない。ほとんど「サンキュー」ですらない。勤め先の店でこの曲をかけると、店がしんと静まる。いろいろな音楽的嗜好を持った人びとが、一様に耳を奪われているのがわかる。曲が終わると、時間が解凍されたように人びとの気配と物音が戻ってくる。

 いずれの曲も室内楽風のアレンジが施されている。古典調の"ゴースト"は演奏自体もブリリアントだ。また、アイスランド語で歌われるビョークとのデュエット曲もよい。ハーキュリー・アンド・ラヴ・アフェアーやルー・リードとの仕事でも際立っていたが、誰かと一緒に歌うとアントニーのセクシャルな魅力はさらに増してくるようなのだ。

PeaceMusicFesta!辺野古2010 - ele-king

 10月29日の夜、〈リキッドルーム〉でのSEEDAのライヴを観終わったあと、興奮冷めやらぬまま急いで家に帰り、荷造りをして、慌しく早朝の飛行機に乗って沖縄に向かった。那覇空港に着くと、僕はまずパーカーを脱ぎ、Tシャツになった。沖縄に来るのは5年ぶりと久々だが、陽光の眩しさと南国の熱気には、否応なく気持ちを上げられる。睡眠不足の疲労などあっという間に吹き飛んでしまった。さあ、ビールでも飲みながら、流浪のロックンローラー、ヒデヨヴィッチ上杉の借りたレンタカーで、いざ辺野古へ! と言っても、ただ浮かれているわけにはいかない。今回の、4泊5日の旅の目的ははっきりしている。やることはたくさんある。そのひとつがここでレポートする〈PeaceMusicFesta!辺野古2010〉(以下、PMF)の取材である。

 PMFについて簡単に説明しておこう。今年で5回目を迎えるこの音楽フェスは、2006年に沖縄のレゲエ・ミュージシャンがスタートさせ、2007年からソウル・フラワー・ユニオンの伊丹英子と沖縄のミクスチャー・ロック・バンド、DUTY FREE SHOPP.の知花竜海が実行委員に加わり、規模を拡大していく。昨年は宜野湾市で開かれ、UAや加藤登紀子やオゾマトリらが出演している。

 今年の会場は、沖縄本島北部の東海岸に位置する名護市の辺野古である。周知のとおり、普天間飛行場の移設候補地だ。小さな漁村のすぐ隣には、米軍の海兵隊基地、キャンプ・シュワブがある。会場となったビーチには、驚くほど低い、乗り越えようと思えば乗り越えられるほどの有刺鉄線が張られ、そこから向こうはアメリカ領だ。この国でいまもっとも政治的にデリケートな集落のひとつである。会場近くの電柱には、幸福実現党による「賛成!! 辺野古移設」のポスターの下にPMFの案内が貼ってあって思わず立ち竦んでしまったが......それはひとつの例としても、地元住民のなかに基地移設をめぐって賛成派と反対派が混在する一筋縄ではいかない土地である。そこで平和を訴える音楽フェスを果敢にも開催してしまう気概にまず率直に恐れ入る。しかも、今回の出演者はフェスのコンセプトに賛同して基本的に渡航費含めすべて自腹だったという。
 実際に現地で、「基地の移設の問題が先にあって、音楽は二の次でしょ」という主張を僕に力説する若い女性と出会った。少なくない時間と情熱をこの問題の解決のために傾け、最前線である辺野古の浜辺で座り込みをしたり、辺野古移設反対を訴えている人たちの切実さを考えれば、(それがすべての意見ではないにしろ)当然の主張だろう。それはリアルな政治の話である。僕はその話を真剣に聞き、受け止めていた。しかし、心のなかで、「音楽にしかできないことがあると信じているから東京からここまで来ているんだよ」と呟いていた。「とにかく観てみようよ、彼らのライヴを!」ということなのだ。ここで伝えたいのは、PMFでいくつもの素晴らしいライヴがくり広げられたということである。そう、PMFは熱気に満ちた素晴らしいフェスだったのだ!

 台風も過ぎ去り、天候にも恵まれた1日目。まず驚いたのが、ステージの音響設備の充実ぶりと、屋台や本部やPAブースに使われているテントに沖縄各地の地名が記されていたことだ。おそらくあちこちからかき集めたのだろう。そして入場料が安いこと。大人で前売り2500円、当日3000円、高校生は前売り1000円、当日1500円、中学生以下は無料である。こういうところから主催側の熱意とインディペンデント・スピリットは伝わってくるものだ。
 この日の空気を最初に変えたのは、昼の早い時間にアコースティック・ギター1本で登場した元・犬式の三宅洋平だった。彼の虚飾のないストレートなギター・プレイとヴォーカルは、まだ人がまばらな会場を静かに扇動していた。フェスの宣言のようなメッセージを勇ましくラップした沖縄のラッパー、カクマクシャカも砂浜の温度を上げていた。1日目のトリのソウル・フラワー・モノノケ・サミットの祝祭的なライヴは老若男女のオーディエンスの期待に文句なしに応えるものだったが、僕にとって最大のハイライトであり、喜ぶべき発見はRUN it to GROUNDという沖縄のスクリーモ・ロック系のガールズ・バンドだった。ギター・ヴォーカルの女性の、地獄の底から発するようなシャウトに、泡盛を飲んで夕涼みをしていた僕はびっくりしてステージに駆け寄った。彼女たちをもっと早く知っていれば、ele-kingの執筆者らと着手している『ゼロ年代の音楽 ビッチフォーク編』(仮)でなんらかの形で紹介したかった。数十分のライヴを観ただけだが、そう言いたくなる特別な何かを感じた。

 ところで、僕がPMFのどのライヴにもっとも注目していたか。その答えは、2日目に登場したMISSION POSSIBLE(THA BLUE HERB×OLIVE OIL×B.I.G. JOE)と七尾旅人のライヴである。残念な話だが、いまだに「音楽と政治を結びつけるな」という野暮な難癖をつけてくる心の狭い音楽リスナーに対しては、「どーも、すいません! 俺は音楽オタクじゃないんでね!」と仕方なく答えるようにしている。まあ、ともあれ、彼らがこの状況、この現場にどのように切り込むのか、どんなパフォーマンスを見せ、どんな音と言葉を発するのかを楽しみにしていた。結論から言うと、彼らのライヴは会場に集まった多くの人が見過ごすことのできないものだった。詳しくはあとで書くが、いまのこの国の音楽シーン......、いや、音楽に"音楽以上の何か"を求めている人びとから信頼されている意味がさらに深く理解できる素晴らしいライヴだった。

 1日目のプログラムが20時過ぎに終わったあと、体の熱が冷めない僕は沖縄市まで足を運び、嘉手納基地の近くにある通称・ゲート通りにくり出すことにした。少し話は横道に逸れてしまうが、その町の夜の猥雑さは凄かった! 車で送ってくれた地元の女性も「外国じゃん!」と驚くほどだった。ハロウィンというのもあって、路上ではど派手な仮装をして酔っぱらった若い米兵らが大騒ぎしていた。爆音のヒップホップに釣られて、ふらっと入ったクラブはさらに異世界だった! 白人、黒人、スパニッシュ、日本人、韓国人らしきグループが入り乱れて、乱痴気騒ぎの真っ只中だった。バー・カウンターにはポールがあって、そこではセクシーな格好をした......というか半裸に近いあられもない姿の日本人の女性たちがポールに食いつくように腰をくねらせ、足の踏み場もないフロアではファンキーな黒人のカップルがエロティックにダンスしているではないか! 目を丸くする僕に、隣に座った常連らしき日本人のお姉さんは「毎週末、これなのよ」と呆れ顔で呟いていたが、そこでかかっていたドレイクやR・ケリーは、間違っても"聴く"ためではなく、もちろん踊るための、もっと言えば、男と女の出会いを演出するボディ・ミュージック以外のなにものでもなかった。
 僕は異文化が衝突することで生まれる乱痴気騒ぎを大いに楽しみ、「これも沖縄の魅力なんだよなぁ」と興奮していた。4、5日いただけでわかったようなことを言うつもりはないが、夜の歓楽街の熱気や息遣いを肌で感じてしまうと、基地の問題が一筋縄ではいかないことにまた別の角度から思いをめぐらしてしまう。"沖縄"や"基地"という単語を聞いたときに、本土の人間は必要以上にびびったり、怯んだりしてはいけない。ポスト・コロニアリズム的観点から真剣に物事を考えることだって大切だけれど、沖縄をロマンティックに語ったり、ナイーヴに受け止めたりするところから離れて、もっと無邪気に考えたり、行動することもときには必要だろう。妖しさ、下品さ、猥雑さがぐちゃぐちゃに混在する悪場所に人間は吸い寄せられ、そこでなにかしらの行動と思索の契機を掴むことだってあるのだ。僕はビールを飲み、屈強な米兵の集団にちょっかいを出されてもめげずに、まあ性懲りもなくそんなようなことを頭の片隅で考えていた。そして深夜、僕は敗残兵よろしく、ひとりゲスト・ハウスに帰って寝たのだった......。

 PMFの初日のステージには、実際に70年代前半のコザ(現・沖縄市)のライヴ・ハウスでベトナム戦争の過酷な戦場に送られる米兵たちを相手に過激なパフォーマンスを展開した、伝説のロック・バンド、コンディション・グリーンの元ヴォーカル、通称・ヒゲのかっちゃん(川満勝弘)が立っていた。南国のジョージ・クリントンのようなワイルドな風貌の彼は、"ホテル・カリフォルニア"のむちゃくちゃな日本語カヴァーを酔狂に演じ、笑いと歓喜の風を運んでいた。あとから考えれば、ヒゲのかっちゃんの年季の入ったトリックスター的な振る舞いも沖縄の混交的なアンダーグラウンド・カルチャーで鍛え上げられたものなのかもしれない。僕は彼を観ていてとても愉快な気持ちになれた。

MISSION POSSIBLEのライヴで会場は最高潮を迎えた。


 そんなこんなで、初日にバカみたいに飲んでしまった僕は、次の朝を二日酔いで迎えた。前日より晴れ渡った天気のなか、夕方まで波と戯れたりしてのんびりと過ごしていた。僕を最初にステージに向かわせたのは、美しくメロウなアコースティック・ギターの調べと夕方の空気を包み込むふくよかなヴォーカルをそっと差し出してくれた直江政広(カーネーション)だった。ああ、なんて素敵な演奏だろう。大それたメッセージなどなかったが、彼の音楽は雄弁に平和への祈りを奏でているように思えた。それまで我慢していたコロナ・ビールを買ってしまった。そこから、沖縄民謡とロックを力強くシェイクする知花竜海×城間竜太、ファンキーでソウルフルなレゲエ・バンドを従えて大御所の貫禄を見せるPAPA-U GEEが、解放的な雰囲気を作り出していく。この時間帯の流れはフェスのひとつのハイライトだった。そして、ここで登場したOLIVE OILのDJが一気に音圧を上げた。

 贔屓目に見なくとも、MISSION POSSIBLEのライヴの注目度は高かった。B.I.G. JOEがステージに勢いよく現れると、そこはもう彼らの独壇場だった。彼は挨拶代わりに自身のドラッグ・ディーラーとしての過去を物語化した"D.D.D. -DRUG DEALER'S DESTINY-"をやった。夕方の黄昏時にこんなハードボイルドな曲からはじめるなんて! しかし、僕の目の前では仮装したジャージ姿の女子高生たちがラップの真似をしながら大騒ぎしているではないか。僕は彼のちょっとした遊び心にニヤニヤしていた。が、B.I.G.JOEが「基地の米兵に届けるつもりでやる」というようなMCから、"WAR IS OVER"を英語でラップすると会場からは大きな歓声が上がった。座り込みの現場で見かけた女性たちも体を揺らし、たしかに声を上げていた。なんというか、それは理屈ぬきに美しい光景だった。そして、ILL-BOSTTINOがステージに登場して、"MISSION POSSIBLE"のファンキーなビートが疾走しはじめると、彼らの凄まじい説得力にやはり圧倒されてしまった。
 THA BLUE HERBのライヴの頃には、砂浜に弧を描くようにその日いちばんの人だかりができ、ひとつの小宇宙が完成していた。普段、ビールや焼酎ばかり飲んでいる俗の極みのような自分が柄にもなく、そんなスピリチュアルな気分に浸ってしまうほどだった。ILL-BOSTTINOは リリックにアレンジを加えながら、"ILL-BEATNIK"や"未来は俺等の手の中"をその場に確実に届く言葉でラップしていた。ILL-BOSTTINOは辺野古でライヴをやることの意味を魂の深いレヴェルで感受して、政治的領域ではなく人間の領域でオーディエンスのひとりひとりに向けて全力投球していた。コモンのソウルフルなトラックを使っていたのも印象的だった。これまで何度かTHA BLUE HERBのライヴを観ているが、それまでにない種類の、崇高な魂の叫びを感じる思いだった。勇敢な愚直さだけが切り拓ける領域とでも言えようか。彼は最後に、「沖縄のことを全世界に伝えてください」とオーディエンスに丁寧な口調で語りかけ、帽子を取り、深々と頭を下げた。そして、拍手の嵐が吹き荒れた。

熱い演奏を繰り広げるソウル・フラワー・ユニオン。

 さすがの七尾旅人も彼らのライヴのあとではやりにくかったんじゃないだろうか。しかし彼は嵐のあとの静けさと暗闇が覆いはじめた海辺の幻想的なシュチュエーションを味方につけて、これまた素晴らしくコズミックなライヴを見せてくれた。僕は喫煙所の椅子に腰掛けて、じっと音に耳を傾けた。七尾旅人は最近ではお馴染みのアコースティック・ギターとサンプラーによるライヴを披露していたが、いつもと違ったのは虫や波や木々の織り成す自然のハーモニーが彼をバックアップしていたことだ。そんななか、七尾旅人は"どんどん季節は流れて"や"Rollin` Rollin`"をやった。どこかエロティックで魅惑的な演奏に多くの人が酔い痴れていた。いつもより冗談も少なかった気がする。彼は多くの言葉を語らなかったように思えた。それで充分だった。その頃には、何か濃密な空気が会場を覆っていた。
 そしてフェスのクライマックス、ソウル・フラワー・ユニオンから沖縄の陽気なサルサ・バンド、KACHIMBA DXへと続く有機的なリズムの渦のなかで、僕はアホみたいに気持ちよくなっていた。ピース系のイヴェントにありがちな、ある種の品行方正な平和の訴えに流れず、最後を情熱的なダンス・ミュージックでぶち上げる精神に僕は共感した。ここでこれ以上あれこれ書くのはとりあえず止めておく。来年もあれば、行きたいと思わせるフェスだった。そう、あそこに集まった1000人近くの人たちはわかっている。PMFにはたしかに音楽のマジックがあったということを――。僕はそのあと、沖縄でやることをやって、飲んで遊んで、心地良い余韻に浸りながら帰路についたのだった。

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