「Beautiful」と一致するもの

Terror Danjah - ele-king

 1992年にURが最初のアルバムを出したとき、たしかに当時『ミュージック・マガジン』のライター(誰だか忘れた)は、「こんなものは黒人音楽ではない」というような調子で酷評していたものだが、そういう人はデラー・デンジャーの音楽にいたっては何と言うのだろう......。耳障りなスネア、キンキンとやかましい電子音、恐怖を煽るオーケストラ、好戦的なベース、ロボットのように早口なラップ、轟くようなコーラス......昨年〈プラネット・ミュー〉から発表された『グリムリンズ』によって広く脚光を浴びることになったグライムの、『NME』いわく"UKベース・ミュージックにおける大いなる影響力"による新作は、〈ハイパーダブ〉からのリリースとなった。『グリムリンズ』の印象的なアートワークで一目瞭然だけれど、これは黒人による音楽だ。アフロ・フューチャリズムの最新型と言えるだろう。

 実はこの原稿を書いている前日の晩、僕はカニエ・ウエストの新作を聴いていた。日本ではカニエと呼ばれ、向こうではウエストと呼ばれているこの男には多くの嫌悪者がいることでも知られている。嫌悪者たちの多くは彼のパーソナリティ(エゴイストで賞が好き)によるところが大きく、それってM.I.A.が富豪の息子と結婚してロサンジェルスの高級住宅地に住んでいることが気にくわないのと同じような......ことでもないがまあ、そこはひとまずおいてくとして......、今回のカニエの新作に関しては例年以上に賛否両論が激しい。例によって『ガーディアン』のレヴューの下に長々と続く読者の投稿を見ているのだけれど、けっこう面白くて目が離せない。いろんな人がいろんなこと言っているなかで「私はずっとヒップホップを聴いてきたけど、今回のアルバムはマスターピースだ」「私はずっとヒップホップを聴いてきたけど、今回のアルバムのどこがいいかわからない」といった感じで、とにかく「ずっとヒップホップを聴いてきたけど」というの前置きが繰り返される。URを否定したライターも「自分はずっと黒人音楽を聴いているが、こんなものは黒人音楽ではない」という意味で書いているのでしょう。いずれにせよ、カニエの読者投稿を読んでいると、リスナーとしての経験値というものが作品の評価において信用ならないということをはからずとも証明している。UKのグライムは、リスナーとしての経験値を越えたところで鳴っている。知識よりも素早く音が出ているというわけだ。

 『ボーイ・オン・ダ・コーナー』の翌年の2004年には、ロンドンに多くのグライム・レーベルが誕生しているが、テラー・デンジャーの〈アフター・ショック〉もそのうちのひとつだった。〈アフター・ショック〉から自身の作品を発表しながら、彼はジャングルの伝説的MC、D ダブ E やショラ・アマなどの作品もリリースしている。そのいっぽうでボーイ・ベター・ノウのスケプタのリミックスを手掛けたり、ナスティ・クルーにも顔を出したりと、活動はいっきに精力的になる。既発の曲を編集した最初のアルバムは2008年に〈アフター・ショック〉から発表した『ハードドライヴvol.1』で、2009年にはインストゥルメンタル集として件の『グリムリンズ』を〈プラネット・ミュー〉から出している。

 テラー・デンジャーの音楽は、ときに"アフロボット"と形容されている。本作『アンディナイアブル』に収録され、シングル・カットもされている"アシッド"や"ミニマル・ダブ"といった(ベタな曲名の)トラックがその代表だが、グライムのユニークな点はUSヒップホップの影響下で発展しながら、ヒップホップのルールからどんどん逸脱していくというそのオーヴァードライヴ感にある。グライムのラップにも言えることだが、彼らの気迫のようなものが、音楽のクリシェを溶解していくかのようだ。「ずっとヒップホップを聴いてきたけど」という人たちがグライムを前に困惑する理由もそこにある。
 とはいえ、『アンディナイアブル』はサーヴィス満点のアルバムでもある。クラシカルなグライム・トラック"ブルージンV.I.P"や"S.O.S"、2ステップとディープ・ハウスを掛け合わせる"アイム・フィーリング・ユー"、D ダブ E をフィーチャーしたタイトル曲の"アンディナイアブル"(アルバムの目玉でもある)、ブルーザをフィーチャーしたダークな"リーヴ・ミー・アローン"、ポップ・ダブステップの"オール・アイ・ウォント"、アトモスフェリックな"タイム・トゥ・レット・ゴー"等々......グライム・サウンドのさまざまなテーマのうえに新しい要素を加えている。
 過去の2枚は編集盤であったことを考えれば、『アンディナイアブル』はグライムのゴッドファーザーにとってファースト・オリジナル・アルバムと捉えることもできる。真打ち登場、といったところだろう。

Chart by JETSET 2010.07.05 - ele-king

Shop Chart


1

THE BACKWOODS

THE BACKWOODS S/T »COMMENT GET MUSIC
DJ Kentのソロ・プロジェクト、The Backwoodsのデビュー・アルバム!ハウス~バレアリック~ディスコなど様々なジャンルを通過し、新たなダンス・ミュージックへと昇華させた12曲を収録!限定特典つき!!

2

SBTRKT & SAMPHA

SBTRKT & SAMPHA BREAK OFF »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆無国籍トライバル仕立てのアーバンUKソウル/UKG最新型トラックスが誕生!!DiploやSwitch、Sindenらからも引っ張りダコ状態の覆面トライバル最前衛UKG天才SBTRKTが、噂の新鋭Samphaとのタッグ名義で名門Rampデビュー!!

3

BEAUTIFUL SWIMMERS

BEAUTIFUL SWIMMERS BIG COAST »COMMENT GET MUSIC
極上の80'sサウンドを振り撒くアノ2人組の新作12"が到着。今作もやはり...!?口あんぐりな素晴らし過ぎる80'sシンセ・サウンドを展開してくれています! 素材はレトロながら仕上がりは激フレッシュな全3曲を収録です。

ROBERT DIETZ

ROBERT DIETZ HOME RUN »COMMENT GET MUSIC
Cadenzaから遂にRobert Dietzが登場!!Cecille Numbers、Running BackそしてAir Londonと錚々たるレーベルで活躍する気鋭のクリエイター、Bobert DietzがいよいよCadebzaへも大抜擢!!やはりセンスがスバ抜けています。

5

DJ NOBU

DJ NOBU 011 E.P. »COMMENT GET MUSIC
Future Terror主宰"DJ Nobu"話題の12"が到着。お見逃し無く~!!ベルリンの聖地"Berghain"でのプレイも成し遂げ、さらに先日リリースされたAltzとの東西両雄対決においても素晴しい楽曲を披露したハード・コアDIY Party"Future Terror"主宰のDJ Nobuによる話題の漆黒盤がコチラ。Rawfila a.k.a. Kazuhiro主宰の"Grasswaxx Recordings"からの登場です。

6

DARKHOUSE FAMILY

DARKHOUSE FAMILY FAMILY TREES EP »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆Hudson MohawkeとJoy Orbisonがコラボレートしたような特大傑作1st.EP!!ウォンキーやニューディスコ、ダブステップ以降の最前衛ヒップホップの魅力を凝縮した超強力トラックx4と、レーベルメイトMr.DibiaseによるリミックスB2を搭載!!

7

CEO

CEO COME WITH ME »COMMENT GET MUSIC
話題沸騰★Tough AllianceのEricによるソロ。爆裂キラー・デビュー・シングル!!死にます!!Tough Allianceがスーパー・ロマンティック・ドリームに浸ったような素晴らしすぎるシンセ・ダンス・ポップ。両面ともに超グレイト。こんなの世界にコレだけです!!

8

J-WOW

J-WOW O DEDO EP »COMMENT GET MUSIC
なんとBird PetersonとSbtrktリミックスも収録。完璧過ぎる1枚が登場しました!!クドゥロ最強トリオBuraka Som Sistemaの1/3、J-WowことJoao Barbosaが、当店定番化したソロ・デビュー作"Klang"に続く特大ボムを完成っ!!

9

TIM TOH

TIM TOH NO TRACE »COMMENT GET MUSIC
Soulphiction主催Philpotからデヴューの若き才能による素晴らしい新曲!!Philpot発三連作"Join The Resistance"でその大器の片鱗を見せ付けたTim Tohですが、やはりこの男は本物ではないでしょうか。マジでTheo Parrishに匹敵するソウルを実感させる素晴らしすぎるヴォーカル物です。

10

OTHELLO WOOLF

OTHELLO WOOLF DOORSTEP »COMMENT GET MUSIC
ときめき風が吹き抜ける。Golden Silvers + Washed Outなインディ・A.O.R.・ポップ!!メチャクチャおすすめ★デビュー・シングル"Stand"が即完売となった新星Othello Woolf。超待望のセカンドは、さらに洒脱にポップに爽やかにキメるミラクル大名曲!!

Guido - ele-king

 ジョーカーの好きな色が紫だそうで、だからブリストルの若き三人衆の〈パープル・トリニティ〉というチームの名前もジョーカーのアイデアだ。実際の話、写真で見るジョーカーは紫を着ているし、〈ハイパーダブ〉のシングルのロゴも紫になっている。まるでプリンス......である。が、彼らは80年代に依拠しているわけではない。ブリストルの若き三人衆が"紫"を強調するのは、ダブステップのダークさに対する若い世代からの批評の表れである。手短に言って、彼らはティンバランドやネプチューンズからの影響をダブステップに注入したのである。この音楽をよりセクシーにするために。彼ら――ジョーカー、ジェミー、そしてグイードは......。

 グイード(ガイ・ミドルトン)に関しては、昨年末のピンチの"ゲット・アップ"のリミックスで「おお!」と唸った人は少なくない。21歳のブリストリアンは、ヨランダの甘ったるいR&Bヴォーカルを活かしながら、そこに新しいメロディを加え、斬新なアレンジを与えた。だいいちヨランダは、"ゲット・アップ"のおよそ1年前にグイードがデビュー・シングルのB面の"ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール"で起用したヴォーカリストである。その曲調といい、"ゲット・アップ"は若きグイードのアイデアを先輩のピンチが借用としたとも言える。

 さて、本作『アニーディア』は〈パンチ・ドランク〉からの決定的な2枚のシングル(「オーケストラル・ラボ」と「ビューティフル・コンピリケーション」)を経てリリースされるグイードのアルバムだ。ブリストルの"紫"三人衆において最初のアルバムでもある。それは聴き終わったあと、思わず拍手をしたくなるような素晴らしいデビュー・アルバムだ。

 ダブステップ......と書いたが、三人衆のルーツは地元ブリストルのグライムのシーンにある。彼らは10代のなかばからフルーティ・ループスをダウンロードして音楽を作りはじめ、互いにテープの交換をしていた仲だったという話だ。そしてグイードに関しては、自分のミックステープを置いてもらうためにルーティッド・レコード店を訪れたことで、店で働くトム・フォード(〈パンチ・ドランク〉の主宰者。ペヴァーリストの名で知られる)と知り合い、そしてリリースへと話が進んだという。

 グイードのビートはグライムのシーンで磨かれたものだが、彼の鍵盤によるメロディに関しては彼の別の経歴から来ている。ジャズとクラシックのピアノを学んだ過去を持つ彼は、いまでもジャズを愛するというもうひとつの顔を持っているのだ。グイードはいまだに毎日ピアノの練習を欠かさないというが、『アニーディア』には、そうした彼の音楽的素養の豊かさが出ている。

 表題曲の"アニーディア"は"ナンバーズ"時代のクラフトワークがR&Bをやったようなトラックで、この1曲でリスナーはグイードの世界にぐいと連れていかれる。ドリーミーな展開も見事だ。"オーケストラル・ラボ"ではグライミーなトラックをベースにスペイシーなシンセによるメロディが浮遊する。路上で鍛えられた埃っぽい音が遠い宇宙に向かって飛んでいくようだ。"ユー・ドゥ・イット・ライト"はブリアルの名曲"アーチェンジェル"に続くポストR&Bと言えよう。変調された歌と烈しいダブステップが溶けるように展開する。サックスをサンプルした"マッド・サックス"もこの若きトラックメイカーへの期待をさらに膨らませる曲だ。Pファンク風のシンセのコード弾きとメランコリックなサックスの絡みとダビーなビートは、素晴らしい余韻を残す。すでにシーンでは有名なふたつのセクシーなヴォーカル曲、"ビューティフル・コンピリケーション"と"ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール"も収録されている。

 「もし自分がブリストルに生まれていなかったら、違う音になっていただろう」、グイードはあるインタヴューでこう話している。地元のグライム・シーンから登場した新世代のダブステップは、そしてマッシヴ・アタックやポーティスヘッドのようなメランコリーも忘れていない。

intervew with Eccy - ele-king

ベンガ、スクリーム、キャスパ......超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

 初対面のわれわれが何故まず手はじめに童貞についての話を延々としたかと言えば、すべてはY氏が悪い。僕よりも20歳も年下のトラックメイカーは僕に向かって童貞にまつわる話をはじめ、僕は自分の童貞喪失について話す羽目になった。ことの経緯についてはご想像におまかせしよう。ただひとつ知ったことは、若い世代にとって"童貞"とういことが大きな問題となっているらしいということである。僕の世代では、思春期においてはそれがそれほど大きな問題意識になったことはなかった。

 さて、エクシーのUK体験談を聞くために僕はビールと呼ばれる背徳の液体の入った中ジョッキを持っている。この冒険心溢れるトラックメイカーは、2007年、彼が22歳のときにシンゴ02をフィーチャーした"アルティメイト・ハイ"によって広く注目されている。その後エクシーは......文学肌のラッパーをフィーチャーしつつ、ストリートというよりもどちらかといえばアーティな作品(『フローティング・ライク・インセンス』、『ブラッド・ザ・ウェイヴ』等々)を発表している。

 とはいえ、彼が現在、新世代においてもっとも興味深いひとりになりえているのは(彼と銀杏ボーイズとの繋がりはさておき)、音に対する彼の貪欲さにおいてである。とにかくエクシーは、欧米で起きている新しい動きにやたら敏感に反応する。彼がフライング・ロータス以降のエクスペリメンタル・ヒップホップないしはハドソン・モホークに対する回答のような、全曲インストによる『ルーヴィア・ミトス』を昨年末に出したことは、音の刺激に飢えている連中にしたら納得のいく話である。そして......アルバムのジャケでムーグのアナログシンセのつまみを乳首を触るような手つきでつまんでいる彼は、最近はヤマハのDX7を安くゲットしたと嬉々として語るような、いわば音フェチでもある。

 予想外だったのは、彼のそれまでのイメージからは想像できないほどのエクシーがパーティ・アニマルだったという事実だ。それは嬉しい事実である。彼は、昨年の10月にUKに渡っている。目的はひとつ、ダブステップのパーティで踊ること。

なんでイギリスに行こうと思ったの?

海外行ったのが初めてで。最初はロスとかニューヨークとか、普通にそっちに行こうかなと思っていたんですけど、一緒に行くことになったのがDJケイタっていう、バトル系のDJで、ドラムンベースが好きなヤツだったんです。そいつがロンドンに行くって言い出して、それで「じゃあ、行こうか」ってなった。どうせ行くならパーティに合わせようぜってなって。

行く前からダブステップやグライムみたいなのが面白いなとは思っていたんでしょ?

そうですね。ダブステップは1年前くらいからハマりはじめていて。

きっかけは?

ブリアル。でも、最初はいまほど面白さわかんなくて。それで漁っていくうちに、「けっこう面白いジャンルだな」と。そっからミックス聴いたり......。そのあと〈ハイパーダブ〉とか好きになって。日本にひとり、〈ハイパーダブ〉から出している人いるの知ってます? クオルタ330って。

面識はないけど知ってる。

あの人にオレらがやっているパーティの1回目に出てもらって。今度も出てくれるんですけど。で、〈ハイパーダブ〉が好きになった後、スクリームやベンガが日本に来たときに行ったりとか、いろいろ知識を付けたうえでロンドンに行って......みたいな。で、ロンドン、アムス、マンチェスターに行ったんですけど、いや、すごかった。

なにが?

6日連続でクラブに行ったんですけど(笑)。

1週間いて(笑)?

はい(笑)。

ハハハハ、誰もが通る道(笑)。

とにかく客がすごいっすね。

やっぱもっとパーティっぽい?

そうですね。

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じゃあ、順をおってお願いします。

まずモスクワに泊まったんすけど。アエロフロートのせいで(笑)。

空飛ぶロシアンルーレットね(笑)。

いまぜんぜんいいっすよ。ぜんぜん機体が綺麗。

そうだよね。ロシアは好景気だもんね。オレ、93年にイビサ行ったときにアエロフロートだったな。その頃、冗談で"空飛ぶロシアンルーレット"って言ってたの。モスクワの空港も酷かったしね。何もない。

あ、そこは変わらない(笑)。とにかく出発が6時間遅れたから、ロンドンに6時間遅れで着くのかなと思ったら、出る便がないって言われて。で、成田で、ロシアに着いたらホテルを用意しているからそこに泊まれと、ただし、そこは自分で交渉してくれと。で、初めての海外で、英語も喋れないのに交渉できるわけないだろうと(笑)。で、飛行機のなかでずっと英会話の本を読んでいて(笑)。で、行ったら行ったで、ちゃんとホテルが用意されていて、大丈夫だったんですけど。すげー、良いホテルだったし。

ロシアでクラブに行ったわけじゃないんだ?

行かなかったすね。それで、次の日にロンドンに着いて、すぐアムスに行かなきゃならなくて。

なんで(笑)?

そういう日程組んであったから。ちょうどアムステルダム・ダンス・イヴェント(ADE)やっていて。で、オレらより先に、ヨーロッパひとり旅しているヤツと合流して。1日目はそれで、スティーヴ・ローラーのパーティ行って。

誰それ?

Y氏:プログレッシヴ・ハウスのDJ。

Y氏の専門分野じゃないですか(笑)。

〈ワープ〉のクラークのパーティに行きたかったんだけど、すげーデカイところなんですけど、ぜんぜん入れなくて。それでクラブ探し回って。そしたらそこだけ入れた。で、次の日もアムスにいて。〈ワープ〉のラスティっているじゃないですか。あいつと〈ストーンズ・スロー〉のデイム・ファンクのDJに行って。

いいな~。

音はまあ、良かったんですけど、でも「日本とそんな変わんねーじゃん」と思って。で、次の日にオレとケイタはロンドンに戻って。で、〈ファブリック〉に行って。気合いを入れて前売りまで買ってたんですけど、疲れていて朝の3時まで寝ちゃって。で、「やべー、いまから行かないと終わっちゃうぞ」って。朝の4時に〈ファブリック〉に着いて。まあ、空気を楽しむぐらいだったんですけど。で、思っていたよりも子供向けのクラブみたいなイメージがあって。

観光客向けだよね。

そういう感じで。

やっぱ地元の連中が行くクラブがいちばんだよね。

そう。で、翌日は電車乗ってマンチェスター行って。マンチェのパーティが今回のベストでしたね。まあ、うちらそのパーティのために行ったようなものなんですけど。eBayでチケット買ってね。ウェアハウス・プロジェクトといって倉庫を使ってある期間やっているイヴェントなんですけど、毎週大物が来るみたいな。2フロアあって。まずメンツが凄くて。モードセレクター、ベンガ、スクリーム、キャスパ、ジョーカー、ラスコ、で、セカンド・フロアでメアリー・アン・ホブス、デイム・ファンク、ラスティ、ガスランプ・キラー、ノサッジ・シング......。

オールスターだね。

超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

モードセレクターはちょっと毛色が違わない?

違うんですけど、良かった(笑)。

いちばん良かったのは?

ラスコ。超パーティ野郎みたいな感じで。ガスランプ・キラーも良かったな。

ジョーカーは? まさにヒップホップ出身じゃん。

ケイタとジョーカーちょっと見て、ケイタが「ジョーカー、ダサくないっすか」って言うから、「ダセーなぁ」って(笑)。ほとんど聴かなかった。で、帰ってきていろいろ聴いていたらジョーカーがいちばん格好良くて(笑)。いまではオレ、ジョーカーがいちばん好きなんです(笑)。

ハハハハ。もっとも期待されているブリストルの新世代だからね。てか、もうすでにスターらしいよ。それこそG・ファンクから来てるんだよね。

へぇー。ダブステップって、出身がいろいろあって面白いっすよね。トランスっぽいヤツもいるじゃないですか。

テクノ出身者、ヒップホップ出身、レゲエもいるし、ハウスもいるし、ジャングルもいるよね。

でもやっぱ、いちばんは客の熱気だよね。同じこと日本でやっても絶対にこんな盛りあがらないなっていうのがあるから、「あー、こんなに反応してくれて、こんなに盛りあがってくれたら楽しいだろうな」と、やってる側の目線で思って。日本人のDJがあの場にいって、そこまで盛り上げることはできるだろうけど、向こうのDJがこっちに来て、あそこまで盛りあがるのは無理だろうなと。この先、何年後にはできるかもしれないけど。それをけっこう思って。
 で、マンチェスターのパーティで、普通に煙草吸っていたら、地元の奴らと仲良くなって。で、「うち来ない?」みたいな話になって。

ハハハハ。オレもまったく同じ経験ある。それでみんなでレコード聴くんだよね(笑)。

ベンってヤツのカップルとアンって女の子3人に声かけられて。だから「3人で行くのかなー?」と思って、」で、タクシーに乗って行ったら、すでに部屋には15人ぐらいいて(笑)。

ハハハハ。20年前と何も変わってねーじゃん(笑)!

ハハハハ、ホント、みんなグダグダで(笑)。

よくあれでポンドを保ってられるよね。

ハハハハ。で、ケイタのミックスをかけたらみんな上がって(笑)。「どこでDJやってんの?」とか訊いてきて。

何歳ぐらい?

若いっすね。オレより2個下ぐらいかな。20歳から大学生ぐらい。で、ベンの彼女のアンナってヤツだけしっかりしてて、定期的に紅茶入れてくるんすよ(笑)。

ミルクティーでしょ!

いや、それはちゃんと何が良いか訊いてくれて(笑)。

それで、帰りに紅茶買ったでしょ(笑)?

買った(笑)。

変わってないじゃん(笑)!

ハハハハ、楽しかったすね。

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Y氏:でも、日本でもそういう瞬間があったじゃないですか。

90年代前半とか?

Y氏:90年代の後半とかも。パーティが終わると、「代々木公園行こうよ」とか。「うちに来なよ」とか。

まあ、そうだね。

でも、日本では無理っすよ。

無理じゃなかった瞬間もあったわけだし。

でもいまは無理な気がする。

なんで?

まわり見てて、パーティ行くヤツが少ない。

残念だね。

クラブもカラオケの代わりになっちゃってるし。マンチェスターの奴らとか、あれしか楽しみがないんだろうなぐらいの気の入れようだったから。で、次の日はロンドンで、〈プラスティック・ピープル〉に行って。

〈プラスティック・ピープル〉?

それは地元密着型の濃いパーティ。

どこ?

えー、あれは......、ダメだ、ぜんぜん思い出せない(笑)。ロンドンで有名な駅って?

たくさんあるよ、パディントン、ノッティングヒル・ゲート、コヴェント・ガーデンとか(笑)。

えー、思い出せない(笑)。とにかく小箱で、でもファンション・ワン置いてあるみたいな。ミラーボールもなんもなくて、そこで毎週〈フォワード〉っていうダブステップのパーティをやってて。それに行って。メンツはMAワンっていうファンキーのDJ、で、ジンクやって。

おー、クラック・ハウス。

で、ジャック・ビーツっていうエレクトロ・ハウスっぽいのをやって、で、スクリームがやるみたいな。

ジンクのクラック・ハウスのコンピ、知ってる? 黄色のジャケのヤツ(「Crack House EP」)。

オレも買いました。

あのCDだけ聴いても現場がどんななのかわからないんだよね。

そうですよね。オレ、ジンク好きっすよ。

あれはホントにパーティ・ミュージックだよね。ちなみにそのパーティは何曜日?

日曜日っすね。オープンが大幅に遅れて、9時ぐらいから2時までやってましたね。で、そこ行ったら、今回初めて日本人がいて。「あれ日本人じゃないっすか?」ってケイタが言うから、で、訊いたら「そうだよ」って。で、話したら、その人がエナさんっていう、ゴス・トラッドなんかが出ている〈Back To Chill〉をやっている人で。共通の知り合いがすごくいっぱいいて、で、仲良くなって。

へぇー。

Y氏:よくロンドンのどのクラブ行っても日本人がいるって話聞くんだけど、ダブステップのクラブには滅多にいないよね。

ぜんぜんいないっすね。アジア人がいない。

アフリカ系はいるでしょ?

半々ぐらいでいますね。で、それが5日目で、で、6日目は「さすがにちょっとぐらい観光しようか」って話になって。で、結局レコード屋とかに行って、CDとTシャツを買って。そしたらまたエナさんに会って(笑)。

ハハハハ。行動パターンが同じなんだ。

そう。で、「今日の夜、ブリクストン・アカデミーでヤバいパーティがあるよ」って。それが16歳以上から入れるパーティで。

16から入れるっていいよな。

だから酒は売っていない。

なるほど。

で、ケイタと「どうする?」って。オレら、ドラムンのパーティをアムスで逃していて、ケイタがどうしてもドラムンで踊りたいって言い出して(笑)。「じゃ、行くか」みたいになって(笑)。

ブリストルって、中心地からは遠いからね。

遠いじゃないですか。だから終電で行って。そしたらガキんちょたちで溢れていて、あり得ないくらいの熱気で(笑)。

あんな広いところで。

あんなに広いところがガキんちょでいっぱいで(笑)。で、さすがにその日はもうオレらも疲れていたから隅っこのほうで休みつつって感じだったんですけど、誰かのDJになった途端、すべてのフロアから人が集まってきて。それがチェイス&ステイタスで。「うわ、こんなに人気があるんだ」って。

チェイス&ステイタス?

リアーナのダブステップやったり、スヌープのダブステップやったり。

ああ~。

すごかった。あんなに人気があるとは思わなかったね。

しかし16歳で行けるDJパーティがあるって良いよね。

しかも朝の5時ぐらいになると親とか車で迎えにきて(笑)。ドラムンでガン踊りしていた子供を迎えに来るって、「物わかり良すぎだわ」って(笑)。

それはハウス世代の親じゃないの? 「もう、しょーがねーな」みたいな(笑)。

しかし、月曜日に5000人の若いのが踊ってるって......。

健康的でいいなー(笑)。

ヴァイタリティ半端ないっすよね。〈プラスティック・ピープル〉で、白人のガキんちょがでかい黒人のセキュリティに超からんでいるんすよ。「おまえ出てけ」って投げ飛ばされたりしてるんすけど、すげー食いかかっていて。明らかに体格差もあんのに、「ファックユー」連発で、「こんなヤツ、日本人であんまいないなー」と思って。

へぇー。

とにかく、ダブステップ、こんなに踊ってる感じなんだーって、日本からはつかめなかったんで。それがもう、爆発してたんで。

レイヴ・カルチャーそのものなんだね。

それでオレも、自分でもダブステップやりはじめようかなと思って。

やってるじゃん、新作『ルーヴィア・ミトス』で。

それはダブステップというよりは......。

フライング・ロータス?

フライング・ロータス。

やっぱり。

そう、でも、もっとフォーマットにのったダブステップを作ろうと最近は思っているんですよ。

ダンス・ミュージックって、フォーマットがあるからね。

そうなんですよ。オレ、これ(『ルーヴィア・ミトス』)では好き勝手やってるだけなんで。もうちょい縛りあったうえで踊らせるっていうか、他のDJもかけやすくするっていうか。それって大事かなって。で、やってみたら面白かった。

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エクシー君のイメージって、やっぱキース・ジャレットのジャケの写真を自分のCDのアートワークに使っているように、すごくシリアスなさ、ある意味求道者的なさ(笑)。

この前もVJの人と飲んでて、「エクシー、おめーぜんぜん知性派じゃねーじゃん。下品だおめーは」って言われて(笑)。

ハハハハ。

やっぱ向こうの現場見ちゃうと、とくに。

それ、日本でもやって欲しいな~。

渋谷の〈プラグ〉で〈Coldsteel〉ってパーティやってます。2月5日に渋谷の〈プラグ〉でリリース・パーティかねてやりますよ。

行こうかな。

野田さんはクラブ行かないんですか?

ここ数年、子供ができてからはめっきり行かなくなったけど、嫌いになったわけじゃないからね。昔は毎週末行っていたし、ある時期はロンドンに隔月で行っていたよ。クラブとレコードを目当てに(笑)。だから今日の話はすごーくわかる(笑)。オレの世代はブリクストンと言えば、〈ロスト〉っていうテクノのパーティだね。上半身裸で壁によじ登るようなヤツがひと晩に20人ぐらいいるような(笑)。ロンドンはどこに泊まったの?

キングスクロスのあたりとか。

えー、そうなの! キングスクロスって、オレも昔よく泊まってたけど、娼婦や売人が立っているようなところだったんだよ(笑)。駅の反対側に倉庫街あって、あっちでもパーティがあったりして。

あー、あったあった。

で、いきなり『ルーヴィア・ミトス』の話に戻すと、過去2枚って、シンゴ02とか、マイク・ジャック・プロダクションとか、あるぱちかぶととか、文学肌のラッパーを入れているじゃん。それが、『ルーヴィア・ミトス』ではいっさいラッパーなしでやってるじゃん。そこはオレ、ラッパーの力を借りずに勝負してるなって思ったんだけど。

もともとインスト作品を出したくて。あとこれ、インストのシリーズなんですよ。ラッパーいないとさくさく曲作れるし。このアルバム、昨年の12月に出ているんですけど、ほぼ全曲9月に作っているんですよ。

すごいね。

すぐ出せるのがいいなーと。自分でミックスもしているし。

ロンドンに持っていかなかったの?

ミックス前だったんですけど、持っていきました。けっこう気に入ってもらえましたよ。

音を聴いてくれるのっていいよね。

そうっすね。

オレ、こないだタナソーとのトークショーでも言ったんだけど、音を面白がる文化って良いと思うんだよ。

オレ、ホント、意味とかどーでもいいと思っていて。

えー、意味あるラッパーばかり揃えているじゃん(笑)。

テーマとかどうでも良いと思ってて(笑)。

銀杏ボーイズが好きなくせに。

銀杏ボーイズは歌詞カード見ないでも言葉が入ってくるから好きなんですよ。うちのラッパーだとオロカモノポテチっていうのがいて、そいつがオレはいちばん入ってくるんですけど、正直、あるぱちかぶととか難しくて。

ハハハハ! 自分の作品でラップしてもらってるのに(笑)!

いや、もちろん良いんですけど! そこまでグッと来ない(笑)。

マジ(笑)? あるぱちかぶと、グッとくるじゃない。言葉でトランスさせるような感じでしょ。

ま、そうっすね。シンゴさんは、ライヴが好きっすね。ライヴが素晴らしい。あるぱちかぶとも、そろそろシンゴさんぐらいいってるのかなと思ってたんだけど、ライヴを観たらまだまだだった(笑)。

オレ、あるぱちかぶとのアルバムの1曲目、すごいと思ったけど。東京をラップしている"トーキョー難民"という曲。びっくりした。

はいはい。

あの風景の描き方はすごいよ。まあ、踊らせるってタイプじゃないけどね。で、ああいう優れたラッパーが身近にいながら今回はインストで勝負しているところにエクシー君のソウルを感じたんだよね。気が早いけど、次のアルバムが楽しみだね。

オレ自身も楽しみっすよ。なんか、〈テクトニック〉が気に入ってくれたみたいで。

えー、最高じゃない!

ピンチが気に入ってくれたみたいで。それで実は昨日、ぶちあがっていて。

それはオレでさえあがるよ(笑)。

このまま食らいついて、「シングル出そうよ」って言われるぐらいになりたいっすね。〈テクトニック〉、最高っすよね。

最高のレーベルのひとつだよね。昨年のコンピレーションも良かったし、ピンチのシングルあったじゃん。歌モノのヤツ。

「ゲット・アップ」っすよね。

そうそう。

あれで、グイードがリミックスしてるじゃないっすか。オレ、グイードがヤバくて。

ブリストルのジョーカーの仲間だよね。みんなまだ若いんだよね。

オレ、コンプリートしたんですけど。写真とかも、みんなかっこつけるんですけど、グイードだけがリーボックのジャージ着て突っ立ているだけで、リーボックってところがいい、イギリスっぽいな~って(笑)。

ハハハハ。ジョーカー、グイード、ジェーミー、あいつら、まだみんな20歳そこそこなんだよね。ジョーカーがいちばん若くて、たしか昨年の時点で20歳だったと思ったよ。

え、あいつがいちばん老けた顔しているのに(笑)。

ベンガやスクリームもみんな若いじゃん。13歳からDJやったり作っているわけでしょ。

あいつら若いっすよね。そういえば、〈プラスティック・ピープル〉の外で煙草吸っていたら、BMがやって来て、ゴミ袋を何度も轢いてて、頭おかしいヤツ乗ってるなーと思ってたら、車からベンガが出てきて、「おー、ベンガだ!」って(笑)。

いいな~、そんなことやっててレベル・ミュージックになっているところがいいよな~(笑)。

そうっすよね。しかもベンガとスクリーム、ヨーロッパのどこにもいますからね。ヨーロッパのいたるところのフライヤーに書いてある(笑)。

グラストンベリー・フェスティヴァルでもやって話題になってるもんね。ということで、エクシー君、がんばれ!

ハハハハ。

Eccy DJ Chart
  • 1. Hudson Mohawke / FUSE (Warp)
  • 2. Jinder / Youth Blood[12th Planet & Flinch Remix] (Trouble & Bass)
  • 3. Doshy feat.Raspe / Crtzl[Robot Koch Remix] (Robox-Neotech)
  • 4. Guido / Beautiful Complication (Punch Drunk)
  • 5. Rustie / Inside Pikachu's Cunt (Warp)
  • 6. Scuba / Twitch[Jamie Vex'd Remix] (Hot Flush)
  • 7. Rustie & Joker / Play Doe (Kapsize)
  • 8. Ikonika / Smuck (Planet Mu)
  • 9. Joker & Ginz Purple City (Kapsize)
  • 10. Zomby / Spliff Dub[Rustie Remix]- Hyperdub
  • 11. Skream / Trapped In A Dark Bubble (Tectonic)
  • 12. Bjork / Hyperballad[Eccy Dubstep Edit] (Nytebug)

※以下のサイトもチェック。
https://eccy.cc
https://www.slyerecords.com

また、昨年の12月から〈NYTEBUG〉という無料ダウンロードのレーベルを実験的にスタートしているで、そちらも是非。
https://nytebug.blogspot.com/


2010/02/05(Fri)
COLDSTEEL vol.5 @Shibuya PLUG
"あるぱちかぶと - ◎≠" and "Eccy - Loovia Myhots"
Double Release Party!!!!!!

-starring-
あるぱちかぶと
Eccy
Matt.B(Bass Science / Made In Glitch)
Quarta330(Hyperdub)
broken haze
haiiro de rossi
DJ KEITA
Notuv
Emufucka
小宮守

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