「IO」と一致するもの

12月の素敵な悪夢をBathsとともに - ele-king

名門〈アンチコン〉から2枚のアルバムをリリースし、フライング・ロータスやデイデラスにつづく血統書付きの才能として注目されてきた「LAビート・シーンの鬼っ子」、バスが、3たびの来日を果たす。 ジブリを愛してやまないこの「大きな子ども」は、子どもなんかよりよっぽど奔放で、ドリーミーで、センチメンタルで、おそろしいほど感情豊かだ。その大きくうねるエモーションの帆布を満帆に張って、めくるめくノイズと旋律を放射していく彼のパフォーマンス、その異形のドリーム・ポップを、あなたはいちど目撃せねばならない。 どことなく浮つく12月の夜の空気を、バスの音はいっそうそわそわとふくらませることだろう。黄色や赤や青の光。オーナメントのシルエット。白い息。凍える梢。その奥に広がる夜空から、バスの魔法はちらちらと降ってくる。そしていつしか激しく吹きすさぶだろう。

各公演を彩るアクトも強力! 名古屋ではDE DE MOUSE + his drummer (Akinori Yamamoto from LITE)、京都ではSeihoとMadegg、東京ではTaquwami(とお馴染みアンチコンのsodapop!)、いまをときめく国内勢がバスと掛け算する、心地よくも濃密な時間を楽しもう。

LAが誇る若きビートメーカーBaths来日公演!!
Tugboat Records presents Baths Live in JAPAN 2013

■12/13(金) 名古屋池下CLUB UPSET
OPEN / START 24:00

ADV ¥4,200 / DOOR ¥4,700(共にドリンク代別)
Act:Baths, DE DE MOUSE + his drummer (Akinori Yamamoto from LITE)
DJ: I-NiO, sau(otopost), LOW-SON(しろー + オクソン)
VJ: Clutch

[Buy] : 9/7(土曜)〜
チケットぴあ(P: 211-365)
ローソンチケット(L: 41184)
e+(https://eplus.jp)

※名古屋公演はオールナイト公演ですのでIDをご持参下さい。

■2013.12.15(日) 京都メトロ
OPEN 18:00 / START 18:30

ADV¥4,000(+1Drink)/DOOR¥4,500(+1Drink)
Act:Baths,Seiho,Madegg

[Buy] : 発売中
チケットぴあ(P: 208-539)
ローソンチケット(L: 59065)
e+(https://eplus.jp)
前売りメール予約→ticket@metro.ne.jpでも受け付けています。
前日までに、公演日、お名前と枚数を明記してメールして下さい。
前売料金で入場頂けます。

■2013.12.16(月) 渋谷WWW
OPEN 18:00 / START 18:30

ADV¥4,500(+1Drink)/DOOR¥5,000(+1Drink)
Act: Baths,Taquwami,Sodapop (anticon. Label Manager)

[Buy] :発売中
チケットぴあ(P: 208-502)
ローソンチケット(L: 79947)
e+(https://eplus.jp)

interview with CORNELIUS - ele-king


Cornelius
攻殻機動隊ARISE O.S.T.

flying DOG

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 つづら折りになったジャケットには、内側になるにしたがってどんどん小さくなっていくように四角い穴がくり抜かれ、あたかも「記憶」のより深層へと降りていくかのような演出が施されている。キャラ絵や作品タイトルこそを見せたい・見たいはずのアニメのサントラ盤にあって、これほどミニマルでデザイン性の高いジャケットを提示することはずいぶんと挑戦的であるようにも思われるが、これが『攻殻機動隊』シリーズの劇場版最新作のサントラであること、そしてコーネリアスの仕事であることを考えれば納得だ。シリーズに通底するテーマと世界観がとてもシャープに表現されている。

 監督や脚本、キャストが一新され、“第4の『攻殻』”とも言われる『攻殻機動隊ARISE』。特殊部隊「攻殻機動隊」創設までのエピソードを、ヒロイン・草薙素子の過去に光を当てるかたちで描き出す最新作であり、全4部作となるうちの1作め『攻殻機動隊ARISE Border:1 Ghost Pain』が今年6月に公開、つづく『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』が11月30日より全国劇場にて公開となり、注目が集まっている。

 コーネリアスはこのシリーズのサントラを手がけるとともに、「ゴースト・イン・ザ・マシーン」と名付けられたブッダマシーンの最新モデルなどの企画も行っている。経典音読マシンがルーツだったというあの四角い箱のコアに素子ともおぼしき女声(=ゴースト)を宿らせたこのモデルに筆者は震えたが、何よりも、コーネリアスの音楽自体が「楽曲を作る」ということで単純に完結してしまうものではないのだろうということを感じさせる。ヴォーカルにsalyu、青葉市子、歌詞に坂本慎太郎を加えた新鮮なコーネリアス・パーティも、期待を掻き立てるものだ。

 インタヴューでは「空気感」という言葉をひとつのキーワードとして感じた。そしてそれは、筆者が『攻殻機動隊ARISE Border:1 Ghost Pain』のトレイラーを初めて観たときのちょっとした違和感と驚きの源でもあったかもしれない。
 コーネリアスは、ロジカルでディストピックな『攻殻機動隊』の世界に奇妙な空間性を開いている。たとえばこれまで激しいブレイクビーツが多用されてきたような、タフでハード、隙間なくテーマ性と論理が敷き詰められたシリーズのなかに、まさに「空気感」という曖昧なものを感受しかたちにするコーネリアスの手つきは、何か新しい光源をもたらしてはいないだろうか。それはシリーズを一新する本作にちょうどふさわしい違いかもしれない。筆者にはその僅かな違和が、相対的な明るさとして感じられる。 

明るい作品じゃないですか?

でもコーネリアスにしてはダークだと思ったよ。
――うん、そうだと思うんだよね(笑)。

映画の劇伴というのは、依頼がまずどーんと来て、テーマ曲から作りはじめるというような進行なんですか?

小山田:そうですね、まさにそんな感じですね。

オーダー・リストみたいなものがあって、それに従って作っていくというような……?

小山田:そうです。そんな感じです。

そのリストというのは、場面みたいなものが書かれているんですか? 感情みたいなものが書かれているんですか?

小山田:まず台本みたいなものがあって、それに従って音響監督が、「このシーンでこういう音が欲しい」というようなことを指定してくるんです。「何秒で落ちる」とか「何秒でまたアップ」っていう感じで。

なるほど作るのも秒単位なんですね。その指定に基づいてどんどん収めていくわけですか。

小山田:基本的にはそうなんだけど、結果として指定された箇所とは違うところで使われたり、まるまるなくなっていたりすることもありますね。場面に合わせて編集されていたりとか。だから、言われたとおりに作るんだけど、言われたとおりに使われるとは限らないという感じです。

お題というよりも、台本に沿ってオーダーがあるんですね。

小山田:そうですね。でも、言われていたシーンと違うところで使われるのが逆におもしろかったりはしますね。

どう使うかということですよね。……ということは、作りはじめる前に台本なりを通して作品への理解がはっきり生まれているわけですか。

小山田:うっすらと(笑)。

(一同笑)

では作品理解ありきというよりは、コーネリアスというアーティストとの綱引きが求められている感じなんでしょうか?

小山田:いえいえ、そこは作品ありきなんですけど、それも感じつつ自分なりの解釈で作っていくということかなと思います。

「サントラってこういうものだな」とあらためて感じられた部分はありますか?

小山田:やっぱり、基本的に暗い話なので、感情も限定されてくるというか。そんなに明るい感情というのはなくて、ちょっとしたユーモアみたいなものはキャラクターによってはあったりするんだけど、中心になるのはダークな世界観ですよね。あとはバトルとか心理的葛藤とか。それも段階がいくつかあって、すごい深いものからニュートラルなものまで幅があるんだけど、基本的なところは限定されていきますかね。この映画の世界観に沿っていくと。
そういうものは自分のなかに日常的に持っているわけではない、パーセンテージとしてはわずかにしかない感覚なので、そこを増幅して作品にできるのはおもしろいなと思いました。

ああー、まさにそこもお訊きしたかったんですが、『攻殻機動隊』って近未来の過剰な管理社会をディストピックに描くものですよね。おっしゃるように基本的に暗い世界だと思うんですが、サントラにはわりと一貫して明るい印象を受けるんです。柔らかい光源を感じるというか。明るさを意識したりはしませんでしたか?

野田:でもコーネリアスにしてはダークだと思ったよ。

小山田:うん、そうだと思うんだよね(笑)。

そうですか。小山田さんの特徴というだけのことかもしれないですが、でも暗いイメージに寄り添う以外に、ご自身のなかにもう少し違うイメージがあったりはしませんでしたか?

小山田:うーん、そんなに強く意識はしてないんですけれど、無意識に自分にちょうどいいバランスに調整している部分はあるので……。まあ、こういう感じになっちゃったというところ(笑)。


「音楽メニュー」と呼ばれる楽曲のオーダー・リストには、カット番号と「混乱」などの簡潔なテーマが記されている。 はじめはミュージック・ヴィデオのように細かくタイミングを合わせて作っていたものの、セリフ等との兼ね合いもあり、その後の段階でのエディットは音響制作側にまかせたとのこと。

音にするときに、とくにポイントになる視覚的要素というとどんなところですか?

小山田:それはたくさんあって、最初はそういうものに偏執的に合わせて作ってたんだけど(笑)、結果ズレていったり修正が大変だったりして。

要素としては動きとかになりますか?

小山田:うん。動きですね。あと、色味が変わるとか、カットが変わるとか。

表情とかエモーションとかっていう内面的な要素よりは、アクションとか場面転換みたいなものに音が影響されるという?

小山田:それは両方ですね。

今回の『ARISE』は、まだ未熟な(草薙)素子の揺れる内面とか、孤独な闘いとかが印象的ですよね。昔のシリーズ(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』)は公安9課というチームワークもあったりしてグルーヴィーなんですけど、それに比べてよりインナーなテンションがあるように感じます。でも、小山田さんの音楽って、そういうインナーなもの……気持ちみたいなものを文学的にしないというか、そういうものをどちらかといえば無視していくもののように思うんです。

小山田:なるほどね。気持ち……。気持ちというより雰囲気という感じですかね(笑)。

ああ、なるほど。空気みたいなものとかでしょうか。

小山田:ストリングスで泣きメロを入れたりとか、そういうハリウッドっぽいスコアリングじゃなくて……。そうですね、メロディってエモーショナルで内面的なものを表すって一般に言われるけど、もうちょっと空気感で内面的なものを表すことができるっていうか。まあ、「内面的なもの」って、わかんないんだけどね(笑)。空気感で「内面」とかその状況を表すという、どちらかというとそんな要素の方が大きいのかもしれないですね。

よくわかります。小山田さんは、近年は『デザイン あ』とか『CM4』ですとか、リミックスとかサントラのリリースが続いていますけれども、そういうものはオリジナル・アルバムでキャリアをつきつめていくというのとは逆で、人と人との間とか、社会のなかで機能する音を考えていくという仕事になると思います。小山田さんには、そうした作品制作を通して見える、社会の色とかってありますか?

小山田:うーん、色って言われて思い出したのは、オウムの事件があったときに「世界は黄色だ」っていうような歌を歌っていたことですかね。テレビで、誰だったか容疑者の人が「世界は黄色だ」って。

ええー、すごい感性ですね。黄色ってちょっと出てきませんでした。それはなんだかインスパイアされるお話です。

野田:すごいねえ。

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アニメOPの条件

アニメのオープニング・テーマって、タイトルも言ってほしいし、必殺技の名前とかもできれば言ってほしい(笑)。


Cornelius
攻殻機動隊ARISE O.S.T.

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野田:映画のサントラとかって、今回が初めて?

小山田:ちゃんとしたのは初めてだね。

野田:サントラとか好きだったじゃない? いまはないけど、渋谷の「すみや」っていうレコード屋で、日本盤で出てないイタリア映画のサントラとかを漁っていた人なわけだから。

小山田:あははは。そのときからそうなんですけど、観たことない映画のサントラとかを聴いたりしていて、それ自体は何かの映画のなかで機能させるために作られたものなんだけど、iPodとかで聴くとまったく別のもののようにも聴こえるというか。その映画と切り離されたところで楽しめる部分っていっぱいあって。
そういう意味では音楽って器というか、何かのために作られたものが別のかたちで機能することがありますよね。サントラはとくにそうかも。だから、僕はこのサントラを『攻殻機動隊』のために作ったけれども、それを切り離した部分でも聴けるものにしたいなというところはありますね。

アニメ音楽で参照されたものとかはありますか?

小山田:わざわざ聴いたりとかはしていないんですけど、“ゴースト・イン・ザ・シェル・アライズ”っていう『ARISE』のテーマ・ソングでは、頭にあったのは『ルパン三世』のはじめの曲ですね。「ルパン~ルパン~」って、ひたすらルパンっていうタイトルを連呼する曲で、それを意識しました。「ゴースト・イン・ザ・シェル」をひたすら連呼する、みたいな。

へえー。

野田:なんで『ルパン』だったの?

小山田:『ルパン』がっていうより、タイトルを連呼するっていうところですかね。僕のなかでは、アニメのオープニング・テーマって、タイトルも言ってほしいし、必殺技の名前とかもできれば言ってほしい(笑)。ちゃんとそのコンセプトに合ったものが入っていてほしいっていうのがあって。それで、アニメ「らしい」オープニング・テーマというと、どうしても『ルパン』が出てくるという感じです。

小山田さん的なアニメOPの条件みたいなものが、ちゃんと入っているんですね。

小山田:うん。それに、ひたすら繰り返すから曲のミニマルな構造に合うというか。そういう曲って他にないなと思って。

連呼というところでは、「きおくきおくきおく……」(“じぶんがいない”)もそうかと思いますが、「記憶」も『ARISE』のひとつのテーマですよね。記憶が勝手に操作されたりいじられたり、不安定で信用できないものとして描かれています。この曲はそのテーマをそのまんまというか、かなり直接的に使っていておもしろかったんですが、音節ごとに「き」「お」「く」と切ってエディットされているのも、やっぱり「記憶をいじる」というようなテーマを意識してのことなんですか?

小山田:歌詞は坂本(慎太郎)君が書いてるんだけど、それは曲の後にできたものなので、最初から音のなかに「記憶」という言葉が当てはまっていたわけじゃないんだよね。ただ、素子が「義体」というキャラクター――人間とロボットの中間、アンドロイド的なものなので、あんまり人間ぽくない編集で作ったヴォーカル・ラインが合うのかな、とは思っていて。
歌詞は、最初に「き、き、き」ときて、次に「きく、きく、きく」ときて、最後に「きおく、きおく……」となるんですけど、「一文字でも意味があって、二文字でも意味があって、三文字でも意味があって、という構造になっている言葉が何かないかな?」って坂本くんに相談したら、「きおく」っていう言葉を出してきてくれたんです。

へえー、必ずしもテーマから来たものではないんですね。

小山田:もちろん坂本くんは、ちゃんと脚本を読んで言葉を選んできたとは思うんだけれども。

なるほど。戦後詩では最初、谷川俊太郎の『ことばあそびうた』みたいなものが精神的に低いものとして厳しい評価を受けていたようですけれども、言葉遊びみたいなものの方が、逆に空気を受容する器にはなりやすいのかもしれないですね。
 詞が後に上がったということですが、今回、詞のついているものは全部そうですか?

小山田:うん。

それをまた組み替えるということですか。

小山田:あ、組み替えはしないですね。

そのままでしたか。では、本当にうまくはまっているんですね。

小山田:そうですね(笑)。

ブッダマシーンは草薙素子の夢をみるか

あれは、もともと中国にあった「電子念仏機」っていう機械がモデルになっているんですよ。

なるほど。ところで、「ゴースト・イン・ザ・マシーン」という新しいブッダマシーンとダミーヘッド・マイクを使って、動画を撮っておられますね。あれはどこから来たアイディアなんですか?

小山田:ダミーヘッド・マイクに関しては、たまたま使っていたスタジオにあったんですよ。ブッダマシーンを作ったんですけど、あれってたくさんで鳴らすとおもしろくって。いろんな層で音楽が流れていて、ずっとドローンで、ピッチも変えられるし、演奏みたいなこともできるし。あのときは同時に4台使ってるんですけど、おもしろかったですね。

ダミーヘッド・マイクって、まだまだおもしろい使い方があるんでしょうか? ドラマCDみたいなものではさかんに使用されていますけれども。

小山田:ん? ドラマ?

はい。お話とかセリフの朗読が収録されているCDなんですけど、耳もとで甘い言葉を囁かれるとか、そういうことがリアルに感じられるようにダミーヘッドで録音されていることが多いんです。でも、音楽でそんなふうにうまいこと使用されている例はあんまりありませんよね。

小山田:たしかにね。CDでやってもあんまりよくわかんないというか。ダミーヘッドを使ってる例だと、マイケル・ジャクソンとかルー・リードとかもやっているんですよね。

へえー。

野田:ルー・リードも?

小山田:そう、他にもいろんな人がやってるんだけど、「ギター、ドラム、ベース」みたいな音楽で使ってもべつに何もおもしろくないというか(笑)。

それはそうですよね(笑)。以前に読んだインタヴューで、髪の毛を耳元でちょきんと切られる音が立体的に再現されたCDで感動されたというお話をされていたように思うんですが……。

小山田:うん。やっぱりいちばんおもしろいのは髪の毛をきってもらったりとかだよね。

なるほど(笑)。このマイク自体はけっこう歴史の長いものなんですね。

小山田:うん。80年代くらいからかな……。70年代くらいからあったっけ?

その頃からの進歩ってあるんでしょうか?

小山田:だいぶ進歩しているんじゃないですか? ダミーヘッドじゃなくてさ、ヒューゴ・ズッカレリっていう人がいて、知ってる? アルゼンチンかどこかのちょっとマッド・サイエンティストみたいな人で、詳細は明かしていないんだけど、立体音響に関してちょっとすごい録音技術を持っている人なの。マイケル・ジャクソンとかはそのやり方を使っているみたいなんだよね。それはダミーヘッドではないって言われてるんだけど、どういうノウハウかはわかってない。

へえー。

小山田:サイキックTVとかもそうだよね。80年代後半とかに、一時期すごい話題になってた。

野田:あー、そうだったね。

あの動画に関しては、「あ、頭の後ろ通った!」っていう気持ち悪い感触とかが生々しくあって、おもしろかったです。小山田さんにとっては、旋律とかそれがリニアに導いていく物語じゃなくて、こういう体験のようなもののほうにより興奮があるんじゃないかなと思いました。

野田:ほとんどそうでしょう。ライヴとかを観るとほんとにそうだよ。

小山田:はははは。

音響体験のほうが優先される。

小山田:まあ、このサントラに関してはわりとそういうものですよね。

GHOST IN THE MACHINE
https://www.jvcmusic.co.jp/ghostinthemachine/

テーマ性がたしかに色とか空気みたいなものとして感じられます。では、ブッダマシーンのほうはどうでしょう? そもそもはあのガジェットのなかにブッダがいる、というジョークみたいなものだったように思うんですけれども。

小山田:あれは、もともと中国にあった「電子念仏機」っていう機械がもとになっているんですよ。お経を自動で流してくれる機械。それをみんな流しながらお祈りとかをしていたみたいで。それを、中身をミニマルっぽくしてあんなかたちに仕上げたのがブッダマシーン。

実用的なものだったんですか!

小山田:そう。昔、中国に行ったときにお土産でもらったことがあって、それには本当に念仏が入ってた。形とかもだいたいあんなものですね。わりと最近になって中国の若い人がブッダマシーンのかたちにしたっていう。

そうなんですね。わたしもシリーズの最初のマシーンから知っているんですが、てっきりヨーロッパが作り出したオリエンタルなジョークみたいなものだと思っていたんです。そんな日用品だったとは意外ですね。

小山田:うん。ふつうにあったものなんだよね。

なるほど。そうすると余計おもしろいんですが、『攻殻機動隊』には、ロボットとかマシンみたいなものにゴーストが宿ることがあるか、あるとすればどんな条件のときか、っていうようなテーマも通底していますよね。ブッダマシーンの「機械のなかに宿った声(=ゴースト)」っていう性格は、なんてこの作品にぴったりなんだろうって思ったんです。

小山田:はははは。「ゴースト・イン・ザ・マシーン」っていう名前つけてるしね。

野田:あ、意識しているんだ。

小山田:もちろん。

あれ? このブッダマシーンのアイディア自体、小山田さんのものなんですか?

小山田:そうです。

そうなんですか! これ、すごくびっくりしたんですよ。よく『攻殻』とブッダマシーンが掛け合わさったなって、すごく不思議だったんです。いままでのブッダマシーン・シリーズでいちばん気がきいていると感じましたし。実際に声優さんの声が入ってるんですか?

小山田:声優さんの声は入ってなくて……、あ、ちょっと入ってるか。でも基本は声優さんの声じゃないんです。

へえー。「機械のなかの心」みたいなものへのロマンチックな気持ちは、小山田さんのなかにありました?

小山田:……なかったね(笑)。

(一同笑)

野田:そこまで少年じゃなかった(笑)。

ははは。すっごいドライなんですね。バトーさんが天然オイルを与えつづけたタチコマにだけは、ゴーストが宿った? みたいなエピソードもとても印象でしたけれども、そういうロマンティシズムも作品を牽引する強さだと思うんですね。ものに宿るゴースト、みたいなものはぜんぜん感じませんか。

野田:『ファンタズマ』の人だもんね。

小山田:(笑)そういうのとはちょっと違うかもしれないんだけど、何かつかみきれないものというのは意識していて。曲の構造だったりもそう。“ゴースト・イン・ザ・シェル・アライズ”も、ただ「ゴースト・イン・ザ・シェル」って言っているだけなんだけど、頭のなかに残らないというか……。同じように展開しているように聴こえるかもしれないんだけど、実際はぜんぜん解決しないままどんどん進行していくっていう構造になっていて、そこはつかみきれない感じを意識してはいますね。

すごく複雑で、複雑すぎて不透明になっている感じでしょうか。でも、そういうつかみきれない模糊としたものが表現されつつ、やっぱりコーネリアスって、音は透明になる感じがするんです。その透明な感じは、この新しいシリーズのなかにも大きなインパクトを与えていると思うんですけどね。

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おおきなこえをだすひとたちはみないなくなった

「おおきなこえをだすひとたちはみないなくなった/ほら 静か」(“外は戦場だよ”)っていうところがあるんだけど、そういうところに共感しますね。


Cornelius
攻殻機動隊ARISE O.S.T.

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ここ数年、音楽シーンのひとつのモードとして、ちょっとニューエイジなものがリヴァイヴァルしているところがあるんですね。(クリスチャン・)ラッセンにスポットが当たったり、「シーパンク」って呼ばれるようなファッションが注目されたり……

小山田:ええ! ラッセンなの?

そうですね。何かとイルカなムードなんです。

野田:ほら、90年代リヴァイヴァルでもあるからさ。

小山田:ああ、(ジ・)オーブとかの感じ。

野田:そうそう。

はい。一方にそういうちょっとドリーミーでメディテーショナルな感覚があって、そこではあんまり暗い気持ちとか、絶望みたいなものは鳴らされていないんですね。どこかでそういうモードを感じられていたりしたところはありませんか?

小山田:そういうムードがあるっていうのは知らなかったけど(笑)。

ふだんは社会というところが暗いというふうに感じますか?

小山田:まあ、暗いといえば暗いし……。

すみません(笑)。「暗い曲が多い」という認識に対して、どこか明るく感じられるところにこだわりたかったので……。90年代リヴァイヴァルということについては、何か感じられている部分はありますか? ハウスとかR&Bを中心にして、いま本当にそんな機運なんですよ。

小山田:あんまり感じないですけど、まあそろそろかな、という気はしますよね。

野田:これからどんどん感じると思いますよ。

小山田:ひととおり80年代の巡回も終わってるように見えるから、90年代にちょっとフレッシュな感じがあるんだろうなとは思います。

野田:フリッパーズ・ギターとかがね。

血を引くような存在が出てきていますよね。

野田:フリッパーズ・フォロワーみたいなバンドが、新鮮な感じで受け入れられているんだよね。

小山田:ほんと? 絶対(フリッパーズのこと)知らないでしょう?

野田:いやいや、ぜんぜん知ってるよ。20歳くらいの子たちにしてみれば90年代ってすごく新しいからね。

小山田:そっか。年齢的には僕らの子どもくらいになってくるよね。その子たちが生まれたころが90年代くらいでしょ? ちょうど、僕たちに60年代とか70年代のものがカッコよく見えたのとまったくいっしょなことなんだろうね。

リヴァイヴァルっていう意味はおいておくとしても、ハウスを意識した部分はなかったですか? わりと「ドッチンドッチン」っていうトラックが入っているんですけれども、ちょっと新鮮でした。

小山田:うん、「ドッチンドッチン」はわりと入ってますね。

躍動感を出すため、みたいな理由でしょうか。いまわりと世間的にこういう気分だっていうふうに感じていた部分はないですか?

小山田:うーん、両方かな……。

野田:でもダンス・ミュージックを作ってるっていうところは、トピックだね。わりと直球なね。

そう思います。

小山田:うーん、そうかもね。

野田:だって、『カメラ・トーク』の福富(幸宏)さんがリミックスした曲(“ビッグ・バッド・ビンゴ”)、あれをいまみんな探してるんだよ!

小山田:ええ、うそ! へえー……。若い子が?

野田:そう。しかも日本人だけじゃなくてね。

小山田:そうなんだ。

あとはクラウトロックっぽいものの気分もありました。2000年代後半は、若いバンドやアーティストにすごく参照されて、スターも生まれて。“スター・クラスター・コレクター”とかも、ちょっとそういう琴線に触れるんじゃないかと思います。

小山田:へえー、そうなんだ。でもまあ、どっちも偶然かなあ。クラウトロックはずっとあるといえばあるし。

それもたしかにそうなんですけど、ジャンルをまたいで一気にメディテーショナルなモードが広がって、そのなかでクラウトロック的なものの存在感はとても大きいものだったんです。
……というムードもまだ余韻を引いているなか、“外は戦場だよ”というボーダー2(『攻殻機動隊ARISEborder:2GhostWhipers』)のエンディング曲が鮮やかでした。小山田さんには「外は戦場」というような感覚はありますか?

小山田:外は戦場……。うーん、どうなんだろうね。

言葉尻からすると酷薄な世界観のようにも見えますけれども。

小山田:いや、そういうことよりも……。なんて言ったらいいのかな……。最後の方に「おおきなこえをだすひとたちはみないなくなった/ほら 静か」っていうところがあるんだけど、そういうところに共感しますね。

ああ……。それは、「おおきなこえをだすひとたち」は、干渉するものっていうような感じでしょうか。暴力とかもふくめて。

小山田:うーん、そうね……、ほっといてほしい感じ。……何なんだろうな(笑)。

ここはとっても両義的な部分かと思うんですが(※)、「ほら 静か」は、肯定的な感じですか? そうならざるを得なくなってなったという静かさですか?
(※詞のなかばに「心配ない/見て/外は/戦場だよ」という逆説がある)

小山田:うーん。

より自分にとって居やすいところになったのか、その逆なのか……。

小山田:なったんだかなっていないんだか、実際はよくわからないんだけど、どっちも含んでいる感覚なのかな。

LINDAMANN (GOLINDA RECORDINGS) - ele-king

来年1月に新しくスタートしたレーベルGOLINDAより
1st Album”RITUAL”リリースします。

https://soundcloud.com/lindamannn

チャート(順不同)


1
BENJAMIM DAMAGE - 4600 EP - 50WEAPONS

2
LUMIGRAPH - THE YACHT CRUISER EP - MISTERSATURDAY NIGHT

3
ANTHONY NAPLES - P O T - PROIBITO

4
STELLAR OM SOURCE - ELITE EXCEL - RVNG

5
MIX MUP - AFTER THE JOB - HINGER FINGER

6
MM/KM - MIX MUP & KASSEM MOSSE - THE TRILOGY TAPES

7
ONOE CAPONOE - DJRUM VS EP - 2ND DROP

8
DEADBEAT - CLAUDETTE - ZAMZAM SOUNDS

9
V.A - LIVITY SOUND - LIVITY SOUND

10
LEVON VINCENT - HILO EDITION - NOVEL SOUND

Jazzdommunisters - ele-king

 このコンセプト・アルバムは複数の位相において挑戦的で、作品を賞賛すること自体も挑戦となるかもしれない。え、あの菊地成孔と大谷能生のヒップホップ・アルバムでしょう~という先入観と偏見が、ある人はどうしてもあるでしょう。なにせ、あの、ひとクセもふたクセもある菊地成孔と大谷能生だ。僕自身にもそれがまったくなかったとはいえない。たとえば、理詰めで作られるヒップホップに生気はあるのか──もし君がそう思っているなら、間違っている。多かれ少なかれ、理屈がなければ作品は作れない。音楽に気持ちが必要だとするなら、『Birth of Dommunist』には唖然とするほど気持ちが横溢している。そして、彼らは自分たちをさらけ出している。格好付けているが格好付けていない。こそこそしていない(ま、ドミューンにはじまっているのだからこそこそしようがない)。
 なんて、偉そうなことを僕が言えた義理でもない。僕がこのCDと出会ったのも探求心からではなく、偶然によるものだった。たまたま、数年ぶりに見たデート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンの素晴らしいライヴ演奏が、会場で売られている本作を買うことに迷いを与えなかったのである。ジェイク・バグは新作で、「俺たちはそれを言葉にすると誰かがツイートするんじゃないかと恐がっている」と歌っている。それではツイッターを恐がらずに書いてみよう。我々は村社会を出て、アーバンに生きているのだから。

 そして、俗事に耽り、ゴミの山から聖なるものをほじくりだそうとする。『Birth of Dommunist』からは、まずはそんなアンビションを感じる。ジャズとヒップホップ、そのふたつの混合に関しては、マッドリブにせよ、フライング・ロータスにせよ、目新しい試みではないのだが(20年前は、ジャズをサンプリングしただけでジャズ・ヒップホップなんて呼ばれましたな)、ジャズドミュニスターズのジャズ・ヒップホップは、彼らなりの根拠にもとづいている。ジャジーな雰囲気を楽しむものとは違って、より実践的で、よりコンセプチュアルだ。ラップのフロウ(フリースタイル文化)はジャズの即興性において再解釈され、ヒップホップ・ビートの先鋭性は彼らの回路のなかで読み取られる。彼らなりの確固たるジャズがあり、ヒップホップがある。新宿二丁目を彷彿させるニューウェイヴ・ディスコ風の曲もある。

 ジャズとヒップホップ、言うまでもなく、ともに夜の都会の喧噪のなかで研ぎ澄まされた夜行性の文化だ。陶酔がなければ人は集まらないし、高揚がなければ人は喜ばない。ゲスで、なおかつ高尚でなければならない。『Birth of Dommunist』はそうした要望に応える。アルバムのオープニングは、ばかばかしく、酔っぱらっているかのように、ふざけている。フランス語と英語を交えての悪ふざけは、かたや呆れられ、かたや彼らへの偏見を逆なでするかのようだが、2曲目の、絶妙につんのめるエレクトロ・ファンク・ビートが鳴り響けば、場面は転換して、数秒後にはこの音楽から離れられなくなっている。菊地成孔からOMSBへとマイクは渡され、『Birth of Dommunist』のいびつさの片鱗が見えはじめる。いびつさ、猥雑さ、カオス……
 飲み屋のカウンターにずらっといろんな世代が並んでいるように、ベテランのジャズマンが20代のラッパーとマイクを交換し合っている。それ自体が画期的といえば画期的だ。複数のラッパーがいて、アルバムのなかではフロウの種類の違いを意図的に見せているという話を、次号紙エレキングの取材において菊地成孔はしてくれたのだが(本人のラップは、近田春夫をはじめとする日本のオールドスクールを意識したもの)、MOEが参加しているように、『Birth of Dommunist』はラップ以前のポエトリー・リーディングにもアプローチしている。語彙の多さはジャズドミュニスターズの武器のひとつだ。饒舌で知られるふたりは、なかばダーティに、言葉で楽しませることを忘れない。
 もちろん、OMSB、DyyPRIDE、MARIAといったシミラボからの3人、MOE、市川愛らの客演も“売り”になろう。個人的に言えば、シミラボの3人が参加しているということも購入の動機になっている。だが、このアルバムの大きな魅力は猥雑さにあると僕は見る。猥雑さは、放漫さは、ジャズドミュニスターズの衣装であり、素振りであり、故郷だろう。
 「街の中で、生まれるということは、 一生を放浪して過ごし、自由であることを意味する。」──“HERE & THERE”において朗読される吉田健一の訳によるヘンリー・ミラー『暗い春』に、菊地成孔はジャズドミュニスターズのコンセプトを代弁させている。そして、この見事な引用は、いまも呼吸しているアーバン・ミュージック/ストリート・ミュージックへの賞賛と共感を意味しているかのように聴こえる。都会の詩人は他界したが、都会の詩は生き続けているのである。
 だが、『Birth of Dommunist』がベテランのジャズマンと若いラッパーによる、よく練られた都会の叙情詩というだけの作品であったのなら、僕はこんなレヴューを書かなかった。アルバムの本当のクライマックスは、DyyPRIDEとMOEをフィーチャーした“Agitation”という曲にある。こんなにもむき出しに、怒り、アンガーを表明にしている菊地成孔は見たことがない。いちど聴いたら忘れらないほど、その怒りは堂々としていて、力強い。そのとめどなく溢れる感情は、知性のある、大人な彼らをもってしても、予想外の、即興的な発露だったのではないだろうか。

 追記:本日29日、エレグラで出店しております。橋元優歩もいるので、彼女に励ましのひと言を! 編集部はつねにヒップな殺し屋=ライターを募集しておりますので、そんな夢のある方も声をかけて下さい。午前2時ぐらいまでなら、生きていると思います。

禁断のサイボーグかおり! - ele-king

 禁断の多数決の新譜、もう聴きました?
セカンド・アルバム『アラビアの禁断の多数決』ですよ。インタヴューからも本当におもしろい存在だということが伝わってきますよね。
そんな彼らの「ツイン・ピークス集団」にサイボーグかおりが迎えられた模様! 収録曲“トゥナイト、トゥナイト”のスピンオフ・ミュージック・ビデオが公開されています。いったいどんなセッションを見せてくれるのか!?

リズムを刻まずにはいられないお嬢様育ちの女子大生ヒューマンビートボクサー「サイボーグかおり(CYBOG KAORI)」を迎えた“トゥナイト、トゥナイト”スペシャル・ヴァージョンです!!

CYBORG KAORI and 禁断の多数決「トゥナイト、トゥナイト session」


「禁断の多数決」のリーダーである「ほうのきかずなり」が監督を担当。
◆ 禁断の多数決 オフィシャルサイト ⇒ https://kindan.tumblr.com
◆ サイボーグかおり オフィシャルブログ ⇒ https://ameblo.jp/saketoba0212/


Liveミュージックのつくり方 - ele-king

 「Ableton Live」といえば、DTM用でありながらリアルタイムの操作性に優れた、ソフトウェアというより、触れれば音の鳴る弦楽器や打楽器のような、というか、エレクトロニック・ミュージックに携わる者にとってはまことに使い勝手のよい名機だが、Ableton Liveをテーマにデモンストレーションとパフォーマンスを行うイヴェント〈FADE TOKYO〉を今週および来週末開催するという。開催にあたり、米国から公認トレーナーであるジョシュ・ベスが来日。両日にわたり質疑応答とライヴ演奏をまじえながら、Ableton Liveでの楽曲制作方法、MIDIアウト使用したライティングの操作を教授する一方で、24日のスペシャル・ゲストに井上薫、29日はKOYASを招き、創作やライヴの場でソフトウェアをどのように用い、かつその相関関係でいかにして音楽ができていくかを体験する、またとない機会になるにちがいありません。

 ほかにも、今年、実験的でありながらやわらかなポップ・センスを感じさせるファースト・アルバム『In Between The Last Tone And Silence』をリリースしたEcho in Mayも両日ともに出演し、入門者にもやさしいレクチャーとパフォーマンスを披露してくれるとのこと。

 かくいう機械音痴なわたしでさえ、フィールド・レコーディングした音を加工したり打ち込んだり、Ableton Liveにはひとかたならぬお世話になっているくらいですから、これから音楽をつくろう、つくりたいと思っている読者はひとつ、PC持参で参加してみてはいかがでしょう。

■Ableton live Conference「FADE Tokyo」 ~supported by High Resolution~

会場: fai aoyama

■Day 1:2013年11月24日(日)
open 16:30
price ¥2000 / 1d

special guest speaker & performance
Kaoru Inoue

guest speaker & performance
Josh Bess
Echo in May(Fluxia)
coa(ROKURO/coma)

Live performance
Reatmo
inotsume takeshi
疋田 哲也+中山剛志
DJ At(BlackRussian)
and more…

■Day 2:2013年11月29日(金)
open:21:00
price:¥2000/1d

special guest speaker&performance
KOYAS

guest speaker&performance
Josh Bess

Live & DJ performance
Kazuaki Noguchi (Modewarp)
Echo in May (Fluxia)
MINIMA LIEBENZ (DJ SAIMURA×SHINYA MIYACHI)
GORO (Arabesque Greenling | Snows On Conifer)
DJ At (BlackRussian)
DJ Kohei Suzuki
SASAKI JUSWANNACHILL
DJ Oikawa
Yosuke Onuma
Uka
and more...

Anton Zap - ele-king

 「俺は絶対にダフト・パンクもディスクロージャーもかけない」と胸を張ったのはブラウザだった。彼も関わっているレーベル〈My Love Is Underground〉の名付け親は、DJディープだそうだ。90年代末のフレンチ・タッチ(90年代末にポップの表舞台に躍り出た、ダフト・パンクやエールなどのフランス勢の総称)とは意識的に距離を置いたベテランDJで、僕はパリで彼と会ったことがあるのだが、この男、自分が知っているDJのなかでも3本の指に入る反骨精神の持ち主だ。まさに信念の人といった感じで、誇り高きアンダーグラウンドの住人とでも言えばいいのか。
 そんな彼のやってきたことが新しい世代に受け継がれていることは歴史を知る者にとってかなり感動的な話なのだが、君にとっても喜ばしいことだと思う。“キャン・ユー・フィール・イット”でも「アトモスフィアEP」でも〈Prescription〉時代のロン・トレントでも、その手の音楽がかかっているとき、あり得ないほど優しい気持ちにはなれても、無理なナンパをしたり、暴力的な気持ちにはならないだろう。重要なのは音楽であり、人だ。
 アンダーグラウンド・パリスやブラウザをはじめ、ディープ・ハウスへの世間の注目を加速させたのは、ザ・XXやジョイ・オービソンらベース・ミュージック世代のハウスへのアプローチと90年代リヴァイヴァルであることは、ブラウザ本人もわかっている。5年前、ハウスはほぼ死んでいたと彼も言った。あの頃はベルリンのミニマルばかりが騒がれ、ディープ・ハウスなんざぁ誰も見向きもしなかったけどな……と愚痴りたくもなろう。しかし、好むと好まざるとに関わらず、ディープ・ハウスは90年代リヴァイヴァルという流行のなかで蘇った。ベルリンのテクノと拮抗するかのように、パリがまた重要な役割を果たしそうなところも興味深い。
 スターDJがいて、だーっと大量の客が入って、がーっと踊って、わーっと騒いで、だーっと家に帰ると。あれ、それって財布の中身と体力を消耗しただけで、なんか違うんじゃない? それはカタルシスなのか? はっきり言って空しい……などと思った方々が「バック・トゥ・ベーシック」をスローガンに、もう一回小さいところから仕切り直そうぜとおっぱじめたのが、90年代なかばのディープ・ハウスだった。俺らが求めていたのは、水商売でもないし、ナンパでもない。音楽だろう、ロン・トレントだろう、ノーザン・ソウルだろう、last night DJ saved my lifeだろう。これがいまふたたび起きている。いや、ずっと起きているのだが、急速に見えやすくなったディープ・ハウスなるシーンである。
 アントン・ザップはロシアのDJ/プロデューサーで、NYのディープ・ハウス・シーンのキーパーソンのひとり、Jus-Edの〈Underground Quality〉から多くの作品を出してる。本作は〈R&S〉傘下の〈アポロ〉からリリースされた2枚組の12インチである。
 〈アポロ〉らしく、ひと昔前ならアンビエント・ハウスなどと呼ばれていたであろう、ゆったり目のBPMに、ハウスのビート、アンビエントなループと音響が重なっている……って、あれ? これって何年の作品? 1991年のエイフェックス・ツインの変名じゃない? 淡い残響のなか、電子音の優しいさざ波が打ち寄せる1曲目の“Water”を聴いていると、『アンビエント・ワークス』の頃にエイフェックス・ツインにあまりにも似すぎていて……。要するに、ここにはIDMやテクノのセンスが注がれているのだ。個人的には無茶苦茶好みの音だけれど、やっぱりまだ大手を振って喜びきれないなぁ。しかし、期待はしたい。僕が知っているディープ・ハウスのシーンは、(主役となる音楽はUS産だが)いわばヨーロッパ型の、コミュニティありきのシーンだった。小さいシーンがいろんな場所にたくさんあるイメージで、そこは明らかに都市の避難所だった。
 アントン・ザップを、今日のディープ・ハウス・シーンのキーパーソンのひとりだったと言ったのはブラウザ、彼のインタヴュー記事は、次号の紙エレキングに掲載します。

DJ Yogurt (Upset Recordings) - ele-king

DJ Schedule
11/22(Fri.)@中野・Heavy Sick Zero
11/24(Sun.)@新木場・Studio Coast(Rovo and System7 Live/Opening DJを午後4時から)
11/30(Fri.)@三軒茶屋・Cocoon
12/4(Wed.)@渋谷・En-Sof
12/7(Fri.)@新宿・Be-Wave(19時-24時開催)
12/13(Fri.)@代官山・Unit
12/19(Thu.)@笹塚ボウル(りんご音楽祭・忘年会。19時-23時開催)
12/20(Fri.)@渋谷・Sundaland Cafe(19時-24時開催)
12/26(Thu.)@原宿/千駄ヶ谷・Bonobo
12/29(Sun.)@代官山・Unit
1/10(Fri.)@神戸
1/11(Sat.)@大阪
1/12(Sun.)@京都
1/18(Sat.)@高円寺・CAVE

HP : https://www.djyogurt.com/
Twitter : https://twitter.com/YOGURTFROMUPSET
Facebook : https://www.facebook.com/djyogurtofficial

2013年11月4日、5日の二日連続で恵比寿Liquid Roomで開催されたElectronic Music Of Art Festival Tokyo・・・
略してEMAF TOKYO 2013で自分はオープニングで50分間DJした後、その後のlive actが交代する間の「転換タイム」にもDJして、結局夕方4時から夜10時の間に計6回のDJをやりました。
このイベントはその名のとおり、基本的には電子音楽が流れ続けるイベントで、自分もこのイベント出演の為に選曲を色々と考えて、普段の週末のクラブプレイとは一味違う、「4つ打ち以外の曲だけをDJプレイする」コンセプトでDJしました。
これが自分でも新鮮で、一部のお客さん達の間でも好評だったので、当日に実際にかけた曲の中から、かけた順に10曲選んでコメント付きで公開します。
読みながら、音を聴いてもらって、当日の雰囲気が少しでも伝わったら・・・!


1
Synkro - Disappear - Apollo
お客さんが少しずつダンスフロアに来始めたPM4時半頃にPlay。
2013年に12inch2枚組"Acceptance EP"の1枚目B-1としてReleaseされた、Acoustic GuitarとElectricな音をセンス良く融合させた曲で、打ち込みだけどオーガニックな雰囲気も感じさせて、メロウなところもある曲。
R&S傘下のAmbient/Electronic Label、Apolloのここ数年のReleaseは気になる曲、興味深い曲が多い印象があり、自分にとって、Releaseする曲はなるべく一度は聴いてみたいLabelのひとつ。
https://youtu.be/-IvMw2DqP1Q

2
Lord Of The Isles - Nustron - Little Strong
2013年Release、"Galaxy Near You Part1"12inchのB-2に収録の"Nustron"は、前半は美しいAmbient、中盤にGroove感が強まって踊れそうなリズムに変化しながらも、後半は再びAmbientに戻る構成も面白く、この日は早い時間からお客さんが来つつあったので、フロアがやや賑やかになってきた時間にAmbientとAmbientの間に挟んで、ちょっと刺激を加える感じでPlay。
https://youtu.be/7BjLQovXkdY

3
Bola - Glink - SKAM
Autechre に作曲方法を教えたとも伝えられているDARRELL FITTONのユニット=Bolaが、Autechreと関係の深いマンチェスターのレーベルSKAMから1998年にReleaseした1stアルバム"Soup"の1曲目。自分はこの曲は90's electronicaを代表する名曲の一つと思ってて、Bolaの曲の中で一番好きな曲でもあったり。
https://youtu.be/pbtfx0h4pnc

4
Four Tet - Sun Drums And Gamelan - Domino
2005年にU.K.の人気レーベルの一つDominoからReleaseされた12inchのB-2に収録。
強烈にFunkyなDrum BreakbeatsのGroove上を、ガムランや笛等がミニマルに響く、ワールドミュージックとクラブミュージックの融合が産んだ傑作。
EMAF初日は自分の2度目のDJ時に既にダンスフロアがほぼ満員で、フロアのテンションが予想していたよりも高い印象を受け、Aoki TakamasaさんのliveもかなりDance Grooveを打ち出したliveになるのでは、と考えて、早い時間からテンションを上げていきました。
https://youtu.be/P7VuxbQB8bw

5
2562 - Intermission - When In Doubt
2011 年に12inch2枚組"Fever"の1枚目B-1に収録。PM4時に自分のDJで始まったEMAF2013も、3度目のDJを始める頃にはPM6時半 に。このあたりでDanceを念頭に置いた選曲でDJを始め、Aoki Takamasaさんのlive後、自分のDJ一発目にこの2562のDub Stepを。
https://youtu.be/aC2BzXUi1Ic

6
Beaumont - Rendez-Vous - Hot Flush Recordings
2012年にReleaseされたPost Dub Step良作。
MellowでJazzyな感覚も漂いつつ、リズムはDub Stepを通過した鋭さを感じさせるGrooveが心地良い。
自分にとっては多くのDub Stepがあまりにもメロデイーを軽視している気が多少していたので、この曲のようなメロディーが美しいDub Stepは待ってました、という感じ。
Hot Flushは他にもメロウな感覚が漂うPost?Dub StepをReleaseしていて、この数年すっかり注目のレーベルに。World's End Girlfriendのlive前、4度目のDJではDub Step~Post Dub Step多めな選曲でDJ。
https://youtu.be/qTn76STVKgQ

7
Throwing Snow - Clamor - Snowfall Records
1分22秒以後のメロデイーとリズムの絡みが生み出す高揚感がとてもカッコよく、2分36秒以後にはバイオリンのメロディーもミニマルに入ってきて、フツーのDub Stepとは二味違う豊穣な音楽性を感じさせるPost Dub Stepの良曲。
https://youtu.be/OAvbyO5q-hs

8
Lapalux - Close Call / Chop Cuts - Brainfeeder
World's End Girlfriendのlive直前に自分がDJ Playしたのがこの曲。
Ninja Tuneのサブレーベルから2012年冬に出た12inch"Some Other Time"のB-2に収録。
これが最新型の歌ものPOPSの理想形と思ったりすることもあるほど好きな、一応「歌もの」曲。エフェクトの使い方が強烈。
https://youtu.be/NIiRPmNmSLg

9
Divine Styler - Directrix(Indopepsychics Remix) - Mo'Wax
EMAF2013を主催したPROGRESSIVE FOrM主宰のnikさんは、以前にはDJ KENSEIさん、D.O.I.さんと3人で"Indopepsychics"という音楽制作ユニットを組んでいて、この2000年作は彼らがノリに乗っていた頃の傑作Remix。
自分がDJ光君と出会った2003年~2004年頃に、光君がよくDJ Playしていた「光クラシック」の1曲。2013年に聴いてもカッコいいと思う。
https://youtu.be/nkJIKH1GW7Y

10
Hauschka - PING(Vainqueur Remix) - Fat Cat
いよいよ大トリのCarsten Nicolai(Alva Noto)のlive直前、自分の6度目のDJの最後にかけたのが、Fat Catから2012年にReleaseされた12inchのAA面に収録の、Dubby Abstruct Electronic Grooveの傑作。
Basic Channelフォロワーの中で一番Basic Channelの感覚を理解しているんじゃないかと思う事もある、Vainquerの最近作をLiquid Roomのメインフロアで爆音で鳴らして、Carstein Nicolaiの登場へ・・・
https://youtu.be/YP7LclEsMWs



渋谷慶一郎+岡田利規 『THE END』
- ele-king

 客層のまったく読めない客席だった。〈Bunkamuraオーチャードホール〉にここまで異なる人種が集まること自体かなり珍しいのではないだろうか? わたしの右隣のおじさんは小難しい評論集を紐解きながら、連れのおじさんと、最近のチェルフィッチュは迷走しているように思えるね、『三月の5日間』から『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』までは若者特有の切実さが保たれていたんだよ、しかしその主題から離れて以降は……うんちゃらかんちゃら、と自説を開陳している一方で、わたしの左隣のお姉さんは全身、初音ミクそのもの(かつらではなくあれは地毛をこの日のために緑色に染めたのだろう)。この落差。どこで知ってだれを観に来たのか、という質問を投げかければとてつもなくばらばらの答えが返って来るに違いない。それほどまでに多くの要素を含んだ公演だった。客席にたどり着くまでに否応なく目に入るような位置に展示されていた、〈ルイ・ヴィトン〉のコスチュームに身を包んだ初音ミクの等身大フィギュアがその点では一種の踏絵と化していて、さかんに撮影する者と完全に素通りする者とに、人種がはっきりとわかれていたことを余談として付け加えておく。

 2013年5月23日、24日の二日間、〈Bunkamuraオーチャードホール〉にて行われたボーカロイド・オペラ『THE END』は、2012年12月の〈山口情報芸術センター(YCAM)〉での初演時からすでに話題にはなっていたが、8トンという客席そのものが震えるほどの音響機材が投入されたり、ラスト・シーンに大幅な変更が施されたりと、もはや再演というにはアップデートされすぎた東京公演は、注目の的となっていた。

 そもそも『THE END』とはいかなる公演なのか? 通常、オペラといえば、舞台上で衣装を着けた出演者が、演技や台詞だけではなく、大半の部分を歌手による歌唱で進める演劇のことを意味する。しかし、『THE END』の際立った特徴としては、人間の歌手もオーケストラも登場しないことが挙げられる。電子音響と立体映像によって構成された、世界初のボーカロイド・オペラ・プロジェクト。渋谷慶一郎と岡田利規と初音ミク、という発表されるまで想像したこともなかった組み合わせ。「どういういきさつでこの三者が一堂に会することに?」はじめて知ったときには耳を疑い、思わず首をひねったものである。

 ここで音響機材の重さをもう一度確認しておこう。8トン。想像の埒外にある重さ。無用な心配だとは承知しながら、カバンに耳栓を忍ばせていった臆病者がここにいることを告白しておく。そのあまりにも付け焼き刃的な対策は、正直に言ってまったくの杞憂に過ぎなかった。もちろん最初から最後まで客席は大音量で震えていた。しかしながら音響スタッフの行き届いた配慮のなせる業であろう、どれだけの轟音が届いたとしても、耳にじんわりと痛みが走るどころか、不快さを抱くことさえないままだった。

 オペラということで華々しいものを期待していた観客は面食らったのではないだろうか。いや、確かに圧巻の映像は華々しい、けれども、語られるあらゆることが、拭いようのない陰鬱さを帯びていた。
 初音ミクは一貫して正体不明の不安に苛まれていた。もちろん、いくつかの原因らしきものは物語のなかに存在する。髪も色も似せようとした、しかし全然似ていない初音ミクの劣化コピーが自分のほうへ向かってくること。いままで考えたこともないだろうけれど人間と同様にあなたも死ぬ運命にある、と突然告げられて動揺すること。記憶が曖昧であるいは嘘で、知らない場所か来たことのある場所かの区別もつかないこと。何かを与えられないと、動くことも話すこともここにいることもできない、常に「短く死んでいる」存在であることに気づくこと。それらのすべては不安の原因らしきものだが、原因ではない。
 不安を煽る初音ミクの劣化コピーに惑わされるけれど、注意しておきたいのは、初音ミクは最初から正体不明の不安に苛まれていた、ということだ。ここに原因と結果は存在しない。物事と物事が繋がっていって、結末が導き出されたわけではない。初音ミクは登場時からすでに、コンセプトの段階で、そのような病を抱えなければならない存在だった。蜂の巣を突っつかれただけで、はじめから大量の蜂が巣のなかを飛び回っていたのだ。
 無限に増幅する不安、という病。
 この病をどのように受けとめればいいのだろう?

 いまさら『THE END』についてわたしには何も語れない。21世紀にオペラがボーカロイドで行われることの意義、各界から噴出した過剰なまでの反発、旧来の初音ミク像をぶち壊したともアップデートしたともいえるデザインとその映像美、どれも言い尽くされてしまった。半年もたてばあらゆる要素は言い尽くされ、検索をかければ簡単に全体像が浮き上がってくる。というわけでここでは、ともすれば「はあ?」とあっけにとられてしまうような、一見なんの関係もなさそうなものを無理矢理ぶつけてみることで、『THE END』像をぶち壊したりアップデートしたりしてみたい。ただの劣化コピーに終わらなければいいけれど。

 『THE END』のラストシーンを目にしたとき、真っ先に脳裏によぎったのは中澤系だった。中澤系はディストピア的なシステム社会に疑義を唱える作風の歌人で、今回の物語の根幹にかかわる問題意識と深いところで響きあっていた。特に関係のありそうな短歌を引用しておこう。

終わらない だからだれかが口笛を嫌でも吹かなきゃならないんだよ
サンプルのない永遠に永遠に続く模倣のあとにあるもの
ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ
中澤系『uta_0001.txt』(雁書館 2004年)所収

 もちろん渋谷慶一郎と岡田利規が知っていたとは当然思えないが、これらの歌は、初音ミクの劣化コピーが初音ミクを責め苛み、ラスト・シーン間近に「終わりはくりか」という「終わりはくりかえす」という字幕の途中で「くりか」が消去され、あらためて「終わりはいくつある?」と打ち直されるこの趣向に、不思議と寄り添ってはいないだろうか?
 わたしは口笛を無意識に吹いてしまう悪癖がある。もちろんひんしゅくを買うような公共の場ではなるべく慎むように努めているけれど、感銘を受けたライヴのあとにはついつい先ほどの心の震えを取り戻そうと悪あがきを試みるかのように、耳に焼き付いたメロディを口元で復唱してしまうのだ。今回もやった。渋谷駅まで渋谷慶一郎+東浩紀 feat.初音ミク“イニシエーション”の口笛を吹き続けたのである。
 帰りの電車の中でふと“イニシエーション”でイニシエーションをしていたことに気がついた。
 わたしは無意識に、いましがた目撃したばかりの初音ミクの劣化コピーになろうとしていた。

 イニシエーションとは、いうまでもなく通過儀礼のことだ。観客は『THE END』という一種の通過儀礼を経て、初音ミクの劣化コピーを体内に受精させていた。終わりは繰り返さない。終わりは交尾する。終わりは繁殖する。終わりは感染する。終わりは永遠に模倣され、歌のなかに宿る。模倣された歌がわたしに歌われた瞬間だけ、初音ミクは壊れるまえの表情を取り戻す。どれが劣化コピーか見分けがつかなくなるほどに大量の劣化コピーが、わたしを容赦なく蝕む。
 わたしは蝕まれることを愛おしく思う。終わりがいくつもいくつもいくつも、数えきれないくらいの終わりがわたしを包囲することを疎ましくは思わずに愛おしく思いたい。劣化コピーの影に常に怯えなければならない21世紀の宿痾を慈しみたい衝動を、誰かに糾弾される筋合いはない。糾弾もいずれ劣化する。
 膨大な『THE END』のレヴュー、その劣化コピーのレヴュー、その劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴュー、その劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴュー、その先にあるものに未来を託したいわたしの思考回路はすでに終わっているのかもしれない。いくつかあるうちの終わりのひとつがいま、ここにある。

『THE END』
渋谷慶一郎+初音ミク
発売日 11月27日(水)

■完全生産限定盤
8500円(税抜) MHCL2400〜2403

・20世紀記録メディア仕様:
LPサイズBOX、EPサイズブックレット(写真、図版多数)、カセットサイズ・ブック(オペラ台本完全版)、オペラ全曲を収録したCD2枚組、「死のアリア」など3曲のミュージック・ビデオと制作風景の記録DVDを所収。スペシャル・ブック:ジャン=リュック・ショプラン(パリ・シャトレ座支配人)、茂木健一郎×池上高志対談、蜷川実花、高橋健太郎、鈴木哲也(honeyee.com)ほか豪華執筆陣によるオリジナル・テクスト、渋谷慶一郎による全曲徹底解説など120ページを収録。

Tower HMV Amazon

■通常盤(EU edition)
2381円(税抜) MHCL 2404
・紙ジャケット(仕様1枚)

Tower HMV Amazon

MARK E - ele-king

Mark E Japanツアー
11.22(金) 名古屋 @ Club JB’S
Info: Club JB’S https://www.club-jbs.jp
名古屋市中区栄4-3-15 丸美観光ビルB1F TEL 052-241-2234

11.23(土/祝) 東京 @ AIR
Info: AIR https://www.air-tokyo.com
東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビルBF TEL 03-5784-3386

Running BackからBlack Country RootsというEPが先日リリースされました。
https://www.juno.co.uk/products/mark-e-black-country-roots/506311-01/

Merk Music:
https://mercmusic.net
https://twitter.com/mark_e_merc
https://www.facebook.com/pages/MERC/124366710936688

THE BLACK COUNTRY ROOTS CHART


1
Tony G - Simple Dreams - infinite juju

2
Glbr & Sotofett - Foliage - Versatile

3
Young Marco - In the Wind - Rush Hour

4
KDJ - Imotional Content - TP Deep remix - JDRecords

5
Mount Kimbie - You took your time - Warp

6
Roc & Kato - Jungle Kisses -eLegal

7
Mark E - Black Country Roots - Runningback

8
Pat Methany - Are you going with me - GU remix - white

9
Black Rox 1 - Black Rox

10
Frak - Matador
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