「CE」と一致するもの

HeavysickZERO - ele-king

 東京のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンの重要拠点〈中野heavysick ZERO〉が10周年を迎える。ということで、8月24日(金)、25日(土)に盛大にアニヴァーサリー・パーティが開かれてしまう! まずは、おめでとうございます!!! 僕が、この、山の手の外れの小さな箱から学んだことと言えば......当たり前のことだが、新しい音楽が生まれる背景には、果敢な挑戦や実験を好む向こう見ずなミュージシャンやバンド、DJやラッパーを応援するクラブやライヴ・ハウスがあり、また、それらを支える献身的なスタッフや情熱的なミュージック・フリーク、そして、最高にファンキーな野次馬たちがいるということだ。音に対しては厳しくても、朝まで酩酊したり、酒癖の悪い、だらしない人間にも優しかったりする、そういう連中が集まるクラブで、刺激的な音楽文化が創造され、根づくということだったりする。
 注目すべきことに、10周年記念のコンピまで発売される。しかも全曲、このコンピのための録り下ろしだ。ザ・ヘビーマナーズにはじまり、ルミとキラー・ボングの強烈な初コラボ曲、シンガー、チヨリとスティルイチミヤのヤング・Gがタッグを組んだ曲、MJPのDJケン、アサやザ・ブルー・ハーブのO.N.Oやダブステップ・シーンで今注目のDJドッペルゲンガーのトラックも収録されている。
 アニヴァーサリー・パーティの出演者に関しては、以下のインフォを見て欲しい。知らない名前があったとしても、あなたがいちばん最初の発見者になるかもしれない。それが、この箱で遊ぶ最大の魅力。とにかく〈中野heavysick ZERO〉らしく、ダンス・ミュージック、ヒップホップ、ダブ、アヴァンギャルド、ダブステップ、ノイズが渾然一体となったファンキーな二日間になるでしょう。僕も遊びに行きます。乾杯しましょう。(二木信)


『HeavysickZERO 10th ANNIVERSARY』
~ SPECIAL 2DAYS ~

[特設WEB]
https://www.heavysick.co.jp/zero/2012_10th.html

8月24日(金)

- ACT -
THE HEAVYMANNERS
DJ KIYO(ROYALTY PRODUCTION)
CHIYORI with LOSTRAINS
INNER SCIENCE
DJ KEN(MIC JACK PRODUCTION/ILL DANCE MUSIC)
DOPPELGENGER
噛ます犬[asa / DJ HIDE / ICHIRO_ / DJ noa]
惹蝶
MIZUBATA(一○∞)

8月25日(土)

- ACT -
O.N.O - MACHINE LIVE -
K-BOMB
DJ DUCT(THINKREC.)
CONOMARK
OPSB
TAICHI(Stim/Nice Brew)
Yousuke Nakano(DUBBING HOUSE)
DJ SATOSHI(izmical/NNNF)
jitsumitsu(P.V.C.)
HAGIWARA(FAT BROS)
Militant B

@heavysick ZERO
[OPEN&START]23:00
[DOOR]3000YEN(1D)
[W.F]2500YEN(1D)

≪information≫
heavysick ZERO
〒164-0001
東京都中野区中野5-41-8 B1F/B2F
TEL: 03-5380-1413
WEB: https://www.heavysick.co.jp/zero/
※JR中央線/総武線「中野駅」北口下車、早稲田通り沿いの"モスバーガー"を過ぎた先。
"からあげ塾"の地下です。



Various Artists
『heavysick ZERO 10th ANNIVERSARY』
heavysick ZERO / ULTRA-VYBE, INC.
2,000円(税込)
2012年09月05日発売!!

『~ローカリズムとリアリティー此処にあり~』

 独自の文化が渦巻く中央線"中野"にて、一般的な流行廃りには左右されず、型にはまら ないスタイルで自由な音楽パーティーを実験的かつ挑戦的にバラ撒き続けるheavysick ZERO。そんな現場第一主義で2012年に10周年を迎えるheavysick ZEROが、過去と未来を繋ぐ重要アーティストを中心にオリジナル楽曲をコンパイル!!! 全曲・本作が初だし音源のみという豪華内容に加え、Heavysick ZEROだからこそ成し得たジャンルの枠組みを取っ払った数々の楽曲、
自慢のサウンドシステムにて最高の音を体感出来るようなサウンドに仕上がっている。

01. THE HEAVYMANNERS / HEAVYSICK MANNER
02. SKIT 1
03. RUMI x KILLER-BONG / suck'n'chill
04. SKIT 2
05. asa feat. nuffty / NAKA - 噛ます犬REMIX -
06. O.N.O / eng
07. SKIT 3
08. 惹蝶 feat. 宮本 忠義 / Interesting City Nakano
09. MIZUBATA +小宮守+ペヤング+ILLSUGI / HAI-SAI-GARA
10. Like A Rolling Stone [DJ KEN & 響大] / Slowdown Sundown
11 .SKIT 4
12. DJ DUCT / Run the Game !
13. SKIT 5
14. DJ SATOSHI / sexual appetite
15. Yousuke Nakano / NO GENERATION
16. SKIT 6
17. OPSB / PUSH
18. DJ Doppelgenger feat. saara / Grounding
19. CHIYORI x Young-G / 憂晴れ
20. SKIT 7
21. OUTRO
22. SKIT 8

SKIT:森田貴宏

ZAZEN BOYS - ele-king

 ザゼンボーイズの『すとーりーず』、4年ぶりの新作、これがすごい。リズミックで、フリーキーで、強力なファンクが展開されている。キャプテン・ビーフーハートの遺伝子全開といったところだが、それはいつものことか......。とにかく、欧米でマス・ロックと呼ばれているジャズとロックとのダンサブルな出会いを、ザゼンボーイズはポップに咀嚼する。
 だいたい「繰り返される諸行は無常......」、お馴染みのこの言葉が、いまはまたあらたに響くでしょう。「諸行は無常......」、これは何かつらいことがあったときに現実を誤魔化し、逃避するために言葉ではない。これは何かつらいことがあったときに、そのつらさに情が呑まれて身動きが取れなくなってしまうことへの、日本人の防御反応、つまり、宗教心というよりも、自分の気持ちをラクにするための知恵だ。
 おそらく、世界のほかの都市では、いろんな民族が多様な声を露わにするために、なにか大事が起きたときも自分の情は相対化されやすい環境にある。ロンドンで裕福な人たちが涙でくれているその傍らで黒い人たちが笑っていることは珍しくない。その分、連帯感など生まれようにないのだけれど。ところが、昔にくらべれば外国人の人口も増加したとはいえ、ほとんどが日本人で占められている日本という国では、あるひとつの方向性の情はマスメディアを通じて瞬く間に伝播し、ある種の力となって、多種多様な自我を覆い尽くす。みんなが泣いているかたわらで笑っているわけにはいかなくなる。わかっちゃいるけど、連帯感を欠いている人間には息苦しい。
 そういう意味では、ザゼンボーイズは、土着的な日本でありながら異邦人的でもある。向井秀徳の「パンツ一丁になって踊れ」からは、おそらくは彼が理想とする社会──昨年だっけかな、iLLとのコラボ作"死ぬまでDANCE"で映像化されたような、多種多様な色の人たちが一緒に踊っている世界が見える。その強烈でケオティックな思いゆえか、彼らの音のうねり、言葉と音のファンクネスはいまも際だっている。ポテトサラダが食べたい人はもちろん、バトルスが好きな人も是非聴いてみて!

 『すとーりーず』の発売は、9月5日。特典がいっぱいついたデジタル配信もある。詳しくは→(https://www.mukaishutoku.com/main.html)、視聴もできます。

BASSの時代 - ele-king

 日本のベース・ミュージックについて改めて考えてみると、「ベース・ミュージック」という言葉を日本人が使いだしたのは東では〈Drum & Bass Sessions〉、西では1945 a.k.a KURANAKAが率いる〈ZETTAI-MU〉に代表される方々が支えてきた「ドラムンベース」や「ラガ・ジャングル」の登場以降だと推測される。
 しかし、近年では「ベース・ミュージック」という言葉の意味にかなり広がりを持つように進化し続けていると思う。もともとは海外でマイアミ・ベースやゲットー・ベースなどのヒップホップやエレクトロからの流れが「ベース・ミュージック」と言われだしたのがはじまりだろうし、「DUB STEP」という言葉にある「DUB」についてはもっと昔から存在する手法だ。
 そんな「ベース・ミュージック」の言葉が持つ深いポテンシャルに注目し、日本におけるベース・ミュージックの現在進行形を体験できる貴重な機会があったので、少々時間は経ってしまったが、レポートしようと思う。

 〈Outlook Festival〉とは、ヨーロッパはクロアチアにて数日間に渡って開催され、世界中のアーティストやDJ、そしてサウンドシステムが集結する世界最大級のベース・ミュージックの祭典だ。その錚々たるラインナップには、リー"スクラッチ"ペリーやマックス・ロメオやジャー・シャカといった、生きるレゲエ・レジェンドたちからスクリームやデジタル・ミスティックズなど、最先端ダブステップ・アーティストが一斉に名を連ねる。

 ある日、Part2Style Soundの出演するクロアチアの〈Outlook Festival〉に同行したeast audio sound system(イーストオーディオ・サウンドシステム)のtocciの体験談として「BASS MUSICは体で体感する音楽である。しかるべきサウンドシステムで鳴らせば、その重低音は肌から伝わり、体のなかを振動させ、ついには喉が震えて咳き込むほどの音楽だ」という見解を、過去にサイトにアップしていたのを読んで、自分の目を疑ったのと同時に「体感してみたい」という思いが芽生えた。その個人的な思いは「Outlook Festival Producer Competition」という、勝者はクロアチアへのチケットを手にすることができるコンペに自作曲を応募する形でぶつけてみた。仲間や応援してくれたみんなのおかげもあって、数多く存在するファイナリストまでは残れたものの、結果としては敗北に終わり、悔しい思いをしたのも記憶に新しい。
 そんな〈Outlook Festival〉の日本版がPart2Style とイーストオーディオ・サウンドシステムによって、今年も開催されると知ったのは春のはじまりのころで、それを知ってからは毎日のように「Outlookを体験したい」と心のなかで連呼したが、どうしても行きたい思いとは裏腹に、諸事情により今回のフェスへの参加を諦めていた。
 その矢先、小説家であり、ライターであり、大阪の夜の飲み先輩であるモブ・ノリオさんから一本の電話がかかってきた。
 以前、モブさんにとあるパーティで会ったときに酒を飲みながら〈Outlook Festival Japan Launch Party〉がいかなるものかと熱く説明したことがあり、そのときに何度も「それにはお前は行かなあかんやろ」と言われたが、「行きたいですねぇ......」と返すのが僕の精一杯の返答だった。それを察しての電話口だった。「〈Outlook〉行くの?」と聞かれ、「めちゃくちゃ行きたいですけど、もう諦めました」と返すと「行かんとあかんときっていうのは、どうしても行かんとあかん。お前、ああいうことを自分で書いといて、いかへんつもりなん? それはあかんぞ......あのな、エレキングで取材の仕事をセッティングしたから、行って来てレポートを書いてみぃへんか? 文化を体験するって行為は絶やしたらあかんで」
 涙がでるほどの奇跡が起きた。僕のなかで行かない理由はなくなった。

 5月26日、TABLOIDの隣にある、日の出駅に着いたときに、まず驚いた。改札を通るときに重低音の唸りが聴こえてきたからだ。駅から会場までの近さも手伝って、初めて行く会場への方向と道のりを重低音が案内してくれた。会場の建物がどれなのかは、低音の振動でコンクリートが「ピシッ」と軋む音でわかった。ついに ここに来ることができた、と胸が高まった瞬間だ。

 会場に入り、さっそくメインフロアであるホワイト・アリーナへ向かうと、先ほどの駅で聴いた重低音の唸りがSPLIFE RECORDINGSがかけるラガ・ダブステップだったことがわかる。そびえ立つモンスター・スピーカーたちの城から発せられるその音は、「爆音」なんてものではなく、まるで生き物のようにスピーカーから"BASS"が生まれ、フロア中を駆けめぐった後、壁を登り、遥か高い天井で蠢く、「獣帝音」と言えば伝わるであろうか。そう、これがイーストオーディオ・サウンドシステムとTASTEE DISCOが繰り出す、メインフロアの音だ。驚いたのは、出番が終わったあとにSPLIFE RECORDINGSのKOZOから聞いたところによると、これでまだ50%ぐらいの音量だというのだ。驚きとともに、100%の音量を出したときに自分は正気でいられるのだろうか? 建物は大丈夫なのだろうか? などと、少しの不安と緊張感を抱くとともに、武者震いをするかのように心を踊らせた。

 大阪から到着したばかりで腹がすいていたので、メインフロアの後方にあるFOODブースへと向かった。
 DUUSRAAのカレーを注文し、待っているあいだにおもしろい出来事があった。テーブルの上に置いてあった誰かのカクテルのカップが、重低音の振動で勝手に動き出し、なかに入ってあるカクテルが噴水のようにしぶきを上げ、こぼれだしたのだ。それぐらい、建物自体が振動していたということだ。

 知人の皆と、久しぶり感がまったくない(1ヶ月前に会ったばかり)挨拶やジョーク等を交わし、会場全体をウロウロとまわるうちに最初の狼煙が上がった。Part2Style最重要ユニット、ラバダブマーケットの登場だ。Erection FLOORと名付けられたフロアで鳴り響く、姫路は最高音響サウンド・システムの音も、サブ・フロアという陳腐な言葉では片づけられない、まさしく最高の音だった。その音は暖かく、どれだけの音量で鳴っていたとしても耳が疲れない、例えて言うならマホガニーサウンドだ。しかし、鳴っている音量はかなりのもので、ここのフロアが階段を登った2階にあったのも手伝ってか 振動が床を伝い、足から体全体が震え、まるで自分がスピーカーになったような錯覚すら覚えた。そんな最高音響でのラバダブマーケットのライヴは、フロアの反応も最高だった。Dread Squadの"Sleng Teng International Riddim"にジャーゲ・ジョージとMaLが歌う"Digital dancing mood"~e-muraのJUNGLEビート本領発揮の"Bubblin'"~突き抜ける"MAN A LEADER"の流れは、正にリーダーが告げるこのフェスの本格的開始合図だった。そしてその勢いは櫻井饗のエフェクターを駆使した多彩なビートボックス・ライヴへと継がれていった。

 ホワイト・アリーナへ戻ると会場にも人が溢れ返っていて、LEF!!!CREW!!!が、フロアにいるオーディエンスをハイテンションでガンガンにロックしていた。休憩しようと外へ向かう途中にグラス・ルームではDJ DONが、まだ生まれて間もないベース・ミュージック、ムーンバートンのリズムで"Bam Bam"をプレイしていた。僕もよくかけるリミックスだ。ついつい休憩のつもりがまたひと踊りすることに。Jon kwestのアーメンブレイクを切り刻んだムーンバートン(これまた僕もよくかける)など、ニクイ選曲にTRIDENTがパトワのMCで煽る。108BPMという、遅いような早いような不思議なテンポに錯覚してしまい、ついつい踊らされてしまうのがムーンバートンの魅力だろう。

 外の喫煙ブースでマールボロのタバコをもらい一服してからなかへ戻ると、さっきのグラス・ルームでは函館MDS CREWのボス、SHORT-ARROWがSUKEKIYOのMCとともにジャングルをプレイしていた。同じく函館から来ていたKO$は今回、カメラマンとしてもかなりいい写真を撮っていたので、是非チェックしてほしい。ここでも先ほどラバダブマーケットのライヴでも聴いたDread Squadの"Sleng Teng international"が聴けたし、時を同じくしてホワイト・アリーナではTASTEE DISCOがスレンテンをかけていた。

 この〈Outlook Festival Japan Launch Party〉の興味深いポイントとして、「ベース・ミュージックに特化したフェスティヴァル」ということでは日本ではかなり早いアクションだということだ。以前からPart2Styleは"FUTURE RAGGA"というコンセプトのもと、コンピュータライズドなレゲエをやっていたし、ジャングルやドラムンベースはもちろんのこと、最近ではダブステップやクンビアも自分たち流に消化して発信していたし、ムーンバートンを僕が知ったきっかけはMaL氏とNisi-p氏がふたりで作ったミックスだった。それらやその他もろもろを総じて、ベース・ミュージックと日本内で呼ばれ、波及しだしたのは ごく最近のことであり、まだまだ発展途上といえる段階だろう。スレンテンのベースラインは、この新しい試みのなかでも 互いに芯の部分を確かめ合うように呼応する不思議な信号や、電波のようにも聴こえた。

 時間が深まっていくなか、eastee(eastaoudio+TASTEE)が本領を発揮しだしたと感じたのはBROKEN HAZEのプレイだった。重低音が何回も何回も、ボディブローをいれてくるように体に刺さりまくる。激しいビートとベースで、まるでボクシングの試合でボコボコにされ、痛いどころか逆に気持ちよくなってしまう感覚だ。パンチドランカー状態になってしまった体を休めに、バー・スペースへ行きDUUSRAA Loungeの音が流れる中、友人と談笑したりした。

 上の階では、ZEN-LA-ROCKPUNPEE、そしてファンキーなダンサーたちによってオーディエンスが熱狂の渦と化していた。音の振動によってトラックの音が飛ぶトラブルもなんのその。
「皆さん、低音感じてますか? Macも感じすぎちゃって、ついつい音が飛んじゃいました。低音はついに800メガヘルツに到達! Everybody say BASS!!」とトラブルすらエンターテイメントへと変換させる話術は、お見事の一言では片づけられないほど素晴らしく、ごまかしや隠すことの一切ない、正に全裸ライヴだと実感した。ZEN-LA-ROCKは独自にこのフェスティヴァルをレポートしているので併せて見てほしい。



 楽しいライヴを満喫した後は、D.J. FULLTONOを見にグラス・ルームへと移動する。個人的にエレクトロやシカゴ・ハウス、ゲットーベース等を2枚使いでジャグリングをガンガンやっていた頃を知っているだけに、いま、日本のJUKE/JIT第一人者として〈Outlook Festival Japan〉に出演していることが不思議であり、同じ大阪人として嬉しくもあった。彼がプレイしている時間のフロアは、このフェスのなかでもっとも独特な空気を放っていただろう。矢継ぎ早に、時にはトリッキーに繰り広げられるJUKEトラック、"FootWurk"という超高速ステップ、難しいことは言わず自然体な言葉でフロアを煽るMC、仲間たちお揃いのBOOTY TUNE(FULLTONO主宰レーベル)のTシャツ、ブースに群がるクラウド、汗だくになりながらも、次々とフットワークを踊り、DJブース前のフットワークサークルを絶やそうとしないダンサーたち、出演者、観客、スタッフ、なんて枠組みは取り払われたかのように、そこにいる皆で夢中になってフロアを創った時間だった。その素晴らしさは、FULLTONOが最後の曲をかけてすぐさまフロアに飛び出し、さっきまでDJをしていた男がいきなり高速フットワークを踊りだした時に確認できた。僕にはその姿が輝いて見えた。

 メインフロアに戻ると、Part2Style Soundがいままで録りためたキラーなダブ・プレートを惜しげもなくバンバン投下しフロアをロックし続けていた。そのスペシャル・チューンの連発にフロアのヴォルテージが高まりすぎて、次の日に出演予定のチャーリー・Pが我慢できずにマイクを取ったほどの盛り上がりだ。そしてその興奮のバトンとマイクは、DADDY FREDDY(ダディ・フレディ)へと渡された。高速で言葉をたたみかけるダディ・フレディのライヴは圧巻であった。何回も執拗にライターに火を灯せ! とオーディエンスに求め、フロアは上がりに上がった。早口世界チャンピオンは上げに上げた後、だだをこねるように「もう行っちゃうぞ?」とフロアに問う。フロアは声に応え、ダディ・フレディを放そうとはしない。チャンピオンはノリノリでネクスト・チューンをうたい終えた後、またフロアに問う。「おれはもういくぞ!?」と。もちろん皆は声に応える。するとチャンピオンはノリノリで「ワンモアチューン!」と、まだまだ歌い足りなさそうだが、やはりチャンピオン。どのアクトよりも怒涛の勢いを見せつけた、素晴らしいステージだった。

 チャンピオンの勢いに圧倒された後に続いて、特別な時間がやってきた。
 DJ、セレクタのセンスと腕が問われる真剣勝負、サウンド・クラッシュ。今回、かなり楽しみにしていたイベントだ。NISI-Pの司会によってルール説明が行われ、場内は緊張感に溢れた。今回のルールとして、はじめにくじ引きで第1ラウンド出場者である3組の順番を決め、1ラウンド目はダブ・プレートではない曲で3曲ずつかけ、次ラウンドの順番が決まる。第2ラウンドが「Dub Fi Dub」(ダブプレートを1曲ずつかける)の流れだ。第2ラウンドで決勝進出の2組が決まり、ファイナルラウンドで一対一の対決となる。
 第1ラウンドの一番手はHABANERO POSSE(ハバネロ・ポッセ)だ。普段からイーストオーディオ・サウンドシステムの音を研究しているだけあって、音の鳴りはピカイチだった。ガンヘッドのDJにFYS a.k.a. BINGOのMCの勢いもハンパなく、スピーカーとオーディエンスを存分に震わせた。続いて、JUNGLE ROCKがプレイするジャングルはレゲエのサウンドマンの登場を物語る。サウンドクラッシュはレゲエから発生した文化だ、と言わんばかりにフロアに問いただす。最後に登場したDEXPISTOLSは、なんとレゲエ・ネタで応戦し、エレクトロの先駆者が異文化であるクラッシュへの参戦表明を見せつけたことで、このサウンドクラッシュがいままでのどのサウンドクラッシュとも違う、斬新なものであるかがわかっただろう。今回のサウンドクラッシュの見どころとして、ヒップホップやエレクトロの文化やレゲエの文化などが、カードの組み合わせによって異種格闘技戦となっていることも、おもしろい試みだ。
 肩慣らしともいえる第1ラウンドを終え、いよいよ本番、ガチンコ対決となる第2ラウンドへと続く。トップバッターはDEXPISTOLSだ。第1ラウンドのときとは、やはり気合いの入り方が違い、ダブプレートには自身たちの曲にも参加している、ZeebraJON-Eがエレクトロのビート上で声をあげ、DEXPISTOLSがDEXPISTOLSであることをオーディエンスに見せつけた。
 続くはHABANERO POSSE。ムーンバートン・ビートにのるラップの声の持ち主に耳を疑った。なんと、Zeebraのダブ・プレートである。まずは「ベース好きなヤツは手を叩け!」と、"公開処刑"、そしてビートがエレクトロへと急激にピッチが上がり、DEXPISTOLS自身がZeebraをフィーチャーした"FIRE"のダブへと展開し、DEXPISTOLSへ向けたレクイエムを送る。逆回転のスピンの音が少し短くて、思ったことがあった。「あれはもしかして、レコードかもしれない......。」その盤はアセテート盤と呼ばれる、アナログレコードをわざわざカットして鳴らされたものであるのも、block.fmで放送された後日談にて確認できた。HABANERO POSSEは、ぬかりのない綿密な作戦と、業が成せる完璧な仕事を僕らに見せつけたのだ。
 ラストのジャングル・ロックは、アーメンブレイクと呼ばれるジャングル・ビートに、猛りまくったMCで問う。「さっきも、V.I.Pクルーがかかってたけど、V.I.Pクルーって言ったらこの人だろ!?」と、BOY-KENがうたう様々なクラッシュ・チューンでレゲエの底力を見せつけた。
 ファイナルラウンドに駒を進めたのは、HABANERO POSSEとJUNGLE ROCKの2組だ。本気の真剣勝負の結果である。誰もそこに異論を唱える者はいなかったと思うし、オーディエンスの反応にも間違いなく現れていた。戦うセンスと実力だけがものをいう、音と音のぶつかり合い。それがサウンドクラッシュという音楽の対話だ。
 ファイナルラウンド、先行はJUNGLE ROCKだ。「おれがこのダブとるのに、いくら使ったと思ってんだよ!」と意気込みを叫び、ダブを投下した。鎮座ドープネスリップ・スライムからはPESとRYO-Zという、豪華なメンツにフロアは沸きに沸いた。そして後攻にHABANERO POSSE。なんとその場のゲストMCにSEX山口を迎え、マイクでフロアに物申す。「おれらの敵はJUNGLE ROCKでも、DEXPISTOLSでもない。本当の敵は、風営法だ!」なんと、YOU THE ROCKがラップする"Hoo! Ei! Ho!"のダブだった。



 優勝は満場一致で、HABANERO POSSEが受賞した。展開の読み、選曲、音像、すべてにおいて郡を抜く存在だった。本当に、普段から音の鳴りを研究した努力の賜物だったと思うし、あの時間にあのダブ・プレートを聴いた時の、ドラマのような展開に感動した。近年、風営法を利用した警察が、文化を発信している場所となるクラブを摘発していることへの、強烈なアンチテーゼを意味するメッセージでもあった。クラバーたちの真の戦いとなる風営法を、サウンドクラッシュという戦のなかで伝え、勝利という名の栄光を掴んだ、真のチャンピオン誕生の瞬間だった。

 この頃には酔いもできあがってしまって、BUNBUN the MCのライヴではPart2Styleのメンバー、DJ 1TA-RAWがカット(バックDJ)をやっているにも関わらず、大阪のオジキの大舞台を応援したい気持ちで僕もDJブースにノリこんでカットをやるが、酔った手がCDJの盤面に当たってしまい、ズレなくてもいいリズムがズレてしまって、「WHEEL UP!Selecta!」とすぐにお声がかかり、ネクストチューンへ。大変、お邪魔いたしました。。もちろん、ライヴはいつにも増して、大盛況であった。酔いも深まる中、タカラダミチノブのジャーゲジョージをフィーチャーしたDJにシビれ、朝を迎えた。

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 2日目はひどい2日酔いのなか、昨日が夢のような1日だったため、目が覚めてもまどろみ状態がなかなか覚めなかった。そんな状態で、酒を飲む気分になれなかったので、この日はレッド・ブルだけを飲んで過ごした。
 会場に到着して、ブランチに虎子食堂のごはんを食べようと、真っ先にフードブースへ足が進む。フェジョアーダという黒豆ごはんを注文し、知人と一緒に「初めて食べる味ですねー」なんて話しながら、美味しくいただく。ふと、ブースの方へ向くと、Soi Productions(ソイ・プロダクションズ)がスタートダッシュのドラムンベースをブンブン鳴らしていた。会場の音も、昨日よりも開始直後からよく鳴っている印象だった。考えたら昼の2時だ。鳴らせる時間には鳴らさないと、サウンドシステムがもったいない。目もスッキリ覚めるほどのベースを浴びて、2日目がはじまったことを改めて確認した。

 バー・スペースではDJ DONがクンビアを気持ちよくかけている。今日はどうやって過ごそうかな? とタイムテーブルを見ながら周りを見渡す。ここは〈DUB STORE RECORDS〉や〈DISC SHOP ZERO〉がレコードを販売しているフロアでもある。ふと見ると、E-JIMA氏がレコードをクリーニングするサービスなんてのもあって、もしレコードをもってきてたら、超重低音でプレイする前にキレイにしたくなるだろうな、と思ったりした。

 入り口付近のグラス・ルームではKAN TAKAHIKOがダブステップのベースの鳴りをしっかりとたしかめるように、自作曲も交えながらプレイしていたり、2階へ行くと、DJ YOGURTがスモーキーで渋いラガ・ジャングルをかけていて、最高音響で聴くアーメン・ブレイクは体にスッと馴染みやすく刺さってくることを確認したり、NOOLIO氏との久々の再会がグローカル・アリーナで太陽を浴びながら聴くグローカルなハウスだったり、ホワイト・アリーナに戻っては、G.RINAの生で聴く初めてのDJにテンションが上がってしまい、BUNBUN氏とふたりしてかっこええわ~なんて言いながら楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 グラス・ルームでワイワイと楽しそうにやってたNEO TOKYO BASSの姿は、誤解を招くのも承知で書くと、やんちゃな子どもたちが はしゃいでいるようにも見えて、その楽しそうな姿に、ついついこっちまで指がガンショットの形になってしまった。クボタタケシのクンビア・ムーンバートンを交えたセットも素晴らしかった。この時にかかっていたKAN TAKAHIKOの"TOUR OF JAMAICA"のエディットはこのパーティ中に最も聴いたチューンのひとつだ。

 Tribal Connection(トライバル・コネクション)の1曲目は、ジャングル・ロックの昨日の決勝戦のチューンだった。昨日のバトルの雰囲気とはうってかわって、パーティ・チューンに聴こえたのもセレクター、DJとしてかける意味がかわって聴こえたりもして、趣が深かった。悔しそうに、そして楽しそうに。深いジャングルの時間だった。続くJxJxはグラス・ルームをファンキーに彩るムーンバートンで、大都会の夕暮れの時間を鮮やかに彩った。

 そうこうしている内にはじまったPart2Style Soundが、確実にメインフロアを唸らす。興奮もピークに近づいてきたところで、やってきたのはCharlie P(チャーリー・P)だ。まだ若いらしいが、堂々としたステージはベテランのようで、スムーシーに唄うその声は、ときに激しく、ときにまとわりつくように耳から脳へとスルリと入ってくる。続いて登場したSolo Banton(ソロ・バントン)は先日、大阪で見た時よりもキレがあり、"Kung Fu Master"や"MUSIC ADDICT"など、堂々としたステージングでオーディエンスをグイグイ引き寄せる。そして時には、ソロとチャーリーが交互に歌ったり、お互いの声質が異なることによるスペシャルなブレンド・ライヴを展開した。かなりマイクを回しあっただろう。時間が終盤に近づくにつれ、グルグルと回るマイクをもっと回せと口火をきったのはRUMIだ。"Breath for SPEAKER"の「揺らせ! スピーカー!」のフレーズで、正にスピーカーとフロアを存分に揺らした。すかさずソロがたたみかけるようにうたう、すると今度はなんと、CHUCK MORIS(チャック・モリス)が出てきては「まんまんなかなか、まんまんなかなか、ド真ん中!」と、すごい勢いで登場し、「たまりにたまった うさばらし! Outlookでおお騒ぎ!」と、けしかけては、「ハイ! 次! ソロー!」とソロ・バントンにマイクを煽る。ソロがすかさず歌い返すも、Pull UP! ちょっと待ったと、いきなり現れた二人のMCに たまったもんじゃないソロはなんと、ダディ・フレディの名を呼んだ。「ジーザス、クライスト!」とダディフレディが一言、そこからのトースティングは即座にフロアを頂点へとのし上げた!!! ダディ・フレディは会場に集まった皆と、Part2Styleに感謝を述べ、よし、マイクリレーしよう!と閃き、なんとスペシャルなことか、ダディ・フレディとソロ・バントンとチャーリー・P、3人の怒涛のマイクリレーがはじまった。これにはフロアもガンショットの嵐!! 最高のスペシャルプレゼントステージだった。Nisi-pが「もう一度、3人に大きな拍手を!!」と叫ぶと、会場は拍手大喝采に見舞われた。



 SKYFISHがクンタ・キンテのフレーズを流したのはその直後だ。ラスコの"Jahova"にチャック・モリスが歌う、"BASS LINE ADDICT"。続くRUMIのアンサーソング"BAD BWOY ADDICT"と、さすが、UK勢にも引けをとらないふたりのコンビネーションがフロアをぶちかました。今回のフェスで誰が一番のアクトだったかなんてことは、到底決められないけども、個人的にBASSを浴びる、いや、BASSをくらったのはNEO TOKYO BASSのときだ。腹にかなり直撃で受けてしまい、なんというかお腹のなかで内臓が揺れているのだ。いや、いま思い返せばそれが本当だったかはわからない。しかし、記憶していることは、体のなかが、なかごと、ようするに全身震えていたのだ。音が凶器にも感じた瞬間だった。ずっとフロアで聴いていたから低音には慣れているはずなのに、NEO TOKYO BASSがエグる、BASSの塊に完全にKOされてしまった。
 メインフロアを出た後、グラス・ルームでは、KEN2D-SPECIALが"EL CONDOR PASA"を演奏していた。どうやらラスト・チューンだったらしく、もっと見たかったが、そこで久しぶりの友だちと会い、話をしながらINSIDEMAN aka Qのかけるディープなトラックに癒された。少し外で休憩した後はクタクタだったのもあり、グローカル・エリアの帽子屋チロリンにて少し談笑したりした。すぐ隣にあるグローカル・エリアで見た1TA-RAWから大石始への流れはトロピカル・ベース~ムーンバートン~クンビア~民謡と、自然に流れるダイナミクスへと昇華され、僕が見たグローカル・エリアでは一番のパーティ・ショットだった。そして最後に見たのは、OBRIGARRD(オブリガード)だ。ハウスのビートから徐々にブレイクビーツ、クンビアへとビートダウンしてく"Largebeats"~"Ground Cumbia"の流れは素晴らしく、個人的にエンディング・テーマを聴いているような、寂しく、狂おしい瞬間だった。

 僕の〈Outlook Festival 2012 Japan〉Launch Partyは、こうして幕を閉じた。
 いまになって思い返してみても、なんて素晴らしく、楽しい体験だったのだ。体験したすべての人たちが、それぞれの形で、記憶に残る2日間になったと思う。そして日本のベース・ミュージックにとっても、キーポイントとなるような歴史的な2日間だったのではないか。
 出演していた あるアーティストに「今回出演できて、本当に良かった。もし、出演できていなかったら、自分がいままでベース・ミュージックを頑張ってきたことはなんだったんだろう? と、思っていたかもしれない」という話を聞いた。もちろん、自分も「出たいか?」と問われたら、即答で「出たい」と答えるだろう。それほどまでに、魅力溢れるパーティだ。個人的に思う〈Outlook Festival 2012 Japan Launch Party〉が残した大きな功績は、アーティストやDJたちが「次も出演したい」と、または「次は必ず出演したい」と、いわば、「目標」を主宰たちが知らず知らずのうちに創ったことだろう。その目標を叶えるためにも、来年、再来年と、また日本で〈Outlook Festival〉が開催されることを、切実に願っている。

 Part2Styleとイーストオーディオ・サウンドシステム、会えた方々、関係者の方々、そして体験する機会を与えてくれた「ele-king」の松村正人さんとモブさんに最大級の感謝をここに記します。

追記
 そしてこの夏、Part2Style Soundが2011年に引き続き、本場はクロアチアで開催される〈Outlook Festival 2012〉に出演する。本場のベース・ミュージック フェスティヴァアルに2年連続で出演し、何万人といった海外のオーディエンスを熱狂させることを思うと、同じ日本人としてとても誇らしい気分にさせてくれる。
 きっと彼らはまた素晴らしい音楽体験を得た後、その景色を少しでも日本へと、形を変えて伝えようとしてくれるだろう。
 進化し続ける「ベース・ミュージック」。未来のベース・ミュージックはどんな音が鳴っているのだろうか。
 僕はその進化し続ける音楽を体感して追っていきたい。

KABUTO (LAIR/CABARET) - ele-king

SCHEDULE
8/24 @grassroots
8/30 minimood label night@ oath
9/1 barrier@module
9/22 ERR@だるま山キャンプ場
9/28 @Cave246
9/29 @Eleven
10/6 CABARET feat Daniel bell@UNIT/SALOON

https://twitter.com/Kabutooo

2012.8.CHART


1
MORITZ VON OSWALD TRIO - FETCH - Honest Jons

2
BRETT DANCER - EUPHONIC MOODS EP - TRACKMODE

3
MAKAM - DREAMS OF TOMORROW - SUSHITECH

4
DANIEL KYO - HYPNOTIZED (Kelvin K Remix) -LOST MY DOG

5
DEWALTA & MIKE SHANNON - THE ADVENTURES OF SAINT JACK DE SMOOVE - MEANDER

6
OPUSWERK - WIRED CONNECTIONS - PLAK

7
ANDRES ZACCO - POMPAK - ESPERANZA

8
CHRIS MITCHELL - PHRENETIC EP - Vanguard Sound

9
J ANTONI - NO SLEEP (Thoms Krome mix) - UES

10
GRIMES ADHESIF - pa'am shlishit glida - naif

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Lindstrom - De Javu / No Release (Smalltown Supersound) /
Lindstromが今年の頭にリリースしたフルアルバム『Six Cups Of Rebel』からのリミックス・カット第2弾作品!アルバム中で最も強烈な存在感を放っていた"Deja Vu"をRub-N-Tugが更なる高みを望むアシッド・ディスコ・ダンサーへと昇華させた卒倒覚悟の衝撃作品!

2

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.2 (Stones Throw) /
Nyブルックリンのカルト・エレクトロ発掘レーベルMinimal Waveの音源をP.B.W.が監修した、例のコンピ・シリーズから派生したリミックス・シングル第2弾。

3

Onra - Deep In The Night (Fool's Gold) /
デジタルでの先行配信で既に盛り上がりを見せていたブツが、UsのFool's Goldより待望の12"リリース! 誰もが待ち望んでいた路線だけにファンならずとも要チェック!

4

Trinity (Sadat X, Ag & Dj Jab) - Sunshine (Fat Beats) /
これまに数々のクラシックを残してきたレジェンド=SadatxとA.G.、プロデューサー/DjのDj Jabの三つ巴ユニットがこのTrinity Project! とりあえずタイトル曲がヤバすぎます!

5

Teengirl Fantasy - Tracer (R&S) /
脱臼ベース鬼才Actressリミックスを搭載した前12"『Motif』で好調のベルジャン老舗R&Sへと電撃を果たしたレフトフィールド・ポップ・デュオがヘッズも驚愕の強力アルバムを完成です!!

6

Funkineven & Fatima - Phoneline (Eglo) /
『Follow You』も当店メガヒットしたスウェーデン出身のソウルSsw、Fatimaと、漆黒のドファンキー鬼才Funkinevenがガッツリ手を組みました! 極上のエレクトロ・フューチャー・ソウル!

7

Chris Coco - Freedom Street (Melodica) /
ロンドンのチルアウト職人Chris Cocoによる超絶品アルバム!!ゆったり柔らかいオーガニック・ダブ・サウンドに多彩なヴォーカルをフィーチャー。何もかもトロける特大傑作です!!

8

Adrian Sherwood - Survival & Resistance (On-U Sound) /
ソロとしては6年ぶりとなる3作目。ダブ~レゲエを下敷きに、ジャズやブラジル音楽、エレクトロニカの要素も取り込んだ極上のチルアウト・ベース・ミュージックが完成です!

9

Mala - Cuba Electronic (Brownswood) /
ダブステップのパイオニアDigital MystikzのMalaが、Gilles Petersonと共にキューバで制作した話題の新作『Mala In Cuba』からの先行12インチ・カット!!

10

Roland Tings - Milky Way (100% Silk) /
既に大変な反響を呼んでいる新鋭Roland TingsのデビューEp。100% Silkど真ん中のアーリー~アシッド・ハウス通過ベッドルーム・フロア・サウンド!!

DJ KAZUSHI (DUB FRONTIER) - ele-king

1983年福島県浪江町生まれ。
2011年から拠点を仙台に移し、DJ YA△MA DJ MONGOOSE DJ CMTなど第一線で活躍するアーティストを招集し仙台CLUBシーンに一石を投じる。2012.8月に祈りを込めたMIX CD [living stone MIX]をTHE BRAVE NEW RECORDS.よりRelease!

DJ KAZUSHI Blog : https://djkazushi.blogspot.jp/

まだまだ現状は何も変わっていない。復興への祈りを込めた10選


1
Miles Davis - In A Silent Way - COLUMBIA

2
The orb - star 6 & 7 8 9 - BIG LIFE

3
kinetic - golden girls - R&S RECORDS

4
The irresistible Force - nepalese bliss(DJ Food remix) - Ninja tune

5
Global Communication - 9:25 - Dedicated records

6
Coco / Joe Thomas

7
From Silence fall into the silent mix / TYCOON TOSH

8
Orbital - BELFAST - FFRR Records

9
DR.BUZZARD'S ORIGINAL SAVANNAH BAND - Sunshower - RCA Records

10
KLF - DOWN TOWN - The Jams the sound of mu(sic)

 8月2日(木曜日)、〈ハウス・オブ・ヴァンズ〉にて、ワッシュド・アウト、チェアリフト、レモネード......というツボをついたラインアップがあった(https://www.brooklynvegan.com/archives/2012/08/washed_out_play_2.html)。
これに行こうかなと思っていた矢先に、〈カメオ・ギャラリー〉で、ジーノ・アンド・オークランダーがプレイすると聞いた。『エレキング』に載ってるローレル・ヘイローも出演するという。これは興味深いと「女性と電子音楽」がテーマのエレキング・ブック『vol.6』を持参した。その『vol.6』をジーノ・アンド・オークランダーのリズに渡すと、興味深そうに自分たちのインタヴューを読み(見て)、共演の日本人アーティストのナオ・キタフチに「なんて書いてあるの?」と質問攻めにする。 
 会場の〈カメオ・ギャラリー〉は、ラヴィンカップ・カフェの奥にあり、カフェと  会場を行ったり来たりできる。近くに、ラ・サラ(音楽会場)/カンティナ・ロイヤル(レストラン)もあるが、ショーを見にきた人も、食事しに来たお客さんもミックスで出演バンドたちがブースでハング・アウトしているのが見れる。

 ローレル・ヘイローは、ショーを通して「男前」な印象だった。長い髪を振り乱し、スニーカーに半パン 、Tシャツというラフな格好で、目の前にある機材をすらすら操る。ネオン色のライトが照らされ、ところどころでスニーカーのラインが蛍光ピンクに光り、妖艶な雰囲気をも醸し出していた。観客がステージ上の彼女ひとりをじーっと凝視している図は少しおかしな感じがしたが、みんな真剣に見入っていた。   
 それに比べてジーノ・アンド・オークランダーは、見せるライヴだった。インタヴューで「毎回ライヴは違う」とリズが言っていた通り、前回見たときと印象は違った。前回は、初めて見たので、すべてにおいて新しい感じだった。今回は基本の流れと、次に来る物が何となく想像できた。目新しさより、瞬間瞬間に音を作り上げていく、ふたりのやり取りが興味深かった。明確な合図はないのだが、ピンポイントで互いの音を受け止め、横に上に広げていくのは、長年築き上げたチームワークなのだろう。突然登場するリズのフランス語のヴォーカルも音に沿っていて、音楽というより見るアートピースであった。

Laurel Halo/Xeno & Oaklander@ Cameo 8/2/2012
photos by Daniel Catucci

 次の日金曜日は、「セレブレート・ブルックリン」という毎年夏にプロスペクト・パークで開かれるイヴェントにワイルド・フラッグ、ミッション・オブ・バーマ、テッド・レオを見に行った。会場には簡易シートがあり、その後ろや横の芝生にもシートを引いて、のびのびしている人たちがいる。
 今回のショーはフリー(任意で$3の寄付)で、野外だというのに、サウンドも悪くなく、電飾も凝り、プロフェッショナルなカメラが数箇所で動き、後ろからでも、スクリーンで見ることができた。オーディエンスの層がウィリアムスバーグと違って、マナーのある大人で、オールエイジだからか、子供も多かったし、隣に座ったお姉さんもとても爽やかに席を譲ってくれた。

 ミッション・オブ・バーマは、経歴が長いだけあり(80年代から活動している)、演奏がタイトで安心して見れた。オーディエンスも年配なのだろう、みんな椅子に大人しく座って見ていた。ワイルド・フラッグがはじまると、どこからともなく人が現れ、椅子のあいだを立っている人が占領した。係員が「スペースを開けて!」と注意していたが、すでにロックしはじめたオーディエンスは言うことを聞くはずがない。私の隣では、子供も踊っていた。

セレブレート・ブルックリン
Wild Flag at Prospect Park - photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 ワイルド・フラッグを見るのは3回目。出てきた瞬間から大きな声援で、彼女たちの人気が伺える。キャリーは黒のトップにタイト・パンツ。メアリーは赤のボーダートップに黒のタイトスカート、レベッカは白黒ボーダーシャツに黒スカート、ジャネットはフロントに光ものがついた黒のドレスと、すでにキャラ分けもできている。
 全員女の子で、ステージに華があるし、みんな歌える。コーラスにも熟練を感じる。日本でまだ人気が出ないのは、このど迫力のライヴを見ていないからだと思う。演奏している彼女たちからは目が離せないし、スーパー・バンドと呼ぶに相応しいオーラを放っていた。

Wild Flag @ Propect Park Band Shell 8/3/2012
photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 こういった野外ライヴは、プロスペクトパーク以外にも、ウィリアムスバーグパーク、マカレンパーク、サウスシーポート、ピア84などで毎日のようにやっている(今週のセレブレート・ブルックリンは、元ダムダム・ガールズ、ヴィヴィアン・ガールズなどのフランキー・ローズとリトル・ドラゴン)。ニューヨークでライヴを見たいなら夏はオススメの季節だ。フラッと遊びに行くといろんなミュージシャンにも出会えるし、現実逃避もできる。

Ice Choir - ele-king

 アイス・クワイアーのなかでは、『少女革命ウテナ』と鈴木英人や永井博が奇妙な回路でつながっているらしい。ようやくデビュー・リリースの運びとなった『アファー』のアート・ワークは、鈴木英人と永井博を念頭においたものだということだが、これはよくわかる話だ。デザイン自体はベタな影響関係を避け、現代的な再解釈が加えられたものだが、音はまったくAOR的でテクノ・ポップ(あえてこう記そう)的、かつて彼らのデザインが象徴したものと、現在においても消費されつづけるエイティーズ・ノスタルジーを、かなりストレートに表出するものであるからだ。だが、彼のウェブ・サイトの真ん中に97年の日本のアニメ『少女革命ウテナ』から4つのシーンが抜かれている理由は、ひとまず不明である。

 アイス・クワイアーことカート・フェルドマンは周知のとおりペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのドラマーとして知られる人物である。彼らは2000年代においてトゥイー・ポップ概念の底を抜いたというか、こんなことをやっていいのか? と筆者のようなリスナーが一瞬ひるんでしまうほどあまりに臆面のないきらきら感で、シューゲイザーからギター・ポップ、ネオアコなど90年代未明のUKインディにまたがった空白地帯に、おそろしいインパクトをもって浮上してきた。カートによるこのソロ・プロジェクトは、そこから15度ほど方角をずらし、ティアーズ・フォー・フィアーズかというような80年代のポップ・ナンバーに、技巧的なエレクトロニクスを組み込んでいる。やはり、まよいも歪みもない。ゲート・リヴァーブをきかせたスネアにふちどられ、シンセが鮮やかにメロディをつむぎ、ジェントル・ヴォイスがソフトにヴォーカルを重ねる。フェルドマン本人はワイ・エム・オーや高橋幸宏のほか、ギャングウェイやスクリッティ・ポリッティ、そしてとくにビル・ネルソンの影響が大きいということを複数のインタヴューにおいて語っているが、なるほどアイス・クワイアーのルーツをよくあかしている。

 しかしおもしろいのは、この『アファー』が、シンセを使わ(え)なかった偽シンセ・ポップというねじれたアイデンティティを隠し持っていることである。玄人耳ならわかるのかもしれないが、筆者の耳には一聴してそんなことはわからない。さぞシンセにもこだわって作っているのだろうと思い、またそう思わせる材料が多いにもかかわらず、「すべてMIDI音源です」ときたものだ。方法自体をたどることに重要度を認めているわけではないようである。エメラルズらのようなシンセ・マニアとは異なり、彼は芯からのポップ・マニアだということだろう。


 『ウテナ』との関連はナゾだと述べたもののなんとなくわかる気もするのは、ピックアップされているのがウテナやアンシーというふたりのヒロインではなく、御影草時という、永遠を手にしようとして永遠に過去にしばられているキャラクターだという点だ。ヒロインたちは力づよく世界の小さな殻をやぶり、果敢に外を目指していく。それに比して、外見も衰えぬままほとんど幽霊のようにその卑小な世界にとどまりつづける美青年たち。その耽美な関係性を描出したシーンを4コマ掲げるのは、フェルドマン自身が自らの惑溺する音に向けた皮肉であるようにも、苦い認識であるようにも思われる。

Bob Marley - ele-king

 今週末から東京周辺をボブが駆けめぐる(地方の方は8月30日のdommueをチェック)。9月1日から公開されるボブ・マーリーのドキュメンタリー映画、実に2時間を超える大作『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を記念してのボブ月間のはじまりである。ちなみに監督は、パレスチナ武装組織によるミュンヘン・オリンピック時の「黒い九月」事件を扱った映画『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』を撮ったグラスゴー出身のケヴィン・マクドナルド。ある意味では打って付けと言えよう。
 1981年5月、ガンのためにこの世を去ったボブ・マーリーは、アフリカ大陸をふくめると世界でもっとも聴かれている音楽家だと言われている。彼の反植民地主義を反映した力強いメッセージ・ソングから美しいラヴァーズ・ロックまで、日本全国には数多くのボブからの影響がいまも存在しているので、これを機にみんなで歌いましょう。おのおのの意味を込めて、せーの、「ウィ・ドン・ニィィィィ・ノー・モー・トラボー」

■8/19(日)
『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開記念PARTY
Bob Marley songs Day @海の家OASIS
"ボブを歌ってジャマイカに行こう!"
応募締切8/9。メールまたはオアシスカウンターで。
ボブ・マーリー・ソングス・デーは1994年、OASISではじまり、5月のONELOVE JAMAICAFESTIVALの主要企画としても親しまれ、引き継がれている人気イベント。予選通過した一般応募者が、オアシスバンドをバックにボブ・マーリーを歌い、優勝者にはジャマイカ行きのチケットが授与されます。
場所:海の家OASIS 神奈川県三浦郡葉山町森戸海岸
TEL :049-876-3812(期間中のみ)
時間:14:00〜18:00
料金:Music Charge ¥1.000
guiest:南條倖司 & CHAN MIKA
OASIS https://www.oasis-jahnodebeach.jp/

■8/30(木)
@「DOMMUNE」
著名人らが語るボブ・マーリーとLIVE
場所:DOMMUNE(渋谷区東4-6-5 サンライズビルB1F)
時間:19:00〜
進行:Ackky、DJ Hakka-K
GUEST:工藤Big"H"晴康、ランキンタクシー、ICHI-LOW(Caribbean Dandy)and more...
DOMMUNE https://www.dommune.com/

■8/31(金)
「BOB MARLEY/ ROOTS OF LEGEND release party」
"レゲエ"という一つの音楽ジャンルを世界に広めた伝説のカリスマ、ボブ・マーリー。彼の波乱に満ちた人生、その"素顔"を描いた映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』(ジャマイカ独立50周年記念作品 ボブ・マーリー財団初のオフィシャル・ドキュメンタリー)のリリース・パーティ。レゲエに限らず様々なジャンルからボブ・マーリーの生き様、メッセージに感銘を受けたアーティストが集い彼に因んだパフォーマンスを披露する。ONE LOVE !
場所:eleven(港区西麻布1-10-11 セソーラス西麻布B1/B2)
時間:22:00 open
料金:¥3,000
   ¥2,500 with flyer
   ¥1,000 early bird(〜23:30)
LIVE:Hiroshi Fujiwara +INO Hidefumi
   工藤Big"H"晴康
   NESTA BAND
   渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT16/猪苗代湖ズ) and more...
DJ:PART2STYLE SOUND(1TA-RAW/Ja-ge/TAKASHI-MEN)
  SLENGTENGS( 後藤トシユキ/長谷川ケンジ ) and more...
eleven https://go-to-eleven.com/

■9/1(土)
角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー開始!!!!

■9/8(土)
「BOB MARLEY SONG NIGHT」ーボブ・マーリーの歌をみんなで歌おう!ー
15周年を迎えた老舗レゲエ・クラブ"OPEN"のDJたちが、心を込めて選曲します。ボブはもちろん、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー、リタ・マーリー、ジュディ・モワット......。他のアーティストによるカヴァー、すべて、かけます、かかります。リクエストもOKですよ。
場所:OPEN(新宿区新宿2-5-15-B1 TEL:03−3226−8855)
時間:21:00〜5:00
料金:¥1,000/1drink
出演:工藤Big"H"晴康、絵里奈、レゲリーマン、YU-KO and more!
   只今、出演者募集中です。カラオケ、ギターでの弾き語り、アカペラ、なんでもOK!
   当日の夜11時までに集合してください。
DJ:Mr.NAKAMURA、TAROU、KATSU、Luv Kiyoshi、工藤Big"H"晴康

■9/15(土)
REGGAEでいいじゃないか!〜THANK YOU BOB MARLY〜
場所:warp(武蔵野市吉祥寺本町1-30-10)
   bar Cheeky & warp
時間:warp open 24:00
   bar Cheeky open 21:00
料金:warp ¥2,000/door
   bar Cheeky door free
LIVE:SPECIAL BAND
selector:工藤 Big"H"晴康、山名 昇、AXEMAN、大石 始、RAS KOUSKE、SHlNIS、Massa Tora I &Ras Issy、8×8、Take Hi-Fi and more...
FOOD:world kitchen BAOBAB
warp https://warp.rinky.info/

■9/21(金)
NEW PORT Presents Luv&Dub Paradise at bar bonobo
"DISCO DEVIL & STREET PLAYER"
場所:bar bonobo(渋谷区神宮前2-23-4)
時間:open/start 22:00
料金:door \1,000
Special Guest:工藤Big"H"晴康 and more...
DJ's:DJ AGEISHI(AHB.pro)
   DJ NORI(Smoker/Gallary)
   DJ SHO(HOUSE NATION since1985)
Lounge:DJ Hakka-K(Luv&Dub Paradise)
JAHTOME(Ambient Dub Set)and more...
GJ:魔人
bar bonobo https://bonobo.jp/
Luv&Dub Paradise https://www.luvdub.jp/
NEW PORT https://newport1999.com/


『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』
9/1(土)より、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー!

監督:ケヴィン・マクドナルド 『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』『ラストキング・オブ・スコットランド』
出演:ボブ・マーリー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー
バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ、リー・ペリー、ジミー・クリフ、クリス・ブラックウェル
エグゼクティブ・プロデューサー:ジギー・マーリー、クリス・ブラックウェル
2012年/アメリカ、イギリス/144分/1998×1080 1:1.85(FLAT)/5.1ch
原題:MARLEY/字幕翻訳:石田泰子/字幕監修:藤川毅
後援:ジャマイカ大使館、ジャマイカ政府観光局
公式HP:https://www.bobmarley-movie.jp
公式facebook:https://www.facebook.com/bobmarley.rootsoflegend
公式twitter:https://twitter.com/Bmarleymovie


配給:角川映画
宣伝:ミラクルヴォイス
〒150-0033 渋谷区猿楽町26-13 グレイス代官山A棟301
TEL:03-6416-3681 FAX:03-6416-3699 E-MAIL:info@miraclevoice.co.jp

七尾旅人 - ele-king

新しい希望の歌文:桑田晋吾

七尾旅人
リトルメロディ

Felicity

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 このアルバムの音源が届いてから、毎日聴いた。十数回ほど通して聴いたあとに、思った。ここでもまた、この稀有な歌い手は、音楽によるファンタジーを呼び起こしている。いままでで、もっとも親しみやすいやりかたで。そして少し、複雑な方法をとって。

 はじめに聴こえるのは、砂嵐のようなノイズだ。ガイガー・カウンターを想起させる不穏な信号音。男が咳きこむ音。およそ20秒の混濁の後、輝く雨垂れのように美しいアコースティック・ギターが、そっと響きはじめる。そうして「圏内」に足を踏み入れた瞬間、この新しい音の旅は、はじまる。いま"きみのそばへ"行くために、乱れた現実のなかを、くぐりぬけていく――『リトルメロディ』は、そんな風にはじまる。
 少なくない反響を呼び起こした"圏内の歌"。この曲のなかでは、雨が降っている。目に見えない物質が含まれた水で濡れた世界を、ガット・ギターとピアノが小さく乱反射しながら描き出す。歌声は、ささやくような「小さな」声だ。雨樋のある屋根。どろんこで遊ぶ子ども。水辺にうつる月。おばあちゃんの話。そのような風景の記憶を持つ人に、この曲は語りかける。「離れられない 小さな町」。それは、例えば「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の20km圏内」の小さな町であると同時に、聴く人の心のなかにある、故郷のような、その人にとって大切なものがある「町」のことかもしれない。その「町」が不条理な力で汚されたとき、人は簡単にその特別な場所を、離れることができるだろうか。どこまでも優しくて綺麗なこの音の奥にあるのは、引き裂かれるような痛みの感覚だ。
 この曲をアルバムのはじめに持ってくることは、大きな決断だったはずだ。曲の美しさとは別の場所で「メッセージ性」が発生して、それによってはじかれてしまう人もいるかもしれないから。でも、この『リトルメロディ』と題された作品は、この曲を必要とした。あの日以来の現実に基づいた歌を響かせて――ある種の「重し」を聴き手の心にくくりつけてから――七尾旅人は、聴き手を飛翔させようとする。彼がずっと信じ続けてきた、「歌」という翼で。そして"my plant"で「圏内」をもういちどくぐりぬけ、歌は、湘南などの圏外の世界へ向かっていく。

 『リトルメロディ』は、七尾旅人の作品のなかで、もっとも抑制されたアルバムだと思う。サイケデリアも、奇抜さも、この世界では鳴りを潜めている。そしてそれが、これまでの七尾旅人の作品とは違った種類の、曲と聴き手の親和性の高さを生みだしている。"湘南が遠くなっていく"(森俊之編曲)"サーカスナイト"(Dorian共編曲)"七夕の人""Memory Lane""リトルメロディ"。耳に残るメロディがいくつも散りばめてある。普通のJポップ・歌謡曲として流れても違和感のない曲が並んでいる。爪弾かれるアコースティック・ギター、太田朱美が奏でる風のようなフルートが、夏をメランコリックに広げる"Everything is gone"。そして"Rollin' Rollin'"に続くヒット・ソングとなるだろう、甘く苦い"サーカスナイト"。まるでサザンオールスターズのような夏の物語"湘南が遠くなってゆく"。切ない感覚を残すメロウな3曲が続き、アルバムのハイライトを作る。"七夕の人"から"Chance☆"までの煌めきが、後半をファンタジックに染めあげる。そして、コスガツヨシを迎えてエモーショナルに響く"Memory Lane"。そこで聴こえる真っ直ぐで伸びやかな歌声も、七尾旅人の新しいステージを感じさせる。

 「おまじない」("アブラカダブラ")をかけること、かけようとすること。「おまじない」にかかること、かかろうとすること。それはいま、とても難しいことだろう。おそらくこの国の(戦後の)ファンタジーにおいて最大級の影響力を及ぼしてきたと言えるであろう宮崎駿も、東日本大震災の後、「いまはファンタジーを作るべきではない」と言った。
 震災によって非日常的な状態が日常に入り込んでしまった新しい現実の後、なお音楽による「ファンタジー」を呼び覚ますとはどういうことなのか。この『リトルメロディ』には、七尾旅人のひとつの答えが示されている。いま、ファンタジーという言葉を使うこと自体がとても難しい。書きながらそう思っているけれど、僕がここで考えているのは、このような意味でのファンタジーの力のことだ。

 「ダンスを踊ったり、音楽を聴いたりするときと同じように、物語を頭だけでなく、心と体と魂で読むならば、その物語はあなたの物語になる。そしてそれは、どんなメッセージよりもはるかに豊かなものを意味するだろう。それはあなたに美を提供するだろう。あなたに苦痛を経験させるだろう。自由を指し示すだろう」「彼ら(ファンタジーの紡ぎ手たち)が回復させようとしている感覚、取りもどそうとしている知識は、ほかの人たちがほかの種類の生活を送っているかもしれないどこかほかの場所が、どこであるにせよ、どこかにあるというものだ」(アーシュラ・K・ル=グウィン著・谷垣暁美訳『いまファンタジーにできること』河出書房新社)

 『ゲド戦記』の原作者のこの言葉は、七尾旅人の歌、『リトルメロディ』にも当てはまると僕は思う。『リトルメロディ』と同じように、『911fantasia』も、大きな力が作動した後に作られた。でもふたつの作品には、対極的といっていいほどの大きな違いがある。
 『911fantasia』では、「おじいちゃん」の「独り言」に、すでに死んだ子どもが相手をする。世界を覆ってきた「幻」について語る「おじいちゃん」も、じつは幻に捕えられていたという、ある意味でかなり怖い構造を持っている。幽霊や幻から目覚めようとする巨大な物語は、最後に「いつまで(幻のなかを)探してるの?/なんだかおかしいわ」と、「此処」にいる「歌」が応答することで終わる。その意味では、『911fantasia』は「ここにある歌」に立ち返ろうとする作品でもあった(そのための旅が、あまりにも大きすぎたのだが)。『911fantasia』に収められた一片の宝石"Airplane"は、「あの飛行機」に乗る女の子の視線を宿して創造された。七尾旅人の想像力が、高度何千メートルの、乗ることが不可能な飛行機のヴィジョンにまで羽ばたく。その飛行機は、この現実世界で起こった事実のなかの飛行機であり、しかし同時に「外の世界」の出来事のなかの飛行機でもあっただろう。でも"圏内の歌"、『リトルメロディ』は違う。七尾旅人は、現実の福島に赴いている。実際に七尾旅人や僕らの生きるこの国の「町」や人の歌物語だ。そこに、『リトルメロディ』の光の秘密があるように思う。

 この作品の最後の歌の最初の瞬間、もういちどノイズが訪れる(歌詞の通りに耳を澄ませてこの曲を聴くと、何か巨大なものが湧き上がってくる音、風になびくような微かな歓声など、繊細なサウンド・デザインによる音の景色が聴こえる。そしてまた、水晶のようなピアノの響きが)。この"リトルメロディ"に託された想いがどんなものなのか、ここで説明するまでもないだろう。七尾旅人が創った、新しい希望の歌。最後の瞬間に子どもが口ずさむ言葉が、余韻を残していく。
 大きな悲鳴のあとで、もういちど、心から「わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)」と歌うことができるように。『リトルメロディ』に、僕はそんな願いを感じる。素敵な作品だと思う。

 「朝に夕に仰ぐ星と同じく現実なのです。そして、翔びたいと願うものは誰でも、歌と引きかえに翔ぶことができるのです。/歌の力によって人が肉体を離れる瞬間に、唇は語ることをやめますが、歌はなおもつづき、人が翔びつづけるかぎり歌もつづくのです。もし今夜、わたしが肉体を離れるとすれば、皆さんにも覚えておいてほしいのです。歌は終わることなしと」(トマス・M・ディッシュ著・友枝康子訳『歌の翼に』国書刊行会)

文:桑田晋吾

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小さなメロディにおける両義性 文:橋元優歩

七尾旅人
リトルメロディ

Felicity

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 七尾旅人はこれからもフォークのスタイルをつづけていくのだろうか。『リトルメロディ』は美しいが、どこか不自由で息苦しい印象を受ける。筆者にはその理由の一端が彼のフォークにあるように思われる。かつてあれだけ多様な音楽性を乱反射させていた七尾がなぜこのスタイルへ向かったのか。

 そもそもの1作目から言葉が渦を巻いていたわけだから、それが言葉とギターというシンプルな形態に結びついていったのは必然だったかもしれない。デビュー作の歌詞カードを見れば瞭然であるように、はじめそれらの言葉はまったく整理されていなかったが、ひとつひとつがつよい磁石のように、まったくおびただしい音や形式を引きよせているのがわかった。「雨に撃たえば...!」などという表記は、荒唐無稽であるようでいて、物事とその名前や意味がくっつかないでぶらぶらと宙をただよっていたようなあの時期(99年の流行語には学級崩壊やだんご三兄弟があり、改正住民基本台帳法が成立してぶらぶらしたものは数字をつけて管理されようとしていた)の感性をすばらしく圧縮している。

 いま聴き直してみると、そうしたぐちゃぐちゃな表出がやがて現代詩のような体裁をそなえはじめるころに、フォークのスタイルが獲得されていったようにみえる(『ひきがたり・ものがたりVol.1 蜂雀』)。言葉の序列が整ったことがフォークを呼び寄せたのか、フォークへ行きついたことが言葉を整えさせたのかはわからないが、それは朗読や物語りを編むまでに研磨されて、やがて『911ファンタジア』へと結実していく。その意味で『911ファンタジア』はプログレッシヴなフォークというふうに言えるかもしれない。その後に発表されるのが前作『ビリオン・ヴォイシズ』である。

 これらの作品にあってそのスタイルは挑戦であり先鋭性そのものであった。フォークにおいて社会的なテーマ性が往々にして硬直してしまうという難点を、ただ切り離して四畳半フォークへとスライドさせてしまうのではなく、音楽自体を研磨することで踏み抜いてしまう......つまり食えないプロテスト・ソングではなくジューシーなプロテスト・ソングを組み上げていた。「プロテスト」という言葉自体が硬直しているため、そのように言ってしまうと作品のイメージをとてもせまく限定的にしてしまうが、甘い音に固い言葉をのせるなどというレベルをはるかに超え、七尾旅人という大きな創造性のなかに彼自身の社会的な問題意識をきわめて自然に組み込んでいた。"シャッター商店街のマイルスデイビス"などは『911ファンタジア』からの方法的な成果をふまえ、ファンタジーと社会批評とが卓抜なアイディアとパフォーマンスによって縫い合わされた曲だ。そこには「フォーク・シンガーって、いかになにもしないかだと思ってるから」とうそぶく余裕やユーモア、そしてフォーク・シンガーというものの本質的ないかがわしさへの憧れをみることができた。

 こうしたカーヴを描きながら、いま彼のフォークは直接性へと向かっているようにみえる。よりダイレクトに、より平易な表現で、手の届く範囲へ届けたいという思いが本作の背景にあったのではないか。フクシマに材をとった "圏内の歌"は、ここまでパッケージ化されることなく、あくまで肉声での表現にこだわって各地で歌われてきた。震災がひとつの引き金になったのかもしれないが、大胆で融通無碍な七尾のフォームは、小ささというあたらしい倫理へと変容しかけているようにみえる。それはもちろん、これまでの作風のひとつの進化として、ひとりの表現者としての誠実さや真摯さから生み出されたものであるはずだ。

 七尾の近年の活動、とくにライヴ活動には、なによりもつよくコミュニケーションが前提されている。彼のフォーク・スタイルはほとんどそのために選択されているようにさえ感じられた。歌は自己表現というよりは、そこにいる人々に向かって投げられる対話の端緒であり、そのフィードバックをえて再度投げられる。客をいじるのも、ツイッターを組み込むのも同じことであり、彼はそれをとても鮮やかな手つきでみせてくれる。「百人組手」などの取り組みや、ストリーミング配信、さまざまなミュージシャンとの録音やコラボレーションも同様である。七尾はそうして対話の端口をひらこうとするような取り組みを、もうずいぶんとあの黒と麦わらのいでたちでおこなってきた。それはさながら踊り念仏の聖人のようでもあり、各地へおもむき、自分のじかの声が届く範囲の人びとに、彼の信じる歌の力を届けてまわるという"圏内の歌"=小ささの倫理のスタンスは、すでに準備されていたのだとも言えるだろう。

 だが、それならばライヴ・アルバムの名盤を作ることもできたのではないか。スタジオ・アルバムというパッケージングにおいて、七尾の取り組みの価値がうまく取り出されているとは言えない。"エヴリシング・イズ・ゴーン"や"湘南が遠くなっていく""七夕の人"などは普遍的なラヴ・ソングとしての平明さをそなえ、また宛名のついた曲でもあるような直接性もにじませていて、七尾が想定する聴き手の射程がより小さく絞られたというようにもみえる。つまり、小ささの倫理にもとづき、生の声で伝えることのできるライヴやプライヴェートな演奏において引き立つ曲だというようにも思われる。"湘南が遠くなっていく"のシングル盤が湘南地区限定で販売されているのも同様の原理からであろう。だがアルバムのなかではやや一本調子である。さまざまなアーティストとの録音にはとても緊密な空気がある。だが"サーカス・ナイト"や"メモリー・レーン"は、"ローリン・ローリン"を超える一手を打てない。"アブラカダブラ"の微熱のようなサイケデリアや"ビジー・メン"のもつれるようなビートのアプローチも全面化されるわけではない。

 "リトルメロディ"ではこう歌われる。「そしてみつけたよ/小さなメロディ/何千光年の遠すぎる時間を/短い歌で超えよう」......小さなメロディの本質は、その小ささで思いもかけない距離を超えていけるものとして表現されている。歌というものがものを動かす途方もない力について、七尾のような稀有な歌い手には確信があるのだ。だがその「小ささ」とはかならずしも平易さという意味ではないはずだ。「リトルメロディ」によって、自身の大きさを規制してしまってはいけない。ギターと言葉だけで人びとを愉しませ、あるいは煙にまくことの、本質的なうさんくささをもういちど引き寄せてほしい。そのことで自身のフォークのもうひとつの倫理性を立ち上げてほしい。そのように思った。

文:橋元優歩

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