「IO」と一致するもの

Budamunky & S.L.A.C.K. - ele-king

 『My Space』は、言わば日本における『オリジナル・パイレート・マテリアル』である。何か気の利いたことを言うわけでもなく、ただひたすら彼らの日常のみが描かれているのだ。

 車ではなく電車に乗って東京を移動する、仕事はないが時間はある、梅酒や発泡酒を飲み、そして夜の街を徘徊する、友だちの連れきた女の子に動揺する、夜に自転車をこいで彼女の家まで行く、吸いながら思い切り空想する......そんな「たわいのない話」がいっぱい詰まったアルバムだ。情にすがりつくような感傷主義もなければ、まどろっこしい陰気さもない。何か実のあることを言わなければならないというオブセッションもなければ、経済的な貧しさを売りにすることもない。ラップの自己中心主義とは1億光年離れながら(このアルバムにおける"主語"の少なさといったら......)、S.L.A.C.K.は特徴的な舌足らずの声で彼の日常を淡々と描写する。友だちや恋人、クラブ、朝帰りのまぶしい太陽、やる気のないバイト、怠惰と嫌悪、希望と絶望、愛情と冷酷さが入り交じりながら、しかし感情の起伏は抑えられ、池袋、新宿、渋谷、あるいは足立区から板橋区あたりを、彼はたいした目的もなくぶらぶら歩いているようだ。そんなアンチ・ドラマに満ちた『My Space』は、見通しが決して明るいとは言えない彼らの(そしてわれわれの)日常における、なんとも心地よい夜風のようなアルバムだった。

 去る6月14日、DOMMUNEに登場したS.L.A.C.K.とそしてPunpeeは、彼らの音楽さながら、実に飄々としたものだった。いつの間にか彼らはそこにいて、S.L.A.C.K.はバッグを背負ったままマイクを握ると、いつの間にか消えていた。作為的ではないだろうけれど、自分を懸命にアピールするというよりは、控えめにすることで微妙に際だつというその逆説的な態度は、なるほど『My Space』の柔らかなチルアウトとも繋がっているのかもしれない。


 『Buda Space』は『My Space』のリミックス盤である。リミキサーはブダモンキーというL.A.在住の日本人のトラックメイカーで、『WHATABOUT』にも参加している。その筋ではずいぶんと評判の人らしい。実際、『Buda Space』は力のある作品で、『My Space』をある種のサイケデリックな領域にまで引き延ばしている。メロウだったあの音楽に毒を注ぎ、涼しかったあの音楽に熱と寒さを与えている。『Buda Space』は『My Space』のリミックス盤であることに違いないが、S.L.A.C.K.のラップも録り直しされ、音楽から見える世界は別物となった。

 オウテカにスクラッチを入れたような1曲目の"Enter the BudaSpace"からしてぶっ飛んだプロダクションだが、"Good More"のリミックス・ヴァージョン"Good for"を聴けば、この作品がヘッズたちの実験室で生まれたポスト・ジェイディラの領域で鳴りなっていることがわかるだろう。オリジナル・ヴァージョンでは気取りなく語られた「たわいのない話」が、このアルバムでは暗く冷たいコンクリートの上に投射されているように感じられる。

 痙攣するコンピュータ・ファンクの"Super Kichen Brothers"や"the Third"にも『My Space』にはなかった刺々しさがあるが、もっとも挑発的なのは銃声の音からはじまる"Deep Shit"だろう。ファンのあいだでは人気曲のひとつだと思われる、日常の甘いひとコマを描いたこの原曲を、ブダモンキーはあたかも張り付けにして、ドレクシア流の暗い光沢に塗り替えているようなのだ。これが『My Space』において最高にロマンティックなラヴァーズ・ラップ"Deep Kiss"のヴァージョンであることに一瞬たじろぐかもしれないが、こうした"さかしま"こそがこの作品の魅力というわけだ。

 "I Know Club Bitches"は"I Know About Shit"のヴァージョンである。梅酒と渋谷の空が耳に残るこの曲の叙情主義もまた、ねじ曲げられた映像のように歪んだ世界となってあらわれる。ルーツ・レゲエのドープなダブを響かせる"B.U.D.S."は、『My Space』では最後に収録されていた"S.H.O.C.K"のヴァージョンだ。そこには『My Space』ではひた隠されていたと思われる、なにか強い感情が見え隠れする。

 アルバムは、ブダモンキーによる"Bangin Underground Dimensional Stereo"の不穏なトリップで締めくくられる。「電車で行こう」の"Train On The Tokyo"や爆笑ものの"Dream In Marijuana"はリミックスの対象からはぶかれている。

 『Buda Space』は、好みが分かれるかもしれないが、ずいぶん野心的な試みである。〈ストーンズ・スロウ〉を追っていたというS.L.A.C.K.とブダモンキーの冒険心の賜物と言えよう。限定1000枚なので、すでに売り切れの店も多いと聞くが、まだ探せばあるところにはある。善は急げ。

"生きる"勇気――B.I.G JOE - ele-king

この国のラップ・ミュージックにおけるイリーガルなトピックやニュースを単純に善悪の問題へと矮小化することは、つまり、その背後にある人間の苦悩や葛藤、文化や社会の複雑さや本質から目を背ける愚かな行為と言わざるを得ない。

 すでに1ヶ月以上も前のことだが、5月14日、池袋のヒップホップ・クラブ〈bed〉にビッグ・ジョーのライヴを観に出かけた。終電後、家のある中野から1時間かけて歩いた。〈KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '10〉でのライヴを友だちと酒盛りに興じる間に見逃してしまったことを後悔していた。だから、その日は、酒は控え目にして、ライヴの時間を待っていた。ビッグ・ジョーは、「WORLD IS OURS」と冠された全国ツアーの一環で東京を訪れ、MSCの漢らが主催する〈MONSTER BOX〉に出演していたのだ。ハードでタフなスタイルを愛するBボーイが集まる、ハードコア・ヒップホップのパーティだ。DJ BAKU、CIA ZOOのTONOとHI-DEF、THINK TANKのJUBE、INNERSCIENCE、JUSWANNA、PUNPEE、S.L.A.C.K.、CHIYORI、PAYBACK BOYSのMERCYと、100人も入ればいっぱいのクラブには多くのラッパー、DJ、ミュージシャンも駆け付けていた。

 深夜3時過ぎ、ビッグ・ジョーは、圧倒的な存在感を持ってステージに登場した。オーディエンスを一瞬にして釘付けにする訴求力にはやはり特別なものがある。ステージで躍動するビッグ・ジョーは、ハードにパンチを繰り出す野性味溢れるボクサーのようであり、愛を説く説教師のようであり、また、街頭で群集に決起を呼びかける扇動者のようでさえあった。ストリートの知性とは何たるかを、スピリチュアルに、セクシーに、ポジティヴに表現し、光と影の世界を行き来していた。ライヴ前半、いま注目のトラックメイカーのBUNによるスペイシーなグリッチ・ホップ風のトラックの上で、ビッグ・ジョーが過去の追憶と未来への決意を歌う"DREAM ON"がはじまる。『RIZE AGAIN』に収録された曲だ。ビッグ・ジョーが「夢を持っているヤツら手を上げろ!」と叫ぶと、フロアが一瞬身構えたように見えたが、4、5人の女性ファンが豪快に体を揺らしながら、いかついBボーイたちを尻目に大きな歓声を上げるのが目に飛び込んできた。

B.I.G JOE / Rize Again
B.I.G JOE
Rize Again

Triumph Records /
Ultra-Vibe
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 1975年、ビッグ・ジョーこと中田譲司は北海道・札幌に生まれる。ビッグ・ジョーは、『RIZE AGAIN』のなかでひと際メランコリックな"TILL THE DAY I DIE"という曲でも自身の幼少期について赤裸々に告白しているが、リーダーを務めるヒップホップ・グループ、MIC JACK PRODUCTION(以下、MJP)のHP内のブログで、生い立ちについて次のように綴っている。

「物心がついた頃、親父がヤクザだったのが判明して、悪いことするのがそんなに悪い事だとは思ってなかったんだ。悪いことと言っても万引き、ちょっとした盗み、ギャング団みたいなのを小6までに結成して中学入ってからは、喧嘩、カツアゲ、タバコ、バイク、夜遊び、マ-ジャン、e.t.c...あげればもう片手ぐらいは出てきそうだが、YOU KNOW?? いたって普通の悪いことだよ」(『Joe`s Colum』VOL.21 「BEEF&DRAMA」 08年2月)

 ストリートで生きる16歳の不良少年を音楽に目覚めさせたのは、レゲエのセレクターの兄が勤める美容室にあった2台のターンテーブルとレゲエ・ミュージシャン、PAPA Bのライヴだった。「兄貴がレゲエを買ってたんで、俺は違うのを買おうって。ビズ・マーキーとかEPMDとかを買ったりしてた」
 ビッグ・ジョーは、レゲエのディージェーやセレクターではなく、ヒップホップのラッパーとしてキャリアをスタートする。転機は19歳の頃に訪れる。RANKIN TAXIが司会を務める『TAXI A GOGO』というTV番組のMCコンテストに出場し、北海道予選で優勝を果たしたのだ。
 その流れでDJ TAMAとSTRIVERZ RAWを結成。その後、90年代中盤にRAPPAZ ROCKを結成し、当時の日本語ラップをドキュメントしたコンピレーション・シリーズ『THE BEST OF JAPANESE HIP HOP』に、"デクの棒""常夜灯"といった曲が収録される。先日亡くなったアメリカのラッパー、グールーを擁したギャング・スターやアイス・キューブが札幌に来た際には、彼らの前座を務め、ジェルー・ザ・ダマジャらとのフリースタイルも経験している。THA BLUE HERBのILL-BOSSTINOがビッグ・ジョーのステージに感化され、ラップをはじめたエピソードは日本語ラップの熱心なリスナーの間では良く知られているが、ビッグ・ジョーは自他共に認める北海道のラッパーのオリジネイターとして名高い人物でもある。

 僕の手元には、RAPPAZ ROCKとILL-BOSSTINO(当時はBOSS THE MC)が〈NORTH WAVE〉という北海道のFM局に出演したときのCDRがある。MJPの取材で札幌を訪れた際、MJPのDJ KENからもらったものだ。そこでは、ビッグ・ジョー、ILL-BOSSTINO、SHUREN the FIREらが、荒削りなフリースタイルを30分近くに渡って披露している。ハードコアなラップ・スタイルは、たしかに90年代の日本語ラップの先駆的存在であるMICROPHONE PAGERやKING GIDDRAからの影響を感じさせるが、しかし同時に、胎動しつつあるシーンの渦中で、オリジナリティを獲得するために才能を磨き合う姿が刻み込まれている。前年に日比谷野外音楽堂で〈さんぴんCAMP〉が開かれた97年、まだ全国的に無名だった彼らの、地方都市のアンダーグラウンド・カルチャーを全国に認めさせたいという意地とプライドが札幌の分厚い積雪を溶かすような熱気となって放出されている。

 その2年後、99年にMJPは結成される。札幌、帯広、千歳、釧路など異なる出身地を持つ、ラッパーのビッグ・ジョー、JFK、INI、LARGE IRON、SHUREN the FIRE(現在は脱退)、DJ/トラックメイカー/プロデューサーのDOGG、KEN、HALT、AZZ FUNK(現在は脱退)から成るグループは、クラブでの出会いやマイク・バトルを通じて、徐々に形成されていった。そして、02年にファースト・アルバム『SPIRITUAL BULLET』を発表する。すでにMJPのサウンドのオリジナリティはここで完成している。ファンク、ジャズ、レゲエ、ダンス・ミュージックの要素を詰め込んだ雑食性豊かなこのアルバムは、全国のヒップホップ・リスナーの耳に届き、音楽メディアからも高く評価される。14分を超えるコズミック・ファンク"Cos-Moz"でラッパーたちは壮大なSF叙事詩を紡いでいるが、この曲は、SHING02の"星の王子様"がそうであるように、架空の宇宙旅行を通じて人類のあり方を問おうとする。同郷のTHA BLUE HERBと同じく、「生きる」というテーマに対するシリアスな態度は彼らのひとつの魅力である。
 また、MJPが所属する〈ill dance music〉というインディペンデント・レーベルの名が示すように、ヒップホップとダンス・ミュージックの融合はつねにMJPのサウンドの通奏低音として鳴り続けている。ライヴに行けば、MJPにとってダンスがどれだけ重要なファクターであるかがよくわかるだろう。そこでは、ハウスやテクノといったダンス・ミュージックの文化が独自の発展を遂げた札幌という土地の空気を吸い込んだ音を聴くことができる。『SPIRITUAL BULLET』はインディペンデントのアルバムとしてそれなりのセールスを記録するが、それでも彼らが期待したほどの劇的な展開をMJPにもたらしてはくれなかった。金銭的に潤ったわけではなかった。音楽だけで生活をすることはそんなに生易しいものではなかった。

 その矢先、事件は起きる。03年2月25日、ビッグ・ジョーが香港からオーストラリアに約3キロのヘロインを密輸しようとした際、シドニー空港の税関の荷物検査で摘発され、麻薬密輸の罪で逮捕、起訴されたのだ。当初は軽くても10~15年、最悪の場合は無期懲役の可能性もあった。「血の気が失せたというか、オレの人生は終わりだなって。自殺も考えました」
 黒幕の存在が認められたことなど、いくつかの要因が救いとなり、10ヶ月の裁判の後、6年間の実刑判決が言い渡される。少しずつ未来が見えはじめる。しかし、なぜ、そのような危険な仕事を引き受けたのだろう。「もちろん金もあるけど、それだけじゃないといまはっきりと言えるんです。例えば(運び屋の仕事が)成功したとしても自分にとっていいトピックになるのかなって。そこでアーティストとしてのオレはどういう風に変わっていくのかなって」
 ビッグ・ジョーは、09年2月の帰国後、渋谷のカフェで取材した際に穏やかな口調で僕にそう答えてくれた。

 犯罪行為へと向かった彼の動機を浅はかだと嘲笑することは容易だし、犯罪行為そのものを批判することも同じくである。果たして、犯罪を道徳的に断罪することにどれだけの意味があるのか。さらに、あえて書くが、断罪せずとも、この国のラップ・ミュージックにおけるイリーガルなトピックやニュースを単純に善悪の問題へと矮小化することは、つまり、その背後にある人間の苦悩や葛藤、文化や社会の複雑さや本質から目を背ける愚かな行為と言わざるを得ない。

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ビッグ・ジョーは持ち前の明るさとオープンな人柄で多様な国籍・人種―イタリア人、ギリシャ人、アメリカ人、フランス人、ロシア人、中国人、韓国人、レバノン人、アボリジヌー――の囚人たちと交流を深め、肉体を鍛え、哲学的思索に耽る。

小便やゲロまみれの裏路地で俺は生きてゆくために必要な日銭を稼いだ
小分けしたヤクをいくつも売りさばいた
UNKYのほとんどがヤクの奴隷さ
出口の無い迷宮に俺はいた
長い夜が永久にさえ思えて来た
さらに濃い霧が俺をつつみ込み
もう来た道がどちらかさえもわからないんだ "IN THE DARKNESS"

B.I.G JOE / Rize Again
B.I.G JOE
THE LOST DOPE

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 逮捕以前に制作され、ビッグ・ジョーの評価を決定付けたソロ・ファースト・アルバム『LOST DOPE』(06年)に収録された"IN THE DARKNESS"では、出口の見えない漆黒の闇のなかで孤独感に苛まれる心情が吐露されている。儚くも美しいピアノのウワモノから死の匂いは漂えども、希望の香りを嗅ぎ取ることは難しい。ある意味、ビッグ・ジョーのその後を予見しているような曲だ。『イルマティック』の頃のナズと『レディ・トゥ・ダイ』の頃のノートリアス B.I.G.が、一人の人間の中で蠢いているとでも形容できようか。数年後に興隆する、この国の都市生活者の過酷な現実を炙り出した(ドラッグ・ディールを主題とした)ハスリング・ラップのニヒリズムの極致に、すでにこの曲は到達していたのではないだろうか。

 徹底的にリアリストになるか、露悪的なニヒリストになるか。00年代、この国のラップ・ミュージックのいち部は、過酷な現実を描写することで圧倒的な説得力を有した。01年に発足した小泉政権が推し進めた、相互扶助や社会福祉を切り捨て、経済的な競争原理を優先する新自由主義が、ヒップホップの拝金主義的なメンタリティやゲットー・リアリズムに拍車をかけたのは皮肉な話ではある。カネ、セックス、ドラッグ、貧困、暴力。メジャーの音楽産業が尻尾を巻いて逃げてしまうようなハードなリリックやトピックが、アンダーグラウンド・ラップ・ミュージックのシーンを席巻した。
 たしかに、たんなるセンセーショナリズムとしての表現もあっただろう。しかし、そのシーンにおいて、少なくない才能あるラッパーが登場し、切実な音と言葉が創造され、多くの若者が共鳴し、熱狂したのだ。MSCの漢はその代表格のひとりである。

 紋切り型な表現を使うならば、彼らの音楽は、マスメディアやジャーナリスト、社会学者さえ見向きもしない社会の片隅からの叫びであり、声なき声だった。そこからは希望の言葉も絶望の言葉も聞こえてきたが、彼らの反社会性や反抗は「不良」という酷く安直なカテゴライズに回収され、片付けられることが少なくなかった。だが、「不良」はひとつの属性であって、彼らのすべてではない。重要なのは、彼らが社会の片隅から生々しい声を上げ、出自や階層や性別を越え、このどうしようもない社会で生きるという感覚を持つ人びとと響き合ったということだ。彼らの強烈に毒気のある表現は階級闘争の萌芽を孕んでいると僕は考えている。

 80年代後半、レーガン政権下のアメリカでギャングスタ・ラップのオリジネイターであるN.W.Aが登場したとき、その暴走する反逆に議会を巻き込むほどの社会的な論議が起こり、物議を醸した。メンバーのアイス・キューブは、元ブラック・パンサー党員のアンジェラ・デイヴィスやフェミニストの論客と対談で激しくやり合った。アメリカのあるヒップホップ評論家は、ポップ・カルチャーへの影響力という観点から言えば、N.W.Aのデビュー・アルバム『ストレイト・アウタ・コンプトン』は、セックス・ピストルズ『ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス』がイギリスに与えた衝撃に匹敵すると評価している。つまり、野蛮な反抗と最新の社会問題、そして、ストリート出身者ならば誰でも音楽を作れるというDIY精神に火を付けたという点において。

 日本のアンダーグラウンド・ラップ・ミュージックが国家を脅かしているかと言えば、もちろんノーである。あるいは、N.W.A.やセックス・ピストルズほどの社会的・文化的影響力を持っているかと言えば、それももちろんノーだ。このアンダーグラウンド・カルチャーは、積極的に平穏な昼間の世界に背を向け、メジャーの音楽産業から逸脱し、地下に潜ることで、その粗暴でアナーキーな感性を研ぎ澄ましている。現在のこの国の音楽という分野、あるいは社会においてはそのやり方しかなかったとも言える。
 話があまりにも拡散するので、その理由や詳細についてここでは書かない。いずれにしろ、この文化が新しく刺激的な才能あるアーティストを輩出し、また、日々刻々と変化するこの国のダークサイドをリアルタイムに描写し、問題を提起し続けているのは事実なのだ。

  先日リリースされたばかりのHIRAGEN(彼の存在を僕に教えてくれたのはPAYBACK BOYSのMERCYだ)の強烈なファースト・アルバム『CASTE』を聴いたとき、喉を潰したような声でスピットするラップとインダストリアルなビートに、UKのグライムに似た切迫感とノリを感じた。この乾いた路上のニヒリズムとデカダンスはどこまで行くのだろうか。そう思わせる得体の知れない荒々しいパワーが漲っている。HIRAGEN from TYRANTについては、いずれ改めて紹介するつもりだ。

 そろそろ話をビッグ・ジョーに戻そう。"IN THE DARKNESS"をアンプ・フィドラーを彷彿とさせるデトロイティッシュなビートダウン・トラックにリミックスしたDJ KENのヴァージョンは、深いニヒリズムをグルーヴィーなダンス・ミュージックの渦の中に放り込むことで未来への飛翔を試みている。ビッグ・ジョーと仲間たちのニヒリズムとの闘いの合図が鳴らされているとでも言えようか。そして、ここでの音楽的探究心こそ、ビッグ・ジョーとMJPの6年間を単なる空白期間にしなかったのだ。

 この電話は他でもなく盗聴されてるが
 ソウルまでは奪えはしないさ"LOST DOPE"

 ビッグ・ジョーがジェイル(刑務所)にいるあいだ、MJPのEP『ExPerience the ill dance music』(05年)、『LOST DOPE』、MJPのセカンド・アルバム『UNIVERSAL TRUTH』(06年)、獄中で出会ったアメリカの黒人ラッパー、エル・サディークとのEP『2WAY STREET』(07年)、ソロ・セカンド・アルバム『COME CLEAN』(08年)がリリースされる。『LOST DOPE』には、ジェイルの電話越しにラップを録音した表題曲や、ギターの弾き語りを伴奏にしたラップをテープレコーダーに録音し、テープのリールを封筒に忍ばせ札幌のMJPの元に送り再構築された曲が収められている。音楽への情熱と熱意を看守に訴えたビッグ・ジョーは、音楽スタジオのあるジェイルへの移転を許可され、そこでエンジニアとして働くことを実現させる。『UNIVERSAL TRUTH』以降のラップは、06~07年のあいだにそのスタジオで録音されている。

 オーストラリアのジェイルが日本の刑務所に比べれば、「自由」だったことは不幸中の幸いだった。僕はこれまでビッグ・ジョーに5回ほど取材しているが、そのうち3回はジェイル内の電話を通じて実現している。その貴重なコミュニケーション手段がなければ、この原稿は書けなかっただろうし、囚われの身となっている6年間にこれだけの作品がリリースされることもなかったに違いない。

 ビッグ・ジョーは持ち前の明るさとオープンな人柄で多様な国籍・人種―イタリア人、ギリシャ人、アメリカ人、フランス人、ロシア人、中国人、韓国人、レバノン人、アボリジヌー――の囚人たちと交流を深め、肉体を鍛え、哲学的思索に耽る。2パックは獄中で15世紀イタリアの政治思想家、マキャベリの『君主論』を愛読したというが、ビッグ・ジョーはドイツの詩人・小説家であるゲーテを座右の書として生き抜いた。『UNIVERSAL TRUTH』のインナースリーヴには、アメリカの詩人・批評家のエズラ・パウンドの言葉が引用されている。彼はラップで格言めいたパンチラインを時節展開する。それは、そこそこ哲学や古典文学の知識がある人間が鼻にもかけない類のものかもしれないが、彼が人生のどん底から這い上がるために、知識への飢えを満たすために獲得した言葉をいったい誰が簡単に否定できようか。

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ビッグ・ジョーが伝えたいメッセージも至ってシンプルだ。ずばりそれは、「世界は自分たちの手で変えられる」ということである。世界を変える必要はないと考える人びとにとっては、彼の直球な物言いは滑稽に聞こえるだろう。

 俺には聞こえるんだ......
 本当は病んで病んで病んでどうしようもないのに、
 一人じゃ不安で、
 何をどうしたいのかもわからず救いの無い大都会の海で、
 溺れている人間達の、澱んだ声が......
 俺達は何のためにこの世に生まれたんだ?
 何故こうして 息を吸って、今を生きているんだ?
 そこには、意味はあるんだろうか?
 そんな社会に生まれて、何かがおかしいと思ったおかげで、
 けだものあつかいにされ
 彼等の期待通り犯罪を犯し、囚われの身となり、
 もう誰にも顔は見せられない
 PSYCHO......彼等は俺の事をそう呼ぶんだ
 ......いい響きだ、最高じゃないか/
 これで良くも悪くも、彼等と境界線が引ける"PSYCHO"

B.I.G JOE / Rize Again
B.I.G JOE /
COME CLEAN

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 『COME CLEAN』は、こんな哲学的な問いかけから幕を開ける。メタファーを多用したリリックとライム、ビートに絡みつくジャジーなフロウ、寓話的で文学的なストーリーテリング、社会意識を持ったアティテュード、汚れた魂と美しい魂が交錯するスピリチュアリズム、それらの要素を併せ持ったビッグ・ジョーのラップをバックアップするのは、アメリカナイズされたトレンドのヒップホップとは違う、自分たちの音を鳴らすことに情熱を傾けるトラックメイカーたちのユニークで果敢な挑戦だ。
 トラックメイカーたちはすでに録音されたラップに合わせる形で制作を進めた。LAのアンダーグラウンドなパーティ〈ロー・エンド・セオリー〉と共振する、Olive Oil、BUNによる凶暴で繊細なビートの実験、DADDY VEGA a.k.a. REVEL BEATZ によるファンキーなビート、あるいは、DJ QUIETSTORM の妖しいサイケデリック・ヒップホップ"SPEAK 2 THE SILENT"があり、ILLCIT TSUBOIの"CLINK RAP"に至ってはスピリチュアル・ジャズとラップの対決である。

 ビッグ・ジョーは、自身の体験を基にドラッグ・ディーラーの不幸な顛末を物語化し("D.D.D-Drug Dealer`s Destiny")、逮捕直後の絶望的な状況と心境を告白し("NOWHERE")、ドラッグ・ディールで身を滅ぼすことの愚かさをメッセージする("YOU WANNA BE ME")。「道ばたでドラッグを売りハッスルしながらマッポに追われる生活なんてクソだ」、"YOU WANNA BE ME"のファースト・ヴァースではこう言い切る。だが、ここで展開されるのはありきたりな更正物語や陳腐な道徳論ではない。また、アンチ・ハスリング・ラップやポスト・ハスリング・ラップという単純な図式化に収まるものでもない。僕も最初は、前述した冒頭の数曲に耳がいった。ある種のスキャンダリズムに関心を奪われていたのはたしかだ。しかし、アルバムを何度も繰り返し聴くうちに、"PUBLIC ENENY NO.1"や"WE`RE SOULJA"といったより深く彼の人生観や哲学や内省を抉っていくような曲の虜になっていった。

 "PUBLIC ENEMY NO.1"でビッグ・ジョーは、生い立ちや犯罪者という自身の置かれた立場から、社会からの疎外と異端者の誇りについてラップしていく。
 正義とは何か? テロリズムとは何か? 反体制とは何か? 異端者とは誰か? そして自分は何者か? 自分自身と聴く者を答えのない問いの迷宮に引き摺り込みながらも、最後のところで異端者を鼓舞し続ける。そこに答えを差し出すかのように、ストリングスとビートが厳かなムードを演出する"WE`RE SOULJA"で、「誰もがたたかっている今もどこかで/命をかけ、/僕等はこの世に生きている限り/戦場の上の兵隊さまるで」と呼応する。
 愛、家族、自由、正義、理想、芸術、民衆、未来、革命......、何かのために誰もが闘っているのだと、闘うことの美しさと気高さを、ときに詩人が朗読するように、沈黙を味方につけながら官能的にフロウする。この2曲をプロデュースしたBUNの、金属片を擦り合わせたような鋭角的なビートの響きと、静謐さと躍動が入り混じるフライング・ロータス以降のセンスを感じさせる構成は、ビッグ・ジョーをひとりのラッパーから雄弁で情感豊かな説教師か扇動者へと変貌させているようである。聡明なギャングスタ・スタイルと野性的なコンシャス・スタイルの融合とでも言えようか。こういう表現が的確かどうかはわからないが、ここには――ハスラーから革命家に転身したマルコムXのように――町の不良がストリートの代弁者へと脱皮する姿が刻み込まれていると思えるのだ。なんというか、本質的なまでに闘うこと、反抗することを肯定する。その愚直さがなんとも潔く、清々しく、かっこいいのだ。

 今年発表された通算3枚目のソロ・アルバムとなる『RIZE AGAIN』のCDのインナーには、力強く突き上げた拳のなかにガーベラと思われる真紅の花が握られた絵が描かれ、"HERE I AM"というアルバムの最後を飾る曲のタイトルが上書きされている。このアートワークは、闘いと希望と平和のメタファーなのだろう。アルバムでは、SD JUNKSTAのNORIKIYOを客演に迎えた、シンセが勢いよくうねる表題曲が象徴するように、ビッグ・ジョーがこれまで溜め込んできたエナジーとファンクネスが一気に放出されている。共同プロデューサーに抜擢されたBUNが『COME CLEAN』以上に見せるユニークな表情と、現在インディペンデント・レーベル〈TRIUMPH RECORDS〉の主宰を務め、トラックメイカー/プロデューサーとしても活動するビッグ・ジョーの新たな側面も楽しめる。

 ところで、少なからず期待を寄せた民主党政権のだらしなさといったらないが、管直人新首相に至っては就任会見で「政治の役割は最小不幸社会を作ること」とやたら景気の悪いことを言い出し、しまいには消費税を上げるという。「こら! ふざけるな!」と家で酒を飲みながら心のなかで叫んでしまった。
 とはいえ、自分の生活を振り返ってみると、そこには多くの快楽があり、遊びがあり、満足がある。酒を飲んで、パーティに行って、気持ちの良い音楽と気の合う連中と酔って大騒ぎするのは最高に楽しいし、こうやって自分の好きなことを書いてお金をもらい、また発言する自由も感じている。だが、この日々の幸せは、諦めと表裏一体じゃなかろうかというアンヴィバレンツな感慨に襲われてしまうときがある。そんな時、フェラ・クティやジェームス・ブラウンやボブ・マーリーといった理想主義と闘いの結晶のような最高にファンキーな音楽を聴くと、いまでも心底感動し勇気づけられるし、そこから湧き上がる躍動と闘争心を僕は深く愛している。

 そう、ビッグ・ジョーが伝えたいメッセージも至ってシンプルだ。ずばりそれは、「世界は自分たちの手で変えられる」ということである。変化を望まず、いまの世界でそこそこ上手くやることに疑いのない人びと、あるいは世界を変える必要はないと考える人びとにとっては、彼の直球な物言いは滑稽に聞こえるだろう。何を変えるのか? どんな世界を望むのか? そして、何のための闘いなのか? 体制と反体制、右翼と左翼、資本主義と共産主義という分かり易い二項対立など誰も信じていないし、これだけ価値観が多様化している時代に、何のための闘いなのかという問いはもっともややこしいい命題だ。しかし、ただ一つ言えるのは、生きることは正しく、そもそも生きることは闘いであるということだ。

 『RIZE AGAIN』の"SHE JUST..."という曲を聴くと、僕は、ビッグ・ジョーが何を背負いどこからやって来て、誰の味方であり、これからどこへ向かおうとしているのかが見えてくる。「彼女は天使の夢を見ていた/白い翼が空に散って目を開けた」というリリックからメロウに滑り出すソウル・フィーリングに溢れた"SHE JUST..."では、社会の片隅で寄り添って生きる国籍不明の若く無力な男女の儚く切ない物語が、女性ヴォーカリスト、TSUGUMIとの掛け合いのなかで丁寧に紡がれていく。
 そこでビッグ・ジョーが強烈に発している感情は、社会からはじかれた人びとへの深い慈愛のようなものである。彼が呼びかける相手は、ドラッグ・ディーラーであり、風俗嬢であり、サラリーマンであり、ヤンキーであり、オタクであり、Bボーイであり、その誰でもあり、誰でもないのかもしれない。ビッグ・ジョーが思い描く理想は、これから彼の音と言葉に力強いレスポンスを返すリスナーやオーディエンスとともにゆっくりと具体的な形を伴って立ち現れていくだろう。

 そして、この原稿も終盤を迎えた頃、ビッグなニュースが届けられた。ビッグ・ジョーは来たる7月21日に、ILL-BOSTTINO、Olive Oilと制作した「MISSION POSSIBLE」という、大胆にも、現在のこの国におけるもっともデリケートかつ重要な政治課題の一つである沖縄基地移設問題をテーマにしたシングルをリリースする。僕はその曲をまだ聴いていないが、勇敢な理想主義者である彼らの、音楽の力で世界を少しでもより良くしたいという強い信念に間違いはないと信じている。

 僕が1ヶ月以上前に観たビッグ・ジョーのライヴは素晴らしいものだった。全国各地を回る「WORLD IS OURS TOUR 2010」はまだ続いている。自分の目と耳でビッグ・ジョーの勇姿をたしかめ、大きな声を上げて欲しい。

Chart by TRASMUNDO 2010.06.29 - ele-king

Shop Chart


1

Budamonk&S.L.A.C.K.

Budamonk&S.L.A.C.K. 『Buda Space』 »COMMENT GET MUSIC

2

ONE-LAW

ONE-LAW 『FAMILY RE:UNION #8』 »COMMENT GET MUSIC

3

HIRAGEN from TYRANT

HIRAGEN from TYRANT 『CASTE』 »COMMENT GET MUSIC

4

DJ PK presents(CIAZOO、SEMINISHUKEI)

DJ PK presents
(CIAZOO、SEMINISHUKEI)
『TEKNO BOMBING』 »COMMENT GET MUSIC

5

Sunouchi Kemm

Sunouchi Kemm 『deconstruction』 »COMMENT GET MUSIC

6

SONETORIOUS(SEMINISHUKEI)

SONETORIOUS
(SEMINISHUKEI)
『Bedtime Beats vol.1』 »COMMENT GET MUSIC

7

KRBT A.K.A.DON.K(SEMINISHUKEI)

KRBT A.K.A.DON.K
(SEMINISHUKEI)
『Bed yu to eat』 »COMMENT GET MUSIC

8

LIL' MOFO(WAG.)

LIL' MOFO
(WAG.)
『BAJO EL SUELO spanish underground peeping』 »COMMENT GET MUSIC

9

平塚デコーダー

平塚デコーダー 『Drip On Sugar』(DEMO) »COMMENT GET MUSIC

10

ISEHARA KAIDO BOYS

ISEHARA KAIDO BOYS 『FUCK MONDAY』(DEMO) »COMMENT GET MUSIC

Flying Lotus - ele-king

 やはり、アニマル・コレクティヴの『Merriweather Post Pavilion』がティッピング・ポイントということになるのだろうか、ここ数年、USインディ・ロックはすっかりサイケデリックづいていて、今年に入ってからも、MGMT『Congratulations』のビッグ・ヒットを筆頭に、ザ・ウッズ主宰〈Woodsist Records〉周辺のローファイ・リヴァイヴァルや、ザ・フレーミング・リップスとスターデス・アンド・ホワイト・ドワーフスによる、そのものズバリな『The Dark Side of The Moon』のカヴァー・アルバム等、ますます勢いを増している。しかし、それらの音がオリジナル・サマー・オブ・ラヴ世代と趣を異にしているのは、その深いディレイが、現実に対してかけられるのではなく、自分たち自身に対してかけられているというか、実に現実逃避的で、しかし、内省的というよりは、そう、母体回帰的な響きを持っているということだ。そこには、バラク・オバマでさえ焼け石に水だった政治への圧倒的な不信感が表れているのだろうが、彼らが現代のヒッピーだったとして、Pファンクやスライ&ザ・ファミリー・ストーンといったブラック・サイケデリアの役割を反転させつつ担っているのが、キッド・カディの『Man on The Moon』であり、トロ・イ・モワの『Causers of This』であり、この、フライング・ロータスの『コスモグランマ』だ。何しろ、母体回帰的という点で言うならば、スティーヴン・エリソンは本作を、母の死から受けた精神的なショックを芸術的に昇華するため、ジメチルトリプタミンでファックト・アップしながらつくったという。これ以上の例があるだろうか。

 あるいは、本作のタイトルである、ギリシャ語で"文字"を意味する"gramma"と、やはりギリシャ語で"秩序"や"美"を意味する"kosomo"より派生した"cosmo"を合わせた造語を下に、母体を、スター・チャイルドを包み込む宇宙と読み解けば、自身の生まれた年を掲げた06年の『1983』から、自身の生まれ育った街を掲げた08年の『Los Angeles』、そして、本作へという飛躍は、彼が敬愛するMC、NASの初期三作のジャケットにおける三段活用(少年→青年→ツタンカーメン)を思わせるし、つまり、この26歳のトラックメーカーは、サン・ラにはじまり、ジェフ・ミルズを経由して脈々と続くアフロ・フューチャリズムーーその世界認識では、ホーム・タウンと、宇宙として象徴化されたアフリカ大陸という失われた故郷が、媒介なしに繋がっているーーの歴史に名を連ねることになったのだ。または、"空飛ぶ睡蓮"というアーティスト・ネームがすでに予告していたように、彼の身体の中に受け継がれていたジョン・コルトレーンとアリス・コルトレーンのスピリチュアリズムが、いよいよ花開き、空へと舞い上がったのだと。

 00年代版『エンドトロデューシング...』として多くのフォロワーを生んだ前作の、そのリミックスを纏めた『LA CD』は、言わばLAを中心とした新たなシーンの見取り図だった。しかし、本作で、故郷を背に、宇宙へと旅立ってしまったフライング・ロータスは、フォーマット化されたグリッチ・ホップなど見向きもせず、早くも新たな領域に踏み込んでいる。ただし、かつて、音楽的な成長を求めて、同じ様にスピリチュアル・ジャズを模倣しようとしたものの、イージー・リスニングに成り下がってしまった所謂クラブ・ジャズやいち部のドラムンベースの轍を踏んでいないのは、生演奏を意欲的に取り入れつつも、全体の軸となっているのが、初期のジャングルを連想させる、チープで高速な、奇妙極まりない打ち込みのビートであるというところが大きいだろう。そんなハリボテ感は、一見、サイケデリックを演出する上では邪魔になっているように思えて、サーラーとスーサイダル・テンデンシーズという、LAが生んだ両極端なふたつのバンドに参加するスティーブ"サンダーキャット"ブラナーの蛇のように撓うベース・ラインや、自らの手による狼のように唸るサイン波ベースと絡み合いながら、深いエフェクトのブラックホールへと吸い込まれて行く時、えも言われぬトリップを生む。実際、サイケデリックを体験したことある人ならば、それが、子供騙しと深遠さが共存する感覚であることをよく知っているはずだ。その試みは、スクエアプッシャーの『Feed Me Weird Things』の時期や、我が国の誇るべきアンダーグラウンド・ダンス・ミュージック・シーンを引き合いに出せば、DJ Shhhという注目すべき才人とリンクしているようにも感じられる。あるいは、『鉄男』のヴィジュアルが浮かぶ、鋼鉄がグニャグニャと変化していくかのごとく、ヘヴィなのに軽やかなリズム・アプローチは、グッチ・メインの『The State vs. Radric Davis』をリキッドでヒタヒタにしたようにも。つまり、この、馬鹿馬鹿しくも崇高なアルバムは、伝統的であると同時に実験的であり、すでにグリッチ・ホップという文脈で語ることはできないどころか、同時代のサイケデリック・ミュージックの中でも頭ひとつ抜きん出ているのだ。政治性の欠落という点ではご他聞に漏れないが、いや、それこそが現代的なのだし、この空飛ぶレコードは、あなたをお望み通り、高く、遠く、そして奇妙な場所へと連れ去ってくれることだろう。

interview with Buffalo Daughter - ele-king

 「大量破壊兵器(The Weapons Of Mass Destruction)」ではなく「数学破壊兵器(The Weapons Of Math Destruction)」というのが、バッファロー・ドーターにとって4年ぶり通算6枚目となるアルバムのタイトルである。なんとも含みのある言葉を冠したもので、これまでのバッファロー・ドーターを思えば今回の刺々しい政治性は、どうにも異質に思える。とにかくバッファロー・ドーターは帰ってきた。パンキッシュになって。
 シュガー吉永、大野由美子、山本ムーグの3人によって1993年に誕生したこのバンドは、1996年にはビースティー・ボーイズの主宰する〈グランド・ロイヤル〉と契約を交わしている。そして、伝統的なロックのいかめしさに対するアンチ的なセンスとミニマルでダンサブルで独特のメロディ(ときに可愛いメロディ)を持つサウンドによって、コーネリアスや嶺川貴子、少年ナイフらとともにUSインディ・シーンにその名を刻んだ。カット・マスター・カット(ドクター・オクタゴンに参加していたDJ)やコーネリアスらによるリミックス・ヴァージョンでも知られる1998年の"Great Five Lakes"がバンドにとっての最初のピークだろう(というか......、セカンド・アルバム『ニュー・ロック』に収録されたこの曲が、僕が最初に好きになった曲なのです)。
 クラウトロックとヒップホップの幸福な出会いとでも言えそうな"Great Five Lakes"を聴いていると、誰もいない広い草原へと瞬間的にテレポートされたような気分になる。とにかくそれは新鮮で、どこまでも心地よい。


Buffalo Daughter / The Weapons Of Math Destruction
Buffalo Ranch
AWDR/LR2 7月7日発売 ¥2,500(税込)

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 『ザ・ウェポンズ・オブ・マス・ディストラクション』は、そうした陶酔を遠い過去においやるアルバムとも言える。実験精神旺盛なこのバンドはいま、世界を覆う暗い風――しつこいけど、10年前にレディオヘッドやゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー!が描いたもの――を見つめている。その暗さをバネに、力強く前向きな音楽を創出した、それが今回の新作である。
 危険を冒した冒険者の生還のように、バッファロー・ドーターはいま晴れ晴れとしている。バンドのトレードマークとも言えるリフは鋭く鳴り、ビートはパワフルに響いている。このバンドが素晴らしいのは、いまでも音楽には前進の余地があると考え、その困難さに挑戦している点にあるが、その実験をいちぶのマニアにしか通じないものではなく、よりポップに捉えているところにある。それがコーネリアスとの共通点であり、そして相違点はバッファロー・ドーターにはどうしても伝えたいメッセージが込められている――ということである。『ザ・ウェポンズ・オブ・マス・ディストラクション』はそういう意味で、広く聴かれるべき作品となった。

3次元世界は、5次元からの見えざる力によって動かされていると。だから、いまの世界が悪い方向にいっているのも、5次元からの力によるものじゃないかという結論が出たんですよ。

最初からコンセプトがあってはじまったんですか?

大野:ぜんぜん。もうー、とにかく出したい。4年も空いてしまって、もう出さないと。「出したい」という強い気持ちからはじまりました。コンセプトも何もなく、とにかくアルバムを作るんだと。

4年という月日はどんな意味がありましたか?

大野:ホントは2年前に作っていたはずなんですけど、契約していた〈V2〉がなくなったんですよ。

そうでしたよね。

大野:そのゴタゴタで出せなかっただけで。

本来だったら2年前に出てたんですね。

大野:出てましたね。

内容的にも同じモノが?

大野:たぶん違うと思う(笑)。

じゃあ、2年前に録音していた音源は今回入っているんですか?

大野:いや、だから制作に入る前にレーベルがなくなっちゃったら。

青写真もない?

大野:ない。そろそろ作ろうかっていうときになくなったから。

4年のブランクはバンドにとって気になりましたか?

大野:気にはならなかったけど、レーベルを探すっていうのが大変だった。そのストレスはあった。

音楽的な方向性で迷ったということはなかったんですか?

大野:それはなかった。それよりも実務的なことというか、いままではマネージャーがいて、バンドの3人がいて、それで話していたことが、今回は3人で話して、それをディストリビューターに伝えて条件を詰めていっていって......そっちのほうが大変だった。

吉永:この4年も、ライヴはコンスタントにやっていたし、フェスにも出ていたし、ただとにかく、アルバムを出す地盤となるレーベルを探すということに奔走したというか、これはものすごいエネルギーがいることなんですよね。私たちにとってはすごいエネルギーがいることだった。はっきり言って面倒くさいんですよ。

まあ、それはそうですよね。

吉永:そういうのはあったんですけど、まあ、最終的にはもうレーベルを探すのを止めてしまって、自分たちでレーベルをはじめて、「バウンディみたいなディストリビューションを持っているところでやるのがいいね」と決まったのが......半年前とか? 

そのときはもう音はできていたんですか?

吉永:いやもう、自分たちのなかでは時間切れというか、「待っていても仕方がないから、とにかく音を作っちゃおうよ」、「最終的には自分たちで出すことができるんだし、どうにかなるよ」と。それで作りはじめたんです。

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だから、今回はラップでもやっちゃおうかなと。ただし、ラップをやるには言いたいことが明確にないと意味がないじゃないですか。言いたいことがしっかりあって、力強い音楽になっていないと意味がないから


山本ムーグ (photo by Yano Betty)

言いたいことがいっぱい詰まったアルバムだと思ったんです。いままでのなかでもっともメッセージ性の高い作品なんじゃないかと思うんですけど、そのあたりはどうですか?

大野:メッセージ・バンドではないんだけど、いままでの作品とくらべたら強く意志が出ていると思う。こういう時代、はっきりさせたほうがいいかなと。

で、資料に書いてある物理学の話なんですが、どういう経緯で、数字や物理をテーマにしようということになったんですか?

大野・吉永:(ムーグ山本を指さす)

はははは、ここでムーグさんの登場なんですね(笑)。

山本:先にコンセプトがあったわけじゃないんです。フリーハンドで絵を描くようにはじまっているから。ある程度の数、曲ができあがって、イメージがはっきりしない素材もたくさんあって、そのときにね......。その前からなんとなく「物理がいいね」という話はあったんですよ。シュガーなんかも物理とか言い出していて、それで3人で調べだしたというか。そしたらリサ・ランドールさんという女性の物理学者の話があって。

どういう方なんですか?

山本:アインシュタイン以来の発見をするかもしれないという40代の女性で、新しい物理学によって「世のなかこういうことになっているんじゃないか」という仮説を立てている方なんですね。彼女自身もチャーミングな人で、とても好感を覚えたんですけど、僕のなかでローリー・アンダーソンと似ているというか(笑)。ティナ・ウェイマス、ローリー・アンダーソン、リサ・ランドールという並びでね。

一同:ハハハハ。

山本:すごくスマートで、ロックな感覚を持っているというか。

リサさんが言っている物理学の新説はどういう内容なんですか?

山本:アインシュタインが相対性理論を打ち出したときに解明できなかったことがあったんです。地球の重力は本当だったらもっと強いはずだったという話なんですけど。しかし現実のそれは弱くなっている。じゃあ、なぜそう弱くなってしまったのかと。それをアインシュタインは解明できてなかったんです。

本当だったらもっと強いはずだったと。

山本:そうなんです。他の力にくらべて相対的に弱いんです。

吉永:力というのは4種類あって、そのなかのひとつが重力なんだけど、他の3つにくらべて重力は桁違いに力が弱いんですって。たとえばクリップがあって、磁石を近づけるとピッと上の磁石にくっついてしまう。磁石ごときに負けてしまうなんて、それは重力が弱いことの証だと。そう言われると「なるほど、たしかに」と。

大野:アインシュタインもそこを解明しようとしたんだけど、解明できているようで実は矛盾があるという、いままでも「アインシュタインのここがおかしい」といろんな指摘があったんだって。

吉永:そこにリサ・ランドールさんが切り込んだのが"extra dimensions"っていう考え方で。

山本:5次元というのをいったん仮定して、力というのは5次元から3次元におよんでいると。3次元のことを考えても解明できないことが、5次元という仮説をたてることで解明できた。その仮説をいま立証しようとしているらしいんですけど、その話が面白かったんですよ。要するに、リサ・ランドールさんは僕らに新しい感覚を与えてくれる人で、新しいミュージシャンみたいに思えたんです。雰囲気も良かったし。

「物理という絶対的にパワーに対するアート宣言」というキャッチとどういう風に結びつくんですか?

山本:3次元世界は、5次元からの見えざる力によって動かされていると。だから、いまの世界が悪い方向にいっているのも、5次元からの力によるものじゃないかという結論が出たんですよ。

はははは。それ、どういう解釈ですか(笑)。

吉永:勝手な解釈。

山本:でもそういう風に解釈したほうがすっきりするじゃないですか(笑)。個人的な思い入れや神秘主義に逃げるよりは。いったん物理学的には、とにかく3次元は5次元の影響を受けているということになったんですよ。

普天間基地問題も5次元の影響ですか?

吉永:そうですよ。悪いことはぜんぶそっから来ている(笑)。

山本:そう、あくまでそういう解釈なんですよ。だからといって、悪くなっていることをそのまま終末論的には嘆いても仕方がないし、現実的にはそこは要所要所で戦っていかなくてはならないというか、そこはもう、物理学ではなく、もうロック思想になるわけです。

なるほど。ちょうど今日はここに取材に来る前に鳩山が辞任しいて、「まあ、結局こんなもんか」と思ったんですけど、民主党もあれだけ期待を背負っておきながら、ホントに「まあ、結局こんなもんか」って感じですよね。みんなすごく期待していたでしょ。

大野:なんでこう簡単に辞めてしまうのかとは思いましたね。

吉永:結局さ、政治ってパワーゲームだもんね。私も最初は、鳩山さんを応援していた。

最初はいろいろ革命的なこと言ってましたからね。

吉永:掲げていることは面白かったし、自民党は違うという意味で面白かったんだけど、民主党もだいぶ問題がありそうだなと思っていて、「やっぱりね」という感じでそこが露呈したよね。鳩山さんもがんばれば良かったんだよ。だけど、がんばれない事情があったんだろうね。なんかさ、「がんばったんだけど、ダメでした」みたいな、言い訳がましいじゃない。「あんた奥さん宇宙人なんだから、そこをタテにがんばればよかったのよ」と思うね。

はははは、そうかも(笑)。

吉永:私はそこにいちばんがっかりした。やっぱさ、首相なんだからさ。

大野:最初は顔つきも良かったし、「いまキテマス!」って感じがあったんだけど、最後のほうもう、声も小さくなってしまって。ダメかなっていう雰囲気はもうだいぶ前からありましたよね。

だから、そういう意味では、バッファロー・ドーターの新しいアルバムは実にタイムリーに出てしまうというか。

吉永:はははは。

ホントにそうでしょ。

吉永:ちょうど参院選のタイミングぐらいかな(笑)。

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自作自演の歌は、あの人、昔からやっているんだけど、「次は私の自作自演、マンハッタンの自殺未遂常習犯の歌を歌います」、で、みんな「ワー!」とか(笑)。それがすっごい歌なのね。もう、譜割りが尋常じゃない。


シュガー吉永 (photo by Yano Betty)

ホントでも、久しぶりにバッファロー・ドーターの過去のアルバムを聴き返してみたんですが、今回のアルバムはすごくソリッドな音というか、カンがパンクをやっているみたいな音だと思ったんですね。ところが資料を読むと、ムーグさんが「ヒップホップをやりたかった」と書いてある。

大野・吉永:ハハハハ。そこ必ず突っ込まれるね(笑)。

山本:なんでそんなこと言ったのか......(笑)、アルバムを作るときに、いままでとは違うことをやりたいというのがあるんです。その前の『ユーフォリカ』(2006年)では僕が歌ったんで、次はラップかなと。そういう風に攻めていきたいというか、アグレッシヴな姿勢をですね......(笑)。


Buffalo Daughter / Euphorica

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『ユーフォリカ』は"歌"なんですか?

山本:"歌"というか、それまでターンテーブルでやっていたことを声でやるという。だから、今回はラップでもやっちゃおうかなと。ただし、ラップをやるには言いたいことが明確にないと意味がないじゃないですか。言いたいことがしっかりあって、力強い音楽になっていないと意味がないから。

ああ、たしかに"Rock'n'roll Anthem"や"The Battle Field In My Head"みたいな曲はラップと言えばラップなのか......。

山本:メロディを聴かせるよりも、そういうことだと思いますよ。

なるほど。制作中に勇気づけられた音楽があったら教えてください。

大野:勇気づけられたというか、「私もやりたい」と思ったのが、ソニック・ユース。「ギターを弾きたい」と思った。

ああ、昨年の『ジ・イターナル』でしたっけ。

大野:あんな風には弾けないけどね(笑)。でも、弾きたいと思った。

山本:僕は......ここ何年もDJ見てないんですけど、リッチー・ホウティンだけは見ているんですよ。見てますか?

いや、ぜんぜん見てない。

山本:見たほうがいいですよ。リッチー・ホウティンは、先端の物理学を理解している気がしますね。そのうえでやっている気がします。ずば抜けて共感を覚えていますね。

どこがですか?

山本:YouTubeに"We (All) Search"という曲のPVがあがっているんですけど、それを見たときに「あ、この人もう感覚的に次の流れつかんでいる」って思ったんですよね。重力みたいなものをすごく感じられたし......、あの人、スタジオに籠もって電子音楽作ってますけど、友だちをスタジオに入れて楽しそうにやってますけど、そのいっぽうで世界中まわっていて、そのライフスタイルをふくめて、すごく正しいと思う。

シュガーさんは?

吉永:影響を受けたというか、「きた!」と思ったのは、草間彌生さんが自作自演の歌というの見たときで。

それは濃いっすね。

吉永:自作自演の歌は、あの人、昔からやっているんだけど、実際、譜面にもなっているんだけど、それを見たんだけど。「次は私の自作自演、マンハッタンの自殺未遂常習犯の歌を歌います」、で、みんな「ワー!」とか(笑)。それがすっごい歌なのね。もう、譜割りが尋常じゃない。歌詞に対する譜割り、メロディもリズムそうだけど、とにかく尋常じゃない。ものすごいパワーがある。「これは何だろう?」というね。すごく影響受けたかな。

へー。

吉永:要は、もうカタチじゃないし、普通に考えられる譜割りじゃなくて、すべてに逸脱している。でも、パワーだけはすごい(笑)。

なるほどねー。いまの話、すごくよくわかったというか、ソニック・ユース、リッチー・ホウティン、で、草間彌生。

山本:完璧ですよね。

見事に『ザ・ウェポンズ・オブ・マス・ディストラクション』を語ってますね(笑)。

山本:素晴らしい。

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大手レコード会社が息切れしているなか、インディーズががんばっているわけでしょ。一時は「これで食ってけるのかな」と思っていたけど、意外とみんなしっかりやっている。


大野由美子 (photo by Yano Betty)

あのー、90年代にくらべてゼロ年代の10年間の音楽シーンにはどんな印象を持っていますか? 僕はバッファロー・ドーターといえば、新宿リキッドルームでコーネリアスと対バンしているのを見たり、あるいは日比谷野音でフィッシュマンズと対バンしているのを見ています。いわゆる"90年代組"と括られてもいいと思うんですね。でも、ゼロ年代は"90年的"なシーンはどんどん小さくなってしまったと。もちろんゆらゆら帝国はいたけれど、たしかに、この10年J-POPはより支配的になって、洋楽は売れなくなったという現実があったと思うし、そのあたり、どういう風に思っていますか?

大野:J-POPを聴いているわけじゃないから......それがいま中心になっているのは認めるけど。まあ、でもいろんな音楽があって良いと思うから、そっちはでそっちでこっちはこっちで良いんじゃないかな。

両方あればいいんだけど、"こっち"のほうが弱体化したのがゼロ年代じゃないかという意見もあるわけです。90年代は"こっち"が多かったじゃないですか。

大野:でも、意外とそんなに変わらないと思うよ、数自体は。

吉永:90年代は小室の時代だったから、まあ、J-POPの時代といえばJ-POPの時代じゃない。変わってないじゃないの。J-POPを気にしているわけじゃないし、よくわからないけど......。ただ、洋楽は聴かれなくなったとは思う。映画でも字幕がイヤだから吹き替えで見たりとか、そういう意味では時代が変わったなと思う。映画も音楽も、多くの人が外ではなく、国内に向いていると思う。あと......、バンドの形態をとったJ-POPが増えたよね。バンドやってるんだけど、明らかにコーネリアスやゆらゆら帝国とは違う、J-POP的なバンドが目に付くようになった。やたらバンド多いでしょ。

そうなんですよね。

吉永:でもね、かたやインディーズでも、それなりの動員と売り上げを持っているバンドもいるでしょ。さらに言うなら、最近はインストのバンドも多い。こないだ〈残響レコード〉のイヴェントに出たんだけど、やっぱ中心にいるのがインストのバンドで変則リズムをいっぱい使うんですよ。ザゼンボーイズみたいな。ザゼンはまあ、歌があるけどね。

そういう意味では、ゼロ年代で大きく変わったとは思わない?

吉永:シーンは変わってきているけどね。ただ、小室がチャットモンチーに代わっただけで、少なくとも小室がいなくなっただけでも、私はまあ、いいかなと。小室よりはいいやと思うけど。

エグザイルとか嫌じゃない(笑)?

大野:エグザイルねー。

吉永:いや、でも、小室はきついよ。

大野:小室はまだ日本のポップスになってるけど、R&B系は向こうのコピーじゃない。

吉永:いや、小室だってさ......。

はははは。

吉永:まあ、ふだん気にしてないからよくわからないけど(笑)。ただ、外の世界を見なくなったというのは感じますね。バンド名もなんかさ、横文字じゃないじゃん。私、あの風潮もあんま好きじゃないからさ。

まあ、ゆらゆら帝国もいますけどね(笑)。解散しちゃったけど。とにかく、音楽の世界があんま良い方向にいってないという感覚はないんですね?

吉永:思ってない。大手レコード会社が息切れしているなか、インディーズががんばっているわけでしょ。一時は「これで食ってけるのかな」と思っていたけど、意外とみんなしっかりやっている。あと、オーディエンスと直に繋がるようなシステムもできているし、大手プロモーターが仕切るのではない、手作りフェスも増えているし。

そういう意味では、むしろ良くなっていることもあると言えるのかもね。

吉永:音楽を好きな人が減っているわけじゃないと思えるかな。逆に音楽を生で聴きたいと思っている人も増えてきているしさ。たしかに売り上げ的には昔に比べたら落ちているのかもしれないけど、活況としているんじゃないかな。ホントに聴きたい人、やりたい人が、積極的にやっているというか、昔はシステムのなかに入ってやらなければならなかったことが、いまはやりたいと思ったときにできる、発信したいと思ったときに発信できる。だから......健全化しているんじゃないかなと思っていて。

ザゼンボーイズだってインディーズだしね。

吉永:そうだよね。

山本:たぶん......2000年から2010年にかけて音楽業界の状況は悪くなってきていたんだけど、「まあ、まだ大丈夫だろう」と、沈んでいく船にみんな乗っていたわけですよ。それって自民党みたいなもので、沈むときにあっという間に沈んでしまう。それで民主党とか新党とか出てきて新しいことやる。で、失敗する人もいるんだけど、少なくとも新党を立ち上げようとしている人たちはなんか元気がある。「じゃあ、なんか新しいやり方を提案しよう」というかね。光明を見出している人たちもいるわけです。まあ、たとえばそれはDOMMUNEや『エレキング』だって、何か新しいやり方を提案しているわけであって、資金力はなくてもアイデアがあればいろんなことはできる。で、それをやってる人は、とりあえずは元気ですよね。お金が潤沢にあるかどうかは別にしてね(笑)。

まあ、そうかもしれないですね。ちなみにバッファロー・ドーターというバンドはカウンター・カルチャーを信じているバンドだと思っていいんですね(笑)?

一同:ハハハハ。

山本:音楽のシーンは、なんだかんだまだ新しいことをやろうとしている人や実験的なことをやろうとしている人が他のジャンルにくらべていっぱいいるなとは思いますね。だから、やってて良かったなと思うんですよね。

なるほど。

吉永:「新しいことができるから楽しみだねー」という部分もあるんだよね。うちらはだから、ぜんぜん悲観的になってない。

バッファロー・ドーターといえば、まあ、90年代らしくボアダムスやコーネリアスとともに海を渡ったバンドのひとつですけど。

吉永:海外とのライセンスもこれから自分たちでやろうと思ってて。海外はもうダウンロード主流になっているから、まあ、それをどうプロモートするかは別にして自分たちでやっていくにはより発展した土壌があるでしょ。

そうした前向きなエネルギーは今回のアルバムからヒシヒシと感じましたよ。ムーグさんが言ったように、「力強い」作品だと思いました。

大野:作っていながら思ったのは、1曲1曲が濃いなと(笑)。

1曲の長さが、以前にくらべて短いですよね。

大野:そう。

そこはロックンロールのマナーに戻ろうとしたんですか?

吉永:たぶん、いまダンス・ミュージックの流れじゃないんですよね。『シャイキック』(2003年)の頃は完全にダンス・ミュージックの流れだったから、「3分じゃ短すぎるよ」と思っていたけど、いまは10分やるよりは3分で簡潔に物事を言いたい。

ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァルみたいな時代のモードは関係してますか? この10年であの時代のささくれ立った感覚がまた音楽の最前線に戻ってきたじゃないですか。

山本:ある意味では周期的なものですよね。ニューウェイヴの前だって、ザ・フーやストーンズみたいなものがって、それがプログレみたいなものに展開しがら産業も肥大化して、それでパンクでいっかいスパッと切った。そういう流れってつねにありますよね。だから、ちょっと前にはやっぱ、神秘的な音楽やプログレっぽい音楽がたくさんあったし、音楽産業もやっぱ巨大化していたし、それがある程度までいくとまた元に戻るというか、ささくれ立ったものが欲しくなるというか。それはもう......ポスト・パンクみたいな短いことではなく、輪廻のような(笑)。

大野・吉永:ハハハハ。


Buffalo Daughter / Captain Vapour Athletes

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山本:バッファロー・ドーターというか、僕としてはファースト・アルバム、『キャプテン・ヴェイパー・アスリーツ』(1996年)の頃の気持ちに戻ったというか。

吉永:そうだね、『キャプテン・ヴェイパー~』を作っていた頃の実験精神に近いね。いま時代は過渡期だし、逆にいろんなことができるわけだし。

しかし......、そうは言っても、行き詰まりを感じたことはないんですか?

山本:すごくそれ訊かれるんですよね。「いままで行き詰まりを感じたことはないんですか?」って。それは絶対に訊いている人が行き詰まっているんじゃないかと思うんですけど(笑)。

まったくそうですね(笑)。

山本:僕はすごく行き詰まるんです(笑)。考え込むとぜんぜんダメで、ネガティヴになって、どうしようもなくなってしまうんですね。何もできなくなるんです。でも、このふたりは行き詰まらないんですね(笑)。考える暇なくやってしまうんですよね。動くと止まらないんです。で、とにかく締め切りを決めるわけです。そうすると、そのときまでにやるしかない。だから、もういちいちネガティヴになる暇なく、がむしゃらにやるわけです。そうすると、何か生まれてくるんですよね。今回のアルバムは本当にそうだった。

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「"アシッド・トラックス"の影響を受けたロック・バンドってそういないかも」と思ってね。「"アシッド・トラックス"は私たちのなかで重要なんだよなー」と思ってね。

しつこいようですけど、クラウトロックを参照にしたとかないんですか?

山本:もう、それは染みついちゃってるよね。

コーネリアスは、欧米での評価が一様に「カンみたい」だとか「クラウトロック的な」とか......、なんですよ。

山本:コーネリアスは東京っぽいよね。日本ぽいというよりも東京。東京だから生まれた。ああいう風にいっぱい聴いて作るというスタイルは、やっぱ東京だから生まれたんだと思いますよ。ただ、小山田君はもう、ああいう風に情報をいっぱい詰め込んだやり方にはもう飽きていると思うけど。それもまた東京っぽいと思うんです。カンってどこですか?

ケルンですね。

山本:ケルンか......。やっぱ住んでいる場所と音楽はすごく関係ありますね。最近はよくそう思います。ボアダムスが西から出てきたのもわかるし。

吉永:あれは東京からは生まれない。

バッファロー・ドーターは東京ですよね?

山本:このふたりは東京ですね。

コーネリアス的なところもあると思うんですけど、バッファロー・ドーターのほうがパンキッシュかなと思うんですよね。

大野:コーネリアスは優秀なスタッフに囲まれているけど、アイデアを練るのは小山田くんひとりでしょ。私たちは3人だから。怠けていても違うアイデアが出てくるし、お互いに助け合える関係になっている。

吉永:3人だと、みんながみんな自分をぜんぶ出したらまとまらないでしょ。だから「あ、これ必要ないかな」って、いろいろ個人個人のなかで削ぎ落としていかなければならない。だからシンプルになるんですよ。

では、最後にアルバムのなかでそれぞれの推薦曲を1曲だけ選んでください。

大野:人によるな~。

このアルバムに興味を示すであろう音楽リスナーに対して。

吉永:それはやっぱ曲順だから。だから最初の(Gravity )曲じゃないの。

でも、最初の曲は印象違うじゃないですか。

吉永:そうかな。

歌っているし。

大野:歌っている曲は他にもあるけど。

吉永:いや、私は今回は初心に帰ろうと思ったの。「バッファロー・ドーターってどういうバンドだっけかな?」というところを思い返してみたの。パブリック・イメージもふくめ、「他のバンドとどこが違うんだろう?」って。そのときに、"アシッド・トラックス"が好きで、〈グランド・ロイヤル〉の初期の音源が好きで、さらにシルヴァー・アップルズ好きで、という最初の3つの影響を思い出したのね。「"アシッド・トラックス"の影響を受けたロック・バンドってそういないかも」と思ってね。「"アシッド・トラックス"は私たちのなかで重要なんだよなー」と思ってね。

いまでも?

吉永:いまでも。だからTB303はいまも使っている。だからアルバムの1曲目は303の音が入っている"Gravity"にしたんだよね。それがそう伝わっているかどうは別にして、私たちの気持ちとしてはそうだった。

"アシッド・トラックス"の何がそんなに衝撃だったんでしょうね。

山本:303は、大阪でライヴをやったときにたまたま寄った古びた楽器屋で超安値で買ったんですね。

それはすごくラッキーだよ!

山本:まさにデトロイトの人たちのように、見捨てられた状態だったものを買ったわけです。それも良かったし、実際、すごく革命的な機材だし、パンクだし。

ですよね。なるほど、とにかくシュガーさんの1曲は"グラヴィティ"というわけですね。

大野:私はじゃあ、5曲目、"A11 A10ne "にしようかな。

吉永:8曲目(Five Thousand Years For D.E.A.T.H. )はどうですか?

大野:8ね(笑)。それ、新しい展開だよね。

山本:8,けっこう好きだよ。

僕は2(All Power To The Imagination)と3(Two Two)が好きだけど、2と3はいまでの路線を踏襲している曲だよね。

吉永:8はいちばん新しいね。演歌だねこれは(笑)。

山本:演歌なんだ(笑)。

曲のタイトルはどういう意味なんですか?

吉永:"50億年後の死"。50億年後に太陽系が滅亡するというね。

まあ、演歌というよりもエレジーですね。

吉永:あ、それいいね。これからエレジーと呼ぼう。

山本:そうだね、エレジー。


バッファロー・ドーター、ライヴ情報!

7月29日(木) 新代田FEVER / 東京
8月1日(日) FUJI ROCK FESTIVAL'10 / 新潟県・苗場スキー場
8月3日(火) 渋谷CLUB QUATTRO / 東京
8月13日(金) RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 / 北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
BUFFALO DAUGHTER ~Japan Tour 2010~
11月15日(月) LIQUIDROOM / 東京
11月16日(火) 心斎橋 クラブクアトロ
11月17日(水) 名古屋 クラブクアトロ
  info. SMASH 03-3444-6751
https://www.smash-jpn.com/index.php
https://www.buffalodaughter.com/

Chart by JETSET 2010.06.21 - ele-king

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DAICHI

DAICHI MBILITE EP »COMMENT GET MUSIC
エレクトロニクスとジャズ・ファンクを高レヴェルで融合させたダンス・トラックが到着!SoftやBased On Kyotoの一員として活動を行い、アンダーグラウンド・ダンスミュージック・シーンを中心に熱い指示を受けるDaichiのソロ作がついにリリース!

2

WILD NOTHING

WILD NOTHING GEMINI »COMMENT GET MUSIC
ひとりRadio Dept.あるいはPainsなネオアコ・シンセ・ポップの爆裂感動アルバム!!メチャクチャ最高です。。。Captured Tracksの新星、ヴァージニア在住の天才Jack Tatumによるソロ・ユニット、Wild Nothing。2枚のシングルを経て、初のアルバム到着しました!!

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RANKIN TAXI

RANKIN TAXI チンチンピンピン »COMMENT GET MUSIC
遂に7"で出ました!B面にはサイプレス上野参加のBuzzer Beats Remixも収録!ジャパニーズ・レゲエのオリジネイター、ランキンキン・タクシー!!昨年末から配信限定でリリースされ話題炸裂の超ビッグ・チューン(通称"CCPP")が遂にアナログ盤で登場です。これは絶対マストです!!スプリット・カラー・ヴァイナル。CCPPオリジナル・コンドーム付。

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ALLO DARLIN'

ALLO DARLIN' S.T. »COMMENT GET MUSIC
無条件降伏しかありません。正統派UKキューティー・バンドの超感動ファースト・アルバム!!LPも到着しました!!大人気爆発のロンドンの4ピース、Allo Darlin'。瑞々しいヴォーカルと、躍動感溢れる爽やかなサウンド、愛らしく儚げな雰囲気、全てがスペシャルです!!

5

REBOOT

REBOOT SHUNYYATA »COMMENT GET MUSIC
パーティー・ピープルから注目度はピカイチの旬なクリエイターReboot!!Lucianoによるリミックスが話題となった先行シングル"Rambon"も只今ヒット中、Ricardo VillalobosやLucianoが認める才能の持ち主、Rebbotによるファースト・オリジナル・アルバムが遂に登場です!!

6

INFINITE BODY

INFINITE BODY CARVE OUT THE FACE OF MY GOD »COMMENT GET MUSIC
めちゃくちゃイイ・・・戻ってこれない・・・快楽指数マックスのドリーミー・ドローン・アルバム!!No Age主宰P.P.M.から、西海岸のKyle ParkerによるユニットInfinite Bodyの大傑作ファースト・アルバムが登場。これは参りました。

7

V.A.(DJ KIYO A.K.A DULO, DJ KEN, AKT THE JN, DJ HAL)

V.A.(DJ KIYO A.K.A DULO, DJ KEN, AKT THE JN, DJ HAL) TIGHTBOOTH PRODUCTION PRESENTS LENZ EP »COMMENT GET MUSIC
スケーター目線で日本のアングラ・シーンを切り取るドキュメンタリーからの12"がコチラ!日本が誇るクリエーター/トラックメイカー達がスケートボードの既痣哀楽をイメージし作り上げた音源を収録した映像作品『LENZ』から待望のアナログ・カットが実現!

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MARK SEVEN

MARK SEVEN SWEPT AWAY »COMMENT GET MUSIC
スウェディッシュ・バレアリック大注目プロデューサーが早くもMule Musiq系列からデヴュー!!前作"Travelogue"の爆発的な売れ行きにも驚かされたスウェーデンのディープ・ディガー/DJ、Mark Sevenが国内Mule Musiqにフックアップされ、Endless Flightから2nd.シングルをリリース!!

9

DJ SPRINKLES VS K-S.H.E.

DJ SPRINKLES VS K-S.H.E. A SHORT INTRODUCTION TO THE HOUSE SOUNDS OF TERRE THAEMLITZ »COMMENT GET MUSIC
テーリ・テムリッツさんがSkylaxから初登場!!DJ Sprinkles名義での未発表曲"Hush Now"と、"上作延ハウス・エクスプロージョン"ことK-S.H.E.名義での'06年度アルバム『Routes Not Roots』から"B2B"をカップリング。

10

BOBMO

BOBMO FALLING FROM THE CRESSENT MOON »COMMENT GET MUSIC
師匠Oizo直系の痙攣エディテッド・ハウスへと仕上げられたFeadzリミックスB2も!!☆特大推薦☆盟友SurikinとのデュオHigh Powered Boysとしても大人気、Institubesが誇る若き精鋭Bobmoが2年振りにぶっ放す特大ボムがこちらっ!!

iLL - ele-king

 スーパーカーが結成された青森の港町で僕は育った。この町でテクノやエレクトロニカに傾倒していた思春期の頃の僕にとってスーパーカーそして中村弘二は、近いような遠いような、つかみどころがあるような無いような。言ってみれば遭難者が砂漠で見るオアシスの蜃気楼。そういう存在だった。

 地方都市でアンダーグラウンドな音楽にどっぷり傾倒するということは、やはり孤独との戦いという部分が大きい。情報を入手するのもひと苦労だし、発信者になろうとしても受け手の絶対数が限りなく少ない。田舎独特の閉塞感もある。ダンス・ミュージックに関しては素晴らしいレコード店とクラブ、そしてそれらの店を中心としたコミュニティがあった。が、しかし音響系だとか古いジャーマン・ロックだとかそういう音楽に関しては、当時高校生だった僕はやはり同好の士をなかなか見つけられずにいた。そんな状態だったので、スーパーカーやニャントラの活動を通してポップとアヴァンギャルド、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンドの境界線をヒョイヒョイと軽やかに飛び越えて活動し、熱い支持を集めていたこの同郷の才人には共感と羨望と......、そしていま思うと希望のようなものすら感じていたのだと思う。ほんと、砂漠でオアシスを見つけたみたいに。

 ナカコーこと中村弘二がiLL名義でリリースする5枚目のアルバムとなる今作は、各曲がいろいろなミュージシャンやDJとのコラボレートによって作られている......とひと言で書くと「あー、そういうアルバムあるよね」という感じかもしれないが、参加しているミュージシャン/DJのラインナップはやっぱり何度見ても圧倒される。なにせ、(これはやっぱり名前が並んでいることに意味があると思うで全員列挙すると)山本精一+勝井祐二、向井秀徳、POLYSICS、ALTZ、Base Ball Bear、DAZZ Y DJ NOBU、the telephones、MEG、RYUKYUDISKO、moodman、ABRAHAM CROSS、aco、ASIAN KUNG-FU GENERATION、clammbonである。このラインナップのなかのいくつかの組み合わせであれば同時にチェックしているという人も少なくないだろう。とは言っても、少なくとも現状ではアブラハム・クロスとMEGを同列に並べる人はそうそういないんじゃないだろうか。それこそ、本人を除いては。この時点で充分"中村弘二ならではのアルバム"だと思う。でも、これ音的にはどうやって纏めるのだろう? というのがこのアルバムを聴く前の最大の関心事だった。

 「相手がワルツを踊れば私もワルツを、ジルバを踊れば私もジルバを踊る」、これは、20世紀を代表するアメリカのプロレスラー、ニック・ボックウィンクルの言葉だ。このアルバムにおけるナカコーのスタンスは、まさにこういう感じだ。相手のファイティング・スタイルに合わせて柔軟に立ち回りながら要所要所で自分の持ち味の技を繰り出していく。それが例えば電子音のテクスチャーであったり、その声とメロディ・ラインであったり、ギターのトーンであったりする。自分の色は必ず出していくが、それはすべてをナカコー色に染め上げるような安易な統一感ではない。フラットな視点で相手を理解して、コミュニケーションが取れていなければなかなかできない芸当だ。このラインナップが決して、ある種の悪戯心だけで選ばれたわけでないという事が窺える。

 なんというか、iLLという存在そのものがひとつのメディアとして機能しているようだ。しばしば語られるDJのメディア性にも似たそれは、さながらガラージにおけるラリー・レヴァンのようだ。サルソウル・オーケストラのようなフィリーソウルだけではなくザ・クラッシュから島田奈美まで、ラリーの手によって、ときに自らリミックスを施してプレイされた楽曲は一様にガラージクラシックスとして扱われている。それはひとつのジャンルであり、ラリー・レヴァンというメディアを通して参照されるひとつの時代のドキュメントでもある。じゃあ、iLLをフィルターとしていまの日本の音楽を参照する行為ってどうなんだろう? ちょっぴりフリーキー? やっぱり"iLL"なんだろうか? いや、ひとつの入り口からこんなにフラットにいろいろな音楽文化圏にアクセスできるというのはむしろヘルシーなことだろう。もしいま、文化的孤独に悩む地方の高校生がこのアルバムを聴いて、誰かと関心を共有できる音楽がひとつでも増えたとしたらそれはとても素晴らしいことだと思うし、やっぱりそれは希望なんだと思う。

Chart by ZERO 2010.06.18 - ele-king

Shop Chart


1

UNTOLD

UNTOLD I CAN'T STOP THIS FEELING / ANACONDA HESSLE AUDIO / UK / 2009.05 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

2

ADDISON GROOVE

ADDISON GROOVE FOOTCRAB / DUMBSH*T SWAMP81 / UK / 2010.03 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

3

RAMADANMAN

RAMADANMAN GLUT / TEMPEST HEMLOCK / UK / 2010.05 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

4

INSTRA:MENTAL / SKREAM

INSTRA:MENTAL / SKREAM NO FUTURE (SKREAMIX) / MINIMALISTIX NONPLUS / UK / 2009.12 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

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COSMIN TRG

COSMIN TRG NOW YOU KNOW TEMPA / UK / 2010.03 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

6

HYETAL & SHORTSTUFF

HYETAL & SHORTSTUFF DON'T SLEEP / ICE CREAM PUNCH DRUNK / UK / 2010.01 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

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BRACKLES

BRACKLES 6AM EL GORDOS BRAINMATH / UK / 2010.05 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

8

GREENA - TENZADO

GREENA - TENZADO ACTUAL PAIN APPLE PIPS / UK / 2009.12 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

9

MOUNT KIMBIE

MOUNT KIMBIE SKETCH ON GLASS HOTFLUSH / UK / 2009.08 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

10

D1

D1 JUS BUSINESS / PITCHER DUB POLICE / UK / 2010.02 »COMMENT GET MUSIC
番外編:POST-DUBSTEPチャート #01
5月のDBSプレゼンツDUBSTEP WARZに出演したLOEFAHが口にしていた(『ele-king』掲載のインタヴューも必読!)"POST-DUBSTEP"を、ZEROの視点を交えて10枚だけ紹介します。"GET MUSIC"リンク先からコメントを読むこともできます。6月22日の「DUBSTEP会議#2@DOMMUE」に向けて、サラリと予習的に......。

#5:チューリップと自由 - ele-king


こだま和文
空をあおいで
K&Bパブリッシャーズ

Amazon

 「だめになるものは、だめになればいい、というのは、だめなもの、だめな関係、嘘なものを取りつくろいながら先送りして、結果だめになるまでの時間を引きのばして生きていてもつまらないから、思い切ることだ」――こだま和文は最近上梓した著書『空をあおいで』のなかで、興味深い勇気づけ方をしている。「とにかく、ひとつひとつあきらめることだ。(中略)とことん自由になるためにもっとあきらめることだ」
 「あきらめる」を「削ぎ落とす」という言葉に置き換えると、この希代のダブ・トランペッターの思想がジャマイカの音楽とリンクしていることがわかる。削ぎ落とす美学はダブである。
 
 こだま和文において、とにかく僕が最初に強烈に引きこまれたのは、ミュート・ビートのデビュー・アルバム『Flower』(1987年)のアートワークだった。それはレゲエのアルバムらしからぬ写真とデザインで、部屋に飾って何度眺めても飽きることのない不思議な力を持ったアートワークだ。滲んだように鮮烈な赤、深く沈んだ濃い緑、それはレゲエが好む色彩感覚とはどこか違う。
 何よりもチューリップだ。この花は言うまでもなく魅惑的であるが、キングストンのサウンドシステムと似合うとは思えない。が、こだま和文はカリブ海の熱帯気候においてはどこか場違いに見えるチューリップを差し出すのである。
 レゲエに何かほかのイメージを重ねる表現者は他にもいる。ザ・クラッシュやアンドリュー・ウェザオールはロンドンの不良少年の夢をオフビートに重ね合わせ、ベルリンのベーシック・チャンネルはダブにおけるミニマリズムの美学を極端なまでに強調した。どちらも当初は画期的だった。が、いまとなってはだが......わかりやすいと言えばわかりやすい。ルードボーイとパンクとのコンビネーションにいたっては、もはや定番のひとつである。
 それを思えばこだま和文は、レゲエから連想されるであろう"美"において、控え目に、しかし実は大胆な提案をしているように見える。チューリップの似合うレゲエ、いまだ新鮮な組み合わせである。なんというか、チューリップとレゲエが出会うとき、愛だけがとめどなく溢れだし、そして世界はいっきに広がるようだ。あるいはまた、こだま和文のチューリップは、輸入文化であるレゲエをこの国の土壌に落とし込もうとする最初の衝動でもあった。そう考えれば、チューリップはフィッシュマンズやリトル・テンポといったこの国の"レゲエ"独自の抒情性を準備したとも言える。
 
 どうしても知りたいことがあった。なぜこだま和文がレゲエを選んだのかという理由だ。彼の尽き果てることのないペシミズム(もしくは酒飲みの愚痴とも言う)が、ジャズやロックではなくなぜレゲエと接続したのかという理由である。『空をあおいで』を読みながら、あらためてそれを知る。
 答えは"自由"だ。こだま和文は、レゲエという音楽のなかにラディカルな"自由"を聴き取っている。幸いなことにその感覚をわれわれ――日本という名で呼ばれる国で生まれその文化圏内で暮らすわれわれは理解できる。レゲエから聴こえる"自由"とは、制度(ジャマイカ人の言葉を使えば"システム")からの自由でもあり、場合によっては法からの自由でもある(ジャマイカにおいて大麻は非合法である)。またルーツ・レゲエがよく使う「I & I」という主語からも見える自由である。「私と私」――主語が複数であることの素晴らしさ、松村正人の文体とは正反対の、「私」の否定。

 およそ1ヶ月ほど前、『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』(水声社)という本を読んだ。冒頭において著者であるステファヌ・ナドーはアルチュール・ランボーの有名な言葉「私とはひとりの他者である」――を持ち出す。「私とは実はいないのである」という発想だ。なぜなら「私」とは誰かによって勝手に作られたモノだからである。「私」はレゲエ好きだからドレッドにしてラスタカラーを着込んで田舎に住む、という「私」――まあ、いまどき本当にそんな人がいたらギャグか本気ですごいかのどっちかだろうけれど。
 要するに、サラリーマンという「私」のためのライフスタイル。主婦という「私」のための服装。いつの間にかコースが決められている「私」。「私」が「私」を意識したときの息苦しさ――19世紀の詩人は「私」の窮屈から解放されたいという願いを、「酩酊船」なる長い詩に託している。実際の話、「私」なんていない――と想像すると気が楽になった気になる。酒をたんまり飲んで喋りすぎた翌朝の、世にも地獄の鬱状態においては、ひたすら繰り返すことだ。「私」などいないと。
 こだま和文は「私」からの自由を目論む者のひとりでもある。旅行に行ったところで「自分」がなくなるわけではない。彼はそう考える。
 
 『空をあおいで』の装丁には携帯電話が描かれている。素晴らしい自由を与えられたかのように、人はコンピュータを所有し、携帯電話を肩身はなさずに歩いている。牢獄のように小綺麗な部屋から一歩も出ることなく、せこい話かもしれないが、携帯電話の料金を気にしながら生きている。なんだか巧妙な手口で自由が奪われているように思うことがある。
 こだま和文は本書において自由になるために繰り返し思索する。そしてところどころで彼なりの考えをぶつける。「がまんするのではなく、あきらめるのだ。ただし自分や他人を傷つけることなく、息苦しくなる原因をひとつずつあきらめて、自由を獲得したいものだ。自由を得るため不必要ながまんをせずに、持てあます情報を見極めて、あきらめる。あきらめても、あきらめても、あきらめきれない強いものがみえてくるはずだ」
 『空をあおいで』はいくつもの短いエッセイで構成されている。『すばる』での連載をはじめ、いくつかの雑誌に寄稿した原稿、1996年に出版されたエッセイ集『ノート・その日その日』からも何本か選ばれ、1993年に出版された幼少期の自伝『スティルエコー』も再収録されている。
 
 こだま和文は僕の世代にとってヒーローのひとりである。若い頃、僕たちはじゃがたらと同じようにミュート・ビートに憧れた。彼は英雄で、憧れだった。いや、もちろんいまでも......そうである。
 こだま和文に対して「こだまさ~ん、飲みましょうよ!」などと軽口をきけるような関係ではなかった頃、というかまだ口をきいたことすらなかった頃、僕は銀座線の青山一丁目の駅構内でその後ろ姿を見ている。まるでゲリラ兵士のような出で立ちで(どう考えても目立つよな、あれは)、肩からさげていたトランペットのケースは迷彩模様だった。「うぉ、やべー、こだま和文じゃん、どうしよう、声かけようか」――結局、僕は声をかける勇気が持てなかったのだが、あとになってそのときのトランペットのケースの迷彩模様がビニールテープを丁寧に貼り合わせた手製のものであったことがわかって、僕はひとしきり感動したものだった。「さすがこだまさんだ」、そう思った。手作りの器用にデザインされたそのケースは、僕のなかでは『Flower』のチューリップに繋がるのである。それらは豊かさのなかでゆっくりと衰弱していくわれわれの生活に釘を刺す。
 
 こだま和文の作品ではいちばん好きなのは『Quiet Reggae』(1992年)、続いて『Stars』(2000年)、その次が『Dread Beat In Tokyo』(1996年)で、近作では『IN THE STUDIO』(2005年)が気に入っている。そして今回の『空をあおいで』では、「あり合わせ、日々の暮らし」というエッセイがいちばん好きだ。
 「好きな食べ物は何ですか」と聞かれたら「あり合わせの飯」と答えようか――こんな書き出しではじまるこの文章をこれ以上引用するのは止めておこう。こだま和文の"自由"の思想はこの「あり合わせ、日々の暮らし」で実にうまく表現されている。もし、まわりに元気のない友だちがいたらこれを読ませてあげるとよい。仕事がなかなか決まらずに、持つ必要のない劣等感を持たされている友だちがいたら、人生のどん底でもがき苦しんでいる友だちがいたら読んで聴かせてあげよう。できれば平日の昼間、青空の下が望ましい。この手に負えないペシミストの話は、おかしなくらいわれわれを勇気づけるのである。

Chart by UNION 2010.06.17 - ele-king

Shop Chart


1

MALIK PITTMAN

MALIK PITTMAN From Jzz To Jlb WHITE / JPN / »COMMENT GET MUSIC
RE-STOCK!!! THEO PARRISH、MOODYMANN、RICK WILHITEに続く3 CHAIRSのメンバー、MALIK PITTMANNによるMIX-CD!! トラック・メイカーとしては、実験的でアングラテイストのDEEP BEATDOWNをプロデュースしますが、こちらのMIX CDは、彼のバックボーンの一つでもある80'Sのメロウ・フュージョンををMIXしたリスニング仕様のMIX CD!

2

INNER SCIENCE

INNER SCIENCE Theme of the Transitions BLACK SMOKER RECORDS / JPN / »COMMENT GET MUSIC
毎回、こちら側を飽きさせない、深いMIX CDをリリースし続けるBLACK SMOKERから、INNER SCIENCEが2年振りに再登場!! 大幅にダンスミュージックにアプローチした快作の流れをそのままに、MINIMAL、DUB、DISCO RE-EDITなど、ハメ+アゲのMIX CDになってます!!

3

CV313

CV313 Infiniti-1 ECHOSPACE / US / »COMMENT GET MUSIC
KING OF MINIMAL DUB、DUB TECHNOのトップ・レーベル「ECHOSPACE」の中心的アーティスト、CV313による新作!! 年内リリースのアルバムの先行12"との事。常に変わらない、深スギル、リヴァーヴ&ディレイの世界。REMIXERに、これまた独自のセンスを貫くSTLが参加。ECHOSPACE的アトモスフィック処理とインダストリアルな四つ打ちで素晴らしくハマる。

4

ROUND TWO

ROUND TWO New Day MAIN STREET / GER / »COMMENT GET MUSIC
RE-STOCK発見!!! BASIC CHANNEL傘下「MAIN STREET」レーベル!!2番は、今も現場でフルに活用されて、中古でも毎回即売れです。A面は、ソウルフルに歌い上げるNY HOUSE系のVOCALを活かしたDEEP HOUSE。B1がクラシック!! 渋いほどに、展開なしで、ねちっこいGROOVEのみで踊らせるTECH DUB。

5

ROUND THREE

ROUND THREE Acting Crazy Feat. Tikiman MAIN STREET / GER / »COMMENT GET MUSIC
RE-STOCK発見!!! BASIC CHANNEL傘下「MAIN STREET」レーベル!! 1番2番は、DEEP HOUSE的要素が強めでしたが、ここら辺からMAURIZIO節が効きはじめます!! TIKIMANをフューチャーし、トビ要素も高まり、ウラ打ちのハイハットと、おなじみのディレイの利いたリフは永遠に飽きない名曲です!!!

6

VARIOUS PRODUCTION

VARIOUS PRODUCTION Keep Her Keen VARIOUS PRODUCTION / UK / »COMMENT GET MUSIC
THEO PARRISH MIX CD" Suggested Use Pt.2"収録、FRANCOIS K WANT!! ACTRES REMIX!! 一度聴いたら忘れない、悪夢的なコーラスと、初期THEO PARRISH、OMARS あたりのLOW-FIなリズム。真っ暗なフロアで聴いたら、酩酊間違いない危険極まるダークな変態HOUSE。レコメンド!!!!

7

SLAM MODE FEAT.THE BAULS OF BENGAL

SLAM MODE FEAT.THE BAULS OF BENGAL Apreketa (Black Vinyl) SPIRITUAL LIFE MUSIC / US / »COMMENT GET MUSIC
SPIRITUAL LIFEが2003年にリリースしたコンピ「NEW BIRTH」に収録されていたSLAM MODEのJEFF MILLS REMIXが初のヴァイナル化!! JEFFらしい、ミステリアスなウワモノと、トライバルはリズム、浮遊するアフロ・チャント。異常なまでのトランス感を漂わせた三次元トライバル・ハウス!!

8

ALTZ VS DJ NOBU

ALTZ VS DJ NOBU Mariana JAPONICA / JPN / »COMMENT GET MUSIC
アフロジャズ・トライバルチューン傑作!!! ALTZとDJ NOBUによる脅威のジャパンアングラ合戦!!! フリーキーでアクティヴなトランペット、ファンキーなVOICEサンプル、ススペーシーで密林ジャングル系のリズムを擁するアッパートラック!! DJ NOBUによるREMIXは、チャント要素とミニマル要素をより強化し、クラップも気持ちいいRICARDO、LUCIANOラインのTOPチューン!!!

9

BRENDON MOELLER

BRENDON MOELLER Mainline EP ECHOCORD COLOUR / DEN / »COMMENT GET MUSIC
ヨーロッパにおける、DUB TECHNOの中心的レーベル「ECHOCORD」から、ベテランのBRENDON MOELLER A.K.A. ECHOLOGISTがリリース!! 曇りガラスの向こう側から鳴るような独特のキックと、NEW WAVE的なシンセのリフが気持ちいいDUB TRACK。逆面に、最近好調のROBAG WRUHMEがREMIXERとして参加。ぶっ壊れたビートと演説っぽいスポークン・ワードを使った流石の内容!!

10

CLAUDIO FABRIANESI & DONATO DOZZY

CLAUDIO FABRIANESI & DONATO DOZZY Disco Infecta MULE ELECTRONIC / JPN / »COMMENT GET MUSIC
PETER VAN HOESENはじめ数々のコラボーレーションを成功させてきた鬼才・DONATO DOZZYが今回タッグを組んだのは、同郷イタリアの新鋭・CLAUDIO FABRIANESI! ウォーミーなシンセと緩やかな打ち込みが身体に浸透していくタイトルトラックも良い出来ですが、ヘビーなキックが静かに変化していくドローンの海を切り裂くB面"Fade Out"が秀逸!
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