「UR」と一致するもの

[Techno] #4 by Metal - ele-king

1. Oni Ayhun / 004 | Oni Ayhun (GER)

E王 あーっ......すっかり騙された......とんだ深読みだった。ベルリンのアンダーグラウンドから突如出現し、ミステリアスなアートワークとコンセプチュアルなサウンドが話題のオニ・アイフン。このレーベルから出された001はアシッド・ベースが独特のねじれを持ってうごめくミニマル・テクノと、ブライアン・イーノとのコラボレーションなどでも知られる現代音楽家ジョン・ハッセッルの電子トランペットをサンプリングした、深い音響のダーク・アンビエントだった。特殊なエッヂングが施されたヴァイナルとともに、それはコアなリスナーのあいだで即座に話題となった。002ではドレクシアを髣髴とさせるような、ブレイクビーツ主体の不穏な気配のデトロイティッシュ・テクノを聴かせ、プレス・シートにはチリ出身のロシア系ユダヤ人映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーの処女作『ファンド・アンド・リス』からの引用がプリントされていた。

 それから、ジョン・ゾーンにリスペクトを捧げるユダヤ系ドイツ人のテクノ・プロデューサーで、ステファン・ゴールドマンの〈マクロ〉からリリースされたパトリック・カウリーの未発表音源のリミックスを手がけたことから、ユダヤ系のトルコ人(ayhunはトルコ人の姓名に良く使われている)かと思っていたのだが......。  003では北欧の自然をアートワークに、ギャラクティックなシンセが印象的な力強いダンストラックと、メランコリックなビートダウン・トラックだった。〈ワークショップ〉のシリーズにも近い質感で、〈ハードワックス〉系の影をちらつかせた。そして昨年ベルリンでのライヴでその正体がようやく明らかになった。オニ・アイフンはなんと、スウェーデンの姉弟によるエレクトロ・ユニットのザ・ナイフの弟、オーロフ・ドレーイェーの変名プロジェクトだった。ミステリアスなプロモーションは周到に仕組まれた偽装だった。

 ザ・ナイフは、姉であるカーリン・ドレーイェーのヴォーカルをフィーチャーしたニューウェイヴ・リヴァイヴァル系のダンス・ユニットで、"Silent Shout"の大ヒットによってスウェーデンのグラミーを受賞している。ポップ・フィールドで活動する彼らだが、シングル盤のリミックスではレディオ・スレーヴやトレント・モーラー、トロイ・ピアースなどをフィーチャーし、テクノのリスナーを意識したプロモーションを展開していた。

 また、オーロフ・ドレーイェーは本人名義でナイン・インチ・ネイルズの"Me,I'm Not"のリミックスを手がけているが、ここではミニマルを基調とするアンビエント・ハウスを披露している。そんな彼がソロとして自分の音楽の探求に向けたプロジェクトがこのオニ・アイフンなのだ。

 004では、まずランダムに動くアシッド・ベースと突発的なノイズをアクセントとするミニマル・テクノがある。その裏では、ファットでローファイなブレイクにエコーがかかり、じょじょにミニマルへ・テクノへ変化する。BPMの同期用いたトラックだ。音響的にも深みがある。プレスシートにはこの2トラックが引き起こす化学反応が論文調にまとめられ、「NaHCO3 + H+ → Na+ + CO2 + H2O」なる化学式で表されている。まだ公にはその正体を公表してはいないため、これも彼らしいフェイクのひとつだろう。そうしたギミックは抜きにしても、このプロダクションは素晴らしい。同じく今月リリースされた〈コントラ・ミュージック〉からのジェイソン・ファインのリミックスも秀逸だ。

2. Billy Shane / Runner EP | Stead Fast (GER)

 デッド・ビートやイントリュージョンとともにミニマル・ダブを発展させるビート・ファーマシーことブレンダン・モーラーがスタートした注目の〈ステッドファスト〉から5番目となるリリースは、フランソワの〈ディープ・スペース〉一派から頭角を現し、独自のダブ音響を拡大するブルックリン出身の新鋭、ビリー・シェーンによるストイックなミニマル・ダブである。ニューヨークで生まれ育ち、ボビー・コンダースやフランキー・ナックルズ、初期のシカゴ・アシッドに影響を受け、長年DJとして活動していた彼ではあるが、その作品には回顧的な色合いはいっさいない。〈ベーシック・チャンネル〉を経由して新たな発展を見せるニューヨークのIMAを伝えるサウンドとなっている。

 表題作の"Runner"は硬質だが柔軟なグルーヴを刻む。現在のミニマル・ダブの雛形とも言えるクアドラントの傑作"infinition"が甦ったようだ。下する中域のシンセが広がりを見せ、DJユースで使いやトラックに仕上がっている。低域が強調されダビーで音響的な深みがある"Hole"、ベン・クロックのようにタイトなグルーヴのアシッド・ハウスを聴かせる"Fach"、収録されているすべてがフロアに直結したミニマル・テクノだ。ブレンダン・モーラーによるエコロジスト名義でのリミックスは、ストレートなミニマルを聴かせるオリジナルをねじ曲げて、土着的なグルーヴがうなりをもったシンセとともに広がる、プリミティヴでトランス感のある曲に変換している。

3. Mike Shanon / Under The Rader | Cynosure (GER)

 モントリオール出身でベルリン在住のミニマル・プロデューサーであるマイク・シャノンの運営する〈サイノシュアー〉が昨年発足から10周年を向かえた。月日が経つのは本当に早い。ゼロ年代のテクノの最前線にはアクフェンに端を発するモントリオール勢がいつもその名前を連ね、10年のあいだにテクノの世界地図は大きく変わった。マイク・シャノンは大きなヒット作こそ出していないものの、マシュー・ジョンソン、デット・ビートとともにアクフェンが切り開いた土壌を拡大してきたアーティストのひとりである。

 今回のリリースはレーベルの10周年を記念したダブル・パックの10インチで、そうそうたる面子のリミキサーを起用されている。オリジナルはいままでにはないアプローチを見せたもので、ロソウルのシングルにも起用されていたベルリン在住の女性ヴォーカリスト、ファディラがジャジーに歌っている。マイク・シャノンらしいアシッド・ベースにファディラのヴォーカルが絡む。トランシーに疾走する切れのあるミニマル・テクノだ。

 リカルド・ヴィラロボスによるリミックは、もはや一聴しただけでわかる彼らしいリズムのミ二マル・ハウスだ。ヴォーカルの抜き差しとともにじょじょに変化していく、本当に細かいエディットが施されたもので、〈パーロン〉からの作風にも近く、そしてまたキャシーのトラックにも近い質感だ。デット・ビートのリミックスは原曲のトランス感を生かしながら、独自のベース・ミュージックへと拡大している。〈ブッシュ〉や〈プラスティック・シティ〉などに作品を残しているロッゾことマウンテン・ピーポーのリッミクスはまさに現在のフロアの気分を捉えたもので、オリジナルのヴォーカルを生かしたグルーヴィーなテック・ハウスはぞくっとするほど美しい。

4. To Rococo Rot / Forwardness Fridays | Domino (UK)

 トゥー・ロココ・ロット(上から読んでも下から読んでも)はベルリン出身のロナルドとロベルトのリポック兄弟とデュセッルドルフ出身のステファン・シュナイダーによる3人組みによるエレクトロ・アコースティック・バンドだ。1995年に〈キティ・ヨー〉からのデビュー、〈サブ・ポップ〉や〈ファット・キャット〉など、ポスト・ロックやエレクトロニカのフィールドからのリリースを重ね、現在は主に〈ドミノ〉を中心に活動している。ドラムとパーカッションを担当するロナルド・リポックはタルヴェルターのメンバーとして〈モール・ミュージック〉からダビーなダウンテンポをリリース。ギターを担当するロバート・リポックは〈ラスターノートン〉から美しいアンビエントをリース、現代音楽の方面からの注目を集めている。ベースのステファン・シュナイダーはマップステーションとして〈シュタオプゴルド〉から秀逸なエレクトロニカをリリースしている。

 今回のシングルは〈ドミノ〉からリリースされたニューアルバム「Supeculation」からのファースト・カットで、リミキサーにはダブステップとテクノを行き来する、シャックルトンとトラヴァーサブル・ワームホールが起用されている。両リミキサーの起用もさることながら、オリジナルの"Forwardness"は優雅なアンビエンスに溢れた傑作で、彼ららしい温かみのある素晴らしい演奏が収録されている。レコーディングはデュッセルドルフにあるクラウトロック・バンド、ファウストのスタジオでおこなわれ、ファウストのメンバーであるヨーヘン・イルムラーがピアノやオルガンで参加したという。どこまでも多幸感に満ちたアンビエント・ハウスは、同じくデュッセルドルフで活動していたクラウト・ロック・バンド、ノイ!のメンバーであったミハエル・ローターのソロ作を髣髴とさせる。

 そのいっぽうでは、ホワイト盤にスタンプだけの12インチが話題を呼び、テクノやダブステップのリスナーに注目されているトラヴァーサブル・ワームホールのリミックスも面白い。原曲のピアノのリフを上手く生かしながら、ダークで落ち着いたフロア・フレンドリーなダブステップに変換している。このトラヴァーサブル・ワームホールは90年代にハード・テクノ界を席巻したフランキー・ボーンズの実弟で、〈ソニック・グルーヴ〉などからハード・ミニマルをリリースしていたアダムXの覆面プロジェクトである。

 シャックルトンによる"Fridays"のリミックスは、エクスペリメンタルなオリジナル(シーケンスされたAMMとでも言おうか)をストレートに加工し、ディストーションのかったギターのリフに演説調のヴォーカルを絡ませながら、じょじょにトランスしていく。ダークで力強いダブステップだ。さまざなアイデアの詰まった素晴らしい12インチだ。

5. Floating Points / Peoples Potential | Eglo Recording(UK)

 クラブ・ジャズとダブ・ステップとテクノを結びつけ、さまざまな方面から注目を集めるフローティング・ポインツことサム・シェパード。 〈R2〉からリリースされたデビュー・シングル"Love Me Like This"では、セオ・パリッシュのようなスローなファンクを聴かせ、ジャイルズ・ピーターソンをはじめとするクラブ・ジャズ系のDJからの支持を集めている。〈プラネット・ミュー〉からリリースされた"J&W Beat"は初期のブラック・ドックにも似た雰囲気のトラックで、新世代のインテリジェント・テクノとして、ダブステップやテクノDJからの支持を集めている。

 あるいは、自身が立ち上げた〈エグロ・レコーディング〉からの"vacume boogie"は70年代のジャズ・ファンクが変調したような、そしてアナログ・シンセの響きが独特なビートダウン・トラックで、オランダの〈ラッシュ・アワー〉系とも近い作風だった。

 そして、今月〈ドミノ〉から出たフォーテットの"sing"のリミックスでは、メランコリックな原曲の雰囲気を上手く生かし、バウンシーなテクノへと変換した。また、〈ニンジャ・チューン〉から出たボノボの"Eyes Down"のリッミックスでも、UKガラージやダブ・ステップからの影響をほどよいアクセントとする、バレアリックで美しいエレクトロ・ブレイクを披露した。

 すべてのリリースはここ1年以内のものだ。いかに彼の急速に頭角を現しているかがわかるだろう。

 ここに挙げた〈エグロ〉からのニュー・シングルではジャジーなピアノとシンセが煌めく、デトロイト調のブレイク"peoples potencial"と、シカゴ・ハウスに接近し、ファットなベース・ラインにフェンダーのローズ・ピアノが絡むジャジーで力強いアシッド・ハウス"Shark Chase"が収録されている。彼はUKアンダーグランドの音楽シーンを自由に歩きながら、ジャズやレアグルーヴをもとにデトロイトを解釈しているのだろう。イーブンキックにとらわれない曲を創出するフローティング・ポインツは、アズ・ワンやスタシスの正当な後継ともいえるのではなかろうか。

Chart by Lighthouse Records 2010.03 - ele-king

Shop Chart


1

BURNT ISLAND CASUALS

BURNT ISLAND CASUALS SCOTH HOP / TRUTH & TEMPTATION UNDER THE SHADE / UK / 2010.3.16 »COMMENT GET MUSIC

2

SOCIAL DISCO CLUB

SOCIAL DISCO CLUB I'M GOOD FOR YOU HANDS OF TIME / UK / 2010.2.23 »COMMENT GET MUSIC

3

SLY MONGOOSE

SLY MONGOOSE NOITE ENE / JPN / 2010.3.18 »COMMENT GET MUSIC

4

ROBERTO BOSCO

ROBERTO BOSCO MY UNIVERSE EP WAVE MUSIC / US / 2010.2.23 »COMMENT GET MUSIC

5

RON TRENT

RON TRENT THE POWER OF SOUND FUTURE VISION / US / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

6

AGARIC

AGARIC CLUB TRACKS VOL.3 WE_ARE / GER / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

7

REZKAR

REZKAR ABOVE THE CLOUDS RUNNING BACK / GER / 2010.3.16 »COMMENT GET MUSIC

8

ROLAND SEBASTIAN FABER

ROLAND SEBASTIAN FABER GROPIUSSADT EP AUBE RECORDS / NED / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

9

ANALOG ROLAND ORCHESTRA

ANALOG ROLAND ORCHESTRA MIDNIGHT TIL NOON PASTAMUSIK / GER / 2010.3.2 »COMMENT GET MUSIC

10

BURRO MORTO

BURRO MORTO VARADOURO ORIKI / FRA / 2010.3.2 »COMMENT GET MUSIC

bloodthirsty butchers - ele-king

 1987年に札幌で結成されたブラッドサースティ・ブッチャーズは、ダイナソーJrなど後にグランジと呼ばれるようなギター・サウンド、ヘルメットやアンセインなどのジャンク的な凶暴性、ネオアコ的な陰のある繊細な叙情性が合わさった独自のサウンドで注目を集めるバンド。なかでも今回、新作と同時にリマスタリング盤がリリースされた1996年のアルバム『kocorono』は、シューゲイザー的とも言えるオーヴァーダビングを施したサウンド・プロダクションと、絶望と悲哀に沈んだ世界観で新境地をみせ、日本のコアなロック系メディアやファンのあいだでは"90年代ギター・ロックの金字塔"とも言われている作品だ。国内ではイースタンユースやカウパァズ、ナート、ナンバーガールなど、数多くのオルタナ・パンク~エモ~ギター・ロックのバンドに影響を与え、ときとして、日本におけるエモの始祖的な存在とも言われている。海外方面では、アメリカのオリンピアにある〈K〉レーベル周辺との交流を持ち、ベックやフガジらの来日公演のサポートもしている。セールス面ではトップクラスと言えないものの、間違いなく日本のロックの発展に影響を与えているバンドだろう。

 そんな彼らの新作『無題 NO ALBUM』が素晴らしい。圧倒的な存在のデカさをあらためて思い知る充実作である。
 日本のサーストン・ムーアと形容したいくらいに煌めきながらうなりをあげる吉村秀樹のギター、不協和音をものともせずに空間を曇り空に染める射守矢雄のベース、灼熱の荒野を鞭打つような小松正宏のドラム、そして細かくうねりを巻き起こしてさらに空間を歪める田渕ひさ子のギター。いち音いち音の粒子にこだわった音色、フレーズごとに刻まれた念、それら複数のレイヤーが紡ぎ上げるウォール・オブ・サウンド。そんな往年のブッチャーズ節ともいえる演奏がキラキラと光を放ち、ときに哀しみを携えながら爆裂している。細かいシーンやスタイルといったものを蹴散らすようなデカさをここに感じるのは、筆者だけではないだろう。

 アルバムの前半は、シンプルで明瞭、ポジティヴな印象の楽曲が並ぶ。演奏のオーヴァーダビングを控え、そのぶん歌を際だたせたことで、1曲1曲のキャラクターが強調され、曲自体の良さが浮き彫りとなっている。とくにアルバム最初の曲"フランジングサン"などは、色彩の滲んだような彼ら独自のサウンドがくっきりと具体化されている。吉村秀樹のヴォーカルが何重もの和声で重ねられているのも今回初の試みのひとつだ。吉村はそれを「友だちが欲しかったのかな」と語っていたが、このコーラス感によって楽曲のポジティヴな力強さが強調されているように思う。
 7曲目"ノイズ"からは、そこに深みのある枯れた味わいが加わってくる。9曲目"ocean"は今回のハイライトとも言えるもので、大海に漕ぎだすような大きなスケール感と、何かから解き放たれたような爽快感を持った曲だ。曲調が名作『kocorno』を想起させるところも新作の特徴だ。とはいえ、新作で歌われる「生きている生きて行こう 残された気持ち握り 潰す」というポジティヴな一節は、かつて自殺でもしそうなくらいに絶望と哀しみを負った男たちが、いまは"いやそれでも前に進むんだ"という意思を獲得したことを伝えているように思える。
 ラストの"curve"は、吉村秀樹と田渕ひさ子のデュエット曲。ピースフルでドラマティックな世界を描いて、アルバムをハッピーエンドで締めようとする。もっぱら歌詞では「この世に僕はたった独りで 僕の胸は張り裂ける」と歌っているのだが......。

 取材をした際の吉村秀樹の話によると、今作は圧倒的な孤独を感じながら制作したそうだ。バンドのメンバーにアイデアを求めながら新しいかたちを模索したかったが、なかなかアイデアも生まれず、結果的に吉村ひとりの孤独な作業によるところが多かった。その"苦悩""やけっぱち""ポジティヴ"が渾然となったような心情が、この作品に深みと奥行きを与えている部分はあるだろう。実は、『kocorono』の時に強くあった心情も"孤独感"である。プライヴェートでの問題やレーベル移籍などバンドを取り巻く状況が背景にあったようだが、ブラッドサースティ・ブッチャーズの音楽には、そうした負の感情が必要なのかもしれない。
 そしてそんな彼らの音楽は、ぼくたちが共通して抱える不安を代弁するかのように、強く響くのだ。

CHART by JET SET 2010.04.01 - ele-king

Shop Chart


1

FRANCOIS K.

FRANCOIS K. HERTBEAT PRESENTS FRANCOIS K. X AIR »COMMENT GET MUSIC
Francois K.最新ミックスが登場!!Derrick Mayによる13年振りのMix CDリリースで話題となった代官山"AIR"発"Heartbeat"第二弾は、ハウス・サウンド更新の鍵を握るNYの重鎮Francois K.!!

2

FOUR TET

FOUR TET SING »COMMENT GET MUSIC
■'10年ベスト候補筆頭■絶世の美麗トラックをFloating Pointsがリミックス!!ご存知レフトフィールド・ミニマル天才Four Tet。傑作5th."There is Love in You"からの2nd.カットは、既に大人気のあの曲。美し過ぎます!!

3

HAPPY BIRTHDAY

HAPPY BIRTHDAY S.T. »COMMENT GET MUSIC
メチャクチャおすすめー★Sub Popが送り出すスーパー・カラフル・ファズ・ポップ・バンド!!名門Sub Popから登場したヴァーモントの3ピース、Happy Birthday。噂のデビュー・アルバム到着しました!!爽快甘酸っぱメロが駆け抜ける激名曲M-1を筆頭に、全曲最高すぎます!!

4

DJ DUCT

DJ DUCT BACKYARD EDIT PT.2 »COMMENT GET MUSIC
海外でも大好評だったエディット・シリーズ、待望の第2弾!!サンプリング・ファンク的王道ヒップホップ・ビーツに、ダブ的要素を散りばめたルーツ・ロックな曲まで、実にバラエティーに富んだ内容に。

5

PANTHA DU PRINCE

PANTHA DU PRINCE STICK TO MY SIDE »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆お待たせしました。Four Tetリミックスも搭載の特大傑作です!!レーベルメイトEfdeminと主宰に加え、なんとまさかのFour Tetリミックスまで搭載。これがまた笑えてくるほどに完璧な仕上がりなのです~!!

6

COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ MODERN DEEP LEFT QUATET »COMMENT GET MUSIC
傑作「23 Seconds」以来3年ぶりとなるCobblestone Jazzの2ndアルバム!Wagon Repaieを主宰するMathew Johnson率いるCobblestone Jazz。The Moleを加え4人編成となり完成させた圧倒的な完成度を誇る1枚!

7

RUBY SUNS

RUBY SUNS FIGHT SOFTLY »COMMENT GET MUSIC
ニュー・ジーランドのマジカル・トロピカル・ポップ・バンド。大成長の2nd.アルバム!!Sub PopからのUS盤リリース!!めちゃくちゃ素晴らしいです。

8

COLE MEDINA

COLE MEDINA RED HOT »COMMENT GET MUSIC
遂に来ましたよ、人気急上昇のCole MedinaがPrins Thomas主宰Internasjonalに参戦!!House Arrest、American Standardでお馴染みのファンキー・カリフォルニアンのInternasjonal参戦。The Moleリミックスも収録で鬼に金棒のマスト盤です!!

9

CHRISTIAN PROMMER

CHRISTIAN PROMMER DRUMLESSON ZWEI JAGUAR / GROOVE LA CHORD »COMMENT GET MUSIC
デトロイトの2大名曲のジャズ・リメイク出ました!!間もなくK7よりリリースが予定の最新アルバム『Drumlesson Zwei』からの先行シングル・カット作品はあのURきっての名曲"IaguarとAril Brikhaによる"Groove la Chord"とヤバイ選出!!

10

JULIAN JEWEIL

JULIAN JEWEIL BABOU »COMMENT GET MUSIC
Pulus 8から規格外なドラッギーEPが登場!!FigureやCraft MusicそしてCocoon等から作品をリリースするJulian Jeweilがやはりドラッギーなリフが飛び交うフロア・キラーな作品をリリース!!

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1

SCUBA

SCUBA Triangulation HOTFLUSH / JPN / 2010/3/27 »COMMENT GET MUSIC
新たなるDUBSTEP新世紀の幕開け!! 自身のレーベルよりリリースされた2NDアルバム。 OSTGUT TONからのMIX CDでもダークなテクノとも重なり合う独特の価値観を提示したシーンのキーマン。モチロン近作でもメタリックなリズム、退廃的な未来感を感じさせるシンセのメロ、DRUM&BASS、UK BREAKS辺りにも近しいタフなベースライン。まだDUBSTEPを体感していない人にも是非。(I)

2

FRANCOIS K

FRANCOIS K Heartbeat Presents Mixed By Francois K LASTRUM / JPN / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
DERRICK MAYによる第1弾の勢い冷めやらぬ中、フランソワによる第2弾がリリース!! 70年代のNYから現在まで、常にダンスミュージックの中心で輝いてきた巨星。今回は自身が運営する「WAVE MUSIC」絡みの音源をメインに、TECH HOUSE、DUB TECHNOをスムースにMIXしたフロア直結の陶酔型作品。(I)

3

COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ Modern Deep Left Quartet !K7/ULTRA-VYBE / JPN / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
間違いなく今年を代表する作品です。類似品のない独自の「JAZZ」感を表現しきった1STアルバム「23 SECONDS」から3年を経てリリースされた2ND アルバム。先行12inchでも見られた、これまでのスタイルをさらに推し進めた図太いGROOVEは本作でも健在。ディスクユニオン限定の特典として来日時のLIVEを収めたDVD-Rが付きます。(I)

4

DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS Chill Out THIRD-EAR / JPN / 2010/3/10 »COMMENT GET MUSIC
未だに売れ続けるロングセラーMIX CD「AMBINET FOR HARD WORKIN' PEOPLE」でもおなじみのヨーグルトがコヤス氏と組んで、あの名作「CHILL OUT」のカバーアルバムを発表!! コラージュ、SE、様々なAMBIENT的要素を組み合わせて新しく蘇った「CHILL OUT」。この作品も長い間愛される作品となることでしょう。(I)

5

GREG GOW

GREG GOW Pilgrimage EP TRANSMAT / US / 2010/3/19 »COMMENT GET MUSIC
歓喜!!! デリック・メイ主宰「TRANSMAT」レーベル復活!!! 先日リリースされたデリックのMIX CDでも終盤で強い印象を与えたあの曲です!! STRINGS OF LIFE時代から変わらない「TRANSMAT」らしいストリングスのフレーズとシンセ使いの組み合わせを、完全フロア対応型で成立させたエクストリーム・トラック!!!(I)

6

VARIOUS ARETIST

VARIOUS ARETIST Cecille Italy CECILLE / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
EUのMINIMAL│HOUSEシーンの重要レーベル「CECILLE」からイタリア人プロデューサーをセレクトしたオムニバスが登場。アンダーグラウンドな顔ぶれですが、「CECILLE」のフィルターを通過しているだけに、全曲即戦力。個人的なオススメは、重心の低いGROOVEと酩酊感がたまらんLEON、オルガン使いとハウシーなハイハットがNICEなPIRUPAあたりをチョイス。(I)

7

DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA

DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA La Tulipe EP CADENZA / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
絶好調レーベル、ルチアーノ主宰「CADENZA」より異色JAZZ MINIMALが登場!!! 南米チリのDANI CASARANOとFELIPE VALENZUELAによるトラックで、エレガントでモダンなJAZZピアノと、CADENZAらしいパーカッションでミックスしたA面。B面はVOICEサンプリングと美麗なピアノをMIX。こちらも盛り上がり間違いないです。(I)

8

V.A.

V.A. Don't Believe The Hype OSLO / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
レーベル発足から3年、間違いなくミニマル・ハウスのトップレーベルの一つへと躍進を遂げたOSLOが届けてくれた渾身の12インチ4枚組! CHRISTIAN BURKHARDT、JOHNNY D、FEDERICO MOLINARIといった主力アーティストが、セクシーでグルーヴィーな"本物の"フロア向けミニマルをドロップ! DON'T BELIEVE THE HYPE!(S)

9

GLENN UNDERGROUND

GLENN UNDERGROUND AFRO GENTE SUPERB ENTERTAINMENT / FRA / 2009/4/2 »COMMENT GET MUSIC
確か07年のマイアミWMC、毎日Glennを追っかけてその都度彼がプレイしていた曲。めでたく12インチリリースで間違いなく大ヒット(!)かと思いきや、当時はそれ程騒がれませんでしたね。Theo Parrishがセットに組み込むようになり、先日のDerrick MayのCDにも収録。3年越しでようやくヒットに至った遅咲き演歌ヒット曲のような1枚。(Y)

10

PINK SKULL

PINK SKULL ENDRESS BUMMER MUSIC 4 YOUR LEGS / JPN / 2010/3/5 »COMMENT GET MUSIC
1stアルバムがそこそこ話題になったNYのサイケロック(?)バンドの2nd。ドロドロになり過ぎないための聴きやすいダンスロック~ESGのような臭いもしなくも無い曲もありつつ、中盤から後半はいろんな意味で"bummer"な少々OD気味にトバす「あっち側で鳴ってる音」ばかり。どなたか野外フェスに呼んでくれないですかね?(Y)

Your Song Is Good - ele-king

 ますますトロピカル・ムードが盛んなインディ・ロックおよびダンス・ミュージック・シーン。ここ日本でも「ヴァンパイア・ウイークエンドに影響を受けました」と語るような若いバンドが出はじめてきたが、ぼくにとって「トロピカルなバンド」と言ったとき、まず筆頭に挙がるのがユアソングイズグッドだ。

 3月3日にリリースされた5枚目のアルバム『B.A.N.D.』は、以前からスカやカリプソなどに取り組んできた彼らに染み付いている部分と、リスナー体質として敏感に反応してしまう現行のインディ・ロック感が混ざり合った内容。トロピカルなニューウェイヴで......とか、ハイテンションでモンドなジャズ・ファンクな感じは......と、いろんな要素がミックスされた曲の面白さを追っていくのも楽しいが、新しモノ好きで飽きっぽいメンバーたちがバンドのアイデンティティを模索、葛藤している姿こそが、今回の面白さの焦点である。

 その面白さを知ってもらうには、彼らの概略が必要だろう。
 1998年に結成した彼らは、東京のアンダーグラウンドなハードコア・シーンから登場した。後のスカ・パンク第二世代以降やショボ&空回り系パンクにカルト的な影響力を誇るフルーティとナッツ&ミルク、その2バンドのメンバーらがはじめたスクール・ジャケッツが前身。スクール・ジャケッツは、当時流行していたファスト・コアに、ジャクソン5などポップなソウル・ミュージックの要素を無理やり融合させたような音楽性で、周囲を驚かせた。ユアソングイズグッドのユニークなミクスチャー感覚とパンキッシュなステージングは、この時代からのものだ。

 ユアソングイズグッドになってからは12年。その時間の分だけ音楽性の変遷があって、ワシントンDCあたりのポスト・ハードコアに影響を受けたエモ・コア→シカゴ音響派に影響されたインスト→ルーツ・カリビアンなダンス・ミュージックでCDデビュー。そしてメジャー展開してからは実験精神が再燃して独自のトロピカル・インストを次々生んでいくのだが、ライヴでのテンションの高まりが頂点に達し、まさかのパンク回帰を果たしたのが2008年、前作『THE ACTION』だ。スカやカリプソの要素はあれど、ザ・スペシャルズやザ・ポップ・グループ、ビッグ・ボーイズなどにも通じるポスト・パンク・サウンドで世間を驚かせた。さて、そんな『THE ACTION』の後に来る作品、あなたはどんなものを想像しますか?

 あれこれやりたいミクスチャー魂、止まらない実験精神、収まりのつかないパンク魂、なんだかんだ気になる最新モード、まだまだやっていないルーツ・サウンド、これまで積み上げてきたバンドのカラー、メンバー6人それぞれのやりたいこと......。選択肢がありすぎてどれが正解かわからなくなってしまい、全部やってしまった(笑)──そんなまさかの結論(の先延ばし? 笑)が、『B.A.N.D.』なんだと思う。一発録りで、メンバー全員がうごめく演奏をそのままパック。実に節操なくさまざまなタイプの楽曲が並んでいるが、すべて上記のような変遷を経てきた彼らにしかできない個性溢れるものばかりだし、それらひとつひとつは、フレッシュな刺激を求めるリスナーにとって絶好の興味の対象になると思う。
 日本人がカリブ海の音楽をやる──その時点でエキゾな宿命を背負っているわけだが、おそらくバンドが新しいものを追い求めていくなかでは、こういう時期も必然なんだろう。そう、ザ・クラッシュの『ロンドン・コーリング』や『サンディニスタ!』のように(次作にも期待を込める意味で今作は『ロンドン・コーリング』かな?)。

[Drum & Bass / Dubstep] by Tetsuji Tanaka - ele-king

1.F / Energy Distortion Part 1 ~ 3 | 7even

 フランスと言う国は、「優雅で艶やか、華々しく華麗」などとイメージしてしまう。実際、表面上はそう見える。筆者はフランスという国の思想、国民性、感性がとても好きで、すでに5~6回は訪れたのだが、毎回その裏の顔に驚かせられる。コスモポリタンならではの荒んだ一面が随所にあるからである。貴族階級の華々しさとコスモポリタンが融合した何かそのフランス独特のギャップに魅了されるのかもしれない......ビューティ&ダーティの反面性が違った形で自身を共鳴しているようで。フランスのようにもっとも芸術産業が国民的支持を得ている国柄で創られるダブステップ......まさにエフのサウンドはこの影響下に培われた産物だ。
 
 そのサウンドをひも解くとアンダーグラウンド・ミュージックの神髄である地下音楽さながらの暗黒感が少し漂うアトモスフェリックにフランスの洗練された気品に満ちた感覚を取り入れたサウンドが垣間みれる。このサウンドは、さまざまな要素が入っている。が、一貫した構築、一遍の迷いもないプログラミングは、 ほぼミニマルを注入したダブステップである。聴いてみると......昨年大ヒットした2562のセカンド・アルバム『アンバランス』に酷似した感覚を憶えるが......次第に......"酷似"していると感じた自分の無知さ加減に恥ずかしくなる。ダブステップのアナザーサイドと捉えれるその深くもソフィスティケイトされた独創的創造性、これがフランス産のオリジナル・ダブステップなのだと。
 
 エフのメイン・リリースを担っている〈セブン〉は、グレッグ・G率いるミニマルライクなダブステップ・レーベルである。筆者もDBSにてグレッグ・Gとは何度も共演したこともあって、実際素晴らしい人柄の人物だが、レーベルの方向性に関しては、るぎなく、しかも時折遊び心のあるフランス的感覚を持っている。ダブステップ最重要レーベルのひとつだろう。ちなみにその他に所属しているアーティストは、ヘリクサー(Helixir)、リクハン(Likhan)など。今後の動向にも注目である。

2. Jack Sarrow / Terminal/Tormented | Tectonic

 今日のベース・ミュージックにおけるニューウェイヴ="ダブステップ"の発展に大きく貢献しているのが〈テクトニック〉である。UKにおけるピュア・ダブ・カルチャーの音楽都市であるブリストルを拠点に、レーベル・モットーの「If your chest ain't rattling, it ain't happening」(胸が高ぶらなければ何も起こってない証拠)が示す通りの活動を続け、すでに数々のビック・アンセムを世に送り出している。ダブステップが南ロンドンにてガラージの突然変異的に誕生してから、それを先導したアーティストたち(デジタル・ミスティック、シャックルトン、ホース・パワープロダクションズ、ローファーなど)が、こぞってダークなガラージ・サウンドを土台とするダブステップに傾倒していったなか、ピンチはダブ、ミニマル、グライム、ガラージをシャッフルしたニュー・フォーム・サウンドで大きな支持を集めている。彼の音楽的バック・グラウンドにおいて、ダブと同等に大きな影響を与えたのが"ディープ・ミニマル"だ・ベルリンのベーシック・チャンネルやチェーン・リアクション、そしてリズム&サウンド......。いわゆるミニマル・ダブである。その影響は現在でもレーベルに色濃く反映されている。
 レーベルは今年に入っても勢いが衰える気配はなく、刺激的なリリースを続けている。昨年、筆者ともUNITフロアで共演したピンチがダブでスピンしていたのがジャック・スパロウによる"Terminal"である。そのディープで濃密な一夜に相応しく、それは暗く蠢きながら響きわたる残響感たっぷりのトライバル・テック・ファンキーで、レーベルのテイストを残しつつ、今年最注目のアーバン・ムーヴメント"UKファンキー"を効果的に取り入れたフロアサイド・ステップとなっている。フリップサイドの"Tormented"だが、まるでベルリンとブリストルをミックスしたかのような暗黒地下ダブステップ、シャックルトンの〈スカル・ディスコ〉へのアンサー・バックと捉えたいほどだ。年々活発しているテクノ/ミニマルとの交流は、お互いのジャンルがマンネリズムを打開する起爆剤としても機能しているのである。
 さて、〈テクトニック〉の新たな核になろうとしているジャック・スパローだが、そのデビューは、2007年〈センスレス(Sensless)〉からリリースされた「Spam Purse」であった。その後、2008年テクトニックのサブ・レーベル〈イアーワックス(Yearwax)〉からの「For Me/Lights Off」、マーク・ワンの〈コンタージャス(Contagious)〉からの「I And I」で頭角を現し、彼の名前を決定的にしたのは、2009年ピンチの「Get Up」のジャック・スパロウ・ミックス)である。そして、テクトニックからの前作「The Chase」......。今年も彼の高度かつ深いプロダクションから目が離せそうにない。

3. LV & Untold / Beacon | Hemlock

 いまや奇才として名高いアントールド主宰の〈ヘムロック〉。UKベース・カルチャーを最先端ニュー・ガラージ・サウンドで引っ張る彼だが、レーベルの起源は2008年「Yukon」に遡る。独特の変拍子によるビート・パターンとミニマルが持つ無機質な静寂性、ガラージが持つヒプノティックで柔軟な高揚性、どこかポスト・ロック的アプローチも垣間みれるサウンド・コントロールによって、ダブステップのシーンのみならず他ジャンルからも注目されているプロデューサーである。今作は、〈ハイパーダブ〉からのリリース「CCTV/Dream Cargo」やアントールド自身の「Walk Through Walls」のリミックスを手掛けたダビー・エレクトロの旗、LVとタッグを組んでいる。フリップサイドには〈ホットフラッシュ〉から「Maybes」、「Sketch On Glass」を発表したUK3人組のホープ、マウント・キンビー(Mount Kimbie)がリミキサーとしてセットアップする。遊び心を取り入れつつエレクトロ色の強いダブステップで、まさにたコンテンポラリー・ニュー・ガラージといったところ。リリースされるごとに〈ヘムロック〉の歴史が塗り替えられ、吸収した先に......また生まれる。

4. Donae'o / Riot Music | Diigital Soundboy

E王 これは先日の3月16日のダブステップ会議@DOMMUNEにて、飯島直樹さんが推薦したドネオーの「Riot Music」だ(......ダブステップ会議では、とても有意義な時間を共有できました。野田さん、飯島さん、エクシー君およびdommuneのスタッフの方々全員に深くお礼申し上げます)。さて、アーバンR&BとしてのUKガラージ・シーンにおける至高の存在、ドネオーは、昨年発表したUKファンキーを取り入れた傑作『Party Hard』によってシーンで大きな話題となった。その最新リリースは何とシャイ・エフェックスの〈デジタル・サウンドボーイ〉から発表。〈デジタル・サウンドボーイ〉と言えば、昨年の7月の〈DBS〉にて待望の再来日を果たしたシャイ・エフェックスと最新アルバムによって不動の地位を確立したダブステップ・プロデューサー、ブレイキッジを主軸とするベースライン・トップ・レーベルである。今回の「Riot Music」では、リミキサーにダブステップ界のエース、スクリームを起用。〈デジタル・サウンドボーイ〉からの前作「Burning Up」と同様に、初期ジャングルに回帰するかのように、懐かしのレイヴ・ジャングルを彷彿とさせるアーメン・ブレイクを打ち出している。
 ところで、ジャングル/ドラムンベースではごく一般的なビート・パターンであるが、スクリームがふたたび持ち出して脚光を浴びているブレイクビーツの代名詞"アーメン・ブレイク"を解説しよう。そのオリジナルは、ウィンストンズ(The Winstons)の"Amen, Brother"曲内の8小節のドラムにある。それをさらにサンプリングして、ループして、広く用いられている。それはソフト"ReCycle!"――サンプル・ビートを分解、構築してブレイクビーツを再生成する――よって幅広くシーンで重宝されるのである。
 スクリームのような大物トップ・プロデューサーが自身の影響を明かすような作品をリリースすることによって、ダブステップとドラムンベースは今後も"親戚"のような関係を保ち続けるだろう。インフィニティーと呼ばれるUK名うてのダンス・ミュージック・カルチャーとしてお互い存在し続けているのだから。

5. Headhunter & Djunya / DJG & XI / El Presidente/Putney Says | Surefire Sound

 前回のサウンド・パトロールでも紹介したサンフランシスコ発〈シュアフィイアー〉だが、早くも第二弾がリリースされた。今回は、広くテクノ・シーンでも通用するであろうトラックを要している強力なアーティストで、2組のコラボレーションを実現している。シーンの代表レーベル〈テンパ〉などからカッティング・エッジなリリースを続けるヘッドハンターと元ドラムンベース・プロデューサーであったジュジュ率いる〈ナルコ・ヘルツ(Narco Hz)〉からテッキーでオーガニックなダブステップを発表しているDJアンヤが組んで生まれたテック・ダブステップである。もうひと組は、同じくサンフランシスコを拠点し〈ナルコ・ヘルツ〉、〈アンタイトルド!(Untitled!)〉、〈チューブ10(Tube 10)〉などから傑作を発表しているテッキー・ダブステッパーのDJジーとカナダ・トロント出身でテック・ミニマル・レーベル〈イマーズ(Immers)〉からの「000」が話題となったザイがコンビを組んで、ダークでミニマル・インフルーエンスなテクノ・シンフォニック・サウンドを披露する。フロアの空気感を一瞬のうちに変えうる力を持ったトラックで、使うものの意志とは無関係に作用する攻撃的なシンセ群が......防御反応を無力化させる最先端のリーサル・ウエポンとも言えるだろう。解放のさらにそのまた向こう側へ......。

6. Ben Verse / Flip The Coin | Wheel & Deal

 〈クランチ・レコーズ〉というディープ・アトモスフェリックなドラムンベース・レーベルを率いていたバース(Verse)がペンデュラムの一員としてのビッグ・ヒットを成し遂げて早2年......そのあいだ、ダブステップの末恐ろしい躍進が破竹の勢いで進行......誰も止められない速度で世界中で感染し続けている。その勢いはいろいろなプロデューサーやDJを巻き込んでいるが、彼らも例外でなく、いち早くペンデュラムのアルバムなどで取り入れていた。そしていま、エヌ-タイプ(N-Type)の〈ウィール&ディール〉からベン・バース名義でダブステップ界におけるソロ・デビューを果たす。
 硬質かつマッシブなビートと妖しくも切ないシンセ使いがフロアをより引き立てる"Flip The Coin"。先日の〈dommune〉でも筆者が大変お世話になったフロアライクなアンセムだ。一方の"Inhale"はスライトリーなダビー・リヴァーブ・シンセとシンプルに共鳴するカッティングエッジなフロアダブとなっている。
 それにしても......世界的に有名なロック・ドラムンベースの王者さえも振り向かせ、虜にさせるこのダンス・ミュージック......あらためてダブステップのとんでもない快進撃を感じてしまう。初期のジャングル・シーンのときと同じ現象がいままさにに起こっている。

7. Blokhe4d / Full Circle/Skylines | Hospital

 先日発表したダーク・サイバー/ニューロ・ファンクの集大成的コンピレーションアルバム『Bad Taste Vol.3』でサイバー・シーンをリードする最後の大物伝道師マルディーニ&べガス(Maldini & Vegas)。長らくバッド・カンパニー名義で活躍していた彼らだが、音楽性の違いなどにより、フロントマンであったDJフレッシュとDブリッジが立て続けに離脱し、ソロ・アーティストとして成功を収めるなか、彼らは一貫してバッド・カンパニーの強力サイバー・サウンドを守り続けている。
 そして昨年暮れ頃から、マルディーニ&べガスにユーマン(Uman)も加えた新たなドラムンベース・ユニット、ブロックヘッド(Blokhe4d)を始動。先述のコンピレーションなどで立て続けにサイバー・アンセムを発表し、確実にフロアをロックしている。
 今作はあのリキッド/エレクトロ・ドラムンベースのトップ・レーベル〈ホスピタル〉からニューカラー・ヴァリエーションを携えリリースした。その疾走感溢れるスペイシー・ファンクな空間処理技術を惜し気もなく披露し、エレクトロ感といったトレンドも注入し、絶妙なホスピタル・サウンドとなっている。みんなが待ち望んだ作品がダンスフロアを通して発表される......このサウンドのお陰でフロアは隙間なく満たされるのである。

8. Netsky / Eyes Closed/Smile | Allsports

E王 最近はこんな呼び方をするアーティストは、ほとんど存在しなかった。ドラムンベース・シーンにとって久しぶりに現れたベルジアンの"超新星"と呼ぶべき逸材......と、もはやこう呼ぶべきではないぐらいのスピードで駆け上がったニュー・スター・プロデューサーが、そう、ネットスカイだ。しかもまだ20才前後の幼顔が残る若者だから、これがまた衝撃なのだ。
 ダブステップで例えるならスクリームに近い神童性を感じるネットスカイは〈ホスピタル〉とサインを早々済ませ、「Escape」、「Memory Lane」など現在ダブプレートで席巻しているエレクトロ・ロック・チューンのリリースを控えている。今後さらに期待されるプロデューサーだ。今作「Eyes Closed / Smile」は、ジャンプ・アップ・レーベル〈グリッドUK(Grid UK)〉傘下のリキッド・レーベル〈オール・ソーツ(All Sorts)〉からドロップされた特大エレクトロ・アンセムだ。ドラムンベース・シーンが下降気味な現在において、彼の出現は、今もっともホットな出来事である。数年後にハイ・コントラスト、ブルックス・ブラザーズを凌駕する次代の才能を秘めたアーティストとして、彼のポテンシャルに今後も刮目していかなければならない。どんな時代でも不遇のときこそ、救世主現わる。そう願わずにはいられない存在になるよう願っている。

 さて、最後に、何人かの方からリクエストがあったので、3月16日〈DOMMUNE〉にて筆者のセットのプレイリスト公表します。今後ともどうぞ宜しくお願いします!!

TETSUJI TANAKA - MINIMAL x DUBSTEP set 3/16 DOMMUNE PLAYLIST

1. AL TOURETTES/Sunken〈APPLE PIPS〉
2. SCUBA/Negative〈NAKED LUNCH〉
3. KRYPTIC MINDS/Wondering Why〈OSIRIS〉
4. MONOLAKE/Alaska(SURGEON RMX)〈IMBALANCE COMPUTER〉
5. RESO/Toasted〈PITCH BLACK〉
6. JOSE JAMES/Blackmagic(JOY ORBISON RMX)〈BROWNSWOOD〉
7. PATTERN REPEAT/Pattern Repeat 01a〈PATTERN REPEAT〉
8. BEN VERSE/Flip The Coin〈WHEEL & DEAL〉
9. RAMADANMAN & APPLEBLIM/Justify〈APPLE PIPS〉
10. INSTRA:MENTAL/Futurist〈NAKED LUNCH〉
11. APPLEBLIM & PEVERELIST/Over Here(BRENDON MOELLER RMX)〈APPLE PIPS〉
12.J OY ORBISON/Wet Look〈HOTFLUSH〉
13. F/Energy Distortion〈7EVEN〉
14. VALMAY/Radiated Future〈BLUEPRINT〉
15. MARLOW/Back 4 More〈BOKA〉
16. ROB SPARX/2 Faced Rasta(RESO RMX)〈Z AUDIO〉
17. F & HEADHUNTER/Dedale〈TRANSISTOR〉
18. MARLOW/Druid〈NO COMPANY〉
19. INSTRA:MENTAL/No Future(SKREAMIX)〈NON PLUS〉
20. SCUBA/I Reptured(SURGEON RMX)〈HOTFLUH RMX〉
21. SUBEENA/Circular〈IMMIGRANT〉
22. SCUBA/Aeseunic〈HOTFLUSH〉
23. SILKIE/Head Butt Da Deck〈DEEP MEDI MUSIK〉
24. GUIDO/Chakra〈PUNCH DRUNK〉
25. KOMONAZMUK/Bad Apple〈HENCH〉
26. HARRY CRAZE/Wa6〈DEEP MEDI MUSIK〉
27. KRYPTIC MINDS/The Weeping〈DISFIGURED〉

Various - ele-king

 これは素晴らしい発見のあるコンピレーションだ。キッド・カディやドレイクらの華々しいデビューの裏側で、USヒップホップのニュー・ジェネレーションの才能がこういう形でも開花していたのかと知れるだけで面白い。ほとんどのアーティストが、ミックステープ・サーキットで名を馳せてはいるものの、日本でも、そして本国でもたいして知られていない。ミックステープ・サーキットからメジャー契約に漕ぎ着けたラッパーと言えば、先日、グッチ・メインが所属するワーナー・グループ傘下の〈アサイラム〉と契約したアトランタのピルなどがいるが、『LTYS』は、USヒップホップのお馴染みの記号――セックス、ドラッグ、ヴァイオレンスから離れ、よりポップなサウンドとリラックスしたアティチュードを特徴としたアーティストを紹介している。

 ア・トライブ・コールド・クエスト『ミッドナイト・マローダーズ』を引用したジャケットが示すように、ニュースクール・リヴァイヴァル的な要素も多分にある。が、まず耳を引くのがその豊かな文化的混交性だ。それは、グッチ・メインやピル、ヤング・ジージィら、アトランタ在住の不良ラッパーたちの既発曲をフライング・ロータス、ハドソン・モホーク、エル・P、プレフューズ73らがリミックスして話題になったミックステープ『アダルトスウィム&ビートレーター・プレゼント ― ATL Rmx』の真逆を行くようなレイドバックした感性に支えられている。ポップス、ソウル、ロック、エレクトロニカ、ハウス、エレクトロ、それら雑食的な音のメリーゴーランドがくるくると無邪気に回転している。PSG鎮座DOPENESSの、旧来的な慣習やルールに縛られない、あっけらかんとしたノリとシンクロしているようにも聴ける。さらに、『LYTS』を編集したのが日本人のDJであるというのも僕を喜ばせた。エグゼクティヴ・プロデューサーのShoez(彼は元CIAのDJだ)は、NYやLAまで足を運び、アーティストやレーベルと直接交渉してライセンスを取得したという。まったく素晴らしい熱意である。

 また、ジャケットは、画家の清田弘らが率いる〈FUTURE DAZE〉というエクスペリメンタル・ヒップホップ・アート・コレクティヴとでも形容できる集団のデザインによるものだ。彼らはかつてDJ BAKU×灰野敬二のセッションを企画し、WRENCH、CORRUPTED、GREENMACHiNEなどのロック/ハードコア勢からMERZBOWまでをブッキングする一方、鎮座DOPENESSとSKYFISHのライヴDVD『RETURN OF THE FUTURE DAZE』(07年)を自主でリリースしている。ジャンレスにユニークな活動を展開する〈FUTURE DAZE〉が、ここに収録されるようなアーティストと接点を持つのは合点がいく。

 さて、アルバムの中身はと言うと......、U-N-Iが、「自由の国へようこそ、俺は今日とてもいい気分だ/ところで君はどうだい?(Welcome to the land of free, I'm feelin' good today.By the way, how you?)」と軽快にラップするダンサンブルなナンバー"ランド・オブ・ザ・キングス"で始まる。U-N-Iは、ウータン・クランの"C.R.E.A.M."をコミカルにリメイクした"K.R.E.A.M."でその批評性を評価されメジャー契約の話が舞い込むも、今でもインディペンデントで活動するLAのラップ・デュオだ。エレクトロニカ・シーンでお馴染みのマシーンドラムことトラヴィス・スチュワートは、ソフトなエレクトロ・サウンド"フレッシュキッズ"や、"エンジョイ・ザ・サン"といった曲を手がける。"エンジョイ~"でラップするセオフィラス・ロンドンは、マーク・ロンソンやサム・スパロウとも共演するブルックリンのラッパーだ。彼の、マイケル・ジャクソン"ジャム"のリメイクから幕を開けるミックステープ『ジャム!』のベタベタなポップ・センスはかなりユニークだ(別のミックステープではホイットニー・ヒューストンのヴォーカルをエディットしたりしている)。メイヤー・ホーソーンを彷彿とさせるアウタサイトのソウル・ナンバー"アナザー・レイト・ナイト"も素晴らしい。彼はすでに〈ユニバーサル〉との契約が決まっているという。ボーナス・トラックとして収録されたNYのフィメール・ラップ・デュオ、ノラ・ダーリンの"ステップ・トゥ・ミー"がまた良い。"ステップ~"のPVを見れば、彼女たちが、MTVで表象されるビッチ系ともクイーン・ラティファのような姐御系とも違った、スタイリッシュなフィメール・ラッパーの新境地を開拓しようとしているのがわかる。ちなみにグループ名は、スパイク・リーの映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(1985年)の登場人物に由来するという。

 さらりと聴き流そうと思えば、聴き流せてしまうコンピレーションではある。が、しかし、あれこれ調べてみて、USのヒップホップにまだこんな領域があったのかと驚かされた。意外にもいろんな発見があった。ということで、『LTYS』を聴いた後、U-N-Iとセオフィラス・ロンドンのミックステープをチェックすることをまずお勧めしたい。

CHART by JET SET 2010.03.26 - ele-king

Shop Chart


1

SLY MONGOOSE

SLY MONGOOSE NOITE »COMMENT GET MUSIC
遂に到着!!大注目"ene"からSly Mongoose!!メジャー・デビュー作"Mystic Daddy"収録のフロア・キラー・トラック"Noite"が、アルバム・リリース迫る"Prins Thomas"によるチャート・エントリー必至のリミックス・トラックと共に待望の12"カットにてドロップ。

2

SEBASTIEN LINTZ

SEBASTIEN LINTZ HOUSE MAESTRO »COMMENT GET MUSIC
哀愁のジプシー・クラリネットが炸裂するツイステッド・エレクトロ・ハウス特大ボム!!大人気Sneakerz Muzikからリリースされた'09年アンセム"Amazzonia"でもタッグ名義でリミックスを提供し注目を集めた新星が、遂に待望の単独リリースですっ!!

3

THESE ARE POWERS

THESE ARE POWERS CANDYMAN EP »COMMENT GET MUSIC
これは危険です。トライバル&フリーキーなノー・ウェイヴ・アヴァン・シンセ・コア爆裂EP!!元LiarsのPat Noecker率いるThese Are Powers。アルバム未収の新録曲が、Tim SweeneyのRVNGから超限定12インチ・リリース!!Teengirl Fantasy、CosmeticsによるRemixも鬼ヤバです。

4

DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA

DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA LA TULIPE EP »COMMENT GET MUSIC
これは心地よい空間を演出してくれそうな美麗モダン・ミニマルハウス。Fumakilla 等でも活躍するスイスとチリをそれぞれ拠点とする遠距離コンビ、Dani Casarano & Felipe ValenzuelaがCadenzaに初登場!!Mike Shannon、Sascha Dive、Tobi Neumannらがプレイ、サポート中。

5

MIGHTY MOUSE

MIGHTY MOUSE SONG WITH NO WARD VOL.1 »COMMENT GET MUSIC
ナンとMighty Mouseの初オリジナル・シングルはCheap Thrillsから!!数々のリミックス、そしてMindless Boogie発"Song for Ellen"で否が応にも期待が高まっていたMighty Mouseオリジナル1st.リリースは500枚限定シリアル・ナンバー入り!!

6

F

F ENERGY DISTORTION PART 3 »COMMENT GET MUSIC
圧倒的なまでに濃密な美。フレンチ・ダブステップ金字塔アルバムからのカット3弾!!☆大推薦☆Helixirによる"Convultions"も当店スマッシュ・ヒットを記録したフレンチ・ダブステップ・レーベルより、大本命Fがぶっ放す歴史的傑作です!!

7

PILL WONDER

PILL WONDER JUNGLE/SURF »COMMENT GET MUSIC
完璧です。一人ぼっちでReal Estate + Animal Collectiveなロウファイポップ・ジーニアス!!ごぞんじUnderwater Peoplesから、またまた素晴らしい1枚が到着!!ワシントンのベッドルーム・ポップ・シンガー、Pill WonderことWilliam Murdoch君のデビュー・アルバム。超最高!!

8

YOUNG JAZZ REBELS

YOUNG JAZZ REBELS SLAVE RIOT »COMMENT GET MUSIC
Madlibの新たなジャズ・ユニット、その名もYoung Jazz Rebels!!Yesterdays New Quintetから派生した新ユニットがアルバムをリリース。さらにドープなMadlibワールドを展開した大注目盤!!

9

WOODS

WOODS I WAS GONE »COMMENT GET MUSIC
当然マスト。woodsist最重要バンドWoodsの激待望ニュー・レコーディング!!名作"Songs of Shame"以来となる最新シングルがWoodsistから到着!!サイケ・テープ・コラージュのA面、泣かせる寂寥キラー・フォーク・ロックB-1などグレイテストな全3曲!!

10

ONI AYHUN

ONI AYHUN OAR 004 »COMMENT GET MUSIC
期待のOni Ayhunによる待望の第4弾!!先週再入荷した3番も一日で売切れてしまった謎のレフトフィールド・テクノ・アクトOni Ayhunによる4枚目。これがホント素晴らしすぎます!!

Sunburned Hand Of The Man - ele-king

 先日、dommuneの〈ダブステップ会議〉で話したように、キエラン・ヘブデン(フォー・テット)はここ数年で注目すべき音の冒険家のひとりである。彼自身のレーベル〈テキスト〉から発表したブリアルとのスプリット・シングル、そしてアルバムのリリースに先駆けてリリースされたシングル「ラヴ・シティ」でフィーチャーしたふたりのリミキサー――UKファンキーを代表するロスカといま将来を期待されているジョイ・オービソン――を選択するセンス、そしていまから遡ること2007年、USアンダーグラウンドに広がるフリー・フォークのシーンにおいてその中核をなしているサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンの『ファイアー・エスケイプ』(リリース元はノルウェイの〈スモール・タウン〉で、アートワークはヤマツカ・アイ)のプロデュース......こうした彼の新しい動きに対する素早い働きかけとその成果には舌を巻くばかりだ。それらヘブデン絡みの作品のすべてが良いのだ。

 とくに注目したいのは、サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンのプロデュースである。何故なら、サンバーンドのようなコミュニティめいた、サイケデリックでフリーキーなインプロヴィゼーション集団に彼のようなエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーが手を加えることは、その筆舌に尽くしがたい音の複雑さを結局のところポップという現代の信仰のもと、ただ手際よく単純化しかねないからである。サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンのようなバンドが、何故大量なリリースを続けているかと言えば(1998年からはじめて、すでに50枚以上)、バンドにとっての目的が演奏行為そのものにあり、その演奏プロセスにのみ真実があり、そしてその結果などは極端な話、まあ、どうでもいいからであろう......というのは僕の勝手な憶測だが、もし本当にそうであるのなら、サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンのプロデュースとはバンドの生命にとっての矛盾となる。そういう観点から言えば、ヘブデンは勇気ある試みをしているのだ。

 サーストン・ムーアの〈エクスタティック・ピース!〉からリリースされた『A』は、『ファイアー・エスケイプ』以来のヘブデンのプロデュース作である。以前バンドが〈エクスタティック・ピース!〉から出したアルバム名が『Z』だったので、それに準じて『A』なのだろう。例によってアートワークが秀逸で、ポスターも封入されている。こうした姿勢はこの10年のUSアンダーグラウンドにおいて顕著で、それが商品である前にアートであることを主張しているようだ。それはまあ、いつものサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンである。もっともメディアからの"フーリー・フォーク"というレッテルを拒むかのように、ここ数年彼らははジェリー・ガルシアとジョン・フェイヒィとの中間で鳴っているようなフォーキーな感触を表に出していない(ように思われる、すべて聴いているわけではないのだけれど)。

 新しく録音されたサウンドは、僕の耳にはこれは、サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンとフォー・テットのコラボレーション作のようだ。フォー・テットのアルバムをサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンがプロデュースしたと言って良いほど『ファイアー・エスケイプ』以上にエレクトロニック色が際だっている。そして〈エクスタティック・ピース!〉の好みが反映されているのだろう、『A』は『Z』同様にささくれ立っている。あるいは『ファイアー・エスケイプ』より悪戯っぽく、フリーキーだ。電子のイズが耳に付くが、もちろん彼らがブラック・ダイスの背中を見ているようなことはない。フォー・テットが最新作で見せたミニマリズムとダブ処理がところどころで顔を出していて、それが『ファイアー・エスケイプ』にはない効果を生んでいる。

 思いつきで作ったような1分ほどの曲が4曲、3~4分の曲が4曲、7分の曲がふたつある。"ナウ・リフト・ジ・アウター・フィンガー"は不規則な電子ノイズとドローンとファンク・ベースの奇妙な混合で、"ロフト・アット・シー"はクラウトロック的ドラミングと抽象的なミニマル・ダブとのブレンドによるスリリングな展開を持った曲。"ア・レッド・ラグ・トゥ・ア・ブル"は酔っぱらったコニー・プランクがスタジオで踊っているような曲だ。"ザ・ブック・オブ・アビリティ"もユニークな曲で、ヘア・スタイリスティックとベーシック・チャンネルのあいだでこだましている。"アクション・フィンガー"はアルバムのなかでは唯一シンプルな曲で、いわば宇宙ステーションで演奏される電子ノイズとノイ!である。

 『A』は、『ファイアー・エスケイプ』の評判の良さも手伝って実現した作品だろう。僕は、いまの時点で『ファイアー・エスケイプ』か『A』と問われれば迷わず『ファイアー・エスケイプ』を選ぶけれど、数ヶ月後には考えを変えているかもしれない。なにせまだ買って間もないからね。入荷してもすぐに売り切れてしまい、再入荷をこの1ヶ月待っていたのである(好きな人がいるのだ、この世界のいたるところに)。

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