ギターやサンプリングとしか思えない音が入る瞬間もあるけれど、基本的にはアンプを通さないドラムスが4人という構成のロック・バンドが昨年に続いて早くもサード・オリジナル(全員がヴォーカルも)。元ディス・ヒートのチャールズ・ヘイワードが結成したドラムス3人組=レ・バッテリーのように役割を分担して高度なリズムを編み出す......という面も皆無ではないけれど、ここで重視されているのはむしろインパクトの派手さや喧しさ、あるいは物を叩いて音が出ることの面白さ。いまさら新鮮味のあるアヴァンギャルドのスタイルを構築してしまったことにはとにかく驚かされるし、想像を超える展開は最後まで続く。とはいえ、デビュー当初に比べるとだいぶフォーマットが整ってきていて、型にはまっていく直前の一番いい段階がいまだといえるかも。そういう意味ではギャング・ギャング・ダンス(GGD)が現在のスタイルに変化していった過程を想起させるものもあるし、アウト・ハッドがやぶれかぶれで乱れ打ちになったとも。アウト・ハッドやGGD、もしくはボアドラムが菊地成孔のいう微分的なリズムに着地したとしたら、この4人はあくまでも積分的なそれを貫いていて、身体的な感覚だけをいったら疲れることこの上なし。もしくは、積分的なリズムでまだこんなにユニークな音楽がつくれるんだという驚きともいえるけれど、DJカルチャー以降でもガバ同様、ラクなリズムの取り方をしないことの価値がゼロではないことの証明のようなものになっている(そのひとつには、不思議なことに4人そろってBPMがずれていくことにはどことなく快楽性があり、どうして息の合ったアンサンブルにはそういうことが可能なのかということでもあります)。
タイトル通り、ジャケット・デザインは魔法使いがミサイルで攻撃されているというもので、インナー・スリーヴではそのヴァリエイションが大パノラマで繰り広げられている。これは一体何の喩えなのか(...つーか、喩えであって欲しい)。前作でもそうだったけど、メンバーがいつも裸体でいるのは単純に素朴でいたいとか、そういうことなんだろうか(アンプを使ってないのもそれか)。わかりません。ヴィジュアル面はまったくのナゾです。グレイス・リーのシャープなヴォーカルとは対照的に、誰の声かわからないけれど、ドラムを叩きすぎてふらふらになっているような発声は現代美術にも通じるものがあるような気が...(いつの間にか現代美術はバカなことをやるジャンルになっているような...)。
ミニマルのテック・ハウス化の中で〈サーカス・カンパニー〉に代表されるジャズや現代音楽をモチーフにした音楽性の高いトラックが多数見受けられるようになりました。その中で、スイスのクラブが設立した新レーベル〈シティ・フォックス〉より〈プレイハウス〉の中心的なアーティストで、マイマイのメンバーとして知られるリー・ジョーンズによる奥深いミニマル・ハウス音響的なところではジャジーな感覚を取り入れている。
ルチアーノとともにミニマルのグルーヴの発展に貢献してきたトルガ・ファイデンによるニュー・シングル。従来よりも低音は強調され、サックスをメロディーとしてではなく"飛び"のアクセントとして用いる。より立体的なトラックへと変化している。
〈フリーレンジ〉とともに新世代のテック・ハウスを牽引する〈リエベ・ディテイル〉よりマティアス・メイヤーとワレイカによるスプリット。両面ともにクオリティが高く、2009年のアンセムと言っても過言ではない。ジャジーでエスニックなテック・ハウスにプログレッシヴ・ロック的な要素が加わり、高音あるいは中低域の持続音が不思議なトランス感を生み出している。ダブというよりはサイケデリック。ヴィラロボスとジョー・クラウゼルが共演したらこんな感じになるんじゃないか。
そしてオランダよりの新鋭ボリス・バニックのダブ・プロジェクト、コンフォースがルーク・ヘスなどもリリースするフランスの〈モデリズム〉から。〈エコ・スペース〉や〈ベーシック・チャンネル〉タイプのミニマル・ダブでありながら、最近のミニマル・ハウスを通過している柔軟なグルーヴが素晴らしい。
ポルトガルのルイ・ダ・シルヴァとファブリックの看板DJ、クレイグ・リチャーズによる共作。ジェイ・トリップワイヤーなどにも通じる大箱に栄えるプログレッシヴなダブ・ハウス。最近では珍しい質感と言える。アシッド・ベースの使い方がクールなトビアスによるリミックスも収録している。
今年も大活躍のベルグハイン勢によるスプリット。シンプルなアシッドハウスに、繊細な持続音が絡む、デットマンによるダビーミニマルと、シカゴハウスを上手く今のグルーヴに当てはめたタマ・スモとプロシューマーによるベースの効いたテックハウス。
デットマンを中心としたハード・ミニマル回帰の中で再び注目を集めるジェームス・ラスキンによるレーベル〈ブループリント〉からヴァルメイによる新作。覚醒的なシンセをアクセントに、ストイックに展開していくハード・ミニマルとなっている。質感は昔のままながら、グルーヴやエディットに新しさを感じる。
エレクトロニカのフィールドからダブを追求するベテランのモノレイクのトラックで、メンバーのトーステン・プロフロックによるT++名義でのリミックス・ヴァージョン。ノイジーでカオティックで、ピッチの早いダブステップと言える。正直に言って、レゲエやグライムからの流れのダブステップは聴くに堪えないものが多い。が、モノレイクのそれは、そのなかで本当にクオリティが高い音響を見せつけている。あるいはまた、これこそがテクノとダブステップの理想的な融合のカタチのひとつだと言える。
これは衝撃的な1枚。ハルモニアとブライアン・イーノによる名作をシャックルトンとアップルブリムがリミックス。テクノでもダブステップでもない。摩訶不思議なアンビエントだと言えるし、ジ・オーブの『ポム・フリッツ』を連想させる。ダブステップ周辺のアーティストでは僕にとってはシャックルトンが抜きん出て面白い。分からないから面白いのであう。
これはシアトル出身のアーティスト、サイト・ビロウによる深海系のダビー・ミニマル。リミキサーにはフィンランドからバイオスフィア。ドローニッシュで凍りつくようなハードコア・アンビエントである。









