「AY」と一致するもの

[House] #2 by Kazuhiro Abo - ele-king

1. Stacy Pullen / Alive | Black Flag

 永らく音信普通だった旧友とばったり再会したような......。面陳されたレコードのなかにこのシングルを発見したときには、そういう少し浮き足立った気分になってしまった。ステーシー・プレンの本作は、前作「ジ・エレクトリック・インスティトゥート・サンプラー(The Electric Institute Sampler)」から数えること5年、そして自身のレーベル〈ブラック・フラッグ〉からの作品としては実に8年ぶりとなるリリースである。その名も「アライヴ」ときたものだ。〈ブラック・フラッグ〉を復活させてのこのタイトル、否が応にも期待が高まる。

 ステイシー・プレンはカール・クレイグと並んでデトロイト・テクノの第二世代を代表するアーティストだ。彼のサウンドは、デリックメイ譲りのエモーショナルなコードワークとパーカッシヴなリズム隊が持ち味である。しかし、ロマンティシズムのなかに隠しきれない猛々しさを孕んでいるデリック・メイのサウンドに対し、ステイシーは、そう......、デューク・エリントンのそれにも通じる漆黒の気品のようなものを纏っている。扇情的でありながらも、どこか一歩引いたようなクールさとスマートさが彼にはある。

 今作は、そんな彼の一連の作品群の中でももっとも"熱い"部類に入る1作だ。彼の楽曲は浮遊感のあるシンセパッドを中心として構成されることが多い。しかし、今回楽曲の中心に据えられているのはソリッドで骨太なベースラインだ。2拍ループで突き進むベースラインにヒプノティックなシンセサイザーが絡み合うなか、「I'm back...」という彼の変調された声が響く。そこには彼独特のクールさはあまり感じられない。というか、ちょっと驚くほどストレートだ。サイドBに収録されたその名も"ハイテック・ソウル・ミックス"はアフロ・パーカッションがフィーチャーされたラフな作りになっており、さらにオールドスクールなデトロイトサウンドへの先祖がえりが進んでいるようにも思える。

 折りしも今年はデトロイト・テクノが誕生して25年目の年だ。3月にはフロリダで行われたWMCに於いて『D25』と題された記念パーティも催された。そんな節目の年にステーシープレンは〈ブラック・フラッグ〉を通して何を見せてくれるのか? これは注目せずにはいられない。

2. Aera / Infinite Space EP | Aleph Music

 E王
 前回紹介したアームやディクソンやヘンリック・シュワルツたち。いわゆる「ニュー・ハウス・ムーヴメントを牽引する〈インナーヴィジョンズ〉一派」の活躍を筆頭に、ゼロ年代から続くジャーマン・テック・ハウスの勢いはいまなおとどまることを知らない。そしてまた今月もドイツから非常にユニークなサウンドのEPが到着した。

 アエラは、ゴールドウィル(Goldwill)のメンバーとして〈ワズ・ノット・ワズ〉や〈リーベ・ディティール(Liebe Detail)〉といった人気レーベルから意欲的に作品をリリースしているラルフ・シュミッツ(Ralf Schmidt)のソロ・ユニットである。ゴールドウィルではパーカッシヴなヴォイス・サンプル使いが印象的だったが、今作ではそういったファンキーな持ち味は影を潜め、より内省的な方向性を打ち出している。

 サイドAに収録されている"フラワー・オン・ファイアー"は、ゆっくりと寄せては返す波のようなシークエンスと煌びやかなハープの音が織り成す音響世界がこの上なく美しいトラックだ。ヒプノスティックにこだまするシンセと、覚醒を促すかのようにときおり挿入されるノイズの配置も絶妙である。電気的でエッジーなサウンドと、フォーキーなチル感が共存している。そしてなにより、さじ加減ひとつ間違えると途端に土臭くなってしまうダブ処理を、トゥマッチになる一歩手前で優雅な側に留めているそのバランス感覚が素晴らしい。

 続くサイドB収録の"エレヴェーター・ピッチ"は、水滴を連想させる電子音のアルペジオが印象的なミニマル・トラックだ。メインで鳴っているアルペジオ・フレーズは3連のリズムを基調としている。そしてそこにときおりピッチを倍速にしたり、反復周期をずらした音をミックスすることで、ポリリズミックなグルーヴが生まれる。そのサウンドがさらにディレイで飛ばされ、音のレイヤーはさらに複雑に重なり合う。そうすることによって、少ないの音色ながらも万華鏡のなかのビーズのように絶えず姿を変えて聴く者を惹きこんでいく。

 アエラ、すなわちラテン語で「時代」を意味するそのユニット名に相応しく、今作はジャーマン・テック・ハウスのみならずビートダウンやニュー・ディスコ/コズミックといった、言わばモダンハウスの潮流そのものを飲み込もうかとしているかのようだ。個人的に2010年の上半期ベスト候補です!

3. Ian Simmonds / The Burgenland Reworked EP | Musik Krause

 梅雨時が近づいてくると暗いレコードを聴きたくなる。落ち着いた音楽、というよりも"暗い"音楽だ。自分の話でなんなのだが、どうも僕は人よりちょっとばかり季節ごとのテンションのアップダウンが激しいようで......。しかも、これまた恥ずかしながら結構ステレオタイプな方向に。大体毎年春先に浮かれていろいろとやらかしてしまい、梅雨が近づいてくる頃にはどっぷりと反省の海に肩まで浸かることになるのだ。そんなときにしっくり来るのは、やっぱり底抜けに明るいラテン・ハウスではないと思う。

 そんな前フリで紹介するのは、昨年なんと9年ぶりにオリジナル・フル・アルバム『ザ・バーゲンランド・ダブス』をリリースしたイアン・シモンズの作品だ。彼は90年代にはアシッド・ジャズ・シーンでカルトな支持を集め、トリップホップにも多大な影響を与えたバンド、サンダルズの一員としても知られている。そんな彼がアルバムをリリースするのに選んだのは、ジャズ・ルーツの良質なミニマル/クリックハウスをリリースしているドイツの〈ミュージック・クラウス〉だ。そして本作は、このレーベルの看板アーティストであるクラウス・デュオ(Krause Duo)を筆頭とした気鋭のアーティストたちによるリミックスEPである。

 まず1曲目に収録されているのはリミックスではなく、イアン・シモンズ自身の未発表曲"ルーサー・ストリート・ブルース"だ。沈鬱なノイズと深いエコーがかけられたトランペットが印象的なこのジャズ・ナンバーは、さながらコールタールの沼のなかで聴くトリオ・ジャズとでも言ったところだろうか。ひたすらにダウナーである。続いて収録されている"スピーク"のイーブントゥエル(Even Tuell)によるリミックスも、これまた暗い。ショート・ディレイによって金属的な響きに加工された電子音と、ピッチを低く落としたヴォイス・サンプルのリフレインは、シカゴハウスのなかでも突出してバッド・テイストだったバムバムの作品にも通じるバッド・トリップ感を醸し出している。

 この時期、こういったダウナーなレコードに手が伸びるっていうのは、たぶん、少数派ではないと思うんだよなぁ。収録されている4曲どれをとっても、浮ついた気分など一瞬でかき消してくれる素晴らしい薬効を持っている。ちょっと浮かれすぎた? と思ったときには、一度お試しあれ。

4. Bubble Club / Vioket Morning Moon | Bubble Club

  浮かれすぎたときに聴きたい1枚を紹介したのだから、今度は落ち込みすぎたときに聴きたい1枚を紹介するのが筋と言うもの。そこで紹介するのがバブル・クラブという聴きなれない名前のこのアーティストだ。実はこのバブル・クラブというのは、ロンドン在住のDJ/プロデューサーであるダン・キーリング(Dan Keeling)とエンジニアのロビン・トゥエルブトゥリー(Robin Twelftree)によるバレアリック・プロジェクトだ。ダン・キーリングといえば、カーク・ディジョージオとのユニット、クリティカル・フェーズの片割れと言うとピンと来る人もいるのではないだろうか?

 サイドAに収録されたオリジナルミックスは、BPM115くらいのゆったりとしたエレクトリック・ブギーだ。たっぷりと脈打つようなベースとアコースティックギターのアルペジオは、思わず「これがバレアリックだ!」と言いたくなるほどの夢心地。あげくはリバーブとディレイで飛ばされた口笛まで入ってきて、もう言うことなし! である。サイドBに収録されたエリック・ダンカンの変名プロジェクト、ドクター・ダンクスのリミックスは、極力原曲を保ちながらも上物をさらに厚くして、より深めの空間処理を施してあり、こちらも極上のチルアウトチューンに仕上がっている。

 実のところ僕は、わけあってこういうバレアリックな音にはちょっとした思い入れがある。それは遡ること10年、まだ僕が10代も半ばで地元に居た頃に端を発している。僕の地元は青森県は八戸市という本州の北端にあるちょっとした港町だ。お察しの通り、バレアリックとは程遠い。基本的に寒い。そこには田舎ながら一軒だけ、ダンス・ミュージックを専門に扱うレコード屋があった。昨年1月に閉店したその店は、名前を「リミックス・レコーズ」という。

 その店には「親方」と呼ばれる、サーフィンと夕日を愛する店員が働いていた。当時テクノ小僧だった僕は、必然的に毎日親方の世話になっていた。〈アクシス〉や〈トレゾア〉のバックカタログを血眼になって集めているような当時の僕に、「そんなんばっかじゃ色気が出ねーぞ」と親方が薦めてくるのは大体決まってバレアリック・チューンだった。「スエニョ・ラティーノ」あたりを入り口にして、当時のイビサ系プログレッシブからホセ・パディーヤの一連の仕事まで。「いま全部ピンとこなくても年取ればわかるさ」といつも親方は言っていた。たしかに当時はピンと来たものはそのなかの半分くらいだったかもしれないが、思えばおかげで随分音楽性を広げてもらった。感謝してもしきれない思いだ。

 話が大幅に逸れてしまった。要は、こういう黄昏が似合うような曲を聴くと暑い国への憧憬とともに毎日レコード屋の片隅で過ごした、ボンクラながらも楽しかった日々を思い出して少し元気になり、そして少しノスタルジックな気分になるのだ。

5. Choklate / The Tea | Reel People Music

 ジュラシック5のチャリ・ツナ(Chali 2na)やビタミンD(Vitamin D)とのコラボレートにより、ヒップホップやR&Bリスナーのあいだで話題となったシンガー・ソングライター、チョコレート。シアトルを中心に活動する彼女がウェスト・ロンドンのクラブ・ジャズ・ユニット、リール・ピープルと手を組み、彼らのレーベル〈リール・ピープル・ミュージック〉からシングルをリリースした。表題の"ザ・ティー"は、彼女が昨年発表したアルバム『トゥ・フーム・イット・メイ・コンサーン(To Whom It May Concern)』のなかの1曲だ。このアルバムは前述のビタミンDや、メアリー・J・ブライジも手がけるジェイク・ワン(Jake One)の手によるR&Bを昇華した生音のダウンビートが中心となっている。そのなかでもひときわディスコ・フィーリングに溢れ異彩を放っていたこの曲を、リール・ピープル人脈のアーティストたちがリプロダクトした本作は、――そう、言うなれば"ニュー・ソウル以降のブラック・ミュージックとしてのハウス"を好む人びとのハートを打ち抜くことうけあいだ。

 A1に収録されたリール・ピープルによるエディットは、原曲のサウンドをほぼそのまま用いて4分間の原曲を6分にエクステンドしたものだ。オリジナルを尊重した作りになってはいるが、控えめながらも要所要所にダブやエフェクトを加えてチョコレートのシルキーでありながら力強いヴォーカルと、そしてある意味ヴォーカル以上に歌っているファンキーなベースラインの魅力をより引き立てている。A2に収録のラヤバウツ(Layabouts)によるリミックスはパーカッションとサウダージ感溢れるガット・ギターのカッティングが、この曲のエモーショナルな面をよりいっそう盛り上げている。B1のマヌーによるリミックスは、硬めのアコースティック・ピアノとオルガンのコンビネーションという90'sハウスの記号が随所に散りばめられたオールドスクールな作りになっており、ハウス界の大々ベテラン、トニー・ハンフリーズが絶賛したというのもうなずける出来だ。エレクトリックでトリッピーなサウンドが隆盛な最近のハウス事情だが、ときにはこういうオーガニックなヴォーカル物でホッと一息つきつつ体を揺らすというのもまた、乙なものだ。

CHART by BEAMS RECORDS 2010.05.25 - ele-king

Shop Chart


1

Waves

Waves Encounter BEAMS BRAIN »COMMENT GET MUSIC
BEAMS RECORDSでもこれまで大プッシュしてきたアーティストKuniyuki Takahashiと、Nobuhiko'Ebizo'Tanumaが新たに始動させたバンド・プロジェクト"waves"のデビュー・アルバム!ダンスミュージックをインプロビゼーションで再構築するというコンセプトの元、ギター/シンセサイザーにイアン・オブライエン、ドラムにみどりん(Soil &"Pimp"Sessions)という豪華ゲストを迎え、それぞれが長いキャリアの中で培ってきたアイデンティティが折り重なった、叙情性豊かなサウンドを披露!透明感溢れる絶品のグルーヴは、多くのリスナーを陶酔へと誘うに違いない!

2

He3 Project

He3 Project Chapter One Family Groove »COMMENT GET MUSIC
ミラクルなラテン・ソウル音源が奇跡的発掘!フリーソウル、レアグルーヴシーンで知られるコーク・エスコヴェード率いるアズテカのメンバーであり、コークの盟友でもあるハーマン・エベリッシュが71~74年にかけて制作していたという未発表音源がこの度リリース!これが、所謂未発テイクを集めた安易なモノではなく、アルバムとして全く遜色ない、いやむしろリリースされていたら確実に名盤として知られていたであろう素晴らしい内容!軽やかなメロウ・ソウル(3)やコークの名盤「coke」収録のMake It Sweet原曲(5)など、全編を通じて西海岸のライトな風が吹きぬける最高のラテン・ソウル!

3

V.A.

V.A. Heavenly Sweetness Label Compilation #1 Heavenly Sweetness »COMMENT GET MUSIC
ダグ・ハモンド、バイアード・ランカスターといったリヴィング・レジェンド達の新録からダグ・カーンの名盤再発まで、新旧の優れたスピリチュアル・ジャズを発信するHeavenly Sweetnessのレーベル・ショウケースが登場!過去にリリースしたレーベルの代表曲~新鋭アーティストの未発表音源までを収めたDisc-1は、言うまでも無く力強いグルーヴが揃ったレーベルベスト的選曲!一方Disc-2 はフォーテット、カルロス・ニーニョ等素晴らしいクリエイター達が、ブラック・ジャズの巨人達の重厚な楽曲を見事にリミックス!これは全ブラック・ジャズファンにとって理想的な2枚組と言えるでしょう!

4

Spinetti - Dadi - Ceccarelli - Petreni

Spinetti - Dadi - Ceccarelli - Petreni InventaRio Rip Curl »COMMENT GET MUSIC
MPB~イタリアン・ジャズを繋ぐ美しすぎる1枚!マリーザ・モンチの兄貴分、ダヂがイタリアの実力派ジャズミュージシャン達と共に制作した新録アルバム。イタリア流のモダンで小粋なジャズと、ダヂの歌声、ボサノヴァ・ギターが見事に溶け合い、エクレクティックで上品なブラジリアン・グルーヴを聴かせてくれます。マリーザ・モンチ、イヴァン・リンスといった豪華客演陣の歌声も絶品!

5

Pal Joey

Pal Joey Somewhere In New York Pal Joey Music »COMMENT GET MUSIC
HOT MUSIC!90年代のNYハウス界にその名を残すパル・ジョーイが、自身の過去の音源をまとめたアルバムをリリース!このパル・ジョーイ、実はNYの伝説的レコードショップ、Vinylmaniaのスタッフであり、かのラリー・レヴァンとも親交のあった、ガラージカルチャーでは熱心なファンの多いクリエイター。ハウスクラシックスとして知られる大名曲①やディスコネタを絶妙にリコンストラクトした③⑥など、ジャジーなネタ使いとブレイクビーツ的グルーヴ感がセンス抜群の好トラックが満載!ミックス&ノンミックスの2枚組!

6

Prince Jammy

Prince Jammy Strictly Dub Pressure Sounds »COMMENT GET MUSIC
高クオリティのレゲエ・リイシューでお馴染み、プレッシャー・サウンズがまたしても素晴らしいダブ・プレートを発掘!ダブの申し子、プリンス・ジャミーが80年代アメリカで極少量でプレスしたという幻のアルバムが素晴らしい音質でここに再発!スライ&ロビー、ボビー・エリスといった名うてのミュージシャン達が60~70年代の名リディムを多数カヴァーし、ジャミーが自由奔放にダブ・ミキシングしたあのフレーズがこんなバージョンに!?という驚きも!

7

Risco Connection

Risco Connection Risco Connection Musica Paradisco »COMMENT GET MUSIC
ガラージ、ロフト・クラシックスとして知られるリスコ・コネクション音源が初のCDアルバム化!ディスコのレゲエカヴァーでカルトな人気を誇るジョー・アイザックスによるこのユニット、本アルバムでは、最も有名なマクファデン&ホワイトヘッドのAin't No Stopping Us NowカヴァーのStopping Ver⑤から、ダイアナロス①、インナーライフ②、CHIC④といったディスコ大名曲のカヴァー、そしてうれしいインスト・トラックまで、レア音源を余すところ無く収録!マニアもビックリの初CD化、お見逃し無く!

8

Mose Allison

Mose Allison The Way Of The World Anti- »COMMENT GET MUSIC
アメリカはミシシッピ州出身の超ベテラン・ブルース・ピアニスト/シンガー、モーズ・アリソンがなんと12年ぶりにニューアルバムをリリース!プロデュースは、こちらもベテラン・シンガー・ソングライターのジョー・ヘンリーということで、ジャズ・ブルース、カントリー色の濃いルーツ音楽好きには堪らない内容!トム・ウェイツやヴァン・モリソンらにも愛される彼の、古きよきアメリカの風合いと哀愁にシビレます!

9

The Last Electro - Acoustic Space Jazz & Percussion Ensemble

The Last Electro - Acoustic Space Jazz & Percussion Ensemble Miles Away Stones Throw »COMMENT GET MUSIC
マッドリブ流フューチャー・スピリチュアル・ジャズの傑作!過去にスティービー・ワンダー、ウェルドン・アーヴァイン等へのオマージュをアルバムにしてきたマッドリブ。今回はジャズの帝王、マイルス・ディヴィスからインスパイアされたという渾身のブラック・ジャズ集!フィル・ラネリン、ハリー・ホワイテイカー、ロイ・エアーズといった御大たちの大名曲を全くの新解釈でカヴァーする様は、やはり圧巻!特にラストを飾るコルトレーン&ファラオへ捧げる大作は、スリリングな展開が問答無用に格好いい!!

10

Erykah Badu

Erykah Badu New Amerykah Part Two : Return of The Ankh Universal »COMMENT GET MUSIC
前作から2年、エリカ・バドゥのNew Amerykahの第2章が遂にリリース!プロデューサー/参加陣には、ソウルクオリアンズのジェイムス・ポイザー、Sa-Raのシャフィーク、Jディラ、カリム・リギンス、マッドリブといったお馴染みかつ間違いの無いメンツ。音の方はアナログな楽器をふんだんに使った柔らかくオーガニックなR&B!ロイエアーズProで知られるシルビア・ストリプリンのダンスクラシックスのカヴァー④も聴きドコロ!コレはハズせませんね。

"In a Strangeland"はカーボンコピーではない。アンドレア・エンブロのドラミングは、深く突進する足音とパキっとしたエナジーとの特徴的な組み合わせである。ヴォーカルは死にものぐるいの声とカレン・Oとキム・ゴードンの溝を手玉に取る。"In a Strangeland"はイミテーションではなく、インスピレーションの結実である。 『Pitchfork』

ノーウェイヴがもしいまも生きているのなら、ブルックリンのデュオ、トーク・ノーマルがその目安となる。ドラマー、アンドレア・エンブロの驚くべきほど正確なパーカッション。ギタリストのサラ・レジスターは彼女のオノから不協和音ノイズとおぞましさを引き出す。 『Lost At E Minor』

トーク・ノーマルはライト級ではない。ダークでムーディで、リズミカルだ。しかしそれは我々が好んで耳にするようなフレンドリーな音ではない。 『Time Out New York』

芸術気取りの音楽が野蛮さへと奇妙に変換される進化の歴史がある。ニューヨークのふたり組、トーク・ノーマルはこのヘドロ状の葬送歌というブランドの耳を維持し続けている。それはもっとも素朴なやり方で完璧に実現しているのだ。 『The Fader』

 彼女たちの音楽の背後にはNYのノイズ・ロックの系譜が広がる。烈しいギターと声があり、他方ではまるでミュータント・ディスコを思わせるようなドライヴするビートもある。が、もっとも重要なことは、女性ふたりによるこのバンドの音楽が素晴らしくパワフルであるということだ。『ピッチ・フォーク』は彼女たちの音楽を「いまはヴェルヴェットの次元にまでは到達していないかもしれないが、将来そのぐらいの魔法を引き起こすことも可能であることを保証しよう」と評価する。

 今回のジャパン・ツアーは彼女たちだけではない。各公演における共演者たち――待望のアルバムのリリースを控えている七尾旅人、コラボレーション・アルバムを完成したばかりのiLL、同じくアルバムを発表したばかりのあふりらんぽのPIKA、空間現代とオオルタイチ等々にも注目して欲しい。

6/9 SHIBUYA O-NEST w/オオルタイチ、空間現代 他
open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別
O-nest 03-3462-4420
6/13 京都METRO w/iLL、OUTATBERO 他
open/18:00 start/18:30 ¥3500(tax in) ドリンク別
METRO 075-752-2787
6/14 心斎橋FANDANGO w/iLL、太愛鼓(PIKA drum solo)
open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別
FANDANGO 06-6308-1621 
6/15 新代田FEVER w/iLL, 七尾旅人
open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別
FEVER 03-6304-7899
チケット e+ / ローソンチケット / チケットぴあ

Shop Chart


1

MOODY

MOODY All Over M.P.T. / FRA »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANNネタ使いでおなじみの「MOODY」!今回は3 CHAIRSの"ALL OVER"使い!元曲のエロいシンセのフレーズはそのままに、低音++、今風のパーカッションを加えたクラブ仕様のA面。よりパーカッションを押し出し、違った味付けにしたB面。これは今すぐに使えるブツ!(I)

2

DVS1

DVS1 Love Under Pressure EP TRANSMAT / US »COMMENT GET MUSIC
DERRICK MAY主宰「TRANSMAT」復活第二弾!BEN KLOCKの「KLOCKWORKS」レーベルからデビューしたDVS1による作品。先日のDERRICKのMIX CDにも収録された、アンニュイなシンセが印象的な"PRESSURE"。KLOCKWORKS系の、DEEPでDARKな"POLYPHONIC LOVE"を収録!(I)

3

MORPHOSIS

MORPHOSIS Running Out/Musafir MOS / NED »COMMENT GET MUSIC
Rushhour傘下の「MORPHINE」レーベルから初期THEO PARRISHのようなDOPEなHOUSEをリリースしてきたMORPHOSISによる新作12"!コレ、かなりヤバいす!ACIDすぎるベースラインと、初期CHICAGOの荒くれトラックがMIXされたA面。キツめのハイハット+フリーキーなSAX絡みのB面。激PUSH!(I)

4

BASIC SOUL UNIT

BASIC SOUL UNIT Tuff Luv EP CREME ORGANIZATION / NED »COMMENT GET MUSIC
オールドスクール・ライクなACID HOUSE!PHILPOT、MATHEMATICS、MULEなどの個性派HOUSEレーベルから数々の作品を発表してきたBASIC SOUL UNITによる新作!これまた、オランダのCREME ORG.からで、外さないお人です。音使いのLOW-FIなリズムとシンプルなベースライン、303。マニアの鳴らす、マニアの為の音。カッコいいです!(I)

5

GB

GB Xpander EP DIMENSION X / US »COMMENT GET MUSIC
BUILD AN ARKの作品に参加したり、FLYING LOTUS、LITTLE DRAGON、BEECH BOYZの音源をリワークしたりと、何かと面白いGBによる新作!B面!浮遊感のあるキーボード、ストリングス。二拍四拍のクラップと相まって、いーい感じのアフターアワーズ・ハウスになっています。A面のCYBTRON直系のELECTRO BEATに美しいシンセワークをプラスしたトラックもGOOD!過去音源もチェック!(I)

6

IAN SIMMONDS

IAN SIMMONDS Burgenland Reworked EP MUSIK KRAUSE / GER »COMMENT GET MUSIC
昨年リリースされたアルバムからのREMIX 12"。「WORKSHOP」レーベルからリリースもするEVEN TUELLによる高品質なアングラハウスを、CIRCUS COMPANYからアルバムをリリースしたDAVE AJUによる、変態男性VOCAL HOUSEを、KRAUSE DUOによるダビーなREMIXを収録。自身の未発表音源も収録し、質の高い12"になっています。(I)

7

SCHERMATE

SCHERMATE Schermate 005 SCHERMATE / ITA »COMMENT GET MUSIC
イタリア発、アンダーグラウンド・ミニマル・シリーズ「SCHERMATE」5番!RICHIE HAWTIN、MODERN HEADSがサポート!これまでのリリースで最もDOPEな音を鳴らしてます。湿ったビートに渋いサンプリングがこっそり乗るA面と、DEEPなキックとイキそでイカないSEを散りばめたB面。ストロボが瞬く「あの時間帯」にぴったりなDEEP MINIMAL!(I)

8

NICK CURLY & MARKUS FIX

NICK CURLY & MARKUS FIX / 2 Years Cecille Records 2 Years Cecille Records CECILLE / JPN »COMMENT GET MUSIC
SIS、ANDOMAT 3000、ILARIO ALICANTEなどを擁し、モダン・ミニマルハウス・ムーブメントを牽引するマンハイムのCECILLEから、NICK CURLYとMURKUS FIXによるMIX CDが登場! レーベル設立2周年(まだそれぐらいなんですね!)を記念したリリースで、現在のフロアを彩るパーカッシブでディープ、そして弾けるようにグルーヴィーなミニマルハウスが凝縮!(S)

9

FRANK BRETSCHNEIDER

FRANK BRETSCHNEIDER Exp RASTER-NOTON / GER »COMMENT GET MUSIC
哲人・FRANK BRETSCHNEIDER、3年ぶりのNEWアルバムがRASTER-NOTONから! 全体が30秒~3分以内のショート・トラックの連続でシームレスに構成され、聴覚を刺激するパルス音、サインウェーブの波状攻撃に意識が覚醒させられる一大傑作! AUDIO CDとQUICK TIME MOVIE収録DATA CDの2枚組仕様!(S)

10

KABUTO & RYOSUKE

KABUTO & RYOSUKE Paste Of Time JPN / PASTEOFTIME »COMMENT GET MUSIC
自身のパーティ[LAIR]を中心に活動中のKABUTOと、[SO GUT!]で活動中のRYOSUKEによる2イン1のスプリット。パーティの臨場感とその時間帯にしかない空気感を詰込むべく、「午前2時」という最もハマる時間帯をテーマにしたKABUTO、そして「午前7時」のタフな時間帯の断片を切り取ったRYOSUKEのミックス!(Y)

1. Moody aka Moodymann / Ol' Dirty Vinyl | KDJ

E王 1990年代後半にムーディーマンやセオ・パリッシュらによって押し広げられたテンポ・ダウンされたハウス・ビート。そのキックとキックの「間」には漆黒のサイケデリックが埋め込まれているかのようで、我々を排水溝に吸い込まれていく水のようにゆっくりと別の場所へと連れて行く。ザラついたサンプル同士が交錯し、幻聴のような効果を生む彼らのトラックは実験的でもあるのだけど、それ以上に官能的で、セオの霞がかかったような半覚醒状態のトロけ具合は本当に素晴らしいと思うし、ムーディーマンに至ってはエロとサイケは同義語みたいなものだろう。

 そういえば今年の3月にロンドンでおこなわれた〈Red Bull Music Academy〉のトークショーに登場したムーディーマンことケニー・ディクソン・ジュニアは、まわりにはべらせたセクシーな黒人女性たちにヘアー・セットをさせたり、酒を作らせつつ「マザ・ファッキン!」を連発しながら喋りまくり、勝新的俺流な時空のネジれを発生させていた。しかし、何だったのだろうアレは......。

 そしてムーディーマン(Moody名義)の新作「Ol'dirty Vinyl」は、その濃度にむせるようなジャケット・ワークに包まれて届けられた。内容はいつも以上にヴァラエティに富んでいて、タイトル曲の"Ol'dirty Vinyl"などは珍しく爽やかな雰囲気もありつつ「気分がいいと思ったらいつの間にかあの世だった」というような感じだし、"We Don't Care"はKDJ自身のVoがのるジャズ・ナンバーで、"No Feed Back"は歪みまくったギターがのたうつKDJ流ブラック・ロック。そして、彼らしいセクシーなハウス"It's 2 Late 4 U And Me"の後には、混沌とした電子音楽" Hacker"が待っているという具合だ。

 ある意味、寄せ集め的な作品集なのだけど、最近それなりに洗練されていく傾向をみせていたことに若干不満を感じていた僕のような人間からしたら、この自由度の高い錯綜ぶりは大歓迎だ。さぁ我々をエロとサイケの奈落の一番深いところまで連れて行ってくれよ、KDJ。

2. Missing Linkx / Got A Minute | Philpot

 オールドスクールなシカゴのエッセンスやアレやらコレやらをデトロイトのフィルターを通して再定義した俗に言うビートダウンの種子は様々な場所へと伝搬し、そのBPMと同様にゆっくりと、しかし確実にそれぞれの場所で独自の発展を遂げている。ドイツのソウルフィクション(Soulphiction)、モーター・シティ・ドラム・アンサンブル(Motor City Drum Ensemble)、ニューワールドアクアリウム(newworldaquarium)、イギリスのトラスミー(Trus'me)やロシアのヴァクラ(Vakula)(UKの〈Firecracker〉からリリースされるシングルが素晴らしい)などなど、エトセトラエトセトラ。ようするに国境を越え、それぞれがあちらこちらの地下で重心低めのディープなリズムを響かせているというわけだ。

 そしてその影響力は巡り巡って、昨年ひっそりとリリースされた日本のモンゴイカ a.k.a. T.Contsuの12インチにまで及んでいたりもする。モンゴイカ(戸田真樹)とは、ヒップホップ・ユニットの降神をはじめとした〈Temple ATS〉のアートワークを手掛ける画家でありトラックメーカー。その彼が、自身の〈Close Eye Recordings〉から出した「KIMI EP」のローファイでスモーキーな4つ打ちには、やはり何処か日本的な叙情と孤独が忍び込んでいて、その事実がとても面白く思う。

 このようにデトロイト・ビートダウンが拡散し、かつ各エリアで様々なヴァリエーションを見せるなかで、ドイツのSoulphiction及び彼の主宰するレーベル〈フィルポット〉は、もはやフォロワーという域を越えた存在になりつつある。ソウルフィクション(Michel Baumann)のアナザー・プロジェクトであるというミッシング・リンクスの前作「Who to Call」に収録さていれた"a Short History of..."は、強烈なバネをもった美しい野獣のようなファンクだったし、この新作の「Got A Minute」も削ぎ落とされた筋肉のようなビートが脈打っている。

 ドイツから放たれたこれらの音は、本家とはまた異なる種類の緊張感を漂わせ、非常にシンプルでタイトだ。黒人音楽をサンプリングしてそれっぽく仕上げただけのフォロワーも多いけれど、リスペクトとコピーは別ものだし、ときにはリスペクトなんて言葉は忘れるべき。

3. G.I.O.N. / Echoes of Our Minds Pt.1 | Human Race Nation

 ちょっと手前味噌なのだけど、僕がリミキサーとして参加した作品を紹介させていただきたい。HUMAN RACE NATION(以下HRN)から出たG.I.O.N.の「Echoes of Our Minds Pt.1」がそれだ。言うまでもなく、デトロイトから影響を受けつつ、そこから受け取ったものを独自に展開し活動している者は日本にも存在する。音楽ユニットG.I.O.N.として硬派なミニマリズムを追求するフジサワ・アツシとコシ・シュウヘイによるHRNもそのひとつ。

 HRNは長野で活動しながらもドイツ経由でワールドワイドにヴァイナルをリリースするという、ローカリズムとグローバリズムを兼ね備えた日本では非常に希有なレーベルである。 今まで彼らは地元長野でデトロイトやドイツを中心としたアーティストを迎えたパーティーを行い、地道にコネクションを築いてきた。それは2007年のシングルでのフランク・ムラー、本作における元UR、ロス・ヘルマノスのメンバーのDJ S2ことサンティアゴ・サラザール、そして次のリリースでのDJ3000とレニー・フォスターのリミキサー起用にも繋がっている。一方そこにトラックス・ボーイズや岩城健太郎、d.v.dとしても活動するJimanicaや僕などの国内リミキサーも混ぜることにより、既出の4枚のヴァイナルはちょっとした異文化交流の機能も果たしてもいる。

 「Echoes of Our Minds Pt.1」は昨年末にヨーロッパでリリースされ、G.I.O.N.のオリジナル、DJ S2 REMIX、僕の手掛けたREMIXそれぞれが、ベルリンのBerghainのレジデントDJであるMarcel Dettmannや、フランスの Syncrophone(Theo ParrishとかAnthony Shakirのリミックス盤を出している)のオーナーDidier Allyneらのチャートに入るなど高い評価をもらった。しかし、ヨーロッパで品薄となり、日本には極少数しか入荷されない状態で残念だったのだが、近々ディストリビューターを変えて再リリースされるとのこと(そんな理由もあり、出てから少し時間が経っている本作を敢えて紹介させてもらった)。そして間もなく「Echoes of Our Minds Pt.2」の方も出るようだ。

 彼らとは今後も諸々関わっていく予定で、実際に現在進行中のプロジェクトもある。そういえば僕と彼らの最初の接点はというと、確かmixiのデリック・メイのコミュに僕がパーティの告知を書き込んだのを、HRNのフジサワくんが見てコンタクトをとって来たのがそもそもの始まりであった。ここはmixiとデリックに感謝するべきなのだろう。

4. Don Williams / Detroit Blue Ep | A.R.T.Less

 〈A.R.T.〉〈B12〉に〈ラッシュ・アワー〉、〈プラネットE〉と、このところAS ONEことカーク・ディジョージオがリリース・ラッシュである。同じく90年初頭のデトロイト・リヴァイバル~インテリジェント・テクノを代表するアーティスト、B12が同名のレーベルを一足先にリスタートさせたのに続き、カークもかつて自身が運営していたA.R.T.を復活させたりと、何だかこの辺り盛り上がっている模様。一時期〈モワックス〉などでリリースしていた生ドラム再構築モノは封印し、完全にテクノ/ハウスへ舵を切っているものの、音自体は〈A.R.T.〉の頃の音というよりも、疾走するリズム+エレガントな上モノのコンビネーションの、昨今割りとよくあるデトロイト・フレイヴァーのテック・ハウスという感じのものが主だったりする。

 そんななか、ドイツの良質なディープ・ハウスレーベル〈Mojuba〉のサブ・レーベルである〈a.r.t.less〉は、その〈A.R.T.〉とカール・クレイグの名曲"At Les"を掛け合わせたような名前からもわるように、恥ずかしいほどの初期デトロイトへの愛が丸出し状態だ。更にオーナーであるドン・ウィリアムス自身の「Detroit Black EP」からはじまる黒、赤、青のデトロイト三部作は、モロに初期〈トランスマット〉。とくに青盤は初期のカール・クレイグ、ひいてはインテリジェント・テクノであり、もうところ構わず「好きだ~!」と叫んでいるような1枚。

 思えば当時のデトロイト・リヴァイバル~インテリジェント・テクノというのは、結局のところ初期のカール・クレイグのサウンドのコピーだった。例えばデリック・メイのラテンにも通じるようなバウンドするリズム感ではなく、それは 69名義で豪快な実験を繰り広げる以前のカール・クレイグ、ようするにPsyche名義での"Elements"や""Neurotic Behavior"などの音を指す。孤独で繊細で壊れやすく、思わず「詩的」なんていう恥ずかしい言葉がまるで恥ずかしいと思わなくなる程に、それは魅惑的な青白い輝きを放っていた。そう、色で言うとデリック・メイは赤で、カール・クレイグは青だ。

 それにしても、このドン・ウィリアムスの「Detroit Blue Ep」は、何だかこちらが赤面するくらいの青臭さに満ちていて、これをどう評価するべきなのか正直僕にはわらない。しかし、カール・クレイグがPsycheで描いた音世界は、当の本人でさえもう作れない類いのものだと思うし、結局その後放置されたままになっているのもたしか。その先の音が知りたい。

5. DJ Nature / Necessary Ruffness EP | Jazzy Sport

  DJ ネイチャーことマイルス・ジョンソン。またの名をDJ MILO。ネリー・フーパー、ダディー・G、3D、マッシュルームが在籍していたブリストルのDJチーム、ワイルド・バンチの中心人物である。82年から86年まで活動したこの伝説的DJチームは、その後のUKサウンドの核、つまりパンク~ニューウェヴの残響とレゲエのサウンドシステムとヒップホップの接点を体現した存在であり、解散後、ネリー・フーパーはSOUL II SOULを、そしてダディー・G、3D、マッシュルームはマッシヴ・アタックとして活動することとなる。一方のMILOはUKの喧噪と離れ、ニューヨークのハーレムで黙々と音を紡ぐこととなるのだが、それはなかなか世に出ることはなかった。しかし、元ワイルド・バンチという伝説に彼を閉じ込めるべきではないし、実際に彼の音楽はブリストルで得たものを更なる深みに向けて解き放ったものである。

 そして今年、彼の12インチが日本の〈ジャジースポート〉から届けられた。この「Necessary Ruffness」と題されたヴァイナルに収録されたトラックは、いずれもディープ・ハウスよりもさらにディープでロウなハウスであり、そのくぐもった音質が独特の空間を生み出していて、それは意識しているのか無意識なのか、デトロイトのビートダウンやベルリンのシーンなどとも共振する類いのものになっている。そして、その音楽性は日本の〈DIMID〉から2003年にリリースされたMILOの初のアルバム『Suntoucher』(表記はDJ MIL'O)ですでに示されていた。

 ここで個人的な話しを少々。2004年に出た僕のS as in Soul.名義のアルバムは、元々は〈DIMID〉から2003年に出る予定だったのだが、途中でA&Rが独立することとなり、それに伴い1年後に〈Libyus Music〉の第一弾としてリリースされた。当時の〈DIMID〉~現〈Libyus Music〉の竹内君とS as in Soul.のリリースの打ち合わせしている時、このMILOのアルバムを出すべきかどうかを相談されて、僕は絶対出すべきだと答えたのを憶えている。そのことがどれだけの影響したのか知らないが、あのアルバムが世に出るキッカケを僅かでも与えることが出来たのならば、それは非常に光栄なことだ。

 僕としては、現在のマッシヴ・アタックよりもMILOの音のほうが遥かに魅力を感じるのだけれど、そんな比較など本人からしたら迷惑な話しでしかないだろう。この12インチの後に控えているというニュー・アルバムを楽しみに待つのみだ。

CHART by STRADA RECORDS 2010.05.17 - ele-king

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1

MAYNARD FERGUSON

MAYNARD FERGUSON PAGULIACCI-JOE CLAUSSELL REMIX COLUMBIA (US) »COMMENT GET MUSIC
JOE CLAUSSELLはもちろんFRANCOIS K.らのプレイで人気の超絶ジャズ・ファンク系クラシック「PAGULIACCI」がJOE CLAUSSELLによる絶妙なエディットが施され12インチ・リリース!ちなみに滅多にお目にかかれないオリジナルUS12インチはプロモ・オンリーで中古市場でン万円で取引されています!以前JOEセレクトのコンピにもこの曲のエディットが収録されていましたが、今回は初お目見えのロング・ヴァージョン!これはマストです!

2

JEPHTE GUILLAUME

JEPHTE GUILLAUME DEJA VUE(feat.WILTRUD WEBER) TET KALE (US) »COMMENT GET MUSIC
100枚限定のプロモも話題だったこの曲が遂に正規リリース!SPIRITUAL LIFEやIBADANからのリリースで知られるJEPHTE GUILLAUMEが久々に自分のレーベルから放つ強力盤で、彼らしいパーカッシヴなハウス・トラックに伸びやかな女性ヴォーカルがフィーチャーされたシリアス且つカッコイイ作品!

3

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc)

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc) SONG FOR AFRIKA SACRED RHYTHM (US) »COMMENT GET MUSIC
ここ最近のJOE CLAUSSELLのプレイでも注目を集めていたこのアフロ・ハウスがようやくリリース!グルーヴィーなアフロ・パーカッションに浮遊感のあるシンセ・ソロがフィーチャーされたディープなインスト・チューン!

4

SADE

SADE MOON & SKYY-TIMMY REGISFORD & ADAM RIOS REMIXES RESTRICTED ACCESS/SHELTER (US) »COMMENT GET MUSIC
【真打登場!】御大TIMMY REGISFORDもSADEのリミックスをリリース!何枚かリリースされている同曲のリミックスの中でも最もタフでハネたビートが確実に踊らせてくれるSHELTERらしい仕上がり!さり気なく入ったアフロなパーカッションも◎!シンセのソロで引っ張りまくりのB面のインストもグッド!

5

BLACKCOFFEE

BLACKCOFFEE GARDENS OF EDEN GOGO MUSIC (GER) »COMMENT GET MUSIC
人気爆発中のBLACK COFFEEがGOGO MUSICから12インチをリリース!オススメの「Trip To Lyon」は彼らしいアフロ風味のパーカッションが渋いディープなインスト・ハウス!女性ヴォーカリストZonkeをフィーチャーしたタイトル・チューンもグッド!

6

RHYTHM MASTERS & MYNC

RHYTHM MASTERS & MYNC I FEEL LOVE(feat.WYNTER GORDON) CR2(UK) »COMMENT GET MUSIC
DONNA SUMMERの名作を見事カヴァーした大注目盤!大ネタのカヴァーって微妙なモノが多いのですがこれは違う!オリジナルにかなり忠実なヴォーカルに現代的なトラックが見事ブレンドされたハイクオリティーな仕上がり!ピッチを落としたグルーヴィーなリミックス、ディープ・プログレッシヴ的なオリジナルの両方ともグッド!

7

JOHNWAYNES

JOHNWAYNES FALLING LEAVES-SOCIAL DISCO CLUB REMIX GROOVEMENT(UK) »COMMENT GET MUSIC
COMPOSTやMULE MUSIQでも活躍中のJohnawynesによる黒い一枚!ソウルフル&グルーヴィーなトラックに男性の語りがフィーチャーされたオリジナル、さらにSocial Disco Clubによるクールなリミックス共に極上な出来!

8

JAMIE LLOYD

JAMIE LLOYD BEWARE OF THE REMIXES FUTURE CLASSIC (EU) »COMMENT GET MUSIC
MARK Eによるリミックスがグッド!BPM110程度の幻想的なディープ・テック・ハウスで、ジワジワ展開していく気持ちの良い作品です!バレアリックなB2もオススメです!

9

JT DONALDSON

JT DONALDSON GETTING UP EP AMENTI(US) »COMMENT GET MUSIC
OMやLARGE、HUDD TRAXXといったレーベルから作品をリリースしているベテランJT DONALDSONによる見逃せない一枚!アッパーな作品が多かった彼ですが、この盤ではなんとデトロイト・ビート・ダウン系のアンダーグランドで渋いナンバーを披露!ジャジーな「Talk To Them」が特にオススメです!

10

VA(DIMITRI FROM PARIS)

VA(DIMITRI FROM PARIS) GET DOWN WITH THE PHILLYSOUND PART 1/4(W-PACK) BBE (UK) »COMMENT GET MUSIC
【全世界で1000セットのみの生産!お早めに!】DIMITRI FROM PARISが監修・リエディットした極上フィラデルフィア・ソウルのコンピ・アナログ第1弾!オリジナルを尊重しつつも通をも「オッ!?」と思わせる展開の変更やさり気ないDJフレンドリーなエディットが最高!これは間違いなく一生モンです!

CHART by JET SET 2010.05.17 - ele-king

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1

MOODY

MOODY OL' DIRTY VINYL »COMMENT GET MUSIC
Moody a.k.a. Moodymann緊急リリースの話題作が到着です!!90年後期~'09年にかけてレコーディングされストックされていたと思われる漆黒の5トラックスをコンパイル。例によって限定プレスですので、マスト・チェックでお願い致します!!

2

ONRA

ONRA LONG DISTANCE »COMMENT GET MUSIC
大好評の12"の勢いそのままにAll Cityよりフルアルバムをリリース!同タイトルの好評12"の楽曲の他にも、2008年リリースの7"から"My Coment"、そしてSlum VillageのT3を迎えた"The One"をはじめ、粒揃いな楽曲を21曲収録した極上の一枚となっています!

3

JAMIE LIDELL

JAMIE LIDELL COMPASS »COMMENT GET MUSIC
BeckやFeistも参加。もちろんグラミー狙います!!Warp最強の鬼才Jamie Lidellが自らのソウルを進化させカムバック・リリース。崩壊寸前のビートと美し過ぎるメロディ、そしてコーラス、完璧です!!■MP3 DLコード付■

4

FUTURE ISLANDS

FUTURE ISLANDS IN THE FALL »COMMENT GET MUSIC
Dan Deaconと並ぶボルチモアの逸材。なんとThrill Jockeyからのファースト・マキシEP!!Upset! The Rhythmからのリリースが当店好評だった、ボルチモアの3人組Future Islandsが、まさかのThrill Jockeyから登場!!限定カラー・ヴァイナルの4曲入り12インチ。

5

BUTCH

BUTCH NO WORRIES / TEASE ME »COMMENT GET MUSIC
Ceccile新作はButchが登場!!まさかの大ネタ使いRoy Ayersの"Running Away"を使用し話題騒然だった"Super Fluff Disco Stuff Vol.2"をリリースしたばかりのButchが今度は新作をCeccileからドロップと絶好調!!

6

FOAMO

FOAMO JOOKIE / CENTAVO »COMMENT GET MUSIC
Rusko永遠のアンセム直系のブラス炸裂ボムが誕生っ!!'09年、Skintから電撃デビューを飾った新星ベース・マスターFoamo。ブレイクス名門Fat!からの今作はまさかの"Cockney Thug"アンサー・トラック!?

7

GLITTERBUG

GLITTERBUG PRIVILEGE »COMMENT GET MUSIC
Pantha Du Princeのアレに匹敵するアンビエント美麗音響ミニマル特大傑作!!ドイツはケルンの音響ハウス/テクノ・サウンドを担う超新星Glitterbugが、レフトフィールド・ミニマル史を塗り替える歴史的傑作アルバムを完成!!■限定500枚プレス/DLコード付■

8

BING JI LING

BING JI LING SUNSHINE LOVE »COMMENT GET MUSIC
Mayer Hawthorne好きも死にます。ブリージン・チルアウトなブルー・アイド・ソウル超絶品!!この季節にピッタリの爽やか込み上げブリーズが帰って来ました!!前作"Home"が当店超ロング・ヒットとなった才人、Bing Ji Ling。超待望の新曲は期待以上の気持ち良さ!!

9

JUNK CULTURE

JUNK CULTURE WEST COAST »COMMENT GET MUSIC
激オススメです。UKインディ・エレクトロニカに通じる注目のUS新世代トラック・メイカー!!オックスフォードのDeepak Mantenaによるソロ・ユニット、Junk Culture。Illegal Artから2009年にリリースされた大傑作1st.アルバムを、今改めてご紹介します!!

10

MAAYAN NIDAM

MAAYAN NIDAM GREATEST TITS EP »COMMENT GET MUSIC
当店ハウス・コーナー的に全く外さない女子、Maayan Nidamの新作がまたしても最高です!!最近はリエディット専門オフシュートW + L Blackの方が人気が出ている気がしなくもないブルックリンWolf + Lambの本家からベルリンの才女による意欲作!!

CHART by TRASMUNDO 2010.05 - ele-king

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1

HIRAGEN from TYRANT『CASTE』 »COMMENT

2

SEMINISHUKEI PRESENTS『WISDOM OF LIFE』»COMMENT

3

STARRBURST『INSTRUMENTALS』 »COMMENT

4

ROCKASEN『WELCOME HOME』 »COMMENT

5

HIKARU『Sunset Milestone』 »COMMENT

6

KIRIMANJARO »COMMENT

7

DJ Holiday『The music from my girlfriend's cnsole stereo』 »COMMENT

8

Shhhhh『Ritmo del baile futuros』 »COMMENT

9

DJ ASAMA『Spread Pure Darkness』 »COMMENT

10

VIKN『the 6 MILLIONDOLLAR MAN』 »COMMENT

Various Artists - ele-king

 環ロイと二木信の対談を読みながら、制度化されたヒップホップということについて考えてみた。パンクでもハウスでもヒップホップでも、どんなジャンルでも時間とともに制度化される。制度化とは、この社会のなかでのある種の妥協点でもある。良くも悪くも......、そう、ホントに良くも悪くも......。

 しかし、東京の〈セミニシュケイ〉は「良くも悪くも......」などとは思わないだろう。そのアティチュードにおいて15年前のムードマンの〈ダブレストラン〉を彷彿させるこのインディペンデント・レーベルは、音楽が制度化に屈服することを許さない。音楽は不定型なまま流動的に変化し、その本来的な危うさを保ち続ける。決して"奴らの手"に渡さないのだ。

 彼らはいままで1枚の7インチ・シングル(やけのはら+ブッシュマインドによる名曲"Daydream"を含む)と1枚のコンピレーション・アルバム『Culture Expands The World』(08年)を発表している。それらは彼らが望むようにアンダーグラウンドなシンジケートによって確実に伝播しているようだ。仲間は増え、新たな音が生まれている。2枚目のコンピレーションとなる本作は、その成果と言えよう。

 レーベルの背後には3人のDJ/トラックメイカーがいる。昨年のSFPのシングルに参加しているスターバースト、自らをサイケデリック・Bボーイと形容するブッシュマインド、レーベル社長を兼任するドン・Kである。本作には、前回に引き続き――彼ら3人に加えてガバの達人DJ PK、彼らの精神的支柱であるアクト、女性DJのイレヴン、杉並区の最終兵器と言われるタック・ロックとソネトリアス、名古屋のトム、京都のデイドリームネーション、アブラハム・クロスのソニック、あるいはギルティ・Cやノー・ルール......といった面々が参加している。今回は新たに、C.I.A.ZOOのラッパーとして知られるハイデフとトノ、あるいは北海道のZZY、いま話題のメデュラのトラックメイカー/ラッパーのマス・ホール、ミステリアスなデッド・ファッキン・ニンジャ、そしてアメリカのミシガン州からはカク......といった面々が加わっている。全24曲、1枚のCDには77分詰まっている。ちなみに値段は1800円。ここにも彼らのメッセージが見て取れる。

 冒頭では最近素晴らしいアルバムを発表したばかりの六歌仙がラップをかましている。そして、ラウンジーで軽やかなブレイクビートを展開するスターバースト、ジャジーなフィーリングを弄ぶドン・Kやカク......まずはレーベルのピースな側面を見せる。で、ソネトリアスとふたりのラッパー(オーアイ& エラ)が彼らの気怠く煙たい日常を描写すると舞台は暗転、ポッセたちの薄汚れた素晴らしい世界が待っている。そして、イレヴンがダブの重低音を響かせれば......、ようこそ〈セミニシュケイ〉のドープな世界へ、というわけだ。ノー・ルールやブッシュマインド、ハイデフやトノ、デッド・ファッキン・ニンジャといった連中が待ってましたとばかりに彼らのタフなビートを叩きつける。アルバムは22曲目からレーベルのもうひとつの顔を見せる。それは深いサイケデリック・トリップだ。ソニックとデイドリームネーションが前作に引き続きその役目を見事に引き受ける。最後はドン・Kのやわらかいチルアウトで幕引きをする。

 個々のアーティスト名をチェックしながら聴くよりも、作者名など気にせず流しっぱなしで聴くほうがいい。牢獄のようなこの街のプレッシャーに打ち負かされることのない彼らの日々の音から"自由"が聴こえてくるかもしれない。それは清々しくもあり、ときに力強くもある。そして彼らの音楽が実はフレンドリーであることに気づくだろう。

 5月に入り、ニューヨークは真夏模様になったり寒くなったりはっきりしない天気が続く。私は、カフェの近くにある公園、マカレン・パークでときどき運動をしている。エクササイズ・クラブというチームを組み、2人、4人、あるときはひとりで、時間があう人たちが集まってしたい運動をするという、健康的な集まりである。私はランニング、ストレッチ、バドミントンを専門にしている。この日はとても天気がよく、最高のエクササイズ・クラブ日和だった。日本とは違う種類だが、桜が満開で、ベンチに座っているおじいちゃんおばあちゃんが微笑ましい。週末はピクニックをする人、BBQをする人、読書をする人など、てんやわんやの人ごみになるのだが、エクササイズ・クラブはだいたい平日の昼間なので、人はそんなにいなく、運動するにはちょうど良い。

 i-Podを聴きながら、ランニングする人、ストレッチをする人、ドッチボールをするキッズなどを横目に見ながら、今日は5マイル、次は7マイルなど、どんどん距離を伸ばしていき、完走したときの爽快感に浸る。最高に良いショーをみた後の爽快感と似ている。一昨年までは、向かい側のマカレン・パーク・プール(プールといっても長年使われていない跡地)で、夏のフリー・コンサートが行われていた。MGMT、ヤーヤーヤーズ、ソニック・ユースなどたくさんのバンドがプレイして、毎週通っていたが、いまでは本当のプールに生まれ変わるべく建設中だ。

 こう書くと、なんて健康な日々を過ごしているのかと思われるが、実はほとんど毎日が夜遅くまで働き、ライヴハウス通い。先日は、〈パリ・ロンドン・ウエスト・ナイル〉というパフォーマンス・スペースのクロージング・パーティに朝の3時頃までいた。うちのカフェから2ブロック程先にある一角に、〈グラス・ランズ〉、〈ディス・バイ・オーディオ〉、〈ウエスト・ナイル〉という3つのライブハウスが並んでいる。そのなかの〈ノン・プロフィット・スペース〉と〈ウエスト・ナイル〉が、先日4/13に幕を閉じた。リースが切れたので、グリーン・ポイントに引っ越すのだそうだ。https://www.shinkoyo.com/parislondon/

Zeljko
〈ウエスト・ナイル〉のZeljko

 平日の夜だからといって、そんなに人はいないだろう、と思っていたのだが、なんと会場の前に人が溢れている。なかを覗くと、人ごみのなかで、エクスペリメンタルなロック・バンドがごりごりにパフォーマンスしている。そこで、この場所を仕切っているZeljkoを捕まえたので、インタヴューを慣行。

Ele-king: 今日でこの〈ウエスト・ナイル〉がクローズするそうですが。

Zeljko:そう、今日がラスト・ナイトなんだ。来てくれてありがとう。

Ele-king:まずは、この場所〈ウエスト・ナイル〉を紹介して下さい。

Z:ここはアーティストが住み、仕事をする、〈ノン・プロフィット・スペース〉。5~7人が集団が活躍している。〈ウエスト・ナイル〉は、2006年ぐらいにラフにはじまって、ここに引っ越して来たときは、バスルーム以外は壁も何もなかったんだ。コステス、トニー・コンラッド、ノウティカル・アルマナック、ライト・アサイラム、ブラック・パス、アキ・オンダ、ヴァンピリアなど数えきれないバンドがプレイしてきたよ。「https://www.shinkoyo.com/parislondon」からArchiveに行くとリストがみれるよ。

Ele-king:ショーはどれぐらいの割合でやっているのですか。

Z:だいたい1週間に1~2回、1ヶ月に1~2回の時もあるけど。ショーは口コミとeメール・リストのみ。

Ele-king:今日プレイしているバンドを紹介して下さい。

Z:スケルトンズ、ウィッシュ、ミラーゲイト、ザ・ガマット、フレディナイトライカー、ザ・ナスティズ。僕は、ウィッシュって、ヴォーカルありの、エピック・ダンス・ミュージックなバンドをやっているよ。アニマル・コレクティブをもっとダンシーにしたような感じ。スケルトンズとミラーゲートは友だちで、Shinkoyo(僕らのアートコレクティ))のパートナーでもある。ナスティズは、火曜日に公式に解散する前に、ここでラスト・ショーをして、ザ・ガマットは隣のグラスランズでサウンドを担当しているデリックのバンド。

Ele-king:次のスペースは、いままでと同じような活動をするつもりですか? 名前は同じですか? またいつ頃からはじめるのでしょうか?

Z:次はグリーン・ポイントに引っ越すんだけど、ここは住居兼でなく仕事場だけにしたい。次の場所は、〈ノース・ウエスト・ナイル〉とでも呼ぼうかと思っている。僕らには、コラボレート・グループがカリフォルニアのオークランドにもいて、同じようなことをやっている。彼らのスペースは〈イースト・ナイル〉っていうんだ。ショーは、5月ぐらいからやっていきたいね。

Ele-king:ウエブ・サイトには、「paris london france tokyo berlin texas los angeles georgia cleveland」とありますが、これが〈ウエスト・ナイル〉の正式な名前ですか?

Z:僕らは最初に〈パリ・ロンドン・ニューヨーク・ウエストナイル〉って付けたんだけど、ときどき別の都市の名前を適当に当てて遊んでた。ファッション・ブランドのフラッグ・シップ・ストアがある都市名を適当に並べて遊んでたんだけど、ブランド名はなくして、都市名だけにしたりとか。基本的にジョークで、僕らのスペースのフレキシブルさを表していると思う。

 

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 次の日はライアーズのショーへ。ニューヨークは〈バワリー・ボールルーム〉と〈ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ〉の2回の公演。今回は〈バワリー〉のほうへ行く。

ライアーズ
新作が話題のライアーズ

 ニュー・アルバム『Sister World』を引っさげてのツアーは、ソールド・アウト。ロスアンジェルスとプラハでレコーディングされたというこのアルバムは、前回までのライアーズのレコードと同様に、超現実的で恐ろしい雰囲気を醸し出しているが、それと当時にいまにも雷が落ちてきそうな、ダークで不思議なテンションのバランスを保っている。このテンションが、いかにもライアーズだ......とライヴを観てあらためて思った。

 決して張っちゃけ過ぎず、一歩寸前のぎりぎりのところを上手く綱渡りしている。ライヴ・セットも5人にパワーアップして、いつものように楽器を取り替えたり、オーディエンスとのキャッチボールもきちんとこなし、知的なエナジーに満ちあふれていた。後ろにいた女の子は、全部歌詞を覚えていてずっと一緒に歌っていた。

 『Sister World』が完成したと同時にアンガスもベルリンからLAに移り、3人が同じ都市に暮らすようになった。観客のなかには、元々ブルックリンでスタートした同じ仲間のバンド、ヤーヤーヤーズのメンバーもいた。LAとブルックリン、いまアメリカのインディ・シーンでいちばん気になるふたつの都市である。共演はどちらもFol Chenという、カリフォルニアのバンドで、US/ヨーロッパ・ツアーはずっとライアーズと一緒にツアーを回っている。メンバーのひとりは、ライアーズのサポートメンバーとしてプレイしていて、アンガスAとエアロンと一緒の学校に通っていたらしい。〈Asthmatic Kitty〉から作品を出している。

****

 カフェからベッドフォードアベニューを南に下がり、ブロードウェイを右に曲がると、『カプリシャス・マガジン』というフォト雑誌のスペース、ギャラリーがある。4月23に開かれたそのアート・オープニングに行ってきた。

 アンドリュー・ロウマンとニコラス・ゴットランドの〈スモーク・バス〉というショーで、日本でもよくショーをしている、アーティストのピーター・サザーランドがキュレーターを務めている。

 ギャラリー関係者や、ミュージシャン、アーティスト、うちのカフェのお客さんもたくさんいて、外もなかもわやわやしている。フロントとバックに部屋がふたつある、ゆったりしたギャラリー兼仕事スペースだ。この展示は、キャンプ、自然、探検がテーマで、フレッシュ・エア・ファンドという非営利団体のベネフィット・ショー。作品をひとつひとつに物語を思い浮かべ、どんな状況でこの写真が撮られて、ここに飾られるまでの過程を考えたり、リラックスした、開放感溢れる雰囲気に包まれていく。音楽もそうだが、アートで人の気持ちを動かす事ができるのは素晴らしい。こういう風に、音楽やアートをしっかり堪能し鑑賞できるような感覚を養っていきたい。

 

 5月5日、日本ではこどもの日だが、アメリカではCinco de mayo(シンコ・デ・マヨ)という、アメリカ人にもっとも良く知られている祝日である。スペイン語で「5月5日」の意味で、メキシコの祝日なのだが、メキシカンがたくさん住んでいるここアメリカでは、すでにアメリカの祭日になっている。メキシカン・ビール、テキーラ、サルサ、タコス、トルティーアなどを食べて飲んで、お祭り騒ぎをするのだが、私たち日本人や他の人種の人たちも、ここに住んでいると関係なくそれに便乗して、マルガリータなどを飲んでお祭り騒ぎをする。

ウィザード
ライトニング・ボルトのベースのブライアンのバンド、ウィザード
ハード・ニップス
日本人女性によるハード・ニップス!

Nobody can stop girls!

 ニューヨークにいると、アイルランドのセント・パトリックスディ、中国人の旧正月、ドイツ人のオクトーバー・フェストなど、いろんな民族の祝日をもれなく体験できる。ちょうどこの日は、ハード・ニップスのCDリリース・パーティで、チーズ・バーガー、ウィザード(ライトニングボルトのメンバー)、エイリアン・ホエール(USA イズ・ア・モンスター、タリバム!、ネッキングのメンバー)が共演。ハード・ニップスは、グリッター仕様のCDリリース・パーティという事もあり、ラメいっぱいの華やかなステージを披露した。

 かなり盛り上がっていたが、バンドが変わるごとに観客がごっそり変わり、それぞれのバンドの個性が面白かった。ウィザードは、ライトニング・ボルトのベースのブライアンのバンドで、このバンドではドラムを叩いている。かなり久しぶりのショーで、バンドも観客も大興奮。彼らもライトニング・ボルトと同じくフロアでプレイした。チーズ・バーガーは元々プロヴィデンスの3ピース・バンドだったのが、いまでは5人に増え、この日はオリジナル・メンバー、ヴォーカリストのJoeが飛び入り参加。このバンドは、ビール缶を投げるのがお決まりのようで、観客は容赦なくビール缶をステージに投げ、最後のほうでは、会場からさっさと電源を切られ追い出されていた。ここでもやはり「ハッピー・シンコ・デ・マヨ!!」と叫んでいた。

 

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