帰ってきた......ドラムンベースの帝王が......初期のシーンから一貫して変わらないその凶暴性と言う名の鎧を身に着けたまま......あの頃から何も変わっていない。変わったのは、ゴールディー以外のものすべてだ。これが本物のカリスマの姿である。
ドラムンベースのカリスマ"ゴールディー" x ダブステップのパイオニア"ハイジャック"、本国UKでもお目にかかれない共演にUNITフロアは興奮の坩堝と化したスペクタクルなDJショーの幕開けである!!
振り返れば1996年、伝説の新宿リキッドルームからはじまったDBS。本場UKのリアル・グルーヴをそのまま体感できる数々の伝説的一夜を実現させ、いまなお、ベースライン・ミュージックの"真実"を伝えている老舗パーティ! 今年でなんと13年目に突入した名実ともに日本のドラムンベース界を代表するトップ・イヴェントであるのは言うまでもない。
さて、2008年5月17日以来の来日となったゴールディーだが、昨年、待望のアルバム『Memoirs Of An Afterlife』をラフィージ・クルー(RUFIGE KRU)名義で発表。メタルヘッズ全開のベースラインが唸るダーク・コアな作品から現在のトレンドであるディープでアトモスフェリックなフィロソフィック・チューンなど......健在ぶりを知らしめるだけでなく、その存在価値、音楽的才能をさらに押し上げる歴史的傑作となったのは記憶に新しい。
インターナショナルに活動する日本のダブステッパー、ゴス・トラッド |
オリジナル・ダブステッパーのひとり、ハイジャック |
オープニングを務めたのは日本のダブステップ・シーンにおける先駆者"ゴス・トラッド"。DJセットの今回でもタイトかつテッキーなセットでフロアをロック。あらためて世界で活躍する日本のダブステップ界のパイオニアである彼の力を知らしめた。そして1時を回ってハイジャックの登場だが......saloonでプレイしていた筆者と時間帯が被ってしまい、残念ながら生で見れなかった......何人かに取材したところ、賛否両論。「ダブを惜しげもなくプレイしていて素晴らしかった」、「PCDJで残念」、「ダブステップ創世の息吹を感じた」等々......。いろいろ感想はあるようだが、彼のエクスクルーシヴ・ミックスをオンエアしたインターネット・ラジオ・ステーションTCY RADIO TOKYO"Stepp Aside!!!"でも聴くことのできる彼のプレイ――ダブの数々や最新リリース・チューンを躍動感溢れるそのミックス・テクニックによって披露し、フロアをロックしたことは間違いない。もうひとつ言えることは、彼がシーンのパイオニアのひとりとして、ダブステップの創造力、躍動力、高揚力を日本に運んでくれたことであり、本場UK最高の"熱"を伝えてくれたことである。現在最高点に近い盛り上がりを見せている本場UKだが、日本ではまだまだ熱しきれているとは言い切れないのが現状で、だからこそハイジャックのようなパイオニアが日本でいまプレイすることは重要である。是非この先も日本のパーティ・ピープルに驚きと発見をもたらして欲しいものだ。
ちなみに、ハイジャックの裏でもろに被ったsaloon@TETSUJI
TANAKAでありましたが、たくさんのオーディエンスに来て頂いて大熱狂!!! 陰様でフロアが満員になり、大盛り上がりでした。その時間帯saloonに来て頂いた方、踊ってくれた方、ありがとうございました! 次は4月17日、今度はUNITメインフロアで会いしましょう。
いまかいまかとオーディエンスが待ち望んでたゴールディーだが、ハイジャックの途中からなんとマイクを持ち、自らMCでナビゲート。われんばかりの歓声が飛び交ったのは言うまでもないが、とにかくこのカリスマは煽り続けたのである。そして、ゴールディとハイジャックが交代するその光景は、新旧各シーンのパイオニア同士がジャンルの境界を跨ぎ、行き来するまさにUKダンス・ミュージックの象徴"ハイブリッド"の生の姿であり、DBSが呼び込んだ貴重な偶発的かつ必然的姿であった。
マイクを持って叫ぶドラムンベースの王様! |
UKアンダーグラウンドの両雄! |
こうして、ゴールディーのプレイが大熱狂のなかはじまった。彼自身やメタルヘッズのダークコアな作品、ディープ・ミニマルな選曲構成を中心にプレイ......歓声とベースラインがリフレインしている......この光景、この姿、この形こそリアル・アンダーグラウンド・ミュージック"ドラムンベース"本来の状態なのだ。そう感じた矢先、ゴールディーがあるひとつの強力な武器を持ち出した。その場においては異質とも取れる曲は......何か......発した瞬間、ジャングリストたちの秘めた熱狂性とその現在のトレンドで覆っていたカレントリーな空間を瞬時にスイッチ......DBSでは稀な光景である。生粋のパフォーマーとしても名高いゴールディーが最高潮に煽りだし、サイドに付いたドラムンベースMC日本代表カーズとともに縦ノリに変化したオーディエンスと渾然一体となり、その勢いはまたく止まらない。その武器とは、ニルヴァーナ"スメルズ・ライク・ティーン・スピリット"のオリジナルだった!
時代淘汰されることなく歩み続けたロック・ミュージックとエレクトロニクスの発展により90年代に時代を捉えたドラムンベース。すべてを呑み込む許容性があるこのジャンルに不適切、不適合は存在しないと改めて実感させらてた。本当にフレキシブルで独自の進化を歩んだからこそこうして多くの人たちを魅了しているのだ。ダブステップもこれとまったく同じ道を辿っているのは、周知の通りである。すでに本国UKではドラムンベースを"越えてしまった"感があるこのダンス・ミュージックの新たな"核"が必ずやこの先も我々をユートピアに誘うだろう。世界中の隅々で......。
それからゴールディーは、後半に差し掛かった辺りから選曲を懐かしのドラムンベース・クラシックスにシフト。LTJブケム、アートコア・マスターピース"Horizons"をスピン。オールド・ファンの心を掴んだだけでなく歴史の生き承認としても歩んできたゴールディーの懐の深さも垣間みれた瞬間だった。ふと時計を見たら5時を回っている。大幅な延長プレイにみんな大満足だった。まったくプレミアムな空間に包まれたのである。そして2010ジャパン・ツアー最後の曲は、これまたメタルヘッズ・クラシックス、名盤中の名盤、ラフィージ・クルー"Beachdrifter"。こうして感動的かつ叙情的な閉幕となった。
ドラムンベースの限りない底力とダブステップのさらなる躍進、今回もまたそれを感じた最高のパーティだった。ベースライン・ミュージックを二分するこれらジャンルに向けて賞賛の意を表したい。DBSの持っている"力"にあらためて尊敬の念を表し、これからも筆者は歩んで行くだろう......ベースラインが消えない限り。
次回パーティ・リポートは筆者も出演の4/17DBSを予定しております。乞うご期待!
インターナショナルに活動する
オリジナル・ダブステッパーのひとり、ハイジャック
マイクを持って叫ぶドラムンベースの王様!
UKアンダーグラウンドの両雄!







いやー、本当に、ぶっ飛びすぎ!......てか、笑えてくる。壮大な"エイリアン・ミュージック"に出会ってしまったのかもしれないな。黒光りするシンセが痛いくらいにまぶしいぜ。
DJワダの〈イグナイト〉でのアンビエント・セットを終え、天狗食堂で開かれていたDJサチホがオーガナイズする〈リリース・シット〉に駆けつけると、週末の朝に特有のとても良い空気が流れていた。DJはサチホ~スポーツ・コイデ~イナホ~リョウ・オブ・ザ・デックス・トラックスの面子でのローテーションだった。グルーヴがキープされたまま新旧のディープ・ハウスがたんたんと続く。朝の9時をしばらく過ぎると天狗食堂のイナホがロングミックスを聞かせる。足の運びが軽やかだ。スネアに引っかかりがあるが、スマートなミ二マル・ハウスがじょじょに子供の声と水の音、透明感のあるシンセとともに広がっていく。誰も声を上げず首を振りながらその音楽をきいていた。そのトラックここに挙げた。ミルコ・ロコのリカルド・ヴィラロヴォスによるリミックスである。
エルサレム出身でニューヨーク在住のパレスチナ人パーカッショニスト、ラズ・メシナイが率いるバダウイのニュー・シングルを紹介しよう。ラズ・メシナイとは......その名前とバダウイ、サブ・ダブ、ベドウィンといった4つの名義を使い分け、DJスプーキーのホームである〈アスフォデル〉、ビル・ラズウェルのリリースでも知られる〈リオール〉、DJワリーが率いる〈アグリカルチャー〉等から数々の傑作を放ってきた男だ。ニューヨークのアンダーグラウンドを象徴するアーティストであり、ユダヤの政治と宗教をテーマにしたサウンドと彼の芸術、そしてその超絶的なパーカッションのテクニックは多方面で高い評価を得ている。最近ではクロノス・カルッテットやジョン・ゾーンとの競演も話題になった。
「?」と言うキーワードを使うとき、決まってマーク・プリチャードの〈Ho Hum〉からリリースされた10インチ「?」を思い出す。2008年9月20日、 DBS〈DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ〉にて筆者とユニットフロアで共演したマーラが1曲目にスピンした鮮烈な作品だ。何故ならこれは......ノンビートだからである。漆黒アンビエントが5分以上続くそのオープニングに会場は一時......静まり返った! 「なんだ、この曲は!?」、みんなそう思ったに違いない......文字通り「?」であった。そこからのマーラのプレイは言うまでもなく素晴らしいものであったが、いろんな意味を含めて話題をさらったセンセーショナルな作品が「?」だ。
UKダブ・カルチャーの拠点"ブリストル"でもダブステップは刻々と進化を続けている。90年代初期のジャングルがレイヴを席巻していたように......。その進化の過程とともに、ピンチの〈Tectonic〉と双璧の如く歩んで来たのがぺヴァーリストの〈Punch Drunk〉。90年代のジャングル/ドラムンベース・ムーヴメントを通って来たであろう彼らブリストル・ダブステッパーたちは、UKダンス・ミュージックの特性である"ハイブリッド"を巧みに取り入れた全く新しいブリストル・サウンドの提唱者となった。
筆者は、とにかくクリプティック・マインズのダブステップ・サウンドが大のお気に入りである。〈Tectonic〉からの「768」、ピンチ&ムーヴィング・ニンジャ「False Flag -Kryptic Minds RMX-」や〈Osiris〉の「Life Continuum/Wondering Why」、〈Disfigured Dubz〉から「Code 46/Weeping」など......最近のリリースすべて注目している。
サブトラクト(Sbtrkt)。脅威のニューカマーとして昨年のデビュー以来、破竹の勢いで上り詰めた天才エレクトリック・ダブステッパー。すでにベースメントジャックス、フランツ・フェルディナンド、モードセレクター、ゴールディといった大物達のリミックスを手掛け、ミニマル~ガラージ~ファンキー~エレクトロと縦横無尽に行き来している今年その動向がもっとも期待されている大注目株である。
イーピーロム(Eprom)は、サンフランシスコ在住の新進気鋭ウエスト・コースト・ベース・テクニシャン。ファンキーの要素とテッキーなカッティング・ビート、ハッシュされた女性ヴォーカルにアトモスフェリックな上ものを巧みにコントロールした、これぞニュー・テック・ファンキーだ。アメリカやカナダでも大盛り上がりを見せているダブステップやベースライン・ミュージックだが、アメリカでその代表格と言えば、ファルティDL(Falty DL)、6ブロック(6Blocc)、スターキー(Starkey)、ノアD(Noah D)等々だ。今回の"Never"のリミックス・ワークを担当したのがファルティー・DLだ。

