「S」と一致するもの

 さあ、きました、エレグラ最終ラインナップ! セオ・パリッシュとノサッジ・シング× 真鍋大度 × 堀井哲史 × 比嘉了というビッグなステージの情報が追加公開。1ヶ月後をわれわれele-kingチームも楽しみに待ってます!

絶大な人気を誇るデトロイト・ハウスの雄、セオ・パリッシュ出演決定!
ノサッジ・シングと真鍋大度等によるオーディオ・ヴィジュアル・ライヴが実現!



 ついに今年のエレグラのフル・ラインナップが出揃う!! 最終ラインナップに強力な2組が参戦! アタマからケツまで見どころ満載! このラインナップを一晩で体験できるのはまさに奇跡的!(タイムテーブル等は近日発表)

 まずは、もはや説明不要、絶大なる人気を誇るデトロイト・ハウスの雄、セオ・パリッシュがエレグラに初登場!
 90年代後半デトロイトのアンダーグラウンド・シーンから現れ、いまやトップ・プロデューサー/DJとして揺るぎない地位を確立。卓越したDJスキルのみならず強靭な意志と愛を注入したそのDJプレイは、オリジナル曲に加え、ダンスクラシック、ジャズ、ソウル、ヒップホップなど広範囲におよぶ黒人音楽を見事な構成力でまとめ上げ、ダンスフロアをスピリチュアルな熱狂へと導く。彼が祭主となり、濃厚でソウルフルな漆黒のグルーヴを放出し、その夜の儀式は衝撃的な音楽体験となるだろう!

「音楽に対する愛からすべてが生まれる……オープンに、また敬意とともに用いることでDJプレイはスピリチュアルな儀式に生まれ変わる。そしてその数時間の選曲をひとつの歴史に変えることができるんだ。」― セオ・パリッシュ

 LAビートとエレクトロニカ~チルウェイヴを自在に往来し、プロデューサー、リミキサーとしてフライング・ロータスやケンドリック・ラマーなど 大物アーティスト達が賛辞を惜しまない逸材ノサッジ・シング。そしてYoutubeで100万ヴューを超える彼のミュージック・ビデオのディレクションをはじめPerfumeのライブ演出を手掛けるなど、そのクリエイティヴィティーでメディア・アートから音楽、広告業界まで股にかけ、いまや世界的にその名を轟かす真鍋大度が、これまた世界的に評価を受ける堀井哲史、比嘉了とのチームで、ノサッジ・シングの音を映像演出! 今後ワールドワイドに展開していくという噂の、見逃せないスペシャル・ユニットがエレグラにて驚愕のパフォーマンスを世界初披露!


■国内最大級のエレクトロニック~ダンス・ミュージック・フェス
electraglide2013

出演:
JAMES BLAKE
2manydjs LIVE
!!!
MODESELEKTOR [DJ SET+909] with Pfadfinderei
THEO PARRISH
SHERWOOD & PINCH
FACTORY FLOOR
MACHINEDRUM
NOSAJ THING x 真鍋大度 x 堀井哲史 x 比嘉了

開催日:
2013/11/29 (FRI)

会場:
幕張メッセ国際展示場

開場:
OPEN/START 20:00

チケット:
前売 ¥8,800 / 当日 ¥9,800
※18歳未満の入場は不可、入場の際写真 付きIDの提示をお願い致します。
※お買い求めいただいたチケットは返品できません。

前売TICKET販売詳細:
チケットぴあ 0570-02-9999 [ https://t.pia.jp/ ] (Pコード:209-961)
ローソンチケット 0570-084-003 [ https://l-tike.com ] (Lコード:72626)
イープラス [ https://eplus.jp ]
tixee(スマートフォン用eチケット)
[ https://tixee.tv/event/detail/eventId/1829 ]
Confetti [ https://confetti-web.com ]
楽天チケット [ https://r-t.jp/electraglide2013 ]
ビートインク [ https://shop.beatink.com ]

店頭販売(ABC順)
BEAMS RECORDS
ディスクユニオン (渋谷Club Music Shop / 新宿Club Music Shop / 下北沢Club Music Shop / お茶の水駅前店 / 池袋店 / 吉祥寺店 / 町田店 / 横浜西口店 / 津田沼店 / 千葉店 / 柏店 / 北浦和店 / 立川店 / 高田馬場店 / 中野店 / web shop)
GANBAN
HMV(ルミネ池袋店 / ららぽーと横浜店 / ららぽーと柏の葉店 / イオンモール船橋店)
JET SET TOKYO
more records(大宮)
大麻堂東京店
TECHNIQUE
TOWER RECORDS(新宿店 / 秋葉原店 / 池袋店 / 吉祥寺店 / 川崎店 / 町田店 / 柏店 / 津田沼店)
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI / TSUTAYA三軒茶屋 / SHIBUYA TSUTAYA / 代官山蔦屋書店 / TSUTAYA横浜みなとみらい店 [ https://www.tsutaya.co.jp ]

他一部CDショップにて

INFO:
BEATINK 03-5768-1277 beatink.com
SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com smash-mobile.com
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999 doobie-web.com

企画制作:BEATINK / SMASH / DOOBIE
後援:SHIBUYA TELEVISION
協賛:CA4LA / PLAYBUTTON

www.electraglide.info

Machinefabriek - ele-king

 オランダ人電子音響作家、マシーンファブリックことルトガー・ヅイダーベルト。彼は2004年に録音作品をリリースして以降、厖大な数の作品を発表し続けている(その数は100に匹敵する)。作品の完成度、リリース数といい、いわば電子音響シーンの00年代を代表する音響作家と言っても過言ではないが、同時に彼の全貌を掴むことは困難を極める。

 なぜなら、彼のリリースしてきた録音物はとにかく厖大だからだ。〈12k〉などの著名レーベルからノン・レーベルまで、とにかく出してきた。CD、レコード、カセット、データ……。それらの録音媒体を横断しながら、彼の音響は日々、増殖を重ねていく。つまり作品数そのものが、アーティストとしての存在価値にも繋がっているようにも思える。マシーンファブリックの音響は時にナイフのように鋭い。が、その鋭利な音響が、不意に、その線と面が歪む瞬間がある。まるで生命のように? であれば作品もまた生命のごとく増殖しなければならない。リリース方法もまた作品でありコンセプトを体現するものだ。ゆえにさまざまな録音媒体を横断しながら、彼の音響は増殖を重ねていく。

 となればコラボレーション作品も重要だ。ひとりからふたりへ。その増殖的創作はマシーンファブリックの音楽性の本質とはいえないか。近年も既にヤン・クリーフストラ、ロムケ・ヤン・クリーフストラらとのユニットCMKK『ガウ』、バナディラとの共作『トラヴェログ』、サンジャ・ハリスとの共作『マシン・ルームス』などが‎相次いでリリースされている。そして10月には、セルジオ・ソレンティノとの作品『ビネット』も発表されるのだ。

 日本人実験映画作家、牧野貴の作品(『イン・ユア・スター』など)への参加にも注目したい。牧野貴はまさに日本を代表する実験映画作家である。瞳の網膜を強烈に刺激するその作品は世界でも高く評価されているが、氏の作品において音楽・音響は重要であり、事実、彼の代表作にはジム・オルークが音楽を提供しているのだ(紀伊國屋書店からDVDがリリースされている)。マシーンファブリックは『イン・ユア・スター』という作品の音楽を手がけており、同作品の音楽は3インチCD-R作品として限定リリースもされた。この電子音響、エレクトロニカ、実験音楽、実験映画など、ジャンルを越境する活動はじつにスリリングである。

 それらのコラボレーションは、重要なソロ・ワークスへ確実にフィードバックされているように思う。本年も既に多数の作品がリリースされているが、なかでも注目したい作品は〈アントラクト〉からリリースされた『ドイプファー・ワーム』と、今回取り上げる〈ハーバル・インターナショナル〉からリリースされた『ストロームツーン II』だ。前者『ドイプファー・ワーム』はシンプルにして複雑な運動をするアナログな電子音が空中を蠢くかのようなサウンド。ヘッドフォンで聴くと脳内に電子音が直接的にアジャストするかのような快楽に満ち溢れている。対して『ストロームツーン II』は、より多層的なエレクトロニクス・サウンドによってコンポジションされた作品に仕上がっているのだ。

 じつはこのアルバム、2012年にごく少数のみリリースされた2枚組の7インチ、ヴァイナル盤『ストロームツーン アハト/ネゲン +ティエン/エルフ』に収録されたトラックを中心に、未発表曲を合わせた作品集なのである。アルバム名に「Ⅱ」とつけられているのも、そういう意味であろう。だが聴いてみると分かるのだが、本作はレア・トラックの寄せ集め的なアルバムではまるでない。近年の彼の作品のなかでも抜群に高い完成度を誇るアルバムである。

 霧の向こうで唸るような低音から、鼓膜を震わす微細な音響の揺れ。それらが、上下左右の音響空間にダイナミックに重ねられていく……。雰囲気としては2011年に日本発売した『ディオラマ』に近いが、あの作品よりも音響は太く、そしてアトモスフェリックだ。淡い震動からはじまる“ストロームツーン・タイ”からすでに特別な響きがはじまっている。そして何より8曲め“ストロームツーン Zes”を聴いてほしい。00年代の電子音響的手法が、2013年的な音響の磁場のなかで交錯する瞬間が、はっきりと聴き取れるはずだ。柔らかい音と、研ぎ澄まされた音。硬質な金属がある瞬間にグニャリと曲がってしまうような感覚。

 この「進化」は、たとえば、ティム・ヘッカーの新作『ヴァージンズ』と共鳴しているとも思える。それはどのような共鳴なのか。生々しくも物質的な電子音響が、単なる即興的な音響の運動だけではなく、かといってコンポジションしているだけでもなく、むしろそのふたつが交錯することで生まれる電子音響における新しいノイズ、新しいドローン、新しいサウンドの共鳴である。ティム・ヘッカーは、その新しい音楽をボーダー・コミュニティのポストクラシカルな音楽家たちと作り上げた。マシーンファブリックもまた多くのコラボレーション作品を通じて、濃密な電子音響作品を生み出したのだろうか。

 もちろん、ふたつのサウンドはまるで違うものである。ティム・ヘッカーはヨーロッパの歴史の終焉を音響で描く。対してマシーンファブリックは人間以降のポストヒューマンな世界観を音響で鳴らしている。正反対といっていい。だがこれらの繊細かつダイナミズムなサウンドの奔流と質感に、2012年から2013年という時代の潮流を聴きとることは難しいことではない。そう、電子音響におけるドローン/ノイズは、今も進化のただなかにある。人工生命のように。

 本作はアートワークも素晴らしい。レベッカ・ノートンというアーティストの作品だ。面と線が多層的に折り畳まれながらも、分解と生成を繰り返す、そんな本作の音響の様子が見事にヴィジュアルで表現されている。レベッカ・ノートンのアートワークは7インチ盤『ストロームツーン/Negen+Tien/Elf』に続いての起用。アートワークもまた本シリーズにおいて、欠かせない重要なエレメントということもわかってくるだろう。

泉まくら - ele-king

『卒業と、それまでのうとうと』『マイルーム・マイステージ』発売中です。
https://twitter.com/macra_iz
https://subenoana.net/

泉まくらに影響を与えた日本語ラップ10枚

餓鬼レンジャー 『UPPER JAM 』
降神 『望~月を亡くした王様~』
メシアTHEフライ『MESS -KING OF DOPE-』
meiso 『夜の盗賊 』
SEEDA 『街風』
サイプレス上野とロベルト吉野 『ドリーム』
MINT 『AFTER SCHOOL MAKIN' LOVE』
ラッパ我リヤ 『ラッパ我リヤ伝説』
DJ MASTER KEY 『DADDY'S HOUSE vol.2』
田我流 『B級映画のように2』

- ele-king

 アイム・ノット・ア・ガン(I'm not a gun)なるデュオが2000年代初頭に姿を現したときの清新な印象を忘れられないという人はいないだろうか。抑制された叙情をたたえ、清潔な手つきで差し出されるあのウォーミーなIDMは、その後も損なわれることなく2010年の『ソレース』まで引き継がれている。
 さて、その片割れであるギタリスト(相棒はご存知、ジョン・テハーダ)、Takeshi Nishimotoによる来日ツアーが来月からはじまる。リリースしたばかりのソロ作『ラベンダー』のお披露目ともなるであろう同ツアー、渋谷O-nestではTo Rococo Rotのロバート・リポック(Robert Lippok)がベルリンから駆けつけ、サポートを行う予定だ。見逃せないコラボレーションになるだろう! 〈flau〉主宰にして誰もが愛さずにはいられない国産エレクトロニカの重要アーティスト、ausの出演にも期待が募る。




■11/14(thu)@shibuya O-nest
lavandula japan tour

出演:
Takeshi Nishimoto (I’m Not A Gun)
Robert Lippok (To Rococo Rot)
aus

開演:
OPEN: 19:00 / START: 19:30

料金:
ADV: 3000 / DOOR: 3500 (ドリンク別)
TICKET 発売中 チケットぴあ212-468 / ローソンチケット75699 / e+ / O-nest

info:O-nest 03-3462-4420

アメリカ西海岸発、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの重鎮、John Tejadaとの共同プロジェクト「I'm Not A Gun」や、レーベル「CCO」からのソロ・リリースなど、日欧米を駆け巡る世界的に著名なベルリン在住ギター・プレイヤー、Takeshi Nishimoto。リリースしたばかりのソロ・アルバム『lavandula』(sonic pieces)を携え、ベルリンのアート・コーディネイション・チーム「onpa))))」との共同企画で11月に来日ツアー(全国8ヶ所)を実施。渋谷O-nestでは、今回のアルバムにサポートとして参加したTo Rococo Rotの重要メンバー、Robert Lippokもベルリンから同行し、Takeshi Nishimotoのライヴをサポートする。彼のワールド・プレミアムなギター・サウンドとRobert Lippokの織り成す電子音のそれぞれのライヴは、会場全体に流麗で甘美的狂気のサウンドを醸し出すこと必至。Takeshi Nishimoto そして Robert Lippokのレアなソロ・ライヴ・パフォーマンスをぜひ体験しよう。


Erasure - ele-king


イレイジャー
Snow Globe

Mute/トラフィック

Review Amazon

 日本で暮らすアラフォー、アラフィフ世代にとって、イレイジャーといえば「ビートUK」じゃないでしょうか。もうとにかく、イレイジャーがシングルを出すとUK1位。アルバムも1位……という感じで、ヒットし続けたのでした。『ザ・サーカス』(1987年)、『ジ・イノセンツ』(1988年)、『ワイルド!』(1989年)や『コーラス』(1991年)のようなアルバムは、まさにシンセポップのお手本です。しかもヴォーカルのアンディ・ベルはゲイとしても有名で、音を担当しているヴィンス・クラークといえば、あなた、デペッシュ・モードのオリジナル・メンバー、ヤズーの仕掛け人、つまり、〈ミュート〉レーベルはこのヴィンス・クラークという天才を発掘したがためにレーベルとして大きくなったと言える、そんなすごい人なのです。  最新アルバム『スノウ・グロウブ』は実に通算15枚目のアルバムです。5曲の新曲と8曲のクリスマス・ソング・カヴァーという構成になっています。  ファンの方々はご存じだったかもしれませんが、昨年、アンディ・ベルのパートナーだったポール・ヒッキーがエイズで亡くなられました。新作には、そんな悲しみを乗り越えるかのような、力強いさ、深いエモーションがあります。そして6歳になったヴィンス・クラークの息子を祝福するかのように、温かい電子音をバックにクリスマスの歌が歌われています。  日本で暮らすアラフォー、アラフィフにとって、イレイジャーといえば「ビートUK」じゃないでしょうか。ヴィンス・クラークと同じように小学生ぐらいのお子さんのいる方も多いはず。今年は、エレポップの天才が送るクリスマス・アルバムを聴きながら、「あのね、お父さん(お母さん)が若かった頃にね……」などと教えてあげるのもいいかもしれませんよ。


Jake Bugg - ele-king

 1枚目があれほど鮮烈なデビュー作となったからには(そしてブリテンの音楽業界人、中年文化人たちから激烈に支持されたからには)、11月発売のジェイク・バグのセカンド『Shangri-La』に大いなる期待と危惧が寄せられるのは当然のことだ。

 プロデューサーにリック・ルービンを迎えたことから、ジェイクは米国を意識した“ビッグになるため”のアルバム作りをしているという推測は、『NME』をはじめとするメディアが何ヶ月も前から書いてきたことだ。
 「俺と俺のギター」の段階は終わった。これからが本番だ。みたいなことを業界の大人たちが書き煽るなかで、若き青年ジェイクのこころは不安定に揺れたりしていないのだろうか。

 というおばはんの心配を粉砕してくれた、というか大笑いさせてくれたのが、新曲“SLUMVILLE SUNRISE”のPVである。このPVは、(遂に日本公開された『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』でわが祖国の音楽ファンの涙腺を決壊させている)シェイン・メドウズが監督を務め、ベニー・ヒルを髣髴とさせるレトロ調ドタバタ・コメディの映像になっている。彼の代表作『This Is England』シリーズのロル(ヴィッキー・マクルアー)が“Two Fingers”のPVでジェイクの母親役を演じていたので、そのうちシェイン・メドウズも出て来るんじゃないかとは思っていた(実際、カメオ出演までしてジェイクが乗ったボートを担いでいる)が、「来たか」という感じのコラボである。

 曲の終了後、『This Is England』シリーズのスメル(ロザムンド・ハンソン)とジェイクの掛け合いがあるのだが、ジェイクはアルバム・デビュー後こそストレート・ジーンズと黒シャツ、黒ジャケットのシャープなイメージでキメているが、実際このPVのようなヤバめのジャケットを着てChav色を漂わせていた時期もあったので、どこか初心に帰った感もある。また、吃驚したのが、ジェイクが俳優としても大変な逸材であるということで、このまま『This Is England』シリーズに出て欲しいような醒めた目つきの北部のChavっぷりを見せている。

          ******

 今夏、BBCが放映したワーキングクラスの歴史を辿るドキュメンタリーを見ていたら、英国で初めてワーキングクラスがクールになった時代として1960年代の映像がふんだんに出て来た。そのなかで、英国初のワーキングクラス出身モデルだったツイッギーが大きくフィーチャーされ、それまでは上流階級の子女に独占されていたメディア、アート、ファッションといった世界にワーキングクラスの若者たちが進出を果たし、それがスウィンギング・ロンドンに繋がった60年代は、労働者階級が史上もっとも格好よかった時代だと語られていた。

 英国の現代のメディアやアート、ファッション(&ミュージック)といった分野は、60年代以前と同じようにミドルクラスの子女に独占されている。それはジュリー・バーチルなども指摘している点だ。そう考えれば時代は後退したのかもしれないが、そのなかで「恐るべき子供たち」と呼ばれているジェイク・バグやストライプスといった若者たちが60年代を髣髴とさせる音を奏でているのは興味深い。

 が、しかし、60年代のクールなワーキング・クラスが英国に蘇ることはない。なぜなら、現代のワーキング・クラスは社会に忌み嫌われるアンダークラスに変貌を遂げているからだ。アンダークラスやChavは、英国の「クールでないもの」のすべてを象徴しているため、ジャージを着て公営住宅地をふらふらし、妊娠中の女と居間に座っている無職の青年をPVで演じて見せるアーティストなどいない。そんな低みにまでロック・ミュージシャンが降りていってはいけないのだ。なぜなら、ロックとはクールで高尚でアーティスティックで地べたの人間など反映しないものでなくてはならないからだ。

 What the fuck are you talking about?(クソふざけんな)

 という爽快な一撃をこのPVには感じた。わたしが大笑いしたのはその点である。喜ばしいことに、ジェイク・バグのセカンド・アルバムを心配する必要はまったく無さそうだ。

Forest Swords - ele-king

 2000年代において「ウィッチなもの」はまずフリー(ク)・フォークの周辺に姿を現した。森ガールからさかのぼること5年前後。たとえばジョアンナ・ニューサムを、たとえばココロージーを取り巻くウィッチな――オカルトチックな雰囲気は、世を離るための装置として強烈な印象を持っていた。森へ、森へ。戦争のさなかでもあったアメリカ内部では、それはひとつの逃走でもあり闘争でもあっただろう。ドリーミーなどと甘いものではない、時期は少し後のものになるが、『イース』(2006年)の異様な肖像画に浮かんでいるのは、この世をつめたく切り離す微笑ではなかっただろうか。
 フォレスト・ソーズの音楽は、すこし、その頃のドロドロとして危なげな森とウィッチネスを思い出させる。

 UKはリヴァプールのプロデューサー、マシュー・バーンズによるユニット、フォレスト・ソーズ。2010年にリリースされた前作EP『ダガー・パース』を覚えている方も多いことだろう。ポカホーンテッドのようにずぶずぶなダブとギター・サイケデリック、クラムス・カジノの亡霊じみたスクリュー、またハウ・トゥ・ドレス・ウェルのR&Bやそのシミのように抜けにくく忘れ去り難い音像、などなどの印象に重なって、バーンズの音の世界はよどみ、滞り、ひたひたと現実の感触を腐食させていく。呪術的で間の多いビートとヴォーカル・サンプルもあわせて考えれば、ウィッチ・ハウスの傍流としてとらえられても当然だろうし、ファースト・フル・アルバムとなる今作は〈トライ・アングル〉からのリリースである。この線で現在もっとも充実したかたちを提示するための条件をずらりと揃えている。

 一方、往時のブルックリンの実験主義的なムードに含まれていたようなトライバル志向も、バーンズの音楽にとって重要な要素だ。なかでも近世~近代日本の表象が好んで用いられていることは、彼のなかのトライバリズムを大きく特徴づけている。日本趣味というよりも小泉八雲趣味というか、逝きし世の面影に寄せる興味のようなもので、前作と今作のジャケットに色濃いのは、芸者富士山ネコミミではなくて、開国ののちさまざまに失われていこうとする、あるいは開かれていこうとする、小さく、あわれ(あはれ)な存在や風俗である。ウィッチはウィッチでも、名も無き髷の日本女性を立てたところに、なんとなくではあるけれどもバーンズの問いかけがある。大きなちからの陰に、あるいは大きな時代の流れの陰に消えていくものへまなざすことが、彼のサイケデリック・ミュージックでありウィッチ・ハウスの芯ではないだろうか。“オンワード”の乾いた打撃音を、その隙間の反響音を聴いていると、知らないはずの郷愁と、それがあるはずの、ここではない世への思慕に胸がしまってくる。そして“ギャザリング”で反復されるヴォーカル・サンプルが、どこか木挽き歌のような掛けあいを生みながらピアノの旋律とキック音を招じ入れるとき、彼のアルバムは架空の風土記のように、この世のネガとして光を透過させる。

ジャパニーズ・ハウス・ライジング - ele-king

大衆音楽の世界において、外国人にとって日本といえば、YMOやテクノの印象が強い。しかし、この10年で、日本の90年代ハウスが再評価されているということをあなたは知っているか。在日フランス人DJがジャパニーズ・ハウスの魅力をいま語る!

 僕はもともとはヒップホップを聴いていたので、白人ゲイが好むハウスやテクノとは絶対一緒されたくなかった。若い頃は自分のアイデンティティを作る時期なので、余計にオープンマインドじゃないんですよね。
 もっともそれは少年時代の話で、もうちょっと年とったときには、ハウスやテクノは僕が持っていたイメージと全然違うことを知るようになる。とくにヒップホップとハウスのルーツが実はそれほど離れてないってことを知ったときは衝撃だったな。じょじょに興味を持って、そして自分のなかのハウスやテクノのイメージが変わっても、日本にハウス・シーンがあることをまったく知らなかった。僕にとってハウス=アメリカ(80%)とヨーロッパ(20%)だった。それ以外の場所にハウスやテクノは存在していなかったんです。

 ジャパニーズ・ハウスの存在を知ったのは、2005年~2006年、初めて日本に来たときだった。渋谷のディスクユニオンに通って、ジャパニーズ・ハウスのレコードを偶然手にした。でも……それは正確な言い方ではないね。正確に言えば、僕が初めてジャパニーズ・ハウスと出会ったのは子供の頃だったんだと思います。当時はまったく意識はしていませんでしたが、日本のビデオ・ゲームが大好きで、ゲームでよく遊んでいた僕は、自然にゲーム音楽を聴いていたんですね。それがいま思えば、ジャパニーズ・ハウスの原型だったように思う。SEGAの「Sonic 2」, 「Bare Knuckles 2」などのBGM音楽はまさにジャパニーズ・プロト・ハウスです。
 みなさん、是非「Sonic 2」の“Sky Chase Zone”という曲を聴いてみてください! ChordsがシカゴのLarry Heardを彷彿させる、気持ちいい曲なんです。そして「Bare Knuckles 2」の“The park”, “The Bar”,“The opening streets”といった曲も。ゲームのBGMなので音のクオリティはよくないんですが、言いたいことが伝わると思います。つまり、僕はその頃から、ジャパニーズ・ハウスのVibeに染められていたのです。

 ディスクユニオンに戻りましょう。僕は、ちょうどその頃、90年代NYハウスにハマっていたんです。とくにBLAZEが好きだったな。ある日ディスクユニオンで見つけた小泉今日子の「Koizumix Production Vol. 1 - N.Y. Remix Of Bambinater」という12インチ・レコードに、“BLAZE remix”と書いてあったんです。早速、試聴した。それがジャパニーズ・ハウスとの最初の出会いです。
 BLAZEだからジャパニーズ・ハウスじゃないじゃん! って思う人も当然いるだろうけど、僕にとってヴォーカルが日本語だったので、それだけでも充分面白くて、ジャパニーズ・ハウスだったんです。日本語のヴォーカルがハウスにMixされている、これだけでとても衝撃的だったんです! 格好いい! って思ったんですね。ヨーロッパでプレイしたら、絶対にクラバーやDJたちは「なにこれ? なにこれ??!!」ってなると思ったんですね。もう、聴いた瞬間、とてもわくわくしました。
 そして、このレコードの“Sexy Heaven (King Street Sound Club Mix)”という曲で、初めてジャパニーズ・ハウスのことを意識した。
 同じ頃、Masters at Workの曲を必死探していたおかげで、MONDO GROSSOのことも知った。“Souffles H (King St.Club Mix)”という曲に出会ったことも嬉しかったな。まあ、MAWのプロダクションだから日本Vibeがあんまりないんだけど、一応バンドが日本人なので(笑)。BIRDがヴォーカルをやっている“Life (Main)”というMONDO GROSSOの曲もよかった。
 こうして僕は、じょじょにジャパニーズ・ハウスのこと知っていった。しかし、実を言うと、不満も感じていたんです。これ全部アメリカ人のプロデュースだったり、アメリカのレーベルの出版だったりしていたからです。
 でも、正直、見つけたばかりの頃は、そんなことよりも「日本でも国内のシーンがあったんだ!」という驚きと興奮が強く、「アメリカとのコラボいろいろあったんですね!」という感じでした。シーンとしてのジャパニーズ・ハウスのことはまだ意識していなかったです。本格的にジャパニーズ・ハウスを意識するのは、2008年、日本に戻ったときでした。

 当時渋谷にはYELLOW POPという中古レコード店がありました。僕がよく通っていたお店のひとつです。最初はハウス・セクションしか見ていなかったのですが、たまに時間つぶしでJ-POPセクションも見ていました。そこで見つけたのがPizzicato Fiveの『Pizzicato Free Soul 2001』です。
 Pizzicato Fiveのことは当時すでに知っていたけれど、僕は渋谷系のバンドとしてしか認識してませんでした。ただし、その盤は「Remixes」という言葉をアピールしています。で、クレジットを見たら、富家哲さん、Tei Towaさんなどの名前があります。リリース日付を見たら93年。90年代ハウスの大ファンである僕にとって必須な1枚です。
 そして、A2の“Catchy (Voltage Unlimited Catchy)”でものすごい刺激をうけたんですね。鳥肌が立ったんです。曲がやばいから鳥肌が立ったのではない。「日本でも僕が大好きな90年代ディープ・ハウスを作っていたプロデューサーがいた! アメリカみたいに、当時の人気POPバンドのハウス・リミックスを作っていた! そんなシーンが存在していたんだ! だったら絶対Digしてやる!」と思ったからです。探してもいなかった宝物が見つかったという感じです。当然、その“Catchy”という曲がすごい曲だからっていうのもありました。ディープなガレージ・ハウスにPizzicato Fiveのリード・ヴォーカルの甘い声が最高の組み合わせでしたからね。

 こうして僕はジャパニーズ・ハウス・シーンから離れられなくなっていました。日本に来る前にはジャパニーズ・ハウスなんてまったく知らなかったくせに、もうそれ以来、ジャパニーズ・ハウスの80年代~90年代のプロダクションを探すに必死になっています!
 そして、僕のなかで、日本でのハウス・シーンのイメージがアバウトに出来上がっていきました。大きく分けるとふたつのグループ頭のなかにあります。
 ひとつ、100%国内プロダクション(日本人のハウス・プロデューサーが単独で曲を作ったり、国内の人気ポップ・アーティストのリミックスなど)。
 もうひとつ、海外DJが日本のポップ・アーティストをリミックスした曲(主にアメリカのNYCのハウス・プロデューサー。MAW, Kerri Chandler, Blaze, Pal Joey, Mood II Swingなどなど)。
 不思議なことに海外ポップ・アーティストをリミックスしたジャパニーズ・ハウス・プロデューサーほとんどいない(富家さんはDef Mixに入っていたから、例外です)。このふたつの大きいグループを合わせて、日本のハウス・シーンが成立していました。後者はもちろんですが、前者も音的にアメリカに影響を受けていました。91~93年の福富幸宏さん、寺田創一さんなどのプロダクションを聴くとわかりやすい。

[[SplitPage]]

 僕は日本の音楽のさまざまなジャンルが好きです。そして、どんなジャンルにおいても、アメリカからの影響を感じます。90年代のジャパニーズ・ハウスも例外ではないですね。70年代、80年代、90年代でDJ活動をはじめた日本人の多くがアメリカに滞在しています。長い旅をしたことがあります。たとえば福富さん、寺田さん、Tei Towaさんたちはその道を歩いて、日本に戻ったときに、アメリカのディープ・ハウスに影響された音を生み出している。有名な〈KING STREET〉を作ったのも日本人石岡ヒサさんです。
 ちなみに何故〈KING STREET〉という名前を選んだか、知っていますよね? 伝説のクラブ〈PARADISE GARAGE〉の住所が「KING STREET 84」だったからです。クラブ・ミュージックのはじまり、伝説のスタートポイントです。Larry Levanがレジデントだったクラブです。
 40代~50代の日本人のクラブ関係者/DJと話していて気がつくのは、Larryを神様みたいな存在として思っていることです。さて、この先は僕の個人的な仮説です。多くの日本人が70年代~90年代初頭にLarryにあこがれて、聖地巡礼に出るようにアメリカに行った。その現象がおそらく日本のクラブ・シーンに大きいな影響を与え、シーンの展開を可能にさせたのではないかと。
 90年代初頭、日本リリース限定(場合によって日本限定ではなかったが)のアメリカ人DJによるJ-POPアーティストのハウス・リミックス版がたくさんあります。しかし、それらが日本限定のリリースだったので、長いあいだ世界はそれらレコードの存在を知らなかった。そのひとつの例が、先述した「Koizumix Production Vol.1」収録のBLAZEミックスですね。


 他にも、僕が見つけた曲にはこんなものがある。山咲千里の「SENRIMIX」に入っているKERRI CHANDLERのミックスとか、露崎春女の「Feel you」のMood II Swingリミックスとか、SNK ゲーム「The King Of Fighters」のLIL LOUISによるハウス・リミックス……。リストにきりがないですね。実はいま現在、こうしたレコードは欧米でも知られるようになっているんですね。みんな必死に探していて、「SENRIMIX」や「KOIZUMIX」みたいなレコードは、海外ではかなり高値で取引されていますよ!

 これも先述しましたが、音的にはアメリカに大きく影響されています。当時のNYガレージ・ハウス・サウンドからの影響はとくに大きかったと思います。福富さんの“It’s about time”という曲を試聴しましょう。福富さんは自分のVibeも注いでいるから、結果としてはクオリティの高い新鮮な出来になっています。ただの真似ものではないんですね。
 少しマイナーな例ですが、関西のプロデューサー、TAKECHA(Takeshi Fukushima)が90年代にたくさんのディープ・ハウスな曲を作っています。そのなかに“Respect To Pal Joey”という曲がある。インスピレーションの元をはっきりさせているわけです。
 TAKECHAのレコードはとてもレアで、僕も3枚しかもっていないんだけど、曲を聴くと、たしかに Pal Joeyからの影響を感じます。しかも、しっかり自分のVIBEを仕込んでいる。TAKECHAっぽい音になっているんです。
 最後にもうひとつ例をあげましょう。東京出身のTORU.Sというプロデューサーです。90年代のTORU.SのプロダクションはNYよりのディープ・ハウス・サウンドです。TAKECHAのようにインスピレーションの元もはっきりしています。97年の「Final story the night」というEPに“Message 1 Thank You Joe”という曲があります。当然、Joe Clausselへのメッセージです。
 Toru Sの当時プロダクションを聴くと影響がはっきりわかるけれど、とくにその曲はJoe Clausselが作ったかのように聴こえます。本人Danny Tenagliaも好きなようで、そのEPの裏面には「Danny Tenaglia...Thanks thanks thanks...I wanna say this hundreds times. Oh Danny! I’m here for you」などと書いてある。ラヴレターみたいですね。TORU Sさんの場合はアメリカにも住んでいるから、また特別なパターンかもしれない。アメリカで作っているので、ほかの国内プロデューサーとはまた環境が違っているんですが。

 他に似たような例がいくつかあるけれど、全部載せられないので、今回はここまで。とにかく、ジャパニーズ・ハウス・シーンが世界ではまだまだよく知られていないのに(実は国内も含めて)、世界中で大人気だったアメリカのシーンと強くつながっていること。アーティストのコラボレーションもそうだし、プロダクションへの影響もそう。アメリカと日本の200年前からの歴史をみると、つねに不思議な関係にあることがわかる。力を使って喧嘩したこともたくさんありました。1854年、アメリカの海軍軍人ペリーは江艦隊を率いて鎖国していた日本にやって来た。その出来事は文化的に大きな影響となった。そして、第二次世界大戦で日本がアメリカに負けた後、アメリカ文化の影響はさらに広がった。アメリカに対して強い抵抗があったはずなのに、ポピュラー・カルチャーに関して日本はアメリカに憧れ、影響されることを拒まず、影響を主張している。それはハウス限定の話ではない。他のジャンルでも同じ現象が確認できる。いずれにしても、アメリカと日本の文化関係は外国人の視点からみると、とても面白いのです。

 歴史の話はそこまでにしましょう。ジャパニーズ・ハウスにおけるアメリカからの影響は誰も否定できない。Vibe的に、NYCディープ・ハウス・サウンドにとても近いものがある。しかし日本Vibeも混入されている。
 え、その日本Vibe、ジャパニーズVibeというのはなんですか? と訊かれても答えづらいんですけど、たとえばChordsは日本の雰囲気を表現していると思います。バブルやポスト・バブルの日本の雰囲気が音に出ているように思います。ハウスではないのですが、Jazzやヒップホップをプロデュースしている宇山寛人さんの“Summer81”や“Oneday(Prayer For Love And Peace)”といった曲を聴きましょう。日本の伝統な心が含まれているように感じます。独特の雰囲気があります。これは外国人である僕にとって、日本の心の一部がそのトラックに練りこまれているように感じるのです。

 それこそが私にとってとても魅力的に思えたところです。そここそがジャパニーズ・ディープ・ハウス・シーンの面白いところなのです。アメリカの音を真似てはいるけれど、真似るだけではない、ちゃんと自分のVibeも練り込まれている。やっぱ違うんです。ジャパニーズ・ハウスになっているんです。
 もうひとつ面白いところを挙げます。どういう理由からか、そうした多くのプロダクションが日本の外に出なかったという事実です。ジャパニーズ・ハウスは、長いあいだ国内にとどまっていたんです。
 ヨーロッパでもアメリカの音からインスパイアされて、曲を作っている人は当然少なくないですよね。Laurent Garnier、Grant Nelson、Bob Sinclar……、イタリのUMMとか。ただしヨーロッパの場合、そのアーティストが世界中に普及していった。
 日本のプロダクションの出来がよくない? いや、全然そんなことはないです。実は、逆にレベルが高かったんです! しかし、誰も注意を払わなかっただけ、というのが僕の結論なのであります。
 さらに僕がびっくりしたのは、ジャパニーズ・ハウスに注意していなかったのは外国だけではなくて、国内のクラブ音楽が好きな人たちからも無視されていたというか、気づかれていなかったということ。みんな当時の人気アメリカDJに夢中で、自分の国でもクオリティの高いディープ・ハウスがあるということに気づいていなかったのかもしれませんね。
 本当に、本当にみなさんにもっと自分の国のハウス・シーンの素晴らしさを知って欲しい! 誇りを持って欲しい! 僕がこの原稿を書いた理由はそれだけです。


FORGOTTEN JAPANESE HOUSE TOP 10

1 Flipper’s Guitar - Big Bad Bingo (Big bad Disco)
1990 (Yukihiro Fukutomi)
激レアプロモ版に乗っている14分のマスターピース

2 Pizzicato Five - Catchy (Voltage Unlimited Catchy)
1993 (Tei Towa)
ディープやダークの最強の組み合わせ。

3 Soichi Terada & Shinichiro Yokota - Shake yours
1991
なぜか聞くと懐かしくなる、ディープな1曲

4 Manabu Nagayama & Soichi Terada - Low Tension
1991
強いベースがあるのに、非常にディープ。寺田さんの音を定義する1曲。

5 Yukihiro Fukutomi - It's about time
1994
完璧なクラブ向けジャパニーズ・ハウス。ディープなキーズで旅をさせてくれる。

6 Wono & GWM - Breezin' part 1
1996 (Satoru Wono & Takecha)
ゲームBGMっぽいとても陽気、すっごく気持ちのいいハウス曲です!

7 Kyoko Koizumi - Process (Dub’s Dub)
1991 (Dub Master X)
シカゴ・ハウスっぽいとてもBouncyな小泉さんのハウスリミックス。

8 Pizzicato Five - 東京は夜の七時 The night is still young; One year after
1994 (Yukihiro Fukutomi)
原曲とても好きだったが、この福富さんによるミックスは最高です。最後の3分間はディープな旅に出る。

9 Toshihiko Mori - I got Fun
1991
Jazzadelicの半分であった森さんによる最強のNYディープ・ハウスっぽい曲。もうちょっとランキングあげればよかったこれ……

10 Katsumi Hidano - Thank you Larry
1993
Larry Levanへの感謝の言葉ですが、音的にLarryっぽくなくてNU GROOVEに近いNYディープ・ハウス系の気持ちいい曲。

LAMPGOD, **Ł_RD//$M$ - ele-king

 先週の金曜日、渋谷のハイブリッドな放送局、2.5Dから放送されたプログラム「10代からのエレキング!」の記念すべき第一回目、「いまさらきけないSEAPUNK & Vaporwave」はご覧になられましたでしょうか? 僕はといえば、おおいに楽しませてもらいました。とても興味深い内容だったと思います。
 さて。ヴェイパーウェイヴを巡る対話のなかで、登壇者の竹内正太郎はこのような趣旨のことを言っていました。いわく、ヴェイパーウェイヴはレア・グルーヴを反転させたものだ。レア・グルーヴは忘れられた良い音楽を復活させたが、ヴェイパーウェイヴは忘れられるべくして忘れられた音楽に再び息を吹き込んだ……。
 今回はもしかしたら、その両者にまたがるような作品、かもしれません。

 〈ブートレッグ・テープス〉。ブルックリンで共同生活を営んでいるらしい連中によって今年発足されたバンドキャンプ・レーベル。既に3作のアルバムと1つのDJミックス作品を、MP3+ヴィデオテープ+カセットテープなどの変則的な形式(いまやそれは変則的でもなんでもないのかもしれない)でリリースしている。
 レーベル名としてはふざけているとしか言いようがないこの〈ブートレッグ・テープス〉という名前は、いたって真剣に名付けられたものかもしれないと考えることもできるだろう。それは、この疑問符に包まれたレーベルが発しているとっちらかった音を聴けば、あるいは彼らがアップロードしている猥雑なヴィデオの数々を視聴すればわかるだろう。なぜならここにあるのは剽窃による創作行為だからだ。〈ブートレッグ・テープス〉の作品はカットアップ、コラージュ、サンプリング、そしてチョップト・アンド・スクリュードによって生み出されている。そしてもちろんこのファースト・リリースも例外ではない。

 ヴィデオテープ+カセットテープでリリースされた、LAMPGODとŁ_RD//$M$の共作によるビート・テープ、『??LAMPGOD??**Ł_RD//$M$??**$$EXT8PE??』(あるいは単に『**$$EXT8PE』)は、主にリズム・アンド・ブルースや80年代までのソウル・ミュージック、ファンク、ヒップホップ、もちろんフュージョン、そしてサウンドトラックやテレビ・プログラムのBGMらしきものからの痙攣したコピー/カット/ペースト/チョップ/スクリュー/ループで構築されている。YouTubeからリッピングされたかのような劣悪な音質とテープに起因するヒス・ノイズに彩られたこのショート・ループ中心のビート集は、J・ディラの『ドーナッツ』のディストピア・ヴァージョンだと言ってもいい。しかし、LAMPGODとŁ_RD//$M$はディストピアの世界で笑っている、というよりも、ウィードを深く吸い込みながらポルノ・ヴィデオを観てニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている(それはもしかしたら、ワンオウトリックス・ポイント・ネヴァーのディストピックなヴィデオに近しいものがあるかもしれない)。

 彼らの手つきは明らかにヒップホップのそれだ。とはいっても、このテープにはヴェイパーウェイヴ("**NUBED$$HEET$$??"、 "**BLACKONBLACK??"、 "**LINGERIEaNdICICLE??"、 "**CHEERLEADER_BJ??")とその先を夢見たフューチャー・ファンク("**BABY$$ITTERGET$$CaUGHT??"、 "**INBLOOOM??"、 "**HI$$$$I$$TER??")らしきものも含まれている。つまりこれはヴェイパーウェイヴ以降のヒップホップだ――などと言ったらそれは言い過ぎかもしれない。
 ヴェイパーウェイヴがフラットなカオスの広がる液晶画面の向こう側をまさぐって拾い上げた音楽を気味悪く無機的な清潔感でもってアイロニカルに提出していたとすれば、翻ってフューチャー・ファンクはヴェイパーウェイヴの漂白された清潔感はそのままに、液晶画面の向こう側からなんとかして身体性を引き摺り出し、それをハウス・ミュージックに結びつけて提示している、と言える(「フューチャー・ファンク」という新タームについては、「フューチャー・ファンクズ・ファイネスト」と題された『KEATS//COLLECTIVE Vol. 4』を聞いてほしい)。
 対してLAMPGODとŁ_RD//$M$の試み、ないし〈ブートレッグ・テープス〉の冒険は、その両者とも違う感覚を携えている。すなわち、液晶画面の向こう側のスクラップの山と、現実のゴミ処理場かバーゲンセールのワゴンから引き上げてきた大量のスクラップ・ヴィデオの山との両方を引っ掻き回し、ディグり、そしてそこから取り出したものを切り貼りし、ブロック・ノイズやヴィデオの砂嵐などに因るザラッとした物質性を強調しながらビートへと落とし込む作業――それはもちろん、オールド・スクール・ヒップホップから連綿と受け継がれるサンプリングという技法に他ならない。だが、『**$$EXT8PE』の脱臼したコピペ感覚は実験的な色彩が強い。

 さらに言えば、この『セックステープ』と題された作品は『ドーナッツ』同様に官能的な響きを持っている。ソウルフルなヴォーカルのサンプリングは官能的に訴えかけ、短いフレーズの執拗な反復はセックスの暗喩にも聞こえる。しかしながら『**$$EXT8PE』の官能は、デジタルなスカムとヒス・ノイズとで奇妙に薄汚れている。ポルノやスケート・ヴィデオ、『ロボコップ』、『燃えよウータン』などをめちゃくちゃに切り貼りした猥雑極まるヴィデオや、ポルノ・ヴィデオ・サイトに氾濫するタグめいた曲名(“アジアン・マスターベーション”、“ナイス・セックス”、“ウェブカム・ティーン”、“クリームパイ”、“ヴァージン・ブッカケ”……)など、そこかしこに過剰で直截的なセックスの表象が埋め込まれている。

 邪推をすれば〈ブートレッグ・テープス〉は、2012年にヴェイパーウェイヴが意図的に葬り去った身体感覚を、液晶画面の向こう側ではなく手前にある肉を、ヒップホップという手法とノイズにまみれた自作の磁気テープの物質性でもって取り戻そうとしている、かもしれない。ともあれ、そんなことを抜きにしてもこのカレイドスコピックに移ろっていく官能的で奇妙なビートの反復は、とてつもなく魅力的でユニークで、かつどうしようもないほどに現代的だ。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026