「Atak」と一致するもの

New Years Eve Party - ele-king

 年末年始といえばパーティ。都内のいろんな会場では気合いのはいりまくったイヴェントがあるようです。みなさんは2012年をどこで迎えますか? ハシゴする強者もいますよね。リキッドルーム→恵比寿ガーデンホール→明治神宮で初詣というタフな年末年始は若さの特権ですよ。ぜひ、挑戦しましょう。
 以下、恵比寿リキッドルーム、リキッドロフト、そして恵比寿ガーデンホールの年末年始パーティを紹介します。ほかにも渋谷のヴィジョンではデリック・メイ+ジェフ・ミルズなんていう贅沢なパーティもあります。
 迷う必要はありません。自分がいまもっとも好きな音楽が聴けそうな場所に行くべきです。それが最高の年明けです。


■liquidroom presents 2012LIQUID

 東京のカウントダウン・パーティは数あれど、ここまで徹底的に日常から遠く離れたところまで続いて行くパーティはない。そう断言してしまおう。これはカウントダウンにかこつけて開催される"ショーケース・コンサート"ではない。100%混じりっけなしの、1年で特別な日を遊び尽くすための"パーティ"だ。
 大晦日の夜から、その年の初めての太陽が完全にその姿を消す頃までテクノの重いキックがリキッドルームのメインフロアには降り下ろされ続ける。巨大モニターには、宇川直宏をはじめとするVJたちによる映像がスパイスのように明滅する。カウントダウンは前後はもちろん、その年はじめての太陽がしっかりと顔を出す時間になっても、他のダンスフロアを閉め出された遊び足らない人々、もしくはこれから参戦する人々が、初詣へ行く人々をすり抜けてゾンビのように集まってくる。気合いの入ったパーティ・ピープルたちは自分の限界を試すかのように終着地として遊び続ける。試しに通常のパーティが終わるぐらいの明け方に家に帰り、少々の睡眠を取って午後にもう一度来てみるとイイ。おそらく、まだまだパーティは終わることなど微塵も感じさせずに続いているはずだ。もう、新年を祝うのか、どこでなにをしているのかよくわからない、そこまでくると、年をまたいだ狂乱のカウントダウンもはるか昔のことのように思える。もはやそこに日常はない。フロアには、どん欲にその場を楽しもうとする膨大なエネルギーが渦巻いている。それを作り出すテクノのビート。そして2FのLIQUID LOFTでは、今年も宇川直宏のdommuneが仕切る、東京のクラブ・シーンのオールスターたちのプレイも聴くことできるはずだ。もう、どうしようもない。クレイジーにも程がある。
 ほぼまる1日にわたる祝祭のメインフロアを司るのは、石野卓球、田中フミヤ、DJ NOBUのたった3人。さまざまな豪華ゲストが1時間前後で入れ替わり出演するカウントダウン・パーティが主流のなかで、ロングプレイを中心とするこのスタイルは、昨年からDJ NOBUが加わった以外は、新宿歌舞伎町時代の後半から10年以上も続けられている。彼らのプレイは1ヶ月か2ヶ月、東京で過ごせばいつでも聴けるDJたちだ。しかし、ひとびとその場所で鳴らされる彼らのDJを求めて集まってくる。それだけこのパーティは特別で、ある意味で儀式めいた魅力を放っているとも言える。そこに行けば、毎年のように、なぜここまで人を吸い寄せる、ここまでの狂った宴が繰り返されるのかわかるはずだ。(河村祐介)

featuring Artists
Takkyu Ishino
Fumiya Tanaka
DJ NOBU (FUTURE TERROR)

VJ:
DOMMUNE VIDEO SYNDICATE
[宇川直宏+KRAK+DVIDEGIRLS+AKIYOSHI MISHIMA+HEART BOMB]

■LIQUID LOFT x DOMMUNE presents
「HOUSE OF LIQUIDOMMUNE 2012!!!!!!!20HOURS!!!!!!!」
C:O:U:N:T:D:O:W:N & C:O:U:N:T:U:P Special !!!!!!!!!!!!
(※配信はありません)

featuring Artists:
MOODMAN (GODFATHER)
砂原良徳
DJ WADA (Co-Fusion)
NORI (GALLERY)
川辺ヒロシ (TOKYO No.1 SOUL SET)
DJ TASAKA
A.Mochi (Figure)
瀧見憲司 (CRUE-L)
KURUSU (FUTURE TERROR)
HARUKA (FUTURE TERROR)
DJ YAZI (THINKTANK)
TWIN PEAKS
KURI (BLACKFOREST)
RYOSUKE
KABUTO
Shhhhh (NRBKJ / SUNHOUSE)
KEIHIN (ALMADELLA)
COS/MES
根本敬
agraph[※LIVE]
LUVRAW & BTB[※LIVE]
サイプレス上野とロベルト吉野[※LIVE]

SOUND SYSTEM:
DOMMUNE天変地異ZOUNDSYSTEM!!!!!

HOST:
宇川直宏 & DOMMUNE Crew

2011.12.31 - 2012.1.1
at LIQUIDROOM
access→https://www.liquidroom.net/access/
open/start 21:00 *2F LIQUID LOFT start 23:00
door only 4,000yen *2012.1.1 AM5:00~→2,000yen!!

LIQUIDROOM 03-5464-0800
https://www.liquidroom.net/
https://www.liquidroom.net/schedule/liquidloft/
Twitter @LIQUIDROOM
DOMMUNE
https://www.dommune.com/
twitter @DOMMUNE


■ELECTRONIC TRIBE YEBISU NEW YEAR'S PARTY 2012
supported by MONSTER

fearuring
FRANCOIS K. (WAVE MUSIC/DEEP SPACE/USA)
DJ KENTARO (Ninja Tune/JPN)
Y.SUNAHARA (JPN)
RSD a.k.a. ROB SMITH (Smith & Mighty/UK)
ATAK Dance Hall (Keiichiro Shibuya + evala/JPN)
NICK THE RECORD (Life Force/UK)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill/JPN)
RIGHTEOUS (Yabe Tadashi & DJ Quietstorm/JPN)
aus (flau/JPN)
TOWA TEI (JPN)
VJ: SO IN THE CLOUD (JPN)、100LDK (JPN)、LIKI (JPN,HKG)

2011.12.31(Sat) - 2012.01.01(Sun) ALL NIGHT
OPEN 20:30 / START 21:00

YEBISU THE GARDEN HALL/ROOM
東京都目黒区三田1-13-2

¥5,800 (前売券)
¥7,000 (当日券)
¥26,500 (グループ券5枚組セット/枚数限定)※
¥48,000 (グループ券10枚組セット/枚数限定)※
※グループ券はclubberia Online Store限定取扱

https://www.electronic-tribe.com

 今週末はどこのクラブに行けば良いのか迷っている人たち、「新しいダンス・ミュージックで踊りたい」と思っている人たちにはこのパーティを推薦しよう。ロンドンの〈ナイト・スラッグス〉(UKガラージ経由のさらなるダンス・ミュージックへの冒険)レーベルから作品を出しているキングダムが来日する!



2011.3.4 FRI
MISHKA TOKYO 1st ANNIVERSARY PARTY with KINGDOM (Night Slugs)
at module

OPEN: 23:00
ENTRANCE FEE: 2500yen-1d(with flyer) / 3000yen-1d(door)
先着100名様にMISHKA特製ステッカーをプレゼント!!

[B2F]
Kingdom (Fools Gold / Night Slugs / from New York)
DJ KYOKO (Roc Trax)
POL x NARG (Laguna Bass / Numbers)
Eccy x BROKEN HAZE (Slye / Raid System)
FYS aka BINGO (Height)

[MC]
Mr. Tikini (Spexsavers)

[B1F]
Dj Ken-ske
Yanatake
Dj Toyo
Shinya
JE$$ROTULL
NOTE

Hosted by Greg Rivera & Mikhail Bortnik (Mishka NYC)

MISHKA TOKYOの1周年記念パーティ開催! Mikhail Bortnik とGregory Rivera、2人のデザイナーが2003年にブルックリンでスタートさせ現在、人気上昇中のストリート系ファッションブランドである"MISHKA"。ニューヨークでの人気も非常に高く、日本でもその人気と価値を確かなものとしているMISHKAの東京店がこの春で1周年を迎えます。ダブステップ以降のベースミュージックを軸に貪欲に音楽性を拡張し続けるレーベル〈Night Slugs〉 〈Fools Gold〉からのリリースが高い評価を得ているKINGDOMが、1周年を祝うべくMISHKAと同郷ブルックリンより来日! DJ KYOKO、ECCY、POL STYLEなどアンダーグラウンドな音楽を積極的にサポートするMISHKAらしい布陣でお届けします。

■KINGDOM (Night Slugs / Fools Gold)
ニューヨークはブルックリンをベースに活躍するプロデューサー/DJ。2006年のファーストミックステープのリリースで話題を集め、Diploや BBCのAnnie MacなどのDJに取り上げられる。L-Vis&Bok Bokの[NIGHT SLUGS]、A-Trakの[FOOLS GOLD]からリリースされたデビューEP「Mind Reader」は、最近のアメリカ発の作品の中でも最も注目すべき作品と言える。また、彼のトレードマークでもある、R&Bボーカルをサンプリングしたプロダクション・スタイルは、"ブルックリンとUKガラージ・サウンドの融合" とも評され、そのヘビーなベース、熟練したダンスサウンドは、"The Fader" や "XLR8R" などの雑誌、ブログ界のトレンドセッター "Pitchfork" や"Discobelle" などからも高い評価を得ている。
https://kkingdomm.com

Flashback 2009 - ele-king

 手許にある音楽雑誌をパラパラめくる。音楽評論家やライターたちがこんなふうにつぶやく。――音楽が生成し浸透する現場に足を運ばなければ、なにもわからない/いろいろなパーティやライヴに足を運べ/PCでYouTubeとかマイスペースだけ見てわかった気になってしまうのはとても危険だ――や、てことはみごとにぼくは危険なんだな。

 10年くらい前まではたぶんぼくもその音楽評論家と同じような意見を持っていたのかもしれません。アグレッシヴに聴いていた時代があったのです。でも、ここ数年は特に新しい音楽シーン(というものがあれば)とはあまり縁のない世界に席を追いていたおかげで、すっかり世情に疎いアラフィフになってしまったのはまぎれもない事実なのです。だって『スヌーザー』見ても『ロッキング・オン』読んでも『クロスビート』眺めても、さっぱりわからない名前やジャンルばかりになっているじゃないか。

 俺は「グライム」ってわかりません。「ダブステップ」もよく知りません。つか、「エレクトロニカ」って何?ってこないだ奥さんに聞かれたんですけどよくわからないって答えておきました。だって説明できないのです。たとえばそのジャンルで代表的なアーティストは誰?って聞かれても閃かないのですよ。つか、俺って今なにを聴いてるんだろうと自問してしまうくらい、実はなにも考えずに音楽を聴いていたことに最近気づきました。

 でも、ここ1、2年はそれでも数年前に比べたらいいほうだと思うのです。少しは意識的に聴くようになってきたし、誰それが「これがいい」と親切に教えてくれたもののうち、多少は自分でそれを探して聴くということをするようになってきました。

 ......うーん、自分でも情けないね。こんなことを書いてる自分が情けない。だけど事実だからしかたがありません。そんな自分が選んだアルバム20枚(シングルははっきり言いますけど2009年は10枚買ってません......ですのでセレクションは当然割愛せざるをえませんでした)ですが、そういうわけでなにか指標があって選んだものではなく、結局2009年に聴いてフィットした20枚のセレクションなのです。だから、この文のお題目である「2009年を振り返って」と言われても、たぶん編集部が要求しているであろう内容はまったく書けない。だからこんな、自己憐憫みたいな文章をだらだらと綴っている次第なのです。

 よって、ここに選んだアルバム20枚というのは、なんの脈絡もない、単なる自分のコレクションのなかから今年気に入って聴いていたもの(=iPodに入っている率が高かったもの)を選んだだけなのです。まあしかし、それでもele-kingの読者で、ぼくの昔のことを知っている人なら(名前は違いましたけどね)、あのころからあまり趣向が変わっていないことを感じてもらえるかもしれません。結果として、サイケデリックで暗いんだけど、その中に一筋の光が見えるようなアルバムばかりがやはり自分の中で残ってきてるなあと感じています。

 ちなみにベスト20はほとんど順不同。ただしヨ・ラ・テンゴ(特に後半3曲のアンビエント・シンフォニー!)は圧巻でダントツ。その次が渋谷慶一郎といろのみのアルバムで、どちらも生ピアノの音を生かした沁みる内容で、相当な時間をともに過ごしました。感謝します。

■Top 20 Albums of 2009 by Shiro Kunieda

Yo La Tengo / Popular Songs(Matador / Hostess)
Keiichiro Shibuya / for maria(Atak)
いろのみ / ubusuna(涼音堂茶舗)
Kaito / Trust(Kompact)
Moritz von Oswald Trio / Vertical Ascent(Honest Jon/ P-Vine)
Andrew Weatherall / A Pox On The Pioneers(Rotters Golf Club / Beat)
David Sylvian/ Manafon( Samadhisound / P-Vine)
The Field / Yesterday and Today(Kompact)
Atlas Sound/ Logos(Kranky / Hostess)
Gong / 2032(Wakyo)
Jebski & Yogurt / Jebski &Yogurt(Rose)
ASA-CHANG & 巡礼 / 影の無いヒト(Comonds)
The Orb / Baghdad Batteries(Third Ear)
Simian Mobile Disco/Temporary Preasure(Wichita / Hostess)
Prefab Sprout / Let's Change The World With Music(Kitchenware)
Animal Collective / Merriweather Post Pavilion(Domino / Hostess)
Devendra Banhart / What Will We Be(Warner Bros.)
Mum / Sing Along to Songs...(Morr Music / Hostess)
Jackie-O-Motherfucker / Ballad of the Revolution(Fire)
Tim Hecker / An Imaginary Country(Kranky)
Tyondai Braxton / Central Market(Warp / Beat)

渋谷慶一郎 - ele-king

 近しい人の死をきっかけに作られた音楽は古今枚挙に暇がない。フォーレの"レクイエム"は、自身の母親の死をきっかけに作られたが、直接的に死者を悼むための音楽であるそうしたレクイエムのような作品ではなくても、たとえば後期ロマン派の作曲家ブルックナーの交響曲第7番の第2楽章の終結部のように、崇拝する師(楽劇の創始者R.ワーグナー)逝去の知らせを受け(あるいは、その予感を持って)、新たに慟哭のようなコラール楽段を付け加えたものもある(このコラールは、1994年にドイツのテクノ・ユニット、サン・エレクトリックがコペンハーゲンで行なったライヴの実況録音盤において、エレクトロニクスの海とみごとな融合を果たしている)。

 こうした曲は、例外なく「美しい」。それはもちろん、作曲に導く動機ゆえということもあるだろう。その動機から、醜くひき歪んだ創造物を作り出すということはまず考えにくいからだ。たとえ「美しさ」という概念にひとそれぞれ違いがあったとしても、おそらくそのほとんどは普遍的な観念に回収されるものである。

 この渋谷慶一郎(東京藝術大学作曲家卒・2002年よりレコード・レーベル「ATAK」主宰)による初のソロ・ピアノ作品集「for maria」は、彼の奥様であるマリアさんの死が直接的、あるいは間接的な契機となって作られたアルバムであるという。なるほど、それならば、これまでに渋谷が作り出してきたエレクトロニックな音楽にくらべて、よりわかりやすい美しさを持った音楽になっていることには納得がいく。

 が、しかし、おそらく渋谷はこんなセンチメンタリズムめいたことばでアルバムをジャッジされることを好まないだろう。それはなぜなら、このアルバムの美しさは、単に美しいという言葉だけではすまされない、これまでに感じたことのない「凄み」があるからだ。

 この「凄み」を感じる最初の要因は、ここで聴かれる音そのものの「凄み」でもある。最初の1音が鳴った瞬間から、これは違う、と感じさせる鳴りがある。鳴り、というか、ピアノの音がホログラフィックな体裁を持って立ち現れる。聞けば、本作は本来スーパーオーディオCDのための技術として開発されたDSD(Direct Stream Digital)でレコーディングされているという(エンジニアは名手オノ・セイゲン)。確かにこれはまさにCDの44.1kHZ/16bitをはるかに超える再現性を持つDSDならではの空気感の再生音だ。場の空気感の再現こそがDSDの真骨頂であるとぼくは思っているのだが、しかし驚かされるのはその空気感が、いくとおりもの質感を持って再現されること。もともと渋谷は音色でもって世界観をドラスティックに強制変換するタイプの音楽家であったと思うが、ここでは音が放射される空間の質感がその出音(これもまたすばらしく変化に富んだ音色がすばらしい。ベーゼンドルファーの銘器とのこと)によってさまざまに変化してゆくことによって、渋谷のそうした特質がいっそう強調されている。われわれはその「美しさ」のみに耽溺することなく、クールな感情を持ってその成り行きを見つめることができる。ここには慟哭や歎きのメロディはない。メロディとか和声といった音楽要素を超えて、それを形作るあらゆるエレメンツがひとつになって聴き手の心に届くとき、印象はその都度更新される。よってこの音楽は、永遠に古びることがないのだ。

  1 2 3 4 5 6