「DOWN NORTH CAMP」と一致するもの

Fla$hBackS - ele-king

REFUGEE MARKETの空気感 文:巻紗葉 a.k.a. KEY

Fla$hBackS
FL$8KS

FL$Nation & Cracks Brothers.Co,Ltd

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 わたしがFebb a.k.a. Young Masonの存在を知ったのは、確か2年前に池袋bedで行われたREFUGEE MARKETだった。中は相変わらずの盛況ぶりで人ごみが苦手なわたしは友人とともに、入口の前でおしゃべりをしていた。そのとき、Febbというまだ非常に若いがラップもトラックも作る少年がいるということを教えてもらった。じつはそのときにKID FRESINOの話も聞いていたが、友人は彼を本名の名字で読んでいたため、つい最近までその人物がKID FRESINOであるということを知らなかった。

 日本においては縮小の一途を辿るヒップホップ業界だが、まだ20歳にも満たない少年たちがトラックメイキングやラップをしているという事実が単純に面白かったので、彼らの存在はずっと頭の片隅に残っていた。そして昨年が終わろうとしている頃、FebbがjjjとKID FRESINOとともにFla$hBackSというグループを結成し、『FL$8KS』というアルバムをリリースするということで早速音源を入手した。一聴してなるほど、わたしが彼らの存在をどこでもないREFUGEE MARKETで知ったのはある種の必然であったんだな、と気付いた。ソウルフルなネタ使いをベースにゆったりとした横揺れの"Fla$hBackS"や、ブラックスプロイテーションを想起させるファンキーな"2014"など、そこから感じさせられるのは前述のREFUGEE MARKETの空気感だった。もっと言えば、ISSUGI、Mr.PUG、仙人掌、16FlipからなるMONJUなのだ。もちろん彼らがMONJUの猿真似であるということではなく、Fla$hBackSはDOWN NORTH CAMPのクルーがREFUGEE MARKETという現場を通じて行ってきた良質なヒップホップの根を絶やさない活動から産まれたひとつの成果であるということだ。

 アメリカン・ハードロックを思わせるギター・ソロをユニークな感覚で切り取り、アッパーなブラック・ミュージックに組み替えてしまった"Cowboy"(タイトルも人を舐めているような不敵さがあっていい)などから感じさせるセンスは、彼らがただフレッシュであるだけで注目されているわけではないことの証明だろう。

 ただひとつだけ苦言を述べるのであれば、それはパンチラインの少なさかもしれない。このアルバムを象徴するような力強いワンパンチがあれば、この作品の価値はさらに上がったことだろう。しかしそれも彼らの年齢を考えれば、まだまだ心配するようなことでもない気もするが。本作とISSUGIの大傑作アルバム『EARR』と聴き比べるのも面白いかもしれない。


文:巻紗葉 a.k.a. KEY

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ラップの根源的な快楽へ 文:中里 友

Fla$hBackS
FL$8KS

FL$Nation & Cracks Brothers.Co,Ltd

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 ミックステープ『1999』がブレイク・ポイントとなったJoey Bada$$をはじめ、彼が率いるPRO ERAのクルー、Schoolboy QやKendrick Lamarも所属するBlack Hippy、〈Brainfeeder〉と契約を果たし、ミクステ『Indigoism』も好評のThe Underachiever、それにFlatbush Zombies、レイダー・クラン......ジャンル内で多様化が進むなか、いま列記した連中の作る曲は質感としては粗野で生々しく、つんのめった初期衝動的な高揚感がある。それが「90年代的」と評されるのも納得いく話だと思う。こうした90年代をリヴァイヴァルせんとする機運を多くの人が感じているとは思うが、トレンドというよりむしろ、90年代に幼年を過ごした少年たちがロールモデルに選んだのが、若かりし頃のNasであり、2Pacであるかのような、そういった印象を受ける。サウンドをとってみれば、ここ日本でも同様の現象は起きている。

 2月にリリースされたライムスターの最新作『ダーティー・サイエンス』は、DJ JIN曰くジェレマイア・ジェミーのサウンドに影響を受けたという。そこから、80年後期~90年代前半のハードなローファイ・サウンドのトラックに対比して、よりアップデートした「いま」のラップを乗せるというアルバムのコンセプトが生まれたのだが、イリシット・ツボイの貢献により、よりカオティックで荒々しい印象を持たせることに成功している。去年からOMSBやsoakubeatsの作品など、示し合せたようにラフで攻撃的なラップものが続くなか、ようやくのフィジカル・リリースを果たしたFla$hBackSは少し趣きが違っていた。腰を落ち着けたリズムをとりながら、ひたすらクールで散文的にカットアップされたリリック、それに煌びやかなトラック......瑞々しい若さによって彼らは別の道筋で90年代を再解釈、アップデートしてみせた。コンセプチュアルで計算された作品のなか、息せき切ったような早いBPMで、言葉にエモーションを込めるライムスターとは、まるで対照的だった。

 そういえば、「90年代生まれによる90年代再解釈の......」と野田努が評する通り、いつかクラブで会ったとき、Febbは、1994年生まれの彼は90年代の音楽に対する憧憬をはっきりと語ってくれた。TETRAD THE GANG OF FOURのメンバーであるSPERBと共にCrack Brothersなる不定ユニットでも活動する彼は、16歳でGOLD FINGER'S KITCHENのMPC BATTLEの本戦でベスト4へすすむトラック・センスを持つ。しかし、個人的にはなんといっても、彼のラップを素晴らしいと思う。Crack Brothersの音源の他、Black SwanコンピやBCDMGでの客演でも彼のラップが聴けるので、興味がある方は是非チェックしてほしい。どっしりと胴を据えながら、B.D.やNIPPSのように、ゴロ合わせのようにはめていくラップ。それはときに連想ゲームのようにイマジネーティヴな単語の連なりであったり、ときには刺激的なパンチラインとしてするりと耳に入ってくる。そうした(勿論痛快でカッコいい)ラップが、ともすれば「ドープ」だとか「玄人好み」という言葉に回収されてしまいそうになってしまうところを、より開かれた音楽としてメロウに、そして時にロマンチックでフレッシュなものにしているのは、Fla$hBackSの音楽性の形成に大きく寄与したjjjのトラックのおかげだろう。声ネタを多用したソウルフルで華やかな上モノ、緩急入れた力強いビートはインスト物として聴いても十分に楽しめるほど。彼の作品集『ggg』はもちろん、個性派ラッパーとしていま注目のあべともなりに提供している楽曲"ヨルナンデス"は、彼の独特のタイム感や野性的な一面をうまく引き出した素晴らしいトラック・ワークだ。そしてFla$hBackS第3の男、KID FRESINOもトラック・メイキングとDJの他に、ラップをはじめたということで(アルバムが早くも4月3日に〈Down North Camp〉からリリース予定)、Fla$hBackS本隊にどんな作用が起きるか、いまから楽しみでしかたない。

 そして、もうひとつ。Fla$hBackSを聴いてヤラれてしまったポイントがある。それは歌詞の合間、もしくはイントロ・アウトロに挿入される相づちや掛け声、シャウトアウトなど、おそらくは彼らのリリック・ノートにも記されていない言葉のカッコよさだ。人によっては拍を取ったり、ラップを入れる前のチューニング感覚に近い。
 もっと言うとそれは、単なる「ノリ」で発せられることが大きいのだけれど、なんといっても、その「ノリ」がとても重要だ。何故なら、自然と発せられたそうした言葉こそが、何より彼らの特別なセンスを表すものでもある。相方がラップしている
 裏で、好きにスピットする言葉が曲に躍動感を吹き込み、新たな情報を加える。決して雑な印象はなく、むしろそれが聴いていて、とても気持ち良いのだ。Febbが時折入れる「A-ha」はとてもチャーミングだし、jjjの名前ひとつとっても、音が楽しい。何を言っているかはさして重要ではなく、彼らが発せざるを得なかった言葉が持つ響きが、ジャストなスパイスとして効いている。

 Down North CampやBlack Smokerの関連諸作等々、歌詞カードを掲載しないアーティストたちに共通しているのは、言葉の持つ意味性に囚われすぎず、音として純粋に楽しんでほしいという気持ちの表れであることは明らかだ。だがそれ以上に、彼らが純粋培養し、大切にしてきた仲間内の独特のノリを感じとってほしいがためなのかもしれない。総じてゆるいBPMであることも、個々の自由なノリを重視すればこそだと思えば、合点がいく。もしかしたら、彼らは90年代なものに回帰しているのではなくて、ラップをすることの、ヒップホップをやることの、根源的な快楽へと立ち返っているのかもしれない。付け加えていうなら、それは遊び心溢れる実験性への道でもあるはずだ。いま、何度かの最盛期を迎えているこの音楽が、また新たなステージに向かっているように感じられてならない。


文:中里 友

ISSUGI from MONJU - ele-king

 ここ数年のヒップホップで僕が衝撃を受けたひとつは、いまさらながらDJスクリューだった。ヒューストンのこのDJは2000年に他界しているので、正確に言えばDJスクリュー再評価とその影響力に心奪われるものがあったということだ。気になったのは、どろっとスローにミキシング(エディット)する手法的なことだけではない。その独特の音響は、リスナーにある種のイメージ、ある種の感覚を誘発する。それは、いわゆるハキハキとした前向きさとはほど遠い感覚だ。どうにもこうにもならない。カフカの『城』に登場する測量士のKのようだ。つまり、いつまでたっても城には辿り着けない。いや、Kと違うのは、辿り着こうとしていないことだ。そして、Kのように、辿り着かなくてもその過程には、さまざまな出来事が起こりうる。

 辿り着けなさという点において近しい感覚を、いよいよ台風の目になりつつあるDOWN NORTH CAMPのひとり、ISSUGI(MONJU/SICK TEAM)の、ISSUGI名義でのセカンド・アルバム『EARR』からも感じる。2009年にリリースされた最初のソロ・アルバム『Thursday』のアートワークにある彼のスケボーが暗示するように、動きはあって、場面はいろいろ変われども、『EARR』にも目指すべき「城」がない。城には向かわず、そこに向かわずして過ごしていることのほうが重要なのだ。そのことは、彼のCDにリリック・シートがないこととも関係しているように思える。シャイというよりも、本能的に、リリックから啓発的な意味を見いだそうとする行為を拒んでいるのだろう。

 全15曲、計33分の男前のフロウが詰まった1枚、『EARR』には、ソウル、ルーツ・レゲエ、ジャズ、ほかにも古い録音物の音がサンプリングされ、ルーピングされ、エディットされている。基本ミニマルで、ダブからの影響が注がれ、ときにJディラ風でもあり、ビートは際立っているが、ここにも(ある意味坂本慎太郎的な)反ドラマ的な抑揚のなさがある。S.L.A.C.K.や仙人掌、Mr.PUGも参加しているが、意味よりも音が耳に入ってくるという具合だ。初めて1枚通して聴いたときに覚えた言葉は「ただハイになりたい」というフレーズぐらいで、実際の話、曲そのものが陶酔的だ。要するに、音的に言って、SICK TEAMから引き伸ばされたものが『EARR』にはある。『Thursday』を軽く越えている。
 出だしが良い。レトロなR&Bからクラシックの弦楽器の演奏が交錯し、揺れながら、はじまる。トラックを担当しているのは16FLIP(昨年、アルバム『SMOKYTOWN CALLIN』を発表)、ブダモンク(Budamunk)はキーボードで2曲、パンピーもミックスで参加しているが、すべての音を手がけている16FLIPの貢献は大きい。メロウなソウル・ヴォーカルを華麗にチョップする"GET BLUN"、ビートとラップがリズミックに絡みつく"MANY WAY"といった先行発表の曲をはじめ、"FUTURE LISTNING"の瞑想的なビート、リー・ペリー的な音響の妙技を見せる"EYEWALL"、単調さの美学を貫く"BULLET"、インダスリアル調の"FIVE"、"SHADOW LIKE A MONSTA"のブロークン・ビーツ風の展開も面白い。

 「良い歌だけじゃ満たせない心」と、"ONE ON ONE"というアルバム終盤の力強いビートを持つ曲で、ISSUGIはラップしている。そして、自分が「煙に巻かれた住人」であると言っているが、彼はその「煙に巻かれた」状態を良しとしている。もちろんダブル・ミーニングだ。ひとつは言うまでもないことだが、もうひとつを僕なりに解釈すれば、「良い歌」に表象されるもの、つまり「城」、目指すべき場所、いわゆる世間でいうところの頂点とされるもの、端的に言えば、そうしたものに距離をおいているということだ。むしろそういったものごとに、警戒心が働いているのではないかと思われる。クールである。繰り返すが、彼の出自はバトルMCだ。時代のなかで、目指すべき場所の変化がここにも如実に表れている。one for the money, two for the showは、いまやセピア色である。

 もしも『EARR』のなかに、落ち込んだ人生に勇気を与えてくれると思わせられるような言葉があれば、もっとたくさんの数を売りさばくこともできるのだろう、が、しかし、裏を返せば、城には辿り着けなくてもいいじゃないかと言っているのが『EARR』だ......とSORA君に言ったら「いや、それは違いますよ」とまた言われてしまうのだろうか。コーラを飲みながら。

DOWN NORTH CAMP / REFUGEE MARKET in シモキタ - ele-king

 アーバンとジャンクのいけない好配合、多色迷彩のヴァリエーションで飾るDOWN NORTH CAMPがシモキタに2daysポップアップ出店したREFUGEE MARKET。
 当日の写真とDJのプレイリストのみで構成したイヴェント・レポートをどうぞ。まずは写真を見ながら下にあるプレイリストを楽しんで下さい。

photo by Keita Sakai , and ele-king

photo by DNC(SORA/DJ49/CENJU/KATEETO/K.K.K.K.K./YK_VENOM/CHANGYUU/YAHIKO/and... 順不同)

Refugee market DJ playlist

BUDAMUNK
Redman "Funkorama (Double Green Remix) featuring Erick Sermon"



CHANGYUU
Jackie Mittoo / Ghetto Organ



febb
Barbara Mason/ You did not stay last night



Gatcha
RLP - Kler



GONZ
Jay-Z /Girls, Girls, Girls



K.K.K.K.K.
Dennis Brown / Here I Come



KID FRESINO
Ruc Da Jackel & Challace / I'm good



PUNPEE
Snow world×Guess who's back(mush up)/Gapper×Scarface


MASS-HOLE
L.V./Gangsta's Boogie (Barr 9 Version)



WOLF24
John Holt / Lonely Girl



Yodel
2chainz / I'm different (mighty mi&slugworth trap mix)



49
DOWN NORTH CAMP / ooamp


total coordinate by SORA,CHANGYUU (DNC)
DOGEAR RECORDS https://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com
booking downnorthcamp@gmail.com

 ヒップホップ・フリークにとっては定期的にスケジュール・リストに印されるワードが「REFUGEE MARKET」なんだけど、今回は池袋の地下にて繰り広げてきたソレとは趣きが違うようだ......。
 このイヴェントはDOWN NORTH CAMP(以下DNC)というクルーにおいて“順番と感覚を重んじる男”SORAを中心とした、その仲間たちのオフィシャルな溜まり場が発端となっているようだ。DNCの核となるMONJUメンバーを中心に、それぞれの音楽カルチャーを投影してきたヒップホップ・イヴェントである。SORAたちに会えばわかるけど、彼らの周りは風通しが良く、些細なことがらについてはバリアフリーだったりする。

 そんなDNCの骨子ともいえるような出会いのレイヤーが重なる場所こそが下北沢だったという。平成に生きるわたしたちと昭和を生きた先人たちとでは捉え方が違うかもしれない街・下北沢で、BLACK MARKETならぬREFUGEE MARKETが開催される。
 今回のイヴェントはDJセットこそ組むらしいが、クラブ・イヴェントではなくリアルなマーケットであるらしい。SORAは「おとなのおままごと的なこと」と乱暴に言い放っていた。
 音楽の周囲を衛星的にとりまく諸カルチャーを、どの分量までトッピングできるかがそれぞれの器量だったりサンプリングの妙だったりするわけだけど、彼らに標準装備としてその感覚が備わっていることは、DNCとしてドロップされるアイコンひとつとってみてもわかることだろう。最近ではDNC所属アーティストの作品発表もおびただしく、公開されるPVにて音に違う奥行きをそれぞれが与えていくという点も非常に魅力的である。
 昨今ようやくその断片が見えてきたDNCメンバーそれぞれのバックボーン的なカルチャーの諸相。そこで収集した品々や魂を削って産み出された作品など、生きた血の通った品が多数陳列されるらしい。

 そして今回のイヴェントは2本軸で組まれていて、正式なイヴェント名は「REFUGEE MARKET x ゴローコサカ エキシビジョン アーカイビズ」となっている。ゴローコサカとは誰なのか......SORAからは「こいつの写真はヤバいから! さくっと撮影していたのにその場をうまく切り取って記録している。こいつの写真は新しい目線を与えてくれるんだよね」とこれまた乱暴に語ってくれた。SORAはまわりにいるヤバいヤツを紹介したくてしょうがないたちである。ラッパーの次はフォトグラファーをフックアップしたいらしい。個展なんてやったことないはずなのに......熱意が先である。順番を重んじる男SORAがプロデュースするREFUGEE MARKETは1/13(日)14(祝月) @下北沢 Stardustラウンジ3Fでポップアップ的に開催されるからぜひ行ってみよう!

PS.
SORAはお酒を飲まないので、乾杯の際はソフトドリンクがいいよ!
でも差し入れはアルコールにするとメンバーが喜ぶよ!!

■ゴローコサカ プロフィール
1983年、流しの料理人と田舎の箱入り娘の間に生まれる。
新宿区の団地にて、6畳2間のスペースに5人という家族構成で育つ。
幼児期、ひとりで勝手に家を飛び出し、近所の家のおばあちゃんに土足&正座というスタイルで、お茶やお新香をご馳走になっていたらしい。
時は過ぎ、下北沢のカルチャー・ショップSKARFACEの魅力にとり憑かれ、入り浸り、 一時、屋根裏に寝泊まりする。
SKARFACEでのさまざまな経験と出会いの結果、カメラを手にし、ダウンノースキャンプと遊ぶようになる。
現在、光の射す方に導かれるまま、日々撮影に励んでいる。

■『REFUGEE MARKET x ゴローコサカ エキシビジョン アーカイビズ』
トータルインフォ:DOGEAR RECORDS

https://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com

■SORA twitter:
https://twitter.com/ill_com

 6月はフェスティヴァルの季節のはじまりである。
 第3週目の木曜日はニューヨーク中の路上でいっせいに音楽がプレイされる、メイク・ミュージック・ニューヨーク、ブルックリンのDIY(do-it-yourself)ミュージック・フェスティヴァルのヒル・ストック、もともとL.A.ではじまったDIT(do-it-together)フェスティヴァルのファミリー・フェストが、ブルックリンのブシュウィックのさまざまな会場、家で同時開催され、次の週末は、ウィリアムスバーグのアート好きにいち目おかれるアート・ハード・ウエア・センターのクレストが主催するクレスト・フェスティヴァルなど、まだまだあるが、6月のブルックリンで重要なフェスティヴァルといえば、今回4年目を迎える『L・マガジン』主宰のノースサイド・フェスティヴァル
 これは、「CMJのブルックリン・ヴァージョン」とも言える、音楽、アート、映画、起業家パネルで包まれる8日間だ。350のバンド、30の会場、3つのシアター、45の映画、100のアーティスト、1500の起業家パネル、8万人の参加者を見込むブルックリンのノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)を拠点にする大きなフェスティヴァルである。
 ウィリアムスバーグの一角の壁を乗っ取ってしまうほどのパワーがある、まさにお祭り(フェス)だ。
http://www.brooklynvegan.com/archives/2012/06/northside_festi_5.html

 ブルックリンでバンドをやっているならノースサイドへの出演はひとつのステイタスでもある。理由は、以下の通り。
 
1 『L・マガジン』というブルックリンを拠点とし、さまざまなイヴェントを企画、運営しているマガジン主催のフェスティヴァル。
2 ノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)のローカルはもちろん、アメリカ、世界中の面白いバンドたちをノースサイドがピックアップしているので、新しいバンドをいち早く発見できる。
3 パネルやショーに行って、さまざまな情報も交換ができる。
4 ノースサイド時期に合わせてバンドやプレスがニューヨークにやってくるので、両方にとても都合が良い。



町中がノースサイドのポスターだらけ。

 私は参加できなかったのだが、起業家パネルでは、インディ音楽、映画業界などを引っ張るメンバーが、ビジネス・トピックについて論議を広げる。
http://www.northsidefestival.com/entrepreneurship/panelists
 パネルは朝から夕方までノースサイド・ウエアハウス(ノースサイド・サインのある壁の場所)でおこなわれた。「バンドや会場のためのソーシャル・メディアを使った次世代のマーケティング」、「ブッキングとツアーリングの新しい技術」、「ロイヤルな顧客のつかみかた」、「ラジオとオンライン・ストリーミングをチューンしよう」、「スポンサーとブランドと彼らの新しい場所」、「GZAが語る混乱とブルックリンの精神」などなど興味深いトピックが並んでいる。パネルのあとで観談できるようにバースペースも設置されている。

 出演バンドは、GZA、クール・キース、オブ・モントリオール、オリヴィア・トレマー・コントロール、ジェンズ・レックマン、ビーチ・フォシル、ツイン・シスター、サーマルズなど。
http://www.northsidefestival.com/music/artists
http://www.thelmagazine.com/newyork/the-portraits-of-northside/Content?oid=2240398

 このフェスについて説明を加えるため、ノースサイド・フェスティヴァルのディレクター、ダナ・キースにインタヴューをした。


取材に答えてくれたダナ・キースさん。

2012年ノースサイド・フェスティヴァル、お疲れさまでした。今回のハイライトのエピソードを教えてください。個人的にはどのショーを見たのでしょうか?

ダナ:どうもありがとうございます。カテゴリーごとに答えますね。音楽週間最初の日(6/14)はニッキ・アンド・ザ・ドーヴをグラスランズで見ました。彼らのエネルギーや演奏には度肝を抜かれました。起業家パネルではMTVのネクスト・ムーヴィーのブルーク・ターノフ、トライベッカ・フィルムのマット・スパングラー、ハフィングトン・ポストのクリストファー・ローゼンの「映画批評、キュレーションとソーシャル・メディア時代の発見」が面白かったです。ノースサイド・フィルムではジョー・スワンバーグの「ザ・ゾーン」とレナ・ダンハムの大学映画の「クリエィティヴ・ノンフィクション」はどちらも素晴らしく、映画を作るプロセスについての面白いメタフィルムでした。土曜日の「ウィリアムスバーグ・ウォーク」のアートも美しかったです。

今年で4回目を迎えるノースサイド・フェスティヴァルですが、過去3年と比べて、今回変わった部分はありますか? 

ダナ:今年は、初めて起業家パネルとトレード・ショーを立ち上げました。120人のパネリストが演説をし、25のヴェンダーがトレード・ショーに出店しました。このカンファレンスのために、N5ストリートとケント・アヴェニューにある古いカーペット工場の倉庫を借り、フェスティヴァルの本部にしました。

ノースサイドはブルックリンのノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)で開かれます。4年前にはじまったときと現在では、この地域を比べるとかなりの変化を感じます。この地域の変化をどう思いますか? またこれからも、ここノースサイドを拠点としていくのでしょうか?

ダナ:一般的にブルックリンはアートや文化の「次の何か」の中心地と定義されます。とくにノース・ブルックリンはそれが続くと思います。

私は起業家パネルを見ることはできなかったのですが、リストに興味深いトピックがたくさんありました。ハイライトでもあるGZAはパネルにも音楽にも出演していますが、どんな話をしたのでしょうか? また、印象に残ったパネルなどを教えてください。

ダナ:私たちは2011年のノースサイドのアイディア→ブルックリン・ブリュワリーでの6パネルで起業家パネルのアイディアを開拓しました。コミュニティの興奮と固い結びつきをそこで見て、今年のフェスティヴァルにこの要素を成長させようと努力しました。これがノースサイドの起業家パネルになり、来年も続ける予定です。GZAはミュージック・ホールで2回もプレイし、「バンド対ビジネス-アーティスト/起業家として実現する」というAT&Tのミュージック・ナウ・サミットのパネルでスピーチしてくれました。

私は、オリヴィア・トレマ・コントロール、エターナル・サマー、M.A.K.Uサウンドシステム、ケーキショップ・ショーケーなどを見たのですが、かなりの数なので時間のオーガナイズが難しかったです(笑)。ノースサイドは、どのようにバンドを選んでいるのでしょうか? また、ジャンル別にハッシュタグがついていましたが(http://www.thelmagazine.com/newyork/the-hashtags-of-northside/Content?oid=2236679)、どのように区別しているのでしょうか?

ダナ:ノースサイドは40以上のショーケースのキュレーターとパートナーシップを取り、その年の彼らの好きなバンドをブックし、ウィリアムスバーグやグリーンポイントの会場とこれらのバンドとをマッチさせます。これが私たちがここまで広い音楽ジャンルが作れる理由です。私たちはノースサイドのすべてに関して発見する過程、テイストを作るいち部をショーケース・パートナーに頼っています。

私はノースサイド・フィルムでは『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』、『アバウト・チェリー』、『スチューデント・ショート・フィルム』を見たのですが、映画週間のハイライトは何でしたか? 

ダナ:映画はどれもこれも素晴らしく、ほとんどが売り切れになるほどで、これは、ノースサイドフィルムとして、別枠の4日間を持った最初の年、別のイヴェントと重らないようにした事は、私達にとって大きな達成でした。「ブルックリン・ブラザーズ」はとても好評で、後にかなり面白かったライヴ演奏もありましたね。

6月はニューヨークでは、FMLYフェスト、ヒルストック、クレスト・フェストなどたくさんのフェスティヴァルがあちこちで起こっています。ノースサイドは、どのように他のフェスティヴァルと特徴を分けているのでしょうか?

ダナ:私たちのパートナー、ショーケースのプレゼンター、映画のキュレーター、起業家パネルのパネリスト、ユニークで多様なティストのアーティスト達でしょう。音楽、アート、映画、起業家精神パネルにおいて、「次に来る何か」の本質を捉えるように、それらは共生していて、それがノースサイドの実体を作っています。また、フェスティヴァルをプロデュースしたり、3ローカル雑誌(『L・マガジン』、『ブルックリン・マガジン』、BAMの文化団体信奉者のプログラム・ガイド)、ふたつのローカル・ウェブサイト(thelmagazine.combkmag.com)を運営している、ノースサイドのメディアグループはコミュニティと強いつながりがあり、それが1年に1回ノースサイド・フェスティヴァルとして生にショーケースされるのでしょう。

ノースサイド・フェスティヴァルは「CMJ のブルックリン版」ともいえると思うのですが、ノースサイド・フェスティヴァルはこれからどうなっていくのでしょうか?

ダナ:起業家精神パネルは続け、成長させていきたいです。また、音楽についてはたくさんの野外のショーを増やしていきたいし、アートはアートフェアなどに形を変えていきたい。たくさんの音楽ショーを思いもよらない場所で開催したり、映画はブルックリンのプレミアの数を増やしていきたいです。

 多種多様な音楽と映画が集まっていて、いまのニューヨークの生々しい空気が感じられる。今回のフェスのハイライトは、オブ・モントリオールやジェンズ・レックマンが出演したマカレン・パークのショーやウータン・クランの設立メンバーのGZAだったが、個人的なハイライトはオブ・モントリオールと同胞の、エレファント6集団代表のオリヴィア・トレマー・コントロール(OTC)。
 2011年の再結成以来、ショーを見るたびに、変わらない彼らにさまざまな思いがよぎる。1997年ぐらいに彼らを知り、2000年あたりのピーク時に活動を停止した彼らはソロや別名義での活動はあったが、バンドの存在もすでに過去のことになり、そのまま忘れさられていくのかと思っていた。オブ・モントリオールは、ダンス・ミュージックなど新しい挑戦を果たし、新たなファンを獲得していくなか、オリヴィア・トレマ・コントロールやニュートラル・ミルク・ホテルのコアなファンは陰ながら応援していた。
 使い捨ての時代だ。2010年に彼らが再び活動をはじめたのはどういう意図があったのだろう。時代の流れに逆らうがごとく、ニュートラル・ミルク・ホテルはボックス・セットをリリースしている。ライヴでプレイするのは曲は昔の曲ばかり、さらに彼が「オール・トゥモローズ・パーティ」をキュレートしたり、大きなフェスティヴァル参加してはソールドアウトになっている。


熱気のなかのオリヴィア・トレマ・コントロールの演奏。
Olivia Tremor Control photos by Kristine Potter

 今回のオリヴィア・トレマ・コントロール、新しいギタープレイヤー以外は,昔からのアセンス・メンバーで、ホーン・セクションもいれると全部で8人の大所帯。昔からのメンバーだ。
 プレイしているのは昔の曲ばかりだが、いま聴いても新しいし、観客から曲のリクエストまで飛ぶ。彼らの再活動は、使い捨てに慣れた現在の音楽ファンに、何か忘れていた物を思い出させてくれるような存在なのだ。例えば、機械でなく人間の生々しいライヴ演奏を見て、涙が出るほど感情を揺さぶられるとか。そろそろ日本でもこのサーカス集団が大暴れしても良い頃だろう。

http://www.brooklynvegan.com/archives/2012/06/the_olivia_trem_1.html
 
 個々のプレゼンターが映画を紹介している。ルーフ・トップ・フィルム推薦の『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』、ユニオンドックス推薦の『ハウ・トゥ・アクト・バッド』(アダム・グリーンのロックンロール・ライフのオンとオフ)、インディ・ワマグノリア・ピクチャー推薦の『テイク・ディス・ワルツ』(マリリン・モンロー役も記憶に新しいミシェル・ウィリアムスが主演)。http://www.northsidefestival.com/film/films
 私が、ele-king読者に紹介したいのが『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』(http://www.oscilloscope.net/films/film/77/Brooklyn-Brothers-Beat-The-Best)。ライアン・オーナンが監督、脚本、俳優をこなす、ブルックリン、メリーランドなどで撮影された映画。内容はガールフレンド、仕事、バンドなど、すべてがうまくいかないアレックスがひょんな出会いの、新しいバンドメイトと一緒にツアーに出て、ショーを重ね、自分のなかの子供部分に向き合っていく。
 映画上映の後には、映画のなかで演じた(実際のバンドでもある)ブルックリン・ブラザーズの演奏があり、漫才の様なQ&Aがあり、会場はフレンドリーな雰囲気に包まれた。ユーモアのセンスや監督のキャラクターが映画に表されているのがわかる。最後に、監督のライアンにインタヴューした。


映画を制作しながら音楽も作るライアン・オーナン

自己紹介と、映画について紹介してください。何があなたをインスパイアさせ、映画を作らせたのでしょう?

ライアン:こんにちは、僕は『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』の監督、脚本家です。これは僕の初監督映画です。僕はいつも音楽について、とくにアーティストの旅や夢を追う人、何か時代から外れている人などの映画を作りたかったので、とても興奮しています。

あなたが映画で演じていたブルックリン・ブラザーズは、実在のバンドなのですか? ライノからアルバムを出すと言っていましたが、これについてもう少し説明していただけますか? あなたのパートナー、マイケルについて、彼が集めていた子供のおもちゃの楽器についてもお願いします。

ライアン:かなりクレイジーなのですが、僕とバンド・パートナーで俳優のマイケル・ウエストンは、ワーナー・ブラザーズとライノ・レコーズにサインし、来月(7月)に最近スタジオでレコーディングしたアルバムが出ます。10曲入っていて、とても良くできたと思っていますので、みんなに気に入ってもらえると嬉しいです。マイケルは小さなカシオ・キーボード、フィッシャー・プライス・ピアノ、ベイビー・アコーディオンなどの80年代のたくさんの子供のオモチャの楽器を演奏しました。その中なかの1曲にはとても楽しい、メタルのトイ・ドラムマシンを使ったり、カズーも使いました。

映画を作る(アイディアを集める所から編集まで)のにかかった時間はどれぐらいですか? インスピレーションを集めるのに、参考にした映画はありますか?

ライアン:映画はトータルで1年ぐらいかかりました。脚本を書いて、資金を調達し、3週間(!)で撮影しました。この映画の僕の大きな影響は、たぶんジョン・ヒュースの作品集です。『16本のロウソク』、「ブレックファースト・クラブ」、「フェリス・ブエラーズ・ディ・オフ」、「飛行機、電車、自動車」などは僕の大好きな映画で、これらを見て育ちました。

これはノースサイド・フェスティヴァルの一部で、映画週間に上映されたのですが、今回のフェスティヴァルで、面白かった映画やバンドを見ましたか?

ライアン:残念な事ことに今回は時間がなくて、映画もバンドも見れなかったのです。バンドはいまは「ドーター」(ohdaughter.bandcamp.com)に夢中です。とても美しいです。

あなたの音楽は、ポップで、スイートなのですが、どこか、もの悲しい感じがします。ナダ・サーフ、シンズ辺り思い出しましたが、どういった音楽に影響されたのでしょうか?

ライアン:映画のために書いた曲はキュアー、ニュー・オーダー、シンディー・ローパー、メン・アット・ワーク、ポリスなどの僕が小さいころから聴いてきた、素晴らしいポップ・ソング・ライターに影響されました。

次の目標は何ですか? この映画をイギリスでも上映すると言っていましたが、ニューヨークや日本ではどうなのでしょうか? 日本についてもお聞きしたいのですが、例えば日本の映画やバンドで好きな物はありますか?

ライアン:映画イギリスで7月20日に、8月にフランス、9月21日にアメリカで公開されます。是非日本でも上映したいです。日本のディストリビューターは興味ないでしょうか(笑)。小さい頃は日本のアニメを見て育ち、「バトル・エンジェル」が好きでした。ジェームス・キャメロンがこの権利を持っていると聞きましたが、だから、空想的な映画を作るのでしょうね。

最後に、日本の読者にメッセージをお願いします。

ライアン:もっとたくさんの日本の映画やバンドをアメリカで見てみたいです。ブルックリンは素晴らしい場所ですが、僕はいつも日本に行って、そこにあるアートを全部見たいと思っていました。何年か前に、ハルキ・ムラカミのシアター・プロダクションの『象の消滅(The Elephant Vanishes)』をニューヨークで見たのですが、完璧にやられましたね。

Chart by TRASMUNDO 2012.03.27 - ele-king

Shop Chart


1

TONOSAPIENS

TONOSAPIENS PRESIDENTSHEIGHTS »COMMENT GET MUSIC

2

I DON'T CARE

I DON'T CARE 緑のスカイロケッツ »COMMENT GET MUSIC

3

KING104

KING104 PIMP DREAM »COMMENT GET MUSIC

4

GONZ(DOWN NORTH CAMP)

GONZ(DOWN NORTH CAMP) SHORT SHORT VACATION »COMMENT

5

TONOSAPIENS

TONOSAPIENS FLYDAY »COMMENT GET MUSIC

6

V.A

V.A SOULERA'S SWEET SOUL CLASSICS »COMMENT GET MUSIC

7

blahmuzik

blahmuzik beginning of experiment »COMMENT GET MUSIC

8

Ackky

Ackky FANTASTICO »COMMENT GET MUSIC

9

MACKA-CHIN

MACKA-CHIN 揺~D.N.A~ »COMMENT GET MUSIC

10

Chief Keef

Chief Keef I Don't Like(feat.)Lil Reese 〔YouTube〕 »COMMENT GET MUSIC

[Sick Team] - ele-king

 すでにご存じの方も多いと思いますが、Budamunk + ISSUGI + S.l.a.c.k. による新ユニット、シック・チーム(Sick Team)がいよいよその全貌を露わにします!
 発売日は6月2日、しかも......なんとその日にはDOMMUNEでライヴも披露することが決定しました! 7時から12時までたっぷり5時間使って、日本の新しいヒップホップの誕生をお届けします。当日は会場に来れる人は来てくださいね! 生で彼らのライヴやDJを体験しましょう!

6月2日(木曜日)
7:00~12:00 @ DOMMUNE
ライヴ:Sick Team、PUNPEE、GAPPER、etc
DJ:PUNPEE、BUDAMUNK
トーク:SORA(DOWN NORTH CAMP)、大前至、二木信、野田努......(後半、Sick Team参加予定)


CHANGYUU (DOWNNORTHCAMP) - ele-king

普遍の反逆チューンズ


1
The Clash - The Guns Of Brixton - CBS

2
Kiddus I - Too Fat - Shepherd

3
DOWNNORTHCAMP - Lazy Days - Dogear Records

4
EKD & Pachucabras - Babylon City - Sun Shot

5
Cypress Hill - Dr. Greenthumb - Ruffhouse Records

6
Bad Brains - Leaving Babylon - ROIR

7
Don Drummond, Ernest Ranglin, Tommy McCook, etc - Jazz Jamaica From Workshop (Album) - Studio One

8
Jackie Mittoo - Macka Fat (Album) - Studio One

9
Soul Vendors - Drum Song - Studio One

10
Vivian "Yabby U" Jackson & The Prophets - Judgement On The Land - Vivian Jackson
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