
『ドラえもん』がわたしたちに教えてくれたこと
――藤子・F・不二雄が残した弱さとやさしさの思想
1969年の連載開始から半世紀にわたり、いまや世界中の子どもたちを魅了している『ドラえもん』。そこに込められた「弱さ」と「まっとうさ」にまつわるラジカルな思想。そして「大長編/映画版ドラえもん」で政治と宗教、科学と進化という大きく普遍的なテーマに取り組んだ藤子・F・不二雄の絶望と希望のメッセージを気鋭の批評家がひもとく!
「作品が面白いことと思想的であることは、矛盾しません。難しいことなんて考えず楽しんで読めばいいんだ、というのは、じつは、マンガの面白さを小さく見積もっていないでしょうか。
むしろ、思想的であることは「ただちに」面白いんだ、ということ。藤子・F先生の『ドラえもん』は、多くの少年少女たちに、そして大人たちにもそのことを教えてくれました。」(本文より)
目次
まえがき
第1章 『ドラえもん』の世界──のび太は弱いのか?
第2章 「大長編ドラえもん」の思想──科学・宗教・政治・進化
(1) 一九八〇年代前半──人間はどのように生きるべきか?
(2) 一九八〇年代後半──人類はどうあるべきか?
(3) 一九九〇年代前半──人類は自滅せずにすむのか?
(4) 一九九〇年代後半──ニセモノにとって生命とは何か?
第3章 異色SF短編を読む
第4章 ドラえもんの夢──約束としての戦後民主主義
あとがき
著者
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ)
1975年神奈川県生まれ。批評家。法政大学大学院人文科学研究科修士課程修了。文芸誌・思想誌などさまざまな媒体で文学、アニメ、マンガなどの批評活動を展開し、作品の核心をつく読解で高い評価を受ける。著書に『宮崎駿論』(NHKブックス)、『ジョジョ論』『戦争と虚構』(作品社)、『長渕剛論』(毎日新聞出版)、『無能力批評』(大月書店)、『非モテの品格』(集英社新書)などがある。
ご注文は最寄の書店でもお取り寄せが可能です。
また、バックナンバー、お取り扱い店、募集中です!
ele-king Books
-
あたらしい散歩──専門家の目で東京を歩く
-
恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない
-
別冊ele-king VINYL GOES AROUND presents RECORD――レコード復権の時代に
-
別冊ele-king ゲーム音楽の最前線
-
「土」の本
-
すべての門は開かれている――カンの物語
-
はじめての老い
-
つくって食べる日々の話
-
ele-king presents HIP HOP 2024-25
-
ele-king vol.34 特集:テリー・ライリーの“In C”、そしてミニマリズムの冒険
-
変わりゆくものを奏でる──21世紀のジャズ
-
別冊ele-king 日本の大衆文化はなぜ「終末」を描くのか――漫画、アニメ、音楽に観る「世界の終わり」
-
ゲーム音楽はどこから来たのか――ゲームサウンドの歴史と構造
-
K-PUNK アシッド・コミュニズム──思索・未来への路線図
-
ele-king cine series 誰かと日本映画の話をしてみたい
-
DUB入門――ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ
-
ele-king vol.33特集:日本が聴き逃した日本の音楽と出会うこと
-
さあ、本屋をはじめよう 町の書店の新しい可能性
-
K-PUNK 自分の武器を選べ──音楽・政治
-
キング・タビー――ダブの創始者、そしてレゲエの中心にいた男