「ZE」と一致するもの

Mala In Cuba - ele-king

 ジェイムス・ブレイクがダブステップをメランコリック・ポップへと展開させたとき、マーラはそれをハイブリッド・ミュージックへと押し進めた。ともにダブステップのクライマックスだ。
 いよいよ来週末、金字塔『MALA IN CUBA』をひっさげてのマーラの来日が間近に迫まっている。7時からのライヴ公演がひとつあって、深夜からはDJとしてのプレイもある。スウィンドルとゴス・トラッドも出演する。個人的には当然『MALA IN CUBA』のライヴ演奏を聴きたいと思っているのだが、スウィンドルのDJにも興味津々である。なにせこの若者は、グライムというちんぴらのシーンからジャズをキーワードにダンスしているのである。単なるフディーズでもないし、お行儀の良いジャズでもない。『MALA IN CUBA』がすでに評価の決まっているアートの再現だとしたら、スウィンドルは未知の領域にいる。『Long Live The Jazz』も格好良かったからな~。

DBS + UNIT presents
DBS 17th Anniversary
MALA IN CUBA LIVE!
2013.10.11 (FRI) at UNIT

★キューバ音楽とロンドン・ベースミュージックの甘く危険な邂逅......昨年アルバム『MALA IN CUBA』で真のカルチャー・クラッシュを体現したUKダブステップのパイオニア、マーラ(デジタル・ミスティックズ)がキューバのスピリットとミュージシャンシップを凝縮するライヴ・バンドで代官山UNITに凱旋! 未体験ディープ・ゾーンへ誘う!

今回は【EVENING SESSION 】と【MIDNIGHT SESSION 】の2公演! 幅広い世代に"MALA IN CUBA LIVE!"を体感してもらえるよう【EVENING SESSION 】も開催! 【MIDNIGHT SESSION 】では今、大注目のSWINDLEがDJとしてもプレイ! そして勿論deep medi ファミリーのGOTH-TRADも参戦!

【EVENING SESSION 】
MALA IN CUBA LIVE!

open 19:00 /start 20:00
adv. 3800yen door.4300yen (without drink)
未成年割:未成年(20歳未満)の方には当日入り口にて500円キャッシュバック(要身分証)

【MIDNIGHT SESSION 】
MALA IN CUBA LIVE!
dj's: SWINDLE , GOTH-TRAD
Yama a.k.a. Sahib , Osam "Green Giant"
Vj: SO IN THE HOUSE

SALOON:TETSUJI TANAKA,DJ MIYU,PRETTYBWOY,JUNGLE ROCK,DUBTRO,Helktram

open/start 23:30
adv. 3800yen door.4500yen

info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com https://www.dbs-tokyo.com

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Ticket outlets:9/7 ON SALE!
【EVENING SESSION 】PIA (0570-02-9999/P-code:211-250)、 LAWSON (L-code:74303)
【MIDNIGHT SESSION 】PIA (0570-02-9999/P-code:211-251)、 LAWSON (L-code:74307)、e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/

渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP (5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)
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★MALA IN CUBA

UKダブステップ界の最重要人物、マーラ。その存在はシーンのみならずジェイムス・ブレイク、エイドリアン・シャーウッド、ジャイルス・ピーターソン、フランソワKら世界中からリスペクトされている。キューバ音楽の精髄を独自の音楽観で昇華した金字塔アルバム『MALA IN CUBA』でネクストレヴェルへ突入、UKベースカルチャーとキューバのルーツミュージックを見事に融合させた音楽革命家である!
サウス・ロンドン出身のマーラはジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育ち、独自の重低音ビーツを生み出すべく盟友のコーキとデジタル・ミスティックズ名義で制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となり、自分達のレーベル、DMZからのリリースとDMZのクラブナイトで着実に支持者を増やす。'06年に自己のレーベル、Deep Medi Musikを設立、自作曲の他、精鋭アーティスト達の優れた作品リリースでシーンの最前線に立つ。
2011年5月、マーラはキューバの首都ハバナをジャイルス・ピーターソンと共に訪れ、ジャイルスの作品『HAVANA CULTURA: The Search Continues』用のレコーディング・セッションを行なう。その際、マーラはロベルト・フォンセカ(ピアノ)ら才能溢れる現地ミュージシャンやヴォーカリストと別セッションを敢行し、帰国後その音源を自身のエクスペリメンタルなサウンドと融合/再構築、12年9月にアルバム『MALA IN CUBA』(Brownswood Recordings / BEAT RECORDS)としてリリースされる。ワールド・ミュージック/エレクトロニック・ミュージックを革新する『MALA IN CUBA』により新次元に突入したマーラはロンドンでバンドを組織し、WOMAD、OUTLOOK等、数々のフェスティヴァルにライヴ出演し、反響を呼んでいる。
https://malaincuba.com/

MALA IN CUBA LIVE! メンバー:
MALA(mixing desk)
SWINDLE(keys)
OLIVER SOARES(congas & bongos)
TAKASHI NAKAZATO(timbales)

★SWINDLE(Butterz / Deep Medi Musik / Anti Social Entertainment, UK)

今回、MALA IN CUBA LIVEのキーボード奏者として来日、単独DJセットも披露するスウィンドルはグライム/ダブステップ・シーンのマエストロ。幼少からピアノ等の楽器を習得、レゲエ、ジャズ、ソウルから影響を受ける。16才の頃からスタジオワークに着手し、インストゥルメンタルのMIX CDを制作。07年にグライムMCをフィーチャーした『THE 140 MIXTAPE』はトップ・ラジオDJから支持され、注目を集める。そしてSO SOLID CREWのASHER Dの傘下で数々のプロダクションを手掛けた後、09年に自己のSwindle Productionsからインストアルバム『CURRICULUM VITAE』を発表。その後もPlanet Mu、Rwina、Butterz等からUKG、グライム、ダブステップ、エレクトロニカ等を自在に行き交う個性的なトラックを連発、12年にはMALAのDeep Mediから"Do The Jazz"、"Forest Funk"を発表、ジャジーかつディープ&ファンキーなサウンドで評価を決定づける。そして13年7月、待望のニューアルバム『LONG LIVE THE JAZZ』(Deep Medi)がリリースされ話題が沸騰している。8月にはboilerroom.tvでフュージョン界の巨匠、LONNIE LISTON SMITHとライヴ共演し、大反響を呼んだばかり。
https://www.facebook.com/swindleproductions
https://twitter.com/swindle

★GOTH-TRAD(Deep Medi Musik, BTC,JPN)
ミキシングを自在に操り、様々なアプローチでダンス・ミュージックを生み出すサウンド・オリジネイター。03年に1st.アルバム『GOTH-TRAD』を発表。国内、ヨーロッパを中心に海外ツアーを始める。05年には 2nd.アルバム『THE INVERTED PERSPECTIVE』をリリース。また同年"Mad Rave"と称した新たなダンスミュージックへのアプローチを打ち出し、3rd.アルバム『MAD RAVER'S DANCE FLOOR』を発表。06年には自身のパーティー「Back To Chill」を開始する。『MAD RAVER'S~』収録曲"Back To Chill"が本場ロンドンの DUBSTEP シーンで話題となり、07年にUKのレーベル、SKUD BEATから『Back To Chill EP』、MALAが主宰するDEEP MEDi MUSIKから"Cut End/Flags"をリリース。12年2月、DEEP MEDiから待望のニュー・アルバム『NEW EPOCH』を発表、斬新かつルーツに根差した音楽性に世界が驚愕し、精力的なツアーで各地を席巻している。
https://www.gothtrad.com/
https://www.facebook.com/gothtrad


vol.55:素晴らしき新生ディアハンター - ele-king

 ディアハンターは、ジョージア州、アトランタのバンドなのだが、何かとニューヨークのイメージがある。ニューヨークでレコーディングしたり、レコード・レーベルがニューヨークだからだろうが、その第二の故郷で9月の半ば、3日連続ショー(全てソールドアウト)をおこなった。
 ジョージア州に縁のある著者なので、軽い気持ちで、1日目(ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ)を見にいったが、余りにも印象に残ったので、最終日(ウエブスター・ホールも見にいった。
 1日目はノイズ/エクスペリメンタル、最終日は歌もの中心で、最新アルバム「モノマニア」だけでなく昔のアルバム、EPからのヒット曲をミックスした。バンドの多様性がうかがえる。ブラッドフォード・コックスは、1日目はパンク少年、3日目はヒョウ柄のワンピース(黒髪ウイッグ付き)。以前は、ジョーイ・ラモーンの格好で登場したり、指に包帯を巻いたり、彼のコスプレも期待を裏切らない。
 ディアハンターから想像できるプレゼンテーション(ライトショー、ノイズフリーク)他に、驚いたのは超自然なバンド演奏。メンバー・チェンジを経て5人組になったのだが、レコードをそのまま演奏するのではなく、曲と曲との転換、繋がり、間、フェイドアウト/インなどで全ての曲に新しい命が吹き込まれていた。
 ほとんどMCはない。毎日セットは違うが、バンド演奏力のタイトさは極まっている。ブラッドフォードの、フリーキーなヴォーカルと対象に、ギタリストのロッケットがヴォーカルを取る"デザイヤー・ラインズ"では、バンドの温度を良い具合に下げ、"モノマニア"のノイズ・フリークが続いた後に来る"トワイライト・アット・カーボンレイク"のドラマチックな導入など、全体バランスも美しい。後半は、ブラッドフォードが観客にギターを渡し、ステージで居眠りしたり、被っていたウィッグをとってみたり(!)、ショーの間は、目と耳をフル回転させられっぱなしだった。
 ショーの終盤、ブラッドフォードは、ソールドアウトの会場を見回すと、故郷アトランタでは受け入れられなかったが、ニューヨークのみんながサポートしてくれたからいまがあると、観客ひとりひとりへ感謝を表し、拍手喝采を誘った。

photo via Brooklyn Vegan

 ブラッドフォードは、パンクだ、予測不可能だと言われる。自分たちを、インディ・バンドではないと言ったり、モリッシーへの感情をぶつけたり現在の社会経済状況への不満などを言及している。それでも、故郷のアトランタで、黙々と音楽を作る、彼のモンクな生活のほうが容易に想像出来てしまう。彼は究極にデリケートで、手助けが音楽だ。ショーのバックステージには、子供のような、はつらつとした彼の顔があった。「このアルバムで若返った」と言う、彼の言葉通りだった。

 知り合いが、ファーザー(元グレイトフル・デッドのメンバー)のショーを9日連続で、キャピタル・シアターに見にいくと興奮していたのを思い出した。彼らは9日間、1度も同じ曲を演奏しない。「9日も同じバンドを見に行くの?」と訝しがったが、今回のショーを見て、彼の言ってる意味がわかった気がする。裏切られたり、予想に反したりもするが、毎日でも見たいと思わせる中毒性を持っている。日本には12月に行くそうだ。新生ディアハンターに期待して良いと思う。





以下、3日間のセットリスト

Deerhunter at Music Hall of Williamsburg - 9/17/13 Setlist: (via)
Earthquake
Neon Junkyard
Don't Cry
Revival
Desire Lines
Blue Agent
The Missing
Hazel St.
Helicopter
T.H.M.
Nothing Ever Happened
Sleepwalking
Back to the Middle
Monomania
Encore:
Cover Me (Slowly)
Agoraphobia
Fluorescent Grey
--
Deerhuneter at Webster Hall - 9/18/13 Setlist: (via)
Sailing
Cryptograms
Lake Somerset
Desire Lines
Dream Captain
Never Stops
Little Kids
T.H.M.
The Missing
Spring Hall Convert
Saved By Old Times
Revival
Helicopter
Nothing Ever Happened
Encore:
Sleepwalking
Back to the Middle
Monomania
--
Deerhunter at Webster Hall - 9/19/13 Setlist:
Octet
Neon Junkyard
Don't Cry
Revival
Like New
Desire Lines
Hazel St.
T.H.M.
Rainwater Cassette Exchange
The Missing
Helicopter
Sleepwalking
Back to the Middle
Monomania
Twilight at Carbon Lake
Encore:
Cover Me (Slowly)
Agoraphobia
He Would Have Laughed


https://www.brooklynvegan.com/archives/2013/09/deerhunter_play_11.html

Blastro - ele-king

 「良いライヴハウス」の条件というのは色々あるだろうけども、最近は「店ブッキングが面白い」というのが重要なんじゃないかと思うに至った。

 ご存知の方も多いと思うがライヴハウスのブッキングには大きく分けて2種類ある。所謂「企画」と「店ブッキング」で、前者はオーガナイザー(自身が出演者であることもあるし、純粋にオーガナイズに徹することもある)が店を借り、出演者を集めて開催するというもので、週末のパーティなんかはこちらが多い。
 対して後者はライヴハウスのスタッフがブッキングするもの。往々にして平日の空白を埋めて出演バンドにノルマを課すことだけが目的で、組み合わせについても相性もへったくれもない出鱈目だ、みたいな非難を浴びることが多い。まあそういう店が多いのも事実なんだろう。
 とはいえ例えば〈四ツ谷アウトブレイク〉なんかも突拍子もない企画(最近ではガムテープの寺岡とのコラボTシャツ制作とか、茹で卵食べ放題とか)が目を惹く反面、バンドへの理解あるブッキングができるスタッフを揃えているという前提があってのものだ。でもって、平日ブッキングが熱いと以前から思っているのがハードコアシーンの聖地、〈新大久保EARTHDOM〉である。

 「大久保くんはアングラだからね」とは野田編集長の弁で、まあたしかにぼくは客が10人くらいの平日のライヴハウスに喜々として通っているようなタイプではある。知ってるバンド/好きなバンドが複数出ていて、知らないバンドもちょっとは含まれている、というようなバランスが好きで、平日の〈EARTHDOM〉では知らないバンドにガツンとやられることがとても多い。ここ数年でもレッドスキンズ、カルキ、ウラジオストック・パワー・ジェノサイド、ガラクタ等々、世間ではほとんど知られていない数々の名バンドに出会ってきた(知らないでしょ?)。

 そんな中でも昨年最大の衝撃だったのがブラストロだ。マシンガンTVのギターで現在はビデカズ2のMiyano、ジャパノイズを代表するバンドのひとつであったC.C.C.C.のメンバーで現在は個人名義やASTRO、C.C.といったユニットで世界を飛び回るノイズ・エレクトロニクス奏者Hiroshi Hasegawa、そして「速けりゃいいんだよクソッタレ」というキャッチコピーを掲げたDie You Bastard!をはじめとする数々のバンドやノイズ系インプロヴィゼーションなどで強烈に速いブラストビートを叩き出すスーパー・ドラマー、Ironfist辰嶋の3人という、ある種のスーパーバンドである。
 もともとノイズとハードコアはそのアグレッションから相性がいいようで、死ぬほど歪んだギターによるノイズ・コア(カオスUKとか)や、ノイズバンドとハードコアバンドの合体セッション(S.O.B.階段とか)、ノイズ担当者をメンバーに含むハードコアバンド(ゴア・ビヨンド・ネクロプシーとか)など様々な形態が過去にも存在するが、ブラストロによりその決定版と言える一手が打たれたと言っていい。
 要するにひたすら速いブラストビートにものすごい爆音ノイズが被さるというシンプルというか「出オチ」みたいなコンセプトなのだが(バンド名からして駄洒落みたいなもんだし)、ノイズの強烈さもドラムの速さもその筋の頂点と言える面々によるものであり、しかもぼくは初ライブ以降かなりの回数を観てるのだが「出オチ」に留まることなく観るたびに凄みを増している。

 あまりの爆音にハードディスクが振動でやられたりして録音も難航を極めたようなのだが、ついにファースト・アルバムが完成。2回の録音失敗を経た上で〈EARTHDOM〉でのライヴ演奏をまるごと収録し、ルインズの吉田達也によるマスタリングが施されている。
 実際、この録音がされたライヴはぼくも観ているはずなのだけど、印象が全然違うので驚いた。音塊が振動となって物理的にぶつかってくるようなライヴ体験とはまた違い、壮絶な爆音ながらも細部に注意の行き届いた電子音響の面白さが堪能できる。
 Miyanoは数台のカシオトーンを斜めに立てて固定しワウなどをかませたりしたセット、Hasegawaは発信機、アナログシンセなどの電子音に鉄板などを組み合わせる。ライヴではダマになってしまいがちなところがクリアーに記録されているので30分ノンストップでも変化に富んでおりダレるところがない。
 そして何と言っても聞き所はドラムですよ。イントロのスネア一発の後、一気にマシーンのような怒涛のブラストビートに雪崩込み、軽くビートダウンしたパートを挟んだ後に更に速くなる! トータル30分強のうち最後の7分くらいが特に速いとかもう笑うしかないですよ。くどいようだがライヴ録音ですからね。

 ちなみにリリース元は大友良英作品の数々やジャズ/インプロヴィゼーション系の作品をリリースする一方でJAZZ非常階段やボルビトマグース関連のユニットなどでも知られる〈ダウト・ミュージック〉。別なバンドを観に〈EARTHDOM〉に訪れた沼田社長が彼らの初ライヴを観て一発で惚れ込みリリースが決定したという次第。ふらっと行っていきなりこんなバンドにガツンと不意打ちされるのが良いライヴハウスってものなのである。


2013.9.18(wed) @新大久保Earthdom
w/Galaxy Express 666、マニアオルガン、カルキ、アダア

2013.10.11(fri)@東高円寺二万電圧
w/ Napalm Death Is Dead、ZENANDS GOTS、O.G.D.、西之カオティック


Buffalo Daughter
ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter

U/M/A/A Inc.

Interview Amazon iTunes

 9月22日(日)、代官山UNITにてBuffalo Daughter結成20周年の記念イヴェントが開催される。その名も〈Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO〉。実際にベスト・アルバムにも名を連ねる豪華ゲストたちの参加が、続々と決まっているようだ。KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)、日暮愛葉(THE GIRL)、有島コレスケ(told)、小山田圭吾、立花ハジメ、Avec Avec、Kosmas Kapitzaベテランからフレッシュなアーティストまで、さすがの幅広さ。
 来場者には貴重な特典も準備されている。「Playbutton(プレイボタン)」をご存知だろうか。本体にフラッシュメモリーと音声データの再生用ソフトウェアなどが内蔵され、その用途をめぐって新しい可能性が期待されている缶バッジ型の音楽プレイヤーだ。当日は、あちらこちらで耳にするようになってきたこの新ガジェットに、なんとその日のライヴ音源1曲をインストールしたものが配布されることが決定しているとのこと。バッジのデザインは立花ハジメ! このチケットについては売り切れ必至、ぜひチェックしてみよう。


結成20周年を迎え、初のベスト『ReDiscoVer.』をリリースしたバッファロー・ドーターが、アルバム参加のゲスト陣を交えた豪華アニバーサリー・ライブを開催!

また、追加情報として、10月5日(土)、6日(日)の2日間、箱根は富士芦ノ湖パノラマパークにて開催される音楽フェスティバル〈天下の険〉にBuffalo Daughterが出演する事が決定。

東京からもアクセス容易な最高のロケーションで良質な音楽を提供するこの野外イヴェントは昨年からスタート。今年も、吉田美奈子、Cosmic Blessing Ensemble〈Calm×CitiZen of Peace×Kakuei×Kaoru Inoue×Kuniyuki×Yuichiro Kato〉、DJ NOBU、Nabowaら、ユニークなラインナップで注目を集めている。野外でBuffalo Daughterのライヴを体験することは飛び切りの体験となるはずなので、こちらもお見逃しなく!!

Buffalo Daughter の20周年記念ベスト・アルバム『ReDiscoVer.』は〈U/M/A/A〉から発売中。ライヴに足を運ぶ前にぜひチェックを!!

■Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO

日時:2013年9月22日(日/祝前日)  OPEN 18:00 / START 19:00
会場:代官山UNIT

GUESTS:
KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS) / 日暮愛葉(THE GIRL) / 有島コレスケ(told) / 小山田圭吾 / Kosmas Kapitza / 立花ハジメ / Avec Avec

チケット:
ADV.4,000yen(tax incl./without drink)*もれなく20周年記念特典付
前売チケット取扱:ぴあ(P:207-986) / ローソン(L:78864) / e+

More information:UNIT 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com


■箱根ミュージックフェスティバル 天下の険2013 ~厳選音泉掛け流し~

日時:2013年10月5日(土)、6日(日) 2日間開催
会場:
富士芦ノ湖パノラマパーク 特設エリア
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根143-1
https://www.princehotels.co.jp/amuse/hakone-en/play/access.html

出演:
吉田美奈子、indigo jam unit、Cosmic Blessing Ensemble、SILENT POETS 他

開場時間:
10月5日(土) 開場 11:00 開演 13:00 終演 22:30 予定
10月6日(日) 開場 08:00 開演 10:00 終演 20:00 予定

入場料金:
前売り券
2日券 ¥10,000 / 1日券 ¥6,000
当日券
2日券 ¥12,000 / 1日券 ¥7,000

主催: 天下の険実行委員会
イベントオフィシャルHP:https://tenkanoken.jp/

■CD情報
Buffalo Daughter
『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』
発売中!!
UMA-1022-1023、¥2,600 (tax in)

●1CD+書き込み可能な生CD-R付
●バンドヒストリーを綴った24P カラーブックレット+解説・歌詞・対訳付
●初回のみICカードステッカー*付
*交通機関用非接触型ICカードに貼ってデコレーションできるステッカー

●トラックリスト
1. New Rock 20th featuring KAKATO (環ROY×鎮座DOPENESS)
2. Beautiful You 20th featuring 日暮愛葉&有島コレスケ
3. LI303VE
4. Great Five Lakes 20th featuring 小山田圭吾
5. Dr. Mooooooooog
6. Discothéque Du Paradis
7. Cold Summer
8. Peace Remix by Adrock
9. Socks, Drugs and Rock'n'roll Live (Sax, Drugs and Rock'n'roll) featuring 立花ハジメ
10. Volcanic Girl
11. A11 A10ne
12. Cyclic Live
13. バルーン Remix by Avec Avec
14. ほら穴  
Compiled by Nick Luscombe (Flomotion/ BBC Radio 3/ Musicity)

詳細: U/M/A/A <https://www.umaa.net/what/rediscover.html


GOLDIE x DEGO - ele-king

 ゴールディとディーゴと言えば、泣く子も黙るドラムンベース界の2大巨匠。シカゴ・ハウスで言えば、マーシャル・ジェファーソンとラリー・ハード、NYハウスで言えばフランキー・ナックルズとフランソワ・ケヴォーキアン、デトロイト・テクノで言えばホアン・アトキンスとデリック・メイが一緒に来るようなもの。あまりにでっっっっっかいブッキングだ。とくにディーゴはいま何を回すのだろう? すっっっっっっごく興味あるんですけど......。では、9月21日、代官山ユニット。待ってるぜ。


DBS presents
"GOLDIE x DEGO (2000Black/4hero)"
W Birthday bash!
2013.09.21 (SAT) @ UNIT

feat.
GOLDIE (Metalheadz)

with:
DX
DJ MIYU
DJ ICHI a.k.a DIGITAL ONE

vj/laser:
SO IN THE HOUSE

Painting : The Spilt Ink.

saloon:
DEGO (2000Black/4hero)

Yoshihiro Okino (Kyoto Jazz Massive)
Yukari BB (Juno Records)
Toshimitsu "Tiger" Takagi
OKA (DESTINATION)
SAYURI (DESTINATION)
ZuKaRoHi (ブロークンビーツ酒場)
Shimoda

open/start 23:30

adv.¥3,300 door ¥3,800

info. 03.5459.8630 UNIT

====================================
Ticket outlets:NOW ON SALE!
PIA (0570-02-9999/P-code: 208-636)、 LAWSON (L-code: 70076)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia https://www.clubberia.com/store/

渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP (5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

★90年代初頭ロンドンのアンダーグラウンドから勃発したUKブレイクビーツ革命はジャングル/ドラム&ベースから今日のベースミュージックの潮流を生んだ。そんなシーンのパイオニアはゴールディー、そして4ヒーロー/ディーゴに他ならない。20数年前、活動を共にして以来、それぞれの音楽を追求して行ったゴールディーとディーゴが9/21(土) 代官山UNIT&SALOONで再会する。GOLDIE x DEGOのW Birthday bash!!!! 奇跡の一夜!伝説を見逃すな!

GOLDIE (aka RUFIGE KRU, Metalheadz, UK)
"KING OF DRUM & BASS"、ゴールディー。80年代にUK屈指のグラフィティ・アーティストとして名を馳せ、92年に4ヒーローのReinforcedからRUFIGE KRU名義でリリースを開始、ダークコアと呼ばれたハードコア・ブレイクビーツの新潮流を築く。94年にはレーベル、Metalheadzを始動。自身は95年にFFRRから1st.アルバム『TIMELESS』を発表、ドラム&ベースの金字塔となる。98年の『SATURNZ RETURN』はKRSワン、ノエル・ギャラガーらをゲストに迎え、ヒップホップ、ロックとのクロスオーヴァーを示す。その後はレーベル運営、DJ活動、俳優業に多忙を極めるが07年、RUFIGE KRU名義で『MALICE IN WONDERLAND』をMetalheadzから発表、08年に自伝的映画のサウンドトラックとなるアルバム『SINE TEMPUS』を配信で発表。09年にはRUFIGE KRU名義の『MEMOIRS OF AN AFTERLIFE』をリリース、またアートの分野でも個展を開催する等、英国が生んだ現代希有のアーティストとして精力的な活動を続けている。12年、Metalheadzの通算100リリースに渾身のシングル"Freedom"を発表。13年3月には新曲"Single Petal Of A Rose"を含む初のコンピレーション『THE ALCHEMIST: THE BEST OF 1992-2012』がCD3枚組でリリースされ、まさにアルケミストなゴールディーの不朽の音楽性を再認識させる。
https://www.goldie.co.uk/
https://www.metalheadz.co.uk/
https://www.facebook.com/Goldie
https://twitter.com/MRGOLDIE

DEGO (2000Black/4hero, UK)
 ロンドンに生まれたDEGOはサウンドシステムや海賊放送でのDJ活動を経て90年にReinforced Recordsの設立に参加、4HEROの一員として実験的なハードコア/ブレイクビーツ・トラックのリリースを開始。やがて4HEROはDEGOとMARC MACの双頭ユニットとなり、タイムストレッチング等、画期的な手法を編み出し、ドラム&ベースのパイオニアとなる。傑作『PARALLEL UNIVERSE』(94年)、『TWO PAGES』(98年)以降、4HEROはD&Bのフォーマットを捨て、『CREATING PATTERNS』(01年)、『PLAY WITH THE CHANGES』(07年)で豊潤なクロスオーヴァーサウンドを打ち出す。DEGOはTEK9名義でダウンテンポを追求する等、オープンマインドかつ実験的な制作活動は多岐に及び、98年に自己のレーベル、2000Blackを始動し、革新的な音楽共同体としてのネットワークを拡張、ブロークンビーツ/ニュージャズの潮流を生む。KAIDI TATHAMらBUGZ IN THE ATTIC周辺と密に交流し、dkd、SILHOUETTE BROWN、2000BLACK名義のアルバムを制作。11年には満を持してDEGO名義の初アルバム『A WHA' HIM DEH PON?』を発表、ジャズ、ファンク、ソウルetcへの深い愛情を反映した傑作となる。その後も精力的な活動を続け、12年に『TATHAM,MENSAH,LORD & RANKS』を発表している。
https://www.2000black.com/
https://mrgoodgood.com/
https://www.facebook.com/2000blackrecords
https://twitter.com/2000black_dego

〈UNIT〉
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

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〈GOLDIE JAPAN TOUR 2013〉
9/20(金) 高知 X-pt. GOLDIExDEGO (問)088-885-2626
9/21(土) 東京 UNIT GOLDIExDEGO (問)03-5459-8630
9/22(日) 広島 cafe Jamaica (問)082-240-0505
9/23(月) 札幌 DUCE (問)011-596-8386

〈DEGO JAPAN TOUR 2013〉
9/20(金) 高知 X-pt. GOLDIExDEGO(問)088-885-2626
9/21(土) 東京 UNIT GOLDIExDEGO(問)03-5459-8630
9/22(日) 大阪CIRCUS ---(問)06-6241-3822


FUSHIMING 1st 12"EP "HEAVY MOON EP"が、HOLE AND HOLLANDから7月24日に発売されます。
ALTZ氏、KZA氏、INNER SCIENCE氏、SANDNORM氏がすでにプレイしています。コメントもALTZ氏、高木壮太氏、KZA氏、箭内健一氏から頂いてますので下記ホーランドのWEBにてCHECKしてみて下さい。

https://www.hole-and-holland.com
https://soundcloud.com/hole-and-holland
https://www.jetsetrecords.net/FUSHIMING-HEAVY-MOON-EP/p/724004639262

最近頻度の高い12インチシングルを選びました。


1
Thompson Twins - In The Name Love 12"Dance Extension - Arista

2
Venus Dodson - Where Are We Headed - WB/RFC

3
Sebastien Tellier - Broadway - Lucky Number Music

4
Azymuth - Ta Nessa Ainda Bicho_(Zed Bias 4×4 Remix) - Far Out

5
Blackjoy - Moustache - Yellow

6
Popnoname - Surrounded By Weather Remixes B1 - Italic

7
Torch Song - Prepare To Energize12" - I.R.S

8
Trussel - Gone For The Weekend - Elektra

9
Fernando - Endless Disco - Redux

10
Rharaohs - Island Time 12" - Spinning Wheel

MAMAZU (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

ANDROMEDA / DELTA THREE / SUPER X
BLACK SHEEPのCOGEEとCosmic Orgasm Zeal Unit『COZU』や NU PARTY『DELTA THREE』も始動しました。次のSUPER XではFUSHIMINGのHEAVY MOON EPと関西御山発CampingPartyTribe ChillMountainによるChillMountain Classics の W RELEASE PARTYでお届けします!MIXCD"BREATH"も是非チェックしてみてください。
https://soundcloud.com/mamazu
https://mamazu.tumblr.com/
https://twitter.com/_Mamazu_
https://www.hole-and-holland.com/

DJ SCHEDULE
7/29 ふぞろいのbeatたち @ 恵比寿BATICA
8/07 TRAVESSIA @ 神宮前BONOBO
8/10 FRUE -Space is the Place- @ 代官山UNIT
8/16 SUPER X @ 渋谷SECO
8/17 BEACH WHISTLE @ 三浦
8/24 THIRD CULTURE @ 静岡EIGHT&TEN
8/31 11th ANNIVERSARY @ 中野HEAVYSICK ZERO
9/7~8 PARAMOUNT @ 山梨さがさわキャンプ場
9/21~23 CHILL MOUNTAIN @ 大阪荒滝キャンプ場


1
UNKNOWN - BENGA BENGA - PORRIDGE BULLET

2
Sir Victor Uwaifo - Guitar-Boy Superstar - Soundway

3
COTTAM - Ire Works - SOUND OF SPEED

4
Ata Kak - Daa Nyinaa - AFRCAN SHAKEDOWN

5
FUSHIMING - HEAVY MOON EP - HOLE AND HOLLAND

6
DELTA THREE - δδδ - COREHEAD

7
HOUSEMEISTER - CHEERLEADERS - allyoucanbeat

8
The Glitz - Woven - Voltage Musique

9
Stephan Bodzin - Bremen-Ost - Herzblut

10
Collective Machine - El Amor - Moan

Washed Out - ele-king

 チルウェイヴは、ベッドルームを「現場」に変えた音楽ムーヴメントだ。ベッドルームで生まれ、ベッドルームから発信され、ベッドルームで聴かれ、世界中のそれをつないだドリーミー・(シンセ・)ポップの一大潮流。だが、だからこそ、「そんなところにこもってないで現実を見ろ」と繰り返し問われつづけてもきた。

 ベッドルームは社会からの退却点であるか否か? チルウェイヴを支持するブロガーたちは「ここが現実ですけど?」と主張し、アーティストたちはただアルカイックにドリーミー・ヴァイブを生みつづけた。決着はともかく、こうした議論を含んだことで、チルウェイヴは時代の音としてのリアリティとコンセンサスとを得るにいたる。彼らの音はさまざまなジャンルをまたぎ、やがて「ヒプナゴジック(入眠)」なるマジック・ワードが登場して一切合切にオチをつけるまで、シーンには嗜眠的なムードと柔らかなサイケデリアが広がりつづけた。

※アンビエントやダブ、ドローンといった手法さえ、この文脈でずいぶんと一般化され、カジュアル化されたことは周知のとおりだ。実際のところ、パンダ・ベア以降のサイケデリック・ミュージックが示したユーフォリックな感覚を、今日につづくベッドルーム/ドリーム・ポップの流行へと咀嚼・拡張し、新しいリアリティとして提示することができたのは、まず何より彼らではなかっただろうか?

 ウォッシュト・アウトは、この流れを象徴するアーティストのひとりである。というか、チルウェイヴという呼称自体が、彼の『ライフ・オブ・レジャー』のために作り出されたようなものでもあった。それで、今日にいたるまで彼自身も繰り返しエスケーピズムの是非をめぐって追及されることになる。

 だから、筆者が彼の新作に望むものはけっして「新傾向」などではなかった。わたしはただ証明してほしいと思う。あのEPが世に出てから、彼とわれわれが過ごしてきたベッドルームの5年間が、間違いではなかったということを。チルウェイヴを象徴し、逃避的音楽のアイコンとなったあのEPの時間の先を、彼が「元気に」生きているということを。その限りでは新傾向でもなんでもいい。チルウェイヴの季節が終わっても、ウォッシュト・アウトは生きている、われわれも生きていかなければならない、さらに遠くへ逃げるのか、逃げるのをやめるのか、そのことがうやむやにならない音を聴きたいと思っていた。

 はたして、彼の回答は「パラコズム(Paracosm)」である。泣ける答えだ。

 これは空想の世界を意味する言葉だそうだ。幼年期からしばらくのあいだにかけて発達するという、別世界の創造体験。ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン本人の説明によれば、「ここにある現実で起きていることが二の次になってしまう」、「白昼夢に耽りすぎている人たちのこと」......とすると、これはつまり、現実逃避と向かい合いつづけるのだという、ウォッシュト・アウトいまひとたびの宣言ということになる。

 胸が熱い。しかしまた、少し意外でもあった。なぜ意外かといえば、彼らの体現するエスケーピズムは「大して強くない」ことが特徴だったからだ。ひきこもるといっても、母親が怯えながらドアの隙間に食事を差し入れなければならないような反世界的な力はないし、クスリを一発キメて別の世界に飛ぶというニヒリズムもない。それはもっと優しくて弱くて、普通の人間の生活実感にあふれた逃避感覚だった。リーマン・ショックのあおりを受けて就職がままならなかった20代の、しかし実家暮らしで差し迫った生活の危機はないという境遇の、平凡な憂鬱......。

 だから、新作ではグリーン自身がずっと問われつづけてきたエスケーピズムへの批判や反応を部分的に受け入れ、社会性を回復していくという筋書きを漠然と思い描いていたのだ。ウェル・プロデュースなR&B、レトロな意匠のディスコ、あるいはバンド編成でのロック・アルバムという線もあるかもしれない。人生はまだまだ長い、青春を終えてしまった自分たちにとっては、そろそろ世間とうまくやっていく道を手探りすべきタイミングがめぐってきている。なんて具合の音が鳴らされているんじゃないか。

 しかし、ウォッシュト・アウトはそうしなかった。『パラコズム』はあくまで『ライフ・オブ・レジャー』を肯定し、その自然なつづきを描くアルバムだ。ほとんどの楽器をプログラミングではなく生演奏で録っているが、それは夢をもっと現実らしい夢に塗り直しているという点で業が深い。

 ジャケットを飾る花々の鮮やかな色彩。それは"パラコズム"のハープやストリングスの彩りそのままであり、"グレイト・エスケイプ"のダブルベースはさながら肉厚の花弁、その繊毛をそよと揺らしていくのが"フォーリング・バック"のアコースティック・ギターだ。16ビートを刻むハットは浜風、メロトロンはむせるような花々の香り、"フォーリン・バック"のノスタルジックなイントロ(ヴァン・モリソンの影響というのは、たとえばこうしたところに感じられる)は、その美しい背景を構築する。

 手に取れるように鮮明な夢である。オキーフの花々がそうであるように、こんな花々は実在しない。その実在することのない色を、ウォッシュト・アウトはたしかな筆致で塗り重ねた。『ライフ・オブ・レジャー』においてはチープなローファイぶりに意味があったが、レゲエやアフロ・ポップを意識するようにリズムに豊満さを備え、16ビートも心地よく洗練され、よりフィジカルな快楽性を増した今作は、彼の重ねてきた「逃避的な」時間に十分な厚みがあったことを証している。

 ぶっ飛ぶためのサイケデリックではない。そんなことではどこにもいけないと歴史的に証明されてしまったあとの世界の、醒めてここにいつづけるためのサイケデリック・ミュージック。それがそもそも彼らの音でありチルウェイヴではなかったかということにあらためて思いいたる。インターネットのためにベッドルームの状況も変わり、そこは必ずしも世界を遮断する場所ではなくなった。パンダ・ベア『パーソン・ピッチ』のインナーには、自室に鎮座する彼のPCが象徴的に写し出されているが、それはベッドルームが世界への入口かもしれないという、いまを取り巻く環境の喩のようですらある。チルウェイヴの源流にあるあの名盤から、閉じながら開かれるベッドルーム・ポップへとサイケデリックの読み替えが行われたこの数年の成果をわれわれはまだ手放すわけにはいかない。

 彼の音の浮遊感は、上昇というよりは落下の感覚だ。自由落下。行くところまで行って止まる。なるようにまかせる。詞にもそうしたモチーフが頻出する。思えば、最初に今作を聴いて「やっぱりウォッシュト・アウトは信頼できる」と感じたのはこの落ちる感覚を手放していなかったからだったのかもしれない。昇ってほしくない。というか、じっと落ちることについて感じ、考えていてほしい。昇ることからは引き出せない種類の知恵と、誰も不幸にならない落ち方とを示してほしい。"ドント・ギヴ・アップ"だなんて、なんと美しい逆説だろう。筆者には諦めることを諦めないというふうにしか読めなかった。それがアルバム中もっとも心地よく、ポップスとしての完成度を備えた曲であることが頼もしい。

 ここのところ通勤の山手線は完全にヴァカンスへと赴く人々のムードで常ならぬ高揚感を運んでいるが、「夏までにどうしても出したかった」とウォッシュト・アウト本人が述べるように、"ドント・ギヴ・アップ"はイヤホンのなかで夏の車中にしっくりと馴染みながら、それを洗うようにも鳴っている。この曲があれば、日常が戻り、秋がくるのもこわくない。

Housemeister - ele-king

 ナイアガラのクラウス・ワイスやガビ・デルガドーのソロ・アルバムなど、ジャーマン・ファンクにはまったくといっていいほど揺れがなく、ダンス・ミュージックとしてはかなり厳しいものがある。同じことがジュークを取り入れたジャーマン・エレクトロのハウスマイスターにも言える。

オープニングは"東京"。


 4作目はタイトルにもなっている通り、DJで世界を回りながら、それぞれの土地でOP-1だけを駆使してつくったそうで、なるほどジュークの質感は上手くトレースされている。チープで痙攣的。ジャーマン・エレクトロとして考えれば、ディプロを意識したらしきシャラーフトーフブロンクスに続く新機軸と言える。

M4"ニュー・ヨーク"。


 リズムに揺れがないからといって、楽しめないということはない。同じようにつくろうと思ったかどうかもわからないけれど、同じようにつくれないからこそ違う良さが出てくることもある。ジュークが基本的にセクシーな音楽だとすれば、『OP-1』で肥大しているのは過剰なまでのガジェット性である(ホルガー・ヒラーやダー・プランがもしもジュークをやったら......)。

M6"メキシコ・シティ"。


 ドイツ人の笑いというのは、それにしても不自然である。放っておくと観念論に走りやすいので、異化効果をもたらすためにはどうしてもそうなってしまうと三島憲一だったかが書いていた覚えがあるけれど、そのこととリズムに揺れがないこともどこかで繋がっているのだろうか。日本人がつくったハウスは重すぎてつなげないとはよく言われるし、きっと日本人がつくるジュークにも特有の民族性は滲み出てくるだろうから、それはもう少し先の楽しみということで。

M8"シカゴ"。


 ジュークのご当地である"シカゴ"では、むしろドイツっぽい曲になり、"モントリオール"はフザけすぎ(最高!)。そして、エンディングはなぜか"大阪"で、"東京"に比べて、妙にアグレッシヴだったり。やっぱりそれぞれの土地柄を表したということなんだろうか......。

 南アのアヨバネスやポルトガルのリスボン・ベースといった新興のエレクトロニック・ダンス・ミュージックを聴いていると、ジャーマン・テクノと大して違わないと思うことが多い。あるいは『OP-1』も、そのような南半球寄りのダンス・ミュージックに聴こえてしまう面が少なからずあり、実際、何の気なしに続けて聴いたヴェネズエラのダンス・ミュージック、チャンガ・トゥキと最初は見分けがつかなくなって、少し混乱もした。


https://soundcloud.com/bazzerk/bazzerk-changa-tuki-classics

 フランスのDJチーム、ジェス&クラッブがアンゴラ起源のクドゥロをまとめた『バザー』(2011)に続いてコンパイルした『チャンガ・トゥキ・クラシックス』はしかし、どちらかというとバイレ・ファンキを思わせるところが多く、これにDFCチームが"スエーニョ・ラティーノ"(89)に続いて仕掛けたラミレスやディジタル・ボーイなど90年代初頭のハード・テクノを注入したような曲が多く、ライナーによれば現地では猛禽に喩えられる音楽だという(DJババによればテクノトロニック"パンプ・アップ・ザ・ジャム"(89)が起源だそうで、確かにDJイルヴィン"ポポ・サウンド"には強い影響が聴き取れる。また、チャンガとトゥキは当初は違うジャンルだったらしく、興味のある方は長~いライナーノーツを参照のこと)。

 ディジタル・クンビアやシャンガーン・エレクトロなど南半球に存在する他のエレクトロニック・ダンス・ミュージックに較べてチャンガ・トゥキは圧倒的にハードだし、途上国に対して抱くようなエキゾチジスムは最初から打ち砕かれてしまう(......どこにもないとは言わないけれど、しかし、ほとんどないに等しい)。それこそアフリカで最も人気があると言われるヒップ・ホップのMCが完全にUSのコピーでしかなくなってしまったのと同様、そういったものはもはや過去にしか存在しないか、むしろ先進国でデラシネとして息を吹き返すしかないのだろう(女性の割礼=FGMが数字の上ではフランスで増えているように......)。

 いずれにしろ現在のヴェネズエラはここに炙り出されているような強い性格の国なのだろうと思うだけである。チャベスが死んでからのことはよく知らないし、行ってみたいと思うわけでもないけれど、スノーデンが最初に亡命を申請したということは、いまでも反米の拠点か、そのように見做されているということだし、それだけのエネルギーが『チャンガ・トゥキ・クラシックス』から聴こえてくることは間違いない。

Vol.9 「Razer Edge」 - ele-king

 

 みなさんこんにちは。夏真っ盛りですね。今回は少し趣旨を変えて、いつものゲーム・ソフトではなく、ハードウェアの方を取り上げたいと思います。というのも、面白いガジェットを手に入れたのですよ。

 それが上記写真のこちら。まるでiPadの左右に無理やりコントローラーを付けたかのような豪快なデザインのこのガジェットこそ、今年3月末に発売された、PCゲームが遊べるタブレットPC(史上初!)、「Razer Edge」です。

 近年多種多様な機種が出ているタブレットPCですが、その中でもRazer Edgeはトップ・クラスのスペックを誇り、また専用のゲーム・パッドと組み合わせれば、まさに携帯機さながらの感覚で最新のPCゲームを遊ぶことができるのです。いままでこういうハードウェアはありませんでした。

 これを作った〈Razer〉というメーカーは、マウスやキーボード等PCゲーム用の周辺機器を中心に手掛けていて、普通のコスト感覚から外れたハイ・スペックと高価格を併せ持つ、変態的デバイスを数多く世に送り出しています。かく言う僕もこのRazer Nagaという17ボタンマウスには、趣味と仕事の両面でお世話になっています。何かもう17ボタンって聞くだけで変態的でしょ。

 
12個のテンキーをそのままサイドにくっつけた暴力的とも言えるデザイン。しかしこれが意外と使いやすいんです。

 そしてこの『Razer Edge』もご多分に洩れず、じつに〈Razer〉らしい変態的な製品です。ていうかまぁ、変態なのは見るからに明らかなのですが、外見以外でも、たとえば価格は本体が約14,5000円に専用のゲーム・パッドが2,4000円と、ゲーム機としては有り得ない高さ。また本製品はアメリカとカナダの限定販売だったので、今回僕は輸入代行業者を挟んで購入し、その手数料や送料も含めると総額180,000円以上になりました。知り合いにこの話をしたら「命懸けてるね」と言われましたよ。

 いやー、でも、外でPCゲームを遊びたかったんですよ。普段忙しくてゲームをやっている暇がなかなか無いから、せめて電車のなかとか移動中の時間を有効活用したかった。それに本製品のOSはWindows 8なので、持ち前のハイ・スペックと組み合わせるといろいろと遊べるんじゃないかという期待もありました。

 果たしてRazer Edgeはそんな期待に応えられる製品だったのか。180,000円も出すに値するものだったのか。そこのところを今回のレヴューで明らかにしていきたいと思います。

『Razer Edge』のプロモーションビデオ。大体どんなものかわかるはず。

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■ゲーム機としてのRazer Edge

 さっそく、ゲーム機としてどうなのよって点について語っていきたいと思いますが、その前に基本的なスペックの説明をすませましょう。

 Razer Edgeには複数のモデルがありますが、今回僕が手に入れたのは最上位に当たる「Razer Edge Pro 256GB」。CPUはCore i7-3517U 1.9GHz、メモリが8GB DDR 3、256GBのSSDにディスプレイが10.1インチで解像度が1364x768、さらにそこにグラフィック・カードのGT 640M LE(2GB DDR3)が加わり、そこらのコンバーチブルPCと同等以上のスペックを誇ります。

 なので、約14,5000円の本体価格も、ゲーム機としてとらえるとギョッとしますが、本製品と同等のスペックのコンバーチブルPCの価格と比較すると決して法外な値段ではありません。ただしゲーム・パッドの方はぼったくってますね。これ単体で2,4000円というのは正直有り得ないと思いますが、これが無いと本製品の真価が発揮されないので仕方がない。

 
本体の外見は厚めのiPadといった感じ。〈Razer〉にしてはシンプルなデザインに好感。

 さて肝心の使い心地ですが、良い点から挙げると、まずは没入感がとても高い。ディスプレイの大きさも解像度もタブレットPCとしては最大級ではありませんが、ゲーム・パッドを装着して持ったときの視界の占有率はとても高く、市販の携帯ゲーム機を遥かに凌駕しています。それこそ感覚的には24インチのディスプレイで遊ぶときとほとんど遜色ありません。

 実際にゲームを遊んだときのパフォーマンスはまずまずといったところでしょうか。いくらタブレットPCとしてハイ・スペックとは言え、最新のPCゲームを最高画質で且つ60FPSで動かすのは不可能です。どうしても動かしたい場合は相当設定を下げざるを得ません。

 ただし30FPSを基準にすれば、最高設定とまではいかないものの、かなりの品質を出すことができます。これは人によって考えが違うとは思いますが、現行のコンシューマ用のゲームがほとんど30FPSで動いていることを考えれば、コンシューマと同等のパフォーマンスでより高い品質で遊べる、というふうにとらえればアリかな、というのが僕の感想です。

 あまり専門的な話にしたくないので今回は詳細なベンチマークは行いませんが、あくまでもザックリとした観測として30FPS基準で大体これぐらいの画質で動くよ、という感じで最近のゲーム4本のスクリーン・ショットを用意しました(クリックで拡大できます)。

 
『BioShock: Infinite』は今回の4本のなかでは最もコスト・パフォーマンスが良かった。グラフィックス設定をすべてHighにしても30~40FPSを維持し、快適に遊べた。

 
次いでパフォーマンスが良かったのがウクライナ産ポスト・アポカリプスFPSの『Metro: Last Light』。SSAAとTessellationをオフにする以外はすべて最高設定。これで屋内はほぼ30FPS以上を維持。屋外では20FPS代前半に落ち込む場面もあり。

 
いちばん厳しかったのが『Crysis 3』。PCゲーム・グラフィックスのベンチマーク的存在の同作は、元々重いこともあり、30FPSを出すにはすべての設定を中以下に落とす必要があった。

 
脱メスゴリラを遂げた、等身大のララ・クロフトが売りの新生『Tomb Raider』。画質は簡易プリセットのままではコスト・パフォーマンスが良くないが、各項目を個別に設定すれば大分改善される。

 もうひとつ良かった点が、〈Steam〉のゲームを遊ぶ際のSteam Cloudによる連携ですね。最近の〈Steam〉のゲームはセーブ・データをクラウド管理でき、すべての環境でそれを読み出すことができます。これを利用することで、ひとつのゲームを出先ではRazer Edgeで遊び、家に着いたら続きをデスクトップPCでやるといったことが可能なのです。まさにハードウェアに縛られないクラウド時代ならではのゲーミングと言え、じつは今回いちばん感動したのもこの点でした。

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■携帯し難い携帯機

 良い点を先に挙げてみましたが、悪い点ももちろんあります。というか、本製品は良い点も相殺しかねないぐらいの弱点を抱えており、それはズバリ物理的に重くて長いということです。

 まず重さ。本体自体が約960gでiPad 2の1.5倍近い重さがあり、これにさらにゲーム・パッドを装着すると約1.9kgになる。それを左右のグリップで支えると手首にとても負担が掛かります。とてもじゃないけど普通の携帯機と同じ感覚で持つことはできず、座って膝に置くなり何らかの支えが不可欠です。

 次に長さ。これも本体だけなら約280x180mmとiPadより少し細長い程度なのですが、ゲーム・パッドを装着すると横幅が約410mmになります。これは電車の座席で利用すると両サイドに手がはみ出る長さ。普通に迷惑であり、使う際は状況をよく考えなければいけません。

 またこの長さは持ち運ぶ際にも何かと不便。まずリュックサックは必携。個別のケースにしてもゲーム・パッドを装着したときの約410x190mmという変則的な大きさをピッタリ収めてくれるものは見つかりませんでした。ここは公式でケースを販売してほしかった。

 
持ち運びが不便な携帯機。良くも悪くも常識を打ち破っていると言える。

 加えてバッテリーの短さについても触れておかなければなりません。平常時は大体4~5時間程ですが、いざゲームを動かすと、保って1時間半といったところ。ヘヴィなゲームを動かすには大量に電力が必要なのはわかりますが、これだけ短いと携帯機としては何とも心許ない。一応ゲーム・パッド側に内臓させる拡張バッテリーも別売りされていますが、それを積むとさらに重くなるというジレンマにも悩まされます。

 要するに携帯機としてはあまりにも取り回しが悪すぎるわけです。ただ、これについては初めからわかっていないはずがなく、普通は取り回しも考えてベターな仕様に着地させるものを、たとえ本末転倒になっても極端な大画面・高性能に舵を切ってしまうのが〈Razer〉らしいというか、変態たるゆえんだと思います。

 良さも悪さも理解した上で、それでも使いたいやつだけが使えばいい。むしろこれだけ高額のものを購入した時点で、覚悟はできているんだろ? そうとでも言いたげな開き直りさえ感じます。

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■タブレットPCとしてのRazer Edge

 ここまではゲーム機としてのRazer Edgeについて触れてきましたが、前述したように本製品はそれだけに留まるものではありません。ここからは汎用タブレットPCとして見た場合にどうなのかという点について書いていきましょう。

 ズバリ言ってしまえば、本製品のタブレットPCとしての最大の長所であり同時に短所でもあるのは、OSがWindows 8であるということです。

 周知のとおり、Windows 8は新たにタッチパネル操作に最適化されたModern UIが採用されていますが、使い勝手は良くありません。というか、従来のデスクトップ型のUIと混合していて、両者を行ったり来たりするのが非常に煩雑なのです。

 
Modern UIもそれだけなら決して悪くはないのだが......

 それを象徴しているのがWin 8版Internet Explorer 10。こいつはなんとModern UI版とデスクトップ版の2種類が混在している。Modern UI版はタッチパネル操作に最適化されていますが、履歴機能が欠けており、また一部動作しないプラグインもあって、ブラウザとして十分ではありません。

 一方のデスクトップ版はModern UI版の物足りなさはありませんが、各ボタンが小さくてタッチパネル操作では使い難い。さらにModern UI版とデスクトップ版はCookieやブックマーク等の情報が共有されない!

 こうしたちぐはぐさはOS全般に見られ、何をするにもまずはこのオペレーションの煩雑さに慣れなければいけません。Windowsではいまにはじまった話ではありませんが、改めて普段使っているiPhoneとの差を実感してしまう次第です。

 ただしどんなに腐ってもWindowsであり、巷に溢れる多種多様のソフトウェアやハードウェアを使うことができるのが何よりの利点。従来のWindowsと同じく、OSそのものの煩雑ささえ克服できれば、スペックの高さも利用していろいろなことができるでしょう。

 ゲーマーとしてまず思いつくのが、Frapsを使ったスクリーン・ショットや動画の撮影。またはゲームの内部データを弄ったり、ネットからMODをダウンロードしてきて適用したりも思いのままです。

 しかしそれ以上に僕がやりたかったのが、Photoshopを動かして絵を描くということ。これさえできれば僕にとってはPCで行うことのおよそ8割が実現できるも同然なのです。とは言えPhotoshopを十分に使うにはさまざまな周辺機器も不可欠です。マウスとかキーボードとかペンタブレットとか。そんなわけで、半ば強引に必要なものを揃えてみました。

 
何か根本的に間違っている気がする。

 じゃん。出オチ感が半端ないですが一応解説すると、マウスは例の17ボタンのRazer Naga、ペンタブレットはIntuos 4のLargeとそれぞれ普段愛用しているものを転用。キーボードはBuffaloのワイヤレス・キーボード、SRKB04BKを新調。テンキー付きで大分横長ですが、そもそもRazer Edge自体横長なので、いっしょに持ち歩くなら関係あるまいとこれを選択。またRazer Edge自体はひとつしかUSBポートがないので、ElecomのUSBハブ、U3H-A401BBKも合わせて用意。

 結論から言えばPhotoshopを動かすこと自体は可能でした。今回この連載のタイトルバナーを新調しましたが、この絵の原寸が4320x2080px。これだけの大きさの画像でも軽快に動作し、ほぼストレス無く作業ができたのは感激です。ただし前述した本製品の携帯機としての意義以上に、本末転倒感が拭えません。

 少なくともこういうことをやるのであれば、ゲーム・パッドと同じくアタッチメントとして販売されているキーボード・ドックやドッキングステーションが必要不可欠でしょう。またマウスとタブレットもさらにコンパクトで且つワイヤレスにするのが望ましい。言うまでもないことですが、今回のセッティングはまったく実用的ではありません。

 理想は液晶タブレットのようにタッチパネルを直接ペンで操作できることですが、現状のスタイラスペンでは実用に耐える精度は出せませんし、この辺は今後の技術向上に期待といったところでしょうか。PCゲームの携帯化が実現できたいま、僕が次に待ち望むのはCG制作環境の完全な携帯化に決まりました。

 
ちなみにRazer Edgeでの制作は早々に切り上げ、結局普段通りデスクトップでの作業に戻っていきました......

■まとめ

 個人的には、この『Razer Edge』は大満足です。180,000円出した価値はありました。やはりPCゲームを野外で遊べるというのは、他には代え難い体験です。しかしその体験を得るために犠牲にしなければいけないこと、克服しなければいけない課題がたくさんあり、その点で他人にはまったく薦められないデバイスなのも確か。これは一般人を端から度外視した、どうしても使いたいやつだけが使うものなのです。

 ただこうしたゲーム体験は現状こそ『Razer Edge』のみで得られる特異なものですが、あと数年すればわりと近いことは一般のタブレットPCでもできるようになるんじゃないかと僕は思っています。先日iOS7がゲーム・パッドへの正式対応を発表し、それとともに出回った装着型のゲーム・パッドの画像は、まんまRazer Edgeを彷彿させるものでした。一般向けタブレットPCの性能向上も著しく、そう遠くないうちに現行機レベルのゲームをそこらのタブレットPCで動作させられる環境が整ってくるはずです。

 そんな、来るかもしれない未来を想像しつつ、現状においてはその未来を唯一体現できるこのRazer Edgeを、僕はこれからも満喫したいと思います。


P.S.
本記事でもサラッと触れましたが、今回長らく仮のままだったタイトル・バナーを一新しました。日本人の立場から洋ゲーを遊ぶ、レヴューするという意味で、日本的美少女を中心にした絵になりました。

 装いも新たにした当連載を、引き続きよろしくお願い致します。
 

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