「Lea Lea」と一致するもの

Chart by JET SET 2012.03.12 - ele-king

Shop Chart


1

SEAHAWKS

SEAHAWKS AFTER SUNRISE (INVISIBLE SUNRISE REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
Jon Tye & Pete Fowlerによるバレアリック人気ユニットSeahawks。昨年リリースされたセルフ・レーベル"Ocean Moon"からの最新アルバム『Invisible Sunrise』の収録2作品を、Rub' N TugのDr. DunksとGatto Frittoがリミックスした話題盤が遂に入荷!!

2

TERRENCE PARKER

TERRENCE PARKER MUSIC WORKS VOL.4 »COMMENT GET MUSIC
デトロイト・ハウス・ベテランTerrence Parkerによる主宰レーベル最新作。セルフ・トラックのエディットを筆頭に、高揚感漲るTerrence Parker節のハウス・トラックを3楽曲収録。前3作同様、お勧めの一枚です。

3

DEAD ROSE MUSIC COMPANY

DEAD ROSE MUSIC COMPANY FOUR SONGS EP »COMMENT GET MUSIC
Sleazy Beatsからの前作「Moody Manoeuvres EP」が大好評頂いたThe Dead Rose Music Companyによる4作目のシングル。B.I.S.にてTim Sweeneyもプレイ済みのA-1&B-2がお勧めです!!

4

NO MILK

NO MILK ONE TIME OR ONE MORE TIME EP »COMMENT GET MUSIC
レーベル前作「Foots」でのリミックス・ワークや、YoreからリリースされたKez YM & Rondenionとのコンピレーション楽曲も最高なグルーヴだったNo Milkによる待望の最新作。Tokyo Black StarのIsao Kumano氏によるマスタリング済み!!

5

RONDENION

RONDENION DEVOTION »COMMENT GET MUSIC
Kez YMによる前作「Stride EP」に続く"Faces Records"最新作は、セルフ・レーベル"Ragrange Records"や"Rush Hour"、"Bosconi"作品で人気を博す日本人アクトRondenionによる新作3トラックス。

6

BURIAL

BURIAL KINDRED EP »COMMENT GET MUSIC
ご存じFour TetやThom Yorke、Massive Attackらとのコラボ作でもお馴染みのポスト・ダブステップ最強クリエイターBurialがメガヒット"Street Halo"以来となる新作を完成しました!!

7

JAMES BLAKE

JAMES BLAKE LOVE WHAT HAPPENED HERE EP »COMMENT GET MUSIC
ご存じUKベース・ポップ人気者James BlakeがJoni Mitchellカヴァーも収録の『Enough Thunder』以来となる新作をベルギー名門R&Sからリリース。

8

NITE JEWEL

NITE JEWEL ONE SECOND OF LOVE »COMMENT GET MUSIC
2012年最重要作!Nite Jewelの極上セカンド・アルバム!!!

9

TWIN SISTER

TWIN SISTER KIMMI IN THE RICE FIELD (REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
アルバム『In Heaven』収録曲のUK盤のみのリミックスEP。Balam Acabによるドリーミー・スクリュード・ビーツA-sideがメチャクチャ最高!!

10

POLONAISE

POLONAISE TROCADERO »COMMENT GET MUSIC
Polonaiseのソロ・デヴュー・シングル!

DJ RS - ele-king

<DJ SCHEDULE on MARCH>
3/1 BACK TO CHILL @asia
3/3 Chemical Monsters @ballo ballo
3/4 TOPSHOP 原宿 INSTORE DJ
3/10 BOY 3rd Anniversary Party @Chelsea Hotel & Star Lounge
3/24 SOUNDGIRL KILLA Release Party @Stock (神戸)
3/29 TO GOTHICS @WAREHOUSE 702
3/30 SOUNDGIRL KILLA Release Party @AIR (福岡)
3/31 Laguna Bass @MODULE

近年かなりお世話になっているトラック10


1
DJ NARROWS - Emancipate
ダークなガラージュを作らせたらこの人の右に出る者は居ないと思う。

2
DJ100mado - Kago no tori
100mado氏が先日のDommune出演時にかけた際衝撃を受けた一曲。後日フリーダウンロードで公開されmado氏のトラックだと知り更に衝撃を受ける。危ない。

3
JEUCE - As We Move (Kastle Remix)
特にここ一年間のKastleのトラックはずば抜けてイケてて外れが無い。切ない。

4
J-Sweet - Can't Stop My Grime
楽曲自体はだいぶ前にできていたはず。何年かずっと待って遂に先日リリース。タイトルも良い。

5
Wiley - I Luv U
なんだかんだでやっぱりファーストでしょう。

6
Boy Better Know - Too Many Man
これをかけない時が無いくらい勝手に自分のパーティーアンセムにしてる一曲。
ロンドン滞在時に国民人気の圧倒的な高さに驚いた。

7
Deadboy - U Cheated
この人ぶれなさすぎる。

8
Roska & Jamie George - Love 2 Nite
同じUKFでもDeadboyとは違って心底明るいRoska。

9
R1 Ryders - Hydraulic
ここぞという時に毎回かける一曲。年末に出たNew EPも良い感じ。

10
Swindle - Airmiles
最近のDUBSTEP路線も好きだがこの時のSwindleがダントツでかっこいい。またこういうテイストのトラック希望。

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1

JOAQUIN JOE CLAUSSELL

JOAQUIN JOE CLAUSSELL UNOFFICIAL EDITS AND OVERDUBS VERY LIMITED 7" PACKAGE SACRED RHYTHM MUSIC / US / 2012/3/1 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!「UNOFFICIAL EDITS AND OVERDUBS」シリーズからリミテッド7"!レアグルーヴ・クラシックのグレイト・リエディッツ!共に7分越えのDJユース仕様です◎

2

UCND / DJ SHINYA

UCND / DJ SHINYA MORONDAVA / SK.HIGH NNNF / JPN / 2012/2/21 »COMMENT GET MUSIC
SOFTのメンバーUCONとKNDによるライブ・セッション・ユニットUCND(ウコンドウ)待望のスタジオレコーディング音源、そしてその UCNDも幾度となくライブ・セッションを重ねてきた京都発ブラック・ミュージック・パーティー「BUTTER」主宰DJ SHINYAによるラグドなレアグルーヴ・エディットがカップリング7"リリース!

3

VEDOMIR

VEDOMIR VEDOMIR EP SOUND OF SPEED / JPN / 2012/3/1 »COMMENT GET MUSIC
EDDIE C、KERRIER DISTRICT a.k.a. LUKE VIBERTと確かなメンツの好リリースが続いた<SOUND OF SPEED>のアナログ・シリーズに、現行ハウス・シーンの次世代最注目株VAKULAが変名VEDOMIRで登場!

4

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO LOOK AROUND THE CORNER TRU THOUGHTS / UK / 2012/2/18 »COMMENT GET MUSIC
過去に幾度と無く共演を果たしてきた盟友ALICE RUSSELLのヴォーカルを中心に、コロンビア移住後結成された南米/ラテン系の一流ミュージシャン集団THE COMBO BARBAROによる演奏がバックを固める鉄板布陣で制作された最新アルバム「LOOK AROUND THE CORNER」からタイトル・ナンバーが先行カット!

5

ANDRES

ANDRES NEW FOR U LA VIDA / US / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
<KDJ>や<MAHOGANI>を中心としたリリース作品はいずれも即ソールドアウト、内容も言わずもがなのフューチャー・クラシックな傑作を 数多く残してきたデトロイトの至宝=ANDRESが遂にセルフレーベルを立ち上げ、その第1弾をリリース。

6

YA△MA

YA△MA INTO THE LIGHT CLAZY MARKET / JPN / 2012/2/25 »COMMENT GET MUSIC
昨年夏にリリースされた傑作ミックス「BEFORE THE WIND」の超限定USBパッケージに搭載されていたサウダージなレアグルーヴ~ワールド・ミュージックを詰め込んだチルアウト・セットなミックスが多く のご要望により待望のCD(R)リリース!

7

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA SPLIT EP CROSSPOINT / JPN / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
ワールド~ラテン/ジャズを包括する至高のNYアンダーグラウンド・ミュージック!鬼才KIP HANRAHANプロデュースによる03年作をライセンス・アナログ・リリース!from <CROSSPOINT>

8

V.A.

V.A. MAGIC WAND VOL.4 MAGIC WAND / UK / 2012/2/29 »COMMENT GET MUSIC
「バレアリック」をキーワードに面白良質エディットを展開する好シリーズ!当店人気の<IS IT BALEARIC?>限定オフシュート・レーベル<MAGIC WAND>第4弾!

9

CHUBBIE BOOTS

CHUBBIE BOOTS THE CRACKS ARE STARTING TO SHOW AUDIO PARALLAX / UK / 2012/2/29 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!絶妙なカットアップ/サンプル・チョップ感が素晴らしいスローモー・ブギー/ロービート4トラック!オーストラリアの注目新人クリエイ ターCHUBBIE BOOTSアナログ・デビューEP。

10

GANG COLOURS

GANG COLOURS FANCY RESTAURANT BROWNSWOOD / UK / 2012/2/18 »COMMENT GET MUSIC
メランコリーなエレクトリック・チルアウト・ダウンビーツ推薦盤!JAMES BLAKEに続く次世代ポスト・ダブステップ/エレクトロニカ・シーンの才能GANG COLOURSセカンド・シングル!アンビエント/チルアウト方面へもアプローチ可能な独創的グルーヴ感で展開する絶品フューチャー・ジャズ・ソウル!

CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party - ele-king

 ジェシー・ルインズの音は、『ガーディアン』に言わせると「噴火する火山のサウンドトラックとしてのある種のドゥーム・レイデン・ポップ」だそうで(破滅に苛むポップ......とでも訳せばいいのか?)、まあ、何はともあれ、東京のレーベル〈コズ・ミー・ペイン〉のインパクトはじょじょにだが、確実に伝わっている。ジェシー・ルインズはUKの〈ダブル・デニム〉からインターナショナル・デビューを果たし、もうすぐUSの〈キャプチャード・トラックス〉からデビュー・アルバムが発表される。ビューティは〈クルーエル〉から12インチを出して、5月には同レーベルよりデビュー・アルバムが出る。いよいよ〈コズ・ミー・ペイン〉の時代か!
 レーベルは3月、2年ぶりのコンピレーション・アルバム『Compilation #2』をリリースする。チルウェイヴ、ダークウェイヴ、ウィッチ・ハウス......そしてその次を狙った内容で、ファーストにくらべてずっと躍動感のある、ダンサブルな内容になっている。ちょっと〈100%シルク〉あたりとも共振しているというか。ちなみにコンピにはロスの〈ノット・ノット・ファン〉からデビューしたSapphire Slowsも参加。
 3月9日にはそのリリース・パーティがある! ジェシー・ルインズはライヴ演奏する。ドゥーム・ポップな夜かどうかはわかりませんが(笑)、インディ・キッズならずとも、超注目なのは間違いない!

2012年3月9日(金)
―CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party―
at 三宿Web
OPEN/START 23:00-
DOOR 1,500円(1ドリンク付き)

■Live :
JESSE RUINS

■Dj : (A to Z)
APU (After Dark)
IWATA(Anarushin)
NITES (Jesse Ruins)
ODA (The Beauty / FaronSquare)
SCUM BOYS
TSKKA (Masculin)
YYOKKE (FaronSquare / :visited)

info:
[三宿Web] https://www.m-web.tv/index2.html


V.A.
CUZ ME PAIN Compilation #2
CUZ ME PAIN
発売日予定日:2012年3月14日

CUZ ME PAIN Compilation #2 特設サイト
https://cuzmepain.com/cmp2/

CUZ ME PAIN WEB
https://cuzmepain.com/


Tracklist
- Aside
1. Masculin - Ecstasy
2. Faron Square - Sugar Shake
3. Atlas Young - Multiply The Prairie
4. Jesse Ruins - Hera
5. Naliza Moo - Jealous Hearts
6. Nites - While Your Were Sleeping
(Hotel Mexico Remix)

- B side
1. :visited - Touch Your Heat
2. Sapphire Slows - Break Control
3. The Beauty - The Sorrow Of Parting
4. Scum Boys - Lava Lava
5. Nites - Moments Like This Fruit
6. :visited - Sunset Article (Magical Gang Remix)

東京発のインディ・レーベル〈CUZ ME PAIN〉のコンピレーション第2弾! USインディを中心にグローバルな広がりをみせるインディ・ダンス・アクトがここ日本にも! 〈CUZ ME PAIN〉お馴染みのメンバーに、話題のSapphire Slow (Big Love、Not Not Fun)、Jesse Ruins (Captured Tracks、Double Denim)、The Beauty (Clue-L)を収録、そして親交も深いインディ・レーベル〈Second Royal〉一押しのHotel MexicoとMagical Gangがリミックスで参加! 300枚限定ヴァイナル・オンリー!!

Perfume Genius - ele-king

いまも暗闇に生きるひとりひとりへ
文:木津 毅


Perfume Genius
Put Your Back N 2 It

Matador/ホステス E王

Amazon iTunes

 たしかガス・ヴァン・サントの『ミルク』が公開された前後の時期だったと思うが、アメリカでも有数のゲイ・コミュニティ・タウンであるサンフランシスコを有するカリフォルニア州において、いったん認められていた同性結婚を禁止する「提案8号」が住民投票によって可決された。以来カリフォルニアでは同性結婚が認められていなかったはずだが、ついこの間、連邦高裁によってその同性婚禁止こそが違憲であるという判決が下りたという。ニューヨークでの同性結婚の合法化によって勢いがついたのは間違いないだろう。ワシントン州でも成立、ニュージャージー州の上院も通過、アメリカで暮らすゲイとレズビアンはいま追い風を感じているかもしれない(いっぽうでノースカロライナやミネソタなどの州では結婚を男女間のみのものと規定した「結婚保護法」が制定されているらしいので、そう単純な問題でもないのも事実だが)。
 そんななか、シアトルのひとりのゲイ青年は街中で恋人の手を握ることすら躊躇ってしまう自分への苛立ちを歌っている。「混んだ道端できみの手を取り/躊躇なく近くに抱き寄せられたなら」"オール・ウォーターズ"――青年の名はマイク・ハッドレアスといって、ドラッグのオーヴァードーズで死にかけた経験もあるそうだ......が、彼はいまも生きて、震えるような声でゲイとしての生についてひっそりと語りかけてくる。

 パフューム・ジーニアスの歌はあるとき突然発掘された。デビュー作『ラーニング』において、くぐもった音の向こうでノイズとともにようやく聞こえるボロボロの録音で無名のシンガーが歌っていたのはドラッグや自殺や虐待、そして疎外感や息苦しさ、だった。その危うい音質とも相まってそこには簡単に聞き流すことのできない迫力と切実さがあり、しかし同時にその苦しみをどうにか押し止めようとする不思議な穏やかさもあって、母親のベッドルームで録音されたというそれらの歌はまるで身体のなかに染みこんでくるような親密な関係をリスナーと結んだ。優れたベッドルーム・ポップはある種の生々しさを伴いながら、時空を超えて孤独な部屋と部屋を接続してしまう。

 『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』はベッドルーム・ポップではなく、スタジオにプロデューサーを迎えて制作されたミュージシャンとしてのマイク・ハッドレアスの初めての作品である。たしかに音質はクリアになり、ピアノとシンセの長音のなかをメロディがひたすら浮遊するようだった前作に比べれば、より歌としての起伏が感じられる内容になったと言えるだろう。苦悩に満ちた半生を送った母親に捧げられたという"ダーク・パーツ"、毛むくじゃらのマッチョなポルノ俳優と出演したヴィデオが素晴らしい"フード"、これらの曲でピアノの演奏とマイクの歌はそれぞれ明確に役割を自覚し、ピアノ・バラッドとしての美しさに磨きをかけている。"ノー・ティアー"や"テイク・ミー・ホーム"のように明るいトーンの開放感が広がるナンバーもまた、このアルバムのムードを柔らかくしている。
 しかしながら、ここでもパフューム・ジーニアスの歌はひとが好んで見ようとしない暗闇こそを見つめている。それも、マイノリティとして......ゲイとして生れ落ちた宿命のようなものを聴き手の耳元で晒そうとする。オープニングのドリーミーにすら聞こえる"エイウォル・マリーン"でモチーフになっているのは、妻にドラッグを買うためにゲイ・ポルノに出演するオッサンについてだという。"17"は自分の外見的な醜さを恥じる10代のゲイの「遺書」、先述した「明るいトーン」の"テイク・ミー・ホーム"は売春をテーマにしたポップ・ソング......。迷うことのない徹底ぶりで、マイクは社会から転落した人間たち、あるいはあらかじめアウトサイダーとして生を受けた人間たちの呟きを代弁する。いや、ここではほんとうに彼自身の感情としてそれらは発声されていて、だからこそその歌は呼吸が耳を撫でるような親密さでもって迫ってくるのだ。「いらないんだ/このゴツゴツした手も、このおかしな顔も/熟れきって、むくんだ体型も」"17"......パフューム・ジーニアスの痛みに満ちたその告白は、はっきりとその感情を知っているベッドルームの誰かにこそ向けられている。アルバムはそして、とても穏やかで慈愛に満ちた聖歌のような"シスター・ソング"で終わる。そう、ブラザーではなく、シスターだ。「行け、行け/ぼくの特別な人/止まらずに/自分が消えたとわかるまで」

 マイク自身によるアートワークは、60年代の水泳チームの写真から取ったものだそうだ。中央の青年ふたりの口元が覆われている......あらかじめ自分たちの正直な想いが封じ込められたことを表象するように。時代がどれだけ前に進んでも、変わらない苦悩というものがあると言うように。
 その消えない痛みを穏やかなバラッドに変換するパフューム・ジーニアスは、そして愛を求めている。アルバムが"フード"を通過するたびに、僕はその切実さに両の拳を握らずにはいられない。「本当の僕を知ったなら/二度とベイビーなんて呼んでくれないだろうね/ああでもぼくは待ちくたびれたよ/きみの愛が欲しくて」。アントニーのようにハイ・アートの拠りどころもなければ、当然ルーファス・ウェインライトのように絢爛な舞台装置もない。あるのは痛ましいまでのあけすけさと、震える声と呼吸だけ。「僕は闘うよベイビー/きみに間違いを起こさないように」......そう宣言するとおり、マイク・ハッドレアスは闘っている。かつての自分と、いまも口元を覆われて暗闇に生きるひとりひとりのために。

文:木津 毅

»Next 野田 努

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はからずとも彼はその美しさでネット社会の偏狭さを暴く文:野田 努


Perfume Genius
Put Your Back N 2 It

Matador/ホステス E王

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 パフューム・ジーニアスの"フッド"は、本人が意図しなかったにせよ、セックス・ピストルズの"ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン"......、そしてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの"リラックス"と同系列で語ることのできる作品かもしれない。ゲイを強調して売りにすること自体は、欧米のポップ文化において珍しいことではない。ボーイ・ジョージは礼儀正しくやって、フランキーは大胆にやって放送禁止となった。しかしそれとて1984年の話。だいたい性的衝動を武器としながら奇襲を仕掛けたフランキーにとって、ある意味放送禁止こそ望むところでもあった。
 そこへいくとパフューム・ジーニアスの"フッド"のPVがGoogleとYouTubeから削除されたことは、木津毅の次号紙エレキングにおける取材でも明らかにされていることだが、はからずともインターネット社会の限界と偏狭さ、電子空間にさえも権力が目を光らせていることを証した。すでに抗議をうけ、現在では復帰しているものの、リアーナの例の自慰行為のPVは削除されずに、しかしパフューム・ジーニアスを名乗る美少年とポルノ男優とのセクシャルな絡みは当初GoogleとYouTubeという21世紀の自由から見事リジェクトされたのだった。
 パフューム・ジーニアスの"フッド"は、しかし曲を聴けばわかるように、"リラックス"のように敢えて勇敢にタブーに立ち向かったような曲ではない。彼のセカンド・アルバム『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』は、好戦的ではないし、その手の受け狙いの作品でもない。ケレンミのない、誠実で美しいバラード集だ。骨格にあるのはピアノの弾き語りで、それはジェームズ・ブレイクから人工着色を剥いだ姿のようで、アントニー・ヘガティのフォーク・ヴァージョンのようでもある。が、しかし彼の楽曲はブレイクやヘガティよりも滑らかで、音的に言えば、より親しみやすさがある。
 
 言うまでもなく、ゲイ文化とポップ音楽との絡みに関して日本は欧米より遅れをとっている。その民主主義的な観点において、そもそもカミングアウトを(そして動物愛護もドラッグ・カルチャーも)受け入れていない。ポップ音楽もスタイルだけは欧米の模倣だが、その中身、文化的成熟にはまだ遠いと言えよう。が、海の向こうのジョン・マウス、リル・B、マリア・ミネルヴァ......こうした若い21世紀のUSインディ・ミュージック世代は、もうひとつの性の解放に向かっているようにさえ思える。日本においても決して少なくないであろうゲイがこの若く勇敢な動きに刺激されないはずがない。
 世のなかにはいろんな絶望がある。放射能汚染、貧困、病気......あるいは性の問題。もっとも彼の音楽は美しい男たちのためだけにあるのではない。より普遍性を帯びたエモーショナルな歌として我々の心にも進入する。これはルー・リードの"ウォーク・オン・ザ・ワイルドサイド"の系譜上に生まれた魂が揺さぶられるアルバムだ。「本当のぼくを知ったなら/二度とベイビーなんて呼んでくれないだろうね」とはじまる"フッド"は、このような言葉で結ばれる。「ぼくは闘うよベイビー/きみに間違いを起こさないように」

文:野田 努


Chart by Underground Gallery 2012.02.17 - ele-king

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1

JEFF MILLS

JEFF MILLS Taken (Taken / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
2011年、活発なリリースだったJEFF MILLSが、2012年一発目に発表するのは 「Something In The Sky」から派生した「Taken」(拉致)なる新シリーズからの 新作12インチ! 「Something In The Sky」シリーズ直系と言える、危機迫るような、スリルのあるシンセ・シークエンスを軸にした、スペーシーなサイエンス・フィクション・テクノが4トラック。レーベルからの詳細が一切無く、ミステリアスな「Taken」シリーズ、どんなコンセプトなのか、今後のリリースで明らかになっていくことでしょう

2

SECRET CIRCUIT

SECRET CIRCUIT Nebula Sphynx / Parascopic Rope (Beats In Space / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
TIM SWENNYによる話題の新レーベル[Beats In Space]第2弾!今回は、[Whatever We Want]からもリリースを残す LAUGHTING LIGHT OF PLENTYの EDDIE RUSCHAによるプロジェクト SECRET CIRCUIT! RUB'n TUG、MAP OF AFRICAで御馴染み、THOMAS BULLOCKとのライブプロジェクト LAUGHTING LIGHT OF PLENTYや、同じく、[Whatever We Want]からもリリースを残す、 FOOD OF THE GODS名義での活躍で知られる EDDIE RUSCHAが、新プロジェクトを始動させ、TIM SWENNYによる話題の新レーベル[Beats In Space] 第2弾として登場!ドープなアシッド・グルーブに、アナログ・シンセやトリッキーなサンプルを散りばめた。ディープ・エレクトロ・コズミック2トラックを披露。

3

MODEL 500

MODEL 500 Control (R&S Records / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
デトロイト・テクノのパイオニア、JUAN ATKINSが、MODEL 500名義にて新作12インチ をリリース! 前作はMIKE BANKSと元URのMARK TAYLORが制作をサポートしていましたが、今作 はJUAN ATKINS自身が、スタジオに籠って創り上げた完璧なソロ作品。 緊張感のあるリズムとダークなベースライン、そしてデトロイト・シンセにヴォーカ ルがのった、古くからのファンにはお馴染みのMODEL 500節炸裂のAサイド、浮遊感漂 うシンセとラフ・ビートの疾走感溢れるムーディーなトラックのBサイドの2トラック。

4

BOB CHANCE

BOB CHANCE Wild It'S Broken/It'S Broken (Emotional Rescue / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEY、RUB'n TUG、SOFT ROCKS等がプレイする、BOB CHANCEのレア・ロック・ディスコが、UK [Emotional Rescue]より 7インチにて、嬉しい再発! カリフォルニアのマイナー・レーベル[Morrhythm]よりリリースされた、コンポーザー/プロデューサー/シンガー、BOB CHANCEの80年作。ロカビリー、コズミック、ディスコを巧く融合させた、ファンキーなディスコ・ロック・ナンバー。オリジナルは本当にレアな作品なだけにコレは絶対に見逃せません!

5

MITSUAKI KOMAMURA

MITSUAKI KOMAMURA Vintage Moon Ep (Weedis / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
カナダのモノ・ミニマル・レーベル[Relolver]からのリリースで知られる、東京在住 のトラックメイカーMITSUAKI KOMAMURAが主宰する[Weedis]レーベルの第二弾! THEO PARRISH や MARCELLUS PITTMANにも通じる、LO-FIで黒味のあるマッド・アシッ ド・ハウス! MIKE INKが[Profan]でやっていたようなアシッド感に、ローファイなのに立体的な音 響処理を施したキックとハットが絶えず表情を変えながら展開していく、その様が、 月の満ち欠けを表現しているというA1「Sorcery In Eclipse」、ローファイでヒプノ テックなリズムに、太くてファンクを感じさせるベースが絡む、シカゴ・ハウス・ラ イクな「Tribe On The Moon」、ジャズ・ベーシストのウォーキング・ベースのような フレーズを軸に、シンプルなベース・ラインとローファイなリズムがコンビとなって 展開する「Bunny hopper」は、デトロイトのTERRENCE DIXIONに捧げたい、そんな1曲。 マスタリング及びマスターカットは、レーベル1番に引き続きMONOLAKEやHARDWAX関連 のリリースに携わるベルリン「Dubplate & Mastering」にて、CGB竏・によるアナログ感 満載で太く暖かみのある音に仕上がっている。

6

MARVIN BELTON

MARVIN BELTON Find A Way (Mahogani Music / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANN主宰、[Mahogani Music]の新作はTHEO PARRISH率いるTHE ROTATING ASSEMBLYのメンバーであり、同レーベル前作JOY OF SOUND PRODUCTIONSのプロデューサーでもあるMARVIN BELTONによるスモーキーでソウルフルなデトロイト・ディープ・ハウス! しっとりとした、アダルトなムードが漂うハウス・グルーヴに極め細やかなアルペジオ・シンセが旋回する「I Believe」、デトロイトらしいLO-FIなアフロ・パーカッシブ・ハウスの「Back To Africa」など、全4曲、[Mahogani Music]らしいソウルフルでスモーキーなディープ・ハウスばかり!

7

ANDRES

ANDRES New For U (La Vida / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANNが主催する[KDJ]や、[Mahogani Music]からのリリースでもお馴染み、Slum Villageのメンバーとしての肩書きも持つ、DJ DEZ aka ANDRESが自身のセルフレーベル[La Vida]をスタートし、新作12インチを発表! ヒップホップで培われた、サンプリング・センスが光る、デトロイト・マナーな漆黒のディスコ・グルーヴを軸に展開される3トラックを収録。限定盤。

8

HARDWAY BROTHERS

HARDWAY BROTHERS MANIA THEME (Is It Balearic? / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
[History Clocks]や[Luna Flicks]、[I'm A Cliche]、[Astro Lab]など、UGでも一押ししている、人気レーベルから多数の傑作を生み出してきた、HARDWAY BROTHERSが、COYOTE主宰[Is It Balearic?]より新作をリリース。 今回は、スローモーなディスコ・ダブ・グルーブに、サイケデリックなシンセや、スペーシーなキーボードを響かせた、コズミック・トリッピーなサイケ・ジャムのA1、カップリングには、最近リリースラッシュが続く、番長 ANDREW WEATHERALLによる ドープ・スローモー・エレクトロ、心地良く伸びやかに広がるメローなスペース・シンセを響かせ、原曲のドープな雰囲気を一転させる、北欧ムードなディープ・スペーシー・ハウスへリミックスしたTOBY TOBIASなど、どれも本当に良い楽曲ばかり。

9

ROBERT OWENS

ROBERT OWENS Sacrifice (Ndatl / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
LARRY HEARDがプロデュースした、ROBERT OWENSのアルバム『ART』に収録されていた 「Sacrifice」を、デトロイトのKAI ALCEがリミックスした話題作。 現在、デトロイトで最も勢いのあるレーベルと言っても過言ではない、KAI ALCE主 催[NDATL]新作は、シカゴの大ベテラン・シンガーROBERT OWENSが初登場。昨年リリー スしたアルバム『ART』に収録されていたLARRY HEARDプロデュースによる楽曲 「Sacrific楽曲を、レーベル主宰KAI ALCEが4ヴァージョンのリミックス。初回プレス のみの限定盤ですので、お早めに

10

DISCO DEVIANCE PRESENTS

DISCO DEVIANCE PRESENTS Ray Mang Edits (Disco Devience / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
THE REVENGE、SOCIAL DISCO CLUB、ONUR ENGIN、ERIC DUNCAN aka DR.DUNKSと好調なリリースが続く[Disco Devience]新作は、意外なことに今回が初登場となる RAY MANG。 今回は、80年代の鮮やかなディスコ作品を使用。A面、B面ともに、パーカッシブでトライバルなブギー・ディスコを下地に、オリジナルの甘くソウルフルな女性ヴォーカルを巧く引き立てた、ナイスなリワークを披露。どちらも本当最高ですね!既に ERIC DANCAN、AL KENT、THE REVENGE、LEO ZERO、JACQUES RENAULT、TODD TERJE、FAZE ACTION、OOFT、CRAZY P、RAYKO、COSMIC BOOGIEらを筆頭に、錚々たる著名DJ陣がサポート中!

Chart by JET SET 2012.02.06 - ele-king

Shop Chart


1

KEN ISHII PRESENTS METROPOLITAN HARMONIC FORMULAS

KEN ISHII PRESENTS METROPOLITAN HARMONIC FORMULAS MUSIC FOR DAYDREAMS »COMMENT GET MUSIC
Mr Fingersのハウス史に名を残す名曲"Can You Feel It"や、Alex From Tokyo率いる、Tokyo Black Starとのコラボ楽曲など名実共に十分の1枚です。

2

IFAN DAFYDD

IFAN DAFYDD TREEHOUSE / TO ME »COMMENT GET MUSIC
あのJames Blakeの覆面プロジェクトとも噂されたAmy WinehouseとUsherのホワイト・リミキシーズが爆裂ヒットしたウェールズの美麗UKベース超新星が遂に待望の正規デビューです!!

3

JAMES MASON

JAMES MASON NIGHTGRUV / I WANT YOUR LOVE »COMMENT GET MUSIC
James Mason傑作にして唯一のアルバム『Rhythm Of Life』から約20年後にリリースされたUK"Mighty Fine Records"に遺される貴重作。未発エクステンド・エディットを追加収録、ポートレートが描かれたオリジナル・ジャケット仕様にて待望の復刻です!!

4

MACHINE DRUM

MACHINE DRUM SXLND EP »COMMENT GET MUSIC
同名門LuckyMeからの限定ホワイト・リミキシーズ・プロモ12"や、ジュークを消化したPlanet Muからの傑作アルバム『Room(s)』もヒットを記録した絶好調男Machinedrumの新作が登場!!

5

ANGO

ANGO ANOTHER CITY NOW EP »COMMENT GET MUSIC
ご存じHudson MohawkeやTOKiMONSTAら時代を代表する才能を続々と輩出してきた『Red Bull Music Academy』出身の要注目新鋭が絶好調LuckyMeから遂にデビューです!!

6

COS/MES / RONNY & RENZO

COS/MES / RONNY & RENZO NARUTO (RONNY & RENZO TAKOTSUBO TAKE TEN) / TABOO »COMMENT GET MUSIC
ベルギーのカルト・レーベル"King Kung Foo"から既に大きな話題となっている10"+7"仕様のスペシャル・パッケージが世界限定100枚でリリース。10"へはCOS/MES「Naruto」のRonny & Renzoによるニュー・リミックスを、そして7"へは新録「Taboo」を収録。

7

TERRENCE PARKER

TERRENCE PARKER LOST TREASURES VOL.2 : LOVE'S GOT ME HIGH »COMMENT GET MUSIC
デトロイトハウス御大Terrence Parkerによる'95年名作「Love's Got Me High」のリミックス10"シリーズ、大好評頂いた第一弾の続編Vol.2がリリースされました。

8

K. ALEXI SHELBY

K. ALEXI SHELBY FINEST CUTS LEGENDS »COMMENT GET MUSIC
Marvin Gayeクラシック・エディッツ第一弾がロングラン・ヒットとなったフランスの新興レーベル"Amour Records"発、Mr. K Alexiによるリエディット・シリーズ待望の第二弾が到着。

9

MARVIN BELTON

MARVIN BELTON FIND A WAY »COMMENT GET MUSIC
Scott Fergusonが指揮する"Ferrispark"からのEPリリースやTheo Parrish率いるThe Rotating Assembly、さらにはJoy Of Sound Productionsでの活躍でお馴染みのヴォーカリスト、Marvin Beltonによる待望の"Mahogani Music"ソロ・デビュー作が登場。

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UNION

UNION ANALOGTRONICS »COMMENT GET MUSIC
Talib Kweli&Sly Johnsonを迎えた"Time Leak"で既にクオリティの高さは実証済であるUnionが、これまたもの凄い客演陣を迎えた一発をリリース! ※ダブル・クリアバイナル、ダウンロード・コード付。

vol.29:星は天文学に無関心! - ele-king

 ナダ・サーフは青春。彼らを見るたびに、呟いてしまう。40代前半だというのに......。
 1月24日、ニューヨーク出身のナダ・サーフ(Nada Surf)のホーム・カミング・ショーだった。この日は彼らのニュー・アルバム『The Stars Are Indifferent To Sstronomy』(星は天文学に無関心)の発売だった。「このアルバムは、プラックティス・ルームにいるような感覚で、新しい曲のエネルギーを持ってレコーディングした。やり過ぎたかなと思ったけど、あえてそのままにしてみた」と、ヴォーカル&ギターのマシューは言っている。曲名もまた、希望と未来を感じさせる。"若かった頃(When I was Young)""(まっらな目と曇った心(Clear eye clouded mind)""10代の夢(Teenage dreams)""未来(The future)"......楽曲もみんなポジティブである。
 ポップとロックンロールをこよなく愛する3人から生み出される、ラッシュなビート、コード、美しく、ナイーヴな旋律。そして胸がキュンとなる甘いヴォーカル、ハーモニー。「10代の夢に遅すぎることはない(it's never too late for teenage dreams)」と歌うマシューは本当に10代のようにみえる。この言葉は、ナダ・サーフのすべてのレコードに共通する彼らの声明である。7枚目のこのアルバムで、彼らの経歴は20年目に突入する。

 バンドはこのアルバムを、ウィリアムス・バーグでレコーディングしていた。マシューは、私の家の近所に住んでいて、「いま、レコーディングをちょっと抜けてきたんだ」と言いつつ、よくカフェに現れ、ディナーをとって、赤ワインを飲み、最後にスイーツをテイクアウトして行く常連さんだった。音楽の話題になると話が止まらなくなった。仲間のパーティにも参加してくれた。気軽に話せる気の良いお兄さんである。
 このアルバムのレコーディングが終わって、彼はロンドンに引っ越し、あっという間に半年だった。彼の性格上、頻繁にコンタクトを取る人ではないので、彼らの近況はわからなかったが、何カ月か前に「ナダ・サーフが新しいアルバムをリリース。ツアー決定!」のニュースを知った。そして1週間ほど前に「来週からニューヨークに行くよ。ライヴに遊びにきて!」という彼からのメッセージがきた。見逃すことはできない。お祝いだ。
 ニュー・アルバムのアートワークの素敵なペインティングは、彼の友だちで、アーティストのグラハム・パークスが担当している。シルク・スクリーンのポスターについては、モンスター・アイランド(RIP)の住人だったカイ・ロックが10年も担当している。

 ショーはソールドアウトだったが、この日のショーは、彼らのYoutubeチャンネルでストリームされている。たまたま同じ日にYoutubeを見ていた友だちは、そのことに驚いて、私に教えてくれた。
 ライヴでは、リード・ギターにガイデッド・バイ・ヴォイシズのダグ・ジラードが参加した。ベースのダンとドラムのイラはネクタイ、マシューは黒のボタン・ダウン・シャツ。ふだんと同じスタイルである。ドラムは高いところにセッティングされていて、バスドラには黄色で「NADA SURF」を描かれている。
 演奏はほとんどが新曲だった。レコードをリリースできたことに感謝、関わってくれた人への感謝、2012年が良い年になるようになどとMCが入る。古い曲を演奏すると、会場は一緒になって歌う。アンコールでは名曲"Always Love"を演奏。最後はニュー・アルバムからの曲"Looking Through"。観客はナダ・サーフという10代の夢を心から応援する。絵に描いたような、素晴らしいロック・コンサート。

Ela Orleans - ele-king

 〈ウッジスト〉や〈キャプチャード・トラックス〉はじめ、〈メキシカン・サマー〉や〈ノット・ノット・ファン〉にいたるレーベル群が2010年前後のインディ・ミュージック・シーンに提示したイメージは、「スロー・ライフ」や「スロー・フード」等の「スロー」の思想と親和性が高い。彼らが体現するローファイ、あるいは中音域を強調したプロダクションは、大量生産的でファストな音への批評もしくは違和の表明であるとも言えようし、アナログ・メディアにこだわったリリース形態や、地元志向で小ロットかつ小規模な「顔の見える」レーベル運営も、グローバルにひらかれることで損なわれてしまう利益や、画一化されてしまう音楽的キャラクターを、自力で保護せんとする取り組みであるようにもみえる。そうした意図を明言しているわけではもちろんないが、彼らが時代のムードとしてそのような趨勢を反映し象徴していると考えることにそう異論はないものと思う。「いつの頃からかつるつるとした音がいやでたまらなくなった」そしてさまざまなノイズの中に安らぎを見出すようになったというエラ・オーリンズもまた、彼女自身の方法でもって自給的な音の空間を設計するアーティストである。余談ではあるが、地産地消ならぬ自産自消的なベッドルーム・ポップが鋭く生き生きとしたリアリティを備え、それがはからずもグローバルな伝達経路にのって大きな支持と注目を集めたというのがチルウェイヴの顛末であったことを考えてみれば、なるほどチルウェイヴという俺得音楽にはスロー・ミュージックとしての役割を担い得る特性があったのだろう。先に挙げたレーベル群の志向性はもちろんのこと、エラの仕事がいまのタイミングで評価されることもまた、こうした動きともつれあうようにして生まれてきた状況である。

 エラ・オーリンズは冷戦期のポーランドに生まれ、社会主義体制下の東欧諸国が経験した貧困と悲惨を目のあたりにして育った。そうした境遇がどのくらい彼女の音楽に影響を与えたのか、わかりやすい形で確認できるわけではないが、東西に分かれるよほど前のヨーロッパの香りをとどめていることはたしかである。エラ自身が大きく影響を受けた自国のアーティストとしてはカロル・シマノフスキやクシシュトフ・ペンデレツキ、ヴォイチェフ・キラールなどが挙げられており、現代音楽や映画音楽への造詣をしのばせる。古い映画音楽からのサンプリングだろうか、いずれの曲にもはげしくディレイのかかったギターやヴァイオリンの即興(あるいはループ)に、手間ひまかけて録り編集したというサンプル音源が絡んで、いわくいいがたい、甘美なノスタルジーを生み出している。ノイズとノスタルジー。これがエラ・オーリンズのコアだ。懐古され恋われているのは、おそらくは「昨日の世界」(シュテファン・ツヴァイク)......第一次世界大戦前の、光りかがやき、栄光にみちた、失われしヨーロッパ文明ではないだろうか。
 その懐古の手つきは非常に理知的なもので、同じく知的な女性アーティストの中でもアマンダ・ブラウンやグルーパー、ラモナ・ゴンザレスらとはまた別種の、男性的とさえ言ってよい雰囲気がある。不鮮明な音像には情念が渦巻くかにみえて実際のところ冷たい計算を隠した構築性が感じられる。詞には飛翔や着地のイメージが多用されるが、これはほかならぬ彼方の栄光への飛翔と、現在という場所への着地とを暗示するのだろうと筆者の想像は広がる。それは(栄光の)終わりのつづきとしての現在への、苦い着地である。精神は過去の偉大な時間へと向かう、しかし、肉体はこの終わってしまった時間につながれている。そのことへの詮なき嘆息である。
 こうした想像・解釈には、少なくとも筆者にとって彼女の音や詞やたたずまいをリニアにつなぐような整合性がある。そして高い教養や精神性の宿ったエラの音楽へ、筆者なりに寄せたリスペクトでもある。まわるレコードはこの飛翔と着地の堂々めぐりを視覚的に描き出す。普段はアナログ・メディアを愛好しない筆者であるが、この作品ばかりはCDで聴くことが正解であるとどうしても思えない。七尾旅人とやけのはらの"ローリン・ローリン"においては、ターンテーブルの上で可視的に消費される「いま」という時間は、あくまで愛しいものとして、ロマンチックに、そして肯定的にとらえられていた。エラの音楽はその裏側を幽霊のように徘徊する。「わたしたちは夜になる/するとわたしはすばらしい/あなたはすばらしい/わたしたちはすばらしい/だが彼らはちがう」"ワンダフル・アス"
 そこは夜だ。そしてそこにいるかぎりわたしたちはすばらしい存在だ。だが「彼ら」とはだれか。パンダ・ベアを思わせる、浴場のような音響に溶かし込まれたオールディーズ風の終曲では、あかるく典雅なメロディにのせて何度も「ゼイ・アー・ノット」と歌われ、それがいつまでも耳に残る。

 最後にノートとして。エラはヴァイオリンやピアノを幼少から学んでいたが、どちらかといえば映画やファイン・アートへの憧れの方が強く、アート・スクールを出てグラスゴーに渡り、その後に音楽に出会い直したというような紆余曲折があるようだ。彼女のウェブ・サイトには「耳の映画」と銘打たれていて、彼女自身の来歴と音楽へのスタンスをはっきりと表明するものになっている。ソロになる前はハッスル・ハウンドというバンドで活動し、アルバムも制作されている。ソロとしては2009年のアルバム・リリース(本人はあまり評価していないようだが)の後、昨年のダーティ・ビーチズとのスプリットで静かな注目を集めた。だが聴くべきはやはり本作だろう。シーンのムードとしても本人のキャリアとしても、本当にいま充実の時期を迎えていると感じる。

Chart by Newtone Records 2012.01.24 - ele-king

Shop Chart


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CHRIS WATSON

CHRIS WATSON El Tren Fantasma-The Signal Man's Mix- TOUCH (UK) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
リズムやビートこそ無いものの、イマジナリー広がる、まるでTRANS EUROPE EXPRESS的な魅惑の鉄道音フィールドレコーディング12インチ・アナログ盤。クリス・ワトソン爺によるメキシコが舞台のロードムーヴィー的ロマンも広がる幽霊鉄道列車サウンドスケープ。元キャバレー・ボルテール、元ハフラー・トリオ、BBCの音響技師であり、フィールドレコーディング作家の第一人者である信頼のクリス・ワトソンの2011年のソロ新作「El Tren Fantasma」からのまさかの12inchアナログ盤がカット。相変わらずのテーマ&セッティングの妙。さすがです。太平洋から大西洋、海岸から海岸へとゴースト・トレインでの国を横断。歴史を感じながらの音の旅。今作もサラウンドな高感度マイクによるダイナミックで繊細で立体的な音像もスバラシスギル。ミュージック・コンクレートの創始者ピエース・シェフェールにインスパイアされて制作された作品というのも納得の圧倒的な迫力の芸術的環境音。Andrew Weatherall絶賛も納得。ソウルまでも感じさせてくれる鉄道音。Ride the rhythm of the rails on board.

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CHRIS WATSON

CHRIS WATSON El Tren Fantasma TOUCH (UK) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
これはCD。世界の車窓から。クリス・ワトソン爺によるメキシコLos MochisからVeracruzへとわたる幽霊鉄道列車の旅。ロード・ムーヴィー的ロマンを馳せるサウンドスケープ。フィールドレコーディングの逸品。元キャバレー・ボルテール、元ハフラー・トリオ、BBCの音響技師であり、フィールドレコーディング作家の第一人者である信頼のクリス・ワトソンの2011年のソロ新作です。相変わらずのテーマ&セッティングの妙。さすがです。太平洋から大西洋、海岸から海岸へとゴースト・トレインでの国を横断。歴史を感じながらの音の旅。今作もサラウンドな高感度マイクによるダイナミックで繊細で立体的な音像もスバラシスギル。ミュージック・コンクレートの創始者ピエース・シェフェールにインスパイアされて制作された作品というのも納得の芸術的環境音。10トラック65分。Andrew Weatherallも絶賛も納得。ソウルまでも感じさせてくれる。Ride the rhythm of the rails on board.

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MARK McGUIRE

MARK McGUIRE Solo Acoustic Volume Two VIN DU SELECT QUALITITE (US) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
2009年にアナログのみ少数のリリースだったMARK McGUIREの、オハイオの自宅で録音されたアコースティックなソロ・ギター・バラードな作品集「VDSQ-Solo Acoustic Vol.2」が待望のリプレス。全5トラック。草原を駆け抜けるかのようなフォーキーで爽やかな作品から、ECM的な静謐な世界観から、さらには瞑想的でもある郷愁のアコースティックなギターの味わいをじっくりとお楽しみできます。特に12分間のアコースティック版E2-E4的な「Burning Leaves」のナチュラルなトリップ感覚にはおもわずとけそうになってしまいますのでご注意をくださいませ。

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ONEOHTRIX POINT NEVER

ONEOHTRIX POINT NEVER Replica SOFTWARE (US) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
傑作。新しい音楽が登場しました。またまた進化したOneohtrix Point Never新作。重量感溢れるホワイト・ヴァイナルのアナログ盤。 Daniel LopatinことOneohtrix Point Neverの新作。ドローン、ミニマルなどエクスペリメンタルでエレクトロニクス・ミュージックながらクラブ・ミュージックを通過したドラマチックかつストーリーテリングな圧倒的センスで光り輝いている。エレクトロニクスとサンプリングのうっとりする音楽が奏でられている。今年の重要作のひとつであり、新時代のメディテーション・ニューエイジのひとつ。そしてサイケデリック。自身のSoftwareからのリリース。アナログ盤は高音質の重量盤で、1000枚限定ナンバリング入り。ホワイト・ヴァイナル。MP3データ・ダウンロードコード・カード付き。

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HARMONIOUS THELONIOUS

HARMONIOUS THELONIOUS Drums Of Steel EP ASAFA (GER) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
クリック・ハウス以降のシーンで活躍したANTONELLI ELECTRやRHYTHM MAKER名義で知られるSTEFAN SCHWANDERのプロジェクト HARMONIOUS THELONIOUSの新作。アフリカのリズムとライヒらのミニマル・ミュージックに影響を受けているそうで、アフリカの民族楽器の音色を使っただけのアフリカ風のテクノではなく、打ち込みながらポリリズムを取り込んでいて不思議なリズム感覚。

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SATWA

SATWA Lula E Lailson MR BONGO (UK) / 2012/01/16 »COMMENT GET MUSIC
南米サイケの秘宝!弦楽器が描く、ブラジル70sのカルトな名盤がアナログでリマスター再発。先立って再発されているLULA CORTES & ZE RAMALHO「Perbiru」, MARCONI MOTAROのアルバムと並ぶLULA CORTES関連重要作。LULA CORTESによるシタール、 12弦ギターの Lailsonの二人による夢のような音世界。サイケデリックな桃源郷!

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MARSHALL MCLUHAN

MARSHALL MCLUHAN The Medium Is The Massage FIVE DAY WEEKEND (US) / 2012/1/6 »COMMENT GET MUSIC
マクラーハンの名著「メディアはメッセージである」を、マクラーハン自身が朗読、JOHN SIMONが音楽を担当しテープ・コラージュ、SOUND FXを駆使して作り上げた、ポップ・カルチャーにおける実験エディット・ミュージックの金字塔として愛され続けてきた名作!EDANやMR.CHOPをリリースしてきたFIVE DAY WEEKENDから再発。実験音楽フィールドで行われていたテープ編集の手法を導入しステレオフォニック・サウンドのトリック、サイケデリックな効果を実験したサウンドは今聴いてもめちゃフレッシュ!DJ SPOOKY(PAUL D. MILLER)とMICHAEL VASQUEZが主要ライナーノーツを手掛け、DJ FOOD,ジェロ・ビアフラ, STEINSKI、MC5の初代マネージャーにして詩人JOHN SINCLAIR、ウッディ・アレン,MATMOS等々が今回の再発にあたってコメントを寄せています。

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PEAKING LIGHTS

PEAKING LIGHTS Remixes WEIRD WORLD (UK) / 2011/12/21 »COMMENT GET MUSIC
Newtoneでもいまだロングセラーを続けるPEAKING LIGHTS「936」からのリミックス12inchついに入荷しました!収録されている4曲全てがアルバムに収録されている楽曲のリミックスで、オリジナルの持つロウファイダブサウンドをそれぞれに解体&構築!全然古臭くなっていないADRIAN SHERWOODに、シンセディスコとチープなリズムマシンがクールなDAM-FUNK!そして白眉はなななんとクラウドラップ台頭MAIN ATTRAKTIONZリミックス!一瞬参加に目を疑うまさかまさかのトビ!ブチアガってる我々を見て「ヨーヨー、こっちに来て一緒にKUSHどうだ?」な最新アンダーグラウンドコネクションに痺れざるを得ません。この事実は相当素敵だ。

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JUJU & JORDASH / MORPHOSIS

JUJU & JORDASH / MORPHOSIS Dekmantel Anniversary Series: Part 1 DEKMANTEL (HOL) / 2012/1/18 »COMMENT GET MUSIC
アムステルダムのクラブParadisoで行われているテクノ~アンダーグラウンド・ハウス、エレクトリック・ミュージックの重要パーティーDekmantel主宰のレーベル5周年記念のコンピレーションのシングルカット第1弾。SIDE-Aはレーベルの主要アーチスト、JUJU & JORDASH。B-SIDEはMORPHOSIS。両者ともに中東出身。JUJU & JORDASHの「Afircan Flower (Cosmic Dub)」は、コズミックなトーンのヴィブラフォンやシンセが織り成す美しい世界。極上です。MORPHOSISのオルガンの音色の鍵盤をフィーチャーしたストイックなテクノも注目。

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DESTO, CLOUDS & JIMI TENOR feat.CHA CHA

DESTO, CLOUDS & JIMI TENOR feat.CHA CHA The Bird ・Eightfold Path 502 (UK) / 2012/01/18 »COMMENT GET MUSIC
さすがJIMI TENOR。チーム参戦での新作登場です。テーマは中国。オリエンタルでエキゾチック&ミステリアス。北欧フィンランドと中国が繋がる秀逸で変態なミステリアスなエキゾチック・ソウルSIDE-A「The Bird」そして上海で録音されたという中国伝統楽器が摩訶不思議に妖しく淫美に導入された、DUBSTEP、BASS以降の新感覚のDEEP HOUSEであるSIDE-B「Eightfold Path」が切れ味鋭くシャープなリズムと圧倒的なオリエンタルな存在感で迫り絡みます。さすが。。。RwinaやRampからのリリースで知られるDESTOと、そしてDeep MediでおなじみCLOUDSとのトリオでのチーム参戦とはいえ、これは強力です。
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