「ピカ」と一致するもの

Fang Island - ele-king

 「その蛍光の服を脱げ。タンスの奥からチェックのシャツを引っ張り出すんだ!」と太文字で商品ポップに書き込んでみた。着ているもので行動様式や主義主張を規定されるのは愚かしいことではあるが、我々のライフスタイルはそんな象徴性が生み出すささやかな意味に支えられて営まれていると言えなくもない。「蛍光の服」とは長引くエレクトロ・ブームを、「チェックのシャツ」とはまさにいま追い風を受けんとしているグランジ・リヴァイヴァルを象徴させるつもりで書いている。

 グランジ、エモ、ギター・ポップ......みなそっけないチェックのシャツを着ている。だらっと着ていればグランジ、元気よく着ていればエモ、清潔感があればギター・ポップだ。ひどい偏見ではある。だが「引っ張り出せ」と書くのは、いま確実に90年代のグランジ・ロックに対する再解釈・再評価の気運が高まりつつあるからである。USインディ・ロックのモードは、ゼロ年代後半を象徴する柔らかなサイケデリアから、ディストーションとギター・コードが導くハードな感覚へと移行をみせている。余談だが、UKやオーストラリアがこの2、3年でかなり素直なペイヴメント・フォロワーやソニック・ユース・フォロワーを地味に生み出し続けているのに対し、本場USがグランジに正面から向き合うまでには、ノー・エイジや〈ウッドシスト〉一門といった新しい形のローファイを咬まさなければならなかったという逡巡には意義深いものがある。

 ファン・アイランドは、「アニマル・コレクティヴのゼロ年代」を透過したグランジでありエモでありパワー・ポップだ。アニマル・コレクティヴは、人と世界の多様性をどこまでも受け入れていくような新しい想像力を、極彩色のサイケデリック・ポップとして吐出した。それはゼロ年代最大の果実だと言っても過言ではないだろう。ファン・アイランドには確実にそうしたゼロ年代的な想像力が引き継がれている。

 "デイジー"を聴くのが手っ取り早い。メタリックでメロディアスなギター・ソロが力強い8ビートに伴われて機銃掃射のように続いたのち、それがはたと凪いで、オルガンと4声のコーラスが唐突に顔をのぞかせる。そこには多声的なアレンジによってわっと広がる生命感と、その構築性ゆえのわずかな閉塞感がある。楽曲全体に施された、薄めのもやのような残響処理は――それはずっと「シューゲイザー」と誤称され続けたが――前掲の新世代ローファイとも切って語れない重要な要素だ。4声のコーラスは、このリヴァーブのなかで1千人のようにも1億人のようにも聴こえてくる。それはスタジアムでの合唱を思わせるが、決してひとつの旗のもとに集まってひとつの歌を斉唱する20世紀的なイメージではない。めいめいが何か福音のようなものの予兆をとらえて、天を仰いでいるような雰囲気だ。

 ファン・アイランド。ブルックリンを拠点に活動する5人組。2007年にセルフ・リリースで『デイ・オブ・ザ・グレイト・リープ』というアルバムを発表しているのがファースト・アルバムとなるようだ。その後ミニ・アルバムを1枚はさみ、セルフ・タイトルのセカンド・アルバムである本作は〈サージェント・ハウス〉からのリリースとなる。部分的に聴くだけなら、彼らの音はスーパー・チャンクの人懐っこさ、ウィーザーのソング・ライティング、プロミス・リングのようなエモ本流の疾走感、あるいはグランジの中に息づくハード・ロック的なギター・サウンドを思い起こさせたりするだろう。90年代のロック周辺を好む耳には親しみやすい、また懐かしささえ湛えた音だ。本人たちも音楽的な影響について「90年代半ばのディストーテッド・ポップ、ギター・ロック全般。とくにスマッシング・パンプキンズやウィーザーが大きい」(スピナー)と語っている。たしかに、あのヘヴィなギター・リフの端々に宿っているのがスマッシング・パンプキンズだと言われれば大いに納得がいく。

 だが全体として非常に個性的な音楽性を持っている。スマッシング・パンプキンズ的な重くロマンチックなギターは、3本で絡みながらプログレ的な壮大なジャムへと流れ込んでいく。ジャムといっても成り行きまかせの冗長なものではない。はっきりとベクトルをもった、とてもブリリアントなものだ。特徴的なのはパッセージの激しい転換で、雄々しいギターに先導されて力強く駈けるフレーズのなかに、それを寸断するような展開がしばしば挟み込まれる。例えばコーラスであり、アコースティック・ギターの響きであり、異なったリズム・パターンである。そしてその激しい落差の中に一瞬ぽっかりと異次元が開き、オルガンやコーラスが厳かに降ってきたりする。異なったものの狭間に一瞬のぞく祈りのような感覚。これがファン・アイランドの正体だ。ギター・アンサンブルもしくはギター・ソロがかなりの時間繰り広げられるのも彼らの特異なスタイルだが、その歌のようになめらかで言葉以上に雄弁なギターに胸を熱くし、スタジアムの歓声のような合唱が沸き起こってくるのを聴き取るや、そこに生じるミメーシスの力に打たれ陶然としてしまう。曲は切れ間なく繋がれ、トータルとしてシンプルなモチーフを......祈りを浮かび上がらせる。何への祈りだろう。未来だろうか。演奏と曲の力で、しかもイヤホンで聴くCDからこれほどの迫力とポジティヴな世界観を感得できるというのは希なことだ。本当に風変わりなバンドだと思う。

 しかし彼らは90年代リヴァイヴァルという動きが、シンセ・ポップやトロピカルなサイケ、ドリーミー・シューゲイズ等の浮遊感志向から、重めでハードな音への単純な揺り戻しではないということの好例でもある。2000年代というプリズムによって、ようやく90年代という時間が、歴史として分光され始めたのではないだろうか。2010年代をスタートするにあたって、1990年代の参照を後退として断罪するのは早計である。『ファン・アイランド』は、そのように感じさせる熱、そして何かしら未知の力をあふれさせた1枚だ。

あふりらんぽ - ele-king

 あふりらんぽの新作は本気で凄い! これまでとは比較にならないほどの傑作だと思う。アルバム・タイトルも"WE ARE UCHU NO KO"だけど、これまで多くのミュージシャンたちがコンタクトしてきた宇宙に簡単に繋がっているというか、彼女たち自身が宇宙だったというか。自分たちの言葉とリズムで天真爛漫に音楽を奏でているだけのようなんだけど、すごく神々しくて、どデカイ。このふたりはきっと、八百万の神のどれかにちがいない! ......なんて結構本気で思った(笑)。

 本人たちの話によると3~4年前には作ろうとしていたものが、オニの出産などもあり、いまにずれ込んだものらしい。曲自体はかなり以前からあったものばかりで、ライヴでもやっていた。録音は、これまでのような一発録りに近いものではなく、楽器ごとにレコーディングされ、しっかり作り込まれたものだ。2枚組のアルバムで、オリジナルの7曲がディスク1に。そしてオニとピカ、それぞれのソロ作品の曲をふたりで演奏してZAKがミックスしたものがディスク2に収められている。

 以前までのプリミティヴなガレージ・ロック風に加えて、2年半前にリリースされた『ズートブレイコー』でみせたフリー・フォームな世界もそれぞれ発展しながら、しっかり各曲に落とし込まれている。ジャーマンなヘヴィ・メタル風のM-1"ミラクルラッキーガールズ"、サイケデリック・ガレージなM-2"それがあふりらんぽ"、MC5風のヘヴィなロック・ナンバーM-3"東西南北"、トライバルmeetsサーフなエキゾチック・チューンM-4"海"、南国の民謡風なM-5"エゴロ島"......と、カテゴリーに当てはめて語ることも可能だが、いずれもそのキーワードはあくまでキーワードでしかなく、"ザ・あふらんぽ"としか言いようのない、ふたりの天真爛漫な個性によって別モノと言えるようなものになっているところがすごい。

 とくにその究極だと思えるのが、11分を超えるスケールでいち大ストーリーを綴ったM-6"ワイトゥ"。田んぼのある日本の原風景で"雨よ降れ"と歌い踊る子供たちの姿が冒頭で浮かんでくるようなこの曲は、彼女たちにズッパマリ。ふたりがよく喩えられるような"巫女"を超えて"座敷童子"とか何かの精霊のようなものを連想してしまう。

 そしてディスク1のラスト、M-7"ヤーヤーエー"は大団円としてエンディングとなる曲だ。ソロ作品を経た後のふたりによるピースフルな楽曲といったところだろうか。

 そして、実はこっちのがほうがすごい、ディスク2。前述の通り、それぞれのソロ・アルバムの曲をふたりで演奏したものなのだけど、これが泣ける泣ける。2枚のソロ作も本当に素晴らしかったが、その感動がさらにスケール・アップして表現されている。もう、母性というか、宇宙なのか、愛が溢れまくっていて、聴いていると浄化されていくよう......。さらにさらに、そこにロックの衝動もしっかり注がれているのがあふりらんぽ。いろんなものがこみ上げてきて、「うお~~~~~!」と大声を挙げたくなるのは筆者だけではないと思う。

CHART by JETSET 2010.05.31 - ele-king

Shop Chart


1

WALTZ

WALTZ BLENDMIX - WALTZ EDIT VOL.3
»COMMENT GET MUSIC
毎回好評の「Waltz Edit」の第3弾が登場!カップリングにはHikaru(Blast Head)とタッグを組んだニュー・ユニット、Blendmix名義での作品を収録。

2

MADLIB

MADLIB MEDICINE SHOW VOL.5 - HISTORY OF THE LOOP DIGGA 1990-2000 (LIMITED DELUXE VERSION) »COMMENT GET MUSIC
あの頃君は若かった・・・でも、とてつもなくビートはドープ。まずは早い者勝ちのDX限定盤!Medicine Showシリーズ第5弾は、1990年から2000年までのMadlibの過去を紐解くデモ音源集全44曲(34曲+ボーナス10曲)!

3

SEAHAWKS

SEAHAWKS ASTRAL WINDS
»COMMENT GET MUSIC
素晴らしい。コズミックとシューゲイズが海の底で溶け合うトリッピン・シンセ・サウンドスケープ!!最高のリリースが続くStatic Caravanより。Fuck Buttons meets Washed Outな絶対注目の1枚!!7"とは別内容の7曲入りCDが封入された限定盤です。

4

RAAH PROJECT

RAAH PROJECT REMIXES
»COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆どこまで天才なんだBlue Daisy!!年間ベスト10"候補です。イタリアの新興レーベルから当店直撃のリミックス10"が。Gilles Petersonにフックアップされた新鋭ユニットをお馴染みBlue DaisyがリミックスしたA1が壮絶です!!

5

MARCUS PRICE & CARLI

MARCUS PRICE & CARLI MAT BIRA KVINNOR WEED EP
»COMMENT GET MUSIC
☆爆裂大推薦☆これが'10年型ダーティ・ビーツ x 新型UKG/ベース最強リミキシーズ!!ダーティ・ビーツ系US最強ブログが主宰する同名レーベルが遂にヴァイナル・リリースを始動。当店激推しNight Slugsポッセからも2組がリミキサー参戦しておりますっ!!

6

ALDO CADIZ

ALDO CADIZ SHE MOVED
»COMMENT GET MUSIC
Basti Gru主催、Hohenreglerからの新作!!同時期にDesolatからBasti Grubとのコラボ作品をリリースし注目を集めたチリアン・プロデューサー、Aldo Cadizによるソロ作品が登場!!

7

MICKEY MOONLIGHT

MICKEY MOONLIGHT LOVE PATTERN EP
»COMMENT GET MUSIC
無限大マスト★天才Mike Silverによるトロピカル・シンセ・ユニット、遂に2nd.シングル登場!!2008年の"Interplanetary Music"が未だ売れ続けるMickey Moonlight。待ちに待った第2作がEd Bangerから到着!!今回も絶対間違いなし、メチャクチャ最高です!!

8

TARAS 3000

TARAS 3000 GALAXIS
»COMMENT GET MUSIC
AN-2に続くロシアン・ニュー・ディスコ大推薦盤!!Move Dを皮切りに本作で3枚目のリリースとなるモスクワ発Shanti Records.今後はRick Wadeのリリースも予定されていたりと大変に楽しみなレーベルです。

9

RICCIO

RICCIO DESIRE EP
»COMMENT GET MUSIC
ますます目が離せなくなってきたBosconiのディスコ部門"Bosconi Extra Virgin"!!The Revengeがリミキサーに起用された前作Jaffa Surfa"Disko Z"に続くは、Super ValueおよびHidden Historyからのリリースで御馴染みのLTJ X-Perience一派Riccioという言うまでも無くゴキゲンな一枚!!

10

ALEX DOLBY & SANTOS

ALEX DOLBY & SANTOS SOUND TRAFFIC E.P.
»COMMENT GET MUSIC
フロアヒット確実のトライバル・テックハウス!!Adam Port & Santeによる"Own EP"で一気に注目を集めたRockets & Poniesからのニュー・シングルはtaloboyz, Dubfire, Paul Ritchもプレイ、サポートの強力パーカッシヴ・チューン!!

MGMT - ele-king

 MGMTは、この国のあるひとつの"ロック・シーン"という幻想がまだぎりぎり成立するのだという、その臨界点を示してくれるバンドだ。それは言い換えるなら、音楽専門誌を読み、大型CDショップで試聴し、月に幾枚かの新譜を求めるという、もしかするともう古くなってしまったかもしれないリスナー像の臨界点でもある。彼らはメジャーとインディ、ウェルメイドな音とクリエイティヴな音を差し貫く、ハイブリッドな存在感を備えている。そしてそのことによって分断(トライブ)化する"ロック・シーン"をかろうじて繋ぎ止めているかに見える。

 デビュー作『オラキュラー・スペクタキュラー』の魅力とは、アニマル・コレクティヴをよりポップでよりファッショナブルに変換したという点に尽きる。2007年当時、アニマル・コレクティヴ『フィールズ』に代表される多幸的でトロピカルな極彩サイケデリアには、大きなエネルギーが噴出していた。影響力も新しさも気運もそこにあった。時代を動かすコテとして、それは他の様々なアーティストや表現のなかに潜りこむことになる。

 MGMTのデビュー作はアニマル・コレクティヴが掘削したトンネルをより広い聴衆に向けて開通させるものであったとも言える。いや......と言うよりは、ポップ・マーケットの側から掘られた穴が、途中で彼らに当たっただけのことかもしれないのだが。ともあれ『オラキュラー・スペクタキュラー』は大きな支持を得て、彼らはグラミー賞の最優秀新人賞にまでノミネートされる存在となったというわけだ。

 しかし、MGMTというのはポップということの両義性に非常に自覚的なバンドである。口を開けば、「人を不快にさせたい」「より劣悪でより非常識な音で人から非難されたい」といった露悪的な態度で自らの音楽性を相対化する。「不快」で「非常識」なはずが、世間的な成功を収めてしまったことに対する照れ。あるいはポップ・ミュージックと正面から向き合えない、幼い自意識......そんなものを抱えたバンドかと思っていたが、ブルックリンのデュオはセカンド・アルバム『コングラチュレーションズ』で、またしても抜け目なく見事なポップ・アルバムを作り上げたのである。

 まずはレイドバック志向。ザ・ドラムスにも顕著なこのモードにフォーカスするのはセンスとしてコレクトだ。持ち味のウィアードなエレクトロ・サウンドを用いながら、ふたりはペイズリー模様を煌めかせるように、60'sサイケ~ガレージ的な傾向をずいぶんと深めている。

 サイケデリックの伝説的バンドとして知られるラヴを思わせる雅やかな旋律を、シューゲイザーと呼ばれてしまいかねない独特の残響につつんで軽やかに疾駆する"イッツ・ワーキング"。オルガンが露悪的に跳ね回る"ソング・フォー・ダン・トレーシー"(テレヴィジョン・パーソナリティーズのリーダーに捧げられている)も印象的な曲だ。そして"サムワンズ・ミッシング"や"フラッシュ・デリリウム"からはグラム・ロックの肉感的なサウンドが溢れ出る。マーク・ボランもデヴィッド・ボウイも聴き取れてしまうブリティッシュ・マナーの70'sロックだ。

 "サイベリアン・ブレイクス"のような曲にもハント・アンド・ターナーなどのUKフォーク・ロックの影響を感じるが、ときおり挿入されるアコースティック・ナンバーは今作の特徴のひとつでもある。アルバムは実にバランスが良く構成され、1曲1曲のアイデアもしっかりしている。そして"MGMT印"の柔らかいファルセット・ヴォイスはデイヴ・フリッドマン(本作ではミックスを手がけているようだ)のスペーシーな音と見事に一体となっている。

 それにしてもこのスケールの大きなポップ感は特筆すべきである。プロデューサーがソニック・ブームということはその説明にならないだろう。とにかくこれはひとつのトライブに回収されない音で、いろんなタイプの人間に行き渡ってしまう可能性を持った音だ。そんな作品は今日珍しい。つまり年配のお客さんが店頭で聴いてふとジャケットを手に取り、シングル買い回りのインディっ子からサラリーマン、あるいは音楽雑誌と一緒にレジへ持ってくる高校生......、繰り返すようだが、なんだか久々に昔ながらの音楽の風景というものを目の当たりにしているようなのだ。

 波を挑発し、波から逃げる、呑まれる前に全速力で逃げる、そしてそれを楽しんでいるかのようなデザインのジャケットも素晴らしい。それは彼らのあり方を象徴するかのようだ。腹を割らない感じとでも言ったらいいだろうか。そもそも頭の切れるふたりだ。今作ではブライアン・イーノやレディ・ガガ、ダン・トレーシーといったポップの固有名詞を弄びながら、どことなく世界に対してアイロニカルに振る舞っている。

 直球勝負はしないのだ。さまざまな音楽的意匠を利用しながらサーフィ
ンしきる......驕慢で不遜にもみえるが、なかなかクールなファイティング・ポーズじゃないかと思う。

 「そんな自分たちに」か「そんな世界に」か、それとも何に向けてだ
ろう、"コングラチュレーションズ"。晴れ晴れと美しい、これもデヴィッド・ボウイ風の終曲。四分音符で小粋に下降するベースラインには、終わりとはじまりが、諦念と期待が入り交じっている。彼らは器用だが、確として道が見えているわけではない。波は、不安定なものだ。これからどうしていくのかわからないけれど、とりあえずここまで渡りきって、おめでとう。ここにもアイロニカルなニュアンスがないわけでもないが、そのようなアイロニーの無限連鎖をいったん断ち切る"コングラチュレーションズ"であったらいいなと思う。

CHART by JET SET 2010.05.24 - ele-king

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1

MAXXI & ZEUS

MAXXI & ZEUS THE STRUGGLE / THE CELL »COMMENT GET MUSIC
もはやレーベル買いするしかないInternational Feelの第5弾はQuiet Villageの変名リリース!!筋金入りのハードコア・ディガーJoel Martinと、ご存知Radio SlaveことMatt EdwardsによるQuiet Villageタッグ、久々の新作はMaxxi & Zeus名義でのウルトラ・ディープ・チルアウト。

2

GIRL UNIT

GIRL UNIT I.R.L. EP »COMMENT GET MUSIC
■'10年年間ベスト候補■変幻自在の進化形UKG歴史的傑作がこちら。凄過ぎます!!L-Vis 1990とBok Bok率いる当店激推しポスト・UKファンキー/UKGレーベルNight Slugsから、巨大新星Girl Unitの特大傑作1st.12"が登場!!

3

AERA

AERA INFINITE SPACE EP »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆Joy Orbison x Pantha Du Princeな美麗スロー音響ハウス大傑作!!ダブステップ/UKGの新潮流として当店も激烈プッシュ中のスロー・アーバン美麗ミニマル/テック・サウンドに呼応した特大傑作が到着しました!!

4

SECONDO

SECONDO I THINK I'M GONNA LIKE »COMMENT GET MUSIC
ニューディスコ・セットにも完璧にフィットするスロー音響ディスコ傑作!!エディットの嵐による脱臼ドファンキー・グルーヴで当店お馴染みのUK天才Secondo。自ら率いるDreckから、メロウで端正な2トラックスをお届けします~!!

5

MOS DEF

MOS DEF MOS DUB »COMMENT GET MUSIC
遂にMos Defの楽曲もレゲエのクラシック音源とマッシュ・アップ!"Ms.Fat Booty"、"Travellin Man"、をはじめとするMos Defの代表曲と、Desmond Dekker、Lee Perry等レジェンド達のオケとを心地良く、そしてドープに溶け合わせた極上の全10曲!

6

V.A.

V.A. SOUNDS SUPERB VOL.7 »COMMENT GET MUSIC
エグみが人気のIn Flagranti監修グレイト・リエディット・シリーズ第7弾!!毎回必ず光るトラックが収録されてる人気シリーズも早くもVol.7。今回は"Finders Keepers"な辺境深掘り最新事情にリンクした感がナイス!!

7

JUAN MACLEAN

JUAN MACLEAN SCION A/V REMIX »COMMENT GET MUSIC
House of House, Shit Robotを筆頭にDFA馴染みのヒット・メイカーが集合!!先日リリースされたばかりの『DJ Kicks』も大好評のThe Juan Macleanによる、データ配信が先行していたアルバム収録曲リミクシーズが待望のアナログ化。お見逃し無く!!

8

REBOOT

REBOOT RAMBON EP (LUCIANO REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Lucianoによるリミックスをフィーチャー!!間もなくリリースが予定されているRebootのアルバム『Shunyata』から先行シングル・カット作品!!Luciano率いるCadenzaの記念すべき50作品目がこちらです。

9

JAMAICA

JAMAICA I THINK I LIKE U 2 »COMMENT GET MUSIC
遂にPhoenixを超えるか!!グラマラス&スウィートなフレンチ・ディスコ・ロック爆裂キラー!!JusticeのXavierの後輩バンド、Poney Poneyが、名前をJamaicaに改めUKメジャー・デビュー!!Breakbot Remixもメチャクチャ最高です★

10

TANLINES

TANLINES SETTINGS »COMMENT GET MUSIC
トロピカルでドリーミーなインディ・シンセ・ポップ超最高峰★2010年スーパー・マスト盤です!!ブルックリン・シンセ・インディ新世代No.1、Tanlines。US/True Pantherからのリリースとなった2nd.シングル!!2010年の夏に聴きたい全ての音がここに詰まってます。

CHART by JET SET 2010.04.27 - ele-king

Shop Chart


1

WOOLFY / DJ SPUN

WOOLFY / DJ SPUN WHATCHAWANNADO VOL.2 »COMMENT GET MUSIC
新興リエディット・レーベル"Whatchawannado"第2弾がヤバイんです!!Stone Throw配給によるエディット・シリーズ第2弾。本作では"Woolfy"と"DJ Spun"のニュー・ディスコ界のドンお二方をフック・アップ。これからの季節の重宝必至ですのでお見逃しなく。

2

ARSENAL

ARSENAL OUTSIDES »COMMENT GET MUSIC
またもやベルギーからの驚異。Cut CopyでDelphicな青春ダンス・ロック・キラーを超感動Remix!!当店注目のベルジャン・デュオArsenalによる、Cut CopyのムードとDelphicの高揚が襲うロマンティック・インディ・ダンス・キラー!!Compuphonic、Gui BorratoによるRemixも死ぬほど素晴らしい!!

3

CX KIDTRONIK

CX KIDTRONIK BLACK GIRL WHITE GIRL »COMMENT GET MUSIC
これはトンでもない!!キラー・アバンギャルド・ヒップホップ!昨年復活を果たしたAnti Pop Consortiumの元DJ、鬼才CX KiDTRONiKのピクチャー盤12"+CD仕様の限定盤がStones Throwからリリース!さらにC/WにはMF Doom a.k.a. King Geedorhaをフューチャー!

4

CYPRESS HILL

CYPRESS HILL RISE UP »COMMENT GET MUSIC
復活作にして最高傑作!「Cypress Hill」8thアルバム、遂に入荷です!!6年も待ったかいがあった・・・B-Real、Sen Dog、Dj Muggs、Eric Boboの4人が自らが持つ魅力をじっくりとビルド・アップし集約、余す所無く封じ込めた待望過ぎる8thアルバム堂々完成です!

5

DANNY THE DANCER PRESENTS OTO GELB

DANNY THE DANCER PRESENTS OTO GELB A DISCO CLASSIC »COMMENT GET MUSIC
Daniel Wangさんのリエディットはやはり他とは一味も二味も違います!!昨年の来日、そして今年の元旦の恵比寿ガーデンホールでもスピンしていたキラー・チューンが遂にアナログ・カット。これは最高です、買って下さい。

6

MIM SULEIMAN

MIM SULEIMAN NYULI »COMMENT GET MUSIC
先日のDommuneプレイも最高だったMaurice Fultonのプロデュース!!ザンジバル出身のシンガーMia Suleimanによる1st.アルバム『Tungi』からの先行カット。Maurice Fultonプロデュースによるグレイト・モダン・アフロ・ポップ!!

7

MAKOSSA & MEGABLAST / DISKOKAINE

MAKOSSA & MEGABLAST / DISKOKAINE CD TWELVE SAMPLER 1 OF 2 »COMMENT GET MUSIC
辺境ビーツ・ファンにも大推薦のレフトフィールド・トライバル・ディスコ傑作A1!!マンレコの人気シリーズ"Funk Mundial"への参加でもお馴染みMakossa & Megablastと、GommaのDiskokaineによる強力スプリットっ!!

8

FLYING LOTUS

FLYING LOTUS COSMOGRAMMA »COMMENT GET MUSIC
US西海岸の怪物Flying Lotusが豪華ゲスト陣を迎えた歴史的傑作を完成!!Thom YorkeやLaura Darlington(Long Lost)、Dorian Conceptらも参加、漆黒の崩壊寸前グルーヴで冒頭から突っ走る脅威の17トラックス+1(T18)!!

9

JEFF MILLS

JEFF MILLS THE DRUMMER PT.3 »COMMENT GET MUSIC
全世界で限定300枚という超限定シリーズ"The Drummers"の最終章がこちら!!Jeff氏自身も実は若い頃はドラマーだったという経緯から、自らがリズム・マシーンを用いて表現する本シリーズがいよいよ最終章となりました。自身が尊敬するという音楽史上重要なドラマー達の名前をタイトルに付けた入魂のDJツールです!!

10

V.A.

V.A. AFRO BALEARIC EP »COMMENT GET MUSIC
絶人気Sol Selectasシリーズ第10弾★今回はアフロです。メチャクチャ最高ですー!!前作のクンビアに続いて、今回はアフロ篇!!Radioheadをハイライフ風に仕立てたA-1、Bow Wow Wow"I want Candy"をトロピカル・ディスコにしたA-2がズバ抜けてます!!

CHART by JET SET 2010.04.20 - ele-king

Shop Chart


1

JEFF MILLS

JEFF MILLS THE OCCURRENCE (限定盤ヴァイナル・ディスク仕様) »COMMENT GET MUSIC
日本初、新たなメディア、ヴァイナル・ディスク仕様盤が登場です!!未だにDJ Mix CDの金字塔と言われる『Mix Up Vol.2』(96年)そして一挙45曲もミックスした『Exhibitionist』(04年)から6年、待望のミックスアルバムが遂に完成です!!こちらは初回限定盤、CDサイドとヴァイナル・サイド2面仕様のヴァイナル・ディスク盤です。

2

ZEN-LA-ROCK

ZEN-LA-ROCK THE NIGHT OF ART EP »COMMENT GET MUSIC
傑作2ndアルバムから遂にアナログ・シングルが登場!コレは相当コブ付いてます!『THE NIGHT OF ART』からのアナログ・シングルが登場!Dam-Funkファンも絶対注目のアーバンでメロウなエレクトロ・ファンクです!

3

FUCK BUTTONS

FUCK BUTTONS OLYMPIANS »COMMENT GET MUSIC
大傑作2nd.からビューティフル・トリッピン・キラーがカット。なんとJ. Spaceman Remixです!!MGMT がSonic Boomなら、こちらはJason Pierce from Spiritualized★Andrew Weatherall Prod.のオリジナルも強力ですが、さらにAlan Vega Remixまで入ってる廃人寸前グリーン・ヴァイナル盤!!

4

MAVIS FT. CANDI STATON

MAVIS FT. CANDI STATON REVOLUTION - DARKSTARR REMIXES »COMMENT GET MUSIC
DJ Cosmo主宰Bitches Brewから話題のMavisがライセンス・リリース!!昨年のHorace Andy & Ashley Beedle"When The Rain Falls"も素晴らしかったですが、これも最高です!!

5

PSYCHOBUILDINGS

PSYCHOBUILDINGS BIRDS OF PREY »COMMENT GET MUSIC
激烈オススメ★Nite Jewel meets Washed Outなロウファイ・ブリージン・シンセ爆裂キラー!!話題沸騰のブルックリン・トリオ、Psychobuildingsのデビュー・7インチ!!KIndess"Swinging Party"にも匹敵のArthur Russell直系浮遊シンセ・ポップ。メチャ最高です!!

6

AHMED JANKA NABAY

AHMED JANKA NABAY BUBU KING »COMMENT GET MUSIC
Very BestもEl Guinchoも吹き飛ぶモダン・トロピカル・アフロ・グルーヴ!!メチャおすすめ★LemonadeにTanlinesをリリースするTrue Pantherから。西アフリカのブブ・ミュージックをモダンに展開するJanka Nabayの超強力12インチ!!

7

SHORTSTUFF / TAYLOR

SHORTSTUFF / TAYLOR REGRESSION / SQUEEGE »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆泣けるほどに甘酸っぱいです。卓上チャーミング美麗ガラージュ・ポップ大傑作!!レジェンドGeiomも参加のコンピ12"で幕開けた要注目ガラージュ・ポップ新興レーベルWigflexより、Four Tetファンにも大推薦のキューテスト美麗スプリットが登場!!

8

MITTEKILL

MITTEKILL ZUM SPIELPLATZ »COMMENT GET MUSIC
ダブステップ以降のレフトフィールド・ポップ・リミックスも搭載の美麗鍵盤音響ハウス傑作!!☆大推薦☆ドイツの老舗Kitty Yo周辺から登場した当店激注目のベルリンの新鋭デュオMittekill。鬼才デュオGoldwillによるリミックスx2も素晴らしいです!!

9

SCOTT FERGUSON

SCOTT FERGUSON MIDWEST BORN & BRED EP »COMMENT GET MUSIC
マイナーリーグの底力を見せ付ける燻し銀のベテランScott Ferguson、快調です!!活動再開の主宰レーベルFerrispark発'10年二発目。ザックリとした質感のバウンシーなキックとロウなベースが大変にカッコイイ、これぞUSミッドウェスト・グルーヴ。

10

LAYO & BUSHWACKA!

LAYO & BUSHWACKA! FEMMER FATALE »COMMENT GET MUSIC
う~ん、これはハマリます!!秒殺だったブート"Daa Daa Din"も話題なLayo & Bushwackaによるニュー・シングルはコズミック・ディスコ・ミーツ・ミニマルなドープなハマリ系ディープ・チューン!!

 去る3月、ブルックリンと大阪をつなげる企画がニューヨークで開催された。12日にブルックリン(オール・ガールズ)V.S.大阪、16日にニューヨーク(ノット・オール・ガールズ)V.S.大阪、ブルックリン代表がすべて女の子、ニューヨークは男の子も参加したため、こういうサブタイトルが付いている。

moon mama
moon mama
Hard nips
Hard nips
waterfai
waterfai
talk normal
talk normal

 ことのはじまりは、あふりらんぽのぴかのソロ・プロジェクト、ムーン・ママ(Moon♀mama)、そしてウォーター・ファイという大阪のふたつのバンドのニューヨーク・ツアーの企画からだった。それが我が〈ハートファスト〉の推薦するニューヨークのバンドとブッキングして、イヴェントに発展したというわけだ。ブルックリンと大阪という独特の文化を発信するふたつの都市、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが一同に集まるのはとても興味深い話で、実際、両方のイヴェントで見かける人も多かった。お客さんとバンドともに交流を深め、バンド同士でも刺激を受けあっていたように思う。

 ブルックリン勢として出演したのは、トーク・ノーマルハード・ニップス、ニューヨークからはピカ★ユカ(あふりらんぽのぴか、元チボマットの本田ゆか)、プリチャー・アンド・ザ・ナイフが参加。ソーダー・ファインのエリン、DFAのジョナサンのお兄ちゃんでもあるアンディがDJとして盛り上げてくれた。

 "オール・ガールズ"ブルックリンのときは、会場はブルックリンのブルアー・フォールズ。ここはローワー・イーストサイドにあるアンダーグラウンド・ライブハウス件カフェの、ケーキ・ショップの2号店だ。"ノット・オール・ガールズ"ニューヨークのときはケーキ・ショップの隣にあるピアノスで開催された。

 トーク・ノーマルはブルックリンのガールズ・デュオ。ドラムとギターが絡むゴースト・パンクのような音を出す。SXSWを含む全米ツアー(with xiu xiu)、ヨーロッパ・ツアーに出るちょうど前日だった。この何日か前にも、マーケット・ホテルで、オーサム・カラー、タイヴェック、CSCファンクバンドとのショーがあったばかりだった。ついに日本ツアーも6月に敢行する。

 ウォーター・ファイは大阪の女の子5人組のポスト・ロック・バンドで、今回が初のアメリカ・ツアーとなった。ニューヨーク、プロヴィデンス、そしてSXSW(オースティン)でプレイをした。あふりらんぽのぴかは、ムーン・ママ名義のフォーク・ソロと、元チボマットの本田ゆかさんとピカ★ユカ名義で出演した。ぴかの全身からのエネルギーが爆発するようなドラミングと、ゆかさんの宇宙に彷彿させるようなシンセ音の絶妙なコンビネーション。どちらも内容の濃いショーだった。

 さて、続いて報告するのは、3月17日(水)~3月21日(日)のオースティン、テキサス州でおこなわれた音楽コンヴェンション、サウス・バイ・サウスvウエスト。世界中からたくさんのバンド、音楽関係者が集まる。SXSWショーケースのバンドは、MNDR、アベ・ヴィゴダ、ノーエイジ、ディデラス、ザ・オーシーズ、J・マスシス、ファックド・アップ、クリスタル・アントラーズ、マイナス・ザ・ベア、ザ・ドラムス、シザー・シスターズ他。私は、先出のウォータ・ファイ、ハード・ニップスとともにオースティンにやって来た。

 19日は気候もよく、夜もたくさん人が外に出て、歩行者天国のようになっていたが、翌20日は自分がいままで経験したなかでもっとも寒いオースティンだった。この日は、NYナイト・トレイン/パナシェ・ブッキングのオールディ・パーティ。ステージはインドア、コートーヤード(野外)、ハウス(野外)の3つで、合計47のバンドがプレイした。ダムダム・ガールズ、トーク・ノーマル、キッド・コンゴ・アンド・ザ・ピンク・モンキー・バーズ、チキン・スネーク、オーサム・カラー、ゴールデン・トライアングル、スクリーンズなどのアメリカ勢をはじめ、ブラジル、サンパウロからGarotas Suecas、アイルランドからSo Cow、日本からはニュー・ハウスなども参加した。ニューヨークでもっとも忙しいDJであるNYナイト・トレインのジョナサン・トウビンがDJを担当した。これだけでもすごいラインナップだ。SXSWといえば、どこでもパーティで、バンドもこの期間だけは、1日に2~3個ショーを掛け持ちする。ウオーターファイ、ハードニップスも3回ショーを敢行した。

 ここまで来たらジャパン・ナイトものぞいてみようということで、会場前まで行ったが、たくさんの人で入ることができなかった。今年のラインナップはアシッド・マザーズ・テンプル、オカモトズ、チャット・モンチーなど。日本のバンドというだけでかなり人が入る。

 今回はさらに、ニューヨークのインディ・バンドのブッキングを仕切っているTodd Pが、初めてメキシコのモンタレイでショーを開催した。オースティンとモンタレイをバスでつないで、SXSWに出演したバンド(しないバンド)を現地に送って、SXSWが終了する土曜日夜にあわせてスタートするものだ。今回はその第一回目なのだが、これが早速大混乱だった。ボーダーを超えようとしても越えられないバンドが多数発生したのだ。バスを待っても待ってもこない(待ち時間8時間、乗ってる時間11時間、さらに1日に2本など)、出演するはずだった半数以上がキャンセルになった。

 プレイできたのは、ダン・ディーコン、ライアーズ、ヘルス、ネオン・インディアン、アンドリュー・WKなどなど。結局、ノーエイジ、ザ・オーシーズ、ジャヴェリン、DD/MM/YYYY、ビッグ・トラブルズ、トーク・ノーマル、ジョナサン・トウビンなどはキャンセル。アメリカからメキシコを越えるというのは、それほど簡単ではないのだ。

 ニューヨークに帰って来たいまもまだ忙しい感じが続いているけれど、4月になってから、マーケット・ホテルというライヴハウスに警察が入ってクローズダウンになったり、この街はスローダウン気味だ。暖かくなって来たので、これからは野外ライヴなどにも注目していきたい。

三上 寛 - ele-king

 三上寛のアルバム『弥吉』が、デビュー40周年・還暦記念として発売された。私はそれを先日3月19日の高円寺ショーボートでの還暦祝ライヴで購入した。私の産まれる10年前からこの人は歌い続けてきたんだ。三上寛が歌い続けてきたことって何なのか。私はここ数ヶ月それについて考えている。

 今年2月7日に横浜国立大学教育文化ホールで、三上寛さんのライヴと講演会が開かれた。昨年11月に帰らぬ人となった横浜国立大学の大里俊晴教授の授業を引き継いで、私は学生たちと一緒にこの企画をおこなうことになった。大里さんは10年近く、年に何人か、音楽、マンガ、映画、写真などで活躍する方を招いて、対談や共演をおこなってきた。招聘するゲストを相談して決めて、依頼のお手紙を書き、ゲストに関する書籍や作品を集め、受講生で一緒に共有して、広報、会場設営、当日運営、打ち上げ、お礼の手紙書くところまで、すべて学生の手でやるという授業である。その授業で、生前最期に大里さんが自分からぜひお呼びしたいと言ったのが、三上寛さんだった。いわばこの企画は「遺言遂行企画」である。

 大里さんは新潟の中学生だった頃、初めてラジオで三上寛さんの「ひらく夢などあるじゃなし」を聴いて、衝撃を受けたと言っていた。三上さんの音楽から1970年代初めに新潟の中学生だった大里さんが何を感じていたのか、っていうことは、いま東京で暮らす30歳の私の状況とあまりに違うから、想像することしかできない。青森から東京でデビューした一回り年上のひとりのフォークシンガーに対して、新潟の70年代の中学生男子は何を思ったんだろうか。いっぽう、私が初めて三上さんの歌を聴いたのは2000年代になってからの新宿JAMで、VAJRA(三上寛、灰野敬二、石橋俊明)のライヴを聴きに行ったときだった。そのとき三上さんは白いピカピカのグレッチのエレキギターを鳴らしていた。だから当然ながら私は、三上寛の歩みをリアルタイムに知らない。

 ましてや、何も知らずにこの授業を登録してしまったばかりに、この講演会とライヴを企画することになった受講生は、三上寛の「ミ」の字も知らない。受講生は横浜国立大学の2~3年生の女の子ばかりだった。普通に学生生活を過ごしてしていたら三上さんの歌と出会うチャンスは本当にわずかであろう、就職や恋愛などで悩むかわいいキャピキャピの女子大生である。彼女たちのyoutubeで三上寛の映像を見ての反応は薄かった。私には企画準備当初は、自分の言葉で三上寛の日本のポピュラー音楽史上での重要性を言葉で説明する力はなかった。ただ、大里俊晴が強く望んでいたからっていうことしか、なぜ三上寛さんを今回お招きするのかということを、彼女たちに納得してもらうように伝えられなかった。それでも、その思いを汲み取ってくれたのか、大里さんのことをただ一度だけしか見たことがない彼女たちは一生懸命準備をおこない(この授業に大里さんは一度だけ行くことができ、車椅子で三上寛さんの真似をし、その一週間後に帰らぬ人となった)、また三上さんもそうした状況を理解してくださり、「若い人たちに何かヒントになることを感じてもらえれば」と引き受けてくださった。講演会とライヴを終えると、私も彼女たちも三上寛さんの歌と言葉の力に圧倒され、彼女たちはいまや三上寛さんのデビュー年と出身地をソラで言えるようになった。それを覚えても就職には何も役に立たないと思うけれど。三上寛の歌は、彼女たちにどう映ったんだろうか。何か忘れ得ない刻印となっただろうか。

 けれども、実際に彼女たちに三上寛の姿がどう映ったかということ自体は、いますぐ答えを出すようなものではないのかもしれない。それは私にとってもそうだ。三上寛が例えば寺山修司から、大里俊晴が三上寛から何かを受け取ってきたように、私が大里俊晴を通して三上寛から、彼女たちが私を通して大里俊晴から、そして三上寛から(そこにはあらゆる固有名詞が代入可能である)、何を受け取っているかっていうのは、時間をかけてじわじわと、あるいはいつか突発的に思いがけなく出てくるかもしれないのだ。いずれにしても、「死」のあとも、記憶が薄れてしまったあとも、出会ってしまった事実だけは残る。

 このアルバム『弥吉』を聴いて、三上寛が40年歌い続けて来たことっていうのはそういうことだと思った。三上寛の歌というのは、失われたこと/言葉を、声にして歌うことで、それらに生気を取り戻しているんだ。三上寛はこのアルバムで問いかけている。「私たちは何を失ったのか」と。新しいものはそう簡単に生まれない。教条主義でも伝統主義でもないけれど、私たちの人生は、まったくの無から何かを生み出すにはあまりにも短すぎるし、有るものを単に再生産していくだけのつまらないことをやっている暇もない。消え去ってしまったものに思いを馳せ、取り戻すこと。そのために力強いイマジネーションを働かせて、何か新たな世界に一歩でも歩み出す。そんなことを三上寛の歌と言葉は教えてくれるのである。

CHART by JET SET 2010.04.06 - ele-king

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渋谷、宇田川町のレコード・ショップ「Sleeping Bugs」がレーベルとして始動!まずは交流深いDJ達のミックスCDシリーズ「The Sound of Space」をリリース。初陣を華やかに飾るのはHikaru(Blast Head)!

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☆☆年間ベスト候補筆頭☆☆ステッピー・ニュー・ディスコ超話題盤が遂に正規リリース!!Four Tetの"Sing"でもリミキサーを務め、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのFloating Points。片面プレス先行プロモが即完売した噂の新作が正規リリースされました!

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LEMONADE PURE MOODS »COMMENT GET MUSIC
遂に到着ー★人気爆発トロピカル・インディ・ダンス・ユニットがさらにぶちあげる猛烈最高マキシEP!!絶対マストでお願いします!!ごぞんじ西海岸ユニットLemonadeが、Vampire WeekendもFriendly FiresもEl Guinchoもなぎ倒す最新レコーディングス!!全5曲ともアルバム未収録、CDリリースなしです。

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RAW DOPE POSSE LISTEN TO MY TURBO »COMMENT GET MUSIC
埋もれた88年の東海岸産、鬼レア・カルト・クラシックが入荷しましたッ!涙Muro & K-PrinceのMix Tape"Wkod The Golden Era Of HipHop"にも収録された一曲! 中古市場では1万円から2万円は当たり前!

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Nite Jewel、jj、そしてドイツにはPolyester。またもや超最高です!!メチャクチャおすすめ★前作"Roung Clocks EP"が激ヒットとなったドイツの女性シンガー/トラックメイカー、Pollyester。待望のサード・シングルが到着しましたー!!

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COBBLESTONE JAZZ THE MODERN DEEP LEFT QUARTET »COMMENT GET MUSIC
待望のアナログ盤が登場です!!先行シングル、そして先立ってリリースされたCD盤も絶好調な最強、フリースタイル・テクノ・ジャムバンドCollolestone Jazzのセカンド・アルバム!!アナログ盤も出ました。

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FOUR TET SING RMX PART 2 »COMMENT GET MUSIC
☆☆特大推薦☆☆爆裂ヒット美麗名曲"Sing"のリミックス12"第2弾が登場!!当店激推し新鋭Moscaによるアフロ・トライバル・ファンキー・リミックスと、レジェンドDelinquentに見出された新星Hardhouse Bantonリミックスを収録!!

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ACTRESS PAINT, STRAW AND BUBBLES »COMMENT GET MUSIC
Joy Orbison最新作でもリミキサーを務めたActressを、今度はZombyがリミックス!!☆大推薦☆スクウィー以降の耳にもフィットする8ビット・メランコリック・ニューディスコB1や、カラフル・サイケ・ダブステッパーZombyによる傑作リミックスA2を搭載ですっ!!

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U.B.'S

U.B.'S STONE FOX CHASE 2009 (TODD TERRY REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Area Code 615のカヴァーをTodd Terryがハウス・リミックス!あの有名なブルース・ハープのフレーズとブレイクがお馴染みの、Area Code 615"Stone Fox Chase"をTodd Terryがハウス化!!
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