Home > Reviews > Album Reviews > あふりらんぽ- WE ARE UCHU NO KO
あふりらんぽの新作は本気で凄い! これまでとは比較にならないほどの傑作だと思う。アルバム・タイトルも"WE ARE UCHU NO KO"だけど、これまで多くのミュージシャンたちがコンタクトしてきた宇宙に簡単に繋がっているというか、彼女たち自身が宇宙だったというか。自分たちの言葉とリズムで天真爛漫に音楽を奏でているだけのようなんだけど、すごく神々しくて、どデカイ。このふたりはきっと、八百万の神のどれかにちがいない! ......なんて結構本気で思った(笑)。
本人たちの話によると3~4年前には作ろうとしていたものが、オニの出産などもあり、いまにずれ込んだものらしい。曲自体はかなり以前からあったものばかりで、ライヴでもやっていた。録音は、これまでのような一発録りに近いものではなく、楽器ごとにレコーディングされ、しっかり作り込まれたものだ。2枚組のアルバムで、オリジナルの7曲がディスク1に。そしてオニとピカ、それぞれのソロ作品の曲をふたりで演奏してZAKがミックスしたものがディスク2に収められている。
以前までのプリミティヴなガレージ・ロック風に加えて、2年半前にリリースされた『ズートブレイコー』でみせたフリー・フォームな世界もそれぞれ発展しながら、しっかり各曲に落とし込まれている。ジャーマンなヘヴィ・メタル風のM-1"ミラクルラッキーガールズ"、サイケデリック・ガレージなM-2"それがあふりらんぽ"、MC5風のヘヴィなロック・ナンバーM-3"東西南北"、トライバルmeetsサーフなエキゾチック・チューンM-4"海"、南国の民謡風なM-5"エゴロ島"......と、カテゴリーに当てはめて語ることも可能だが、いずれもそのキーワードはあくまでキーワードでしかなく、"ザ・あふらんぽ"としか言いようのない、ふたりの天真爛漫な個性によって別モノと言えるようなものになっているところがすごい。
とくにその究極だと思えるのが、11分を超えるスケールでいち大ストーリーを綴ったM-6"ワイトゥ"。田んぼのある日本の原風景で"雨よ降れ"と歌い踊る子供たちの姿が冒頭で浮かんでくるようなこの曲は、彼女たちにズッパマリ。ふたりがよく喩えられるような"巫女"を超えて"座敷童子"とか何かの精霊のようなものを連想してしまう。
そしてディスク1のラスト、M-7"ヤーヤーエー"は大団円としてエンディングとなる曲だ。ソロ作品を経た後のふたりによるピースフルな楽曲といったところだろうか。
そして、実はこっちのがほうがすごい、ディスク2。前述の通り、それぞれのソロ・アルバムの曲をふたりで演奏したものなのだけど、これが泣ける泣ける。2枚のソロ作も本当に素晴らしかったが、その感動がさらにスケール・アップして表現されている。もう、母性というか、宇宙なのか、愛が溢れまくっていて、聴いていると浄化されていくよう......。さらにさらに、そこにロックの衝動もしっかり注がれているのがあふりらんぽ。いろんなものがこみ上げてきて、「うお~~~~~!」と大声を挙げたくなるのは筆者だけではないと思う。
岩崎一敬