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![]() Girls Father, Son, Holy Ghost True Panther Sounds/よしもとアール・アンド・シー ![]() |
『アルバム』はふざけていた。ヴィンテージ・ポップスの意匠を借りて、女の子といっしょに泣いたり笑ったりしていた。いわばそれは、サンシャイン・ポップスのパロディだった。レトロ折衷主義の現代版だ。が、ローファイ版ビーチ・ボーイズはその1作で終わった。昨年の「ブロークン・ドリームズ・クラブ」はもう違っていた。クリストファー・オウエンスはマジだった。彼は、彼女のひと言ひと言をあまりにも敏感に感じ取ってしまう青年の声で歌った。「君があの音楽を聴いて涙してたときのことなど、彼にはわかりっこない/君があの映画で涙してたときのことなど、彼にはわかりっこない/君が最初から彼に抱いてた想いなど、彼にはわかりっこないだろう」――どこまでも潔癖で、胸いっぱいの声だ。
斜に構えた『アルバム』以上に、「ブロークン・ドリームズ・クラブ」は真剣に恋するに値するミニ・アルバムだった。ポップスの黄金時代の意匠を借りてはいるが、しかしそれは"レトロ折衷主義"の妙味に満足するようなものではなかった。そしてそれは、クリストファー・オウエンスの魂から生まれるものだった。この度リリースされる『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』は、「ブロークン・ドリーム・クラブ」のあとに続く......ラヴ・ソングこそが音楽(ポップス)においてもっとも忘れてはならない主題であるといわんばかりの、ガールズにとっての待望のセカンド・アルバムである。
ロックンロールの可能性なんてぜんぜん感じていない。マドンナの"アメリカン・パイ"、知ってるよね? あの曲の歌詞に、「Do you believe in Rock'n' Roll」って部分があるんだけど、僕はいつもそこで「ノー」って答えてる。
■「ブロークン・ドリーム・クラブ」には"サブスタンス"という曲がありますよね。そのなかであなたは「It doesn't have to be this way/I know something/To take the corners off/And help you rock and roll/Right down the road(こんなんでなくたっていいはずさ/そういうモノがあるってことは知ってるよ/尖った角が取れて、君をロックンロールさせてくれるんだ/この道のすぐ先でね)」と歌っています。何をいまさらと思うかもしれないけど、あなたにはロックンロールというスタイルに特別な気持ちがありますか?
クリストファー:ノー。僕はロックンロールじゃないよ。僕が思うロックンローラーたちとは違う。僕のスタイルは彼らのものとは全然違うんだ。この曲に出て来るロックンロールは......この曲は、ロックンロールのショーをやるためにサブスタンス(薬)を使ってる自分についての歌なんだ。だから、ロックンロールがテーマってわけじゃない。それよりも、僕はカントリーやジャズのほうが自分の好きな音楽って感じがするよ。そういう音楽は大好きさ。あとは日本の音楽。準備はいい?(さくらさくらを歌い出す)ハハハハ。この曲大好きなんだ。ロックより断然好き。っていうか、そっちのほうが自分らしいんだ。ミュージカルのオクラホマのほうが、よっぽど僕っぽいよ。
■この取材の主旨のひとつに、「21世紀のロックンロール」というテーマを与えてみようかと思います。インターネット時代の、人が自分の好みを自由に選択できる状況のなかでロックンロールを選ぶというのは、50年代や1976年にそれをやるのとはまた意味が違ってくるんじゃないかと思うんですよね。いかが思いますか?
クリストファー:さっきの質問の答えの通り、僕はロックンロールを選んでるわけじゃないからね。だから、この質問はわからないよ。
■でも歌を書くというのがあなたの音楽の前提にあると思いますが、この音楽のスタイルのなかにどのような可能性を感じているんですか?
クリストファー:ロックンロールの可能性なんてぜんぜん感じていない。マドンナの"アメリカン・パイ"、知ってるよね? あの曲の歌詞に、「Do you believe in Rock'n' Roll」って部分があるんだけど、僕はいつもそこで「ノー」って答えてる(笑)。僕が信じてるのはソウルだからね。
■わかりました(笑)。さて、それではガールズの作品について訊きますね。昨年発表した、あなたの「ブロークン・ドリームズ・クラブ」がとても感情にひっかかりました。あなたは最初のアルバムでは、カリフォルニア・ポップスというか、女の子についてユーモラスに、そして恋について感傷的に歌いました。しかし、「ブロークン・ドリームズ・クラブ」にはデビュー・アルバムにはない悲しみ、喪失感、失意のようなものを感じます。そして新作『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』は明らかに「ブロークン・ドリームズ・クラブ」からの続きがあるように思います。あのミニ・アルバムはあなたにとってどんな意味があったのでしょうか? 何があなたにあの作品を作らせたのでしょうか?
クリストファー:僕のなかで、作品は全部繋がっているんだ。僕の曲の書き方は、とくに各アルバムとかEPのためって感じじゃないからね。EPのレコーディングで初めてスタジオを使ったんだけど、あのEPで、僕たちはいろいろ実験できたんだ。スタジオもそうだし、他のミュージシャンやエンジニアを使ったり、プロがまわりにいた。あのとき、いろいろ試してみたおかげで、今回のアルバム制作をそういうやり方(EPのやり方)で進めていきたいのかがわかったんだ。今回のアルバムも『アルバム』みたいに部屋じゃなくてスタジオでレコーディングしたいと思ったし。そう、結果的にアルバムの準備ができたんだと思う。いろいろと見極めることができた。そのためにEPを作ったわけではないけど、結果的にそうなったんだ。
■"ジ・オー・ソー・プロテクティヴ・ワン"の歌詞も心を打たれましたが、タイトル曲の"ブロークン・ドリームズ・クラブ"にはとくに強いものを感じました。たとえば「So many people live and die/And never even question why/All of their dreams are gone/How do they carry on?(生まれては死んでいく、あまりに大勢の人々/「なぜ?」という問いさえ投げかけることもないままに/消し飛んでいったあらゆる夢 /うすればこれ以上頑張れると?」みたいな言葉はどこはから出てきたんですか?
クリストファー:歌詞が出てくるのは、すべて僕のフィーリング。若いときにはやりたいことがたくさんあるのに、大人になると人はその夢を諦めてしまう。なんでそんなことができるんだ? その心理が理解できないって思う気持ちさ。僕にとっては、夢を持ち続けることが大切だからね。でも、ほとんどの人たちが諦めるだろ? この曲は、僕のそんな気持ちについて歌ったものなんだ。
■"ブロークン・ドリームズ・クラブ"という言葉、何のメタファーなんでしょうか?
クリストファー:ブロークン・ドリームズ・クラブの意味は、僕のまわりの友だちたちのこと。あと、僕自身もちょっと入ってるかな。人からは「バンドが成功しててスゴイね」とか、「人気者になったね」とか言われるけど、僕だって、それと同時に壊れてしまった夢があるから。他の友だちもそう。何かに満足していない、何か叶えたいものがあった人たちのグループって意味なんだ。「本当はもっと......」を求める人たちのグループさ。
[[SplitPage]]ユーモアが少ないってのは同感だよ。今回はもっとシリアスだからね。前回はユーモアをマスクとして使ってたんだ。フェイク・ヴォイスをジョークで使ったりとかね。でも今回はオープンで、もっとシリアスで正直なんだ。
![]() Girls Father, Son, Holy Ghost True Panther Sounds/よしもとアール・アンド・シー ![]() |
■さんざん取材で訊かれたと思うので、申し訳ないないのですが、いまいちど、当時の記憶をたどってもらえないでしょうか? "Children of God"(注)はヒッピーが作ったディストピアとも言えるようなものですよね? そうしたあなたの幼少期の経験に対するあなたの思いに、この数年で何か変化はありましたか? あったら教えてください。
クリストファー:子供の頃に対する思いは毎日かわる。説明するには複雑だけど......。僕は若いとき、良いことを含め何に対しても感謝できなかった。怒りでいっぱいだったし、自由になりたいとばかり考えていたからね。反抗的だったんだ。でもいまは、人生でいろいろと経験してきて、いろんな角度から物事をみたり、先を見るようになった。というか、見れるようになった。だから、何を自分が失ったかを振り返ることもあれば、何が自分を幸せにしているかを見つめることもある。自分は特別な経験をしてきたなとも思うし、そのおかげでいまの自分があること、そして同時にそのせいで特別なものを失ってきたこともわかってる。その繰り返しなんだ。
■そのカルト教団を作ったヒッピーが愛していた音楽がロック・ミュージックだったという事実、そしていまあなた自身がロック・ミュージックをやっていることを我々はどのように解釈したらいいのでしょう?
クリストファー:さっきも言ったように、僕はロックンロールをやってるとは思わない。僕がやってるのはポップ。ロックンロールはヒッピーだし、自分はそのなかにいたけど、僕が好きなのはポップなんだ。僕たちの曲のなかで、ロックンロール・ソングはすごく少ないはずだよ。たぶん、ロックンロールの質問をしてくる人たちは、僕とロックンロールの解釈が違うんだろうね。アメリカでは、ロックンロールっていったら僕の姿勢とは違うものを意味する。君の意見が間違ってるとは思わないけど、もっと一般的にロックってものを考えたら、それがちょっと違うってことに気づくはずだよ。ロックンロールをもっと世界的に考えてみて。ロックは、自分にとっては全然違うことだし、僕はもっとジェントルマンだよ。
■では、あなたにとってのロックンロールとはどういう意味なのでしょう?
クリストファー:自分勝手で、人に失礼な態度をとることを気にしない。ある意味、アグレッション(強引さ)を通した自由って感じだね。
■自分がそうじゃないだけで、キライではない?
クリストファー:うーん......オールド・ロックンロールは好きだよ。そうだね、好きなロックンロールはたくさんある。ただ自分がそうじゃないだけだね。
■そして『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』というアルバム・タイトルは何を意味しているのですか?
クリストファー:このタイトルは、聖書からの引用なんだけど、意味はちょっと複雑なんだ。このフレーズは、聖書の引用っていうのもあるけど、アメリカの人びとにとっては誰でも知ってる御馴染みの言葉なんだよ。イエスと精霊と神は三位一体なんだ。だから使うことにした。みんながすでに聞いたことのあるフレーズだからね。それがこれをタイトルにした理由のひとつ。もうひとつは、このアルバムは自分にとって......というか、このアルバムだけじゃなくてすべてがそうだけど、どんな作品でも、Origin(原点)とIdentity(アイデンティティ)、そしてSpirit(魂)があると思うんだ。だから、僕にとってFather、Son、Holy Ghostの3つは、原点、アイデンティティ、魂を意味してるんだよ。うまく説明できないけど、このタイトルの意味はそれなんだ。
■アルバムのオープニング・トラック"ハニー・バニー"は、エネルギッシュで爽快な曲であり、直球なラヴ・ソングですが、しかしアルバムには"ダイ"というヘヴィーな曲もあるし、そして"マイ・マー"のような深いエモーションを持った曲もあります。何故いま、"マイ・マー"のような曲を歌ったのでしょう?
クリストファー:この曲で、僕は自分の気持ちを認めてるんだ。いま、僕が母親を恋しがってることをね。歌詞もすごくシンプル。母親ともっと近くなれたらいいのにっていう願いがその内容なんだ。僕と母さんは親しいけど、複雑なんだよね。同じ街に住んでないし、僕はすごく忙しいし。恋しいってことを彼女に言いたいんだ。自分の人生に、母さんが必要だってね。
■前よりもっと恋しいですか?
クリストファー:そうだね。最初に家をでたときは、自立することが目的だったし、家を出たからこそできることがたくさんあった。でもいまは、そういうのを超えたから、彼女の存在がすごく恋しいんだ。
■"ヴォミット"もまた、とてもハートブレイキングな曲です。これはどんな思いで作ったのでしょうか? とくに後半のゴスペルのような展開がすごいのですが。
クリストファー:これは随分前にかいた曲なんだ。この曲で表現してるのは......人について。他人からの愛が必要すぎる人。彼は毎日毎日、愛を探して探して、探しまくってる。自分にとって良くないしがみつきがある人の歌なんだ。たとえば、誰かがアル中のグループのなかにいたら、最初に必要なのは、自分がアル中であること、問題を抱えてることを認めること。この曲は、自分にとってその"認めること"なんだ。オープンに、自分は問題があると曲のなかでみとめてるんだ。
■あなたの音楽からはファーストにあったようなユーモアはなくなってしまったのでしょうか?
クリストファー:うーん......答えるのは難しいね。僕は、アルバム単位で曲は書かないから。だからいつもアルバム自体にテーマがないんだ。それぞれの曲は独立してるんだよ。共通してるのは、すべてのアルバムの曲が自分たちのお気に入りでできてるってこと。ユーモアが少ないってのは同感だよ。今回はもっとシリアスだからね。前回はユーモアをマスクとして使ってたんだ。フェイク・ヴォイスをジョークで使ったりとかね。ファニー・ボーイズをふるまってた。でも今回はオープンで、もっとシリアスで正直なんだ。
■なぜそれ(ユーモア)をやめたんですか?
クリストファー:もっと成長したし、前より気持ちが楽なんだ。リラックスしてるから、マスクを被って何かを隠す必要はもうない。ときどき遊びでやったりはするけどね。前はシリアスになりすぎないためにユーモアを敢えていれたりしてたけどいまではもうやらないんだ。
(注)"Children of God(神の子)"とは"Family International"としても知られる欧米では有名なカルト教団。1968年に設立されたそれは、60年代のキリスト革命(反体制的なヒッピーイズムのなかに見たキリスト教的な要素とキリスト教のなかに見たヒッピー的な要素によってうながされている)というなんとも実に歴史的に皮肉なムーヴメントのなかから生まれている。科学療法を信用しない教団は、乳児だった頃にオウェンスの兄を死なせている。父親はどこかへ消えてしまい、母親は売春も強制させれている。世界で最初の反カルト団体の組織化の契機にもなっている。
[[SplitPage]]自分がハッピーなときに書くとこういう曲ができる。道でハッピーな人をみて、その人が自分に微笑んで、「ハロー」と声をかけてきたら、自分もちょっとハッピーになるよね? そんな感じ。ハッピー・ソングを書くときは自分がハッピーだから、人にもそれが伝わってハッピーに聴こえるんだ。
![]() Girls Father, Son, Holy Ghost True Panther Sounds/よしもとアール・アンド・シー ![]() |
■では、"ジャスト・ア・ソング"もとても印象的な曲です。イントロのギターのアルペジオがとても綺麗な曲ですが、歌詞はやはりある種の喪失感を歌っています。「it just feels like it's gone/like all of it's gone, gone away/it seems like nobodies happy now(消え去ってしまったような感覚/すべてが消えて、なくなってしまったかのような/もう誰もハッピーじゃなさそうで)」......何についての歌でしょうか?
クリストファー:前までは、サンフランシスコに住む同じたくさんの仲間たちと毎日、毎晩あそんでたんだ。ハッピーだったし、互いに愛し合ってた。でも2年後はそれが変わってしまったんだ。この曲は、その2年後、たくさんのツアーを終えたあとに書いた曲。ツアーのあいだにたくさんの友だちを失ったんだ。まったくといっていいほど家にいなかったからね。この曲はそれについて。喪失感と仲間についてだよ。彼らとは、本当に毎日つるんでたんだ。すごく近かったのに。いまでも友だちではあるけど、みんなばらばらなんだ。ニューヨークとかロスとかに引っ越してしまったりね。でも、人生にはそういうことがつきもの。これがリアリティなんだ。
■クローザー・トラックの"ジェイミー・マリー"もギターによる弾き語り調の曲ですが、どうして今回のアルバムはこうした内省的で、バラード調の曲が多くなったのでしょうか?
クリストファー:昔書いた曲がたくさんあるからさ。これを書いたのもだいぶ前。4年前くらい。いまそれをレコーディングしても、作品自体は古いから、自分を振り返ってる感じがするんだと思うよ。でもこの曲は好きだ。"ヴォミット"もそう。書いたのは5年前なのに歌ってるのはいまだから、いまの自分が過去をふりかえって、自分を見つめてるかのように聴こえるんだ。歌詞がすべて自分のフィーリングからくるっていうのもあるしね。
■"フォーギヴネス "という美しいバラードがあります。これもまた、とても胸が打たれる曲です。この曲の主題についても教えてもらえますか?
クリストファー:この曲の主題は明確。タイトルのまま、"許し"について。それだけだよ。もし自分が悪いことをして、「ゴメン」と君に言うとする。それもひとつの解決だけど、それだけではおわりじゃない。君が、「許すよ」と言って初めて解決するんだ。内容はそれについて。本当にそれだけなんだ。シスターとブラザーは友だちのことだよ。自分、友だち、両方の"許し"についてがテーマなんだ。
■"マジック"は今回のアルバムで、"セイング・アイ・ラヴ・ユー "と並んで、とても親しみやすいラヴ・ソングですね。あなたはこうしたキャッチーなラヴ・ソングに特別な思いがありますよね。それにいついて話してもらえますか?
クリストファー:自分がハッピーなときに書くとこういう曲ができる。道でハッピーな人をみて、その人が自分に微笑んで、「ハロー」と声をかけてきたら、自分もちょっとハッピーになるよね? そんな感じ。ハッピー・ソングを書くときは自分がハッピーだから、人にもそれが伝わってハッピーに聴こえるんだ。でも、僕の場合、悲しい曲もキャッチーだよね(笑)。キャッチーに関しては両方ともそう。でも、ハッピー・ソングの魅力は、なかにハピネスがつまってて、すごくポジティヴなこと。自分を含み、人って悲しい気持ちのときが多いから、こういうハピネスは人の心をもっとハッピーにするんだ。キャッチーなラヴ・ソングに対しては、スペシャルな気持ちはないよ。悲しいのも好きだし、キャッチーなのは全部好き。キャッチーにしようと意識するわけじゃないんだけど、自然とキャッチーに仕上がることが多いんだ。
■"ラヴ・ライク・ア・リヴァー"も良い曲ですが、あれはソウル・ミュージックをやりたかったという感じでしょうか?
クリストファー:そうだよ。ソウル・ミュージックからはたくさん影響を受けてる。僕たちは何でもトライするんだ。シューゲイズもトライしたことあるし、ビーチ・ボーイズっぽいロックやジャズなんかにも挑戦したことがある。好きな物はすべてやってみるんだ。やってみるのは自由だからね。決まりはなくて、ただやりたいことをするんだ。この曲は初めて書いたR&Bソングなんだよ。このアルバムには3つの"初めて"があるんだ。ひとつは"ダイ"のギターリフ。ふたつめは"ラヴ・ライク・ア・リヴァー"のソウル。3つめは"ジャスト・ア・ソング"のクラシック・ギター。この3つは新たに挑戦してみたことなんだ。
■さて、そろそろ最後のほうの質問です。音楽の社会的な機能の仕方について訊きたいのですが、「21世紀のロックンロール」はどんな役割を果たしていくんだと思いますか?
クリストファー:役割は変わらないと思う。ロックンロールには、ファンのためと、演奏する人たちのためのふたつの役割があると思うんだ。もしインターネットで見つけるのが簡単になったとしても、プレイヤーたちのなかでのマジックは存在し続けるだろうし、ファンにとっても、ラジオでロックンロールに出会おうが、インターネットで見つけようが、得る喜びは同じだと思うよ。これから先も同じさ。好きな音楽から得る喜びは変わらない。演奏する側と見る側、それぞれに違う喜びが存在し続けると思うよ。
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![]() Matthew Herbert One Pig Accidental/ホステス ![]() |
マシュー・ハーバートが久しぶりにライヴをやる。しかも豚の一生をテーマにした、"ワン"シリーズの最終章、『ワン・ピッグ』のライヴ・セットだ。リキッドルームでハーバートのライヴといえば、2000年の暮れのライヴはサンプリングによる政治的な抗議として、いまだに語りぐさになっている。あのときはグローバル企業の商品や新聞をその場で破いたり潰したりする音をその場でサンプリングして、批評精神溢れる態度でユーモラスなライヴを展開していったが、今回は豚である。いったいどんな内容のライヴになるのか......。レヴューにも書いたように、豚の鳴き声を大々的にフィーチャーした『ワン・ピッグ』があまりにも素晴らしかっただけに、注目のステージである。
しかもまた、別の日ではSBTRKTとムードマンといっしょにDJという......これは迷う!
■マシュー・ハーバートの来日公演情報
<LIVE>
9月22日(木)東京・恵比寿LIQUIDROOM
LIQUIDROOM 7th ANNIVERSARY and Hostess Club presents Matthew Herbert's ONEPIG
チケット: ¥6,000(前売り / ドリンク代別) 好評発売中!
問)LIQUIDROOM / 03-5464-0800
https://www.liquidroom.net
<DJ>
9月23日(金・祝日)京都・CLUB METRO
Angle × Matthew Herbert (DJ)
〜 Matthew Herbert album『ONE PIG』『Bodily Functions (Special Edition)』W
release
party!!〜
チケット: ¥2,500(前売り / ドリンク代別) 好評発売中!
問)京都Club METRO / 075-752-4765
https://www.metro.ne.jp
9月24日(土)東京・恵比寿LIQUIDROOM
HOUSE OF LIQUID powered by Hostess Club
チケット: 前売 4,000円 当日4,500円(税込)好評発売中!
ラインナップ: MATTHEW HERBERT (DJ) SBTRKT(LIVE)MOODMAN(DJ)
問)LIQUIDROOM / 03-5464-0800
https://www.liquidroom.net
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V.A.
DIRTY DANCING SAMPLER
SLEAZY BEATS / NL / 2011/8/30
»COMMENT GET MUSIC
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![]() Zomby Dedication 4AD/ホステス |
ゾンビーは先回りしているようだ。いまごろ雷鳴が轟く丘の上の古城のなかで、ボトルを片手に、消費社会の速度に追われている人たちをあざけっているかもしれない。そして、人間の原始的な欲望はいつの時代も変わらないと、つぶやいているんじゃないか。
ゾンビーの音楽は多様というよりも、あまりにも無秩序に思えるときがある。〈ハイパー・ダブ〉から出している2枚組12インチがその好例だが、ガラージのレコードのなかに間違ってダーク・アンビエントが収録されてしまったかのような、唐突とした感覚がある。しかしそうした他との違いも、彼が様式や分析といったものよりも自分の原始的な嗅覚を尊重しているからだろう。そういう意味ではゾンビーは、いまどき珍しくディオニソス的である。以下の短い受け答えからもそのことは読み取れるはずだ。
彼の最新作『デディケーション』は、1980年代にゴシックの重要な舞台のひとつとなった〈4AD〉からリリースされている。彼はその名前からも察することができるように、死者、死霊、地獄、呪い、悪魔......といった闇や非合理的なものに執着しているが、同時に酩酊を推奨する。『デディケーション』は、冷静さをあざけり、なりふりかまわず酔いしれることを良しとするゾンビーの最新の成果である。
蛍光色の服を着るような、バカなクラバーとはまったくもって違うけどね。俺はいつもクラブの後ろでいい大麻を吸い、たくさんの女の子たちとボトルで何か良い酒を飲みながら音楽を聴いて浸るんだ。
■『Dedication』は素晴らしいアルバムでしたが、あなたはアルバムというフォーマットに興味がないのかと思ってました。『Where Were U In '92? 』はコンセプト・アルバムだったし、2009年の『One Foot Ahead Of The Other EP』でさえも、あなたは"EP"と言ったわけだし、シングル主義にこだわっているのかと思ってました。
ゾンビー:ただやりたいことをやりたいときにするだけだよ。そのとき書いてる曲に応じてEPにするかLPにするかをレーベルが相談してくるんだよ。とくにフォーマットに関してこだわりはないな、アルバムのコンセプトが物語とかなら別だけど。
■あなたの音楽はダンス・ミュージックもであり、ヘッド・ミュージックもでもあります。ダブステップのようで、ミニマル・テクノのようにも感じます。まるでジャンルの境界線で鳴っているように思うのですが、そこは意識してそうなっているのでしょうか?
ゾンビー:ダンス音楽の意図は変わっていて、音楽に好感を抱き、それに対して躍らなければいけないものじゃないんだ。踊れる曲を作るのはシンプルだよ。もう少しやりたいね。
■あなた自身、自分の音楽をどのように定義できると思いますか?
ゾンビー:芸術(アート)。
■ハードコア全盛期に音楽体験をしているから『Where Were U In '92? 』を作ったのでしょうけど、1992年にあなたは何歳でしたか?
ゾンビー:違うよ。その時代に対するラヴレターのような感覚だね。まだそんなパーティに行くには若過ぎたよ。外から見てはいたけどね。ただそこから得るものもあったよ。たとえば10歳の子が18歳のパーティに参加出来なくても興奮できないってわけじゃないだろ?
■1992年のどこにいちばん魅力を感じますか?
ゾンビー:選べないな。1992年はイギリス発信の多くの素晴らしいダンス音楽がリリースされた年だって事を理解しないと。Acenや Aphex Twinだってそうだろ。1992年の曲ならいまここでいくらでも挙げれるよ。
■あなたがゾンビーという名前を名乗った理由を教えてください。
ゾンビー:死んでるし、地獄にいたからさ。
■そこにドラッグ・カルチャーは関係していますか?
ゾンビー:いや。
■生まれも育ちもロンドンですか?
ゾンビー:ああ。
■ナイト・クラビングは好きですか?
ゾンビー:いまは仕事ばかりだけど昔は行ってたよ。蛍光色の服を着るような、バカなクラバーとはまったくもって違うけどね。俺はいつもクラブの後ろでいい大麻を吸い、たくさんの女の子たちとボトルで何か良い酒を飲みながら音楽を聴いて浸るんだ。
[[SplitPage]]ティンバランドやファレルなんかが登場したあとの音楽は信じられないほど良くなってて、UKもそれに匹敵するオリジナルのサウンドがあったし。そんな音楽の成長課程を目にしながら育って、参加しないわけにはいかないだろ?
![]() Zomby Dedication 4AD/ホステス |
■あなたが音楽制作をはじめたきっかけについて教えてください。
ゾンビー:当時自分をとりまいていた音楽がそうさせたんだよ。ティンバランドやファレルなんかが登場したあとの音楽は信じられないほど良くなってて、UKもそれに匹敵するオリジナルのサウンドがあったし。そんな音楽の成長課程を目にしながら育って、参加しないわけにはいかないだろ?
■顔を出さないのは、アンダーグラウンド・ミュージックの匿名性を重視しているからですよね?
ゾンビー:そんなことして無いよ。俺がZombyでロンドン出身なのは知ってるだろ? 検索すれば写真も出てくるし、ぜんぜん秘密じゃないよ。ただあまりネット上で自分をプロモーションしすぎないだけさ。俺は音楽をやるだけ。
■あなたは音楽に大麻からの影響はありますか?
ゾンビー:ああ、吸うよ。影響もあるだろうね。おそらく。
■アクトレスとはどのように知り合ったのですか?
ゾンビー:ずっと前から知り合いさ。
■あなたは自分がダブステップのプロデューサーだと言われることに違和感を感じますか?
ゾンビー:ああ。もういまはそう呼ばれるのは嫌いだよ、すべてがダブステップみたいなね。2005年にダブステップが出てきてから世界中の人がそれに乗っかってきてる状況で、ダブステップに意味を持たせるのはグッチ・メインがヘヴィーメタルだって言うようなもんだよ。おれはダブステップを作ってるんじゃなくて、音楽を書いてるんだ。おれはイングランド出身だし、ダブステップはイングランドで生まれたもんだけど、おれの作品の代名詞じゃないし、おれはダブステップより前に存在してるから。
■アルバム全体に漂う独特のトランシーな感覚はどこから来ているのでしょうか?
ゾンビー:わかんないな。
■"Riding With Death""Lucifer""Haunted""A Devil Lay Here"など不吉な曲名が並んでいますが、理由を教えてください。
ゾンビー:おれは地獄の扉に潜ったんだ。自分が感じるようにタイトルをつけるまでだよ。
■ホラー映画からの影響がもしあれば具体的に言ってください。
ゾンビー:そうでもないよ。どちらかと言えばヒッチコックとかキューブリックかな。状況を作り上げることに興味があるんだ。
■『One Foot Ahead Of The Other EP』もそうだでしたが、あなたの曲はじょじょにフェイドインして、いきなりぶった切るように終わる曲がいくつかありますよね? これはどんな理由というか、意図があってのことなんですか?
ゾンビー:それはそういうものってだけ。説明は不要だよ。
■まずはアルバムのテーマについて教えてください。あるコンセプトに基づいて作られたものであるなら、そのコンセプトも教えてください。
ゾンビー:このアルバムの制作準備中に親父が癌で死んだんだ。だから人生においてもっとも自分が影響され、自分の音楽を書くきっかけを作ってくれた父に捧げることにしたんだ。
■アニマル・コレクティヴのどんなところが好きでしたか?
ゾンビー:彼らの音楽だよ。
■あなたが4ADと契約した理由は、昔、このレーベルからコクトー・ツィンズが出ていたことも関係していますか?
ゾンビー:そんなものは聴かない。オレはラップしか聴かない。
■あなたが音楽に求めるモノは何でしょうか?
ゾンビー:スワッグ(自信、容姿や振る舞いなどからくる自身のスタイル)だね。
■エレクトロニック・ミュージックのプロデューサーで、好きな人の名前を何人か挙げてください。
ゾンビー:Aphex Twin、Burial、Lex Luger、Araab Muzik、Southside、Shawty Redd、Keyboard Kid......ラップを聴くね。インストは聴かないな。
■現在、ダブステップのシーンはメインストリームになりましたが、あなたは現在のシーンに関してどのような意見を持っていますか?
ゾンビー:オレとは関係ないよ。オレは売れるダブステップを作ろうとしてないし、ただ売れるダブステップを書いてる奴らにとったら、まぁすごいことだろうね。
9/17 (土)DBS presents "BIG BASS SESSIONS"@代官山UNITは、3.11東日本大震災の一週後に予定されていた来日を断念せざるおえなかったDJ ZINCが今回イチ押しのSCRIPT MCを引き連れ、リベンジに臨む。そして迎え撃つは日本が誇るターンテーブルマエストロ、DJ KENTARO!!! これは絶対聞き逃せない!
筆者が主宰しているDBS(DRUM & BASS SESSIONS)は'96年11月に新宿リキッドルームでドラム&ベースの魅力をダイレクト感じてほしいという思いで開催し、現在は代官山UNITを本拠に今年で15周年を迎える。'07年のMALA初来日を皮切りに当時としては異色とも思われたドラム&ベースとダブステップの競演をはじめ、グライム、UKファンキーなどベースミュージックが体感できる場となっている。そして今年は15周年に向けたカウントダウンとして、DBSにゆかりのあるアーティストを中心に毎月の計画を進めていたものの東日本大震災、そして原発事故の影響で開催を停止せざるえなかった。が、ようやく、9月から再スタート。DBSの歴史のなかでもとりわけ深い関わりを持つ、DJ ZINCの登場である。そんなDBSとDJ ZINCとの関わりの記憶を辿り、彼の経歴を振り返ってみる。
筆者がZINCを知ったのは'95年、DJ HYPEのGanja Recordsからリリースされた「Super Sharp Shooter」だった。
Dj Zinc - Super Sharp Shooter (Original)ファンクやヒップホップのサンプルが織りなすこの曲はUKで沸騰爆発したジャングル・レイヴのアンセムとなり、無名のZINCをいち躍ドラム&ベース・シーンの最前線に押し上げた。当時20代前半のZINCに初めてロンドンで会って話を聞いたが「'80年代後半に海賊放送を聞いてレイヴに行き出し、DJをはじめるきっかけになった」、曲作りについては「他のアーティストとは違うオリジナリティが必要で、自分の以前の曲ともまた違う新しいアプローチでクリエイトする事が重要だと思う」と真摯に語ってくれたのが印象に残っている。まもなくZINCはHYPE、PASCALらとレーベル〈True Playaz〉を設立し、大ヒットを連発、快進撃を続け、'97年6月のDBSでHYPEとともに来日を果たして以来、DBS恒例となった"True Playaz Night"でしばし来日し、バウンシーな独自のサウンドで日本での人気を拡大しておこなった。
その間、ZINCに変化が起こったのは'99年に〈True Playaz〉からプロモ発表された"138 Trek"。
Dj Zinc- 138 Trekドラム&ベースのベースラインをまさに138 bpmというUKガラージのテンポで表現したこの実験作は、ブレイクスと2ステップ/UKガラージの両シーンから圧倒的な支持を受け、ブレイクステップ/ブレイクビート・ガラージという新ジャンルを確立し、翌2000年に立ち上げた自己のレーベル〈Bingo Beats〉へと発展する。それは、対等な関係とは言え、キャリアの違いゆえ〈True Playaz〉のなかでHYPE、PASCALに次ぐ"第三の男"として世間一般に認識されたZINCにとって大きな転機であり、また彼の音楽的実験のために必然だったと言えよう。
〈Bingo Beats〉においてZINCはJAMMIN名義でUKガラージ・シーンに切り込み、ZED BIAS、DARQWANことORIS JAY、WOOKIEといった重鎮と関わり、彼のレーベルはドラム&ベース、ブレイクビート、UKガラージ、ブレイクス、ダブステップと、UKアンダーグラウンド・サウンドの先端を網羅する。そこにはグライム〜ダブステップを先導した海賊放送Rinse FMとその系列で'01年にはじまったパーティ「FWD>>」、レーベルの〈Tempa/Soulja〉との密な交流が生まれた点が大きい。そしてDBSでは'03年にZINCとZED BIASをフィーチャーして最初の"Bingo Beats Night"を開催して以来、レギュラーとなり、盟友DYNAMITE MCとのコンビで日本を沸かせ続けた。
'03年にはドラム&ベースの範疇に留まらないZINCの才能をアピールしたアルバム『FASTER』がメジャーの〈Polydor〉から発表される。ここには90 bpmのダウンテンポから180 bpmの高速ドラム&ベースまで自在に遊泳し、フューチャー・ジャズ、2ステップ〜ダブステップにも大きな影響を与えた。
その後、〈Bingo Beats〉はディーヴァ、JENNA Gをスターダムにのし上げ、CHASE & STATUS、SIGMAといったドラム&ベースの精鋭を擁して発展を続け、ZINCのDJ活動もワールドワイドに拍車をかけた。そんなZINCに次なる転機が訪れたのは'07年、そのフォーマットの呪縛か、ドラム&ベースに独創性を見出せなくなった彼は、ドラム&ベースに背を向け、DBSを除くいっさいのDJブッキングを取り下げ、幼い息子との濃密な時間を過ごし、自身のキャリアをいかに前進させうるか、試行錯誤したと言う。そのあいだZINCはDBSにダブステップを繋ぎ、SKREAMを伴って'07年に来日した他、BENGAやN-TYPEとの仲介も務めてくれた。またいまやベース・ミュージック界の歌姫となるKATY Bを'08年に見出している。
DJ Zinc ft. Katy B - Take Me With You'09年、ZINCが出した回答は"Crack House"。ZINCならではベースライン・サウンドを主体とし、エレクトロ、ダブステップ、ディープ・ハウス、フィジェット・ハウス、ファンキー・ハウス、ブレイクス、ジャングル等をミックスした最新鋭のエレクトロ・ダンスミュージックの誕生である。同年に〈Bingo Beats〉のサブレーベルとなる〈Bingo Bass〉から「Crack House EP」を発表、そして昨'10年にはMS.DYNAMITEのヴォーカルをフィーチャーしたシングル「Wile Out」をUK TOP40にチャートイン、次なるEP「Crack House Vol.2」のリリースでZINCの新機軸"クラック・ハウス"はUKシーンの最前線に躍り出る。その後もPAUL WELLERの"Wake Up The Nation"のリミックスを手掛けた他、KATY Bのデビューアルバム『ON A MISSION』のプロダクションに関わるなど、新領域を驀進している。また最近はUKで'95年のジャングル・セットを披露するなど、DJを楽しんでいるようだ。
DJ Zinc ft. MS Dynamite - Wile Out来日が間近に迫ったZINCに近況を聞いた。
■現在"ベース・ミュージック"という括りでダブステップ、ファンキー、クラックハウスなどのUKサウンドが脚光を浴びています。"ベース・ミュージック"と言うのは曖昧にも思えますが、あなたはこの括りをどう思いますか。
DJジンク:名前のとおり、同じ起源を持っているすべての異なったジャンル似ついて説明する早道だと思うよ。
■その"ベース・ミュージック"の発展に大きく貢献したのは今年17周年を迎えるRinse FMだと思います。あなたはRinse FMと深く関わっていますが、どう思いますか? また、Rinseがパイレーツでやっていた時代と合法化されたいまとでは違いがありますか(※94年に海賊放送としてはじまったRinseは'10年に認可された)?
DJジンク:そのとおり。Rinse FMは新しい音とともにつねに動いて、アンダーグラウンド・ミュージックを強くサポートしてきた。僕はRinseの運営者達と親密でRinseのDJでもあるよ。ライセンスを得る前と後で音の違いは全くないけど、認知度が広がり、とても大きなステーションになったね。
■09年の「Crack House EP」、10年の「Vol.2」であなたがクリエイトしたクラック・ハウスは浸透したと思います。その後のリリースはありませんが、今後どのようにクラック・ハウスを推進していこうと思っていますか? また、最近の制作活動を教えてください。
DJジンク:いまもクラック・ハウスのトラックに取り組んでいて、〈Rinse Recordings〉のためのアルバムを作っているよ。ヴォーカルや生楽器も入れていて、エキサイティングだよ。
■ドラム&ベースのジンクを期待するファンと現在のあなたの音楽性によるギャップがあったかと思いますが葛藤はなかったですか?
DJジンク:さほどではないよ。僕が聞いた多くのコメントは、「いつドラム&ベースを止めたんだ、怒るよ」ってものだったけど、いまは「新しいハウス・サウンドが好きだよ。勇敢に立ち向かってくれてありがとう」というのが多い。僕はドラム&ベースでとても忙しかったからスタイルを変えるのは難しかったんだ。
■現在あなたが注目しているアーティストを教えてください。
DJジンク:REDLIGHT、BOY 8 BIT、JACK BEATS、WILL BAILEYだね。
■今回一緒に来日するSCRIPT MCとはどうやって知り合ったの?
DJジンク:僕が年に1、2回プレイするNewquayのクラブでレジデントだったので知り合ったんだ。彼は良かったし、自分のセットにMCが必要だと思った時、真っ先に彼を選んだんだ。
■今回のロンドンの暴動は日本でも大きな話題となりました。この件について個人的にはどう思いますか? またダブステップの本場のクロイドンは暴動のひとつのポイントになりましたが、音楽がUK社会に与える影響は無関係なのでしょうか。
DJジンク:そのとき僕は英国を離れてたので実際にこの目で見ていないんだ。クロイドンのように、貧困地区はしばし非常に良い音楽を作ると思う。人びとは多くの空き時間やとても強いエモーショナルなフィーリングがあるからね。
■最後に、3月に決まっていたあなたの来日公演は1週間前に起こった地震の影響で中止になりました。その後も原発事故の影響で日本全体がいまも苦しんでいます。しかし音楽の力を信じている人は多くいますし、あなたの来日を熱望していた人々もいます。9月の来日にあたっての抱負と日本人へのメッセージをお願いします。
DJジンク:日本に戻るのを楽しみにしています。3月にキャンセルしなければならなかったのはとても悲しかったけど、地震の数日後で東京の状況がとても悪かったからね。僕には日本の人びとがそれ以来、困難なときを過ごしているのがわかります。そして今回僕が東京で音楽をプレイし、人びとが楽しんでくれて数時間でも皆が抱えている問題を忘れてもらえれば。music unites people. see you soon tokyo family!
DJ ZINC関連リンク
https://djzinc.com/
https://www.myspace.com/bingozinc
https://twitter.com/djzinc
https://rinse.fm/
text by KYOHEI KAMBA
DRUM&BASS SESSIONS 15th.Anniversary Countdown!! [1996-2011]
DBS presents "BIG BASS SESSIONS"
2011. 09. 17 (SAT) @ UNIT
feat. DJ ZINC+SCRIPT MC
DJ KENTARO
with: Eccy , Dj P.O.L.Style
DJ MASSIVE
vj/laser: SO IN THE HOUSE
B3/SALOON: TETSUJI TANAKA, DJ MIYU, ENDLESS , ATSUKI (MAMMOTHDUB)
open/start 23:30
adv.3300yen door 3800yen
info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.dbs-tokyo.com
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9月3日はメタモルフォーゼですね! 今年でもう12回目なんですね......すごいなー。
メタモルフォーゼ......いまさら説明するまでもないけど、日本最大規模のオールナイトの野外フェスです。レイヴ・カルチャーの申し子として、DJの赤間マユリさんが2000年からはじまっているメタモルフォーゼ(メタモの愛称で語られている)は、出演者のメンツが幅広く、とにかく気の利いている。親分率いるギャラクシー2ギャラクシー、ムーディーマン、デリック・メイというデトロイトのビッグ3をはじめ、オービタルと808ステイトというUKテクノの大御所、ゴールド・パンダや2562のような新世代、それからカール・バルトス(元クラフトワーク)、UKエイジアンのタルヴィン・シン、あるいはサイケデリック・ロック・バンドのザ・フレミング・リップス......日本勢もオリジナル・レイヴ世代のダブ・スクワッドやQHEY、ヤマタカ・アイ、DJバク、七尾旅人、にせんねんもんだいなどなど本当に幅広く良いメンツが揃っているんです。
実は僕は昨年も遊びに行っているんですが......出発直前までさんざんビールを飲み、車が山道で迷っているときに車酔いして、最初のデリック・メイのDJやマニュエル・ゲッチングのライヴは良かったのですが、X-102のハードコアなライヴでノックアウトされ、ぶっ倒れているところを友人に見つかり......、それからフラフラになりながらマイク・バンクスに会いに行って、そしてまたアルバム・リーフのライヴでぶっ倒れていたという哀れな思いをしているのです。ホントに素晴らしいフェスだっただけに、そんな自分が情けなくて......今年はまずはとにかく会場に着くまではアルコールを飲まずに体力を温存しようと決めているのであります。
会場となる伊豆・修善寺にある「自転車の国 サイクルスポーツセンター」が安心して楽しめる場所であることも魅力ですね。入ったことないけど温泉もあるし......あれってどうなんでしょう。今年こそ挑戦してみようかな。
METAMORPHOSE 2011
公演日:9月3日(土)
会場:自転車の国 サイクルスポーツセンター (静岡県伊豆市)
https://www.csc.or.jp/
OPEN/START:16:30/18:00 (4日午前9時 終了予定)
前売り一般入場券 (7月1日一斉発売) ¥12500
駐車券¥2500 バイク¥1000
テント券 (規定枚数に達した為終了)
出演者:
THE FLAMING LIPS、ORBITAL, GALAXY 2 GALAXY, CUT CHEMIST, GALACTIC, 808 STATE, EBO TAYLOR AMND AFROBEAT ACADEMY, TIM DELUXE, STIEVIE SALAS and BERNARD FOWLER present the I.M.F's feat. Juan Alderetti and Jara Slapbak, MINILOGUE, GOLD PANDA, 2562, DERRICK MAY, MOODYMANN, TALVIN SINGH, KARL BARTOS, REGA, EYE, DUB SQUAD, DEEP COVER, 七尾旅人、にせんねんもんだい、DJ BAKU, QHEY, MAYURI
イベント問い合わせ
メタモルフォーゼ事務局 03-3429-7240 (平日13:00-18:00)
チケット問い合わせ
ディスクガレージ 03-5436-9600(平日12:00-19:00)
僕が最初にハイイロ・デ・ロッシに深い関心を抱いたのは、彼が台湾系日本人のラッパー、タクマ・ザ・グレイトと昨年の11月28日にYouTubeにアップした「WE'RE THE SAME ASIAN」を聴いたときだった。尖閣諸島の領土問題に端を発した渋谷の反中国のデモにレスポンスしたこの曲は、いわばヒップホップ・アゲインスト・レイシズムだ。ラップ・ミュージックによる人種差別や排外主義への的確なカウンター・パンチだった。インターネット上のニュース・サイトのコメント欄は炎上した。しかし、彼らは音楽によってリスクを冒してでも議論の場を作ることに覚悟があった。詳しくは本サイトの彼のインタヴュー記事を読んで欲しい。東日本大震災が起きた翌日に「PRAY FOR JAPAN」という曲をいち早くYouTubeにアップしたのもハイイロ・デ・ロッシだった。
言葉に重きがあるという意味において、一般的に日本語ラップは言葉が強い音楽だ。純粋に音だけを聴こうとすれば、相対的に国内外の他のジャンルより退屈だという意見もよく聞く。言わんとすることはわかる。実際に少なくないラッパーが「他のジャンルに音楽として舐められている」という思いを抱いていることも知っている。
では、純粋に音を聴くとは何か? いまこの問いを掘り下げることは避けるが、音楽は音だけではないというのはもうひとつの真実である。グッチ・メインやリル・ウェインのミックステープは逮捕や釈放のニュースとともに届くし、NYのジェイ・Zや京都のアナーキーの地元意識は彼らの音楽を磨いている。ナズがオバマに向けた曲やシーダが日本を憂う曲に私たちは感動し、タイラー・ザ・クリエイターやメロウハイプの猟奇性と乾いたサウンドの秘密を読み解こうとする。ECDに至っては......(以下、省略)。
ミュージシャンの人間性、背景や人生、あるいは思想や政治性も音楽文化の重要なファクターである。そもそもいまの日本でこれほど積極的に"社会に開かれた"音楽ジャンルが他にあるだろうか。それが日本語ラップの魅力でもある。ハイイロ・デ・ロッシのような勇敢な表現者が登場する音楽文化がこの国にも存在することを僕は嬉しく思う。
「右翼だろうが、ギャングスタだろうが、オレはラップだったらやりますよ」。筆者のインタヴューにハイイロ・デ・ロッシはラップだったら誰とでも勝負すると語り、自分は音楽主義者であると強調した。本作『forte』に収められたミドル・テンポのファンク・トラック"Ultimate Arts"で、彼はこんなことをラップしている。「HustlerやPimp以外がProps得る方法を教えてやる/それはRap出来るか出来ないか」
ファースト・アルバム『TRUE BLUES』を2008年に発表したとき、彼は流麗なジャジー・ヒップホップの上で巧みにラップするラッパーだった。音の隙間を縫うようにドリブルするフロウには、計算された美しさと華麗なフットワークがあった。件の取材でも彼はエミネムやタリブ・クウェリのラップのリズム分析を饒舌に語った。
ファーストのスタイルを洗練させた2010年のセカンド・アルバム『SAME SAME BUT DIFFERENT』は、国内のインディ・ヒップホップを取り扱う恵比寿のレコード店〈we nod〉の2010年上半期ベスト・リリース20枚に選ばれた。エクシーがトラックを制作した表題曲を聴くと、「WE'RE THE SAME ASIAN」の伏線になっていたことに気づかされる。慈悲に溢れたこの曲は彼のキャリアにおいてもっとも重要な1曲に入るだろう。
サード・アルバム『forte』は現在25歳のハイイロ・デ・ロッシの人間的成長と音楽的展開が落とし込まれる形となった。タイトルは自身が運営するインディ・レーベルからきている。Pigeondust、EeMu、HIMUKI、Legro、YAKKLE、JUELS、%Cといったトラックメイカーが参加している。
ドラッグを否定する"Good Bye Kidz HipHop"や"夕陽が落ちて行く前に"のなかで歌われるナイーヴな態度に僕は馴染めない部分もあるけれど、深く傷ついた経験は人を過剰に防衛的にもする。これらの鬼気迫る感覚は、彼がハードな経験を乗り越えてきたことを思わせる。
「ACID MDMA コカイン/オプションが無きゃ語れないPain/そんなに急いで何処へいくHipHop?/つきまとう暴力イリーガル/はく付けるよりスキル付ける」"Good Bye Kidz HipHop"
印象でしかないが、例えばダンス・ミュージック・シーンよりヒップホップ・シーンのほうがネガティヴな形でドラッグや暴力の問題が噴出する場合が多いと感じる。ここまで言わせる現実があるのもまた事実なのだ。
ハイイロ・デ・ロッシのラップは鋭く切れるペーパーナイフのようだ。繊細さと大胆さがあり、言葉の端々からは彼の野心が漲っている。タクマ・ザ・グレイトやバン、万寿といった彼らのクルー、BLUE BAGGY HOO RE:GUNZの仲間を迎えた"S.K.I.L.L.Z" で、下手なラッパーを蹴落とすかのように自分たちのラップの上手さを誇示している。ネプチューンズとJ・ディラの間を行くようなLegroの渋いトラックも面白い。
Graceという女性シンガーをフィーチャーしたラヴ・ソング"Honey"はスウィートなソウル・ミュージックのサンプリングとチョップから構築されている。JUELS というLAのトラックメイカーによる1曲だ。また、"Blue Bird Classic"ではミニー・リパートン"インサイド・マイ・ラヴ"をサンプリングしているが、彼らはこの定番ネタの淡いピンク色とブルーを溶け合わすことで独自の色を出している。
アルバムは全体的にメランコリックなトーンが強い。これまでにあまり見せることのなかったソウル・ミュージックの感性やBボーイらしいセルフ・ボースティング、攻撃性も聴くこともできる。また、慈悲というのは現在のハイイロ・デ・ロッシの主題かもしれない。いずれにせよ、「WE'RE THE SAME ASIAN」で脚光を浴びたラッパーの注目の新作である。