「PAN」と一致するもの

ele-king - ele-king

Current Top 10 Chart


1
Candy Claws - Hidden Lands - Twosyllable

2
Julian Lynch - Mare - Old English Spelling Bee

3
Emeralds - Does It Look Like I'm Here? - Editions Mego

4
Actress - Splazsh - Honest Jon's

5
The Stamps - Wizard's Sleeve, etc(12") - Mexican Summer

6
Gold Panda - Lucky Shiner-Notown/Yoshimoto

7
Digital Mystikz - Return II Space - DMZ

8
Baths - Cerulean - Anticon

9
High Wolf - Shangri L.A. -Moamoo/Artunion

10
Donovan Quinn & The 13th Month - Your Wicked Man - Soft Abuse

YAMICA - ele-king

夏のたそがれ時に聴きたくなる曲


1
Pan Electric - Sweet As Rain - Chillosophy Music

2
Supercozi feat Lex Empress - Waltz On The Dusk Sand - Hypo=Espress

3
Al-Pha-X - Sahara - Avatar Spirit

4
Quiet Village - Keep On Rolling - K7

5
Windsurf - Windsurf - Internasjonal

6
Kaine - Welcoming Idaho - Spacetalk

7
Degung Instrumental - インドネシア、スンダ地方の小編成ガムラン - Soup

8
Shulman - Mia Nihta Mono Den Ftani - Alephzero

9
NXS - Sleeper (Micro Forest Mix By Eye) - Comma

10
The Irresistible Force - SKY High - Rising High

Chart by BEAMS - ele-king

Shop Chart


1

Waves

Waves Encounter BEAMS BRAIN »COMMENT GET MUSIC
BEAMS RECORDSでもこれまで大プッシュしてきたアーティストKuniyuki Takahashiと、Nobuhiko'Ebizo'Tanumaが新たに始動させたバンド・プロジェクト"waves"のデビュー・アルバム!ダンスミュージックをインプロビゼーションで再構築するというコンセプトの元、ギター/シンセサイザーにイアン・オブライエン、ドラムにみどりん(Soil &"Pimp"Sessions)という豪華ゲストを迎え、それぞれが長いキャリアの中で培ってきたアイデンティティが折り重なった、叙情性豊かなサウンドを披露!透明感溢れる絶品のグルーヴは、多くのリスナーを陶酔へと誘うに違いない!

2

Quantic presenta Flowering Inferno

Quantic presenta Flowering Inferno Dog With A Rope Tru Thoughts »COMMENT GET MUSIC
ラテンを飛び越えレゲエ、カリビアンをも飲み込んだ新作!「Tradition In Transition」がロングセラーになっているクアンティックの最新作は、21世紀版オーセンティック・グルーヴの連発!前作同様中南米の音楽を中心としながらも、そこにレゲエ、ダブの要素が加わり、一層のゆるさと独特なグルーヴが生まれた新たなるトロピカル・ミュージック!スティール・パルスの名ドラマー、コンラッド・ケリー、サルサ界の重鎮ピアニスト、アルフレディト・リナレスといった一流ミュージシャンの参加も利きドコロ! ラテンを飛び越えレゲエ、カリビアンをも飲み込んだ新作!「Tradition In Transition」がロングセラーになっているクアンティックの最新作は、21世紀版オーセンティック・グルーヴの連発!前作同様中南米の音楽を中心としながらも、そこにレゲエ、ダブの要素が加わり、一層のゆるさと独特なグルーヴが生まれた新たなるトロピカル・ミュージック!スティール・パルスの名ドラマー、コンラッド・ケリー、サルサ界の重鎮ピアニスト、アルフレディト・リナレスといった一流ミュージシャンの参加も利きドコロ!

3

Wareika

Wareika Harmonie Park Perlon / Octave-Lab »COMMENT GET MUSIC
ミニマル・テクノ~ハウス・シーンの新鋭ユニット、Wareikaによる絶世のジャム・セッション!デビュー・アルバム「Formation+3」が耳の肥えたリスナー達に絶大に支持されているWareika。今作は63分にも及ぶロング・セッションを収録したもので、驚くべきはその即興的に流動していくサウンド!所々でビートが見え隠れしながら、ジャズ、ハウス、ダブへとジワジワと変容していく様は圧巻!これは間違いなく今年度ベスト・ディスク入りの1枚でしょう!ミニマル・テクノ~ハウス・シーンの新鋭ユニット、Wareikaによる絶世のジャム・セッション!デビュー・アルバム「Formation+3」が耳の肥えたリスナー達に絶大に支持されているWareika。今作は63分にも及ぶロング・セッションを収録したもので、驚くべきはその即興的に流動していくサウンド!所々でビートが見え隠れしながら、ジャズ、ハウス、ダブへとジワジワと変容していく様は圧巻!これは間違いなく今年度ベスト・ディスク入りの1枚でしょう!

4

Vinicius Cantuaria

Vinicius Cantuaria Samba Carioca P‐Vine »COMMENT GET MUSIC
才人、ヴィニシウス・カントゥアリア3年ぶりの新作は、オーセンティックなサンバ、ボサノヴァながらも他とは格の違いを見せ付ける素晴らしい仕上がり!プロデュースに盟友アート・リンゼイ、そしてゲストにジョアン・ドナート、マルコス・ヴァーリ、ビル・フリーゼルといった超大物を迎えた本作は、そんなゲストの影も感じさせぬほどのヴィニシウスの確立した存在感と、どこまでも上品なプロダクションに感涙!この歌声がたまりません!才人、ヴィニシウス・カントゥアリア3年ぶりの新作は、オーセンティックなサンバ、ボサノヴァながらも他とは格の違いを見せ付ける素晴らしい仕上がり!プロデュースに盟友アート・リンゼイ、そしてゲストにジョアン・ドナート、マルコス・ヴァーリ、ビル・フリーゼルといった超大物を迎えた本作は、そんなゲストの影も感じさせぬほどのヴィニシウスの確立した存在感と、どこまでも上品なプロダクションに感涙!この歌声がたまりません!

5

V.A.

V.A. Next Stop Soweto Vol.3 Strut »COMMENT GET MUSIC
洗練されたアフリカン・ジャズの数々に驚愕!多くの優良な再発を手掛けてきたレーベルStrutから、アフリカン・ミュージックをフックアップしたコンピレーション・シリーズの最新作がリリース!今回はサックスやピアノがクールな調べを奏でるモダン・ジャズから、へヴィなベースとホーン・セクションでグイグイ引っ張るジャズ・ファンクまで、欧米のジャズに接近したアフリカ産オールドジャズを多数収録!アフリカにも存在していた高クオリティーのジャズにスポットを当てた素晴らしい内容!

6

Mark E

Mark E Works 2005-2009 Vol.2 Merc »COMMENT GET MUSIC
コアなソウル~ディスコ~ハウス系クラブ・ミュージック・リスナーから、今最も注目を集めるといっても過言ではない、UKはバーミンガムのクリエイター、マークEの作品集の第2弾!絶妙なソウル、ジャズ、ディスコ・エディットを軸に生み出されたビート・ダウントラックは、いずれもダンスホールに漆黒のムードを運んでくれそうな絶品のプロダクション!セオ・パリッシュ、ムーディーマン好きはお見逃し無く!コアなソウル~ディスコ~ハウス系クラブ・ミュージック・リスナーから、今最も注目を集めるといっても過言ではない、UKはバーミンガムのクリエイター、マークEの作品集の第2弾!絶妙なソウル、ジャズ、ディスコ・エディットを軸に生み出されたビート・ダウントラックは、いずれもダンスホールに漆黒のムードを運んでくれそうな絶品のプロダクション!セオ・パリッシュ、ムーディーマン好きはお見逃し無く!

7

Uncle Funkenstein

Uncle Funkenstein Together Again P-Vine »COMMENT GET MUSIC
ここ最近再び精力的かつ良質なリリースを重ねている名門レーベル、JAZZMANによる驚きのリイシュー!世界のコレクターが探し求めたジャズ・ファンク界の秘宝中の秘宝な激レアアルバムがこちら。サックス奏者、ラッセル・ウェブスターがStrata Eastらにも作品を残すインディアナポリスのミュージシャン達を従えて披露した、圧巻のジャズ・ファンク・チューンがズラリ!コレはスゴイ!ここ最近再び精力的かつ良質なリリースを重ねている名門レーベル、JAZZMANによる驚きのリイシュー!世界のコレクターが探し求めたジャズ・ファンク界の秘宝中の秘宝な激レアアルバムがこちら。サックス奏者、ラッセル・ウェブスターがStrata Eastらにも作品を残すインディアナポリスのミュージシャン達を従えて披露した、圧巻のジャズ・ファンク・チューンがズラリ!コレはスゴイ! "

8

Gabor Szabo

Gabor Szabo Jazz Raga Light In The Attic »COMMENT GET MUSIC
モンドなサイケデリック・ジャズの名盤が再発!ボビー・ウーマックやチック・コリアといった名うてのミュージシャン達との共演経験も持つハンガリー出身のジャズ・ギタリスト、ガザール・ザボ。名門ジャズ・レーベルIMPULSE !の初期にリリースされた今作は、彼がフラワー~サイケデリック・カルチャーに影響を受けて吹き込んだという異色の1枚。エキゾチックなシタールとギター、そして独特なロー・ヴォイスが織り成す音世界は唯一無二の桃源郷的サウンド!Caravan、Summertimeといったカヴァーも秀逸!

9

Vitor Assis Brasil

Vitor Assis Brasil Desenhos Celeste »COMMENT GET MUSIC
ブラジル・ジャズの至宝と言われるアルト・サックス奏者、ヴィトル・アシス・ブラジルによる66年作が遂にCD化!当時若干21歳であったヴィトルの1stアルバムにあたる本作は、ピアノにテノーリオ・ジュニオール、ドラムにトリオ・カマラのエヂソン・ロボという夢のような布陣。サンバのリズムが軽やかな楽曲から優雅なワルツまで、モードからの影響も取り入れた演奏も聴きドコロ。どれも溜息が出る程の美しさです!

10

Djan Djan

Djan Djan Djan Djan P-Vine »COMMENT GET MUSIC
ワールドミュージックの美しきユートピア!グラミー賞の受賞で一層注目が高まるコラ奏者、ママドゥ・ジャバテが、タブラ奏者ボビー・シン、ギタリストのジェフ・ラングと共に完全即興で作り出した本作は、それぞれの国籍のルーツミュージックを見事にミクスチャーした唯一無二のサウンド!アフリカの楽器コラとインドのタブラ、そしてスライド・ギター、それぞれが奏でるエキゾチックな音色が奇跡的な融合を果たした、美しきオリエンタル・ミュージック!

Chart by JETSET - ele-king

Shop Chart


1

CRUE-L GRAND ORCHESTRA

CRUE-L GRAND ORCHESTRA (YOU ARE) MORE THAN PARADISE INCLUDES THEO PARRISH REMIX »COMMENT GET MUSIC
瀧見憲司率いる"Crue-L"より話題のあのトラックが遂に解禁です!!巷に出回ったあの一枚でチェック済みの方も多いかもしれないTheo Parrishによる名曲"(You Are) More Than Paradise"のスモーキー・ビートダウン・リミックスを収録!!

2

KINKA

KINKA KAZAMATSURI KENTA - MARGINAL COLLECTIVE »COMMENT GET MUSIC
KinkaとKazamatsuri Kentaによるスプリット12"が登場!中近東からバルカン半島、中南米、カリブ諸国...。国や人種を超え、クリエイターの想像力によって辺境にあるものたちの意識を繋いだ「Marginal Collective E.P」

3

RONNY & RENZO

RONNY & RENZO BROKEN FINGERS »COMMENT GET MUSIC
またしても一年振りの登場です。ベルジャン・サイキック・バレアリカRonny & Renzo!!今、この手のスローで超ディープなダンス・トラックを演らせたらピカイチな存在感のコンビによる待望の新曲、今回も間違いなしです。加えて1st.EPが当店定番化のSombrero Galaxyによるこれまた素晴らしいリミックスを収録!!

4

MAGNETIC MAN

MAGNETIC MAN I NEED AIR (REDLIGHT REMIX) »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆ご存知特大アンセムをUKダーティ・ハウス/ベース・リミックス!!SkreamとBengaの親友コンビにArtworkを加えたダブステップ最強トリオ・プロジェクトのウルトラ・アンセムを、当店激推しRedlightがリミックスっ!!

5

AFRA

AFRA HEART BEAT SELECTED »COMMENT GET MUSIC
お茶の間まで席巻する元祖和製ヒューマン・ビートボクサーAFRA!AI、COMA-CHI、BOSEなど超豪華客演陣を迎えたアナログ盤が遂に登場です!口ばっかりでスミマセン!というわけで、全て肉声だけで作られた傑作ヒップホップ・アルバム『Heart Beat』の美味しいところをバッチリ凝縮。AIを迎えたMichael Jackson「Beat It」の必殺カヴァーを筆頭に、ハナレグミ/サイプレス上野/Mummy-Dなど最上級のコラボが満載です!

6

EXILE

EXILE AM/FM »COMMENT GET MUSIC
あのインスト・アルバム"Radio"の豪華ゲストを迎えたリミックス/リワーク作!J.MitchellやAlchemist、Evidence等を招いて、更にTakeやSamiyam、Clutchy Hopkins、DJ Day等が華麗にリミックス!

7

SKREAM

SKREAM OUTSIDE THE BOX »COMMENT GET MUSIC
■'10年ベスト・アルバム候補■特大アンセム"I Need Air"にも匹敵するボム満載!!盟友Benga、ArtworkとのユニットMagnetic Manとしても人気爆発中の皇帝Skreamが、MCやシンガーを迎えて作り上げたダブステップ史上最高の"ポップ"大傑作!!

8

SOLAR BEARS

SOLAR BEARS INNER SUNSHINE »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆ウォンキー以降の超新星Loneによる夕焼けディスコ・リミックスB3を収録!!Oriolのトロピカル・ダブステップ傑作"Night & Day"が当店爆裂ヒット中のPlanet Muから、USデンヴァーのレフトフィールド・ポップ・ユニットSolar Bearsがデビュー!!

9

JUZU A.K.A. MOOCHY

JUZU A.K.A. MOOCHY JUZU A.K.A. MOOCHY PRESENTS RE:MOMENTS "MOVEMENTS" »COMMENT GET MUSIC
2004年に始まった"Momentos"シリーズの最終章!Shing02、Rino Latina等をフィーチャーした先行シングルが大ヒットを記録し、期待が絶頂に達したタイミングでついにアルバムが完成!

10

KLAXONS

KLAXONS ECHOES »COMMENT GET MUSIC
遂に出ました★われらがKlaxonsの爆裂待望ニュー・シングル!!超限定カラー・ヴァイナル!!絶対マスト!!00年代後半からのUKインディ・ダンス・サウンドを産みだした最重要バンド、Klaxons。遂に完成した2nd.アルバム"Surfing The Void"からの先行シングル・カット!!

Chart by TRASMUNDO - ele-king

Shop Chart


1

やけのはら『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』

やけのはら 『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』 »COMMENT GET MUSIC

2

UG KAWANAMI『SK8 ROCK』

UG KAWANAMI 『SK8 ROCK』 »COMMENT GET MUSIC

3

S.L.A.C.K.『Swes Swes Cheap』

S.L.A.C.K. 『Swes Swes Cheap』 »COMMENT GET MUSIC

4

UG KAWANAMI『SK8 ROCK』

PIT GOb×DJ MUNARI 『REBORN』 »COMMENT GET MUSIC

5

LUVRAW&BTB『ヨコハマ・シティ・ブリーズ』

LUVRAW&BTB 『ヨコハマ・シティ・ブリーズ』 »COMMENT GET MUSIC

6

『ZOOTED CENTRAL PARK』

TONOSAPIENS(CIAZOO) 『ZOOTED CENTRAL PARK』 »COMMENT GET MUSIC

7

KRBT『gumblar shock vol.1』

dj cop(CIAZOO) 『gumblar shock vol.1』 »COMMENT GET MUSIC

8

COMPUMA『-SLOWDOWN IN YOUR SIDE-DISCONSOLATE SUMMER』

COMPUMA 『-SLOWDOWN IN YOUR SIDE-DISCONSOLATE SUMMER』 »COMMENT GET MUSIC

9

『7TRAX』

CARRE 『7TRAX』(DEMO) »COMMENT GET MUSIC

10

WATTER(SBB)

WATTER(SBB) 『Demos』 »COMMENT GET MUSIC

 ぼくがロマンの語り手になり切れない部分は、つまりロマンがしばしば語り手の自己肯定を前提にして、ナルシズムに陥りやすいからで、対立物を内包するとくずれてしまう性格をもっているからだ、という気がする
寺山修司(唐十郎との対談『劇的空間を語る』76年3月)

 これは丑三つ時に見た奇天烈な夢の話
 夢の中で夢が夢であると自覚したばかりに
 私は私と分裂した悲しき性に
 汝の半身を探し闇の中
志人"ジレンマの角~Horns of a Dilemma~"


 現在の志人の凄みとは、00年代初頭にヒップホップ・グループ降神のラッパーとして日本語ラップ・シーンに鮮烈に登場してから約10年間、悩み、懊悩し、思想や価値観やラップのスタイルを劇的に変化させながらも決して歩みを止めなかったからこそ獲得できた代物だと思う。


志人 / ジレンマの角 EP ―Horns of a Dilemma EP―
Temple Ats

 今回、志人のシングルはアナログでリリースされている。もしかしたら、「お、久々のリリースじゃん」と思う人もいるかもしれないが、実は昨年も、家族を主題にした「円都家族~¥en Town Family~」というシングルをポストカード・レコードという特殊なレコードでリリースしている。さらに、今回のアナログにも収録された、志人が志虫という名でいくつもの虫に成り代わり物語を紡ぐ(宮沢賢治の『よだかの星』を彷彿とさせる)"今此処 ~Here Now~"とDJ DOLBEEのインストを加えた増補盤を懐かしの8cmCDという形態で発表してもいる。
 それらは、失われていくメディアに焦点を当てるという企画の一環で、ダウンロード配信など、急激に変化する昨今のメディア環境に対する彼らなりのレスポンスなのだろう。志人らが主宰するインディペンデント・レーベル〈Temple ATS〉のアートワークの要である画家の戸田真樹の絵も含め、手作りの「モノ」を残すことへの強いこだわりが感じられる。
 "今此処"のクレイアニメーションのMVなどが収められた『明晰夢シリーズvol.1』やポエトリー・リーディングのイヴェントに飛び込みで参加する志人の姿を撮影した『森の心』といったDVDもひっそりと世に出回っている。また、「ジレンマの角 EP」に収められた"夢境"のクレイアニメのMVは秋に、NHKで放映される予定だという。ヒップホップ・シーンから遠く離れた場所で、彼らは変わらず自分たちの活動を続けてきたのだ。
 そして、"ジレンマの角"をリード曲とするアナログも〈Temple ATS〉のHPで購入すると、特典としてCDとポストカードが付いてくるという仕組みになっている。ラップ入りの曲が3曲、インストが2曲収められているが、すべてのトラックを担当したのはDJ DOLBEEで、音楽的に言えば、エレクトロニカ、アンビエント、ヒップホップとなるだろうか。とはいえ、何をおいてもやはり特筆すべきは志人のラップの圧倒的なオリジナリティである。

 "ジレンマの角"は、志人が、無実の思想犯、警察官、裁判官、医者、看守、死刑執行人、囚人、ガーゴイルなどに扮し、国家権力に囚われ死刑を宣告された主人公と思しき、野蛮思想に侵されたとされる無実の思想犯を中心に展開するストーリーテリング・ラップで、まるでATG映画のような重苦しいムードに満ちている。意図的に劣化させたノイジーな音質はまさにATG映画のざらついた映像のようで、その世界観は大島渚が死刑制度をテーマに撮った映画『絞死刑』を連想させる。危険な香りを漂わせながら、鬼気迫るラップを披露する、一聴して率直に「ヤバイ!」と思わせる志人は久々だ。
 このアナーキーな感覚は、2005年にリリースされたアナログでしか聴くことのできない"アヤワスカ"以来だろう。ちなみに僕は、三島由紀夫、チェ・ゲバラ、ジミヘン、ジャニス・ジョプリン、サン・ラ、バスキアといった過去の文学者や革命家やミュージシャンらの名前をリリックに盛り込み、路上の怒りが渦を巻きながら天空に舞い昇り優しさに変わっていく、麻薬的な快楽の潜むこの曲が、志人の作品のなかでも1位、2位を争うぐらいに好きだ。

 リーマン フリーター ディーラー 
 ブリーダー Dremaer ハスラー やくざ 
 Jasrac シャーマン ターザン 
 ターバン巻くサーバント 
 We are Music Mafia have No Fear 
 FREEDOMを作り出し 救い出すビーナス 
 Winner Loser Who is the Luler(ママ) in this earth?
 I ask You やさしく言う まさしく 君だ
"アヤワスカ"

 ◆無実の思想犯
 そうだ あのとき私は確かにアナーキーな連中とばかりつるみ
 社会からは脱藩人よばわり 盛り場の話題はいつも中身無き冗談か
 国家権力から逃れる方を夜長に語りあかした
 空が白むまで 朝もやが稲妻で 引き裂かれて行くのをただ睨むだけ
 気が付けばそこにはもう誰もいなくなって
 周りには口を尖らした どたま来たお巡りが

 ◆警察官A......「野蛮思想に冒された犯罪人よ じたんだ踏もうが時間だ
 お前にもう夢を見る権利は無い」

 逃げなきゃ 後ろ手に回される 絞め縄
 二メーターはある権力者達に上から押さえつけられ
 あっという間に 前後塞がり 暗がりに砂を噛み
 不渡りつまはじきものの姿に
"ジレンマの角"

 "アヤワスカ"にも近い部分はあるが、"ジレンマの角"は明確に戯曲という形式が採られている。が、しかし、この曲は紛れもなくラップ・ミュージックとして成立している。この2曲に関して言うと、苛烈さという点において、ソウル・ウィリアムズやマイク・ラッドなんかと同じ匂いを嗅ぎ取ることができる。
 いずれにせよ、日本でこんな芸当をやってのけるラッパーを志人以外に僕は知らない。詩人が朗読しているかと思えば、役者のセリフ回しのような語りに切り替え、一瞬ラガ調の声音でかましてみせたりもする。志人のとどまることを知らない自己内対話のエナジー放出するために必然的に発明されたスタイルなのだろう。

 「私」への深い疑念からくるラップへの苛烈な欲求、言い換えれば、近代的自我の解体への欲望と言えるかもしれない。近代的自我に亀裂を入れて、その危うさや不確定さを炙り出そうとするのは、志人の表現の底流にあるもので、我を忘れるほどの限界状態から真実を手繰り寄せるために志人はラップの技術を鍛え、進化させ、ときに驚異的な速度に身を任せているように思える。
 まるで千手観音の手が、五感に物凄い勢いで襲いかかってくるような変幻自在のラップには、聴く者の視覚や聴覚などの感覚を統一させる力を感じる。それはいわば明確なトリップ体験であり、個々の枝分かれした感覚のその奥にある根源的な感覚に触れてしまうような、共感覚の稲妻に打たれる経験である。志人のラップのスピードは共感覚へ到達するための、未来を生み出す生命力に溢れた速度である。
 ことばは生きものである、ということを志人は全身を楽器にすることで体現し、また彼のラップを聴く者はそのことを全身で痛いほど感じることになる。志人は日本語のラップ表現を意味と音声と物語の構成といったいくつかの点において、明らかに次元が違うところまで持って行ってしまった。韻を踏むことでイメージを膨らませ、物語を予期せぬ方向へ転がし、ことばとことばの連なりがまた新たなイメージを喚起させる。

[[SplitPage]]

 「とりたて何の理由も無いですが、鳥だって色んな色を持っているはずなのに
 どうして僕はこんなに真っ黒で小汚ねー色をしているんでしょう?」と問いかける
 「お日様の様にどうしたら成れるの あの真っ赤っかな色に成りたかったんだ
 時たま邪な気持ちを残したお星様に聞いてもさっぱり分からなんだ
 名前も知らないカラスが一匹飛んで来たとき
 浜辺の白波 黒く汚れたこの身を洗い
 何万年後も流れ星追い 嫌がってもやがて年老いる僕らは
 今までのままこれからのカラーを探して どんくらい根比べ重ねてどんぶら大海原
 日溜まりの中で暗闇を焼き払い給え 名前の無い僕は
 猛スピードでモスグリーンに曇った街を行くモスキート
 もう救い様の無い都市はホスピタル 夜の持つ魅了に取り憑かれたヒーローは
 次の朝、ポルノスターになりました
 アスリートの吹かすウィード
 唐墨色に染まる空のオリオン座に恋をした少女は
 君の心なら全てお見通しさ ってな具合にカラカラとただ笑うんだ
"私小説家と黒カラス"(『Heaven's恋文』)

 「ことばの偶発的な干渉=共鳴の自由を許す」(今福龍太)とでも言えようか。ことばとことばの隙間に壮大な冒険への扉を無数に用意し、そして、どの扉を開けるかは、そのラップを聴く人間次第なのである。志人は日本語ラップ界のダダイストであり、モダン・ビートニクの詩人である。そんな形容さえ、僕はまったく大袈裟に思わない。
 2002年に降神がCDRによるデビュー・アルバム『降神』を発表した後、志人のフォロワーが大量に現れたが、「THA BLUE HERB以降」や「SHING02以降」という日本語ラップの歴史認識が仮に成立するのであれば、間違いなく「志人(降神)以降」というのも成立することになる。まあ、誤解されないように一応書いておくが、それは商業的成功という意味ではなく、あくまでも芸術的観点から考えた場合である。


photo by 新井雅敏

 ところで、『降神』の2曲目を飾る、ファンのあいだではクラシックの呼び声も高い"時計の針"の最後で、「血染めの鉢巻き絞めて印税もらって勝ち負け気にして死んでろ 特に お前と彼等」と、商業主義に走るBボーイたちを唾を吐きながらディスしていたことを思えば、ある時期から志人は随分優しくなった。いまは口が裂けても「死んでろ」と言い切ることはないだろうし、「hate=憎しみ」の感情をあからさまに表に出すこともなくなった。
 何が原因でそうなったかは知らない。年齢のせいもあるだろう。デビュー当時の降神には感じられなかった友愛をいつからか率直に表現するようになった。初期の攻撃性や狂気を愛したリスナーは戸惑ったに違いない。だから、もちろん降神や志人をずっと追い続けているファンはいるだろうが、一方で、彼らのリスナー層は変わっていっているように思える。
 実際のところ、僕もある時期、志人のラップとことばを素直に受け入れることができなかった。何年か前、湘南の江ノ島の海の家だったと思うが、志人のライヴをオレンジ色の夕陽が深い闇に沈まんとする美しいロケーションのなかで観たことがある。具体的には思い出せないが、志人が放った自然回帰やエコロジーや友愛のことばは、僕にはあまりに無垢なことばに聴こえ、愕然としたことがある。正直、最後まで観ていられなかった。

 「それは、お前が偏屈で心が汚れているんだよ」、ということであればむしろ話は早いが、しかし、似たような感想を持つ人間は少なくないということだ。いや、これは本当にきわどく、危うい現代的な問題なのである。
 僕は志人というラッパーが、宇宙の真理や自然の偉大さを考えもなしに漠然とペラペラと喋るスピリチュアリズムかぶれの軽薄な人間などではないことをよく知っている。豊かな知性と感情と表現力を持つラッパーであることを知っている。裏を返せば、そんな志人であっても、いまの時代に自然回帰やエコロジーという切り口から平和を訴えることは、共感と同じぐらいの拒絶を引き出してしまう困難さがあるのだ。それぐらい自然回帰やエコロジーというのは、一筋縄ではいかないものだ。
 その意味で、「野は枯れ 山枯れ 海は涸れ すきま風が吹き 国は荒れ果てた 放火魔に 連続殺人 原子力発電所 核戦争 終わらせよう 今日からでも 君は地球さ 地球は君なのだとしたら」というリリックから穏やかに滑り出すアンビエント的な"夢境~Mukyo~"の平和主義は、果たしてリスナーにどう受け止められるだろうか。
 ともあれ、"ジレンマの角"、"今此処"、"夢境"といったまったく異なる表情の曲を1枚のアナログに収めたことには意味があるだろう。それが志人の懐の深さでもある。これは取って付けたフォローではなく、真実だ。

 そしてまた、志人の豊穣さの底を支えるものにはノスタルジアがある。それは単に幼年時代や少年時代や過去を懐かしみ感傷に浸るということではなく、人間の奥深くにある記憶を呼び覚まさせるようなノスタルジアのことだ。それはどこか稲垣足穂の「宇宙的郷愁」と相通じるし、あるいは、志人が思想的にも、芸術的にも大きくインスパイアされたであろう寺山修司の土俗的な、ある種屈折したノスタルジアを思い起こさせもする。
 "今此処"や"夢境"にももちろん滲み出ているが、2005年に発表したファースト・アルバム『Heaven's恋文』に収録された"LIFE"はとくに、ノスタルジアを結晶させた、豊かな色彩感覚に彩られた名曲である。KOR-ONEによるファンクとソウルの感性が映えるトラックも本当に素晴らしい。

嫌というほどに見た現実に疲れては/まぼろしの公園でいつもひなたぼっこLIFE

忘れかけたユーモアというものや/君にとってとっても重要な日々の匂いや色は、
街で見かけたチンドン屋/なびかせた黄色いハンカチーフ
やさしくなった自分をふと思い出すのさ/
どこもかしこも/立ち止まる足場も無く/暇も無く/芝も無い/
僕の居場所を探し出そう/この 都会に お帰り
LIFE

 しかし、こればっかりは歌詞の引用だけでは伝えられないものがあるので、聴いて感じてもらうしかない。他にも、日本の庶民的な家庭を描いているようだが、よく聴くと、現実と虚構が入り組んでいて、どこかズレが生じている"円都家族"の奇妙なノスタルジアも面白い。
 詳述は避けるが、『Heaven's恋文』のあるスキットでは、実際に寺山の映画のワンシーンが引用されている。それは、インテリ批判とも読める志人らしい軽妙なやり口で、その映画を観た人間から言わせると、「ああ、そこなのか!」と膝を打ちたくなるような風刺の効いた場面を拾っている。
 ただ、志人に寺山修司や稲垣足穂や宮沢賢治といった過去の芸術家や詩人の影を感じたとしても、志人がやっていることは、当然過去の意匠の焼き回しではないし、ましてや懐古趣味や権威主義、または衒学趣味とは程遠いものだ。
 「いまの時代がいちばん面白いと言わせたい」というのは、かつて志人が放ったことばだが、その情熱の炎がいまだ燃え盛っているということは、この新しいアナログを聴いても実感できる。さきほど、異なる表情の3曲を1枚のアナログに収めたのが懐の深さだと書いたのは、対立物を内包しながらもロマンを語ることはできる、ということに志人が挑戦しているように思える故である。

 さて、最後に、志人の刺激的な今後について書いておこう。まず、そのうち志人と渋さ知らズとの共演(競演)があるかもしれないという噂が耳に入ってきている。また、MSCのTABOO1のファースト・ソロ・アルバムにゲスト・ラッパーとして参加する予定だが、"禁断の惑星"と名付けられたSF風の曲のバックトラックを制作したのは、なんとDJ KENSEIである。さらに、〈アンチコン〉とも縁の深いカナダのラッパー、BLEUBIRDと録音した数曲は、おそらく日本のヒップホップ・シーンに小さくない衝撃を与えることになるだろう。そして願わくば、ごく少数しか流通しない(させない)「ジレンマの角 EP」の楽曲が、なんらかの形でより多くの人に届くようになればと思う。まあ、ということで、志人の今後の展開を楽しみに待とう。

Chart by JETSET - ele-king

Shop Chart


1

TOKYO NO.1 SOUL SET + HALCALI

TOKYO NO.1 SOUL SET + HALCALI YOU MAY DREAM / 今夜はブギーバック / »COMMENT GET MUSIC
2009年にお茶の間を席捲したあの曲がついにアナログ化。間違いなく2010年最重要作です!話題のコラボレーションTokyo No.1 Soul Set + HALCALIが、日本の音楽シーンで今もなお輝く珠玉の2曲をカヴァー!「You May Dream」と「今夜はブギーバック」を1枚にまとめてしまった、アナログならではの贅沢な企画が実現しました!

2

FOUR TET

FOUR TET MALA - NOTHING TO SEE / DON'T LET ME GO / »COMMENT GET MUSIC
世界一美しいベース・ミュージックが誕生。Four Tet新曲がSoul Jazzからっ!!泣く子も黙る天才Four Tetと、盟友CokiとのDigital Mystikzでもお馴染みのレジェンド・ダブステッパーMalaによる超強力スプリット盤が登場っ!!

3

S.L.A.C.K.

S.L.A.C.K. SWES SWES CHEAP / »COMMENT GET MUSIC
「適当に行けよ。」S.L.A.C.K.なりのペースで歩く新作が到着!BudamunkyによるリミックスEP"Budaspace"に続き早くもリリース。しかし、中身はいたってマイペース!ゆるりと流す一日のBGM。揺られてください、、、Swes Swes Cheap♪

4

LOS MASSIERAS

LOS MASSIERAS BETTER THAN ITALIANS EP / »COMMENT GET MUSIC
Discodrom (Internasjonal) × Boris (Berghain)のジャーマン・タッグによるB-Sideが堪らなくヤバイです。第一弾に続きヒットが予想されるベルリンDiscos Capablancaのリエディット・オフシュート"Bananamania"からこれまた素晴しい新作が到着。'75年リリースのイタロ名作"Raffaella Carra / Rumore"のサイケ・ダビーな狂気リワークとなったB-Side"Rumore D'Amore"がグレイト!!

5

STRINGSBURN / WORLD FAMOUS

STRINGSBURN / WORLD FAMOUS WAVE, LIFE, WAVE... / I CAN'T SEE YOUR FACE FEAT. LUVRAW & KASHIF / »COMMENT GET MUSIC
Pan Pacific Playaからの限定7インチ第5弾!!死ぬほど甘~いメロウ対決スプリット。アーバンすぎる!!リリース後即完売の記録を更新し続けるPPP・7インチ・シリーズ!!こんどはPPPのギター名手Stringsburnと二見裕志&山崎ごうによるWorld Famousによる大人のメロウ・スプリット。Luvrawもトークボックスで参戦しています!!

6

V.A.

V.A. DISC'O'LYPSO / »COMMENT GET MUSIC
激レアなジャマイカン・ディスコ、ファンク、モダン・ソウルまで収録のグレイト・コンピ!!Risco Connection再発で注目を集めるカリブ圏ディスコですが、これはスゴイ!!レゲエ発祥の地ジャマイカに残されたトロピカル・ディスコ・ブギーを2LPにコンパイルした究極の一枚!!

7

GONZALES

GONZALES I AM EUROPE / »COMMENT GET MUSIC
天才Gonzales改めChilly Gonzales、なんとBoysnoizeから初登場リリースです!!☆特大推薦☆帝王Claude VonstrokeによるリミックスA2と、フレンチB-BOYテックハウサーDjedjotronicによるドファンキー・リミックスB1を搭載っ!!

8

REDINHO

REDINHO BARE BLIPS EP / »COMMENT GET MUSIC
新型カラフルUKGからRustie直系ウォンキー、美麗アンビエント・ダブステップまで!!DeadboyやKavsraveら新時代を担う才能が続々と登場、燃え盛るグラスゴウ・シーンの最重要レーベル/イベントNumbersから、遂に大本命Redihhoがデビュー!!

9

BEST COAST

BEST COAST CRAZY FOR YOU / »COMMENT GET MUSIC
砂浜、猫、そして恋。2010年に必要な全てが詰まったガールズ・インディ・バンド、遂にアルバムです!!到着しました★2枚の7インチが爆発ヒット、数あるUSガールズ・バンドの中でもダントツ人気を誇るBest Coast!!Mexican Summerから超待望1st.アルバム登場です。

10

J.A.M

J.A.M JUST ANOTHER MIND EP / »COMMENT GET MUSIC
日本が世界に誇るピアノ・トリオ、J.A.Mの2年ぶりとなるアルバム「Just Another Mind」からのアナログ・カット!Soil&"Pimp"Sessionの丈青、秋田ゴールドマン、みどりんからなるJ.A.M。本作も前作に引き続きJose James(Brownswood)をはじめ、Mitsu the Beats(Gagle)がゲストで参加した話題のナンバーを含む全6曲を収録!

interview with the telephones - ele-king


the telephones
We Love Telephones!!!

EMIミュージックジャパン

Amazon

 海外の新しいムーヴメントから意匠をかっぱらって、それを邦楽のリスナーにアジャストするように意訳、あるいは超訳して音を届けるバンド。いつの時代にもそんなバンドはいて、多くの場合は、洋楽系のリスナーから遠巻きに白い目で見られたりもしてきた。しかし、the telephonesはそんなステレオタイプな洋楽系邦楽バンドの枠組から外れて、新たなムーヴメントをこの国のシーンで巻き起こそうとする強い意志を前面に押し出してきた上昇志向の強いバンドだ。メジャーから2枚目のフルアルバムとなる『We Love Telephones!!!』は、そんなthe telephonesにとって正念場とも言える作品である。
 彼らが過去に参照してきたニュー・レイヴやディスコ・パンクといったムーヴメントは、ここ数年で跡形もなく消え去ってしまった。同時に、the telephonesをめぐる状況は次第に熱を帯びていき、同世代のバンドとのイヴェントである〈KINGS〉や、精力的なツアー、フェス出演などを通して、彼らは新しいタイプのロックリスナーを開拓することに成功してきた。その背景には、かつてはこの国の若いリスナーの間でも機能していた、「洋楽に影響を受けた邦楽と出会う→その元にある洋楽を辿っていく」というリスナーの行動原理が働かなくなってしまったことの、幸福な副産物とでも呼ぶべき追い風があったかもしれない。いずれにせよ、the telephonesが現在の邦楽ロックのフロントラインに立っているのは事実だ。"あざとさ"を捨てた丸腰状態のままバンドの本質と向き合ったニュー・アルバム『We Love Telephones』をたずさえて、彼らはここからどこへ向かっていこうとしているのか? フロントマンの石毛 輝を中心に、本音を交わしてきた。

要はいわゆるニュー・レイヴとかディスコ・パンクっていう流れのなかでやってた僕らが、それが終わったなかで何をやるのかっていうのがすごく大事なことだと思ってたんだけど、そこで開き直ってみたら意外にいい作品ができなって思って。

まず今年の3月にナカコーのプロデュースによる「A.B.C.D.e.p.」をリリースして、4月に初のセルフプロデュースによる「Oh My Telephones!!!e.p.」をリリースして、今回のアルバム『We Love Telephones!!!』に至るわけですけど、この流れのなかで、the telephonesの音楽はどんどん解放されていったように思います。

石毛(VOX/GUITAR/SYNTHESIZER):曲としては全部同時に作ってたんですよね。「A.B.C.D.e.p.」と「Oh My Telephones!!!」用の曲が10何曲かあって、そこからナカコーさんといっしょに選曲していって、これはナカコーさんにやってもらう、これは自分たちでやるっていう感じで分けていって。

じゃあ、ナカコーにある程度たくさんの曲を聴いてもらった上で、どの曲だったらいっしょにやると面白いかっていう判断からピックアップしていったのを最初にかたちにしたのが、「A.B.C.D.e.p.」ってことですか?

石毛:そうです。ずっとナカコーさんのファンだったから、純粋に「どれが好きなのかなぁ?」って訊きたい気持ちもあって。まだその時点ではこのアルバムの曲全部はまだ出揃ってなかったんですけど、たとえば"I'll Be There"(『We Love Telephones!!!』収録)なんかはその時点でもうあった曲で、「この曲やりたいな」ってナカコーさんが言ってて。

「A.B.C.D.e.p.」の時点で、アルバム『We Love Telephones!!!』までの構想はかなり明確にあったんですね。

石毛:そうですね。その時点でアルバムの設計図はあったら、全部が同時進行です。the telephonesのやることは、つねに「確信犯だ」って言われたいんですよね。

そういう意味では、ナカコーから「盗めるものは盗んでやろう」っていう意図もそこにはあったりした?

石毛:あぁ、それはもう、もちろんありましたよ。去年アルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』でメジャー・デビューして、あれはある意味、僕らの勢いだけをパッケージした、いちばん濃い部分だけを絞って出したようなアルバムだったんで、その次に出す作品は、本来の自分たち――もともといろんなタイプの音楽をやりたかったバンドだったから――勢いだけじゃないものがやりたいなと思って。やっぱりiLLの作品を聴いたらわかるけど、ナカコーさんの作品って音がすごくいいじゃないですか。シンセもたくさん使ってるし。だから、これまでの自分たちの作品では作れなかった音像が、ナカコーさんだったたちゃんと作れるんじゃないかなと思って。で、もちろんその過程で、いただける技術は盗んじゃおうと思って(笑)。

その意図を隠すこともなく?

石毛:そうそう。もちろん、僕も隠さずに「教えてください!」って言うし、ナカコーさんも隠さない、ものすごくオープンな人だから。音楽に限らず、あまり詳しいことは言えないけど(笑)、いろんな動画とかもすぐに焼いてくれたりとか。the telephonesのレコーディング以外でもiLLの現場に行かせてもらって、機材をどうやって使うのか、音をどう作るのかとかも教えてもらって。しっかり盗みましたね。まぁ、盗みきれてないとは思うんですけど、いままでわかんなかったことがわかったのは大きかった。ものすごい勉強になりましたね。

それは、その次の段階として、「Oh My Telephones!!!」と、『We Love Telephones!!!』収録曲における初のセルフ・プロデュースというチャレンジを見据えてのこと?

石毛:もちろんそれもありますけど、それをそのままナカコーさんからの影響でやったらあまり意味もないと思ってて。あくまでセルフ・プロデュースでやる上での助言というか、アドヴァイザー的な存在として考えてました。あんまりそこに頼っちゃうと、自分たちでやる意味がなくなってしまうから。でもまぁ、ぶっちゃけ、録り終わった後にいっかい聴いてもらって、「大丈夫ですかね?」って相談はさせてもらいましたけど(笑)。

[[SplitPage]]

まぁ、タナソーっていうか、そのへんのメディアの人たちやリスナーも含むすべてに対して。でも、そういうネガティヴな感情もつねに持っていたいというか、それがなきゃダメなんですよね。

あらためて、この『We Love Telephones!!!』をどういう作品にしたいと思ってたのかについて、メンバー全員に訊いていきたいんですけど。

岡本(SYNTHESIZER/COWBELL/CHORUS):まず最初に石毛が曲を持ってきて、それをスタジオで流してっていう作業をこの5年間ずっとやってきた中で、今回はこれまで以上にとにかく曲がいいなっていう印象があって。だから、今まで結構作品ごとにコンセプトがガチガチにあったんですけど、今回は自由に、いい曲はいい曲でどんどん入れていくみたいな感覚でみんなで作っていった感覚ですね。

松本(DRUMS):もちろんそれぞれの曲にはテーマとかもあるんですけど、それを前面に出していくんじゃなくて、まず音楽として楽しくやれたらなって思ったんで。自分たちのスタイルで演奏していったら、それは自然に自分たちだけの音楽になっていくんだなって。それは、作っててそう思ったというより、作品が完成してみて気づかされたことですけど。

前作の『DANCE FLOOR MONSTERS』はリスナーが求めているところに思いっきり直球を投げた作品だと思うんですけど、そういう意味では、今回は思いっきり自分たちのやりたいものをやりきったってこと?

岡本:そうですね。自分たちがもともともっていたいろんな音楽的な要素を、ただ好きなように表現するっていう、なんだか簡易な話になっちゃいますけど、そういうことだと思うんです。やってみたい音楽っていうのは本当にたくさんあって、たしかに『DANCE FLOOR MONSTERS』みたいなアッパーで単純に踊れるロックっていう部分も僕らのなかにあったものだけど、今作みたいにいろんなサウンドやメロディが混在している方が、より自分たちらしい作品って言えるんじゃないかと思います。

長島(BASS/CHORUS):たぶん、『DANCE FLOOR MONSTERS』のツアーをやってたときに、「ここでもっとこういう曲があったら良かったのにね」っていうことを石毛が言っていて、もしかしたら今作はその欠けたピースを埋めていくものっていうか、いままでライヴやってきてもっとこういうのもやりたいっていう思いが、今回の楽曲たちが繋がったんじゃないかなって思います。だから、今回はプレイしてて楽しい曲が多いし、いい意味で力を抜いてできたんですね。作っていく作業の段階から。みんな楽曲がすごく気に入ってたら、逆にすげぇ気合い入れて作らなきゃっていうよりかは、「おぉー! この曲いいね!」っていう感じで、みんなでワイワイやってるうちにできていったような感じです。

これまでとは違ったタイプの曲が生まれてきた、その背景にあったのはどういう思いだったんですか?

石毛:さっき宇野さんが言った通り、『DANCE FLOOR MONSTERS』は求められている場所に思いっきりボールを投げた作品だったので、次も勢いだけで作ったら完全にこのバンドは終わるなぁって思ってたんですよ。じゃあ、もともとこのバンドでやりたかったことって何だったんだ?ってことに立ち返った作品をこのセカンドでやろうと思って。具体的には、the telephonesってインチキディスコって自分たちで言ってきたバンドだけど、ちょっとずつ、もうちょっと濃いダンス・ミュージックの要素も入れていこうかなって。でも、同時にポップであること、勢いのあることっていのもthe telephonesの音楽の重要な部分だから、そこに関してはギリギリのところまで詰めていきましたけど。作品を作っていくなかで、迷いがどんどん消えていった感覚がありましたね。

インディーズ時代のアルバム『JAPAN』は、当時のニュー・レイヴをはじめとする同時代の洋楽とリンクするようなサウンドを無邪気に出していた作品で、『DANCE FLOOR MONSTERS』はメジャーというステージで自分たちがそのタイミングで切れる最も有効なカードを切った作品だったと思うんですけど。

石毛:そうですね。だから、今回は『JAPAN』を作ってた頃の衝動に近いものがあったんですけど、当然、あの頃よりも洗練されてるし、当時は知らないことが多すぎたから。単純に、いま考えるともっと合理的にできるだろってことを悪戦苦闘しながらやったっていう、そういう楽しさが当時はあったんですけど。今回はその頃の無邪気な気持ちのまま、格段にクオリティが上がったものを作れたかなって。それと、あの頃と違って、いまはもう洋楽との同時代性っていうのは、僕はもうぶっちゃけ全然気にしてなくて。というのも、いまは日本でも、自分のまわりにものすごくカッコいいバンドが増えてきて、洋楽に対して変な劣等感を感じなくなってるっていうか。いまの日本の20代でバンドをやってる連中のなかにも、こんなカルチャーがあるんだよっていうのをちゃんと示したほうがカッコイイんじゃないかって思って。迷いが消えたっていうのはそこかもしれないですね。ほんとに胸を張って「日本のバンドです!」って言えるようになった気がする。

なるほど。それといま、同時代性って言えるほどの音楽性だけでくくれるシーンみたいなものって、海外のロックバンドのなかにもないですよね。いいバンドって、もう、個々がそれぞれ勝手にオリジナルなことをやってるっていう状況で。それはイギリスに限らず、ブルックリン周辺のバンドもそうだし。精神性で繋がってる部分はあるのかもしれないけど。

石毛:うんうん。それはほんとにそうだなぁと思って。だから、要はいわゆるニュー・レイヴとかディスコ・パンクっていう流れのなかでやってた僕らが、それが終わったなかで何をやるのかっていうのがすごく大事なことだと思ってたんだけど、そこで開き直ってみたら意外にいい作品ができなって思って。開き直ったっていうのが、いちばん気持ち的にでかいですね。もうパクらなくていいやっていう(笑)。

でも、かつてthe telephonesにニュー・レイヴやディスコ・パンクってレッテルが貼られたことは、the telephonesの音楽に対していちぶのリスナーにいろんな先入観を与えることにもなったけど、逆にそこをうまく利用してきたって部分もありますよね。

石毛:うん。それはもちろん自覚してますし、否定するつもりはないです。みんなで蛍光カラーのパーカーを着たりしてね(笑)。

自分が初めてthe telephonesのライヴを見たのは2年前の2008年でしたけど、そのときに印象的だったのは、他の日本のギター・ロックのバンドのライヴに集まってるオーディエンスとは、全然違うオーディエンスの層をつかんでるんだなってことで。ちゃんと新しい現場を作ってることを実感したんですね。

石毛:いわゆるTシャツとデニムでタオルを首に巻いてるようなロック・キッズ以外の人が、ライヴハウスにたくさんいたっていうことですよね?

そうそう。かわいくてオシャレな子がライヴハウスにいる! っていう(笑)。

石毛:2008年はそういうムーヴメントを小さいながらも作れて、すごく駆け上がっていった実感を持てた年でしたね。普段は全然音楽を聴かないような若い子達に、そういう文化を少しでも伝えられたっていう実感があった。でも、そんなのはすぐ終わるとも思ったんで。次はどうしようってことばかり考えてましたね。

そして、メジャーに行くという選択をしたわけですよね。

石毛:うん。そこでとりあえずファッションとしてのニュー・レイヴは捨てようと思って、みんな思い思いの格好をしはじめたんですよね。僕はヒッピー崩れみたいな格好をして髪が伸ばしっぱなしになって、ノブちゃん(岡本)はゲイみたくなって、(長島)涼平は可愛くなって、(松本)誠治くんはラーメン屋みたいになった(笑)。

一同:あははははは!

石毛:ファッションに縛られるバンドじゃマズイだろっていうのと同時に、メジャーシーンでこのまま何年やれるのかっていう不安と期待があって。せっかくだからそこでシーンをひっかきまわすと同時に、ムーヴメントを作れたらいいなって思って。日本独自のシーンっていうのをすごく意識するようになりましたね。その前後に、KINGSというイベントも軌道に乗るようになって。

興味深いのは、the telephonesを遠目で見ていたような人たちにとっては、「ロックで踊る」っていう〈KINGS〉ってイヴェントのコンセプトって、ニュー・レイヴやディスコ・パンクの延長として見られてた感が強いけど、いっしょに〈KINGS〉をやっているTHE BAWDIESも言ってましたけど、実はそこには90年代末の〈AIR JAM〉がひとつの理想形にあるんですよね。

石毛:うん。時代が時代なら、それこそ〈AIR JAM〉にいたようなキッズたちを、いまの僕たちは巻き込んでるのかもしれないですしね。僕らのライヴでダイヴとかモッシュが多いのも、きっとその時代の名残だと思うし。でも、自分としてはやっぱり、もっとライヴハウスとクラブの現場が――ここでいう現場っていうのはロック系パーティのことだったりするんですけど――混ざって欲しいって思うんですよね。だから、自分も大きなロックフェスとかに出たときに、ステージから「現場に行け!」って言うんですよ。まるで、ワールドカップのデンマーク戦に勝った後の長谷部みたいに(笑)。

「Jリーグにも足を運んでください!」みたいな?(笑)

石毛:まぁ、そこまではカッコよくないかもしれないけど(笑)、言わなくてもいいのにどうしても言ってしまう。それは、もっと音楽を自由に楽しめる現場を作りたいからなんですよね。〈AIR JAM〉の世代の人たちがモッシュとダイブというのを文化として定着させたわけですけど、僕らの世代はそういう立ノリじゃなくてもっと横ノリの、踊るっていう文化をロックのオーディエンスに広げられないかなって。そうしたら、時代と時代が分断して横軸しかないような日本のロックシーンにも、ちゃんと縦軸のようなものができるのかなって思ってて。

[[SplitPage]]

たとえば僕は高校を途中で辞めて死ぬほど退屈だったんですけど、唯一音楽だけはほんとに好きだったからライヴハウスで働き続けて、なんとかここまで生きてきたっていう、本当に音楽に救われたっていう実感を持ってるんですけど。

たとえば、これはele-kingだから敢えて訊きますけど、the telephonesが歌ってるダンスフロアと、ele-kingの読者がイメージするダンスフロアっていうのは、違うものじゃないですか。

石毛:たぶん、真逆ですね。

それによって偏見を持たれるのは不本意なことだったりします?

石毛:うーん......。でも、どっちの現場も健全だし、そんなに違うとは思わないんですよね。ドラッグもないし。だから、どっちもあってよくて、それが混ざるのが一番いいと思うんですけど......なかなか水と油だから、どうなんでしょうね。その架け橋的なバンドになればいいなぁとは常々思ってるんですけど。

今作『We Love Telephones!!!』はいきなり「I Hate DISCOOOOOOO!!!」という怒りを表明した曲で始まるわけですが。この怒りの矛先はいまの音楽シーンに対して? それとも、社会全体に対して?

石毛:全部ですね。たまにすべてのものが嫌いになることあるんですけど、「I Hate DISCOOOOOOO!!!」の"僕を打ちのめしたとこで何の意味がある?""自分じゃできないくせに"というラインは、完全に田中宗一郎に言ってます(笑)。

(笑)。

石毛:まぁ、タナソーっていうか、そのへんのメディアの人たちやリスナーも含むすべてに対して。でも、そういうネガティヴな感情もつねに持っていたいというか、それがなきゃダメなんですよね。すごく充実して幸せを手に入れると不安になっちゃって、これは全部嘘なんじゃないかと思うような人間なんで。

いろんな批判もあるんだろうけど、言ってみればthe telephonesって、最初から隙だらけのバンドだと思うんですよ。

石毛:そうそう。ツッコミどころがいっぱいある。こんなに隙だらけなんだから、打ちのめしたところで何の得もないよって言いたい(笑)。

打ちのめされても、ヘラヘラ笑いながらまた立ち上がってくるような、そういうタフさを持っているバンドだと思うんですけどね。だから標的になりやすいのかな?

石毛:そうですね。そういう部分はタフになったような気がしますね。

もともとthe telephonesはメディア主導ではなく、現場から火のついたバンドだっていう、そこの自負もあるんじゃないですか?

石毛:それもありますけど、現場から生まれた僕らも、結局はメディア主導のフェスにのっかってるっていう現状もありますからね。それは僕らだけじゃなくて、他のバンドもそうですけど。別にそれが悪いって言いたいわけじゃないけど、もっと〈AIR JAM〉がやったみたいに、自分たちだけで磁場を作れるんじゃないかって思いはあるんですよね。せっかくここまで状況を作ってきたんだから、ついてきてくれるオーディエンスもいるんじゃないかって。そろそろ何かを仕掛けていかなくちゃなって。20代のうちになにかデカいことをやりたいなって思ってます。

そういうthe telephonesの持ってるカウンター意識って、あまりファンのあいだにも伝わってないような気もするんですけど。

石毛:表現の根本には、いつもラヴがありますからね。すごく理想主義的な部分が大きいから。僕たちって尖ろうとしても、結局は4人の人間性に部分で、どうしてもラヴとかピースな感じになるんですよ。

今作『We Love Telephones!!!』も、曲によっては"HATE"とか"DIE"とかっていうネガティブなフレーズも耳に残りますけど、基本的にはすごくラヴとピースな作品ですよね。

石毛:そうです。基本的にthe telephonesのテーマは愛と自由だと自分は思ってます。

愛と自由をこの2010年の日本で歌う意味は、どこにあると思います?

石毛:いま、バンドであんまり愛を歌うバンドっていないと思うんですよね。個人的な内面の葛藤とか、そんなのばかりが幅を利かせていて。自分もそんなにすげぇ考え込んだ上で、「愛と自由」だって思ってるわけじゃないから、ちょっと答えづらいんですけど......やっぱり、まだバンド・シーンは終わってないっていう希望の火をつけたかったっていうのがあって。これから音楽をプレイする若い子にも、音楽でもメシは食えるよっていうのを伝えたいのがある。いまってなんとなく、日本の音楽シーン全体が、メインストリームもアンダーグランドも、どんどんコアなものになっている気がするんですよね。

CDを買うという行為そのものが、マニアックな行為になってきてますからね。

石毛:でも、そんな時代でも普通の人がバンドをやってもいいんだよ、選ばれた人しか音楽をやっちゃいけないわけじゃなくて、普通の人間でもバンドはできるんだよっていうのを証明するバンドになりたいんですよ。それが結局は、愛と自由に繋がってるんじゃないかな。だから、いまの世界が退屈で死んじゃうよっていうような人たちに自分たちの音楽を届けたい。この気持ちが正確に届くかどうかわかんないですけど、たとえば僕は高校を途中で辞めて死ぬほど退屈だったんですけど、唯一音楽だけはほんとに好きだったからライヴハウスで働き続けて、なんとかここまで生きてきたっていう、本当に音楽に救われたっていう実感を持ってるんですけど。だからいま、学校も仕事も行かずに時間を持て余してるスーパーニートみたいな人がいたら、別に僕らの音楽じゃなくてもいいんだけど、誰かの音楽を聴いてそれに救われるような体験をしてくれればいいなって。まぁ、それが自分たちの音楽だったらいちばん嬉しいんだけど。

[[SplitPage]]

だからね、ele-kingを読んでるような音楽をすごくよく知ってるような人たちに、「やっぱthe telephonesってクソだね」って言わせちゃうくらいの、そういうバンドになっていきたいですね。それでも、「あの曲はいいよね」みたいな。

いまのtelephonesの現場には、ニートっぽい子はたくさんいる?

石毛:いや、全然いない。リア充ばっかだと思う。2ちゃんねるのスレッドとかも大して書き込みもないし(笑)。だからもうちょっと腐ってる奴らがいてもいいなって思うんですけど、逆に言うと、もう腐ってる奴らが聴きたいとは思わない音楽になっちゃったのかもしれないですね。それはたぶん、これまでの僕らのやり方があざとすぎたのかもしれない。でも、そのへんの連中に嫌われてもいっかいちゃんと上に行く必要があったと思うし、まだまだ上に行きたいところはあるんで。それが一段落したら、もういちどそこらへんにいる人たちに問いかけたいって気持ちは強いですね。

自分で自分のことを「あざとかった」って言うのはそれだけ客観視できてるってことだと思いますけど、あざとさっていうのは、どこかでツケを払う必要があると思うんですよ。そういう意味で、今回の作品はそのツケを払ったような、丸裸の作品になってるのかもしれないですね。

石毛:なってるのかな? 基本的にはツケを払ったつもりではいるんだけど、もっといいツケの払い方もあると思うんですよね。これまで誤解させたきたところをどうやって解いていくか、それは難しいことなんですよね。でも、バンドが上に行くにはそういうこともしなきゃいけない。音楽がカッコよければ売れるっていう時代はやっぱり終わったと思うんで、自分たちがいいと思う音楽をどうやって広げていくか、あらゆる手段を講じるしかないと思うんですよ。で、そういうことに対して自分は積極的な人間だから、何でもやっていこうと思ってます、いまは。それが度を超えると、精神的にはつらくなったりもするんですけど。

それは、別にこれまでのリスナーを裏切ってきたとか、裏で舌を出していたとか、そういうことじゃなくて、自分たちの音楽を限定した形でしか伝えてこなかったことに対するしんどさですよね?

石毛:そうですね......あぁ、そうかもしれない。うん、そうですよ! そうだわ!

一同:あはははははは!!

石毛:そういう意味で、今回の作品でようやく解放されたのかもしれない。いや、完全に腑に落ちたました(笑)。だからね、ele-kingを読んでるような音楽をすごくよく知ってるような人たちに、「やっぱthe telephonesってクソだね」って言わせちゃうくらいの、そういうバンドになっていきたいですね。それでも、「あの曲はいいよね」みたいな。たぶん、全曲好きになるのは難しいだろうけど、「the telephonesクソだけど、この曲だけはいいよね」っていう、それぐらいの耳のあるリスナーといっしょに走っていきたいですね。つねに時代と同期しながら新しいことをやっていきたいし、なるべくならその最先端を走りたい。基本的に人を引っ張ることは嫌いだけど、いまは引っ張ってもいいよって気分、なんでも背負ってもいいよって気分なんで。いろいろ背負うかわりに、先を走らせてくれっていう感じですね(笑)。

Chart by Manhattan - ele-king

Shop Chart


1

Joaquin Joe Claussell

Joaquin Joe Claussell The World Of Sacred Rhythm Music Music 4 Your Legs »COMMENT GET MUSIC

2

Mr Raul K

Mr Raul K The African Government Mule Musiq »COMMENT GET MUSIC

3

Kaoru Inoue

Kaoru Inoue Sacred Days Seeds And Ground »COMMENT GET MUSIC

4

Justin Vandervolgen

Justin Vandervolgen Clapping Song Sheebooyah / Golf Channel »COMMENT GET MUSIC

5

Four Tet

Four Tet Angel Echoes Domino »COMMENT GET MUSIC

6

American Me

American Me Cool World Lucky Me »COMMENT GET MUSIC

7

Phenomental Handclap Band

Phenomental Handclap Band Testimony Bitche Brew »COMMENT GET MUSIC

8

Chymera

Chymera Martin Dawson & Glimpse »COMMENT GET MUSIC

9

Peven Everett

Peven Everett Beyond The Universe EP 2 »COMMENT GET MUSIC

10

Lloyd Miller & The Heliocentrics

Lloyd Miller & The Heliocentrics S/T Strut »COMMENT GET MUSIC

Chart by Union - ele-king

Shop Chart


1

やけのはら

やけのはら This Night Is Still Young / »COMMENT GET MUSIC
多くの活動を経て遂に放たれた待望の1stアルバム。ビートに絶妙に交差するラップとヴォーカル、漂う独特な空気感は、日が昇り始める午前に、蒸し暑い日中に、涼しくなり始める日暮れに、そわそわと出かけたくなる夜に・・・夏のどんな時間にもマッチするような魔法がかった珠玉の14曲。ディスクユニオン限定特典としてOPPA-LAで行われた『やけのはらのライヴDJ MIX-CD』が付きます。

2

SCHERMATE

SCHERMATE CD Volume 3 SCHERMATE / ITA / »COMMENT GET MUSIC
リリースの度に反響を呼ぶミニマル・レーベル"SCHERMATE"の限定CD-Rシリーズ第3弾!今回はカタログ7,8,9番、そしてリミックス盤からPETER GRUMMICHのリミックスを抜粋! 恒例のSE集も充実したCD派も大満足の1枚! LTD200、ナンバリング入り!

3

UNKNOWN

UNKNOWN Elepahnt Stoned (Yo&Ko Super Long Edit) WHITE / UK / »COMMENT GET MUSIC
今年始めに突如リリースされ大きな話題を呼んだLA'S"There She Goes"の衝撃リエディットを手がけた謎のユニット、YO&KOが手がけるセカンド・インパクト!なんと今回は80年代後半~90年代前半に一世を風靡したあのUKマンチェブームの代名詞THE STONE ROSESの代表曲であり大名曲"Elephant Stone"のハウス・リエディットとまたも超ストライクなチョイス!!原曲のあの素晴らしい旋律と軽やかに駆けぬけるようなグルーヴをそのまま高揚感あふれるキックとビートに落とし込んだようなDJ&ピーク・タイム仕様の見事なハウス・エディットはフロアを瞬く間に席巻する強力な仕上がり。今回も要チェックです!!

4

SCHERMATE

SCHERMATE Control (Remixes) SCHERMATE / ITA / »COMMENT GET MUSIC
ずば抜けたクオリティーでTOP DJからの支持も厚いSCHERMATEから、初となるリミックス盤が登場!! 手掛けるのはELETTRONICA ROMANA等で活躍する同郷イタリアの奇才・MODERN HEADSとKOMPAKTから秀作アンビエントをリリースするPETER GRUMMICH! やはり分かっている人選です! 徹底してダークにハメ倒すMODER HEADSサイド、音の抜き差し(主に抜き)で展開をつけるGRUMMICHサイド!

5

D'JULZ

D'JULZ Rexperience #01 MODULE FRANCE / FRA / »COMMENT GET MUSIC
88年のオープン以来、幾多のDJ/アーティストが毎週末の夜を彩ってきたフランスを代表するベニュー・REX CLUBが満を持してMIXシリーズ「REXPERIENCE」をスタート! 記念すべき第一弾を担当するのは、REX CLUBで最も人気のあるパーティー"BASS CULTURE"を主催し、これまでにLOCO DICE、LUCIANO、CASSYなど錚々たるメンツを招いてきたフレンチ・ミニマルの重要人物・D'JULZのMIX-CD。オープニングからラストまで、ロングプレイを体感しているような起伏に富んだ内容は、まさにREX CLUBの名に相応しい鉄板の1枚!

6

MACC AND DGO HN

MACC AND DGO HN Some Shit Saaink REPHLEX / UK / »COMMENT GET MUSIC
しばらくCDリリースの途絶えていたREPHLEXから、待望の新作登場! 今回フィーチャーされたのは、INPERSPECTIVEやOUTSIDERといったDRUM & BASSレーベルに幾多の12"を残してきたUKのプロデューサー・チーム"MACC & DGOHN"! 本作「「SOME SHIT SAAINK」は、SUBTLE AUDIOから09年にアナログ2枚組で発表されていた作品に未発表曲を追加収録した、彼らの記念すべきファースト・アルバム! 古き良き時代のDRUM & BASSを彷彿とさせるダイナミックなドラム・サンプリング、暴れ狂うようなスネアの連打に圧倒されること間違いなし! APHEXもファンだという彼らの超絶なサウンドをぜひ体感してください!

7

MIKE HUCKABY

MIKE HUCKABY Deep House Supreme DEEP TRANSPORTATION / US / »COMMENT GET MUSIC
Rick Wadeと共に古くからデトロイトで活動するベテランMike MickabyのMIX-CDが渋谷クラブミュージックショップのリニューアルオープンを記念してのディスクユニオン限定入荷!「Welcome To The Club」で幕を開ける本作、美しくもダビーなディープハウス、全編を通して感じ取れる涼しげな音の揺らめき、後半徐々にタイトでディープさを増していくミニマルなトラックをBPM120程度の程よいテンポで展開。自然と音が体へ染み込んでくるような絶妙なテンションはロン・トレントやラリー・ハード辺りのDJスタイルをも彷彿とさせる。巻末にはクリエイターが使えるようにオリジナルのサンプルパターンを2種、ボーナスとして収録しています(Very Limited 100 copies only)。

8

FOUR TET

FOUR TET Angel Echoes DOMINO / UK / »COMMENT GET MUSIC
最新アルバム「There Is Love In You」からREMIXシングルがリリース。CARIBOU(ex MANITOBA)REMIXは多彩なシンセフレーズが散りばめられたディープ・テック・ハウスでフロア仕様に。もう片面のJOHN HOPKINS REMIXはリスニングよりの壮大なエレクトロニカ。印象的なオリジナルVer.のカットアップされた女性ヴォーカルを両者効果的に使用した強力REMIX盤!

9

SCOTT FERGUSON

SCOTT FERGUSON Disk Union LTD Mix FERRISPARK / US / »COMMENT GET MUSIC
Moodymann~Theo Parrishのフォロワーとして、デトロイトハウスをリリースするFerrisparkを運営するScott Fergusonが渋谷クラブミュージックショップのリニューアルオープンを記念してミックスCDをリリース。もっさりとしたデトロイトハウスを中心に構成しながらも一筋縄ではいかない展開は絶対予測不可能、ディープでローファイなアーリーシカゴハウス、そしてダンスクラシックへもスムースにシフト。黒いミックスが好きなリスナーの全てのツボを刺激する抜群の内容です。シリアルナンバー&サイン入りの限定100枚。

10

SCION

SCION Arrange And Process Basic Channel Tracks TRESOR / JPN / »COMMENT GET MUSIC
TRESOR RECORDSカタログ200番として制作された記念碑的作品。BASIC CHANNELが産み落とした数々のミニマル・ダブ・クラシックスをベルリンミニマルの総本山、HARDWAXクルーのSUBSTANCE+VAINQUEUR=SCIONが解体再構築。2002年当時としてはまだ真新しかったAbleton Liveを使用してのミックスが施されたこの作品は、アナログの代用としてのデジタル、その利便性のみに留まらない創造の可能性をも提示した。4/4ビート/音色/エフェクト/フレージングそれら個々の配置と全体の流れという縦軸と横軸が綿密に構成された展開、CDのフォーマット16bit/44.1kHzを考慮したマスタリングによる音質と、すべてにおいて一分の隙も見当たらない究極の55分間。
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291