「PAN」と一致するもの

CHART by JET SET 2010.04.27 - ele-king

Shop Chart


1

WOOLFY / DJ SPUN

WOOLFY / DJ SPUN WHATCHAWANNADO VOL.2 »COMMENT GET MUSIC
新興リエディット・レーベル"Whatchawannado"第2弾がヤバイんです!!Stone Throw配給によるエディット・シリーズ第2弾。本作では"Woolfy"と"DJ Spun"のニュー・ディスコ界のドンお二方をフック・アップ。これからの季節の重宝必至ですのでお見逃しなく。

2

ARSENAL

ARSENAL OUTSIDES »COMMENT GET MUSIC
またもやベルギーからの驚異。Cut CopyでDelphicな青春ダンス・ロック・キラーを超感動Remix!!当店注目のベルジャン・デュオArsenalによる、Cut CopyのムードとDelphicの高揚が襲うロマンティック・インディ・ダンス・キラー!!Compuphonic、Gui BorratoによるRemixも死ぬほど素晴らしい!!

3

CX KIDTRONIK

CX KIDTRONIK BLACK GIRL WHITE GIRL »COMMENT GET MUSIC
これはトンでもない!!キラー・アバンギャルド・ヒップホップ!昨年復活を果たしたAnti Pop Consortiumの元DJ、鬼才CX KiDTRONiKのピクチャー盤12"+CD仕様の限定盤がStones Throwからリリース!さらにC/WにはMF Doom a.k.a. King Geedorhaをフューチャー!

4

CYPRESS HILL

CYPRESS HILL RISE UP »COMMENT GET MUSIC
復活作にして最高傑作!「Cypress Hill」8thアルバム、遂に入荷です!!6年も待ったかいがあった・・・B-Real、Sen Dog、Dj Muggs、Eric Boboの4人が自らが持つ魅力をじっくりとビルド・アップし集約、余す所無く封じ込めた待望過ぎる8thアルバム堂々完成です!

5

DANNY THE DANCER PRESENTS OTO GELB

DANNY THE DANCER PRESENTS OTO GELB A DISCO CLASSIC »COMMENT GET MUSIC
Daniel Wangさんのリエディットはやはり他とは一味も二味も違います!!昨年の来日、そして今年の元旦の恵比寿ガーデンホールでもスピンしていたキラー・チューンが遂にアナログ・カット。これは最高です、買って下さい。

6

MIM SULEIMAN

MIM SULEIMAN NYULI »COMMENT GET MUSIC
先日のDommuneプレイも最高だったMaurice Fultonのプロデュース!!ザンジバル出身のシンガーMia Suleimanによる1st.アルバム『Tungi』からの先行カット。Maurice Fultonプロデュースによるグレイト・モダン・アフロ・ポップ!!

7

MAKOSSA & MEGABLAST / DISKOKAINE

MAKOSSA & MEGABLAST / DISKOKAINE CD TWELVE SAMPLER 1 OF 2 »COMMENT GET MUSIC
辺境ビーツ・ファンにも大推薦のレフトフィールド・トライバル・ディスコ傑作A1!!マンレコの人気シリーズ"Funk Mundial"への参加でもお馴染みMakossa & Megablastと、GommaのDiskokaineによる強力スプリットっ!!

8

FLYING LOTUS

FLYING LOTUS COSMOGRAMMA »COMMENT GET MUSIC
US西海岸の怪物Flying Lotusが豪華ゲスト陣を迎えた歴史的傑作を完成!!Thom YorkeやLaura Darlington(Long Lost)、Dorian Conceptらも参加、漆黒の崩壊寸前グルーヴで冒頭から突っ走る脅威の17トラックス+1(T18)!!

9

JEFF MILLS

JEFF MILLS THE DRUMMER PT.3 »COMMENT GET MUSIC
全世界で限定300枚という超限定シリーズ"The Drummers"の最終章がこちら!!Jeff氏自身も実は若い頃はドラマーだったという経緯から、自らがリズム・マシーンを用いて表現する本シリーズがいよいよ最終章となりました。自身が尊敬するという音楽史上重要なドラマー達の名前をタイトルに付けた入魂のDJツールです!!

10

V.A.

V.A. AFRO BALEARIC EP »COMMENT GET MUSIC
絶人気Sol Selectasシリーズ第10弾★今回はアフロです。メチャクチャ最高ですー!!前作のクンビアに続いて、今回はアフロ篇!!Radioheadをハイライフ風に仕立てたA-1、Bow Wow Wow"I want Candy"をトロピカル・ディスコにしたA-2がズバ抜けてます!!

interview with a editor of Pitchfork - ele-king

 シカゴ在住のエイミー・フィリップ(Amy Philip)は、いまもっとも影響力のあるミュージック・ウエブサイト、わが国でも読者の多い『ピッチフォーク』のニュース・エディターだ。もともとはフリーの音楽ライターだった彼女だが、5年前から『ピッチフォーク』のスタッフとして働いている。また、彼女の原稿は『ヴィレッジ・ボイス』、『スピン』、『フィラデルフィア・インクワイアー』、『セヴンティーン』など、たくさんの媒体に取り上げられている。
 アメリカの音楽メディアで精力的に働きながら、インディ・ロックを中心に原稿を書いている彼女に話を訊いてみよう。

アニマル・コレクティヴがアメリカで人気なのは驚くべきことだと思う。一般的には、難しい音楽で、簡単に受け入れられる音楽だとは思わないけど、人びとがこの手の音楽に興味を持ちはじめて、『ピッチフォーク』にも、突然アニマル・コレクティヴのようなバンドが増えだした。

えー、まずはあなた個人の音楽体験史について教えてください。

エイミー:10代の頃はニルヴァーナ、ホール、ソニック・ユースの大ファンで、そこから音楽にのめり込んでいったわ。

音楽ライターになった経緯、『ピッチフォーク』で書くようになった経緯について話してもらえますか?

エイミー:音楽にとても夢中になって、音楽の全サイド、例えばミュージシャンの生活などにも興味をもって、こんなジャンルの音楽のことを書いて生活できたらいいなと思っていたの。ギターを少し習ったことがあるけど、そんなに我慢強くもなかったし、才能もなかったし、音楽を書いているときほど楽しめなかったの(笑)。自分のモノより、他の人の音楽を聴いている方が断然に楽しかったのよね。それでフリーランスの音楽ライターになって、いろんな媒体で書いていたんだけど、『ヴィレッジ・ボイス』の記事を『ピッチフォーク』が見て、私にコンタクトをとって来たのよ。2005年だったかな。『ピッチフォーク』の新しいセクションに私を持って来たかったみたい。

『ピッチフォーク』はどのように生まれたのでしょうか?

エイミー:『ピッチフォーク』はライアン・スクレイバーが高校を卒業したばかりのときに、彼のミネソタのベッドルームではじめたのがことの発端よ。彼はインディ・ミュージックの大ファンで、当初はウェブにすら載っていなかった、彼の好きなバンドを紹介していたの。1996年だったかしらね。しばらくは彼と友だちとでやっていて、2005年に私が入って、いまの体制が整った。私は5人目のスタッフだったわ。

スタッフはいま何人いるのですか?

エイミー:スタッフは20人いるわ。オフィスはシカゴとブルックリンで、シカゴが本拠地。

毎日のように、新しいバンドの情報が届くと思うのですが、そのなかから、ピッチフォークで、取り上げるバンドはどのように決めているのでしょうか。

エイミー:いろんなところから音楽が届くけど、基本は、自分たちが書いて価値があるもの。ひとつの答えはないけど、例えば、私たちが好きなレーベル、〈マタドール〉や〈サブポップ〉の音源はだいたい取り上げるわね。

『ピッチフォーク』のコンセプトを教えてもらえますか?

エイミー:たくさんの違う角度から、私たちの好きな、ときには嫌いな音楽をあつかう音楽ウェブサイト。レヴュー、私が担当しているニュース、インタヴュー、ヴィデオ(ピッチフォークTV)、シェアリング・ミュージックなどで、私たちが重要だと思う音楽をカヴァーしている。

多くの音楽メディアはメジャー・レーベルからの広告で成り立っています。それで提灯記事ばかりが氾濫してしまいました。

エイミー:『ピッチフォーク』に関してはそれはないわね。編集と広告のセクションはまったく分かれていて、『ピッチフォーク』は広告を出したバンドに悪いレヴューをすることもある。もちろん良いレヴューをすることもね(笑)。他の媒体に関してはわからないわ。そういうことも他ではあるのかもしれないけど。

ゼロ年代を通じてアメリカからレコード店がなくなったこととブルックリンのインディ・シーンとの関係について話してください。僕の友人は、タワーレコードがなくなったことで商業主義に対する幻想から吹っ切れた若いバンドが自由に表現するようになったんじゃないのかという説を立てていましたが。

エイミー:うーん、それは関係ないと思う。ブルックリンは住むのにとても良い場所で、たくさんの若いキッズ達が引っ越して来た。それだけのことよ。レコード店がなくなったのはテクノロジーが発展し、自分の家でもインターネットで、手軽に音楽にアクセスできるようになったから。私はレコード店が好きだし、こういう形でなくなっていくのは悲しいけど、インターネットは音楽の制作面のみならず流通も手軽にさせたし、音楽を買うこともたやすくさせた。同時に違法ダウンロードも可能にしてしまったし、レコード店は生き残れなくなった。ただ同じ時期に起こったのだと思う。
 とにかく、そうね、たくさんのバンドがブルックリンに引っ越すようになって、たくさんの音楽が生まれている。それで、さらにたくさんのバンドが引っ越して来て、良い音楽が生まれていく。最初は小さかったのが、どんどん大きくなっていったの。いわゆる雪玉みたいにね。

9.11のインパクトは、USインディ・シーンにどのような影響を与えたのでしょうか?

エイミー:みんなが思っているほどの影響は、直接的にはないと思う。ただ、9.11の後は、セキュリティーなどが厳しくなったりして、海外ツアーをやりにくくなったのは事実ね。

 

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アニマル・コレクティヴのようなバンドの価値を高めたのは『ピッチフォーク』だ言われていますが、アメリカではどれほどの人気なのでしょうか?

エイミー:アニマル・コレクティヴがアメリカで人気なのは驚くべきことだと思うわ。一般的には、難しい音楽で、簡単に受け入れられる音楽だとは思わないけど、人びとがこの手の音楽に興味を持ちはじめて、『ピッチフォーク』にも、突然アニマル・コレクティヴのようなバンドが増えだした。たしかに『ピッチフォーク』は彼らをサポートしているけど、それが彼らの人気の理由のすべてではないわ。彼らはたくさんのツアーをするし、コンスタントに新しい音楽を発表しているからね。

あなたがとくに気に入っているバンドやアーティストは誰ですか?

エイミー:M.I.A.、ナイフ、フィーヴァー・レイ、もう少しクラシカルなところで言うと、ブルース・スプリングスティーン、プリンス、さっきも言ったように、10代の頃好きだったのはソニック・ユース。彼らがいままでやって来たことをとても尊敬しているの。

最近の若いバンドではお気に入りはいますか?

エイミー:いま期待しているのは、スレイ・ベルズね。

ブルックリンのバンドですよね。

エイミー:彼らは何の音源もリリースしていないし、マイスペースのみなんだけど、最近M.I.A.のレーベルと契約したばかりなの。これからが楽しみよね。

あなたのゼロ年代のアルバム・トップ5を挙げてみてください。

エイミー:えー、M.I.A.の『アルラー』と『カラ』。アーケイド・ファイヤーの『フューネラル』、ナイフの『サイレント・シャウト』、ダフト・パンクの『ディスカヴァリー』、PJハーヴィーの『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』。

サイモン・レイノルズがこの10年を"フラグメンタル・ディケイド"という言い方をしていますが、実際の話、もう大きなムーヴメントはずいぶんとありません

エイミー:それはたしかにその通りだと思う。コンピュータ、インターネットなどは、音楽へのアクセスを簡単にしたし、音楽を作るのを簡単にした。だから、ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。私はたくさんの人が、同じ音楽を聴いているアイディアが好きだし、美しいことだと思うけれど。

ムーヴメントのないこの現在、そして将来において、カウンター・カルチャーとしての音楽はどうなると思いますか? 

エイミー:いまの時代は、ひとつの大きなムーヴメントというものはなく、すべてが断片的で、たくさんの小さなムーヴメントがあるのよ。カウンター・カルチャーが大きな影響を与えるとは思わないわ。

アメリカにはグリール・マーカスをはじめ、レスター・バングスなど、偉大なロック・ジャーナリストの系譜がありますが、とくにあなたが影響を受けたのは誰ですか?

エイミー:最初にライターをはじめた頃は、アン・パワーズというライターにとても影響を受けたわ。彼女は、元『NYタイムス』のライターで、いまは『LAタイムス』のライターをやっている。アン・パワーズは、『彼女が書いたロック:Rock She Wrote(women write about rock, pop and rap)』という、女性が書いたロック・ジャーナリズムのコレクションを出版しているのよ。90年代なかばに出版された本なんだけど、私はとても影響を受けたわ。

それはとても興味深い本ですね。ところで音楽ライターにとって重要な要素は何だと思いますか?

エイミー:たくさんあるけど、いちばん大事なのは、良いライターであること。強い声を持ち、スタイルに良いセンスを持ち、正確であり、自分の話していることがわかっている。きちんと、締め切りに間に合わせること。音楽に対してパッションがあり、自分の記事が何を書いているか注意することよね。

ちなみにアメリカでは音楽ライターをやって食べていけますか?

エイミー:良い質問ね(笑)。ほとんどは、一般的に言って難しい。私や『ピッチフォーク』のスタッフはこの仕事で食べていけて本当にラッキーだと思う。でもこれはレアで、ライターだけやってフルタイムで生活するのは本当に難しい。ほとんどのフリーランスのライターは別の仕事をもっている。それだけでやっていくことは可能だけど、とても難しいのよ。

日本の音楽についてはどの程度知っていますか? 

エイミー:そんなに多くは知らないけど......若い頃は少年ナイフを聴いたわ。彼女たちはとても楽しいわね。そしてボアダムス、彼らは天才ね。アシッド・マザー・テンプル、彼らもアメイジングね。ディア・フーフには日本人のメンバーがいるわよね。私は大ファンではないけれど、彼らのことは尊敬している。他にも......、ゆらゆら帝国、トクマルシューゴなどは、とても楽しく聴かせてもらったわ。

日本の音楽シーンに期待することはありますか?

エイミー:とくに何かを期待することはないわね。いまの時代は、すべてがとても断片的で、ひとつの特別なシーンが何かを作るということもないので、日本の音楽も、アメリカの音楽も、ただたんに、世界のなかの断片的な部分だと思うのよ。私たちは、自分たちの手の届くところにある断片的な音楽を紹介しているだけなのよ。

ちなみに6月にはトーク・ノーマルが来日ツアーをやるんですよ。

エイミー:彼女たちのことはいろんなライターがカヴァーしているし、とても良い評判を聞いているわ。いつもチェックしたいと思っているのだけど、私はまだ聴いたことがないの。来週シカゴでプレイするから見に行くわ。とてもエキサイティングね。

CHART by JAPONICA 2010.04 - ele-king

Shop Chart


1

MOODYMANN

MOODYMANN DEM YOUNG SCOONIES / THE THIRD TRACK DECKS CLASSIX / GER / 2010/4/18 »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANN人気レア・トラック"DEM YOUNG SCONIES"と"DON'T BE MISLED"がカップリング再発!!97年に<PLANET E>からリリースされた出世作"DEM YOUNG SCONIES"と96年リリースのEP「DON'T BE MISLED!」に収録の人気曲"THE THIRD TRACK"をドイツの名作リイシュー・レーベル<DECKS CLASSIX>が再発!リマスタリングしてのリイシューなので音圧音質もバッチリです!

2

ERYKAH BADU

ERYKAH BADU NEW AMERYKAH PART TWO : RETURN OF THE ANKH UNIVERSAL MOTOWN / US / 2010/4/18 »COMMENT GET MUSIC
前作「NEW AMERYKAH PART ONE」から約2年、その続編ともなる最新アルバム「NEW AMERYKAH PART TWO」遂にリリース!!前作に引き続きプロデューサー陣にMADLIB、9TH WONDER、SHAFIQ HUSAYNを、さらに今作にはJ.DILLAやTA'RAACH、GEORGIA ANN MULDROWまでも迎え入れた鉄板陣容!その豪華プロデューサー陣によるヒップホップ/R&B・マナーのベーシックながら味わい深い上質トラックでERYKAH BADUが抜群のヴォーカル・ワークで独自の世界観を演出した超傑作!!

3

SHHHHH

SHHHHH STRICTLY ROCKERS RE:CHAPTER. 32 EL QUANGO / JPN / 2010/4/23 »COMMENT GET MUSIC
ノンカテゴライズ・レゲエ・ミックス・シリーズ「STRICTLY ROCKERS」にSHHHHHさん登場!!ダンスの現場で培ったトランス感とアフター・レイヴ感覚をもって完全に新しい解釈で非西欧圏の音楽の楽しみ方を提示してきたSHHHHHの魅力が濃密に展開された本作。いわゆる「レゲエ」が1曲も入っていないにも関わらず当シリーズから出す意味も聴けば完全に納得できてしまう何とも言えないこの独特な質感、病み付きになること請け合いです!!

4

LIPARIS NERVOSA

LIPARIS NERVOSA TAKE THE FUNKY FEELING ALL CITY RECORDINGS / US / 2010/4/18 »COMMENT GET MUSIC
西海岸のソウル・ファンク系レーベル<ALL CITY RECORDINGS>よりジャズ・ファンク・バンドLIPARIS NERVOSAの新作。A面収録オリジナル曲"TAKE THEFUNKY FEELING"は安定したファンク・グルーヴにJBライクなしゃがれ声ヴォーカルが効いたダンス・ナンバー。そしてC/Wにはカヴァー曲となる芯の太いミッド・テンポなドラムブレイクにギター・リフ、ホーン等が絡むムーディーなジャズ・ファンク"FLAT BLACK"を収録!本盤はもちろんこの"FLAT BLACK"がイチオシです!!

5

KOSS

KOSS OCEAN WEAVES MULE ELECTRONIC / JPN / 2010/4/18 »COMMENT GET MUSIC
先日リリースされた傑作アルバムからの12inchシングル「ONCE AGAIN」も大好評の中、<MULE ELECTRONIC>よりKOSS名義での新作が到着!A面にはKUNIYUKI氏自身でのセルフ・リミックスとなる幻想的なミッドグルーヴでの四つ打ちトラック"OCEAN WAVES (RETURN TO RING MIX)"、アブストラクトなディープ・サウンドで展開されるテックハウス・トラック"MERCURY DUB"を、そしてB面にはMINILOGUEによるスピリチュアル度を増したトリッピーな長編リミックスを収録!いずれも文句無しに大推薦!!

6

FLOATING POINTS

FLOATING POINTS PEOPLES POTENTIAL EGLO / UK / 2010/4/9 »COMMENT GET MUSIC
全世界限定500枚で市場に出回るも一瞬で姿を消してしまった片面プレス、ホワイト盤プロモ仕様のFLOATING POINTS渾身の新曲"PEOPLES POTENTIAL"が待望の正規リリース!今作は名作「VACUUM EP」もリリースしたホーム・レーベルとも言えるUK<EGLO>よりリリース!煌びやかなレイヤード・シンセをベースにポスト・ビートダウン的ビート構築で進行し、エレクトリックなうねりを効かせコズミックな世界感を披露した秀逸ビートダウン・トラック!

7

BOOHGALOO ZOO

BOOHGALOO ZOO NO JOKE LOVE MONK / SPA / 2010/4/11 »COMMENT GET MUSIC
ドイツとオランダのベテランK'BONUSとU-GENEによる新星ユニット=BOOHGALOOZOOのデビューEPとなる今作。USのリリシストREPLIFEを迎え陽気なヒップホップ・ナンバーに仕上がったオリジナル・ヴァージョン、そして SEIJIによる激烈アッパーなブロークン・リミックス、もいいのですが、ここでは<REAL SOON>や<DOWN BEAT>からのリリースでハウス・サイドではお馴染み異国籍ユニットJUJU & JORDASHによるビートダウン的解釈でのリミックスがやはり圧勝!

8

CREATIVE SWING ALLIANCE

CREATIVE SWING ALLIANCE MONDAY BONZZAJ / CHE / 2010/4/7 »COMMENT GET MUSIC
MOTOR CITY DRUM ENSEMBLEでおなじみのレーベル<RAW CUTS>周りのPABLOVALENTIOとクリエイターSTEVEN Jの二人からなるプロジェクト=CREATIVE SWINGALLIANCEのデビュー作がスイス発ヒップホップを基盤にクロスオーヴァーな展開をみせる良質レーベル<BONZZAJ>からリリース!!内容もハイクオリティかつ幅広くハウス~ヒップホップ・サイドに至るまでこれは見逃せない一枚です!!

9

LAYO & BUSHWACKA!

LAYO & BUSHWACKA! FEMME FATALE OLMETO / UK / 2010/4/18 »COMMENT GET MUSIC
UKのベテラン人気コンビLAYO & BUSHWACKAニュー!お馴染み主宰レーベル<OLMETO>より28弾!UKテクノ・シーンの御大LAYO & BUSHWACKA新作はディスコ・タッチなシンセ使いでトリッピーな仕掛けが施されたテック・ハウス・ナンバーに!C/Wには好調AUDIOFLYによるディープ・ミニマルなリミックスを収録!

10

PRINS THOMAS

PRINS THOMAS S.T. FULL PUPP / NOR / 2010/4/10 »COMMENT GET MUSIC
出ました!ノルウェーの才人、PRINS THOMASが遂にソロによる渾身のファースト・アルバムをドロップ!ジャーマンエレクトロニックの巨匠KLAUS SCHULZEにも通ずるようなプログレ風のリフや、彼らしい北欧ならではなメランコックフレーズなどを交え、圧巻としか言いようの無い壮大な世界観で描き出すディープでドリーミーでサイケデリック、そしてコズミックな世界観は唯一無二!間違いなく2010年ベスト・アルバム候補です!

Shop Chart


1

DANIEL BELL

DANIEL BELL Globus Mix Vol. 4 - The Button Down Mind Of Daniel Bell TRESOR / JPN »COMMENT GET MUSIC
名盤再発!! DBXことDANIEL BELLが2000年代初頭にリリースしたMIX CDが再発!!! 現在のシーンを予見する確かな選曲。当時はほぼ無名だったVILLALOBOSをフックアップし、LOSOUL、HERBERTあたりのTECH HOUSE、さらにはNICK HOLDERまでチョイスする、今でもブレないセンス。海外サイト「レジデントアドバイザー」でゼロ年代BEST MIX 2位に選出。(I)

2

JEFF MILLS

JEFF MILLS Occurrence -Vinyl-disc Edition- THIRD EAR / JPN »COMMENT GET MUSIC
MINIMAL TECHNOのパイオニア、ターンテーブルの魔術師の異名を持つJEFF MILLS、実に6年ぶりの最新MIXが到着!! 『MIX-UP 2』での超絶スキル、『Exhibitionist』での完全オープン状態でのMIXワークに続いて、今作は自身の音源のみを使用し、宇宙遊泳中に自身に起こったトラブルをMIXで表現したコンセプチュアルな作品。限定プレス盤は日本初のヴァイナル・ディスク仕様。(I)

3

PRINS THOMAS

PRINS THOMAS Prins Thomas FULL PUPP / NOR »COMMENT GET MUSIC
NU DISCOシーンの決定盤!! LINDSTROMの盟友でもあり、レーベル「FULL PUPP」の主催者PRISN THOMASが初のソロ・アルバムをリリース!!! 出し惜しみの一切ない、渾身の一枚ということが、ひしひしと伝わる力作!! LINDSTROM、TODD TERJEもゲストで参加していて。やっぱり最高です!!!(I)

4

CASSY

CASSY Cassy 03 CASSY / GER »COMMENT GET MUSIC
ヨーロッパでは絶大な人気を誇り、SVEN VATH主宰「COCOON」からMIX CDをリリースした女性アーティストCASSY、久方ぶりの自身のレーベルから。シンプルながら、音のチョイスが他とは違い、グルーヴも強靭。ダウナーなVOCALを絶妙に重ね合わせながらひた走るこのビート。DJならば必須でしょう。(I)

5

DJ CHIDA

DJ CHIDA 7 Years Journey Of Dancaholic ENE TOKYO / JPN »COMMENT GET MUSIC
東京アンダーグラウンドを代表するパーティーの一つ、"DANCHAOLIC"@青山LOOPのラストパーティー用に製作されたアニヴァーサリーMIX CD!!! フロアを揺らす低音とDISXO GROOVEが場所を選ばず踊れるDISC 1。朝方、アフターアワーズの時間帯に向けたチルアウトかつ、メランコリックなMIXを聴かせるDISC 2。厚い歴史を誇る東京のハウスシーンに残る、しっかりした内容です。(I)

6

JENS ZIMMERMANN

JENS ZIMMERMANN C30 INTERNATIONAL FREAKSHOW / JPN »COMMENT GET MUSIC
現在のミニマル・テクノシーンの中で、面白いことをやっていて、かつ踊れるトラック・メイカーと言えば、ツィマーマン。このC30はアナログ・オンリーでリリースされていたものを元に、17分の未発表VERSIONを加えた5曲収録の1STアルバム。ほぼリズムとベースで構成されたミニマルな展開のなかで、じっくりと捻れていき、本当の深みに到達する、エキスペリメンタル・テクノ。(I)

7

DJ FUNNEL

DJ FUNNEL Wind Flow VIBRANT RECORDINGS / JPN »COMMENT GET MUSIC
07年に発表された「MOMENTS OF」以降リリースを重ねるごとに熱心なファンを増やしてきたDJ FUNNELが、待望のNEW MIX CDをドロップ! FUNNELにしか描き得ない、クラブ・ミュージック的ビート感覚とリスニング・ミュージックとしての叙情性が破綻せず同居した唯一無二のMIXが堪能できます! これぞミュージカル・ジャーニー!(S)

8

DEER

DEER Projectionist's Nightmare GIEGLING / GER »COMMENT GET MUSIC
ドイツはワイマールのマイナー・レーベル・GIEGLINGの5番。NEO OUIJAのオーナーであるMARTIN HIRSCHによるプロジェクト・DEERの作品で、ウッドベースや環境音をカットアップし、淡々とした生々しいビートと融合させたA-1が、ダーク・ミニマルを好む輩にはたまらない仕上がり! 小さなレーベルなので、あまり日本には入ってきてません。(S)

9

DJ JUS-ED

DJ JUS-ED Next Level UNDERGROUND QUALITY / US »COMMENT GET MUSIC
LEVON VINCENTやDJ QUと共にアンダーグラウンドハウスの中核を担いEUでも現在ブレイク中!!のDJ JUS-EDによる本人手刷りのCDRアルバムが入荷。90年代のNYアンダーグラウンドハウスの雰囲気とジャジーなコード、アンビエンスを醸し出すシンセにJUS EDらしいミニマリスティックな実験性が幅広いDJに支持されています。(Y)

10

RON HARDY

RON HARDY Best Of Ron Hardy Volume 1 STREETFIRE / US »COMMENT GET MUSIC
リビングデッド、というかリアルなキ●●イになってしまったMARCUS MIXXと今は亡きRON HARDYによる、92年リリースの激レア音源のリイシュー。ベースライン、エフェクト、リフやスポークンワード等どのパーツを拾っても歓喜と狂気、体がガチガチになるくらいのアシッドさ。孫の世代まで「これこそドープ」と語り継がれるべき1枚。(Y)

interview with Shugo Tokumaru - ele-king

 トクマルシューゴの『ポート・エントロピー』を聴いていると元気になる。決まりごとで窒息しそうなこの世界の外側へと道が開けるようだ。「......すべきだ」「......しなきゃいけない」という、社会の常識のようなものの手綱をゆるめ、「ま、いいか」と思えてくる。シュールレアリスティックなこの音楽を聴いていると、愉快な気持ちになって、気持ちも上がるのだ。森のなかのアヴァンギャルドなパーティのようなこの音楽を聴いていると、いちいち子供に「うるさい」と怒る気をなくす。


Shugo Tokumaru
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 それは想像を快楽とする者にとってはまたとないプレゼントである。『ポート・エントロピー』を聴いていると......変な言い方だが、ますます音楽を聴きたくなる。というか、音楽を好きになる。その自由な広がりにおいて。

 この音楽の背後からは膨大な量の作品が広がる――フォーク、ジャズ、エレクトロニカ、カンタベリー、あるいはスラップ・ハッピーやファウストの諧謔性。あるいはマッチング・モウルの素晴らしき"オー・キャロライン"......もし『ポート・エントロピー』にもっとも近接している作品を1枚挙げるとするなら、僕は『そっくりモグラ』(の前半)を選ぶだろう。さらにもう1枚挙げるならパスカル・コムラードの玩具と前衛とポップのカタログのなかから選ぶだろう。

 こう書いたからといってみんなに誤解して欲しくないのは、この音楽が過去の亡霊たちの再現ではないということ、これは後ろを向いている音楽ではないということ、つまりたったいまこの現在を生きている音楽だということだ。

あるはずの音楽......「ホントはあるはずなのになぁ」とずっと思っていた音楽を具現化する、だから"想像"を具現化する作業なんです。僕には伝えたい言葉は何もないんです、メッセージとかね。自分の曲のなかではそれはない。

ひとりでしか作れない音楽だと思うんですね。緻密だし、ものすごく凝っているし。その"ひとりで"っていうのは日常生活における属性でもあるんですか? ひとりでいるほうが好きとか?

トクマル:基本的にはひとりでいるほうが好きですね。5人以上いるときつい。

5人という制限は経験上?

トクマル:そうですね。食卓を囲めるくらいの人数でないと気持ち悪くなってきますね(笑)。

バンド(GELLERS)なら大丈夫?

トクマル:いまやっているバンドは幼なじみなんで。

気を遣わない?

トクマル:そうですね。居心地がいいですよね。

ひとりで作っている音楽のほうが好き?

トクマル:そういう感じではないです。むしろあまり聴かないかもしれない。

ひとりで作っていて辛いこともあるでしょう?

トクマル:イメージ通りいかないときはつらいですね。でも、基本的にはひとりで作っているのはそうとう面白いですけどね。自分が面白がれるものしか作らないようにしているというか、人に聴いてもらうわけだから、自分がやってて面白くないと、あとになってからきついですよね。作る前にイメージしていて、その段階から面白いっていうのでなければ、CDには入れたくないですよね。

じゃあ、作る前はゴールというものが見えているんですね。

トクマル:そうですね。ゴールは見えています。

じゃあ、自分の頭のなかには音楽が鳴っていて、それに近づけるために作っていくという。

トクマル:そうですね。

さすがですね(笑)。

トクマル:そのやり方しかできないんです。でないと不安でしょうがないというか、作りながら曲をどんどん育てていくやり方っていうのはアリだと思うんですけど、僕は子供の頃から違うんですよ。物事を順序立ててやっていくというやり方で......。

じゃあ、フリー・ジャズみたいなインプロヴィゼーションの美学よりも『サージェント・ペパーズ~』みたいにあらかじめ設計されて作り込まれたものを好む......って、トクマルシューゴの音楽を聴けばそりゃそうですよね。

トクマル:だけど10代の頃はフリー・ジャズにハマったたんです。僕はそこに幻想を抱いていたんですね。「この音が来たら次のこの音が来て、こうなったからこうなるんだ......」って、そこを僕はすごい研究したんです。

研究熱心な......。

トクマル:そうですね。だいぶ好きですね。フリー・ジャズはよく聴いていたんです。

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トクマルシューゴの音楽を聴くと、あまりにもいろんな要素が詰め込まれていて、この人は何の影響を受けたのかというのが掴みづらいというか、とにかく多様なものを感じるんだけど、やっぱムチャクチャ聴いていたんですか?

トクマル:もう、とにかく聴いていました。CDを集めるのも好きだったし、知らないCDやアーティストがいるのがイヤだった。

「知りたい」って感じで?

トクマル:もっと良いものがあるんじゃないか、もっと自分にフィットしたものがあるんじゃないかと思っていたんです。自分の作りたい音楽も見つかるんじゃないかって、「ここにあるはずなのに、何でないんだろう?」って、そう思ってました。

へー、それは興味深い話ですね。そこまでマニアックなリスナーになったのっていつからですか?

トクマル:んー、そうですね、14とか。パンクにすごくハマってしまって。

それはすごく意外ですね(笑)。

トクマル:ハハハハ。それまではビートルズとかクイーンとか、マイケル・ジャクソンとか......を聴いていたんですけど、パンクを聴くようになると面白いエピソードがどんどん出てくるんです。

たとえば?

トクマル:実はこの人はこれこれこういう人から影響を受けていて......とか。それで、どんどん遡っていったんです。そこからいろんなアーティストを知っていったんです。

追体験ですよね。

トクマル:そうです。そこから派生した音楽をたどっていくと、プログレやサイケ、フリー・ジャズ、もっと古い音楽とか、そういう風に探していくのがすごく好きでしたね。

へー。

トクマル:それで自分にいちばんフィットする音楽を探していくんですよね。

1日のほとんどの時間は音楽に費やされていたんでしょうね。

トクマル:そうですね。学校にもライナーノーツだけを持って行ったり(笑)。

ハハハハ。

トクマル:読んでましたね。

でも高校生のときは小遣いもかなり限られているし。

トクマル:だからみんなと協力し合って、それがいま一緒にやっているバンドのメンバーだったので、ちょうど良かった(笑)。

へー。しかし、パンクがきっかけという話がホントに意外だったなぁ。いまやっている音楽はむしろその真逆とも言えるじゃないですか。

トクマル:そうですよね。

そうやって音楽を探していって、最初に自分にフィットした音楽は何だったんですか?

トクマル:んー、なんだったのかなぁー。中学の2~3年のときにキング・クリムゾンとドアーズにものすごくハマったことがあって。しかもそれをアナログで聴くというのが、もう、至高の時間帯で(笑)。

ハハハハ、キング・クリムゾンのどのアルバムなの?

トクマル:キング・クリムゾンは『レッド』までぜんぶ揃えたんです。で、聴いていると、その時期のもやもやした気持ちと重なっていくというか......。

キング・クリムゾンとドアーズって、でもまた違いますね。

トクマル:そうですか? 僕的にはすごく似ていて、どちらも聴いていてぜんぜんハッピーにならないというか(笑)。

キング・クリムゾンというのは、なんとなくわかる気がするかなー。トクマルシューゴの曲に奇数拍子があったりするし、あと、ギターもロバート・フリップみたいなところがあるし。

トクマル:好きですね。

最初からギターだったんですか?

トクマル:その前にピアノをやっていました。

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ところで、トクマルシューゴの音楽、とくに今回のアルバムを語るうえでひとつキーワードとされるのは"ファンタジー"だと思うんですね。ファンタジーとしての音楽、メルヘンとしての音楽、そういう風に言われたとき違和感はありますか?

トクマル:ファンタジーやメルヘンという言葉が好きじゃないんですけど、意味合いとしてはぜんぜんアリだと思います。ファンタジーやメルヘンというと、どこか女々しい感覚があって、それが苦手なだけです(笑)。

空想世界......というかね。

トクマル:いちおうパンクから入ったので、そういう女々しいのが苦手なだけで、意味としては当たっていると思います。実際に作っているモノはそういうモノなので、メルヘンという言葉は大嫌いですけど(笑)。

僕もパンクから入ったんですが、女々しいモノが大好きだということにあるときに気がついたことがあって(笑)。

トクマル:ハハハハ、まさにそういう感覚ですね。

リスナーとしてもそういう、ある種の別世界を構築していくような音楽を好んで聴く傾向にあるんですか?

トクマル:んー、あるかもしれないですね。ただ、ホントに無差別に聴くのが好きなんですよね。

日本の音楽からの影響はあるんですか?

トクマル:あると思いますよね。子供の頃から耳にしてきたモノだから、あると思いますね。

コーネリアスなんかもファンタジーだと思うんですけど、シンパシーはありますか? 欧米ではトクマルシューゴとよく比較されていますが。

トクマル:好きですけど、そんなに詳しくはないですが......

聴いてなかった?

トクマル:10代の頃のはホントに洋楽ばかり聴いていて、むしろ日本の音楽は避けていたようなところがあったんです。

コーネリアスがクラウトロックだとしたら、トクマルシューゴはソフト・マシーンというか、カンタベリーかなと思ったんですね。だから似ているようで違っているとも言える。

トクマル:でも、言われてみれば、すごく近い感覚があるのもわかるんです。

ファンタジー、という言葉を敢えて使わしてもらうと、自分自身ではファンタジーを作っているという意識はあるんですか?

トクマル:結果的にそういう面はあると思います。ただ、もっと単純なところで、自分が作りたい音楽を作るっていうところがありましたね。"空想"は後付のところもあるんです。あるはずの音楽......「ホントはあるはずなのになぁ」とずっと思っていた音楽を具現化する、だから"想像"を具現化する作業なんです。

ああ、なるほど。まずは音ありきなんですね。

トクマル:そうですね。

じゃあ、言葉というのは自分のなかでどういう風に考えていますか?

トクマル:僕には伝えたい言葉は何もないんです、メッセージとかね。自分の曲のなかではそれはない。

感情を伝えるというタイプでもないですよね。

トクマル:そうですね。感情を伝えるタイプでもないです。具体的なワードを述べたいというわけでもないんです。ただ、想像のきっかけになればいいかなと思っているんです。僕は夢日記から歌詞を取っているんです。夢日記をずっと付けているんです。

へー。

トクマル:そこから引用するんです。たとえば......テレビというものがあるとしたら、「テレビ」という言葉を使わずに「四角い箱」という言葉を使うとする、そうすると想像の幅が広がるんですよね。もし10年後に同じ作品を聴いたとしたら、想像の幅を広げたほうが違った聴こえ方をすると思うんです。10年後に思う「四角い箱」になるんです。

そういう、別世界を見せてくれる表現に関して、音楽以外で好きなモノはありますか? 

トクマル:映画は好きですね。いまはそんなに観ている時間がないけど、昔は1日3本みたいな感じで観ていましたね。

とくに思い入れがあった監督は誰ですか?

トクマル:映画もやはり、とくにひとりという感じじゃないんですよ。もう自分のなかで決めるんですよ。今月はヒッチコックをぜんぶ観るんだ、とか。デヴィッド・リンチをぜんぶ観るとか。リンチにハマったときもあったし、B級アクションにもハマりましたね。けっこう好きでしたね。

ホントに何かひとつって感じじゃないんだね。

トクマル:そうなんですよ。すぐに飽きてしまうんです。

文学作品は?

トクマル:芥川とか......。

ハハハハ、まったく意外だね(笑)。

トクマル:ハハハハ。ひと通り読むんですよ。でも、いつの間にか苦手になってしまった。

童話文学は?

トクマル:ないですよね。

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Shugo Tokumaru
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質問変えますけど、海外ツアーを最初にやったのはいつですか?

トクマル:2006年ですかね。

どこをまわったんですか?

トクマル:ヨーロッパでしたね。

「ラムヒー」には2008年のアメリカ・ツアーの模様を編集したDVDが付いていましたね。

トクマル:あれが初めてのアメリカ・ツアーだったんです。

海外ツアーというのはトクマルシューゴにとってどんな体験なんですか?

トクマル:初めてリリースしたのがアメリカのレーベルで、なかなかツアーに行けなくて、だから現実感がなくて、その現実感をすり合わせていく感じでしたね。行ったことがないところで出会ったことのない人の前でやるというのは、経験としてすごい良かった。

アメリカのレーベルからデビューして、ツアーしたのはヨーロッパだったんだ。

トクマル:そうですね。

ヨーロッパはどこに行きました?

トクマル:最初はひとりで行って、フランス、スペイン、それから北欧もまわりましたね。フェスにも出たし、狭いところでもやりました。

ギター一本で?

トクマル:そうですね。

日本で出すことは考えていなかったんですか?

トクマル:出せるものなら出したかったんですけど。ファーストの前に作ったアルバムがあって、それがたまたま友だちの友だちを通じてアメリカでレーベルをはじめた人に伝わって、「出したいんだけど」という話になって、ホントに偶然だったんです。びっくりしたというか、ぜんぜん現実感がなかった。

自分から海外で出したいと思ったわけじゃないんだ。

トクマル:ぜんぜん。デモテープをレーベルに送るという考えがなかったですからね。

じゃあどうしようと思ってたんですか? 自分の作品を。

トクマル:とりあえず、作りたいから作っていた。30、40ぐらいになったらCDを1枚出したいなぐらいに思っていたんです。

なるほど。育った国とは違う文化圏で演奏することが、自分の作品のなかにフィードバックされることはありますか?

トクマル:音楽的なものよりも、想像に関するフィードバックのほうが大きいですね。見たことのない風景、聞いたことのない会話とか、それを記憶しておくとあとで夢に出てくるんです。それがまた夢日記に書かれて、ひょっとしたら歌詞になったりとか(笑)。まあ、そんなイメージなんですけど。もちろんそのときの対バンの演奏を聴いて「おー!」と思うことはありますけど。

こないだはテレヴィジョン・パーソナリティーズと一緒にやったんですよね。そのときのライヴがすごかったという話を聞いて。

トクマル:あれはすごかった。昔から大好きだったし、一緒に出れて光栄でしたね。いままで好きだった人と一緒にできるというのは嬉しいですね。

トクマルシューゴの音楽は受け手によってかなり違うだろうから、テレヴィジョン・パーソナリティーズと一緒にやっても合うのかしれないけど、片方では。

担当者Y氏:フライング・ロータスともやってますしね。

ハハハハ。いいですね。

トクマル:シカゴで(笑)。『The Wire』のイヴェントでしたね。だから面白いライヴにはいっぱい出させてもらっているんです。初めてライブをやりはじめてから、たしか数回目のライヴがマジカル・パワー・マコさんと一緒だった。

濃いねー。

トクマル:すごい嬉しかったし、「なんでオレここにいるんだろう?」って思った。対バンには恵まれていましたね。あげればキリが無いほどいろんな大好きだった人たちと一緒に演奏出来たりして。

ニューヨークのライヴでは現地の人たちとバンド演奏していたじゃないですか。あれは譜面を渡して?

トクマル:そうですね。あらかじめ譜面を渡しておいて。1~2回リハーサルをやって。

そういう形式のライヴは多いんですか?

トクマル:少ないです。でも、こないだヨーロッパ行ったときはアイスランドの人たち(Amina)と一緒にやったんですが、そのときも譜面を渡してやりましたね。

なんかね、トクマルシューゴの音楽からはパスカル・コムラード的な自由な感性を感じるんですよ。

トクマル:もちろんパスカル・コムラードは大好きなんですけど、それを目指してここまで来たというよりも、すごい回り道をして結局ここまで来たという感じなんですよね。

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Shugo Tokumaru
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なるほど。『ポート・エントロピー』は、ホントに力作だと思ったんですけど、やはり『EXIT』から2年半もかかったと言うことは、本人的にもそれなりの強い気持ちがあったんじゃないかと思います。そのあたり聞かせてください。

トクマル:そうですね、かなりありましたね。自分のなかでスタンダードなものを作って、基盤を固めたかったというのがありましたね。そうしたら次、何をやってもいいかなと、どこにでも行けるというのがありました。

曲はたくさん作るほうですか?

トクマル:あまり作らないほうなんですが、今回は50~60曲ぐらい作りましたね。

そのなかから選んだ?

トクマル:多作じゃないんですけどね。

ひとりで。

トクマル:はい。

完成の瞬間は自分でわかるものなんですか?

トクマル:わかります。

いま目標にしているミュージシャンはいますか?

トクマル:いないですね。好きな人はいますけどね。

若手と言われているミュージシャンで共感がある人はいますか?

トクマル:んー......。音楽的な意味で言えばウリチパン郡。それと倉林哲也さん。

ブルックリンのアニマル・コレクティヴやグリズリー・ベアみたいな連中はどうですか?

トクマル:もちろん。僕のライヴ・バンドも手伝ってくれたベイルートやザ・ナショナルとかもですね。

世代的にも近いでしょう。

トクマル:近いです。グリズリー・ベアは僕のことを見つけてくれてレーベルに紹介してくれたりもして嬉しかったです。たぶん、あの辺の人たちと僕に共通するのが、すごくたくさんの音楽を聞いていて、いろんなところにアンテナを張ってるってことなんですよね。単純に音楽好きというところから出発している。そこにいちばん共感しますね。なんであんな音楽が生まれたのかというと、そこだと思うんですよ。「こういう音楽もあってもいいんだ」という気持ちから生まれている。グリズリー・ベアもアニマル・コレクティヴもダーティ・プロジェクターズも、ああいう人たちはそうだと思うんです。

そう思います。ちなみに『ポート・エントロピー』というタイトルは?

トクマル:とくに意味はないです(笑)。ブルース・ハーク(Bruce Haack)という音楽家がすごく好きで、彼の作品で『キャプテン・エントロピー』というのがあって、そこからの引用です。

ジャケットのアートワークは?

トクマル:幼なじみに頼んだんですよ。曲だけ聴かせて「描いて」って(笑)。何もディレクションはしていない。それで何枚も何枚も描いてくれてそのなかから選びました。

これが音楽に相応しいと。

トクマル:うん、そうですね。

CHART by STRADA RECORDS 2010.04.20 - ele-king

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1

AFRIKANZ ON MARZ

AFRIKANZ ON MARZ THE ROAD WE TRAVEL OUT HEAR AUDIO(UK) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
ご存知Ashely BeedleとUKのキーボード・プレイヤーDarren Morrisによるユニットが12インチをリリース!アフロなパーカッションに洗練されたピアノやシンセ、さらに子供によるコーラスがバッチリな極上セミ・インスト・ハウス!展開も文句なし!

2

VA

VA VINYL CUTS:2 SOUL HEAVEN (UK) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
DEFECTED系列の良質レーベルSOUL HEAVENからの3曲入りEP!中でもKing Street 等からの数々のヒット曲でお馴染みのベテラン・シンガーStephanie Cookeを起用したB1がグッド!シットリとしたアーバンなトラックに彼女の繊細な歌声がバッチリ!ピーク・タイムのチョイ前や遅い時間帯にイイ雰囲気を作れそうな上質なヴォーカル・チューンです!

3

DANNY CLARK & JAY BENHAM

DANNY CLARK & JAY BENHAM CALL IT DONE(feat.ANDREA LOVE) SOLID GROUND(UK) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
1作目、2作目共にヒットしているUKの注目株SOLID GROUNDレーベルから待望の第3弾!今作も期待を裏切らないストレートでソウルフルな女性ヴォーカル・ハウス!

4

PACIFIC HORIZONS

PACIFIC HORIZONS UNIVERSAL HORIZONS PACIFIC WIZARD FOUNDATION(US) / 2010年4月15日 »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYやTHE REVENGE、RAY MANGらがプレイしている話題盤!チープな打ち込みトラックにスパニッシュ調のアコースティック・ギターがなんとも哀愁漂うB面が最高!遅めのトラックにサイケデリックなギターソロが印象的なA面もプログレっぽい仕上がりでグッド!

5

RON TRENT

RON TRENT ALTERED STATES-2010 REMIXES PRESCRIPTION(US) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
シカゴ・ディープ・ハウスの大御所RON TRENTが90年にWAREHOUSE RECORDSからリリースした出世作「ALTERED STATES」の2010年ヴァージョンが登場!しかも同じくシカゴ・ハウス のベテランTERRY HUNTERのリミックスと現在は高額レア盤となった92年オランダのDJAX-UP-BEATS盤でのCARL CRAIGによる傑作リミックスも同時に収録!これは買うしかないでしょう!

6

BIG STRICK

BIG STRICK 100% HUSTLER(W-PACK) FXHE(US) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
Omar-Sの従兄弟Big Strickが人気の「7 Days」に続き今後は2枚組のアナログをリリース!この2枚組、1枚はBig Strickによるオリジナル曲で、もう1枚はOmar-Sによるリミックスという構成!荒削りでオールド・スクールなドープ・ハウス・サウンドが圧巻!

7

LY SANDER AND MICHAEL J COLLINS

LY SANDER AND MICHAEL J COLLINS YOU WERE THERE EP ELECTRIC MINDS(UK) / 2010年4月15日 »COMMENT GET MUSIC
Arthur Russellトリビュート作品で注目を集めるロンドンのレーベルElectric Mindsから!グルーヴィーなクラシックス調のトラックに男性のヴォイス・サンプリングやディープなシンセが乗ったB1、遅めのビートにパーカッションや神出鬼没なスイープ音で構成された個性的なB2あたりがオススメです!

8

BIG ZIS

BIG ZIS SUURE RAGE-REMIXES VOLUME 03 NATION MUSIC(GER) / 2010年4月15日 »COMMENT GET MUSIC
スイスのアーティスト奇才Franziska SchlapferのユニットBig Zisのリミックス・シングル!ResopalやSthlmaudio等からのリリースで知られるAgnesによるリミックスを収録しており、太めのトラックに浮遊感のあるシンセや男性のヴォイス・サンプリングがカッコいいインスト・ハウスに仕上がっております!

9

HENRIK SCHWARZ AND KUNIYUKI

HENRIK SCHWARZ AND KUNIYUKI ONECE AGAIN MULE MUSIQ (GER) / 2010年4月14日 »COMMENT GET MUSIC
HENRIK SCHWARZとKUNIYUKIによる強力タッグ!特にオススメなのはB面のKUNIYUKIによるヴァージョン!太めのグルーヴィーなトラックにパーカッションやピアノ、さらにHENRIK SCHWARZによる渋いヴォーカルがフィーチャーされたディープ・ジャジー・チューン!

10

PRINS THOMAS

PRINS THOMAS PRINS THOMAS(W-PACK) FULL PUPP (GER) / 2010年4月15日 »COMMENT GET MUSIC
人気のPRINS THOMASが2枚組のアルバムをリリース!なんと全て自分自身で楽器を演奏したものを多重録音した作品で、メランコリックな和める曲からプログレみたいなナンバーまで聴き応え十分の仕上がり!

CHART by JET SET 2010.04.20 - ele-king

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1

JEFF MILLS

JEFF MILLS THE OCCURRENCE (限定盤ヴァイナル・ディスク仕様) »COMMENT GET MUSIC
日本初、新たなメディア、ヴァイナル・ディスク仕様盤が登場です!!未だにDJ Mix CDの金字塔と言われる『Mix Up Vol.2』(96年)そして一挙45曲もミックスした『Exhibitionist』(04年)から6年、待望のミックスアルバムが遂に完成です!!こちらは初回限定盤、CDサイドとヴァイナル・サイド2面仕様のヴァイナル・ディスク盤です。

2

ZEN-LA-ROCK

ZEN-LA-ROCK THE NIGHT OF ART EP »COMMENT GET MUSIC
傑作2ndアルバムから遂にアナログ・シングルが登場!コレは相当コブ付いてます!『THE NIGHT OF ART』からのアナログ・シングルが登場!Dam-Funkファンも絶対注目のアーバンでメロウなエレクトロ・ファンクです!

3

FUCK BUTTONS

FUCK BUTTONS OLYMPIANS »COMMENT GET MUSIC
大傑作2nd.からビューティフル・トリッピン・キラーがカット。なんとJ. Spaceman Remixです!!MGMT がSonic Boomなら、こちらはJason Pierce from Spiritualized★Andrew Weatherall Prod.のオリジナルも強力ですが、さらにAlan Vega Remixまで入ってる廃人寸前グリーン・ヴァイナル盤!!

4

MAVIS FT. CANDI STATON

MAVIS FT. CANDI STATON REVOLUTION - DARKSTARR REMIXES »COMMENT GET MUSIC
DJ Cosmo主宰Bitches Brewから話題のMavisがライセンス・リリース!!昨年のHorace Andy & Ashley Beedle"When The Rain Falls"も素晴らしかったですが、これも最高です!!

5

PSYCHOBUILDINGS

PSYCHOBUILDINGS BIRDS OF PREY »COMMENT GET MUSIC
激烈オススメ★Nite Jewel meets Washed Outなロウファイ・ブリージン・シンセ爆裂キラー!!話題沸騰のブルックリン・トリオ、Psychobuildingsのデビュー・7インチ!!KIndess"Swinging Party"にも匹敵のArthur Russell直系浮遊シンセ・ポップ。メチャ最高です!!

6

AHMED JANKA NABAY

AHMED JANKA NABAY BUBU KING »COMMENT GET MUSIC
Very BestもEl Guinchoも吹き飛ぶモダン・トロピカル・アフロ・グルーヴ!!メチャおすすめ★LemonadeにTanlinesをリリースするTrue Pantherから。西アフリカのブブ・ミュージックをモダンに展開するJanka Nabayの超強力12インチ!!

7

SHORTSTUFF / TAYLOR

SHORTSTUFF / TAYLOR REGRESSION / SQUEEGE »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆泣けるほどに甘酸っぱいです。卓上チャーミング美麗ガラージュ・ポップ大傑作!!レジェンドGeiomも参加のコンピ12"で幕開けた要注目ガラージュ・ポップ新興レーベルWigflexより、Four Tetファンにも大推薦のキューテスト美麗スプリットが登場!!

8

MITTEKILL

MITTEKILL ZUM SPIELPLATZ »COMMENT GET MUSIC
ダブステップ以降のレフトフィールド・ポップ・リミックスも搭載の美麗鍵盤音響ハウス傑作!!☆大推薦☆ドイツの老舗Kitty Yo周辺から登場した当店激注目のベルリンの新鋭デュオMittekill。鬼才デュオGoldwillによるリミックスx2も素晴らしいです!!

9

SCOTT FERGUSON

SCOTT FERGUSON MIDWEST BORN & BRED EP »COMMENT GET MUSIC
マイナーリーグの底力を見せ付ける燻し銀のベテランScott Ferguson、快調です!!活動再開の主宰レーベルFerrispark発'10年二発目。ザックリとした質感のバウンシーなキックとロウなベースが大変にカッコイイ、これぞUSミッドウェスト・グルーヴ。

10

LAYO & BUSHWACKA!

LAYO & BUSHWACKA! FEMMER FATALE »COMMENT GET MUSIC
う~ん、これはハマリます!!秒殺だったブート"Daa Daa Din"も話題なLayo & Bushwackaによるニュー・シングルはコズミック・ディスコ・ミーツ・ミニマルなドープなハマリ系ディープ・チューン!!

相対性理論 - ele-king

 先日、Spangle Call Lili Lineの藤枝憲と、そのシングルのプロデュースを手掛けた相対性理論の永井聖一の対談をする機会があったのだが、そこで藤枝は相対性理論のことを「はっぴいえんど、YMO、フリッパーズ・ギターに続く存在がようやく現れた」と語っていた。自分も基本的にその意見に強く頷く立場である。これまでの日本の音楽業界のしきたりをすべて無効にしてしまうような存在、周りのものを全部古くさく見せてしまうような毒っ気、自分たちのルールでしか動かない不遜さ。それに加えて、数々の共演歴や共作歴からわかるように、彼らは日本のアンダーグラウンド・ロック史や同時代のアート・ロックに愉快犯的に介入し、歴史を書き換えようとさえしている。そんな企みに鈍感なリスナーの一部には、その歌声やナンセンスな歌詞のイメージから、安易にオタク・カルチャーと結びつけてその存在を軽んじる向きもあるが、彼らはそんな誤解をも巧みに利用して、「相対性理論を否定するのはカッコ悪い」という現在の状況を作り上げてきた。このレヴューを書いてる時点で、日本で彼らよりたくさんのCDを売っているのがAKB48だけというのは、そんな彼らの目論見がここまで見事に成功している何よりの証拠だろう。

 相対性理論を音楽的に特徴づけるもの、それはその計算され尽くされた中毒性にある。彼らは、「ポップとは物語ではなく、まるでゲームや麻薬のように何度も何度も繰り返したくなるようなもの」であることに、日本のどんなミュージシャンよりも自覚的だ。だから、今作にようやく収められた彼らの代表曲のひとつ"ミス・パラレルワールド"の「東京都心はパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルワールド」というまるで呪文のようなやくしまるの歌に、もし気味の悪さのようなものを感じるとしたら、それはアディクトを怖れる人間の本能として正しいリアクションなのだ。

 そして今作には、もうひとつの明確な目的がある。それは、彼らの存在が広く知られるようになった前作「ハイファイ新書」リリース以来、いろんなところで語られるようになった「キーマン=真部脩一」説を払拭するということだ。結果として今作は、反復するコンセプチュアルアートとしての相対性理論をより進化させたものではなく、メンバー全員がコンポーズ及び詞作に関わった、相対性理論の拡大再生産的楽曲集となっている。これまでライヴで演奏してきた未発表曲がほとんど収録されていることからも、これがタネもシカケもない相対性理論の現在すべてだと言うことができるだろう。

 もっとも、これまでライヴで聴いたときの印象と、今作で聴くことのできる楽曲群の印象は微妙に異なる。今作では、精密に空間設計されたギターの配置やフレージングから、16ビート、変拍子を巧みに操るドラム、そして曲によって実はかなりファンキーなベースまで、徹底的にメンバー全員が演奏者として「相対性理論の中毒性」をブラッシュアップした上で、意図的にヴォーカルの録音レヴェルを上げている。そして、そこでやくしまるえつこは楽曲ごとに声を使い分け、「私は操り人形じゃない!」とばかりに初めて感情を入れて歌っている。

 そこからうかがえるのは、このバンドが各音楽メディアとの慎重な距離の取り方とは裏腹に、自分たちの音楽そのものへの批評に対しては意外にナイーヴだということだ。おそらく今作における作詞作曲、および演奏と歌唱法における、「4人で相対性理論」という強固なスタンスは、この先も継続されていくはずだ。そして、そこからハミ出していく各メンバーのエゴは、今後さらに盛んになっていくに違いない課外活動のほうに吸収されていくのだろう。

 先日の渋谷AXでの渋谷慶一郎とのライヴではその片鱗を聴かせてくれたが、音響面を強化、整備するだけでも、このバンドの「聴かせ方」や「見せ方」にはまだまだ大いに伸びしろがある。ただ、そんなふうな生け花や盆栽的な観賞物としての完成度を高めていくだけではない、『シフォン主義』や『ハイファイ新書』をさらに刷新していくような思いもよらない斬新なアイデアとその実践を、自分はどうしても彼らに求めてしまうのだ。フリッパーズ・ギターは3枚で終わったが、きっと相対性理論にはまだまだ続きがある。今作はそのための、これまでの状況整理を兼ねた集大成的なアルバムだと思っている。

#4:I hate Pink Floyd - ele-king

 1975年、マルコム・マクラレンがニューヨークに滞在していたとき、キングスロードの〈SEX〉で店番をしていたバーナード・ローズ(後のザ・クラッシュのマネージャー)は店に出入りするひとりの19歳の若者のTシャツに注目した。彼はピンク・フロイドのTシャツを着ていたが、そのバンドのロゴの上には「I hate......」という言葉が殴り書きされていた。若き日のジョン・ライドンに関する有名な話である。そしてこれはパンク・ロックがその出自においてヒッピー(プログレッシヴ・ロック)と対立構造にあったことを物語る逸話として、のちに何度も繰り返し語られてきたおかげで、「マルコムが初めてジョンと会ったときに」されたり、「TシャツにはI hate Pink Floyd」と書かれていたりとか、話が真実とは多少違ってしまったほどだ。

 今年の2月18日付の『ガーディアン』に「I don't hate Pink Floyd」という興味深い記事があった。54歳のジョン・ライドンが「実はオレはピンク・フロイドが嫌いではなかった」とカミングアウトしたのだ。「彼らは偉大な作品を残している」とあらためてピンク・フロイドを評価するばかりか、『ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』は好きな作品だったことさえ明かしている。「ただ、彼らの思い上がった態度が気にくわなかったんだ」

 しかしライドンは、その後の彼の人生で何度かデイヴ・ギルモア(ピンク・フロイドのギタリスト)と話す機会を得て、その偏見はなくなったという。元パンク・ロックのアイコンはこう回想している。「まったく問題がなかった」と。

 「なんだよ~、いまになってそりゃないぜ」、この記事を読んで正直がっかりした。そしてしばらく考えた。何故なら、どんな理由があったにせよ、結果的に「I hate......」という言葉がパンク・ロックにおいて強力なモチベーションだったことは間違いないからだ。大人への憎しみ、政治家への憎しみ、社会への憎しみ、金持ちへの憎しみ、ポップ・スターへの憎しみ......で、まあ、思えば、「I hate......」という感情ほど現代において自主規制されているものもない......んじゃないだろうか。

 音楽シーンをたとえに話すとしよう。日本のシーンを支配しているのは、おおよそ多元主義と迎合主義だ。迎合主義というのは大衆に媚びることで、人気者を集めて商売にする。自分には用がない世界だし、どうでもいいと言えばどうでもいい。1977年、チャートを支配していたのはディスコ・ポップとユーロ・ポップで、パンク・ロックは大衆性という観点で言えば、明らかに"どん引き"されていたのが事実であり、しかしその後の文化的影響力という観点で言えば"どん引き"されたマイナーなそれは革命的だったのだから。"売れている"という観点で音楽を評価するときの落とし穴はパンクからもよく見える。ややこしいのは多元主義のほうだ。

 多元主義という思想は、簡単にいえば、「どんなにものに良いところはあるのだから多様性を認めよう」という口当たりの良い考えである。その象徴的なメディアをひとつ挙げるなら『Bounce』というフリーマガジンだ。90年代に生まれたこのメディアは、まさに多元主義的に誌面を展開している。J-POPもドマイナーなインディー盤も並列する。それはリスナーの"選択の自由"を広げるものである。悪いことではない。多くの人がそう思った。ちなみに僕はこの雑誌から、10年ほど前、いち度だけわりと長目の原稿の執筆依頼を受けたことがあったが、そのときに「批判だけは書かないで欲しい、それはうちの方針ではないので」と言われたことを覚えている。まあ、メディアのコンセプトを思えば理解できる話だし、"紹介"だけでも価値のあることはたくさんあるので、僕はその言葉に従った。

 そう、従った。が、しかし、多元主義にとって予想外だった......のかどうかは知らないが、結局のところそれが市場原理にとって都合がよいものだったということだ。そりゃーたしかに、資本主義にも、いや、小泉純一郎にだって良いところはあるかもしれない。そう思った途端に、世界は恐ろしく窮屈に感じる。なにせそれは、働いて、買うだけの生活に閉じこめられることで、それがいったい何を意味するのか考えて欲しい。このあたりの理論は専門家に委ねるが、まあかいつまんで言えば、シーンが「I hate......」という言葉を失ったときに得をするのはメジャーのほうなのだ。いっぽう、多元主義の誘惑に負けたマイナーほど惨めなモノはない......"自由"こそが最大の強みであったはずの彼らも所詮はかませ犬、メジャーの引き立て役であり、マイナーはメジャーの骨をしゃぶるだけである。これを音楽界における新自由主義と言わずして何と言おうか!

 いや、あるいは......それは単純な話、シーンは「I hate......」という情熱を失っただけの話かもしれない。"嫌悪感"を表明するのはエネルギーがいる。疲れるし、面倒だし、もうどうもでも良くなっているということなのかもしれない。われわれは骨抜きにされ、狭いカゴのなかで飼い慣らされてしまったのだろうか。「I hate......」というのは、善悪の議論ではなく、この窮屈な日常の向こう側に突き抜けたいという欲望の表れだというのに(レイヴァーたちはその感覚を知っている、たぶん......)。

 

 ザ・フォールの新作――通算27作目らしい――『ユア・フューチャー・アワー・クラッター』を聴いた。アルベール・カミュの小説『転落』から名前を頂戴したザ・フォールといえばポスト・パンクの代表格のひとつで、オルタナティヴTVらと並んであの世代におけるキャプテン・ビーフハート(そしてカン)からの影響だが、言うまでもなくバンドの最大の魅力はマーク・E・スミスにある。唸るような、ぼやくようなヴォーカリゼーションで知られるこの男は、中原昌也と三田格とジョン・ラインドンを足してさらに濃縮したようなキャラを持つ。躊躇することなく「I hate......」、いや、「死ねばいい」ぐらいのことを言い続けているひとりだ。


イギリスの音楽界でもっとも気難しい男、
マーク・E・スミス。

 マーク・E・スミスが大衆に媚びることは絶対にあり得ない。彼がいかに本気で学生を憎んでいるのかを喋っているのを読んだことがある。彼は、ハゲ頭を帽子で隠すオヤジを容赦なく憎んでいる。僕は女子高生を憎み、飲み屋で人生論をかますオヤジを憎んでいる。10代の頃から。実家が居酒屋なので、子供の頃から酔っぱらった人間を見てきているのだ。

 なぜ女子高生かって? 最近ある青年から女子高生との音楽をめぐる対話を読まされたからだよ。彼は女子高生に『ロッキングオン』や『ムジカ』、『スヌーザー』や『エレキング』、あるいはテレフォンズなどについて話を聞いているのだけれど(この企画の意図自体、僕にはようわからなかった)、それを読みながら「あー、若い頃はホントに女子高生が嫌いだったよな~」と思い出したのである。本当に憎んでいた。ユーミンを好むような、女子高生であることに満足しているような女にいち度たりとも好意を抱いたことがない。

 いまでも女子高生嫌いは変わらない。よく下北沢の駅を利用するのだが、小田急線から井の頭線に乗り換える階段で、短いスカートのケツの部分を押さえながら上っている女子高生を見ると腹が立つ。いったい誰がお前の臭いあそこを覗くというのか......あの手の女がどんな音楽を聴いているか調査してみるがいい。それは酒の席で自分の人生自慢を展開して、説教をたれるオヤジの聴く音楽と同じようなものだろう。しかし、多元主義的に言えば、そんな女子高生にもオヤジにも良いところもあるのだ。そして、こうした無意味な議論から素早く離れ、走れるだけ走り、やれるだけやって、飛ばせるだけ飛ばす、それがロックンロールに象徴される欲望ってヤツである。

 ザ・フォールの新しいアルバムはマーク・E・スミスのこんな言葉で終わる。「おまえにロックンロールは向いていない」

 人はいかにしてタフであると同時に負け犬になることができるのだろうか? (略)このムーヴメントは失敗をあがめていた。月並みな言葉で成功することはその人自身の言葉で失敗したことを意味し、失敗することは成功を意味していた。――ジョン・サヴェージ

 

追記:この原稿は3月に執筆されている。マルコム・マクラレン――R.I.P.

interview with Gold Panda - ele-king

 「知恵のない4歳半のマイク・スキナーのようだ」――ある人はゴールド・パンダの音楽をこんな風に評している。本国イギリスでは期待の新人として評価され、リトル・ブーツ、ブロック・パーティ、シミアン・モバイル・ディスコ等々、人気アーティストのリミックスを手掛ける彼は、自分の最初のアルバムのリリース先を日本のレコード会社に決めた。


Gold Panda
Companion

エイベックス・トラックス

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エセックスのBボーイだった彼だが、日本語を学ぶために自分のレコード・コレクションを売るほどの日本文化好きでもある――『ガーディアン』にはそう記されている。「そしてエイフェックス・ツインのように、彼は100トラックも作り貯めている。際だったトラックのひとつである"マユリ"にひび割れた音とやたら低いベース、それからビットとバイトが一緒になったエイフェックス・ツインのグルーヴがあるのも偶然の一致ではないだろう」
 "マユリ"? なんていう曲名だ。彼のオモチャ箱をひっくり返したようなエレクトロニック・ミュージックを聴きながら、その曲名が気になって、質問のひとつにメモった。資料を読むとアニメが好きで、日本語も少しなら話せるとある。テクノ好きな日本オタクなのだろう。それにしても何故"マユリ"? 
 もうひとつ、テクノ好きな日本オタクにしてはいくつかの曲はエモーショナルだし、"ロンリー・オウル"はフォー・テットのような哀愁を帯びている。それにオタクが"ポリス"なんて曲名のハード・テクノを作ったりはしないだろう。いずれにせよ、パンダの音楽には訴えるモノがある。お世辞抜きにして僕は彼の音楽を好んで聴いていたのである......。

どうせ普通の仕事をやってもクビになったりうまくいかないんだから、音楽をちゃんとやってみようと思い直した。そしてロンドンに引っ越して、また音楽に取り組んだんだよ。

iPodのなかにあなたの音楽を入れてよく聴いているんですよ。

パンダ:ホント?

好きなタイプの音楽なんです。IDMスタイル、グリッジ・ホップ、ブレイクコア、クラウトロック......エレクトロニック・ミュージックのいろんなスタイルが詰まっている。あなたの音楽リスナーとしての履歴書を見ているようですよ(笑)。

パンダ:今回いろいろ取材されたけど、僕の音楽性をちゃんと指摘したのは君が初めてだよ。いま君が言ったスタイルが僕は本当に好きなんだけど、何故かダブステップと言われてしまう。とくにIDMスタイルとグリッジは大好きだ。スクエアプッシャーが大好きなんだ。

ちょうどあなたの音楽と同じ部類に入るアーティスト名をメモってきたんだけど、えー、読み上げますね。ビビオ、スクエアプッシャー、ミュージック、エイフェックス・ツイン、クリス・クラーク、フライング・ロータス、フォー・テット......。

パンダ:イエイエ、そうだね、そして僕は彼らのチープ・ヴァージョンだ。彼らと同じ質のものを作りたいんだけど、僕がやると安っぽくなってしまう。僕はスクエプッシャーの弟を知っているよ。シーファックス(Ceephax)、知ってるよね? アンディ・ジェンキンソン、彼はとても良いヤツだよ。

ホント?

パンダ:彼がエセックスに住んでいたことがあって、それで知り合ったんだ。音楽っていうよりも、彼女とか友だちとか、そういうので共通点があってそれで近くなって。

なるほどね。ちょっと話が前後するけど、あなたの資料に、大きく「イースト・ロンドンのダブステップ・プロデューサー」と書いてあるんですけど。

パンダ:えー!

だからダブステップと言われるんだよ。まあ、音を聴けばこれがダブステップではないってことはわかるんだけど、日本の音楽メディアは怠惰だから、ベンガもスクリームもブリアルだってちゃんと聴いていないんですよ。資料にそう書いてあると、「これがダブステップか」と鵜呑みにしちゃうんです。君の責任じゃないけど(笑)。

パンダ:そうだったのかー! 知らなかった。僕はダブステップは好きだよ。ダブが好きだから。でもそれは僕のスタイルではない。君の前の取材でもダブステップだと言われたばかりだよ(笑)。

ハハハハ。新種のダブステップでいいじゃないですか。

パンダ:(日本語で)ムカツクー。

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ハハハハ。じゃ、あなたと日本との結びつきについて話してもらえますか?

パンダ:最初はアニメだった。15歳のとき、『アキラ』が大好きだったんだ。ストリート・ファイターも好きだったし、どんどん日本の文化にのめり込んでいった。日本のヴィデオ・ゲームも集めはじめたんだけど、イギリスではホントに高くて、ひとつ100ポンドもする。それでも僕は日本の文化にハマっていったんだ。で、19歳のときに、僕は思いきって東京に行った。ちょうどフィルという友だちが東京に住んでいて......サブヘッドという名前で活動していたんだけど。

フィル? えー!!! マジですか!!! びっくり。そうかー、それでわかった。アルバムのなかに何で"マユリ"って曲があるのか。質問するつもりだったんだけど。(注:フィルはマユリちゃんの元彼氏で、フィルは彼女の家に住んでいた)

パンダ:そうだよ。まさにそのとき川崎のマユリの家に泊まったんだ。観光客みたいにお金があるわけじゃないから、観光地には行かなかったけど、居酒屋行ったり、カラオケ行ったり、すごく刺激的だった。川崎、渋谷、新宿、目黒......すべてが面白かった。

それ何年?

パンダ:1999年。

はぁー。僕もマユリちゃんの家に何度か遊びに行ったことがあったよ。

パンダ:15歳で、僕が音楽を作りはじめた頃、フィルはいつも僕を励ましてくれた。「お前なら音楽で食っていける」って言うんだ。自分はダメなんじゃないかって思っていると、「You can do it, you can do it, you can do it」って言うんだ。そんなのジョークだと思ってたし、友だちだから言ってくれるんだと思っていたよ。だけど、彼が死んだとき、どうせ普通の仕事をやってもクビになったりうまくいかないんだから、音楽をちゃんとやってみようと思い直した。そしてロンドンに引っ越して、また音楽に取り組んだんだよ。ロンドンではセックス・ショップで働いてたりしたんだけど、友だちと通じてブロック・パーティのリミックスをやることになったり......。

ホントびっくりだね。フィルとは何回か飲みに行ったなぁ。下北で彼が酔っぱらってしまって、店内でスティーヴィー・ワンダーを歌ったこともあったよ。

パンダ:モータウンが大好きだったよね。僕は彼が亡くなるときに看取ったんだ。

そうなんだ。

パンダ:彼は年を取りたくないって言っていた。だからああやってパーティという人生を終えて、星になって飛んでいったんだと思っている。

彼は本当に自由に生きていたからね。僕より年上で、ターザンみたいな体格の人だったけど......ボクサーだったんだよね?

パンダ:そうだよ。とても強かった。そういえば、1970年代に彼がやっていたロック・バンドの写真を持っているよ。僕の叔父さんと一緒にバンドをやっていたんだ。

へー、そんなに近い関係だったんだね。幼なじみ?

パンダ:ていうか、僕が生まれたときから知ってるよ。

デヴィッド・ボウイみたいなことをやっていたのかな?

パンダ:聴いたことがないからわからないけど、写真を見るとパンク・ロックみたいだったね。うん、たしかにフィルは、デヴィッド・ボウイが大好きだったよね。

好きだった。

パンダ:だから彼が危篤状態になったときに、僕は"スターマン"を再生してそのイヤホンを彼の耳に突っ込んだんだよ。

それは良かった。ところでフィルのサブヘッドはハードな音楽だったけど。

パンダ:そうだね。

あなたの音楽はまた違っているよね。

パンダ:フィルはハッピーな人間だっただろ? でも僕は悲しくて孤独な人間なんだ。僕は自分のエモーションを音楽に反映させているから、それで彼とは違ったものになるんだろうね。

いやー、僕はあなたのことを日本のアニメが大好きで、〈リフレックス〉のカタログを揃えているようなオタクかと思っていましたよ(笑)。

パンダ:ハハハハ。

本当ですよ(笑)。

パンダ:わかるよ。ある部分は本当だからね。マニアとまではいかないけど、アンダーグラウンドなマンガが好きなんだ。丸尾末広とか。ちょっと危ないヤツ。

丸尾末広は僕らの世代では人気があったんだよ。日本語で読んでいるの?

パンダ:そう。でもアメリカでも出ているんだよ。絵が変えられているんだけどね。ただ、日本では2千円で買えるけど、イギリスではその倍以上するんだ。

古本屋さんを探せばいいですよ。

パンダ:他にオススメは?

花輪和一とか......あとでメールするよ。ところで日本の文化でアニマやマンガ、ゲーム以外には惹かれなかった? 音楽とか?

パンダ:そうだね。「これだ!」っていうモノじゃなくて、もっと日常的なモノというか、街の雰囲気とか好きだね。

へー、日本人からすると「なんだこのクソつまらない街は」って感じなのに。

パンダ:なんでだろうね。僕のなかではすごく興味深いんだ。なんてことはない風景が好きなんだよ。たとえばこの窓の向こうのマンション、あのミニマルな感じとか。イギリスにもマンションはあるけど、日本の建物はもっと規則正しくきっちりしているように見える。何故かわからないけど、それが気持ちいいんだ。僕は金がないから、新幹線に乗って名所を見て回っているわけじゃないんだけど、日本人の普通の生活のなかで「それがいいな」と思えるところがたくさんあるんだ。

へー。

パンダ:先日も友だちと山形に行ったんだけど、そこで見た日常の風景がとても良かった。ぶらっと行ったときに偶然目に入る景色が好きなんだ。目的地を決めて苦労して観光するのは性に合わないんだろうね。それは音楽でも同じなんだ。自分で、フィニッシュを決めて作ると、うまくいかないときにイライラしてしまう。だけど、もっとリラックスしてやっていけばうまくいく。だから曲作りも、てきぱきと済ませるんだ。素早くできた曲のほうが出来がいいんだよ。逆に、時間がかかってしまった曲は収録しなかった。

今回はどこに泊まっているの?

パンダ:市川の友だちのところ。まだ日本で行ったことのないところばかりだし、また日本に住みたいよ。

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アルバムも日本先行発売なんだよね。

パンダ:日本のために何かしたいと思っていて、〈エイベックス〉が出してくれるというので、やっと夢が叶った。

日本のためを思うなら、サッカーの日本代表に対する意見を聞かせて欲しいですね。

パンダ:ハハハハ。ワールドカップは好きだけど、フットボールはそんなに好きじゃないんだ。

イギリス人と言えば、パブとフットボールとオアシスだと思っているんで(笑)。

パンダ:ハハハハ。おかしいね、昨日パブに行ったら、たしかにフットボールの映像が流れていて、オアシスがかかっていたよ(笑)。

でしょ。でも、僕がゴールド・パンダのことを知ったのは、『ガーディアン』のサイトの音楽欄の新人紹介の記事でだったんです。読んだ?

パンダ:読んだ。

「彼は捨てられた音の破片から美しい音楽を作る」とか、「ちょっとグライミーな天才だ」って書かれていたんです。すごく評価されていた。すでに人気アーティストのリミキサーでもあるわけだし、イギリスのレーベルから出したほうが売れるんじゃないかと思うんだけど。

パンダ:たしかにそうかもね......いや、でもそんなにオファーが来てないよ(笑)。それに、一箇所に留まっているのは好きじゃないんだ。それぞれの場所で違うものを出すのも面白いんじゃないかな。

コネクションもあるじゃない。

パンダ:コネクションはあるけど、彼らが僕の音楽を好きだとは思わないでしょ(笑)。シーファックスともただの飲み友だちだしさ、音楽の話をしたことがないからね。次はまた別のレーベルから出すかもよ。何で〈エイベックス〉と契約したかと言えば、「J-POPワイフが見つかるかも」って(笑)。

J-POPワイフ?

パンダ:J-POPのスターと知り合って(笑)。

ハハハハ。好きなJ-POPのスターは?

パンダ:ホントに好きなのは椎名林檎。

彼女はイギリスで受けていたよね。

パンダ:木村カエラも可愛い。

えー?

パンダ:音楽はどうでも良いけど。

音楽は酷いからね。

パンダ:椎名林檎はそこは違うよね。ポップだけど良い音楽をやっていると思う。日本での評価は知らないけど、ポップでリスペクトされるってすごいことだから。

でもJ-POPの80%がゴミだと思っているでしょ。

パンダ:そこはイギリスも同じ(笑)。でも、ほとんどの日本人はそれが良いと思っているんだから、君が間違っているかもよ(笑)。

だね(笑)。

パンダ:ハハハハ。

ところ音楽作りは最初はどこから入ったの?

パンダ:サンプリングから入った。最初はヒップホップを作っていたからね。フィルの親友だった僕の叔父さんからサンプラーをもらって、父親のロックのレコード・コレクションからサンプリングしていた。パフ・ダディみたいなタイプのヒップホップだったよ。だけど、スクエアプッシャーの『ビッグ・ローダ』を聴いてびっくりしてしまって、それからブレイクコアやドリルンベース、ドリルンベースというのはドラムンベースのクレイジー・ヴァージョンなんだけど、まあ、そっちの方向に進むんだ。

デデマウスも『ビッグ・ローダ』に衝撃を受けたと言っていたな。

パンダ:あのアルバムはショックだった。オウテカはダメだったけど。オウテカはずっと好きになれなかったんだ......でも、最近になってようやく彼らの良さがわかったよ。音楽のプロセスというものが伝わってくる。セックスと同じでやっているときが興奮するんだ。終わったらもうどうもいい、そんな感じだよ。僕もそこは共感できる。ブリアルにもそういうところがあるよね。彼はツアーをやらない。家で音楽を作っているときが彼にとっての幸福な時間なんだ。僕もこうして取材を受けていると"自分"という気がしない。音楽を作っているときが"自分"だと思う。

ちなみにゴールド・パンダという名前はどっから来たんですか?

パンダ:最初は下らない、バカみたいな名前ばかりにしていたんだ。彼女から「あなたの好きなものをふたつ付けたものにしたらどう?」と言われて、で、色と動物にしてみようと思って、最初に思いついたのがピンク・ワーム。

ハハハハ。ピンク・ワームいいね。

パンダ:なんだかインダストリアル・バンドみたいでしょ。それがイヤだったので、第二候補だったゴールド・パンダにしたんだ。

最近、動物の名前を付ける人が多いでしょ。パンダ・ベア、グリズリー・ベア、フリート・フォクシーズとか。

パンダ:そうなんだよ。あと"ゴールド"も多いよね。ゴールデン・シルヴァース、ゴールデン・フィルターズ......「クソ、なってこったい、"ゴールド"も多いし、動物の名前も多いじゃないか!」って(笑)。「どうしよう?」と思ったんだけど、音楽がぜんぜん違うからいいかと。

なるほど。

パンダ:うん、似た音楽がなくてラッキーだった。

しかし、今日はびっくりしたな。こんなところでフィルの親友と会うとはね......、アルバムの最後の曲名がなぜ"ポリス"なのかも訊かなくてもわかちゃっいました(笑)。

パンダ:フィルも僕もポリスが嫌いだからね。まったく良い思い出がない。昔新聞配達をやっていたときもライトが点いてないって止められたり、ホントに良い思い出がない。悪いことしてないのに、イヤな思いをするんだ。女友だちのひとりが警察になって、しかも警察と結婚したんだ。もう彼女とは会わないだろうね(笑)。いい人もいるんだろうけど、会ったことがないんだ。

ミー・トゥー!

 かつてのエイフェックス・ツインのように、本当に彼にはアルバム3枚分ぐらいの曲のストックがあるらしい。テクノ好き――とくにIDMスタイルが好きなリスナーはしばらく聴きたい音楽に困らないだろう。ちなみに彼は"BBCの世論調査における2010年のサウンド"のひとつにリストアップされている。

 

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