「P」と一致するもの

Mocky - ele-king

 ジャンルにとらわれず多方面に活躍している音楽家、モッキーが6年半ぶりに来日する。2か月ほど前に最新作『Music Will Explain』を〈Stones Throw〉からリリースしたばかりの彼だけど、こたびのツアーでは9/22(月)@東京WWW X、9/24(水)@大阪CONPASS、9/25(木)@京都CLUB METROの3都市を巡回。東京公演にはいま注目のエクスペリメンタル・ポップ・バンド、んoonが出演することも決まっている。
 今回のツアーは6人編成のバンド・セットで臨む予定で、モッキー本人はドラム、キーボード、ヴォーカルを担当、ステージには国内外の実力派ミュージシャンが集結するという。見逃せない一夜になりそうだ。

Mocky Japan Tour 2025 - “Music Will Explain” Album Release Tour
9/22(月・祝前) 東京公演 @WWW X(オープニングゲスト:んoon)
https://www-shibuya.jp/schedule/019084.php
9/24(水) 大阪公演 @CONPASS INFO公演情報
https://www.conpass.jp/7687.html
9/25(木) 京都公演 @ CLUB METRO INFO公演情報
https://www.metro.ne.jp/schedule/250925/

Mocky(モッキー)、6年半ぶりの東京公演のゲストアクトに「んoon」の出演が決定!

これまでFeist、Kelela、Moses Sumney、Vulfpeckなどのプロデュースを手がけ、GZA、Kanye West、Cordae、G-Dragonにサンプリングされるなど、幅広いアーティストの音楽にその痕跡を残してきた変幻自在のアーティスト、Mocky(モッキー)。

日本でも根強い人気を持ち、数多の来日公演、坂本慎太郎やcero、中村佳穂BANDとの共演、ラッパーKID FRESINOやCampanellaの楽曲プロデュースなども行ってきた彼の最新アルバム『Music Will Explain』がStones Throwより6月27日(金)にリリース。その新作を携え、2019年以来約6年半ぶりの来日公演が決定した。

「なぜ私たちは創造するのか?」「なぜ音楽を作るのか?」

『Music Will Explain』は、「人間の声が響く場所」「愛や悲しみ、つながりを受け止める心のスペース」、そして「言葉では説明できないことを伝える音楽だけの領域」——それらすべてをめぐる、Mockyなりの“音楽による証明”。

東京公演のゲストアクトに「んoon」の出演が決定!
ボーカル、ハープ、キーボード、ベースというユニークな編成でノイズ、フリージャズ、ヒップホップ、ソウル、パンク、クアイヤー、エレクトロなど、あらゆる音楽のエッセンスを不気味に散りばめた音を演奏し、昨年リリースした1stフルアルバム「FIRST LOVE」が各所で賞賛を浴びた唯一無二のバンド「んoon」のライブに乞うご期待。

チケットは今週末7/26(土)より一般発売。

[公演概要]
MOCKY
出演:MOCKY(band set) / Guest Act:んoon
日程:2025年9月22日(月・祝前日)
会場:WWW X
時間:open18:00 / start19:00

interview with Colin Newman/Malka Spigel - ele-king

 「時代の流れに身を任せながらも、自分の原則を守ろうとする」というのが、マルカ・シュピーゲルが、過去数十年にわたって音楽と人生の道を歩む上で指針としてきた哲学を、自ら説明した言葉だ。イスラエル生まれで最初はベルギーを拠点とするポスト・パンクと実験的ポップ・バンド、ミニマル・コンパクトとして活動を始めた。
「君は本当に詩人だね」と、この時間の大半で冗談交じりに語ったのは、彼女のパートナーでイギリスのポスト・パンク時代の伝説のバンド、ワイアーのリード・ヴォーカル兼ソングライターとして名を馳せたコリン・ニューマンだ。
やりとりのなかで、行ったり来たりしながら互いの空白を埋めるように話し、どちらかが割って入って会話の流れを調整する。コラボレーションが基本という感覚こそが彼らの自然な会話の仕方の本質の一部であり、おそらくそれが、音楽家として長く継続できている協働の特性をも垣間見せているのかもしれない。


Immersion
Nanocluster Vol. 1


Immersion
Nanocluster Vol. 2


Immersion
Nanocluster Vol. 3

 1980年代にベルギーで出会ったふたりの、尽きることのない好奇心、新しい音に対する鋭いアンテナを張り巡らせること、そして他者の作品を吸収して共有したくてたまらない、スポンジのような吸収力と解放的な感性が組み合わさったことで、魅惑的で変わりやすいオルタナティヴ・ポップ・ミュージックの歴史に大きな影響を与える(同時に影響を受ける)存在となった。

 〈スウィム(Swim ~)〉レーベルの共同オーナーとして、Githead名義のバンドとして、ここ最近ではエレクトロニック・デュオ、イマージョン(Immersion/没入の意味)名義として『ナノクラスター(Nanocluster)』における複数の人と共働するスピーゲルとニューマンは、おそらくこれまでで一番活発な活動を展開している。今年のはじめ、彼らは『ナノクラスター』シリーズの第3弾をリリースし、イマージョンとしては、アメリカのアンビエント・カントリー・トリオのSUSSと共に砂漠と海、コンクリートと空を融合させた、ヒプノティックで本質的なテクノで宇宙的なコラージュを創り上げた。その一方、イマージョンのニュー・アルバム『WTF?』は時代精神を捉えたタイトルで、9月にリリース予定だ。

 下記は、昨年夏に『ナノクラスター』の「vol.2」「vol.3」のリリース期間中に実施した、スピーゲル(MS)とニューマン(CN)とのインタヴュ-の編集版である。

80年代半ばのブリュッセルに本物のシーンがあった。〈クラムド・ディスクス〉だけでなく、〈クレプスキュール〉もあり、両レーベルにたくさんの国際的なアーティストが集まって、結果的にブリュッセルに住むようになったりしていた。物価も安くてツアーもやりやすかったし。

この世界に入るきっかけは何だったと考えていますか?

マルカ・スピーゲル(以下、MS):知識も技術もない状態でも、とにかく人と集まって一緒になって演奏することから始まった気がします。それでも、クリエイティヴであることの力がどういうものなのかを感じることができたのが大きかった。そして私は‶一緒に居ること〟の力を感じ続けている。私たちが常にコラボレーションをするのはそのため。他の人と演奏すると音楽面だけでなく、人間関係においても魔法みたいなものを感じるから。

コリン・ニューマン(以下、CN):僕はマルカとはまったく違う世界から来ています。いわゆるハードコアからネオクラシカルまでの、ありとあらゆる音楽の領域で、合奏(アンサンブル)にはふたつのアプローチの仕方があると思う。ひとつは、誰かが何か書き留めたものを皆で演奏するタイプ。もう一方は、皆で部屋に集まってその場で一緒に何とかするタイプだとすると、僕は最初の方。ワイアーが、ジャミングが下手くそなのは、周知の事実! 「部屋で一緒に音楽を作ってみよう!」と言っても決して何もできあがらない。基本的な作品の構造と要素があれば、非常に良いものになる可能性はある。それに対して、マルカは完全に怖い物なしなんだ。彼女が文字通り演奏を始めると、その周りに必ず何かが見つかるという具合。僕たちが最初に出会ったのは1985年で、それからほぼ継続的に長い時間、一緒に仕事をしている。

あなたは、ミニマル・コンパクト(Minimal Compact)の5枚目のアルバムをプロデュースされましたね?

CN:そう、『レイジング・ソウルズ/Raising Souls』をね。

その頃、つまり1980年代初頭のベルギーの音楽シーンは、アクサク・マブールとザ・ハネムーン・キラーズのマーク・ホランダー(オランデル)が〈クラムド・ディスクス〉で活躍していた非常に興味深い時代だったようですね。

MS:そう、ある種のエネルギーがあった。レーベル周辺にはタキシードムーンやその他の多様な音楽があって、コリンは完全に魅了されていたと思う。彼は、ロンドンで公有地に不法滞在するような生活から、ブリュッセルに移ってイギリスよりも少し穏やかな人びとや美味しい食事に出会えた。

CN:そうなんだ。すごく気に入っていたよ。本物のシーンがあった。80年代半ばは常に魅力的な時代で、〈クラムド・ディスクス〉だけでなく、〈クレプスキュール〉もあり、両レーベルにたくさんの国際的なアーティストが集まって、結果的にブリュッセルに住むようになったりしていた。物価も安くてツアーもやりやすかったし。

MS:ロンドンはかなり厳しい場所だった! 私はロンドンに行き始めたばかりの頃にショックを受けたの。ものすごく貧しい感じがして。あなたがブリュッセルに惹かれた理由がわかった。誰かと恋に落ちた以外にもね……わかるでしょう?

CN:一目ぼれだったよ。

MS:楽しい場所だったけれど、(シーンが)衰退すると退屈なベルギーになってしまった。

CN:それは、ベルギーのシーンが心理的な境界線を越えてしまったからなんだ。フランドルとワロン地域はほとんど別の国とも言える場所で、シーンは〈R&S〉レコードがあったゲント(ヘント)に移ってしまい、そこがテクノ・シーンのすべてになった。突然、〈R&S〉と契約した国際的なアーティストたちが現れて、シーンを牽引するようになった。エイフェックス・ツインの最初のアルバムをリリースしたのも彼ら。〈ワープ〉レーベルが頭角を現して彼らの輝きを奪うまで、ゲントには強いシーンがあった。

MS:私たちが再びロンドンに興味を持ち始めたのもその頃だったね。

CN:たしかにね。ブリュッセルからゲントへの移住を考えるぐらいなら、ポーランドに移るのと変わらない。どちらにも同じ銀行、同じ店があるけど、言語もメンタリティも全然違う。それに、ロンドンはまさに、拡大し始めている時だった。

MS:私たちはいつも、物事が始まりそうな場所に惹かれる傾向があるね。

CN:僕は1986年にブリュッセルに移ったんだけど、僕たちがそこを離れたのは1992年になってからだった。その時、ロンドンではようやく電子音楽シーンが始まったところだった。

MS:そして私たちはレーベルを立ち上げて、多くの電子音楽のアーティストたちと知りったの。

CN:移住する前には、マルカのミニマル・コンパクトでの活動が下火になっていて、シンガーのサミー・バーンバッハの近所に住みながらあるプロジェクトに取り組んでいたんだけれど、進展しなかった。そしたら、マルカにソロ・アルバムの話が来たんだよね。でも、彼女は知らない雇われのミュージシャンたちとスタジオに入るのを嫌がり、自分たちのスタジオで、自分たち自身で作りたいと思った。

MS:それに、彼らは私たちの考え自体を理解してはくれなかった。その頃ちょうど、自分たちのスタジオを持つということをし始めたばかりだったから。今では普通のことなのにね。

CN:彼女は、‶もうやり始めたからには、最後までやり遂げたい。さっさとやってしまおう″と言ったんだ。ロンドンに引っ越す時には、ガレージをしっかりと録音ができる場所に改造してレコードを作ってから、リリースしてもらえるレーベルを探すつもりだった。持っていた僅かな金でガレージに防音を施して、新しいミキシング・コンソールを買い、レコードを完成させた。だけど、レコードを出してくれるレーベル探しには完全に失敗したんだ。そんななか、ミュート・レコード社長のダニエル・ミラーとミーティングをしたら、「ここまで全部を自分たちでやったのなら、自分たちで出せばいいのに。やり方はこうだ……」と、レーベルの運営方法を2時間かけて指導してもらった。そして突然、アルバムをリリースすることになった。

MS:(私たちの)典型的な回答ね! 質問に対して、もはやまったく別の話題になってしまっている……!

その後、ミニマル・コンパクトのサミー・バーンバッハと一緒に、オラクルという名でコンピレーションを制作して出した。2枚のレコードを出したところで、マルカが言ったんだ。「私たちはテクノ・レコードを作らなければ!」と。

これこそが私の理想のインタヴューの形ですよ。私がやるべきことが少なければ少ないほど良い!

CN:実は、僕たちがレコード会社を作ったことをマルカが認めるまでに一年かかったんだ。彼女にはそれがとても思い上がったことに思えたから! それでも僕たちはマルカの初のソロ・アルバムをリリースし、そこから利益を得ることができた。

MS:あの頃はいまよりもまだやり易い時代だったから。

CN:そして、人びとはもっと多く(音楽を)購入していた。その後、ミニマル・コンパクトのサミー・バーンバッハと一緒に、オラクル(Oracle)という名でコンピレーションを制作して出した。2枚のレコードを出したところで、マルカが言ったんだ。「私たちはテクノ・レコードを作らなければ!」と。

MS:私はそんなこと言っていないけど!

CN:いや、言ったよ!君はもっとインストゥルメンタルな曲を作るという想いにかられていた。そして、常に‶ミステリアス〟という言葉を好んでいたね。

MS:多分、そっちの方がより純粋だからだと思う。テクノには‶フロント〟というイメージがあまり無いところに惹かれたの。音楽の制作者がどこから来た、どういう人なのかは知らなくても、純粋な音楽だけがすべてだと思うようなところに。

CN:そうそう、『NME』では‶顔なしのテクノ・バカ(”faceless techno bollocks)″みたいにまとめられたけれど、それは‶ジャングル″のような言葉と同じで、最初はこき下ろしみたいな呼び方だけど、結局は受け入れられるんだ。‶顔なしのテクノ・バカ″なんて、素晴らしい発想だよね![編註:これはすぐにテクノの匿名性、音楽重視で作り手のルッキズムに依存しない態度を賛辞する言葉になった] 最初のイマージョンのレコードでは、僕たちはドイツ出身だと偽ってウィッグやマスクを着けて宣材写真を撮って、でたらめな偽名を使っていた。レコード会社としては、レコードをリリースするだけだから、それが誰によるものなのかは関係ない。それが最初のイマージョンのアルバム『オシレイティング/Oscillating』だった。

ほぼ同じ時期にリミックス・アルバムもリリースされましたよね?

MS:当時はほんとうに簡単だった。電子音楽のミュージシャンがたくさんいて、誰もがオープンで、「お願いできる?」と聞くと「もちろん、リミックスするよ!」という返事がもらえたものよ。

CN:それはロビン(ランボー、別名スキャナー)が始めたんだよね。バタシー・バークを歩いていた時、彼が「リミックスしてあげるよ!」と言ったんだ。我々も、いいね! という感じで。僕たちはそれが12インチ盤を出す口実になると思った。それで2枚分のリミックス・アルバムを作ったんだけど、2作目の頃には、テクノ界の少し有名なクロード・ヤングのようなアーティストがリミックスを手掛けてくれるようになって、それらのレコードが売れたんだ! まだレーベルを始める前の〈ファット・キャット〉がコヴェント・ガーデンにレコード店を持っていたから、少し多めに白盤を作って〈ファット・キャット〉に渡せば、彼らがトップDJたちに売ってくれていた。

MS:そうやって、自然と広がっていったの。あの自然な流れが好きだったな。今は、すべて業界の仕組みを通さなくてはならなくて、その罠から抜け出すのは不可能ね。

CN:それで、僕たちのそれまでの歴史とはまったく関係なく、ダンス・ミュージック界でクールな音楽を出すレーベルという評判を得たんだ。その次に、LFOのゲズ・ヴァーリーから連絡が来て、「いくつかのトラックがあるんだけど、ワープは全部が‵聴くための音楽′でないと出したくないと言っている。俺はダンスフロア向けの音楽をやりたいのに」と言うんだ。ちょうど息子のベンを迎えに行く車の中でそのカセットを聴いたんだけど、最初のトラック“クオ・ヴァディス/Quo Vadis”を聴いた瞬間にこれはポップ・ミュージックだと思ったね!

MS:彼はG-Manと名義を変えて12インチを出して、この曲は大成功を収めたし、今でもプレイされている。日本でのワイアーのライヴで、ある人がワイアーの出番の前に“クオ・ヴァディス”をプレイしていた。その人は、コリンとこの曲の繋がりを知らなかったと思うけど。聴いた瞬間に、「ワオ! まだプレイする人がいるんだ」と思った。

CN:まさにクラシックな、ダンスのできるミニマル・テクノとして、DJたちに愛されたよね。この頃には僕たちはもう恐ろしいほどの評判を得ていたんだけど、ひとつのスタイルに固執したくはなくて。そして、ドラムンベースが登場し、僕たちも夢中になった。テクノはある種、アメリカンな感じがしたけど、ドラムンベースはまさにロンドンの音楽で、70年代パンクのような興奮を覚えた。突然、信じられないほどのエネルギーの爆発が起きた。正直、90年代半ばのある時点では、もうドラムンベースさえあればいいという感じだった。自分たちでも少し作ったけれど、その後、ロニー&クライドという、ブレイクビートのより知的な側面に分け入って、違う領域に挑戦する人たちと仕事をするようになった。僕たちはもう少しダウンテンポ寄りの作品をいくつか出して、90年代後半にはポスト・ロックの渦に巻き込まれ始めた。僕たちは90年代をアンビエント・テクノから始めて、ポスト・ロックへとたどり着いた。その時の時流に乗ったということだ。レーベルをやるのであれば、常に現代的であり続けなければいけない。

いまの話を聞いて、あなたが先ほど話していたことを思い出しました。あなたは、ネオクラシックからその他のさまざまなジャンルへと続く音楽の糸のようなものについて話してくれましたが、それに名前は付けていないと言いました。実は私もそういったことをよく考えるのです。ジョン・ケージからブライアン・イーノが1970年代にやったこと、それからパンクの時代にもっとも興味深いバンドがやっていたことまで、線を引くことができるのではないかと。それは、クラシック・ロックの正典の枠組み外にある、並行歴史(パラレル・ヒストリー)のようなものではないかとね。

MS:ストリーミングが始まってからすべてが変わったのではないかな。音楽を届ける範囲や、仕組みそのものが変わったのでは?

CN:根本的に変わったのは、どこに力があるかということだと思う。例えば、90年代のインストゥルメンタル・ミュージックの台頭は、アーティストがアメリカやイギリス出身でなくても世界的に活躍できることを意味して、その変化はストリーミングの普及によって完成されたんだ。今ではその現象は‶グローカリズム(glocalism)〟と呼ばれていて、アーティストが自国で成功を収めながら世界中へと広げていくことができる。それと同時に業界は、完全に石化したかのような状態になって——僕が言っているのは、メジャー・レーベルや大手の独立系のことだけど——なんとか過去の体制にしがみつこうともがいている。権力の分散化は確実に起きていて、それをさらに加速化させる必要がある。

[[SplitPage]]

ドラムンベースが登場し、僕たちも夢中になった。テクノはある種、アメリカンな感じがしたけど、ドラムンベースはまさにロンドンの音楽で、70年代パンクのような興奮を覚えた。突然、信じられないほどのエネルギーの爆発が起きた。正直、90年代半ばのある時点では、もうドラムンベースさえあればいいという感じだ。

あなた方が一緒に働き始めた時、コラボレーションが重要になったと言っていましたね。年月を経て、それが大きく成長したように見えます。それはあきらかに、『ナノクラスター』の重要な要素のひとつですよね。

MS:それがすごく魅力的な領域なんです。長年音楽を作り続けていると、知らない人と一緒に働くこともあって、そんな時には自分の安全地帯から押し出されるようなことも起きてくる。どこか違う場所で、他の人たちのやり方に挑戦すると、視野が広がって、多くの選択肢を与えられるの。すべてのコラボレーションが私たちを新たな場所へと連れて行ってくれる。

CN:2000年代になると、ワイアーが再び始動して、それと並行してGitheadというバンドのプロジェクトにも取り組んでいた。10年前には、ブライトンに移住したんだけど、そこでまたイマージョンも復活させることにしたんだ。機材がかなりシンプルで、ただ一緒にギグをするだけでよかったから。イマージョンの前のアルバム『ロウ・インパクト/Low Impact』は1999年のリリースで、その次のレコードは2016年だった。長い間隔が空いてしまったけど、それが僕たちに自由に活動する空間を与えてくれた。それでアルバムを制作して最初は2枚の10インチ盤として発売し、後にCDに編集した――まるで島に住むアナログな生き物みたいなイメージで。実際にそれがタイトルになったんだけど(EP『アナログ・クリーチャーズ/Analogue Creatures』と『リヴィング・オン・アン・アイランド/Living On An Island』 をまとめたアルバム、『アナログ・クリーチャーズ・リヴィング・オン・アン・アイランド』)。実は僕たちがすでにその時、ブレグジットによる疎外感を感じ始めていたのがタイトルに表れているんだ。

今日の取材の前にその曲を聴いていて、そのことに強く感じ入りました。『リヴィング・オン・アン・アイランド』というタイトルと2016という年を見て「ああ、自分もその感覚を知っている!」と思ったんです。

MS:ブレグジットの投票時には、私たちは島に居て、あらゆるものから隔絶されているという強い感覚を覚えたの。

CN:僕たちは海辺に住んでいるしね。

MS:そう。そしてそれがある種の希望と楽観主義を同時にもたらしてもくれる。

CN:いくつかライヴやフェスティヴァルにも出演したけれど、大きな動きはなかったね。
でもブライトン在住の知人が、「ブライトンに居るなら、自分たちの手でシーンを作る必要がある」と言ったんだ。現地の音楽シーンは結構分断されているからね。

MS:ミュージシャンもすごく多いから!

CN:すごく多い! それで僕たちは、「それはどういう意味だろう? どうやったらシーンを生み出すことができるのか? クラブでイベントを企画してもいいけど、他の人とどうやって差別化できるんだろう? そうだ、コラボレーションの要素を入れてみよう」と思いついた。僕たちはターウォーター(Tarwater)とはベルリンのシーンの初期から何年も知り合いだったし、会場をみつけて、ターウォーターとイマージョンがコラボレートするイベントを企画しようということになった。彼らが数日間、僕たちの所に泊まり込んで一緒に曲を作ればよいと考えた。そして、それが上手くいったんだ。

MS:リハーサル中にもスタジオで録音ができたから、基礎となる録音を残すことができたしね。

CN:ザ・ローズ・ヒルという公共の、110人ぐらいのキャパの小さな会場でやったんだよね。ちゃんとしたお客さんで埋めるのも簡単な規模の。

これは、実はワイアーのブルース・ギルバートが人生と芸術について語った大事な声明のひとつ、「文脈がすべてだ(Context is all).」から来ている。僕はいわゆるビッグ・ボーイ・プロダクションと言われるものを常に嫌ってきた。レコードを聴いて、その背後に関わった‶プロデューサー″のエゴが透けて見えるような自己主張の強いもののことだ。

コラボレーションはどのような感じでやるのでしょう? 即興することもあるんでしょうか? それとも事前の準備の方が多めですか?

MS:まず私たちがアーティストにアプローチして、「私たちの方から3つの基本的なアイディアを送るから、あなたの3つの基本の考えを返送してください。何か思いついたものをそこに乗せてみてほしい」と言う。それを基に、あまりやり過ぎない程度に構築していく。それから相手と一緒になって完成を目指すの。毎回違うやり方にはなるけれど、それが基本的な構造かな。全然即興ではないけれど、完成度をそこまで高くしないから「うまく行くだろうか?」とか「良いライヴができるだろうか?」というような多少の緊張感もある。

CN:次に思いついたコラボレーションの相手がレティシア・サディールだった。‶クラウトロック・カラオケ″というものがあってね。

MS:ロンドンに長年住んでいる、日本から来た人が企画している、違うバンドの人達が集まってクラウトロックのヴァージョンを弾くという一夜があって、それが楽しいの!

CN:それをレティシア・サディールと一緒にやったんだけど、彼女はギター演奏の能力だけでなく、すべてのパートを覚えて参加したんだ。僕たちはそんなことをしたことがなかったんだけど! それを見て、彼女に『ナノクラスター』の話を持ちかけたら、セットをやってくれるのではないかと思った。

MS:彼女が私たちの所にやって来て滞在し、一緒に題材に取り組んで。そう、とても良かったわ。

CN:僕たちは多くの素晴らしい人たちを知っているけど、そのうちの何人かは僕たちがその人たちのファンであるという理由からなんだ。ウルリッヒ・シュナウスが宇宙で一番の音楽を作っていた時もあったし、他にもロビン・ランボー、スキャナー、勿論Githeadのね。彼のことももう何年も知っているよ。

MS:それ以来、私たちはますます幅広い分野でコラボを続け、紙の上では機能しそうもない奇抜なアイディアを次々と生み出してきたの。

CN:そこへ突然パンデミックが襲い、2020年5月に僕たちは4つのコラボレーション企画以外はまったくすることがなかったから、「アルバムを完成させよう」と決めた。実はこれは難しい決断だった。というのも、マルカと僕はそれまで一度もアルバムのミキシングをやったことがなかったから。まさに目から鱗が落ちるような経験だった。僕の感覚では、それが当時、僕たちのスタジオから生まれた作品のなかでも最高のミックスのレコードになったんだ。すべてをコラボレーションして制作したからだと思う。

MS:ある意味、ラジオからも影響を受けていたよね。異なるジャンルの曲をたくさん聴くと、音の組み合わせ方など、無意識に影響を受けていたと思う。

CN:その通りだね。それを2021年にリリースして、批評家からはある程度の高評価を得たけれど、パンデミックの最中にはプロモーションは何もできなかった。ライヴもすでに終わっていたので、ツアーを組むのも難しい状況だった。どちらにしても、2021年から22年にかけて、ツアーを検討したミュージシャンは、自分たちで主催するしかなかったし。

パンデミックの状況において、アルバムで他のアーティストたちとはどのように協力して制作できたんですか?

CN:すべてを事前に録音していた。

MS:リハーサルをしながら録音し、それを制作の基盤としたの。現在では、彼らが送ってくれる素材で仕事をしているけれど、次回作のコラボレーション(2025年のSUSSとの『ナノクラスターVol.3』)では、物理的な空間での作業はしないと思う。状況次第だけどね。スタジオ・ワークを完成させるには、互いにパーツを送り合うか、物理的に人が集まるかのどちらかの方法がある。

それは、プロジェクトの進化の一環ですね。始めた頃にはブライトン在住のミュージシャンたちや、移動が容易な人たち中心だったのが、より広範にアーティストを探し始めると、プロセス自体も変わってくる。

CN:まさに。最初の作品をリリースした後、「次のレイヤーに行くにはどうすればよいか」を考えた。多くの人と話をしたけど、誰もブライトンには居なかったし、パンデミック後というのは、誰もが自分のキャリアに集中していた時期だった。僕たちと仕事をするのは贅沢だと思われる可能性もあったから、何か別の方法はないかと考えた。僕たちの知り合いにサウス・バイ・サウスウェストの主なオーガナイザーのひとりであるジェイムズ・マイナーがいたので、そこで何かをやってみようと思った。

MS:それは結構怖いことだった。というのも、オースティンまで遠征して、現地の人たちと音楽を作らなければならなかったから。どうやってやろう?と。その時、リストにソー(Thor)・ハリスの名前を見つけたの。彼はその土地の人で、パーカッションを演奏するので、一緒に何かを創りやすいのではないかと思った。

CN:彼はかなりアメリカのミニマリスト・シーンの核心にいる人物だし。

MS:そして、生まれつきコラボレーションの才能のある人。

CN:ソーは、実に乗り気きだったね。事前に素材を交換したので現場に着いたらすでに基盤となるものもあった。結局、彼の家でリハーサルをすることになった――彼はただ優秀な音楽家であるだけでなく、大工、配管工、便利屋としても何でもござれの職人で、素晴らしい社会的良心も持ち合わせているんだ。

MS:彼は素晴らしい人物だった。彼の自宅で仕事ができたのは良い経験だった。オースティンでは誰もが知る人物。

CN:実際のパフォーマンスでは、ちょっとした試練のようだった。というのも、結局、ホテル・ヴェガスで演奏することになり、半分暗がりの、そこら中、酔っぱらいだらけのなかで、テーブルの上に機材を設置しなければなかったから。

MS:それがコラボレーションの良いところ。それぞれの異なる経験が、いつもなら行かないような場所にまで連れて行ってくれるので、かなりの中毒性がある。私たちは人と一緒に音楽を作ることが大好きだし、他の人の世界に引き込まれるのも特別なことだから。

それが、リスナーとして『ナノクラスター』のアルバムを聴くときに興味深い点のひとつです。音楽的な個性が互いに溶け合っていくかのような感覚なんです。多くの人が関わっていて、各盤面やディスクごとにコラボレーターが違うのに、常に一貫した雰囲気が漂ってくるからです。あなたたちがワイヤーとの作業について説明してくれたのとは対照的ですね。ワイアーでは各人の役割が明確に分けられ、決まっていたという。

MS:コラボレーターが違っていても、音に一貫した豊かさがあると言う声をよくもらいます。

CN:それはおそらく、最終的なミックスのやり方も影響しているだろうね。

MS:でも、それだけではないわ。私たちはそこに人間同士の繋がりを持ち込むから。いつも、最後には友情関係になって終わることが多いよね。

CN:僕たちは、一緒に仕事をする人の空間を作ろうと努めるけれど、文脈を設定した上でそうする。これは、実はワイアーのブルース・ギルバートが人生と芸術について語った大事な声明のひとつ、「文脈がすべてだ(Context is all).」から来ている。僕はいわゆるビッグ・ボーイ・プロダクションと言われるものを常に嫌ってきた。レコードを聴いて、その背後に関わった‶プロデューサー″のエゴが透けて見えるような自己主張の強いもののことだ。制作に関わるのであれば、その音楽とそれを聴く人の間の障壁を取り除くべきだ。リスナーがその音楽のなかに何があるのかを容易に聴けるようにするべきだと思う。自分や他の関係者を良く見せよう、聴かせようとすることではなく、全体が大事なんだ。

レーベル名をSwim(泳ぐ)にしたのはなぜですか?

MS:だめ(笑)? 私たちはいつも響きの良い名前を探しているんだけど。多分、私たちがいつも異なる人びとの世界の間に軽やかに浮かんでいるからかも。でも、ほんとうはよくわからない。それは後からついて来るものだと思う。この名前を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

私はブライアン・イーノのことを思い出しました。彼の音楽では水が繰り返し登場するテーマで、イマージョンで聴く音にもどこか似たものを感じます。あなた方は、どちらも他のバンドではシンガーとして知られていますが、ここでは多くの曲でヴォーカルを削ぎ落しています。だから、ポップスターやロックスターのエゴを排除して、他の可能性が生まれる流動的な空間を探しているように聴こえます。

MS:私たちは、『ウォーター・コミュニケーション/Water Communication』というコンピレーションも出したし、水は繰り返し現れるテーマなの。そして今は、海辺に住んでいるし。

CN:これは、ある意味、『ナノクラスターVol.2』のもうひとつのコラボレーションであるジャック(ウォルター、別名カブゾア Cubzoa)に引き戻される。2021年頃だったと思うけれど、皆が再びライヴを開催するようになり、僕たちはザ・ローズ・ヒルに行ってカブゾアに真に感銘を受けたんだ。

MS:彼は私たちに曲を送ってくれるようになったんだけど、曲というのは完成されたものなので、最初はどうしたらよいのかと戸惑った。通常は、もっと基本的なところから始めるから。でもとても興味深い挑戦になったし、すごく良い作品に仕上がったと思う。

「いまのバンドは大変なのよね。そうせざるを得ないんだから」「ほんとうにそう! パンデミック以降、業界はミュージシャンに圧力をかけている」

CN:さらにもうひとつ、これまでの『ナノクラスター』ではやったことのないことをしたんだ。それは、素材をどんどん出し合うことだった。最初は素材が足りていなかったから。結果、かなり素晴らしい成功に繋がった。彼の曲とはかなり違うものになったんだ。

MS:彼が一緒に居るとほんとうに良い人なので助かったわ。人間性は非常に重要だから。

前回の作品では、4人のアーティストが参加してそれぞれが10インチの片面を担当されましたが、2作目ではふたりとなり、各ディスクにひとりのアーティストが参加した形になっていますね。

MS:それは事前に決めたことではなかったけど、作業を進めるうちに素材が十分そろったことに気付いたの。今後はもしかしたら、コラボレーションはひとつだけになるかもしれない(注:実際、『ナノクラスターVol.3』では、SUSSのみとのコラボになった)。

CN:ルールを設けてはいないよね。ただ、僕たちはダブル10インチ(2枚組の10インチ盤)が好きで。この着想は、完全に実用面でのふたつの理由から生まれた。ひとつ目は、最初のアルバムを製造した際、12インチのヴァイナルをプレスするのに数か月かかったのに、10インチならずっと早く作れたということがあった。また、最初のアルバムには4つのまったく異なるプロジェクトが含まれていた。だから‶それぞれに専用の面があれば、それが自然な仕切りになる″と考えた。

MS:アーティストにとってもより興味深くなるしね。

CN:そう。それぞれが独立した作品になればね。当然のようにデジタル配信では、別々のEPとしてもリリースされているし、ストリーミングでは、短い長さのリリースがトレンドになっているようだ。例えば、20曲入りのアルバムをリリースしても、注目されるのは1、2曲だけで、残りは無視されてしまう。ストリーミングでは聴く人の注意力が極端に短いから。別々のEPにすることで、異なる人たちがそれぞれ別のアーティストに集中できると思った。でも実際には、媒体によるということなんだけど。

そして2作目では、各アーティストがより広い範囲でプレイする余地が得られると、EPのような短いフォーマットではなく、違う方向性になる気がします。

MS:そうかも。各アーティストがより多くの表現で貢献できるようになることが重要。

現在のあなた方の作品に共通するテーマのひとつは、独立した所有権の尊重のように感じます。ワイアーの場合も、バンドがカタログの大部分を所有しているというのは事実でしょうか?

CN:僕たちは80年代の作品は所有しておらず、70年代、80年代の出版権も持っていないけれど、70年代作品のマスターテープは保持していて、2000年以降の作品のすべても持っている。〈スウィム〉からリリースしたアーティストの一部は、自分たちで権利を買い戻していて、他のアーティストは特に気にしていないようだけれど、僕たちは喜んで権利を返還するつもりなんだ。他の人の音楽に執着する必要はない。

MS:あなたの場合は、所有権を持つことがとても重要だと思う。だって、大手レーベルが持つ影響力というものに嫌というほど、気付かされたんだから……

CN:僕たちにとっては、個人的にかなり大きな違いになったよね……。勿論、僕は非常に恵まれた立場で話しているわけだけど。つまり、70年代のワイアーの素材が何世代にもわたって受け入れられてきたから。それは70年代にリリースされた当時の人たちだけでなく、世代を超えて受け継がれて若い人にまで響いている、決して静かではないダイナミックな現象なんだ。さらにストリーミングの数字から判断すると、リスナーは減少するどころか、増加している。自らでマスターの権利を所有し、収益の大部分をバンドに還元できると、生計を立てるための基盤ができる。もしもオリジナル・メンバーと同世代の人たちが公務員になっていれば、はるかに多くの収入を得ていただろう。だけど、60代、70代、80代のミュージシャンのなかには、生活に苦労している人も多い。ツアーに出なければ家賃を払えないから、過酷な条件でツアーを続けるしかないんだ。

MS:でも、私たちが一緒に作るものをすべて所有していることには、メリットとデメリットの両方がある。外部レーベルのように、作品をより広めるような力はないから。

CN:お金がかかるからね。宣伝費や製造費、その他すべてに費用がかかる。だけど、例えばすでにやっているコラボレーションのひとつは、ブライトンを拠点とするバンド、ホリディ・ゴースツというサムとカットのカップルで、僕たちとも仲が良い。彼は30代前半で、ツアーのブッキング方法まで良く知っているんだ。僕の世代のミュージシャンは、ツアーのブッキングの仕方などまったく知らないと思う。

MS:いまのバンドは大変なのよね。そうせざるを得ないんだから。

CN:ほんとうにそう! パンデミック以降、業界はミュージシャンに圧力をかけている。

日本でも似たような状況だと感じます。あの数年で、何かが急激に加速した、‶それ以前とそれ以後″があるんです。若手のミュージシャンたちが、まるで優秀なビジネスマンのように見えるのはある意味で尊敬に値するけど、彼らがそうせざるを得ないことに同情してしまいます。

MS:そうよね。ミュージシャンとして、ただ音楽を追求する自由は、素晴らしい以外の何ものでもない。

(了)

[[SplitPage]]

“I think you swim with the times, but you try to hold onto your own principles,” is how Malka Spigel describes the philosophy that’s guided her path through music and life over the past several decades — initially with Israeli-born, Belgian-based post-punk and experimental pop band Minimal Compact.

“You’re such a poet,” jokes her partner through the greater part of that time, Colin Newman, who made his name as the lead vocalist and songwriter of UK post-punk legends Wire.

A sense of back-and-forth, of each filling the gaps left by the other, of one stepping in and adjusting the flow of the conversation — of collaboration, essentially — is a natural part of the way they talk, and perhaps offers a window into the nature of their long-lasting collaboration as musicians too.

The pair met in Belgium in the 1980s and a combination of endless shared curiosity, a finely honed antenna for new sounds, and a porous, open sensibility to both absorb and eagerly share other people’s work has seen them leave their in fluence on (and be influenced by) by a fascinating and fluid alternative history of popular music.

Working together as co-owners of the Swim~ label, in the band Githead, as the electronic duo Immersion and most recently with a series of collaborators in the Nanocluster live and recording project, Spigel and Newman are perhaps more active than they’ve ever been. Earlier this year, they released the third of their Nanocluster series in collaboration, Immersion merging with US ambient-country trio SUSS to create a hypnotic, techno-organic, shifting kosmische collage of desert and sea, concrete and sky. Meanwhile, Immersion’s new album, under the zeitgeist-grabbing title “WTF?”, is set for release in September.

The following interview is an edited version of a conversation with Spigel (MS) and Newman (CN) last summer in the period between the second and third Nanocluster releases.

__________

IM : What do you think was your starting point that got you on this train?

MS: I think just getting together with people and playing together without any knowledge and technical ability, but feeling already the power of what it’s like to be creative. But also the togetherness, for me is the power that always stays there. That’s why we always collaborate: there’s some kind of magic when you play with other people, not only on the music side but on the human side.

CN: I come from a very different world from Malka. I mean, within whatever you call this whole gamut of music that runs from hardcore to neoclassical or whatever, there seem to be two approaches among ensembles. One is somebody writes something and the ensemble plays it, or the ensemble stand in a room and figure it out together. I come from the first approach. Wire is famously rubbish at jamming! If you’d said, “Let’s stand in a room and figure out some music together,” that’s never happened. If you have a basic structure and some compositional elements that are going in there, then it can be very, very good. Whereas Malka is completely fearless: she will literally just start playing and you kind of find things that go around what she’s playing. We first met in 85, so that’s a long period of pretty much continual working together.

IM : You produced maybe the fifth Minimal Compact album, right?

CN: Yeah, “Raging Souls”.

IM : That looks like a very interesting period for music in Belgium in the early 80s, with the Crammed Discs label and Marc Hollander from Aksak Maboul and The Honeymoon Killers.

MS: Yeah, there was some kind of energy. There was Tuxedomoon and other kinds of music around the label, and I think Colin was pretty much charmed by the whole thing. He came from living in a squat in London into Brussels, and the nice food and people who are kind of softer than in the UK.

CN: Yeah, I loved it. It was a real scene. And that period around the mid-80s was a really fascinating time. It wasn’t just Crammed Discs, there was Crépuscule, and both labels had a lot of international artists who ended up living in Brussels because it was cheap and good for touring.

MS: And London was a pretty harsh place! I was a bit shocked when I started going to London! It felt pretty poor. I could see why you were charmed with Brussels. Apart from falling in love with… you know!

CN: It was love at first sight.

MS: It was a fun place, but when it died off, it just became boring Belgium.

CN: What happened was the scene in Belgium crossed the psychological border. Flanders and Wallonia are almost two separate countries, and the scene moved to Ghent because that’s where R&S Records were based, and that was the whole techno scene was. Suddenly there were all these international artists signed to R&S and they were leading the pack. I mean, they put out the first Aphex Twin albums. Until Warp came and stole their thunder, there was a strong scene in Ghent.

MS: That’s also when we started getting more interested in London again.

CN: That’s true, if you’re in Brussels and you’re thinking about moving to Ghent, you might as well be moving to Poland. You have the same banks and same shops, but you have a totally different language and an entirely different mentality. And London was just starting to expand.

MS: We always feel attracted to places where things kind of start.

CN: I moved to Brussels in 1986 and we finally left in ’92, and at that point, the electronic scene was just starting in London.

MS: And started a label, and started to get to know more electronic music artists.

CN: Before we left, Malka’s time with Minimal Compact had sort of fizzled out, and we lived around the corner from the singer, Samy Birnbach, and sort of worked on a project that didn’t go anywhere. Then Malka got the offer to do a solo album, but she didn’t want to go into the studio with a bunch of hired musicians. We wanted to make it ourselves in our own studio.

MS: And they just didn’t get the concept. It was the beginning of people owning their own studios, and now it’s so common.

CN: She said, “Well I’ve already started on it. I want to finish it. Let’s just do it.” We moved to London with the idea that we could convert our garage into a proper space for recording, then make that record and figure out if we could find someone to release it. We took the little money we had, soundproofed the garage, bought a new mixing board and set to work on finishing the record. Then totally failed to find a label for it, but I had a meeting with (Mute Records boss) Daniel Miller and he said, “You’ve done it all yourselves, so why don’t you just release it yourselves as well? This is what you do…” So I had like a two-hour instruction about how to run a label. And suddenly we were releasing an album.

MS: Typical answer! He asked a question and now we’re a million miles away!

IM : This is my ideal interview. The less work I have to do, the better!

CN: It took Malka a year to actually admit that we had a record company. She thought it was well pretentious! But we put out Malka’s first solo album, and we made some money out of it!

MS: It was easier in those days.

CN: And people bought more. And after that we put out a compilation of the material we’d worked on with Sami Birnbach from Minimal Compact, under the name Oracle. So we’d released two records and then Malka said, “We have to make a techno record!”

MS: I never said that!

CN: Yes you did! You were very much into the idea that we had to make something more instrumental. You always liked the word “mysterious”.

MS: I guess it’s more pure. I always felt attracted with techno to how it doesn’t have too much of a “front image”. The people making the music, we don’t know where they come from, it’s all about the purity of music.

CN: Yeah, summed up in the NME with the phrase “faceless techno bollocks”, which rather like all those other words, like “jungle”, which starts off as a put-down but you sort of embrace it: “faceless techno bollocks”, what a brilliant idea! With the first Immersion record, we just pretended to be from Germany and we had publicity photos with wigs and masks, we had made-up names. If you’re a record company, you just release records: they could be by anybody. That was the first Immersion album, “Oscillating”.

IM : You also put out a remix album at almost the same time, didn’t you?

MS: It was really easy at the time. There were lots of electronic musicians, people were open, you’d ask someone, “Yeah, I’ll do you a remix!”

CN: It was Robin (Rimbaud, a.k.a. Scanner) that started it. We were walking in Battersea Park and he said, “I’ll do you a remix!” Oh, alright! Then we thought that would be an excuse to put out twelve-inches. We did two volumes of remixes and by the second one, we were getting slightly bigger names in the techno world doing remixes for us, like Claude Young, and those records were selling! Fat Cat Records had a shop in Covent Garden, and basically you’d manufacture some extra white labels, give them to Fat Cat, and they would sell them to all the top DJs.

MS: So it kind of spread naturally. I like the way it was so organic. Now everything goes through the industry and it’s impossible to break out of that kind of trap.

CN: And we started to have a reputation within dance music that was nothing to do with our history, just as this label that puts out cool music. The next thing that happened was that Gez Varley from LFO got in contact with us and he said, “I’ve got these tracks and Warp don’t want to put it out because they want to be all ‘listening music’ and I want to to do dancefloor.” And I remember listening to his cassette while going to pick up our son Ben from school in the car, listening to the first track, “Quo Vadis”, and I just thought, “This is pop music!”

MS: He called himself G-Man. And we did really well with it. I mean, people still play “Quo Vadis”. I heard it in Japan, when Wire played a gig and there was someone playing earlier, I don’t think he connected you with the track, but he played “Quo Vadis” and I thought, “Wow! People are still playing it!”

CN: It’s just an absolutely classic bit of danceable minimal techno and DJs loved it. So by this point we had a fearsome reputation but didn’t want to stick in one style. And then drum’n’bass happened. We were biiiiig on drum’n’bass. Techno was sort of American, but drum’n’bass was just London music, and it was kind of exciting like the 70s punk thing: suddenly you have this unbelievable explosion of energy. There was a point in the mid-90s when, to be honest, drum’n’bass was the only music that you needed. We made a little bit of it ourselves, but then we started working with Ronnie & Clyde, who were sort of the more intellectual side of breakbeat or pushing into a different kind of area. We put out some other stuff that was kind of more downtempo, and then towards the end of the 90s, we started to get involved in the whole post-rock thing. We charted a course through the 90s, starting with ambient techno and ended up with post-rock. It was all about what was going on: if you’re a label, you’ve got to be contemporary.

IM : It reminds me of something you said earlier. You talked about this thread of music that runs from neoclassical through all these other things, and you didn’t have a name for it. But it’s something I often think about: that there’s a line you could draw through stuff like John Cage, through what Brian Eno was doing in the 1970s and what a lot of the most interesting bands of the punk era were doing. It’s like a parallel history outside that classic rock canon.

MS: Didn’t everything change because of streaming. It changed how far it can reach and how it works.

CN: I think the fundamental change is in where the power lies. For example, the rise of instrumental music in the 90s meant that artists didn’t have to be from America or the UK to be international artists, and that thing has really been completed now with streaming, where you have what they call “glocalism”, where artists can do really well in their territory and spread out. At the same time, the industry is absolutely petrified and they’re doing everything they can to hang on — I’m talking about the major labels and the large independents — to the way it was. There’s definitely been a devolution of power and that has to be accelerated.

IM : You said that collaboration is something that became important when you started working together, and it seems like that’s grown a lot over they years. It’s obviously a big part of what Nanocluster is.

MS: It’s a fascinating area, because after so many years of making music, you get pushed out of your comfort zone because you’re working with a person you might not even know very well. So to kind of find yourself somewhere else and to try to go towards what they do, it opens you up and gives you ways forward with more options. Every collaboration takes us somewhere else.

CN: Wire happened again through the 00s, we had a parallel project, Githead, which was also a band, and we moved to Brighton ten years ago. We made a decision when we got to Brighton that we would reactivate Immersion because the equipment was quite modest and we could just play gigs together. Immersion’s last album (“Low Impact”) had come out in 1999 and the next one came out in 2016. It’s a long time between records, but that offered us a space to just get on and do stuff, so we did an album, which we initially released as two 10-inches and then compiled onto a CD — like analogue creatures living on an island, which was actually the title (the EPs “Analogue Creatures” and “Living On An Island” which were compiled into the album “Analogue Creatures Living On An Island”). So we were already starting to feel the alienation of Brexit in that title.

IM : I was listening to that earlier today and that struck me. I saw “Living On An Island”, then the date 2016 and thought, “Oh yeah, I know that feeling!”

MS: There was a really strong feeling at the time of the Brexit vote that we’re on an island, kind of separate from everything.

CN: And we live next to the sea, too.

MS: Yeah, which gives you a kind of hope and optimism at the same time.

CN: We did a few gigs, maybe a couple of festivals, but there wasn’t a lot going on with it. But someone we knew in Brighton had told us, “If you’re in Brighton, you need to create your own scene.” It can be quite divided-up.

MS: There’s LOTS of musicians!

CN: Lots of musicians! So we thought, “Well what does that mean? How can we create a scene? Let’s create a night in a club, but how can we make that different to anybody else’s? Well let’s have a collaborative element in it.” We’d known Tarwater for absolutely years, right from the early days of the Berlin scene, and we thought, “We’ll find a venue, do Tarwater and Immersion collaborating together. They can stay with us for a couple of days, we can work out the pieces together.” And it worked.

MS: And we could record it in our studio while we were rehearsing, so we had a basic recording of it.

CN: We did it at The Rose Hill, which is a small community venue that holds about 110 people — easy to fill it up with the right thing.

IM : How does the collaboration come about? Is there improvisation, or more prior preparation?

MS: We approach the artist and say, “We’ll send you three very basic ideas, you send us three basic ideas: try and put something on it that you come up with.” And we kind of build it, but not too far. Then we get together and sort of complete it in a way. It’s different every time, but that’s the basic structure. It’s not improvisation at all, but it’s not so complete that there isn’t a kind of tension about “Is it going to work? Is it going to be good live?”

CN: The next person we thought of was Laetitia Sadier. There’s something called “Krautrock Karaoke”.

MS: It’s someone from Japan who’s been living in London for a long time, and he’s been organising nights where people from different bands get together and play a version of krautrock. It’s fun!

CN: We did one with Laetitia Sadier. She came with not only the competence of her guitar playing: she’d actually learned all the parts, which is more than we’d ever done! It was amazing. So we thought maybe if we ask her, she’ll do a Nanocluster set.

MS: And she came over, stayed here, worked on material, and yeah, it was good.

CN: We know a lot of people, some of them just because we’re fans. There was a point when Ulrich Schnauss was making some of the best music on the planet, and then Robin Rimbaud, Scanner, of course who was in Githead. We’ve known him for years.

MS: And since then, we’ve been collaborating further and further afield and come up with more weird ideas that maybe shouldn’t work on paper.

CN: And then suddenly the pandemic hit, it was May 2020, we had these four collaborations, absolutely nothing else to do, so we thought, “Let’s finish the record.” And that was a difficult decision because Malka and I had never worked on mixing an album before. It was a real eye-opener: it was at that point the best mixed record that had come out of our studio, in my opinion, and it was because we were doing everything as a collaboration.

MS: It was kind of influenced by the radio show as well. When we play a lot of songs from different genres, we hear sounds, how things are put together, and it does unconsciously influence how we work.

CN: Absolutely. So we put that out in 2021, to some critical acclaim but in the middle of a pandemic you can’t do anything about promoting it much. All the gigs had been done already, so a bit difficult to tour it. And anyway, if any musicians in 2021-2022 were thinking about touring, they were thinking about touring themselves.

IM : Given the pandemic situation, how were you able to work together with the artists on the album?

CN: Everything was recorded beforehand.

MS: So while we rehearse, we record, and that becomes the base to work on. Now we’re working on stuff that they send us, and I don’t think something physical, in a room, is going to happen for this next collaboration (2025’s “Nanocluster vol. 3” with SUSS). So it depends. There’s always a way to finish studio work, whether we send parts to each other or peeople are physically here.

IM : This is also part of the way the project has evolved, by the sound of it. When you started, it was musicians in Brighton or who could travel easily, but as you start looking further afield for artists to work with, maybe that changes the process.

CN: Absolutely. What happened was that we put the first one out and then we thought “How do we move that on to the next layer?” Because we’d spoken to a lot of people but none of them were in Brighton, and the post-pandemic period was one when people were very much looking at their own careers. Doing stuff with us could be seen as a luxury. So we thought, “How can we do this another way?” We know quite well one of the main organisers of South By Southwest, James Minor, and we thought, “OK, why don’t we do something there?”

MS: It was quite scary because we have to travel to Austin and somehow create music with someone already there, so how do you do it? Then we saw Thor Harris on the list: he’s local, he plays percussion and seemed like it might be easy to make something together.

CN: And he’s very much in the American minimalist world.

MS: And he’s a natural collaborator.

CN: Thor was really up for it, we exchanged some material so we had something to build on when we got there. We ended up rehearsing in his house — the house that he built himself because he’s not only a very competent musician: he’s also a very competent carpenter, plumber and odd-job man, who also has this amazing social conscience.

MS: He’s an amazing guy. It was a great experience to work in his house. Everybody knows him in Austin.

CN: It was a bit of a baptism of fire in terms of the actual performance. We ended up playing at Hotel Vegas. We had to set up a table with all our gear on, in semi-darkness with drunk people falling all over us.

MS: It’s the beauty of the collaboration: each experience is different and each experience takes you somewhere you wouldn’t otherwise be. That feeling is quite addictive because we love making music together but to be pulled into someone else’s world as well is special.

IM : That’s one of the things that I find interesting, hearing the Nanocluster albums as a listener: it’s the feeling of all the musical egos dissolving into each other. Even though there’s a lot of people involved and the collaborator is switching with each side of the record or each disc, quite a coherent atmosphere comes out of it. The opposite of how you described working with Wire where each person’s role is very clearly fixed and separated.

MS: We do hear from people that even though there’s different collaborators, there’s a fullness to the sound.

CN: I guess that’s also how we mix it in the end.

MS: But not only that: we bring something human-wise where we connect with the person. It’s always ended up being a friendship.

CN: I mean we try to create a space for the person but we set a context. That’s actually one of Bruce Gilbert from Wire’s big statements about life and art: “Context is all.” I always hate what I call “big boy production” where you hear a record and you know there’s been a “producer” involved because it’s got that ego about it. If you’re working on production, you should be taking away the barrier between the music and the person listening to it: you should make it easy for the person to hear what’s in the music. It’s not about making yourself sound good, or about making this other person sound good: it’s about the whole thing.

IM : Why did you choose the name Swim~ for the label?

MS: Why not? (Laughs) I mean we always look for good sounding names. I suppose we always float easily between the worlds of different people. I don’t know, though. That’s something that comes after the fact. What do you think when you hear the name?

IM : It reminds me of Brian Eno. Water is such a recurring theme in his music, and I felt he does something a little similar to what I hear in Immersion. You’re both musicians who are known as singers in your other bands, but here you’ve stripped away the vocals in a lot of it. So it’s like taking away the pop star or rock star ego and finding some more fluid space where other things could happen.

MS: We had a compilation called Water Communication, so water seems to be a theme that keeps coming back. And now we live by the sea.

CN: This kind of brings us back to Jack (Wolter, a.k.a. Cubzoa), the other collaboration on Nanocluster Volume 2. I think it was back in 2021, when people were starting to have gigs again, and we went to The Rose Hill and we were really impressed by Cubzoa.

MS: He ended up sending us songs, and we thought, “What are we going to do?” because songs are quite complete things. Normally we start from something more basic, but it was an interesting challenge and I think it turned out really well.

CN: And the other thing was we did something that we had so far not done with Nanocluster, which is bash out some material between us because we didn’t have enough material at first. It was a quite spectacular success. They were quite different to his songs.

MS: It helps that he’s such a nice guy to be with. The human side is so important.

IM : With the last one, there were four artists, with each getting one side of the 10-inch but with the second one it’s just two, with one artist per disc.

MS: It’s not something we decided in advance, but it became obvious as we worked that there’s enough material. In the future it might be just one collaboration (Note: this ended up being the case with “Nanocluster vol.3” with SUSS).

CN: There’s no rule. Though we like the double ten-inch. The idea for it came about through two entirely practical reasons. One was that when we manufactured the first album, pressing 12-inch vinyl was taking absolutely months when you could do 10-inches much quicker. And then also on the first album there were four really different projects. So we thought, “If each one gets their own side, it’ll make a natural division between them.”

MS: And it’s more interesting for the artists, too.

CN: Yeah, if they’ve got their own separate things. And of course with the digital release, they are separate EPs as well. With streaming, the trend seems to be towards shorter releases. You’ll notice that someone releases an album with like twenty tracks, but only one or two will get attention and the rest will be ignored because there’s a bit of a short attention span in streaming. So we thought separate EPs and then perhaps different people will tend more towards one or towards another one. But it’s just about the medium, really.

IM : And I guess with the second one, each artist having more space to play with takes it to a different place than with a smaller, EP-length canvas.

MS: Yeah, there’s more expression for each artist to contribute.

IM : One thing that seems to run through your work now is a respect for independent ownership. I think even with Wire now the band owns most of its catalogue, is that right?

CN: We don’t own the 80s stuff and we don’t own the publishing on the 70s or 80s stuff, but we own the masters on the 70s stuff and we own everything since 2000. Some of the artists that we’ve released on Swim have taken back their own rights and others don’t seem to be bothered so much, but we’re happy to give back the rights. We don’t need to be hanging onto other people’s music.

MS: With you, it’s really important to have ownership because you became much more aware about how big labels can really…

CN: It’s made a massive difference to us personally. Of course I talk from a very priveliged position because it just so happens that Wire’s 70s material caught generation after generation. It’s not a static thing where the only people who listen to Wire’s music from the 70s are contemporaries of when it came out. It seems to go down the generations and catch younger audiences as well, so it’s a dynamic thing. And that audience, from what I can see in the streaming figures, is growing, not diminishing. So owning the master rights and getting the majority of the money into the band gives you a living. I mean people of the age of the original members, if they’d gone into the civil service, could easily be making much more money, but a lot of musicians in their sixties, seventies and eighties are struggling. Having to go on tour in poor conditions because if they don’t go on tour, they can’t pay their rent.

MS: There is an avantage and a disadvantage in that we own everything that we make together. We don’t have the power of an external label that can maybe push it more.

CN: It does cost money. You have to spend money on promotion, you have to spend money on manufacturing and all the rest of it. But, for example one of the collaborations that we’ve already started is with a band who are based in Brighton called Holiday Ghosts — with Sam and Kat. We’re two couples and we get on really well. He’s in his early thirties, and they know how to book a tour: they don’t have any problem with that kind of stuff. Musicians of my generation would not have even the first idea how to book a tour.

MS: I mean it’s so hard for bands nowadays, they have to be.

CN: They have to be! And since the pandemic, the industry has squeezed the musicians.

IM : It feels similar in Japan, where there’s a before and after where something accelerated massively over those years. Young musicians seem like such good businesspeople, and I sort of admire them but I kind of feel sorry for them that this has had to happen to them.

MS: Yeah, the freedom of just being a musician is amazing.

Sam Prekop - ele-king

 ザ・シー・アンド・ケイクのサム・プレコップがソロ・アルバム『OPEN CLOSE』を発表。マスタリング・エンジニアとしてテイラー・デュプリーが参加。前作『The Sparrow』からは約3年振りとなる、待望の新作となる。9月26日(金)にシカゴの名門インディー・レーベル〈Thrill Jockey〉と、これまた日本の名門レーベル〈HEADZ〉よりCD盤のリリースも予定されている。なお、日本盤のみ完全未発表の新曲をボーナス・トラックとして追加収録予定。

 サム・プレコップはララージとのツーマンを5月にサンフランシスコにて実施しており、この公演に向けて作曲された楽曲が収録されているとのこと。ザ・シー・アンド・ケイク結成から30年以上、ソロ・デビューから四半世紀を迎えた熟練者の新境地が垣間見える内容に期待が高まります。

Artist : SAM PREKOP
Title : OPEN CLOSE
label : THRILL JOCKEY / HEADZ
Format : CD / Digital
Release Date:2025年9月26日(金)

Tracklist:

1. OPEN CLOSE
2. FONT
3. PARA
4. LIGHT SHADOW
5. A BOOK
6. OPERA
7. MIRROR CHOICE
8. DIVISIONS ADD

Tracks 7, 8 … 日本盤のみのボーナス・トラック

Written and recorded by Sam Prekop in Chicago Summer Fall 2024 Winter 2025
Mixed with John McEntire
Mastered by Taylor Deupree
Cover Photo by Sam Prekop, California 2025
Back Cover drawing by Sam Prekop, November 2024

interview with Meitei - ele-king


冥丁
泉涌

KITCHEN. LABEL / インパートメント

Ambient

Amazon Tower HMV disk union

 冥丁の新作『泉涌(センニュウ)』がすこぶるいい。
 これまで『古風』シリーズなどをとおし、サウンド的にもイメージ的にも過去の日本を喚起してきた彼のニュー・アルバムは、相変わらず日本を題材にしている。けれども今回は、少なくともサウンド面ではわかりやすく「和」のイメージが濫用されたり前面に押しだされたりしているわけではない。現実に存在する別府のいくつかの温泉──という具体的なものがテーマとなったからだろうか。強く印象に残るのはやはり、水(湯)の音……新作はダイレクトに耳を楽しませてくれる豊かな音響工作をもつ一方で、いまにも霧(湯気?)の彼方へと消え去ってしまいそうな、はかなげな感覚も同時にそなえている。フィールド・レコーディングやサンプリングを駆使して丁寧に練り上げられた音の数々からは、たしかに冥丁が新たな道へと踏み出したことが伝わってくる。「これまでの冥丁が、日本というものの主題歌をつくっていたとしたら、今回は日本の劇伴をつくった」とは本人の弁だが、もしかしたらその「劇伴」というあり方が今後、新シリーズ「失日本百景」の核のようなものになっていくのかもしれない。
 ポイントはもうひとつある。これまで冥丁の音楽はしばしばアンビエントないし環境音楽としてとらえられることもあった。じっさいは日本版ボーズ・オブ・カナダというか、むしろエレクトロニカの文脈で整理したほうが齟齬が少なかったような気もするし、華やかな “花魁I” に顕著なように、その音楽には騒々しい側面だってあったわけで(ちなみに冥丁のライヴはかなりノイジーでラウドだ)、本人としては歯がゆい思いを抱いてきたにちがいない。
 そんな彼が今回、「初めて自分でもアンビエントや環境音楽と呼べるものをつくったと思います」と言っている。つまり『泉涌』では冥丁の考えるアンビエント/環境音楽が具現化されているわけだ。その様相をぜひ、自分の耳で確認してみてほしい。

今回は完全にそうですね。初めて自分でもアンビエントや環境音楽と呼べるものをつくったと思います。

新作はずばり温泉がテーマですが、そもそもどういうところから今回の作品ははじまったんですか?

冥丁:大分の別府に竹瓦温泉という有名な温泉があるんですが、去年の夏ツアーをしたときに、そこの二階を使用させていただいたんですね。ものすごく暑い環境でのライヴだったんですが、そのときの主催者が深川謙蔵さんという方で。彼がぼくの音楽をとても気に入ってくださったんです。それで、今後もなにか冥丁さんといっしょにやりたいです、というお話をいただいたので、ぜひ、と。ちょうどその秋、別府市制100周年記念の事業がありまして、その一環としてその温泉の音楽を1曲つくってほしい、というオファーでした。それでまた去年の11月に別府に滞在することになったんですが、そのときは山田別荘という築100年以上の別府北浜の名旅館に泊まることになって、制作がはじまって……という経緯です。

当初は1曲のみだったんですね。

冥丁:はい。せっかく行くんだから収音エンジニアの方にもお声がけしました(いつも九州での公演でお世話になっている Herbay の音響技師、岩崎さん)。いろんな音をとったほうがいいだろうと考えて。それで、ちょっとお手伝いというか、今回は自分ひとりで全部やったわけではなくて、写真家の方と収音エンジニアの方とプロデューサーの方、ぼくを入れて計4人で行くことになりました。これ、見えますかね?(と画面越しに写真集を見せる)

見えます見えます、温泉の写真集ですか?

冥丁:今回、音源だけでなく写真集もリリースするんです。別府での今作の制作過程を記録した内容で。

写真集までつくろうと思ったのはなぜですか?

冥丁:謙蔵さんはいろいろ活躍されている方で、AKANEKO というチームを組織して、別府でフェスを企画されたりもしているんです。そのチームのなかにカメラマン、動画撮影ができる方もいらっしゃって。ぼくが滞在して制作するにあたって、そのいろんな過程を記録に残しておきたい、という話になったんです。それで常時ぼくの近くにカメラマンの方がいる感じだったんですが、岡本裕志さんという写真家の方もそのチームにはいて。どんな写真が撮れているのかのぞいてみたら、めちゃくちゃよかったんです。そしたら謙蔵さんも「写真集出すのもいいですね」とおっしゃって。もうこれはレーベルのひとともきちんと話して、写真集の話を進めようと。ちなみに動画のほうもいま準備している段階です。

その深川謙蔵さんという方は、冥丁さんにお声がけするくらいですから、やはり音楽であったりカルチャーに造詣が深い方なんですよね。

冥丁:そうですね。飲食店を経営しつつ、先ほどの AKANEKO を率いてイベントをやったり。もちろん音楽は大好きで。彼のバー(TANNEL)に行くと、個性的な音響システムがあって。みんなでレコードを聴きながら乾杯している風景がよく見られる場所ですね。別府って地方都市の田舎の町ではあるんですけど、いろんな場所から訪れる方や移住者の方も多くて、大学もあるから若者もいますし、すごくエネルギーが高くて、音楽とかにも敏感なひとが途切れない印象でしたね。ユニークなお店、ユニークなひとが多くて。

これまでの冥丁が、日本というものの主題歌(テーマ・ソング)をつくっていたとしたら、今回は日本の劇伴をつくったような、そんなちがいだと思いました。

新作は、これまで以上に水の音が印象に残りました。温泉ですので当たり前と言えば当たり前なんですが。

冥丁:これまでも水の音はたくさん使っていたんですが、今回音楽制作に入ったとき、温泉が目の前にある風景ばかり見ていましたので、やはりその音っていうのは強く印象に残っていますね。山田別荘には内湯(うちゆ)の温泉があるんです。そこが非常にいいところで、古い温泉ですから、旅館自体も経年変化した特有の味があって、写真集にも載せているんですが、とくに夜がすごいんです。お風呂の底が真っ黒で、なんといえばいいのか、あの世に行くかのような、闇のなかに落ちていくかのような感じがするんですよ。深夜二時くらいに入ったことがあって、ぼく以外だれも入浴していなくて、もうなんてすごい空間なんだろうと思って。そのとき、お湯が浴槽から外にあふれ出て、ちょろちょろと鳴っていて。その音がめちゃくちゃよくて。すごく肉感があるというか、ASMR的ともいえるんですが、それを活かして音楽をつくることができないか、と。今回、アルバムの最後からひとつ手前に、お湯の音しか使っていない、1分くらいの曲があります(“泉涌 - お湯”)。もうただお湯の音が鳴っていれば十分なのではないかと、そう思わせるくらいその温泉での体験が大きかった。だから今回、水の音を邪魔しないように作曲でも心がけました。
 温泉音楽というか、じっさいに温泉に浸ったときに感じられるような気配や空気を表現するというか……温泉をエンターテインメントとして表現するのではなく、温泉に入って体感しているときの角度から見た音楽というか。だから、温泉の高さに合わせてつくっているので、ふつうの音楽より低い位置にあるような音楽になっているのではないかと、自分では思っています。

温泉は1か所のみではなく、複数行かれたんですよね?

冥丁:そうです、いくつか。8か所か9か所くらいですね。録音目的で行ったのは4、5か所です。

温泉によって音にも個性というか、ちがいがあるんですか?

冥丁:これはね、すごくおもしろいことで、まったくちがうんです。ぼくが公演をやったのは竹瓦温泉の二階なんですが、一階にも歴史的な温泉があって。そのなかにスピーカーをもっていって、温泉に入りながらできあがったばかりの曲を聴いてもらうっていう企画をやったんです。おなじことを別府市内の竹瓦温泉以外の温泉でもやって。やっぱり温泉によってリヴァーブの鳴りがちがいますよね。この温泉だとこう聞こえる、あの温泉だとこう聞こえるっている。コンサートホールの響きともまるで異なる響きで。そこで知って学んだ響きを、ミキシングの段階でもかなり活かしたつもりです。

じっさいの温泉でこのアルバムの音を鳴らしたら、もともとそこで鳴っている音と干渉したりしないんでしょうか?

冥丁:します、します。反響して、いろんな角度に音が飛んでいって、それが湯けむりに包まれているような感覚になるんです。

なるほど。今回はかつてない状況での録音、制作だったわけですが、いちばん苦労した点はなんでしたか?

冥丁:もう睡眠時間ですね。毎日1、2時間しかなかったので。なぜそうなってしまったかというと、ぼくは一応の肩書としては「音楽家」「作曲家」ということになるんだと思うんですけど、当人としては「ディレクター」のほうが合っていると思っているんです。今回の企画も、写真家の方がいて、フィールド・レコーディングをする方がいて、場所を押さえてくれる方がいて。ぼくはそこでみんなを巻きこんでいく役割のほうがおもしろいんじゃないかということに気づいたんです。音楽をつくりながら、被写体でもあり監督でもあるというか。だから今回は、たんに曲をつくって帰るのではなく、ひとつ世界をつくって帰る感じで。それで、現場でつねに「あれをこうして」って指示しながら、手探りで、試行錯誤して世界をつくっていった。1週間という限られた時間しかなかったので、そういうことを朝の5時から夜の2時までやっていたんです。

それは大変でしたね。帰ってからの、ポスト・プロダクションの過程はどうでしたか?

冥丁:曲の大まかなラインはできていましたので、あとはつくりこんでいく段階ですが、音がくっきりしすぎていると、温泉のなかにいるのではなく、温泉を観ながら描いた絵、スケッチのような感じになってしまって。リアリティを出そうと思ったときに、逆に音をぼやけさせるようにしました。だからマスタリング・エンジニアの方(ステファン・マシュー)には位相がズレすぎていると指摘されましたね。これはレコードにできないかもしれない、って。それでまた調整したりしたんですが、やっぱり位相がズレていないと、あの別府の温泉の雰囲気にはならないんです。それで、ぼやかしながらもちゃんと聴ける音楽にする、ということはすごく心がけましたね。

なるほど。

冥丁:温泉というのは鉱脈的で、マグマからの水蒸気や水分が地上に噴出している状態にあります。そして、泉源からはつねに高温の熱風、シューッという音の蒸気が吹き出しています。これは『泉涌』のB面で聴いていただけますが、とくに “四湯” ではマグマの音のように、地中から湧いているエネルギー、90度を超える熱をもった音を素材として生かしています。ちょうどぼくがそこを訪問した日は大雨だったので、そのような印象も楽曲にあらわれているかと思います。
 ちなみにアルバムを再生して最初に聞こえてくる音は、じつは水琴窟です。そういう鉱脈的なものの響きを表現するのになにがいいか探ったときに、人工的な穴から聞こえてくる水琴窟の音もまた、じぶんのなかでつじつまが合ったんです。たぶんもはや水琴窟には聞こえないと思うんですが。
 そういうふうに、温泉がもつ「館や家屋」としての視覚的な趣や風情の部分から、さらには地脈を辿るところまで、国産素材の自然や大地の動きも『泉涌』では表現しています。こういう「自然物や存在の日本的歴史」は音楽と関係がない印象を受けるかもしれませんが、冥丁にとってはこれも「失日本」で、だからこれは「失日本百景」として公にすべきところだと思った次第です。

「どう音楽がつくられていくべきなのか」ということを作者自身が考えながらディレクションしていくことが必要というか、『泉涌』はそういうことが打ち出せた企画かなと思います。

冥丁さんの音楽は「アンビエント」とくくられることもあって、ご本人としてはそれに抵抗もあったと思うんですが、今回はストレートにアンビエントと呼んでもいいサウンドに仕上がっているように感じました。もしくは環境音楽というか。

冥丁:いやもう、今回は完全にそうですね。初めて自分でもアンビエントや環境音楽と呼べるものをつくったと思います。ほんとうにそこにいたからこそできた、温泉という環境ありきの音楽で。今回、タイトルの『泉涌(センニュウ)』にはサブタイトルがあります。「失日本百景」というサブタイトルです。日本の憧憬ですね。日本の景色とか景観とか。そういったものを音楽にしていくには、日本の環境をもとにつくっていくというのは必然でした。今回はまさにアンビエント・ミュージックです。ただ、いわゆるアンビエントのジャンルやシーンに貢献するようなアンビエント・ミュージックではありません。音楽シーンとは無縁な状態で、別府の環境や自然、そして街の温泉の利用者が長年積み重ねてきた風情から今回の音楽は生まれました。ですのでシーンとは接点がないですが、ぼく自身は音楽リスナーでもあるので、作曲にそういった経験則が残っているとは思います。
 ちなみにやはりこれまでの作品、『古風』などもアンビエントではないと自分では思っています。なぜかわからないんですが、ぼくの音楽を聴いて「癒される」って感想をもたれる方が多くて。「奇妙な」とか「ちょっと不穏な」みたいな感想だったらぼくもわかるんですが、自分としては癒そうとしたことは一度もなくて。

これまで二度ライヴを拝見しましたが、とにかくノイズが強烈ですよね。そうじゃないセットのときもあるんだとは思いますが、冥丁さんの音楽はむしろノイズ・ミュージックと並べられるほうがふさわしいんじゃないかと、少なくともライヴではそういう印象です。

冥丁:ライヴではけっこうラウドな音楽をやっていますね。あまりそういう部分が知られていないのかもしれません。

「失日本百景」も「失日本」ではあるわけですよね。ですが今回の新作は、これまでの作品ほどわかりやすく日本っぽさは出ていないように感じました。

冥丁:これまでの冥丁が、日本というものの主題歌(テーマ・ソング)をつくっていたとしたら、今回は日本の劇伴をつくったような、そんなちがいだと思いました。主題性があるものと、物語(環境)を劇伴するものとでは、きっと音楽の出力の種類も異なるのかもしれません。それに今回は、別府という場所に滞在したからこそ生まれた、地産地消的な音楽作品にもなっています。

「失日本百景」ということで新章がはじまったわけですが、ということはすでに今後のアイディアや予定もあったり?

冥丁:「失日本」自体が、自分の日本にたいする印象の模索というか。これまではそれを音に訳すイメージでしたけど、今回は別府の温泉という明確な対象がいて、その印象を音に訳している。そこは音として出力されたときにけっこうちがいがあるのかなと思いました。「失日本百景」はそういう、特定の場所、その環境に行って、それを音楽にしようというテーマですので、今回のように集音する方、写真家の方、地元でのさまざまな経験や出会いの機会をアレンジできるプロデューサーの方もいっしょに、そういうのをセットでつづけていけたら、と現段階では想像しています。今回の『泉涌』は予算も限られていたなかでの企画でしたが、年々異なるアイディアで新たな音楽企画へと成長させていく計画も進めています。音楽の力を借りて、日本にたいしてどんなアプローチができるかを年々追及していくような活動をしていきたいと思っています。秋にはまた新たに成長したおもしろいことをやる予定です。

たしかに特定の場所があるというのは、大きなちがいかもしれませんね。

冥丁:日本のなにかの印象を音でつくってくれと言われたときに、これまでだと自分のなかで完結している気がするんですが、今回はやはり温泉に入ったときの感じを再現することが重要でしたので。

これまでの「失日本」が過去をテーマにしていたとしたら、今回は現在がテーマともいえるかなとも思いました。

冥丁:ある意味そうですね。『古風』編は、じっさいに過去の音源も使っていますし、わかりやすく「過去」という感じですけど、今回はほとんどが環境音で構成されているので、これまでぼくがやってきた音楽とはちょっとちがってきているとは思います。日本の「幽か」な感じ、幽玄さであったり、日本人がもっているような「わびさび」の感覚を、今回は冥丁作品のなかに新たなヴァリエーションの一種として組み込みに行った気持ちではいます。
 現代は、ふつうに音楽をつくること自体はだれでもできる時代ですよね。そうなってくると、「どう音楽がつくられていくべきなのか」ということを作者自身が考えながらディレクションしていくことが必要というか、『泉涌』はそういうことが打ち出せた企画かなと思います。

最後に、今後のご予定を教えてください。

冥丁:8月の13日に代官山蔦屋でトークショウをやります。その翌日、14日には京都の「しばし」というお店で、昼と夜の二部制でイベントをやります。インスタグラムをチェックしていただけると嬉しいです。それと、『泉涌』は写真集があるのもポイントですので、ぜひ写真集もチェックしてもらえると嬉しいです。

冥丁『泉涌』発売記念イベント情報

【東京】冥丁『泉涌』アルバム&写真集 発売記念トークショー&サイン会
■開催日時:2025年8月13日(水) 19:00~
■会場 : 代官山 蔦屋書店 3号館2階 SHARE LOUNGE
■イベント参加券:2,200円(*商品とのセット券もございます。)
■イベント・参加券購入詳細
https://store.tsite.jp/daikanyama/event/music/48659-2208420718.html

【京都】冥丁 新作発売記念鑑賞会
■開催日:2025年8月14日(木)
■時間(昼夜2部制):
明: OPEN 15:00 / START 15:30
暗: OPEN 18:30 / START 10:00
■会場:しばし
■チケット: 2000円
■詳細・チケット販売
※ 追加席(若干数)を8/9(土)正午よりPeatixにて販売
https://meiteievent.peatix.com/

出演情報
8/16(土)Mural Groove Fiction @代官山ORD
https://t.livepocket.jp/e/g4aq5

CIRCUS - ele-king

 かつてSimoon、Amate-raxiといったクラブが運営されていた地に、大阪より進出する形でCIRCUS TOKYOがオープンして今年で10周年を迎える。その10年の足跡を総括するかのようなアニヴァーサリー・フェスが、10月4日にお台場青海地区にて開催。

 ヘッドライナーにTohji, SKIN ON SKIN, underscoresといった面々を国内外から迎え、ほかにはFUMIYA TANAKAやSOICHI TERADAといったジャパニーズ・レジェンドからイグルーゴースト、Vegyn、DJ Qといった世界的に支持を集めるDJ、Peterparker69PAS TASTA、lilbesh ramkoのようなハイパーポップ・ムーヴメント以降登場した新星までを横断的に招聘。もちろんSAMO、okadadaといった実力派のローカルDJも。CIRCUS TOKYOの多面性を象徴した面々が集う、ありそうでなかったラインナップとなっています。

 また、CIRCUSと縁深い〈Beginning〉〈ENSITE〉〈FULLHOUSE〉〈RIP〉といった名物パーティの名前がクレジットされてることも特徴的。ハウス・ミュージックからヒップホップまで、ジャンルレスに多様化を続けるクラブ・ミュージックの趨勢を肌で感じられる内容となるはず。前売チケットはぴあ、RAにて販売中。

CIRCUS -CIRCUS Tokyo 10th anniversary-
DATE:2025.10.4 (SAT)
OPEN/START:10:00
CLOSE:21:00

LINE UP:(A-Z)
FUMIYA TANAKA
HEAVEN
Iglooghost
lilbesh ramko
okadada
PAS TASTA -DJ SET-
Peterparker69
DJ Q
Qrion
ralph
ryota
SAMO
DJ SEINFELD
SKIN ON SKIN
SOICHI TERADA
Tohji
underscores
Vegyn

Beginning
ENSITE
FULLHOUSE
RIP

VENUE:
お台場青海地区P区画(〒135-0064 東京都江東区青海1-1-16)

最寄駅:
ゆりかもめ / 台場駅
ゆりかもめ / 東京国際クルーズターミナル駅
りんかい線/東京テレポート駅

前売り券:¥9,000
※入場時、別途1ドリンク代(¥800)を頂戴いたします。

チケット・プレイガイド:
ぴあ
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2528328
RA
https://ja.ra.co/events/2218830

※雨天決行・荒天中止

【チケットに関する注意事項】
・本券は1名様のみ有効です。
・再入場の可否は後日公式SNS・HPにてご案内いたします。
・出演者の変更・キャンセルによる払い戻しは行いません。
・会場内の映像・写真が公開・使用される場合があります。あらかじめご了承ください。
・チケットの再発行はできません。紛失・破損にご注意ください。
・チケットの転売・譲渡は禁止です。発覚した場合は入場をお断りいたします。

【開催に関する注意事項】
・屋外開催のため、雨具・防寒具・熱中症対策を各自ご用意ください。
・ゴミは必ず指定の分別回収場所へ。持ち帰りのご協力をお願いします。
・会場内外で発生した事故・盗難・怪我等に関して主催者は責任を負いかねます。
・ペット同伴での入場はできません(介助犬・盲導犬は除く)。
・喫煙は所定のエリアにてお願いいたします。

【未成年者のご来場について】
・小学生以下の入場はできません。
・中学生は保護者同伴に限り入場可能です。
・中学生以上はチケットが必要です。
・飲酒・喫煙は法律で禁止されています。違反行為が確認された場合は即時退場いただきます。

more info:
https://circus-tokyo.jp/event/circus-circus-tokyo-10th-annversary/

interview with The Cosmic Tones Research Trio - ele-king

 アンビエント・ジャズというタームが人口に膾炙してからずいぶん経つ。元々両者の相性は悪くなかった。マイルス・デイヴィスの諸作——例えば『カインド・オブ・ブルー』(59年)でも『イン・ア・サイレント・ウェイ』(69年)でもいいが——を再生すれば、聴き込むことも聞き流すこともできるアンビエント的な感覚が息衝いていることが分かるだろう。あるいは、北欧ジャズの新世代に甚大な影響を与えたジョン・ハッセルや、LAのシンボリックな存在であるカルロス・ニーニョ、欧州の名門レーベル〈ECM〉のアイテムなどはジャズとアンビエントのあわいをいくような作品を多数発表している。
 最近は“ソフト・ラディカルズ”などとも呼ばれるこのカテゴリーだが、米国ポートランドを拠点とするザ・コズミック・トーンズ・リサーチ・トリオもその最前線に位置付けられるグループである。「音楽を通じての癒しと精神世界の探求」をコンセプトに活動するこの3人組は、アルト・サックス/パーカッション奏者のローマン・ノーフリート、チェロ奏者/マルチ・インストゥルメンタリストのハーラン・シルバーマン、ピアニスト/管楽器奏者のケネディ・ヴェレットから成り、全員が作曲に関与する。いわば民主的なグループだ。

 2023年のセルフ・タイトル・アルバムに続く『All is Sound』は、実際にメンバーが指導を受けたことのあるというファラオ・サンダースや、尊敬の念を抱いてきたアリス・コルトレーンの衣鉢を継ぎつつも、アンビエントからの影響を如実に感じさせる一枚。スピリチュアル・ジャズの瞑想的な側面を強調したようなサウンドが横溢している。インタヴューでは訊き忘れてしまったが、吉村弘や芦川聡といった日本の環境音楽から触発されたところもあるに違いない。
 ただ、彼らのルーツにはブルースやゴスペルもあるそうだ。なるほど、ほのかに香る土臭さや、教会音楽のような崇高さはその発現かもしれない。加えて、彼らの多楽器主義的な編成は、シカゴのジャズの根城である非営利団体・AACMを代表するグループ=アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(AEC)を連想させるところがある。AECは自分たちの音楽を“グレイト・ブラック・ミュージック”と称したことで有名だが、それはザ・コズミック・トーンズ・リサーチ・トリオにもあてはまる。つまり、彼らの作風はアンビエント・ジャズ的であると同時に、黒人音楽の精髄を凝縮した最良の成果でもあると言える。なお、10月には『All Is Sound』とは趣きの異なる新作がリリースされるとのこと。こちらも楽しみに待ちたい。 

つまり、音こそが神聖なものであり、宇宙であるという、音を神格化する考え方。宇宙のあらゆるものは振動によって構成されているというアイディア。この考えをさらに進めて『All is Sound』というタイトルになった。

メンバー3人が集まった経緯を教えてください。

ローマン:まず、僕とハーランと出逢ったのは彼がレジデンシーをやっている公演で、僕もその公演に参加する機会があったからなんだ。それ以来、僕たちはコラボレーションを続けている。ケネディも同じような状況で、彼とはコンサートで初めて逢ったんだ。彼の演奏がすごく素敵だったから、それ以降、一緒にやることになった。3人が集まったのは、僕らが住むオレゴン州ポートランドで、ビー・プレゼント・アート・グループ(Be Present Art Group)というコミュニティ/プロジェクトを介してだった。ハーランとケネディと何度も一緒に演奏をするようになり、音楽以外でも共に時間を過ごすようになって、関係性が深まっていったんだ。それに僕たちは、音楽やスピリチュアリティに対するアプローチが似ているんだよ。そういう経緯があって、ザ・コズミック・トーンズ・リサーチ・トリオを始めることにしたんだ。

ハーラン:僕たち3人が最初に会ったきっかけは、〈Mississippi Records〉が主催した、彼らのレコード・ショップでのコンサートでだった。お店の窓ガラスが誰かに割られてしまったから、そこの空気を浄化したい、コミュニティのみんなに集まってもらってポジティヴなバイブスにしたいということで、そのときにローマンが僕に声をかけてくれたんだ。彼はそのとき「このコンサートのために、普段よりももっと癒される感じの、瞑想的なことをやりたいんだ」と言ったのを覚えているよ。あのコンサートを一緒にやったときに、このグループの可能性を感じたんだ。その時に「この3人でグループを作って、活動を続けて行こう」と話したんだ。

3人ともパーカッションとフルートが演奏できるという編成は珍しいと思います。しかも全員が4種類以上の楽器ができる。意図してこのような編成にしたのですか? 個人的にはアート・アンサンブル・オブ・シカゴを連想しました。

ローマン:意図的にこういう編成にしたわけじゃなくて、自然な流れだったんだ。僕たちは音や楽器が大好きで、さまざまな楽器を演奏するのを愛好しているという共通点があったというだけでね。それは嬉しい偶然で、僕たちは仲良くなった。それから、アート・アンサンブル・オブ・シカゴは僕も大好きだよ。彼らが掲げた「Great Black Music」という表現は僕たちの音楽を説明するときにも使っている。僕たちの音楽も、先人たちや家族やブラザーたちの一部だということなんだ。

今回のアルバムについて、全体を束ねるテーマやコンセプトのようなものがあったら教えてください。

ハーラン:『All is Sound』に関しては、瞑想的なアルバムを作りたいということだった。それは明確な目的としてあったね。レコード・ショップでコンサートをやったとき、僕たちはドローン・サウンドをたくさん取り入れていた。そのときに、〈Mississippi Records〉の(創設者である)エリック(・アイザックソン)がこう言っていたんだ。「この店には、ドローン・サウンドや静かな音楽、リラックスできる音楽を求めて来る人たちがたくさんいる。もっとドローン系の音楽を置きたいと思ってる」と。それを聴いて思ったんだ。僕たちは3人とも、それぞれの活動を通して、音の研究をし続けてきたし、サウンド・ヒーリングも追求してきた。だからこのアルバムはそういった領域をテーマにしているんだ。

ローマン:ひとつだけつけ加えたいのは、元々、アルバムのタイトルにしようと考えていたのは『Nada Brahma』だったということ。つまり、音こそが神聖なものであり、宇宙であるという、音を神格化する考え方。宇宙のあらゆるものは振動によって構成されているというアイディア。この考えをさらに進めて『All is Sound』というタイトルになった。あらゆるものは音であり、僕たちも音であることから、僕たちはみんな調和していくことが可能だということ。このアルバムは、音を通して人々を団結させ、地球としてひとつになることが目的だったんだ。

曲作りのプロセスを教えてください。

ハーラン:このアルバムでは即興的要素が多かったね。3人でライヴ演奏をしたものを録音して、その後からオーバーダブを加えたりした。でも、例えば“Creation”という曲は、僕たちが3人が一堂に会してフルートを吹いているものが曲の中核となり、その後にオーヴァーダブを加えた。曲によっては部分的な音を持ち寄ってグループでワークショップしたものもあったけれど、このアルバムの大部分は即興だった。一つの部屋に集まってフルートを吹く。それがスタート地点だった。フルートやディジュリドゥといったさまざまな管楽器を取り入れたよ。

ゴスペルやブルースなどのブラック・ミュージックもルーツにあるとのことですが好きなミュージシャンやアルバム、そしてそれらがどのように本作に反映されていると思うかを教えてください。

ケネディ:そうだね、ミュージシャンで言うと、いちばん大きな影響を受けたのはジェイムズ・ブッカーだと思う。偉大なピアニスト/作曲家で、「ブラック・リベラーチェ」とも呼ばれている。彼はルイジアナ州ニューオーリンズ出身なんだ。僕もルイジアナで生まれて育ったから、ニューオーリンズには特別な思い入れがある。好きなジャズや音楽のスタイルも、あの土地の影響を強く受けているんだ。ブッカーは、アフリカン・ディアスポラの要素をクラシックにすごくうまく取り入れていて、たとえばショパンの「小犬のワルツ」をアレンジしたんだけど、それがブルージーでスワンピー(沼のような)なニューオーリンズ風ヴァージョンなんだよ。初めてそれを聴いたとき、「こんな表現があるのか!」と衝撃を受けた。自分がクラシックを練習している中で、ずっと求めていた自由さを感じたし、音楽を演奏するときにいつも感じていたスピリチュアルな感覚——特にブラック・ミュージックをやっているときに感じる感覚——を思い出させてくれた。だから、ジェイムズ・ブッカーは本当に大きな存在だね。それからもちろん、スティーヴィー・ワンダー、ジョン・コルトレーン、アリス・コルトレーン。このあたりは絶対に欠かせない。サン・ラーもそうだし、ベンジャミン・パターソンとか、ジョージ・ルイス——彼はまだご存命だね——あとアンソニー・ブラクストン……挙げればキリがないな。とりあえずこのへんで止めておくよ(笑)。

ありがとうございます。ローマンさんはいかがでしょう?

ローマン:まず最初の影響として挙げたいのは僕の家族。僕は幼い頃から教会の聖歌隊に入っていたから、家でも教会でもいつも歌っていた。親戚がドラムを叩いていたり、オルガンを弾いていたり、とにかく家族がみんな音楽に深く関わっていたから、最初のインスピレーションはそこからきている。でも、それだけじゃなくて、たとえばケネディも挙げたように、スワミニ・トゥリヤ・サンギータナンダ——アリス・コルトレーンとしても知られている彼女——は、間違いなく僕の大好きなミュージシャンのひとり。彼女は、この地球に存在した中でも最も高みに到達した音楽家のひとりだと思っているよ! それから、ファラオ・サンダースのような先人たち、いまもロサンゼルスでジャムをしているドワイト・トリブルといった人たちにも影響を受けている。僕は、古の知恵を受け継ぐ人たち(=elders)にインスパイアされているんだ。昔は、ひとりのアーティストの名前が前面に出るのではなく、もっと共同的で儀式的なかたちで音楽が生み出されていた。そういう時代の音楽に心を動かされる。今残っている音源の多くも、特定のアーティストに帰属するというよりは、ある人々や文化、土地に根ざした音として残っているところに魅力を感じるんだ。

ありがとうございます。では、ハーランさんはいかがでしょう?

ハーラン:ほとんどの名前はもう出ていると思うけど、コルトレーン夫妻やファラオ・サンダースに対する愛は、僕たち全員が共有しているものだよ。そこに加えるとすれば、デューク・エリントン。彼はジャズとクラシック音楽をつなぐ素晴らしい架け橋のような存在だった。それから、ジュリアス・イーストマンも忘れてはいけない。いつもなら誰かが挙げているけど、まだ名前が出ていなかったね。

ケネディ:実はさっき言いかけたんだけど、いつも彼の名前を挙げているから、今回はやめておこうかと思ったんだ(笑)。でもやはり、ジュリアスは間違いなく外せない存在だね!それと、地球の音や自然の音——そういったものからも強くインスピレーションを受けているよ。

僕が笛を吹くときは、ローマンが言っていたように、いろいろな影響や場所から引き寄せられたものを取り込んでいるんだ。そして、それが自分の内面に平和をもたらしてくれるだけでなく、普遍的な次元や自然とのつながりを直接感じさせてくれる。

新作は、のめりこめると同時に気を留めずにいられるという意味でアンビエント的だと思いました。ブライアン・イーノをはじめ、アンビエントに括られるミュージシャンとあなたたちのやっていることに共通点はあると思いますか? 

ハーラン:もちろん、あると思うよ! 僕はアンビエント・ミュージックも大好きで、ブライアン・イーノの『Ambient 1』のライナーノーツで彼のステートメントを読んだときのことを覚えている。君が言ってくれたように、アンビエントには二つの機能があると言っていて、それは前面に出ることもできれば、背景に溶け込んで体験を包み込むこともできるというものだった。それに僕は、日本の、自然を取り入れた音楽もすごく好きで、そこからの影響も大きい。だから、そう言ったアンビエントのコンセプトというものは確実にこのレコードにも反映されていると思う。でも、僕たちがやっていることの違いは、いわゆるアンビエント・ミュージックでよく使われるようなシンセサイザーやアナログ・シンセといった人工的な音には、あまり頼っていないという点にある。その代わりに、ストリングスやフルート、サックスといった楽器を使って、アンビエント的な音のテクスチャーを作り出している。

さきほどファラオ・サンダースやアリス・コレトレーンなどの名前が出ましたが、彼らから学んだこと、吸収したことで、本作に反映されている要素があったら教えてください。

ローマン:僕は彼らの影響を確実に吸収しているし、他のメンバー2人もそうだと思う。ファラオ・サンダースについては、彼の音楽を本人から直接学ぶことができた。まるで宇宙的な出会いのような体験で、最初に会ったときは彼が誰なのかさえ知らなかったんだけど、音楽のことや、サン・ラーについて彼に色々と質問していたんだ。だから、ファラオ・サンダースのアルバムや作品群について、本人と一緒に振り返ることができた。その体験は今でも自分の中に強く残っているし、自分の音楽的方向性について、大きな学びと気づきを与えてくれた。まるで、先達から神聖なメッセージを受け取ったみたいだった。スワミニ・トゥリヤ・サンギータナンダ(アリス・コルトレーン)については、彼女の教えを受けた生徒たちのもとに自分が導かれたことが大いなる恵みだった。彼女の教えはいまも受け継がれていて、僕にも非常に大きな影響を与えている。この2人のアーティストに関しては、僕に何かを残してくれた存在であることは確かだ。そしてもうひとつ、僕の音楽的なルーツとして欠かせないのが、自分の育った環境、教会の音楽、そして音楽への目覚めを支えてくれた母の存在。それらすべてが、このグループの音楽、このアルバム『All is Sound』における自分の表現に反映されている。

本作は聴く者を忘我や酩酊や瞑想の境地へいざなう効果もあると思いました。これを聴いたことでリスナーにどのような精神/意識の変容をもたらすのが理想か、ということは考えましたか? つまり、リスナーに及ぼす作用のようなことです。

ケネディ:音楽には治癒的な効果があることもわかっているし、とても穏やかな精神状態へと導いてくれることもある。逆に、不安をかき立てるような精神状態になることもある。だからこの作品では、聴く人が落ち着きを感じられるようなものにしたかった。世間の喧騒から少し離れて、もっと静かで、やわらかくて、穏やかでいられる空間を作りたかった。同時に、ただボーッとするのではなく、マインドフルで、今この瞬間にしっかりと存在していると感じられる状態にもしたかった。そして、この音楽を聴いた後に、その人にとって、有意義な進歩や前進へとつながることができていたら嬉しい。

フルートを日本の伝統楽器である尺八のような音色で使っているのが印象的でしたが、これは無意識にそうなったのでしょうか? それとも何か狙いや意図がありましたか?

ローマン:僕たちは普遍的な存在(=universal beings)を目指しているんだよ。たとえ世界中を旅してきたわけではなくても、音楽への興味は本当に幅広くて、自然とグローバルな感覚で音楽に触れてきた。たとえば、新しいプロジェクトにもドゥグ(アフリカの打楽器)が入っているように、本当にいろんな場所からインスピレーションを受けている。それは無理に探しにいっているというよりも、むしろ自然でオーガニックな流れの中で起きているものなんだ。日本からアフリカまで、世界中の音楽に共鳴しようとしているんだよ。少なくとも自分はそう感じているけど、この具体的な話については、ハーランやケネディが話してくれるかもしれない。彼らもフルートや管楽器には詳しいからね!

ハーラン:ケネディは尺八を演奏するから、ケネディに話してもらおう。

ケネディ:そう、僕は尺八を習い始めてるんだけど、知ってのとおり、すごく難しい楽器なんだ。でも、尺八だけではなく、すべての楽器、そして声や魂にも感じられる美しさというのは、自分との関係性が築かれたときに現れてくるものだと思っている。楽器そのものや素材、そしてその背後にある伝統を少しでも理解できてくると、まるで楽器のほうから「よし、準備ができたね」と語りかけてくるような感覚がある(笑)。とくに自分にとって笛の音というのは、本当に心を落ち着かせてくれる音なんだ。子どもの頃から尺八をよく聴いて育ったし、中国のディーツや、南太平洋のいろいろな笛の音もたくさん聴いてきた。そうした笛には、神秘性や古代性みたいな感覚があって、それにすごく魅了される。まるで宇宙からやってきたかのような響きを持っているんだ。
 だから僕が笛を吹くときは、ローマンが言っていたように、いろいろな影響や場所から引き寄せられたものを取り込んでいるんだ。そして、それが自分の内面に平和をもたらしてくれるだけでなく、普遍的な次元や自然とのつながりを直接感じさせてくれる。そういった意味では、無意識のうちにそういう表現になっているんだろうね。でも意識的な面で言うと、僕はとにかくフルートの音色が大好きなんだ。その響きの中には、先祖からのささやきのようなもの——たとえばウィスパー・トーン(ささやくようにかすかな、口笛のような音)や倍音に現れるようなもの——が宿っていると感じている。
 それからもうひとつ、尺八や多くの笛は竹でできているんだ。僕が竹に惹かれる理由のひとつは、それが繊維質でしっかりとした植物であると同時に、しなやかに曲がり、傾き、柔軟に対応する性質を持っているということなんだ。そういう柔軟性は、(世間の)堅苦しい体制や、変化に適応しながら進んでいかなければならない僕たちの人生において、とても大切なものだと思っている。

ハーランさんは何かありますか?

ハーラン:ああ、僕からも面白いエピソードをひとつ話すよ。去年、僕は日本に行ったんだ。僕はずっとバーンスリー(インドの竹笛)を練習していたから、「せっかく日本に行くなら尺八を手に入れよう」と思った。尺八はとても美しい楽器だし、音色もすごく素敵だから、現地で買えるなら最高だと思ったんだ。それで、尺八を扱っているお店を見つけて、たくさん並んでいるなかから何本か出してもらった。「僕はフルートが吹けるから、尺八も試してみたいんです」と伝えてね。内心では、「これを吹いて、そのままお店を出て、コズミック・トーンズで使える新しい楽器として持ち帰るぞ!」とワクワクしていた。でも、そう簡単にはいかなかった(笑)。尺八は、アンブシュア(口の形)が全然違うんだよ。すぐに、「これは僕がいままで吹いていた笛とは別次元の楽器だな」と気づいた。そう簡単に尺八で美しい音を出すことなんてできないと思った(笑)。お店の人にも、「これは僕がいままで吹いていた笛とはまったくの別物ですね。僕には無理かもしれないです。もうバーンスリーの道を進んでるし、残念だけどそっちに集中したい」と伝えたよ。結局、尺八は買わなかったけど、すごくいいお店で、実際に尺八を試せたのは楽しかった。それに「これは別の世界に属する楽器なんだ」ということを学べたのは大きかったね。

ありがとうございました。最後に、コズミック・トーンズ・リサーチ・トリオの音楽を聴いている日本のファンに向けてのメッセージを1人ずつお願いできますか?

ローマン:まず最初に言いたいのは、日本のみんな、温かい応援を本当にありがとう! ということ。 インスタグラムやメールで送ってくれる温かいメッセージ、そしてこのCDをリリースするにあたってのサポート、すごく嬉しかった。ジャケットのデザインもすごく良いね!  こうやって、普遍的な音楽を広めてくれてありがとう。近いうちに日本に行けるのを楽しみにしているよ。感謝と平和を込めて。たくさんの愛を!

ハーラン:日本のみんな、音楽にじっくりと耳を傾けてくれてありがとう! このCDが、あなた自身の音楽的・精神的な活動のサポートになれば嬉しいです。そして、近いうちに日本に行ってみんなと直接会える日が来ることを願っています。ありがとう!

ケネディ:僕も心からの感謝を伝えたい。そして、この作品を一種のデバイスとして使いながら、みなさんが素晴らしい旅を歩んでいけるよう願っています。本当に、本当にありがとう!魂の底から感謝しています。これまでの旅路は本当に素晴らしいものだったし、今後も活動を続けていくのが楽しみだよ!

ありがとうございました!!

全員:こちらこそ、どうもありがとう! またねー!!

Unsound Osaka - ele-king

〈Unsound Festival〉がついに日本で開催される。2003年にポーランド・クラクフにて誕生した〈Unsound〉は、いまやエレクトロニック・ミュージックと実験音楽に関してはもっとも有名なフェスティヴァルとして知られている。すでに、これまでに30以上の都市で開催されている
日本では初開催となる〈Unsound Festival〉は、2025年9月5日から7日にかけて大阪市内の複数会場で開催される。
以下、その概要を転載するでの、じっくりと読んだうえで9月上旬の予定を組みましょう。詳しくはここ(https://unsound.jp/)。また、さらに詳細がわかったら追加情報を流します。


〈Unsound Osaka〉

■9月5日(金)- VS.
公演日時:2025年9月5日(金)※OPEN / START時間は近日発表
会場:VS.(MAP)
チケット:近日販売開始
出演者:
Keiji Haino plays Baschet
Robin Fox presents TRIPTYCH – a homage to Stanisław Ostoja-Kotkowski
Włodzimierz Kotoński Remixed by Jim O'Rourke & Eiko Ishibashi

 〈Unsound Osaka〉の初日は、VS.で開催中の展覧会「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」とのコラボレーションとして実施されます。電子音楽および実験音楽の先駆者たちに敬意を表し、過去と未来をつなぐ一夜となるでしょう。この日のハイライトとして、灰野敬二が、1970年の大阪万博のためにフランソワ・バシェ(François Baschet)が制作した《バシェ音響彫刻》を演奏します。この楽器は、坂本龍一が18歳のときに万博を訪れた際、強い影響を受けたとされるもので、灰野によるバシェの演奏は今回が初披露となります。
続いて、オーストラリアのロビン・フォックス(Robin Fox)が、レーザーと音を駆使した作品《Triptych》を発表。本作はオーストリアのアート/テクノロジー/社会をつなぐ世界的なクリエイティブ機関「ARS Electronica」より冨田勲特別賞を受賞しており、ポーランド系オーストラリア人でありレーザーアートの先駆者でもあるスタニスワフ・オストヤ=コトコウスキ(Stanislaw Ostoja-Kotkowski)の作品に着想を得たものです。レーザープロジェクターによって空間そのものを変容させる、“視覚と音による時空の彫刻”とも言えるこの作品は、記録や再現が不可能な、その場限りの体験となります。
オープニングには、ジム・オルーク(Jim O'Rourke)と石橋英子が登場し、ポーランドの作曲家ヴウォジミエシュ・コトニスキ(Włodzimierz Kotoński)の楽曲のライブリミックスを披露。コトニスキは20世紀ポーランド音楽の中でも特に急進的な存在であり、テープ音楽、ライブエレクトロニクス、シンセ音楽、コンピュータ音楽の先駆者として知られています。出演する二人にとっても特別な存在である作曲家の作品に、新たな解釈が加えられます。 

■9月6日(土)- CREATIVE CENTER OSAKA
公演日時:2025年9月6日(土)OPEN / START: 15:30
会場:クリエイティブセンター大阪(MAP)
チケット:ZAIKOにて販売中
出演者:
Hania Rani presents Chilling Bambino
∈Y∋ & C.O.L.O
2K88 – Live feat. ralph
ralph
Rai Tateishi(Live Processing by Koshiro Hino)
KAKUHAN & Adam Gołębiewski
FUJI|||||||||||TA & Ka Baird
RP Boo & Gary Gwadera
Unsound Osakaの2日目のプログラムは、大阪市湾岸部の住之江区北加賀屋に位置する名村造船所大阪工場跡地に設立されたクリエイティブセンター大阪を舞台に開催されます。現在この場所は、クリエイティブなアートコンプレックス兼イベントスペースとして活用されており、本プログラムでは実験音楽、アンビエント、クラブ、ラップなど多彩なジャンルを横断するプログラムが展開されます。
会場には3つのステージが登場し、「STUDIO PARTITA」「Black Chamber」、そして屋外DJステージが設けられます。
STUDIO PARTITAでは、ポーランドのピアニスト/作曲家ハニア・ラニ(Hania Rani)が、ピアノとエレクトロニクスを組み合わせた新作《Chilling Bambino》を披露。また、大阪の伝説的存在である∈Y∋が、C.O.L.OとのA/Vショーをします。さらに、ポーランドのプロデューサー2K88が、自身のアルバム『SHAME』をベースにしたセットを披露し、日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphがゲストとして登場、その後はralph自身によるエネルギッシュなソロセットも行われます。オープニングは日本の伝統的な竹笛・篠笛を中心に展開される立石雷による演奏に、日野浩志郎によるライブプロセッシングを組み合わせた最新パフォーマンスが披露されます。
Black Chamberでは、Unsoundが実現した新たなコラボレーションが展開されます。日野浩志郎と中川裕貴によるデュオKAKUHANが、ポーランドの打楽器奏者 アダム・ゴワビエフスキ(Adam Gołębiewski)と共演し、ニューアルバム『Repercussions』をリリース。さらに、日本のサウンドアーティストFUJI||||||||||TAと、ニューヨークのアーティスト カー・ベアード(Ka Baird)が空気、圧力、呼吸、ノイズを活用したパフォーマンスを披露します。また、シカゴのフットワーク創始者アールピー・ブー(RP Boo)が、ポーランドのドラマー ゲイリー・グワデラ(Gary Gwadera)と共演します。
屋外ステージには、大阪のローカルDJたちが登場予定で、Black Chamberの追加出演者も近日中に発表される予定です。

■9月7日(日) - 大槻能楽堂
公演日時:2025年9月7日(日)OPEN 17:15 / START 18:00
会場:大槻能楽堂(MAP)
参加方法:入場無料 ※ご参加いただくには、ZAIKOでの登録が必須となります。
出演者:
Antonina Nowacka
Raphael Rogiński plays John Coltrane and Langston Hughes
Jim O’Rourke, Eiko Ishibashi & Piotr Kurek

 1935年に開館した大槻能楽堂。この日は、その静謐な空間を活かしたコンサート・シリーズの舞台となります。プログラムには、世界的に高く評価されているポーランド人アーティスト3組が登場し、そのうちの1組は、石橋英子とジム・オルーク(Jim O'Rourke)との特別な初共演を披露します。
最初に登場するのは、アントニーナ・ノヴァツカ(Antonina Nowacka)。時間の感覚を引き延ばし、言語・音・霊性の境界を曖昧にする「見えない世界へのポータル」と形容される、彼女の卓越した歌声を中心に展開されます。これまでに発表されたソロ作品『Sylphine Soporifera』や、ソフィ・バーチ(Sofie Birch)とのコラボレーションアルバムでも高く評価されています。
続いて登場するのは、ポーランドの作曲家/演奏家/即興音楽家 ラファエル・ロジンスキー(Raphael Roginski)。フォークやブルース、ジャズ、クラシックなどを横断しながら、ソロ演奏と録音で世界で最も独自性のあるギタリストのひとりとして評価されています。Unsound Osakaでは、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の作品をスローダウンし、ラングストン・ヒューズ(Langston Hughes)の詩とともに再解釈したアルバム『Plays Coltrane and Langston Hughes』の楽曲を披露します(本作は2024年にUnsoundから再発され、高い評価を受けています)。
ポーランドのマルチな演奏家/作曲家 ピオトル・クレク(Piotr Kurek)は、ソロ作品『World Speaks』やUnsoundからリリースされた『Smartwoods』などで知られていますが、他の多くのアーティストとのコラボレーションでも知られます。Unsound Osakaでは、そのコラボレーションの精神を携え、世界でも類を見ないアンダーグラウンドの象徴的存在であるジム・オルーク(Jim O'Rourke)と石橋英子と共演します。石橋は多彩なソロ作品のほか、濱口竜介監督のアカデミー賞受賞作『ドライブ・マイ・カー』や続編『悪は存在しない』など映画音楽も手がけており、ジム・オルークはGastr Del Sol、Stereolab、Wilco、Sonic Youthなどと共演歴があるほか、フックに富んだロックから繊細なミュジーク・コンクレートまで幅広いソロ作品を発表しています。
このプログラムは、「Poland. Heritage that Drives the Future(ポーランド。未来を躍動させるレガシー)」をテーマとしたポーランド・パビリオンのプログラムの一環として、ポーランド投資・貿易庁が主催する「ポーランド文化週間」の一部として実施されます。

Unsound Osaka 出演者プロフィール

2K88 – live feat. ralph

かつて「1988」として知られていた、ジャンルを自在に行き来する実験的プロデューサー、プシェミスワフ・ヤンコヴィアク(Przemysław Jankowiak)は、「2K88」名義のもと、UKベース・ミュージックの残音と90〜00年代ポーランド・ラップのノスタルジーを融合させた、国境を超えるカルチャーの坩堝ようなサウンドを生み出している。Unsoundレーベルからリリースされたデビューアルバム『SHAME』は、Boomkatによって「ポーランドの活気あるハイブリッドなクラブ・シーンの現在地を示す作品」と評された。苦しみに満ちた郷愁と不穏な未来感が、研ぎ澄まされた感覚の中で繵り交ざっている。プロデューサーとして、2K88はポーランドのインディー音楽シーンのスターたちともコラボしており、今回は日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphをゲストに迎えてパフォーマンスを行う。

Antonina Nowacka


「声は、最も美しく、最も響き渡る楽器です」と語るアントニナ・ノヴァツカ(Antonina Nowacka)は、3作目となるソロアルバム『Sylphine Soporifera』をそのように表現している。ポーランド出身のサウンドアーティスト/作曲家である彼女は、その力強い声を核に、これまで高く評価される一連の作品群を築き上げてきた。『Lamunan』ではインドネシアの洞窟にこもって制作を行い、万華鏡のように多彩な音像をもつこのアルバムでは、1970年代のニューエイジ的なサウンドの上にヒンドゥスターニー音楽の声楽技法を取り入れている。2023年には、デンマークのアーティスト、ソフィー・バーチとの共作による『Langouria』をMondojおよびUnsoundから発表。そして今年、新作『Hiraeth』をリリースした。この作品は、ポーランドの田園地帯で制作され、オープンリールに直接録音されたものであり、原点回帰とも言える郷愁と夢想に満ちたアルバムとなっている。

∈Y∋ & C.O.L.O - A/V show


∈Y∋は1986年に大阪でバンドBoredomsを立ち上げて以来、『Super æ』や『Vision Creation Newsun』などジャンルの境界を打ち壊す作品を続々と世に送り出し、世界中にカルト的なファンを持つ存在となっている。また、無数のドラマーを集めて挑んだ壮大な「Boadrum」シリーズでも知られている。Sonic YouthやJohn ZornのNaked Cityのほか、UFO or DieやPuzzle Punksなどのプロジェクトにも参加している。今回のUnsound Osakaでは、マルチメディアA/Vコレクティブ「Cosmic Lab」の創設者でもあるビジュアル・アーティストC.O.L.OとのA/Vショーを上演する。C.O.L.Oはテクノ元祖Jeff Millsとの合作『THE TRIP - Enter the Black Hole』や、∈Y∋との前作『FINALBY()』などで、魅惑的で幻覚的な体験を作り上げてきた。

Włodzimierz Kotoński Remixed by Jim O'Rourke & Eiko Ishibashi


Jim O'Rourke & Eiko Ishibashi

2023年のツアー音源を編集・再構築した最新作『Pareidolia』(Drag Cityより2024年リリース)でその創造性を改めて印象付けたジム・オルーク(Jim O'Rourke)と石橋英子が、今回はポーランドの作曲家/教育者/音楽理論家であるヴウォジミエシュ・コトンスキの作品に、自らの独自の手法でアプローチする特別公演を行う。コトンスキは、20世紀ポーランドでもっともラディカルな音楽家のひとりとされ、テープ音楽、ライブ・エレクトロニクス、シンセサイザー音楽、コンピュータ音楽といった分野を切り拓いた先駆者である。彼はポーランド国内外で作曲や電子音響の技術を教えながら、数多くの実験的作品を生み出してきた。1959年に発表した『Etiuda na jedno uderzenie w talerz』はポーランド初の電子音楽作品であり、1989年には電子音響の手引き書『Muzyka elektroniczna』を著している。

KAKUHAN & Adam Gołębiewski


goat(JP)やソロプロジェクトYPY名義で知られる日野浩志郎とチェリスト・中川裕貴によるデュオ・プロジェクト、KAKUHANは、2020年代初頭に行われた即興録音セッションをきっかけに始動した。「攪拌」を意味するこのユニット名の通り、KAKUHANはそれ以前にも何度も共演していた二人による、より深く、ジャンルの境界を超えた音の融合を体現している。伝統と現代、ぎくしゃくとしたクラブ・リズムとクラシカルな要素が交錯するそのサウンドは、日野が運営するレーベルNAKIDからリリースされたデビュー・アルバム『Metal Zone』で最も鮮明に表れている。ポーランドの実験音楽家アダム・ゴレンビエフスキ(Adam Gołębiewski)は、2023年にKAKUHANと初共演。ヨーコ・オノ、ケヴィン・ドラム、マッツ・グスタフソン、サーストン・ムーアらとの共演を通じて研ぎ澄まされた彼のダイナミックなパーカッションは、KAKUHANのサウンドに新たな次元をもたらした。彼らのコラボレーションは、Unsoundレーベルからリリースされるアルバム『Repercussions』に収録されており、大阪でのライブはリリースを記念する日本初公演となる。

Keiji Haino Performs on Bachet Sound Sculptures


灰野敬二のパフォーマンスは、常に何が起こるかわからない。その予測不可能さこそが、彼を半世紀以上にわたり、日本のアンダーグラウンド・シーンにおける圧倒的な存在たらしめてきた理由である。これまでに200枚以上の音源を発表し、2,000回を超えるライブを行ってきた灰野は、代表的プロジェクト「不失者」を通じて実験的サイケデリックの基準を打ち立てただけでなく、ジャズ、フォーク、ノイズ、即興、ドローン、電子音楽など、ジャンルを越えて革新とコラボレーションを重ね、多くのアーティストに影響を与えてきた。彼のソロ・パフォーマンスは特に高い支持を集めており、毎回その内容はまったく予測がつかない。オーケストラの楽器を駆使したり、古代の伝統楽器を演奏したり、シンセサイザーやドラムマシンを並べて即興を行ったり、繊細で心に響くバラードを再解釈することもある。どのような形であっても、その体験は常に圧倒的だ。Unsound Osakaでは、1970年の大阪万博のために制作され、「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」展にも展示されている《バシェ音響彫刻》を用いた特別なパフォーマンスを披露する。

Robin Fox presents TRIPTYCH


ロビン・フォックス(Robin Fox)は、ライブ・パフォーマンス、展覧会、パブリックアート、コンテンポラリーダンスのための作曲など、さまざまな分野で活動する、オーストラリア拠点のオーディオビジュアル・アーティスト。過去30年にわたり、彼の創作の中心には常に「ノイズ」があり続けている。これまでに60都市以上で上演されてきた、代表作であるオーディオビジュアル・レーザー作品では、音と“可視化された電気”を完全に同期させ、立体空間を音と光で満たす没入型のインスタレーションを展開。《TRIPTYCH》は、リアルタイム・パフォーマンスのために時空間を“彫刻”するAVシリーズの最新作であり、2022年末にUnsoundクラクフにて初演された。ポーランド系オーストラリア人であり、レーザーアートの先駆者でもあるスタニスワフ・オストヤ=コトコフスキの作品に着想を得ており、2023年にはアルス・エレクトロニカにおいて冨田勲特別賞を受賞している。また、フォックスは電子音楽の歴史的な楽器群を一般に公開し、誰もが自由にアクセスできるようにすることを目的とした非営利団体「MESS(Melbourne Electronic Sound Studio)」の共同設立者でもある。1975年から1979年にかけてのメルボルンにおける実験音楽の歴史についての修士論文を執筆しており、モナシュ大学にて電子音響作曲の博士号を取得している。

FUJI|||||||||||TA & Ka Baird present Where Does Fire End?


FUJI|||||||||||TAが2023年にUnsound Krakowで披露したパフォーマンスでは、彼の特製の自作パイプオルガンではなく、新たに自作された巨大なパイプを使ったリズミカルな演奏が、朝の時間帯「Morning Glory」の観客を魅了した。日本の雅楽を想起させつつ、現代の電子音楽のサブジャンルを同時に感じさせる、新たな音の地平を示しました。米国拠点のマルチ奏者カー・ベアード(Ka Baird)もまた同フェスティバルで幻惑的なパフォーマンスを披露。話題作『Bearings: Soundtracks for the Bardos』の世界をさらに拡張するように、変幻自在の声による歪曲と憑依的な演奏を展開した。この二人が初めて共演する本公演では、それぞれの個性を即興で融合させ、エクスタティックで特異な音世界を生み出す。Unsoundの依頼によって特別に制作された作品の初上演。

RP Boo & Gary Gwadera


ゲイリー・グヴァデラ(Gary Gwadera)のソロ名義で知られる、ポーランドのドラマー、ピョートル・グヴァデラ(Piotr Gwadera)が初めてフットワークを聴いたとき、それは背筋がぞくりとするような発見だった。シカゴ発祥のこのジャンル特有のシンコペーションとポリリズムは、アメリカ中西部以外の多くのリスナーにとって新鮮に響くかもしれないが、グヴァデラの耳にはどこか懐かしさがあった。それは、ポーランドの農村で親しまれてきた三拍子の民族舞踊「オベレク」のリズムだった。彼はこんな想像をするようになる。もしシカゴに渡ったポーランド移民たちが、現地のアフリカ系アメリカ人コミュニティと出会い、共に食卓を囲み、それぞれの祖先のビートを交換し合っていたら。そんな「もうひとつの歴史」を夢見るようになったのだ。その夢が、Unsound Osakaで現実となる。2024年に発表された傑作『Far, far in Chicago. Footberk Suite』でもそのビジョンを示したグヴァデラと、シカゴ・フットワークの伝説的存在であるRP Booとの共演が実現するのだ。ミニマルなジャズ、ではなく「ジャズ風=jaz」ドラムキットにRolandのドラムマシン・サンプルを仕込んだグヴァデラと、ターンテーブルを操るRP Boo。両者による異文化の交差点。ベース・ミュージックの地平に風穴を開けるような、架空と現実を行き来する実験になるだろう。

Raphael Rogiński plays John Coltrane and Langston Hughes


ポーランドの作曲家、演奏家、即興演奏家であるラファエル・ロジンスキー(Raphael Rogiński)は、フォークやブルース、ジャズ、クラシック音楽など多様なスタイルを取り入れたソロ作品とその演奏で高く評価され、世界的にも唯一無二なギタリストのひとりとして知られる。Unsound Osakaでは、2015年に発表されたアルバム『Plays Coltrane and Langston Hughes』の楽曲を披露する。同作は2024年、Unsoundによって再発され、大きな反響を呼んだ。アルバムでは、伝説的サクソフォン奏者でありバンドリーダーでもあったジョン・コルトレーンの楽曲を大胆に解体・再構築しながらスローダウンさせ、ハーレム・ルネサンスを代表する詩人、ラングストン・ヒューズのテキストを用いた楽曲も展開している。

Jim O’Rourke, Eiko Ishibashi & Piotr Kurek


ポーランドのマルチ奏者/作曲家ピョートル・クレク(Piotr Kurek)は、2022年にリリースされたソロアルバム『World Speaks』、2023年にUnsoundからリリースされた『Smartwoods』などの作品で知られるが、長年にわたり多くのコラボレーションも行ってきた。Hubert ZemlerとのPiętnastka、Francesco De GalloとのAbrada、Marcin StefańskiとのŚlepcyなど多様なユニットで活動している。最近では、日系アメリカ人即興奏者パトリック・シロイシとの共作『Greyhound Days』(Mondojより2024年)も話題となった。Unsound Osakaでは、ジム・オルーク(Jim O'Rourke)と石橋英子という、世界のアンダーグラウンドシーンを牽引する二人の音楽家と共演。二人はそれぞれのソロ活動でも、また互いのプロジェクトでも数々のコラボレーションを重ねてきた。石橋はDrag CityやBlack Truffleなどから作品を発表する一方、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』などの映画音楽も手がけている。オルークは、Gastr del Solの一員としてポストロックを切り拓き、StereolabやWilco、Sonic Youthなどのプロデュースを務め、緻密なロックから繊細なミュジーク・コンクレートまで幅広いソロ作品群を発表している。

Rai Tateishi (Live processing by Koshiro Hino)


日本の過疎地にある村で、ほぼ隠遁生活のように暮らす立石雷は、自らの楽器と深く向き合い、音の限界を追求し、その表現を深化させてきた。彼は、古代から伝わる竹製の笛「篠笛(しのぶえ)」の名手であり、伝統芸能集団「鼓童」やアンダーグラウンドでカルト的支持を集めるバンド「goat (jp)」のメンバーとしても活動している。だが、彼の真価が発揮されるのはソロ活動においてであり、特に日野浩志郎のプロデュースによる2023年のソロデビュー作品『Presence』(2023年)では、重ね録りなしで篠笛の音に自由奔放な尺八、ケーン(ラオスの伝統楽器)、アイリッシュ・フルートを組み合わせることで、ユニークで生々しい音世界を作り上げた。Unsound Osakaでは、その『Presence』のパフォーマンスを、goatの盟友・日野浩志郎によるライブプロセッシング音響処理とともに披露。身体と音、伝統と即興、過去と未来が交差する、鮮烈なセッションとなるだろう。

Hania Rani presents Chilling Bambino


ロンドンを拠点とするピアニスト、作曲家、シンガーのハニャ・ラニ(Hania Rani)は、ポーランドで生まれ育ち、ワルシャワにてクラシック音楽の教育を受けた後、ベルリンへと移住した。ヨーロッパのクラブカルチャーの中心地である同地にてエレクトロニック・ミュージックに魅了され、やがて自身の繊細で装飾的なソロピアノ作品に、精緻な電子音響を融合させる手法を確立するに至った。映画やテレビの分野でも広く知られ、イングランド代表戦を中継するITVに音楽を提供するなど、ラニは静謐ながら圧倒的な存在感を放つアーティストである。また「Chilling Bambino」の名義では、より実験的に電子音を探求。愛用するProphetシンセサイザーを駆使し、浮遊感あるメロディにサイケデリックなリズムを重ねることで、自由奔放な音楽世界を展開している。

ralph


1998年横浜生まれ、日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphは、2020年にリリースしたセカンドEP『BLACK BANDANA』でその地位を確立し、いま最も注目される日本のラッパーの一人である。若手ラッパーたちが賞金をかけて競い合うオーディション・プロジェクト『RAPSTAR 2020』で熾烈な戦いを制し、ブレイクのきっかけとなったシングル「Selfish」は100万回以上の再生数を記録した。翌年には初のミックステープ『24oz』を発表し、ハードコア・バンドのCrossfaithとのコラボレーションや、ソロ・パフォーマンスも精力的に展開している。

ロバート・ワイアット - ele-king

 ロバート・ワイアットは、たいしたヒット曲もないのに、シリアスな音楽ファンなら名前くらいは知っているアーティストのひとりだ。また、世代によってとらえ方が違っているアーティストの代表格のような人だろう。本書の原題にはウィットがあって『Different Every Time』、つまり「毎回違っている」。ぼくが初めて聴いた曲は、高校時代に近所の洋盤屋で買った〈ラフトレード〉のコンピレーション盤、B面最後に入っていた“At Last I am Free”だった。
 同編集盤には、デルタ5の “Mind your own Business”、ザ・スリッツ “Man Next Door”(ダブ・ヴァージョン)、ザ・ポップ・グループ “We Are All Prostitutes”、ザ・レインコーツ “In Love”、キャブス“Nag Nag Nag”、YMG “Final Day”——そしてあの決定的なスクリッティ・ポリッティ “Skank Bloc Bologna”など、初期〈ラフトレード〉の黄金クラシックがぎっしり詰まっていた。そんななかで、ワイアットの“At Last I Am Free”は浮いて聞こえた。というか、キャブスやポップ・グループのようなサウンドに痺れていた17歳にとって、テクスチュア、雰囲気、曲の構造から歌い方まで、すべてが異なっていたその曲を受け入れるのには時間が必要だったのだ。
 その年、つまり1980年のことだが、ロバート・ワイアットはすごいね、とぼくに言ってきたのは、同じ高校の1学年の下の市原健太だった。現在、静岡市の鷹匠町で水曜文庫という古本屋を営んでいる気むずかしい男である。たまにエレキングでも書評をするので名前を憶えている方もいるだろう。この左翼かぶれの後輩に促されて、市原に理解できるものが自分に理解できないはずがないと、同編集盤のB面の最後の曲を繰り返し聴いたのもいまとなっては良き思い出だ。まあ、そんなこともあって、結局はその数年後、ぼくは、ビリー・ホリデーやキューバのホセ・フェルナンデス・ディアス、チリのビオレータ・パラのカヴァー、そして露骨な左翼ソング“労働組合”などを収録した作品、『Nothing can Stop Us(なにものも我々を阻止できない)』という信念の強さを感じざるを得ないタイトルの、ジャズと民族音楽を吸収した歌モノのアルバム、10曲中9曲がカヴァー曲の、ワイアットにいわく「パンクを通過したジャズ」を買うことになるのである。
 “At Last I Am Free”は胸が張り裂けそうな曲で、崇高さがあって優しさもあった。なにか特別なちからがある曲だと思っていたけれど(市原に言われたわけではない)、この曲の作者が70年代ディスコのヒットメイカー、シックだったことを知ったときには心底驚いたものだ。作者のナイル・ロジャーズはもとはブラックパンサー党の隊長だった人物で、なおかつシックのようなディスコは白人ロック・リスナーのみならず、硬派な黒人音楽ファンからも批判されるか軽視されていた、そんな時代なのだ(いまでもそうか)。しかしワイアットは、この曲の歌詞の奥底にひろがる複雑な感情を読み取り、敬意をこめてカヴァーした。ぼくはこの曲が意味するものをかみしめながら聴いて、涙した。

 ロバート・ワイアットの評伝を日本語で読めることは至高の喜びに値する。しかもA5版二段組みで500ページ以上あるのだから、これはもう、毎日の楽しみでしかなかった(読み終えたいま、寂寥感に包まれている)。ああ、この人の人生——28歳で半身不随になり、しかし、いや、彼はそれからまったく素晴らしい音楽作品を作り続け、同時に政治活動にも全力で身を投じたアーティスト、一時期は「自身の左翼活動や政治闘争のほうは音楽活動よりも重要だ」とまで言った男である——、その人の人生の詳細をようやく知ることができるのだ。
 ぼくより上の世代にとってのワイアットは、なによりもソフト・マシーンの創設メンバーであり、カンタベリー系と括られる奇数拍子マニアのバンドたちによるジャズ・ロックの中心人物、ケヴィン・エアーズやデイヴィッド・アレンといった、シド・バレット系のサイケデリックな時代における玄人好みのソングライター、といったところだろうか。もしくは、ブライアン・イーノとの交流が深く、フィル・マンザネラ、フレッド・フリスやカーラ・ブレイ、クリス・カトラーたちとも盟友で、〈オブスキュア〉からリリースされたジョン・ケージ作品で歌っている人物、『ミュージック・フォー・エアポーツ』の1曲目でピアノを弾いている人、として記憶している人も少なくないだろう。ここ日本では、ソフト・マシーンの『サード』、マッチング・モールの“オー・キャロライン”、そしてあの『ロック・ボトム』の作者としてのワイアットがもっと有名かもしれない。まあとにかく、20代の活動を見ただけでも、Different Every Timeだったりする。

 中産階級の裕福な家庭で生まれ育ち、早熟なジャズ・ファンだったワイアット。彼のことをなかば聖人のように見ていたぼくにとって意外だったのは、若き日のワイアットだ。ドラッグにこそ手を染めなかったものの(中産階級的な身だしなみに反するそうだ)、彼はずいぶんと好色で、奔放で、上半身裸のドラマーとしてその名を馳せ、そしてある時期から酒浸りの日々を送っていた。とんでもない飲んだくれだったようで、それが原因で自分が作ったバンド=ソフト・マシーンから追い出されてもいる。4階の窓から転落し脊椎を骨折したのも、不運と言うよりは、当時のワイアットの酒量とその振る舞いを思えば、決して不自然なことでもなかったようだ。周知のように、車椅子生活になってから彼は、しかしいまだ傑作としてゆるぎない評価の『ロック・ボトム(どん底)』(1974)を作る。そしてその次に来るのが、近年評価を高めている、前衛ジャズとの接合を果たした『ルース・イズ・ストレンジャー・ザン・リチャード』(1975)になる。
 貧乏を受け入れながら、拝金主義者リチャード・ブランソンの〈ヴァージン〉に見切りを付けたワイアットに、できたばかりのインディ・レーベル〈ラフトレード〉のジェフ・トラヴィスを紹介したのは、かのヴィヴィアン・ゴールドマンだった。同レーベルの社会主義的な運営にワイアットが共鳴したのは言うまでもない。この本でぼくがとくに知りたかったのは、ワイアットの政治性の出自とその展開だった。英国には政治と向き合うミュージシャンは数多くいるが、彼ほどがっぷりと、むしろ音楽よりも政治に情熱を注いできた人はそういるものではない。マッチング・モールで毛沢東を引用していたものの、彼が本格的にマルクスを勉強するのはそのあと。労働党ではなく共産党の党員になるのは、彼が〈ラフトレード〉と関わりを持つようになった時期(70年代末)になる。
 1968年という年を政治的には無色で過ごしたワイアットだったが、誰かの影響で政治的になったわけではなかった。ワイアットにとっての左翼活動は、彼と生涯のパートナー、アルフィーのふたりが自分たちなりに勉強を重ね、そして態度を明らかにし、具体的に行動をした、そのひとつの答えだった。1979年当時「共産党員になること」は──イーノの証言によれば時代遅れの「ダサい」ことだったとしても、街角に立って(ワイアットは車椅子に座って)炭鉱労働者たちのための募金運動をしたり、盟友クリス・カトラーと生活保護基金のための作品リリースまでしている。ワイアットにおける政治活動は本気であって、人生を捧げる行為だった。
 党員となった80年代のワイアットは、忘れがたい共同作品をいくつも出している。ベン・ワットとの「Summer into Winter」をはじめ、英国内で愛国主義が最高潮に達したときに放った、エルヴィス・コステロとの有名なアンチ・サッチャー・ソング「Shipbuilding」、ジェリー・ダマーズとのナミビア救済のための「The Wind of Change」、そして、トレイシー・ソーンやサイモン・ブースらとともにチリの政治的連帯を呼びかけるボサノヴァ「Venceremos (We will Win)」(ワーキング・ウィークの曲として発表)。1985年には10年ぶりのソロ・アルバムも発表し、1989年には、坂本龍一の『Beauty』にも参加した。

 ぼくのようなリスナーは、ポストモダン的にロラン・バルトにならい、作品は作者に隷属するものではなく受け手のなかで完成するものだと思っている。だから、じつを言えば作者が何を言おうが……という立場でいる。だが、しかし優れた評伝を読むことの面白さは、評伝を書くに値する深みをもった人生、すなわち思考することを諦めないアーティストの想像だにしなかった事実を知ることにある。“At Last I am Free”以降の全作品にはジャズへの愛情が注がれ、そして政治への辛辣な言及がある。右翼勢力への反論を込めた『オールド・ロトゥンハット』(1985)、「パルスチナは国だ」と歌う『ドンデスタン』(1991)、なかには政治色の薄い『シュリープ』(1997)もあるが、英米のアフガニスタン侵攻を糾弾する『クックーランド』(2003)、イスラエル軍によるレバノン爆撃に言及した『コミック・オペラ』(2007)……と、党を脱退したあとも毅然としたマルクス主義者であり続けるワイアットは、揺るぎない不屈の精神の持ち主に見えるかもしれない。ところが彼は、長年アルコール依存症で苦しみ、鬱病と不眠症にかかり、二度も自殺未遂をしている。本書における準主役、アルフィーも『コミック・オペラ』の頃は鬱病に苦しんだ。
 「痛ましいほどの誠実さ」、『Nothing can Stop Us』のライナーでワイアットは自らをこう表現している。彼はパンクを知ると、左派議員の講演会ではなくザ・クラッシュやザ・スペシャルズのライヴに行くようになる。そしてツートーンに熱狂し、移民文化と労働者階級の音楽を演奏する彼らと一体感を覚え、ジェリー・ダマーズやザ・ビートが自分にとって最後のロック/ポップスだったという。
 ワイアットは、ポストパンクと精神的な同盟関係にあった。ザ・レインコーツのアナ・ダ・シルヴァは「人としては天使」と賞賛し、スクリッティ・ポリッティのグリーンは心底ワイアット・ファンであったと、そう本書に書かれている。言われてみればたしかに、 ワイアットがピアノを弾いた“ザ・スウィーテスト・ガール”(初期〈ラフトレード〉の最高の名曲)にはその影響がある。グリーンの歌詞も歌い方もワイアット風だ——「世界でもっとも醜悪な彼らは、どうしてぼくにこんな酷い仕打ちをするのだろう」
 その後も多くのアーティストとワイアットは共演している。クリス・カーターとコージー・ファニ・トッティ、パスカル・コムラード、ウルトラマリン、ビョーク……『シュリープ』にはポール・ウェラー、エヴェン・パーカー、ブライアン・イーノが参加しているが、この3人を集めることができるのは、おそらくワイアットくらいのものだろう。
 いったい彼のなかの何が人を惹きつけるのだろう。戦後すぐに生まれたワイアットにとって、その将来、またしても右翼的な熱狂が繰り返されたことは許しがたい事態だった。だが、同時に左派内部における裏切りや失望も味わい、そのことも数枚の作品のなかで言及している。ワイアットはアメリカを大量虐殺のうえで成り立った国だと歌い、他方では、じっさいの政治的闘争の渦中にいる人たちが好んで歌う優しいバラードを彼も歌った。ワイアットとアルフィーがマルクスを勉強したのは、いち生活者として、何が自分を不幸にしているのか、どうしたら自分は幸せになれるのか、その答えを見つけるためだった。21世紀のいま、同じ疑問をいだいた20代の男女が、その答えを金儲けだと言ったところで驚きはない。何が自分を不幸にしているのか、どうしたら自分は幸せになれるのか。本書『ロバート・ワイアット』の核心にあるのはそこで、ワイアットとアルフィーふたりによるその試行錯誤と回答が、A5版二段組みでおよそ500ページ分あるのだ。

Aho Ssan & Resina - ele-king

 パリを拠点とする電子音楽家アホ・サン(Aho Ssan)と、ポーランド出身のチェリスト/サウンド・アーティスト/作曲家レジーナ(Resina)によるコラボレーション・アルバム『Ego Death』が、ベルリンのレーベル〈Subtext〉からリリースされた。
 アホ・サン(本名:Niamké Désiré)は、フランス在住の黒人電子音楽家である。グラフィック・デザイナーおよび映画監督としてキャリアを開始したのち、電子音楽家へと転身。2015年にはフランス・テレビ財団賞を受賞し、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)やGRM(フランス音楽研究グループ)との協働を通じて活動の幅を広げるなど、順調なスタートを切った。
 アホ・サンは〈Subtext〉からは電子音響/ノイズの傑作『Simulacrum』(2020)およびそのリミックス・アルバム『Simulacrum Remixed』、さらに KMRU との共作『Limen』(2022)を発表する。2023年には、ニコラス・ジャーのレーベル〈Other People〉より、哲学的主題を扱った書籍と音源を組み合わせた『Rhizomes』を発表し、注目を集めた。
 彼は、自身の黒人としての出自と、ポストモダン以降の社会的課題をつねに創作と思考の中心に据えている。ボードリヤールやドゥルーズ/ガタリといった現代思想を参照しつつ、緻密で鋭利な電子音響作品を継続的に発表するアーティストである。ジャン・ボードリヤールの『シミュラークルとシミュレーション』を読んだことが、単独での制作に向かう契機となったという。重要なのは、彼が単なるアカデミズムの枠に留まらず、社会的背景に根差しつつ都市のリアルに向けて強烈な音を発する点である。
 一方、レジーナ(カロリナ・レック)は、チェリストおよび作曲家としての素養を持ち、アホ・サンとは異なる音楽的背景を有している。これまでに〈FatCat〉傘下の〈130701〉より『Resina』(2016)、『Traces』(2018)、『Speechless』(2021)の三作を発表。モダン・クラシカルとダーク・アンビエントの交差点に位置するシネマティックかつミニマルな音響を展開してきた。現代音楽家としての確かな技量を有しつつも、クラシック音楽の範疇に留まらず、先鋭的な実験音楽の領域においても活動している。

 両者の初共演の契機となったのは、2020年に開催されたオンライン即興セッション「Weavings」である。これは、アーティストのニコラス・ジャーとポーランドの前衛音楽フェスティヴァル「Unsound」のチームが企画したプロジェクトであり、Zoomを介して世界各地の12名のミュージシャンが物理的距離と時差を越えて音を「編む」という試みであった。
 この場で初めて邂逅したレジーナとアホ・サンは、使用ツールや音楽的出自こそ異なるものの、即座に直感的な対話を開始。異なる音楽言語を用いながらも共通の文法に基づく対話が自然発生的に生じたという。
 その後、レジーナはアホ・サンの『Rhizomes』(2023)に参加(第4曲 “Till The Sun Down (feat. clipping. & Resina)”)。ドゥルーズ=ガタリ的哲学を参照し、ポストヒューマン的視座からアイデンティティの断片化と再構築を試みた『Rhizomes』において、両者の協働関係は一層深まった。続けて、「Weavings」のライヴ・ヴァージョンを発表。そして2022年、ポーランド・クラクフで開催されたサウンド・フェスティヴァル「Unsound」において、新たな共同プロジェクト「Ego Death」が初演された。
 数年におよぶ長期的なプロセスを経て完成したアルバム『Ego Death』は、全8章から構成されるドローン/エクスペリメンタル・ミュージックの大作である。本作の主題は、自己の「解体」と「再構築」の過程である。レジーナのチェロは旋律的機能を脱し、擦過音、倍音、弓圧の変化といった音の物理的構造にまで還元されていく。そこへアホ・サンがノイズ、フィールド録音などを用いて音の地層を重ね、一つの音響地形を形成していく。アホ・サンの無機的かつ情緒的な電子音響と、レジーナのクラシカルな要素とが交錯することで、サウンドはシネマティックで劇的な空間性を獲得する。
 アルバム『Ego Death』は全8章を9トラックに分割して収録。マシニックな電子音響にレジーナの音世界が漸次的に交じり合う過程は圧巻である。“Egress I., Pt. 1” では重層的なドローンが展開され、“Egress I., Pt. 2” では断続的かつ破壊的なビートがノイジーな音響の中で躍動し、エクスペリメンタルな暗黒音響へと変容する。3曲目 “Egress II” では、前曲でも微かに聴こえていたパイプオルガン的な音に、ピチカート的な弦の響きが静謐に重なる。この不穏な静けさは “Egress III” にも引き継がれていく。
 なかでも「声」が前景化する “Egress V” は、本作のクライマックスと呼び得る曲だ。声、ミニマルなオルガン、メタリックでダイナミックな電子音響が交錯するサウンドスケープは、人間の意識が身体から電子メディアへと転送されるような知覚を生起させる。脳内信号が電気的インフラへと変換されるこのプロセスにおいて、我々は創造性を得るのか。あるいは喪失するのか。そのような「問い」が音響の微細な隙間に刻まれているように聴こえてならない。

 そう、『Ego Death』は、このようなポストヒューマン時代における音響実験としての「エゴ・デス(自我の死)」という概念と連動しつつ、創造の主体、制御、所有といった問題系へと根源的な問いを投げかけている。音は演奏者の手を離れ、コントロールされる対象としてではなく、共鳴と変容を繰り返す有機的存在として現出する。あるいは、こう言い換えることもできるかもしれない。「自己の消失は、現代社会においてむしろ救済となり得る」と。孤独な創作ではなく、他者と共に聴き合い、自我を手放すことで現出する音響空間。『Ego Death』は、そのような創造的態度を体現している。
 アホ・サンとレジーナは、異なる音楽的ルーツと方法論を背景としながらも、「音楽における境界線の再定義」を共通のテーマとして追求してきた。本作はそのひとつの到達点であると同時に、新たな創造の出発点でもある。2025年のエクスペリメンタル・ミュージックにおいて、本作は疑いなく重要な成果であり、電子音とチェロによる冷徹な音響構築は、聴き手を氷点下の音響空間へと導く。まさに必聴の一枚といえよう。

VINYLVERSEの「ギャラリー」機能を活用しているユーザーをピックアップし、ご紹介するインタビューシリーズの第2弾。今回は、現行ソウルの魅力を発信し続けているコレクター、nu soulさんにお話を伺いました。
群馬県出身の46歳。Soul / Funkを中心にレコードを蒐集し続け、レコード収集歴はなんと28年。まさに“レコードと共にある”暮らしを体現されている存在です。
インタビューでは、レコードとの出会いやVINYLVERSEの活用法、さらにフィジカルメディアの価値についても語っていただきました。今回はお忙しい中、メールにてインタビューにご対応いただきました。

① レコードとの出会いとコレクション

VINYLVERSE(以下V):レコードを集め始めたきっかけと、初めて買ったレコードを教えてください。

nu soul(以下N):大学生の時に流行っていたDJが使う12inchレコードを、HouseやR&B、Discoを中心に買い始めたのがきっかけです。初めて買ったレコードは、高校生の時に流行っていたFugees『The Score』のLPだったと思います。

V:レコード蒐集歴は何年目ですか?

N:途中、CDが中心になっていた時期もありましたが、なんだかんだレコードは途切れることなく買ってきました。28年目になると思います。

V:現在、どのくらいの枚数のレコードを所有されていますか?

N:これまで幾度となく売ってきたので、現在の所有枚数は少なめです。おそらく500枚くらいかと。

V:主にどのジャンルのレコードをコレクションしていますか?

N:Soul / Funkです。10代の頃からStevie Wonderが大好きで、Marvin Gaye、Curtis Mayfieldなど、いわゆるニューソウルは今でも変わらず好きですね。
それと現行ソウルも集めています。2000年代初頭、Neo SoulやR&Bが主流だった時期に、Raphael Saadiqのソロ・アルバムが出た頃から、生楽器を使ったVintage Soul作品が増え始めました。

Mayer HawthorneやKali Uchisといった人気アーティストもその流れを取り入れ、現行ソウルは今やメインストリームになりつつあります。アメリカではBig Crownレーベルの作品を常にチェックしています。最近では、Big Crownから作品をリリースしているインドネシアのグループ、Thee Marloesのように、アジアやオーストラリアなど世界各地からも良質なソウルが次々と登場しており、注目しています。
ハワイのシーンも素晴らしく、Nick Kurosawa率いるBombyeは特に印象的です。そして、今のイチオシは台湾のシンガー、Yufuですね。

V:今、個人的にとても欲しいレコードはありますか?

N:あります。Bobby CaldwellがJack Splashと組んで出した「Cool Uncle」のレコードです。当時買い逃してしまって、今では入手困難になっています。

V:コレクションの中で特に思い入れのある1枚とその理由を教えてください。

N:Princeの『Rainbow Children』です。怪しい語りが挿入される構成や、それまでの彼の作品とは違う、ジャズを中心にしたファンクサウンドがとにかく魅力的。2001年のリリース当時、Vintage / Retro Soulサウンドをこの形で作品化していたミュージシャンは他にいなかったのではないでしょうか。2020年にようやく正規リイシューされたLPは永久保存盤ですね。ジャケットやパッケージも含めて素晴らしいです。

② レコードの魅力について

V:nu soulさんにとって「レコードの魅力」とは何でしょうか?

N:何と言っても音質ですね。特に生楽器を使った作品は、まるで目の前で演奏しているような「近さ」が感じられます。それとレコード特有の匂いも魅力のひとつです。

V:レコード文化が復活していると感じますか?その理由は?

N:よく言われることですが、「モノとしての所有」に尽きると思います。パッケージや音質も含め、やはり魅力があります。

V:レコード文化の未来に期待していることはありますか?

N:今までレコード化されていなかったタイトル、あるいはCDのみでリリースされていたアルバムの再発がもっと増えてくれるとうれしいですね。サブスクにもない名曲って、意外と多いので。

V:レコードと他のメディア(CD・データ)で音楽を聴くことの違いについて、どう感じていますか?

N:音質の違いは明らかですね。サブスクだと流して聴いてしまいがちですが、フィジカルだと曲間やB面まで含めてしっかり「聴いた実感」があります。

V:レコードとデジタル音源の音の違いについてどう思われますか?

N:CDやデジタルと比べて、レコードは必ずしもクリアで綺麗な音ではないですが、より生音に近い迫力とゆらぎ(グルーヴ)があります。初めてクラブで大音量でレコードを聴いた時、その音の厚みに圧倒されました。敬愛する山下達郎さんがよく言う、「ガッツのある」音がしますね!

V:どうして今の時代に、あえてレコードを選ぶのですか?

N:学生の頃からレコードを買っていて、当たり前のように選んできました。やはり音質の魅力に取り憑かれているのだと思います。

V:レコードを聴くとき、特別に感じることはありますか?

N:最近気に入った曲をシングルで買って、ターンテーブルに丁寧に乗せて、集中して聴く時間ですね。最初にシュリンクを開封する瞬間も、やっぱり特別です。

③ レコードの集めかた

V:どのようにしてレコードの情報を収集されていますか?

N:僕は2000年以降の作品を中心に集めているので、主に現行アーティストや好きなレーベルのInstagram、サブスクなどで情報を得ています。それと高松で放送されているラジオ番組、Jimmie Soul Radioからの情報もかなり重宝してます。この番組では、新着のSoul / Funkを中心に楽曲紹介されていて、僕は番組のヘヴィ・リスナーの1人で、何度か選曲をさせていただいたこともあります。

V:普段レコードを買うお店や、買い方(中古・新譜)を教えてください。

N:新譜がメインなので、Disk Union、Jet Set、HMV、Tower Recordsのオンラインを利用することが多いです。買い逃した作品や気になった楽曲は中古でも探して、上記の実店舗で購入します。
また、日本で取り扱いのないタイトルはBandcampや海外レーベルの公式サイトから輸入することも。ただ、今はかなり割高になっていて難しいですね。大手ショップでは扱っていないものは、Music Camp(Barrio Gold Records)など専門店でも購入します。

V:オンラインのフリマやオークションでレコードを購入されますか?

N:利用したことはありません。

V:中古レコードの盤質は気にしますか?たとえばノイズのあるレコードと針飛びのあるレコードを選ぶとしたらどちらを選びますか?

N:いわゆるジャンク品でなければ、あまり気にしません。チリチリとしたノイズは嫌いではないので、針飛びや盤反りがないなら、ノイズのある方を選びます。

V:レコード1枚に出せる最高金額は?

N:以前、どうしても欲しかった12inchを1万円で買ったことがあります。でも今は、よほどのことがない限り買いません。高くても5000円台が限界ですね。

V:特殊な入手方法で手に入れたレコードはありますか?

N:知人のSNS投稿で珍しい7inchの存在を知り、その人に海外からまとめて注文してもらって、比較的安価で譲ってもらったことがあります。とても嬉しかったですね。

V:レコードの収納場所はどうしていますか?

N:10年ほど前に家を建てる際、子供部屋の近くに音楽部屋を作りました。そこにレコード棚を置いていて、散らかってはいますがなんとか収まっています。

V:ジャケット買いをしますか?

N:全く知らないものはあまり買いませんが、好きなアーティストや知らない作品でも、ジャケットにビビッと来たら買うことはあります。とはいえ、裏ジャケの作曲家・アレンジャー・参加ミュージシャンなどはしっかり確認してしまいますね。

④ レコードを共にしたライフスタイル

V:ターンテーブルやスピーカーなど、オーディオ機器のこだわりはありますか?

N:特にこだわっていません。ごく普通の機器を使っていますが、不便に感じたことはないです。

V:DJはされますか?

N:ごくたまに、仲間内のイベントで選曲する程度です。

V:CDやサブスクは使っていますか?使い分けがあれば教えてください。

N:Spotifyは通勤中にいつも聴いていて、新着音源のチェックが主です。休日はCDかレコード。レコードが中心ではありますが、移動中にはCDが重宝します。Mixtapeもいいですね。最近はLPが高騰していて手が出ないこともあり、CDで買うことも増えました。

V:音楽以外で、映画・アート・ファッションなどで好きなものがあれば教えてください。

N:あまり詳しくはありませんが、藤原ヒロシさんが紹介するカルチャー全般には興味があります。

⑤ VINYLVERSEについて

V:VINYLVERSEを知ったきっかけを教えてください。

N:VINYL GOES AROUNDのInstagramです。

V:VINYLVERSEをどのように使っていますか?

N:今でこそメインストリームにもなりつつある現行ソウルですが、黄金期の70〜80年代一辺倒になりがちなソウルミュージックラバーに、「現在進行形のこんな素晴らしいソウルがあるんだ」と知ってもらいたくて投稿を続けています。Instagramの延長線上で始めました。

V:アプリの使い方はすぐに理解できましたか?操作で迷った点、不便に感じた点はありますか?

N:比較的すぐに理解できましたが、写真を撮ってアップロードするところで少し手こずりました。

V:VINYLVERSEの一番の魅力は何だと思いますか?

N:シンプルなところですね。さらに、PHYGITAL VINYLの取り組みには毎回楽しませてもらっています。

V:nu soulさんのギャラリーのこだわりポイントはありますか?

N:特にこだわっているわけではありませんが、ジャンルや年代を絞って掲載しているので、他のユーザーさんとはまた違った見え方になっている気がします。

V:他のコレクターと交流する機能がもっと増えるとしたら、どんなものがあったらうれしいですか?

N:ギャラリーにコメントできる機能があれば良いと思います。また、ギャラリーの並び替えができて、思い入れの強いタイトルをトップに持ってこられれば、より分かりやすくなると思います。

V:追加してほしい機能はありますか?

N:マスターにない作品を自分で新規登録できる機能、検索履歴が表示される機能があるとうれしいです。
また、今後VINYLVERSE上で売買が可能になるとのことで、その際にWANT機能がさらに活用されるといいですね。それと、WANTの多いタイトルに注目して、リイシューに向けて動くなど。これは運用される側の話になってしまいますね。

V:どんな人にVINYLVERSEをおすすめしたいですか?

N:レコードを買い始めたばかりの若い方ですね。今の若い人たちは、サブスクで年代問わず音楽を聴くのが当たり前だと聞いています。そんな方に、お気に入りの音楽をレコードで手に取ってもらい、VINYLVERSEに投稿してもらえたらうれしいです。ぜひその投稿を覗いてみたいですね。

V:では最後にレコードを買いたいというビギナーへ、メッセージがあればお願いします。

N:まずはジャケ買いでもいいと思います。気になるレコードがあれば、一度手に取ってみてください。たとえ失敗しても、そこから何かしらの発見があるはずです。


以上、nu soulさんへのインタビューでした。
現行ソウルの魅力を発信し続ける姿勢と、28年のキャリアからくる確かな視点。
VINYLVERSEを通じてレコード文化を盛り上げるユーザーのリアルな声として、ぜひ今後のコレクションや投稿にもご注目ください。

nu soulさんありがとうございました!!

VINYLVERSE アプリ

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933