「Dom」と一致するもの

Eccy - ele-king

The 10 Best Hudson Mohawke Productions

 数年前にも同じ話題で記事を書いたが、5月上旬は、文芸界のCMJと呼んでいる、ペン・ワールド・ヴォイス・フェスティヴァルがNYで開催される。5月は文芸月なのだ(https://worldvoices.pen.org/)。

 https://worldvoices.pen.org/event/2015/02/19/monkey-business-japanamerica-writers-dialogue-words-pictures

 その時期に合わせ「日本で有名なのは村上春樹だけではない」と、古典と新作の枠を越えつつ、新しい声を拾い広めていく文芸誌『モンキービジネス』も日本からNYにやって来た。
 ポール・オースター、リチャード・パワーズなどの翻訳者としても知られる柴田元幸氏が責任編集する『モンキービジネス』(英語版と日本語版あり)は、今年英語版の第5版目を刊行した。それにともない4月末〜5月上旬にかけ、ミッドウエストからNYで講演ツアーを行ったのだ。1年に1回、今回で5回目である。

 NYは、ブック・コート、アジア・ソサエティー、マクナリー・ジョンソン、ジャパン・ソサエティーの計4回の講演が行われたが、どの日も少しずつ参加する作家が違い、本格的な講演会だったり、カジュアルな本屋だったりで、『モンキービジネス』や作家をいろんな角度から知ることができる。毎回緊張感がありながら、先生たちのユーモアも交わう知的な講演会だった。

 ペン・フェスティバルのプログラムの一環としての、5/4のアジアン・ソサエティーでの公演。
https://asiasociety.org/new-york/events/monkey-business-japanamerica-writers-dialogue-words-and-pictures

 ノリータの本屋さん、マクナリー・ジョンソンでのカジュアル公演。
https://mcnallyjackson.com/event/evening-monkey-business-kelly-link-ben-katchor-and-others-8pm

 上2講演に関してのレポートである。編集長の柴田元幸氏とテッド・グーセン、編集のローランド・ケルツに加え、漫画家のベン・カッチャー、作家のケリー・リンク、絵本作家、イラストレーターのきたむらさとし氏、小説家、翻訳家の松田青子氏が参加。日本、アメリカ、ロンドン(きたむら氏は30年間ロンドン在住、現東京在)を背景とする文化的、文学的な会話を通し、それぞれの作品をリーディング(日本語、英語)、漫画、紙芝居などで紹介した。


柴田元幸氏とテッド・グーセン


テッド・グーセンと松田青子氏

ベン・カッチャー

 ベン・カッチャーの漫画は、今はなき『ニューヨーク・プレス』という新聞で、きたむらさとし氏の作品は子供の時読んだ絵本で、よく見かけていたので、今回作家本人に会えるのはかなりの特別感があった。

 リーディングだけでなく、グラフィックを重視した、漫画、紙芝居は、耳からだけでなく、目でも訴えかけることができる。講演をよりバラエティーに富んだ物にしていた。アメリカ人にも日本人にも、手作りの紙芝居は珍しく(カーテンが手動で開くようになっている!)、3作品の発表が終わった後の温かい拍手から、今は亡き物を讃えるのは、文学も音楽も同じと納得した。
 紙芝居の内容は、氏のロンドン背景もあり、イギリスの絵本を紙芝居に仕立てた感じ。主人公が暇なライオンの床屋で、人気のライオン・ロックンローラーが散髪に来て、友だちの象のイラストレーターと、ああでもないこうでもないとロックンローラーの髪型のネタを練る。コンサートでその髪型を見たファンたちが、暇だった床屋に殺到する、という内容だ。
 きたむら氏の淡々とした声と、そして癖あるキャラクターがリズミカルに動き、社会を程好く風刺している所が大人のための紙芝居と言っても良さそうだった。


きたむらさとし氏

 ちなみに『モンキー・ビジネス』の霊感の源は、チャック・ベリー不朽の名作「トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス」。
 「誰もが知る日々生きることのかったるさをあれほどストレートに歌って、それであれほどユーモラスかつ解放的になっている芸術作品を僕は他に知らない。あの名作の解放性を我々もめざすのである、なんて大きなことはとうてい言えないが、いちおうあのスピリットをはるか向こうに見えてきている導きの星だということにしておこう」
 という柴田先生の姿勢は、この最新号にも十分に表れている。

 この英語版も翻訳者のおかげか、英語が苦手な人にも読みやすいし、アメリカ人の友だちにも「いまいちばん面白い文芸誌」だと薦めやすい。私はすでに、自分が死んだ後幽霊になり、自分の夫の行方を観察する、川上未映子の「the thirteenth month」(十三月怪談)に夢中だ。読み進めていけば、もっとお気に入りが増えるだろう。
 音楽が聴こえる文芸誌から、新しい出会いがあった。

 全ての講演の情報は以下の通りです。
https://monkeybusinessmag.tumblr.com/post/116878099492/monkey-business-issue-5-midwest-and-new-york

https://mobile.twitter.com/monkeybizjapan

Mark Fell / NHK yx Koyxen - Potato tour 2015 - ele-king

 ナイン・インチ・ネイルズからトム・ヨークまでもが「ファン」を表明、先日はパウウェルのレーベル〈Diagonal〉からの新作リリースと、国際舞台での人気もますます上昇、みんな大好きNHK yx コーヘイが凱旋公演!
 今回はいつものパートナー、マーク・フェル(snd)も同行するのだが、もうひとり、な、なんとラッセル・ハズウェル──〈Mego〉系のアーティストで、メルツバウとの共作をワープから出したり、最近はパウウェルのレーベルからもアルバムやら12インチを出しているIDM界の裏巨匠的な変人──も来日する。
 これは、そうとうラジカルな電子音楽の一夜になるだろう。
 この興味深いラインアップに、DJではNOBUが加わる。
 東京公演は、5月22日の代官山ユニット。



(ちなみに、この日からおよそ3週後の6月13日には、NHK作品のリリース元である〈PAN〉のショーケースもあるんだよな。こっちはこっちで、すごいメンツです。テクノ・ファンは、両方行くしかないか)

■NHKコーヘイ・ツアー・スケジュール

5月 . MAY
20日 NHK Special,9 at DOMMUNE
22日 東京 . Tokyo at UNIT
Phantasmagoria - tba
23日 岐阜 . Gifu at EMERALDA
Taxis - with Dj Conqus, Miyata
24日 大阪 . Osaka at NEW OSAKA HOTEL
-:Consep:- - with Microdiet, Metome, Yaporigami, Yuki Aoe, DJ Mayumi☆Killer

30日 大分 . Hita at CMVC
with Microdiet
31日 香川 . Takamatsu at RIZIN

with SIX (Dj Zen x vj ツジタナオト), Dj Takimoto Hideaki, REM PLANET
6月 . JUNE
6日 台北 . Taipei at Korner
7日 香港 . Hong Kong at The Empty Gallery
with Lee Gamble

https://nhkweb.info/potato_tour.htm


HATTORI (Black Cream / Pigeon Records) - ele-king

Prurient - ele-king

 ドミニク・フェルノウ(Dominic Fernow)がやり過ぎなのは誰の目にも明らかだ。レインフォレスト・スピリチュアル・エンスレイヴメント(Rainforest Spritual Enslavement)やヴァチカン・シャドウ(Vatican Shadow)としてあいも変わらず怒濤のリリースを続けるなか、プリュリエント(Prurient)とエクスプローリング・イザベル(Exploring Jezebel)の新作も発表。一体どうやって〈ホスピタル・プロダクション(Hospital Production)〉代表を務めながらこれだけの制作をこなすことができるのか、完全に理解を超えているとしか言いようがない。

いまでこそUSインディの先端を担う〈ホスピタル・プロダクション〉も元をたどればドミニクが若干16歳でスタートさせたDIYノイズ・レーベルであったわけで、ドミニク自身から止めどなく溢れんばかりに湧出する、かたちを成さない感情であるノイズをひたすらにアーカイヴ化することでその複雑な自身の表出にコンセプトを見出し、ラベリングすることが当初の目的であったと言える。

ノン及びボイドライスやデス・イン・ジューン、カレント93やコイルにSPK、ナース・ウィズ・ウォンド等のニューウェーヴ/インダストリアルからの多大な影響とブラック・メタルへの偏執的な傾倒をノイズ/エクスペリメンタルといった実験的な手法で自身の表現を模索してきたドミニクにとってプリュリエントはつねに彼の主たるプロジェクトであった。

シンセ・ダークウェーヴとパワー・エレクトロニクスの融合を試みてきたプリュリエントが、ドミニクのコールド・ケイヴへの参加を機に劇的な変化を迎えたのが2011年に発表されたバミューダ・ドレイン(Bermuda Drain)である。それまでになくメタル、もといロック的な起承転結が明快なダイナミズムとシーケンス/ビートにプリュリエントの手法を落とし込んだ意欲作であった。BEBからの前作、スルー・ザ・ウィンドウ(Through The Window)で90年代ハード・テクノを骨抜きにしたような作風を披露し、ヴァチカン・シャドウのサウンドと重複したことを危惧したのか、本作フローズン・ナイアガラ・フォールズ(Frozen Niagara Falls)ではドラマティックな展開を強調して再びプリュリエントの明確な差別化を意識したように聴こえる。ツインピークス風の不穏かつ幽玄なダークウェーヴからアコースティック・サウンドを基調とした激情、お馴染みの激昂とパワエレは以前より洗練された形でヴァリエーション豊かなトラックと共存している。活動歴約20年に及ぶ彼のプリュリエントな(卑猥な)試みの集大成として放つロック・アルバムだ。USインダストリアルの今後を占う90分近い圧倒的ヴォリュームの意欲作。


Afrikan Sciences - ele-king

 フラング・ロータス、さもなければシカゴのディープ・ハウスおける最重要プロデューサー、90年代後半のロン・トレント──、アフリカン・サイエンスのアルバム『Circuitous』を聴いたとき、そのように感じました。アフロで、コズミックで、スピっているようです。
 とはいえ、こちらは、ベルリンのもっともクールなレーベル〈PAN〉からのリリースです。アフリカン・サイエンスはよりモダンで、実験的で、フリーキーです。音楽の向こう側には、ブラック・サイエンス・フィクションが広がっているかもしれません。ケオティックです。何かが起きているようです。アクトレスを思い出して下さい。この音楽は、どきどきします。
 まったく……これは注目の初来日です。

AFRIKAN SCIENCES Japan Tour 2015

Afrikan Sciences x DE DE MOUSE
4.24 fri @ 大阪 心斎橋 CONPASS
Live Acts: Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York), DE DE MOUSE
DJs: T.B.A.
Open/ Start 19:00
¥ 3,000(Advance), ¥ 3,500(Door)plus 1 drink charged @ door
前売りメール予約: https://www.conpass.jp/mail/contact_ticket/
Ticket Outlets: PIA, LAWSON, e+(eplus.jp)
Information: 06-6243-1666(CONPASS)
www.conpass.jp

UBIK
4.25 sat @ 東京 代官山 UNIT
Live Acts: Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York), N'gaho Ta'quia a.k.a. sauce81(disques corde)
DJs: Shhhhh(SUNHOUSE), MAMAZU(HOLE AND HOLLAND)
Open/ Start 23:30
¥3,000(Advance), ¥3,500(Door)
Ticket Outlets: LAWSON(L: 76745), e+(eplus.jp), disk union CMS(渋谷, 新宿, 下北沢), TECHNIQUE, Clubberia Store, RA Japan and UNIT.
Information: 03-5459-8630(UNIT)
www.unit-tokyo.com


Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York) https://soundcloud.com/afrikan-sciences
オークランド出身、 NY拠点のエリック・ポーター・ダグラスのソロ・プロジェクト。DJとして80年代のヒップホップをルーツに持ち、90年代後期の電子音楽のプロダクションに自身のサウンドを見い出し、2007年にオークランドの盟友 Aybee主宰の〈Deepblak〉からデビュー、同レーベルからEPとアルバムをリリース、 Gilles Peterson主宰の〈Brownswood〉のコンピレーションにも参加。Afrika Bambaataaの私生児、SF作家Octavia Butler、 Sun Raの孫息子とも言及され、90年代の東海岸のハウス、40年代のジャズ、 西ロンドンのブロークン・ビーツ、土着的なアフリカやラテンのリズムから掻き集め、蓄積されたビートの感性は様々な音楽のフォームとサイファイ・ビジョンと結びつきながら独創的なプロダクションへと発展。AybeeとのMile Davisトリビュート・プロジェクト『Sketches Of Space』ではアシッド・ハウス先駆者Ron Hardyとアフロ・ビートかけあわせたような作品を披露。 長年先人達によって育まれ、更新されて来たアフロ・フューチャリズムの前衛としても異彩を放つ電子音楽家である。

N'gaho Ta'quia a.k.a. sauce81(disques corde) https://soundcloud.com/sauce81
プロデューサーsauce81の変名プロジェクト。sauce81としては、2008年、バルセロナにて開催されたRed Bull Music Academyに招待され、Sonar Sound Tokyoなどの国内フェス、海外でのライヴパフォーマンスも行っている。生々しいマシン・グルーヴとラフで温かみのあるシンセ使い。雑味たっぷりの楽器演奏と時折表すファジーでメローなボーカルワーク。ディープなソウルとファンクネスをマシンに宿すプロダクション・スタイルで、数々のリミックス、コンピへの楽曲提供を重ねてきた。これまでに『Fade Away』EP、『All In Line / I See It』EP、77 Karat Gold(grooveman Spot & sauce81)『Love / Memories In The Rain』7inch、『It's About Time』EP などのオリジナル作に加え、Shing02脚本・監督のショートフィルム『BUSTIN’』のために書き下ろした楽曲が、UKの〈Eglo Records〉から『Natural Thing / Bustin'』7inch レコードとしてリリース。N'gaho Ta'quia(ンガホ・タキーア)では、自身のルーツである 70's ジャズ、ファンク、ソウル・ミュージックをヒップホップ/ビート・ミュージックのフィルターを通してアウトプットすると共に、アルバム制作へと繋がるコンセプチュアルな世界観を表現している。

Shhhhh(SUNHOUSE) https://twitter.com/shhhhhsunhouse https://shhhhhsunhouse.tumblr.com/
DJ/東京出身。オリジナルなワールドミュージック/伝統伝承の発掘活動。フロアでは民族音楽から最新の電子音楽全般を操るフリースタイル・グルーヴを発明。オフィシャルミックスCD、『EL FOLCLORE PARADOX』のほかに『ウニコリスモ』ら2作品のアルゼンチン音楽を中心とした、DJ視点での南米音楽コンピレーションの編集/監修。ライナーノーツ、ディスクレビューなど執筆活動やジャンルを跨いだ海外アーティストとの共演や招聘活動のサポート。 全国各地のカルト野外パーティー/奇祭からフェス。はたまた町の酒場で幅広く活動中。

Mamazu(HOLE AND HOLLAND)https://mamazu.tumblr.com/
SUPER X 主催。90年代中期頃からDJとして活動を始める。今は無きclub青山MIXの洗礼を浴び、音と人、空間に触発され多種多様な音を吸収。小箱から大箱、野外まで独自の視点で形成される有機的なプレイを続け、国内外数多くのDJ、アーティストとの共演を果たす。トラック制作ではSkateDVDの『007』や『LIGHT HILL ISM』、雑誌『TRANSWORLDJAPAN』付録DVD、代々木公園にて行われる伝統ダンスパーティー『春風』のPVなどに楽曲を提供。2011年HOLE AND HOLLANDから発売されたV.A『RIDE MUSIC』の収録曲「ANTENA」ではInterFMなどでも放送され、日本が宇宙に誇るALTZもPLAY!、BOREDOMSのEYEもMETAMORPHOSE 2012でPLAYし、REDBULL主宰の RBMA RADIO にて公開され大きな話題となる。2012年5月には『RIDE MUSIC』から待望のアナログ・カット、MAMAZU - ANTENA - YO.AN EP EDITをリリースしこちらもALTZ、INSIDEMAN aka Q(Grassroots)、箭内健一(Slow Motion Replay)、YAZI(Blacksmoker)などなど様々なDJがPLAY中!2013年は自身初となるMIXCD『BREATH』をリリースし、最近ではアパレルブランドSON OF THE CHEESEの2015F/WのイメージMIXを提供。HOLE AND HOLLANDからリリースが予定されている。またCOGEEとのB2Bユニット『COZU』やSUNGAを加えたライヴユニット『DELTA THREE』ではBLACK SHEEPによるコンピレーションLP『ANTHOLOGY』に曲を提供するなど、活動は多義に渡る。

interview with Awesome City Club - ele-king


Awesome City Club
Awesome City Tracks

CONNECTONE

PopsIndie RockSoul

Tower HMV Amazon

 Awesome City Clubというバンドを最初に聴いたとき、極力演奏者としてのエゴを外に出さないようにした、言葉は良くないかもしれないけれど、BGM、もしくはスーパーマーケット・ミュージック的な音楽を作ろうとしているのではないか、と感じた。そこで聴いている人たちの行動の背景に寄り添った、奥ゆかしいポップ・ミュージック。それはともすれば職人的な作業のようにも思えたし、だからこそ、最初はライヴ活動ではなく、自主でCDをリリースするでもなく、ネット上に音源をひたすらアップロードしてその存在を認知させていくような手法をとっているのだろうと納得していたものだった。彼らの作品から、いわゆるシティ・ポップ然としたものだけではなく、60年代のラウンジも70年代のノーザン・ソウルも80年代のエレ・ポップも90年代のブリット・ポップも00年代のチルウェイヴも2010年代のシンセ・ポップも……と、あらゆる心地良いポップスのツボを闇雲に探しまくっているひたむきな姿が伝わってきたことも職人の第一歩を思わせるものだったと言っていい。

 だが、ここに届いたファースト・アルバム『Awesome City Club』を聴いて、そういう耳に心地良いBGMのようなポップスを作る職人的な自分たち、という在り方を今度は明らかに武器にするようになったんだということに気づかされた。00年代以降の感覚で気持ち良い音を作ることに腐心する若き職人たちである自分たちが表舞台に立ったらこうなるんだよ、とでもいうような主張なき主張。プロデュースとミックスを担当するのがトラックメイカーとして活躍するmabanuaということもそういう意味では象徴的だ。メンバー5人揃っての取材でその作り手の心理を問うてみた。

■Awesome City Club / オーサム・シティ・クラブ
東京を拠点として活動する男女混成5人組バンド。2013年、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより結成され、2014年、サポートメンバーだったPORINが正式加入して現在のメンバーとなる。「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに楽曲を制作・発信。CDを一切リリースせず、音源は全てSoundcloudやYoutubeにアップしており、再生数は10万回を超える。ライブ活動においては海外アーティストのサポートアクトも多数。『Guardian』(UK)/『MTV IGGY』(USA)など海外メディアでもピックアップされるなど、ウェブを中心に幅広く注目を集めている。
atagi(Vocal/Guitar)、PORIN(Vocal/Synthesizer)、モリシー(Guitar/Synthesizer/Vocal)、マツザカタクミ(Bass/Synthesizer/Rap)、ユキエ(Drums/Vocal)

時代性があるような、ないような……どの時代でも自分のメロディをちゃんと作れるような方々が好きですね。(ユキエ)

一般的にAwesome City Clubが紹介される際、「シティ・ポップ」という言葉でまとめられてしまうことに少し疑問を感じていまして。

マツザカタクミ:ええ、ええ。

逆に言えば、どこにルーツの起点があるのかわかりにくいから、「シティ・ポップ」なる言い方にとりあえず置き換えているようにも思えるんです。で、それは、最終的に音に対する感覚を示した言葉なんだろうと。そこで、まず、Awesome City Clubが他のどういう作品と並べられたら本意だったりするか、から訊きたいんですが。

PORIN:私は岡村(靖幸)ちゃんですね。この間、ライヴを観に行ったんですけど、そこにきているあらゆる世代の人を巻き込むようなエネルギーがすごいなあって思いました。人間力みたいなところですね。

マツザカ:僕はペトロールズとceroの間かな。というか、最初、HAPPYとかthe finのような洋楽っぽいバンドと、細野晴臣さんをルーツにしたような、もう少し文系寄りのバンドの中間をやりたいなと思っていたんです。

モリシー:僕もペトロールズと……あとフォスター・ザ・ピープルかな。このバンドで最初に曲を作っていた時に、リファレンスとしてフォスター・ザ・ピープルを聴いていたりしたんです。この感じを日本語でやれたらいいな、とか。バンドとしてもいいけど、音像がとてもよくて……。

ユキエ:私はユーミンさんとか山下達郎さんとか桑田佳祐さんとか……時代性があるような、ないような……どの時代でも自分のメロディをちゃんと作れるような方々が好きですね。もともと私、歌がやりたくて音楽をはじめたんですけど、音楽に関わる方法として最終的に選んだのがドラムだったんです。いろいろやってみたんですよ。ギターもやってみたけど楽しくなかった。でも、ドラムだったら楽しいしやっていけるって思えたんですよね。それでもリズムっていうよりも歌、メロディを聴いてしまうんですけどね。

僕らスタジオにいる時間が多いんですよ。とくに曲を作るわけでもなく、ライヴのための練習というわけではなくても──。(モリシー)

atagi:僕は平沢進と宇多田ヒカル。その間に並べられるようなのだとうれしいなと。どっちも強烈にメロディに個性があるのと、平沢さんの曲なんて変態とも思えるような曲作りだけど、ちゃんと音楽愛があって一つ一つの音に必然があるんです。それは宇多田ヒカルの曲にも感じるんですよね。

なるほど。それぞれが好きなアーティストに、良いと思えるアングルがかなり明確なんですね。岡村靖幸の持つライヴでのエネルギーとか、ユーミンや達郎のメロディとか。パーツ、パーツでリファレンスが分かれるというか。

マツザカ:ああ、たしかに。フォスター・ザ・ピープルはミックスが良かったりするんですよね。

いま名前が出たアーティストの作品はメンバーみんなで共有していますか?

マツザカ:そうですね。わりと共通して聴くようにはしてるかな。

モリシー:曲作りをしているときに名前が出ることもあるし、普段“こんないいの見つけたぜ”みたいに会話して共有することもありますね……僕らスタジオにいる時間が多いんですよ。とくに曲を作るわけでもなく、ライヴのための練習というわけではなくても──。

マツザカ:最近は他にやることが増えてきましたけど、基本は週にどのくらいはスタジオに入る、というようなことは決めていますね。

ユキエ:すごいときは昼から翌日の朝までずーっと入っていたり……(笑)。

モリシー:そういうときは、昼から練習をして、夜になったらそのまま朝までレコーディングをする、みたいな感じですね。で、曲を録音し終えたらSoundcloudにすぐアップして。だから、最初はネット上で曲を発表することが多かったんです。

スタジオでの作業が好きということですか。ライヴをするよりも。

全員:(口々に)うん、そうですね。

マツザカ:絶対そうだと思います。

スタジオが好き、という感覚は誰からの影響、どこから養った感覚なんですか?

マツザカ:このバンドがはじまる前、メンバーそれぞれ別のバンドで、そのときはライヴ中心の活動をしていたんですけど、思うような結果が出なかったんです。ただライヴをやって曲を演奏して……というのではダメなんだと。それで、もっと作為的に曲を作って、発表していくようにしてみたらどうだろう? って思うようになったんです。つまり、最初は無料で聴いてもらって、自分たちのことを知ってもらって……っていうような順序ですね。

つまり、無料試聴をプロモーション・ツールとして生かすために曲が必要だった。だからスタジオでどんどん曲を作っていくことにした。おのずとスタジオにいることが多くなった……という流れがこのバンドの出発点だったということですか。

マツザカ:そうです。もちろん集中しているし、頑張っているんです。頑張ってるベクトルを他のライヴ中心のバンドと少し変えてみた、ということだと思います。

こういう音が欲しいよね、みたいな座組を最初に考えているからこそ、スタジオでの作業時間が長くなるし、そこでの作業が増えていく、という感じですね。(マツザカ)

なるほど。そこには、単に曲を作って、まずは無料で聴いて自分たちを知ってもらいたいという側面以外の醍醐味、たとえば、スタジオでしっかりと曲を作り込むことの楽しさ、カタルシスもあると思うんですよ。

マツザカ:あ、それは絶対ありますね。

モリシー:個人的には細野晴臣さんみたいに、狭山のスタジオで時間を気にせず録音したりするようなのには憧れるんですよ。そういうのが僕らの活動の根っこにあるのは間違いないですね。

マツザカ:こういう音が欲しいよね、みたいな座組を最初に考えているからこそ、スタジオでの作業時間が長くなるし、そこでの作業が増えていく、という感じですね。でも、自分たちでも納得した作品を作ることが目標になっているから、やっていて楽しいし、みんなでスタジオに入ることも苦じゃないですね。

そういう活動の中からでも優れたポップ・ミュージックは生まれるんだということを伝えることができる。

マツザカ:そうですね。それは大きいと思います。

こういう活動方針でいいんだ、と自信を持つことができたきっかけはありました?

atagi:Gotchさん(ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文)が背中を押してくれたのが大きかったですね。

モリシー:音楽的にはけっして近いわけでもないし、僕らにしてみればもちろん大先輩だし。そんなGotchさんに届いて、しかも、どうやら気に入ってくれてるぞ、というのがとにかく嬉しくて。もちろん、好きなことをちゃんとやる、というのを大前提にしていたわけですけど、認められたくてウズウズしていたときにGotchさんに届いたっていうのはやっぱり大きかったですね。これでいいんだって。

Gotchの去年のソロ・アルバムも最初は一人で音を出すことからはじまって、スタジオ制作に集中しながら作り上げたものでしたからね。実際に、そういう先輩たちの作品の音作りを具体的に検証したり、研究したりしたようなことはしました?

atagi:エンジニア的な作業もふくめて、僕ら、最初は見よう見まねだったんです。でも、あるときから別のスタジオで知り合ったエンジニアの方にいろいろと伝授してもらって実地で教わって。こういう音はこうやって出すんだよ、みたいなふうに言われたことを試してみるようになって……。いまは作品を聴きながら“どうやってこの音は出すんだろう?”みたいなことは考えて学んだりしていますね。

ということは、これまで外部のプロデューサーに頼って制作したことはなかったと。

マツザカ:そうですね。これまでは全部自分たちで録音していました。音決めのジャッジも自分たちで。ただ、今回のアルバムはプロデューサー(mabanua)さんやエンジニアさんをお迎えしました。

PORIN:レコーディング前に必ず音の価値観みたいなのを確認し合うんです。誰かの作品を聴きながら“こういう感じの音がいいよね”みたいにして。だから、いざ作業が始まってから迷ったり意見が分かれることはほとんどないですね。

atagi:感覚的に、ドラムの音もギターの音も、“カッコいい”より“気持ちいい”の成分を大事にしたいっていうところとか。バンドとして共通してそこをちゃんと全員が理解しているっていうのはありますね。

ドラムの音もギターの音も、“カッコいい”より“気持ちいい”の成分を大事にしたいっていうところとか。(atagi)

モリシー:それがどうやったら音で出せるのか、というのもだんだんとわかってきて。5人で音を出して合わせたときに、“あ、これメッチャ気持ちいいじゃん”って感じるような瞬間が掴めるようになってきましたね。

なるほど。私が新作を聴かせてもらって感じたのは、どれか一つの音が突出してその楽器の音色として主張するのではなく、むしろプレイヤーとしてのエゴみたいなものを意識的に押さえ込んで、意識的に平板にしているのではないか、ということなんです。シンセサイザーの音だと思ったらよく聴けばギターだった、ギターだと思ったらベースだった、というようにも聴こえる。つまり、あくまでメロディと歌、歌詞のために背景作りに演奏自体は専念するべく、そのために各パートが様々な音を演じている、というような。

モリシー:たしかに、僕ら全員それぞれのパートの特徴に固着はしていないですね。

マツザカ:逆に、プレイヤーとしてこう弾きたい、というより、編曲を意識して、その曲の中で、こういう音を出そう、こういう音が必要だからこうしよう、というようにそれぞれが考えて音を出している感じですね。それぞれのパートに任せる、というようなやり方をしないというか。

atagi:それはありますね。たとえば僕はリズムが好きなんですよ。でも、僕はギタリストだから関係がないということではなく、ギタリストとしてどう気持ちのいいリズムを作れるのか、ということを常に考えているし、他のみんなもそういう意識で統一されていると思うんですね。

でも、Awesome City Clubはリズムがガツンと出るようなサウンド・プロダクションではないですよね? むしろ、ベースもドラムも低音としての主張をほとんどしていない。にも関わらずリズミックな作風が貫かれているわけです。ここにはどういう創作の工夫があったと言えますか?

atagi:あ、それこそが“気持ちよさ”というのを追求した結果なんだと思いますね。僕はエンジニアとしての知識はないですけど、今回、mabanuaさんといっしょに作業をどうしてもしたくてミックスまでお願いしたんです。そしたらやっぱり思っていた通りの音像を作り出してくれた。現場では、こういう感じの音でいきたいんです、みたいなことは伝えていたんですけど、ちゃんとこっちの希望を理解してくれた。mabanuaさんの力は大きかったと思います。

たとえば、ニュー・オーダーを思わせるような、無機質なんだけどバウンシーな音の質感が感じられたりしますね。つまり、すごく無機質な音の感触を狙っても、フィジカルなバンドとしての有機的なものが自然と出てしまう。でも、最終的には熱くなり過ぎない。音の縦のレンジも広くない。限られたレンジの中に、コンフォタブルな感触を封じ込める作業に没頭したように聴こえるんですね。

モリシー:ああ、ニュー・オーダーは僕も個人的に大好きで。あらかじめ設定していなくても、レコーディングをしていて自然とエッセンスが出てしまうというのはあったかもしれないです。あのバンドには鍵盤もいればベースもドラムもいるけど、プレイヤーとしての主張が、少なくとも作品の中ではほとんど強調されていない。ギターもさりげなく居場所をキープしてアンサンブルの中で役割を果たしている、みたいな。そういうのがいいなと思って。たとえば僕は宅録の音作りが好きなんですけど、それをバンドでやるときにも生かしたいというか、必要な音を必要なときに鳴らすような感じであればいいかなと。

メンバー全員はプロデューサー的な第3の眼を持っているということですか。

モリシー:あ、そうかもしれないですね。たぶん、atagiなんかはメイン・ソングライターだから余計にそういうことを考えているんじゃないかと思いますけど。

atagi:このバンドを最初にはじめたときに、宅録のように音が整理されていて、有機的な音にはならないのかな、と思っていたんです。でも、実際に5人で音を出してみると、どうしても有機的な膨らみが出てきたんです。でも、それがイヤなものではけっしてなくて。個人的には宅録のあの感じが好きではあるんです。でも、バンドでやるときに心地良い音像っていうのをみんなで作り上げていくことにも喜びを感じたりするんですよね。

演奏者として主張が出ちゃうと、みんなあんまり楽しくなさそうなんですよ(笑)。不思議なもので、顔に出るんですよね。(PORIN)

では、なぜそういう“心地良い”音を求めるようになったんだと思っていますか?

atagi:歌詞や演奏で主張をし過ぎるようなバンドやアーティストがすごく多くて。それがトゥー・マッチに思えたんですね。で、自分たちで音楽をやるときに、そういうのはやりたくないな、とみんなで潜在的に感じていたんじゃないかと思います。

となると、ある種のBGM、何かをやるときに背後で流れている音楽でありたい、というようにも思われる可能性もあると思います。そこは本意ですか?

全員:あ、もう、まさに。

PORIN:その通りです。

atagi:僕らの音楽に対して、“架空の町のサウンドトラック”ってテーマを設けているのもまさにその通りで。やっぱりデイリーに聴ける音楽でありたいと思っていて。低音がバンバン前に出る音楽だと、好きではあるけど、毎日は聴けない。だから、さきほどおっしゃった、音のレンジが狭いというのも、その限られたレンジの中で心地良い音を作り上げていった結果なんだと思います。もちろん、曲のムードや風景を描くことは大事なんですけど、そこが過剰に主張しちゃうとダメなんじゃないかなって。

あくまで曲を作り上げていく一人になる目線を持ち続けていくということですね。でも、そこで作り手としてのエゴってどうしても出てくると思うんです。キャリアを重ねれば重ねるほど。これは自分の言葉だ、これは自分の音だ、というような。そことの戦い、折り合いはどうされているのですか?

PORIN:でも、演奏者として主張が出ちゃうと、みんなあんまり楽しくなさそうなんですよ(笑)。不思議なもので、顔に出るんですよね。他のメンバーもそうだし、肌に合ってないなっていうのが自分でもわかるんです。

奥ゆかしい音を出すことが主張である、と。

マツザカ:そうですね。こだわりがあるとすれば、まさにそこだと思います。メッセージがないところがメッセージだ、というのをコンセプトにしていたところがありましたからね。たとえば、僕はシャムキャッツが大好きなんですけど、彼らは東京郊外の町にいる人をフィーチュアして歌詞を書いたりしているし、ceroも東京に住んでいる人が描くパラレルな東京がテーマみたいになっているじゃないですか。それぞれちょっとずつ違う目線で東京という町を切り取っていて、それが一つ一つ形になっている。で、自分もなるべく同じものを観て、自分なりの見解を描ければいいなと思っていますね。でも、それを伝えなきゃ、というふうには強く思ってはいないんです。

atagi:気持ちじゃなく風景を歌うアーティストたちが最近増えてきているじゃないですか。とくに東京のインディーズのバンドとかって。でも、それって、自然としっくりきたスタイルが集約されたってだけだと思うんです。音に対してもそうで、「こういうのがいいと思うんだけど、どうかな?」みたいな感覚をなんとなく共有していくことを日々つづけているようなところがある。「これでオッケー?」「オッケーだよね?」みたいな。

つきつめていくと、ブラック・ミュージックにたどり着くと思うんですよ。そこに新しい感覚を与えることができるといいなと思っています。(atagi)

気持ち良い感覚をひたすら追求していくそれぞれの気持ちが一つに集約されていくことのスリル、みたいな感じですかね。

atagi:そうですね。つきつめていくと、ブラック・ミュージックにたどり着くと思うんですよ。でも、僕らは、そういうルーツを堀りさげていくというよりも、そのルーツに影響された音楽に興味があるし、今度は僕らがそういう音楽を作っていきたいという思いがある。バリバリの黒人音楽も好きだけど、ブルーアイド・ソウルだったり、黒人音楽のエッセンスを取り入れた音楽の中にある気持ちよさみたいなものですね。そこに新しい感覚を与えることができるといいなと思っています。

気持ちよさっていうのは、ある一定の経験に基づいた既視感、安心感によってもたらされるところがあるじゃないですか。それはともすれば、すでに出来上がっている価値観を再体験する、言わば保守的な作業かもしれない。でも、Awesome City Clubはそこに新しい感覚を与えようとしている。そこのバランスをどう意識していますか?

atagi:たとえば新作の中の最後の曲“涙の上海ナイト”、気持ちよくてラグジュアリーな曲を作りたいって意識のバンドがああいう曲は作らないだろうと思うんですよ。

歌詞も曲調もナンセンスな面白さがある曲ですね。

atagi:気持ちいい音楽として僕らが追求するジャズやソウルのマナーというか様式美にハマらないような、ハミ出る部分が出た曲だと思うんです。でも、ああいうイビツな曲でもグッド・ミュージックとして釣り合いのとれるものにすることができると思っていて。そこはかなり自覚的にやっていますね。でも、こういう音楽をやってシュッとカッコつけているということも自覚しているんです(笑)。

DJ Soybeans - ele-king

最近購入&最高のパーティーでかかった1曲&そろそろ発売される盟友のフルアルバム

Crew of secret trafficking organization.
Also He is offering fabulous DJs at “Isn’t it?” that is small weekday party .
https://soundcloud.com/isnt-it-1

4/10 大阪Club Stomp "White Body"
https://club-stomp.com/
DJ:
oboco
OQ
DJsoybeans
AIWABEATZ
BIOMAN
LIVE:
NEWMANUKE
TECHNOMAN

4/11 大阪Club Circus "FACTORY"
https://circus-osaka.com/
DJ:
ALUCA
Matsuo Akihide
AIDA
Live:
Whan!
Albino Sound
DJ Soybeans

4/14 幡ヶ谷Forest Limit "Isn't it?"
https://forestlimit.com/fl/
DJ:
NODA
Sem Kai
DJ Soybeans

interview with D.L - ele-king

MixCDFunkJazzHiphop

『FREEDOM JAZZ FUNK“Everything I Dig Gonna Be Funky”』
Track List
01. LES DEMERLE / A Day In The Life
02. PLACEBO / Balek
03. LES DEMERLE / Moondial
04. PLACEBO / Humpty Dumpty
05. PAUL HUMPHREY / Do The Buzzard
06. LEMURIA / Hunk Of Heaven
07. BILLY WOOTEN / Chicango (Chicago Land)
08. WENDELL HARRISON / Farewell To The Welfare
09. MANFREDO FEST / Arigo
10. LES DEMERLE / Underground
11. PLACEBO / Bolkwush
12. JAZZBERRY PATCH / Jazzberry Patch
13. SOUNDS OF THE CITY EXPERIENCE / Getting Down
14. MANFREDO FEST / Jungle Kitten
15. IVAN BOOGALOO JOE JONES / Confusion
16. LES DEMERLE / Aquarius
17. HOT CHOCOLATE / What You Want To Do
18. THE WOODEN GLASS featuring BILLY WOOTEN /Monkey Hips & Rice
19. BOBBY COLE / A Perfect Day
20. ROY PORTER SOUND MACHINE /Out On The Town Tonight

 いまやヒップホップのみならず、ファンクやレアグルーヴ、そして、和モノDJとしても活動し、ファンですらBuddha Brandとしての活動を忘れてしまうほどに、DJとしての圧倒的な存在感を見せつけているD.Lが老舗レーベル〈Pヴァイン〉と組んで、今冬、ミックスCD『FREEDOM JAZZ FUNK』をリリースした。「Everything I Dig Gonna Be Funky」=俺のディグったものすべてがファンキーになるとの副題のついたこのCDは、〈Pヴァイン〉が誇る極上の音源をミックスしたというだけにとどまらない、D.Lにしか生み出せない太くファンキーなグルーヴに溢れた特別なものに仕上がった。ヒップホップやレアグルーヴ、フリーソウルのリスナーにはおなじみの名曲たちがD.Lの手により、そのイメージを一新しかねないほどのサウンドを手に入れている。4月、その第2弾となる『FREEDOM JAZZ FUNK “Mellow Storm”』がリリースされるのを目前に、まずは“Everything I Dig Gonna Be Funky”と刻まれたこの驚くべきミックスCDについてじっくり話をきいた。

■D.L / ディー・エル
Illmatic Buddha M.C's、Buddha Brandのキーマンとして90年代の日本のヒップホップ・シーンに旋風を巻き起こす。2005年の改名以前はDev Large名義でMC、プロデューサー、DJ、執筆業など多岐にわたる分野で活躍。レコードディガーとしても定評があり、ヒップホップはもちろん、Soul、Funk、Jazz、Rock、日本の歌謡曲まで貪欲にレコード探求を続ける。

フリーダム・ジャズ・ファンクっていう言葉が浮かんできて、じゃこれで作ろうって感じになってって。

柳樂:まずこれはどういうコンセプトで作られたのかっていうところから、はじめてもいいですか。

D.L:気づいたら、こうなっていました。コンセプトは無かったんです。無かったっていうか、いろいろ緻密に、どういうのにしようか、こういう楽曲があるよ、こんなのもあるよみたいなことを言ってるときに、フリーダム・ジャズ・ファンクっていう言葉が浮かんできて、じゃこれで作ろうって感じになってって。曲ありきで、曲からいろいろこうイマジネーションが膨らんでった感じなんです。

柳樂:たとえば、キーとなる曲はどういう曲ですか?

D.L:もともとビリー・ウッテン(Billy Wooten)の“イン・ザ・レイン”を入れたかったんですよ。“イン・ザ・レイン”をいちばん最後に入れようみたいな感じで。でも、もうそれ無くなっちゃったんで、次の作品に入れると思うんですけど、このアルバムで言うとやっぱプラシーボ(Placebo)とレス・デマール(Les Demerle)、そうだな、そのへんが、すごく絶対入れたいものだなって。やっぱり最初の4、5曲めくらいの間に入れて、試聴機にかかったときにそこで引っかかるようなものになったらいいなと思ってたんです。

柳樂:プラシーボが3曲で、レス・デマールが4曲入ってますもんね。

D.L:そうなんです。この2組をピックアップしたかったんです。あとアイヴァン・ブーガルー・ジョー・ジョーンズ(Ivan Boogaloo Joe Jones)のこの“コンフュージョン(Confusion)”とか、ジャズベリー・パッチ(Jazzberry Patch)とか、そのへんのジャズ色が強いと思ってるんで。

柳樂:このミックスCDを何回も繰り返し聴いたんですけど、とくにびっくりしたのがレムリア(Lemuria)で、ぜんぜんイメージが違いますね。

D.L:あーそうですね、たしかに。

柳樂:D.L.さんの昔のインタヴューで「メロディアスで軽くないやつがいい」とかって、そういう軽くなくてファンキーでちょっと重いものが好きだみたいな話をされているんですよ。でも、レムリアって軽くてメロウな印象があったんですけど、ここに入っているレムリアはまったく印象が違ってて。だから、「こんなんだったっけ?」と思って何回も聴いたんですけど。プラシーボとかもそうですね。今回この並びで、このミックスでぜんぜん曲の印象が変わったのかなと。どういうイメージで作ったんですか?

D.L:最初から最後までだーっと行っちゃうのもおもしろくないので、2ヵ所か3ヵ所、パッと変えるところを作ろうと思って入れたのがレムリアと、マンフレッド・フェスト(Manfred Fest)。そこがすごい変わるところだったんですよね。あと、なんて言うのかな。これはあくまでも〈Pヴァイン〉が持ってるグレートな音楽の中で作った74分20曲っていう感じなんで、たぶんいつも出してる自分のミックスCDのときは、もっと究極にどういう音を出したいかっていうところで引っ張ってくるので、そういった意味でちょっとは違うかもしれないですね。もしかするとレムリアはこの選曲には、自分の『ゲットー・ファンク(Ghetto Funk)』シリーズだったら入らなかったかもしれない。
あと個人的に思ったのがやっぱり1曲目のこれ(“ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)”を死ぬほど聴いてたんですけど、具体的にこの作業に入るまで、作曲者がジョン・レノンとポール・マッカートニーだなんてぜんぜん知らなくて、これはすごいびっくりしましたね。たぶんそう思ってる人も多いんじゃないかな。まだ原曲は聴いてないんだけど、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの。どういうものなのか。ただ、こっちのこればっかり聴いてるから、あの、たぶんわかんないだろうな、原曲聴いたとき。そんな気がしますね。

柳樂:ちなみに、このへんのレス・デマールとかプラシーボとかって、なんかサンプリングとかもされてるんですか?

D.L:自分は、してないです。

柳樂:ご自分でサンプリングネタとして使われる曲とかも入ってるんですか?

D.L:いや、あのね、いっつもそうなんですけど、なるべく使った後に入れるかなんかで、使おうと思ってるのは入れないときが多かったですね、いままで。〈ビクター〉で、前に2枚ほどやったのがあるけど、あれも使おうと思ってるのは入れなかったです。

柳樂:普段のDJで使う曲が多いですか?

D.L:ぜんぜん多いですね。都内でやるときはかけてます。最近は、地方に行くときは和モノの、頭のおかしいムード歌謡しかかけないで45分とか1時間半とかなんで。

柳樂:D.L.さんいま和モノですよね。このあいだディスクユニオンの和モノのセールで整理券1番だったらしいですね? 並んでるんだいまだにって思って。

D.L:でも、もっとすごい人たちがいますよ。DJじゃない、一般のおじさん。50いくつだって言ってたけど、ずーっと高校生のときに聴いてた昭和40何年の音楽を聴いてるって人。あそこ行きました? 新宿の昭和歌謡館(ディスクユニオン)。

これ、全部■■■■にしてるんですよ。

柳樂:行きましたよ。

D.L:異常ですよね。入った瞬間から。

柳樂:階段から異常ですよね。

D.L:うん、そうそう。

柳樂:いま和モノがいちばんやばいですもんね。

D.L:やばいですね。だからおれ和モノのコンピもやりたいんだよね。めちゃくちゃかっこいいのあるから。名盤解放同盟とか、〈Pヴァイン〉から出てたやつはCDも廃盤で高いんですよね。やりたいなぁ。

柳樂:ははは。僕もしばらくD.L=和モノっていうイメージがあったので、今回のジャズ・ファンクのミックスCDは逆に新鮮でしたね。

D.L:そうですね。こういうのも普通に聴くんですけどね。

柳樂:でもずっと和モノでまぁかなりプレイされて、けっこう長いじゃないですか。なんか和モノずっとかけてきて、逆にそれでこういうレアグルーヴの掛け方が変わったり、発見があったりみたいのってあります? ちょっと変わり種のジャズ・ファンクみたいなのも多いじゃないですか。プラシーボみたいなのも。

D.L:そうですね。

柳樂:そのへんって、カウント・バッファローズ感っていうか猪俣猛感っていうか、石川晶感っていうか。そういう普通のUSのジャズ・ファンクと違う感じのグルーヴみたいなものが、このミックスにはあるのかなっていうのを感じたんですよ。

D.L:たしかに、そうですね。プラシーボというよりも、マーク・ムーラン(Marc Moulin)とか変なのいっぱい入ってるじゃないですか。あっちから聴いてからプラシーボに行ったほうなんで、自分のDJではよくありがちなメインストリームのジャズ・ファンクとか70年代のUSモノじゃない感じは、モロしてましたね。そういった意味でカウント・バッファローズとかめちゃくちゃなことしてるから好きなんですけど、ある種似たものを感じていたと言えばそうですね。

柳樂:なんかその感じなのかわかんないですけど、ザラザラした感じっていうか、ちょっとアンダーグラウンド感って言ったら違うかもしれないですけど、すごい太くて尖った感じがあって。全体的に。

D.L:これ、そうとうやばいミックスしてるよね。もうほとんどヒップホップなんですよ。楽曲は全部ジャズだけど。あと、これ、全部■■■■にしてるんですよ。

柳樂:!?

D.L:●●●●した上で■■■■■ってて。だからよく言われるんですよ。なんか太いですよね、あんな太かったっけなぁって。

柳樂:なるほどね、なんか音がすごいなと……

D.L:いままでありがちだった作り方のミックスCDではないんですよ。なんでそうなったかっていうと、MUROのやつ聴いたんですけど、すごい良かったんで、自分のはもっとアンダーグラウンドにできないかなっていうのがあって。

柳樂:そうですよね。だから僕がいちばん聴きたかったのは、レムリアとボビー・コール(Bobby Cole)が、そんな曲じゃなかったじゃんっていうことなんですよ。ボビー・コールはなんか、こういうミックスCDに入る感じの曲じゃないじゃないですよね、どちらかというとフリー・ソウル系で、もうちょっとライトな、爽やかな。

D.L:そうですね。

柳樂:だけどすげー粗いし音も太いし、これどうなってんだろうって思って。どういうミキサーをどういじったらこうなるんだろうなって思って。

D.L:じつはそういう強い▲▲▲▲▲になってるんですよ。だいたいいままで『ゲットー・ファンク』みたいなミックスCD って3日かかったのはほとんどないんですよ。これは全部合わすと5日くらいいってるかな。

いままで『ゲットー・ファンク』みたいなミックスCD って3日かかったのはほとんどないんですよ。これは全部合わすと5日くらいいってるかな。

柳樂:でもいままでそんなやり方したことないですよね。『ゲットー・ファンク』とか『テキサス・デス・ロック(Texas Death Rock)』とかでも。

D.L:そうですね。毎回こんなすごいのできればいいんですけどね。でも悲しいのは、誰も知らないんですよ。こんなすごいことをやってるって。もしかしたら音がちょっと怪しいなって思ってても、まさかここまで絵を描いてこうなんだなって思う人はいないんで。

柳樂:すごいなぁ……

D.L:このCDに入っても入らなくてもいいんですけど、■■■■を作ってもらうときに、その■■■■が変わる瞬間に、前のDJがいて後ろの前のレコードをひねりつぶすくらいズドンとくるつくりにしてくださいと言うんですよ。だからその、どの状態でもどこに行っても、誰の順番の後でも先でも、あ、絶対この曲かかっちゃうと前の人がかわいそうだなとか後の人かっこつかないだろうなっていう作りにしてくれってよく言います。だから全曲そういう感じになってるんです、本当に。

柳樂:たとえばそれはどういうところだったりします?

D.L:太いとこですね。いちばん太いところさらに太く。ちょっと困っちゃうのは、実際たとえばプラシーボの“ハンプティ・ダンプティ(Humpty Dumpty)”、これとか、なんて言うのかな。■■■■のほうがすごい太すぎるので、アルバムで▽▽▽▽▽▽▽の方をかける前に俺のをかけちゃうと▽▽▽▽▽▽▽のほうがつぶれちゃう感じになっちゃうんですよ、すごすぎて。すごいイコライジングしてもなかなか合わないものになってしまってて、最近出た■■■■に対して、やりすぎると困っちゃうななんて。かけれなくなっちゃって。それはもう、また▽▽▽▽▽▽▽のやつを■■■■作ろうかななんて思ってるんですけどね。

柳樂:ちなみにこれまではどうしてたんですか?

D.L:まぁ普通にできる範囲でちょろっとイコライザーとかいじるくらいで、他にできることは無かったと思いますね。

柳樂:じゃあ本当にそれですごい変わったんですね。

D.L:そうですね。あの、たとえば、うーんどうだろうな。クボタタケシってわかります? あいつとか、あの、DJのときにCDも多用するんで、たとえば坪井くん(illicit tsuboi)が作った曲とかもいつもヘビー・ローテションで入ってて、ああいう感じでそういうプレイをする人は、自分で加工したものを自分リミックスでかけるんでしょうけど、俺はそういうのやらなかったから。DJ Krushとか(DJ シャドウの)“オルガン・ドナー(Organ Donor)”の、すごい、もうなんだろうな、空爆にあってしまったようなすごいドラムのやつかけてて、こういうのいいな、なんて昔思ってたんですけど、まぁ、ああいうのを、こんどはいいなって思うんじゃなくて■■■■でかけちゃおうかなとか思ってるんですけど、なんかそういうことができたらいいな。

細かく叩くとすごい埃が出てくる危ないミックスCDです。

柳樂:じゃあ、でもご自分でDJするときのためにリミックスとかはされない?

D.L:ぜんぜんしなかったですね。あ、でも、■■■■作って以降は、いろいろ出てないのをやってるんだけど。KrushさんがMUROとやってる、“チェイン・ギャング(Chain Gang)”って曲、■■■■にしたから、よくかけてますね。

柳樂:そっか、ずっとプレイは基本■■■■ですもんね。

D.L:そうですね。あとそうだな、もっと本当はね、ちゃんとグルーヴよりのものをやりたいって考えたときもあったんだけどね、なんて言うのかな。MUROがやったフリー・ソウルのやつにけっこうもう好きなのが入っちゃってて、何曲か、2曲くらい、被ってるのあるかもしれないけど、あまりに向こうと合うともう意味ないから、そういうのはあえてやめようって入れなかったんですけど。あれはもうすごいいい選曲で、むちゃくちゃ、さすがだよな……

柳樂:MUROさんを意識してたんですね(笑)。

D.L:普通に考えると、あのキング(・オブ・ディギン)が3枚出した後に俺がやると人気ないなで終わっちゃうのかも知れないけど。けっこう、もうすごいガチガチかっこいい曲入ってるから、MUROがやると。だからハチマキしましたね、心で。それで、こういうものができたって感じですね。買える人はこの時期タワーで買えるから、逃さないでくれと言いたいんですね。こういうのなかなか作らないと思うから。

柳樂:そうですよね。

D.L:細かく叩くとすごい埃が出てくる危ないミックスCDです。あ、それちょっとかっこいいね。

柳樂:ははは。ザラッとしててちょっとスモーキーな感じで。

D.L:はい、そういう感じもありつつ。買ったリスナーの方は自分で叩いて埃を出してくださいと。

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あのね、すごい好きなのはね、また〈グルーヴ・マーチャント〉ですけど、なんかいちばん最初に浮かぶのはいつもそれなんですけど、

D.L: そういえば、ぜんぜん話が違うんですけど、びっくりするくらいすごい女の子がいるんですよ、ヤマハのエレクトーン・コンクールに出た女の子が、ビリー・ウッテン(Billy Wooten)の曲を弾いたんですよ。ビリー・ウッテンがその子のすごいプレイをYoutubeで見て驚いたっていう。俺はこの子をプロデュースしたいなって思ったんですよね、連絡とって。ジャズの曲だけどヒップホップ的アレンジで何か足してって何かやりたいなと。

柳樂:これ、すごいっすね。

D.L:こんな女の子が。しかもこの曲だもんね。音なりだすと、凍っちゃうくらいすごい。

柳樂:上原ひろみだってヤマハのコンクールがはじまりですもんね。

D.L:この人と、なんかできないかな。

柳樂:それ最高じゃないですか。

D.L:連絡つかないかな。このYoutubeに上げてるのがたぶんお母さんなんですよね。アカウント名がそんな感じで。それでメール送ってみたんですけど、返事こないですね。見てないっぽいなと。

柳樂:ヴィジュアル的にもおもしろかったですもんね。エレクトーンだから、めっちゃ足踏んでるし。そもそもコンクールの雰囲気が、何も期待させない感じがいいですよね(笑)。

D.L:そう、逆にね、なんだよすごいじゃんって気になっちゃうもんね。まったく期待させないあの感じ。

柳樂:のど自慢大会で突然フリースタイルはじめるみたいな感じですもんね。突然何か起きちゃったみたいな感じで。これは、ここで呼びかけましょう!
ちなみになんか、ジャズで好きな曲を3つ挙げるとどんな感じですか?

D.L:あのね、すごい好きなのはね、また〈グルーヴ・マーチャント〉ですけど、なんかいちばん最初に浮かぶのはいつもそれなんですけど、あの、オドネル・リーヴィ(O'donel Levy)『ブリーディング・オブ・マインド(Breeding Of Mind)』に入ってる“ウィーヴ・オンリー・ジャスト・ビガン(We've Only Just Begun)”。ピート・ロックが使ってたけど、あれすごい好きですね。うーん、なんだろう、あ、ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson) “レイン・エヴリィ・サーズデイ(Rain Every Thursday)”。ドーナツ盤が、めちゃくちゃ太いんですよ。70年代に出てるのにありえないくらい太くて、で昔からかけてたんですけど、これすごい好きですね。あとなんだろう。あれはもしかしたらジャズ・ファンク、ジャズじゃないかもしれないけど、“ザ・ダーケスト・オブ・ライト(The Darkest Of Light)”、“ラファイエット・アフロ・ロック・バンド(Lafayette Afro Rock Band)”の。すごい好きですね。

柳樂:やっぱヒップホップなセレクトですね。最近のジャズで好きなバンドいたりしますか?

D.L:そういえば、レコードで買ってそれいまだにかけてるんだけど、日本のジャズバンドで、ベースがすごい太くて、なんだっけな、あのグループ。大阪のグループで……4年くらい前に買ったんですよ。ヴィレッジヴァンガードの、イチオシみたいな感じでしたね。アナログは限定でネットで売ってて、普通のとこでは売ってなくてそこで買ったんだけど、それすごいかっこいいんですよね。

柳樂:Indigo Jam Unit(インディゴ・ジャム・ユニット)?

D.L:そう。かっこいいんですよ。ベースが効いててすごいかっこいい音してて。一回観に行きたいなって思ってるんだけどね。

柳樂:Indigo Jam Unitって、年齢的には普通にBUDDHA BRANDとか聴いてたりしそうですよね。

D.L:そうなんですかね。

柳樂:たぶん。僕もそうですけど、世代的に先にヒップホップがあってからジャズじゃないですか。たとえば、アメリカのジャズ・ミュージシャンでもいまはピート・ロックが好きとか、もうそういうやつらばっかりで。

D.L:あ、そうなんだ。

柳樂:ロバート・グラスパーとかだと、「いまのジャズ・ミュージシャンにどういう音楽聴けばいいかレコメンドしてくれ」って言うと、「J・ディラ全部と、スラム・ヴィレッジ!」とかそんな感じ。みんなヒップホップを子どもの頃に聴いてて、で大人になってから学校行ってジャズ勉強して、でそのあとジャズやりながらヒップホップっぽい音楽もやってるみたいなやつがすごい多くて。たぶん日本だったら、リスナーとしてMUROさんとかD.LさんとかのそういうミックスCDも聴いてて、いまはジャズもやって、みたいなそういう人、絶対多いですよ。黒田卓也さんって世界的なトランペッターがいるんですけど、彼はDJスピナがすごい好きで、とりあえずアメリカ行ったときに、ニューヨークで、スピナのイベントがあったから行ったとか言ってましたよ。

D.L:そうなんだ。みんな影響うけてるんですね、ヒップホップに。

柳樂:だからジャズ・ミュージシャンとかで人間発電所聴いてましたとか、自分でアルバム作って最後にD.Lリミックス入れたりとかそういうやつ絶対いますよ。

D.L: 機会があればやりたいなぁ。

柳樂:しかし、Indigo Jam Unitとかも普通にチェックしてるのが、すごいっす。

ロックは10年以上ずっと、いつかこの俺がデスロックって呼んでるジャンルをフリー・ソウルみたいにしてやるって思ってたんですよ。

D.L:ヴィレッジヴァンガードに行って、あれ、なんだこのベースって言って、ちょっと待ってってずーと聴いてて、あ、もうやばい買ってくって言って。最初、しょうがないからCD買ったんですよ。それで、読んだら郵便でレコード買えるって言うんで、なんだそっちも買うハメになるじゃないかよって言ってる間に買って、CDはもうあんまり聴いてないんですけど、レコードばっかり聴いて。両方買っちゃいました。

柳樂:どん欲だなぁ。和モノとファンク以外だとどういうの買います? いまだにいろんなジャンル買う感じですか?

D.L:買います。でもね、昔は「曲作ろう」と思って買ってたんで、このエレピのこの音が好きとかこのドラムが好きとかそういう感じで買ってたんで、そういう使わないレコードがどんどん増えてって、これはドラムのハコ、これはベースのハコ、これはシンセのハコって、ぜんぜん曲なんて作りやしないから、もうそういう買い方やめよっかなって。作ろうと思えばすごいの作れるんだけど、出すタイミングが時代が変わってきちゃって、90年代頭とか、いま買っとけば、あとで曲出してリクープできるとか思ってたけど、もう絶対できないんで。だから、うーんダメだなぁってなってきちゃって。

柳樂:それ、やばいネタだけ貯まってるっていうことですか?

D.L:うーんそうなんだよね。ぜんぜん使わなくなっちゃってるからね。いちばんそれで使わなくなっちゃっててやばくてやろうとしてるのが、ロックですね。もうロックは10年以上ずっと、いつかこの俺がデスロックって呼んでるジャンルをフリー・ソウルみたいにしてやるって思ってたんですよ。キーボードがよく聴こえるとか、ブレイクが多めとか、ファンキーに聴こえるとか、そういうのデスロックって呼んじゃってます。

柳樂:そっか、ロックのミックスCD出してますもんね。

D.L:あ、そういえば、俺、メタルのDJもやるんですよ。

柳樂:マジっすか。それは、どういう……?

D.L:それはね、年に2回か3回やってる……。

柳樂:どこでやるんですか。

D.L:〈Organ Bar〉です。

柳樂:へー。

D.L:クボタタケシもいっしょに回してますね、メタルを。あと近藤くんっていうデザイナーの。BB、えーとブラックベルトジョーンズDCっていうんですけど。BBJDCかな。あと、ファンクのDJの黒田さん。黒田さんは、ドーナツ盤でメタルを集めてるんですよ。だからドーナツ盤でメタルをかけるの。

メタルはメタルのマナーに則ってメタルの人になりきって当時の熱さを思い出すみたいなのじゃないと意味ないんで。

柳樂:メタルは何が好きなんですか。

D.L:俺が担当するのは、ジャパニーズ・メタルの時間って感じで、Loudness(ラウドネス)とか44 Magnum(44マグナム)とかEarthshaker(アースシェイカー)とか、いろんなそういう、恥ずかしいものをかけるのが大好きなんですよ。

柳樂:それを、ヒップホップっぽい感じで繋ぐんですか?

D.L:いやクボタはね、すごいヒップホップっぽくかけるんですよ。ビッグビート2枚がけとか。そういうのつまんないから俺は違うんですけどね。メタルはメタルのマナーに則ってメタルの人になりきって当時の熱さを思い出すみたいなのじゃないと意味ないんで。

柳樂:メタル・マナーのDJってどういうスタイルなんですか。

D.L:いや、高校くらいのときは、藤沢のギター・クリニック・スクールに44 Magnumの人が来てて、そのギターを観に行ったりしてた頃の視線でかけますね。その頃の視点でディープ・パープルをかけるとか、オジー・オズボーンをかけるとか、そういう感じですね。

柳樂:やっぱギターを大事にする感じで。

D.L:そうですね。

柳樂:そこやっぱ太いとかじゃないんですね。

D.L:違いますね。うるさいって感じですね。ギターをうるさく。

柳樂:ラウドな感じで。

D.L:そうですね、そうなんですよ。ほんとみんなそこですね。黒田さんもそうなんだけど、高校くらい……ヘビメタ・ブームだったときに、聴いてたメタルを俺たちがかけるみたいな感じで。30年振りにみたいな。

柳樂:メタルはメタル・マナーでかけるって発言やばいですね。かっこいい。

D.L:ダメなんだよ、メタルなのにヒップホップ的にかけちゃうのって。トリックとかやっちゃうんだよ、メタルで。ガーチキチキ、ガーチキチキとか。ぜんぜんダメで。そういうのはやっちゃダメなの。すごい上手くても、ヒップホップを通った人がやるメタルと違うんで。ヒップホップが無かった頃から最初にメタル聴いてた人たちは。

“ウォーク・ディス・ウェイ”とか。なんだろね、偽物っぽく聴こえてた。どっちかっていうと“ロック・ボックス”のほうがもっとロックだった。

柳樂:やっぱもとは当時普通に流行ってたメタルとかがお好きで?

D.L:そうですね。トップ40系から入ってメタル行って。アメリカ行って最初に、アメリカン・トップ40とかヘビメタが流行ってましたね。LAメタルとか。それが93年、4年くらいで、その時にもうランDMCの“サッカー・M.C.’s(Sucker M.C.'s)”とか出ちゃったから、並行して聴くようになって、それ以降、そっちばっか聴くようになって。だからメタルのほうが先でしたね、じつは。

柳樂:そういう話を聞くと、“ウォーク・ディス・ウェイ(Walk This Way)”でエアロスミスとランDMCが共演した時代のことも納得できますよね。

D.L:そうですね。あの頃はぜんぜんよく聴こえなかったんですけど、“ウォーク・ディス・ウェイ”とか。なんだろね、偽物っぽく聴こえてた。どっちかっていうと“ロック・ボックス”のほうがもっとロックだった。エディ・マルティネス(Eddie Martinez)のギターのソロが入ってて。あれはロックだと思ったけど。ビースティ・ボーイズがきて、なんかアリだなって思いましたね。レッド・ツェッペリン使ってたり。あと“ファイト・フォー・ユア・ライト(Fight For Your Right)”。どっちかっていうとロックの曲に聴こえちゃった、ラップの曲よりも。あれがすごい開いた感じですよね。

柳樂:やっぱビースティってけっこう衝撃的だったんですね。

D.L:もうニューヨークにいて、白人と思えないくらいレッド・アラート(DJ Red Alert)もみんなかけてましたね。あれはたぶん、ラッシュの力でしょうけど。ランDMCとマンツーマンでライブをやらせたり、ラジオとかも回ってたみたいだから、すごい、“ホールド・イット・ナウ、ヒット・イット(Hold It Now, Hit It)”っていう曲があるでしょ。「ホールドナウホールドナウ」っていう。あれがもう、ランDMCの“ヒット・イット・ラン(Hit It Run)”と“ホールド・イット・ナウ”が、五分五分のタイミングで必ずローテションで組まれてて、すごい流行ってましたね。『レイジング・ヘル(Raising Hell)』もすごい売れてたけど、だんだんビースティの『ライセンスト・トゥ・イル(Licensed To Ill)』のほうがすごい人気になっちゃって。でも、俺たちはそのへんの曲にはあんま反応しなくて、俺たちが反応してたのは、“スロウ・アンド・ロウ(Slow And Low)”でしたね。たぶん80くらいしかないピッチの。ウォーーーっていう、「let it go, let yourself go」っていうあのやつですね。あれをラジオだとWBSより、Kiss FMよりもっとちっちゃいWNEWっていう小さいラジオ局があって、そこのGhetto DJみたいなやつがいて、ナイス&スムース(Nice & Smooth)のアルバムをプロデュースしたオウサム2(Awesome 2)なんですけど、そいつらがかけてるすごい人気ないラジオ番組があって、夜中2時からやってて、そこでそれがかかってて、それを毎週みんなチェックしてたんですよ。ビースティはそっちだなって感じでやってて。

柳樂:小さい番組はやっぱりそういうディープな曲を。

D.L:そうなんですよ。あともう1つ、DNA&ハンクラヴっていうDJの番組があって。そっちはね、ウルトラ・マグネティックMC’s(Ultramagnetic MC's)のいちばん最初のシングルをリリースしてる会社をやってたんですよ、DNAインターナショナルって。そこでは、「あのpeter piper picked papersって言ってる曲聴いたか、あんなのワックだぜ」ってランDMCの“ピーター・パイパー(Peter Piper)”をディスってる曲があって、それをかけてて。自分たちもそのほうがかっこいいなって思ってて、でも世の中はもう間違いなくランDMCを推してるんですよ。確実にランDMCが8:2くらいで優勢なんだけど、その2くらいのもわもわってしてる人たちはそっちのラジオを聴いて、絶対いいこっちのほうがいいって言ってた、そんな感じでしたね。

〈プロファイル〉が実際とてつもない、〈デフジャム〉なんかよりビッグなレーベルだったって知らないと思うんですよね。

柳樂:その頃いちばん好きなヒップホップって何でした?

D.L:ヒップホップで、なにかな。〈プロファイル(Profile)〉がすごい流行ってたんですよ。プロファイルっていうレーベル。だから〈プロファイル〉系のものはすごい好きでしたね。ぜんぜん流行ってなかったけど俺が好きだったのはドクター・ジキル&ミスター・ハイド(Dr.Jeckyll & Mr.Hyde)の“ファースト・ライフ(First Life)”って曲とか、あとディスコ・フォー(Disco Four)。ディスコ・フォーはね、何のため、why、was I born、nah mean、ガキの頃からのクエスション、なんだっけなあの曲。それで使ってる曲なんだけど、“ザ・キング・オブ・ヒップホップ(The King Of Hip Hop)”って曲。〈プロファイル〉ばっかり聴いてましたね。

柳樂:D.Lさんに〈プロファイル〉のイメージってあんまないですね。

D.L:あの、なんて言うのかな。いま日本にいる人、あの頃18くらいだった人はいま40いくつだろうけど、そのときニューヨークに住んでなかったんで、たぶん、〈プロファイル〉が実際とてつもない、〈デフジャム〉なんかよりビッグなレーベルだったって知らないと思うんですよね。すごい、毎週ラジオからかかる新曲のやばいのって〈プロファイル〉だったんで。渋谷の、いまもうなくなっちゃったけど、駅降りるとフリーマーケットみたいになってたんですよ、昔。そこでニューヨークのラジオを誰かがたぶん送って、それを日本でダビングして売ってたんですよ。今日はWBS、来週はKissのとか、日付違いで、けっこう何十本もあって、わけのわかんない人がやってたんですよ。そういうので聴いてたら多少はわかるけど、そういうので聴いてなかったらほとんど入らないから、〈プロファイル〉がすごい流行ってたのはたぶん知らないと思うんですよね。〈スリーピング・バッグ(Sleeping Bag)〉とかもすごい流行ってたし、ジャンパー作るくらい流行ってたし、なんて言うのかな、その時期そのタイミングで、ピークだったように見えるレーベルっていっぱいあるんですよね。〈ワイルド・ピッチ(Wild Pitch)〉もそうだし。

柳樂:へー。

D.L:これあの、ぜんぜんこの話と違うんだけど、ウルトラマグネティックMC’sの〈ワイルド・ピッチ〉の“トゥー・ブラザーズ・ウィズ・チェックス(Two Brothers With Checks)”のときに、日本におれ、ウルトラ呼ぼうと思って仲良くなってて、そのビデオの中に出てるんですよ。野球やるシーンで、〈ワイルド・ピッチ〉の社長と奥さんと息子と。で、1人足りなかったんでおれが入って、ホームベースのところで、一塁はこの人、二塁はこの人、三塁はこの人、ホームベースはこの人みたいな感じで、そこで野球っぽいことをやってるシーンがあるんだけど、そういうのちょっと出てる。
まぁ、いま何を言おうとしたかって言うと、〈ワイルド・ピッチ〉もいまもう無いし、本当にあったのってくらい誰も覚えてない、何でもないレーベルなんですけど、当時は、あの、宣伝にTシャツを作って配ってたり、宣伝用のレコードジャケットのサイズの段ボールを道路脇の柱にホッチキスで止めたりして、ビギーの宣伝だぜみたいにやったり、ストリート・プロモーションみたいなことやってたんですよ。で、俺たちみたいなのは、それを剥がして持って帰っちゃうみたいな(笑)。日本ではレーベルもあんまそういうことやんないなって帰ってから思ったけど、あっちではしょっちゅうやってましたね。
ステッカーがあとすごいいっぱいあって、もう、もちろんそれはもう〈ワイルド・ピッチ〉も〈プロファイル〉も〈デフジャム〉もどこでもそうなんだけど、なんで12インチの宣伝ごときにこんな2パターンも3パターンもステッカー作っちゃうのかなって、わけんねーなってくらいいろんなステッカーを貼って、流行ってない頃から貼っちゃって、あたかもすごい流行ってるって勘違いさせながらラジオですごいプッシュするんで、それがすごい蔓延してく……みたいなやり方とか。(O.C.の)“タイムズ・アップ(Time's Up)”のときのステッカーもそうだけど──こういうなんか、手のやつなんですけど、それなんか流行る前からいろんなとこに貼ってあって、何なんだろうこれ「タイムズ・アップ」、時間だぜみたいなタイトルで何なんだろ何なんだろと思ってたらぐあーっと来て。そういうのやってましたね。すごいお金かけて、それがプロモーションになるのかわかんないけどやっちゃってましたね。

12インチの宣伝ごときにこんな2パターンも3パターンもステッカー作っちゃうのかなって、わけんねーなってくらいいろんなステッカーを貼って、

あと、渋谷のシスコの、当時プロモでがんがん売れるからどんどんプロモの12インチをとってくれとってくれってきてて、シスコのレコード送る担当やってたんだけど、当時のマンハッタンとかブルックリンとかクイーンズに、その街の、まぁなんて言うのかな、プロモ盤を一挙に握ってるような、怪しいガキとかが一杯いて、そいつらから2ドル50とかでプロ盤買えるんですけど、「4枚しか売っちゃダメだって言われてるから4枚しか売れないよ」って言ってるやつに「倍の5ドル出すから倍の10枚くれ」って言うとそいつらも金がないから「お前に売るけど内緒だぞ」みたいな感じで10枚くらい売ってくれるんですよ。でそれをシスコで日本に送って、クボタが日本で受け取ってニューヨークは俺がやるみたいな感じでずっとやってた時期があったんだけど、そういう感じで、お金を持ってるから日本人に売っちゃうっていうのはあんまりよくないけど、実際イギリス人と日本人しかがっつり買わなかったから、日本に流れた当時のプロモ盤っていうのはそういうふうにやってたんですよね。でそういうふうにプロモ盤をいっぱい持ってる彼らは、レコードも持ってるけど、そいつの家とかに行くとそれといっしょにステッカーを束でいっぱい持ってたんですよね、いろんなタイプの。それももらって日本に送っちゃってたんですけど、なんかね、プロモのやり方とか、昔はそんな感じだったんですよね。

柳樂:すげーなんかストリートの、地道なっていうか。

ある日、レコードを買いに行ってそのあと歩いてたらクール・キース(Kool Keith)がいて、電柱に登ってて、ウルトラ・マグネティックって書いてあるステッカーを貼ってて……一生懸命。

D.L:うん、本当そうだったね。もうストリートの地道のどうのこうのって話でいちばん狂ってるのが、ニューヨークで、ジャマイカ・アヴェニューっていうところがあって、クイーンズの。まぁジャマイカ人がけっこういてジャマイカの風俗とかもあったからそこはジャマイカ・アヴェニューって感じで呼んでたんだけど、そこである日、レコードを買いに行ってそのあと歩いてたらクール・キース(Kool Keith)がいて、電柱に登ってて、ウルトラ・マグネティックって書いてあるステッカーを貼ってて……一生懸命。何やってんだって言ったら、お前ジャパニーズだなって下りてきて、ぜんぜん面識ないのに「お前と俺はこうやってステッカー貼ってるときに会うから、女紹介してくれ」みたいな、すごすぎて(笑)。最初にクール・キースと話したのはそれだったんだよね。で、実際あの、“トゥー・ブラザーズ・ウィズ・チェックス”のビデオのときに、当時の、まだ誰も知らなかったウエダカオリと、●●の彼女だった人ふたりを連れてったんで、よく見るとライヴのシーンで日本人の女が二人いる。よく見るとカオリちゃんと、チッチっていう……。

柳樂:カオリちゃん?

D.L:DJ Kaoriです。日本人の女よんでくれって言われたから。そうそう。

柳樂:マジで。クール・キースが電柱登ってたってのもやばいですね。

D.L:登ってたし、他の、普通のプロモーションをやる子どもたちがステッカーを貼るかのように自分もやってたみたいな感じで。すごいですよ。そんなもんだったんですよね。やつらもきっと契約金とかもぽーんと入るんだろうけどすぐ使っちゃってぜんぜんお金なくなるから自分でそういうことやってるって感じで。

柳樂:へーすげー。そっちにいないと本当そんなのわかんないですもんね。

D.L:そうですね。

柳樂:すごいアンダーグラウンドだったんですね。

D.L:そうですね。そのビデオのときに、結局そのカットすごすぎて写んなかったんだけど、クール・キースがシマウマ柄の超ハイレグみたいになってる怪しいパンツはいて、背中にピンク色の空気ボンベみたいのしょってて、裸で変な帽子かぶって、すごい感じで出てきてライヴとかやったんだけど、あんまりかっこよくなかったんだよ、正直。で、そこカットされてたね。もう、ウルトラのメンバーもみんな凍っちゃってて。1人だけ、やっぱ狂ってるんだよね。

柳樂:狂ってますね

D.L:もうね、クール・キースはベルヴューっていう精神病院に入院してた時期があったり、頭おかしい時期があったんですよ。でも、日本に来たときも頭すげー悪くて。BUDDHA BRANDでクール・キースのオープニングみたいなライヴやったときが1回あって。ロックバンドの54-71のバックの演奏になぜかクール・キースが入るみたいなアルバムが出てて。そのときに、ポルノ映画ほしいから、ポルノ買いに行こうって言われて、それは付き合わなかったんだけど、子どもがミニカーを欲しいって言ってるから連れてってくれっていうんで中野のまんだらけに行ったんです。その時に、3000円くらいの、べつにそんな高くないミニカーをずーーっと30分くらい眺めててずーーっとなんか言ってて「これを買ってってやらないと、俺のポルノのお土産はけっこうあるから子どもに何も買ってかないと怒るから、買ってってやりたいけど俺はもっとポルノを買いたいからこれを買う自信はないなぁ」とかずっと言ってんだよ独り言。で、また買わずに他のとこぐるって回ってまたそこ戻ってまたこうやってこれを買わないとどーのこーのって、結局買わないで帰ったんだけど(笑)。やっぱ変態なんだよね。自分のポルノのお土産はけっこう買ってったのに、子ども用のお土産は結局買わなかったんだよ。

柳樂:狂ってますね

D.L:もっとすごいのがね、楽屋で俺と話してるときに、白人のアメリカ人の女がここにクール・キースいるからってのを聞きつけて楽屋に来て。俺はクール・キースと真剣な話してたんだけど、女が横に来てハーイって言いはじめたら、こっちで話してるのに、もう顔はほとんど女のほうばっか向いてて、だんだん話がつじつまが合わなくなってきて、もういつの間にか横に女が座ってきちゃって、もういいやインタヴューみたいな感じになっちゃって、いやインタヴューじゃないや、このビジネスのトークはまた今度にしよう、明日でもいいから。こっちが忙しくなったから、こっちでちょっと話するからみたいな感じになっちゃって。めちゃくちゃでしょ、これやっぱ変わってないな、昔のあーゆー感じで、色気違いだなって感じで……

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気づけば予定の時刻を超過していた。ミックスCDの話から、メタルDJ、そしてネットで見つけた新たな才能、アメリカでのヒップホップのプロモーションや親交のあったクール・キースの話まで、振れ幅の広い、ディープな話の連続だった。ちなみにここに掲載できた話題は半分にも満たない。いま、D.Lがとてつもなく危険なDJになっていることを我々の手ではここまでしかお伝えすることはできない。もし、そのさらなる答えが知りたければ、D.LのDJの現場に足を運んでほしい。そこにはファンク/レアグルーヴを自分の流儀でプレイするDJの究極の姿を見ることができるはずだ。

Jazzy Couscous - ele-king

 東京滞在フランス人2人に創始された〈Jazzy Couscous〉の初リリースが発表されました。〈Jazzy Couscous〉のコアメンバーは、AlixkunとKlodioです。
 Alixkunは、もうみなさまにはお馴染みですね。ハウスや和物DJであり、ele-kingのライターであり、『House Definitive』にも寄稿しています。はっきり言って、日本の中古市場においてジャパニーズ・ハウスの値を上げたひとりです。余計なことしないで欲しいです。DOMMUNEにも90年代和ハウスのDJミックスで出演したことがあります。
 Klodioはハウスシーンの新プロデューサーであり、デトロイト・ハウス、ジャズ、ソウル、とにかく黒い音に影響されたプロデューサーです。今回の「Toktroit」EPでは、彼の影響元であるデトロイトと東京の雰囲気を交えて、ソウルフールなバイブを提供しています。ele-kingとしては、初期URハウスの色も多少あって、ハイウェイでフールスピードなナイトドライブをイメージした“First Car”と“Futako Tamagawa”がおすすめです!
 今後Hugo LX, Brawther、寺田創一などの曲もリリースされる予定です。Toktroit EPは4月10日リリースされます。ヨロシクね。

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