「IO」と一致するもの

DJ SHO (Luv&Dub Paradise) - ele-king

82年よりキャリアをスタート。
高橋透氏、曽根氏らが在籍した伝説のDISCO六本木「TSUBAKI BALL(玉椿)」時代に「ラリー・レヴァン&ガラージサウンド」に出会い感銘を受ける。当時レジデンツだった「TSUBAKI BALL」にて85年よりDJ SONEと共にハウスサウンドオンリーの1オフパーティ「HOUSENATION」を手がけその後のクラブのあり方を示す。「TSUBAKIBALL(玉椿)」閉店後は活躍の場を求め全国を渡り歩き90年に念願のニューヨークへ移住。高橋透氏、DJ NORI氏がNY時代在籍した事で知られる「FUJIYAMA MAMA」にて長年レジテントDJとして活躍。15年のNEW YORKでのDJプレーを経て2005年に帰国後は「Luv&Dub Paradise」@神宮前bonoboを始め、実に20年以上ぶりに「HOUSE NATION since 1985」を静岡CLUB fourにて再開。また故郷姫路では「彩音」にもスタッフとして参加し、地元のCLUBでもレギュラーパーティーをスタートさせる。その経験からくる文脈に囚われない選曲と確かな技術で各地方にファンを増幅させ続けている。

Ring Of Fire Eclipse & Music 2012.5.26


1
Will Azada - Easy Does It - Mystical Disco

2
Shackleton - Touched - Woe To The Septic Heart !

3
Manmade Science - Phase - Philpot

4
Fushiming/Mamazu - Ride Music EP - Hole and Holland Recordings

5
Pirupa - Party Non Stop(DJ QU Remix) - Desolat

6
IORI - Moon - Phonica White

7
Rhauder - Acid Jam - Polymorph

8
DEADBEAT - Lazy Jane - Blkrtz

9
Mind Fair Presents....No Stress Express - Reach The Stars - Rough Cat Sounds

10
Psychemagik - Valley Of Paradise(Toby Tobias Remix) - Psychemagik

Visioneers - ele-king

 4ヒーローのマーク・マックによるファンク・プロジェクトが6年ぶりとなる2作目をリリース(オリジナル・フォーマットは最近、流行りの7インチ×5枚組)。前作同様、ドラムスと管楽器以外はすべてマーク・クレア自身による演奏で、あまりにファンキーで、いったい、どこからこんな明るい気持ちが湧いてくるのかと......(今日もDVDでマッテオ・ガローネ監督『ゴモラ』を観てしまった......。ダニー・ボイル監督『スラムドッグ・ミリオネア』やジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督『ジョニー・マッド・ドッグ』は仮りにも途上国が舞台だったけど、これは先進国で起きていることだからな~)。

 ......そして、最後まで同じテンションで押し切ってしまったのである。いつか空々しくなるだろうと思っていたのに、聴きば聴くほど引き込まれるw。攻め立てないで低音を溜めるようなベースがいいのか、ジェイムズ・ブレイクは時代の音ではないという確信でもあるのか、だいたい、ニュー・エラでもマキシマム・スタイルの名義でもセカンドはなかったのに、前作のリミックス盤も数えれば3枚もつくっている辺りが「やる気」を感じさせる。半分ぐらいの収録曲で適度にスウィング感があるところもたまらない。

 なぜかカヴァーが多く、ナズやスウィッチ......というよりセカンド・サマー・オブ・ラヴ世代にとってはRSWがサンプリングしまくったインクリディブル・ボンゴ・バンド「アパッチ」(73)やジョニー・ペイト「シャフト・イン・アフリカ」(73)は初期のカーティス・メイフィールドを思わせるスリリングな展開。『フリーフライト』や『アルハンブラ』で知られるジャズ・ベテランのアハマド・ジャマル「スワヒリランド」(74)は一転してしっとりと聴かせ、アメリカのTVシリーズで有名なキース・マンスフィールド「ファンキー・ファンファーレ」(69)も最高にファンキーだし、変わったところではステレオラブ「カム・アンド・プレイ・イン・ザ・ミルキー・ナイト」(99)が予想外に甘ったるいシンセサイザーを響かせる。70年代初頭の雰囲気をいまに伝えようとしてこうなったのか。それともほとんどのミュージシャンと同じく何ひとつ考えていないのか(この時期のものでは、入手不可能とされていたオーウェン・マーシャル『キャプテン・パフ・イン・ザ・ネイキッド・トゥルース』が〈ジャズマン〉および〈Pヴァイン〉から再発されたばかりで、〈Pヴァイン〉といえば水谷社長に顔がそっくりなKRTSもデリック・メイがヒップホップをやっているとしか思えないミニ・アルバム『ホールド・オン』を昨秋、リリースしたですね)。

 そして、ノルウェーのオスロからは世界最大の短時間大量殺人犯となったアンネシュ・ブレイビクだけではなく、オウテカがシューゲイザーに走ったようなクリスチャン・トゥケイセンもアルバム・デビュー。これがまた、ヒップホップのグループに在籍していた経験がそのまま音に出たようで、寂しげなメロディ・ラインを裏切るかのようにリズムがこってりとファンキー・テイスト。それこそエレクトロニカだと言い張るのはとても無理でw、透き通るような質感で貫かれた「シルヴァー」はともかく、「波長」と題された曲のエンディングでシンセサイザーがどこまでも広がっていくような感じは神経症的なIDMファンの逆鱗に触れること間違いないでしょう(その前に聴かないか)。

 表立ってはいないけれど、どうやらクラシック・ピアノの素養があるらしく......ということはオウル・ビーツと似た部分があるかと思えば、それよりはもっと下世話なところでまとめていて、全体的には(まだ)ファンクであることをざっくばらんに楽しんでいるといった様子。気に障る一歩手前で可愛らしく聴こえる電子音が耳から離れない「ア・フレンド」はいかにも北欧的で(フラ・リッポ・リッピとかレクショップとか)、同曲に限らず、リズムがどれだけファンキーになってもドリーミーなムードを絶対に揺るがさないところはけっこうスキルあり。デンマークのタラゲネ・ピジャラーマが「オーシャン」1曲でコンパクトに拾われた例もあるし、このままセカンドまでつなげれば、大化けするかもしれません(?)。

 全曲試聴→https://soundcloud.com/nofearofpop-net/sets/torkelsen-torkelsen

Desultory Choices 2012/5/29


1
Bruno Sacco - Deformed - Gravite

2
Alexey Volkov - Dust - Planete Rouge

3
Mike Dehnert - Avec - Fachwerk

4
Svreca - Obscur(Silent Servant Remix) - Semantica

5
Pillow Talk - The Real Thing - Wolf Aan Lamb

6
Katzuma - Life In The City - Kinjo Music

7
Dakini9 - Human Existence - Plan B

8
Alexey Volkov - Dust - Planete Rouge

9
Iori - Plateau - Bitta

10
Emilio Haro - Prrr Prrr - Radiaciones Armonicas

Chart by JET SET 2012.05.28 - ele-king

Shop Chart


1

Beauty

Beauty Love In The Heart Of The World Shout (Crue-l) »COMMENT GET MUSIC
チルウェイヴ以降のシンセ・インディダンス、シューゲイズ、バレアリックをレイヤーに、4adのダーク&ゴシックな美意識をコーティングした圧倒的な世界観。先行12"の期待値を遥かに超える傑作です!

2

Dave Dub

Dave Dub Treatment (Stones Throw) »COMMENT GET MUSIC
PortisheadのGeoff Barrowによるプロジェクト"Quakers"にも参加していた、サンノゼ出身のベテランMc=Dave Dub。彼が8~17年前に制作した楽曲の数々が初バイナル化!

3

La Vampires By Octo Octa

La Vampires By Octo Octa Freedom 2k (100% Silk) »COMMENT GET MUSIC
ごぞんじ100% Silk主宰者Amanda Brownのソロ名義、La Vampires。Italとの超ヒット作に続くコラボ・シリーズ第4弾。

4

The Tortoise

The Tortoise The Puffing Tortoise (Third Strike Records) »COMMENT GET MUSIC
前作"Gonna Be"でも注目を集めたメルボルンを拠点に活動を繰り広げるTorquhil AndersonによるプロジェクトTortoiseによる約1年ぶりの注目作。"Rondenion Remix"収録!

5

Ta-ku

Ta-ku 50 Days For Dilla Vol.1 (Huh What & Where) »COMMENT GET MUSIC
Laの新興レーベルHuh What & Whereより、新鋭ビートメイカーTa-kuのソロ初ヴァイナルが限定リリース! 自身のアイドルJ Dillaへのトリビュートの念を込めた全25曲を収録。

6

House Shoes

House Shoes The Time Ep (Tres) »COMMENT GET MUSIC
P.B.W.にJ Dillaを紹介した事や、All Cityからのリリース/一連のリエディット作で知られるベテランHouse Shoesが、Big Tone、Danny Brownらを迎えた強力シングル!

7

Girls We Like / D-Bo

Girls We Like / D-Bo Do-Over vol.4 (Do-Over) »COMMENT GET MUSIC
La発の野外ミュージック・パーティー『Do-Over』。そこから派生したレーベルより待望のアナログ・リリース第4弾! ゲートフォールド・ジャケット仕様。

8

Oh No

Oh No Ohnomite (Fdwbrk1975) »COMMENT GET MUSIC
黒人コメディアンRudy Ray Mooreの楽曲をサンプリングしたコンセプト・アルバム!

9

Seconds

Seconds Another Day (Above Machine) »COMMENT GET MUSIC
Is It Balearic?などの良質バレアリック・レーベルからのリリースで人気を博すThe Project ClubのSteve Lee手掛ける新レーベル"Above Machine"第二弾。才人Markus EnochsonとJackpotメンバーのLuciano Leivaによる才人スウェディッシュ・コンビ、Secondsによる傑作デビューEp!!

10

Lemonade

Lemonade Diver (True Panther) »COMMENT GET MUSIC
「Big Weekend」~ファースト・アルバムから約4年、遂に2枚目のフル・アルバムが到着。Us/True Pantherからのダウンロード・コード付きアナログ!!

interview with Tickles - ele-king


Tickles
on an endless railway track

MOTION±

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 今日の文脈で言えば、アンビエント・ポップ(そしてIDMリヴァイヴァル)に当てはめることもできるだろう。ひと言で言えばロマンティックな音楽で、ベルリンの〈モール・ミュージック〉や〈カラオケ・カーク〉、ケルンの〈コンパクト〉から出ていたとしても違和感はない。トゥ・ロココ・ロットやウンダーの叙情、あるいはクライドラーの室内楽的なエレクトロニカを思い出す。とにかく、このあたりの固有名に反応する人が好きな音である。エイフェックス・ツインのような冗談があるわけではなく、ボーズ・オブ・カナダのような幻覚症状があるわけではないが、オルゴールのようにまとまりをもった愛らしい音楽と言える。わずかな感情の変化にも敏感に感応するような、ピアノ、ないしはトイ・ピアノの音が心地よい。先日、イーライ・ウォークスのデビュー・アルバムを出したばかりの中目黒の〈MOTION±〉が新しくリリースするのは、「かねてから目を付けていた」という湘南在住の鎌田裕樹のプロジェクト、ティックルズの3枚目のアルバム『オン・ア・エンドレス・レイルウェイ・トラック』だ。ちなみに〈MOTION±〉レーベルをやっているのは、〈ワープ〉をライセンスしているビートインクの元スタッフと元『remix』編集部のテクノ担当者なので、おのずとレーベルが好むところの音楽性もうかがい知れよう。
 『オン・ア・エンドレス・レイルウェイ・トラック』の帯には、レーベルによる「線路は続くよ どこまでも」 というコピーがある。僕はそのコピーを最初に見たとき、あまりの身も蓋もない表現に「マジっすか!」とレーベルの人に笑ってしまったが、CDの封を切ると中面に手書きの線路があった。3拍子の曲からはじまる『オン・ア・エンドレス・レイルウェイ・トラック』は、ある意味では汚れのないイノセントなアルバムだ。それは牧歌的な情熱によって、リスナーをゆっくりとした旅に連れて行く。

逆にそんな時期だからこそ、音楽というのは感情を逆撫でするようなものではなく、単純にもっと優しさを感じ取れるようなものであっても良いのかなって。みんながみんな怒りや反発の方向を向いていてもそれはそれで芸がないというか......

インタヴュー前にいったいどんな見た目の人なのかなって想像していたんですが、想像とまったく違っていました(笑)。

tickles:はははは。どんなイメージだったんですか?

もっとシャープな線の細い感じの人をイメージしていたんですけれど。

tickles:太めです(笑)。

だははは。いい意味で裏切られたというか、敬意を込めて言いますけど、ひと仕事し終えてきたって感じっすね。ま、ビールでもどうぞ(笑)。プシュ。

tickles:ありがとうございます。プシュ。

では、さっそくですが、よろしくお願いします。

tickles:お願いします。

荒井君(レーベルのスタッフ)からティックルズのことを教えてもらって、僕の好みの音楽であるのと同時に、最近、日本のアンダーグラウンドにおいて共通した感覚が増えてきているなという印象を持っていたので、ぜひ話を聞いてみたくて。

tickles:ありがとうございます。

それを感じることってあったりしますか?

tickles:ライヴではいろいろなジャンルの人とやらせてもらうんですけれど、これまで自分と近いなって感じた経験はほとんどないですね。まあ、あくまで僕の知っている範囲では、という感じですけれども。

スタイルは違うけど、たとえばフォトディスコとか、彼もある種の穏やかさというか、平穏を表現しているアーティストなんですけれどね。

tickles:興味ありますね。今度、聴いてみます。

ポスト・ロックやエレクトロニカって聴いていましたか?

tickles:エレクトロニカはそれほどのめり込んで聴いたわけではないですが、ポスト・ロックに関しては20代の初めによく聴いていたし、ライヴもよく観にいっていました。なかでもゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーが大好きでしたね。

へえ。でも現在のティックルズの音楽性はゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーとは全然別物というか、むしろ対極じゃないですか? 初期のフォー・テットやディラン・グループのほうに近いような気がしますれけど。

tickles:もちろんフォー・テットやディラン・グループも好きでしたよ。でも自分が表現したい本当のところは、むしろゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー寄りというか。もっと激しいものであって、それを自分なりに押し進めていった結果、現在のような音楽性に辿り着いたという感じなんです。

ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーに強く惹かれたのは、どうしてなんでしょう?

tickles:ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのサウンドは、猛烈にアナーキーでインディペンデントな臭いがして、とにかくそれがかっこ良かったですね。その当時僕はメッセージのある音楽が好きで、音楽っていうものはファッションになってはいけないというか、もっと力強いものでなくてはいけないと思っていたので、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのあの強烈なメッセージ性というか、パンク的な要素がとにかく胸に突き刺さったんですよね。
 でも、その後、自分で音楽を作るようになってから考え方がちょっと変わってきて。作品をリリースしたあとは、その作品って作り手の手を離れて、リスナーのものになるじゃないですか? というか、僕はそう思っていて、そうであれば、メッセージよりも、聴き手に寄り添うような作品であればいいなと思うようになって。それでだんだんいまのような作風になっていった感じです。

ゴッドスピードって、もしかしたらレディオヘッドの『キッドA』よりも大きな影響力を持っていたかもしれない......ただ、それらがティックルズとはどうも結びつかない(笑)。

tickles:まあ(笑)。とはいえ、間違いなく自分のルーツだし、大きな影響を受けていることはたしかです。いつかはゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのような大所帯バンドで、いまの音楽をライヴでやってみたいなって思ったりしますね。

ゴッドスピードには有名な、"ザ・デッド・フラッグ・ブルース"の「車は燃えている、運転手はいない。下水道は孤独な自殺者で溢れている......」というフレーズがあるじゃないですか。彼らはこの世がいかに絶望的か、それをとことん表現したバンドでしたよね。でも、ティックルズは、リスナーに暗い現実を叩きつけるようなことはしないじゃないですか?

tickles:それはそうですね。むしろいまはそうあるべきじゃないと思っています。

その意味では、対極であるとも言えますよね?

tickles:なるほど。そういう意味では、まさに対極ですね。暗い現実を叩きつけるなんて、やりたくないですからね。

それはなぜですか?

tickles:いま、時代的になのかもしれませんが、いろんなことに反感を持ったり、強いメッセージを持った曲が多いという印象を持っているんです。自分としてはそればっかりになってしまっては表現としては面白くないなと思っていて。逆にそんな時期だからこそ、音楽というのは感情を逆撫でするようなものではなく、単純にもっと優しさを感じ取れるようなものであっても良いのかなって。みんながみんな怒りや反発の方向を向いていてもそれはそれで芸がないというか。ティックルズとしての表現は、いまはそういうものだと考えています。

ティックルズの音楽にはパンク的な要素がどのような形で存在していますか?

tickles:サウンドというよりはむしろ活動のスタイルや精神的な部分ですね。これまで2枚アルバムを自分のレーベル〈マダガスカル〉から出しているんですけど、それは音作りはもちろん、流通やプロモーションも可能な限りすべて自分たちの手でコントロール出来るようにやっていました。そうしたDIY的なやりかたで音楽を世に送り出すということが、僕にとってのパンクかなと思いますね。今回は本当に信頼できる仲間たちと一緒にやれるチャンスだったので、〈MOTION±〉からリリースすることになりましたけど。

本作も制作においては、ほとんど自分ひとりでやっているわけですよね?

tickles:そうですね。

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フォー・テットやディラン・グループも好きでしたよ。でも自分が表現したい本当のところは、むしろゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー寄りというか。もっと激しいものであって......


Tickles
on an endless railway track

MOTION±

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そもそもticklesはいつ頃にスタートしたんですか?

tickles:ファースト・アルバム『ア・シネマ・フォー・イヤーズ』を出したのが2006年。で、2008年にセカンド・アルバム『トゥデイ・ザ・スカイ・イズ・ブルー・アンド・スペクタキュラー・ヴュー』を出して、4年空いて今回の『オン・アン・エンドレス・レイルウェイ・トラック』ですね。

はじめた当時と比較して、現在はどういう部分が変化していると思いますか?

tickles:最初はメンバーがふたりいて、いまほど生楽器を使わない、打ち込み主体のサウンドだったんですよ。

時間が経つにつれて、どんどん生楽器が増えて、今回のような温かみのあるサウンドに変わってきた感じなんですね。

tickles:そうですね。

本作ではどんな楽器を使っていますか?

tickles:ピアノ、ギター、トイピアノ、ピアニカ、ベース......。

鍵盤が多いんですね。

tickles:家にある楽器は鍵盤が多いですね。あとドラムはサンプリングですけど、ほとんど自分で叩いてます。

基本的にはご自宅で録られているんですか?

tickles:ピアノとドラムはスタジオで録りましたけど、あとはすべて自宅です。

『オン・アン・エンドレス・レイルウェイ・トラック』(線路は続くよ どこまでも)というタイトルには、どのような意味が込められていますか?

tickles:アルバムを作っている途中で、僕たちが昔から知っている「線路は続くよ どこまでも」というフレーズを英語にしたものにしようと思っていたんです。英語にすると、字面がちょっと淡白な感じになってしまうんですけど、わりと楽観的な意味合いで、これからも楽しくやっていけたらいいね、というような意味合いで付けました。このジャケットは友だちにお願いしたんですけど、彼が僕に持っているイメージがこんな感じなんだと思います(笑)。

これは絵なんですか?

tickles:アクリル板を5枚ぐらい重ねて、立体にした絵なんです。それをさらに箱に入れたという。なかなか伝わりにくいかもですけど。

へー、面白いジャケットですよね。これを最初に見たときに、ある種、宮沢賢治的というか、童謡的なイメージを連想したんですけど、どういうコンセプトで作ったのですか?

tickles:実はこの手法は、ユーリ・ノルシュテインというロシアのアニメーション作家が作品を展示する時に使うやりかたを真似したものなんです。ユーリ・ノルシュテインが童話的な作品を作る人だし、ロシアやチェコのアニメーションが好きだったりもするので、そういう感じは出てるかもしれないですね。

そうした童話的な世界観とティックルズの音楽にはどのような関連性がありますか?

tickles:そうですね。アニメをアニメイトする(命を吹き込む)という行為と、音楽に自分の魂を吹き込むという行為は似てるのかなって思いますね。電子音楽なんですけど、そこに有機的なものを入れたいというのは常々思っていることでもありますし。

なるほど。ちなみにピアノをずっとやられていたんですよね?

tickles:幼稚園くらいから、10年ちょっとやっていましたね。

じゃあ鍵盤は昔から得意なんですね。

tickles:最初に触れた楽器だし、いまでも曲を作るときに最初に触るのは鍵盤であることが多いですね。

とてもリズミカルな演奏だなって思ったんです。ハウスやテクノのプロデューサーが作るリズムとも違うし、ロックをバックボーンに持つ人の感じともまた違う。とても独特なリズム感があるなと思いました。

tickles:そこは完全に無意識というか、ある種の手癖みたいなものだと思います。シーケンサーにパチパチと打ち込むんじゃなくて、手打ちで打っていくので。メロディ先行で、後からリズムを付けていくので、そういう感じになっているのかもしれないですね。

ゴッドスピード以外で、インパクトのあった音楽ってどんなものですか?

tickles:いろいろありますけれど、シガー・ロスのライヴを観たときはかなり感動しました。うーん、あとは何かなあ。

シガー・ロスもゴッドスピードもとてつもなく壮大なサウンドだけど、ティックルズはもっと身近な感じがしますよね。

tickles:そうですね。僕がスタイルだけシガー・ロスやゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのようなサウンドをやっても何の説得力もないというか。僕ができる音楽というのは、現在のティックルズのようなサウンドっていうことなんだと思います。

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楽観的な意味合いで、これからも楽しくやっていけたらいいね、というような意味合いで付けました。このジャケットは友だちにお願いしたんですけど、彼が僕に持っているイメージがこんな感じなんだと思います(笑)。


Tickles
on an endless railway track

MOTION±

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なるほど。ティックルズ以前にはどんな音楽活動をしていたんですか?

tickles:中学から高校くらいまでバンドをやっていて、その後にパンクのDJをやりはじめました。で、DJをやるようになってから次第にいろいろなジャンルの音楽を聴くようになって、テクノやエレクトロニカをメインにプレイするようになり、自分たちでもエレクトロニック・ミュージックをやってみようということで、ティックルズをはじめたという感じです。

パンクのDJってどんな感じの?

tickles:基本、自分の好きな曲をかけるだけっていう感じでした。70年代のパンクもかけるし、90年代のハードコアとかも。envyとか大好きだったので。

なぜDJをやろうと思ったんですか?

tickles:友だちに知らない新しい曲を聴かせたいとか、そういうたわいもない理由だったと思います。

地元の藤沢のクラブでDJをしていたんですか?

tickles:主に藤沢や横浜のクラブ、ライヴハウスですね。いまもうなくなってしまったお店も多いですけど。

パンクをやっていた人が、こういう音楽にどうやって辿り着くのかというのが、とても興味あるんですよ。

tickles:自分のなかではまったく別のものをやっているという意識はなくて、表現の仕方が変わったとしか言えないんですよね~(笑)。

日本のパンクも好きでしたか?

tickles:よくライヴを観に行ってましたよ。それこそenvyとかスメリング・カンツ(toeの前身となるハードコア・バンド)とか。

めまぐるしくトレンドが変わるこのご時世ですが、新しい音楽は積極的にチェックしているほうですか?

tickles:いや、しているほうではないと思いますが、どうですかね。

インターネットはあまり見ないですか?

tickles:見ますけど、音楽の情報を得るために使うことは多くはないと思いますね。

最近、面白かった音って何かありますか?

tickles:〈コンパクト〉から出ているウォールズは好きでした。

いいですよね。

tickles:あとは〈ニンジャ・チューン〉から出ていたボノボの『ブラック・サンズ』とか好きでしたね。

なるほど。ああいう音楽を聴くと、自分のやっている音楽もあながち間違っていなかったのかなって思います?

tickles:あまりそういう感じで考えたことはないですけど、好きなので共通するものはあるんだと思いますね。

曲のタイトルはどのように付けるんですか?

tickles:いろいろですよ。曲を作ってから、それを聴いてみて自分のなかに生まれたイメージを基に付けることもあるし、曲を作っている途中で付けちゃうこともあります。

曲のタイトルについて重視しているほうですか?

tickles:重視しているほうだと思います。

なぜですか?

tickles:昔からかっこいいタイトルって好きなんですよね。昔、メッセージのある曲が好きだったと言いましたけど、タイトルってその象徴だと思うんですね。かっこいいタイトルは、もうそれだけで胸に刺さるじゃないですか。だから自分もタイトルにはこだわりたいですね。

普段はどんな生活をしているんですか?

tickles:CMの制作会社からの発注を受けたり、他の音楽の仕事とかもしてます。

ライヴはひとりでやっているんですか?

tickles:いまはそうですね。ラップトップにシンセサイザー、サンプラー、エレピなどの音を入れてオーヴァーダブしていくような感じです。

ティックルズとしてのこの先のヴィジョンはどんな感じですか?

tickles:できればなるべく早く、次のアルバムを出したいなって思っています。もっとシンプルな楽曲のものを出したいです。あと別名義でミニマルなタイプの作品も出してみたいですね。今回はかなり生音を入れているので、まったく別のタイプの曲の構想もあるので、それをかたちにしてみたいですね。

contrarede presents SCHOOL OF SEVEN BELLS JAPAN TOUR 2012
東京・FEVER公演

2012/6/14 (Thu)
Shindaita, FEVER(03-6304-7899) OPEN 19:00 / START 20:00
LIVE: SCHOOL OF SEVEN BELLS, tickles
ADV ¥4,700 / DOOR ¥5,200 (+1drink)

主催: contrarede 企画制作: contrarede
協力: Plancha / Art Union, Shibuya Television
TOTAL INFO: contrarede 03-5773-5061 https://www.contrarede.com

Chart by JET SET 2012.05.22 - ele-king

Shop Chart


1

Cos/Mes

Cos/Mes Sadistic ep#2 (Funiki Ene) »COMMENT GET MUSIC
『Sadistic Skatepark - 2011 Re-master Ver.』からのアナログ・カット第二弾は既に世界中から問い合わせ殺到中のボムを収録した1枚。

2

Kaoru Inoue

Kaoru Inoue Ramafar C/W Ground Rhythm - The Backwoods Remix (Seeds And Ground) »COMMENT GET MUSIC
井上薫主宰、Seeds And Groundの2012年リリース第一弾は超強力な12インチ!Kaoru Inoueによる新曲+"Backwoods Remix"収録!

3

The Backwoods

The Backwoods Flying Bugz - Kaoru Inoue Remix (Ene) »COMMENT GET MUSIC
Kaoru Inoue Remix収録!The Backwoodsアナログ・カット第四弾!ロング・セラーを記録中の1stアルバムから、キラー・トラック"Flying Bugz"が待望の12インチ化!

4

Units

Units Connections Ep (Opilec Music) »COMMENT GET MUSIC
'78年に結成されたサンフランシスコの伝説的シンセ・ポップ・バンドThe Unitsによる貴重音源を、リエディット・シーンの雄Todd Terjeと当レーベルの首領Gianluca Pandullo A.K.A. I-Robotsがリミックス。

5

Reboot Joy Confession

Reboot Joy Confession Absolute Iii Way Harmonious Enterprise (Philpot) »COMMENT GET MUSIC
Dj KozeやBruno Pronsatoらのリリースでもお馴染みディープ・テック名門Philpotから、共同主宰を務めるシーン帝王Soulphictionの変名プロジェクトが衝撃の傑作アルバムをリリース!!

6

Dela

Dela Translation Lost (Drink Water Music) »COMMENT GET MUSIC
本作はインスト曲が約半分を占めるなど、テーマ、ストーリー性がより濃く出た懇親のニュー・アルバム。

7

Drop Out Orchestra

Drop Out Orchestra It Will Never Be The Same Again (Eskimo) »COMMENT GET MUSIC
Sex Pistols" Pretty Vacant" ネタのバレアリック・エディットがヒットしたスェーデンの要注目アクト、Drop Out Orchestraによる最新epが名門Eskimoより登場!!

8

Midland

Midland Placement (Remixes) Ep (Aus Music) »COMMENT GET MUSIC
ポスト・ダブステップ天才Ramadanmanとのコラボ盤も大ヒットした美麗音響ミニマリストMidland。ジャンル越境ヒット中の『Placement Ep』に続いて強力リミックス盤が登場です!!

9

Pains Of Being Pure At Heart

Pains Of Being Pure At Heart Acid Reflex (Pias) »COMMENT GET MUSIC
【Record Store Day限定盤】Washed Out、Violens、Saint Etienne、Twin Shadowによるリミックスを収録した超限定12インチ!!

10

Visioneers

Visioneers Hipology (Bbe) »COMMENT GET MUSIC
Nas"World Is Yours"のリメイク、続くアルバム『Dirty Old Hip Hop』で世界を魅了した4heroのMarc Macによるヒップホップ・プロジェクト=Visioneers最新アルバムが2lpで到着!

interview with Jimmy Edgar - ele-king


Jimmy Edgar
Majenta

Hotflush Recordings/Pヴァイン

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 ジミー・エドガーの名前を検索していくつかのページを見ていると、三田格が2006年に書いた『スタジオ・ヴォイス』の記事のアーカイヴを発見した(https://archive.studiovoice.jp/369/2810)。それは〈ワープ〉がショウケースを日本で行ったときのもので、このイヴェントには僕も行った。そうたしか、エレクトロニカとヒップホップにジャズを織り交ぜつつ鮮やかな手さばきで調理する神童という触れ込みで、キッチュなエレクトロをやっていたジャクソン・アンド・ヒズ・コンピューター・バンド(懐かしい!)とともに〈ワープ〉の期待の新人としてプッシュされていたはずだ。ただ、記憶を辿ると、ここに三田格が書いているように、ジミー・エドガーのライヴはその夜の〈ワープ〉のラインアップのなかでもとくにガシガシ踊れたように思う。
 記事では〈ワープ〉主宰のスティーヴ・ベケットがヴァリアス・プロダクションと契約したいと話しているが、まさにダブステップもこの時期から本格的に盛り上がりはじめている。ジミー・エドガーがそれから6年を経て、新作をスキューバが主宰でありマウント・キンビーやアントールドを紹介している〈ホットフラッシュ〉からリリースをすることは意外ではあるけれども、現在のシーンにおけるフロア・ミュージックという意味で、ポスト・ダブステップのレーベルとジミー・エドガーの邂逅が成り立ったと考えられるだろう。

 そう、ジミー・エドガーの新作『マジェンタ』は、おそらく我々が彼のことを神童だと見なしていたとき以上に、この若きヴェテラン・プロデューサーのフロアへの情熱を見出せる1枚だ。新作を特徴づけているのはオールドスクールにも遡るエレクトロで、音は整頓されて機能的な作りになっている。クウェズのリミックスを収録したシングル"ディス・ワンズ・フォーザ・チルドレン"のキャッチーなリフレインにしても、イーヴン・キックの"レット・ユアセルフ・ビー"のスペイシーな響きにしても、ごく真っ当にダンサブルなテクノ・トラックとして身体を揺らすことができる。あるいは、シンセでふざけてファンクをやっているような"タッチ・ユア・ボディライン"やヒップホップのビート感覚が健在の"アイ・ニード・ユア・コントロール"、そしてエフェクト・ヴォイスが愛を歌うR&Bの"イン・ディープ"では、ブラック・ミュージックのユーモラスな導入も聞ける。そしてもちろん、デトロイト・テクノの正統な血筋も変わらず流れている。それらがフロアの暗がりへと持ち込まれ、吐息交じりのヴォーカルが行き来しながらエロティックに妖しく光る。

 以下のインタヴューでJ.G.バラードや来世の愛、人間性、銀河の周波数に至るまで語るジミー・エドガーは、『マジェンタ』にスピリチュアルな要素をたっぷり持ち込んでいるようだ。〈ワープ〉時代に"アイ・ワナ・ユア・STD"――「俺はお前のSTDになりたい」と言っていた彼は、その独自の濃密でシュールな愛とセックスをこのフロア・ミュージックに託している。

「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っています。

いまもベルリンに住んでいるんですよね? ベルリンはあなたにとっていまも刺激的な街だと言えますか?

JE:いまでもたいていはベルリンにいます。とても住みやすい街なんですよ。冬よりも夏が楽しいんですが、いつもスタジオに篭って仕事をしているので関係ないんですけどね。

あなたはデトロイトで10代から活動していて、ホアン・アトキンスやカール・クレイグ、デリック・メイらと共演していたことがよく挙げられますが、いまでも彼らと交流はあるんでしょうか? 

JE:その3人はいまでもデトロイトに住んでいますが、もちろんいまでも交流はありますよ。ホアンとはしばらく話してないのですが、カールとデリックは世界中のいろんなところで会ったり、連絡を取ったりしています。たまにデトロイトに戻ったときも会いますよ。みんな、素晴らしい友人関係なんです。

前作『XXX』から、リスナーとして好んで聴いていた音楽はどのようなものでしたか?

JE:R&Bばかりですね。80年代、90年代、そして2000年以降から現在までのR&Bのなかでもダンサブルなものですね。それから音楽理論をかなり真剣に学んでいます。一連の規則を学べば、そのルールを壊すこともできると思っていました。これは私の個人的なトレーニングのテーマなのですが、規則を学べば自分で新しいものを創り出すことができると思っています。

では、新作『マジェンタ』について聞かせてください。まず何より、スキューバの〈ホットフラッシュ〉からのリリースというのに驚かされたのですが、これはどういった経緯だったのでしょうか?

JE:友人からポール(スキューバ)に会うように勧められたんです。その際に音を聴かせました。想像とは違うかもしれませんが、直接会って話したんです。メールでのやり取りもかなりしてきました。ポールは私のコンセプトに共感してくれたんです。〈ホットフラッシュ〉は私のクリエイティヴに対して自由を与えてくれました。これは私にとって重要なことなのです。

〈ホットフラッシュ〉のリリース、そのスキューバやマウント・キンビーの音楽についてはどんな印象を持っていましたか?

JE:正直に言うと、リミックスをしたことがあったので、ポールやセパルキュアの音楽は少しは知っていました。最初はダブステップに寄りすぎている感じがしていたんですけど、最終的にはたくさん聴かせてもらって納得できました。友人のアンティウスがLando Kalという名義で『リズム・セクション』という作品を〈ホットフラッシュ〉からリリースしたのですが、けっこう売れているみたいですね。

その〈ホットフラッシュ〉からのリリースとは言え、ダブステップやその流れを受けたポスト・ダブステップと呼ばれるものとは、あなたの新作は別のところにあります。今回はこれまでのジミー・エドガー名義の作品よりもエレクトロ色がかなり増したように思うのですが、それは意識的でしたか?

JE:たまたまです。そんなに深くは意識していませんでした。すべてのものは「ポスト~」となります。私にとっては意味のない定義付けですけどね。自分自身を「ポスト~」のように定義したくはないです。たしかに多くのものから影響を受けてきましたが、広いジャンルに渡るものからなのです。

本作の音楽的なインスピレーションは具体的にありますか? 

JE:『XXX』の直後からこのアルバムに取り掛かりました。『XXX』のフューチャリスティックなヴァージョンという感じですね。でき上がってみたらもっとロウな感じになっていて別物になってましたけどね。これは旅の続きなんです。次の作品はこの旅から完全に切り離して、新しい何かをはじめると思います。リズムをもっと変える必要があると感じています。

それから、エフェクト・ヴォーカルを使ったファンキーなヴォーカル・トラックが多いことから、これまでのダークなムードよりも明るさ、それにユーモアを強く感じます。このような変化に理由は思い当たりますか?

JE:自分のユーモアのセンスがまともじゃないんですよ。

シンセはアナログですか? 今回もあまりコンピュータは使っていないんでしょうか?

JE:シンセはアナログではないですね。デジタル機材とモジュールよりもコンピューターを多用しています。賛否両論あるでしょうね。私は使えるものならなんでも使います。

シングルの"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"や"レット・ユアセルフ・ビー"などを聴くと、シーケンスやシンセの音色など、やはりデトロイト・テクノに通じるものを感じるのですが、ご自身を「デトロイトが出自のエレクトロニック・アーティストだ」と強く意識することはありますか?

JE:「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っていて、デトロイト出身のエレクトロニック音楽のプロデューサーのなかで成功している数少ない人間のひとりだと思っています。だからこそ単純明白に自分のことを「デトロイトの新しいサウンド」だと主張しています。否が応でもそうだと思っています。だけど、私の音楽すべてがデトロイトに影響されているわけではありません。

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私はいま28歳です。インターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。


Jimmy Edgar
Majenta

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リリックについてなんですが、本作ではリード・シングルとなった"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"の言葉がタイトルも含めて特に気になります。"We don't like television"や"We don't like Celebrities"というのはイメージしやすいのですが、"We don't like New Wave"というのはどういった意味合いが込められていますか? 音楽としてのニューウェイヴでしょうか?

JE:ハハハ。私のユーモアのセンスが垣間見えましたね(笑)。

"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"(「これは子どもたちのために」)というタイトルはメッセージだと考えていいのでしょうか?

JE:まさしくそうです。これは潜在意識のメッセージで、自分自身の人生をコントロールするように、何かの一部分であることを感じるように、そして自信を持つようにといったコマンド的なものが含まれているのです。人間には愛が必要だったり、団結してひとつになることが必要だったりだという意味もあります。そうでもしなければ、人は最後まで自分たちを殺し続けるのです。

そして"I can make you dance"という不敵な言葉に、ダンス・ミュージックとしてのあなたの自信を感じるのですが、あなたにとってダンスフロアの音楽であることはどの程度重要ですか?

JE:とても重要です。人びとをコントロールしたいと思うこともあって、踊っていることを見ることで私の音楽が視覚的にも完成するのです。

では、本作でも"テイク・ミー・オン・セックス・ドライヴ"など、明らかにセクシャルなモチーフがあります。あなたのなかで、それ(セクシャルなモチーフ)が繰り返し現れるのはどうしてでしょうか?

JE:J.G.バラードの『クラッシュ』というSF小説にからインスピレーションを得ています。私と私の前の彼女とで暗がりのなかにいたときに、彼女のために「Lets crash this car and not survive」という詩を書きました。もちろんお気に入りの曲の一つです。もしかしたらザ・ノーマルの"ウォーム・レザレット"へのオマージュと見られるかもしれません。何らかのお返しをしなくてはいけないかもしれませんね。

今回もファンクの要素が強いことからも、あなたの音楽にとってセクシーさは非常に重要なものだと思えます。あなたにとっての、音楽のセクシーさとは何かを定義していただけますか?

JE:セクシーさは多くの意味を孕んでいます。厳しかったりルーズだったり。大きいものから柔らかいものだったり。いろんな意味です。態度だったり雰囲気だったり。セクシーさは意識すべきもので、偶然ではだめで、強くコントロールすべきものです。人びとがセクシーと呼ぶものは曖昧なもので、人によって意味がバラバラです。自信を持つということがふさわしいかもしれません。私は常に自信を持ってスタジオに入っています。

プリンスからの直接的な影響はありますか? 音楽的なものでも、思想的なものでも。

JE:彼のアティチュードは好きです。彼もきっと自信を持ってスタジオに入っているんじゃないかと思います。

"イン・ディープ"はアルバムのなかでも特にディープでスムースですが、ジミー・エドガー流のラヴ・ソングと解釈してもいいでしょうか?

JE:そうですね。音と詞のなかにたくさんの情熱が込められています。とてもディープな曲です。すごく複雑な作業だったのですが、聴いてもらえればわかると思います。

タイトルを『マジェンタ』とした理由を教えてください。

JE:これは銀河の真んなかからくる新しい周波数のことを意味しています。赤紫色の「マゼンタ」と似ていますが違うものです。ほとんど目には見えない紫外線のスペクトルのなかにあります。この色は私たちの周波数と意識から現れるものです。この2、3年のあいだはまだ世のなかでは認識されないでしょう。時間は年々早くなっています。我々はそれに順応し学ぶべきなのです。

アートワークもなかなかインパクトが強く、これまでと違うムードを感じますが、可能であれば説明していただきたいのですが。「彼女」は誰?

JE:彼女は人間性を表す女性であって、起源を表す子どもでもあり、寛容を表す女性、あなたと私であり、わたしとあなたでもあるのです。私たちの持つポテンシャルを多くの人びとが気づきはじめたという変化、この変化の育成の象徴です。心のなかで願うものはなんでも創造できると気づくため、そしていままではこのホログラフィックな生活の中で創りあげてきた全てのものを見るためです。今世でも来世でも、愛を自制することは大きな痛みを伴います。

あなたはまだ十分お若いですが、すでにキャリアとしてはかなり長いです。10代でミュージシャンとして活動をはじめたころから、もっとも変わった部分と変わっていない部分は何だと思いますか?

JE:そうですね、かつては多くのCDを作って来ました。いまでは当時の約10%になっています。ほとんど同じことがレコードに関しても言えますね。工場で働く人にも影響しています。
 私はいま28歳です。もし11年前にいまの私がいたとすれば、まったく別の世界になっていたでしょう。デジタル音楽の変遷も見てきました。だけど私のようにデジタル音楽に関してオープンなプロデューサーもいます。なぜならインターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。

 ありがとう。永遠の愛を。

SonarSound Tokyo - ele-king

 まあそんなわけで大阪はすっかり深夜踊れない街になっているので、やってられるかと僕はバスで寝ながら東京に向かった......SonarSound Tokyoでしこたま踊るためである。ちなみに「オールナイトの イヴェントに行ったことがないから行ってみたい」というふたつ年下の友人を連れて行ったのだが、キャッチーな入り口がありつつ、現在のエレクトロニック・ミュージックの奥行きも感じられるラインアップになっているのはソナーならではだ。
 それだけ豪華なメンツになっていることもあり、今回に限ったことではないが全くの個人的なレポートになっていることをお許しいただきたい。ケン・イシイのプロジェクトの裏ではグローバル・コミュニケーションとアオ・イノウエがやっている......そんなイヴェントなのだ。

 会場は今年も新木場のアゲハ/スタジオコーストで4ステージ、しかしものすごい数のひとだ。これだけの人間が深夜に踊りたがっているのに、クラブを閉店に追いやって警察はいったい何がしたいんでしょうな......とグチりたくなりつつも、ステージをいくつかウロウロしてアルコールとビートを身体に馴染ませていく。外のステージであるSonarLabでは大阪出身の若いトラックメイカーのSeihoとAvec Avecが煌びやかな エレクトロニック・ミュージックで沸かせている......法律に関係なく、ダンス・ミュージックはただそこに存在して新しい世代を踊らせるのをやめていなかった。

 メイン・ステージであるSonarClubに向かうと、ドリアン・コンセプトが相当デカい音量で遠慮なくビートを投下している。テンポが変わるブレイクビーツと音程の揺れまくるキーボード・サウンド、とにかく情報量が多い。ヒップホップとエレクトロニカの感性がミックスされているという点では珍しくないけれど、コミカルにもシリアスにもなりきらず、ややこしい実験の袋小路にも向かわず、妙にあっけらかんとした開放感があるのがいい。
 SonarDomeと名づけられたテントはひとが溢れ、入場規制がかかった。グローバル・コミュニケーションのリユニオンだ! 「世界規模の、伝達」という例のサンプリング・ヴォイスからはじまり、トム・ミドルトンとマーク・プリチャードはスクリーンの向こう側からゆっくりと、ゆっくりとその脳の襞に染み込んでいくような和音を響かせていく。スクリーンには、『ナショナル・ジオグラフィック』か『Newton』の写真のような宇宙の映像が広がり、みるみるうちにサイケデリックな領域にオーディエンスを連れて行く。メイン・ステージに比べるとどうしても音量が小さくなってしまい即効性はなかったが、その分、後にアンビエントのクラシックとなった『76:14』の音響世界に耳を澄まして分け入っていくような体験を味わうことができた。映像の使い方にしても音にしても90年代のエレクトロニカの文法を外れるものではないが、それだけ過不足のない完成された型がそこにはあったように思う。とくに中盤に訪れた、足元から這い上がってくる恍惚には背中を撫でられているような気分になった。もちろんこのアンビエントは現代まで繋がって、さまざまなヴァリエーションに展開している。ラストにはミニマルなテクノでガシガシ踊らせもしたが、あの気の遠のくような音響がグローバル・コミュニケーションなのだと感じられた。

 すっかり上機嫌でテントの外に出た僕は、友人のOと合流した......のだが、持っていた財布が消えたらしく忙しそうだったので、邪魔するのも悪いのでOをそっとしておいてメイン・ステージに向かう。ちなみにこの友人Oは、去年のフジロックのレポートで酔いつぶれてその辺で寝ていた男と同一人物である。僕が知っているだけでも、Oは4回財布をなくしている。
 それはともかく、ここからメイン・ステージは〈ワープ〉のスターが続く。まずはクラークだ。彼のライヴは三度ほど観ているが、激変の新作『イラデルフィック』の直後とはいえ、これまでの内容と大きく変わるものではなかった。圧迫感のある強力なビートと狂気じみた電子音の交差が、次から次へと展開していき全く休む暇もない。エイフェックス・ツインの血筋はたしかにあって、僕にはクラークは〈ワープ〉の正統な第二世代だと思える。けれども、エイフェックスのような子どもじみた悪意はここにはあまり感じられないし、その狂気は陰湿なものではない。シンプルに「ぶっ飛んでいる」状態が様々なテンポで応酬する、そんな気のふれたアッパーさがクラークのライヴの醍醐味だろう。いくつかミスもあったが、それも気にさせない堂々たる内容だった。アンコールでは『イラデルフィック』収録の変拍子も聞かせてくれたが、基本的には新機軸よりも得意のやり方で会場をピークまで持っていった印象だ。
 
 ステージの後ろの方に行くと酔いつぶれてOが寝ている......。横にいた彼女に聞くと、財布は戻ってきたものの現金はなかったそうだ。酔いつぶれたい気持ちも分からなくもないが、友人として声をかける。「スクエアプッシャーはじまるで」。起きない。そっとしておくことにした。
 そんな人間以外はかなりのひとがステージに押し寄せる。スクエアプッシャーへの期待は相当なものだ。バックに大きなLEDのスクリーン、卓にもLED。そこにLEDスクリーンつきのヘルメットをかぶって現れた男は、本当にトム・ジェンキンソンだったのだろうか? というのも、これまでと印象がかなり違う。音に合わせてぶんぶん腕を振り回すような、サービスめいた煽りをするタイプだったか? が、新作『ユーファビュルム』からの楽曲を生楽器を使わずすべてエレクトロニックでやっているとは言え、音そのものはスクエアプッシャーらしい高速のドラムンベースやブレイクビーツとメランコリックかつエモーショナルなメロディ。その迫力と完成度は確かなもので、ジェンキンソンもまた、10年以上かけて作り上げた型を洗練させているように見えた。新鮮な驚きはなくとも、音と完全に同期した映像の手際の良さも含めてとても安定している。彼のキャリアも一周したということなのかもしれない。新世代がひしめくソナーのなかで、ヴェテランの意地を見せるようなライヴだった。
 その点、ラストのアフリカ・ハイテックはもっと粗野で横断的だ。その日二度目の登場のマーク・プリチャードは自在にビートをコントロールする――ヒップホップ、ドラムンベース、ダンスホール、ダブステップ、アフロ・ビート、それらのミックスと野太いベース音。そのハイブリッドな音はデタラメではなくて、プリチャードの長いキャリアで培われた審美眼によるものなのだろう。ビートは雑多でも、ダンスの機能性はまったく損なわれていない。スティーヴ・スペイセックはそこに時折歌を乗せ、自ら踊りながらオーディエンスを乗せる。僕もまんまと乗せられて、ひたすら足を止めることなく踊り続ける。ああ、明日絶対寝坊するな......マーク・プリチャード意外とかわいいな......とか朦朧とした頭で考えているうちに、あっという間に朝になっていた。

 2日目。野田ボスの「寝てた?」という電話で目が覚めて、「寝てました!」と元気良く答えたら苦笑されたのにもめげず、再び新木場へ。めげない友人O(1日目はほとんど寝ていたらしい)も行きたいと言うので連れて行く。野田さんはそのとき夢中のものの話しかしないから、今回はグルーパーの話をひたすらするんだろうなあ......と思いながら合流する。とても上機嫌そうだ。「いやあ木津くん、昨日のグルーパーは素晴らしかったよ」......。

 それはともかく、ボスにつられてすでに数杯目の酒を飲みながらラスティを観る。これがまた、声を上げて笑ってしまうぐらい面白かった。横にいた野田さんが「頭いいのかバカなのかわかんないね」と言うように......いややっぱり、ちょっと「バカ」寄りなんじゃないかと思えるほどに、無闇に壮大で突拍子のないドラマティック・シンセ・サウンドが展開される。無駄にトランシーな上モノはレイヴ感覚を茶化しているようにしか聞こえず、しかし一周して大真面目なんじゃないかと錯覚してしまいそうにもなる。そこにはガキの衒いのないギャグがあり、同時にシニカルな風刺があり、しかしそれらはやたらに強い音圧でもって「もう何でもいいや」という気分に取って代わられる。ダブステップ以降のビートを使って、こんなに無責任な跳躍を見せたのはラスティがいちばんではないか。とにかくエネルギッシュ、ファンキー、エクストリーム。こんなに笑えるダンス・ミュージックはいま、なかなか見当たらない。
 その後のマウント・キンビーは一転、思慮深い演奏でポスト・ダブステップのもっともメランコリックな場所へとガイドする。曲の断片が現れては消え、思った以上に複雑な音のレイヤーの絡み合いで聞かせる。まだライヴに慣れていないのか頼りない部分もあったが、エコーの響きの余韻に浸らせながらじっくりと自分たちの音に引き込んでいった。"カーボネイティッド"や"メイヤー"といった代表曲では冷たさのなかに熱がじわりと溶け出す瞬間のスリルが見られたので、もっと1曲1曲をじっくり広げるライヴも観てみたいと感じた。
 ヴィンセント・ギャロの姿を一瞬確認しつつも、SonarDomeへ。ハドソン・モホークもまたテントをいっぱいにして、不利な音条件のなか頑張っていた。とくに先のEPのトラックがひときわ光っていて、インタヴューでは本人にはやんわり否定されてしまったが、やはりレイヴィーな眩しさがそこでは反射していた。連発するカットアップには脈絡がなく痛快極まりないが、ラスティを観た後だときちんと考え抜かれているようにも聞こえるから不思議だ。とは言えグラスゴーのこのエネルギーがいま手をつけられないのは間違いなく、次の動きのひとつは間違いなくここから続くだろうと思わされる。終盤、ここぞというときにR&B調のブレイクビーツ"オーヴァーナイト"が投下され、オーディエンスを激しく縦に揺らしていた。プレステでひたすら作曲を続けていたような少年たちが、フロアを沸かせる時代がまさにいま訪れている。
 
 バスの時間があったため僕は途中までしか観られなかったが、ザ・シネマティック・オーケストラは最後にたっぷりとアーティスティックな時間を用意していた。ヨーロッパの古典映画などからの引用を編集で処理した白黒映像と、ストリングスを加えた叙情的なアンサンブル。ジャズとエレクトロニカを交えたオーケストラは、美しい映像に緩やかにシンクロしながらまさにシネマティックな物語を奏でていた。

 たしかにメンツが豪華だったSonarSoundだが、結局のところ僕が味わいたかったのはダンス・ミュージックの胎動し続ける力そのものだった。そしてそれはその2日間、まったく遠慮することなく放たれていたのだった。すっかりエネルギーを使い果たした僕は、バスで気絶しながら大阪に帰った。
 
 
木津的best 3
グローバル・コミュニケーション
ハドソン・モホーク
アフリカ・ハイテック

木津的worst 3
2日目のスタート時間の早さ
SonarDomeの音量
友人の金を盗んだ輩

野田的best 3
ラスティ(情報量の多さにびっくり)
マウント・キンビー(思ったよりも良かった)
ハドソン・モホーク(メインで聴きたかった)

野田的worst 3
ビールの値段(酒飲めないわ)
SonarDomeの音質(メンツが良いだけに......)
ヴィンセント・ギャロ(可もなく不可もなし)

Polysick - ele-king

 先月よりスタートしたアニメ『AKB0048』は、芸能や歌が統制機関によって規制された未来社会を舞台とする点で、サッカーの勝敗が管理組織によって徹底統制されるディストピアを描いた『イナズマイレブンGO』(2011年)の世界設定にかぎりなく近接する(※1)。このありえそうもない設定がイナイレやAKBなどの(一見無関係な)注目コンテンツに連続して現れてきたのは、ありえる未来として人々の潜在的な不安を可視化するものだから......なのかどうか、先日の木津毅のレポート『現代思想』の大阪特集のタイミングなどを鑑みればそう疑ってみるにじゅうぶんなことがらであるように思われる。

 筆者がそうした機関を統轄する任をえたなら、AKB追撃をおとりに、よりアンダーグラウンドな活動の徹底殲滅に力を注ごうと思う。たとえば〈100%シルク〉などはまっ先に規制対象としてリスト化したい。ほぼアナログ・オンリーで超枚数限定のプレスだなど、まずリリース形態からしてレジスタンス的だ。それに「人心を惑わす」ことが規制理由である(『AKB0048』)ならば、彼らの見つけ出してくる音はもっとも急所ねらいの危険なものではないかと思うからだ。ポリシックの音楽も危ない。〈100%シルク〉から長尺の音源やミックス・テープなどをリリースしている彼の音には、人をふぬけにしてしまうようななにかが、ほんの小さな毒針のように隠しこまれている。

 それは一見、無害でスウィートなヴァイヴとしてあらわれている。"トーテム"でシンセがけだるく鳴らしつづけるコードのシークエンスは、とてもスムースな手触りで曲をみちびく。ラウンジ風に仕立てられたこの曲や"タイト"や"ローディング"などのコズミックな感覚、クラウトロック的なサウンドがつづくアルバム前半では、スタイリッシュで踊れる「なにかよさそうなアルバム」といった印象なのだが、その後につづくアシッドな展開には油断のならないものがある。"キャラバン""ドロウズ""メルティンアシッド""ワールドカップ"(好きなタイトルです)"スマッジ、ハワイ"などフューチャリスティックなムードが端正にパッケージングされたダンス・トラックのなかに、"ゴンドワナ"のようなスペーシーなアンビエントや"プレダ"のようなミニマル・テクノが入り込んできて、なんというか、精神が羽交い締めにあうようにゆっくりと摩耗させられていってしまう。それに全編をとおしてエモーションの零度とでもいうべきつめたくかわいた世界観に支配されていて、チルウェイヴの夢にまみれた身体には冷や水のようだ。しかしだからこそ、逆に離れがたく聴きつづけてしまうような依存性がある。やはり世界や人を動かす力というのは、たとえ幼稚なものであったとしてもエモーションなのだ。それがないと世界は凍る。15曲も入っているが、まったく長いと感じないし、そのあいだなにかしようという気にもならない。ポリシックという美しい毒針は、放っておけば精神か筋肉をむしばむ。そんなものが地下に流通するなら、筆者は見逃しはしないだろう。たとえ販売枚数がAKBの何千分の一であろうとも、アリの穴で地盤がくずれるような事態を生みかねないということを筆者はおそれるだろう。逆にいえば、冒頭で触れたようなディストピア的世界においても、こうした音源のリリースなど、抵抗の手段はいくらもあるということだ。

 ジ・アウェイ・チームという名義でも活動するポリシックは、ポール・ケルセックスというローマのプロデューサーによるソロ・プロジェクト。彼の持っていたコルグのポリシックスが突如狂いだしてそのまま「死んだ」あと、ポリシックを名のるようになったということだ。本人の言によれば、よりスピリチュアルでニューエイジ的なコンセプトを持った音をジ・アウェイ・チームとして発表しているというから、こちらはフィジカルな表現を試すための名前なのかもしれない。2010年に1枚アルバムを出しており、〈ビッグ・ラブ〉からシングルを、ジ・アウェイ・チームでは〈モアムウ〉からアルバムをリリースするなど日本においてもすでに熱い視線がそそがれている。

 最後にひとつつっこむなら、『デジタル・ネイティヴ』というタイトルは大嘘である。生まれながらにIT環境がととのっているというのは、いいかえればIT技術をことさら意識しないで生活しているということだ。それこそチルウェイヴのように、もっとぼんやりと音楽ソフトを用いているような層がデジタル・ネイティヴ世代のイメージであって、ポリシックのようなシンセ・マニアはその対極にあるものではないかと思う。いや、チルウェイヴ的なものに喧嘩を売るタイトルだというのならそれはそれで納得するのだが。


※1...少年サッカー法/芸能禁止法など、それぞれを「法」=公権力による規制として描く点も一致している。また『イナズマイレブン』においては、統制機関がそもそもは「勝利を平等に分け与える」という共産主義的な理想のもとに設立されたものである点にひねりがある。蛇足だが、前作『イナズマイレブン』の主人公ら(雷門中サッカー部という看板)/実在のAKB48、という、カリスマを失ったのちの世代を描く点も興味深い共通点である。

YO.AN (HOLE AND HOLLAND / YOKOYOKO) - ele-king

たしかに 10


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NIAMA MAKALOU ET AFRICAN SOUL BAND - KOGNOKOURA Daphni's Part 2 Edit - Sofrito Super Singles

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YAKAZA ENSEMBLE - YAKAZA ENSEMBLE meets SYUNOVEN EP(J.A.K.A.M. RMX) - CROSSPOINT

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RUMPLESTILTSKIN - RUMPLESTILTSKIN(YO.AN EDIT) - Unreleased

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FUSHIMING - ALL SET TO GO(Fresh remix) - Hole and Holland Recordings

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C90 - Everyday Edit - Soundbox Dynamic

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Lee Van Dowski - 1977 - REKIDS

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Lindstrom - Quiet Place To Live (Extended Disco Version) - Smalltown Supersound

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Andreas Reihse - Romantic Comedy - M=Minimal

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ATOM TM - WEIBES RAUSCHEN - RASTER-NOTON

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CAPABLANCA & T. KEELER - No Hay Ritmo - Gomma
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