「UR」と一致するもの

[Techno] #3 by Metal - ele-king

1 Clouds / Timekeeper --Dave Aju Remix--- | Ramp Recording(UK)

 いやー、本当に、ぶっ飛びすぎ!......てか、笑えてくる。壮大な"エイリアン・ミュージック"に出会ってしまったのかもしれないな。黒光りするシンセが痛いくらいにまぶしいぜ。

 ハウスを借り物にブラック・ジャズの更新をはかるサンフランシスコの奇才――それがデイブ・アジュだ。ベルリンのマイマイやモントリオールのギヨーム・アンド・ザ・クーチュ・デュモンツのリリースで知られる〈サーカス・カンパニー〉を拠点にしているため、いわゆるモダン・ミニマル/ディープ・ハウスの文脈から語られることが多いプロデューサーだが、彼のポテンシャルはそんなものではない。あのマシュー・ハーバートが期待をよせるヴォイス・パフォーマーのひとりでもある。

 少し振り返ろう。2007年に〈サーカス・カンパニー〉からリリースされた「Love Allways」はアリス・コルトレーンに捧げられたものだった。ルチアーノのリミックスが収録された、2008年に〈サーカス・カンパニー〉からリリースされたシングル「Crazy Place」はフロアヒットした。同年にリリースされた自身のスキャットとヴォイス・サンプルのみで作られたアルバム『Open Wide』はビート・ポートの年間ベストのうちの1枚にも選ばれた。サン・ラー、セロ二アス・モンク、バニー・ウォーレル、カール・クレイグ、グリーン・ヴェルヴェット......これらは彼がリスペクトするアーティストのほんの一部だが、彼の曲には必ずと言っていいほどブラック・ジャズの意匠が散りばめられている。

 そんな才人が、〈ディープ・メディ〉などからサイケデリックなエレクトロニカ/ダブステップをリリースするヘルシンキのユニット、クラウズが2008年にイギリスの〈ランプ・レコーディング〉に残したトラックをハウスに再構築する。オリジナルはメランコリックなヴィブラホンに優しいトーンのアコーディオンが絡むヒップホップ調のトラックで、ラス・ジーによるリミックスは当時コード9やフライング・ロータスのプレイリストにもあがり、ダブスッテップの側からの支持も得ていた。

 原曲のアコーディオンとジャジーなフィーリングは生かされているものの、もはやオリジナルといってもよいほどの出来だ。冒頭から入るローファイでぎらついたシンセサイザーの音色はまるでシカゴのジャマール・モスか、あるいは初期のラリー・ハードを髣髴とさせる。単純で無機質なアジッド・ハウスかと思えばブレイクで突如モーダルなジャズに変化して、原曲で使われているアコーディオンの調べがゆったりと流れだす。構成、展開もドラマチックで面白い。加工されているためわかりづらいが、シンセのリフを良く聴いてみるとファラオ・サンダースとレオン・トーマスがモダン/フリー・ジャズの最重要レーベル〈インパルス〉に残した名曲"The Creator Has A Master Plan"のピアノが元ネタになっていることがわかる。この曲もまさにモダン・ミニマルのふりをしたブラック・ジャズというわけだ。彼はあらかじめクラブを体験してしまったがためにハウスをやっているアーティストであって、前の世代とは逆のプロセスを辿ってジャズに行き着いている。

2 Mirko Loko / Seventynine --Carl Craig&Ricard Villalobos Remix-- | Cadenza(Ger)

 DJワダの〈イグナイト〉でのアンビエント・セットを終え、天狗食堂で開かれていたDJサチホがオーガナイズする〈リリース・シット〉に駆けつけると、週末の朝に特有のとても良い空気が流れていた。DJはサチホ~スポーツ・コイデ~イナホ~リョウ・オブ・ザ・デックス・トラックスの面子でのローテーションだった。グルーヴがキープされたまま新旧のディープ・ハウスがたんたんと続く。朝の9時をしばらく過ぎると天狗食堂のイナホがロングミックスを聞かせる。足の運びが軽やかだ。スネアに引っかかりがあるが、スマートなミ二マル・ハウスがじょじょに子供の声と水の音、透明感のあるシンセとともに広がっていく。誰も声を上げず首を振りながらその音楽をきいていた。そのトラックここに挙げた。ミルコ・ロコのリカルド・ヴィラロヴォスによるリミックスである。

 レイジー・ファット・ピープルのメンバーとして〈プラネット・E〉からヒットを飛ばし、ソロでは現在のプログレッシヴ・ハウスのリーディング・レーベルであるロコ・ダイスの〈デソラ〉からも傑作を放った期待の新星ミルコ・ロコ。その彼のリミックスがルチアーノの〈カデンツァ〉からリリースされた。リミキサーは言わずとも知れたデトロイトのテクノ・ゴッド、カール・クレイグとベルリンのテクノ・ゴッド、リカルド・ヴィラロヴォスである。

 カール・クレイグのリミックスはプリミティヴな質感の力強いダンス・トラックで躍動感のあるパーカッションにローランドの名器JUNOの音色と思えるシンセが絡んで、全体がじょじょにビルドアップしていく。まるで音のなかに吸い込まれるようだ。美しく、しかも引きが強いトラックだ。彼が何枚かに1枚だけ見せる本気のトラックなのだろう。デリック・メイの名曲"To Be Or Not To Be"(ゴースト・イン・ザ・シェルのサントラに収録)にも近い感覚とでも言えよう。

 いっぽうリカルド・ヴィラロヴォスのリミックスはメランコリックで美しいアンビエント・ハウスだ。スティーヴ・ライヒのミニマリズムを彷彿とさせるような自然音と子供の声が螺旋を描いていく。リカルドらしい抜き差しとダブ処理も効果的だ。ジェームス・ホールデンによって解体されたプログレッシヴ・ハウスのドラマ性とスピリチュアリティはこの曲をきっかけに見事に復活を遂げるのではなかろうか。両面とも大事に使いわけることができる盤だ。

3 Badawi / El Topo | The Index(USA)

 エルサレム出身でニューヨーク在住のパレスチナ人パーカッショニスト、ラズ・メシナイが率いるバダウイのニュー・シングルを紹介しよう。ラズ・メシナイとは......その名前とバダウイ、サブ・ダブ、ベドウィンといった4つの名義を使い分け、DJスプーキーのホームである〈アスフォデル〉、ビル・ラズウェルのリリースでも知られる〈リオール〉、DJワリーが率いる〈アグリカルチャー〉等から数々の傑作を放ってきた男だ。ニューヨークのアンダーグラウンドを象徴するアーティストであり、ユダヤの政治と宗教をテーマにしたサウンドと彼の芸術、そしてその超絶的なパーカッションのテクニックは多方面で高い評価を得ている。最近ではクロノス・カルッテットやジョン・ゾーンとの競演も話題になった。

 今回は自身が立ち上げた〈ザ・インデックス〉からの第1弾である。昨年リリースされたコード9とのスプリットで見せたダブステップへのアプローチはさらなる進化を遂げ、"ElTopo"では抜けの良いタブラとばっつり出た低音が絶妙にマッチしたダブステップを展開している。そして"Dstryprfts"のリミックスではシャックルトンがブライアン・イーノのリミックスとはまた違うところで興味深いトラックを響かせる。〈パーロン〉からのリリースでみせたミニマルへのアプローチはさらに研ぎ澄まされ、キックとハット、メロディではなく飛び音として使われるシンセとノイズがかったアシッド・ベースがトランシーにうごめき、時折入るディレイがかかったシンバルがリスナーの意識を遠くに飛ばす。原曲からのサンプルとトースティンによるポエトリーが最小限にキープされたグルーヴのあいだでゆらめいている。僕もよく経験することだが、暗闇のなかで右も左もわからなくなったユーザーに襲い掛かる強烈なバッド・トリップである。

 リッチー・ホーティンが2003年にリリースした"Closer"をダブステップに変換したようでもある。アシッド・ハウスのオリジンであるフューチャーの"Acid Tracks"そしてその裏面に収録されている"Your Only Friend"にも共通するような独特のムードを持った曲でもある。まー、手短に言うとこの曲こそが最先端のミニマル・テクノであると僕は思う。

intervew with Breakage - ele-king

「ダブステップ聴いた?」って訊かれて、「いや、そこまでちゃんと聴いてないけど」って答えたけど彼女が「マーラがそのダブステップの重要人物のひとりなんだよ」って教えてくれたんだ「へぇー」って答えたら「へぇー、じゃなくてマーラって彼よ、マリブ、あなたたち学校一緒だったでしょ!」って言ってきたんだ。

 俺たちはハードコア・ミュージックの最新版を聴いている
 音楽がすべてだ
 俺も君たちも音楽が大好きなんだ
 だから君たちがここにいて、
 俺もかけるのが大好きだからここにいる
 君たちが来なかったら俺はプレイができない
 もっとも重要なのは音楽それ自体
 だからスピーチはここら辺までにする
 いま聴いてもらったのは、
 ジャマイカから来たいちばん熱いハードコアなダブプレート
 ここからテンポとスタイルを変えていこう
 ひと晩通して、一緒に曲を変えて、聴いて、
 楽しもう David Rodigan"Hardcore Music"

 『ファウンデーション』は爆弾だ。この爆弾を東京のあらゆる場所にこっそり仕掛けてやりたい。そしていっせいに爆発させてやろう。情け容赦なく、ロンドンの貧民街でシェイクされ、爆発し続けるハードコアのあらゆる要素が含まれているこの爆弾を。激しい地響きが街をひっくりかえし、火傷しそうなほど熱いコンクリートが最高のダンスフロアとなるだろう。

 ブレイキッジのセカンド・アルバム『ファウンデーション』を聴いていると、この時代のUKのダンス・カルチャーの活気というものが伝わってくる。スピーカーから聴こえる音は体内に注入され、そして身体を熱くする。キングストン経由のベース・サウンド、ダブ、ジャングル、グライム、ダンスホール、あるいはハーフ・ステップや2ステップやダブステップ......まるでビートの見本市のようなこのアルバムには、素晴らしいゲストたちも参加している。大御所ルーツ・マヌーヴァをはじめ、ダブステップのスター、スクリームとキャスパ、グライムのMCのニューアム・ジェネラルズ、昨年メジャー・デビューした女性シンガーのザリフ、そしてブリアル(!)。

 リリース元は、グライムに多大な影響を与えたイノヴェイター、シャイ・エフェックスのレーベル〈デジタル・サウンドボーイ〉。アルバムの冒頭ではUKでレゲエをかけ続けている伝説的なラジオDJ、デヴィッド・ロディガンがスピーチをしている。「俺たちはハードコア・ミュージックの最新版を聴いている......」

『Foundation』はこれまでのあなたの10年のキャリアの集大成的なアルバムなのでしょうか?  

 完全にそうだよ。いままで伝えようとしてたこともすべてこのアルバムに凝縮してるね。過去、現在、未来全部含めて。曲によってははじめた当時の音のものもあれば、いま向かってる方向の音のものもあるから、そうだね、集大成だよ。

ジャングルもダブステップもグライムも混ざっているし、ダブやガラージもある。MCも出てくるし、ダブステップのプロデューサーとの共作もある。でも、最終的にはジャングル色が強いアルバムですよね。シャイ・エフェックス(Shy FX)の〈Digital Soundboy Recording〉からのリリースだからそうなったんでしょうか? それともやはりジャングルがあなたの帰る家だという認識なんでしょうか?

 両方だね。俺もシャイも、テンポとかbpmとかそういうくくりは関係なく、基本的にはジャングルを聴くんだよ。ジャングルのテンポの曲じゃなくてもその曲のバイブズの本質にジャングルがあると思ったら聴く。暴力的な要素とか感情、ディープなだけじゃなくて人を動かす力がないと駄目なんだ。基本的にはジャングルしか作れないんだよ。自分のキャリアのなかでもジャングルしか作ろうとしてないよ。俺のドラムンベースの曲やアルバムのなかでジャングルを感じてくれたのは嬉しいよ!

"Hard"では、ジャマイカ起源のベース音楽の変遷について喋っていますよね。スタイルは違っても同じだと。これはあなたの主張でもあるんですか? つまり、ブレイキッジの音楽もジャマイカ起源のベース音楽の現在形であるという。

 そうだね、俺はダブにはスゴく影響されてるからね。そして"Hard"における(デヴィッド・)ロディガンのあのスピーチを聴いたとき、プロデューサーとしてもそうだけど、DJとしても俺の姿勢を反映してると思った。デカい派手なステージ・ショーをやるわけでもないし、つねに腕を振り回して踊りまくるわけでもなく、良い曲をかけるだけなんだ。自分が良い音楽だと思うものをかけるためにその場に居るんだ。俺が見せたり語るより音楽に語らせたほうが良いんだよ。「俺たちはハードコア・ミュージックの最新版を聴いている。すべてが音楽だからだ。君たちは音楽が大好きで俺も大好きなんだ。君たちは音楽を聴きに来て、俺はかけるのが大好きだからここに来た。君たちがいなければ俺はかけられない......」、あのスピーチ全部が本当その通りだと思うんだ。俺もロディガンを聴いて育ったからね。そして彼の声を使うんだったら意味あること言ってるフレーズを使いたかったんだ。

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あなたの歴史を振り返ってもらいたいんですけど、生まれは?

 バークシャー州のスラウっていう町で生まれたんだ。5~6歳ぐらいのときにバッキンガム州のバッキンガムに引っ越した。そこで乳兄弟が来て、彼がダンス・ミュージックについて教えてくれたよ。遠い昔さ、プロディジーの『エクスペリエンス』が出るちょっと前とか。91年、92年で10歳ぐらいのときかな。その当時にジャングルがはじまり出してて、その頃にジャングル聴き出したんだ。それが俺の育ちかな。

そこからどうやってジャングルのシーンと結びついたのですか?

 多くの人も一緒だと思うけど、不思議にもいちばん最初に聴いたジャングルの曲がシャイの"Original Nuttah"だったんだ。当時学校に月曜日に行って、誰と話してもあの曲が話題だったよ。引っ越したりしてたからそのときは俺知らなくて、新しい家に入れる前にしばらくお姉ちゃんの家に泊まってたんだけど、彼女の家でMTVか何かで流れてて......。学校でみんなが歌ってたからすぐわかって「これがみんなが話してた曲なんだ」と思って、で、聴いたら衝撃受けたね。ハードコアを聴いたりして似た曲は聴いたことはあったけど、あれはまったく新しく聴こえたんだ。ハードコアと同じ基礎だったけどレゲエ色が強くて、やられたね。あの後どういう音楽が好きかはっきりわかったね。
 実は昔ギターを弾いてて、その数年後、14歳ぐらいのときかな、ギターをさらに勉強するために音楽芸術学校にいったんだ。そこではいろいろ違う音楽をやらされたり、楽譜を読めるようになる勉強とか、他の楽器の基礎を学んだりしてたんだけど、そのなかでパソコンの使い方の授業もあったんだ。ある日その授業でジャングルの作り方がわかったんだ。"Original Nuttah"とか"Terrorist"がどうやって作られたのか理解できたよ。ああいう曲を作りたかったら、このパソコンの使い方を勉強しないといけない、と思ったんだ。家には4トラック、キーボード、ドラムマシンを持っていて、それで作ろうとしてたんだけどなかなかうまくいかなくて、彼らが使ってるドラムが本物のドラムを使ってるのかすらわからなくて、全部ドラムマシンで叩いてるんだと思ってたんだ。すごいドラムマシンだな!って思ってたんだ(笑)。それでCubaseとそこにあったサウンド・モジュールを完璧に覚えて、その学校の先生がびっくりするぐらい使えるようになったよ。その学校にはスタジオもあったんだけど、年齢制限があって入れなかった。それでもその先生がサンプラーをパクって来てくれて、別室に学校が使ってないパソコンとサンプラーを設置してくれて他の生徒が使えないようにしてくれたんだ。だから毎日1時間ぐらい早く行って曲作って、授業行って、昼飯のときもそこで曲作って、授業終わった後も先生が帰るまでずっと曲作ってたよ。月曜日から金曜日まで毎日ね。そして土日はほぼ毎週のように従兄弟の家に行って、彼が持ってたトラッカーのソフト、FastTracker 2、をいじってたんだ。そのうち自分のパソコンも買ってひたすら作るようになった。まだ全部がどうやって形になるか学んでる最中だったけど、最初のリリースは17歳ぐらいのときだった。結局その学校退学になったけどね(笑)。で、その次の専門学校のコースも落ちたんだけど(笑)。だからいま音楽で食えてることがおかしく思うんだよね。もっと面白いのが、来月その専門学校に講演者として招かれてるんだ(笑)! 最初呼ばれた時に「元学生としてぜひ話をしに来て欲しい」って言われて「元学生って、自分らの学校は俺を落としたんだぞ!」って言ったらびっくりしててさ(笑)。

なははは。憧れのDJやプロデューサーはいましたか?

 14歳のときはみんなに憧れてたよ。買ったテープ全部最初から最後まで聴いて、全曲がヤバく聴こえて......。この曲はまあまあだけどリスペクトできる曲だな、とかそういうもんでもなかったんだ。そこまでぱっとしない曲でもこのDJがかけてる、ということは何かヤバい要素があるに違いない、みたいな感じだったんだ。そういう要素を見つけるのも楽しかったしね。ひとつあの学校で学んだのは、曲や音楽のすべての要素を聴く方法だね。聴いてどうそれが形になったのか、どういう流れでそうなったのか考える力とそれに必要な耳だよね。
 でも......強いて言えばランドール、ハイプ、アンディ・C......、当時買ってたテープパックで必ず参加してたDJたちだね。誰が曲を作ってたかはそこまで重要じゃなくて、どのDJがかけてるかが大事だったんだ。BAILEYも影響受けたね。ウチの近所出身だったのもあって、ホームタウン・キング、っていうか俺の育ったエリアのヒーローだったよ。近い存在だったからBAILEYがそこまで出来るんだったら俺でも出来る、と思わせる希望をくれたね。

UKガラージやジャングルの文化は、90年代末やゼロ年代初頭に、ロンドンの労働者階級の文化としてどんどん大きくなっていったんでしょうね。あなたの音楽のなかにはやはり労働者階級のガッツのようなものを強く感じます。

 そういうエネルギーの役割は大きいと思うよ。2~3年前まで全然気付かなかったけどね。階級によって音楽に求める物が違うように感じたんだ。最初に音楽を作り出すときの気持ちだったり姿勢が階級によって違うと思うんだよね。俺みたいな労働者階級は、経済状況や育ちが決して良かったわけではなかったけど、音楽を作ってるときがいちばん楽しかった。幸いなことにいま現在音楽で食えてるけど、音楽を作り続けるためにどこかで普通に就職するのも全然苦じゃないよ。最初から音楽で儲かるなんて考えたこともなかったよ。多少無知な部分もあるかもしれないけど、自分のスタイルを変える気はいっさいないんだ。金だけじゃないんだ。だから、こうしたほうが良い、ああしたほうが良い、って言われても聞いてらんないよ。
 でも中流/上流階級の人だと、第一に服装が全然違うよな。もっとビジネスライクっていうか。音楽が好きだからビジネスにしてるから別に悪いってわけじゃないけど、中流/上流階級の人はもっとビジネスがメインだよね。それは音楽自体にも反映されると思うんだ。売れるように作ることがあるんじゃないかな。別にこの人がそう、っていうわけじゃないけど、全体的にそういうもんだと思う。欲や原動力が違うだけだと思うけどね。もちろん多くの人の原動力は女だったりもするけどね(笑)。音楽が好き、女が好き、じゃあ何の仕事しようかな、ってなるとやっぱり音楽になるからね(笑)!

なははは。2001年に〈Reinforced Records〉からデビューしますが、どういう経緯だったのか当時の話を教えてください。

 専門学校に通ってるときに同級生でエイドリアンていう奴がいてさ、ミグエルっていう友だちもいて、彼は〈Reinforced〉からBug Nyne名義で出してて、俺とエイドリアンの曲や俺ソロの曲も聴いて気に入ってくれて、で、「じゃあ、〈Reinforced〉に話しようか」ってなった。最初は別そういうつもりで作ったわけじゃなかったから断ったんだけど、彼の家にちゃんと曲を聴くために呼ばれて、で、行ったら彼に「あと2駅行ったらドリス・ヒル駅で〈Reinforced〉はそこにあるから行こうよ」って言われたんだ。一瞬「マジか!」って思ったけど、とりあえずそこに行ってなか入ったらいちばん最初に会った人がアルファ・オメガだったんだ。「うぉー!」って思ったね。で、奥のスタジオに行ったら4ヒーローのマーク・マックがいて、正直固まっちゃったよ(笑)! 彼は全然普通の人だったけど俺のなかではダンス・ミュージックのプロデューサーのドンだったからさ、もう緊張しちゃって全然話せなかったんだよね。
 そこで彼にMDから再生した曲を聴かせたんだけど、聴いた後にすぐ「いいね、欲しい」って言ったんだ。エイドリアンは「よっしゃ!」って感じだったけど、俺はなんて言ったら良いかわからなかったんだ(笑)。外に出たときにフライトに電話して、「いまスゴいことが起きたよ!」って伝えて、そこで〈Reinforced〉から曲が出る、って実感したね。最初はSolar Motion名義で曲を出して、そのあいだ自分で作った曲も聴かせてたら俺のソロのEPも出してくれて......契約するのを目的に曲を人に聴かせることはなかったんだけど、本当に運良く出してもらえることになったんだ。ガツガツ営業してリリースができたわけではなく、たまたまそういう展開になったから、本当にラッキーだったよ。
 でも、すべてがラッキーだったわけでもないんだ。〈Reinforced〉から出てた『Enforcers』っていうコンピのシリーズがあって、それにはいろんなプロデューサーがリミックスで参加してたんだけど、何もリミックスのルールとかわかってなくて勝手にドック・スコットのリミックスを作ったんだ。それをマークに聴かせたらすごく反応よかったから、勝手にBaileyとか他のDJに渡しまくったんだ。クラブでかかり出したら、みんな「こいつは誰だ! 勝手にリミックスしてブートで出すなんてけしからん!」っていう反応がスゴくて、その曲を誰がやったかみんなが探してる時期があったんだ。俺はそういうリミックスやった後の作業とか、許可とか、まるで知らなかったから追われる立場になっちゃったんだ(笑)。結局解決して大丈夫だったけど。まだ新人で誰も俺の顔がわからなかったのも良かったけどね(笑)!

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ブレイキッジというネーミングについて教えてください。

 EPを完成させた後だったんだけど、同じ〈Reinforced〉から出してるEspionageっていう友だちと〈Reinforced〉に行く途中に彼に名前の相談をしたんだ。いま当時のDJの名前は言わないけど(笑)、まあ、とにかく気に入ってなくて、そのEPを出すときの名前をどうしよう、って相談したんだ。アートワークとかクレジットとか決めてるときで、けっこう急ぎで名前を決めなきゃいけなかったんだ。そうしたら彼が「いまいちばん番好きな曲は何だ?」って訊いて来て、「Noise Factoryの"Breakage 4(I'll Bring You The Future)"だ」って答えたんだ。そうしたら彼が「それ使ったら良いじゃん、Breakage」と言って、もっと良い名前を考えるまで「ま、いいか」と思ってそれにしたんだ。10年経ってまだもっと良い名前が思いつかないけどね(笑)。もう遅いよね(笑)。2分で決まったよ。

2006年には〈プラネット・ミュー〉から12インチを出します。ダブステップと深く関わるようになるのはこの頃からですか?

 あの当時ダブステップの話を良く聞いてたのは覚えてるよ。まだちょっとしか聴いたことなかったけど。当時アメリカに住んでいたんだ。俺の顔を忘れられないように、数ヶ月に1回はロンドンに帰ってたんだけど、ロンドンに帰っているときに友だちに「ダブステップ聴いた?」って訊かれて、「いや、そこまでちゃんと聴いてないけど」って答えたけど彼女が「マーラがそのダブステップの重要人物のひとりなんだよ」って教えてくれたんだ「へぇー」って答えたら「へぇー、じゃなくてマーラって彼よ、マリブ、あなたたち学校一緒だったでしょ!」って言ってきたんだ。住んでた場所がクロイドンのすぐ近くだったから学校も一緒で、ハチャ(Hatcha)も近くのレコード屋で働いてる頃から知ってて。とにかく彼らがみんないまダブステップをやってるって聞いてちょっとリサーチをしたんだ。そうしたら速攻ハマったね。テンポだけじゃなくて、曲の構成のなかの空間、ダブからの影響......とかが好きで、ちょうど当時作ってたドラムンベースもそういうハーフタイムのモノもあったりしたんだ。俺が音楽的に向かってる方向と一緒だ、って思ったんだ。当時ダブステップを作る、じゃなくてこんな偶然もあるんだ、って思ったぐらいだったよ。
 クロイドンがすごく誇りに思えたのも覚えてるよ。面白かったのが、ダブステップをやってる奴らはほとんど昔から知ってる奴らだった、っていう部分もあったね。ローファーは同じ近所のパブに行ってたし、そのパブでも働いてたし、MCのポークス(Pokes)は近くでやってたドラムンベースのイヴェントでMCやってたし、ベンガとスクリームはレコード屋のビッグアップルにしょっちゅういて、俺も良く弟を連れてったりしてたし......そういう小さい頃の知り合いがたくさんいて、イヴェントに行くと「あれ? 知ってるよね?」みたいな人がほとんどなんだよ。そこからイヴェントに顔出すようになったり、LAでもダブステップのイヴェントがあったらチェックしに行って、新しい曲を買ったり、ネットでダブステップのフォーラム行ってチェックしたりしてて......そのうち「自分も作ろう」っていう気持ちになっていちばん最初に作った曲をマーラに渡したら、「これアナログ切らして」って言われたんだ。初めて作ってみた曲でそうなるとは思ってなかったからびっくりしたよ。結局残念ながら出なかったんだけど、それで俺のなかではダブステップの存在がスゴく大きくなって、そればっか作り出したんだ。すごく楽に作れたのもあったんだ。頭のなかのアイディアが楽にダブステップのテンポだと実現できたんだ。2006年に出したファースト・アルバムの曲も頭のなかはそういうアイディアがあるときに作ったから、いま聴くとダブステップからそんなかけ離れてないんだ。

実際『Foundation』には、ブリアル、スクリーム、キャスパといったダブステップのスターたちが参加していますが、彼らとはいま言ってたように昔からの友だちなんですね?

 いや、昔はみんなと仲良い友だちっていうわけではなかったけどお互い同じエリアで活動しててお互いの顔を知ってる程度だった。いまとなればみんな仲良いよ、長いあいだ知ってる仲だしね。

とくにブリアルみたいな人が参加しているのに驚きました。

 ブリアルに関しては一緒に曲を作った後まで会わなかったけどね。会ったら実は住んでるのが結構近くて、ウチのすぐ近くにレコード屋があって実は彼は昔そこで働いてたんだ。「だからお互い顔がわかるんだ」って感じだったよ。同じエリア出身だから世間は狭いよ。不思議な感じでもあるよ(笑)。

ルーツ・マヌーヴァがラップするグライミーな"Run Em Out"も素晴らしい1曲で、これは昨年〈Digital Soundboy Recording〉からリリースされた曲ですが、UKを代表するラッパーとのコラボレーションについて話してください!

 怖かったよ(笑)。曲のアイディアを作った時に、狂ったトラックになったな、って思って、誰を乗せたら面白いかな、って考え出したんだ。そこで「ルーツ・マヌーヴァの曲っぽいな」って思って、ルーツに乗せてもらうことは可能なのかな、って思ったんだ。とりあえずフィーチャリングで参加して欲しいアーティスト達のリストに載せよう、と思ったんだ。そして最初の段階のループをシャイに持って行って、「ルーツのMCが聞こえてこないかな?」って訊いたら「そうだね、このループのアイディアをもっと広げて完成させないと駄目だけどバイブズはぴったりだね」って答えたんだ。だからルーツのMCが乗ることを想像して曲を作り込んだんだ。グルーブとかノリを変えたわけじゃなく、プロデューサー的な視点からのトラックの作り方を意識したんだ。そして彼に送ったんだけど、数回送らなきゃいけなくて、メールで送ってもリンクの期限切れたり、CD何枚か送ったりしたんだけど、やっと返事くれて、「デモ送るよ」って言ってきたんだ。ルーツが俺にデモを送ってくれるのも嬉しかったけど、ルーツ・マヌーヴァなんだからデモなんか送る必要ないじゃん、とも思ったね(笑)。デモが届いたら予想通り完璧だったよ。


UKが生んだ最高のラッパー、ルーツ・マヌーヴァと一緒に。

  理想ではルーツがサウンドシステム文化に関して何か歌ってくれたら良いと思ってたけど、ルーツだったら何歌ってくれてもありがたいとも思ってたんだ。そしてデモが届いて1バース目、2バース目を聴いたらサウンドシステムのテーマだったから完全に求めてたものそのまんまだったんだ。そこでレコーディングに進めよう、って話になったときにすごくエキサイトして「ルーツ・マヌーヴァとできるんだ!」って言う気分でいたのが当日になったら「本当にやるんだ」っていう緊張感みたいなものを感じて、実際スタジオで一緒に作業してて「いま書いてる歌詞を書き終わったら彼はヴォーカルブースに立って、俺はルーツ・マヌーヴァに指示しなきゃいけないんだ」っていう緊張感を感じたよ(笑)。それ以前にスタジオでちゃんとヴォーカルを録ったことなかったけど運良くシャイもいて、勉強しつつ初めてのレコーディングだったから余計緊張したんだよね。やり出したら慣れていったけど、何より彼が俺のトラックで歌ってくれたことが嬉しかったよ。

何故こうもUKではダンス・カルチャーが途絶えることなく、エキサイティングな状態を保ち続けているのでしょう?

 若い子にも浸透してるのもひとつの要素だと思うよ。例えば先週の月曜日に初めて18歳以下のパーティでプレイしたんだけどすごかったよ。〈Ministry of Sound〉が16~18歳で満員だったんだ。そういうイヴェントや動きもこの文化が生き続けるためにはすごく大事だと思うよ。その逆で、多少歳取ってても毎週土日遊んで、水曜日のイヴェントにも遊びに行ったりしてる人も大勢いるからね。ジャンルも関係ないと思う。ハウス、トランス、ダブステップ、ドラムンベース、いろいろあるけど、例えばヨーロッパではまだそこまで浸透してないけど、UKファンキーはすごく盛り上がってるからね! ここからはつねに新しいものが生まれてるんだよ。新しいジャンルだったり、新しい解釈だったり、そういう姿勢がクラブ・カルチャーの健康を維持してると思う。あとは単純にイギリス人は遊びにいくのが好き、っていうことだと思うよ(笑)。みんな出かけて遊ぶのが好きなんだよ。平日働いて、土日が来たらみんな出掛けて遊ぶんだよ、土日通して。

ジンクがやっているクラック・ハウスについてはどんな印象ですか?

 大好きだよ。俺はけっこう長いあいだハウスが好きだし、彼がやってるハウスもすごく興味深いと思う。ほとんどジャンルの名前とか違いとかはわからないけどね。ハウス内のスタイルの違いとかもそんなにわからないけどね。ジンクのDJは実は数ヶ月前に初めて聴いたんだけど、最高だったよ。Big up Zinc!  彼は伝説だよ。自分のセットでも彼のそのハウスの曲かけてるよ。好きだったらかけないのもおかしいしね。

いまあなたがもっとも共感しているDJは? 

 やっぱりシャイ・エフェックスだね。一緒にDJすることも多いし、音的にもお互い共感できる要素がたくさんあるんだ。例えばダブステップもかけるし、ドラムンベースもかけるし、ハウスもかけるし。気分によってはレゲエもかけるし、彼も同じスタイルなんだ。彼と一緒にプレイすることによってイヴェントとかその日のテーマとは関係なく幅広くプレイできることが分かったのもあるし。俺もシャイも、どういうスタイルをかけるか関係なく、自分たちが良い音楽だと思ってる物をかけるし、それ自体が俺たちのプレイ・スタイルだっていうのをわかってDJしてるんだ。その延長でプロダクション面もジャンルやスタイルは関係なくて、自分が良いと思ってる音を詰め込んだのがアルバムなんだ。

〈Naked Lunch〉から出したシングルでは、より実験的なアプローチをしていましたが、ああいうことは今後もやっていくんですか? あるいは、もっとよりダブステップよりのアルバムを作る予定はありますか?

 あれはとくに深く考えずに作った曲だよ。夜遅く作った曲だったから単純に"Late Night"っていうタイトルにしたんだ。一晩のセッションでできた曲なんだ。夜通してワイン一本飲んで出来た曲なんだ(笑)。次のアルバムに関しては現段階では全然わからないよ。前もって計画し過ぎるのも良くないと思うしね。「2012年に次のアルバムが出ます。その内容はダブステップ×カントリー×ハッピー・ハードコアになります」って言ってもおかしいからね(笑)。そういうアルバムを作れる保証もできないしね。でもいまこう言って笑ってるけど、2年後に実際やってる可能性もあるからね! 全然予想はできないよ。いつになるかもわからないよ。1枚目のアルバムは1年かかって、今回の2枚目は2年かかったから、次は4年かかるかもね(笑)! 自分の感性が思うままに進むだけだと思ってるよ。

 昨年末スクリームが発表した「Burning Up」を聴くと、あるいはゾンビーの『Where Were U In '92?』を聴くと、ロンドンのダブステッパーたちにとっての帰る家はジャングルなんだとあらためて認識する。ゾンビーにいたっては自らをジャングリストと名乗り、ダブステッパーと呼ばれることを否定する始末だ。実際の話、その境界線もいまでは曖昧なものになりつつもある。日本の〈ドラムンベース・セッション〉がまったくそうであるように、ジャングルとダブステップは活発に交流を続けているからだ(それこそ大物ではチェイス&ステイタス、あるいはネロなんかもそうだ)。

 いずれにしても、街を突き抜けるような激しいビートを身体に注入したい――そんな衝動に駆られたときは、ロンドンのハードコアにチューニングすればいい。そう、ハードコア、イギリス人に通じるように言うなら「ハーコー」......ジャングルという呼称で知られるダンス・ミュージックのことを、彼らはそう呼んでいる。20年も前からずっと、変わっちゃいない。

   なお、ブレイキッジはマッシヴ・アタック『ヘリゴランド』のリミックス・アルバムに参加したとのこと。きっと『ヘリゴランド』に生気を与えたのは、ここ数年のUKのジャングル/ダブステップのシーンなのだろう。

CHART by JET SET 2010.03.03 - ele-king

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COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ CHANCE EP »COMMENT GET MUSIC
最強のフリースタイル・テクノ・ジャムバンド!!Matthew Jonson、Tyger DhulaそしてDanuel Tateトリオに加え、今回よりThe MoleのColin de la Planteも参加しカルテットとなった彼らの最新作!!

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DIRTY JESUS

DIRTY JESUS DON'T FUCK WITH MY SHIT (BLACK COCK REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
問答無用のマスト・バイ・アイテムに仕上げてきたBlack Cockリミクシーズ!!Gerry Rooney & HarveyのBlack Cockコンビが両面を分け合ったゴージャスなリミックス企画。それにしてもHarveyの飛ばしっぷりが危険極まりなし!!

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 NUMBERNIN6 / STENCHMAN

NUMBERNIN6 / STENCHMAN BREATHE / LIL' SOMTHIN' 4 YA »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆Ruskoもプレイし話題を集めたProdigyモロ使いボムがヴァイナル化!!ご存知Prodigy'96年リリースの特大アンセム"Breathe"をまんまダブステップ化してしまったウルトラ・ボムA1を搭載!!即完売必至です。急いでお求めください!!

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 ANDREW CEDERMARK / FAMILY PORTRAIT

ANDREW CEDERMARK / FAMILY PORTRAIT SPRIT »COMMENT GET MUSIC
Real Estate好きは絶対泣きます。Underwater Peoplesからの素晴らしすぎスプリット!!特大スイセン盤★Real EstateをリリースしたUnderwater Peoplesからの4枚目。Real Estate~Ducktails~Julian Lynchなロウファイ・ビーチ・ポップ・スプリット。完璧です!!

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HOTEL MEXICO

HOTEL MEXICO 3 SONGS E.P. »COMMENT GET MUSIC
Second Royal秘蔵中の秘蔵★ホテル・メキシコが遂にデビューです!!初回入荷分のみオリジナル缶バッヂ付き。今年1月にレーベル・コンピ最新作、2月にTurntable Films、4月にはSatoru Ono、5月にはHalfbyと過去最高のリリースが続き、2010年もっとも勢いづくSecond Royal。遂に噂の新人さんが超限定カセット・シングルでデビュー!!

6

STRONG ARM STEADY

STRONG ARM STEADY BEST OF TIMES »COMMENT GET MUSIC
Madlibとのジョイント作"Stony Jackson"からのシングルがついに!Phonte Colemanとの"Best Of Times"と、U-N-Iとの"Follow Me Now"のナイス・カップリング!特に、前者はMadlibとのジョイントでしか生まれ得なかったであろうソウルフルな仕上がりで、作中でも目立ってました!!

7

PETER VAN HOESEN

PETER VAN HOESEN ENTROPIC MINUS SIX »COMMENT GET MUSIC
相変わらずの攻めっぷりに惚れます。Time To Express新作です!!引き続きハード・テクノな鳴らしの新鋭ペルジャン"Peter Van Hoesen"が控えるアルバム・リリースからの先行カットをドロップ!!コレ聴いたらアルバム非常に楽しみになりますよ~

8

JOHN DALY

JOHN DALY MELTDOWN »COMMENT GET MUSIC
ohn Dalyがニュー・レーベル・ロンチ!!アイルランドの鬼才が自身のレーベルをフロア・ロックのドープ・トラックで始動!!ディープなアシッド攻めの猛攻に正しくメルトダウン必至のマスト盤!!

9

CARDOPUSHER

CARDOPUSHER SCHEMATIC BLOCKS »COMMENT GET MUSIC
Joy OrbisonやIkonikaファンにもお薦めの透明感溢れるアーバン・ステップ傑作!!HyperdubやLo Dubsなどからのリリースでお馴染み、ブレイクコア上がりのドレッド・ダブステッパーCardopusherによる洗練の1枚です~!!

10

COSMIN TRG

COSMIN TRG NOW YOU KNOW EP »COMMENT GET MUSIC
UKファンキー以降のカラフル&キュートな新型UKガラージュ傑作Wパック!!Hotflushなどからのリリースでもお馴染み、リミキサーとしても大人気のルーマニア出身ダブステッパーTRGが、名前をちょっと伸ばして老舗Tempaから初登場リリース!!

Various - ele-king

 明るい未来にツバを吐く男として知られる田中宗一郎はゼロ年代の重要項目の5本のうちのひとつにLCDサウンドシステムを選んでいたが、ジェイムス・マーフィのコンセプトにはポスト・パンク期におけるニューヨークのディスコ・カルチャー、通称ミュータント・ディスコがあったことは間違いない。70年代から80年代にかけてのニューヨークの創造的な不協和音めいたシーンの盛り上がりについては、長いあいだ気にはなっていた。だいたい......〈パラダイス・ガラージ〉がある一方で〈CBGB〉があり、ロフト・ジャズのシーンがある一方で〈キッチン〉のシーンがある。ディスコ、パンク、前衛、ジャズ、ミニマルとドローン、そしてサルサ......これらがマンハッタン島内部で交錯していたのが70年代のニューヨークだった。それは戦後の好景気が崩壊し、白人の中産階級が郊外逃亡を加速させ、アフリカ系やラテン系などの移民であふれ、そして商業施設が衰退した時代の産物でもあった。カネのないアーティストや音楽家などは、産業施設としては使い物にならなくなった天井の高い(しかも家賃が安い)ロフトに住むようになると、アメリカ中からも似た者たちが集まるようになった。むしろボロボロの都市だったからこそ、そこには移民もゲイも、貧しいアーティストも暮らしていけたのである――と、ティム・ローレンスはそんなようなことを綴っている。

 そうした文化的な猥雑性の高まりのなかで、ディスコは冒険心に富んだ異端児たちの使い勝手のよろしいフラスコとなって、まるで小学生が理科の授業を楽しむように、そのなかにいろんなものを放り込んでは掻き混ぜたのだった。ただしそれは、素人が意味もなくやったわけではない。音楽のスキルを持った連中が、そう、子供のように無邪気に遊んだのだ。それが今日で言うところの"レフトフィールド・ディスコ""ディスコ・ノット・ディスコ"、そして"ミュータント・ディスコ"と呼ばれる一群である。

 こうした急進的なディスコの遺産をこの10年のあいだ蘇らせたのは、ロンドンの〈ストラット〉レーベルが2000年に仕掛けた『ディスコ・ノット・ディスコ』シリーズなるコンピレーションだ。これを契機にいっきに再評価(というかようやっと評価)の機運が加速したのが、かのアーサー・ラッセルである。翌年にはシリーズの第二弾がリリースされているけれど、そこにはカンやイエローがアレキサンダー・ロボトニクスやザ・クラッシュとともに収録され、その後の〈DFA〉的な折衷主義の青写真といえる内容となっている。当時は異端視された"レフトフィールド・ディスコ"だが、現代の耳で聴けばエクレクティックなこちらのほうがソウルフルなオリジナル・ディスコよりむしろ親しみやすく感じるのである。

 このところ〈P・ヴァイン〉から〈ZE Records〉のバックカタログが再発されている。Z=ジルカとE=エステバーンによる〈ZE〉は、広くはジェイムス・チャンスやザ・コントーションズなどノーウェイヴで知られている。が、他方でレーベルはレフトフィールド・ディスコとも交錯していた。ありていに言えば、〈ZE〉はパンクとディスコを繋げたレーベルである。

 『ディスコ・ノット・ディスコ』の第一弾にはウォズ(ノット・ウォズ)のクラシック"ホィール・ミー・アウト"が収録されていたが、あたかもこのチャンスを逃すまいと、〈ZE〉は2002年に再活動をはじめ、2003年には自らも『ミュータント・ディスコ』と名乗ったコンピレーション(CD2枚組)を発売している。〈Pヴァイン〉からの再発では、すでに『Vol.1』と『vol.2』がリリースされ、そして最近は『Vol.3』も発売された。『Vol.1』と『vol.2』は......実は2枚組で発売された2003年の『ミュータント・ディスコ』の評判があまりにも良かったので、レーベルが2005年に2枚に分けてさらに再リリースしたものだと思われる。この2枚には、キッド・クレオール&ザ・ココナッツやウォズ(ノット・ウォズ)をはじめ、ガール・ディスコの先駆けとなったリジー・メルシエ・デクルーやクリスティーナ(......そしてマニアが喜ぶであろうオーラル・エキサイターズ)といったレーベルの顔役たちのフロア・ヒット曲が収録されているわけだが、結局のところ――良い悪い好き嫌いは抜きにして――ジェイムス・チャンス関連のニヒリズムよりもエクレクティックなこちらを掘ったほうが現代的だったのだ。だいたいレフトフィールド・ディスコにおける最大のヒット・メイカーと言えばトーキング・ヘッズであり、ここ数年のシーンの動向を見ていればデヴィッド・バーンとリディア・ランチとではどちらが必要とされているのかは問うまでもないだろう。

 『Vol.1』と『vol.2』は捨て曲なしの好コンピレーションだったが、今回発売された『Vol.3』も前2作に劣らぬ良い内容だ。なによりアルバムの最後にスーサイドの"ドリーム・ベイビー・ドリーム"が収録されているだけで価値があるってものだ。石野卓球から中原昌也、はてやブルース・スプリングスティーンまでもが愛する"ドリーム・ベイビー・ドリーム"は、深い闇のなかで錯乱するニューヨーク・アンダーグラウンドにおいて宝石のように輝けるトランス・アート・パンクの名曲である。また、アラン・ヴェガ(スーサイドのヴォーカリスト)の"アウトロー"のオーガスト・ダーネル(キッド・クレオール&ザ・ココナッツ)によるリミックス・ヴァージョンもある。これがまたロカビリーとディスコの煌びやかな融合となっている。

 オーラル・エキサイターズとボブ・ブランクによる"ラ・マラディ・ダムール"の退廃的なガール・ディスコも魅力的だ。マニアックなところではデトロイト・テクノのオリジナル世代からリスペクトされている先駆者ケン・コリアーとウォズ(ノット・ウォズ)とのコラボ、スウィート・ピア・アトキンスの"ダンス・オア・ダイ"もある。また、キッド・クレオール&ザ・ココナッツの"サムシング・ロング・イン・パラダイス"のラリー・レヴァンによるリミックス・ヴァージョンもある(それほど褒められた出来とは思えないが......)。レーベルのピークが過ぎた1983年以降に発売されたトラックが何曲か入っているけれど、ロン・ロジャースの"ノーティ・ボーイ"(1982年)や"ヤーヤ"(1983年)、ないしはコーティ・ムンディの"シー・ヘイ"(1984年)のような当時を物語るディスコとヒップホップのふたつからの影響を反映した曲もまた面白い。とはいえ、下手くそな日本語ラップをフィーチャーしたデイジー・チェインの"ノー・タイム・トゥ・ストップ・ビリーヴ・イン・ラヴ"は......ちと恥ずかしい。

Martyn - ele-king

 マーティンのMySpaceを見ると在りし日のヨハン・クライフ(70年代、世界を虜にしたオランダの天才フットボーラー)の映像が流れる。昨年の素晴らしいアルバム『グレイト・レングス』に収録された"ブリリアント・オレンジ"のデトロイティッシュ・テクノ・ダブステップに合わせて、クライフは長い足を使った華麗なフェイントで相手をかわし、華麗なドリブルで素早くペナルティ・エリアに接近して、そしてゴールを狙う。断っておくが、アヤックス時代のクライフとオランダ代表でのクライフの映像だ、バルセロナ時代も(当たり前だが)フェイエノールト時代もない......と、そんなマーティンだが、いまはアメリカのワシントンに移住した......という話だ。

 ハドソン・モホークの"ジョイ・ファンタスティック"(アルバム『バッター』に収録されたベスト・トラックで、ユニークなエレクトロ・ヒップホップ)からはじまるマーティンのミックスCDは、率直に言って好奇心を駆り立てられるには充分である。他にダブステップのシーンから、急進的で変わり者のゾンビー、〈ハイパーダブ〉所属の女性トラックメイカー、クーリー・G、知性派コード9,そして2562や彼自身のトラックを豊富に放り込んだこのミックスCD(全26曲)は、いまだ動き続けるダンス・カルチャーのもっとも新しい場面におけるドキュメント(記録)となっている。
 マーティンらしさは十二分にある。デトロイトのベテラン、DJボーン(渋い!)、アイルランドのアフロ・フューチャリスト、ヌビアン・マインズ、あるいはレディオ・スレイヴの〈リキッズ〉からリリースされたディープグルーヴ&ジェイミー・アンダーソン......などといったテクノ系のトラックを効果的に混ぜながら、ダブステップのエレクトロ・ファンクめいた側面を強調する。また、ゾンビーのような振り幅の広いアーティストから彼の耳障りの新しい実験的なトラックをチョイスしながら、ロスカやジョイ・オービソンによるUKファンキーまで挿入して、ダブステップなどたいして聴いたことのない"テクノ耳"に新世代のセンスをねじり込む。

 "ダブステップ・オールスターズ"シリーズは、たいていどのミックスも後半になればなるほどその真の正体=ジャングル/レイヴという姿を露わにするものだが、マーティンのこれははっきり言ってテクノだ。スペイシーでファンキーな(ときにドラッギーな)テクノの最新ヴァージョンであると言えるだろう。エンディングは、まるっきりURだし。
 あるいは......広大な一軒家に住むメタル君は彼のレヴューにおいて「最近のダブステップをかけて、逆説的にテクノのクオリティの高さも再認識した」と書いているが、果たして本当にそうだろうか。このミックスCDの20曲目を超えたあたりで、マンチェスターにおけるデトロイト/ディープ・ハウス系のレーベル〈プライム・ナンバース〉から発表されたアクトレスのトラックからゾンビー~2562~マーティンへと続くあたりは、たかがミックスCDであれど、テクノ・ダンスにおける眩しい瞬間が織りなす宇宙とともに新しいムーヴメント固有の猛然とした勢いがあって、そうしたジャンル(縄張り)の壁を意識するような態度を確実に溶解しているのだ。つまりこれは聡明な前向きさを持ったミックスCDなのである。

[Drum & Bass / Dubstep] by Tetsuji Tanaka - ele-king

1. Mark Prichard / Elephant Dub/Heavy As Stone | 〈Deep Medi Musik〉

 「?」と言うキーワードを使うとき、決まってマーク・プリチャードの〈Ho Hum〉からリリースされた10インチ「?」を思い出す。2008年9月20日、 DBS〈DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ〉にて筆者とユニットフロアで共演したマーラが1曲目にスピンした鮮烈な作品だ。何故ならこれは......ノンビートだからである。漆黒アンビエントが5分以上続くそのオープニングに会場は一時......静まり返った! 「なんだ、この曲は!?」、みんなそう思ったに違いない......文字通り「?」であった。そこからのマーラのプレイは言うまでもなく素晴らしいものであったが、いろんな意味を含めて話題をさらったセンセーショナルな作品が「?」だ。
 マーク・プリチャードは、UKエレクトロニック・ミュージックの巨匠として古くはグローバル・コミュニケーション、リロード、ジェダイ・ナイツ名義などで活躍していたベテラン・プロデューサーである。最近では〈WARP〉からアルバムを発表したハーモニック313(HARMONIC 313)名義としても名高い、エクスペリメンタルな孤高のサウンド・クリエーターだ。無限とも言えるその懐深いサウンド・スケープは、どのシーンにおいても抜きん出ており、数多くの名作をリリースしている。
 マーラの〈Deep Medi Musik〉からついにリリースした"Elephant Dub"は、彼の無限の創造性による産物となった。ダーク・サイドな音楽像の根底を掘り下げたかのようなヒプノティック・サウンドで、硬質にリヴァーブするビートと底知れぬ深いべースラインが共鳴している。まったく彼ならではのサウンド・オリジナーションである。"Heavy As Stone"だが、美しくも切ない女性ヴォーカルがトライバルでアトモスフェリックなトラック群と交感し、さらにポエトリーがよりいっそう全体像を際立たせたハイブリッド・ジャズ! 彼のサウンド・クリエーションはまったく無限であるとあらためて感じた。時代性を超越した作品である。

2. Hyetal & Shortstuff / Don't Sleep/Ice Cream | 〈Punch Drunk〉

 UKダブ・カルチャーの拠点"ブリストル"でもダブステップは刻々と進化を続けている。90年代初期のジャングルがレイヴを席巻していたように......。その進化の過程とともに、ピンチの〈Tectonic〉と双璧の如く歩んで来たのがぺヴァーリストの〈Punch Drunk〉。90年代のジャングル/ドラムンベース・ムーヴメントを通って来たであろう彼らブリストル・ダブステッパーたちは、UKダンス・ミュージックの特性である"ハイブリッド"を巧みに取り入れた全く新しいブリストル・サウンドの提唱者となった。
 その〈Punch Drunk〉からエレクトリック・ミニマルと称され、傑作の呼び声高い「Pixel Rainbow Sequence」を〈Reduction〉から発表したブリストルの新星ハイタルとポスト・ガラージ/ファンキー・クリエーターで〈Ramp〉からの「Rustling/Stuff」が記憶に新しいショートスタッフがタッグを組んでのリリース。アーバンなガラージ・テイスト溢れるエレクトリックなファンキー・ダブステップで、現在巷で話題のアントールド(UNTOLD)やゲーオム(GEIOM)などのミニマル X ガラージを混合させたニューフォーム・サウンドである。試行錯誤の末、細分化されてきたダブステップのなかでも今年もっとも注目されるであろうこのサウンドは、ジャンルを越えて脚光を浴びるポテンシャルを有す存在になろうとしている。その動向、その先の化学変化は刮目に値するムーブメントであり、今後のシーンにおいて最重要に位置づけられるひとつであろう。

3. Kryptic Minds / Badman/Distant | 〈Swamp 81〉

 筆者は、とにかくクリプティック・マインズのダブステップ・サウンドが大のお気に入りである。〈Tectonic〉からの「768」、ピンチ&ムーヴィング・ニンジャ「False Flag -Kryptic Minds RMX-」や〈Osiris〉の「Life Continuum/Wondering Why」、〈Disfigured Dubz〉から「Code 46/Weeping」など......最近のリリースすべて注目している。
 遡ることドラムンベース時代〈Defcom〉から数多くのダーク・サイバー・ドラムンベースを量産してシーンに一時代を築いて以来、一遍も変わらない硬質なビート・プロダクション、実に重く太い漆黒ベースラインとテッキーな音色――ドラムンベース・サウンド・クリエーションをそのままダブステップに変換してしまったと言っていいくらい一貫したサウンド・スキルが大いに繁栄されている。さらに素晴らしいのが、ミックスした時のその状態だ。ブレンドの最中でも己の主張性を損なわないそのグルーブ感満載のサウンド・ポテンシャルは実に素晴らしく、特にミニマルとのブレンド・ミックスをオススメしたい。スライトリー・ミスティック・ダブステップとも捉えれる唯一のプロデューサーだ。
 今回もダブステップのオリジネーターのひとりであるローファー〈Loefah〉主宰〈Swam P81〉からのリリース。前作にあたるアルバム『One Of Us』でその存在感を遺憾なく発揮した崇高なるダーク・ダブステップそのままに、今作も続編的アプローチを見せている。
 ダブステップ界でも現行のクラブ・ミュージック・トレンドである"エレクトロ"ムーヴメントに触発された作品が目立つなか、彼ら自身の音楽性を常に貫くその姿勢が真のダブステップ・プロデューサーとして認知されようとしている。今後も変わらないであろう確信がある。そう、昔と変わらず、彼はずっとこのサウンドを貫いてきたのだから。

4. Sbtrkt / Laika | 〈Brainmath〉

 サブトラクト(Sbtrkt)。脅威のニューカマーとして昨年のデビュー以来、破竹の勢いで上り詰めた天才エレクトリック・ダブステッパー。すでにベースメントジャックス、フランツ・フェルディナンド、モードセレクター、ゴールディといった大物達のリミックスを手掛け、ミニマル~ガラージ~ファンキー~エレクトロと縦横無尽に行き来している今年その動向がもっとも期待されている大注目株である。
 今作「Laika」は、ゾンビー(Zomby)のエレクトロ・スケープの傑作「Digital Flora」やアントールド〈Untold〉のミニマル・ガラージ「Flexible」に続くように〈Brainmath〉からの限定リリース。このトラックもすでにポスト・ガラージとして注目され、シーンで話題をさらっている。近い将来、その才能でシーンを掌握するであろう彼のサウンド・コンダクトから目が離せそうにない.......。

5. Eprom / Never(Falty DL Rephresh) | 〈Surefire〉

 イーピーロム(Eprom)は、サンフランシスコ在住の新進気鋭ウエスト・コースト・ベース・テクニシャン。ファンキーの要素とテッキーなカッティング・ビート、ハッシュされた女性ヴォーカルにアトモスフェリックな上ものを巧みにコントロールした、これぞニュー・テック・ファンキーだ。アメリカやカナダでも大盛り上がりを見せているダブステップやベースライン・ミュージックだが、アメリカでその代表格と言えば、ファルティDL(Falty DL)、6ブロック(6Blocc)、スターキー(Starkey)、ノアD(Noah D)等々だ。今回の"Never"のリミックス・ワークを担当したのがファルティー・DLだ。
 〈Planet Mu〉から発表した傑作アルバム『Love Is A Liability』やシングル「Bravery」、〈Ramp〉からの「To London」等々......名門レーベルからの信頼も厚い才能豊かなプロデューサーだ。もちろん今回のリミックスも名門レーベルに恥じぬ秀逸なディープ・ファンキーに仕上がっている。この先もアメリカ/カナダ・ダブステップ・シーンのホットな動向も追走しなければならない。刻々と独自の進化を遂げているのだから。

 来月の連載はサウンドパトロールと合わせて、先日大盛況で幕を閉じた2月13日のDBS〈2010ゴールティ VS ハイジャック〉のパーティ・リポートもお送りしますので乞うご期待!

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1

LEONID

LEONID Deepentertained STATIK ENTERTAINMENT / GER / »COMMENT GET MUSIC
ECHOSPACE、ECHOCORD、ORNAMENTSなどの著名レーベルがヨーロッパを震わすELECTRIC DUBの世界。'94年から運営されている老舗レーベルからセレクト、若手のLEONID(SISTRUM)が"アナログ"でMIXした作品。丁寧に構成を意識した流れで、初めから終りまで一貫して保たれた世界観は、上質のエレクトリック・ミュージックで味わえる安らぎを与えてくれます。

2

GLIMPSE

GLIMPSE Music:03 FOUR:TWENTY / JPN / »COMMENT GET MUSIC
「% BLACK」シリーズで鮮烈に登場、その後も素晴らしい作品をリリースしてきた彼らの新作MIX CDは、FOUR:TWENTY音源のコンピレーション!! "DE9以降"とも呼べる、27トラックをEDIT、1枚にまとめた秀作です。8つに分けられたパートそれぞれに、核となるトラックを配置し、メロウさとGROOVE感の両立に成功!!! MIX MAGの月刊アルバム賞にもセレクト!!!

3

JESPER DAHLBACK

JESPER DAHLBACK What Is The Time Mr Templar? P&D / FRA / »COMMENT GET MUSIC
来日DJがヘビースピンしたことで、日本でも一気に火がついたDEEP HOUSE CLASSICが遂に再発!! スウェーデンのSVEKが97年にリリースした"WHAT IS THE TIME..."!!! ミステリアスなフレーズと低音が利いたシンプルなグルーヴは、まだまだ現役。SVEKカタログの中でもBJORN TORSKEと共に高い人気をキープ、この機会を逃すべからず!

4

CINDERFELLA LTD

CINDERFELLA LTD Ephemeris EP A:RPIA:R / ROM / »COMMENT GET MUSIC
THOMAS MELCHIOR変名!!! 東欧ルーマニアからの新鋭レーベル「a:rpia:r」からCADENZA、PERLONなどのトップレーベルから作品を発表してきたMELCHIOR PRODUCTIONでもおなじみの彼。勿論VILLALOBOSもPLAY、緻密なプログラミングとクラブで絶大な威力を発揮する低音のグルーヴは必聴!!

5

LUCIANO

LUCIANO Etudes Electroniques CADENZA / SUI / »COMMENT GET MUSIC
2007年にCADENZAよりリリースされたLUCIANOのWパックが再入荷!!! この時期のCADENZAのレーベルカラーとも言える、ミニマムなビートと透明感のある音色を多様、レコードの溝いっぱいを使った尺の長いアブストラクト・トラックを4曲収録。TOPレーベルの名に相応しい世界観は間違いなく極上であります。未CDですので、是非ゲッツ!です。

6

MIRKO LOKO

MIRKO LOKO Seventynine Remixes CADENZA / GER / »COMMENT GET MUSIC
マストバイ!!!! CARL CRAIG & RICARDO VILLALOBOS の黄金コンビ再び!!! 2009年にCADENZAよりリリースされた絶品アルバムよりのREMIX 12inchカット!!! 特にCARL CRAIG REMIXがトップクオリティの仕事っぷり!! 抑揚を利かせたコンガと、CRAIGらしいBIGなメロディーワークが相まって、クライマックス感を演出する長尺トラック!!!

7

COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ Chance EP WAGON REPAIR / CAN / »COMMENT GET MUSIC
まもなくリリースされる2NDアルバムからの12inchカット!! やはり、MATHEW JONSONのメインプロジェクトだけあり、やはりずば抜けたGROOVEを見せ付けてくれます!!! モダンでアダルトなJAZZっぽさとフロアでも通用するミニマルなうねり。迷わずゲット。

8

RADIQ

RADIQ Mo' Roots PHILPOT / GER / »COMMENT GET MUSIC
FUMIYA TANAKAからも絶大な信頼を得、OP.DISCの主宰でもあるベテラン・プロデューサー半野喜弘のメインプロジェクト・RADIQが、いま注目のPHIPOTから!!! フェンダーローズ、カッティング・ギター、オルガンを巧みに混ぜ合わせて、大人の雰囲気を漂わせる、ブラックグルーヴを発生させている絶品ヴァイナル。

9

LOUIE VEGA

LOUIE VEGA 10 Years Of Soul Heaven MINISTRY OF SOUND / UK / »COMMENT GET MUSIC
ダニー、ケリチャン、オスンラデも賛辞のコメントを寄せる中、10周年を迎えたSOUL HEAVENの記念盤はルイヴェガによる豪華三枚組。Disc 1ではテクノへのアプローチを感じさせる硬質なセット、Disc 2では彼らしいソウルフルなハウスミックス、Disc 3では火照った体を心地よく揺らしながら冷ますアンミックスド。満足度は5/5!!!

10

JOSE JAMES

JOSE JAMES Blackmagic EP BROWNSWOOD / UK / »COMMENT GET MUSIC
濡れ濡れのシルキーヴォイスにマッチした4強プロデューサー(Flying Lotus、Moodymann、DJ Mitsu The Beats、Taylor McFerrin)によるトラック。きっと10年経ってもいろんな文脈で引っ張り出されるであろう完璧な1枚。まずは試聴を!

CHART by BEAMS RECORDS 2010.02 - ele-king

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1

Ellen Allien

Ellen Allien aLive 02 BEAMS BRAIN »COMMENT GET MUSIC
「仮想のライブセット」をテーマにしたコンセプチュアル・ライブミックス・シリーズ"aLive"第2弾。エレンお得意の壮大なストーリー性を感じさせる流れと、ミステリアスかつドラマティックにスパークしていく展開、そして美しくも鮮烈なその音楽性は絶品!

2

Four Tet

Four Tet There Is Love In You Domino »COMMENT GET MUSIC
Four Tetのニューは、最高だった前作の路線を引き続いたディープ・ミニマル・ジャズ。エレクトロニクスと生音の質感が折り重なり、ミニマリスティックに綴られていく桃源郷のようなグルーヴがタマラナイ!

3

中島ノブユキ

中島ノブユキ 人間失格 Universal »COMMENT GET MUSIC
BEAMS RECORDS大推薦のピアニスト、中島ノブユキが手掛けた、現在公開中の映画「人間失格」のサウンドトラック。中島の表現力と映画監督荒戸源次郎の世界観、そして太宰治の描写力が交差した、儚く、しかしどこまでも美しい作品。

4

Jose James

Jose James Blackmagic Brownswood Recordings »COMMENT GET MUSIC
ホセ・ジェイムズの2ndアルバムは、フライング・ロータスからムーディーマン、ミツ・ザ・ビーツら豪華プロデューサー陣を迎えた一大ソウル絵巻。スタイリッシュで官能的な歌声が、そんな多彩なプロデュース陣によって一層の深みを増した、ソウルフル・アルバム。

5

Mark E

Mark E Mark E Works 2005 - 2009 Merc »COMMENT GET MUSIC
コアなソウル~ディスコ~ハウス系クラブ・ミュージック・リスナーから、今最も注目を集めるといっても過言ではない、UKはバーミンガムのクリエイター、マークEが、コレまでアナログでのみリリースしてきた作品をまとめたアルバムを遂に発表!数多く出回るディスコ・リ・エディット作品とは一線を画す、ソウルフルなエッセンスが凝縮されたマッドで腰に来るグルーヴが素晴らしい!

6

Stim

Stim Expo3000 Stylus »COMMENT GET MUSIC
様々なユニットのメンバーとして活躍中のミュージシャン達が集い、ライブを中心に活動してきたStimによる初のアルバム。スピリチュアルジャズ、アフロ、ワールドミュージックのエッセンスを内包しつつ、メロディアスでグルーヴィーに奏でられるミクスチャー・サウンドは、クラブジャズ~ジャム系ファンにまでオススメ。

7

Joao Gilberto

Joao Gilberto Chega De Saudade El »COMMENT GET MUSIC
廃盤の為長らく入手困難となっていた、ジョアン・ジルベルトのデビュー・アルバムにして記念碑的作品が、ボーナストラックを追加してリイシュー。この盤なくしてボサノヴァはあり得ない、とまで言われるボサノヴァ史上に残る歴史的作品、リマスタリングも嬉しい!

8

Henning Schmiedt

Henning Schmiedt Wolken Flau »COMMENT GET MUSIC
空間を不思議に彩る独自のリリースを続けるFlauより、ピアニスト、ヘニング・シュミットの2ndアルバムがリリース。前作に続き静かなピアノの音色を軸に、透明感溢れるフレーズと、より開放的で温かみの増したメロディは、時間がゆっくりと流れていくような優雅で上品なサウンド。心落ち着く1枚です。

9

V.A (Mixed by Quantic)

V.A (Mixed by Quantic) Caja Y Guacharacha Mochilla »COMMENT GET MUSIC
フォトグラファーB+が主宰するレーベルMochillaからのミックスCDシリーズに2009年のアルバム"Tradition In Transition"が最高だったQuanticが登場!今回はアルバムでも披露し、現在彼が最も愛するというコロンビア、キューバの豊潤な音楽を、自由な発想の元にコンパイル&ミックス。アコーディオンの音色と独特のリズムは、未開のワールドミュージックの魅力をじっくり堪能させてくれる嬉しい1枚!

10

V.A. (Conpiled by Keb Darge & Paul Weller)

V.A. (Conpiled by Keb Darge & Paul Weller) Lost & Found : Real R'N'B & Soul BBE »COMMENT GET MUSIC
久しぶりとなる世界屈指のコレクター、ケブ・ダージ御大のコンピレーションは、なんとあのポール・ウェラーとタッグを組んだ、最強のリズム&ブルース・コンピ!言わずと知れた音楽界の巨人2人が選ぶ、50~60年代の純粋でオーセンティックなソウル、リズム&ブルースは、老若男女が理屈抜きで楽しめる、流石の選曲!

CHART by JET SET 2010.02.25 - ele-king

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1

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS GUNSHIP / LITTLE BOOTS »COMMENT GET MUSIC
DJ Harvey新ソロ・プロジェクトが遂に始動!!今春の久々の再来日も既に話題沸騰、今や世界一影響力のあるDJ、HarveyによるMap of Africa以来となるオリジナル楽曲リリース!!

2

JOSE JAMES

JOSE JAMES BLACKMAGIC EP »COMMENT GET MUSIC
何故に全世界500枚限定プレス!?絶対少な過ぎるでしょうGilesさん・・・。Flying LotusによるA1、MoodymannのA2、7"が即完売だったMitsu the BeatsのB1、Taylor McFerrinによるB2の計4曲を収録!

3

EDDIE C

EDDIE C BETWEEN NOW AND THEN »COMMENT GET MUSIC
カナダの期待の才能が早くもMule Musiq系列Endless Flightからリリース。 Mark E、The Revengeに続く期待のポスト・ビートダウン・ニューカマーEdward Currellyによるソロ・リリース第4弾。

4

LAST ELECTRO-ACOUSTIC SPACE JAZZ & PERCUSSION ENSEMBLE (YESTERDAYS NEW QUINTET)

LAST ELECTRO-ACOUSTIC SPACE JAZZ & PERCUSSION ENSEMBLE MILES AWAY »COMMENT GET MUSIC
天才MadlibによるY.N.Q.別名義ジャズ・プロジェクト、初の公式アルバムが登場です!!【名盤誕生】Miles Davisにインスパイアされた次世代スピリチュアル・ジャズの極み。これまでの活動の統括しつつネクスト・レヴェルへの幕開けを告げる、彼の最高傑作!

5

CHARLIE ALEX MARCH

CHARLIE ALEX MARCH HOME/HIDDEN »COMMENT GET MUSIC
Metronomy~Your Twentiesを繋ぐインディ・シンセ・ジーニアス。遂にアルバム完成です!!素晴らしすぎます!!Your Twenties初期メンバーでもあった鬼才Charlie Alex March、待望の1st.アルバム。予想以上に甘く美しいインディ・シンセ・ワールドには言葉がありません!!

6

DR. RUDE

DR. RUDE ALBUM SAMPLER 1 »COMMENT GET MUSIC
衝撃のN.E.R.D.ネタも飛び出すダーティ・ベルジャン・ジャンプ傑作リミキシーズ!!当店激プッシュ中のベルジャン・ジャンプ・シーン。代表格レーベルZooから、看板クリエイターDr. Rudeによる仕掛けと反則満載のリミックス12"が登場!!

7

V.A.

V.A. K2 EDITS EPISODE ONE »COMMENT GET MUSIC
Karizumaの覆面プロジェクト、K2による作品が初のCD化!2009年7月にリリースされた「A MIND OF IT'S OWN V2.0 - THE UPGRADE」が大好評だったKarizmaとは一味違う魅力が味わえる究極の一品。

8

MIRKO LOKO

MIRKO LOKO SEVENTYNINE / CARL CRAIG,VILLALOBOS »COMMENT GET MUSIC
買って損はさせません、話題作到着!!Carl CraigそしてRicardo Villalobosと現在のテクノ・シーンに於ける2大巨匠がリミックスを担当した超話題作!!

9

FANTASTIC MR FOX

FANTASTIC MR FOX SKETCHES EP »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆箱庭キュートな卓上チャーミング・ダブステップ/UKガラージュ傑作Wパック!!LV "Don't Judge"でのリミックスも素晴らしかった新鋭が、スコティッシュ新星Loops Hauntのリリースでも話題の名門Black Acreから再登場リリース!!

10

RAINER WEICHHOLD

RAINER WEICHHOLD FLASHMOOBING »COMMENT GET MUSIC
ストリングスのメロディーが螺旋を描く強力なモダン・ミニマルハウス!!Great StuffのA&Rとしても活躍するRainer Weichholdによる新作!! Chloeを筆頭にSebastien Leger、 Oxia, DJ Madskillzらがプレイ、サポート!!

interview with あるぱちかぶと - ele-king

 ごく常識的に考えて、人生には何の目的もないから、せめて生きているかぎりの自我実現の目標を立て、それがどんなに儚いものであるにせよ、また可能であれ不可能であれ、歴史のなかにおのれの生の痕跡を残しておきたい、という考え方がある。またその一方、人生には何の目的もないから、自我なんかどうでもよく、何か一つの目的をそこに設定して、信じるにせよ信じないにせよ、それに向かってしゃにむに突っ走り、おのれを滅ぼすと同時に世界をほろぼしてしまいたい、という考え方がある。
澁澤龍彦「輪廻と転生のロマン」

 永遠を信じないならどっちみち同じだよ
あるぱちかぶと"或蜂"

 あるぱちかぶとの『◎≠(マルカイキ)』は突然変異体だ。ラッパーらしからぬラッパーによる、ヒップホップらしくないヒップホップのアルバムは、最初から孤立することを覚悟しているようにも思える。自称デラシネ(根無し草)が創造したこの作品は、新しい楽曲に関して言えば、韻を踏むことさえまるで気にしていない。彼が執着するのはラップの約束事よりも、まるで戯作や短編小説を書き上げるようにひとつのリリックを完成させることなのだ。

あるぱちかぶと
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◎≠(マルカイキ)

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 そして『◎≠(マルカイキ)』は葛藤の物語だ。自己分裂をテーマに展開する"或蜂"。そして、「体はひとつ/感情はななつ/気分は無数(略)いくら数えても数えても数えても数えても数のほうが足りない」という"頭"、「お前はいまでもあそこに座ってぼくを待っている」――フィリップ・K・ディックの『ヴァリス』のように分裂症をトリックとする"日没サスペンデッド"。

 トピックは他にもある。"トーキョー難民"では聴き手がそれを理解するよりも早く地名が連射される。そして聴き手の脳裏に街の姿を想像させる。レトリカルな"コケシの笑み"や"葉脈は性懲りもなく"も面白い。こうした過剰な言葉遊びは彼の独壇場でもあろう。アルバムのベストのひとつであろう"完璧な一日"は、1日のなかで人が生まれ成長し、大人になり、そして死んでいく様が描かれる。なんとも奇妙な叙情詩である。
 あるいは、"元少年ライカ"を聴いていると僕はとても切ない気持ちになる。あるぱちかぶとは、宇宙の霊魂に過去の記憶を語らせながら、ひとりの無名の人生に慈しみを注いでいるようだ。そして聴き終わってからあらためて驚くのは、この詩人がまだ23歳であるという事実なのだ。

 よって僕は、このラッパーがいったいどんな青年なのか知りたくなって、2月某日の昼下がりに下北沢で待ち合わせることにした次第である。約束の時間よりも5分ほど遅れて着くと、彼はそこに立っていた。

どんな青年だろう? ってずっと気になっていたんですよ(笑)。しかし......間違ってもラッパーだとは思われないだろうね。

はははは。

何故ラップ表現をやることになったんですか? 

2005年にやりはじめたときはもっとヒップホップしてたと思うんですけどね。

ヒップホップらしくないヒップホップのアルバムだよね。

最初はヒップホップであることを意識してました。ラップすることは昔からの憧れだったんです。中学のときに聴きはじめていて......。

そんなに早くから! 中学生のときから好きだったんだ。

はい。やりはじめたのが高校生のときでした。友たちの誕生日を祝うお金がなくて曲をプレゼントしたのが最初でしたね。やっぱり、自分のなかに表現したいという欲求がたぶん他人よりはあると思うんです。

それはヒシヒシと伝わるよ。

それがなんでラップなのか? ってことですよね。それがいちばん、自分が伝えたいことを表現するうえで有効に思えたからです。

小説には向かわなかったんだ。

小説は好きですけど、自分の言葉を音楽にのっけて抑揚つけながら発話する、そのやり方が自分にはしっくりくるんだと思います。

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◎≠(マルカイキ)

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ちなみに中学のときに好きだったラッパーは?

中学のときはアメリカに住んでいたんです。そこでラジオでいつも流れていたんです。

当時は?

エミネムのセカンドが出たぐらいですね。

マーシャル・マザース』だよね。

ジェイ・Zも聴きました。

ブルー・プリント』?

その前後です。あとアウトキャストですね。

スタンコニア』だね。

そうです。

長く住んでいたんですか?

中学の3年間です。

インターナショナル・スクールみたいなところ?

普通の現地の中学でした。

英語には馴染んでいたんだ。

ただラップは、耳障りの良さで聴いていましたね。

なるほど。先日、アルバムの発売記念のライヴを観たんですけど、とてもラッパーとは思えないというか、不思議な違和感を発していたんだけど(笑)。

そうですね。

自分のなかではヒップホップ文化に対して親密な感情を抱いているんですか?

ないですね......いまとなってはない。ヒップホップ愛はなくなったけど、表現するというところで残っている感じです。

方法論としてだけ残っている?

中学のときに好きになって、それでラップをはじめたくらいだからヒップホップへの愛情は強いほうだと思っていたんです。けど、いざ活動をはじめてみて、まわりを見渡してみたら自分のそれはそこまで強いものではないと、そう思うところが大きかったんですね。それに、好きでいればいるほど飽きてくるというのもあって、だったらもう固執しなくてもいいかと、そうなっていきましたね。

アルバムを聴くとそこはすごくよくわかる。聴いているだけでどの曲が古いか新しいかがわかる。ヒップホップのクリシェがある曲と、それをまったく度外視している曲とがあるよね。"元少年ライカ"のような曲になると韻を踏むことにもう囚われていないでしょ。

そうですね。

"大震災"みたいなヒップホップらしい曲も僕は格好いいと思うんだけど。

"大震災"は、自分のなかではもう3年ぐらい時間が空いているんですよね。声の出し方がもう違ってきているし。

ヒップホップ以外の音楽は好きになったことはない?

とくに他に深くのめり込んだってことはないですね。高校時代はヒップホップ一辺倒でしたから。高校のときに日本に帰ってきて、日本語のヒップホップも聴きはじめました。シンゴ02、餓鬼レンジャー......、あとは降神も聴きました。

知り合いから「あるぱちは降神と似てる」という話を聞いたことがあって、でも違うよね(笑)。

影響は受けていると思うんですけどね。

でも、降神にはカウンター・カルチャーってものがあるじゃないですか。『マルカイキ』にはそれがないでしょ。

そうですね。政治性もないし、プライヴェートなことを言ってるだけとも言える。

"元少年ライカ"は不思議な曲で、人の一生を綴っているんだけど、そこには批評性というのがない。シンゴ02や降神には、多かれ少なかれ、"戦い"というものがあるでしょ。

そういう"戦い"のようなものが僕にはないから、平々凡々とした日常を描写するしかないんです。

ただ、"元少年ライカ"や"完璧な一日"で描かれる凡庸さがとてもユニークに思えたんですよ。その凡庸さを茶化すのでもなく嘆くのでもなく、バカにするんでもなく、どこか優しい眼差しを注いでいるでしょう。というか、あの曲には音楽表現にありがちな感情の起伏のようなものがない。しかし、それでも大量の言葉がある。で、いったいどこからこの大量な言葉が出てくるんだろうというのが謎で......。

 

 そして、あるぱちかぶとが『マルカイキ』のコンセプトを明かしてくれた。以下、彼の説明をまとめてみた。
 アルバムにはふたつの自分がいる。ひとりは、この先社会で生きていくにはパッションや感受性がないほうが楽であると考えている。彼は自らを去勢し、そして生きていくことを望む。もうひとりはまったくその逆で、パッションや情念に生きる人=それが或蜂(あるぱち)という人格になって表象される。アルバムの最後の曲"日没サスペンデッド"では、結局、すべてを葬り去った(去勢した)自分がそれでどうなったのか? ということを空想して描いている――という。



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あるぱちかぶと
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パッションが重荷になるとはどういうことなんだろう?

ヒップホップに入れば入るほど、それに突き返される感覚があって。

それはなにかトラウマめいたものが......。

いや、僕はごくごく普通の大学生だと思いますよ。

人前に出てラップしたり、作品を出したりすることはものすごいエネルギーを使うことだし、"トーキョー難民"や"完璧な一日"のファスト・ラップにしてもパッションなしではあり得ない表現だよね。だからものすごい自己矛盾を抱えたままやっているということなんだね。まさか死の誘惑みたいなのが......?

それはないです。ただ、社会でうまくやっていくにはフラットになるしかないというのがあって。そこではパッションは余計である、という考えですね。

時計仕掛けのオレンジ』は権力によってフラットにさせられてしまうけど、あるぱち君は自らあの手術台に載ったほうがいいんじゃないかと。

そうです。

それは世代感覚と言える?

ある意味では世代とも言えると思うんですけど、ただこの発想自体が僕のなかで生まれたものです。僕はそれをどんどん膨らませていった。

リリックのなかに村上春樹や芥川龍之介が出てくるけど、文学からの影響が強いんでしょうね。

ものすごく強いです。

"元少年ライカ"は『スプートニックの恋人』でしょ?

いや、あれは実は、カウリスマキの『過去のない男』なんです。

そうだったんだ。"元少年ライカ"のなかの「けれどもきっと私は、愛しておりました」という繰り返しがあるけど、あの言葉は何で出てきたの?

なんでしょうね。たとえどんなに辛い記憶であっても、まったく記憶がないよりはいいというような意味でしょうね。

あるぱちかぶと

 大学でポーランド語を専攻する彼は、彼の文学趣味について話しくれた。村上春樹、島田雅彦、夏目漱石、太宰治......。彼は彼の村上作品の解釈(とくに『羊をめぐる冒険』『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』『ダンス・ダンス・ダンス』について)、村上春樹と三島由起夫の共通点、あるいは近代文学への関心、あるいは『豊饒の海』について話してくれた(それはなかなか面白い話だったけれど、話が脱線しすぎるので省略します)。


確固たるメッセージがあるときは、無理してまでも韻を踏もうとは思わない。落語は韻を踏まずに最後まで聞かせる。そこにはラップとの共通点があると思うんです。


英語ができるんだから、英語でラップしようとは思わなかった?

それまったくなかった。ただ、エクシーと知り合った当初、彼は「英語でラップしてくれ」と言ってきましたけど(笑)。

はははは(笑)。

最初はだから英語でやろうとしたけど、それも止めました。自分から「日本語だけでやる」って言ったんです。英語ができるといってもネイティヴ・レヴェルなわけじゃないし、たんに格好良さだけだから。

韻にはついては?

韻を踏むことで、思いも寄らない言葉が出てくることもあるんです。それは楽しいんですけど、確固たるメッセージがあるときは、無理してまでも韻を踏もうとは思わないです。僕にとって韻を踏むことはある種の照れ隠しなんです。

韻を踏まずにラップするのって、挑戦だよね。

落語が好きで。落語は韻を踏まずに最後まで聞かせる。そこにはラップとの共通点があると思うんです。

ちなみに誰が好きですか?

立川流が好きですね。とくに立川談志が好きです。他は古今亭志ん朝も好きですね。で、一時期、自分のまわりの友だちのラップのライヴを観ていて、すごくマンネリを感じたことがあったんです。同じ繰り返しに思えて。だけど、落語の場合は、同じリフレインでも言葉の(意味が)どんどん膨らんでいくようなところがあって。その落語の面白さをラップに導入することがいま僕の考えていることです。



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◎≠(マルカイキ)

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なるほど。それはまさに勝負どころですね。ところでバックトラックについてどう考えているの?

自分から声をかけました。まず僕のなかに曲のイメージがあって、それを(トラックメイカーに)説明して、トラックができたら言葉を詰めていくって感じです。

けっこういろんな人たちが作っているよね。結局、何人のトラックメイカーが参加しているんですか?

7人ですね。実際に会ったことがない人がひとりいます。my space上でやりとりしたっていう人が。でも、アルバム全体はそれなりにまとまりのある音になったと思います。

たしかにそうだね。エクシーとはどういう出会いだったんですか?

大学に入ったときにラップしたいと思っても、まわりにラップがわかる友だちがいなかったんです。そうしたら僕の従兄弟が同じ年に大学に入って、彼が友だちにひとりいるよと。それがエクシーだったんです。当時彼は成城大学だったんですけど、そこの学際で初めてのライヴをやりました。曲ができたのが本番の前日で(笑)。いま考えるととんでもない。

彼とは気があったんだね。

そうですね。彼が学生の......例えば早稲田のギャラクシーというサークルを紹介してくれたり、そこで知り合った人たちと一緒にイヴェントをやったりしてたのもエクシーで、そこに出してもらったり......、だから最初の頃は、彼におんぶにだっこでついていった感じでしたね。

たとえばゼロ年代のラップ......MSCやシーダは聴かなかった?

聴きませんでした。

まわりの友だちは聴いていたでしょう?

聴いていました。

みんな「すげー」って言ってたでしょ? 興味は持たなかったの?

僕は持たなかったんですよ。

自分の表現の目指すモノとは違うって感じだったんですか?

そうなんです。違うと思ってました。

では、共感できる人はいた?

うーん......。

レディオヘッドは?

好きですけど......、あれもまた僕とは違うし。

あれは社会派でもあるからね。

そうなんです。ラップでポエトリー・リーディングみたいなことをしている人たちもいると思うんですけど、そういうのも熱心に聴かなかったし......、うーん、なかなか名前が出てこないですね。

海外にもいない?

中学のときはナズが好きで自分で訳したりしてたけど、彼のパンチラインに惹かれたり......、でも、うーん......、日本語ラップって、僕は独自の文化になっていると思うんです。音楽というよりも、もっと幅が広いものになっていると思うんです。

ちなみにアルバムに対するまわりの反応はどうだったんですか?

やっぱ「ラップが早いね」とか、「言葉が多いね」って言われますね。ただ、それは僕にとって意外なんです。ラップはそもそも言葉が詰まっているものだと思っているから。こないだiTunesで"完璧な一日"を無料配信したんですけど、「息苦しい」という感想が多くて、「ラップってそもそも息苦しいでしょう」と思ったんですよね(笑)。

そんなことはないよ(笑)。でも、「息苦しい」という気持ちもわかる。ていうか、考えるスキを与えない早さでラップするじゃない? なんでそんな早口なの?

それは落語の影響ですね。ブレイクなしでたたみかけるような感じを出したいと思ったんです。隙間がもどかしいと思って。

 最後に、不思議な響きのアルバム・タイトルについて。「回」がまるくなって「まるかい(◎)」、もうひとつが「キ」、それで「マルカイキ」となる。ふたつの記号が自己矛盾や対立を表しているとのこと。

 最後の最後にもうひとつ、"トーキョー難民"には松尾芭蕉の頃の「偲ぶ都」の感覚をいまの時代に照射したとのことで、曲において早口で連射される地名は「移動」を表しているとのこと、「移動」が自分の「ホーム」であると、あの曲はそういう、本人の言葉で言えば「前向きな」コンセプトであると――。

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