「ZE」と一致するもの

claire rousay - ele-king

 カナダ出身テキサス育ち、現LAの音楽家クレア・ラウジーは、この数年で、世界中のアンビエント・リスナーの耳を最も静かに惹きつけたアーティストのひとりである。クレア・ラウジーの音楽は「音響」「エクスペリメンタル」「アンビエント」という枠では収まりきらず、より人間的で、生活の質感に近いサウンドスケープを展開している。ラウジーのマイク=耳を通して聴こえるのは、録音という行為を通じて鳴っている音だ。ラウジーは「生きること」と「聴くこと」を同じ地平に置いてきたといえる。
 初のヴォーカル・アルバムだった前作『sentiment』から一転し、本作『a little death』ではエクスペリメンタル/アンビエントの音世界へと回帰している。いやそもそも回帰とはいえないかもしれない。ここでは音響と旋律、音と声の境界線が消失し、声/旋律のない「うた」(ようなもの)の心が生成しているのだ。音による情緒・記憶・感情の生成。思えばラウジーの音楽はいつもそうではなかったか。

 本作『a little death』は『a heavenly touch』(2020)、『a softer focus』(2021)に連なる系譜の作品という。確かに全編を通して電子音、環境音、生楽器が重なり合い、音の空間性とレイヤー感覚はこれまで以上に美しく、叙情的で、豊かだ。
 アルバムのタイトルは、彼女が暮らしていたテキサス州サンアントニオのワインバー「Little Death」に由来する。しかし本作で描かれるのは「比喩としての死」ではなく、日常の中に潜む「小さな終わり」の感覚に近い。過ぎ去る時間。消えていく記憶。静かに閉じていく一日の余韻。その繊細な瞬間を音に封じ込めた作品である。
 本作に用いられた最初のフィールド・レコーディングは、『a softer focus』のプロモーション時にラウジーが取材を受けたワインバーで録音されたものという。ラウジーにとって録音は記憶を掘り起こし、時間の堆積を音に変換する行為である。彼女は過去作での「実験」をより柔らかく解体し、記録に宿る詩情を掘り当てているのだ。
 『a little death』にはこれまでの作品を支えてきた盟友たちが再び集結している。3月のコラボ作『no floor』に続き、モア・イーズ(More Eaze)が本名マリ・モーリス(Mari Maurice)としてヴァイオリンで参加。6月リリースの共作『quilted lament』以来となるグレッチェン・コァスモー(Gretchen Korsmo)がクラリネットを提供し、アンドリュー・ウェザーズ(Andrew Weathers)はラップ・スティール・ギターで加わる。『a softer focus』にも参加していたアレックス・カニンガム(Alex Cunningham)、そして9月に名盤『Tender / Wading』を発表したエム・セイジ(M. Sage)もクラリネット、エレクトロニクス、ピアノで参加している。この豪華な布陣は、ラウジーの歩んできたネットワークの深さと信頼関係を象徴しているといえよう。

 本作『a little death』のサウンドには、音と音のあいだに独自の「温度」がある。電子的なノイズが立ち上がった直後に、生楽器の柔らかな音色がそっと現れ、その往復の中で聴き手の感情が静かに揺れ動く。声のない歌とでもいうべき感覚だろうか。メロディやリズムは明確ではないが、代わりに「時間の流れ」そのものが音楽の中心にある。ラウジーにとって録音とは作曲であり、記憶を編集する行為でもあるのだろう。そこには深い「親密さ」がある。
 ラウジーの作品にいつも深い親密さが宿るのは、音の背後に「生活の息づかい」が聴こえるからだ。それらは背景音ではなく、ラウジーにとっての「時間の証拠」として刻まれている。そう、ラウジーにとって音楽とは現実からの逃避ではなく、「現実そのものを聴き取る」ための芸術なのだろう。
 1曲目 “i couldn't find the light” では、声とノイズが交錯する55秒の短い断片から、2曲目 “conditional love” へと静かに接続され、アルバムはその世界観を自然に提示する。細やかな物音や硬質な電子音が交錯し、日常と非日常のあいだを音が滑走していく。続く3曲目 “just (feat. m sage)” はピアノの音から幕を開け、音の色彩は一気に抒情的なムードへと転じる。エム・セイジによる電子音が音の空間を広げ、余韻を残す。4曲目 “somehow” では静謐なアンビエント/ドローンが展開されるが、ここでも言葉/声が突如差し込まれ、記憶の層と音響が交錯する。ここまでがアルバム前半といってよいだろう。
 アルバム後半はギターとピアノが重要になる。5曲目 “night one” では、ギター、ピアノ、環境音とともに柔らかなアンサンブルを形成する曲だ。デヴィッド・グラッブスを思わせる素朴な音楽性と、実験的な音響空間が交錯し、あの90年代シカゴ音響派へとつながる気配を漂わせる音楽性であった。6曲目 “doubt” では密やかな電子ノイズが立ち上がり、その背後から霞んだピアノの音色が浮かび上がる。7曲目 “somewhat burdensome” も抒情的なギターから始まり、ジム・オルークが探求してきた実験音楽とアメリカーナ的な音世界の系譜にあるかのような響きを宿す。
 8曲目、アルバム最終曲にして表題曲 “a little death” では、これまでの曲で描かれてきた音楽世界がゆったりと静かに再生する。アンサンブルとレイヤー、管楽器と弦楽器風の和声、環境音、声が交錯し、「音楽」が静かに立ち上がっていく。エクスペリメンタルでありながら大袈裟にならず、素朴さと洗練が共存する、実に見事な楽曲だ。5分20秒付近の小さな空白を挟み、音楽はそれまでの抒情性を大きく開放するようにドラマチックな展開を迎える。
 私見ではあるが、この控えめでエモーショナルな叙情性に90年代シカゴ音響派からの明確な系譜が感じられた。かつてジム・オルークやデヴィッド・グラッブス、トータスらがアメリカ音楽、実験音楽、アヴァン・ロックを交錯させつつ、「アメリカ音楽の歴史」を音で描いたように、ラウジーもその系譜の中で音による音楽史を構築しているのではないかと想像してしまう。ともあれ本曲は、エクスペリメンタル音楽家としてのラウジーのひとつの到達点と言って差し支えない。それほどに感動的な曲なのだ。

 ラウジーの音楽には、記録と感情、歴史と個人、客観と主観のあいだを漂う「曖昧さ」が常にあり、その揺らぎこそが表現の核心ではないかと思う。本作『a little death』は、これまで彼女が探求してきた「生活としての音楽」「継承としての音楽」が有機的かつ多層的に交錯し、空気のように揺らいでいる作品である。前作『sentiment』で試みたヴォーカル表現を経て、音の背後にある沈黙や呼吸が、これまで以上に強い存在感を放っていた。本作に耳を澄ませば、私たちの記憶の輪郭もまた静かに、そして新たな陰影と共に浮かび上がってくるだろう。

STARFESTIVAL CLOSING 2025 - ele-king

 関西発のオルタナティヴ・フェスとしてローカル・シーンと世界を接続しつづける〈STARFESTIVAL〉が、年末恒例のクロージング・パーティを今年も開催。12月30日(火)にクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)にて。

 今年のゲストにはUKを代表するクラブ〈Fabric〉のレジデントDJとして知られるクレイグ・リチャーズ、〈Hospital Records〉のオーナーでありUKにおけるドラムン・ベース・シーンを牽引するロンドン・エレクトリシティを迎え、ローカル・アクトにはDJ KRUSH、DJ MASDA、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U(行松陽介)をはじめとする実力者をラインナップ。UKダンス・ミュージック愛好家にとっては見逃せない機会でしょう。

Oneohtrix Point Never - ele-king

 ヴェイパーウェイヴが資本主義批判なんぞではなく、たんにオンライン音楽シーンにおけるいちジャンルだと理解されてからずいぶんと時間が経つ。キッチュさ、あるいはアイロニーは、とくに加速させるまでもなく、資本主義における陳列物のひとつになっていることは周知の通りである。80年代日本産のCMが醸し出す奇妙なオリエンタリズムも初期マッキントッシュ・コンピュータの倒錯的フェティッシュさも、すべてはデータ資本主義というモンスターが飲み込んでいく。その現実そのものが「ポスト・インターネット的状況」と化しているのだ。『Replica』が暗示させたあの耐え難いほど退屈でありながらその魅力に引き込まれる亡霊性は、10年先を読んでいた。
 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー通算11枚目の新作『Tranquilizer(精神安定剤)』は、すでに多くのファンが指摘しているように、彼の人気作として三本の指に入るだろう2011年の作品『Replica』を想起させる。ファン目線でいえば、かつて『Rifts』(2009)としてまとめられた初期の作風の面影もあるように思う。“Measuring Ruins” や “Petro” のコーラス的な部分、“Storm Snow” における反復からは『R Plus Seven』(2013)の気配を感じ取ってみたりしている。そう思いながら聴いていると、2010年前後のOPNのスタイルをよりアップデートしたのが本作ではないかと思えてくる。
 じっさいこうしたアプローチは『Replica』以来のものだと当人もみとめているが、しかし同作が没入感のあるループを基調としていたのにたいし、本作はどの曲も先が読めないのだ。レゲエのリズムを応用したダビーなはじまりの “Cherry Blue” のような曲も、その反復は短く、曲は二転三転し、そしてもとには戻らない。それは一時期のBurial作品における支離滅裂さ、もしくは村上春樹の長編小説における収集のつかなさのようで、元いた場所から逸脱し、展開はもつれ、しかし無事結末を迎えることになる。こうしたその先の読めなさが本作の特徴であり、『Replica』との圧倒的な違いである。
 “D.I.S.” で切り刻まれる高音部はロレンツォ・センニ的な点描トランスを想起させるし、途中でいきなりレイヴの断片が接ぎ木される “Rodl Glide” なんかはパンデミック以降のパーティ熱への目配せととらえることもできるかもしれない。であると同時に、さまざまな音のコラージュにはじまり『R Plus Seven』で試みられていたようなミニマルな断片を経由、『Age Of』で導入されていたようなチェンバロまで導入しつつ、最終的にはアナログ・シンセによる壮美な旋律が印象的な最終曲 “Waterfalls” は、本作中もっともその展開を楽しめる1曲と言えよう。
 今回は、ネット上のアーカイヴから忽然と姿を消してしまったサンプル音源が幸いにも救出されたことがコンセプトになっているという。リアルなものは普遍であるという荒唐無稽な立場とリアルはすべて恣意的に決まり、ただ記号のみが存在するという立場があり、つねに「どちらでもない」という道がある。「ポスト・インターネット的状況」は、その「どちらでもない」を大義として、本作のスリーヴアートに描かれた鮮やかなポップアートをちらつかせながら人びとを取り込んできた。「対話的(ダイアロジック)」であると思われたことは下劣な落書きか、よくて趣味の競い合いであって、不気味なイメージさえもその神秘なまといは課金される。ぱっと聴きでは穏やかに聞こえる冒頭 “For Residue(残留物のために)” や “Vestigel(残存物、痕跡)” の、しかし妙にぞわぞわする感覚は、たんに「金輪際失われるかもしれない」という危機感のみならず、そうしたポスト・インターネット的状況下における包摂の不安を表現しているのかもしれない。
 『Tranquilizer』は音響的な迷路を楽しむ、娯楽作品的な側面もあるが、同時にこの不調和な並置は、リスナー/ファンに『Replica』から14年経った現在地の亡霊性を、おそらくは少々の時間をかけて、そして想起させるに違いない。そういう意味では、これこそファンが待ち望んでいたアルバムだと言えるだろう。

AVYSS Circle 2026 - ele-king

 2018年にCVNことNobuyuki Sakumaによって発足された「時代をアップデートする個性のある音楽やカルチャーを日々記録する」プラットフォーム・AVYSSが、サーキット企画〈AVYSS Circle 2026〉をデイ/ナイトの2部制で2026年1月23日(金)に開催する。

 〈AVYSS Circle〉はこれまで2022年、2024年に下北沢のクラブ・ライヴハウスを舞台に開催されてきた回遊式のイヴェント。先日〈Warp〉より新作『Lick The Lens – Pt. 1』をリリースしたオリ・エクセル(https://www.ele-king.net/review/album/007379/)や韓国在住・アジア圏におけるデジコア・シーンの旗手・エフィー(Effie)、オーストラリアの新星ニーナ・ジラーチとのコラボレーションやチャーリーXCX、100ゲックスのサポートアクトなどで注目を集めるデイン(daine)などを招聘しつつ、日本のアンダーグラウンド・シーンで活躍するローカル・アクトたちを多数ラインナップ。

 舞台となるのは渋谷クアトロ、WWW、WWWβ、R Lounge、SUPER DOMMUNE、PBOX(旧・ComMunE)の5会場・7フロア。過去最大規模となる本企画では「2020年代以降のジャンルやカテゴリーを超越する感覚をAVYSSの視点で包括した」とのことで、ハイパーポップをはじめとするネオ・インディな新世代の感性が集う一日となるか。追加ラインナップも後日発表予定。以下詳細。

 「今回のAVYSS Circleは、ローカルで育まれてきた小さな円環が、ゆっくりと着実に外側へ同心円状に広がっていくのを想像しています。地理や距離を横断する“横軸”と、音楽から周辺のカルチャーへ潜る“縦軸”が交差し、ローカルとワールド、リアルとオンラインが同じような地平で融解します。そこに集まる表現は、わかりやすい線引きではなく、流れついた「個」の感覚の連なりです。雨の日も雪の日も、毎日積み重ねてきたキュレーションの螺旋ループがレイヤーの外側に接続し、静かに拡張していくことを目指します。」
──Nobuyuki Sakuma (CVN)

AVYSS Circle 2026

◆公演日:2026年1月23日(金)
◆開場/開演:【DAY】18:00 【NIGHT】24:00
◆会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO 4F・5F / WWW・WWWβ / R Lounge / SUPER DOMMUNE / PBOX (5会場・7フロア)
◆TICKET:https://eplus.jp/avysscircle-2026/
◆価格:
【通し券】前売:10,000円 / 早割:9,000円
【DAY】前売:7,900円 / 早割:6,900円 / U-18:5,900円
【NIGHT】前売:4,800円 / 早割:3,800円
(税込/スタンディング/整理番号付/ドリンク代別)

◆出演者 (A-Z)

■ DAY

【CLUB QUATTRO 5F】
daine (AUS)・ほしのおと・トップシークレットマン・雪国・and more…

【CLUB QUATTRO 4F】
Emma Aibara・ikea・Le Makeup・Lilniina・safmusic・死夏・XAMIYA・諭吉佳作/men・yuzuha

【WWW】
AssToro・dodo・Effie (KR)・iiso (KR)・It’s US!!!!・kegøn・lilbesh ramko・SxC Loser・sysmo・Yoyou

【WWWβ】
Amuxax・荒井優作・iga・LAUSBUB・鯖・Saren・serah trax・宇宙チンチラ・uku kasai

【R Lounge】
AOTO・discordsquad2k・goku sasaki・lazydoll・Mishaguzi・Number Collector・otuyyuto・PAX0・Siero・Yog*

【SUPER DOMMUNE】
cyber milkちゃん・DJ HOSHIMIYA TOTO・ひがしやしき・Magnolia Cacophony・おそロシア革命・and more…
〈TALK〉 千代田修平 + JACKSON kaki + ~離 MC : NordOst ※トークテーマ後日発表

【PBOX】
DjuBumba・eijin・fui w/ innerscape by ITOAOI・百年の孤独・いむ電波.wav・小松成彰 うーたん・うしろ(Ritual Workshop Set)・MON/KU
〈TALK〉 AfterParty 公開収録 ゲスト:つやちゃん ※トークテーマ後日発表
〈AVYSS COLLABORATION〉 BALMUNG・chloma・GB MOUTH ※コラボ内容後日発表


■ NIGHT

【CLUB QUATTRO 5F】
iVy・SleepInside・Texas 3000・and more…
〈VJ〉 Higurashi・JACKSON kaki

【CLUB QUATTRO 4F】
CVN・E.O.U・imai・in the blue shirt・nano odorine・nerdcamp.com・食品まつり a.k.a foodman・and more…

【WWW】
Dos Monos・JUN INAGAWA・music fm・Oli XL (SWE)・釈迦坊主・wagahai is neko
〈VJ〉 naka renya・O.G.I

【WWWβ】
FELINE・okadada・らりる連合・TORIENA
〈AVYSS Cup〉(テーマ:元気)loli主語・前澤・seaketa・ ~離 MC : 徳利

Organize:AVYSS / CLUB QUATTRO
Cooperation:WWW / R Lounge / SUPER DOMMUNE / PBOX
Supported by melting bot
Partner:GALLERIA
Key Visual : QINGYI
Design & Layout : naka renya
Staging : yoh
Food : Geek Eggs Food Team XD

◆注意事項:
※身分証明書は右記いずれかの写真付きのもの(学生証、運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)
※U-18の対象者は公演当日2026.1.23時点で18歳以下の方。ID/身分証の確認ができない場合、当日差額分をいただきます。
※NIGHTは深夜公演です。20歳未満は入場不可。要写真付きID。ID/身分証の確認ができない場合、入場をお断りする場合がございます。
※身分証明書は右記いずれかの写真付きのもの(学生証、運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)
※各種チケットは枚数に制限がございます。上限に達し次第受付を終了します。予めご了承ください。
※DAYとNIGHTは入れ替え制。(通しチケットお持ちのお客様も一度ご退場いただきます。)

◆お問い合わせ:
渋谷クラブクアトロ 03-3477-8750

◆AVYSS:https://avyss-magazine.com

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎が2022年の『物語のように』以来の、通算5枚目となるソロ・アルバムが来年年明けの1月にリリースされると、〈zelone records〉が発表した。タイトルは、『ヤッホー』。発売日は、2026年1月23日(金)、例によって〈zelone records〉からのリリースである。
 なお、すでに「おじいさんへ」を発表している坂本だが、新作からの先行配信シングル「あなたの場所はありますか?」も本日11月19日(水)にリリース。

■デジタル・シングル
あなたの場所はありますか / 坂本慎太郎 (Is There A Place For You There? / Shintaro Sakamoto)

2025年11月19日(水) 配信リリース:
国内再生・購入: https://virginmusic.lnk.to/IsThereAPlaceForYouThere
YouTube (Official Audio): https://www.youtube.com/watch?v=y-Ve_3cUIFQ


■ニュー・アルバム
ヤッホー / 坂本慎太郎 (Yoo-hoo / Shintaro Sakamoto)

2026年1月23日(金) Digital/CD/LP/リリース
国内Pre-save / Pre-add: https://virginmusic.lnk.to/Yoo-hoo_pre
1. おじいさんへ (Dear Grandpa)
2. あなたの場所はありますか? (Is There A Place For You There?)
3. 正義 (Justice)
4. 脳をまもろう (Protect Your Brain)
5. 時の向こうで (On The Other Side Of Time)
6. 時計が動きだした (The Clock Began To Move)
7. 麻痺 (Numb)
8. なぜわざわざ (Why Do This?)
9. ゴーストタウン (Ghost Town)
10. ヤッホー (Yoo-hoo)

Written & Produced by Shintaro Sakamoto
Recorded, Mixed & Mastered by Soichiro Nakamura at Peace Music, Tokyo, Japan 2025

Vocals, Bass (10), Keyboard, Acoustic, Electric & Lap Steel Guitar: Shintaro Sakamoto
Bass & Chorus: AYA
Drums & Percussion: Yuta Suganuma
Flute & Saxophone: Tetsu Nishiuchi
Marimba: Manami Kakudo (8, 9)

●CD (zel-029): 価格: ¥2,600+税 (2枚組/インストBONUS CD付)
●LP (zel-030): 価格: ¥3,200+税
●Digital (DL/ST)


坂本慎太郎

1989年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。
2010年バンド解散後、2011年に自身のレーベル“zelone records”にてソロ活動をスタート。
2017年、ドイツのケルンでライブ活動を再開。2022年、4thソロアルバム「物語のように (Like A Fable)」を発表。
2024年、USツアー、インドネシア、タイ、台湾、韓国でのLIVEを国内ツアーと並行して展開。
2025年、NetflixにてLIVEフィルム作品「坂本慎太郎LIVE2022@キャバレーニュー白馬」期間限定配信中。グラミー受賞プロデューサーのLeon Michels率いるEl Michels Affairの新作「24Hr Sports」収録の『Indifference』にで歌唱と作詞で参加。 10/15に新曲「おじいさんへ」を配信リリース、3度目のUSツアーとメキシコ公演、12月には中国公演を展開。

また、様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供他、活動は多岐に渡る。 

Official Site: https://linktr.ee/shintarosakamoto_official

Oneohtrix Point Never 『Tranquilizer』 - ele-king

Photo: Aidan Zamiri

Oneohtrix Point Never『Tranquilizer』
“D.I.S.”/“Rodl Glide”

 ワン・オートリックス・ポイント・ネヴァー(Oneohtrix Point Never、以下OPN)の音楽は、2010年代以降の文化環境、すなわちポスト・インターネット時代における「記憶」と「感情」の断片化そのものを象徴してきた。ダニエル・ロパティンによるこのプロジェクトは、デジタル社会が生み出す残響や廃墟のようなノスタルジーを素材に、メディアそのものの記憶を再構成し続けてきた試みである。

 初期作『Rifts』(2009)は、アナログ・シンセのドローンを介して「過去の未来」を再訪するアルバムだった。インターネット上を漂う幽霊的ノスタルジーを先取りし、電子音楽が抱え続けてきた「記録」と「忘却」の問題を音響の内部に封じ込めていた。そして『Replica』(2011)では、テレビCMの断片やローファイなサンプリングを通して、メディアの残骸から新しい感情の構造を再構築する。この方法論はヴェイパーウェイヴ的文脈と呼応しつつも、その表層的アイロニーを超えている。ロパティンの手にかかれば、断片は単なる引用ではなく、「崩壊した文化の欠片」から「新たな感情のプロトタイプ」を抽出する作曲的思考へと転化する。感情の残滓を音として再構成すること。それこそが彼の創作の核心である。
〈Warp〉移籍以降の展開もその延長線上にある。『R Plus Seven』(2013)では人工音声やMIDI音源、宗教的コード進行を用いて、情報社会の内部に潜むスピリチュアリティを可聴化した。『Garden of Delete』(2015)ではネット以降の自己分裂を描き、『Age Of』(2018)、『Magic Oneohtrix Point Never』(2020)、『Again』(2023)の三部作では、自己引用とメタ構造を通じて「創作」と「記憶」の境界を溶解させた。AIやアルゴリズムが創作を侵食する以前から、ロパティンはすでに「人間の手を離れた音楽」という感覚を先取りしていたのである。

 その探求の帰着点となりうるのが、新作『Tranquilizer』ではないかと夢想している。ロパティン自身が語る「歯科医院の椅子から見上げた人工の青空」という着想は、現実の代替物としての人工的安堵(すなわちシミュラークル化した癒し)をテーマとして読み解ける。さらに、かつてネット上から忽然と消えたサンプルCD群の記憶を再構築するという設定は、文化の断絶と記録の喪失をより直接的に描き出す試みでもある。そもそも「歯医者」というモチーフはOPNという名の起源と深く関わっており、彼の作品世界が円環的に回帰する構造を持つことを象徴しているようにも思える。
 先行配信された “For Residue” “Bumpy” “Lifeworld” “Measuring Ruins” “Cherry Blue”の5曲を聴くと、そこに鳴るのはメディアの崩壊と再生の狭間に浮かぶ「音の幻覚」だ。明瞭でありながら淡く、霧のように溶けていくシンセサイザーの音。その響きはまるで明晰夢を聴くような感覚をもたらす。音のパレットはこれまで以上に多層的で、色彩感覚は「5K映像」のように高精細である。ロパティンはもはや過去を引用するのではなく、消えゆく音そのものを「新しい感情の器」として再構築している。
今回、新たに先行配信された2曲、“D.I.S.”(アルバム10曲目)と “Rodl Glide”(14曲目)は、その方向性を決定づけるトラックに思えた。“D.I.S.” は澄み切ったシンセの層がゆるやかにうねり、静謐のなかで絶えず変化を続ける。しかし突如55秒以降、ノイズが介入し、電子音がリズミカルに脈動を始める。1分28秒からチェンバロのような金属音が重なり、1分41秒を過ぎるとベースの断片と幽霊的なコーラスが交錯する。やがて2分20秒以降、音は再び静寂へと還元され、透明なシンセが微かなピアノの輪郭を浮かび上がらせる。初期作『Eccojams Vol.1』のコラージュ的世界観を、20年代的音響処理でアップデートしたような印象だ。

 一方、“Rodl Glide” はさらに意表を突く。冒頭から中盤にかけては穏やかなアンビエントが続くが、深層にはキック音が潜んでいる。3分10秒を過ぎた瞬間、90年代テクノを思わせるビートが突如として立ち上がる。ここまで明確にリズムを押し出したOPN曲は稀であり、その大胆さはキャリア全体でも特筆すべきだ。だがそのリズムは高揚ではなく、むしろ催眠的な静けさを伴う。ビート、シンセ、ノイズ、人工音声が溶け合い、夢の中で自我が分解されていくような感覚を残す。“Rodl Glide” こそ、OPN的「終末の美学」の現在形と言えるだろう。

 この2曲に共通するのは、OPNが長年追い求めてきた「夢見る構築美」が、現代的な精度で再定義されているという点である。『Tranquilizer』の先行曲群に耳を傾けると、ロパティンがもはや「ポスト・インターネット音楽」を更新する段階を超え、「音の終わりのさらに先」を見据えていることがわかる。そこに鳴るのは、静かな祈り、そう、デジタル時代の声なきラメントである。

 『Tranquilizer』全編を聴いたとき、私たちの知覚と感覚はどのように変化するのだろうか。リリースは21日。音楽の未来が、再びOPNの手によって更新されようとしている。

◆『Tranquilizer』先行試聴イベント
日時:11月20日 (木) 19:00~20:30
会場:BEATINK Listening Space (東京都渋谷区神宮前1-12-3 パティオビル Authors Harajuku B1)
※入場無料

◆『Tranquilizer』SPECIAL POP-UP
日時:11月21日 (金) 17:00~21:00、11月22日(土)~11月24日 (祝月) 15:00~21:00
会場:Park in Park (東京都渋谷区神宮前6-20-10 宮下パーク 内1F)
※入場無料

【本書推薦人】
川淵三郎 (初代Jリーグチェアマン)
高倉麻子 (元日本女子サッカー代表監督)
北川航也 (清水エスパルス)

リフティングができるお母さん達がいる素敵なサッカーの街。とても興味深い本です。 ──倉敷保雄(フリー・アナウンサー)

1970年代、人口わずか20万余りの地方の町全体がサッカーを愛した……
小学校を舞台に、その教員や生徒たちが、
当時の日本ではありえないスケールでサッカーと向き合う
のちに、多くのJリーガー/日本代表選手を育て、
女性初の日本サッカー協会理事にもなったひとりの元・小学校教員の人生から
フットボール文化の広大な魅力を伝える待望の書籍

【取材協力】
佐々木則夫、風間八宏、大榎克己、半田悦子、本田美登里、遠藤友則、遠藤文朗、牛木素吉郎、豊島吉博、瀬戸脇正勝、日本サッカー協会ほか

 サッカー未経験の女性小学校教員が少年サッカー優勝監督となり、多くのJリーガー/日本代表選手を育て、女性初の日本サッカー協会理事にもなった。精神論だけに終始するのではなく、創造力の研磨に注力し、グローバルな視点でサッカーに取り組んでいった小学校の教員たち。保護者にもその楽しさを伝え、サッカー新聞も創刊、市民たちにサッカーの魅力と知識が叩き込まれていく……。
 いつしか清水は、子連れの母親がリフティングするような、高齢者から子どもまでが少年サッカー/高校サッカーの試合結果を気にするような、まるでひとつの町そのものがフットボール・クラブのごとき様相を呈することになった。
 本書は、綾部美知枝の人生を通して日本サッカーのひとつの故郷を温ねる。清水の奇跡、綾部美知枝の軌跡、そこには日本サッカーの歴史が刻まれている。

四六判並製/256頁

綾部美知枝(あやべ・みちえ)
1946年11月に清水市内で生まれる。旧姓は押見。小学校の教員、清水市役所サッカーのまち室長、女性初の日本サッカー協会の理事などを歴任。女性公認サッカー監督第1号である彼女は、清水FC監督として、チームの全国優勝を達成するとともに、後に日本代表となる選手を多数育成した。また、子どもや父兄、特に女性のアマチュア・サッカーの普及、未就学児のサッカー活動の普及、女子サッカーの発展にも寄与した。2022年に女性初の日本サッカー殿堂入りをしている。現在は、静岡県サッカー協会評議員、清水サッカー協会参与。

【著者】矢野透(やの・とおる)
講談社に勤務しながら多くのサッカー関係の書籍を制作する。そのなかには佐々木則夫『なでしこ力:さあ、一緒に世界一になろう!』、『新なでしこゴール!!』などベストセラーも含まれる。また、2002年の日韓ワールドカップの公式ガイドとパンフレット類のすべてを編集/制作している。現在はフリーのサッカー・ジャーナリスト/ライターとして活動中。毎週末はサッカー競技場で過ごしている。

〝サッカーの子〟を育てる——綾部美知枝と清水のキセキ



第1章 60年代——始まりの時代

堀田哲爾との出会いに始まる/小学校を舞台に/大声で怒鳴ることはない/女子サッカーが始動、メディアも創刊/江尻サッカースポーツ少年/清水の選手たちが模範演技をする/小学生リーグ戦を解禁/大澤英雄の功績/全清水の結成/今でも通用するクラマーの提言


第2章 70年代——清水サッカーの基礎ができる

サッカー素人だからこその指導法/天才児・遠藤の回想/前例のない、音楽を流してのサッカー練習/全清水の監督に/サッカーを好きでいること/日本を変えたコーチングスクール/堀田が考究した指導者養成法/「静岡県コーチングスクール」開催/清水が新〝サッカーのまち〟に!/選手の母親たちもサッカーを始める/女子のサッカー人口も急増/本田美登里と半田悦子/日本女子サッカー、その後の発展/サッカーの練習で歌を歌う/進歩的だった全清水のチーム編成システム/教育者であること、コーチであること/『静岡ユースサッカー』の創刊/ペレを呼ぶ/「日本にもブラジルがあった」、とセルジオ越後は言った/韓国遠征——「全清水」の初めての海外挑戦/1975年ヨーロッパ遠征——西ドイツ&イングランド


第3章 70年代後半~80年代——ゆりかごから息つづくまでのサッカー

幼稚園でもサッカー、年老いても/75メートルをリフティングする小学生たち/「ケンタ、泣くじゃねぇだよ」/監督というより教育者/負けることを体験させたい/サンバとフットボールを知らない日本人がブラジルに勝つ/エスパルスへの夢/大榎克己が回想する/サッカーで生き方を学んで欲しい/妊娠を隠してブラジルへ/佐々木則夫が語る綾部美知枝/静岡サッカーの興隆と〝それから〟/草サッカー大会も始まる


第4章 90年代——日本サッカー変革のとき

Jリーグがもたらしたもの/エスパルス、そして清水とサンバ/エスパルス存続の危機/清水ナショナルトレーニングセンター/より強く根付いていったファン文化


第5章 21世紀——未来のための新ビジョン

女子代表と子どものための改革/どこでも誰でもいつでもサッカー/育成・女子部門での日本サッカー殿堂入り


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TESTSET - ele-king

 ニュー・アルバム『ALL HAZE』で次なるステージへと進んだTESTSET。砂原良徳、LEO今井、白根賢一、永井聖一から成る彼らは2026年1月30日(金)にEX THEATER ROPPONGIにてワンマン・ライヴ「LIVE ALL HAZE」を予定しているが、本日よりオフィシャル二次先行チケットの発売が開始している。このタイミングでアルバム収録曲“Dry Action Pump”のMVも公開されているので、チェックしておこう。
 紙エレ最新号ではTESTSETをフィーチャー。こちらもぜひ。

【ライブ情報】
TESTSET (砂原良徳 × LEO今井 × 白根賢一 × 永井聖一)
‘LIVE ALL HAZE’


2026 年1 月30 日(金)
EX THEATER ROPPONGI
開場 18:00 / 開演 19:00
料金 ¥8,000 (1D 別) 全席指定
INFO: HOT STUFF PROMOTION: 050-5211-6077
https://www.red-hot.ne.jp

▼先行販売情報
TESTSETオフィシャル二次先行予約受付(先着)
[期間: 11/11(火)正午〜11/24(月祝)23:59]
先行URL: https://eplus.jp/testset/
●チケット一般発売 11月29日

Oneohtrix Point Never - ele-king

 現在、11月21日に発売される最新アルバムの収録曲が少しずつ公開されているワンオートリックス・ポイント・ネヴァー。来年4月に来日公演が決定した。4/1(水)@大阪Gorilla Hall、4/2(木)@東京Zepp DiverCityの2公演。ヴィジュアルを活用した前回のギグで手ごたえをつかんだのだろう、今回もフリーカ・テットとのコンビでパフォーマンスを披露する。新作リリース後のライヴという好機、逃すことなかれ。

Oneohtrix Point Never

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
待望のニューアルバム『Tranquilizer』を完成させ、
奇才フリーカ・テットとの最新ライブセットで来日決定!

Oneohtrix Point Never
live visuals by Freeka Tet

大阪 2026.04.01 (Wed) Gorilla Hall
東京 2026.04.02 (Thu) Zepp DiverCity

open 18:00 / start 19:00
前売:8,800円(税込 / 別途ドリンク代)※未就学児童入場不可
info:[ WWW.BEATINK.COM] / E-mail: info@beatink.com

Oneohtrix Point Never - Lifeworld (Official Video)
Youtube配信

Oneohtrix Point Never - Measuring Ruins (Official Video)
Youtube配信

Oneohtrix Point Never - Cherry Blue (Official Video)
Youtube配信

数年前のある日、ダニエルはインターネット・アーカイブから膨大なサンプル・ライブラリが消え去っていることを発見する。数え切れない作品に陰影を与えてきた音源たちが、一瞬にして闇に呑み込まれたという出来事。それは文化の断絶、時代の記憶を繋ぐ回線が無慈悲に断ち切られるような体験だった。しかしそのことが彼に創造的なエネルギーを与えた。本作は、忘れ去られた音の断片 (サンプル素材) を掘り起こし、それらを加工・再構築して生まれた全15曲のサウンドコラージュ的作品である。一度は失われ、かろうじて救い出された音の断片から構築された楽曲群は、まるで音響的な幻覚を紡ぎ出し、シュールでディープなテクスチャーで聴く者を包み込み離さない。

『Tranquilizer』は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー史上、最も没入感のある作品であり、失われた音の断片を再構築することで、ノスタルジーではなく、新たな感情を宿す器として創り上げられた。

「このアルバムは、かつて商業用オーディオ・キットとして作られた音源群に形を与えた作品だ。陳腐なサウンドの索引を裏返しにしたようなもの。今日の文化の奥底にある狂気と倦怠を最もよく表現できる、プロセス重視の音楽制作へと回帰した作品なんだ。」 - Oneohtrix Point Never

過去20年間の現代音楽界において最も影響力を持つアーティスト、プロデューサーの一人となったワンオートリックス・ポイント・ネヴァー=ダニエル・ロパティン。初期の『Eccojams』(2010年/Chuck Person名義)はヴェイパーウェイヴ・ブームの火付け役となり、『R Plus Seven』(2013)や『Garden of Delete』(2015)といった作品はデジタル時代におけるアンビエント音楽と実験音楽を再定義した。ソロ活動以外にも、サフディ兄弟監督作品の映画音楽を手掛けたり、ザ・ウィークエンド、チャーリー・エックス・シー・エックス、イギー・ポップ、デヴィッド・バーン、アノーニといったアーティストとのコラボレーションでも高い評価を得て来た。
そして鎮静剤を意味する『Tranquilizer』をもって彼は、麻痺への逃避ではなく、意識的な創造/表現への回帰を提示する。

【チケット詳細】
前売:8,800円 (税込 / 別途1ドリンク代 ) ※未就学児童入場不可
東京 :1階 スタンディング / 2階 指定席
大阪 :オールスタンディング

先行発売:
BEATINK主催者先行:11/11(TUE)18:00 (※限定枚数・先着、Eチケットのみ)
イープラス・プレイガイド最速先行受付:11/13(WED)10:00~11/16(SUN)23:59 (抽選)

[東京]
LAWSONプレリクエスト:11/17(MON)10:00~11/18(TUE)23:59
イープラス・プレオーダー:11/17(MON)10:00~11/18(TUE)23:59

[大阪]
イープラス・プレオーダー:11/17(MON)12:00~11/18(TUE)23:59
LAWSONプレリクエスト:11/17(MON)12:00~11/18(TUE)23:59
ぴあプレリザーブ:11/17(MON)12:00~11/18(TUE)23:59

一般発売:11/21(FRI)10:00~
イープラス
LAWSON TICKET
チケットぴあ(大阪のみ)
BEATINK

※BEATINK Listening Spaceにてデザインチケット限定数販売(東京公演のみ) (販売手数料なし)
販売期間:11/21(FRI)~11/30(SUN)まで
東京都渋谷区神宮前1-12-3 パティオビル Authors Harajuku B1F (売切れししだい販売終了します) >>> Instagram

問合せ:
[東京] BEATINK 03-5768-1277 www.beatink.com
[大阪] SMASH WEST 06-6535-5569 https://smash-jpn.com/

公演詳細

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label : BEAT RECORDS / Warp Records
artist : Oneohtrix Point Never
title : Tranquilizer
release:2025.11.21
商品ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15439
配信: https://warp.net/opn-tranquilizer
TRACKLISTING:
01. For Residue
02. Bumpy
03. Lifeworld
04. Measuring Ruins
05. Modern Lust
06. Fear of Symmetry
07. Vestigel
08. Cherry Blue
09. Bell Scanner
10. D.I.S.
11. Tranquilizer
12. Storm Show
13. Petro
14. Rodl Glide
15. Waterfalls
16. For Residue (Extended) *Bonus Track

Oneohtrix Point Never 『Tranquilizer』 - ele-king

OPN考

 気づけば、どんな話題にも「美学」という言葉が入り込んでいる。K-POPのファンダムでは「〇〇コア」という呼び方が定着し、ファッションでも、写真でも、何かしらの“感じ”に名前がついていく。
 いま、誰もが美学の話をしている。「Aesthetics Wiki」には既に千以上のページが生まれ、今やリミナルスペースは人気のフォト・スポットである。
 美学は孤独を説明するのだ、とぼくは思う。
 「Y2K」「Dreamcore」「Liminal Space」──それらの言葉は、あなたの指先にあるもの、足元に転がっているものをもってして、あなたが一人ではないことを示す。
 それはあなたの「コア」であり、私たちのものでもあるのだ。
 「コア」を所有すること。それは孤独を共同所有物へと変えることだ。
 しかし、Oneohtrix Point Never、このどこまでも加速し続ける音楽家はそうした戯れにほとんど興味を示していないように見える──決して誰の手にも収まらないまま、彼は進み続ける。
 メディウムを変え、声を変え、時には名義も変えながら、ただ残響だけが、その軌跡を指し示す。

Photo: Aidan Zamiri

Tranquilizer

 今作の創作のきっかけとなったとOPNが語る商業用オーディオ・キットは、単なる素材であるからして、鳥の鳴きも「悲しげな」ピアノの旋律も──そのままでは一切の意味を持っていない。
 いや、持たないように設計された「マテリアル」であった。
 それらは音楽家によって分解され、加工され、成形され、楽曲を構成するパーツとなる。
 そのときに初めて、鳥の鳴き声は鳥の鳴き声として機能し、悲しげなピアノの旋律は悲しげなピアノとしての役割を得るのだ。
 精神安定剤(Tranquilizer)。
 「安定させる」という言い方をするのなら、そこにあるものはひどく不安定であったということだ。
 大量のマテリアルを触っては投げ捨て、その果てにやっと完成した一応の形も、彼はやや大ぶりな身振りでどこかへ投げ捨て、また次のマテリアルへと手を伸ばしていく。
 安定と不安定の往復。トラックを作りながら次のサウンドを“ブラウジング”している音楽家の姿がぼくには見えてくる。
 彼は安定を捨て、均衡を崩し、もっともらしさを軋ませて……そうまでして、何かを探し求めている。
 山積みになったマテリアルをある瞬間旋律と和声で拾い上げて、その底に眠っている、ひどく重たく、歪なままのものに触れることを試みるのだ。
 安定などとうに失った世界で、誰かが夢見た別の未来の残響が、その奥からまだ微かに響いているのではないか。
 OPNが触れようとするそれは沈没船の宝箱か、固く閉ざされていた、地獄の蓋か。

その鳥が卵をひっくり返した。
卵は巣をひっくり返した。
巣は鳥かごをひっくり返した。
鳥かごは敷ものをひっくり返した。
ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』水声社

現在発表された以下の5曲の各曲レヴュー

“Lifeworld”

 クレーン車、どこかのレコードショップ、キーボードを叩く手……。
 アルバムから最も早く公開されたこの曲のビデオは、一見すると無関係なシーンが次々に移り変わる、落ち着きのない4分ちょっとの映像であった。
 ちかちかするシンセサイザーと環境音のなかで、繰り返されるハミング。それは何か主題めいたものを伝えようとしているようにも思えるが、実のところ、それ自体は何も語ろうとしてはいない。単なる「イメージ」の蓄積。データとして加工された音声ファイルがただ暫定的な居場所を与えられているにすぎない。
 しかし、私たちはつい聴き取ってしまう。何を?
 ビデオでは最後に、不明の撮影者が誰かに呼ばれて家を出ようとする。
 外は明るい。山を切り開き、そこに意味を持たせた農園風景。何度も現れる宇宙のモチーフ。表面温度という情報にのみ還元された私。

“For Residue”

 残ったもののために(For Residue)。
 サンプル・ライブラリの喪失を創作のインスピレーションとする本作のイントロであるこの曲は、柔らかなノイズから始まって、「For Residue」と楽曲名を呟く声が現れる。そしてその後に弦楽器とシンセサイザーの和声で幕が開く。……その身振りはやや大袈裟で演技じみているように思えてくる。
 だが、聴いていけばすぐに、そのハリボテめいた演出こそが、本作を理解するキーとなっていることがわかった。シンセサイザーのループは中途半端なところで繰り返し、それは明らかにメロディラインとしての佇まいではない。同じように、鳥の声は環境のレイヤーには配置されず、むしろハイハットやタムドラムのようにただ用いられている。
 いちどマテリアルとなった音声は、全てその機能のために並べ替えられる。

“Bumpy”

 この楽曲に「でこぼこしている」(Bumpy)というタイトルが付いていることが非常に重要だ。
 その動きは非常にスムースだ。こぼれ落ちそうなサンプルを次から次に和声と旋律をもってして拾い上げる。動き続けるメロディを組み合わせて見事なソフト・ランディングを見せる終盤の流れも素晴らしい。
 だが、完璧な滑らかさのなかでこそ、いかにこの楽曲が「でこぼこ」であるかを感じさせられる。整いすぎた表面を撫でながら、私たちは音の下にある微細な凹凸を確かに感じ取る。

“Measuring Ruins”

 落ち着きのない楽曲構成の中でぼくに見えてきたのは、彼が「ブラウジング」...何かを探し求めて、音声ファイルを次から次に配置していく姿であった。
 飛び回るドローンが世界を捕捉する。あらゆるマテリアルは管理可能な対象へと変わる。そして空間上に現れるのは「美しい」風景群だった。

“Cherry Blue”

 この楽曲の特殊なところは、明らかに作品の「進行方向」が強く意識されている点だ。
 トラックの再生開始地点から終了地点へという意味ではない、つまり「力の働く方向」が確かにそこにあるように感じられる。
 楽曲を通して使われているピアノリフがその最も顕著なところである。ダブの響きを思わせる深い音響効果のなかで、この旋律はフィルターのオープンとクローズでその身体を何度も引き裂かれようが、ループの中に引き込まれようが、そこからどうにか戻ってきてまた進み続ける。
 楽曲のヴィデオはとりわけ奇妙で、木々や家、街といったイメージがカットが変わるごとに姿を変えて、ついには現実と非現実ですらいくつものレイヤーに分解されたうえでないまぜになる。彼がクロッシュの中の何かを家へと運んでゆく、その力の「進行方向」だけは決して最初から最後まで変わらない。

パート2へと続く……

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