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ロックといえばミクスチャー、ラウド・ロック。そんな時代があった。『月刊少年マガジン』連載の人気マンガ『ベック』などは、主人公の佇まいこそ現代風の草食系だが、結成するのがミクスチャー・バンドだという点に日本の30代~40代前半ロック・リスナーのリアリティが滲んでいる。
今年6月に初のフル・アルバムをリリースしたUKの4ピース、プルド・アパート・バイ・ホーシズ(以下PABH)は、そうしたミクスチャーの面影を偲ばせながら、アークティック・モンキーズやクラクソンズを通過したポップ・センスと、恥知らずで発狂寸前と形容されるギャグ・センスを閃かせるという希有な才能だ。店頭で耳にしたりすれば「おや?」と思う人も多いだろう。久々にメタリックでポップな音がインディ・シーンから出てきて、私はヘッドバンギングしながら上下にぴょんぴょんと飛び跳ねている。
PABHは2007年から地元リーズで活動を続けているが、これが初のフル・アルバムとなる。もっぱらライヴ・バンドとしての評判が高く、想像するだにハイエナジーで熱狂的なショウなのだろう。曲もよくできていて、スタジオ録音でも充分に刺激的だ。ジャンルに括りきれない多様性と現代的なフィーリングに満ちている。スラッシュ・メタルからデス・メタル、スクリーモやポスト・ハードコアまで射程に含めたヘヴィなサウンドをアイデンティティとしながら、プログレ、マスロック的なアプローチも見せている。フォワード・ロシアやザ・ミュージック、ハドウケンなど同郷のグルーヴィーでダンサブルなギター・ロック・バンドの雰囲気も持っている。なによりカラッと乾いた音を出していて、よい。ホラー・ムーヴィーを愛するというが、根が明るい。 ハイ・トーンのデス・ヴォイスで「パワー、カーリッジ、ウィズダム!」と繰り返されると思わず笑ってしまう。
冒頭の"バック・トゥ・ザ・ファック・ヤー"をはじめ、ギターとベースのユニゾンのリフが多いが、おどろおどろしい重低音が仲良く同じ旋律をなぞる様子も爆笑ものだ。4人がめいめいに「ヤー」とシャウトするだけのパートなど普通にバカバカしい。しかもジョークの感覚と真剣さが分かちがたく混じりあっている。それが全開のエネルギーで飛んでくるのだ。"アイヴ・ゴット・ゲスト・リスト・トゥ・ローリー・オハラズ・スーサイド"のPVを参照すれば、その全開のバカバカしさを目の当たりにできる。
演奏の熱量も半端なものではない。過剰さが正のエネルギーに結びついているところが素晴らしい。PABHはメタルヘッドではないし、キング・クリムゾンやライトニング・ボルトからジョアンナ・ニューサム、ニーナ・シモンといった多彩な影響を挙げている。
急転直下の展開も楽しい。ブラック・サバス"クレイジー・トレイン"のような牧歌的なイントロが二転三転して、高速ダンスビートに駆動される中盤からストーナー風のラストを迎える"ミート・バルーン"。せわしないブラストビートとタメのある2拍子のあいだを激しく往復する"ゲット・オフ・マイ・ゴースト・トレイン"。"ハイ・ファイヴ・スワン・ダイヴ・ノーズ・ダイヴ"など後半立ち上がり直してからのヴァイオレントなベースが水際立っている。"ムーンリット・タロンズ"も唐突にはじまるリフが延々と幾何学的な模様を描きながら高揚して、ホーリーファックやナイス・ナイスのようなヴァーチャルな世界を開く。どの曲もまったく遜色なく、何度でも通しで聴けるのだが、圧巻は終曲"デン・ホーン"。7分以上あって、そのほとんどが単一のリフの変奏に費やされる。これがじつにドライヴィンでクールだ。
バンド名に込められた意味も面白い。プルド・アパート・バイ・ホーシズとは知ってのとおり「馬裂きの刑」のこと。中世の拷問の名だが、その残酷な趣味はともかく、4頭の馬を4人のメンバーに見立てたものだ。合図とともに、4人がそれぞれの方向に勢いよく駆け出す。まさにこのバンドにぴったりの命名だ。
後続があるのか、単体の才能なのかわからないが、シングル、アルバムともにゼロ年代のUKの優良レーベル〈トランスグレッシヴ〉からリリースされているのを興味深く眺めた。「テムズ・ビート」で流行を築いた英国トラッドなイメージのレーベルが、PABHのような音を積極的に掲げるのならば、それはUKの次世代として大きく育つ可能性を秘めているだろう。
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V.A - The Users And The Gadgets - gadgets |
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conforce - Love Hate - meanwhile |
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HIROSHI MOROHASHI - No Form - Shield Records |
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Shakedown - At Night (Martin Buttrich Dub) - 200 |
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Silicon Soul - Candy Love - SOMA |
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Rhythm Plate - Lean(Atjazz remix) - Mantis Recordings |
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PALDRAME -Prebold - Communique USA |
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STATIC DRUM - Static Drum Part 2 - STATIC DRUM |
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Move D & Benjamin Brunn - Melons - Smallville |
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King Kooba - Fooling Myself(Derrick Carter Remix) - OM Records |
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Arthur's Landing - Is It All Over My Face - China Town |
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Smith & Mudd - The surveyor - Claremont |
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Wareika Hill Sound - Kumina Mento Rasta (Version) - HonestJones Records |
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Soft Cell - Memorabilia-Luke Solomon's Remixes - White |
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Project Tempo - Tom Tom Dub - Project Tempo |
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Mr.V - Mr.Bongo - Vega |
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Loose Joint - Is It All Over My Face - West End |
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Tullio De Piscopa - Stop Bajon - Zyx records |
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Seu Jorge And Almaz - Everybody Loves The Sunshine (Joey Altruda Remix) - Now Again |
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Kool&The Gang - Spilit Of The Boogie - De-lite Records |
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Fern Kinney - Baby Let Me Kiss You - Wonkmusic |
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Tullio De Piscopo - Stop Bajon - ZYX Records |
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Bob James - Sing Of The Time - Columbia |
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Jason Lev & Dr.J - Give It To Me - Truth Is Light |
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Atlantic Conveyor - African Disco Power - Sofrito Specials |
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Rosebud - Money - White |
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Denpun - The Message Is - Dplab |
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Holger Czukay - Let's Get Cool - Claremont 56 |
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Kolm K + Freestylemellowship - Dancing Skulls - Bastard Boots |
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Dr.Dunks A.K.A Eric D - Tight - Keep It Cheap |
ジェイムズ・フェラーロとの90210やテスト・アイシクル(ドミノ)のメンバーでもあるサム・マーリングことサム・E・デインジャーことサム・マーランことサム・メランがイクスプローラーズの名義で昨09年にリリースした『バーミューダ・トライアングル』はドローンに神秘性を持たようとしたサウンドとしてなかば成功し、あとの半分はどうでもいい仕上がりだった。フラッシュバック・リポジトリーや最近ではアウター・リミッツ・リコーディングスなど、どうやら同じ名義では二度とリリースを重ねないというポリシーを持っているらしき彼がその次に目立ったのはマトリックス・メタルズの名義でリリースした『フラミンゴ・ブリーズ』で、ここではドローンには必ずしもこだわらないさまざまな趣向のサウンドが凝らされ、ときに眩暈を誘うループや70年代のウエスト・コースト・サウンドが素材として奇妙な変形を被っていた。これもなかばは成功し、残りはどうでもよかった。悪くいえばアイディアの垂れ流しのような人である。それもけっこうなグッド・アイディアを。
5人の女性たちによるサイケデリック・ロック・バンドとしてスタートし、これまでにローブドアとの『ハンテッド・ギャザリング』やゴングを真面目にしたような『アイランド・ダイモンズ』など、凄絶なトリップ・ミュージックを量産してきたポカホーンテッドが早い時期にベサニー・コセンティーノとアマンダ・ブラウンのふたりだけとなり、トライバル・リズムを強調した『メイク・イット・リアル』を最後に解散すると、ウェイヴスのネイサン・ウイリアムズとラヴラヴだという前者は一転してサーフ・ロックのベスト・コーストに、そして、後者はLAヴァンパイアーズとしてポカホーンテッドのサウンドを大筋で引き継いでいく(ホーンテッド→ヴァンパイアだしね)。そして、後者にはリズム要員としてマトリックス・メタルズの名前が大きくクレジットされていた。これは気になる組み合わせである。ジャケット・デザインは完全に失敗だと思ったけれど、ある種の脈絡の上に乗ってしまった者としては手に取らないわけにはいかない。手に取ったものはそのままレジに運ばれていく。そして、チャッキーンと音がする(ベスト・コーストも悪くはない。最初はブロンディのように聴こえ、5回以上聴くと、それがゴーゴーズと見分けがつかなくなってくる。「ベスト・コーストはどうやって世界を支配するの?」と訊かれたベサニー・コセンティーノは「みんなにネコをあげる」と答えていた。う~ん、ゴーゴーズだ......。ネコの名前はちなみにランナウェイ)。
『メイク・イット・リアル』に対する皮肉なのか(?)『とても現実的ではない』と題されたデビュー・アルバムはのっけからヘヴィなリズムで、これまでとは少し違う顔を覗かせる。あるいは『メイク・イット・リアル』にゲストで参加していたサン・アロウの影響が強く感じられ、ひとりになったことでファンクに集中しようとするブラウンが確認できる。ポカホーンテッドについて、かつてブラウンは、シャーディとファンカデリックが出会った新しいトーキング・ヘッズだと語っていたことがあり、サン・フランシスコではもっとも早くP・ファンクをサンプリングしていたディジタル・アンダーグラウンドから"キッス・ユー・バック"の歌詞を引用して歌っているように聴こえる曲も散見できる(ハウ・ウッド・ユー・ノウ)。ファンクのリズムにのせて奏でられるメロディや断片的なSEはとても幻想的で、なるほどどこを取っても「現実的ではない」。これまで外に向かって強く押し出されていたサイケデリックは内側に向きを変え、イメージの豊かさはかつてのそれを軽く凌駕する。サン・アロウのセンスがもっとも強く出た"ベルリン・ベイビー"は重心を低く取ったリズムがそれこそ助走を思わせ、どこか空に舞い上がっていくようなエンディング=タイトル曲までファンタジーは途切れない。ふわふわふわふわと、それはどこまでも続いていく。
カリフォルニアはいまや、セカンド・ウエスト・コースト・リヴォルーションを迎えている。レイヴ・カルチャーのときはそれほど反応がよかったとは思えないカリフォルニアがいまはサイケデリック全盛である。どのジャンルを見てもそうだし、デッド・ケネディーズが復活する予兆はない。チルウェイヴのレーベルかと思っていた〈ライフズ・ブラッド〉からリリースされたプリグナント=妊娠ことダニエル・トゥルードーのデビュー・アルバムも大人しかったのは最初の2曲だけで、途中からトロピカルを気取ったオウテカをエレクトロなハーバートがリミックスしたような展開になり、どんどん手が付けられなくなっていく(つーか、最初だけ大人しくする意味がわからない。しかもAサイドだけアナログ盤の中心から針が外側に移動するリヴァース式になっているというのも単に入り口がわかりにくいだけ)。
サイケデリック・ミュージックにフォーマットはない。マニュエル・ゲッチングのように陶酔的なサウンドもあればノイ!のようにナンセンスで責め倒すものも需要はある。プリグナントのそれは怖ろしく後者を彷彿とさせはするものの、ゼロ年代に起きたことを玉手箱のように圧縮し、また、大胆なカット・アップでそれらをシームレスに貼り合わせることで、時代の変化は歴然と明らかになっている。あるいは、それをあまりにも躁状態のなかで実践しているために、ゆっくりと考える時間さえ与えてもらえない。そう、もしもピンク・フロイド初期の"シー・エミリー・プレイ"や"アーノルド・レイン"をマウス・オン・マースがカヴァーしたら......とかなんとか。
2010年に『ニュー・スレイヴ』を発表した、いまどき希有な、怒りのこもったハードコアなジャズとミニマルを爆発させるニューヨークのアンダーグラウンドの脅威、ジーズがやって来る! それも年末に......。
これでもう、年末は帰省している場合ではないことがわかった。以下、詳細です。
| UNIT 2010 to 2011 (2010.12.31 FRI) | |
|---|---|
| LIVE PERFORMANCE |
Zs (from NY, The Social Registry) KIRIHITO (P-Vine Records) and more |
| DJ | KENJI TAKIMI (LUGER E-GO / CRUE-L) TEN (STERNE / ERR) KENTARO IWAKI (DUB ARCHANOID TRIM / BLOWMAN) |
| VJ | SAKOTA HARUKA |
| SALOON(B3F) "who is rodriguez ? Lr - NYE Special Edition -" | |
|---|---|
| DJ | Steve Bicknell
(from London, LOST / Spacebase / Cosmic) Miyabi (PLUS) |
| UNICE (B1F CAFE) "delight emotion floor" | |
|---|---|
| LIVE PERFORMANCE |
FilFla (WEATHER / HEADZ / PLOP) |
| DJ | L?K?O タカラダミチノブ (HONCHO SOUND) Ametsub Hiyoshi (Global Chillage) |
| presented byUNIT in association with root & branch | |
|---|---|
| OPEN/START | 21:00 |
| CHARGE | ADV.4,000yen/W.FLYER 4,500yen/DOOR 5,000yen ※未成年者の入場不可・要顔写真付きID |
| TICKET | チケットぴあ 0570-02-9999 [P]126-123 STORE |
| HP | https://www.unit-tokyo.com/ |
Zs (ジーズ)
サックス奏者/作曲家のSam Hilmer(サム・ヒルマー)によって2000年に結成されたZsは、その10年に渡る活動の中で、デュオからセクステットまで自在に形態を変化させつつ、Ben Greenberg(ベン・グリーンバーグ)、Tony Lowe(トニー・ロウ)、Ian Antonio(イアン・アントニオ)らの核メンバーと共に、ラディカルな地下活動を続けてきた。
ノー・ウェイヴ、フリージャズ、ノイズ、ポスト・ミニマリズム、電子音楽、即興演奏等の広大な領域を大胆に横断しながら、肉体的な意味でも精神的な意味でも過激に限界へと挑戦するサウンドが非常に高く評価されている。既存の楽器マニピュレートの域を拡張するユニークな演奏テクニックと、ほとんどテレパシーのようなバンドの呼吸によるコミュニケーションに裏付けられたライヴの強烈さによって叩き出されるその音は、たとえばかつてBattlesの音楽を形容する際に用いられた、「数学と暴力の融合」の発展型にして緻密にリズムを微分するフレーズと限界まで緊張感を高める暴虐性の混交であり、また例えばそれは、ライヒの執拗な反復とフリージャズの覚醒をハードコアへと織り交ぜた激烈なアップデートである。
バンドはこれまで、The Social Registry、Torubleman UnlimitedやPlanaria、Three One Gといったレーベルから作品を発表してきており、まずは2007年にPlanariaから発表されたセカンド・アルバム『Arms』によって、ここ日本でも大きく注目された(アルバムは日本ではPlanchaによって日本盤仕様で発売されている)。ジャズとマスロックの融合を完成させたこのアルバムに続き、さらに今年2010年にはGang Gang DanceやGrowingを擁する最新型NYアヴァンの牙城、The Social Registryから、フル・アルバムとしては3枚目となる『New Slaves』(日本ではPower Shovel Audioより12/15に、リミックス盤を加えたスペシャル・パッケージにて発売)をリリース。より肉体的なハードコア性とほとんど怒りにも似た感情の爆発、そして新たに独創的なエレクトロニクスの導入を果たし、"エクスペリメンタル・ミュージックの新たなディケイドの幕開け""ニューヨークでもっとも強力なアヴァン・バンドのひとつ -New York Times-"と絶賛された。スリリングで複雑で精緻で、なおかつ理屈抜きに叩きのめされるサウンドをこの初来日で是非体験してください!
「ガター・ハウス(GUTTER HOUSE)」と「ヘヴィー・ベース」! 彼らのイヴェント・フライヤーにおけるお決まりのキャッチフレーズはいつだってこのふたつ。「ハウスでもベースラインでもポスト・ダブステップでも、正直何でもいいんだよね。かかってる音楽を言ってるんじゃなくて、あくまで雰囲気的なものだよ」レーベル・オーナーのひとりであるボク・ボク(BOK BOK)は言う。
ボク・ボクとエルヴィス1990(L-Vis 1990)のふたりが主宰するロンドンでも指折りの良質イヴェント「ナイト・スラッグス」は、このしみったれた長い冬の季節を無事に越えることができたなら、来年の春にはいよいよ3周年を迎えることになる。2010年は待望のレーベル運営にも着手、「パーティ」というローカルな、属地的な営みからの脱却により大きく知名度をアップ、ワールドワイドな躍進へ向けての新たな一歩を踏み出す門出の1年となった。『ナイト・スラッグス・オールスターズ』は、そんな彼らのレーベル活動を総括する初めてのコンピレーションだ。
アイコニカやコード9、ベン・UFO、ジョイ・オービソンらをゲストにフィーチャーしたり、ときにはブルックリンからトラブル&ベースの面々を招へいしてみたり、過去2年間にわたる継続的、そして精力的なイヴェント・オーガナイズの実績があったとはいえ、彼らがレーベル活動を本格化させたのはまだ今年に入ってすぐのことだった。それを考えると、この年の瀬に、初めてのショウケースをアルバム・パッケージのかたちで(早くも)耳にすることができたというのは、設立当初より単なる興味関心以上の思いを彼らに寄せていたとはいえ、ちょっとした嬉しい誤算だった。それだけ向こうでは期待されたレーベルなのか、はたまた彼らの自信の顕れなのか、まぁ、1年生にして「オールスターズ」を名乗るくらいだから、それなりに自信はあるんだろうけど。
アルバムは、モスカによるレーベルからの記念すべき最初のシングル『スクエア・ワン』のタイトル曲にアップグレードを施した強力な未発表ヴァージョンで幕を開ける。まるでキックス・ライク・ア・ミュールか何か、レイヴ黎明期のブレイクビート・ハウスがファンキー経由でゾンビ化したようなハイブリッド・ベース・サウンドで、〈ナイト・スラッグス〉というレーベルの現在地をストレートにマニフェストする、コンピのトップに相応しいチョイスである。続くリル・シルヴァは、「パルスvs.フレックス」が〈ソウル・ジャズ〉のコンピ『リディム・ボックス』にもフックアップされ、注目を集めた弱冠20才の新進プロデューサー。この「ゴールズ・トゥ・ゲット」は、申しわけ程度のシンセ・リフが際立たせる、まるでデモみたいな隙間だらけのビートが何とも痛快で、ストレートな現場仕様の1曲だ。
今後レーベルの看板アーティストとして大きくジャンプ・アップしていきそうなガール・ユニットは、センセーションを巻き起こした"IRL"のボク・ボクによるリミックス・ヴァージョンと"WUT"のオリジナルの2曲をピックアップ。仰々しいオーケストラ・ヒットを散りばめた"IRL"は、原曲のシカゴ・マナーを大胆にそぎ落としたシンプルなストラクチャーで、インパクトは大きい。なんと言ってもボク・ボクのリワークは圧巻だ。
そのボク・ボクとニューヨークのキュービック・ジルコニアの共同作品となる"リクラッシュ"は、デトロイティッシュな疾走感が何とも心地よい、レーベルの振れ幅の広さを印象付ける佳曲で、ここからのオプティマム"ブロークン・エンブレース"への流れは秀逸という他ない。アイコニカの現在のプロダクション・パートナーであるオプティマムによるこの新曲と、それに続くモントリオールのクリエイター、ジャキス・グリーンによる"ホワット・ユー・ウォント"は、ちょうどシングル・カットされたばかりだ。
他にも、エルヴィス1990とT・ウィリアムスのタッグを筆頭に、エジプトリックス、ジャム・シティ、キングダムにヴェロアと、「オールスター」の名に相応しいストロングな楽曲が並ぶ。キングダムなんかも、フールズ・ゴールドの曲よりこっちのほうが断然タフで聴き応えがあるんじゃないかと。
全体の流れもよく練られていて、単なるシングル曲や未発表の寄せ集め、というより、きちんとアルバムとして成立している。シャッフル・モードではなく、ぜひアタマからそのままかけっぱなしで聴かれることを、お薦めします。
気がつけば2010年も残りわずか。あちらこちらで年間ベストの話が出てくる頃かと思いますが、どこかで「ルーキー・レーベル・オブ・ザ・イヤー」みたいなものがあるとしたら、少なくとも候補リストには載せてあげたい。いまもっとも勢いのあるレーベルで、引き続きブックマークしておきたいレーベルである。
![]() Eskmo / Eskmo Ninja Tune / ビート |
絶えず拡大するポスト・ダブステップという宇宙のなか、グリッチもいま、新たなフェイズに突入している。フライング・ロータスの『ロスアンジェルス』を契機に、たとえばグラスゴーではウォンキー(グリッチとダブステップとチップチューンとの出会い)が生まれ、そしてサンフランシスコからはエスクモが登場した。自らをエスクモと、実に寒そうな名前を名乗る青年、ブレンダン・アンジェリードは比較的温暖なサンフランシスコを拠点とするトラックメイカー/プロデューサーである。彼はグリッチとアンビエント、IDMをシャッフルする。そして暗く幻想的でミニマルなビートによって、ある種のサイケデリック・ワールドを描いている。それはJ・ディラではなく、フォー・テットやボーズ・オブ・カナダに近い。
ブレンダン・アンジェリードが音楽活動をはじめたのは、10年前の話だ。アモン・トビンらに影響を受けながらニューヨークでIDMスタイルの音楽を発表していた彼は数年前にサンフランシスコに引っ越している。そして、2009年に自主制作で発表したEP「ハイパーカラー」が〈ワープ〉の運営する配信サイト「ブリープ」で絶賛されると、フライング・ロータスが主催するパーティ〈ブレインフィーダー〉に出演を果たし、その評判を高める。
そして昨年から今年にかけて〈プラネット・ミュー〉からは〈4AD〉系の霊妙さを孕んだ「レット・ゼム・シング(Let Them Sing)」を発表、さらにまた〈ワープ〉からはスプリットで、スワンが歌う天文学の歌をフィーチャーしたゴシック調のR&B「ランド・アンド・ボーンズ(Lands And Bones )」をリリースしている。この2枚のシングルで評判をさらに高めて、去る10月には〈ニンジャ・チューン〉から「人間と機械の境界線をぼやけさせるような音楽」とBBCに評されたアルバム『エスクモ』を発表している。
取材に現れたブレンダン・アンジェリードは、実におっとりとした、清楚な佇まいの青年だった。
ロンドンのアントールドやジェームス・ブレイク、スキューバ、あと〈ヘッスル・オーディオ〉(ラマダンマンらが主宰するレーベル)やピンチ、彼らにはシンパシーを感じるよ。アントールドは最近知ったばかりなのだけど、彼は本当に素晴らしい。
■ザ・レジデンツのTシャツを着ていますね!
エスクモ:彼らの『エスキモー』(1979年)というアルバムがすごく好きなのだけど、僕の「エスクモ」という名前はそこからインスピレーションを受けているんだよ。
■ああ、なるほど!!
エスクモ:アルバムのなかで、シャーマンが氷の下に入るためにおまじないをして、氷の下に入って、まだそこから出てくるっていう曲があるのだけど、そういったシャーマニックな部分であったり、アイデアが面白いと思うんだ。彼らのコンセプトである、ポップなものを捻って何かを作るっていうやり方に、すごく共感しているよ。
■彼らの作品はどれもコンセプチュアルなものですが、あなた自身の音楽もそうであると思いますか? DJカルチャーやクラブ・ミュージックの文脈とは、また違うところにあるものだと思いますが。
エスクモ:今回のアルバムでは、レジデンツにシンパシーを感じたりする自分のパーソナルな部分と、エンタテインメントな部分、それはDJでみんなを喜ばせることであったりするのだけど、それらを上手く同居させることが出来たんじゃないかなと思っているよ。そういったことを僕は意識してやっているから、ある意味ではコンセプチュアルなものなのかもしれないね。でも、レジデンツからクラブ・ミュージックまでまたいで好きなのは、僕にとってはとてもナチュラルなことなんだ。うーん、上手く伝わるといいのだけど。
■レジデンツのTシャツを着ているトラックメイカーなんて、なかなかいないと思いますけどね(笑)。
エスクモ:今日のステージを観てもらえば、もっと上手く伝わると思うな!(笑)。
■そういえば、エイフェックス・ツインが初めて日本でDJをしたときに最初にかけたのはレジデンツなんですよ。
エスクモ:ワオ、それはナイスだね!
■いまはサンフランシスコを拠点に活動しているんですよね。
エスクモ:うん、そうだよ。
■〈ロウ・エンド・セオリー〉や〈ダブラブ〉など、あなたの地元であるUS西海岸のローカルなコミュニティから生まれたアンダーグラウンド・ヒップホップからの影響は勿論あると思うのですが、あなたの作るトラックからは、UKのグラスゴウのハドソン・モホークやラスティのような、ダブステップ以降のトリッキーなビートとの共振も感じられました。US西海岸とUKを繋ぐビートが出てきたことに、とても興奮したのですが。
エスクモ:正直に言うと、それがどういった経緯で生まれてきたのかは、僕にも上手く説明ができないんだ。普段は特定のジャンルの音楽を聴いているわけではなくて、フォークも聴くし、ジャズも聴くし、もちろん新しいビート・ミュージックも聴いているし。ただ、君が指摘したように、僕らウエスト・コーストとUKのシーンは通じ合っているところあると思う。具体的にどうというわけではないのだけど、マインドやアティテュードは近い気がするな。それはニューヨークのシーンにはないことだと思うんだ。
■UKでシンパシーを感じるアーティストはいますか?
エスクモ:ロンドンのアントールドやジェームス・ブレイク、スキューバ、あと〈ヘッスル・オーディオ〉(ラマダンマンらが主宰するレーベル)やピンチ、彼らにはシンパシーを感じるよ。アントールドは最近知ったばかりなのだけど、彼は本当に素晴らしい。基本的に、僕が好きになったりマインドが近いなと思うのは、アッパーなものより、土台がちゃんと固められた落ち着いたものなんだ。
![]() photo : Masanori Naruse |
僕がサンフランシスコに引っ越した理由のひとつは、「レッド・ウッド」という木が生えている森があるからなのだけど、そこに入ると多くのインスピレーションをもらうんだ。自分の音楽のアイデアはそこで生まれることもよくあるし、自然から受け取るものはたくさんある。
![]() Eskmo / Eskmo Ninja Tune / ビート |
■あなたの作るトラックは、コズミックな音色のシンセを使いながら、下地にはトライバルなビートを敷いていたりしますよね。そういった相反するものが混ざり合うことで生まれるサイケデリックな世界観が面白いなと思いましたが、それはひとつのコンセプトであったりしますか?
エスクモ:そういったサウンド・テクスチュアに関しては、とくにテーマやコンセプトがあるわけではなくて、あれは自分のなかから自然と出てきた、自分にとってフィットすると思えるカタチなんだ。君が言った、テクノロジックなものとナチュラルなものを組み合わせる手法にしてもそうで、さっきもレジデンツとクラブ・ミュージックの話をしたけど、一見、まったく異なったものを組み合わせることに興奮を覚える人間なのかもしれない。この電話の音のように(と言って、近くに置いてあった電話をガチャガチャといじる)、フィールド・レコーディングもたくさんしているのだけど、デジタルとアナログを組み合わせることも、自分にフィットする手法だと思っているよ。
■アルバムのなかにはヴォーカル・トラックも多くありますが、こういったシーンのなかでは珍しいですよね。
エスクモ:昔から自分の声はよく録っていたのだけど、いままでは、あくまでサンプリングのネタというか、曲のなかでチョップアップして使うためのひとつのマテリアルぐらいでしか考えていなかったんだ。でも、今回のアルバムでは「ネクスト・レヴェルに行かなければ」という気持ちが強くあって、こういった挑戦をしてみたんだよ。とは言っても、実際に自分の歌声を録るのは正直怖い部分もあったし、みんなに「ゲゲーッ!」って引かれるんじゃないかって、すごく冷や冷やした。だって、僕のいるシーンには、そんなことをやっている人はいなかったしね。でも、とりあえずそういったことは忘れて、自分のパーソナル部分に向きあって、いま、自分が何をしたいのか、何をしなければいけないのか、自分のなかの意識に正直に従って作っていくことにしたんだ。
■なるほど。
エスクモ:仮に自分が音楽を作っていなかったとして、他の何かのアーティストだったとしても、自分がつねにやらなければいけないことは、ネクスト・レヴェルに行くことだと思うんだ。他人がどう思うかで自分に制限をつけてしまうのは絶対によくないことだから、とりあえず、自分がどう見られるかは置いておいて、自分が正しいと思うことに挑戦してみたんだよ。
■もしかすると、自分はトラックメイカーというよりも、シンガー・ソングライターだという気持ちが強かったりしますか?
エスクモ:そうだね、ごく最近になってそう思いはじめたところだよ。
■先ほどあなたもアントールドやジェームス・ブレイクのようなポスト・ダブステップのアーティストの名前を挙げていたように、いま、エレクトロニック・ミュージックのシーンは大きく変化している真っ直なかだという印象を受けます。そして、どこに向かっていくのかわからないという面白さがありますよね。自分たちがいるシーンについてはどう考えていますか?
エスクモ:いまのエレクトロニック・ミュージックのシーンはとても健康的だよね。健康的だからこそ、ドラスティックに変化し続けているわけだろうし。だからこそ、今後どうなっていくかっていうのは僕にもわからないのだけど、ジェームス・ブレイクもやっているように、ヴォーカルを取り入れたトラックがこれからどんどん増えてくるんじゃないかな。R&Bの要素を取り入れたり。
■今年の夏にUKでは、マグネティック・マンの"アイ・ニード・エア"がヒットしました。もしかしたら、次はあなたのいるシーンからこういったアンセムが生まれてくるのでは、と思ったのですが。
エスクモ:正直なところ、マグネティック・マンは名前ぐらいしか知らなくて、そこまで追いかけていないんだ。家でエレクトロニック・ミュージックを聴くときは、静かなものを聴くことが多いね。ススム・ヨコタのような。昔はアッパーなものも多く聴いていたけど、最近は少し疲れてきちゃったみたいで。
■音楽以外で影響を受けているものはありますか?
エスクモ:僕がサンフランシスコに引っ越した理由のひとつは、「レッド・ウッド」という木が生えている森があるからなのだけど、そこに入ると多くのインスピレーションをもらうんだ。自分の音楽のアイデアはそこで生まれることもよくあるし、自然から受け取るものはたくさんあるね。あとは家族や彼女、あ、昔の彼女も含むのだけど、そういった人間関係が音楽を作るときのインスピレーションに繋がることも多いね。
■「レッド・ウッド」を求めてサンフランシスコに移住したというのは、あなたのロマンティストとしての資質がそうさせたのか、それとも、スピリチュアルなものに対する好奇心が大きかったのか、どちらでしょうか?
エスクモ:どっちもだね。スピリチュアルな部分にも惹かれたし、僕にはロマンティストな部分もあると思う。あと、これはすごく生活感のある話だけど、ご飯も美味しいし、過ごしやすい気候だしね。
■リリックのなかでも、そういったスピリチュアルな部分であったり、ナチュラルな部分が描かれていて、幻想的なものが多いなと思ったのですが、それはあたなの出自であったり、トラックとの相互関係でそういったリリックを書くようになったのでしょうか?
エスクモ:リリックのテーマは大きく分けて、コンセプチュアルなものとごくごくパーソナルなもののふたつだね。"ウィ・ガット・モア"、"カラー・ドロッピング"、"ムーヴィング・グロウストリーム"、"マイ・ギアズ・アー・スターティング・トゥ・トレンブル"の4曲はコンセプチュアルなもので、他の曲はすべてパーソナルなことを歌っている。"ゴールド・アンド・ストーン"はその両方の要素があって、これは錬金術師のことを歌っている。"マイ・ギアズ・アー・スターティング・トゥ・トレンブル"は完全にコンセプチュアルなもので、ロボットを造る科学者がいて、彼が造ったロボットが誕生するときに科学者自身も誕生する、つまり、自分の生を実感するという内容だね。その反対に、パーソナルなことを歌った曲では、家族との関係であったり、コミュニケーションについて歌っているんだよ。
■アルケミーなものに興味を持ったきっかけというのは何なのでしょうか?
エスクモ:自分にとって大きかった最初の影響は、15歳のときにハマったマジックかな。マジックと言っても、手品のマジックではなくて、魔法のマジックのほうなのだけど、あの頃はマジックについて書かれた本を沢山読んでいたね。あとは、自分が置かれている環境から常々影響を受けていると思う。悲しい出来事があれば、自分のマインドや身体をはじめ、いろいろなことが変わっていくだろうし。マインドが自分を変えていくのではなくて、環境が自分を変えていくものだと思っているよ。
■では、あなた自身の音楽は、リスナーにどういった影響や効果を期待していますか?
エスクモ:具体的なものはないのだけど、それぞれがいろいろなことをそこから感じ取ってもらえればいいな。ミュージック・ヴィデオに関しても、こう受け取ってもらいたいという具体的なものはないのだけど、観て聴いた人がそこでモチヴェーションを感じてくれたり、何かをスタートするきっかけになれば幸いだね。
![]() photo : Masanori Naruse |
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■日常生活ではよく音楽を聴く方ですか?
エスクモ:iPodのような携帯プレイヤーで聴くことはほとんどないかな。例えば、いまみたいに日本に来ているときは、見るもの聞くものに驚くことがたくさんあり過ぎるしね。家ではよく聴いているけどね。
■最近は何をよく聴いていますか?
エスクモ:ミュー(Mew)やビーチ・ハウスをよく聴いている。ビーチ・ハウスはとくにシンパシーを感じるな。ナイス・ナイスみたいなバンドも好きだよ。
■この度〈ニンジャ・チューン〉からアルバムをリリースする運びとなりましたが、その前に今年は〈ワープ〉からのスプリットと、〈プラネット・ミュー〉からシングルをリリースしていますよね。
エスクモ:とても光栄だし、本当にラッキーだと思っている。〈ワープ〉から一緒にスプリットをリリースしたエプロムとは本当に仲が良くて、よく一緒にサイクリングをしているよ。僕はバイクには疎いけど、彼は本当にクレイジーなぐらい詳しいんだ(笑)。サンフランシスコのシーンは、ロサンゼルスより規模が小さいから、大体みんな知り合いなんだ。よくみんなで一緒に遊びに行くしね。
■動画サイトであなたのライヴ映像を観たのですが、ラップトップを操作しながらマイクを握って歌っていたのには驚きました。今日のライヴでもあなたの歌は披露されるでしょうか?
エスクモ:もちろんだよ! 最近は自分の歌声以外にも、その場でフィールド・レコーディングしたものをサンプリングしてループさせて使っていたりもするから、その辺も楽しみにしていてもらいたいね。きっと面白いライヴを見せれると思うよ。
![]() photo : Masanori Naruse |
その後のライヴでは、宣言通り自らの歌声を披露したり、フィールド・レコーディングやサンプリング&ループを駆使して、トリッキーなパフォーマンスを見せてくれた。彼のような「フライング・ロータス以降」のサイケデリックと「ハドソン・モホーク以降」のウォンキーの両方の影響下にあるモダンなグリッチ・ホップはいま、冒頭でも書いたように、突然変異を見せながら世界中のあちこちで増殖しつつある。舞台はUSとUKのみならず、フィンランドやスウェーデンの北欧のシーン(何と言ってもスクウィーの本場)、オランダ、あるいはスペインの〈ローファイ・ファンク〉とも共振しながら突き進んでいる。
以下、この秋以降にリリースされた、シーンを象徴する5枚セレクトした。これらの作品をきっかけ深くディグして頂ければ本望です。
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UKでウォンキーの総本山と言えば、このラスティやハドソン・モホークらが所属するグラスゴウのアート・コレクティヴ〈ラッキー・ミー〉(https://www.thisisluckyme.com )だろう。この集団は、彼らのような新進気鋭のトラックメイカーをはじめ、アメリカン・メンのようなポスト・ロック・バンドから、グラフィック・デザイナーやフォトグラファーなどファイン・アートのクリエイターまで、多数のアーティストよって構成されている。ラスティとハドソン・モホークのふたりがすでに〈ワープ〉からデビューを果たし、〈ラッキー・ミー〉としても今年の6月にバルセロナで開催された〈ソナー〉にてショウケースをおこなっている。 |
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〈ラッキー・ミー〉から1枚ご紹介。彼らは地元グラスゴーのシーンのみならず、ブルックリンのマシンドラムのような、北米の稀代なトラックメイカーまでもフックアップしている。マシーンドラムことトラヴィス・スチュアートは、これまでにもマイアミのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈メルク〉よりアルバムを数枚リリースしている。ヴォーカルのカットアップによってメロディアスなビートを作り上げる独特の手法から、グリッチ・ホップ黎明期の裏の顔として、プレフューズ73らと並べて評価されている。 〈ラッキー・ミー〉からのリリースとなったこのEPでは、心機一転、シルキーで煌びやかなエレクトロ・ファンクから、下世話なベースラインが耳を惹くバウンシーなフィジェット・ハウス、つんのめるほどアッパーなゲットー・ベースまで、新たな挑戦が数多く見られる。このEPの直後には、ニューヨークの〈ノームレックス〉からアルバム『ウォント・トゥ 1 2?』がリリースされている。こちらはヴォーカルを多数フィーチュアしたメロディアスなトラックが多く締めている。 |
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グリッチ・ホップのイノヴェイター、デイダラスと〈ブレインフィーダー〉のティーブスによるスプリット10インチ。アイルランドのアンダーグラウンド・ヒップホップ・レーベル〈オール・シティ〉(オンラーのアルバム『ロング・ディスタンス』が最高)によるこのスプリット・シリーズでは、これまでにもデイム・ファンクやトキモンスタ、P.U.D.G.E.らが未発表の新曲を提供している。タイトルの通り〈ロウ・エンド・セオリー〉周辺の「いま」を切り取った最新のレポートとなっている。どちらもウエスト・コースト特有の煙っぽいサイケデリアが特徴的だが、よりアトモスフェリックでティーブスなそれは、まるで地下室の煙が天高く浄化されていくかのように、眩しいほどに乱反射を見せている。 |
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ここ数年の〈ストーンズ・スロウ〉は、デイム・ファンクやメイヤ・ホーソンなど、70~80'sのスモーキーなソウル/ファンクをモダンに刷新するホットな新人たちを立て続けに送り続けてきたが、このエレクトロ・ブギーの王子ジェイムス・パンツもそのうちのひとり。このEPでは、エキゾチックな音色のホーンやマーチング・ドラムをサンプリングしたり、ガムランのビートを取り入れることで、無国籍ビートを生み出すことに成功している。他にもフットワークのような細かいハイハットのフレーズがあったり、キャスパやラスコなど〈サブ・ソルジャーズ〉周辺のトラックメイカーが得意とする、ウォブリーなベースラインが強烈なロッキン・バーストな曲があるが、彼はDJも相当狂っているようで、この支離滅裂なビートこそ持ち味と言える。 |
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ブライトンの新興レーベル〈ドンキー・ピッチ〉によるスプリットEP。スラッガベッドはすでに今年の春に〈プラネット・ミュー〉からデビューを果たしている。そのロウビットの電子音でカラフルに彩られたコミカルなエレクトロ・ファンクは、〈ランプ〉周辺のロウビットなダブステップ/スクウィー好きのビート・ジャンキーを中心に評価が高かった。ゴースト・マットはこのEPで初めて知った存在だが、まるでメロウな歌モノR&Bをアイコニカがリエディットしたかのような、セクシャルでメロディアスな輝きがある。 |