ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns 〈FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL 2026〉出演者解説 ──ジョイ・オービソン、セイバーズ・オブ・パラダイス、ノサッジ・シング×真鍋大度、ロレイン・ジェイムズほか
  2. interview with Loraine James ロレイン・ジェイムズの“ポップ”な冒険 | ——来日直前インタヴュー
  3. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還  | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって
  4. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  5. Crack Cloud ──カナダのインディ・バンド、クラック・クラウドの来日公演が決定
  6. Vladislav Delay Quintet - Vd5 | ヴラディスラフ・ディレイ
  7. FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL 2026 ──新たなフェスティヴァルが始動、ジョイ・オービソンやザ・セイバーズ・オブ・パラダイス、ノウワーらが出演
  8. Fusion Core ──1999年のデビュー・ミニ・アルバムがアナログ化
  9. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還 | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって(後編)
  10. Brian Jackson - Now More Than Ever | ブライアン・ジャクソン
  11. Columns Jeff Parker ジェフ・パーカー・ETAカルテットの挑戦 | ──原雅明と蓮沼執太による対話
  12. Miru Shinoda ──ソロ・デビュー作となるEP「Pressure Field」を〈ECP〉よりリリース
  13. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売
  14. Cornelius ——コーネリアスがアルバム『Refractions』のリリースと新曲“Aeons”の配信開始を発表
  15. Cornelius ——コーネリアスのライヴ・ドキュメンタリー映像「“Dream in Dream” Tour Document Episode 1」公開
  16. UKインディ・ロック入門──ポスト・パンク、ギター・ポップ、スカとダブ編
  17. Loraine James - Detached from the Rest of You | ロレイン・ジェイムズ
  18. Kangding Ray - ULTRACHROMA
  19. Zoh Amba - Sun | ゾー・アンバ
  20. interview with Mouse on Mars 僕たちはダブを、ジャンルではなく社会的なものとして捉えたい | ——リー・ペリーとの共作を発表したマウス・オン・マーズ、インタヴュー

Home >  Reviews >  Album Reviews > Sun Araw- Ancient Romans

Sun Araw

Sun Araw

Ancient Romans

Sun Ark

Amazon iTunes

三田 格   Sep 07,2011 UP

 リイシューやリマスターが続いていたけれど、『オン・パトロール』以来、1年半ぶりとなる5作目はどうやらセルフ・レーベルから(正確にはマシュウデイヴィッドとのライヴ・カセットが昨年末にリリースされている)。
 マスタリングにソニック・ブームを迎えているところがまずは目を引くところで、導入はテリー・ライリーを思わせる中華風味のシンセ・ドローン。これがなかなか堂に入っていて、続く"クラウン・シェル"にも基本的なムードは引きつかれながら、だんだんとトレードマークのダブ・ファンクへと発展していく。それも前ほど先へ先へと急ぐ感じはなくなって、ダブに遊んでいるようなパターンが増え、全体的に陶酔感も高まっている。つまり、ソニック・ブームの起用はかなり頷ける。さらに"クレタ"ではサイケデリックな音が乱舞が延々と持続し、どこをとってもトリップ・ミュージック以外の何者でもなくなっていく。気持ちいい。
 『古代ローマ的』というのはさすがにダッサいタイトルだけど、瞑想的なモードに入りすぎて、もはやこの世にいる気がしないのだろう。それこそ60年代の轍をそのまま繰り返してしまいそうなほど現代には距離を感じ、頭の中はフィリップ・K・ディックのようなことになっているに違いない。目を上げたらローマが見えたとか、そんな感じ。イギリスを中心としたヨーロッパのセカンド・サマー・オブ・ラヴからは、こうした感覚は生まれなかった。「知」はアジアや古代に潜在しているという強迫観念はアメリカ人に独特のものなのだろうか。我らがキャメロン・ストーローンズがハレ・クリシュナやサイエントロジーのようにならないことを願うしかありませんね。
 中盤からは多少、乱れ打ちの感覚でトリップ・ミュージックのいろはが並べられる。いささか苦行めいた"デルフォイの神殿にて"(......ってギリシャじゃなかったっけ?)、どこからかドン・チェリーが出てきそうな"シーザーにぴったり"、後半はまたガラッと雰囲気を変えて、モンドめいた猥雑さを併せ持ちながら混沌としたヴィジョンが展開され、最後は100%シルクなどの動向を意識したのか、呪術的なディスコで締めくくられる(この曲だけベスト・コーストからボッブ・ブルーノがエンジニアに起用されている)。これでようやく現代に戻ってきたという意味なのだろうか......。

三田 格