Shop Chart
![]() 1 |
DAVID GRAY/TRACY CHAPMAN
THE OTHER SIDE/CROSSROADS-NK RMX
WHITE(JPN)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 2 |
|||
|---|---|---|---|---|---|
![]() 3 |
![]() 4 |
||||
![]() 5 |
![]() 6 |
||||
![]() 7 |
![]() 8 |
GOMMA ALL STARS
CASABLANCA REWORKS(feat.PEACHES)
GOMMA(GER)
»COMMENT GET MUSIC
|
|||
![]() 9 |
![]() 10 |
![]() 1 |
DAVID GRAY/TRACY CHAPMAN
THE OTHER SIDE/CROSSROADS-NK RMX
WHITE(JPN)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 2 |
|||
|---|---|---|---|---|---|
![]() 3 |
![]() 4 |
||||
![]() 5 |
![]() 6 |
||||
![]() 7 |
![]() 8 |
GOMMA ALL STARS
CASABLANCA REWORKS(feat.PEACHES)
GOMMA(GER)
»COMMENT GET MUSIC
|
|||
![]() 9 |
![]() 10 |
冬だ。ホラー・アルバムを2作。
1枚目はアンディ・ヴォーテルがインドのホラー・ムーヴィーからセレクトした『ボリウッド・ブラッドバス』。これは、しかし、1ミリも怖くない。ブックレットにはオリジナルとなる16作品のジャケットや概要も紹介されているんだけど、音楽を聴いている限りはどれも陽気なサスペンス映画としか思えない。ズンチャカ、ズンチャカ。インド人というのは、これがコワい音楽なんでしょうか?? 焦って『インドの時代』や『カルカッタ染色体』も読んでみたけれど、わからない~(M・K・シャルマ『喪失の国・日本』が一番面白かった~)。でも、このバカバカしさはいいですよ。2011年はタイのレア・グルーヴにかなり溝を空けられていたけれど、まだまだインドの山奥は出っ歯のハゲ頭でしょう(こんなこと書いて、サラーム海上さんに殴りかかられたらどうしよー。『セカンドバージン』の鈴木行のようには避けられないぞー)。
続いては「1772 オカルト小説へのサウンドトラック」とサブ・タイトルが付けられたイメージ・アルバムで、18世紀に書かれたフランスの恐怖小説『ル・ディアブル・アモーレ(=『デヴィル・イン・ラヴ)』を素材に22組のミュージシャンがメランコリックな演奏を畳み掛けるもの。同小説は読んだことはないけれど、ライナーによるとヨーロッパ文学のなかではエソテリックなテーマを扱った先駆だそうで、さらには「プロト・クイアー・ノヴェル」として位置づけられるというから、もしかするとゲイ的な価値観のなかから生まれてきたコンピレイションなのかもしれない(エントリーにはギャビン・フライデーやスワンズからジャーボー、懐かしいところでは「ロックのエドガー・アラン・ポー」と呼ばれたポール・ローランドの名前も散見できる)。同作ではラクダの姿で現れた悪魔はコッカー・スパニエルに変身(?)し、最後は「ビューティフル・アンドロジニアス・ガール」の姿になるとあるので、もしかすると、時期的にこの企画は『ぼくのエリ』として映画化され、さらにはハリウッド・リメイクもされた『モールス』になんらかのリアクションを仕掛けた企画だという気がしないでもない(『モールス』の原作は、ちなみにモリッシーに捧げられている)。つまり、テーマといい、音楽性といい、あまりにもヨーロッパの深いところと結びついているので、どんな時代と結びつこうとも、訴えかけてくるものは何ひとつ変化のしようがないのではないかと(実際、〈チェリー・レッド〉のコンピレイションとして聴いていても、なんの違和感もない)。
とはいえ、シャーロン・クラウスによる優美なアンビエント・ドローン、ジョン・ゾーンによるメランコリックな弦楽四重奏、アール・ゾイドはインダストリアル直球で、デーデンス・ラムンガーはどこかノイエ・ドイッチェ・ヴェレと、手法は多種多様で音楽的なヴァリエイションにはもちろん予想外の広がりがある。EUだけでなく、日本からもマナブ・ヒラモト(シンキロウ)とケイジ・ハイノが参加している(クール・ジャパンとは言わないけれど、いかにも和風のアプローチを見せる後者はかなり興味深い上に、なぜかひとりだけバイオグラフィが黒く塗りつぶされている)。
冒頭では安直にホラーと記したけれど、『デヴィル・イン・ラヴ』は奇しくも紙エレキングVol.4で2011年のキーワードにあげた「ウィッチネス」とオーヴァーラップする部分が多い。ここでもゴシックというほどではなく、もう少し民族的な気質や風土に根ざした惰性ともいうべきものに依存した感覚といえばいいだろうか。少し前に公開された映画で、ブルガリアのカメン・カレフ監督『ソフィアの夜明け』には政治的な立場と音楽との結びつきが全体を通して暗示的に映し出されるという構造があり、「ウィッチネス」というタームがある種の軋轢のなかで果たす役割が肌で理解できる場面を観ることができた。基本的にはヨーロッパにおけるネオ・ナチの台頭を背景とした作品なので、そこには実際にセラピー効果のようなものが認められ、「必要性」さえ認識できたのである。これをヨーロッパの限界と見るか、それともセーフティ・ネットのようなものと考えるか(......インドの人はもちろん、わかりません~)。
![]() 1 |
![]() 2 |
||
|---|---|---|---|
![]() 3 |
![]() 4 |
||
![]() 5 |
![]() 6 |
||
![]() 7 |
![]() 8 |
||
![]() 9 |
![]() 10 |
世界でもっとも悲観的で、自虐的で、感傷的なダブ・トランペッター、我らがこだま和文のバースデイ・ライブが2daysに渡って開催される。なんでも57歳だそうだ。57歳まで生きられればずいぶんご立派なものだが、『寒い男のDUB生活30周年、たんじょうび。べつにめでたくもなく』とは本人が付けたタイトルだそうである。場所はいつもの六本木通り沿いの「新世界」。乃木坂から歩いて10分弱。六本木ヒルズの筋迎え。20年前ならハウスやトランスが響いていた怪しげなエリア。いまではハウスのハの字もありゃせんが......。
今回はターンテーブルにトランペットというレギュラーセットに加え、ゲストとしてSLEEP WALKERで活動中の実力派キーボディスト、吉澤はじめを招いてスぺシャル・セッションが実現!
1月28日(土)
開場19:00 開演20:00
こだま和文from DUBSTATION W/DJ GINZ-I(from名古屋)
ゲスト:吉澤はじめ(SLEEP WALKER)
1月29日(日)
開場18:00 開演19:00
こだま和文from DUBSTATION W/DJ-YABBY
ゲスト: 吉澤はじめ(SLEEP WALKER)
@西麻布「新世界」
https://shinsekai9.jp/
前売り予約:¥3,500(ドリンク別)/ 当日券:¥4,000(ドリンク別)
〔インフォ・チケット予約・お問い合わせ先〕
西麻布「新世界」
https://shinsekai9.jp/2012/01/28/kodama5/
TEL: 03-5772-6767 (15:00~19:00)
東京都港区西麻布1-8-4 三保谷硝子 B1F
こだま和文 from DUB STATIONプロフィール

1982年、ライブでダブを演奏する日本初のダブ・バンド「MUTE BEAT」結成。通算 7 枚のアルバムを発表。1990年からソロ活動を始める。ファーストソロアルバム「QUIET REGGAE 」から2003年発表の「A SILENT PRAYER 」まで、映画音楽やベスト盤を含め通算8 枚のアルバムを発表。プロデューサーとしての活動では、フィッシュマンズの1stアルバム「チャッピー・ドント・クライ」、チエコ・ビューティの「ビューティズ・ロック・ステディ」等で知られる。また、DJ KRUSH、UA 、エゴラッピン、LEE PERRY、RICO RODRIGUES等 、国内外のアーティストとの共演、共作曲も多い。
マイルス・デイヴィスの作品では僕は、〈プレスティッジ〉から出ているアルバムが好きだ。1956年に録音された『ウォーキン』や『スティーミン』のような、その若さと情熱にまかせてセッションをやっている感じが好きなのだ。ジョン・コルトレーンやレッド・ガーランドの演奏も、若々しくリズミカルで、ときに軽やかで、美しい躍動感を持っている。レッド・ガーランドなどは当時はカクテル・ピアニストなどと誹謗されたそうだが、いま聴けばむしろお洒落で、実に格好良く決まっている。ザ・ユニティ・セクステットのデビュー・アルバムも若々しく、スタイリッシュで、洒落た作品である。
これはマッドリブによるイエスタデーズ・ニュー・クィンテットのUKヴァージョンというか、つまり折衷主義で、彼らのレコード・コレクションを得意げに見せつけているようでもある。60年代のパリのサンジェルマンでホレス・シルヴァーとクルーダー&ドーフマインスターが共演したかと思えば、スウィンギング・ロンドンというか、まるで初期のピンク・フロイドがトリップホップをループさせながらジャズを演奏しているような汗ばむいち面も見せる。50年代のハード・バップへの回帰があるし、70年代のスピリチュアル・ジャズめいたいち面も見せる。激しいダンス・ナンバーもあるし、リラックスしたラウンジーな展開もある。よりグルーヴィーで、ダンスフロアの興奮がにおってくる。彼らの好みの範疇――モダン・ジャズからデヴィッド・ホームズまで――においてはやりたい放題のフリースタイルとも言える。
この6人組のバンドを指揮(プロデュース)するのは、UKのエクセター出身のアダム・ギボンズ、Lack of Afro(アフロの欠落)という名義で作品を出している青年だ。ギボンズはその名義で昨年『This Time』というアルバムを出しているが、これがまたいかにも英国風なジャズの展開、すなわちモッズ的センス、要するにめかし屋の文化によって脚色されている。めかし屋の文化とは、服に金をかけることではない。着ることにおける快楽であり、たとえ「大量生産されたものを認める場合があるにしても、それを修正するなりして、その服のもっている本来の意味を取り去ってしまうなり、何か厳格な条件を主張する」(ジョージ・メリー)ことだ。
ザ・ユニティ・セクステットにもそれがある。とくに真新しいわけではないが格好いい。洒落ている。そして、ジャズという音楽の複雑さを理解するだけではない。1950年代からイギリスの白人がジャズを演奏する場合につねに問題視されたところ、そう、バップへの忠誠心、誠実さ――この音楽を生んだ精神に対する誠実さに関しては疑う余地はないだろう。
もちろん英国特有のドープなセンスも活かされている。先日、僕は『エリックを探して』について触れたが、あれを読んだ友人から「おまえ、あの映画で最高の場面は、カントナと主人公が何かとあれば一緒に吸うところだろ」と怒られた。まあねー。グローバリズムが言われて久しいが、実はグローバルにならない文化はたくさんある。それぞれの国にはそれぞれの良さがある。こうして英国風のめかし屋の音楽は、まだまだ我々を惹きつけるのである。
1 |
Gilberto Gil & Caetano Veloso - Tropica´lia 2 - Universal おそらく人生でいちばん聴いているアルバム。とにかく全曲歌えるくらい(無理だけど)聴いているので、我が家のシステムに手を加えたときの試聴盤としても活躍してる。 |
|---|---|
![]() 2 |
Henry Kaiser - Eternity Blue - Shanachie 奇人ヘンリー・カイザーが溢れる愛でデッドをカヴァー。トム・コンスタンチンも参加していて、かなりクレイジーな展開をするのについリピート聴きしてしまう... |
![]() 3 |
Wunder - Wunder - karaoke Kalk ぼーっとアフターしてるときに聴いてなくても脳内で鳴っているレベル。一時期、これとMice Paradeがヘビロテだったなぁ。 |
![]() 4 |
Bob Dylan - No Direction Home: The Soundtrack (The Bootleg Series, Vol. 7) - Columbia/ Legacy 高速道路専門ドライバーの私は、いつもこれでボブ・ディラン運転。たいてい同乗者は全員寝ている... |
![]() 5 |
V.A. - Folk, Jazz & Poetry - IRMA コンピを入れるのは反則だけど、これは選曲も流れもジャケも素晴らしく、一枚のアルバムといっていい。セルメンから4 Hero、Rotary Connectionにマイケルまで! |
![]() 6 |
Muleskinner - A Potpourri of Bluegrass Jam - Dbk Works 超絶ブルーグラス、Muleskinnerの一枚きりのスタジオ盤。一瞬が永遠に輝くという証明。 |
![]() 7 |
The Golden Palominos - Pure - Restless Records エロい。それに尽きる。なぜかブーチーがギターで参加してる。 |
![]() 8 |
Moby Grape - Wow - SONY BMG LSD。それに尽きる。 |
![]() 9 |
Lewis Furey - Lewis Furey - A&M 淫靡。それに尽きる。二十歳そこそこで初めて聴いて以来、これには取り憑かれているので、我が家にはアナログ2枚、CD2枚あったりする。アホか。 |
![]() 10 |
ダブマロニクス - Melts Slowly - CIL これとDub Squadの1st「dub in ambient」は、日本のアンビエント・アルバム最高峰だと思うのです。タイトル通りのとろけ具合。 |
こんなにも遠くまで......希望を探す迷子犬としてのAKG文:竹内正太郎
嗚呼......なくす何かを
ほら 喪失は今にも口を開けて僕を飲み込んで
"ムスタング"
![]() ASIAN KUNG-FU GENERATION 『BEST HIT AKG』 Ki/oon
|
ロスト・ジェネレーション――辞書的には、「第一次世界大戦中に育ち、戦争体験や混乱期を経て人生の方向を見失った人たち」(『GENIUS』)とある。しかし、もはやそれは、"第一次世界大戦中"と限定されてはいない。いわゆる「大きな物語」が放つ磁場に羅針盤をやられ、手元の小さな矢印がグルグルになったまま、自己責任社会をあてもなくさまよう人たち。この国においては、1975-80年前後に生まれ、いわゆる就職氷河期に学生生活を終えた世代、とされている。アジアン・カンフー・ジェネレーション(以下、AKG)が「さよならロストジェネレイション」(2010)を発表したとき、その言葉を直接使用したことに、なにか決意めいたものを感じるとともに、もう後には引けない舞台に立ってしまったのだと思った。彼らはある時期において、虚構の世界を脱し、ダラダラと夢を語り(騙り)続けるよりはそこから徹底的に醒めていることを選んだのであり、とくに『ロッキン・オン・ジャパン』界隈では、タブーであるかのように不自然に切り離された、現実と虚構の関係性をめぐる文学(AKGの場合は、もちろん"ロック")の再考を自覚的に試みてきたバンドでもあった。
それを拒むように世界は揺れて 全てを奪い去る
夢なら覚めた
だけど僕らはまだ何もしていない
"アフターダーク"
とはいえ、AKGが最初からそのような思想を持っていたとは思えない。自らがロスト・ジェネレーションでもある後藤らがまず志したのは、ロックによる含意なき衝動であり、バンド演奏によるフィジカルな発散であった。代表曲が時系列で並べられた『BEST HIT AKG』を順に聴いていけば、それが、頭から突っ込んでいくようなギター・ロックの無謀さから、より慎重な、内省を直視する言葉と、複雑なリズム・パターンを持つ(いわば)モラリスティック・ロックへと少しずつシフトしていく歴史が体感できるはずだ。
もっとも、その後の変化への伏線となるモチーフが、初期の楽曲にも散見されるのもたしかだろう。本作に収録こそされていないが、羅針盤、 デリート&リライト、鳴らせサイレン......。『君繋ファイブエム』(2003)は、いま思えば、AKGにとって最後の思春期だった。そして、本格的な転機は、500,000枚以上を売った『ソルファ』(2004)を殺すかのように、訪れる。
おそらくは彼らの、メインのリスナー層にあたる年代が抱えるなにがしかの精神的トラブルを念頭に置いたのであろう、第三者の自閉的な態度に対する真正面からの介入を試みた『ファンクラブ』(2006)は、その親密なタイトルとは裏腹に、多くのファンを突き放すことになる。例えば9.11に象徴される、同じ空の下に確実に実在する暴力、破壊と、シェルターにくるまれた過敏な自意識を、彼らは強制的に接続しようと試みたわけだが、アルバム全体に散りばめられた具体性が、リスナーの実生活とショートしてしまったのかもしれない。「逃げ切ることはできない」と、彼らはある意味で警告していたのだろう。
そして、『ファンクラブ』による商業的な文脈でのバックラッシュなのか、AKGはその後、『ワールド ワールド ワールド』(2008)、『未だ見ぬ明日に』(2008)と、関係性の具体的な思索をなかば放棄し、スピーディなビートによる撤退戦のなかで、摩耗しながらもキャッチーな希望を虚構のなかで優しく語って(騙って)いく道を選ぶことになる。また、ロックンロールに対するメタ言及もじょじょになされるようになり、自らの批評精神に対してどこまでも誠実であろうとする姿は、その過敏さにおいて悲痛でもあった(筆者は、リスナーとしてはここでいちど離れている)。
もちろん、彼らは『サーフ ブンガク カマクラ』(2008)という小休止を挟み、そのいっさいを放棄することもできた。しかし、AKGはうんざりするような困難の方角を選び、『マジックディスク』(2010)では、楽曲のアレンジにはブラスなどによる祝祭的なムードさえ散見されるようになるいっぽうで、後藤のリリックが抱える世界観においては、「(何かが)失われた」という感覚がいつからか支配的になっていく。それは、後藤が読者であることを明かしている村上春樹の作品に度々登場する、「(何かが)損なわれた」という感覚に近いのかもしれない。少しずつ失われていく、損なわれていく何か。心が内側から少しずつ破れていくような。
朝方のニュースでビルに飛行機が突っ込んで
目を伏せるキャスター そんな日もあった
愛と正義を武器に僕らは奪い合って
世界は続く 何もなかったように
"新世紀のラブソング"
もっとも、最初から持っていなかったものを、どうやったら失えるのか? 同様に、どうしてそれを奪い合うことができるのか? さらには、失ってもいないものに対して、しかも失っていないことを自覚した上で、どうして悲しくなれるのか? という疑問を、私は隠すべきではないだろう。そう、いつの間にか与えられた喪失感に対して、出口のみが提示される、AKGの前向きさを私はときに危うくも思う。そして、彼らのデリート&リライトは続く。新曲"マーチングバンド"(2011)もそうだが、彼らの音楽は、結局のところ顔の見えない不特定多数に向けられ、輪郭のない希望を歌うことの不可能性を前に、確信を持てずにいるように思える。
そして、原罪のように背負った、先天的な喪失からくる断念は、3.11による暴力的な喪失と交わりつつ、"LOST"(後藤正文、2012)にも大きく影を落としている。アレンジはやや平坦だが、そこで後藤は、ほとんどすべてのものを失うことを自覚したうえで、それでも得ることを明確に肯定する。ある種の逆説をテコに、「喪失できるものがある」ことをそのまま反転させてしまうこと。それをロックンロールのカタルシスと呼べるほど、私はもう若くはないけれど、彼がたどり着いた暫定的な答えは、その一点のみにあると、ほぼ言い切れる。希望を探す迷子犬としてのAKGにも、この曲は大きな指針を与えるかもしれない。
最後に......もう少し実際的なことを述べておこうと思う。あらゆるベスト・アルバムがそうであるように、『BEST HIT AKG』も、決して完璧なコレクションではないし、筆者の満足する選曲にはなっていない(おそらくは、あなたもそうだろう)。全体的に、ロック・バンド然とした、大味の、ややざっくりとした曲が多いし、そんな風にケチをつければキリがないが、少なくとも"ソラニン"の代わりに収録されるべきは"ワールドアパート"だったし、ベスト盤と言えども、作品としては"迷子犬と雨のビート"で終わるべきだった。様々な事情があるにせよ、仮に自身が、『マジックディスク』に自信を持ち切れていないのだとしたら、それはとても残念なことだと思う。
そして、これだけは付記しておかなくてはならない。ある意味でいま、ここに集められた17のどの曲よりも耳を傾けるべきなのは、"砂の上"(後藤正文、2011)である。他人の現実的な喪失に寄せて録音されたこの曲は、洗練とはかけ離れた場所で、むきだしの理想を掲げている。悪意やディスリスペクトはあるだろう。しかし、それを冷笑せずに受け取るリスナーを獲得できたことが、AKGが賭した10年そのものなのだと思う。思えば、本当に遠くまで来たものだ。拍手よりも敬礼を贈りたい。
文:竹内正太郎
[[SplitPage]]「セカイ」から「世界」へと 文:加藤綾一
![]() ASIAN KUNG-FU GENERATION 『BEST HIT AKG』 Ki/oon
|
アジアン・カンフー・ジェネレーションはいまからちょうど10年前、インターネット文化がいよいよ僕たちの生活に大きく介入しはじめた頃、それらに染まることを拒否するかのように登場している。「偽る事に慣れた君の世界を/塗り潰すのさ、白く、白く」("遥か彼方"、2002年)
彼らにとって初めてのフルレンスのタイトルが『君繋ファイブエム』であるように、そこには「君」と「僕」との半径5mの「セカイ」が中心に描かれていた。理想と現実の狭間で揺れ、独り善がりな存在証明、承認欲求、絶望、後悔、そして自己懐疑と自己啓発を繰り返しながらがむしゃらになって「世界」に立ち向かう――しかしそれは結局のところ「セカイ」であって、「僕」は再び落胆することになる――姿は、図らずもこのポストモダンを生きるユースが抱える閉塞感とリンクした。
湿っぽい日本情緒とそれを振り払うように叫ぶ荒々しいエモーションはイースタン・ユースから、諸行無常の観念を想起させる抽象性を帯びた言語感覚はナンバーガールから、パワー・コードで突っ切る瑞々しい蒼さはアッシュやジミー・イート・ワールドから、過剰な自意識と内省を多分に孕んだパワー・ポップはウィーザーから......90年代のオルタナティヴな季節を経てきたそれらのギター・ロックを参照した彼らの音楽性は、そのときどきでポスト・ロックや管弦楽に片足を突っ込むことはあれど、いまでもそこから大きくはみ出ることはない。その曲がダンスのビートであっても、「見え透いたフォームの絶望で空回る心がループした/何気なく何となく進む淀みあるストーリー」("君という花"、2003年)といった冷めた現状認識があり、そして「由縁/失って彷徨って垂れ流す僕の今日を/走り出すエンドロール/つまらないイメージを壊せ/そうさ」("ループ&ループ"、2004年)といった前向きさもある。彼らがもっとも敬愛するバンドのひとつ、オアシスのように。
しかしAKGは、さらにまた、時代の重たさを背負う方向へと舵を取る。より社会的な「世界」と向き合うことになった2008年の『ワールド ワールド ワールド』において、「夢なら覚めた/だけど僕らはまだ何もしていない/進め」("アフターダーク"、2007年)と歌えば、"No.9"では日本国憲法第9条の改正反対の意を表している。そして続けるように、「出来れば世界を僕は塗り替えたい/戦争をなくすような大逸れたことじゃない/だけどちょっと/それもあるよな」("転がる岩、君に朝が降る"、2008年)と、より直接的な表現によって、その政治的主張を述べる。その後の"新世紀のラブソング"(2009年)にて、9.11の悲劇に触れながら絶望と希望を力強く歌う彼らは、かつてないほどシリアスな表情を見せるようであった。
本作は、AKGにとって初めてのベスト盤であり、ゼロ年代を通して「セカイ」から「世界」へと向き変えることで、社会派へとゆっくりとシフトしていった彼らのこの10年の変遷をたどる記録である。そしてここには、10年のなかのわずか1年であるのにもかかわらず、3.11が大きな意味を持たされている。彼らにとって今回の震災と原発事故がいかにショッキングなものであったかは、ヴォーカリストの後藤正文が新たに立ち上げたWEBメディア/フリーペーパー『TheFutureTimes』)、そして昨年末に発表された"マーチングバンド"のカップリング曲"N2"における脱原発の主張を聴けば明白だ。この国のメインストリームの音楽にもU2やレディオヘッドのアティチュードと共振するバンドがいることを感慨深く思うのと同時に、複雑な気持ちにもなる。悲劇が彼らを強くさせたのも事実だからだ。
『TheFutureTimes』にてダウンロード販売されている後藤正文によるソロ曲"LOST"には、震災の前に書き上げたとはにわかに信じがたい、3.11のアフターマスを連想せずにはいられない示唆的なラインが含まれている。「まるで僕らは初めから/全てを失うために生まれたみたいだな/いまならまだまだ/そうさ僕らこの場所から/全てを失うために全てを手に入れようぜ」
選挙権を得てから6年が経っている僕にとっては、漏れ続ける放射性物質や不手際だらけの政治などこの国の散々たる現状について考えたとき、D.Oの"イキノビタカラヤルコトガアル"(2011年)での「いまから生まれてくる君へ/こんな世の中でごめんよ」という自虐的な嘆きのほうがまだ気が楽になる。いまのAKGには良くも悪くも、こうしたユーモアの入る隙がない。たとえば神聖かまってちゃんがいみじくも「いまは起こさないでね」("コタツから眺める世界地図"、2011年)と歌うように、前向きな現実逃避としてのチルウェイヴは世界規模で拡大している。AKGの生真面目さは、こうしたトレンドのなかでは浮いているかもしれない。だとしても彼らは、いまや無視することなど到底できないバンドとして存在している。『BEST HIT AKG』は、よりいっそう重苦しい時代へと進んでしまった僕らにのしかかる虚無を振り払おうとする、AKGの実直なまでの気概を伝えている。
それゆえか、初回盤に付属されるDVDに収められた『君繋ファイブエム』全曲のスタジオ・ライヴを観ていると、当時には感じなかったある種の親密さをもって聴こえるのは興味深い。なかでも、歪んだ鬱屈さえも肯定する"アンダースタンド"、オアシスの"リヴ・フォーエヴァー"のギター・ソロを引用した"E"は感動的ですらある。それは、かつて「セカイ」のなかで佇んでいた「君」と「僕」のナイーヴな感情をいまこそ揺り動かそうとしているかのようだ。
できる限り可能な限り遠くまで/溶け出して沈みそうな泥の船
ここから僕のスタート/そうさすべてが窄みゆくとも
ここから君のスタート/その手伸ばせば目の前さ、ほら
広がりゆく未来へ/君の未来へ
"E"
文:加藤綾一
行ったことはないので、詳しいことは知らないけれど、05年に大阪でスタートし、橋下徹によるクラブ粛清を察知したか(紙エレキングVol.4参照)、09年からは東京に拠点を移したディスコトピアというパーティから初のフィジカル・リリース(これまではスターキーやアイコニカをリミックスに起用したBD1982のEP「VHSナイト」など配信オンリー)。オーガナイザーの名前がマット・リン、アム・ライン、ショーと、おそらく日本人ではないようで、これにニューヨークからBD1982が加わって、ベース・ミュージックやテクノなど、センスのいいダンス・ミュージックがまとめてコンパイルされている。このような曲がかかっているパーティが東京にあったんですねー。
オープニングはほぼストリングスだけで構成されたBD1982"サンシャイン"。いかにもオーヴァーチュアーといった雰囲気で、続いてヴィジョニスト(=ワイアーのジャーナリスト、ジョー・マッグス)によるエレクトロとダブステップの交錯点へと導かれる。さらにサヴェージのBD1982によるリミックスを経て、日本からRLPによるハドスン・モーホークへのアンサー風味。ここまではストレートにベース・ミュージックの動向を意識していたものが並び、アイコニカとともにハム+バズを設立したオプティマスからトランス・エレクトロとでもいうような変わった作風へと雪崩れ込む。同じくロンドンからシャイ・ワンは抑制されたメランコリーを窺わせるダーク・ステップとマットリンによるア・トート・ラインは正調デトロイト・テクノ、07年に結成され、昨年はデビュー・アルバム『マイ・ファントムズ』をリリースしているホンコン・イン・ザ・60ズはメイ・ヤウ・カンのヴォーカルをフィーチャーしたボサ・ノバ風ラウンジ・エレクトロ、これをディスコトピア・チームがダブ・ヴァージョンに仕上げている。続いて日本からアワはチルウェイヴ......といっていいのか、ジャズ・ギターをさらりと響かせて、"チューブラー・ベルズ"のイントロダクションを思わせるグリーン・ライズ(マット・リン+ホンコン・イン・ザ・60ズ)と共に洒脱なアーバン・スタイルを披露。06年にデビュー・アルバム『アイ・アム・ノット・トーキング・アバウト・コマーシャル・シット!!!!!』をリリースしているブンことフミタケ・タムラは唐突にジャズ・モードで、ひとり粘っこいリズムを練り上げ、デイダラスに見出されたというLDFDはテキサスからサイケデリック・ステップとも言うべき驚愕のベース・ミュージックを届けてくれる(これだけでも!)、デックス・ピストルズからDJマールは一転して浮き足立ったようなトライバル・ハウス......と、まだまだ続くけれど、ダンス・ミュージックのコンピレイションで、これだけダブステップもテクノもといったようなものはあまりスムーズに聴けないことが多いのに、まったくそのようなことは感じさせず、どこかザックリとした清涼感のようなもので一気にまとめ上げている力量は大したものといえる。DJミックスでもそういうことができるのはローラン・ガルニエぐらいしか思いつかないし、「バリアリック」という言葉の本来的な意味を取り戻した感もある。
ある種のコンピレイション・アルバムには、ネット上のサンプル音源をランダムに聞くだけではわからないトータル性のようなものがきっちりと備わっていて、それがときには時代性というものをはっきりと表していることがある。ちょうど1年前に〈イグジット・ミュージック〉からリリースされたニュー・スクール・オブ・ドラムン・ベースのコンピレイション『モザイク ヴォリウム1』などもそうで、そのような「意志」に出会えることはいわゆるアーティスト・アルバムから感じられるそれとは少し違うものだし、とくにダンス・ミュージックにおいては重要なヴィジョンになりうるものだろう。『ディスコトピア』が1年後にはどう聞こえるか、かなり興味のあるところである。
ちなみに昨2011年に編み出されたコンピレイション・アルバムからベスト3を僕なりに選んでみた。
|
V.A./Mosaic Volume One (Exit) ハーフ・ステップで統一されたアトモスフェリックなドラムン・ベースは確実に次の時代を射程に置いていた。この優雅さと内に秘められた熱量はまるでダンス・ミュージックがその根本に立ち返ったかのような理想像にさえ思えてしまう。なかでも主催のD-ブリッジはA&R能力の優秀さだけでなく、彼自身の曲があまりにソウルフルに響き渡るため、間をおかずにセカンド・ソロを完成させれば大騒ぎになることは間違いない。 |
|---|---|
|
V.A./Invasion of the Mysteron Killer Sounds Vol.1 (Soul Jazz) 人類の魂を浚おうとするエイリアン対ディジタル・デフェンダーズ......とかなんとかいう設定でまとめれたフューチャー・ダンスホール宣言(コミック・ブック付き)。ヴォリウム1はザ・バグことケヴィン・マーティンによるセレクトで、これがあまりにスゴい。ディプロとかウォード21といった知った名前もなくはないけれど、大半が新人のようで、なにがなんだかわからない新機軸ばかり。ヴォリウム2はソウル・ジャズのスチュアート・ベイカーによる歴史的な補足の意味もあるのか、キング・タビーやスライ・ダンバーもエントリーさせつつ、多少は落ち着いた内容になっている。各々2枚組みでCDはアナログ計4枚を2CDにコンパイル。 |
|
V.A./Portable Shrines Magic Sound Theatre Vol.1 (Translinguisticother) シアトルからドローンやサイケデリック・ロックを中心に実験的なUSアンダーグラウンドの全貌をまとめた意欲的コンピレイション。全18組。ブラザー・レイヴンが入っていたので、思わず手が伸びてしまいましたが、プリンス・ラマ(レイマ?)やナイトビーツからマスター・ミュージシャンズ・オブ・ブッカケなど新人から中堅までいいテンションで曲が出揃っている。ギリシャでやたらと実験音楽が活発になっているのと同じく、経済があそこまでダウンしているというのに音楽に関しては疲れを知らない子どものようです、現在のUSは。 |
![]() 1 |
TODD TERJE
It's The Arps
(Smalltown Supersound /12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 2 |
V.A
Dekmantel Anniversary Series: Part 1
(Dekmantel / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() 3 |
HELIUM ROBOTS
Jarza Ep
(Running Back / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 4 |
COSMIC METAL MOTHER
Italian Cowboys
(Internasjonal Spesial / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
||||
![]() 5 |
TODD TERJE
SON OF SAM / Digital Dubplates
(Running Back / 10inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 6 |
|||||
![]() 7 |
MINILOGUE
Let Life Dance Thru You
(Traum / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 8 |
FRANK BOOKER
Hope
(Fine Art / 10inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
||||
![]() 9 |
EDGAR WINTER
Above And Beyond
(Blue Sky Records / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
![]() 10 |
JACQUES RENAULT
Let's Get Lost 11
(Let'S Get Lost / 12inch)
»COMMENT GET MUSIC
|
1 |
Magnum - Evolution - Jamie |
|---|---|
![]() 2 |
Lyn Collins - Think (about it) - Polydor |
![]() 3 |
Uptown Funk Empire - Walkin Like the Ginger - Soulab |
![]() 4 |
James Blood Ulmer - Pleasure Contol - CBS |
![]() 5 |
Mandrill - Can you Get It (Suzie Caesar) - Arista |
![]() 6 |
Patrice Rushen - The Hump - Prestige |
![]() 7 |
Defunkt - I Tried To Live Alone - Hunnibal |
![]() 8 |
Lee Dorsey - Yes We Can (part 1.) - Polydor |
![]() 9 |
Bill Summers - Straight To The Bank - Prestige |
![]() 10 |
Wally Badarou - Chief Inspector - Island |