「R」と一致するもの

CHART by JET SET 2010.04.06 - ele-king

Shop Chart


1

HENRIK SCHWARZ & KUNIYUKI

HENRIK SCHWARZ & KUNIYUKI ONCE AGAIN »COMMENT GET MUSIC
日独両雄によるハイ・レヴェルなコラボレート第2弾!!クニユキ氏の新アルバム『Walking in the Naked City』からの先行カットとなる本作はHenrik Schwarzが達者なヴォーカルを聞かせる他、板橋文夫氏がピアノで参加!!

2

HIKARU

HIKARU SUNSET MILESTONE »COMMENT GET MUSIC
渋谷、宇田川町のレコード・ショップ「Sleeping Bugs」がレーベルとして始動!まずは交流深いDJ達のミックスCDシリーズ「The Sound of Space」をリリース。初陣を華やかに飾るのはHikaru(Blast Head)!

3

FLOATING POINTS

FLOATING POINTS PEOPLES POTENTIAL »COMMENT GET MUSIC
☆☆年間ベスト候補筆頭☆☆ステッピー・ニュー・ディスコ超話題盤が遂に正規リリース!!Four Tetの"Sing"でもリミキサーを務め、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのFloating Points。片面プレス先行プロモが即完売した噂の新作が正規リリースされました!

4

LEMONADE

LEMONADE PURE MOODS »COMMENT GET MUSIC
遂に到着ー★人気爆発トロピカル・インディ・ダンス・ユニットがさらにぶちあげる猛烈最高マキシEP!!絶対マストでお願いします!!ごぞんじ西海岸ユニットLemonadeが、Vampire WeekendもFriendly FiresもEl Guinchoもなぎ倒す最新レコーディングス!!全5曲ともアルバム未収録、CDリリースなしです。

5

RAW DOPE POSSE

RAW DOPE POSSE LISTEN TO MY TURBO »COMMENT GET MUSIC
埋もれた88年の東海岸産、鬼レア・カルト・クラシックが入荷しましたッ!涙Muro & K-PrinceのMix Tape"Wkod The Golden Era Of HipHop"にも収録された一曲! 中古市場では1万円から2万円は当たり前!

6

POLLYESTER

POLLYESTER GERMAN LOVE LETTER »COMMENT GET MUSIC
Nite Jewel、jj、そしてドイツにはPolyester。またもや超最高です!!メチャクチャおすすめ★前作"Roung Clocks EP"が激ヒットとなったドイツの女性シンガー/トラックメイカー、Pollyester。待望のサード・シングルが到着しましたー!!

7

COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ THE MODERN DEEP LEFT QUARTET »COMMENT GET MUSIC
待望のアナログ盤が登場です!!先行シングル、そして先立ってリリースされたCD盤も絶好調な最強、フリースタイル・テクノ・ジャムバンドCollolestone Jazzのセカンド・アルバム!!アナログ盤も出ました。

8

FOUR TET

FOUR TET SING RMX PART 2 »COMMENT GET MUSIC
☆☆特大推薦☆☆爆裂ヒット美麗名曲"Sing"のリミックス12"第2弾が登場!!当店激推し新鋭Moscaによるアフロ・トライバル・ファンキー・リミックスと、レジェンドDelinquentに見出された新星Hardhouse Bantonリミックスを収録!!

9

ACTRESS

ACTRESS PAINT, STRAW AND BUBBLES »COMMENT GET MUSIC
Joy Orbison最新作でもリミキサーを務めたActressを、今度はZombyがリミックス!!☆大推薦☆スクウィー以降の耳にもフィットする8ビット・メランコリック・ニューディスコB1や、カラフル・サイケ・ダブステッパーZombyによる傑作リミックスA2を搭載ですっ!!

10

U.B.'S

U.B.'S STONE FOX CHASE 2009 (TODD TERRY REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Area Code 615のカヴァーをTodd Terryがハウス・リミックス!あの有名なブルース・ハープのフレーズとブレイクがお馴染みの、Area Code 615"Stone Fox Chase"をTodd Terryがハウス化!!

Liars - ele-king

 長引くポスト・パンク・リヴァイヴァルは、この10年、ESGやワイヤー、スーサイドやザ・スリッツといったオリジネーターたちの新譜のリリースを促してきた。再発も相次いだし、多くのコンピレーション・アルバムもあった。ザ・ラプチャーやチック・チック・チック、レディオ4等々、リヴァイヴァリストとして多くのバンドが脚光を浴び、それがダンス・ミュージックとの新たな渡河点ともなり、それなりの成果をもたらした。が、多くはバンドはアイデンティティをポスト・パンクに規定され過ぎたのか、身動きがとれなくなっている。そこから抜け出る力とオリジナリティを持ったバンドは少なかったということなのだろう。

 ブルックリンの鬼っ子、ライアーズもそのなかのひとつとしてシーンに登場した。5作目となる『シスターワールド』、ここには相変わらずスーサイドもギャング・オブ・フォーもディス・ヒートもいる。が、この新作には変化もある。それらポスト・パンクとともにディアハンター的ともいるのだ。『シスターワールド』は『マイクロキャッスル』、あるいはアトラス・サウンドの『ロゴス』にまで繋がる。喩えるならば、クラクソンズとホラーズが『マイクロキャッスル』をやっている、そんなふうに聴こえる。つまりアルバムを通して聴こえる深いリヴァーブやフィードバック・ノイズが今作の色を決定づけているのだ。

 『シスターワールド』は、密教的でエキゾチックな諷経を思わせる、男声コーラスの微分音で幕を開ける。ライアーズは曲の頭で小芝居をやるというか、枕が長い。もったいぶる癖があるのだが、そこは愛嬌でもある。じきに強烈なビートが押し寄せてくる。シェラックやビッグ・ブラックにも通じる硬質でヴァイオレントなビート。鈍器で打ちつけられるようなビートだ。それはシェラックらとは逆で体が解放される感覚がある。「きたきた、思いっきり飛び跳ねたい」、そんなふうに体を刺激される。2曲めの"ノー・バリアー・ファン"もライアーズらしい。不穏なベース・リフ、のこぎりを挽くような気味の悪いストリングスとグロッケンが効いている。身体におよぼすビートの訴求力が半端ではない。

 問題は"アイ・スティル・キャン・シー・アン・アウトサイド・ワールド"や"トゥー・マッチ・トゥー・マッチ"といった曲に顕著な色濃いドリーミーな音のたゆたいだ。ブラッドフォード・コックスがここ数年試みている質感である。シューゲイジンな閉塞感と深いまどろみとでも言おうか。

 ここ数年、シューゲイザーというのはひとつの基調だ。ネオ・シューゲイザーと呼ばれる一群は、本家への自家撞着がモチベーションとなった特異なシーンを形成している。そこには自分たちの好きなシューゲ・レジェンドの音を自分好みにカスタマイズして制作した、コスプレ的な楽曲を見せ合う「シュー芸人」とでも呼びたいバンドたちが跋扈している。それらを別にしても、新しいバンドの音からそれと意識せずシューゲ・マナーなサウンドが検出されることが多い。90年代におけるディストーションのようなもので、リヴァーブやディレイは甦って時代の音となった。

 ディアハンターはそのようにシューゲイザーなるもののオープン・ソース化された状況を巧みに利用して、シューゲイズという狭い枠を取り外すような音や文体を獲得したバンドだ。『マイクロキャッスル』以降、「サイケ・シューゲイズ」なる珍妙な言葉が定着した感があるが、このことだ。もっとうまい表現がないものかとは思うが、「サイケ」も「シューゲイズ」もともにゼロ代後半のモードを引っぱった要素のひとつであり、その結節点にディアハンターがいる。

 ライアーズはまさにこの部分を拾っている。でなければ、今作は「この10年に活躍した、そこそこ実力のあるバンドの新作」以上の評価を得ることは難しかったのではないだろうか。どちらかというと先走った前衛志向に焦点を当てられがちな彼らだが、自分たちのオリジナリティを忘れずに、新しい音にすばやく反応するところには、したたかな力量をうかがわせる。

 "スクエクロアズ・オン・ア・キラー・スラント"や"プラウド・エヴォリューション"、"ジ・オヴァーチーヴァーズ"なども愛聴したい曲だ。これらの曲からはソニックス的なガレージ・ロックという参照点があることを再認識させられる。どちらかというと柔らかく中性的な音がひしめく現在のシーンにあって、こんなに臆面もないロックは久々だ。

 バンドは一時期ドイツに渡って楽曲を制作していたが、本作はロサンゼルスに戻ってのレコーディングとなった。テーマは「ロサンゼルスで生き延びるために人びとが作り出したオルタナティヴ・スペース」=「シスターワールド」。なんとも後味の悪い、しかしどことなく引きのある設定である。限定盤には、アラン・ヴェガやトム・ヨークをはじめ、メルヴィンズ、スロッビング・グリッスルのカーター・トゥッティ、ブロンド・レッドヘッドのカズ・マキノ等々の豪華なリミキサー陣によるリミックス・ヴァージョンが収録されている。彼らの来歴をきれいに証すような納得の顔ぶれだ。やっぱりというべきか、アトラス・サウンド名義でブラッドフォード・コックスも加わっている。

ALMADELLA - ele-king

 カラフトがはじまった頃に到着。入口に並んでいるとDJを終えたばかりのリラ(このパーティの主役のひとり)が「うぉうぉうぉ~」と叫んでいる。店に入るとまだ早い時間なのにかかわらず酔っぱらったシロー・ザ・グッドマンがいる。同じ日に〈エイジア〉でまわしていたそうだ......が、まだ12時をまわったばかりで、〈モジュール〉のなかの雰囲気はパーティはこれからだといった感じだ。
 ビールを持って下のメイン・フロアに入る。良い感じに埋まっているフロアを強引に横切って、DJブースのカラフトのところまでいく。カラフトのダビーなセットにダンサーたちは心地よく体を揺らしている。

photo Yasuhiro Ohara
  photo Yasuhiro Ohara


 〈ALMADELLA〉はアンダーグラウンドのエレクトロニック・ミュージックにおいて前向きに新しい要素を取り入れていくパーティで、東京でもっとも早い時期からテクノとダブステップとのブレンドを試みていたひとつとして支持を得ている。静岡の〈ラジシャン〉周辺ではこういうのをシンプルに「音好き」と表現する。音を聴くのが好き、音を聴くのを面白がっている、積極的に面白い音を求める、そういう人間のことをざっくり「音好き」と呼ぶ。で、僕はちゃんと......というかたまたま偶然なのだが、1ヶ月以上前からリラとケイヒンのミックスCDを聴いて予習してきていたのだ。そしてもちろん、シャックルトンが〈パーロン〉から発表した『スリー・EPs』も聴き込んでいる。それらは「音好き」を惹きつけるには充分な内容だ。  

 カラフトがコントロールするテクノ・アンダーグラウンドの途中で酒を買いに上の階に行くと、吉田タロウと遭遇した。こういう場で彼と会ってしまうとテクノやダブステップどころではない、サッカーの話になってしまう。彼はFC東京の近況を話し、僕は清水エスパルスと小野伸二の素晴らしさについて語った。実は僕はその翌日の昼過ぎから等々力である川崎フロンターレとの試合に行かなければならなかった。正直な話、生で小野伸二のプレイを見れるのが楽しみでならなかった。
 と同時に、僕には深い悲しみがあった。大好きだったサッカー・ジャーナリストの大場健司氏が数日前に他界したのである。氏は、静岡のみで刊行していたサッカー雑誌『Goal』の編集者を経て、清水エスパルスをずっと追っていたジャーナリストだ。分野は違えど、メディアの人間として僕は彼の活動を本当に尊敬していたし、彼の運営する『Sの極み』という有料サイトの会員でもあった。誠意のある書き手だったし、愛情と批評精神を忘れない人だった。僕の友人であり脚本家の上杉京子が同級生だったこともあって、近い将来、僕は彼に会うはずだった。いや、彼と会えなくても彼の文章がこの先もずっと読めれば良かった。僕は彼の読者のひとりだった。自分にとって大切な書き手をひとり失うことは、途方もなく悲しいことだ。

 金曜日の深夜のダンスフロアに戻ろう。シャックルトンがいたので、軽く挨拶をした。あなたの作品が好きだと話し、ハルモニアのリミックスも良かったと伝えた。そしてふたたびフロアに戻った。フロアは満員電車状態だった。カラフトからシャックルトンに代わると歓声が起きた。彼のトレードマークでもあるトライバルなパーカッションがフロアを揺さぶると、歓声はさらに上がった。UKファンキーのダークサイドとでも言いたくなるような彼のシンコペーションするドラム・プログラムはオーディエンスを容赦なくダンスへと向かわせる。

マイクを持って叫ぶドラムンベースの王様!photo Yasuhiro Ohara


 あるDJから興味深い話を聞かされた。いまDJがダブステップをかけたら仕事を失うという、そういう話だ。その人の"現場"では、セットのなかで2割ぐらいしかプレイできないという。なるほど、それはたしかにつらい。DJにとってその手の挑戦は慎重にならざる得ないものだろう。
 とはいえ、良い時代になったものだ、とも思った。"仕事"という言葉が遣えるのだから。僕がこの音楽と関わりはじめて、田中フミヤがまだ19歳でテクノをまわしはじめた頃は、良くも悪くもこれを"仕事"という基軸で考えたことはなかった(だからまあ、商売が下手なままきてしまったのだけれど)。
 また、90年代初頭では、多くのクラブにおいてテクノはつまはじきものだった。NY経由のハウスが正当であり、アシッド・ジャズが人気があって、テクノなんてものは既存のクラブ・カルチャーからは相手にされていなかった。が、当時の僕たちには自信があった。新しい世代にとってテクノはひとつのシグナルである。連中にはわからないだろう、しかし、僕たちより下の世代はこの狂った音楽を好むに違いない......。数年後、その通りになった。
 ダブステップも移りゆく時代のシグナルなのだ。その晩もちゃんと新しい「音好き」たちがフロアに詰めかけていたじゃないか。

[Techno] #4 by Metal - ele-king

1. Oni Ayhun / 004 | Oni Ayhun (GER)

E王 あーっ......すっかり騙された......とんだ深読みだった。ベルリンのアンダーグラウンドから突如出現し、ミステリアスなアートワークとコンセプチュアルなサウンドが話題のオニ・アイフン。このレーベルから出された001はアシッド・ベースが独特のねじれを持ってうごめくミニマル・テクノと、ブライアン・イーノとのコラボレーションなどでも知られる現代音楽家ジョン・ハッセッルの電子トランペットをサンプリングした、深い音響のダーク・アンビエントだった。特殊なエッヂングが施されたヴァイナルとともに、それはコアなリスナーのあいだで即座に話題となった。002ではドレクシアを髣髴とさせるような、ブレイクビーツ主体の不穏な気配のデトロイティッシュ・テクノを聴かせ、プレス・シートにはチリ出身のロシア系ユダヤ人映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーの処女作『ファンド・アンド・リス』からの引用がプリントされていた。

 それから、ジョン・ゾーンにリスペクトを捧げるユダヤ系ドイツ人のテクノ・プロデューサーで、ステファン・ゴールドマンの〈マクロ〉からリリースされたパトリック・カウリーの未発表音源のリミックスを手がけたことから、ユダヤ系のトルコ人(ayhunはトルコ人の姓名に良く使われている)かと思っていたのだが......。  003では北欧の自然をアートワークに、ギャラクティックなシンセが印象的な力強いダンストラックと、メランコリックなビートダウン・トラックだった。〈ワークショップ〉のシリーズにも近い質感で、〈ハードワックス〉系の影をちらつかせた。そして昨年ベルリンでのライヴでその正体がようやく明らかになった。オニ・アイフンはなんと、スウェーデンの姉弟によるエレクトロ・ユニットのザ・ナイフの弟、オーロフ・ドレーイェーの変名プロジェクトだった。ミステリアスなプロモーションは周到に仕組まれた偽装だった。

 ザ・ナイフは、姉であるカーリン・ドレーイェーのヴォーカルをフィーチャーしたニューウェイヴ・リヴァイヴァル系のダンス・ユニットで、"Silent Shout"の大ヒットによってスウェーデンのグラミーを受賞している。ポップ・フィールドで活動する彼らだが、シングル盤のリミックスではレディオ・スレーヴやトレント・モーラー、トロイ・ピアースなどをフィーチャーし、テクノのリスナーを意識したプロモーションを展開していた。

 また、オーロフ・ドレーイェーは本人名義でナイン・インチ・ネイルズの"Me,I'm Not"のリミックスを手がけているが、ここではミニマルを基調とするアンビエント・ハウスを披露している。そんな彼がソロとして自分の音楽の探求に向けたプロジェクトがこのオニ・アイフンなのだ。

 004では、まずランダムに動くアシッド・ベースと突発的なノイズをアクセントとするミニマル・テクノがある。その裏では、ファットでローファイなブレイクにエコーがかかり、じょじょにミニマルへ・テクノへ変化する。BPMの同期用いたトラックだ。音響的にも深みがある。プレスシートにはこの2トラックが引き起こす化学反応が論文調にまとめられ、「NaHCO3 + H+ → Na+ + CO2 + H2O」なる化学式で表されている。まだ公にはその正体を公表してはいないため、これも彼らしいフェイクのひとつだろう。そうしたギミックは抜きにしても、このプロダクションは素晴らしい。同じく今月リリースされた〈コントラ・ミュージック〉からのジェイソン・ファインのリミックスも秀逸だ。

2. Billy Shane / Runner EP | Stead Fast (GER)

 デッド・ビートやイントリュージョンとともにミニマル・ダブを発展させるビート・ファーマシーことブレンダン・モーラーがスタートした注目の〈ステッドファスト〉から5番目となるリリースは、フランソワの〈ディープ・スペース〉一派から頭角を現し、独自のダブ音響を拡大するブルックリン出身の新鋭、ビリー・シェーンによるストイックなミニマル・ダブである。ニューヨークで生まれ育ち、ボビー・コンダースやフランキー・ナックルズ、初期のシカゴ・アシッドに影響を受け、長年DJとして活動していた彼ではあるが、その作品には回顧的な色合いはいっさいない。〈ベーシック・チャンネル〉を経由して新たな発展を見せるニューヨークのIMAを伝えるサウンドとなっている。

 表題作の"Runner"は硬質だが柔軟なグルーヴを刻む。現在のミニマル・ダブの雛形とも言えるクアドラントの傑作"infinition"が甦ったようだ。下する中域のシンセが広がりを見せ、DJユースで使いやトラックに仕上がっている。低域が強調されダビーで音響的な深みがある"Hole"、ベン・クロックのようにタイトなグルーヴのアシッド・ハウスを聴かせる"Fach"、収録されているすべてがフロアに直結したミニマル・テクノだ。ブレンダン・モーラーによるエコロジスト名義でのリミックスは、ストレートなミニマルを聴かせるオリジナルをねじ曲げて、土着的なグルーヴがうなりをもったシンセとともに広がる、プリミティヴでトランス感のある曲に変換している。

3. Mike Shanon / Under The Rader | Cynosure (GER)

 モントリオール出身でベルリン在住のミニマル・プロデューサーであるマイク・シャノンの運営する〈サイノシュアー〉が昨年発足から10周年を向かえた。月日が経つのは本当に早い。ゼロ年代のテクノの最前線にはアクフェンに端を発するモントリオール勢がいつもその名前を連ね、10年のあいだにテクノの世界地図は大きく変わった。マイク・シャノンは大きなヒット作こそ出していないものの、マシュー・ジョンソン、デット・ビートとともにアクフェンが切り開いた土壌を拡大してきたアーティストのひとりである。

 今回のリリースはレーベルの10周年を記念したダブル・パックの10インチで、そうそうたる面子のリミキサーを起用されている。オリジナルはいままでにはないアプローチを見せたもので、ロソウルのシングルにも起用されていたベルリン在住の女性ヴォーカリスト、ファディラがジャジーに歌っている。マイク・シャノンらしいアシッド・ベースにファディラのヴォーカルが絡む。トランシーに疾走する切れのあるミニマル・テクノだ。

 リカルド・ヴィラロボスによるリミックは、もはや一聴しただけでわかる彼らしいリズムのミ二マル・ハウスだ。ヴォーカルの抜き差しとともにじょじょに変化していく、本当に細かいエディットが施されたもので、〈パーロン〉からの作風にも近く、そしてまたキャシーのトラックにも近い質感だ。デット・ビートのリミックスは原曲のトランス感を生かしながら、独自のベース・ミュージックへと拡大している。〈ブッシュ〉や〈プラスティック・シティ〉などに作品を残しているロッゾことマウンテン・ピーポーのリッミクスはまさに現在のフロアの気分を捉えたもので、オリジナルのヴォーカルを生かしたグルーヴィーなテック・ハウスはぞくっとするほど美しい。

4. To Rococo Rot / Forwardness Fridays | Domino (UK)

 トゥー・ロココ・ロット(上から読んでも下から読んでも)はベルリン出身のロナルドとロベルトのリポック兄弟とデュセッルドルフ出身のステファン・シュナイダーによる3人組みによるエレクトロ・アコースティック・バンドだ。1995年に〈キティ・ヨー〉からのデビュー、〈サブ・ポップ〉や〈ファット・キャット〉など、ポスト・ロックやエレクトロニカのフィールドからのリリースを重ね、現在は主に〈ドミノ〉を中心に活動している。ドラムとパーカッションを担当するロナルド・リポックはタルヴェルターのメンバーとして〈モール・ミュージック〉からダビーなダウンテンポをリリース。ギターを担当するロバート・リポックは〈ラスターノートン〉から美しいアンビエントをリース、現代音楽の方面からの注目を集めている。ベースのステファン・シュナイダーはマップステーションとして〈シュタオプゴルド〉から秀逸なエレクトロニカをリリースしている。

 今回のシングルは〈ドミノ〉からリリースされたニューアルバム「Supeculation」からのファースト・カットで、リミキサーにはダブステップとテクノを行き来する、シャックルトンとトラヴァーサブル・ワームホールが起用されている。両リミキサーの起用もさることながら、オリジナルの"Forwardness"は優雅なアンビエンスに溢れた傑作で、彼ららしい温かみのある素晴らしい演奏が収録されている。レコーディングはデュッセルドルフにあるクラウトロック・バンド、ファウストのスタジオでおこなわれ、ファウストのメンバーであるヨーヘン・イルムラーがピアノやオルガンで参加したという。どこまでも多幸感に満ちたアンビエント・ハウスは、同じくデュッセルドルフで活動していたクラウト・ロック・バンド、ノイ!のメンバーであったミハエル・ローターのソロ作を髣髴とさせる。

 そのいっぽうでは、ホワイト盤にスタンプだけの12インチが話題を呼び、テクノやダブステップのリスナーに注目されているトラヴァーサブル・ワームホールのリミックスも面白い。原曲のピアノのリフを上手く生かしながら、ダークで落ち着いたフロア・フレンドリーなダブステップに変換している。このトラヴァーサブル・ワームホールは90年代にハード・テクノ界を席巻したフランキー・ボーンズの実弟で、〈ソニック・グルーヴ〉などからハード・ミニマルをリリースしていたアダムXの覆面プロジェクトである。

 シャックルトンによる"Fridays"のリミックスは、エクスペリメンタルなオリジナル(シーケンスされたAMMとでも言おうか)をストレートに加工し、ディストーションのかったギターのリフに演説調のヴォーカルを絡ませながら、じょじょにトランスしていく。ダークで力強いダブステップだ。さまざなアイデアの詰まった素晴らしい12インチだ。

5. Floating Points / Peoples Potential | Eglo Recording(UK)

 クラブ・ジャズとダブ・ステップとテクノを結びつけ、さまざまな方面から注目を集めるフローティング・ポインツことサム・シェパード。 〈R2〉からリリースされたデビュー・シングル"Love Me Like This"では、セオ・パリッシュのようなスローなファンクを聴かせ、ジャイルズ・ピーターソンをはじめとするクラブ・ジャズ系のDJからの支持を集めている。〈プラネット・ミュー〉からリリースされた"J&W Beat"は初期のブラック・ドックにも似た雰囲気のトラックで、新世代のインテリジェント・テクノとして、ダブステップやテクノDJからの支持を集めている。

 あるいは、自身が立ち上げた〈エグロ・レコーディング〉からの"vacume boogie"は70年代のジャズ・ファンクが変調したような、そしてアナログ・シンセの響きが独特なビートダウン・トラックで、オランダの〈ラッシュ・アワー〉系とも近い作風だった。

 そして、今月〈ドミノ〉から出たフォーテットの"sing"のリミックスでは、メランコリックな原曲の雰囲気を上手く生かし、バウンシーなテクノへと変換した。また、〈ニンジャ・チューン〉から出たボノボの"Eyes Down"のリッミックスでも、UKガラージやダブ・ステップからの影響をほどよいアクセントとする、バレアリックで美しいエレクトロ・ブレイクを披露した。

 すべてのリリースはここ1年以内のものだ。いかに彼の急速に頭角を現しているかがわかるだろう。

 ここに挙げた〈エグロ〉からのニュー・シングルではジャジーなピアノとシンセが煌めく、デトロイト調のブレイク"peoples potencial"と、シカゴ・ハウスに接近し、ファットなベース・ラインにフェンダーのローズ・ピアノが絡むジャジーで力強いアシッド・ハウス"Shark Chase"が収録されている。彼はUKアンダーグランドの音楽シーンを自由に歩きながら、ジャズやレアグルーヴをもとにデトロイトを解釈しているのだろう。イーブンキックにとらわれない曲を創出するフローティング・ポインツは、アズ・ワンやスタシスの正当な後継ともいえるのではなかろうか。

Chart by Lighthouse Records 2010.03 - ele-king

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1

BURNT ISLAND CASUALS

BURNT ISLAND CASUALS SCOTH HOP / TRUTH & TEMPTATION UNDER THE SHADE / UK / 2010.3.16 »COMMENT GET MUSIC

2

SOCIAL DISCO CLUB

SOCIAL DISCO CLUB I'M GOOD FOR YOU HANDS OF TIME / UK / 2010.2.23 »COMMENT GET MUSIC

3

SLY MONGOOSE

SLY MONGOOSE NOITE ENE / JPN / 2010.3.18 »COMMENT GET MUSIC

4

ROBERTO BOSCO

ROBERTO BOSCO MY UNIVERSE EP WAVE MUSIC / US / 2010.2.23 »COMMENT GET MUSIC

5

RON TRENT

RON TRENT THE POWER OF SOUND FUTURE VISION / US / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

6

AGARIC

AGARIC CLUB TRACKS VOL.3 WE_ARE / GER / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

7

REZKAR

REZKAR ABOVE THE CLOUDS RUNNING BACK / GER / 2010.3.16 »COMMENT GET MUSIC

8

ROLAND SEBASTIAN FABER

ROLAND SEBASTIAN FABER GROPIUSSADT EP AUBE RECORDS / NED / 2010.3.9 »COMMENT GET MUSIC

9

ANALOG ROLAND ORCHESTRA

ANALOG ROLAND ORCHESTRA MIDNIGHT TIL NOON PASTAMUSIK / GER / 2010.3.2 »COMMENT GET MUSIC

10

BURRO MORTO

BURRO MORTO VARADOURO ORIKI / FRA / 2010.3.2 »COMMENT GET MUSIC

bloodthirsty butchers - ele-king

 1987年に札幌で結成されたブラッドサースティ・ブッチャーズは、ダイナソーJrなど後にグランジと呼ばれるようなギター・サウンド、ヘルメットやアンセインなどのジャンク的な凶暴性、ネオアコ的な陰のある繊細な叙情性が合わさった独自のサウンドで注目を集めるバンド。なかでも今回、新作と同時にリマスタリング盤がリリースされた1996年のアルバム『kocorono』は、シューゲイザー的とも言えるオーヴァーダビングを施したサウンド・プロダクションと、絶望と悲哀に沈んだ世界観で新境地をみせ、日本のコアなロック系メディアやファンのあいだでは"90年代ギター・ロックの金字塔"とも言われている作品だ。国内ではイースタンユースやカウパァズ、ナート、ナンバーガールなど、数多くのオルタナ・パンク~エモ~ギター・ロックのバンドに影響を与え、ときとして、日本におけるエモの始祖的な存在とも言われている。海外方面では、アメリカのオリンピアにある〈K〉レーベル周辺との交流を持ち、ベックやフガジらの来日公演のサポートもしている。セールス面ではトップクラスと言えないものの、間違いなく日本のロックの発展に影響を与えているバンドだろう。

 そんな彼らの新作『無題 NO ALBUM』が素晴らしい。圧倒的な存在のデカさをあらためて思い知る充実作である。
 日本のサーストン・ムーアと形容したいくらいに煌めきながらうなりをあげる吉村秀樹のギター、不協和音をものともせずに空間を曇り空に染める射守矢雄のベース、灼熱の荒野を鞭打つような小松正宏のドラム、そして細かくうねりを巻き起こしてさらに空間を歪める田渕ひさ子のギター。いち音いち音の粒子にこだわった音色、フレーズごとに刻まれた念、それら複数のレイヤーが紡ぎ上げるウォール・オブ・サウンド。そんな往年のブッチャーズ節ともいえる演奏がキラキラと光を放ち、ときに哀しみを携えながら爆裂している。細かいシーンやスタイルといったものを蹴散らすようなデカさをここに感じるのは、筆者だけではないだろう。

 アルバムの前半は、シンプルで明瞭、ポジティヴな印象の楽曲が並ぶ。演奏のオーヴァーダビングを控え、そのぶん歌を際だたせたことで、1曲1曲のキャラクターが強調され、曲自体の良さが浮き彫りとなっている。とくにアルバム最初の曲"フランジングサン"などは、色彩の滲んだような彼ら独自のサウンドがくっきりと具体化されている。吉村秀樹のヴォーカルが何重もの和声で重ねられているのも今回初の試みのひとつだ。吉村はそれを「友だちが欲しかったのかな」と語っていたが、このコーラス感によって楽曲のポジティヴな力強さが強調されているように思う。
 7曲目"ノイズ"からは、そこに深みのある枯れた味わいが加わってくる。9曲目"ocean"は今回のハイライトとも言えるもので、大海に漕ぎだすような大きなスケール感と、何かから解き放たれたような爽快感を持った曲だ。曲調が名作『kocorno』を想起させるところも新作の特徴だ。とはいえ、新作で歌われる「生きている生きて行こう 残された気持ち握り 潰す」というポジティヴな一節は、かつて自殺でもしそうなくらいに絶望と哀しみを負った男たちが、いまは"いやそれでも前に進むんだ"という意思を獲得したことを伝えているように思える。
 ラストの"curve"は、吉村秀樹と田渕ひさ子のデュエット曲。ピースフルでドラマティックな世界を描いて、アルバムをハッピーエンドで締めようとする。もっぱら歌詞では「この世に僕はたった独りで 僕の胸は張り裂ける」と歌っているのだが......。

 取材をした際の吉村秀樹の話によると、今作は圧倒的な孤独を感じながら制作したそうだ。バンドのメンバーにアイデアを求めながら新しいかたちを模索したかったが、なかなかアイデアも生まれず、結果的に吉村ひとりの孤独な作業によるところが多かった。その"苦悩""やけっぱち""ポジティヴ"が渾然となったような心情が、この作品に深みと奥行きを与えている部分はあるだろう。実は、『kocorono』の時に強くあった心情も"孤独感"である。プライヴェートでの問題やレーベル移籍などバンドを取り巻く状況が背景にあったようだが、ブラッドサースティ・ブッチャーズの音楽には、そうした負の感情が必要なのかもしれない。
 そしてそんな彼らの音楽は、ぼくたちが共通して抱える不安を代弁するかのように、強く響くのだ。

CHART by JET SET 2010.04.01 - ele-king

Shop Chart


1

FRANCOIS K.

FRANCOIS K. HERTBEAT PRESENTS FRANCOIS K. X AIR »COMMENT GET MUSIC
Francois K.最新ミックスが登場!!Derrick Mayによる13年振りのMix CDリリースで話題となった代官山"AIR"発"Heartbeat"第二弾は、ハウス・サウンド更新の鍵を握るNYの重鎮Francois K.!!

2

FOUR TET

FOUR TET SING »COMMENT GET MUSIC
■'10年ベスト候補筆頭■絶世の美麗トラックをFloating Pointsがリミックス!!ご存知レフトフィールド・ミニマル天才Four Tet。傑作5th."There is Love in You"からの2nd.カットは、既に大人気のあの曲。美し過ぎます!!

3

HAPPY BIRTHDAY

HAPPY BIRTHDAY S.T. »COMMENT GET MUSIC
メチャクチャおすすめー★Sub Popが送り出すスーパー・カラフル・ファズ・ポップ・バンド!!名門Sub Popから登場したヴァーモントの3ピース、Happy Birthday。噂のデビュー・アルバム到着しました!!爽快甘酸っぱメロが駆け抜ける激名曲M-1を筆頭に、全曲最高すぎます!!

4

DJ DUCT

DJ DUCT BACKYARD EDIT PT.2 »COMMENT GET MUSIC
海外でも大好評だったエディット・シリーズ、待望の第2弾!!サンプリング・ファンク的王道ヒップホップ・ビーツに、ダブ的要素を散りばめたルーツ・ロックな曲まで、実にバラエティーに富んだ内容に。

5

PANTHA DU PRINCE

PANTHA DU PRINCE STICK TO MY SIDE »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆お待たせしました。Four Tetリミックスも搭載の特大傑作です!!レーベルメイトEfdeminと主宰に加え、なんとまさかのFour Tetリミックスまで搭載。これがまた笑えてくるほどに完璧な仕上がりなのです~!!

6

COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ MODERN DEEP LEFT QUATET »COMMENT GET MUSIC
傑作「23 Seconds」以来3年ぶりとなるCobblestone Jazzの2ndアルバム!Wagon Repaieを主宰するMathew Johnson率いるCobblestone Jazz。The Moleを加え4人編成となり完成させた圧倒的な完成度を誇る1枚!

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RUBY SUNS

RUBY SUNS FIGHT SOFTLY »COMMENT GET MUSIC
ニュー・ジーランドのマジカル・トロピカル・ポップ・バンド。大成長の2nd.アルバム!!Sub PopからのUS盤リリース!!めちゃくちゃ素晴らしいです。

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COLE MEDINA

COLE MEDINA RED HOT »COMMENT GET MUSIC
遂に来ましたよ、人気急上昇のCole MedinaがPrins Thomas主宰Internasjonalに参戦!!House Arrest、American Standardでお馴染みのファンキー・カリフォルニアンのInternasjonal参戦。The Moleリミックスも収録で鬼に金棒のマスト盤です!!

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CHRISTIAN PROMMER

CHRISTIAN PROMMER DRUMLESSON ZWEI JAGUAR / GROOVE LA CHORD »COMMENT GET MUSIC
デトロイトの2大名曲のジャズ・リメイク出ました!!間もなくK7よりリリースが予定の最新アルバム『Drumlesson Zwei』からの先行シングル・カット作品はあのURきっての名曲"IaguarとAril Brikhaによる"Groove la Chord"とヤバイ選出!!

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JULIAN JEWEIL

JULIAN JEWEIL BABOU »COMMENT GET MUSIC
Pulus 8から規格外なドラッギーEPが登場!!FigureやCraft MusicそしてCocoon等から作品をリリースするJulian Jeweilがやはりドラッギーなリフが飛び交うフロア・キラーな作品をリリース!!

Sun Araw - ele-king

 騙されてた! サン・アローことキャメロン・ストーローンズは黒人......ではなかった。よく見ると、『ボート・トリップ』(08)のジャケットはO・V・ライトの写真をそのまま貼ってあるだけ(こんなヒドいジャケットはほかにない!)で、『ヘヴィ・ディーズ』(09)はスティーヴィー・ワンダーがうっすらと合成してあるだけ。手塚るみ子風にいうならば「あっちゃー」(「阿川佐和子との対談で泣いたんでしょ?」と聞いた時の返事)、宇川直宏風にいうならば「お返事まってますー!!!! 野際陽子より」(いつでもどこでもそんな感じ)。
 実際にはサン・アローはスウェーデンのサイケデリック・ロック・バンド、マジック・ランターンのメンバーで、バリバリの白人もいいところ(ワルシャワ情報によると、自分ではニコラス・ケイジに似ているといっていたらしい)。まー、騙されていたといっても、ほんの数ヶ月のことです。むしろ、もうしばらく騙されていたかった......かもなーとか。

 サン・アローとしては08年に『ビーチ・ヘッド』をリリースしてから早くも4作目のソロ・アルバム。マッシヴ・アタックから重量感を除いたような独特のダブ・スタイルを確立させ、なおかつ技術面でも格段の進歩を見せた『ヘヴィ・ディーズ』をそのまま受け継ぐダブル・アルバムで、タイトルに仮託された通り、それとなくストーリー性も有し、使用目的もかなり明確に(笑)。あッつー間に売り切れた先行シングル「バンプ・アップ」は、しかし、入ってません(いまのところアナログには)! 聴きたかった!

 基本となるのはソニック・ブームやジミ・ヘンドリックス風のサイケデリック・ロックをダブ風に処理し、ロック的なエッヂを強調することなく、ひたすら煙に巻こうとするスタイル。リズムで人を持っていこうという気はまったくなく、かといってドローンでもないところがほかとは決定的に違う。むしろミニマルが基調で、ベーシック・チャンネルのロック・ヴァージョンというのがいちばん近いだろうか。抑え込もうとしてもロック的な欲望がどうしても噴き出してしまい、その過剰さなり、子どもっぽさが発展の余地として感じられるところが強い。
 導入からふわふわとしたギターのループを繰り返すだけのチル・アウト・モードに始まり、"ビート・コップ"から本格的な旅(=パトロール)が始まる。気がつくとヘンなところにいるようなタイプの曲が多く、集中力があった方が楽しめるのか、そうでもないのかはよくわからないままに曲が進んでいく。それでも最後にサイドD全体を使った"ホロデック・ブルーズ"では足元からどんどん景色が変わっていくようなクライマックスに連れ去られ、目くるめくスピードの世界にやられてしまう。この人はまだいくらでも伸びるような気がするなー。

Shop Chart


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SCUBA

SCUBA Triangulation HOTFLUSH / JPN / 2010/3/27 »COMMENT GET MUSIC
新たなるDUBSTEP新世紀の幕開け!! 自身のレーベルよりリリースされた2NDアルバム。 OSTGUT TONからのMIX CDでもダークなテクノとも重なり合う独特の価値観を提示したシーンのキーマン。モチロン近作でもメタリックなリズム、退廃的な未来感を感じさせるシンセのメロ、DRUM&BASS、UK BREAKS辺りにも近しいタフなベースライン。まだDUBSTEPを体感していない人にも是非。(I)

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FRANCOIS K

FRANCOIS K Heartbeat Presents Mixed By Francois K LASTRUM / JPN / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
DERRICK MAYによる第1弾の勢い冷めやらぬ中、フランソワによる第2弾がリリース!! 70年代のNYから現在まで、常にダンスミュージックの中心で輝いてきた巨星。今回は自身が運営する「WAVE MUSIC」絡みの音源をメインに、TECH HOUSE、DUB TECHNOをスムースにMIXしたフロア直結の陶酔型作品。(I)

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COBBLESTONE JAZZ

COBBLESTONE JAZZ Modern Deep Left Quartet !K7/ULTRA-VYBE / JPN / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
間違いなく今年を代表する作品です。類似品のない独自の「JAZZ」感を表現しきった1STアルバム「23 SECONDS」から3年を経てリリースされた2ND アルバム。先行12inchでも見られた、これまでのスタイルをさらに推し進めた図太いGROOVEは本作でも健在。ディスクユニオン限定の特典として来日時のLIVEを収めたDVD-Rが付きます。(I)

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DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS Chill Out THIRD-EAR / JPN / 2010/3/10 »COMMENT GET MUSIC
未だに売れ続けるロングセラーMIX CD「AMBINET FOR HARD WORKIN' PEOPLE」でもおなじみのヨーグルトがコヤス氏と組んで、あの名作「CHILL OUT」のカバーアルバムを発表!! コラージュ、SE、様々なAMBIENT的要素を組み合わせて新しく蘇った「CHILL OUT」。この作品も長い間愛される作品となることでしょう。(I)

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GREG GOW

GREG GOW Pilgrimage EP TRANSMAT / US / 2010/3/19 »COMMENT GET MUSIC
歓喜!!! デリック・メイ主宰「TRANSMAT」レーベル復活!!! 先日リリースされたデリックのMIX CDでも終盤で強い印象を与えたあの曲です!! STRINGS OF LIFE時代から変わらない「TRANSMAT」らしいストリングスのフレーズとシンセ使いの組み合わせを、完全フロア対応型で成立させたエクストリーム・トラック!!!(I)

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VARIOUS ARETIST

VARIOUS ARETIST Cecille Italy CECILLE / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
EUのMINIMAL│HOUSEシーンの重要レーベル「CECILLE」からイタリア人プロデューサーをセレクトしたオムニバスが登場。アンダーグラウンドな顔ぶれですが、「CECILLE」のフィルターを通過しているだけに、全曲即戦力。個人的なオススメは、重心の低いGROOVEと酩酊感がたまらんLEON、オルガン使いとハウシーなハイハットがNICEなPIRUPAあたりをチョイス。(I)

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DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA

DANI CASARANO & FELIPE VALENZUELA La Tulipe EP CADENZA / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
絶好調レーベル、ルチアーノ主宰「CADENZA」より異色JAZZ MINIMALが登場!!! 南米チリのDANI CASARANOとFELIPE VALENZUELAによるトラックで、エレガントでモダンなJAZZピアノと、CADENZAらしいパーカッションでミックスしたA面。B面はVOICEサンプリングと美麗なピアノをMIX。こちらも盛り上がり間違いないです。(I)

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V.A.

V.A. Don't Believe The Hype OSLO / GER / 2010/3/24 »COMMENT GET MUSIC
レーベル発足から3年、間違いなくミニマル・ハウスのトップレーベルの一つへと躍進を遂げたOSLOが届けてくれた渾身の12インチ4枚組! CHRISTIAN BURKHARDT、JOHNNY D、FEDERICO MOLINARIといった主力アーティストが、セクシーでグルーヴィーな"本物の"フロア向けミニマルをドロップ! DON'T BELIEVE THE HYPE!(S)

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GLENN UNDERGROUND

GLENN UNDERGROUND AFRO GENTE SUPERB ENTERTAINMENT / FRA / 2009/4/2 »COMMENT GET MUSIC
確か07年のマイアミWMC、毎日Glennを追っかけてその都度彼がプレイしていた曲。めでたく12インチリリースで間違いなく大ヒット(!)かと思いきや、当時はそれ程騒がれませんでしたね。Theo Parrishがセットに組み込むようになり、先日のDerrick MayのCDにも収録。3年越しでようやくヒットに至った遅咲き演歌ヒット曲のような1枚。(Y)

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PINK SKULL

PINK SKULL ENDRESS BUMMER MUSIC 4 YOUR LEGS / JPN / 2010/3/5 »COMMENT GET MUSIC
1stアルバムがそこそこ話題になったNYのサイケロック(?)バンドの2nd。ドロドロになり過ぎないための聴きやすいダンスロック~ESGのような臭いもしなくも無い曲もありつつ、中盤から後半はいろんな意味で"bummer"な少々OD気味にトバす「あっち側で鳴ってる音」ばかり。どなたか野外フェスに呼んでくれないですかね?(Y)

Sylvester Anfang II - ele-king

 クラウトロックからの影響と言ったとき、この10年の成果をみる限り、それはヤッキ・リベツァイトの機械的なドラミングであり、ノイ!のモータリック・サウンドであり、ホルガー・シューカイの文化戦略であり、クラスターの電子ドローンであり、あるいは20年前であればクラフトワークのロボット・ファンクもしくは『E2-E4』といったところだろう。1960年代のベルリンのコミューンから生まれたフリークアウト・サウンドの巨星、アモン・デュールという名前は滅多に出てこない。

 アモン・デュール――初期のアシュラ・テンペルらと並んでコズミック・ミュージックと呼ばれた彼らの表現は、ジュアリン・コープが『Kroutrocksampler』で書いたように「ライフスタイルおいて拡張されるアウトサイダー・ミュージックであり、ときに音楽は二次的でさえある」。フランスとベルギーの国境沿いに広がるフランドル地方(フランダースの犬で知られる)において結成されたシルヴェスター・アンファングは、そのセンで言えばアモン・デュール的だ。ライフスタイルおいて拡張されるアウトサイダー・ミュージックであり、ときに音楽は二次的でさえある。バンドはしかも、アモン・デュールが"II"へと分裂したように、2008年からは"II"となって活動している。

 オリジナル・メンバーには現在スイスで活動する火山学者もいたというこのコレクティヴは、2004年から自らのレーベル〈フューネラル・フォーク〉を拠点に活動している。"葬儀のフォーク"というこのレーベル名は、同時に彼らの音楽性を物語っている。同時代のUSのフリー・フォークの楽天性を嘲るように、彼らの音楽は異教徒的で、ときにサタニックである(頭蓋骨を舐めて悦にいる女性の写真を想像してください)。人は彼らの音楽を"フューネラル・ドゥーム・フォーク・メタル"と呼び、自らは"ペイガン・ベルゴサイケ(異教徒的ベルギー・サイケ)"と形容する。ジャム・セッションによる即興とエレクトロニスとのカオスと言えばサンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンと共通するものの、イタリアのホラー映画がウッドストックに似合わないように、彼らのダーク&ドラッギーな音楽はいわば美しい田園地帯の悪夢的な異物である。アニマル・コレクティヴが『ローズマリーの赤ちゃん』のサウンドトラックをやったとしてもここまでのいかがわしさは持ち得ないだろう。

 シルヴェスター・アンファングの音楽は魅力的である。このポスト・サタニック・クラウトロックのサイケデリックな響きには、質素だがリズミカルなパーカッションとスペイシーなギターによる巧妙な香気が漂っている。魔女のセクシャルな誘惑のように、この音楽は危険な領域にリスナーを導く......だからといって怖がらなくても大丈夫です。これまでバンドが残してきた作品のアートワークのおどろおどろしさにはたしかにそそられるものがあるけれど、それを差し引いてもユニークな音楽なのだ。
 ブライアン・ジョーンズの『ザ・パイプス・オブ・パン・アット・ジャジューカ』を思い出して欲しい。あれをサイケデリック・ロックにおける異教徒主義の到達点のひとつとして受け入れることができるのなら、シルヴェスター・アンファングはひょっとしたら神秘的な美しさと感動を与えるかもしれない。アウトサイダーであることの証として......。

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