「IR」と一致するもの

Yasuyuki Suda (inception records) - ele-king

2015.11.29

 いまや『ローリング・ストーン』誌も「いまや新しいブルックリン」と評価するアイスランドのエアウェイヴスに今年も行って来た(最近では、ジョン・グラントも引っ越した!)。たしかにレイキャヴィック(アイスランドの首都)のサイズは、ブルックリンのウィリアムスバーグぐらい。
 で、今年、ローカルで良かったバンドを思うがままに挙げてみると……


dj. flugvél og geimskip


bo ningen

 グライムスやコンピュータ・マジックのアイスランド版とも言えるdj. flugvél og geimskip(DJエアロプレインとロケットシップ)に、レイキャヴィッカダートゥア(発音できない……)は革命を起こしたい女の子10人のラップ・グループで、とにかくかわいい。2、3本のマイクを10人で次々にパスして行くのですが、間違えて違う人に渡したりしないのかなぁ、と素朴な疑問を抱いてみたり。ピンク・ストリート・ボーイズは今時珍しい、トラッシーなパンク・バンド。ヴォックは3年連続で見ているが、ドラマーが増え、よりバンドらしくなり、大御所の風格さえあった。シュガー・キューブスのリード・シンガーだった、エイナーのヒップホップ・プロジェクト、ゴースト・デジタルの大人気っぷりは流石、レコード屋から人が溢れ、道を渡ったところにも人が盛りだくさん。
 レイキャビックの『ヴィレッジ・ヴォイス』とも言われる、情報紙『grapevine』のライターのポールさんによると、ダークで、奇妙で、突拍子もない、Kælan Miklaが今年のエアウエイズのベスト1だと言っていた。私は、世にも美しい音を奏でるMr. sillaに一票。


pink street boys

 エアウエイヴスは、ニューヨークのCMJやオースティンのSXSWのアイスランド版と言った所だが、より個人が主張し、インディ感覚を忘れていない。リストバンドの種類がアーティスト、プレス、フォト以外にダーリンというVIPパスかあり、ダーリンを持っていると、長い列に並ばなくても良い。人気のショーはリストバンドがあっても列に並ばないとだめで、このダーリン・パスは大活躍だった。
 今年のハイライトは、ホット・チップ、ビーチ・ハウス、ファーザー・ジョン・ミスティ、バトルズ、アリエル・ピンク、パフューム・ジニアス、ボー・ニンゲン、グスグスなどで、私のハイライトは、断然ボー・ニンゲン。ブルックリンでも見て親近感が湧いたが、オフ・ステージでの腰の低さも好かれるポイントなのだろう。
 Samarisやkimonoのメンバーとアイスランド、ロンドン、日本、そして音楽に関しての対談が『grapevine』に掲載されている。
 今年のCMJではアイスランド・エアウエイヴスもショーケースを出し(dj. flugvél og geimskip, fufanu, mammútが出演)、アイスランドとブルックリンの位置はどんどん近くなっている気がする。

 昨年と比べて、街は少しだが変わっていた。空き地が取り壊され、新しいホテルができ、コーポレート企業が少ないアイスランドにダンキン・ドーナツができていた。と思えば、フリーマーケットに行くと、シガーロスのオリジナルのポスターが普通に売られていたり、道を跨ぐと壁にグラフィティが満載だったり、街には文化の匂いがする。ご飯は魚が新鮮で、何を食べても美味しいが、羊の頭、というギョッとするものがスーパーマーケットに売っていたりもする。名物は、パフィン(=ニシツノメドリ)とクジラですから。
 エアウエィヴスHQ近くのハーパ(窓のステンドグラスは光によって色が変わる!)と自然の美しさは相変わらずで、まるで他の惑星にいるような感覚に陥る。近くの水辺でまったりしていると、何処からともなく人が現れ、この最高の景色を共有出来る偶然と贅沢を、改めて堪能。こんな景色を毎日見ていたら、創作欲もどんどん湧く、と羨ましくも納得していた。


シガー・ロスのポスター


ニューヨークから直航便で6時間、時差は5時間。


 そしてニューオリンズ。今回はバンドのツアーで来たが、町も音楽も想像以上に素晴らしかった。ニューオリンズといえば、ブルースやジャズのイメージだが、インディ・ロックも、エレクトロ、ダンス・ミュージック、ヒップホップも何でも見ることができる。音楽会場がたくさん並ぶエリア(フレンチ・クオーター)では、バー、レストランなどがズラーッと並び、バーホップを楽しめる。ロック、ブルース、ジャズ、ホーン隊が10人以上いるビッグバンドや、2ピースのエレクトロ・ダンシング・バンド等、ミュージシャンはさすがに上手く、観光地になるに連れてカバーバンドが多かった。お客さん同士仲良くなるなどノリも良く、こちらは毎日がCMJやSXSWな感じ。
エレキング読者には、フレンチ・クオーターからは少し離れるが、私たちがショーをしたサターン・バーがオススメ。ここは元ボクシングを観戦する会場で、バルコニーが四方をグルっと囲み、バンドを180度何処からでも上から眺められる。何気に天井がプラネタリウムの様になっていたり、サターン(土星)が壁に、ドーンと描かれ、場末な感じが最高だった。
 今回お世話になったのは、ビッグ・フリーダ、シシー・バウンスなどでDJをしているDJ Rasty Lazer。ニューオリンズ・エアリフトも主催するニューオリンズのキーパーソンである。

www.neworleansairlift.org
https://en.wikipedia.org/wiki/Bounce_music

 エア・リフトが今年2015年夏に開催したアート/音楽・プロジェクト、「ミュージック・ボックス」の映像を見せてくれた。



 大きなフィールドに、多様なアートピースを創り、ミュージシャンが音楽を奏でるのだが、ディーキン(アニマル・コレクティブ)やイアン(ジャパンサー)、ニルス・クライン、ウィリアム・パーカーなど、面白いほどに、ブルックリン他のなじみある顔のミュージシャンが参加していた。

 このプロジェクトにも参加していたラバーナ・ババロンは、4年ほど前にブシュウィックで知り合ったアーティストだが、いつの間にかブルックリンからベルリンを経由し、ニューオリンズに引っ越していた。彼女曰く、ブルックリンより、こちらの方がアート制作に時間を費やせるし、露出する場がたくさんあると。たしかに彼女のようなパフォーマーは、あたたかい気候が合っているのかもしれない。
 そのDJ Rusty Lazerがキュレートするパーティにも遊びに行ったが、規模がブルックリンとまったく違うことに驚く。会場の大きなウエアハウスは南国雰囲気。手前にバー、真ん中にはトロピカルな藁のバー、回転車輪(ネズミの様にクルクル回る)、ポップコーンバス(中で男の子がポップコーンをホップし続けている)、ダンスホール(バウンス・ミュージック)、映像部屋(自分がライトの中に入っていける)、ライト&ペーパーダンスホール(上から紙のリボンが垂れ下がり、ブラック・ライトが照らされた部屋)、野外映画、仮装部屋(いろんなコスチュームが揃い、みんなで写真が撮れる)など、もりもりたくさんのエンターテイメントが用意されていた。人も今日はハロウィン? と思うくらいドレスアップ(仮装)している人ばかりで、こちらは毎日ハロウィン。

ニューヨークからは直行便で3時間半と。時差は1時間。

 全く違う2都市だが、空港に降り立った時から、違う空気を感じ、気候が音楽に与える影響も感じる。この2都市のパーティにかけるピュアな姿勢と気合は、ブルックリンは断然負けている。ブルックリンはパーティしつつも、頭は何処かで冷静だったりもする。さらに人びとが次々繋がっていくのが面白い。小さなインディ・ワールドにいるからか、今回もニューオリンズやレイキャビクからブルックリンの知り合いが繋がっていった。ブルックリンのエッセンスは、何処かで継がれていくのだろう。

MONK.T (Well-def Lab.) - ele-king

SWEET SOUL45 10選

第35回:花と血の時代 - ele-king

 テロルである。
 またもや欧州でテロル勃発。今回は規模が大きいぞってんで、すわ戦争か。とゴリラのように拳で胸を連打しているマッチョな人たちがあんまり多いもんだから、なんだか息苦しいわ。と思って、ちょっとまじめな記事を書いたらとんでもないことになり、いやネットのニュースサイトってのは半端ない。間違ってトップページにでも出ようもんなら、違う考え方を持つネット政治運動家の方々から、文体は硬質なのに内容な粘質。みたいな抗議、嫌がらせのメールがわらわらと殺到し、布団を被ってぶるぶる震えていたのですが、実はあの日は同じサイトのエンタメ欄のほうでも、「チャーリー・シーン、ゴムを使わずにセックスしたのは2人だけ」という当方の記事がアクセス1位を達成していたのですが、その辺りを突いてきたメールは1通もなかったので、ちっ。と思いました。
 まあ、そんな話はどうでもいいか。

               *******

 翌日、いつものように子を学校に送り、バス停に立っているとイラン人の友人が歩いて来るのが見えた。
 「ハーーイ!」と言ってひしっと固くハグ。って別にそんなことをしなくとも、彼女とは緊縮託児所(eg昔の底辺託児所)で一緒に働いている仲なのだが、ネットの暗がりの後には生身の人間の感触がうれしい。そのまま峠の茶屋に直行することになった(いやそれが本当に坂の頂上にあるのだ。グリーンティーも出してるし)。
 彼女に思わずバス停で抱き着いてしまった理由を話すと、友人はぎゃははっと笑った。
「テロはテロを呼ぶからね」と彼女は言う。
「……ああ」
「やる方もやられる方も傍観する方も、みんなアグレッシヴになる」
「なんかそういう世の中になったよね。やけに暴力的だもん。ここんとこ目にするものが」
「そう? ニュースの見すぎじゃない?」
「ああ……。やっぱ見ないほうがいいの?」
「いや、そういうのが好きなら見ればいいと思うけど、こっちのが可愛くない?」
と言って、彼女は自分の携帯の待ち受け画像を見せた。イランにいる親戚の赤ん坊の写真だという。何か昭和の頃の日本の写真館で撮られた写真のようなアナクロさがあり、座っている赤子の周囲に花々が美しく咲いていて、ボリウッド映画のスティルまたはピエール&ジルの作品さえ髣髴とさせるクオリティーだ。
「ああ、花だ」と思わずわたしは言った。
「ははは。私の国ではプロが写真撮るとこうなるの。家族写真でも何でも」
「キュート」
と言いながらわたしは別のことを考えていた。
 なんか最近、やけに花なのである。
 硬質ぶっても粘質な数々のメールが来る原因となった記事もバンクシーの「Flower Thrower」という作品についてのものだし、「パンと薔薇」だの「米と薔薇」だの、われながら最近は花についてばかり書いている。なんかそうなってしまうのだ。

              ******

 モリッシーがジーンズの尻ポケットからグラジオラスの花を垂らして登場した「トップ・オブ・ザ・ポップス」のザ・スミスの演奏シーンは、UKポップ・カルチャー史のアイコン的シーンと言われる。ザ・スミスには、「花の時代」と呼ばれる時期があった。それは1983年から1984年春までで( Mozipediaより)、ギグでもステージを花で覆ったりしていた。最初にザ・スミスのステージに花が登場したのは、1983年2月4日のハシエンダでのステージだったそうだが、花を使った意図は、マンチェスターの音楽シーンとハシエンダを取り巻く「殺菌されたようで非人間的な」環境に対する抗議だったという。「誰もが非人間的で冷たかった。花はとても人間的なものを象徴する。それは自然との調和でもある」「花は僕たちのツアーではPAシステムより重要」とモリッシーは当時語っていた。

 当時のUKのおもな出来事を振り返ってみると、非常に暴力的な時代だったことに驚く。炭鉱ストライキにおける労働者と警察の衝突。IRAの爆破テロ。航空機ハイジャック。フーリガン、レイシズム、相次ぐ暴動。人間と人間のグループが常にぶつかって負傷したり死んだりしていた時代だったのだ。そして、その世の騒乱を押さえ付け、締め付けることによってさらなる衝突と暴力を生んだ指導者がマーガレット・サッチャーだった。
 あの時代もニュースはさぞ物騒で血なまぐさい絵のオンパレードだったろう。花が見たくなる気持ちはわかる。ザ・スミスはステージ全体を花で覆うことで、その渇望をカウンター的ステートメントに変えたのだ。
 だが、すぐにファンも花を持ち寄ってステージに投げるようになり、そのうちモリッシーが花々に足を取られて転ぶようになって、ザ・スミスの「花の時代」は終わる。
 花もけっこう危険なのである。

              ******

 緑茶をすすりながらイラン人の友人は言った。
「花って言えば、最近、センターであったポピー事件って知ってる?」
「何それ」
「いや、それが大変だったのよ」
と彼女は解説を始めた。センターというのは、わたしと彼女が働いている託児所の本体にあたる場所であり、無職者と低額所得者、移民・難民やホームレスの方々を支援している慈善施設である。
 彼女の話を聞くと、こういうことであった。英国では11月11日の第一次世界大戦休戦記念日は戦没者記念日でもある。日本は戦没者というと第二次世界大戦を思い浮かべることが多いが、英国は断然、第一次世界大戦だ。第一次世界大戦の激戦地だったフランダース地方に咲く赤いポピーの描写で始まるカナダの詩人ジョン・マクレーの詩が英誌に発表されて大反響を呼び、以降赤いポピーは戦没者たちのシンボルとなった。11月になると多くの英国人が胸にポピーのバッジをつけて歩いている所以である。
 で、あるムスリムの家族が11月の初めに全員胸にポピーのバッジを付けてわたしたちが働く慈善センターにやって来たのだという。
 彼らはパキスタンからの移民で、一家を支えていたお父さんは市役所に勤めていたそうだが、勤務していた部署がこの緊縮のご時世でリストラされ、4人の子供を抱える彼の家庭は我々の施設に相談に来たらしい。
 地方の街では、ムスリムが11月にポピーのバッジを付けているというのは見たことがなかった。が、ここ数年で変わって来ている。ISが世間を騒がせたり、社会の右傾化が進むにつれ、ムスリム・コミュニティーの一部の若者の間で「ポピーを胸につけよう」運動が広まっているのだ。特に若い女性は、赤いポピー柄のヒジャブを頭に巻いたりしているし、アナキスト団体経営のカフェなどに行くと、その運動をサポートする英国人女性もポピー柄のヒジャブを頭に巻いてカウンターで働いている。
 くだんのパキスタン人家庭の長女もポピー柄のヒジャブを巻いていたそうで、両親も弟たちもポピーを胸につけてセンターの食堂に現れたという。
 すると、食堂の隅に座っていた英国人のおっさんが唐突に激怒して暴れ出し、そのポピーを外せと彼らに怒鳴りつけ、止めに入ったヴォランティアの大学生がおっさんに殴られて軽傷を負うという騒ぎがあったらしい。
「そのおっさんって誰? わたしも知ってる人?」と聞くと友人は言った。
「M」
「ああMかあ…」
とわたしは放心してため息をついた。
 Mというのは元パンク&アナキストの60代の爺さんなんだが、鬱を認知症でこじらせているという噂があり、言動がここのところ不安定だ。
「で、その一家はどうなったの?」と尋ねると友人は言った。
「いやさすがに、それっきり来てない」

 ポピー問題は、今年は特に悩ましかった。女優のシエナ・ミラーが英霊追悼週間にポピーのバッジをつけずにテレビに出たというのでバッシングされ、英霊記念日式典に労働党首として出席したジェレミー・コービンのお辞儀の角度が足りなかったとかで、彼の頭部と胴体の角度を測って10度だ15度だと分析していたメディアもあった。こうしたムードを受け、キャメロン首相も自分の写真にフォトショップ加工でポピーバッジを貼らせていたという疑惑が浮上していたし、一番びっくりしたのは、ブライトン市内のある公立小学校のフェンスに直径2メートルはあろうかという真っ赤なプラスティックのポピーが複数出現し、校庭上空に英国旗が、ってそれも1本や2本じゃないのである。『幸福の黄色いハンカチ』状態でユニオンジャックがびっしりはためている様(先週からこれはフランス国旗に変わっている)をバスの窓から見たときには「まじかよー」と思った。あんなにキッチュ(ミラン・クンデラが言う意味での)な追悼の場をわたしは見たことがない。

 「ポピー問題は気が重いね。あれも一応、花なんだけど」
とわたしが言うと、十代の頃に国が戦時中だった友人は表情ひとつ変えずに言った。
「あれは花じゃなくて、血でしょう」
 一面に咲いた赤いポピーの中を歩きながら戦没者を追悼する女王の写真が頭に浮かんだ。
 欧州は花と血の時代に突入したのかもしれない。
 

Khalife Schumacher Tristano - ele-king

 ルクセンブルグの旗手にして、エレクトロニック、クラシックとジャズの音楽界で旋風を巻き起こし、カール・クレイグやモリッツィオとの共 演で世界にその名を知らしめた若き天才ピアニスト、フランチェスコ・トリスターノ。ヨーロッパ・ジャズ界の代表選 手の一人であるヴィブラフォン奏者、パスカル・シューマッハ。そして、この二人の演奏に補完するリズム の礎を築き、このトリオの斬新なライヴを新たな音楽領域に導かすレバノン出身のパーカッションの最高峰、バシャール・カリフェ。このトリ オのライヴには魅惑的な音楽オーラが満ち溢れ、歓喜の静穏が浮かび上がり、円熟さが感じられる。彼等の新スタンダード・ミュージックの真骨頂を遂げようとする、壮絶なライヴが、 遂に日本初上陸! 今回のトリオのライヴで手厚いDJサポートするのは、何と松浦俊夫と、フランチェスコ・トリスターノと海外で共演したHIROSHI WATANABEだ!

2015年12月4日(金)
Dec. 4th, 2015 (FRI)
At CAY

開場:19:00時/開演:20:00時
Open: 19:00pm / Start: 20:00pm

前売:¥4、500 当日:¥5、500
Advance: 4,500 Yen Door: 5,500 Yen

〒107-0062 東京都港区南青山5丁目6-23 SPIRAL B1
Address: Spiral B1F, 5-6-23, Minami-Aoyama, Minato-Ku, Tokyo

For More Info: 03-3498-7840
https://www.spiral.co.jp/shop_restaurant/cay/
https://www.giginjapan.jp

Andrés - ele-king

 デトロイトを代表するデープ・ハウス・プレイヤーのアンドレスが来日する。東京公演は11月22日、今年20周年を迎えた青山蜂のアニヴァーサリー・イベントの3日目に出演し、翌日23日には名古屋のクラブ・マゴでプレイ。自身のレーベル〈ラ・ヴィーダ〉のリリースからも伝わるように、彼のセンスはいまだにずば抜けている。先日、待望のニュー・アルバムの発売も発表された。もうすぐデビュー20年を迎えるアンドレスがどんなセットを披露するのかチェックしたい。

Andrés aka DJ Dez ( Mahogani Music, LA VIDA/ from Detroit, California )
Andrés(アンドレス)は、Moodymann主宰のレーベル、KDJ Recordsから1997年デビュー。ムーディーマン率いるMahogani Musicに所属し、マホガニー・ミュージックからアルバム『Andrés』(2003年)、『Andrés Ⅱ 』(2009年)、『Andrés Ⅲ』(2011年) を発表している。DJ Dezという名前でも活動し、デトロイトのHip Hopチーム、Slum Villageのアルバム『Trinity』や『Dirty District』ではスクラッチを担当し、Slum VillageのツアーDJとしても活動歴あり。Underground Resistance傘下のレーベル、Hipnotechからも作品を発表しており、その才能は今だ未知数である。2014年、DJ Butterとの共作ラップ・アルバム、DJ Dez & DJ Butter‎ 『A Piece Of The Action』をリリース。2012年、 Andrés自身のレコードレーベル、LA VIDAを始動。レーベル第1弾リリース『New For U』は、Resident Advisor Top 50 tracks of 2012の第1位に選ばれた。パーカッショニストである父、Humberto ”Nengue” Hernandezからアフロキューバンリズムを継承し、Moodymann Live Bandツアーに参加したり、Erykah Baduの “Didn’t Cha Know”(produced by Jay Dilla)の録音では密かにパーカッションで参加している。デトロイトローカルの配給会社が運営するレーベル、Fitから作品を残すA Drummer From Detroitとは、彼である。アンドレス本人のInstagramでも公開していたが、現在new album『Andrés Ⅳ』を制作中との事であり、そのリリースを間近にひかえての緊急来日が決定した。

11.22(SUN)
Tokyo @青山蜂 Aoyama Hachi
- AOYAMA HACHI 20TH ANNIVERSARY - <DAY3>

Open 22:00
Door 2000yen with 1Drink

DJ
Andrés aka DJ Dez
THA ZORO
DJ SAGARAXX
Kacchi Nasty
DJ MAS a.k.a. SENJU-FRESH!
DJ TOKI
ADAPTOR
FLAG
FORCE OF NATURE
KOJIRO a.k.a. MELT
TATTI
G.O.N.
RYOTA O.P.P
TheMaSA
HOLY
ARITA

■SPACE DESIGN
VIDEOGRAM
■PHOTO
Nampei Akaki
■FOOD
虎子食堂

Supported by TOKYO MILD FOUNDATION

Info: 青山蜂 Aoyama Hachi https://aoyama-hachi.net
東京都渋谷区渋谷4丁目5−9 TEL 03-5766-4887

11.23(MON/勤労感謝の日)
Nagoya @Club Mago
- AUDI. -

Guest DJ: Andrés aka DJ Dez
DJ: Sonic Weapon & Jaguar P
Lighting: Kool Kat

Open 17:00
ADM 2500yen

Info: Club Mago https://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F TEL 052-243-1818


特殊音楽、とは - ele-king

 来たる11月21日(土)、22日(日)の両日にわたって、六本木〈スーパー・デラックス〉にてFTARRI FESTIVAL 2015が開催される。今回で第3回めを迎えるFTARRI FESTIVALは、おもに00年代以降の日本の即興音楽を海外へと(そして国内に向けても)発信してきたウェブサイト「Improvised Music from Japan」を運営する鈴木美幸が、2006年にレコード・レーベル及びネットショップ部門の移行先として〈FTARRI〉を立ち上げ、その発足を記念して2008年に開かれた第1回と、こちらも即興音楽を世に送り出し続けてきた稀有なレーベル〈DOUBTMUSIC〉との共催によって2010年に開かれた第2回(正確にはこちらはFTARRI DOUBTMUSIC FESTIVAL)が過去に開催されている。前2回のフェスティバルの模様は一部の演奏が『FTARRI COLLECTION』(meenna-111-117)として7枚組のセットとなってCD化されているので、ライヴを体験できなかった方々はこちらでその様子を窺い知ることもできるだろう。〈FTARRI〉は2012年には水道橋に実店舗を構えており、レコード・ショップのみならずイベント・スペースとしても国内外の先鋭的なアーティストが集う貴重な場となっている。

 前回も前々回も〈FTARRI〉レーベルに馴染みの深い顔ぶれが並ぶラインナップだったことからは意外にも、というよりは、当然のことと言うべきなのかもしれないが、今回を含めたどのフェスティバルにおいても、繰り返しとなるようなプログラムはない。正確を期すならばFEN (Far East Network)だけは今回が2度めの出演となるものの、大友良英が主導するアンサンブルズ・アジアの活動がはじまる前と後とではこのグループの意味も大幅に変わってくることだろう。他にたとえば中村としまるや杉本拓ら幾人かは全3回に出演しているが、どれも同じプロジェクトあるいは演奏形態にはなっていない。それは出来事の一回性を重視する即興音楽にあらかじめ組み込まれた、西洋近代主義的な同一性への回帰を逃れようとする運動であるだけでなく、出演者のそれぞれが常に新たなる試みへと挑み続けていること、そしてそれを的確に見つけ出す鈴木美幸の慧眼の証左だとも言えるだろう。

 (余談だが、「大友良英のJAMJAMラジオ」において準レギュラーを務めているF.M.N.Sound Factoryの石橋正二郎に対する「特殊音楽紹介家」という呼称における「特殊」を、「変わりもの」といった意味に解するのではなく、西洋的=普遍的なるものに対する「特殊音楽」とするならば、多様化を極める現代の即興音楽が、その試行を推し進めるためにときには作曲をも試み――今回のフェスティバルにおいても作曲作品が演奏される――、すでにたんなる手段として即興を用いるだけではなくなっていることを鑑みるとき、漠然と「即興音楽」と呼んでいるそれらをゆるやかに包括する言葉として「特殊音楽」というのはより当を得た表現であるように思われる)。

 今回のフェスティバルでも、昨年〈FTARRI〉レーベルよりアルバムをリリースしたジョン・ブッチャーとロードリ・デイヴィスのデュオをはじめとして、海外から多数のミュージシャンが参加する。とりわけ注目に値するのは、これが初来日となる、近年のイギリスにおける即興音楽シーンの新しい世代を代表するひとり、パトリック・ファーマーの公演だろうか。日本からも、サウンド・アートの先駆者として著名な鈴木昭男が参加する一方で、10年代に入ってから目覚ましい活躍を続ける歌ものデュオju seiや、現在進行形の日本のマイナー音楽を紹介するプロジェクト「MultipleTap」を主宰する康勝栄、吉田ヨウヘイgroupやインプロ・トリオの發展でも活躍する池田若菜など、新しい世代の参加が目立つ。音楽フェス戦国時代といわれるいま、それをスポーツにもたとえられる交流の場とすることとは一線を画しながら、あくまで音楽の質にこだわり、いままさに起こりつつある「特殊音楽」の世界に存分に浸かることのできるまたとない機会になるだろう。出演者の一人ひとりが場の一回性に賭けるように、このフェスティバルもまた、ただ一度きりの出来事に賭けている。それを逃したあとで手に入れる術はない。 (細田成嗣)


旅するDJ(西日本編) - ele-king

 2013年から2015年にかけて、ぼくがDJした西日本のCLUB/DJ BARの中から、特に記憶に残っている10軒のお店を南から順に紹介します。
 ぼくは日本各地のいろいろな箱に行ってDJをする機会があり、毎回満員御礼になっているわけではないけれど、今回紹介しているお店は全て満員御礼か、それに近い盛況な時間帯があったところで、どのお店もおすすめです。これらのお店の地元の人や旅先で音を浴びたい時などにぜひ行ってみてください。

 ぼくは毎年何か作品をリリースしようと心がけていて、2015年はUKのレーベルからリリースする話が進行中ながらいまだリリースの契約にいたらず……踊ってばかりの国の下津に歌ってもらった曲もあるけどこちらもリリース日は未定。
 そのいっぽうで、スイスの老舗レーベル〈Mental Groove〉から出る日本人ユニットのPsilosibe Qubensisの曲をDJ Yogurt&MojaがRemixしたVersionが、10月にまずTest Pressで少数枚限定リリースされて即完売。このRemixは自分も今年よくDJ プレイしてダンスフロアが盛り上がったお気に入りの仕上がりなので、正式なリリースを心待ちにしつつ……2016年には海外からの作品のリリースが続くかもしれないのでひき続きCheckしてもらえたら嬉しいー!

2015/11/10

1. 【沖縄県・石垣島】 - 【Mega Hit Paradise】

 石垣島で一番大きな箱。自分はここで2009年と2015年の2回DJして、2回共に出演者多数のBig Partyになり、お店を仕切る力さんやオーガナイザーの力もあってお客さんが100人以上来てくれて盛り上がりイイ思い出に。この箱から歩いて5分くらいの場所にもう一軒「グランドスラム」という天井までスピーカーを積んだ素敵な雰囲気の箱や、Reggae系DJ BARの「Chaka Chaka」もあるので石垣島でクラブ巡りするのも楽しいことになりそう。

https://www.facebook.com/mhp.jp


2. 【沖縄県・那覇市】 - 【Love Ball】

 DJ光が2012年から始めて自分も呼んでもらったことがあるGood Party「OK? Tropical Ghetto」がレギュラー開催されている那覇の箱。大箱なんだけど店内の使い方が工夫が凝らされていて小箱にいるような居心地の良さを感じることも。Rittoらの楽曲をリリースする沖縄発のレーベル「赤土Rec」の拠点。スピーカーの出音は強烈かつ強力。那覇では他に国際通り沿いにある「熱血社交場」やTechno系のDJが出演していることが多い印象のある小箱「桜坂g」、りんご音楽祭・主宰DJ SLEEPERが経営するDJ Bar「On」もおすすめの箱。

https://loveball.ti-da.net/


3. 【沖縄県・沖縄市】 - 【音洞(Oto Bola)】

 那覇から車で一時間の沖縄市にあるコザ中央パーク・アヴェニュー入口右手つぼ八地下にあるお店「音洞(おとぼら)」。現在は三代目店長の潤がお店を仕切り、「音へのこだわり」を感じさせてくれるお店。小箱というには中はかなり広く、超満員になったら100人くらい入りそう。スピーカーの出音も良く、音好きの人たちにおすすめ。コザには他にTheo ParrishがDJしたことがある小箱「BPM」もあって音楽好きな人なら侮れない街。

https://otobola.ti-da.net/


4. 【福岡県・博多市】 - 【PEACE】

 これまで博多ではBlackoutやKeith Flack、イビサルテ、いまはなきデカタンデラックス等でDJしたことがあるけど、LIVE HOUSE兼CLUBの博多PEACEでDJしたのは2015年が初めて。
 メインフロアとBARラウンジがはっきり分かれている広いお店で、メインフロアは満員だと200人くらい入りそう。自分がCro-magnonのLive後にDJした夜は、メインフロアのスピーカーを増設して四隅に置き、素晴らしい出音でPartyの雰囲気も良かった。LIVEの無い日はBARラウンジのみ営業していて、30人くらい来たら盛り上がりそうなラウンジだけでも居心地良い感じ。

https://www.peace-livehouse.net/


5. 【福岡県・北九州市】 - 【Rockarrows】

 北九州市の小倉には地元の音楽好きDJのMoureeが自分をほぼ毎年呼んでくれていて、Moureeの前に呼んでくれていたMomoちゃんの頃から数えると既に10回くらい行っている小倉には思い入れがあり、日本の中でも特に気になる都市のひとつ。
 小倉ではこれまでにMegaheltzやいまはなき名店DIG IT!DIG IT!でもDJしたことがあるけれど、ここ数年はずっとRockarrowsでDJしていて、2015年に行った時はVJのHiralionと共演して、主催のMoureeも頑張ってくれて100人近く来て朝まで大賑わいの一夜に。ロックアロウズは川沿いにあって、外で和むのも気持ち良い場所。縦長の店内は200人くらい入れそうな広さで、ガンガン踊りたい人たちには特にお勧め。

https://www.facebook.com/Rockarrows


6. 【愛媛県・松山市】 - 【音溶】

大街道のすぐ近くにあるビルの3階にあって、50人入れば満員の小箱ながらスピーカーの出音の迫力は四国屈指で、四国のクラブの中でも特にTechno好きにお勧めの箱。
 オーナー兼店長のチャーリーがDJ NOBU、DJ光、CMT、OLIVE OIL等、数多くのUnderground系の凄腕DJ達を松山に呼んでいて、これだけ頑張り続けている箱は四国にそれほど多いわけではないと思う、音好きにとって貴重な存在。
 自分はこれまでに3回ここでDJして毎回盛り上がっていることもイイ思い出になっている。

https://www.oto-doke.com/


7. 【高知県・高知市】 - 【Love Jamaican】

 高知で初めてDJした箱はいまはなきオタマジャクシーだったけれど、その後はほぼこの箱・Love Jamaican。高知の大きな商店街からすぐ近くのビルの地下にあり、レコードを鳴らした時のスピーカーの出音は、四国のクラブの中で1、2を争う気持ちイイ音ではないかと感じることも。
 このお店はREGGAE~HIP HOP系のPartyが普段は多いみたいだけど、自分がこの箱でDJする時はDisco Dub~HouseをDJ Playすることが多く、日曜午前9時までDJしたこともあるほど、延々と盛り上がっていることもあるお店。
 日曜昼前に店長のITA-SANが店内のソファーで寝始めると、常連のお客さん達がBarカウンター内に入って普通に店を切り盛りして、営業を続行している場面を見た時はトバされた。

https://lovereggae.net/shop/shopdetail/shop_id/45


8. 【広島県・広島市】 - 【Cafe Jamaica】

 自分は2013年までに広島では3回DJしたものの毎回盛り上がりに欠けていて、お客さんも夜中3時には帰り始める状況で残念に思っていたけど、2014年12月にオーガナイザー兼DJのまさたろ率いるParty Crew/Crossbreedに呼んでもらって、カフェ・ジャマイカで初めてDJした時は、DJ FUMIさんのDJ生活20周年記念Partyということもあり朝6時まで盛り上がり、広島でもこれだけ盛り上がることがあると感動。ここのスピーカーの出音は広島随一の印象で、卓球さんやフミヤさんが出演しているのも納得。

https://www.cafe-jamaica.com/

9. 【大阪府・大阪市】 - 【circus】

 ここのところ自分が大阪でよくDJしているのがこの箱「サーカス」。自分の好きなDJを大阪によく呼んでいる印象のあるお店で、DJとダンスフロアの距離が近く、ここでモーリッツ・フォン・オズワルドのDJ Playを聴いた時は胸にくるものがあった。広すぎず狭すぎずな長細い店内で、音のパワーが体に伝わってくる感じが好き。東京だと大箱に出演している外国からのGUEST DJを、大阪だとDJから近い距離で体感できるCIRCUSで見ることができるのは貴重ではないかと思う。
 大阪では最近だとサーカスの他に「Union」でもDJしたことがあり、ユニオンのHOUSE愛漂う店内の雰囲気とスピーカーの出音も忘れられない。

https://circus-osaka.com/


10.【福井県・敦賀市】 - 【Tree Cafe】

 N.Y.に長期滞在していた事もあるベテランDJのChikashiさんがオーナーのお店。2015年にOshareboysと共に行って初めてこのお店でDJした時は、PM6時OPENからDJして、LIVEを挟んで夜中0時過ぎまで1人でDJすることになり、House~Disco Dub~Jazz等、5時間越えのLong Playに。
 この時に来てくれた人たちのおかげもあり自分も驚くほど盛り上がって、夏にはCro-magnonと同行して再びTREE CAFEでDJ。またしてもイイ雰囲気の中でDJすることになり、すっかりお気に入りのお店のひとつに。
 路面店ということもあり、Partyは夕方から夜中1時頃までの開催が多く、気になるPartyの時は早めにお店に行くことをお勧め。

https://www.tree-cafe.com/

HP : https://www.djyogurt.com/
Twitter : https://twitter.com/YOGURTFROMUPSET
Facebook : www.facebook.com/djyogurtofficial

■DJ Schedule

11/22(Sun.)Commune246@東京都・表参道
11/22(Sun.)Unice@東京都・代官山
12/5(Sat.) Melbourne@Australia
12/11(Fri.)Byron Bay@Australia
12/12(Sat.)Byron Bay@Australia
12/18(Fri.)AERA@静岡県・富士宮市
12/19(Sat.)Mushroom Project Japan Tour with DJ Yogurt@表参道Arc
12/21(Mon.)Integration@代官山Air
12/27(Sun.)Oneness Meeting@代官山Unice/UNIT/Saloon
12/28(Mon.)DJ Yogurt And 下津光史Solo Live@渋谷Cosmoz Cafe
12/29(Tue.)Cro-magnon,Deep Cover and DJ Yogurt@元住吉POWERS 2

The Silence - ele-king

 ちょうど『ミスター・ロンリー』のころだからもう10年ちかく前になるが、来日したハーモニー・コリンの取材もあらかた終わり、90年代はいまよりいくらかましだったよな、と次の取材までに空いた時間をたがいに世の中への不平をあげつらいながらつぶしていると、そういえばきみはゴーストのメンバーだったっけ、と彼は不意にいう。ゴースト? あの日本のサイケデリック・バンドの? 私は聴きかえした。うなずくハーモニー。つぶらな瞳だ。ミスター・コリン、たしかに私はご覧のような長髪だし、ゴーストのリーダーの馬頭に取材したこともあるし、彼らは好きなバンドだがざんねんながらそうではない。私はそう返答しながらしかし内心ギクッとした。どれくらいギクッとしたかというと「ねじ式」でメメクラゲに刺された主人公に「あなたは私のおっかさんではないですか?」とつめよられる老婆ほどギクッとした。なぜハーモニーはそんなことを訊いたのか、その理由はトレンディドラマに出てきそうな配給会社の宣伝ウーマンが私たちのあいだに割って入ったのでこんにちにいたるまで訊かずじまいだが、ひとは他者のことばで事実以上の真実の回路をひらくことがある。

 ゴーストをはじめて聴いたのはPSFから92年に出たオムニバス『Tokyo Flashback』の第二弾で、ハイライズやマヘル・シャラル・ハシュ・バズ、四人時代のゆらゆら帝国、石原洋さんが率い、ピース・ミュージックの中村さんがメンバーのころのホワイト・ヘヴンにもちろん灰野さんの不失者といった錚々たる面々のなかでもゴーストのアコースティック・サイケデリック・サウンドはひときわ異彩を放っており、当時ちょうど二十歳で、サード・イヤー・バンドはおろか、アシッドのなんたるかも知らなかった私は彼らの静謐なミニマリズムの奥に青い熾火に似たものをくすぶらせるエソテリックなアンサンブルにただただ耳を傾けるしかなかった。彼らの単独作品を手に入れたのはそれから時間が経ってからで、PSFのファーストは翌年、94年のサード『Temple Stone』は次作『Lama Rabi Rabi』のレコードといっしょに買ったので、90年代後半、ゴーストはすでに〈ドラッグ・シティ〉との契約を契機に海外に主戦場を求めていた。といういい方のおそらく半分はただしくない。ボアダムスしかりゼニゲバしかり、90年代を境に日本のアンダーグラウンドが海外に積極的に打って出たのは、地理的音楽的越境性を顕揚する風潮に乗った部分はあるにせよ、資本による逆輸入を念頭にした戦略ではなく、それは音楽を聴くこと、いかに聴くかということと不可分ではなかったが、それをつぶさに検証するのは本稿の主旨ではない。もっとゴーストもその例外ではなかった。いやむしろもっとも成功した例のひとつといってもいい。冒頭のハーモニーの発言をご想起されたい。彼らのサイケデリックは無国籍のエキゾチシズムと、それを側面から異化する情緒的──これを和的と換言するのはいささかためらわれるが──な旋律をもち、その総和として彼らの世界はたちあらわれる。そこには要素の混淆があり、海外のリスナーが日本のバンドにいだくエキゾチシズムはおそらく、徹底したこの折衷と、そこにひそませた批評性にある。ゴーストはそれを生きた。90〜2000年代、彼らは作品を重ね、それらは初期の秘境的な空間性を、その空間に政治的な視点さえもちこみ高めるものだったが、2007年のライヴ盤『Overture: Live In Nippon Yusen Soko 2006』を最後に活動は間遠に。ここにおさめたライヴには私も足を運び、圧倒されるともに一抹の不安を憶えもした、といえば遡及的な短絡かもしれないが、音盤にも、ゴーストの存在証明、グループ名になぞらえれば、不在となることではじめて存在する幽霊めいた存在の証明をたしかにおぼえるものがあった。

 馬頭將器がザ・サイレンスを結成したのは2013年、ソロ・ツアーで訪れたスペインのサラゴサで旧知の岡野太との再会が契機となった。元サバート・ブレイズ、ライヴ・アンダー・ザ・スカイ(好きだったんです)で現在は非常階段の一員でもある岡野の来西は河端一のアシッド・マザーズに参加するためで、ふたりが会うのはゴーストの96年のアメリカツアー以来、じつに17年ぶりだった。馬頭はそのころ、長らく活動休止状態だったゴーストの解散を考えていたが、次の活動にふみきる手だてがなく、悶々としていた。ツアー中のあわただしい時間のなか、小一時間ふたりはホテルで話しこみ、ともに音楽活動をはじめることを約束し別れた翌年春、馬頭はゴーストの解散を宣言し、直後に岡野との新しいバンドの構想を得て、ゴーストの盟友荻野和夫に編曲とプロデュースを依頼、荻野はベースのヤン・アンド・ナオミのヤン・スティグター、バリトンサックスとフルートにブラック・シープの吉田隆一をハントし、荻野がオルガンとエレキ・ピアノを担当する布陣におちついた。バンド名はヨガの沈黙の行により、馬頭は「静寂はいかなる音圧よりも重く、耳を聾する程の静寂は意識と無意識の境界線上でのみ我らが表現し得る」という。

 今年3月にリリースしたセルフ・タイトルのファースト、間を置かず発表する本作『Hark The Silence』について、ゴーストとの異同をいえば、アコースティックを効果的にもちいた多楽器主義のそれを彷彿するところもあるが、かつて形式の影にみえかくれしていたものがザ・サイレンスではのびのびと羽をのばしている。ギターのファズ・サウンドとレズリースピーカーをもちいたオルガンのハードなサウンドメイク、馬頭の日本語の訛りの英詞による歌唱に寄り添う吉田のバリサクがときにワールド的にときに(昭和)歌謡的な妖しささえかもす『The Silence』を馬頭の無二のソングライターの資質と各人の間口の広さを聴かせるものだとすると、冒頭の三部構成の“Ancient Wind”でじわじわとたちあがり畳みかける『Hark The Silence』ではより直截に合奏の一体感に主眼を置いている。同時期の録音というこの2作は彼らの内実の充実を如実に伝えるが、そればかりか、たとえば『The Silence』の“Black Is The Colour of My True Love's Hair”、『Hark The Silence』の“Little Red Record Company”、“Galasdama”といったカヴァー曲では系譜を垣間見せると同時にある種の遊び心も感じさせる。無数のヴァージョンがあるアパラチアン・フォークのトラッド“Black Is The Colour”はニーナ・シモンというよりパティ・ウォーターズだし(吉田がジュゼッピ・ローガン役)、デーモン&ナオミの“Little Red〜”は人脈的な結びつきをほのめかすとともにうたもの(サイケ)でのアレンジの妙味を聴かせる。“Galasdama(ガラス玉)”は裸のラリーズのカヴァーとのことだが、「造花の原野」の文言を表題に引いたこの曲は“造花”の歌詞と曲を基調に“夜より深く”を接ぎ木したもので、間奏の八分の六拍子パートの躍動とその後のギターおよびヴォーカル・アレンジふくめ、ラリーズというよりサイケデリックなるものの解釈において一日も二日もの長をおぼえさせるだけでなく、“Ancient Wind”は造花の原野をも吹き抜けたのではないかと私の妄想をもトリップさせる、その一助となるのは近藤祥昭の手になる録音で、アナログの音質にこだわった音録りは“DEX #1”のマッスな音群も、“Fireball”の演奏の空間を、馬頭にならうなら耳を聾する沈黙の支配するそこを的確にとられている。このような心技体のそろったアルバムの国内リリースがないのは国民の耳が節穴だからか、〈Pヴァイン〉の〈ドラッグ・シティ〉担当者が社内でよほど虐げられているからにちがいないが、私たちはさいわいなことに海外のファンにはない地の利がある。フランク・ザッパの命日にあたる12月4日、秋葉原の〈グッドマン〉でザ・サイレンスはワンマン公演をおこなうという(来春には北米ツアーをひかえているとのことなので、ハーモニー・コリンもひと安心である)。ゲストは想い出波止場〜アシッド・マザーズの津山篤と東京NPO法人。NPOは「なかなかポジティブな男達」の略なのだそうだ。よくわからないが、忘れられない夜になるだろう。

2015年。オレたちは最高だと感じる瞬間を何度作り出せただろうか。
強度の高いイカした楽曲とフィジカルで雑なパフォーマンスでもってまあまあ健闘してきたと思う。上半期のリリースだってエメラルドもヘブンディスチャージもマジで最高だっただろ?
だけどオレの厄介な性格も手伝ってチームとしての孤立と混迷はいよいよ深まるばかりだよマイメン。

(中略)

今年に入って何度も自覚したこと、それはわれわれHave a Nice Day!は流通していくことに対して不適合なコンテンツだってことだ。
「とにかくパーティーを続ける」には他とは少し違ったリリースやイベントの形式が必要になったわけさ。

「Have a Nice Day! その華麗なるリリースとモッシュピットを生む方法」https://goo.gl/lpuEsT より抜粋

 “現場”をクリティカルに創出しながら、それを音楽の生成、作品の制作へとスリリングに変換させてきたHave a Nice Day!──2010年代パーティ・シーンの牽引役。

 彼らが掲げた次なる課題は、「とにかくパーティーを続ける」ための、常とはちがったアプローチ。クラウドファンディングでのアルバム・リリースと、その収益によるフリー・イヴェント(リリース・パーティ)の開催だ。

「当然この金はオレらの音源の制作費にあてることはない」と謳うように、アルバムのための集金がそのままパーティをクリエイトし、その門をあらゆる意味でフリーに開かせることにつながる。こうした仕掛けづくりそのものは、ひとつのリレーショナル・アートのようにさえ感じられるだろう。そんなまどろっこしい言い方を、彼らは嫌うだろうけれども。

 そして、編集部があんな本やこんな本の制作に追われているうちに、必要な金額は集まってしまったようだ。すごい。そういうわけで晴れてフリー・イヴェント(この「フリー」は「タダ」と訳すにはあまりにポジティヴなニュアンス持っている)の開催と相成った模様、ぜひ出かけてみよう!

■企画全貌の詳細
https://camp-fire.jp/projects/view/3382

■イヴェント詳細
Have a Nice Day!「Dystopia Romance」リリースパーティー

Have a Nice Day!の3rdアルバム「Dystopia Romance」リリースパーティーが、2015年11月18日(水)恵比寿リキッドルームで開催されることが決定した。入場料はなんと無料!

フリーパーティーを実現したのは、【Have a Nice Day! その華麗なるリリースとモッシュピットを生む方法】プロジェクト。目標金額100万円を達成し、支援者は全員ドリンク代もなく、完全フリーでの参加になる。また、今回の「Dystopia Romance」の音源は、本プロジェクトでのみ購入可能な期間限定リリースだ。

出演はHave a Nice Day! 、NATURE DANGER GANG。ゲストにLimited Express (has gone?)、おやすみホログラム、Y.I.M、といった豪華出演陣が揃う。
プロジェクトの募集終了は、11月7日(土)23:59まで。ぜひお早めにゲットして欲しい。

【Have a Nice Day!「Dystopia Romance」リリースパーティー】
開催日:2015年11月18日(水)
時間:OPEN 19:30 / START 20:00
会場:恵比寿LIQUDROOM
住所:東京都渋谷区東3-16-6
料金:無料(+1Drink ¥500)
出演:Have a Nice Day! / NATURE DANGER GANG
ゲスト:Limited Express (has gone?) / おやすみホログラム / Y.I.M
DJ:D.J.APRIL


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