「AY」と一致するもの

Chart by JET SET 2012.06.25 - ele-king

Shop Chart


1

Hikaru - High Psy - Limited Edition (Modulor Japan)
Hikaru初のオフィシャル・ミックスが到着。沖縄弁で【こんにちわ】を意味する【ハイサイ】を英語でモジり『high psy』と冠した本作。夏を心地よく彩るゆるーいミックスを収録。

2

Dump - Nyc Tonight (Presspop Music / Zelone)
Jennifer O'connorとのスプリット7"シングル以来、約4年ぶりとなるDumpの新作が登場!N.Y.パンク名曲"Nyc Tonight"をメロウ・ディスコ・アレンジで蘇らせた、インディー・ロック~ニュー・ディスコ・ファン必聴の1枚です。

3

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Celebration (Smr)
先日リリースされたOnur Engin"Love Talkin"が大ヒットを記録するなど、和モノ音源のリエディットが逆輸入されて盛り上がりをみせる中、ここ日本からも危険な12インチ・シングルが登場しました!

4

Simi Lab - Uncommon (Summit)
デビュー作『Page 1 : Anatomy Of Insane』から待望のアナログ12"シングルが登場。

5

Freddie Gibbs & Madlib - Shame (Madlib Invazion)
今年秋頃にニュー・アルバムを控えているFreddie GibbsとMadlibのタッグ。前作でも見られたソウル~ジャズをサンプリングした一味も二味も違うダスティーなビートと、タイトなラッピンが絡んだ傑作です!

6

Lorn - Ask The Dust (Ninja Tune)
Flying Lotusフックアップのエレクトロ・ヒップホップ精鋭がNinjaからアルバム・リリース!!ご存じBrainfeederからのリリースでブレイクを果たしたイリノイのトラックメイカーLornが'10年の『Nothing Else』以来となる3rd.アルバムを完成。メランコリックな電気ビーツが満載です!!

7

Killer-bong - Sax Blue (Black Smoker)
Black Smokerから遂にKiller-BongによるジャズをテーマとしたミックスCdが登場!

8

Ig Culture - Soulful Shanghai (Kindred Spirits)
前作『Zen Badizm』より約4年振りとなるロンドンのクリエイター=Ig Cultureの新作は、10数名ものタレントを迎えたヒップホップ~ブレイクビーツ~レアグルーブなどの黒い要素が滲み出た全17曲! 感服です!

9

V.a. - The Silk Road (Melting Bot / 100% Silk)
ItalやMagic Touch、Maria Minervaなどヒット連発する'12年インディ・ダンス最重要レーベルの初コンピレーション盤。さらに初回入荷分にはOcto Octaによるレーベル・サンプラーMix Cdが付きます!

10

Para One - Passion (Marble / Because)
フレンチ・エレクトロ・ムーヴメントの顔役Para Oneが実に6年振りに完成させた待望の2nd.アルバム。

Attack The Block - ele-king

『アタック・ザ・ブロック』
監督/ジョー・コーニッシュ
出演/ジョディ・ウィッテカー、ジョン・ボヤーガ他
提供:カルチュア・パブリッシャーズ 
配給:アステア+パルコ
2011年 イギリス
6月23日(土)~7月13(金)
渋谷シネクイントほか、全国ロードショー!
https://attacktheblock.jp/

 エドガー・ライトのデビュー作『ショーン・オブ・ザ・デッド』といえば、音楽ファンのあいだでは間違いなく、襲い来るゾンビにDJ用のボックスから「このレコードはいる」とか「いや駄作だ」とか言いながら取り出した盤を投げつけて迎撃するという名シーンで記憶されていることだろう。実際、英国の映画雑誌『EMPIRE』が創刊20周年を記念して企画したスターが自分の一番のヒット作を自前の服で再演するという写真特集で、『ハリー・ポッター』とか『マトリックス』とか『ターミネーター』などの超ヒット作に混じって、サイモン・ペッグとニック・フロストのこのシーンが掲載されていて笑わせてくれた。https://www.empireonline.com/20/birthday-portfolio/6.asp
 『ショーン・オブ・ザ・デッド』がおもしろかったのは、ゾンビから逃げる主人公を親と同居のパラサイトやニートのダメ男たちにして、ゾンビ映画の定番"立てこもり"の場所をパブにしたことだった。80~90年代には、まだイギリスの自立精神は健在で、学校を卒業したらとっとと親元を離れてひとりで暮らすというのが当たり前と誰もが言っていたけど、最近ではもう金もないし楽だからと恥ずかしげもなく親元で暮らす若者もかなりいる。そういうなんとなく停滞したどんよりとした郊外の若者の雰囲気を丁寧にキャッチして、シニカルな笑いと一緒にゾンビ映画というジャンル・ムービーに落としこんだ。その後、ヒット・メイカーとなったエドガーはもっとメジャー感のある作品にステップアップしていき、『ショーン...』であったようなストリート感やダチの居間でだべってる感は後退する。しかし、僕を含めあのデビュー作のハチャメチャなパワーをいまだに一番愛してるというファンは結構いるのではないか。
 その、エドガー・ライトがプロデュースして、今度はエイリアン映画というジャンル・ムービーに挑戦したのが、『アタック・ザ・ブロック』だ。エイリアンものというのは、リドリー・スコットの『エイリアン』のように、閉鎖空間に恐ろしくて超強いモンスターが侵入してきて次々と仲間が血祭りに上げられるなか、どうにかしてサヴァイヴしていくというのがお決まりのパターンである。今回の設定は、南ロンドンの高層カウンシル・フラット(日本で言うところの市営住宅、県営住宅みたいなもの)を中心にした"ブロック"という閉鎖空間と、そこで息が詰まりそうになりながらも精一杯粋がって暮らしてるティーン(中学生くらい)の集団にスポットをあてて、そこに謎の凶暴エイリアンが襲ってきたら、どうなるか? という、またもや「こう来たか!」と唸ってしまうようなもの。
 監督は、もう40代半ばで若手とは言い難いが、これがデビュー作でフレッシュな感性を発揮しているジョー・コーニッシュ。彼は元々南ロンドンのストックウェル(悪名高いブリクストンの近所)出身だそうで、育った環境で見聞きしたこと+1年にも渡る綿密なリサーチで、現代ロンドンに潜むアンダーグラウンド文化や社会問題を、『グーニーズ』や『スタンド・バイ・ミー』的なキッズの成長譚と巧くブレンドさせている。


©StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

 UKの音楽が好きなら、まず耳を奪われるのはグライム的なスタイルでぶいぶいとベースを鳴らすサントラで、ストーリーが進むにつれぐいぐい惹きつけられるだろう。この映画の公開後にイギリスで起きた暴動でも、その背景にはグライムなどのブラック音楽のシーンと重なる部分が大きいという指摘があったけども、その暴動の予言になってしまったような本作で音楽を担当してるのは、ベースメント・ジャックスである。実は、彼らのメジャー・デビュー前、たしか雑誌時代の『ele-king』の取材だったと思うが、南ロンドンの彼らのホーム・スタジオを訪れて取材したことがある。バスに揺られてちょっとやばそうなエリアに向かったそのときは全然意識していなかったが、実は彼らもずっとブリクストンの小さなクラブやバーでパーティーをやっていたし、まさによく知る地元を題材にした映画なのだ。そして、監督自身、ジョン・カーペンターが昔やっていたような電子音楽のサントラを参考にしたと言っているように、ただのクラブ・ヒットが並んだコンピみたいな必然性のない音楽じゃなく、不穏な雰囲気の演出を担う重要なサウンドの要素として成立している。
 劇中、いかにもイギリスの保守層といった風情のおばさんにモンスター呼ばわりされるキッズたちだが、年端もいかない彼ら(その大半は、貧乏人が住むというカウンシル・フラットに暮らしながら、実は中流っぽい、ふつうの親や家庭をもっている)が、犯罪に明け暮れ、出口や希望の見えないなかで徐々にディープな世界へと足を突っ込んでいってしまうという背景描写が秀逸だ。フードをかぶりバンダナで顔を隠したその出で立ちは、Hoodiesの特徴的なファッションであり、まさにロンドン暴動を引き起こした連中そっくりである。実際、あのときも、暴動にこどもが混じっている?!という話が衝撃的に伝えられたが、この映画の設定もあながち誇張しすぎと言えないと思う。
 例えば、カウンシル・フラットの中に大麻の栽培施設があって、そこを根城にしたギャング達がドラッグ売ったり爆音でトラック作ったり好き勝手やってるという、日本人から見たらギャグかと思う設定も、本当にありそうだ。僕自身、過去にこういうフラットに泊めてもらったり、友達が住んでいて遊びにいったことが何度もあるが、高級外車を乗り回す連中やどうみても怪しい奴らがたくさん目について、「職のない人や、シングルマザーとかハンディキャップのある人とか、そういう層向けの住宅じゃないの?」と聞いたら、「本来はそうだけど、実際には制度を悪用してるドラッグ・ディーラーとかも結構いる」と聞いた。そういえば、今はあるかどうかしらないが、90年代にはGrower向けの雑誌というのが普通にHMVとかマガジンスタンドに売っていて、衝撃をうけたこともある。


 都市の歪みが生んだような"モンスター"キッズが、本物のモンスターと戦うハメになって、初めて暴力、生命、仲間みたいなことを実感し、成長していくというのが本作のメイン・プロットになるが、郊外的なゆるさを背景にどこまでも笑いとペーソスで引っぱった『ショーン...』とは対照的に、ひりひりとした痛みを抱えてずっと走りづける様子は、やはりイギリスの社会的様相もだいぶ変わったことの投影であると言えるかもしれない。実際、リーマン・ショック以降の壊滅的な経済の落ち込みで、ロンドンの一等地にあった有名チェーンのショップが次々つぶれていくとか、日本以上にやばい状況がずっと続いていて、オリンピックに湧いているような外面とは裏腹にいまだにそういう暗いマグマは地下で渦巻いている。チャンネル4が昨秋スタートさせた、やはりキッズをフィーチャーした『Top Boy』というドラマ・シリーズなども、まさにそういう現代ロンドンの暗部をキャプチャーし話題となった。良識ある大人たちからは、「こんなHoodiesを描いた映画なんてとんでもない!」という反応も当然のごとくある。が、ただの説教くさいドキュメンタリーではなく、良質のエンターテインメントとして成立させながらさらにこういう「言いたいこと」を伝えてくれるという作品は希有だし、最後までちゃんと観れば、希望や感動を用意してくれた監督に拍手したくなることは間違いないのだ。


©StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

 今回は意図的にカットしたが、サブカルや日本の文化も大好きという監督の趣味が随所に反映されて、タランティーノが絶賛したというのもよくわかる味つけもたくさんある。ダニー・ボイルの『28日後...』に言及した箇所があったり、要するにこれは、『トレインスポッティング』以降営々と引き継がれてきた英国のポップなエンタメ映画の最新最良の成果ではないか。ロンドンが好き! UKダンス・ミュージックが楽しい! という人はもちろん、もっともっとこういう作品がつくられるように、ひとりでも多くのひとに観てほしい快作だ。

younGSoundsのアルバム「more than TV」
7月18日発売です!宜しくお願い致します。
https://1fct.net/archives/3744

percepto music lab
https://xxxpercepto.com/

ここ最近。2012年6月20日


1
キエるマキュウ - Hakoniwa - 第三ノ忍者

2
OH NO - Ohnomate - FIVE DAY WEEKEND

3
THE GENTLEMEN - The Gentlemen - MR.BONGO

4
OWEN MARSHALL - The Naked Truth - JAZZMAN

5
櫻井響 - This One - self release

6
CE$ & SCRATCH NICE - Live Now, Pay Later - self release

7
BLAQ CZA - The Dice Life - WHATEVA MUZIK

8
YOTTU - Dance Or Chill/Slow Flow - self release

9
TRONICS - Love Backed By Force - WHAT'S YOUR RUPTURE?

10
DJ MAYAKU - EP - GOLDFISH

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

宇都宮をホームに開催してきたB-Lines Delightが遂に東京に上陸! この記念すべき日にゲストに迎えるのはRob Smith aka.RSDと"野蛮ギャルド"なドラム&ベース・パーティ「Soi」よりDx!!師と兄が揃ったBLD的にこれ以上ない鉄板なメンツで送る6.30B-Lines Delight in Tokyo、よりカンペキな一夜をお約束します!
North Bass Music Movement
"B-Lines Delight" in TOKYO
2012.06.30(sat) open.24:00
@SECO www.secobar.jp
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/

BLDクルー、DD BlackのEPがAlterd Natives主宰EYE4EYE Recordingsより12"&Digitalでリリースされます!!リリース日及び詳細はブログで後程紹介しますので是非チェックしてください!

DJ END REWIND CHART


1
DD Black - EP - Forthcoming EYE4EYE Recordings

2
Henry & Louis feat.Prince Green - Love Like(RSD Remix) - 2Kings

3
Swindle - Do The Jazz - DEEP MEDi Musik

4
Grenier - Here Come The Dark Lights - Photek

5
ENA - Analysis Code - 7even Recordings

6
Pearson Sound - Footloose - PEARSON SOUND

7
Dubmonger - Experiments In Dub - Dubmonger

8
LHF - Keepers Of The Light - Keysound

9
VA - Shanggan Shake - Honest Jones

10
Death Grips - The Money Store - Epic

Hot Chip - ele-king

 ■以下、見出し例------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉からデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だ。

 サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している日本語のレヴューはないようだ。

 アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で、啓蒙主義の性格が強い。

 もしくはUK的クラブ・ポップの進化論とねじくれた政治性のアクロバット、と同時に、UKガラージを横目に見ながら玄関先でお出かけ前の夫婦のチューをかまし、中産階級的前向きさであたりいち面のシニシズムにラヴラヴ度を見せつけたポエム型啓発本である。


 ■以下、本文----------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉から『Coming On Strong』(「強引な振る舞い」の意)でデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だが、幸いなことにホット・チップはいまだに世界をツアーで巡るし、ゆりかごから墓場まで―赤子から老人まで全人類/一生涯対応の、これ以上ないほど完成されたポップ・ソングを作り続け、5枚目のアルバムを発表したばかりだ。
 相変わらずの80年代のスムースなアップデート・サウンドとはいえ、モチーフはシンセ・ポップよりはむしろファンクやR&Bの影響が色濃くなっており、非常にスウィートなアルバムになっている。シングルカット曲"Night And Day"がプリンスの"All Day All Night"のオマージュであることはタイトルと節の引用(「make me feel alright」)とセクシャルな歌詞からも明らかだし、"Look At Where We Are"のサウンドは完全に(ホット・チップのTシャツではエナジードームを被せられている)R・ケリーだ。よく比較されていたニュー・オーダーの面影はだいぶ薄くなっている。"Now There Is Nothing"のテンポチェンジは決してビートルズほどナチュラルではないが、メロディはさながらエミット・ローズというかポール・マッカートニー以上にポール・マッカートニーに聴こえるほどで、影響といった枠から遂に抜け出し、完全にいまのポールを超えたのではないかと思う。

 2010年の前作『ワン・ライフ・スタンド』に対して、ファンからは賛否両論の声が上がっていた。クラブで安易に踊らせまいとするような批評的な態度のリズムを鳴らしてきたホット・チップ。彼らの変化球的なクラブ/ダンス・ミュージックのギミックを愉しんできた人たちにとって、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスからの影響が強い『ワン・ライフ・スタンド』のラフでシンプルなビートはあまりにも単調でスムース過ぎ、ゴスペルのように強調された歌声のハーモニーもダンスの邪魔だったのかもしれない(とはいえ、その予兆は2008年の『メイド・イン・ザ・ダーク』で見えていたのだが)。
 そんな『ワン・ライフ・スタンド』よりさらに歌声・メロディが強調されているにも関わらず、本作『イン・アワ・ヘッズ』が「いままでよりダンス・ミュージックになった」と数多から称賛されている理由は、歌の息がトラックとピタリと組み合わさり、リズムの構築をより強固なものにしているからだろう。それを実現に導いたのは、メンバーのソロ・プロジェクトでも引っ張りだこのエンジニアMark Ralph(マーク・ラルフ)の手腕によるところも大きいと思われる。

 しかし、本作『イン・アワ・ヘッズ』には、サウンド以上に歌詞においてかなり重要な変化が表れている。サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している(少なくとも)日本語のレヴューはないようなので、ぜひここに記しておきたい。そして、なんといってもこの原稿が遅れたのは、その変化に筆者がひどく動揺して魘されてしまっていたからだ(野田編集長、すみません)。

 『ワン・ライフ・スタンド』(およびそれ以前の作品)と『イン・アワ・ヘッズ』のあいだにある決定的な違いは、メッセージを発する彼らの態度にある。

 ずっとずっとわかっていたんだ
 君は 僕の愛ある人生(マイ・ラヴ・ライフ)
 だから僕も 君のように輝けていいはずだ
"Hand Me Down Your Love"(2010)

 僕はただ 君の「一生かぎり」の相手になりたいだけなんだ
 教えて 君は 君の男の側に一生いますか?
"One Life Stand"(2010)

 前作『ワン・ライフ・スタンド』での歌詞から感じ取れるのは、恋人への真摯な愛を表明しつつも、そこに「自分は、相手のようには輝いていない」という劣等のコンプレックスが潜んでいることだ。それはレディオヘッドの"クリープ"のような自己嫌悪や諦念とも違い、コンプレックスが重要事項として歌われているのではなく、あくまで主題は相手に向けられた誠実な愛である。
 また、ルックスやサウンドを頻繁に「ナード」や「ギーク」などと揶揄されながらも、クラブ・ミュージックを意識的に分解しポップ・ソングに組み込んで8年ものあいだ歌ってきたのには、若さやセクシャルな熱狂を囃し立てる流行のダンス・ミュージックおよびそれを享受するクラバーに対する批評的な意識が彼らのなかに常に潜在し、そして、それはやはり劣等のコンプレックスに基づいたものでもあったということではないだろうか。ホット・チップ―つまり「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というバンド名にもそれが窺える。

 しかし、この『イン・アワ・ヘッズ』で歌うホット・チップは、そんな劣等のコンプレックスなどまったく忘れてしまったか、大したことではないとタカを括って開き直ってしまったかのようだ。そんな彼らの居直りを、端正で非の打ち所がないサウンドが、恐ろしいほどなんの疑いもなくガッチリと肯定している。1曲目"Motion Sickness"(モーション・シックネス)のイントロで威風堂々と吹かれるホーンなどは、まるで巨大な戦艦に乗って海の向こうから彼らがやってくるかのようだ。ゼロ年代を経て、彼らはテン年代のインディ・ミュージック大海戦での勝利を確信しているのだろうか。それどころか、むしろ、「自分たちは勝ったのだ」と高らかに宣言しているようでもある。

 そうか もうやっていけないと、君は思ったんだね
 (中略)
 僕らは強くなってきていると思うし
 僕らが帰着すべき場所も 僕は知ってる
 (中略)
 今夜 もし君がステップを踏みたいなら
 僕も君とともにステップを踏もう
 前に向かって歩こう 歩きとおすんだ
 君はあっという間に成長してしまうだろう
"Don't Deny Your Heart"(2012)

 このアルバムに収められているのは、いまある平和と愛を享受するための音楽であって、悲しみを和らげたり、苦しみからの救済をリスナーに施すようなポップ・ソングではない。"Don't Deny Your Heart"(君の心を否定しないで)――ここにある言葉は、光り輝く壇上から降り注いでくるような、いわば勝者のメッセージに感じられる。恋人を鼓舞するような歌詞はまるでビートルズの"プリーズ・プリーズ・ミー"(「お願いだから僕を喜ばせてくれ」)を思い起こさせるが、アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で啓蒙主義の性格が強いムードが、ほぼアルバム全体に流れている。これは、いままでのホット・チップには見られなかった態度である。彼らは、はっきりと変わったのだ。

 そんな彼らの変化を、僕は易々とは受け入れられないでいる。「Parental Advisory」シールを貼られていた8年前の『Coming On Strong』を恋しく思ってしまうほどだ。「君の『一生かぎり』の相手になりたい」と愛を乞うていた人間が、なぜ相手に「僕はいままでいつだって君の恋人だったでしょう」("Always Been Your Love")と歌うことになるのか。やはり、彼ら自身が「ハッピー・ノイズ」と形容する結婚・出産がもたらした力なのだろうか。"How Do You Do"の「君が僕を目覚めさせてくれる時―それが僕のとっておき」などは、もはや出勤前の夫婦のチューの光景と変わらない。僕のような新卒就職を逃がしたばかりの独り身フリーターにはなかなか堪える。いまのホット・チップはあまりにも眩(まばゆ)すぎて、向き合うのが苦しい。

 僕は、たったいま、君の方を向こうとしている
 見てのとおり、僕は薄っぺらい人間だよ
"Motion Sickness"(2012)

Sapphire Slows First US Tour Diary! - ele-king

昨年末ロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉から12インチ・シングルでインターナショナル・デビューを果たした東京在住のサファイア・スロウズ。彼女がele-king読者のために去る3月のツアー日記を書いてくれました。現在のUSインディの感じがそれとなく伝わると思います。それはどうぞ!!!


Sapphire Slows
True Breath

Not Not Fun

Amazon iTunes

 こんにちは。Sapphire Slowsです。

 今年の3月に初めてのUSツアーで、ロサンゼルスとサンフランシスコとテキサスのSXSWに二週間かけて行ってきたんですが、そのとき書いていた日記を読んでもらうことになりました。(恥ずかしいけど!)

 最初にアメリカに行くと決めたのは去年の10月くらいで、〈Not Not Fun〉のブリットからSXSWに誘われたのがきっかけです。アメリカでツアーするなんて最初は想像もできなかったけど、レーベルの人たちやアーティストのみんなに会いたい! という気持ちが強くて、何はともあれ行ってみることにしました。少し時間が経ってしまったけど、いろんなことがあって最高だったので、とにかく、この日記を読んで向こうのシーンについて少しでも知ってもらえればなぁと思います。


ようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。

3/5
ロサンゼルス初日

 朝8時、LAに到着。LAでは車がないと不便すぎるので、すぐに空港の近くでレンタカーを借りて、アメリカで使える携帯電話も購入。とりあえず〈Not Not Fun〉のアマンダとブリット、その他にも会う予定にしてたアーティストたちに連絡をいれて、ハリウッド近くのステイ先にチェックイン。ランチを食べたあとは、LAで絶対行こうと思ってたWELTENBUERGERへ。ここはアマンダおすすめの服屋さんで、ヨーロッパやいろんな国のデザイナーの服やアクセサリーをおいてるセレクトショップ。二階建ての小さなお店だけど、本当にセンスがよくてとってもいい感じ。店内には〈100%Silk〉のレコードも置いてある。私はそこでピアスと黒いドレスを買って、そのあともショッピングや視察のために街中をブラブラ。

 夜はDUNESのライヴへ。他にも何組かやってたけどDUNESが一番よかったな。ギター/ヴォーカルはショートヘアの小さくて可愛い女の人、ベースは普通の男の人。そしてドラムの女の人の叩き方がエモーショナルで超よかった。そのあとは近くのビアバーで飲んで帰った。1日目は当たり前だけど見るものすべてがただおもしろくて新鮮でアメリカにきたなーという気分を始終満喫。ただの観光客。


DUNESのライヴ

3/6
ロサンゼルス2日目。 NNF & 〈100%Silk〉 Night @ Little Temple

 この日がアメリカで最初のライヴの日。というか正真正銘初めてのライヴ。ああとうとうきてしまったこの日がという感じで朝から緊張しまくりだったけど、夜まで時間があったのでPuro InstinctのPiperに会いにいった。Piperがたまに働いてるらしいヴィンテージのインテリアショップへ。彼女は女の子らしい感じだけどなんていうか強そうで、でもすごく優しくて、そしてとてもよくしゃべる。最近のPuroの話をいろいろしてくれた。いろんな人と共同作業しながら新しい音源を作っていて、次の音源は打ち込みっぽいこととか、もっと実験的な部分もあるのだとか。楽しみ!

 夜になって、「〈100%Silk〉 Night」の会場、Santa MonicaにあるLittle Templeへ。着いたらまだ誰もいなくて、どきどきしながら待っているとメガネで背の高い男の人がやってきて、「君、Sapphire Slows?」と話しかけてきた。誰だろうと思ったらLeechのブライアンだった。「僕も今日プレイするんだ、よろしくね!」「あ、よ、よろしく!」そのうちにみんなぞくぞくとやってきて会場に入る。行くまで知らなかったけど一階がライヴフロアで二階は〈dublab〉のオフィスと放送スタジオになっていた。すぐに〈dublab〉のDJでもあるSuzanne KraftのDiegoとSFV AcidのZaneがレコードをまわしはじめて、PAの用意ができるまでみんなでシャンパンをあけてわいわい。遊びにきてくれたPiperもすでにアガっている。なんだか素敵な部室みたい! そしてようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。「ハローキヌコ! やっと会えて本当に嬉しいわ!」私は皆に会えた感動でアワアワしつつ、「こ、これは夢じゃないぞ!」と自分を落ち着かせるのに必死......。


dublabのスタジオで。左からPuro InstinctのPiper, Austin, Suzanne KraftのDiego.

 この日、最初のアクトはソロアーティストのLeech。LeechといえばMiracles ClubのHoneyたちがやってる〈Ecstasy Records〉界隈の人だと思っていたけど、〈100%Silk〉ともしっかり繋がりがあったみたい。私の好みド直球の音で、最初からやられた。次のPharaohsは意外にフィジカルで、数台のアナログシンセやサックスなどを使って本格的に演奏していた。グルービー!転換の間はSuzanne KraftとSFV Acidが始終いい感じのDJをしてる。そしてやってきたLA Vampires、やばい! Amandaのダンスは神懸かっていて、音は最近のOcto Octaとのコラボレーションの影響もあるのか、過去のレコードと違ってかなりビートもしっかりした、ハイファイな感じ。

 私がライヴをしているあいだも、お客さんはあったかくて皆盛り上がってくれた。私はここに来るまでインターネットでしかフィードバックがなかったから、正直自分の音楽がちゃんと受け入れられるのか不安だったけど、たくさん反応があってなんだかすごくほっとした。ほっとしすぎて泣きそうになりながら二階で機材を片付けていると、SFV AcidのZaneがライヴよかったよと話しかけてくれた。そして色々話しているうちに「LAにいるあいだ暇があったらうちで一緒にレコーディングしよう!」という流れに。ワーイ。

 それからPeaking Lightsの後半半分くらいを見た。彼らはライヴに巨大なカセットデッキを使っていて、この日はいきなりテープが再生できなくなったり機材のトラブルも多かった。でもそれも含めアナログっぽさならではの良さがあってとても素敵だった。パーティが終わり、最高だった2日目も終了。


LA Vampires @ Little Temple

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家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 

3/7
ロサンゼルス3日目。

 お昼過ぎにRoy St.のNNF Houseに遊びに行く。アマンダは出かけていて、ブリットが迎えてくれた。それからすぐLA Vampiresのニックも来てくれた。ブリットたちは去年の11月くらいに引っ越したばかりで、新しい家は本当に超かっこいい! 外の壁は全部紫っぽく塗ってあって、絵が描いてあったり、変な形の植物がいっぱいあったり。庭にはハンモック、納屋みたいな小さな離れはスタジオルームになってる。スタジオにはCasioのSK-1とかSK-5とか、おなじみの古いチープな楽器がいっぱい。家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 家具も、アマンダの趣味の作りかけのジグゾーパズルも、ちょっとした置物も。将来こんなふうに生活したいよね......と誰に同意を求めるわけでもなく納得。かっこいいことしてるかっこいい人たちがかっこいい家に住んでてよかった。音と、人と、環境が、まったくズレてない。彼らのセンスを信じてて良かった。


Not Not Fun Houseの居間にてブリットと。


Not Not Fun Houseにて。壁にはカセットテープ。

 BrittとNickといろいろおしゃべりしたあと、お腹すいていたのでNNF Houseを後にし、Eagle Rockあたりにある、Brittに教えてもらったタイレストランへ。うまー。それからハリウッドの近くに戻り、Amoeba Musicっていう死ぬほどデカイ、あらゆるジャンルが置いてあるレコード屋さんに行った。90年前後のハウスのレコードを中心に掘ったけど、何時間あっても見きれない。そして古いレコードはほとんどが1枚2ドルで、クリアランスは99セント。安すぎるー。


レコードをディグる。

 夜は昨夜の約束通り、SFV AcidのZaneの家へ。待ち合わせ場所でZaneは絵を描きながら待ってた。彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。不思議で、ちょっと(だいぶ?)変で、でもちゃんと自分の考え方やこだわりを持ってて、そして何より本当は繊細なんだってことが、話してても作品を見ててもわかった。Zaneの家は地下がスタジオになっていたので、アナログシンセやTR-707、TR-909、TB-303などを使ってジャム! 声をサンプリングさせて、と言われて適当に歌ったりしてすごく楽しかった。



SFV Acidの自宅スタジオでセッション!

 そうしてるうちに誰かが家に帰ってきて、誰だろう? と思ったらなんと4ADのINC.のDanielとAndrewが来てた。ここが繋がってるとは思ってなかったのでびっくり。2階に住んでるらしい。ふたりは双子なので顔もそっくりで見分けがつかないくらいなんだけど、Danielが一瞬二階に上がって降りてくると「いま剃った!」とスキンヘッドになっていた。おかげで見分けがつくようになったよありがとう......。

 そのあとはしばらくみんなでダラダラ。INC.たちがご飯を作ってくれたので、お礼に煙草が好きらしいAndrewに日本のマルボロをあげたらすごく喜んでた。それから、僕も何かあげなきゃ、と渡されたのが大量のINC.のロゴ入りコンドーム。なんじゃこりゃ、と思ってよく見ると小さく<inc-safesex.com>のURLが。一体なんのサイトだろうとドキドキしながら、結局帰国してからアクセスしてみたんだけど......。それにしてもゴム作るってすごいセンス。余計好きになった! そんな感じで盛り上がっていると、Andrewが明日よかったら僕たちのスタジオにくる?と言ってくれて、次の日遊びに行くことに。

 そのあとはみんなでDown Townのクラブへ遊びに行った。そこは本当にLAでも最先端の若者たちが集まってるっていう感じで、みんなエッジーで本当におしゃれ、というか、垢抜けていてセクシーだった。この夜、私は楽しさと疲れで飲んでいるうちに緊張の糸が切れたのか、あまりに幸せすぎていきなり泣き出してしまった。みんなびっくりしてどうしたの!? と心配して慰めてくれたんだけど、こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。だからアメリカにきて、あまりにもたくさんの素晴らしい人たちに出会えたことが夢みたいで、号泣しながら、日本に戻りたくない! と思った。

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彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。

3/8
ロサンゼルス4日目。Korallreven/Giraffage @ Echoplex

 この日はLAでふたつめのライヴ。その前にINC.のスタジオに遊びに行かせてもらった。家の地下にあったスタジオとは別の、かなりちゃんとしたINC.専用のプライヴェートスタジオ。わかんないけど、4ADに与えられてるのかなぁ?スタジオは広い倉庫みたいなところで、中は真っ白に塗ってあってとてもきれい。天井からは白い透けた布みたいなのがたくさんぶら下げられていて、彼らの美へのこだわりを感じた。メインの空間にはiMacと、生ピアノ、シンセ、ミキサー、数本のギターとベース、ドラムセットがあって、それとは別にクッションで防音してある小さな歌入れ用の部屋がある。(スタジオの写真は彼らのサイトで見れるよ! でもつい最近レコーディングが終わって引き払っちゃったみたい。)

 ふたりは今新しいアルバムの最後の作業中で、そのなかの何曲かを聴かせてもらった。INC.のアルバムなんてもう聴かなくても最高なのはわかってるけど、やっぱり最高だった。それからふたりは曲を作りはじめた。AndrewがMPCでドラムを打ち込んで、Danielはピアノをひいてる。ふたりはもともと、他のアーティストのライヴのサポートをするスタジオミュージシャン? のようなことをしていたらしく、とても演奏がうまい。私はふたりの生演奏をききながらぼーっとして、このまま死んでもいいなって感じだった。そのくらい素晴らしい空間で、素晴らしい音楽で、ふたりが美しくてかっこよすぎたから! そんな感じでしばらく音を聴かせてもらったり、いろいろしてるうちにライヴのリハに行かなくちゃいけない時間になった。名残惜しかったけど、AndrewとDanielに自分のレコードを渡して、お礼を言って、お別れ。


INC.のスタジオにて。左奥がAndrew、一番右にいるのがDaniel.左手前がリハーサル前に迎えにきてくれたPiperで、右奥に立ってるのはPiperの友だちのJosh.

 この日のライヴはKorallrevenやGiraffageと。同じくUSツアー中のKorallrevenは意外ながら〈Not Not Fun〉が好きらしく、私が彼らのオープニングをつとめさせてもらうことに。場所はEcho ParkというLAのインディーシーンの中心にある、Echoplexという結構大きめの箱だった。私はこの日のライヴ中、実はあまり体調がよくなくて、ダウナーで頭がフラフラになってたんだけど、友だちを連れて見にきてくれてたPiperやBritt, Nick, Zaneたちはみんな暖かく見守ってくれた。


Sapphire Slows LIVE @ Echoplex

 ライヴのあと、私が明日LAを経つから、ということでPiperたちがホテルの屋上のバーみたいなところに連れて行ってくれた。オープンルーフで開放的な中、音楽がガンガン鳴っていて、ダウンタウンが見下ろせる景色のいいところ。夜景がすごくきれいで。きっと彼らなりに、普段行かないような特別な場所に連れて行ってくれたんだと思う。Piperはずっとおしゃべりしてたし、PuroのバンドメンバーのAustinはずっとハイテンションで踊ってる。Zaneはここでもずっと絵を描いてた。みんな同い年くらいで友だちみたいに接してくれたからすごく楽しかったな。LAのシーンでは結構若い人が多かった。Puro Instinctも、SFV Acidも、Suzanne Kraftも、INC.も、みんな20代前半。みんなと離れるのは本当に寂しかったけど、またアメリカに来たら遊ぼうね! 日本にも来てね! と言ってバイバイ。


ホテルの屋上のバーで、Austin, Josh, Piper, 私, Zane。(左から)

3/9
サンフランシスコ初日。Donuts @ Public Works w/Magic Touch & Beautiful Swimmers

 ロサンゼルスからサンフランシスコへ移動の日。朝早く出発。フライトは一時間くらいで、すぐサンフランシスコに到着。空港まではMagic Touch/Mi AmiのDamonが迎えにきてくれた。Damonはツアーのことも助けてくれていたし、アメリカに行くずっと前から連絡を取り合って一緒に曲を作ったりもしていたので、やっと会えたって感じで嬉しい! サンフランシスコでは一緒に作った曲をプレイできるのも楽しみだった。

 この日の夜はDonutsというDamonの友だちのKat(DJ Pickpocket)がオーガナイズしてるパーティでライヴ。とりあえずDamonの家に荷物をおかせてもらったあと、タコスを食べに行った。サンフランシスコではほぼ毎日タコスだったような......そのあとBeautiful SwimmersのAndrewとAriと合流して、アイスクリームを食べたり、公園みたいなところで犬と遊んだりビールのみながら夕方までまったりと過ごす。サンフランシスコにいる間はずっとMagic Touch、Beautiful Swimmers、Katと一緒に遊んでた。

 17時くらいに一旦サウンドチェックへ。会場はPublic Worksという、壁いっぱいに派手な絵が描いてあって素敵なところ。この日のライヴはMagic Touchと私だけだったので、サウンドチェックとセッティングを終えてDamonの家に戻ると、オーガナイザーのKatと、テンション高めのAndre(Bobby Browser)が来てた。Andreは大量のパエリアとサラダを作ってくれて、すごくおいしかった! みんなで腹ごしらえをしたあと、疲れていた私はパーティのオープンまでちょっとだけ寝て、ライヴのため再びPublic Worksへ。ライヴはこのとき3回目だったけど、まだ緊張で頭がぼーっとしてる感じがあって、なかなか慣れない......。

 ライヴのあとは外でAndreと話して、その会話がすごく印象的だった。機材についてきかれたから、Macと、中古のMidiコントローラーと、ジャンクのキーボードと500円のリズムマシンしか使ってないの、というとびっくりしてた。Andre いわく、「音楽を作るっていうこととDJをするのは全然ちがうし、DJをやろうとする人は多いけど作ろうとする人はあんまりいない。お金と機材がないと作れないと思ってる人が多いし、持ってる奴らに限ってみんな『僕はJunoもMoogも808も、あれもこれもたくさん持ってるんだぜ!』って機材ばかり自慢する。じゃあ君の音楽はどうなの? ときくと『それはちょっと......』って、肝心の音楽は作ってなかったりしてね。でも君は少ない機材でもちゃんと自分らしい音楽を作ってるし、もしもっとお金と機材があったらもっとすごいことができるってことじゃん!」私はそんなふうに考えたことがなかったからすごく嬉しかったけど、なんだか照れくさくなってなんて言えばいいのかわからなかった。それでまた「でも、日本にはこんなに素敵なミュージシャン仲間たくさんいないからうらやましいよ」って言ってしまったんだけど、Andreが「僕はOaklandに住んでるけど同じ趣味の仲間たちとミーティングするときは10人もいなくて、多くて7、8人くらいかなぁ? OaklandはHIPHOPのシーンが盛んだからあんまり仲間がいないんだ」と言ってるのを聞いて、どこにいても同じなのかもしれないなぁと思った。

 私の次にはMagic Touchがライヴをして、そのときにDamonと一緒に作った曲もプレイした。初めてで慣れないけど、一緒にライヴをするのはすごく楽しかった。Beautiful SwimmersのDJもかなり最高で、みんなで踊りまくった。思っていたよりディスコっぽくなくて結構ハードな4つ打ちばかりだったのは、最近の彼らの趣味かも。

 同じPublic Worksでは別の階にある大きいフロアで同時に違うイヴェントをやってて、(スタッフのChrisいわく、Burning Manみたいなイヴェント)そっちにも少しだけ遊びに行った。変なコスプレをしたり、変な帽子をかぶったり、頭に角をつけてる人たちがたくさんいて、異常に盛り上がっていた。どのへんがBurning Manだったのかは謎だけど、たぶんあのコスプレみたいな人たちのことを言ってたんだろう......。

 そのあと疲れてきた私はうっかり、階段のところでうたた寝をしてしまった(ほんとに一瞬)。知らなかったけど、アメリカではクラブで寝るのはタブーらしく? いきなりガードマンのいかつい黒人さんたちが3人くらいやって来て引きずり出されてめちゃ怒られた(まじで怖かったー!)。みんな私が疲れてるのを知っててかばってくれたけど、最初なんで怒られてるのかわからず、え? 何も悪いことしてないよ! 状態でした。寝るだけであんなに怒られるとは......。そう、場所によるとは思うけど、アメリカと日本のクラブで違うなぁと思ったところはいくつかあって、「絶対に寝てはいけない(経験済み)」「お酒は2時までしか飲めない」「イヴェント自体もだいたい朝4時までには終わる」「室内は絶対禁煙」っていう感じだったな。

 イヴェントが終わったあとみんなで歩いて帰って、朝7時頃に違うパーティでBeautiful SwimmersのDJがあったけど私は起きられなくてそのまま寝ちゃった。みんなが帰ってきたのは朝9時くらい!

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こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。

3/10
サンフランシスコ2日目。

 みんな帰りが遅かったので、昼すぎまで寝てる。昼ごはんはタコス。とはいえもう夕方だったけど。そのあとはみんなでドライヴ。「どっか行きたいとこある?」と言われて、ほんとは服とかも見たかったんだけど、Magic TouchとBeautiful Swimmersに女の子の買い物付き合わせるのもなぁ、と思って大人しくレコード屋に行きたいと言う。ということで、サンフランシスコで一番有名な通りらしいHaight Streetを通って(通っただけ)、Amoeba Musicサンフランシスコ店へ。LAよりは少し小さいけど、やはりデカイ。みんな大量にお買い上げ。でも私はもうこれ以上買えない......LAでも結構買っちゃったし、重すぎてひとりで運べなくなるから。機材もあるし仕方ないけど悲しいなぁと思っていると、KatとDamonがおすすめのレコードを1枚ずつ選んでプレゼントしてくれた。こういうのは宝物!

 夜は日本料理屋 へ。精進料理(のつもり)のレストラン。みんなたぶん私のために連れて行ってくれたんだけど、揚げ出し豆腐以外はまずかった!でもみんなで精進料理っていうシチュエーションがおもしろしすぎて十分楽しかった。夜はDamonと近くのクラブに遊びに行ったけど、疲れていたのであまり長居せずに帰った。

 みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。あと、最近はなぜかコクトー・ツインズのCDがお気に入りみたいで、家でもハウスのレコードかけてみんなで盛り上がったあとは必ずコクトーツインズで落ち着いた。

3/11
サンフランシスコ3日目。

 起きてみんなで歩いて出かけて、昼ごはんはまたまたタコス。いいけど! 私はビーフサンドイッチみたいなのを選んだ。そのあとはぶらぶらしながらコーヒを飲んだり、アイスを食べたり、本屋やレコード屋にいってのんびり過ごした。街の小さなレコード屋で、〈Triangle〉からリリースしてるWater Bordersっていうバンドのレコードを買った。彼らはサンフランシスコに住んでて、Public Worksにも来てくれてたけどすごくかっこいい。

 その後は車に乗って、サンフランシスコで有名なGolden Bridgeっていう大きな橋を渡って、Muir Woodsという国立公園に行った。平均樹齢500歳以上のカリフォルニア・レッドウッドの原生林で、気持ちよく森林浴。そのあとグニャグニャした崖の道を走って、サンセットを見るために海へ行く。サンフランシスコの海岸はすごく広かった。車のなかでは大音量で音楽をかけてみんなテンションあがってハイになって、
 めちゃくちゃ綺麗なサンセットを見ながら幸せすぎてこのまま死んでもいいなぁと思った(二度目、いやほんとは三度目くらい)。


サンフランシスコの海岸で。Damon(左)とAndrew(右)と記念撮影!

 夜はみんなでIndian Pizzaを食べに行った。ピザの上にカレーがのってるような食べ物で、アメリカで一番おいしかったかも。サンフランシスコではほとんどダラダラ遊んで過ごしただけだったけど、住むならここがいいなと思えるくらい居心地のいい街で、やっぱり離れるのは嫌だった。でも明日はもうテキサスに移動する日。荷造りをして早く寝た。

3/12
SXSW初日

 朝早くにサンフランシスコを出発。空港へ。飛行機に乗ってすぐロサンゼルスやサンフランシスコでのことを思い出していると、ホームシックならぬカリフォルニアシックになって、なぜかひとりで号泣してしまった。飛行機のなかでだいぶ怪しかったと思う。ロサンゼルスもサンフランシスコも両方だけど、カリフォルニアは最高だった。本音を言うと、疲れもピークだったテキサスでの最初の数日よりもずっとずっと楽しかったし、すぐにでもまた行きたいと思った。泣き止んで気持ちが落ちついた頃にはソルトレイクに着いて、乗り換えてテキサスのオースティンについたのは夕方頃。

 オースティンにいる間は広い家に住んでる若い夫婦のエクストラルームを借りてステイした。家について挨拶したあと、バスや電車でSXSWのメイン会場のほうへの行き方を教えてもらって、夫婦に連れられてタコスを食べに行った(また!)。でもさすがに、本拠地テキサスのタコスは格別にうまい。フィッシュタコスっていう魚のタコス。ステイ先のエクストラルームは部屋もバスルームもすごく綺麗でずっと快適だった。この日はライヴを見たりすることもなく終了。

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みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。

3/13
SXSW2日目。ここからは適当なライヴ・レヴューがメインかも!

 昼間は中心のストリートからちょっと歩いたところにある小規模な野外ステージでXray EyebellsやBig Dealを見る。芝生でビール飲んでごろごろしながら見たBig Dealはよかったな。アメリカ、テキサスで聴くUKの感じが新鮮で。男女2人組のメランコリックで優しい空気感。

 夕方からはこのあと何度も行くことになる会場Mohawkで『Pitchfork』のパーティへ。ここ、中心部にある結構メインでいい会場なんだけどいかんせん人が多くて入るのも大変。 Shlohmo,、Star Slinger、Sun Araw、Trustを見る。Shlohmoは若手のイケメンビートメーカーということでわくわくしてたけど込みすぎててほとんど顔見えなかった。音はもちろんいいよ! Trustは〈Sacred Bones〉からの「Candy Walls 」が大好きで本当に楽しみだったんだけど、最前列のファンたちがなんというかダサくて、テンションさがってしまった......逆にStar Slingerは頑張って真ん前まで見に行くと、気付けば周りに熱狂的なデブとオタクとオッサンしかいなくて妙に納得、より大好きになった。

 夜も更けてきて、そのあとは会場忘れたけど別のとこでSurviveとBodytronixを見た。どっちも最高。Surviveは見た目怖い人たちがヴィンテージのドーンとしたアナログシンセを横に4台並べてプレイ。最前列のファンもやばげな人たちが踊り狂ってていい感じ。Bodytronixはオースティンの2人組のアーティストで、見るまでは知らなかったのだけれど、そこにいた同じくオースティン在住のPure XのボーカルNateに「オースティンで一番かっこいいから見たほうがいいよ!」と激押しされ見てみると最高にかっこよかった。SFV Acidをもっとハードにした感じの音で、どツボでした。


Survive @ SXSW

3/14
SXSW3日目。

 昼間はまたMohawkへ。大好きなBlood Orangeを見る。ひとりでトラックを流しつつ、ギターソロを弾きまくりながら歌うスタイル。ステージから降りて激しくパフォーマンスをしているとき、記者会見並みにみんな写真を撮りまくっていてなんだかなぁという気分に。私は自分のライヴ中にパシャパシャ携帯で写真をとられるのが嫌いでそういうの見てるといつも嫌になる。Pure XのNateもライヴ中に写真撮られるの本当は嫌いなんだって言ってたなぁ。まぁその話はいいとして......人混みに疲れてしまった私はしばらくダウンして、夜になり同じストリートにあるBarbarellaでD'eonを見た。そのあと一度抜けて違うクラブに行き、Italians Do It Betterのドン、Mike SimonettiのDJで飲みながら踊る。どこに行ってもそうだったんだけど、私が行ったところには日本人が全くいなくて踊っても何してても浮いてた。そのあとBarbarellaに戻って見たPure XとBlondesは最高だった。Pure Xのサイケデリックでノイズな夢の中、ボーカルNateの唐突なシャウトは心のかなり奥の方にガツンときたし、NYからのBlondesはあの音で全部ハードウェアで演奏してるっていうのが超かっこいい。ああいうダンス的な音楽はもはやラップトップやMidiを使ってやるほうが多いと思うから。

3/15
SXSW4日目。

 またまたMohawkへ。もうドアマンに顔を覚えられている。ほんとはFriendsが見たかったんだけど、混みすぎてて並んでるうちに終わっちゃった(涙)ので、SBTRKTとCloud Nothingsを見た。SBTRKTは「?」だったけど、Cloud Nothingsはグランジな感じで演奏もよくてかっこよかった。そのあとメインストリートとは逆のサイドにある会場まで行って、Dirty Beachesを見る。なんというか本当にアジアの星だね、彼は。カナダだけど。見た目に関してだけ言うと、アジア人ってそれだけで普通は欧米人よりダサくなってしまうような気がするけど彼は違う。最高にエッジーでかっこいい。彼になら殴られてもいい! いや、殴られたい! そしてそこには同じくカナダのJeff Barbaraもいて、話していると彼らが仲良しなことが判明。Dirty BeachesとJeff Barbara、音は全然違うけど、なんかいいね。スタジオをシェアしたり、LAでのSFV AcidとINC.みたいにルームシェアしてたりとかそういうの。東京はどうだろう?なんて思ったり。音が違っても心が通じてる、そんな感じの仲間がたくさんいればいいね。

 夜はRed 7という会場で〈Mexican Summer〉ショーケース。〈Mexican Summer〉rはもちろん大好きだから本当は全部見たかったんだけど、この日は本当に疲れていて、最初のPart Timeだけ見て帰ってしまった。Light Asylumも、Oneohtrix Point Neverも、The Fresh & Onlysも、Kindnessも、死ぬほど見たかった! けど、ここまでの旅の疲れと、なんともいえない孤独感と、SXSWの人混みとクレイジーな祭り状態にしんどさがMAX限界状態だったのです。ちなみにPart Timeはめちゃくちゃダサかった(良い意味で)。

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私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。

3/16
SXSW5日目。NNF House Show@Hounds of Love Gallery

 あまりに疲れたのでこの日はライヴは見に行かず、自分のライヴのために体力温存&準備しながらまったり。

 夜。SXSWで最初のライヴはNNFファミリーの身内感あふれるハウス・パーティ。Hounds of Love GalleryはギャラリーではなくNNFのヴィデオなどを作っている映像作家Melissaのギャラリーっぽい自宅。そこによく集まってるらしいMelissaとそのアートスクール仲間たちはみんな映像を作ったり絵を描いたりしてる子で、年も私と同じくらいだったので話しやすかった。この日のうちにCuticleのBrendan、Samantha GlassのBeau、Willieと仲良くなり、彼らと最後の2日間遊び続けることに。

 ライヴはオースチンの漢(おとこ)、Xander Harrisからスタート。VJで怪しげな映像を流しつつ、途中から脱いでいた。彼の人柄は野性的なのか律儀なのかよくわかんない感じでおもしろかった。その次はCuticle! 話してると普通なんだけど、ライヴしてるときはなんともいえない色気があってぞくぞく! Cuticleは似たような音のアーティストたちのなかでもなんとなく奇妙さと個性があって好き。アイオワに住んでるからカリフォルニアのSILKアーティストたちとは場所的にも離れているけど、離れたところでひとりマイペースにやってるとこも共感できるのかな。Samantha Glassはゆったりとした、ディープでサイケでギターの音が溶ける心地のいいサウンド。私はこの日トリで、そこそこ飲んでいたし音響などの環境も悪かったけれど、とくに問題なくプレイできた。床でやったけどね。この日のライヴはMelissaのVimeoで見ることができるので興味ある人はこちらからどうぞ。(https://vimeo.com/40269662


ライヴ中はセクシーなCuticle @ Hounds of Love Gallery

 ハウス・パーティが終わったあとはCuticleとSamantha Glassと違うパーティに遊びに行って、そこでSleep Overをみた。他のメンバーと別れひとりになったSleep Over、心無しかライヴも悲しく哀愁が漂っている。そして変な弦楽器を悲しげに弾いている。嫌いじゃない......。そのあとはお腹がすいたのでみんなでスーパーにいって、ご飯を買ってかえった。

3/17
SXSW6日目。最終日そして最後のライヴ。Impose Magazine Presents The Austin Imposition III @ Long Branch

 前日からもはやお祭り騒ぎのSXSWに疲れ果て、他のアーティストのライヴを見に行くことを放棄している私。この日、昼間はCuticleのBrendan、Samantha Glassのふたりとその友だちの女の子たち6人くらいで車に乗って郊外へ遊びに行った。なんとかSpringっていう池なのか川なのかよくわからないところで泳いだり飛び込んだりして(飛び込んではしゃぎまくってたのは主に男たち)、遊んだあとはSXSWに戻って会場入り。アメリカで最後のライヴだ......。Cuticle、Xander Harris、Peaking Lightsとは二度目の共演。この日初めて見たキラキラで怪しさMAXの女子ふたり組Prince Ramaのパフォーマンスはすごかった。ライヴっていうか、儀式。ダンスが最高で、取り巻きファン的な男の人たちもかなり熱狂的だった。Tearistも力強いというか強烈なインパクトがあって、ヴォーカルの女の人の髪が扇風機的なものでずっとTM Revolution並になびいていた。私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。でもみんなに背中を押されつつなんとか帰って、無理矢理荷造り......。

3/18
帰路

 早朝に出発、したにも関わらず飛行機が5時間くらい遅れてやってきて、デトロイトで乗り換えできなくなってしまった。よくあることらしいんだけど、想定外のホテル一泊。ここで帰るのが遅れても嬉しくないよ。結局丸一日半ほど遅れて日本に帰国。ただいま。

あとがき

 日記、めちゃくちゃ長くなっちゃった。読んでくれてありがとうございました。行くまでは大変だったけど、楽しすぎて何度も日本に帰りたくないと思った。でも向こうのアーティスト同士のつながりやシーンを見ていて、東京でもこれからやっていけることがたくさんあるんじゃないかなと思ったし、離れた場所にたくさんの仲間がいることがわかって、どこにいても何をしてても、ちゃんとつながっていけるんだなぁと実感。それが一番の収穫かな? とにかく行ってよかった。またいつでも行けるようにこれからも音楽作っていこうと思います。

オワリ

 

※この続きは......というか、彼女のインタヴューは、紙版『ele-king vol.6』にてご覧ください!


Burial Hex - ele-king

 たしか椹木野衣先生に自分の作品をプレゼンした際、僕の米国にてレイシズムに出会ったことがない......という発言に対し、氏にLAやNYは米国じゃないですよ......と言われたことがあったっけ。本当の意味でU.Sインディー・シーンを考察するに当たって、僕にとってまったく何のイメージも沸かない地方をヤサにするアーティストは魅力的であったりする。ピーキング・ライツ(Peaking Lights)、ゾラ・ジーザス(Zola Jesus)、そしてこのブリアル・ヘックス(Burial Hex)、彼らはウィスコンシン在住のミュージシャンだ......どこ?(読者のなかのウィスコンシン在住もしくは出身者の方々、無礼をご容赦下さい。これが意味するのは無知無学かつ超観念的な筆者です)
 米国の友人たちにウィスコンシンって何かシーンあんの? と訊ねてもみな一様に知らぬのひと言。じゃあ何でこんな変なバンド出て来んの? と訊ねてもみな一様に冬寒いからみんな籠って変な事してんじゃん? の釈然としない回答。インターネットが空気のような存在になった現在も音楽における地域性が損なわれないのは不思議でならない。

 クレイ・ルビー(Clay Ruby)の"黒い"クリエイティヴィティは留まることを知らない。過去から現在にかけて彼が手掛けて来たプロジェクト、Second Family Band、Wormsblood、Journey to Ixtran、Zodiac Moutains、 Davenport等などなど......のなかで彼がメインで精力的な活動をおこなってきたのがブリアル・ヘックスである。ホラー・エレクトロニクス、ネクロ・ディスコ、はたまたデス・インダストリアルなどという耳慣れない甘美な響きで形容されるこのプロジェクトはクレイの一貫した禍々しいヴィジョンである古代の"魔術"を相方であるナサニエル・リッター(Nathaniel Ritter)のエレクトロニクスによって現代に再構築させるサウンドだ。
 ......はい、この文章がキモいと思ったそこのアナタ。騙されたと思って彼らのレコードを聴いてみなさい。え? 騙された? いやいや、彼らのサウンドが持つ多様性はそれこそヒップスターが集うようなゴス・パーティからガチでスカムなノイズ・イヴェントまで実際に彼らが足を運んで来たライヴの場が表すように幅広い。まだ未聴だが本作『Book of Delusions』のリミックス盤は完全にクラブ・ミュージックのフィールドでもある。昨年脅威のクソ・ディスコ・サウンドへと変貌を遂げたプリュリエント(Prurient)といい、三田格氏が語るように昨今のノイジシャンのエレクトロ化は大変面白いが、それは本当にギリギリのバランスの上でしか成立し得ないものに思える。そういう意味でブリアル・ヘックスのこのギリギリのセンスは素晴らしい。プリュリエントの変貌は単純にキモいなーと思ってしまったが、Prurient(病的なほど猥褻な)という意味では逆に僕の反応は彼の思うツボなのかもしれない。

 クレイ曰くこのアルバムと〈Sound of Cobra〉よりリリースされた『in Psychic Defense』を最後にブリアル・ヘックスしての活動にはひとまずピリオドを打つそうで、僕が長年の望みであった対バンもどうやらあきらめざる終えなそうだ。だって対バンしたあらゆる友人たち曰く、ウィアードな奴だ。友達になれそうな気がしない。とみな口を揃えて言われると、性格と根性がねじ曲がった僕はさらに会ってみたいと思うのだ。

Chart by JET SET 2012.06.18 - ele-king

Shop Chart


1

Anna Lunoe & Friends - Real Talk, Dj Hmc Dirty House Dub (Future Classic) /
オーストラリアの名門Future Classicから登場の大注目作!女流プロデューサーならではの感性を感じさせるクラシカルなアルペジオ・ピアノを大胆にアレンジした今年のサマー・アンセム"Real Talk"収録!

2

Bepu N'gali - I Travel To You Remixes (International Feel) /
バレアリック・トップ・レーベル"International Feel"より先日リリースされたボツワナのプロデューサーBepu N'galiによる傑作「I Travel To You」をTim 'Love' Lee & Rune Lindbaekがリミックス。

3

Four Tet - Jupiters / Ocoras (Text) /
リプレスを果たしたBurialとのコラボ盤『Nova』がヒット中の天才Four Tet率いるTextから、最新鋭Ukベースとも連動する孤高のレフトフィールド・ミニマル・サウンドが到着です!

4

Secret Circuit - Jungle Dogs,Jungle Bones - Inc.Tiago & Prins Thomas Remix (Internasjonal Spesial) /
Rub-N-TugのThomas BullockとのプロジェクトLaughing Light Of Plentyでも知られるEddie RuschaによるプロジェクトSecret Circuit最新作!Eneなどからのリリースでも注目を集めるTiagoと、レーベルオーナーPrins Thomasによるリミックスを収録!!

5

Pollyn - Sometimes You Just Know - Dj Harvey / Moodymann Remix (Music! Music Group) /
Dj Harvey、Moodymann Remixを収録!アメリカ西海岸を拠点に活動する、ヴォーカルのGenevieve Artadi、ギターのAnthony Cava、パーカッショニストのAdam Jay Weissmanの3人から成るシンセ・ポップ・バンドPollynによる作品!

6

Julien Dyne - Glimpse (Wonderful Noise) /
Nzの至宝Julien Dyneが先の2ndアルバムから11曲入りミニ・アルバムをリリース!ジャズ、ソウル、ヒップホップ、エレクトロ、デトロイト・ビートダウン、ポストロックEtc.を消化し、美しくもまた新たな強靭なビートを鳴らす注目作!

7

Coach Station Reunion - Eli E.p. (Discos De Kirlian) /
甘く爽やかなシンセとナイーヴで柔らかいメロディ、涼しく淡いビートが海岸の風のように吹き抜けるサマー・ネオアコ・ポップ。注目のデビュー・7インチ!!

8

Robin C & Omar V - Complete Skatebard Remix / (Full Pupp)

9

Bamboos - Medicine Man (Tru Thoughts) /
Aloe Blaccが歌う冒頭曲、James Blake必殺カヴァー、Kylie Auldistが歌う激燃えファンク等々、これまで以上にキャッチーかつパワフルに!!同内容のCdも封入。

10

House Shoes - Let It Go (Tres) /
House Shoesの待望のオフィシャル・アルバム!客演にはBlack MilkやGuilty Simpsonを始めとし、Nottz, Oh No, Med, Danny Brown, Alchemist, Shafiq Husaynなど強力メンツが参加! ※ゲートフォールド・ジャケット、ライナーノーツ、ダウンロード・コード付。

QN - ele-king

越境者としての彼 文:中里 友

QN
New Country

Summit

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 5月31日にポストされたQNのツイート...そこに貼られたOMSB'Eatsに対するディス曲"OMSBeef"の音源。その、あまりに唐突過ぎる決別の報を、この楽曲によって知った人がほとんどではないだろうか。このビーフ自体が相当衝撃的だったのだけれど、"OMSBeef"を聴いて、さらに驚かされてしまった。それは、前作以上の拡張と深化を遂げている彼の音楽に、だ。

 どんなジャンルの音楽にも熟練というものはある。僕が日本語ラップを面白いと思うのは、それぞれ独自の言語――それは言葉のアクセントや起伏、間の取り方、もちろん生来の声質によるところはかなり大きい――を思考錯誤して体得しているところにある。10人いれば10通りのスタイルがある。それはキャラクターとも言い換えられ、それは彼らの最大の「武器」でもある。他にはない表現やスキルを見せようとする初期作は冒険心に溢れ、フレッシュでいて、ときとして非常にトリッキーであったりする。それが作品を重ねる毎に、じょじょに言葉は削ぎ落とされて整理され、次第に聴きとりやすいオーソドックスなラップ・スタイルへ移行していく(それはメッセージ性に重きを置きはじめるというより、メッセージを持ちはじめるというケースが多いような気がする)。イコール独自の言語を捨てていくという事では必ずしもない......が、表現がこなれて洗練されていくという事はこういうことなのか? と疑問を感じたりもする。
 ヒップホップというシーンへの帰属意識の高いアーティストほどこういう面が強く、かたやジャンルの横断を繰り返すアーティストほどブレずに言語の独自性を保持・深化させながら、音楽性を拡張させていっている。僕は彼らを「越境者」と呼んでいる。韻踏を早くに抜けたミンちゃんやEVISBEATS、さらに言えばKREVAやイルリメは拡張の末にポップ・フィールドにまで波及した例だと思う。もちろん例外はあって、降神はさらに独自のコミュニティで表現に磨きをかけていった気がするし、KILLER BONGなどは越境......というよりも間違って地球に産み落とされた宇宙人のよう。

 QNは間違いなく越境者だ。越境者は実験を繰り返す(ミレニアルズ以降のネット・ネイティヴな世代は生まれながらに「越境者」なのかもしれないが)。QNの作品にはいつも耳を惹くアイデアがある。先月リリースされたDJ松永のアルバムにラップで客演した"Tell The Truth"での甘いフックを聴かせた後の1バース目はつかみとしても最高だし、昨年、名義を変えてトラックメイカーとしてリリースしたEarth No Madでは実験的な試みにも意欲的で、自身を拡張しようとしている意図がとれる。相模原CITYのLABORATORYから、自らをProfessorと名乗っているのも頷ける。

 そして件の"OMSBeef"だ。このトラックはやや風変わりなクラウドラップで、おまけに彼のラップはどんどん訛っていっている(同時にアップされている歌詞がなければ聴き取れなかっただろう......)。先の持論を漠然と考えていた折に、編集部から今作『New Country』が届き、聴き通してみて、やはり! と思った。もちろんまだ彼がSIMI LABに所属していた際に作られた作品なのだが、よりグルーヴを求めて削ぎ落とされたタイトなサウンドで、前作以上に無国籍なビートを鳴らしている。
 フリーキーでエキゾチックな"Cray Man"、"Hands"。ベースとドラムとわずかな音色、その上をラップでスイングする"Freshness"、"DaRaDaRa"。ファニーなルーディーズ・ミュージック"Hill"、"Boom Boom"、そしてJUMAのフックが効いたモラトリアムなメロー・ソング"Cheez Dogg"からは彼のプロデュース能力の高さが伺い知れる。アルバムの終焉にふさわしい"船出"と"Flava"は旅情と言うべき感傷さが漂っていて、総じて温かみに溢れた作品となっている。

 熟練というのは、キャリアの積み方という事でもある。3年の間に、2枚のソロ、SIMI LABのアルバム、別名義Earth No Madのアルバム、Dyyprideのアルバムのプロデュース...そして前作から5カ月というハイペースで発表された今作の『New Country』。早い。彼の初となる商業作品のタイトルを『THE SHELL』(抜け殻)とした意味も「やりたい事がコロコロ変わるから、このアルバムも今やりたいことではもうないんですよ。」とかつてインタヴュー(https://amebreak.ameba.jp/interview/2010/08/001618.html)で語っていたが、本当にそのスピード感で彼は成長を続けている。今回の脱退は残念だが、すでにRAU DEFと共にMUTANTANERSなるユニットを組んでYOUTUBEに作品をアップしている。歩調や歩幅を変えても、この先も決して歩むことはやめないのだろう。

 ラジオを通じてQNとOMSB'eatsに熱いメッセージを送った菊地成孔じゃないが、4月のDCPRGとのライヴで、STUDIO COASTという大舞台で見せたSIMI LABの素晴らしいステージング......世代も越えて観客をロックした、あの光景に夢を見てしまった僕も含めて、多くのファンが今回のQNの脱退がとても残念な事に思えてしまうのは、それはしようがないことだ。いや、こんなこと書いても本当にしようがないのだけれど。
 

文:中里 友

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物語の外側へ 文:竹内正太郎

QN
New Country

Summit

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 「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。

 「もう僕はSIMI LABには居ません。QN」、突如そうツイートされたのは5月22日だった。ツイートは確かに本人のアカウント(@professorQN)だったが、前後の書き込みからしてもまったくの無文脈だったので、私は何かの冗談だと思っていた。が、6月1日、QNのSoundCloudに"OMSBeef(Dis)"がアップされ(https://soundcloud.com/simi-lab/omsbeef-qn)、どうやら事態は想像以上にシリアスであると、多くの人がさらなる深刻化を覚悟してしまったのではないだろうか。少なくとも、OMSB'Eats(@WAH_NAH_MICHEAL)やMARIA(@MariaPPgirl)のアンサー・ツイートを見る限り、QNとSIMI LABメンバーとのあいだには何か決定的な行き違いがあり、容易には復しがたい距離が存在する、それがどうやら一定の事実であるようだった(注:残念だが、6月12日、QNの脱退がオフィシャルで報じられた......)。当然、詳しい内部事情はいっさい承知していない。無用な推測は控えるべきだろう。何かを言うべき立場の人はもうコメントを出している、例えば菊地成孔のように。オーケー、私が言いたいこと(言えること)はたったひとつ、『New Country』は本当に素晴らしいアルバムだ。

 そもそも、OMSB'EatsもMARIAも、そしてDyyPRIDEも、このアルバムに参加している。あたかもそこになくてはならない既定の風景のように、SIMI LABの面々はこの作品に協力し、パフォーマンスしている。それに、RAU DEFや田我流もいる。本来であれば、純度100%の、大きな祝福の中で聴かれるべき作品だと思う。もちろん、例の件をできる限り肯定的に捉えれば、SIMI LABが馴れ合いで運営される仲良しクラブでないことが公けに示されたとも言えるが、この作品の完成とこのタイミングでの発売を、決してよく思わない人たちもいるであろうことは、(ぶり返すようだが)残念ではある......。SIMI LABのデビュー・フルレンスに寄せ、かつて「個人的にはQNにもう少し出しゃばりを期待」している、などと書いた人間からすれば、本作はまさにあのとき理想に描いたとおり作品であるが、だからこそ余計、複雑な感情になってしまうのもまた事実で......。

 いや、妙な感情論はやめよう。QN(今後はプロフェッサーQNと呼ぶべきなのだろうか?)は、さらに磨きあげたトラック・プロデュースで、すべての協力者に報いている。音楽家としては、まず間違いなく最高の仕事を果たしている。アレンジメントされる多彩な弦類、重く揺れ動くベース・サウンド、淡々とリズムを刻む軽やかなドラムスは、彼の手によって美しい循環構造を描いている。そして、これは相変わらずと言っていいのか、この1990年生まれが持つ雰囲気というのは、ちょっと並はずれたものがある。絶対に浮かれてたまるかと言わんばかりの、常にローにコントロールされた異様なテンション。ビートの鳴りやループの展開は、前作『Deadman Walking 1.9.9.0』(2011)以上にタイトになっている。そして、ベースの効かせ方がとにかく心地よい。J・ディラのビート・プロダクションを"21世紀のヘッドフォン・ファンク"と評した海外のライターがいたが、それはこの作品にもそのまま当てはまるのではないか。これはQNによるファンク解釈のグルーヴィな作品である。

 そしてラッパーとしても、その不遜な口振りは更なる自信を見せつけている。この年功序列国家においては、ときに過剰なまでの謙遜が重んじられる傾向にあるが、ヒップホップはその道徳を破棄する文化でもある。そう、QNは誰よりもクールに、だが自分がナンバーワン・ラッパーであるかのように、ファンク・ビートの上で堂々と韻を流している。日本語も英語もない交ぜに、とにかく滑らかに流れていく。引用すべきパンチ・ラインも、もちろんある。とくに、表題である「新国家」の、おそらくは同義語として「夢」という言葉がふたつの意味で使われる"Better(feat. RAU DEF, MARIA)"には、QNの決意がもっとも強く表れている。が、韻文として組んだリリックを、あくまでも散文のように崩して聞かせる技術には舌を巻く。ゼロ年代、ドメスティック・ラップの潮流に物語回帰(それも、"Street Dreams"としての物語ではなく、"My Space"としての物語への回帰)があったとすれば、QNはまたぶらぶらと物語の外側へ出て、意味のあること/ないことを問わず、背景にある物語からいくつかの場面や感情のみを取り出し、新たな世界を立ち上げているように思える。

 また、こうした純粋なラップの機能性からの影響なのか、浅からぬ縁を持つ田我流を招いた"船出"は、粒揃いの本作でも群を抜いたコズミック・ファンクで、『B級映画のように2』という、おそらくは現在の日本に対する複雑な心境を込めたアングリーなアルバムからは一転、「こんな国は捨てて/空を突き抜けて/大気圏に突入/無重力でパーティ」とラップする田我流が、私には実に楽しそうに見える。彼の『B級映画のように2』が、ヒップホップの圏外へと向かう社会性の作品だったとすれば、本作はヒップホップの原理的な魅力にこだわった、周囲との国境線を強く意識した作品だ。貫禄めいたこの落ち着きぶりはいったいなんだ? 表情はまだどこかに十代の面影を残しているが、「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。浮かれることを知らない弱冠21歳が、新たな王国を築こうというのか。月並みの結論であるが、事情はどうあれ、作られた音楽そのものに罪はないと思う。おそらくは多くの人の期待を凌いでいるのではないか。『New Country』、その確信めいたヘッドフォン・ファンク。存分に楽しんで欲しい。


文:竹内正太郎

MANDOG - ele-king

Mandog web - Mandog Official Info : https://mandog.info/

「ROOM FULL OF RECORDS」
マンハッタンレコードのハウスセクション主宰レーベル「ROOM FULL OF RECORDS」記念すべき第一弾シングル。
"ライブ演奏が可能なオリジナル曲とそのリミックス"
をコンセプトにワールドワイドな展開で国産ミュージック紹介の一旦を担う事を目指す。
第一弾は、未だにシーンに多大な影響力を持つドイツ発プログレッシブロックバンドCANの日本人ヴォーカリストであったダモ鈴木氏に絶賛され、当初のギタリストを変更してツアーに同行されたという実力派ギタリストMandogによるオリジナル曲を、DJ Harvey等要人が関わる最重要レーベルの一つ<International Feel>から堂々のリリースを果たし世界的知名度を上げるDJ GONNOがリミックス。オリジナルが持つ多重録音によるサイケデリックなプログレ感とGONNO独特のビート感と空気感が融合した作品。
https://www.roomfullofrecords.com/

2012.06.15 (FRI)
ENESPNO.1 ROOM FULL OF RECORDS KICK OFF PARTY @ eleven
LIVE: MANDOG、 KAORU INOUE
DJ: LOVEFINGERS、THE BACKWOODS aka DJ KENT、5IVE、CHIDA

2012.06.19(MON)
MANDOG LIVE & DJ GONNO @ DOMMUNE

ギターを弾きたいと思わせてくれた曲


1
CAN - Oh Yeah 「Tago Mago」 - United Artists Records

2
Manuel Gottsching - Echo Waves 「Inventions For Electric Guitar」 - Kosmische Musik

3
Les Paul - Lover「The New Sound」 - Capital Records

4
寺内タケシとブルージーンズ - 津軽じょんがら節「レッツ・ゴー・エレキ節」 - King Records

5
Suicide - Ghost Rider「Suicide」 - Reachout International Records

6
Johnny Mathis / Open Fire 「Open Fire, Two Guitars」 - Columbia

7
Dick Hyman - Evening Thoughts 「Moog」- Command

8
V.A. - ヌドクパ族の音楽 「世界民族音楽大集成 中央アフリカの音楽」- King Records

9
Raymond Scott - Little Miss Echo 「Soothing Sounds For Baby Vol.3」- Basta

10
Django Reinhardt / Nuages 「The Quintet Of The Hot Club Of France」- Decca
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