「Nothing」と一致するもの

Kamaal Williams - ele-king

 かつてユセフ・デイズ(先日トム・ミッシュとの共作を発表)と組んだユニット「ユセフ・カマール」でUKジャズ・ムーヴメントに先鞭をつけたヘンリー・ウー。2018年にはカマール・ウィリアムス名義でこれまたすばらしいアルバムを送り出している彼が、ついに同名義でセカンド・アルバムをリリースする。ジャズやファンクはもちろん、エレクトロニック・ミュージックからの影響も巧みに落とし込んだ、彼らしい内容に仕上がっている模様。南ロンドンのシーンからはずっと良質な作品が出続けているので、これも要チェックです。

Kamaal Williams

ユセフ・デイズとのユニット、ユセフ・カマールでの活躍でも知られる
ヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムスが待望の最新作『Wu Hen』を
7月24日リリース! 新曲 “One More Time” を公開!

俺たちがジャズを学んだのは教室ではなくて、ストリートなんだ ──Kamaal Williams (Henry Wu)

トム・ミッシュとの共作で話題のユセフ・デイズと組んだユニット、ユセフ・カマールとしての活動が絶大な評価を受けたことでその名を知らしめ、ヘンリー・ウー名義でフローティング・ポインツが主宰する〈Eglo〉、〈MCDE〉、〈Rhythm Section〉といったレーベルからリリースした12インチが、DJより支持を集めているカマール・ウィリアムス。自身が運営する〈Black Focus〉より待望の最新作『Wu Hen』を7月24日にリリースすることをアナウンスし、同時に新曲 “One More Time” を公開した。

Kamaal Williams - One More Time (Official Audio)
https://youtu.be/Q3vJLO0pXWU

『Wu Hen』は南ロンドンを拠点にクロスオーバーに活動するアーティスト、カマール・ウィリアムスことヘンリー・ウーによるセカンド・アルバムであり、これまで以上に聴き手を高みへと誘うアルバムとなっている。

これはマインド革命であり、精神的な反抗だ。新しい高みに到達するためには、物質的な世界から自分自身を切り離し、実体のないものに力を見出すことが必要なんだ。それがアートとか音楽っていうものなんだ。原始的な感情であろうと、何か深いものであろうと、それをただ感じるんだよ。そして、俺の作品全体には潜在的に共通した要素がある。もし絵を描いているなら、それは絵を描いている時に感じることだ。作品を見ている人も、音楽を聴いている人も、それを感じることができる、なぜならそれは嘘偽りのないものだから。 ──Kamaal Williams (Henry Wu)

アルバムのタイトル『Wu Hen』は、ヘンリーのおばあちゃんが子供の頃に彼につけたニックネームでもある。彼の台湾側の家系は呉王朝の出身で、呉という名前は「天国への入り口」という意味である。『Wu Hen』では、彼の家系から現在の精神的な使命に至るまでの道のりが描かれており、Othelo Gervacio による雲のようなカバーアートにもそれが反映されている。

「俺たちがジャズを学んだのは街角であって、教室ではない」とヘンリー・ウーは公言しているが、その言葉は至極真っ当なものだ。彼がアーティストとして受けてきたヒップホップ、グライム、UKガラージ、ハウスに70年代のファンク、ソウル、ジャズを重ね合わせることで、自身が “ウー・ファンク(Wu Funk)” と表現する独自フュージョンを生み出している。

今回のアルバムには、ストリングにミゲル・アトウッド・ファーガソン、べースのリック・レオン・ジェイムス、サックスのクイン・メイソン、ロサンゼルスを拠点にするドラマー、グレッグ・ポール(カタリスト・コレクティブ所属)、ハープ奏者アリーナ・ジェジンスカラ、ラッパーのマック・ホミー、そしてケイトラナダとの共作で知られるローレン・フェイスがボーカルとして参加している。中でもフライング・ロータスとの共同制作を始めレイ・チャールズ、ドクター・ドレ、メアリー・J・ブライジなどと共作をしているミゲル・アトウッド・ファーガソンは、彼らしい特徴的なストリングスのサウンドを披露しており、鮮やかな色彩と豊かな深みを与えている。

『Wu Hen』は多様な色合いに満ちた作品だ。“Street Dreams” の軽やかで美しいメロディーから “One More Time” の爆発的なブレイクビーツのドラムに繋がるさまは、エロクトロニック・ミュージックとファンクの力強い混成となっている。“Toulouse” と “Pigalle” がロニー・リストン・スミスやジョン・コルトレーンのような古典的な雰囲気を持っている一方、“Hold On” にはコンテンポラリーな感覚があり、カマールはローレン・フェイスの甘美な歌声とともに情感豊かなR&Bサウンドを提示している。『Wu Hen』のスタイルはロイ・エアーズによるフュージョン作品を想起させるところもあれば、それを支えるリズムはむしろ鈍重なヒップホップを思わせるものであり、海賊版ラジオの音声を細かくつぎはぎしたサウンドが、それとはわからないように織り交ぜられている。

待望の最新作『Wu Hen』はデジタル、国内盤CDで7月24日リリース、輸入盤CD/LPは8月14日リリースとなっている。国内盤CDにはボーナストラックが収録され、輸入盤LPは通常のブラックヴァイナルに加え、限定のレッドヴァイナルが発売される。

label: Black Focus / Beat Records
artist: KAMAAL WILLIAMS
title: Wu Hen
release date: 2020.07.24 Fri On Sale
国内盤CD BRC-643 ¥2,200+tax
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

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TRACKLISTING
01. Street Dreams (feat. Miguel Atwood-Ferguson*)
02. One More Time
03. 1989*
04. Toulouse*
05. Pigalle
06. Big Rick
07. Save Me (feat. Mach-Hommy)
08. Mr.Wu
09. Hold On (feat. Lauren Faith)
10. Early Prayer
11. 3 Yourself (Bonus Track for Japan)

Derrick May - ele-king

子供の頃からずっと人種的不正と共に生きてきた。二等市民として扱われたことのある人間ならば、人種差別・偏見は心に永遠に消えない傷を刻むことを知っているだろう。このようなメンタリティを持つ人たちの憎悪と無知は、恐怖と愚かさによるものだ。これからも、この惑星には常に人種差別主義者は存在するだろう。だから、人種差別を撲滅・根絶しなければならない! この社会から差別を時代遅れにしてしまおう。(デリック・メイ)

I have lived with racial injustice my entire life since I was a young boy, such as anyone who's ever been treated as a second-class citizen knows Racisim and bigotry leave painful deep permanent scars and injuries to the psyche that never go away! The hate and ignorance that lives in this mentality is due to fear and stupidity! There will always be a racist on the planet, our job is to eliminate and eradicate them! Make them obsolete to our society. (Derrick May)

CRASS Remix Project - ele-king

 ビョークを発掘したことで知られる〈One Little Indian〉が、興味深いプロジェクトを始動している。

 伝説のアナーコ・パンク・バンド、クラス(CRASS)が昨年、デビュー作『The Feeding of the Five Thousand』(1979)に新たな息を吹き込むべく、同作のオリジナル・トラックをフリーでダウンロードできるようにし、みんなにリミックスを呼びかけていたのだけれど、結果、プロ・アマ問わず100ほどの応募があったそうで、このたびその成果が12インチEPとしてリリースされる。〈XL Recordings〉のボス、リチャード・ラッセル(rLr 名義)と、グラッサーによるリミックスだ。すべての収益は、DV被害に遭っている女性や子どもたちを支援する慈善団体の Refuge に寄付されるとのこと。

 プロジェクトの詳細はこちらから、リチャード・ラッセル・リミックスの試聴・購入はこちらから。

artist: Crass
title: Normal Never Was
label: One Little Indian
release: 24th July 2020

tracklist:
A: Bomb (rLr Remix)
AA: Do They? (Glasser Remix)

「実用向け音楽」の逆襲 - ele-king

 この度、〈Pヴァイン〉の新たなリイシュー・シリーズ「A JOURNEY TO LIBRARIES」が始動し、第一弾として2タイトルがリリースされた。これを機会に、ライブラリー・ミュージックとはいったいどんな音楽なのかをイントロダクション的に紹介しつつ、その魅力について考えてみよう。

 ライブラリー・ミュージックとは、主にヨーロッパを中心とした各地で制作された(ている)、非市販音楽の総称である。一般的に、テレビ、映画、ラジオ、CM等の放送業界では、その映像コンテンツになにがしかの音楽を使用する際、主に3通りの手段を用いる。一つは、既存市販音源を使用するパターン。ここでは、使用希望者は原盤を管理するレーベルと使用料の交渉のうえ覚書を結び(新譜作品などの場合、当該楽曲のプロモーションを企図する「タイアップ」という扱いで、使用料が免除されることも多々ある)、著作権管理団体(JASRAC等)へ使用申請をおこない、使用料を支払う。二つ目は、例えばCM制作などで、音楽制作会社が受注しオリジナル音楽を新制作する場合。ここでは原盤使用料を支払わなくてよい反面、新制作であるがゆえの制作業務やミュージシャンのブッキング作業などが発生することになる。そして三つ目が、ライブラリー・ミュージックを使用する、という場合だ。この方法によれば、使用希望者は過去の(あるは常にアップデートされる)膨大なアーカイヴ(この性質が図書館に似ていることからも、「ライブラリー」ミュージックと呼ばれる)から、雰囲気に合わせた任意の曲をピックアップし、自由に使用することができる。また、ライブラリーミュージックの専門業者は、基本的に著作権・著作隣接権を一元的に管理しており、規定の使用料さえ支払ってしまえば、煩雑な事務処理も省かれるというわけだ。ライブラリー・ミュージックとは、まずもってこういった業界的背景の中で、利便的に供給され、使用されてきたものだ。

 世の中に日々リリースされる「アーティストによるオリジナル作品」に慣れきってしまっている我々音楽リスナーの感覚からすると、こうした「実用向け音楽」というのは、いかにも「魂の抜けた」「積極的に聴く価値のない」音楽と思われるかもしれない。たしかに大方のライブラリー・ミュージックは、(当然ではあるが)いかにもお手軽かつ保守的な「聞き流し用」音楽なので、その見方が間違っているとはいい難い。しかしながら、膨大に残されてきた音源の中には、現代の聴取感覚で接してみてもブリリアントとしかいいようのない逸品も隠されているのだ。
 こうした「再発見」は、主に90年代、ロンドンを中心としたDJシーンで推進されていった。60年代以来様々な専門レーベルで制作され、80年代にむけて更に需要が膨らんでいったライブラリー・ミュージックだが、アナログからCDへの変遷に際して、過去の「古臭い」ヴァイナル音源が大量に破棄されるという潮目がやってきたのだった。それまではごく少数が一般の中古レコード店やバザールに「流出」する程度だったそれらヴァイナルが、この期に及んで多数一般へセコハンとして出回るようになり、常に「未だ知られざる音楽」を求めるDJたちに発掘されることとなった。いわゆる「ディグ」の遡上に載せられたライブラリー・ミュージックは、それ以来加速度的に注目をあつめることになり、まめまめしいDJやアーカイヴィストの手によって様々なコンピレーションが発売されるという事態が起こった。かねてより中古レコード市場では、ラウンジ・ミュージックやヨーロッパ映画のサントラ盤などの発掘ブームが興っていたこともあり、そうした志向にもうまく共振したということも大きいだろう。また、主に70年代産のものはサンプリング・ソースとして相当に優れたものも多く、こうした視点から徐々にビートメイカーの間へも浸透していった。

*ランダムに、私のお気に入りのライブラリー・ミュージック有名どころをピックアップしたので、本記事のBGM代わりにどうぞ。

 今回、リイシュー・シリーズの第一弾にラインナップされたノルウェーの音楽家、スヴェン・リーベク(Sven Libaek)がライブラリー名門英〈Bruton Music〉傘下の〈Peer International Library Limited〉に吹き込んだ74年作『Solar Flares』も、まさにこうしたレア・グルーヴ的観点から評価された作品だ。本格的なソウル~ファンク系のオリジナル作品の水準からするといかにも甘やかに聴こえるかもしれないが、気品を感じさせるオーケストラル・サウンド、ソフトロック的とすらいえるポップなメロディー(ただし、ライブラリー作品なのでノン・ヴォーカル)、ときにアナログ・シンセサイザーが闖入するスペーシーな味付けなど、ライブラリー・ミュージックならではの華やぎが何より素晴らしい。あくまで付随すべき映像を邪魔することなく「引き立てる」ために制作された作品ゆえの、清涼感と喉ごしの良さは、他のジャンルには得難い魅力といえる。

 これまで述べてきた通り、ライブラリー・ミュージックというのは、はじめから映像等の副次的な存在として自らを規定する音楽であるがゆえ、使用目的物それ自体より目立ってはいけない。そのため、実際の使用にあたっては、なにがしか特定のテクスチャーや時代性が(「未来的」とか「ノスタルジー」とかあえてそうする場合を除いて)取り除かれていることが求められる。したがって、「古臭い」ものは忌避され(フューチャリスティックな映像に、カクテル・ピアノ音楽は(異化効果を狙うとき以外は)フィットしないだろう)、そのときどきのポピュラー音楽の流行へ、主に音色面において相乗りしようとする傾向がある。具体的にいえば、16ビートのファンキーなジャズ・ファンクが流行ればそのようなものが量産されるし、ディスコやテクノポップ、あるいはヒップホップの流行を察知すれば、シンセサイザーやシーケンサー、サンプラーを用いた「それ風」のトラックが量産される、と言った具合だ。この良い意味での軽薄さこそが、(実はかつてライブラリー・ミュージックを制作していたのはヨーロッパでも有数の実力派ミュージシャンばかりであったという事実や、彼らの高度なスキルや実験精神と接合されるとき)我々後年のリスナーをしていかにも好ましい「時代性」を愛でさせることになっているのだ。その折々の流行が、ときに拡大的にときにいびつな形で昇華されているのを聴くのは、普段から過去よりの音楽にロマンを感じてしまう(私のような)人間からすると、たまらない体験なのだ。

 さて、ここ近年のライブラリー・ミュージックへの興味も、かつてのレア・グルーヴ的なものが主導する感覚からやや変異してきているようにも思う。ポピュラー音楽シーンにおいても、80年代リヴァイヴァルなどを経由し、シンセウェイヴやヴェイパーウェイヴが勃興して以降、かつては唾棄すべきものとされていた「いかにも」なシンセサイザー・サウンドやデジタル・リヴァーヴ等の特徴的イコライジングが、むしろクールなものとして再帰してきたという流れがあるが、ライブラリー・ミュージック再発見においても、そういった視点が立ち現れてきた。主に80年代を通して盛んに制作されたライブラリー作品は、一部を除きいまだ深く発掘されているとはいい難い状況なので、ライブラリー発掘の第一世代に間に合わなかった者にとっては、探求の楽しみが残されているというのも魅力だし、それゆえにオリジナル盤を(ライブラリー・ミュージック発掘の主戦場であるネットに限らず実店舗でも)お手頃価格で入手する可能性も残されている。音楽的なバラエティという点においても、著名アーティストが作る「シリアス」なテクノやアンビエントにも通じるような(ある意味でより先鋭的とすらいえる)逸品もあったりして、侮れない。

*ランダムに、個人的お気に入りをピックアップしたので、本記事のBGM代わりにどうぞ。

 上述のスヴェン・リーベクと同時再発となった、英音楽家ジェフ・バストウ(Geoff Bastow)による独〈SONOTON〉からの86年作『The AV Conception Volume 1』(ライナー執筆は筆者。お買い上げよろしくお願いします!)も、そういった文脈から味わってみたい一作だろう。ジェフ・バストウは70年代からジャズ・ファンク的ライブラリー・ミュージックを作ってきた音楽家だが、ドイツへ移住し、ミュンヘン・ディスコ〜イタロ・ディスコ・シーンでも活躍した人。その経歴から推測されるように、電子音を扱わせても一級品で、80年代を通じて様々な電子ライブラリー・ミュージックを量産しているのだが、中でも本作はあのテレビ朝日系の長寿討論番組『朝まで生テレビ』のオープニング・テーマとして長く使用されている “POSITIVE FORCE” (テーテーテッテレッテー!というアレ)が収録されているという飛び道具的ネタもある。同曲のヴァージョン違いの各トラックはいかにもサンプリング向けだし、全体的にもまさしく「ルーツ・オブ・シンセウェイヴ」というべきレトロ・フューチャリスティックな魅力に満ちている。

 今後も「A JOURNEY TO LIBRARIES」では様々なライブラリー・ミュージックの名盤(ときに珍盤)がリイシューされていくようなので、是非引き続きチェックしてほしい。

 最後に、新録のライブラリー・ミュージック・シーン(?)にも触れておこう。レコード・ディグ文化との結びつきが強いためどうしても過去のカタログに注目が集まりがちなライブラリー・ミュージックだが、もちろん現在でも盛んに制作はおこなわれている。もしかすると制作曲的にいえば、70~80年代の勢いを上回っているのではないかと思う。現在のライブラリー・ミュージックは、かつてのようにフィジカルメディアとしてまとめられることはごく少なく、各ライブラリー・ミュージック配給社がオンライン上で公開し、ダウンロード販売するのが主流となっている。日々テレビで耳にするような「いかにも」な実用音楽が多数を占めてはいるが、一般的な音楽リスナーへは可視化されていないだけで、ときにかなり先鋭的なトラックがまじり込んでいたりするので油断がならない。主にエレクトロニック・ミュージック(あるいはその亜種としての各種プラグインを駆使した生音風サウンド)が多くを占めるが、DAWの浸透によって音楽制作の簡便性が格段に飛躍したこととも連動しているだろうし、またこのような傾向は、それまでの専門性の高い(=ある意味閉鎖な)プロ作家中心の制作体制から、徐々にインディペンデントなアーティストがライブラリー・ミュージックへ参入する新しい体制の萌芽を促してもいるようだ。例えば〈Hyperdub〉の主要アーティストのひとり Ikonika こと Sara Chen や、ベルリンを拠点とする BNJMN こと Ben Thoma など、普段のオリジナル作品制作とリリースという枠組みを超えて音楽的な(「実用」向けという制限付きの)冒険に臨む音楽家にとって、新たなフィールドとなりつつある。また、70年代を中心に人気作の多いライブラリー・ミュージック大手〈KPM〉の再発を手掛けてきた〈Be With Records〉からは、〈KPM〉ブランドのもと、あのバレアリック系デュオ SEAHAWKS のライブラリー作品が発表されるなど、注目すべき例も出てきている。こうした動きは、通常リリース以外の形態を模索するアーティストたちの経済的なインセンティヴとも合致したフィールドとして、今後も活性化していくだろう。そういった動きにも是非注目してもらいたい。

追記:手前味噌な話になってしまうが、実をいうと私自身も現在、新録ライブラリー・ミュージック企画のディレクションに関わっており、近々詳細をお知らせできるのではないかと思っている。お楽しみに。

ライブラリー・ミュージック(放送用音源)として制作されながらも音楽作品としても決して聴き逃すことのできない “今だからこそ聴くべき” 名盤2作品がついにリイシュー!

-ライブラリー・ミュージック名盤リイシューシリーズ:A JOURNEY TO LIBRARIES-
「ライブラリー・ミュージック」とは、TV/映画/CMその他のために制作されたプロユース用音楽の総称。「BGM」として旧来のリスナーからは看過されがちだったといえるが、一流のプロフェッショナルたちが手掛けた作品には、今こそ多くの音楽ファンに広く聴かれるべき黄金の鉱脈が眠っているのだ!

レア・グルーヴのディガー達によって発掘されてきた、ジャズ/ファンク/イージー・リスニングといった視点からも高いクオリティを備えた70年代の諸作、そして、電子楽器の普及とともに拡がりをみせた当時の “シンセサイザー・サウンド” が、シンセウェイブやヴェイパーウェイヴを経た今だからこそ再評価すべき80年代の作品など、時代やカテゴリを越えたライブラリー・ミュージックの魅力を多角的に紹介していきます!

【第一弾リリース!】

『ジ・AV・コンセプション ヴォリューム・ワン』ジェフ・バストウ
テーテーテッテレッテー!あの『朝まで生テレビ』テーマ・ソング収録作がついに再発! UKの名ライブラリー作家ジェフ・バストウが1986年にドイツの名ライブラリー・レーベル〈SONOTON〉からリリースしたルーツ・オブ・シンセウェイブ~フューチャリスティック・ファンク~アンビエントなキラー盤が世界初リイシュー!
* 試聴可 https://smarturl.it/GeoffBastow_AV

『ソーラー・フレアズ』スヴェン・リーベク・アンド・ヒズ・オーケストラ
あの海洋パニックムービー『ジョーズ』にも影響を与えたと言われるカルト・ドキュメンタリー『インナー・スペース』など数多くのオリジナル・サウンドトラックやTV音楽を手掛けてきたノルウェー出身の鬼才、スヴェン・リーベクが1974年に発表した激レア・ライブラリー作品が世界初紙ジャケットCD仕様でリイシュー!
* 試聴可 https://smarturl.it/SvenLibaek_Solar

[アルバム情報]



タイトル:The AV Conception VOLUME 1 / ジ・AV・コンセプション ヴォリューム・ワン
アーティスト:GEOFF BASTOW / ジェフ・バストウ
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24942
定価:¥2,400+税
発売日:2020年6月3日(水)
世界初CD化&紙ジャケット仕様/初回限定生産/日本語解説:柴崎祐二

最終金曜日、テレビで夜更かしをしたことのある全国民が知っているであろう、あの、「テーテーテッテレッテー!」というフレーズ。テレビ朝日が誇る長寿番組『朝まで生テレビ』のテーマ・ソングとして有名なそれは、実はUKの名ライブラリー音楽作家ジェフ・バストウによる “POSITIVE FORCE” という楽曲だったのだ! ジョルジオ・モロダーに師事し、80年代シンセ・サウンドの真髄を継承する彼が作り出した「新しいオーディオ・ヴィジュアル時代」を賛美するライブラリー・ミュージックは、シンセウェイブ~ヴェイパーウェイヴを経て、新時代DTM全盛の今と激共振する、スーパーデューパーな逸品! “POSITIVE FORCE” のクールなヴァージョン違いを含め、今こそ聴きたいフューチャリスティックなキラー・トラックが満載! アートワークも最高! 【1986年作品】

《収録曲》
01. Current Advances 1
02. Current Advances 2
03. Current Advances 3
04. Current Advances 4
05. Current Advances 5
06. Horizons 1
07. Horizons 2
08. Horizons 3
09. Horizons 4
10. Positive Force 1
11. Positive Force 2
12. Positive Force 3
13. Positive Force 4
14. Positive Force 5
15. Positive Force 6
16. The AV Conception 1
17. The AV Conception 2
18. The AV Conception 3
19. The AV Conception 4
20. Expo 1
21. Expo 2
22. Expo 3
23. Expo 4



タイトル:Solar Flares / ソーラー・フレアズ
アーティスト:SVEN LIBAEK AND HIS ORCHESTRA / スヴェン・リーベク・アンド・ヒズ・オーケストラ
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24943
定価:¥2,400+税
発売日:2020年6月3日(水)
世界初紙ジャケットCD仕様/初回限定生産/日本語解説:小川充

1960年代から作曲家/アレンジャーとして数多くの映画、TV音楽を残してきたスヴェン・リーベクですが、その幅広い音楽性とハイセンスな作曲能力でライブラリー音楽も手掛けていたのは有名な話で本作はロンドンの “ピア・インターナショナル・ライブラリー” にて制作された1枚。放送用BGMというにはあまりにもクオリティが高く、ジャズ・ファンク、フュージョン、ラウンジ、イージー・リスニング、エキゾといった幅広いスタイル、さらにはモーグ・シンセをフィーチャーしたまさにコズミック・ファンクとも言うべきサウンドも取り込んだレア・グルーヴファンの間でも非常に評価の高いアルバムです! 【1974年作品】

《収録曲》
01. Solar Flares
02. Stella Maris
03. Lift Off
04. Destination Omega 3
05. Conversations With Hal
06. No Flowers On Venus
07. Quasars
08. Meteoric Rain
09. Space Walk
10. Infinite Journey
11. In Nebular Orbit
12. And Beyond

Bearcubs - ele-king

 家から15分ほど歩くと遠くから小さな悲鳴が聞こえてくる。そのまま「悲鳴」に向かって歩いていくと、どんどん悲鳴は大きくなり、複数の声になっていく。やがて視界にメリーゴーラウンドが飛び込んできて悲鳴の正体がジェットコースターだと判明する(ゴーよりヒヤアーの方が遠くまで聞こえるんですよ)。豆乳や野菜ジュースを買おうと後楽園のドンキホーテに向かって歩いていると、いつも経験することである。最初の頃はなんだかわからなくて気味が悪かったけれど、最近は悲鳴が小さいと少し物足りなく感じたり。夕方ぐらいに行くと東京ドームから「ドーン」という地鳴りが轟いてくることも。一拍遅れて「ワー」という歓声。野球だろうか。それともコンサートか。中日戦の時は試合が終わる前に帰らないと道が通れなくなってしまう。嵐のコンサートの時は「友だちの1人に加えてください」という札を持った少女がポツポツと道に並んでいる(多分「チケット売ってください」の意)。後楽園の周囲にはマンションも多いので、僕のように散歩ついでに悲鳴を聞くどころか、1日中、一定間隔で悲鳴を聞いている人もいるのだろう。いまは静まり返っているけれども。観覧車もピタッと止まったまま。

 都会の喧騒や佇まいをテーマにして子熊ちゃん(Bearcub)はセカンド・アルバムをつくったという。子熊ちゃんことジャック・リッチーは映画のサウンドトラックをつくるために半年前からベルリンで暮らし、パブで働いていたロンドンとの違いをあれこれと噛み締めたものらしい。アルバム・タイトルの『Early Hours』というのは朝までクラブで遊び、そのあとの時間=午前中のこと。別な目で見た日常。もつれた日常や友だちと喧嘩して仲直りしたとか、そういう些細なことを歌詞にしたと本人は話している(基本的にはどうにでも取れるような書き方だという)。クラブからの朝帰りは確かに妙な体験である。同じ風景が同じ機能を果たしているようには思えない。牛丼屋が何のためにそこにあるのかもわからず、みんなで大笑いしてしまう(キマっているわけではありません)。会社に向かって行く人たちと逆方向に進んで行くことも、それだけでレッドピルを飲んだような気分になれた。誰かの家に転がり込んで、そのままグズグズと寝てしまうまでの時間。少しでも資本主義の外側に出た気分だろうか。

 デビュー・アルバムはジェームス・ブレイクの下手くそな模倣という印象だったものが(本人はベリアルやフライング・ロータスに影響を受けたそうだけど)、2年ぶりとなる新作は格段の成長を遂げている。リズムが全体にしっかりとしてきたというか、マック・デ・マルコがエレクトロニック化したといえば細野ファンなどの関心を引けるだろうか(引かなくていいんだけど)。オープニングからもの悲しくてテンポのいいタイトル曲。淡々としてクールな“Diversions”へと受け継がれ、日常の隙間に溶けていくような淡いメランコリーが持続する。ザ・XXを思わせる“Même Langue”から、まさかのゴムを取り入れた“Everyplace Is Life”。ブレイクでゆっくりと曲の叙情性にひたらせるあたりは前作にはなかったスキル。セイント・エティエンヌやヴァンパイア・ウイークエンドのファンもこれは納得だろう。スティール・パンを取り入れた”Overthinking”は「考えすぎ」というタイトル通り、内省的なラテン・ポップスで控えめなアレンジはもう職人技の域。短いインストゥルメンタルを挟んで“Rubicon Guava”ではシクスティーズを思わせつつペイル・ファンテインズがトラップやUKガラージを取り入れたような展開に……残りはお楽しみということで。最後の最後までとてもいい。


Marihiko Hara - ele-king

 今後のモダン・クラシカルを担う新世代のホープ、電子音やピアノ、フィールド・レコーディングを駆使する作曲家の原摩利彦、その最新作たる『PASSION』が本日6月5日、ついにリリースされている。
 発売に合わせ、原みずからがしたためたという収録曲それぞれにまつわるエッセイが公開されているのだけれど、穏やかな筆致でさまざまなエピソードが綴られていて、これがまた味わいのあるテキストなのです。1曲ごとに写真もあり、世界各地の風景やポール・クローデル『繻子の靴』など、アルバムを聴きながら想像力を膨らませるのにぴったり。

アルバム《PASSION》全曲によせる小文
 https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11181

 また同時に、リリース記念ライヴの開催も発表されている。明日6月6日(土)20時より、原のインスタグラム・アカウントにて配信、トークもあるとのこと。

ライヴ配信はこちらから(6月6日20時~)
 https://www.instagram.com/marihikohara/

ピアノと電子音、世界各地の音が共存することで描かれる、新しい音世界
森山未來や坂本龍一、野田秀樹など各界のアーティストから称賛される音楽家、原 摩利彦。
最新作『PASSION』が本日リリース!

label: Beat Records
artist: 原 摩利彦
title: PASSION
release date: 2020.06.05 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-619 ¥2,400+税
購入特典:「Scott Walker - Farmer In The City (Covered by Marihiko Hara)」CDR

TRACKLISTING:
01. Passion
02. Fontana
03. Midi
04. Desierto
05. Nocturne
06. After Rain
07. Inscape
08. Desire
09. 65290
10. Vibe
11. Landkarte
12. Stella
13. Meridian
14. Confession
15. Via Muzio Clementi

【『PASSION』購入特典】
録り下ろしのスコット・ウォーカーの名曲 “Farmer In The City” カヴァー音源をプレゼント。

今作の購入特典に、このために原がアレンジし録り下 ろした、Scott Walker の名曲のカヴァー音源を収録したCDR「Scott Walker - Farmer In The City (Covered by Marihiko Hara)」が決定! 数量限定なので、お見逃しなく!

Shabazz Palaces - ele-king

 '90年代に2枚のアルバムをリリースし、'92年にリリースしたシングル「Rebirth of Slick (Cool Like Dat)」が大ヒットし、同曲でグラミー賞も受賞したヒップホップ・グループ、Digable Planets(ディガブル・プラネッツ)。日本ではコアなヒップホップ・ヘッズよりも、ライトな音楽ファンに受け入れられていたという印象があるが、15年ほど前にLAにて彼らの再結成ライヴを観たことがあり、そのときのオーディエンスの盛り上がりは相当なものであったのを記憶している。当時、メンバーのなかの紅一点、Ladygug MeccaはDigable Planetsのイメージに沿ったソロ活動を展開していたが、一方で、もう1人のメンバー、Butterfly(バタフライ)ことIsmael Buttler(イシュマイル・バトラー)が'09年に地元シアトルで結成したグループ、シャバズ・パレセズは、良い意味でDigable Planetsからのイメージを裏切ってくれた。そんなシャバズ・パレセズの5枚目のアルバムが本作『The Don Of Diamond Dreams』である。

 デビューの時点から、シャバズ・パレセズのサウンドはヒップホップをひとつの基盤としながらも、非常に混沌に満ちている。そして、作品を重ねるにつれて、その混沌は方向性を持ち、洗練されたものに進化していく。オールドスクールや'90年代のヒップホップにエレクトロ、Gファンク、そしてPファンクにも通ずる宇宙的、宗教的なイメージが掛け合わされ、さらにトラップの要素もスパイスとして調合されているのは、Ismael Buttlerの息子であるラッパー、Lil Tracyの存在も少しは関係しているだろう。個人的にはSa-ra Creative Partnersなどを思い起こさせるが、シャバズ・パレセズの音楽性はプリミティヴなファンク感というのものがより強烈に迫ってくる。その象徴とも言える1曲がアルバム中盤の“Chocolate Souffle”だ。Ismael Buttlerのヴォーカルは、ラップというよりもポエトリーに近いが、オートチューンとはまた異なるタイプのエフェクトを効かせまくって、リフレインするシンセのメロディとともに中毒性の高いグルーヴを作り出す。スローチューンでありながらも攻撃性の高い“Fast Learner”でも、同様にエフェクトの効いたボーカルが散文的に展開され、さらにゲストMCのPurple Tape Nateのエモーショナルなラップも実に深く響いてくる。すでに50歳を過ぎているIsmael Buttlerであるが、突き抜けたクリエイティヴィティをいまなお生み出し続けていることに感服する。

たった一人のパンク・ロック - ele-king

 最初に結論を──Kazuma Kubota のノイズは人間讃歌である。
 本稿はその命題から始められ、その命題に向かって終えられる。

 Kazuma Kubota。日本のハーシュノイズ作家。
 フィールド・レコーディングとアンビエント・サウンド、具体音とカットアップ・ノイズを、高度に・複雑に・立体的に──繊細な織物のように──、高い解像度で組み上げたスタイルを築き上げたその作家は、ノイズ音楽シーンに新たな地平を切り拓き、東西南北・老若男女問わず、多くのノイズ作家に影響を与え続けている。
 たとえば──伝説的ノイズ・ミュージシャンと言って過言ではないであろう──非常階段/INCAPACITANTS の美川俊治は、Kazuma Kubota の作品集『Two of a kind』に次のような言葉を寄せて絶賛している。
「Kazuma Kubota、この名前は覚えておいた方が良い。年寄りが跳梁跋扈する日本のノイズを、この男はいずれ背負って立つことになるのだから。理由? この作品を聴きなさい。それで分からないようなら、自分を諦めることだ」

 カット・アップによる切断。アンビエントによる縫合。音によって切り刻まれ混ぜ合わされるのは時空を把握する認識そのものであり、つまるところそれは、歴史そのものである。
 ぱっくりと切り開かれた傷口。そこから覗く時間と空間。飛び交う断片が再接続されたあとで浮かび上がる、全く新たなノイズの地平。そこでは徹底して人間の物語が奏でられている。都市の喧騒、秋の散歩道、冷たい料理を囲む何気ない雑談。ささやきと咆哮、呼吸──言葉以前の音──それらの音の数々は、意味を持たない端的な雑音=ノイズであり、記号の外にある非‐記号であり、認識されず、理解されないままに、見過ごされ忘れられていく日々の泡である。

 うつろいゆく雑音。
 そう、雑音は果てなくうつろい続けてゆく。

 Kazuma Kubota は、それらの雑音=ノイズを拾い上げ、無関係だったはずの音と音の間に連関を見出し、繋ぎ、磨き、大量のエフェクターによって加工し、スピーカーを通して再生し、名もなき雑音に名を与える。そうすることで彼は、顧みられないまま失われた、しかしかつてはたしかに存在したはずの風景を、音と音の間に現出させる。──1月30日。週末、駅前で待ち合わせ。秋の朝を歩く。枯葉が敷き詰められた道。息が白くなり始めている。音楽を聴いている。たくさんの時間が混在する。思い出が混濁する。自分がわからなくなる。わけもなく涙が溢れる。その場にうずくまる。「January thirty」と「A Sense of Loss」。音楽を聴いている。無数の音の粒子が、世界をふたたびかたどりはじめる。物語が、私に生きることをふたたび働きかける。私は立ち上がり、ふたたび歩きはじめる。都市の喧騒、秋の散歩道、今ここにある風景。

 全ての人間は物語によって世界に触れる。
 全ての人間は物語によってのみ世界に触れることができる。
 物語とは、人間の情緒に訴求することで情報を効率的に伝達する情報伝達形式ではない。
 物語とは、人間の情緒に訴求することで情報の外にある世界の広がりを想起させる表現形式である。

 これまで、多くのノイズ作家は物語を否定し、物語性を拒否し、自身の作品に物語性が混入することに抵抗してきた。物語という表現形式は人間の持つ認識機能の特性にあまりにも近しいがゆえに、情緒に訴え共感を呼び起こし安易に連帯をもたらす危険なものであり、世俗的で卑小で恥ずべきものである──ノイズに限らず現代の表象文化においてはそうした主張が知的なものだとされてきた。そして、そうした思想の傾向は今なお強く、むしろ深化し過激化しつつあるように思われる。

 たとえば、自身もノイズ演奏を行う哲学者のレイ・ブラシエは、雑音=ノイズも含め、人間の認識領域外にある「他なるもの/多なるもの」の生の実在を認め肯定し、彼らについての思索を展開する。ブラシエは、地球上から人間がいなくなり、「他なるもの/多なるもの」のみが残された「人類絶滅後の世界」において、いかに存在は在り続けるのかと考える。人類はいない、それでも宇宙はあり、人類がもはや認識することのない世界のなか、認識されえない存在は、どのようにして存在を続けているのかと。
 それはこう言い換えることもできる。存在を存在足らしめるものは人間などではなく、仮に「人類の絶滅」が訪れたとしても、作者とも聴者とも関係のない場所で、音楽は鳴り続けるのだと。そうした思想の背景には、根本的な人間性への否定が横たわっている。そして、多くのノイズ作家/ノイズ作品が体現する思想もまた、ブラシエの論理と同様の構造を持っている。人の介在を問わず、それ自体で立つノイズと呼ばれる音楽は、過剰な──完全な──人間性の否定へと繋がる危険性を孕んでいるのだ。

 一方で、Kazuma Kubota はそうではない。私はそう思う。
 Kazuma Kubota のノイズには、今ここに生きる人間の物語がある。Kazuma Kubota のノイズは、徹底して、あなたや私や彼や彼女など、今目の前に生きている人間に捧げられている。Kazuma Kubota は、そうした自身の音楽性について、インタビューで次のように語っている。
「僕は作品を作る上で映像的なストーリー性と、自身の感情を表現することが重要だと考えています。僕はハーシュノイズを単に暴力的な表現として使用するのではなく、もっと深い感情の爆発のピークを切り取ったイメージとして使用しています。アンビエントは悲しみ、孤独、喪失感、憂鬱、等の現実の生活の中で感じる、行き場の無い感情を表現する為に使用しています」

 Kazuma Kubota のノイズは人間の生活の中にあり、人間の感情を写し取り、人間に徹底的に寄り添うようにして鳴らされている。
 ノイズでありながら人間を肯定すること──それは、幸福も不幸も、快楽も苦痛も、自由も不自由も含め、あらゆる人間の生活を「既に在るもの」としてとらえ、人間の限界を引き受け、その上で肯定しようとする、絶妙なバランス感覚が必要とされる取り組みである。そして Kazuma Kubota は、そうした高度なアクロバットを成し遂げ、今なお成し遂げ続けている。そのようにして Kazuma Kubota のノイズは、人間讃歌として、私たち人類に向けて、まっすぐに奏でられ続けている。

 最後に一つ、私的な思い出について話したい。

 私が Kazuma Kubota の存在を知ったのは2013年のことだった。
 私は当時、大学を卒業して会社員になったばかりで、右も左もわからないまま、右へ行ったり左へ行ったりを繰り返していた。私は社会の中で混乱していた。私は疲れていた。もう何ヶ月も、月間の労働時間は400時間を超えていた。かつては映画を観ることや小説を読むことが好きだった。その頃には映画を観ることや小説を読むことはできなくなっていた。けれども幸いなことに、音楽を聴くことはできた。聴くのは決まってノイズだった。──ノイズを聴くと、自分が失われていくような感覚を覚えることがある。自分自身がノイズを構成する一つの粒子になっていくような感覚を覚えることがある。私はその感覚が好きだった。

 そうした日々の中で、私は Kazuma Kubota のノイズを聴いた。それは不思議な感覚だった。新しいと思ったが、新しいだけでもないと思った。そこには妙な懐かしさがあった。奇妙な音楽だと思った。それはたしかにノイズだったが、そこにあるのはノイズだけではなかった。そこには、記憶の中に堆積していたハーモニーやメロディの数々が鳴っていた。私は私の思い出を思い出していた。私は思い出の中を彷徨していた。そのとき私は、私が十代だった頃に聴いた、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやコールター・オブ・ザ・ディーパーズ、シガー・ロスにレディオヘッド、エイフェックス・ツインや七尾旅人を思い出していた。──いや、白状しよう、私の記憶はさらに過去へと遡り、私は小学生の頃に聴いた X JAPAN やブルーハーツすら思い出していた。
 それはなぜか。そこには何があったか。私はここで最初の文に立ち返る。「Kazuma Kubota のノイズは人間讃歌である」。──そう、結論はこうだ。そこには非‐人間に捧げられた、非‐意味の塊としてのノイズだけでなく、人間に捧げられた、意味の塊としての物語があったのだ。

「ノイズ・ミュージックは、たった一人でもできるパンク・ロックだ」と Kazuma Kubota は言った。
 たとえばそれがそうだとして、パンク・ロックが自分と他人の間に生まれる軋みを表した音楽だとすれば、ノイズとはまさにその字義通り、自他の間隙に生まれる〈軋み〉そのものではないだろうか。
 そう。軋みはここで鳴っている。いつものことだ。
 軋みはつねにすでにここにあり、そもそも自分と他人は隔てられているのだが、多くの音楽は隙間を満たすことで隔たりを隠そうとするその一方で、ノイズは、隔たりを隠そうとしないどころか軋みを浮き彫りにしさえする。ノイズは、私たちは一人ぼっちなのだと指し示し、そうであっても音楽の中で、一人ぼっちの私はこの上なく自由なのだと教える。

 Kazuma Kubota によって構成された新たなノイズ音楽=〈たった一人のパンク・ロック〉──フィールド・レコーディングとアンビエント・サウンド、具体音とカットアップ・ノイズ。「January thirty」と「A Sense of Loss」。都市の喧騒、秋の散歩道、今ここにある風景──それはたしかに一人ぼっちの音楽だが、一人ぼっちであるがゆえに、かつてブルーハーツが歌ったパンク・ロック=人間讃歌のような、優しさと愛に満ちた、現代の人間の物語が可能となっている。私はそんな風に考えている。

 人間は永遠に一人ぼっちだが、それは絶望ではない。
 kazuma Kubota が鳴らすノイズ──たった一人のパンク・ロックが、私にそれを教えてくれたのだ。


新世代の先進的リスナーを中心に幅広い注目と支持を集める Post Harsh Noise の旗手 “Kazuma Kubota” の現在廃盤となっている代表作品をCD化し6月3日(水) 2タイトル同時リリース!

さらに昇華したカットアップ・ノイズの復興を告げる基本資料。クボタの鋭く研ぎ澄まされた作品はどれも、多くのアーティストがその生涯をかけても生み出せないほどのアクションやアイデアに満ちている。 ──William Hutson (clipping. / SUB-POP)
真面目で甘酸っぱい音楽/ 音。フィルムや小説の短編集に近い感触。今後どうなっていくか聴いてみたいと思わせる作品でした。 ──朝生愛

タイトル:A Sense of Loss (ア・センス・オブ・ロス)
形態:CD (スリーヴケース+ジュエルケース+8Pブックレット)
品番:OOO-35
小売価格:2000 円+税
JANコード:4526180518259

トラックリスト:
1. Ghost
2. Memories
3. Sleep
4. Regret
 Total 25:16

タイトル:January Thirty + Uneasiness (ジャニュアリー・サーティー・プラス・アンイージネス)
形態:CD (スリーヴケース+ジュエルケース+8Pブックレット)
品番:OOO-36
小売価格:2000円+税
JANコード:4526180518266

トラックリスト:
1. January Thirty
2. Uneasiness
 Total 29:35

◆本年初頭の RUSSIAN CIRCL ES (US / Sargent House) 来日公演で共演を務めUKの〈OPAL TAPES〉からもリリースする等、新世代の先進的リスナーを中心に幅広い注目と支持を集める Post Harsh Noise の旗手 Kazuma Kubota の現在廃盤となっている代表作品をCD化し2タイトル同時リリース!
◆OOO-35 は2010年に米国のレーベル〈Pitchphase〉から限定リリースされたオリジナルEP。日常を思わせるフィールド・レコーディングや感傷的なドローン/アンビエントと切り込まれるカットアップ・ノイズのコントラストが単なるノイズ・ミュージックを越えた唯一無比のドラマを生み出す傑作。さらに本来収録される筈であった1曲を追加、晴れての完全版仕様となっている。
◆OOO-36 は2012年にイタリアのレーベル〈A Dear Girl Called Wendy〉から限定リリースされたワンサイドLP と、2009年に20部(!)限定でセルフリリースしたEPを1枚のCDにコンパイル。断続と反復を多用したブレイク感溢れる冷たくも激しいハーシュノイズと穏やかなアンビエントの狭間を揺らぎながら突き進んで行く “January Thirty”、雨音のフィールド・レコーディングとギターのアルペジオから幕を開け従前のノイズ観を独自の美意識で更新した意欲作 “Uneasiness”。ともに新時代のノイズ・ミュージックの発展性を示した
重要な内容だ。
◆本再発にあたってはリマスタリングエンジニアに SUMAC, ISIS, CAVE-IN 等のポストメタルの名盤から映画音楽まで幅広く手がける名匠 James Plotkin を起用。スリーヴケースに保護されたジャケットには Kubota 本人による撮りおろしの風景写真が収録された8Pフルカラーブックレットを同梱、Kazuma Kubota 独自の世界観を視覚面からも表象している。
◆国際シーンで人気を獲得し既に各地にフォロワーをも生み出している新たなるノイズ・フォーマットの提唱者として注目すべき作家の隠されたマスターピース、いまここに初の正規流通!

Pharoah Sanders - ele-king

 COVID-19によって以前のようにライヴに行くことができないときは、ライヴ・アルバムを楽しむに限るということで、今回はジャズ・サックス奏者のファラオ・サンダースのライヴ・アルバムを紹介したい。
 1960年代から活動するジョン・コルトレーン世代のジャズ・ミュージシャンでは、去る3月にマッコイ・タイナーが亡くなってしまったが、ファラオ・サンダースはいまなお現役のリヴィング・レジェンドのひとりである。同じくコルトレーン門下出身のアーチー・シェップが、最近はダム・ザ・ファッジマンクとコラボ・アルバムを出してなかなか面白い内容となっているのだが、ファラオの場合は2010年代以降もロブ・マズレクやマウリツィオ・タナカらによる実験集団のシカゴ/サンパウロ・アンダーグラウンドと共演するなど、意欲的な取り組みも見せている。日本公演も継続的に行っていて、東京JAZZやモントルー・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ジャパンなどにも出演している。

 そんなファラオ・サンダースの公式ライヴ・アルバムでは、1971年にニューヨークのザ・イーストで録音した『ライヴ・アット・ザ・イースト』(1972年、〈インパルス〉よりリリース)、ロサンゼルスとサンタ・クルーズのカリフォルニア公演を収めた『ライヴ・・・』(1982年、〈テレサ〉よりリリース)などが知られるところだ。意外に少ない印象なのだが、『ライヴ・・・』では彼の代表曲のひとつである“ユーヴ・ゴット・トゥ・ハヴ・フリーダム”を聴くことができるなど、ファラオ・ファン、ジャズ・ファンから人気が高い。
 『ライヴ・アット・ザ・イースト』は1970年代初頭のフリー・ジャズ全盛期の混沌とした演奏、『ライヴ・・・』は1980年代になってカリフォルニアへ移住し、心機一転した明るさを感じさせるネオ・バップ演奏と、それぞれの時代の特徴が表われたような演奏となっていて、当然ながら参加メンバーも大きく異なっている。そして、年代的にはそのちょうど中間にあたる1975年の未発表ライヴ音源が、このたび発掘された。
 発掘したのは〈トランスヴェルサルス・ディスク〉というフランスのレーベルで、フィリップ・グラスからエンニオ・モリコーネまで、主に未発表のライヴ音源やサントラなどを扱っているところだ。フィリップ・サルドやフランソワ・ド・ルーベなどフランスの作曲家の作品が多いのだが、フィリップ・グラスもファラオ・サンダースも1975年のパリ公演の音源を蔵出ししている。

 この『ライヴ・イン・パリ』には、1975年11月17日にフランス国営ラジオ局の大ホールで行われた演奏が収められている。演奏メンバーはファラオ・サンダース(テナー・サックス)以下、ダニー・ミクソン(ピアノ、オルガン)、カルヴィン・ヒル(ダブル・ベース)、グレッグ・バンディ(ドラムス)というカルテット編成。
 この前の作品は1974年録音の『ラヴ・イン・アス・オール』で、〈インパルス〉最終作となっている。次の作品は〈インディア・ナヴィゲーション〉からリリースした1976年録音の『ファラオ』で、ファラオにとって『ライヴ・イン・パリ』はちょうどこの空白の2年間を埋める貴重な音源と言えるだろう。
 演奏家としては35歳と脂がのってきたころだが、〈インパルス〉との契約が終わり次を模索していた時代だ。カルヴィン・ヒルは〈インパルス〉時代の『ヴィレッジ・オブ・ザ・ファラオズ』(1973年)、『エレヴェイション』(1973年)などに参加していて、一方グレッグ・バンディは『ファラオ』で演奏している。
 ファラオのバンドのピアニストは、ロニー・リストン・スミス、ジョー・ボナー、ジョン・ヒックスなど歴代の名手が務めてきたが、1975年は〈ストラタ・イースト〉でのピアノ・クワイアへの参加でも知られるダニー・ミクソンが演奏している。バンドもちょうど新旧メンバーが入れ替わる狭間の過渡期であったようだ。〈インパルス〉時代はパーカッションなど鳴り物や多数のホーン奏者が参加し、ヴォイスも交えながら集団即興を展開する場面が多かったが、それからするとワンホーンの本作はすっきりとコンパクトに整理した録音と言える。

 収録曲はファラオ最大の代表曲である“ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン”(1969年の『カーマ』収録で、レオン・トーマスとの共作)、『ラヴ・イン・アス・オール』や『ウィズダム・スルー・ミュージック』(1973年)に収録された人気曲“ラヴ・イズ・エヴリホエア”、後年『ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ』(1978年)でも演奏している“ラヴ・イズ・ヒア”のパート1と2、コルトレーンも『ソウルトレーン』(1958年)や『ライヴ・アット・バードランド』(1964年)で演奏するスタンダードのバラード曲“アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー”、そして“フェアウェル・チューン”の全6曲。
 “フェアウェル・チューン”は1971年の『ゼンビ』の表題曲の別ヴァージョンと言える曲だ。演奏形態はフリー色は影を潜め、モードやポスト・バップ中心としたオーセンティックなスタイルとなっている。“ラヴ・イズ・ヒア”に見られるようにファラオのサックスはメロディアスさが目立っているが、そうした旋律が印象に残る楽曲をこの公演では選んでいるようだ。そして、時折彼のトレードマークと言える咆哮のようなフラビオ奏法も随所で披露する。
 同曲のパート2にも見られるように、ダニー・ミクソンの美しいピアノとのコンビネーションも素晴らしく、後の〈テレサ〉時代のジョン・ヒックスとの名コンビぶりを予見させるところもあり、中間では土着的なヴォイスを交えた即興パートも見せてくれる。
 印象的なベース・ラインが循環するモーダルな“フェアウェル・チューン”は、ゆったりとした中から次第にアップ・テンポで飛ばしていく展開が見事だ。非常にライヴ感の溢れる演奏で、エモーションが高まるにつれてヴォイス・パフォーマンスも飛び出す。

 “ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン”も、スタジオ録音などと比べてテンポ・アップした演奏となっていて、ダニー・ミクソンのピアノも非常にリズミカルである。ダニーのテイストが影響しているのだろうか、『ライヴ・イン・パリ』はファラオのアルバムの中でもソウルフルな持ち味が出ていると言えよう。ただ、この“ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン”は中間では突如として不穏なフリー・インプロヴィゼイションへと突入し、ファラオのもう一面も見せてくれる。フリーキーなパートでダニーはオルガンへと持ち替え、ファラオのサックスと共にコズミックなムードを演出している。
 最後はお寺の鐘のような音色で締めくくられる。1990年代のファラオはバラード奏者として新境地を見せるのだが、“アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー”はそんな姿を先取りしたかのような演奏。実際に1991年の『ウェルカム・トゥ・ラヴ』でも再演していて、このアルバムも偶然かフランス録音だった。そして“ラヴ・イズ・ヒア”に始まって、ライヴの締め括りは“ラヴ・イズ・エヴリホエア”。ファラオらしいメッセージ性に富む曲順で、シャウトするヴォーカルとコール&レスポンスのバック・コーラスが楽しめる。
 前半のファラオはサックスを吹かずにヴォーカルのみに徹しているが、そのぶんダニー・ミクソンのピアノとグレッグ・バンディのドラムスが引っ張っている。そしてファラオのサックスが入ってからのラストへ向けての盛り上がりは物凄く、観客の歓声や拍手がそれを物語る。

 なお、アルバム・ジャケットのファラオの写真は、衣装やたたずまい、眼差しなどはカマシ・ワシントンそっくりであり、いかにカマシがファラオの影響を受けているかがわかるだろう。現在のカマシのファン、彼の作品を聴いてジャズに興味を持った人には是非とも聴いてもらいたアルバムだ。

編集部より - ele-king

 周知のように、いまアメリカ全土では、ミネアポリスでジョージ・フロイドが白人の警察官から暴行を受け死亡した事件をきっかけに、人種差別に反対する抗議運動が広がっている。このプロテストを支持する意味で、音楽業界全体が活動休止する「black out Tuseday」が本日起きている。
 まず、エレキング編集部に入って来ている情報を整理しながら、どう考えているかを明らかにしておきたい。コロナ騒ぎが起きる前から、たとえばロサンジェルス在住のニール・オリヴィエラ(デトロイト・エスカレーター・カンパニー名義で知られる)から、すでに冷酷な格差社会が広がっており、いつ暴動が起きてもおかしくないテンションがあるという話は2か月前に聞いていた。また、これはアメリカの他の都市にも言えることだが、黒人が多く住んでいる地区にはスーパーも数少ない上にマクドナルドの方が安上がりなので、どうしても食生活に偏りが出てしまう。結果肥満、高血圧など病気がちになってしまう。(コロナに感染して死亡してしまうケースの多さの一因であろう)
 そもそも、今回引き金となったジョージ・フロイド事件以前にも、たとえば、ジョージア州でジョギングをしていた黒人が近所の白人親子に射殺された事件(父親が元警察官で地元政治家などと懇意だったため、数か月後にヴィデオが発覚してやっと逮捕された)。NYセントラルパークで犬を放し飼いにしていることを黒人に注意された白人女性が(命の危険を感じると)嘘をついて警察を呼んだ事件。マイアミでは自分の子供を殺した母親が黒人2人組に襲われて息子を誘拐されたと嘘をついた事件。ホームレスに渡す物資をトラックで整理していた医者が警察に問いただされて銃をつきつけられた事件などなど、このところ人種差別にまつわる事件が相次いでいた。
 そして、こうした一連の人種差別事件が頻発している背景にトランプ政権があることは疑いようがない(メキシコ人しかり中国人しかり)。彼の人種差別を肯定するかのような公言もあって、このような事態が加速しているように思えるのは我々だけではないだろう。日本でもつい先日クルド人男性が警察の暴力を受けたばかりであり、他人事ではない。
 もっとも、相変わらずニュース番組にも問題がある。ジェフ・ミルズのアクシス・レーベルによれば、抗議デモは広くは平和的なのに、しかしTVは暴力的な場面だけにフォーカスし、反復しているとのこと。また、キング牧師暗殺以来の外出禁止令という言い方も少々大げさであり、コロナウイルスにおける外出禁止の勧告と同じくらいのものだという。まだ、いまのところは。(もし、万が一、トランプが軍隊を出すようなことがあればどうなるかわかったもんじゃない)
 いずれにせよ、いま大きなことが起きている。エレキングとしては現地でこの抗議デモに参加している人物のインタヴューを近々載せようと思っています。ひとりは、ベテランの詩人にして活動家のジェシカ・ケア・ムーア。昨日、彼女がデトロイトのコミュニティでやったスピーチも見たが、まったく暴力的なものではなかった。なるべく早く載せられるようにしますので、しばしお待ち下さい。(野田+小林)

追記:亡くなったジョージ・フロイドは、ビッグ・フロイド名義でDJスクリューの作品に参加していたラッパーでもあった。DJスクリューの「チョップド&スクリュード」という手法は、のちにヴェイパーウェイヴにまで影響を与えることになる。

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