"In a Strangeland"はカーボンコピーではない。アンドレア・エンブロのドラミングは、深く突進する足音とパキっとしたエナジーとの特徴的な組み合わせである。ヴォーカルは死にものぐるいの声とカレン・Oとキム・ゴードンの溝を手玉に取る。"In a Strangeland"はイミテーションではなく、インスピレーションの結実である。 『Pitchfork』
ノーウェイヴがもしいまも生きているのなら、ブルックリンのデュオ、トーク・ノーマルがその目安となる。ドラマー、アンドレア・エンブロの驚くべきほど正確なパーカッション。ギタリストのサラ・レジスターは彼女のオノから不協和音ノイズとおぞましさを引き出す。 『Lost At E Minor』
トーク・ノーマルはライト級ではない。ダークでムーディで、リズミカルだ。しかしそれは我々が好んで耳にするようなフレンドリーな音ではない。 『Time Out New York』
芸術気取りの音楽が野蛮さへと奇妙に変換される進化の歴史がある。ニューヨークのふたり組、トーク・ノーマルはこのヘドロ状の葬送歌というブランドの耳を維持し続けている。それはもっとも素朴なやり方で完璧に実現しているのだ。 『The Fader』
彼女たちの音楽の背後にはNYのノイズ・ロックの系譜が広がる。烈しいギターと声があり、他方ではまるでミュータント・ディスコを思わせるようなドライヴするビートもある。が、もっとも重要なことは、女性ふたりによるこのバンドの音楽が素晴らしくパワフルであるということだ。『ピッチ・フォーク』は彼女たちの音楽を「いまはヴェルヴェットの次元にまでは到達していないかもしれないが、将来そのぐらいの魔法を引き起こすことも可能であることを保証しよう」と評価する。
今回のジャパン・ツアーは彼女たちだけではない。各公演における共演者たち――待望のアルバムのリリースを控えている七尾旅人、コラボレーション・アルバムを完成したばかりのiLL、同じくアルバムを発表したばかりのあふりらんぽのPIKA、空間現代とオオルタイチ等々にも注目して欲しい。
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| 6/9 | SHIBUYA O-NEST w/オオルタイチ、空間現代 他 open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別 O-nest 03-3462-4420 |
| 6/13 | 京都METRO w/iLL、OUTATBERO 他 open/18:00 start/18:30 ¥3500(tax in) ドリンク別 METRO 075-752-2787 |
| 6/14 | 心斎橋FANDANGO w/iLL、太愛鼓(PIKA drum solo) open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別 FANDANGO 06-6308-1621 |
| 6/15 | 新代田FEVER w/iLL, 七尾旅人 open/18:30 start/19:00 ¥3500(tax in) ドリンク別 FEVER 03-6304-7899 |
| チケット | e+ / ローソンチケット / チケットぴあ |
「TALK NORMAL Japan Tour 10'」




























オールドスクールなシカゴのエッセンスやアレやらコレやらをデトロイトのフィルターを通して再定義した俗に言うビートダウンの種子は様々な場所へと伝搬し、そのBPMと同様にゆっくりと、しかし確実にそれぞれの場所で独自の発展を遂げている。ドイツのソウルフィクション(Soulphiction)、モーター・シティ・ドラム・アンサンブル(Motor City Drum Ensemble)、ニューワールドアクアリウム(newworldaquarium)、イギリスのトラスミー(Trus'me)やロシアのヴァクラ(Vakula)(UKの〈Firecracker〉からリリースされるシングルが素晴らしい)などなど、エトセトラエトセトラ。ようするに国境を越え、それぞれがあちらこちらの地下で重心低めのディープなリズムを響かせているというわけだ。
ちょっと手前味噌なのだけど、僕がリミキサーとして参加した作品を紹介させていただきたい。HUMAN RACE NATION(以下HRN)から出たG.I.O.N.の「Echoes of Our Minds Pt.1」がそれだ。言うまでもなく、デトロイトから影響を受けつつ、そこから受け取ったものを独自に展開し活動している者は日本にも存在する。音楽ユニットG.I.O.N.として硬派なミニマリズムを追求するフジサワ・アツシとコシ・シュウヘイによるHRNもそのひとつ。
〈A.R.T.〉〈B12〉に〈ラッシュ・アワー〉、〈プラネットE〉と、このところAS ONEことカーク・ディジョージオがリリース・ラッシュである。同じく90年初頭のデトロイト・リヴァイバル~インテリジェント・テクノを代表するアーティスト、B12が同名のレーベルを一足先にリスタートさせたのに続き、カークもかつて自身が運営していたA.R.T.を復活させたりと、何だかこの辺り盛り上がっている模様。一時期〈モワックス〉などでリリースしていた生ドラム再構築モノは封印し、完全にテクノ/ハウスへ舵を切っているものの、音自体は〈A.R.T.〉の頃の音というよりも、疾走するリズム+エレガントな上モノのコンビネーションの、昨今割りとよくあるデトロイト・フレイヴァーのテック・ハウスという感じのものが主だったりする。
DJ ネイチャーことマイルス・ジョンソン。またの名をDJ MILO。ネリー・フーパー、ダディー・G、3D、マッシュルームが在籍していたブリストルのDJチーム、ワイルド・バンチの中心人物である。82年から86年まで活動したこの伝説的DJチームは、その後のUKサウンドの核、つまりパンク~ニューウェヴの残響とレゲエのサウンドシステムとヒップホップの接点を体現した存在であり、解散後、ネリー・フーパーはSOUL II SOULを、そしてダディー・G、3D、マッシュルームはマッシヴ・アタックとして活動することとなる。一方のMILOはUKの喧噪と離れ、ニューヨークのハーレムで黙々と音を紡ぐこととなるのだが、それはなかなか世に出ることはなかった。しかし、元ワイルド・バンチという伝説に彼を閉じ込めるべきではないし、実際に彼の音楽はブリストルで得たものを更なる深みに向けて解き放ったものである。