「Lea Lea」と一致するもの

younGSoundsのアルバム「more than TV」
7月18日発売です!宜しくお願い致します。
https://1fct.net/archives/3744

percepto music lab
https://xxxpercepto.com/

ここ最近。2012年6月20日


1
キエるマキュウ - Hakoniwa - 第三ノ忍者

2
OH NO - Ohnomate - FIVE DAY WEEKEND

3
THE GENTLEMEN - The Gentlemen - MR.BONGO

4
OWEN MARSHALL - The Naked Truth - JAZZMAN

5
櫻井響 - This One - self release

6
CE$ & SCRATCH NICE - Live Now, Pay Later - self release

7
BLAQ CZA - The Dice Life - WHATEVA MUZIK

8
YOTTU - Dance Or Chill/Slow Flow - self release

9
TRONICS - Love Backed By Force - WHAT'S YOUR RUPTURE?

10
DJ MAYAKU - EP - GOLDFISH

Ursprung - ele-king

 サード・アルバム『ブラック・ノイズ』で叙情派ミニマルのトップに躍り出たパンタ・デュ・プリンスが、古巣に戻って、同作にも参加していた写真家でワークショップのメンバーとしても知られるステファン・アブリーと新たに結成したミュージック・コンクレート-ミニマル・テクノ-クロスオーヴァーの1作目。ユニット名は「起源」を表し、アルプス山中で何度かセッションを繰り返し、自分たちでも「なんだろうね、これは?」と思うようなものが出来上がったという。ワークショップはちなみにマウス・オン・マースの運営するゾーニッヒから6作目と、いまのところ最後となる7作目をリリースしているクラウトロックの「はぐれ雲」。元はといえばパンタことヘンドリック・ヴェーバーが10年前に、まだハンブルグでステラというシンセ-ポップのユニットに加わっていた頃、ワークショップとは〈ラーゲ・ドー〉(ラドマット2000のサブ・レーベル)のレーベル・メイトだったことがふたりを近付けたらしい。

 鈴を転がすような柔らかい音が特徴的だった『ブラック・ノイズ』に対して、ウーシュプルンクは人を寄せ付けない緊張感のある音に支配され、なるほど「ギターをメインとしないドゥルッティ・コラム」というレーベルのアナウンス(https://www.kompakt.fm/releases/ursprung)もそれなりに頷ける。それこそフェネスやティム・ヘッカーなど、快楽的な音から遠ざかりはじめたゼロ年代初頭のエレクトロニカともオーヴァーラップするところが多く、このところヴォルフガング・フォイトが勢いを取り戻している感覚とも符号は合う。快楽主義に水を差すような動きは、レイヴ/テクノは何度も経験してきたことだし、結果的にはそれがダンス・ミュージックの幅を大きく広げてきたことも否めない。ハード・ワックスがはじめたダブステップのレーベル、〈ヒドゥン・ハワイ〉ではAnDがノイズ・ドローンに最小限のリズムを足すことでダブステップを成立させる試みなど、フォーマットの更新は常におこなわれている(ちなみにヴェーバーは2010年からゲイズ名義でノイズ・カセットを3本リリースしている)。

 とはいえ、『ウーシュプルンク』の85%はまだミニマル・テクノの範疇に収まっている。異様な物音にエレクトロのリズムが打ち込まれ、ギターのアルペジオが乱舞する「リジー」など、ややこしいことこの上ないにもかかわらず、観たこともない景色に連れ去られる感覚はレイヴ・カルチャーの王道からそれほどズレているとはいえないし、不安を煽るようなベース・ラインとシンセサイザーの合唱が異様なほど気分を左右する"ナイトバーズ"、多種多様なSEがこれでもかと詰め込まれた"イークソダス・ナウ"......と、繰り返し聴いていると『ブラック・ノイズ』からそれほど離れた作品ではないことが少しずつわかってくる。『ブラック・ノイズ』はいささか完成され過ぎたアルバムだったし、ひとりでは破れなかった完成度という名の壁をアブリーの力を借りて破壊したというのが実際のところではないだろうか。クラシック・ピアノと波の音が混沌としたイメージをつくりだすエンディングはあまりに荘厳で、彼(ら)なりの大袈裟なカタルシスの表現とも受け取れる。

Chart by JET SET 2012.05.28 - ele-king

Shop Chart


1

Beauty

Beauty Love In The Heart Of The World Shout (Crue-l) »COMMENT GET MUSIC
チルウェイヴ以降のシンセ・インディダンス、シューゲイズ、バレアリックをレイヤーに、4adのダーク&ゴシックな美意識をコーティングした圧倒的な世界観。先行12"の期待値を遥かに超える傑作です!

2

Dave Dub

Dave Dub Treatment (Stones Throw) »COMMENT GET MUSIC
PortisheadのGeoff Barrowによるプロジェクト"Quakers"にも参加していた、サンノゼ出身のベテランMc=Dave Dub。彼が8~17年前に制作した楽曲の数々が初バイナル化!

3

La Vampires By Octo Octa

La Vampires By Octo Octa Freedom 2k (100% Silk) »COMMENT GET MUSIC
ごぞんじ100% Silk主宰者Amanda Brownのソロ名義、La Vampires。Italとの超ヒット作に続くコラボ・シリーズ第4弾。

4

The Tortoise

The Tortoise The Puffing Tortoise (Third Strike Records) »COMMENT GET MUSIC
前作"Gonna Be"でも注目を集めたメルボルンを拠点に活動を繰り広げるTorquhil AndersonによるプロジェクトTortoiseによる約1年ぶりの注目作。"Rondenion Remix"収録!

5

Ta-ku

Ta-ku 50 Days For Dilla Vol.1 (Huh What & Where) »COMMENT GET MUSIC
Laの新興レーベルHuh What & Whereより、新鋭ビートメイカーTa-kuのソロ初ヴァイナルが限定リリース! 自身のアイドルJ Dillaへのトリビュートの念を込めた全25曲を収録。

6

House Shoes

House Shoes The Time Ep (Tres) »COMMENT GET MUSIC
P.B.W.にJ Dillaを紹介した事や、All Cityからのリリース/一連のリエディット作で知られるベテランHouse Shoesが、Big Tone、Danny Brownらを迎えた強力シングル!

7

Girls We Like / D-Bo

Girls We Like / D-Bo Do-Over vol.4 (Do-Over) »COMMENT GET MUSIC
La発の野外ミュージック・パーティー『Do-Over』。そこから派生したレーベルより待望のアナログ・リリース第4弾! ゲートフォールド・ジャケット仕様。

8

Oh No

Oh No Ohnomite (Fdwbrk1975) »COMMENT GET MUSIC
黒人コメディアンRudy Ray Mooreの楽曲をサンプリングしたコンセプト・アルバム!

9

Seconds

Seconds Another Day (Above Machine) »COMMENT GET MUSIC
Is It Balearic?などの良質バレアリック・レーベルからのリリースで人気を博すThe Project ClubのSteve Lee手掛ける新レーベル"Above Machine"第二弾。才人Markus EnochsonとJackpotメンバーのLuciano Leivaによる才人スウェディッシュ・コンビ、Secondsによる傑作デビューEp!!

10

Lemonade

Lemonade Diver (True Panther) »COMMENT GET MUSIC
「Big Weekend」~ファースト・アルバムから約4年、遂に2枚目のフル・アルバムが到着。Us/True Pantherからのダウンロード・コード付きアナログ!!

YO.AN (HOLE AND HOLLAND / YOKOYOKO) - ele-king

たしかに 10


1
NIAMA MAKALOU ET AFRICAN SOUL BAND - KOGNOKOURA Daphni's Part 2 Edit - Sofrito Super Singles

2
YAKAZA ENSEMBLE - YAKAZA ENSEMBLE meets SYUNOVEN EP(J.A.K.A.M. RMX) - CROSSPOINT

3
RUMPLESTILTSKIN - RUMPLESTILTSKIN(YO.AN EDIT) - Unreleased

4
FUSHIMING - ALL SET TO GO(Fresh remix) - Hole and Holland Recordings

5
C90 - Everyday Edit - Soundbox Dynamic

6
Lee Van Dowski - 1977 - REKIDS

7
Lindstrom - Quiet Place To Live (Extended Disco Version) - Smalltown Supersound

8
Andreas Reihse - Romantic Comedy - M=Minimal

9
ATOM TM - WEIBES RAUSCHEN - RASTER-NOTON

10
CAPABLANCA & T. KEELER - No Hay Ritmo - Gomma

interview with Simian Mobile Disco - ele-king


Simian Mobile Disco
Unpatterns

Wichita Records/ホステス

Amazon iTunes

 ロックが不況である......というのは、いかにも白々しいクリシェであるが、しかしそういったお手軽な悲観を使いたいときも、正直、なくはない......。三田/野田世代の『ele-king』読者であれば、あるいは言うかもしれない。「そんなもの90年代後期からずっと死にっぱなしじゃないか......」
 いやだとしても、ゼロ年代のなかごろ、いわゆるインディ・ロックに活気が感じられた季節がたしかにあったのだ。少なくない人が、それをダンス・ミュージックとの交配の季節として振り返る。LCDサウンドシステム、ラプチャー、あるいはシミアン・モバイル・ディスコ(以下SMD)。その後、ニュー・エレクトロの新勢力がむしろロックの巨大さを取り入れていった。SMDは、その分水嶺とも言える存在だった。

 そして、ポスト・ダブステップの拡張、あるいはジュークの登場がシーンに新たな風を吹かせているなか、SMDのフルレンス・アルバムが届いた。シリアスなテンション、冷え冷えとしたシンセ・アンビエンス、そしてミニマルな展開がビート・プロダクションを通底している。アンチ・クライマックスの美学......ここに愛想笑いの類はない。サービスのようなアップリフトもない。早い話、誤解の余地を排したストイックなテクノ・ミュージックが硬質な音色を叩き付けている。『Attack Decay Sustain Release』(2007)のアッパーさや『Temporary Pleasure』(2009)の弾けるような乱雑さの記憶からすれば、季節の変わり目を実感せずにはいられない、というのもたしかだ。

 彼らはいま、どこにいるのだろう? 当時の活況、それは音楽的な交配ではなく、単にダンスとロックにおけるリスナーの重なりがあっただけではないか、その錯覚を自覚できていないだけではないか、という声もある。不躾ながらも、そういった所感を含めてSMDのふたり、プロデューサーとしてはここ数年トップ・クラスの売れっ子ぶりのジェイムズ・フォード、そしてジェイムス・ショーに話を訊いた。
 結果から言えば......彼らのポップ・ミュージック、そしてシーン(という概念がまだ有効ならば、ということだが)に対する認識は、実に中立的である(途中、ややトンチンカンな質問にも真摯に答えてくれた)。彼らは変化を受け入れているし、何も背負っていない。そのニュートラルな姿勢は、ある種達観めいてもいる。そう、私はS.L.A.C.K.によるあの象徴的なリフレインを思い出す。ただミュージックのみ、ただミュージックのみ......。

シーンは確実に変わったと思う。「ダンス/ロックの融合」みたいなのってまずあんまり上手くいかないし、結局そこの地域で根付いているロックの要素が混じったダンス・ミュージック、っていうものになってしまっている。

あなたたちの出身でもあるSimianは、歌とメロディを大切にしたインディ・ポップのバンドだったと思うのですが、ダンス・ミュージックへの傾倒というのは、何がきっかけとなったのでしょう?

SMD:Simianをはじめるずっと前からダンス・ミュージックは大好きだった。歌とメロディを大事にしながら同時にダンス・ミュージックにも傾倒するっていうのは当然可能だよ。

なるほど。ちょっと古い話をさせてください。『Attack Decay Sustain Release』(2007)におけるあなたたちの初期のスタイルは、ロック・ミュージックとエレクトロニック・ミュージックのクロスオーヴァーである、という言い方が当時、少なくなかったと思うのですが、こうした見方には賛同できますか?

SMD:まったくもって不賛成だよ! 僕らが作ってきたのはいつだってダンス/エレクトロニック・ミュージックなんだ。『Attack Decay Sustain Release』にはギターも生のドラムも入ってないし、ロックの要素は全然なかった。あれって、ちょうどあの頃はダンス・ミュージックがいろんなロック/インディ・バンドとそのファン達に人気が出てきた時期だったからそのシーンと関わりがあっただけで、それ自体が僕らのスタイルだったってわけじゃないよ。

わかりました。ところで現在、ポップ・ミュージックは細分化していると、私たちの国ではよく言われています。つまり、異なるジャンルや異なる価値観はお互いに関わらないよう、細かく分断されている、と。こうした見方を、あなたたちは共有しますか?

SMD:イギリスではむしろ逆だと思うよ。いまは違うジャンル同士の交流が盛んだし、とくにダンス・ミュージックの間ではそれが顕著だね。

なるほど。ゲスト・ヴォーカルのパレードとなった2009年の『Temporary Pleasure』もそうでしたね。そこから一転して、2010年の『Delicacies』で、あなたたちはミニマルなテクノ・ミュージックへとスタイルの比重を大幅にずらしたようにも思えました。ヴォーカル・パートがなくなり、曲の長さも8分ほどに長くなりました。当時、何があなたたちを変化させたのでしょう?

SMD:『Delicacies』は、DJのための音楽を作るっていうことに特化したプロジェクトだった。僕ら自身もDJするときにテクノをよくかけるから、自分たち自身のための音楽でもあった。だから新しい方向性っていうのじゃなくて、サイド・プロジェクトっていう方が近いね。どのバンドも自分たちのスタイルを変えて進化させていかなきゃいけないと思う。同じようなアルバムを2回作るなんてことはしちゃいけないんだ。

私もそう思います。さて、では本題です。新作の『Unpatterns』を聴かせてもらいました。『Delicacies』よりもさらにストイックなエレクトロニック・ミュージックで、ミニマルなビートが心地よいですね。ヴォーカル・パートは、歌というよりは声の素材、という小さい扱いになっている。また、ビートは以前よりもソフトなタッチになっているように思えます。これらの変化は意識的なものですか?

SMD:うん、かなりいい表現だね。確かに僕らはこのアルバムを控えめで抑えたものにしたかったし、ヴォーカルはカットアップやループしてミックスすることで楽器のように使っている。さっきも言ったように、『Delicacies』とはまた違ったアルバムを作りたかったんだ。前のアルバムからの要素はいち部残しつつも、同じような思い切りクラブっぽいレコードにはしたくなかった。

どの曲も、たんにアップリフトというだけでなく、沈鬱なフィーリングを時間をかけてときほぐしていく、といった趣があるように思います。自分たちは変化したと思いますか?

SMD:典型的なダンス・ミュージックの美学って、ゆっくりと盛り上げていつまでもクライマックスに達しないままずっと続いて行ったり、緊張感を引き延ばしすぎだったりする。そういう盛り上げて、落としての繰り返しの手法はもう過去数年でやりつくされているんだ。だから僕らはそこから抜け出して、なにかもっと新しいことがやりたかった。

[[SplitPage]]

シーンの細分化? イギリスではむしろ逆だと思うよ。いまは違うジャンル同士の交流が盛んだし、とくにダンス・ミュージックの間ではそれが顕著だね。


Simian Mobile Disco
Unpatterns

Wichita Records/ホステス

Amazon iTunes

"Unpatterns"というアルバム・タイトルは、どういった意味なんでしょう? 字面通り、"模倣ではない"という意味なんでしょうか。本作のコンセプトに関係が?

SMD:そういう意味ではないな......ループやパターンがじょじょに崩壊したり、変化したり、お互いに干渉しあったりすることで、新しくてもっと複雑なパターンや進行が生まれることを指しているんだ。アルバムの楽曲の多くはその考え方に基づいて作られている。シンセのシーケンサーやドラムのパターンがテンポの間でずれたり合ったりするところとか、細かいディテールにそれが表れていると思うよ。アルバムのアートワークにもその考え方が反映されているんだ。モアレ縞(干渉縞)っていう、単純な図形が干渉しあうことで複雑な図形が生まれる効果を利用している。

なるほど。ユニークなタイトルが並んでいるのですが、言葉を使わない曲に、どうやってタイトルを付けているのですか? "The Dream of the Fisherman's Wife"は、葛飾北斎? 日本の文化には影響を受けていますか?

SMD:その通り! 訊いてくれたのは君が初めてだよ、よく気付いてくれたね! 僕らは北斎が大好きだし、あの絵はすごく奇妙で異世界的な作品だよね。その雰囲気が、あの曲に使われている変な水中の音とよく合っていると思ったんだ。
 インストゥルメンタルの曲に名前を付けるのは大抵難しいね。僕らは大体いくつか興味のあるコンセプトを持っていて、それにいちばん合う曲を見つけてタイトルをつけるようにしているよ。
 日本の文化にはすごく魅力を感じているし、日本に行ってプレイするのも大好きだよ。直接的な影響っていう意味で言えば、僕らの音楽に対する日本からの一番の影響はシンセサイザーのパイオニアであるトミタ(筆者注:富田勲)だね、彼の大ファンなんだ。

あなたたちの音楽で変わらない点があるとすれば、やはり、それがダンス・ミュージックである、ということだと思います。なにが、あなたたちをいまでもダンスへと向かわせるのでしょう? 踊ることはやはり大事?

SMD:はは、僕ら自身はもう前ほど踊らなくなったよ! 僕らをダンス・ミュージックに向かわせるのは共有される体験、あのクラブで感じる、長々と進化を続けるダンス・ミュージックの音、そこにいて何時間も音楽を聴き続けることで得られるサイケデリックな空間といったものだね。

最近、一般に、ネットに依存しているような若いリスナーはクラブやライヴでもハメを外さなくなったと話す人もいます。あなたたちの目にはどう映りますか?

SMD:答えるのが難しいな......実際、いまでもまだダンスするために出かけたり、羽目を外す人たちもたくさんいるしね。ネット依存の傾向のある人たちが他に比べてそういうことをしないかどうかはよくわからないよ。

少し乱暴な質問をさせてください。あなたたちのダンス・ミュージックは、現状の生活に満足している人たちと、そうでない人たちのどちらに捧げられるものだと思いますか?

SMD:そんな風に人びとを分けてしまうっていうのは僕らのやり方じゃないよ。権力を持つ人たちが悪用しがちな、「あっちとこっち」や「敵と味方」と分けてしまう考え方を助長してしまうと思う。

なるほど。ちなみに、ここ日本では、政府の世論調査で、「6割以上の若者が現状の生活に満足を感じている」という結果が出て、話題になっています。あなたの国の若者は現状の生活に満足を感じていると思いますか? ロンドンなどからは、大規模な暴動のニュースなども伝わってきましたが。

SMD:なんとも言えないな......どの地域に住むどんな層の若者に聞いたのかにもよるし。ある人たちは満足しているし、そうでない人もいる、そもそも60%って多いと思うかい? 本当ならもっとたくさんの人がそれぞれの人生に満足しているべきじゃないかな。

たしかに、そうですね。ところで、あなたたちと同じく、ロック・ミュージックとエレクトロニック・ミュージックのミックスを実践したと言われる同時期のミュージシャンに、LCDサウンドシステムがいたと思うのですが、すでに活動にピリオドを打っています。2000年代の終わりごろ、なにかシーンの価値観が変わってしまったような雰囲気を感じましたか?

SMD:うん、シーンは確実に変わったと思うよ。「ダンス/ロックの融合」みたいなのってまずあんまり上手くいかないし、結局その代わりにそこの地域で根付いているロックの要素が混じったダンス・ミュージック、っていうものになってしまっている(アメリカでのダブステップの流れみたいに)けど、LCDサウンドシステムはダンス・ミュージックの要素を持ったロック・ミュージックを作っていたよね。

シーンの変化があったとすれば、その原因はどのようなことだと想像しますか?

SMD:自然な進化じゃないかな。シーンっていうのは、絶えず新しいミュージシャンが登場して新しい解釈を与えることでどんどん変わっていくものだと思うよ。

なるほど。その後、新たな潮流として、ロンドンから発信されたダブステップが大きな盛り上がりを見せました。あのシーンに対する共感はありますか? 支持できるアーティストなどはいる?

SMD:そのシーン自体にそれほど共感っていうのはないかな......ただJoy Orbison、Blawan、Martyn、Boddikkaみたいな「ポスト・ダブステップ」って呼ばれるシーンの音楽はよく聴いているし、DJするときにもよくかけているよ。

「ポスト・ダブステップ」という言葉を聞かない日はないくらいですよね。いっぽう、あなたたちが裏方を担ったアークティック・モンキーズやクラクソンズ以降、UKのインディ・ロック・バンドは、盛り上がりに欠けているようにも見えます。こうした見方には賛同できますか?

SMD:エキサイティングなバンドはいつでもいるよ、ただ見つけるのが難しくなっているだけさ。

では、いま注目のインディ・バンドなどを教えてください。あるいは、いま、プロデュースで仕事をしてみたい若いバンドはいる?

SMD:最近JasがPlant Plantsっていうバンドをプロデュースしているけど、いいバンドだよ。(筆者注:https://soundcloud.com/plantplants/sets/plant-plants-ep/)

わかりました。ところで本誌『ele-king』は、1994年にはじまったのですが、最初はテクノの専門誌でした。あなたたちを入り口として、テクノ・ミュージックの世界に足を踏み入れる若いリスナーも少なくないと思いますが、彼らに聴いてほしいテクノ作品はありますか? クラシックから最近のものまで、なにかあれば。

SMD:古いものを振り返ってみるといいと思うよ。初期のPlastikmanとか、Joey Beltram、Jeff Millsとか。

もちろん、「SIMIAN MOBILE DISCOも!」ですよね。では最後に、今後の展望を教えてください。何か夏の予定は決まってる?

SMD:夏の間中はDJをたくさんやって、いま取りかかっている新しいライヴセットも今年中に準備を終わらせたいと思ってるよ。あとは新しい曲にも少しずつ取り掛かっている、将来のシングルや、『Delicacies』シリーズのリリース向けてね。

Chart by JET SET 2012.05.14 - ele-king

Shop Chart


1

Hungry Ghost

Hungry Ghost (I Am A Series Of) Strange Loops (International Feel) »COMMENT GET MUSIC
Daniele Baldelli、加えてデトロイト3 ChairsクルーMarcellus Pittmanによるリミックスを収録した前作「Illuminations」もカルト・ヒットとなった、Gatto Fritto & Howard Jacobsの才人コンビHungry Ghostが"International Feel"に再戦。

2

Stupid Human

Stupid Human Toni Rock / Clean Up Your Act (Stupid Human) »COMMENT GET MUSIC
過去4作いずれもカルト・ヒットを記録しているUk発のミステリアス・ユニット、Stupid Human手掛けるリエディット・シリーズ第5弾。引き続きDjユーズに再構築された強力作をカップリング!!

3

Bjork

Bjork Biophelia Remix Series 3 - El Guybcho & Hudson Mohawke Remix (One Little Indian) »COMMENT GET MUSIC
強力過ぎる人選でお届けする『Biophilia』リミックス・カット12"第3弾は、説明不要の人気者2組、El GuybchoとHudson Mohawkeによるリミックスを搭載した大本命盤です!!

4

Georgia Anne Muldrow & Madlib

Georgia Anne Muldrow & Madlib Seeds (Someothaship Connect) »COMMENT GET MUSIC
世界が注目するLaミュージック・シーンから、あらゆるシーンから強い眼差しをあびるGeorgia Anne Muldrowともはや説明不要のMadlibによるソウル・プロジェクト。待望すぎるアルバムが完成!

5

Mmoths

Mmoths S.t. (Sqe Music) »COMMENT GET MUSIC
既に話題沸騰中のアイルランド出身チルウェイヴ~ウィッチハウス新星、Mmoths。Keep Shelly In Athensとの超名曲「Heart」も収録したデビュー・シングル!!

6

Modeselektor With Thom Yorke

Modeselektor With Thom Yorke This (Monkeytown) »COMMENT GET MUSIC
ジャーマン・エレクトロ/ベース最強デュオModeselektorとThom Yorkeによる電撃コラボ7"第2弾。'11年の傑作『Monkeytown』収録の人気トラックのラジオ・エディットA1も収録です~!!

7

Damu The Fudgemunk

Damu The Fudgemunk Bright Side Remix (Redefinition) »COMMENT GET MUSIC
2010年リリースながらもキャリア屈指のクラシックとして認知され、Dj Kiyo氏のミックスにも収録された"Bright Side Remix"が10"仕様で登場! 収録lpも今や入手困難の為これは嬉しすぎます!

8

Mouse On Mars / Prefuse 73

Mouse On Mars / Prefuse 73 Miami / Death By Barber (Monkeytown) »COMMENT GET MUSIC
6年振りの新作アルバム『Parastrophics』が当店ヒット中のMouse On Marsと、6月リリース予定レーベル・コンピにも参加予定のPrefuse 73による超強力スプリット7"が到着です!!

9

Harmonious Thelonious

Harmonious Thelonious Ting Tong Tp (Asafa) »COMMENT GET MUSIC
前作『Drums Of Steel』は即完売、アメリカの前衛ミニマリストとアフリカン・リズムからの影響を公言するレフトフィールド・ミニマリストによる待望の第2弾12"が登場です!!

10

Gizelle Smith

Gizelle Smith Jonny (Mocambo) »COMMENT GET MUSIC
Gizelle SmithがMocamboから最高の新曲をリリース。大ヒット曲"Working Woman"を超える大感動の哀愁込み上げグルーヴィー・ソウルです!!

1982年 東京生まれ DJ . Producer
ターンテーブル・サンプラー・シンセサイザー・エフェクター・ミキサー・マイクをこよなく愛し、それらを駆使して日常を即興的にドラマティックなSOUNDに創り上げていき、聴くものを不思議と暖かく包み込む。
スペースの入り口 イメージの裏返し スパイスの使い所 バランスの心地よさ オリジナルを純粋に追求する音楽家。又、その音楽への柔軟な姿勢から、様々な音楽家とのコラボレーションを得意とする。最近ではLOVE ME TENDERのサックスのACKKYやOPSBのギターのPONCHIとフルートのYOSHIHARU YOSHIDA等とLIVEや楽曲を製作中。
2009年12月にMary Joy RecordingsからリリースされたMEISOの1st Album『夜の盗賊』に『1994』をCHELOOKとして提供。
2010年にLIONZ OF ZIONのMUZONOとのユニットCHELOOKとして1st ALBUM『SHIFT』をHOLE AND HOLLANDからリリース。
DJとしてはBONOBO「CHILL "EM ALL」をYO.ANと主催、KOARA「ROMEO」、SECOBAR「SUPER X」のRESIDENT DJ, LIVEで活動。AGEHA、DOMMUNEや地方からメディア、大箱小箱まで型にはまらない安定したプレイで注目を集めている。
2011年HOLE AND HOLLANDから発売された記憶にも新しい V.A『RIDE MUSIC』の収録曲「ALL SET TO GO」のALTZ REMIXと自身によるREMIXを12インチでリリース決定!!!!!

https://www.hole-and-holland.com
https://soundcloud.com/fushiming

schedule
5/14 スケボー音楽クラブ@DOMMUNE
6/2 BUENA SUERTE Anniversary! @ AGEHA

RIDE MUSIC EP Release Tour↓
6/8 SUPER X@渋谷SECOBAR
6/16 SUPER X@仙台PANGAEA
6/29 SUPER X @ 神戸TROOP CAFE
6/30 THIRD CULTURE @ 静岡EIGHT & TEN
7/14 @西麻布新世界

最近、使用頻度の多い12インチをジャンルレスでチョイス。


1
Alexander Robotnick - Dance Boy Dance - Yellow

2
Tito Puento - Oye Como Va (Bongo Mix) - Mr Bongo

3
Slope - Your Time Is Up - Sonar Kollektiv

4
Ras - Do You Dance (Dixless Main Vinyl Mix) - Sonar Kollektiv

5
Kimiko Kasai - Ww Can Fall In Love - CBS/SONY Inc

6
Teaspoon & The Waves - Friday Night Special - Sofrito

7
Dave Angel - Philly Bluntz - Island

8
ALTZ - Altz Heavy Edit Version Ep - HOLE AND HOLLAND

9
The Braxtons - The Boss(Masters At Work Dub) - Atlantic

10
Kitty Winter - Feel It - Spinning Wheel

MAMAZU (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

schedule
5/14 スケボー音楽倶楽部@DOMMUNE (
6/2 BUENA SUERTE Anniversary! @ AGEHA
RIDE MUSIC EP Release Tour↓ (
6/8 SUPER X@渋谷SECOBAR
6/16 SUPER X@仙台PANGAEA
6/29 SUPER X @ 神戸TROOP CAFE (
6/30 THIRD CULTURE @ 静岡EIGHT & TEN

Chart


1
Cortney Tidwell - Palace(Micbel Cleis is Too Late remix)- Simple Records

2
Fausto massina - boungaville - Diyamic Music

3
Daniel Steinberg - SIlvertune - Supdub

4
Dapayk&Midnight - emergency - mo`s ferry

5
Sante&Sascha Sibler - Ce Loca - Be chosen

6
Tenjoe - Jibli - Unreleased

7
Terry Laird - Kibontemps(Ethnic mix)- Justhouse

8
Abacus - Idrum this djemebe - NDATL

9
EDO KANPACHI - Tokonoma ずっとここに - Unreleased

10
Petter - Everyday Balloon - Extremamusic

Julia Holter - ele-king

 ローレル・ハローは、最近〈ハイパーダブ〉(ダブステップの知性派レーベル)で歌ったそうだが、彼女はその前は、OPNのチルウェイヴ・プロジェクトのゲームスで歌い、それから〈ヒッポス・イン・タンクス〉や〈RVNG Intl〉から作品を出しているので、コズ・ミー・ペインの連中ならほぼすべて網羅しているだろう。ハローが、ミシガン大学に通っていたときのクラスメートにはジュリア・ホルターがいた。
 ジュリア・ホルターはいまときの人だ。彼女のセカンド・アルバム『エクスタシス』の評判が電子空間のそこらじゅうから聞こえてくる。ケイト・ブッシュとジュリアナ・バーウィック、エンヤとジョアンナ・ニューサム、そしてローリー・アンダーソンとナイト・ジュウェルが同じ部屋で歌い、録音し、ミキシングしたら......つまり少々オペラに少々IDM的なアプローチの入ったベッドルーム・ポップ、それがジュリア・ホルターだ。ロサンジェルス在住の27歳の音楽の非常勤講師は、宅録時代の才女、現代的シンガー・ソングライターというわけだ。
 このように書いたからと言って、パティ・スミスやアリ・アップとは対岸にいる高慢ちきな女を想像してはいけない。たしかに向こうのメディがあまりにも「神童(wunderkind)」だとか「アカデミック」だとか言うし(彼女の母が大学教授であるとか)、で、実際彼女のデビュー・アルバム『トラジェディ』は三田格をはじめとするコアなリスナーが目を見張らしているロサンジェルスの実験派を代表する〈Leaving〉から出ているので(三田格によればその〈Leaving〉で売れたってことがすごい、そうです)、まあとにかく、聴く前から先入観を抱いてしまいがちなのだけれど、『エクスタシス』は『トラジェディ』と比較するまでもなく、ポップ・アルバムだ。ナイト・ジュウェルが参加し、そしてアリエル・ピンクのメンバーも参加している。これで少し安心するでしょう。
 が、しかし、これは素人のローファイではない。パンダ・ベアの声の重ね方よりも巧妙な録音、構成、緻密に作り込まれた......、そう、良い意味で敷居の高い音楽。グルーパーがやっていたことを――まあ、良い意味で――エレガントにしたような音楽だ。彼女は言うなれば、ナイト・ジュウェルとジュリアナ・バーウィックの溝を埋める人である。

 ホルターは明らかに、音楽作品、音楽芸術の今日的な価値を問うている。
 1曲目の"マリエンバード"はキャッチーな曲だが、"我々の不幸(Our Sorrows)""同じ部屋で(In the Same Room)""月の少年(Boy in the Moon)"などを聴いたら、――これは決して良い喩えではないが――アニマル・コレクティヴが幼児だとしたらこちらは大学生だと橋元優歩でさえも思わざる得ないんじゃないだろう。声楽風に声が重なり、さまざまな角度からさまざまな電子音が鳴っているというのに、音に隙間すなわちスペースがある。
 "毛皮のフェリクス(Fur Felix)"、ヴォコーダーを使った"女神の瞳・I(Goddess Eyes I)"ではポップスを試みる。シンセ・ポップスだが、80年代の引用ではない。"女神の瞳・II(Goddess Eyes II)"ではしっかりとした、そして押しつけがましくないベースを使いこなしている。"4つの庭(Four Gardens)"におけるジャズとオペラとダブの混合も悪くはない。さしずめ天空のドリーム・ポップといったところだろう。

 『エクスタシス』は、音楽がノスタルジックになるか、あるいはネット時代のポスト・マス社会における素人の氾濫のなかでその価値が相対化されつつあるいま、あらためて美を、そして音楽の進展を主張しているようだ。これはそうした予兆を感じるエレガントなアヴァン・ポップだが、本作が神童の最高作たりえるとはまだ思えない。なによりも慎重すぎる。彼女がベッドルームから出るとき、本物の傑作は生まれるかもしれないが、それでもこれは良いアルバムだ。

Miami Angels in America - ele-king

 本誌5号にてドッグ・レザー(Dog Leather)のインタヴューにも名前があがったボルチモアの男女ふたり組、ノイズ・フォーク・デュオ、エンジェルス・イン・アメリカ(Angels in America)の新作テープは(ナイトピープル)よりドロップ。
 エンジェルス・イン・アメリカのエスラ嬢(Esra)に出会ったのは本誌5号でも触れた昨年のSXSWでのハウス・パーティの夜で、その日はもうホント、マジ混沌を極めていた。いや、たしかにロスからオースティンまでの風景がループしているかのような砂漠を僕のバンドのペーパー・ドライバーのふたりと無免許で無職のフランス人(もちろんハイウルフです)を乗せて18時間の運転を経て、スリープ∞オーバー(Sleep∞Over)やピュア・エクスタシー(Pure X)をサポートし、サウザント・フット・ウェイル・クロー(Thousand Foot Whale Claw)として活動するアダムとマットに到着後はじめて出会ったにも関わらず、快く寝床を提供してくれただけでなく、最高に強烈なウィードを大量に御馳走になり(ニューメキシコ、テキサスはメキシコとの国境がすぐ近くにある事ことあり、検問が厳しいので同ふたつの州では違法であるメディカルウィードをロスから持っていくことを僕は前もってキャメロンとゲドに口すっぱく止められていたので、これは効いた)、ロクに寝ずに次の日遊び回った末がこのパーティだったので、僕の疲労と体内に循環するTHCの量は半端じゃなかったことを差し引いたとしても、この日のパーティは狂っていた。
 集合時間にだいぶ遅れ、〈NNF〉主宰のブリットに軽く怒られながら(僕はこの日自分のバンドのサポート・ギターを彼に頼んでいた)、僕はこの日のパーティに集まっていた連中にあんぐりさせられていた。前日すでに会っていたが、サヴェージ・ヤング・テイターバグ(Savage Young Taterbug)のチャールズが引き連れて来たクルーはまるでゴミ捨て場の妖精のようで、洗っていない一線を越えた彼らの服が放つクラスティな甘い香りが部屋には充満していて、「ジョイント吸おうよ。拾ったタバコを混ぜたから味ちょっと変だけど、えへへへへ」と語りかけながら、つねにテンパっているように見えるトレーシー・トランス(Tracy Trance)のタイラーは、カシオトーンで超絶テクを披露し、僕の度肝を抜くものの、何故誰も彼の絶対拾ってきたであろうワンピースとハイヒールにはツッコまない事が不思議でならないし、ソーン・レザー(Sewn Leather)、ドッグ・レザーことグリフィンのママに「うちの息子のソーン・レザーとDJドッグディック(DJ Dog Dick)はご存知なの?」と訊かれた僕とブリットは裏庭でその日のライヴのリフと展開を話していたものの「母ちゃんが犬チンって言っちゃうのかよ!」という思い出し笑いで、練習にならないし、そんな状況だから僕の手もおぼつかなくなり、キッチンの床にまき散らしてしまったビールを拭いていたところをいつの間にか横で手伝ってくれていたエスラのはにかんだ笑顔に僕のハートは一気に持っていかれた。
 彼氏にメチャメチャ睨まれながらも、僕は朦朧とした意識のなか、彼女との会話を弾ませることに全神経を集中した。「PYG(ショーケン、ジュリーのアレ)のレコードをずっと探しているのよ! 見つけたらぜひ私のためにゲットしてよ!」と言われ、何でそんなもん知ってるのかとそのときは思ったものの、(もちろんボリスのカヴァーで知ったのだろうが)たしかに彼女のエンジェルス・イン・アメリカの前作のレコードと今回のテープを聴いていると何となく合点する。冒頭でノイズ・フォークと形容したのは、このバンドは弾き語りではなくシンセ・ノイズだからだが、全身全霊を込めて絶叫する彼女のポエトリー・リーディングをきいて背筋に走る冷たいものは日本のあの時代のズブズブでドロドロの怨念フォークのそれだ。
 そもそもDJドッグ・ディックといいソーン・レザーといい、ボルチモアのこのノイズ+ポエムという方法論は、パンクは楽器を弾けなくてもいい、ヒップホップはビートと哲学があればいい、という流れの最終型にあるんじゃないかと思ってしまうのは大袈裟だろうか? エンジェルスやドッグディックはシンセこそ使っているもののソーン・レザーやまた先ほど話に出たサヴェージ・ヤング・テイターバグなんかほぼカラオケだし、それは本人のポテンシャルがすべてであり、それがショウとして成立しちゃってるのだ。

 話をあの日の夜に戻そう。自分のライヴも終え、エスラともさらに打ち解けてきた僕はようやく彼女の電話番号とアドレスを交換するために自分の携帯を取り出した。そこにブランク・リアルム(Blank Realm)のサラが現れ、「兄貴に迎えに来てもらいたいから電話かりるわね」と携帯を取られてしまった。もう読者は気付いているだろうが、このレビヴューを書いているのも、もし今後ボルチモアに行く機会があり、彼女のところに転がり込む日が来るならば何かあればいいなと期待しているからに過ぎないのだ。
 あの日の僕の最後の記憶はテイターバグの連れであるサムのワンマン・プロジェクト(名前失念)がゴーグルと猫耳、そしてもはやハミチンとかそういうレヴェルではないブーメランを装着し、ステージで絶叫していた。現在ヨーロッパをツアー中のエンジェルス・オブ・アメリカとソーン・レザーはきっとあのような混沌とした日を過ごしているに違いない。あぁ、ライフ・イズ・カオス。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140