「ZE」と一致するもの

CHART by TECHNIQUE 2010.01 - ele-king

Shop Chart


1

PETRE INSPIRESCU

PETRE INSPIRESCU INTR O SEARA ORGANICA [a:rpia:r] / Romania / 2009/12/25 »COMMENT GET MUSIC
LucianoのCadenzaやVinylclubレーベルからの作品が非常に高い評価を得ている大注目のニュー・カマーPetre Inspirescuによる、3枚組みの待望のファースト・アルバムが、彼のホームレーベルとしても知られるルーマニア発の先鋭レーベル[a:rpia:r]からリリース。
綿密に練られた高密度のグルーヴと、壮大な広がりを見せるSEやピアノ、シンセリフでがっちりもっていってくれる鮮烈な音作りを披露。この才能には目が放せません。

2

RYO MURAKAMI

RYO MURAKAMI JUST FOR THIS Dessous / Germany / 2010/1/25 »COMMENT GET MUSIC
ご存知Steve BugによるPoker FlatのサブレーベルDessous Recordingsから注目の日本人プロデューサーRyo Murakamiによるニュー・シングル。リミキサーにはDeep FreezeやWolf Music、Bosh、Resident Advisor、Timbre Recordingsなどで活躍のUKの新世代アーティストGraeme ClarkのプロジェクトTHE REVENGE!!Ryo Murakamiらしい、ディープでトリップ感のファットなハウス・トラック。ムーディーに仕上がったTHE REVENGEのリミックスも抜群のセンスを発揮。

3

BEN KLOCK

BEN KLOCK TRACKS FROM 07 Deeply Rooted House / 2010/1/25 »COMMENT GET MUSIC
ベルリンのアンダーグラウンド・シーンの拠点ベルクハインのレジデントを勤めながら、コンスタンスに良質で硬質なテクノ・トラックをリリースするBEN KLOCKによるニュー・シングルが、Kerri ChandlerでおなじみのDeeply Rooted Houseレーベルからドロップ。彼ならではの硬派なアナログ・エレクトロニクスを駆使した、フラッシュライトと大量のスモークのフロアにバッチリはまりそうな漆黒のテクノ・トラック!!!!

4

THOMAS BRINKMANN

THOMAS BRINKMANN WALK WITH ME Curle / Belgium / 2010/1/25 »COMMENT GET MUSIC
Studio 1シリーズや、Soul Centerとしても偉業を残してきた、ジャーマン・シーンの大御所Thomas Brinkmannによるニュー・シングルが、EfdeminやAnthony Collinsらのリリースで人気のベルギーのレーベルCurleからリリース。
Soul Center名義でのファースト・アルバムに収録されていた傑作「Walk With Me」をも収録し、独特のサンプリング技巧で、ファンキーでトリッキーな期待通りの内容!!ファン待望の一枚と言えるリリース。

5

UFFIE

UFFIE MCS CAN KISS Because Music/ Ed Banger Records / France / TBA »COMMENT GET MUSIC
御大Mr Oizoをプロデューサーに迎えたパーフェクト・シングル!プリティー・フランス・ギャルUffieちゃんのキュートなラップが炸裂する完全無敵のオールド・スクール・マナーのエレクトロ・ディスコ・ヒップ・ホップ!!!
フィラデルフィアのトラックメイカーStarkeyと、Institubesレーベルなどでも活躍の注目ユニットZombie Disco Squadのリミックスも、かなりの完成度を誇るモンスター・シングル!!!

6

BLACK VAN

BLACK VAN ARNING DFA / US / TBA »COMMENT GET MUSIC
ニューヨークの名門レーベルDFAが見せる新境地!!今回は、な、な、なんとフレンチ・ハウス・プロデューサーKris MenaceとMoonbooticaの片割れOliver KowalskiによるプロジェクトKowesixの異色コンビによる注目作です!!
更にChicken LipsのメンバーAndy Meecham率いる変態サイケ・ダブ・ユニットThe Emperor Machineがリミキサーに召集された、正に異種格闘技戦的激話題盤!!

7

SESSION VICTIM

SESSION VICTIM LEFT THE BUILDING Delusions Of Grandeur / UK / TBA »COMMENT GET MUSIC
Morris AudioやResopalでも活躍するHauke Freer率いるプロジェクトSession Victimが、今一番脂が乗っているディスコ・ハウス・レーベルDelusions Of Grandeurから送る一大スペクタクル!!!
ハウス好きも、ディスコ好きも、あなたも、私も、みんなを虜にしてくれる濃厚上質3トラックス!!!

8

MIRKO LOKO

MIRKO LOKO SEVENTYNINE RMXS CARL CRAIG, VILLALOBOS Cadenza / TBA »COMMENT GET MUSIC
Lazy Fat PeopleとしてもPlanet EやWagon Repair、Border Communityレーベルなどで活躍するMirko Lokoが2009年にリリースし、大ヒットを放ったアルバム「Seventynine」のリミックス12"カット盤!Carl CraigとRicardo Villalobosともはや説明不要のトップアーティスト2人がリミックス!2010年初頭のビック・リリースになること必至。

9

PAUL RITCH

PAUL RITCH CANNIBALLS EP Quartz Music / France / TBA »COMMENT GET MUSIC
躍進する鬼才Paul RitchによるレーベルQuartz Musicから、Paul Ritch自身による待望のニュー・シングルが登場!彼真骨頂でもある、疾走感のあるファンキーなグルーヴに、メリハリの効いたヌケよい展開で、クラブトラックとして機能性を追及した音作りをみせる一枚!!!盛り上がり必至の内容です。

10

THE RHYTHMIST

THE RHYTHMIST THE AGENCY P&D / France / 2010/1/26 »COMMENT GET MUSIC
これまでに、MD 3 aka MIKE DUNNや、JESPER DAHLBACK & THOMAS KROMEの名作を再発&リミックスをし、あらゆるリスナーを唸らせてきたRobsoul RecordingsのボスであるPhil Weeksが新たにスタートした話題のレーベルP&Dからの第4弾シングルはまたしてもヤバイ代物。
USの知る人ぞ知るハウスレーベルSolid Traxから1997年にリリースされた、コンピレーション・シングル「Trax Cafe: Solid Trax Vol. 2」からのDerek ScottによるプロジェクトTHE RHYTHMISTの「THE AGENCY」をランセンスリリース!!!Phil Weeks & Didier Allyneによるリミックスも収録され、10年以上も前にリリースされた密かな名作を見事に蘇らせた一枚!!

intervew with Eccy - ele-king

ベンガ、スクリーム、キャスパ......超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

 初対面のわれわれが何故まず手はじめに童貞についての話を延々としたかと言えば、すべてはY氏が悪い。僕よりも20歳も年下のトラックメイカーは僕に向かって童貞にまつわる話をはじめ、僕は自分の童貞喪失について話す羽目になった。ことの経緯についてはご想像におまかせしよう。ただひとつ知ったことは、若い世代にとって"童貞"とういことが大きな問題となっているらしいということである。僕の世代では、思春期においてはそれがそれほど大きな問題意識になったことはなかった。

 さて、エクシーのUK体験談を聞くために僕はビールと呼ばれる背徳の液体の入った中ジョッキを持っている。この冒険心溢れるトラックメイカーは、2007年、彼が22歳のときにシンゴ02をフィーチャーした"アルティメイト・ハイ"によって広く注目されている。その後エクシーは......文学肌のラッパーをフィーチャーしつつ、ストリートというよりもどちらかといえばアーティな作品(『フローティング・ライク・インセンス』、『ブラッド・ザ・ウェイヴ』等々)を発表している。

 とはいえ、彼が現在、新世代においてもっとも興味深いひとりになりえているのは(彼と銀杏ボーイズとの繋がりはさておき)、音に対する彼の貪欲さにおいてである。とにかくエクシーは、欧米で起きている新しい動きにやたら敏感に反応する。彼がフライング・ロータス以降のエクスペリメンタル・ヒップホップないしはハドソン・モホークに対する回答のような、全曲インストによる『ルーヴィア・ミトス』を昨年末に出したことは、音の刺激に飢えている連中にしたら納得のいく話である。そして......アルバムのジャケでムーグのアナログシンセのつまみを乳首を触るような手つきでつまんでいる彼は、最近はヤマハのDX7を安くゲットしたと嬉々として語るような、いわば音フェチでもある。

 予想外だったのは、彼のそれまでのイメージからは想像できないほどのエクシーがパーティ・アニマルだったという事実だ。それは嬉しい事実である。彼は、昨年の10月にUKに渡っている。目的はひとつ、ダブステップのパーティで踊ること。

なんでイギリスに行こうと思ったの?

海外行ったのが初めてで。最初はロスとかニューヨークとか、普通にそっちに行こうかなと思っていたんですけど、一緒に行くことになったのがDJケイタっていう、バトル系のDJで、ドラムンベースが好きなヤツだったんです。そいつがロンドンに行くって言い出して、それで「じゃあ、行こうか」ってなった。どうせ行くならパーティに合わせようぜってなって。

行く前からダブステップやグライムみたいなのが面白いなとは思っていたんでしょ?

そうですね。ダブステップは1年前くらいからハマりはじめていて。

きっかけは?

ブリアル。でも、最初はいまほど面白さわかんなくて。それで漁っていくうちに、「けっこう面白いジャンルだな」と。そっからミックス聴いたり......。そのあと〈ハイパーダブ〉とか好きになって。日本にひとり、〈ハイパーダブ〉から出している人いるの知ってます? クオルタ330って。

面識はないけど知ってる。

あの人にオレらがやっているパーティの1回目に出てもらって。今度も出てくれるんですけど。で、〈ハイパーダブ〉が好きになった後、スクリームやベンガが日本に来たときに行ったりとか、いろいろ知識を付けたうえでロンドンに行って......みたいな。で、ロンドン、アムス、マンチェスターに行ったんですけど、いや、すごかった。

なにが?

6日連続でクラブに行ったんですけど(笑)。

1週間いて(笑)?

はい(笑)。

ハハハハ、誰もが通る道(笑)。

とにかく客がすごいっすね。

やっぱもっとパーティっぽい?

そうですね。

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じゃあ、順をおってお願いします。

まずモスクワに泊まったんすけど。アエロフロートのせいで(笑)。

空飛ぶロシアンルーレットね(笑)。

いまぜんぜんいいっすよ。ぜんぜん機体が綺麗。

そうだよね。ロシアは好景気だもんね。オレ、93年にイビサ行ったときにアエロフロートだったな。その頃、冗談で"空飛ぶロシアンルーレット"って言ってたの。モスクワの空港も酷かったしね。何もない。

あ、そこは変わらない(笑)。とにかく出発が6時間遅れたから、ロンドンに6時間遅れで着くのかなと思ったら、出る便がないって言われて。で、成田で、ロシアに着いたらホテルを用意しているからそこに泊まれと、ただし、そこは自分で交渉してくれと。で、初めての海外で、英語も喋れないのに交渉できるわけないだろうと(笑)。で、飛行機のなかでずっと英会話の本を読んでいて(笑)。で、行ったら行ったで、ちゃんとホテルが用意されていて、大丈夫だったんですけど。すげー、良いホテルだったし。

ロシアでクラブに行ったわけじゃないんだ?

行かなかったすね。それで、次の日にロンドンに着いて、すぐアムスに行かなきゃならなくて。

なんで(笑)?

そういう日程組んであったから。ちょうどアムステルダム・ダンス・イヴェント(ADE)やっていて。で、オレらより先に、ヨーロッパひとり旅しているヤツと合流して。1日目はそれで、スティーヴ・ローラーのパーティ行って。

誰それ?

Y氏:プログレッシヴ・ハウスのDJ。

Y氏の専門分野じゃないですか(笑)。

〈ワープ〉のクラークのパーティに行きたかったんだけど、すげーデカイところなんですけど、ぜんぜん入れなくて。それでクラブ探し回って。そしたらそこだけ入れた。で、次の日もアムスにいて。〈ワープ〉のラスティっているじゃないですか。あいつと〈ストーンズ・スロー〉のデイム・ファンクのDJに行って。

いいな~。

音はまあ、良かったんですけど、でも「日本とそんな変わんねーじゃん」と思って。で、次の日にオレとケイタはロンドンに戻って。で、〈ファブリック〉に行って。気合いを入れて前売りまで買ってたんですけど、疲れていて朝の3時まで寝ちゃって。で、「やべー、いまから行かないと終わっちゃうぞ」って。朝の4時に〈ファブリック〉に着いて。まあ、空気を楽しむぐらいだったんですけど。で、思っていたよりも子供向けのクラブみたいなイメージがあって。

観光客向けだよね。

そういう感じで。

やっぱ地元の連中が行くクラブがいちばんだよね。

そう。で、翌日は電車乗ってマンチェスター行って。マンチェのパーティが今回のベストでしたね。まあ、うちらそのパーティのために行ったようなものなんですけど。eBayでチケット買ってね。ウェアハウス・プロジェクトといって倉庫を使ってある期間やっているイヴェントなんですけど、毎週大物が来るみたいな。2フロアあって。まずメンツが凄くて。モードセレクター、ベンガ、スクリーム、キャスパ、ジョーカー、ラスコ、で、セカンド・フロアでメアリー・アン・ホブス、デイム・ファンク、ラスティ、ガスランプ・キラー、ノサッジ・シング......。

オールスターだね。

超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

モードセレクターはちょっと毛色が違わない?

違うんですけど、良かった(笑)。

いちばん良かったのは?

ラスコ。超パーティ野郎みたいな感じで。ガスランプ・キラーも良かったな。

ジョーカーは? まさにヒップホップ出身じゃん。

ケイタとジョーカーちょっと見て、ケイタが「ジョーカー、ダサくないっすか」って言うから、「ダセーなぁ」って(笑)。ほとんど聴かなかった。で、帰ってきていろいろ聴いていたらジョーカーがいちばん格好良くて(笑)。いまではオレ、ジョーカーがいちばん好きなんです(笑)。

ハハハハ。もっとも期待されているブリストルの新世代だからね。てか、もうすでにスターらしいよ。それこそG・ファンクから来てるんだよね。

へぇー。ダブステップって、出身がいろいろあって面白いっすよね。トランスっぽいヤツもいるじゃないですか。

テクノ出身者、ヒップホップ出身、レゲエもいるし、ハウスもいるし、ジャングルもいるよね。

でもやっぱ、いちばんは客の熱気だよね。同じこと日本でやっても絶対にこんな盛りあがらないなっていうのがあるから、「あー、こんなに反応してくれて、こんなに盛りあがってくれたら楽しいだろうな」と、やってる側の目線で思って。日本人のDJがあの場にいって、そこまで盛り上げることはできるだろうけど、向こうのDJがこっちに来て、あそこまで盛りあがるのは無理だろうなと。この先、何年後にはできるかもしれないけど。それをけっこう思って。
 で、マンチェスターのパーティで、普通に煙草吸っていたら、地元の奴らと仲良くなって。で、「うち来ない?」みたいな話になって。

ハハハハ。オレもまったく同じ経験ある。それでみんなでレコード聴くんだよね(笑)。

ベンってヤツのカップルとアンって女の子3人に声かけられて。だから「3人で行くのかなー?」と思って、」で、タクシーに乗って行ったら、すでに部屋には15人ぐらいいて(笑)。

ハハハハ。20年前と何も変わってねーじゃん(笑)!

ハハハハ、ホント、みんなグダグダで(笑)。

よくあれでポンドを保ってられるよね。

ハハハハ。で、ケイタのミックスをかけたらみんな上がって(笑)。「どこでDJやってんの?」とか訊いてきて。

何歳ぐらい?

若いっすね。オレより2個下ぐらいかな。20歳から大学生ぐらい。で、ベンの彼女のアンナってヤツだけしっかりしてて、定期的に紅茶入れてくるんすよ(笑)。

ミルクティーでしょ!

いや、それはちゃんと何が良いか訊いてくれて(笑)。

それで、帰りに紅茶買ったでしょ(笑)?

買った(笑)。

変わってないじゃん(笑)!

ハハハハ、楽しかったすね。

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Y氏:でも、日本でもそういう瞬間があったじゃないですか。

90年代前半とか?

Y氏:90年代の後半とかも。パーティが終わると、「代々木公園行こうよ」とか。「うちに来なよ」とか。

まあ、そうだね。

でも、日本では無理っすよ。

無理じゃなかった瞬間もあったわけだし。

でもいまは無理な気がする。

なんで?

まわり見てて、パーティ行くヤツが少ない。

残念だね。

クラブもカラオケの代わりになっちゃってるし。マンチェスターの奴らとか、あれしか楽しみがないんだろうなぐらいの気の入れようだったから。で、次の日はロンドンで、〈プラスティック・ピープル〉に行って。

〈プラスティック・ピープル〉?

それは地元密着型の濃いパーティ。

どこ?

えー、あれは......、ダメだ、ぜんぜん思い出せない(笑)。ロンドンで有名な駅って?

たくさんあるよ、パディントン、ノッティングヒル・ゲート、コヴェント・ガーデンとか(笑)。

えー、思い出せない(笑)。とにかく小箱で、でもファンション・ワン置いてあるみたいな。ミラーボールもなんもなくて、そこで毎週〈フォワード〉っていうダブステップのパーティをやってて。それに行って。メンツはMAワンっていうファンキーのDJ、で、ジンクやって。

おー、クラック・ハウス。

で、ジャック・ビーツっていうエレクトロ・ハウスっぽいのをやって、で、スクリームがやるみたいな。

ジンクのクラック・ハウスのコンピ、知ってる? 黄色のジャケのヤツ(「Crack House EP」)。

オレも買いました。

あのCDだけ聴いても現場がどんななのかわからないんだよね。

そうですよね。オレ、ジンク好きっすよ。

あれはホントにパーティ・ミュージックだよね。ちなみにそのパーティは何曜日?

日曜日っすね。オープンが大幅に遅れて、9時ぐらいから2時までやってましたね。で、そこ行ったら、今回初めて日本人がいて。「あれ日本人じゃないっすか?」ってケイタが言うから、で、訊いたら「そうだよ」って。で、話したら、その人がエナさんっていう、ゴス・トラッドなんかが出ている〈Back To Chill〉をやっている人で。共通の知り合いがすごくいっぱいいて、で、仲良くなって。

へぇー。

Y氏:よくロンドンのどのクラブ行っても日本人がいるって話聞くんだけど、ダブステップのクラブには滅多にいないよね。

ぜんぜんいないっすね。アジア人がいない。

アフリカ系はいるでしょ?

半々ぐらいでいますね。で、それが5日目で、で、6日目は「さすがにちょっとぐらい観光しようか」って話になって。で、結局レコード屋とかに行って、CDとTシャツを買って。そしたらまたエナさんに会って(笑)。

ハハハハ。行動パターンが同じなんだ。

そう。で、「今日の夜、ブリクストン・アカデミーでヤバいパーティがあるよ」って。それが16歳以上から入れるパーティで。

16から入れるっていいよな。

だから酒は売っていない。

なるほど。

で、ケイタと「どうする?」って。オレら、ドラムンのパーティをアムスで逃していて、ケイタがどうしてもドラムンで踊りたいって言い出して(笑)。「じゃ、行くか」みたいになって(笑)。

ブリストルって、中心地からは遠いからね。

遠いじゃないですか。だから終電で行って。そしたらガキんちょたちで溢れていて、あり得ないくらいの熱気で(笑)。

あんな広いところで。

あんなに広いところがガキんちょでいっぱいで(笑)。で、さすがにその日はもうオレらも疲れていたから隅っこのほうで休みつつって感じだったんですけど、誰かのDJになった途端、すべてのフロアから人が集まってきて。それがチェイス&ステイタスで。「うわ、こんなに人気があるんだ」って。

チェイス&ステイタス?

リアーナのダブステップやったり、スヌープのダブステップやったり。

ああ~。

すごかった。あんなに人気があるとは思わなかったね。

しかし16歳で行けるDJパーティがあるって良いよね。

しかも朝の5時ぐらいになると親とか車で迎えにきて(笑)。ドラムンでガン踊りしていた子供を迎えに来るって、「物わかり良すぎだわ」って(笑)。

それはハウス世代の親じゃないの? 「もう、しょーがねーな」みたいな(笑)。

しかし、月曜日に5000人の若いのが踊ってるって......。

健康的でいいなー(笑)。

ヴァイタリティ半端ないっすよね。〈プラスティック・ピープル〉で、白人のガキんちょがでかい黒人のセキュリティに超からんでいるんすよ。「おまえ出てけ」って投げ飛ばされたりしてるんすけど、すげー食いかかっていて。明らかに体格差もあんのに、「ファックユー」連発で、「こんなヤツ、日本人であんまいないなー」と思って。

へぇー。

とにかく、ダブステップ、こんなに踊ってる感じなんだーって、日本からはつかめなかったんで。それがもう、爆発してたんで。

レイヴ・カルチャーそのものなんだね。

それでオレも、自分でもダブステップやりはじめようかなと思って。

やってるじゃん、新作『ルーヴィア・ミトス』で。

それはダブステップというよりは......。

フライング・ロータス?

フライング・ロータス。

やっぱり。

そう、でも、もっとフォーマットにのったダブステップを作ろうと最近は思っているんですよ。

ダンス・ミュージックって、フォーマットがあるからね。

そうなんですよ。オレ、これ(『ルーヴィア・ミトス』)では好き勝手やってるだけなんで。もうちょい縛りあったうえで踊らせるっていうか、他のDJもかけやすくするっていうか。それって大事かなって。で、やってみたら面白かった。

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エクシー君のイメージって、やっぱキース・ジャレットのジャケの写真を自分のCDのアートワークに使っているように、すごくシリアスなさ、ある意味求道者的なさ(笑)。

この前もVJの人と飲んでて、「エクシー、おめーぜんぜん知性派じゃねーじゃん。下品だおめーは」って言われて(笑)。

ハハハハ。

やっぱ向こうの現場見ちゃうと、とくに。

それ、日本でもやって欲しいな~。

渋谷の〈プラグ〉で〈Coldsteel〉ってパーティやってます。2月5日に渋谷の〈プラグ〉でリリース・パーティかねてやりますよ。

行こうかな。

野田さんはクラブ行かないんですか?

ここ数年、子供ができてからはめっきり行かなくなったけど、嫌いになったわけじゃないからね。昔は毎週末行っていたし、ある時期はロンドンに隔月で行っていたよ。クラブとレコードを目当てに(笑)。だから今日の話はすごーくわかる(笑)。オレの世代はブリクストンと言えば、〈ロスト〉っていうテクノのパーティだね。上半身裸で壁によじ登るようなヤツがひと晩に20人ぐらいいるような(笑)。ロンドンはどこに泊まったの?

キングスクロスのあたりとか。

えー、そうなの! キングスクロスって、オレも昔よく泊まってたけど、娼婦や売人が立っているようなところだったんだよ(笑)。駅の反対側に倉庫街あって、あっちでもパーティがあったりして。

あー、あったあった。

で、いきなり『ルーヴィア・ミトス』の話に戻すと、過去2枚って、シンゴ02とか、マイク・ジャック・プロダクションとか、あるぱちかぶととか、文学肌のラッパーを入れているじゃん。それが、『ルーヴィア・ミトス』ではいっさいラッパーなしでやってるじゃん。そこはオレ、ラッパーの力を借りずに勝負してるなって思ったんだけど。

もともとインスト作品を出したくて。あとこれ、インストのシリーズなんですよ。ラッパーいないとさくさく曲作れるし。このアルバム、昨年の12月に出ているんですけど、ほぼ全曲9月に作っているんですよ。

すごいね。

すぐ出せるのがいいなーと。自分でミックスもしているし。

ロンドンに持っていかなかったの?

ミックス前だったんですけど、持っていきました。けっこう気に入ってもらえましたよ。

音を聴いてくれるのっていいよね。

そうっすね。

オレ、こないだタナソーとのトークショーでも言ったんだけど、音を面白がる文化って良いと思うんだよ。

オレ、ホント、意味とかどーでもいいと思っていて。

えー、意味あるラッパーばかり揃えているじゃん(笑)。

テーマとかどうでも良いと思ってて(笑)。

銀杏ボーイズが好きなくせに。

銀杏ボーイズは歌詞カード見ないでも言葉が入ってくるから好きなんですよ。うちのラッパーだとオロカモノポテチっていうのがいて、そいつがオレはいちばん入ってくるんですけど、正直、あるぱちかぶととか難しくて。

ハハハハ! 自分の作品でラップしてもらってるのに(笑)!

いや、もちろん良いんですけど! そこまでグッと来ない(笑)。

マジ(笑)? あるぱちかぶと、グッとくるじゃない。言葉でトランスさせるような感じでしょ。

ま、そうっすね。シンゴさんは、ライヴが好きっすね。ライヴが素晴らしい。あるぱちかぶとも、そろそろシンゴさんぐらいいってるのかなと思ってたんだけど、ライヴを観たらまだまだだった(笑)。

オレ、あるぱちかぶとのアルバムの1曲目、すごいと思ったけど。東京をラップしている"トーキョー難民"という曲。びっくりした。

はいはい。

あの風景の描き方はすごいよ。まあ、踊らせるってタイプじゃないけどね。で、ああいう優れたラッパーが身近にいながら今回はインストで勝負しているところにエクシー君のソウルを感じたんだよね。気が早いけど、次のアルバムが楽しみだね。

オレ自身も楽しみっすよ。なんか、〈テクトニック〉が気に入ってくれたみたいで。

えー、最高じゃない!

ピンチが気に入ってくれたみたいで。それで実は昨日、ぶちあがっていて。

それはオレでさえあがるよ(笑)。

このまま食らいついて、「シングル出そうよ」って言われるぐらいになりたいっすね。〈テクトニック〉、最高っすよね。

最高のレーベルのひとつだよね。昨年のコンピレーションも良かったし、ピンチのシングルあったじゃん。歌モノのヤツ。

「ゲット・アップ」っすよね。

そうそう。

あれで、グイードがリミックスしてるじゃないっすか。オレ、グイードがヤバくて。

ブリストルのジョーカーの仲間だよね。みんなまだ若いんだよね。

オレ、コンプリートしたんですけど。写真とかも、みんなかっこつけるんですけど、グイードだけがリーボックのジャージ着て突っ立ているだけで、リーボックってところがいい、イギリスっぽいな~って(笑)。

ハハハハ。ジョーカー、グイード、ジェーミー、あいつら、まだみんな20歳そこそこなんだよね。ジョーカーがいちばん若くて、たしか昨年の時点で20歳だったと思ったよ。

え、あいつがいちばん老けた顔しているのに(笑)。

ベンガやスクリームもみんな若いじゃん。13歳からDJやったり作っているわけでしょ。

あいつら若いっすよね。そういえば、〈プラスティック・ピープル〉の外で煙草吸っていたら、BMがやって来て、ゴミ袋を何度も轢いてて、頭おかしいヤツ乗ってるなーと思ってたら、車からベンガが出てきて、「おー、ベンガだ!」って(笑)。

いいな~、そんなことやっててレベル・ミュージックになっているところがいいよな~(笑)。

そうっすよね。しかもベンガとスクリーム、ヨーロッパのどこにもいますからね。ヨーロッパのいたるところのフライヤーに書いてある(笑)。

グラストンベリー・フェスティヴァルでもやって話題になってるもんね。ということで、エクシー君、がんばれ!

ハハハハ。

Eccy DJ Chart
  • 1. Hudson Mohawke / FUSE (Warp)
  • 2. Jinder / Youth Blood[12th Planet & Flinch Remix] (Trouble & Bass)
  • 3. Doshy feat.Raspe / Crtzl[Robot Koch Remix] (Robox-Neotech)
  • 4. Guido / Beautiful Complication (Punch Drunk)
  • 5. Rustie / Inside Pikachu's Cunt (Warp)
  • 6. Scuba / Twitch[Jamie Vex'd Remix] (Hot Flush)
  • 7. Rustie & Joker / Play Doe (Kapsize)
  • 8. Ikonika / Smuck (Planet Mu)
  • 9. Joker & Ginz Purple City (Kapsize)
  • 10. Zomby / Spliff Dub[Rustie Remix]- Hyperdub
  • 11. Skream / Trapped In A Dark Bubble (Tectonic)
  • 12. Bjork / Hyperballad[Eccy Dubstep Edit] (Nytebug)

※以下のサイトもチェック。
https://eccy.cc
https://www.slyerecords.com

また、昨年の12月から〈NYTEBUG〉という無料ダウンロードのレーベルを実験的にスタートしているで、そちらも是非。
https://nytebug.blogspot.com/


2010/02/05(Fri)
COLDSTEEL vol.5 @Shibuya PLUG
"あるぱちかぶと - ◎≠" and "Eccy - Loovia Myhots"
Double Release Party!!!!!!

-starring-
あるぱちかぶと
Eccy
Matt.B(Bass Science / Made In Glitch)
Quarta330(Hyperdub)
broken haze
haiiro de rossi
DJ KEITA
Notuv
Emufucka
小宮守

CHART by STRADA RECORDS 2010.01 - ele-king

Shop Chart


1

RADIOHEAD

RADIOHEAD I LOVE TO KEEP(10inch) SENSEI PLATES(US) / 2010/1/8 »COMMENT GET MUSIC
Master KevとTony LoretoがRADIOHEADをリミックス!SHELTER系の作品を彷彿とさせる黒いパーカッション・ビートがカッコいいディープなヴォーカル・チューンに仕上がっています!ビート・トラックも収録!

2

JOE CLAUSSELL

JOE CLAUSSELL WITH MORE LOVE SACRED RHYTHM (US) / 2009/11/20 »COMMENT GET MUSIC
A面には13分超の「With More Love Dance Version」を収録!Joeらしい骨太で疾走感のあるビートと軽快なリムに、哀愁漂うエモーショナルなギターソロが秀逸!多くのミュージシャンが参加していることで「生」ならではの力強さが前面に押し出された抜群のインスト!Body&SOULではこの1枚に収録されているDance Versionと限定Box Setに収録されるエクスクルーシヴVersionを立て続けにプレイ、終盤に差し掛かった時間帯にクラウドを音に酔いしれさせたことの記憶に新しい作品!B面にはMenrtal Remedy名義でリリースした傑作「The Sun The Moon Our Souls」の限定CDに収録されていたEntreaty」と「Kotu Rete (atmospheric reprise)」の2曲をカップリング!

3

HOMEWRECKERS

HOMEWRECKERS NOT MY BUSINESS CIRCUS COMPANY(GER) / 2010/1/21 »COMMENT GET MUSIC
DAVID MANCUSOがヘビープレイした「HOME WRECKERS REWORK」も記憶に新しいドイツの三人組HOMEWRECKERSの新作がCIRCUS COMPANYから登場!ざっくり言うと「気だるく妖しい男性ボーカルの乗ったミニマル・テック・ハウス」なのですが、じわじわ加速していくような展開の巧さ、フロア栄え抜群の硬質&極太ファンキーなシンセ・ベース、幻想的&シリアスな上ものなど、絶好調時のCARL CRAIGを思わせる圧倒的とも言えるサウンド・クオリティーの高さは必聴ものです。B面2曲目では同レーベルよりDAVE AJUがリミキサーとして参加

4

MICHEL CLEIS

MICHEL CLEIS LA MEZCLA-REMIX EP feat.TOTO LA MOMPOSINA MOSTIKO(EU) / 2010/1/26 »COMMENT GET MUSIC
Luciano率いるCadenzaよりリリースされ2009年度を代表する空前の大ヒット作となったMichel Cleis「La Mezcla」のリミックス12インチがベルギーのMostiko傘下のBelgian House Mafiaから登場!ディープ・ハウス・ファンならベテランCharles Websterのミックスは必聴!DefectedからCopyright、BPitch ControlからPaul Kalkbrenner、Roog & Greg Electronics主催のDJ Roog、とハウス&テクノの実力派がリミキサーとして集結した充実の一枚!

5

GUILLAUME&THE COUTU DUMONTS

GUILLAUME&THE COUTU DUMONTS THE PUSSY SHEPHERD MUSIQUE RISQUEE(GER) / 2010/1/21 »COMMENT GET MUSIC
OSLOやCIRCUSCOMPANY等からのリリースでもお馴染みGUILLAUME & THE COUTU DUMONTSがAKUFEN主宰のレーベルMUSIQUE RISQUEEから12インチをリリース!パーカッション系トラックが得意な彼らですが、今作では黒くグルーヴィーなディープ・トラック「Raw」がオススメ!ソウル~ファンク系のヴォーカル、コーラスのサンプリングもカッコイイ!

6

V.A

V.A PRIME NUMBERS EP E11 PRIME NUMBERS(UK) / 2010/1/21 »COMMENT GET MUSIC
Trus'meが主宰するこのレーベルからの新作12インチはMr.Scruff & Kaidi Tatham、Motor City Drum Ensembl、Andresら3組のアーティストを収録したEP!中でも人気絶頂のMotor City Drum EnsembleによるB1が最高!突進する黒いグルーヴ感がたまりません!

7

I:CUBE

I:CUBE FALLING EP VERSATILE (FR) / 2010/1/20 »COMMENT GET MUSIC
フランスの人気レーベルVERSATILEからI:CUBEが12インチをリリース!オススメはB面に収録されている「Un Dimanche Sans Fin」!グルーヴィーなダンス・クラシック調の洗練されたインスト・チューンです!

8

NICO PURMAN

NICO PURMAN RHAPSODIES VAKANT (GER) / 2010/1/21 »COMMENT GET MUSIC
CurleやMule ElectronicからもリリースしているアルゼンチンのクリエイターNico Purmanの12インチ!図太いベースにアフロ的なパーカッションが入ったB面「Funk Forest」がグッド!テック・ハウスと呼ぶには黒すぎるサウンドがカッコイイ!

9

V.A

V.A REMAKE MUSIQUE VOL.4 REMAKE MUSIQUE(FR) / 2010/1/20 »COMMENT GET MUSIC
フランスの注目レーベルREMAKE MUSIQUEからの第4弾EP!パーカッシヴ&トライバルな使えるハウス・トラックを中心に人気クラシックGrace Jones「La Vie En Rose」のエディット的作品なんかも収録!

10

TRUS'ME

TRUS'ME IN THE RED(W-PACK) FAT CITY(UK) / 2010/1/21 »COMMENT GET MUSIC
2ndアルバム!ソウルやジャズ、ハウス、ブギー等が渾然一体となった黒いサウンドが圧巻!AMP FIDDLERやPAUL RANDOLPH、LINKWOOD、PIRAHANAHEADらも参加した大充実盤です!

Andres - ele-king

 アンドレス――この名義ではムーディーマンの〈KDJ〉からデビューして2003年には最初のアルバムを発表(あるいは3チェアーズやセオ・パリッシュ作品への参加、ムーズ&グルーヴスからのリリース)、そしてDJデズの名義ではUR傘下の〈ヒプノテック〉からのリリースやスラム・ヴィレッジへの参加などなど、地味ながらキーパーソンたちとしっかり仕事をしているのがアンドレスで――なにせジェイ・ディラからケニー・ディクソン・ジュニア、マイク・バンクスまでなのだから――彼のセカンド・アルバム『II』は、そうした彼の見事な活動領域が鮮やかな形で表出した、まったく素晴らしい作品となった。ハウス、テクノ、ヒップホップ、あるいはジャズやソウル、あるいはアフロやラテン、それらがミックスされたアンダーグラウンド・ブラック・ダンス・ミュージックにおける蜂蜜のようなアルバムである。

 ブラック・ミュージック特有の、都会で暮らす人間の日々の感覚とエモーション――温かい午後の会話から孤独な夜の空しさ、街への愛憎、夢と生活、家族と恋人、人生の歓喜と絶望、それらのデリケートな起伏......そういったものから生まれる音を好む耳とハートを持っている人は、この音楽に逆らえないだろう。アメリカにおける過酷な格差社会と日本の殺伐としたそれとはまた趣が違っているように思うのだけれど、持たざる者による美学という言い方がもし許されるなら、僕はこの音楽にそれを見る。僕はいまでもこういう音楽を聴いているといろんなことを思い出すことができるのだ。貧困ではあるがなんとか互いに助け合おうとして成り立っている社会(コミュニティ)というもののことを。

 喋るだけ、ないしは喋って踊るだけ(まったくラップとダンス)。夕暮れになると家の玄関先の階段にみんな出てきて、子供や母親や老人たちは喋っているだけなのだ。そこに男がいるとしたら職のない男で、冷やかされながら笑っているだけで、それはモダニズムの名残であるとかポスト・フォーディズムの犠牲者とかそんなものではなく、僕は彼らの精神構造のなかに何かそうした経済的な逆境のなかでも笑っていられる"逞しいゆとり"のようなものを感じ取ってきたのだ。日本で言うところの"ゆるい"という言葉とは違った、もっと深いところの"ゆるさ"。それを強いて意訳するなら、「私たちはたまたま仕方なく、諸事情があって、こうして資本主義とつき合ってやっているだけなのだ」という感覚のようにも思える。それがディアスポラってものだろう。

 田中宗一郎によれば『SNOOZER』のコンセプトは「こんがらがった少年少女のため」だそうだが、ブラック・ミュージックは娘も父親も一緒に聴く音楽だ。スタイルがいくら変わっても"変わってゆく同じもの"がそこにはある。"同じもの"とは言うもまでもなく、マイケル・ジャクソンにもケニー・ディクソン・ジュニアにもフライング・ロータスにも偏在するものである。アフリカ・バンバータがパパとママのレコード棚から音楽を作ったことは、決して偶然ではない。だいたい......ラジオからスラム・ヴィレッジの"テインティッド"が流れると、オヤジも子供もみんな歌い出すあの瞬間に居合わせてしまうと......。話がどんどん大きくなりそうなので、このあたりで止めておこう。アンドレスの音楽には自分が経験してきたデトロイトの最良の部分が凝縮されている。

 アルバムはアフリカン・パーカッションで幕を開ける。2曲目は素晴らしいベースラインを持つファンキーなハウス(キーボードはアンプ・フィドラーの)、そしてドープでソウフルなダウンテンポへと展開。4曲目のディープ・ハウスではケニー・ディクソン・ジュニアが煙を吸い込んだ声をナメクジのような絡みを加える。女性DJであるミンクスのターンテーブルさばきを挟んで6曲目以降は甘美なブラック・ソウルの時間がはじまる。スキットがあり、DJデズ(アンドレス)がその素晴らしいスクラッチのスキルを披露する曲もある。ラッパーも登場する。エレクトロもアフロもラテンも、ぜんぶある。なにせCDには30曲が収録されている。長くて4分、だいたい1分から2分、だから細切れに、歯切れ良くアルバムは展開する。

 アンダーグラウンドな"大衆音楽"――まるでデトロイトのラジオ番組を聴いているようだ。気分が良い。

[Drum & Bass / Dubstep] by Tetsuji Tanaka - ele-king

1 Sub Focus / Could This Be Real[Drum&Bass RMX]/Triple X | Ram

 昨年のハイライトとも言うべきファースト・アルバム『Sub Focus』によってエクストリーム・レイヴ・ドラムンベースの確固たる地位を確立、それを不動のものにしたのがサブ・フォーカスである。そのもっとも待望されていたリリースによってドラムンベース界に新たな核が生まれたというわけだ。もっとも、プロデューサー・デビューから6年もの年月を費やして発表となったファースト・アルバムは、彼の類まれなる才能から考えると少々遅かった感は否めないのだが。
 彼の起源は2003年〈Ram〉のサブ・レーベル〈Frequency〉から発表された「Down The Drain/Hotline」である。当時のトラック・メイキングはまだ未成熟かつ方向性が定まっていない、ごく平凡なサイバー・ドラムンベースだった。もちろんその当時は、現在のようなスター・プロデューサーとしての確約はないに等しい存在として扱われている。彼に転機が訪れたのは、そう、2005年。その年のアンセム・ザ・イヤーとなったばかりではなく、2000年代を代表するトラック"X-Ray"の発表である。
 ドラムンベース界のみならず、その恍惚感溢れるトランシーレイブな作風で世界中のダンスフロアを掌握、稀に見るビッグ・アンセムとなった。その後、水を得た魚の如く立て続けに"Airplane"、"Frozen Solid"などの"ロック"チューンを発表。そして彼の地位を不動のものにした決定的なリリースがプロディジー"Smack My Bitch Up"のSub Focus RMXだった。そのリミックスはまるで新旧レイブ・サウンド伝道師の世代交代のようで、ドラムンベースをより多方面に押し上げてもいる。そしてその後の活躍は言わずと知れている。いまや名実ともにドラムンベース界のトップ・プロデューサーに君臨するのだ。
 さて、彼のファースト・アルバムからシングル・カットが待望されていた2曲がついにリリースされた。アルバムに収録された"Could This Be Real"のオリジナルは、現在のクラブ・シーンを席巻しているトレンド、エレクトロ・タッチから触発されたフロア直系のアーバン・ブレイクスだったが、シングル・カットのためにドラムンベース・リミックスへと自身でリワーク。ハーフ・ステップさながらのビート・プロダクションに流麗なレイヴ感漂うエレピを注入し、ハイブリッドでソフィスティケートされたシンフォニック・レイヴ・サウンドへと昇華させている。
 "Triple X"に話を移そう。これはまさに"X-Ray"の続編、誰もが待ち望んだ真のレイヴ・ミュージック、即ちこれがエクストリーム・レイヴをもっとも体現したトランシー・フロア・サイバーの最高傑作と呼ぶに相応しい。今後この作品はダンスフロアで皆を待ち続けることとなるであろう。

2.  Disaszt, Camo & krooked / Together[DC Breaks RMX]/Synthetic | Mainflame

 オーストリア、ウィーン発の新鋭レーべル〈Mainflame〉からレーベルのフロントマン、ディザスト(Disaszt)と若手ナンバ-1の呼び声が高いケーモ&クルックト(Damo & krooked)のサイバー・スプリット! "Together"では〈Viper〉、〈Frequency〉などシーンのトップ・レーベルのリリースからMINISTORY OF SOUND主宰DATAなどメジャーのリミックス・ワークなども手掛けるDJサムライ & DJクリプティックのエレクトロ・サイバー・ユニット、DC・ブレイクス(DC Breaks)が担当。レーベル・カラーであるカッティング・エッジでエレクトリックなサイバー感を継承しつつ、よりシンプルに交感し合う各々のサンプル群と、そして女性ヴォーカルが絶え間なくフォローするエレクトロ・ニューロ・ファンクとなっている。昨年からドラムンベースの新しいトレンドとして定着しつつあるエレクトロ・ドラムンベースだが、今作はまさにそれを体現している。まったく"いまこの瞬間の"ダンスフロア・シンフォニーで、レーベルのシンボル的トラックである。
 ケーモ&クルックト"Synthetic"は、〈Mainflame〉からもうすぐ発売されるファースト・アルバム、『Above The Beyond』の前編的トラックとなった。エレクトロ・ドラムンベースの若手急先鋒ケーモ&クルックトだが、今年はさらなる飛躍を期待されるだろう。彼らはすでにDJフレッシュ(DJ Fresh))、アダムF(Adam F)の〈Breakbeat Kaos〉から「Can't Get Enough/Without You」、ロンドン・エレクトリシティ率いる〈Hospital〉から「Climax/Reincarnation」、フューチャー・バウンドの〈Viper〉から「Cliffhanger/Feel Your Pulse」など、多数リリースが控えており、今後最注目のアーティストである。筆者が現在提唱しているエレクトロ・ドラムンベースが、ケーモ&クルックトやショックワン、フェスタなどによって閃光の如く輝き続けるムーヴメントになることを望んでいる。

 

3. Danny Byrd Feat Liquid / Sweet Harmony/Jungle Mix | Hospital

 ザリーフ&ダニーバード(Zarif & Danny Byrd)、"California"で昨年、最高のプロデュース・センスをまた見せつけたダニーバード! ハイコントラストとともに〈Hospital〉の制作理念をもっとも体現しているひとりであり、彼の高揚感溢れるキャッチーな作風はいまや誰にも真似できない、まさにダニーバード・サウンドとして定着している、キャリア10年以上の〈Hospital〉所属のベテラン・プロデューサーだ。
 筆者もDJのとき、必ずと言っていいほどお世話になっている。とくに昨年のザリーフとの共作やファースト・アルバムでのFT.ブルックスブラザーズ"Gold Rush"など......彼の作品をプレイするとき、いつも決まって、自身が中盤の窮地に陥っているケースが大半だ。なぜかと言えば......それだけ個の作品のみであらゆる場面を乗り切る力を持っている唯一のトラック、それがダニーバードの音楽だからである。彼には作品を出すたび毎回脱帽し、尊敬の念を抱き続けている。レコードを置き、針を落とすだけの偉大なキラー・トラックを量産し続けているのだから!
 そして今作"Sweet Harmony"は、初期のレイヴ感溢れるエレピ、FT.リキッドのソウルフルなヴォーカルを効果的に配した遊び心満載のキャッチーなフロアトラックとなった。原点回帰したかのような初期作風感漂うサンプル使いにダニーバードの懐の深さを再認識させられた。もちろんこれもフロアで爆発的人気を得るだろう。
 B面"Jungle Mix"は、ここ最近のダニーバードお気に入り(?)"Shock Out"でも垣間みれたおなじみのオルタナティヴ・プロダクションである。彼特有の変則アーメン・ビートにキャッチーなギミック・サンプルで否応無しにフロアをロックする、正真正銘のパーティ・チューンだ。90年代中期頃、一世を風靡した"Smokers Inc"や"Joker"のエッセンスが多分に感じられ、古き良きジャングル文化が彼によって現代に甦ったと言えよう。
 さらに本年度はダニーバード・フォースカミング・リリースで、みんなが待ち望んでいるあの曲"Paperphase"が〈Breakbeat Kaos〉からついにリリース。あのエレクトロ・ドラムンベース最強兄弟、FT.ブルックス・ブラザーズがまたタックを組み、懐かしのフレンチ・ディスコを思い起こさせるフィルター・ハウス・ドラムンベースに仕上がっている。
 まだリリース前だが、2010年のアンセム・ザ・イヤーをこれで決まりだ。

Chart by DISC SHOP ZERO 2010.01 - ele-king

Shop Chart


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G.RINA

G.RINA MELODY & RIDDIM #1: mashed pieces MELODY & RIDDIM / 日本 / 2009.12.25 »COMMENT GET MUSIC
シンガーでありプロデューサー、トラックメーカー、DJでもあるG.RINA自身が立ち上げたレーベルの第1弾。ダブステップの名曲の数々をレゲエでいうリディムと捉え、そこに自作のメロディを乗せたストリートアルバム的内容。アイデアの斬新さだけに頼ることの全くない、オリジナルと別の輝きを持った楽曲としての完成度の高さに、彼女の多面的才能の豊かさを改めて実感。G.RINA流の新しいリズム&ブルーズの萌芽。

2

LIGHTNING HEAD

LIGHTNING HEAD TRAFFIC JAM / NOW I DELIVER (VERSION) / 2009.12.11 »COMMENT GET MUSIC
元ROCKERS HI-FI、BIGGABUSHとしても知られるLIGHTNING HEADの7インチ限定300枚。A面はSTEPHEN MARLEYのヒットをファンキー・レゲエ・ブレイクビーツにカヴァー。トロンボーンのトボケ味なリフ、途中ではアフロなノリも出てくる最高の仕上り。B面はR.HI-FIの名曲リミックス。ゆったりしたムードのオリジナルを、L.HEAD印のダンスホール・ビートで料理。

3

DISTANCE / PINCH

DISTANCE / PINCH CLOCKWORK / ONE BLOOD, ONE SOURCE (REMIX) TECTONIC /イギリス / 2009.12.11 »COMMENT GET MUSIC
B面の盟友PINCHが07年に発表した名作『UNDERWATER DANCEHALL』収録曲のリミックスが特に素晴らしい。ラスタ・シンガーRUDEY LEEを迎えた曲で、RHYTHM & SOUND~BURIAL MIXラインとは全く別の方向からディープなダブへとリミックス。サブ・ベースの歌うようなラインとドラムの感触の対比、そしてその空間にハメられる。

4

SOOM T

SOOM T DIRTY MONEY E.P. JAHTARI / ドイツ / 2009.12.03 »COMMENT GET MUSIC
驚くべき多方面からの支持を受けつつ、いよいよ2月に初来日を果たすDISRUPTとSOOM TのコラボEP。「アンタのキタナイ金なんて要らないわよ!」というサビが印象的なタイトル曲は、この夏に引っ張りダコだった各地フェスやクラブでも大人気だったという曲。ファズが掛かったようなビット・レートの低いダブ・ビートと、SOOM Tの独特な声で繰り出される、歌うようなトースティングが不思議と絶妙な相性。

5

UNTOLD

UNTOLD FLEXIBLE BRAiNMATH / イギリス / 2009.12.15 »COMMENT GET MUSIC
個人的には2009年にその動向/サウンドが最も気になったプロデューサーのひとりUNTOLDの新曲が、ZOMBYやSBTRKTなどもリリースするBRAiNMATHから限定でリリース。もはやUNTOLD印と言える、ヒプノで骨折気味のビートが生む不思議なトライバル感を、真空度高めにグルーヴさせた曲。80年代終わりから90年代頭の実験的ハウス?テクノにも通じる感触。

6

ECHO_TM feat. ECHO RANKS

ECHO_TM feat. ECHO RANKS SKYLARKING KANU KANU / ポーランド / 2009.12.27 »COMMENT GET MUSIC
現在エジプトはカイロ在住のHATTI VATTIが立ち上げたレーベル第1弾、限定300枚。ポーランドのプロデューサーECHO_TMによる、ニュールーツ系レゲエの作品で知られるシンガーECHO RANKSを迎えたディープな音像のミニマル?テック・ダブ。RHYTHM & SOUND?BURIAL MIX直系ではあるけれど、よりレゲエ寄りになっている微妙な感じが◎。裏のリミックスはドイツのBIODUB。

7

KALBATA

KALBATA OH GOSH / KARL BUTTER BOTANIKA / イスラエル / 2009.12.27 »COMMENT GET MUSIC
WARRIOR QUEENを迎えたSOUL JAZZからのシングルが大人気だったイスラエルのダブステッパーKALBATAの最新シングル。エレクトロな感触が前面に出つつのダンスホール・ビートのA面は、クドゥロや高速のMCが乗るグライムとも相性が良さそう。B面ではさらにエレクトロ感を増し"テッキーな"というのとはまた違うテクノな感触のトライバル・グルーヴを聴かせてくれる。

8

MJ COLE feat. SEROCEE

MJ COLE feat. SEROCEE AO PROLIFIC / イギリス / 2009.12.27 »COMMENT GET MUSIC
2ステップで有名なMJ COLEによるUKファンキー。TODDLA Tとも組むMC、SEROCEEのレゲエ・ベースのフロウが洗練されたトライバル・ビートを野蛮にグルーヴさせるオリジナル、ベースが上昇を繰り返す自身のリミックスも良いが、そこにカーニヴァルなムードも加わって01?02年のレゲエ味ブレイクビーツが大盛り上りだった時代の感触も思い出させてくれるZED BIASによるリミックスが楽しい。

9

ION DRIVER

ION DRIVER WHAT SITUATION RICOCHET / イギリス / 2009.12.27 »COMMENT GET MUSIC
「レイヴ後のモハーヴェ砂漠で日の出の音を録音したら」なんて資料にはありましたが、そうイメージすると妙にハマる5曲入。トライバルだったりサイケなチルアウトだったりゲットー・ベースなグルーヴもありつつの、ディープでプログレッシヴなテッキー・ビーツ。これも"ダブステップ以降"のひとつの形を示す重要な1枚となりそう。

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JOKER

JOKER CITY HOOPER / OUTPUT 1-2 TECTONIC / イギリス / 2009.12.27 »COMMENT GET MUSIC
メジャー・アーティストのリミックスを手がけるなど、そのサウンドもすっかりトレードマークとなった新世代JOKER待望の新曲は地元ブリストルのTECTONICから。スロウでへヴィなグライム?R&B風トラックに、お得意のロボティックなシンセが歌うA面。B面は、このレーベルらしいディープさも出たトラックで、中盤以降のリズムの変化も◎。爆音で聴けば、この音の解像度にやられること間違いなし。

CHART by Electro-Violence Distribution 2010.01 - ele-king

Shop Chart


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ROTATOR/JIMMY S/SOMTEK/FEXOMAT...

ROTATOR/JIMMY S/SOMTEK/FEXOMAT... TNI 12 TERROR NOIZE INDUSTRY / スイス / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
BREAK CORE IS BACK!と言うか、そのブランドのみが先行し中身まで理解されることなく忘れさられてしまった感のあるブレイクコア。HARDCOREやSPEEDCOREの中の小さな一パートでしかなかったBREAKCOREがIDMやノイズとクロスし、突き抜けて行ったのが大まかな流れ。フォーマットに縛られることなく究極なサウンドを追求する姿勢、アーチストがいる限り終わらない。ハナたらしまくりでデジタラシな音響グラインドFEXOMATがクソ。

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SLYDTEK / MEID / BASIL

SLYDTEK / MEID / BASIL OUANAIGAINE 10 OUANAIGAINE / フランス / 2009/12/23 »COMMENT GET MUSIC
ASTROFONIK傘下でアホアホなマッシュアップ、トボけたネタ使いで人気のOUANAIGAINEレーベル最新作。そのありえないネタ使いも魅力のうちなんだが、特にDJ MEID、最近成長著しいロシアのBASILなどのシーケンスの妙技に注目すると、TRIBEが高度に綿密に仕掛けられたダンスミュージックだということがよくわかる。楽しく、そして深く聴かせる一枚。

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KELTEK

KELTEK WORLDS ENDS (V.I.P.) AMALGAM / イギリス / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
TECH ITCH、ELEMENTS OF NOIZE、PANACEA他当時テックステップと呼ばれていたサウンドにルーツを持つダークステップ。UKのメインストリームのドラムンベースと懸け離れて行くことによって、その存在をより際立たせている。テックステップの初期衝動をブレイクコアを通過したスキルでブラッシュアップ、よりダークにメタリックに。SPEEDCOREやFLASHCOREにも通じる攻撃性、破壊力。

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SYTRI-X

SYTRI-X METALIKEA SYTRI-X / フランス / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
FREE STYLE LISTENサブのKICK FOR KILLリリースで話題のニューカマー、遂に自身のレーベル、その名もSYTRI-Xをドロップ。トライブの超絶リミックス・スキル、ハードコアでいてファニーなマッシュアップ・サイドをお楽しみください。第一弾とあって気合が入りすぎたのか、メタリKにGバスター、ジョニーBとありえないヤバさで聴かせます。

5

SPIRAL TRIBE

SPIRAL TRIBE THIS IS TRANCE NETWORK REPRESS / フランス / »COMMENT GET MUSIC
NETWORK23レーベルの名作や周辺アーチストの激レア未発表曲までをも発掘、紹介するNETWORK REPRESSも早くも23作目。記念すべき今回は'94年FORCE INC.からリリースの4曲入りアルバムTHIS IS TRANCEよりのカット。お宝アイテムが最高の音質で聴けます。

6

TLB / SPARKS / VIKO / PARANOIAK 12

TLB / SPARKS / VIKO / PARANOIAK 12" ARCHITEK 19 ARCHITEK フランス / 2009/12/23 »COMMENT GET MUSIC
フリースタイルリッスンのショーケース的サブレーベル、ARCHITEK最新作!トップのTLBから、VOKO@LABO14、ニューカマーPARANOIAK、ラガものからシンセでハメまくりのハードコアトランス、キック命のハードダンスまで、一気に聴かせます、使えます!今からTRIBE聴かれる方は、この辺からいかが?

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KEJA / KAN10 / OZYSTIK 12

KEJA / KAN10 / OZYSTIK 12" 3672 1 07 3672 1 / FRANCE / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
エレクトロ(ハウス)とは対極に位置する仏アングラTRIBE/HARDTEKのシーンにあっても異色な存在のMACKITEK。時にブレイクコアやスピードコアさえも凌駕するテクノパンクスとも呼ばれるその過激さ、カオス。そんな彼らがSPIRAL TRIBE他先達に敬意を表し、ダンスミュージックとしてのTEKNOを突きつめるべく立ち上げたサブレーベル最新作。変態テクノとういうありきたりな表現では、到底語りつくせないOZYSTIKの変則、倍速トラックに絶句。

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LA FOUDRE

LA FOUDRE LE CHAOS ORDINAIRE NO-TEK / FRANCE / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
10数年前ここ日本でも一部の好きものから絶賛されていた元祖EXPERIMENTALハードコアテクノ・レーベルEXPLORE TOIの残党がしれーっと復活です。SPEEDCOREをよくわからない方もいるかもしれませんがガバ臭い方ではなくノイズアヴァンギャルドでハナタラシまくりのアレです。以前のそれとの違いを強調する意味で本人らはTRIPCOREやFLASHCOREとのキャッチを使っておりますが、言いえて妙、聴けば納得です。極悪ハードコアギャルMOUSEの大名曲のリミックスもなぜか収録の限定300枚。

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BIOCHIP C.

BIOCHIP C. ANTIMATTER EP OFF BITS / FRANCE / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
アシッドと言えばフランスです。ご存じない方も多いかもですが、DJ ESPの名曲、未発曲のみを発掘リリースするレーベルがあったりと、かなりマニアック。今回紹介するのはハードコアPSYCHIK GENOCIDEを擁するAUDIO GENICによるACID専門レーベル、OFF BITS最新作。ハードコア(テクノ)大御所THE SPEED FREAKことバイオチップCがフレンチコアのグルーヴ感や攻撃性を損なうことなく、暴れまくってます。

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AARON SPECTRE

AARON SPECTRE AMEN,PUNK EP OMEKO / JAPAN / 2009/12/10 »COMMENT GET MUSIC
2005年リリース。全世界のブレイクコアチャート一位を獲得した傑作中の傑作。仏PEACEOFFレーベルオーナーのフランク(ROTATOR)も来店時にどっさり買い付けていきました。今やオークションでも高値のレア作。デッドストック数枚のみ。

Flashback 2009 - ele-king

『100%RAP』は怠け者による最高のサウンドトラックである

 アルバム・チャートを作るのが楽しくて、ハマってしまった。CDを部屋中から集め、サンプル盤しかないものは新宿のタワレコに買いに行き、ついでにUSのヒップホップやR&Bを中心に結構な枚数を新しく手に入れた。そして、帰省していた年末年始を挟んで、昨年末から今まで聴きまくっている。僕は2009年も相変わらず日本のヒップホップをメインに追い続けたが、総合的にこのジャンルは1年を通して刺激的であり続けた。世の中の不安定な情勢をまるでエネルギーにするかのように、凋落するこの国の経済と反比例するかのように、進化を続けた。いまこの音楽を聴かないと何年か先に間違いなく後悔することになるだろう。もちろんすべてを完璧に追えているわけではないし、僕にも好き嫌いは当然ある。ただ、時間と気持ちとお金に多少でも余裕があれば、気になったものを聴いておいて損はない。

 おそらく北米のインディ・ロック・シーンがそうであるように、ムーヴメントとしての面白さが現在の日本のヒップホップ・シーンにはあるのだろう。00年代後半、特に2009年の成熟ぶりには特筆すべきものがあった。それについてはこれから語ろう。ただ言っておくと、それは「最先端」とか、そういう言葉に納まる類のものではない。そんなスノビズムを拒絶するような泥にまみれながら輝く文化としてある。日本のヒップホップ/日本語ラップの魅力は、音と言葉で時代の変化や現実を克明に生々しく伝えるメディアとして機能している点にもある。だから、この国においてマイナーなジャンルであることに悲観することはないし、セールスとか、数値では計れない次元で目の醒めるような音楽的独創性と鋭い社会批評性を保っているこの文化に携わる人間には自信を持って堂々としていて欲しい。

 批評家の矢部史郎は00年代初頭に言った。「マイナーを滅ぼすことはできない」と。そもそもこの国の経済そのものがガタガタなのだし、じたばたしてもはじまらない。SEEDAのリリックを引用するならば、「WE FUCKIN MAJOR インディーズだがメジャー WE DA OFFICIAL FUCKIN MAJOR」("Get That Job Done")ということになるのだろう。僕らは2009年も素晴らしい音楽とちゃんと出会えている。産業について考えることも大事だけれど、音楽を語る言葉を豊かにして、小さな蠢きをひとつの文化として活性化させることの方がよっぽど意味のあることだ。

100%RAP
鎮座DOPENESS

 さて、前置きが長くなったが、僕はアルバム・チャートの1位に鎮座DOPENESSのファースト・ソロ・アルバム『100%RAP』を選んだ。このユーモアたっぷりの43分あまりのアルバムをトップにすることにまったく迷いはなかった。ジェイ・Zの『ザ・ブループリント3』を押さえての1位というのにも意味がある。もちろん賛否両論はあるだろうが、これはひとつのメッセージだ。たしかに『ザ・ブループリント3』は圧倒的だし、これぞヒップホップといった、エネルギッシュなアルバムだ。音は古くて新しく、ヴィヴィッドな時代性があり、しかもグローバルに波及するパワーがある。それでも僕は、鎮座DOPENESSの、植木等のスーダラな楽天性をこの時代に引っ張り出してきた嗅覚と、ファンキーでソウルフルなラップ、この国でしか生まれ得ない素晴らしく雑食的な感性――ダンスホール、ファンク、ソウル、フォーク、歌謡曲から忌野清志郎まで――を支持したい。鎮座DOPENESSの世界観をうまく捉えた菱沼彩子のキュートなイラストもとても良かった。『ザ・ブループリント3』がオバマ大統領就任に胸躍らせるアフリカン・アメリカンによるヒップホップだとしたら(冒頭の"WHAY WE TALIKIN` ABOUT"を聴いて欲しい)、『100%RAP』は政権交代以降、いまや一国のトップさえ経済成長に疑問を呈する国の怠け者による最高のサウンドトラックと言える。ボブ・マーリー風に言えば、「EVERYTHING IT`S GONNA BE ARLIGHT」という感じか。朝寝坊と電話で上司に遅刻の言い訳をする"朝起きて君は..."を聴くと、自分の苦い過去を思い出しつつ、笑ってしまう。こういう可笑しみのあるストーリーを書けるのも鎮座DOPENESのオリジナリティだ。

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 アメリカでは、ドレイク、キッド・カディ、ワーレイはギャングスタ・ラップを更新する新たな時代のスター(3人は、昨年、米『GQ』誌の「Gangsta Killers」という記事でフィーチャーされた)としても注目を集めている。鎮座DOPENESS、PSG、S.L.A.C.K.(PSGのメンバー。ラッパー/トラックメイカー)の登場はその動向との奇妙なシンクロニシティがあって、00年代、この国のアンダーグラウンドで市民権を得た、上昇志向をキーワードとする所謂ハスリング・ラップ/ハードコア・ラップとは別の流れを今後生み出す契機に間違いなくなるだろう。昨年末、鎮座DOPENESSが、MSCの所属するレーベル〈Libra〉が主催するフリースタイル・バトルの全国大会〈UMB〉で優勝したのもその予兆と言えるかもしれない。

鎮座DOPENESS

 マクロに視れば、今の日本(あるいは諸外国)はアメリカの金融危機の余波による不況といった景気循環のひとつの局面ではなく、資本主義というシステムが再考されるべきレヴェルに達していると言う学者もいるぐらいで、事実、自分たちのライフスタイルを根本的に変えないと生き残れない時代に突入しているとの実感をヒシヒシ肌で感じている。実際、昨年末、アメリカで黒人若年層の失業率が34.5%に達したというニュースが報じられた。日本はまだそこまで絶望的な状況ではないけれど、頭ではわかっていても、いつまでも右肩上がり幻想が体から抜けない人はこれから生き残るのは難しいだろう。元々のこの国のありように何の期待もしていなかった(社会に無関心というわけではない)僕は逆に気楽な気持ちでいる。むしろ期待に満ちている。鎮座DOPENESS、PSG、S.L.A.C.K.の低空飛行は、そんな気分にしっくりくるものがある。彼らへの期待も高まるというものだ。

 PSGのデビュー・アルバム『DAVID』と、弱冠22歳のS.L.A.C.K.のセカンド・アルバム『WHALABOUT』は、本当にわくわくしながら聴いた。S.L.A.C.K. の甘いソウルの感性やトリッキーなビートは、スラム・ヴィレッジやマッドリブを彷彿とさせるが、団塊の世代や大人に毒づく"ANOTHER LONELY DAY"のドキッとするような物言いはパンキッシュですらある。これは僕の今年の1曲だ。まったく末恐ろしい若者が登場したものだ。『David』に破壊力のあるミキシングやマスタリングが施されればもっと良かったと言う人の意見には賛同するけど、とはいえ彼らのユニークなアイディアやSF的発想力には目を見張るものがある。また、ヒップホップ、ハードコア、レゲエが衝突するCIA ZOOのラッパー/トラックメイカー、TONOのファースト・ソロ『TONO SAPIENS』の、カッコ良い! という言葉が思わず口からついて出てくるような疾走感には痺れた。スピードという点においては、トゥー・フィンガーズと同じぐらいの速さがあっただろう。彼ら新世代のアクトは、前時代的な所謂海外コンプレックスを独自のやり方で克服しようとしているように見える。そんな彼らの試みはまだ過程にあるものの、邦楽や日本文化への偏重から来る閉塞とは明らかに別の次元で鳴っている。

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 他にもいろいろあった。DJ BAKUによる日本語ラップ・オムニバス『THE 12JAPS』には強い変革の意志を感じたし、KILLER-BONG(K-BOMB)の日々の実験と奔放なサンプリング・センスの成果をまとめた『LOST TAPES』には相変わらず輝くものがあった。年末におこなわれた、K-BOMBが所属するTHINK TANKの、ダブやフリー・ジャズの感性をヒップホップ・ライヴに落とし込んだタイトな復活ライヴには興奮したが、あの黒く狂った息吹はより多くの人の耳に吸い込まれていくことだろう。(今年のイヴェントだが)先週末、プライヴェートのこんがらがった日々から来るであろう痛々しさと力強さを剥き出しにしたRUMIの『HELL ME NATION』の告白的なリリース・ライヴから目を逸らすことができなかった。RUMIの、女性の加齢について大胆に切り込むラップは特別なものだ。あんな風に女性が肌の小皺と弛み(!)について歌う姿を僕は他で聴いたことがない。マッチョ男を縮み上がらせる、あの勇気にはマジで恐れ入る。応援するな、という方が無理な話だ。

 ぶっちゃけて言うと、最近なんとなく気づいたのだけど、僕は00年代に一度、音楽が「必要ない」生活を知らず知らずのうちに送っていたのだと思う。曲がりなりにも音楽ライターという肩書きの人間が何を言っているんだと思われる方もいるだろうが、当たり前の話、音楽を追いかけるよりも優先しなければならないことや不意に訪れるアクシデントや熱狂が時に人生には起こるし、だからこそ音楽を強く欲することもできる。さらに言えば、つまらない「ミュージック・ラヴァー」とか「音楽ファン」には絶対になるものかという妙に捻くれた気持ちと既存の窮屈なシーンなるものへの違和感から生じた性急な音楽への愛の表現は、町中で大騒ぎしたり、踊りまくるエネルギーへと変換されていたのだ。まあそこには政治的な動機やもっと様々なモチヴェーションがあったのだけど、細かいことは原稿のテーマとずれるので書かない。今でもそんな一方的な音楽へのむちゃくちゃな想いは心の底にあるものの、ここ1、2年、もう少し素直に音楽ファンとしての気持ちを大事にしようと思えるようになった。

 だからというわけではないが、2009年はここ数年でいちばんCDを買った年だった。他の年と比較してもダントツに買った。メジャー/インディともに面白いものがたくさんあった。配信への移行が進み、CDが売れないと言われる時代に逆行するようにレコード屋によく出かけた。CD/レコード文化を守ろうとかいう大それた使命感などはないが、前よりCDを買う経済的余裕が出てきて(たいした余裕じゃないけど。2、3年前はあの経済状況でよく生活できてたなぁ)、しかもこれまで以上に音楽を聴くのが楽しかった。単純に音を求めていたし、新譜を聴くことに喜びを感じていた。

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 正月の帰省中、高校時代にレディオヘッドやニルヴァーナのコピーまでしていた結婚間近の地元の男友達が、婚約者の運転する車の中で流行りのアイドル・グループの曲を「セクシーだよねー」と何気なくかけていて、音楽との付き合い方も変わるものだなと思ったのだけど、それが良い悪いとかじゃなくて、彼との関係も含め、あぁ、お互い随分変わったなと感慨深かった。僕が生きている社会と彼の社会はまったく別のところにあるという当然の事実を、ブラコン歌謡風の軽快なダンス・チューンを車内で聴きながら感じていた。突き詰めれば、そういう距離感や現実認識の中で僕は音楽について考えている。

 そこでKREVAの『心臓』は、このチャートの中で唯一あの車の中で鳴っていても違和感なく聴けたはずだなと思った。『心臓』は絶妙なバランス感覚を有していて、密室的なラヴ・ソング集としても、ある意味ブラコン歌謡の最新形としても、R&B寄りのヒップホップ・アルバムとしても聴ける。つまり、大衆音楽として強度のあるアルバムだ。去年、家で繰り返し聴いた1枚だ。他方、KREVAが参照したのと同じUSアーバン・ミュージックやスタジアム・ロックばりの派手なギターを消化してオリジナルなサウンドを作り上げたSEEDAの通算7枚目のアルバム『SEEDA』は、自民党と民主党の固有名を挙げてストレートな政治批判を展開する "DEAR JAPAN"がいい例だが、SEEDAの内省と外(社会)に向かう気迫が融合したアヴァン・ポップな作品だった。騒々しく飛び交うシンセ音には圧倒されっぱなしだったが、今にも安室奈美恵がセクシーに歌いだしそうな"FASHION"のキャッチーさにもやられた。どちらが知名度の意味でポピュラーかと言えば、もちろんKREVAだが、どちらにポップ・ミュージックとしての突破力を感じるかと言えば、僕はSEEDAに軍配を上げたい。

 S.L.A.C.K.やKREVAやSEEDAらのメロウでスウィートなテイストを持った楽曲はソフトな耳ざわりと裏腹に挑戦的な試みでもある。年末、オリコン・デイリーチャートで最高5位を記録したSEEDAの復活シングル「WISDOM」はその路線におけるひとつの結実だろう。シングルでは、七尾旅人とやけのはらの甘く切ない「ROLLIN` ROLLIN`」も最高だった。00年代中盤、MSCやSEEDAがファッション化していたストリートという概念に対抗的で野性的なニュアンスを注入して、ストリート・ミュージックとしてのヒップホップを再定義して以降の次なる展開の予感さえ感じる。昔はストリートなんて言葉は白々しくて使いたくなかったけど、彼らの出現以降、その言葉を使うことにそこまで躊躇しなくなった自分に今さらながら気づいたりもした。

 まだまだ書きたいこと、突っ込むべきことは山ほどあるが、時間切れ。ムーヴメントと言うにはまったくてんでばらばらなこのシーンが10年代に果たしてどんな展開をみせるかは予測がつかないが、僕はアンビバレンツな、一筋縄では行かない気持ちを抱きながら、この国の大きな情勢から見れば、ほんの小さい、マイナーなムーヴメントをいまはどこまでも肯定しよう。それは去年1年間で熟成された気持ちで、2008年までは言えなかったことだ。2010年も刺激的な年になるに違いない。



■Top 20 Hip Hop albums of 2009 by Shin Futatsugi
1. 鎮座DOPENESS/100%Rap(W+K東京LAB /EMI)
2. Jay-Z/The Blueprint 3(Roc Nation/ユニバーサル)
3. PSG/David(ファイルレコード)
4. Seeda/Seeda(Concrete Green)
5. S.L.A.C.K./Whalabout(Dogear Records)
6. Drake/So Far Gone(October's Very Own)(mixtape)
7. Kid Cudi/Man On The Moon:The End Of Day(G.O.O.D/ユニバーサル)
8. Tono/Tono Sapiens(CIA REC)
9. Two Fingers/Two Fingers(Big Dada/Paper Bag Records)
10. Rumi/Hell Me Nation(Popgroup)
11. Mos Def/The Ecstatic(Downtown/Hostess)
12. ECD/天国よりマシなパンの耳(Pヴァイン)
13. Killer Bong/Lost Tapes(Blacksmoker)
14. Skyfish/Raw Price Music(Popgroup)
15. Shafiq Husayn/Shafiq` En A-Free-Ka(Rapster)
16. Keri Hilson/In A Perfect World...(Mosley/Interscope/ユニバーサル)
17. Kreva/心臓(ポニーキャニオン)
18. DJ Baku/The 12Japs(Popgroup)
19. Killa Turner/B.D.&Roverta Crack/Nipps/the sexorcist presents Black Rain(Tarpit Records)
20. Raekwon/Only Built 4 Cuban Linx... Pt.2(Ice H2O/EMI)

次点
The-Dream/Love VS. Money(Def Jam/ユニバーサル)
Wale/Attention Deficit(Interscope/Allido)
Rihana/Rated R(Def Jam/ユニバーサル)
Pitbull/Rebelution(RCA/Jive)
Ghostface Killah/Ghostdini Wizard Of Poetry In Emerald City(Def Jam)
Common/Universal Mind Control(Geffen/ユニバーサル)
Dudly Perkins/Holy Smokes(SomeOthaShip/E1)
スチャダラパー / 11(エイベックス)
Issugi/Thursday(Dogear Records)
O2/Stay True(Libra)
鬼 /獄窓(赤落PRODCUTION)
Juswanna/Black Box(Libra)
SD Junksta/Across Tha Gami River(Yukichi Records)
V.A/Chocolate Factory#2(Ing Records)
Zen-La-Rock/The Night Of Art(Awdr/Lr2)
般若/Hanya(昭和レコード)
サイプレス上野とロベルト吉野/Wonder Wheel(Almond Eyes/Pヴァイン)

電気グルーヴ - ele-king

 そして最後の『ノモビデオ』(これだけオリジナル・リリースもDVDがあった)。タイトルとしては『シミズケンタウロス』『ニセンヨンサマー』『レオナルド犬プリオ』と並ぶ偉人シリーズ。本編はPV集で、アルバム『VOXXX』期の田中秀幸仕事が卓球ソロとあわせて堪能できる。しかし、PVは正直どこでも見られるしリアルタイムでもかなりあちこちで繰り返し見たものばかりで、意外性や新しい発見はない。制作時の裏話が聞ける副音声のコメンタリーも悪くはないが、ものすごーくテンション低く自分たちで「言うことない」などと告白しており、え~~~と言いたくなる。

 しかし、おまけとして追加されたディスク2がイイ。2000年、アルバム『VOXXX』のツアー、異常な盛り上がりを見せる大阪の一夜。ライヴ・アルバム『イルボン2000』で既に音源はリリースされているが、このままバーンアウトしたように長い活動休止に陥る前の、なにかやりつくそうとしてるようなテンションは映像を伴ってさらに凄みを増す。大阪は行ってないので、この現場は見ていないが、クリスマス時季にお台場のZepp東京でやった充実のステージはいまでもはっきりと覚えている。まりん脱退後、渡部高士やDJ Tasakaをサポートに迎え試行錯誤を繰り返した電気が、オリジナル・メンバーと対をなして張り合えるパワーをもったTasaka&Kagami(要するに、Disco Twins)を得たことで、以前のような自由さ、活性感を取り戻した記念すべきツアーの一夜だったからだ。

 重く苦しかった『VOXXX』のレコーディングを脱してツアーに出た開放感、それにDJ周りの機材の進歩、ヒップホップ・マナーのTasaka+直感的なKagamiの参加......すべてがプラスに作用したからか、かなりフリーで即興的なライヴになっている。"密林の猛虎打線"や"エジソン電"、"インベーダーのテーマ"あたりが客とのやりとり含めてものすごいことになっていた記憶があるのだが、残念ながらここではすべてカットされている。しかし、半分以下の尺でも伝わってくるのは、それまでバランス取りながら突き詰めてきたDJカルチャー的な良さを失わずに、またさらに「電気的」なる表現を一歩も二歩も進めた凄み。

 一方、コメンタリーはサポートのふたりが参加して、どこか和やかなムードも漂っている。このアニキ的な役割に微妙にチェンジしたふたりとDisco Twinsとのかけあいは、当時のステージでのやりとりを喋りで再現しているようでもあり、おもしろい。またしばらくお休みの期間に入ると噂される電気グルーヴだが、冒頭に言っていた「20年後にこれまたやろうぜ」っていう冗談が実現するように、ぜひともがんばって欲しいものだ。

Skunk Heads - ele-king

 12月29日の深夜、渋谷の〈asia〉で観たシンク・タンクの復活ライヴは素晴らしかった。あの場に立ち会えたことを心の底から嬉しく思う。そして、ライヴまで酒で撃沈しなかった自分の節度に感謝し、その後案の定記憶を飛ばした(テキーラ祭りには参ったよ。札幌の方々は本当によく飲みますね、DJ KEN(MJP)! 磯部涼はいつの間にかいなくなっていたが......)。00年代を通じて、ジャンルの領域を横断し音楽的実験を繰り返してきた〈Black Smoker〉がオーソドックスなヒップホップ・ライヴに真正面から向き合った結果生じたケミストリーは、こちらの想像を軽々と超えるものだった。制限やルールを取っ払い、フリー・ジャズ、ノイズ、ダブへと向かっていた彼らのフリーフォームな感性は、ストリクトリー・ヒップホップのフォーマットを採り自分たちを縛ることで逆説的に別種の自由さを手に入れ、4人のラッパー――K-BOMB、JUBE、BABA、NOX――とサックス奏者、CHI3CHEE、そしてDJ YAZIは、ファースト・フル・アルバム『BLACKSMOKER』(02年)に収録された曲にまったく異なるブラックな息吹を吹き込んだ。それにしても彼らの人気には凄いものがある。これは2009年の日本のヒップホップにおける重要なトピックなので、2009年を振り返る原稿でも触れます。

 さて、ここで本題。シンク・タンクが復活したのは何を隠そうBABAが現場に復帰したからで、ここで紹介するのはBABAによるバンド・プロジェクト、スカンク・ヘッズのファースト・フル・アルバム『Anti-Hero』だ。スカンク・ヘッズは、BABA(MPC &ヴォイス)が、Matsu"ZAKI"haze(ギター&ノイズ)とkeita morisawa(ドラム)と共に、2007年に結成したバンドで、これまで2枚のミニ・アルバムと1枚のライヴ盤『LIVE A LIVA of スカンク・ヘッズ』を発表している。2003年に発表したファースト・ソロ『NO CREDIT』やBLUE BERRY名義でのMIX-CDシリーズでBABAの才能の片鱗を伺い知ることができるが、本作では、BABAのラッパー/トラックメイカー/プロデューサーとしての総合的な才能が爆発している。『Anti-Hero』は、ポスト・パンクとヒップホップとの出会いとでも形容できようか。例えば、ア・セートゥン・レイシオがラップに挑戦する様を想像して欲しい。あるいは、僕はヴァーミリオン・サンズの凶暴なダブ・ロックを思い出した。K-BOMBとJUBEのユニット、THE LEFTYがジャズだとすれば、スカンク・ヘッズはロックだ。もちろん、ダブ、ファンク、サイケ、ブルースを飲み込み、ヒップホップがベースにある雑食性の強いロックで、混沌を祝福する音楽だ。間違っても陳腐なミクスチャー・ロックではない。黒煙で覆われた地下空間を切り裂くような凶暴で繊細なアンサンブル、強靭なグルーヴ、BABAの呪文のようなライムと幻想小説を思わせるリリックがコンクリート・ジャングルの地表を揺るがす。まさに暗黒世界のオーケストラが奏でるレベル・ミュージックとでも言える強烈なサウンドだ。蛇のようにうねるベースとレゲエ・ディージェー、牛若丸のトースティングが絡み合う"STONE HAZE"、プログレ・ロックのようなイントロからダブステッピーなビートへと展開する"THE ONE"、SOIL&"PIMP"SESSIONSのTABU ZONBIEの濡れたトランペットの音色が哀愁を誘う"HERE WE AR"。全12曲、さまざまな表情を持った曲が並ぶ。

 11月中旬以降、野田(努)さんが2009年を振り返る原稿で触れている『ゼロ年代の音楽――壊れた十年』という本の執筆もあって100枚以上のアルバムを聴いたと思うが、それでもこういう刺激的な音楽が世の中で鳴っている限り、僕はまだまだ音に貪欲になれる。現在我が家では、緻密なアレンジによるファンク・サウンドを展開した、椎名林檎「能動的3分間」と『Anti-Hero』がヘヴィーローテーションである。この2枚はファンクとロックというキーワードにおいてコインの裏表のように思われる。これについてはまだ裏づけがあるわけじゃない。僕の個人的な妄想の域を出ない戯言だ。さて、最後にBABAの素晴らしいパンチラインをふたつほど引用しよう。「悪夢とモラルをシェイク」「ただでさえクセー町に悪臭撒き散らす/戯言吐き出す」("THE ONE")。
 ということで、2010年も戯言を町に吐き続ける。
 
追記:ネットでも流れている、僕が『Anti-Hero』に寄せた文章の記名が一部で「二木崇」さんとなっているのは誤りです。念のため。

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