![]() Heart Beat Presents Mixed By Derrick May× Air Heart Beat |
ハウスのミックスCDと言われてとくに興味も湧かないような人でも、デリック・メイの13年振りのそれと知れば振り向くかもしれない。実際、都内のレコード店に行くとどこも力を入れて店頭展開している。われわれ世代にとっての最高のDJによる久しぶりの公式のミックスCDなのだから当然といえば当然だ。
僕にはこのミックスCDが期待以上に面白かった。女の笑い声からはじめるところもいいし、彼が----この一流のDJが、ピッチが多少合っていない箇所もそのままさらけ出した、実に生でヒューマンなミックスをしているところがとくに良かった。CDということもあってか、宇川直宏が言うところの"絶倫スタイル"は影を潜めているかもしれないが、彼のエレガントさ、未来的な響きとトライバルな展開との往復は健在である。
また、デトロイト・テクノならではの----というかデリック・メイならではの最初の3曲のかけ方----動物的だが上品で、力強くもデリケートな展開(そしてまるで手を引っ張るように、なかば強引に「オレの世界に連れていくぜ!」って感じ)がいまでも充分に魅力的なことも良かった。これ、彼のDJを何度も経験している人は知っている。とにかくデリック・メイは最初のはじまり方がホントにうまい。あれで人は魔法をかけられたように幸福な気になって、まんまと騙されるのだ。
人間らしく聴こえるものを作るために人が金を払う時代がくる。そんなソフトウェアを人間が買うなんて、悲しすぎると思わないか? 最悪だな! この世の終わりだ! どのみち、俺がやっていることは今後そう長くは続かないと思う。
元気ですか?
元気だぜー。
今回は13年振りの2枚目の公式のミックスCDとなるわけですが、この2枚とも日本のレーベルからのリリースになりました。ある意味、あなたと日本との関係を物語っているようにも思うのですけど。
え? 13年前? ホントにそんな昔か? オーマイゴッド! 俺が日本をどれほど特別に思っているかはもうよく知ってるだろ! 俺は日本が大好きなんだよ。日本の仕事は喜んでやるさ。それはビジネス的な観点でなく、俺は日本を第二の故郷みたいに思っているからだ。なぜだかわからないが、日本はデトロイトと深いつながりを持っている。なぜこれほどまでに日本とデトロイトが親密になったのかはわからない。特定のシーンが特定の場所と特別な関係を持つケースは他にもある。例えば、もともとイギリスの植民地だった東南アジアの国ではサシャやディグウィードが人気だとか。日本の場合は、クラブ〈ゴールド〉の頃からニューヨークとの深い繋がりがあった。その後〈イエロー〉ができて、より幅広い音楽が聴かれるようになった。それがあのクラブの本当にクールだったところだ。そのなかでデトロイトの音楽も紹介されるようになり、俺たちに扉を開いてくれた。
浅沼:新宿〈リキッドルーム〉もデトロイト音楽を紹介したという点では重要だったと思いますけど、どうですか?
たしかに。俺が初めて日本に行ったときは東京も地方も小さいクラブでやったのを覚えてるが、2回目は〈リキッドルーム〉だったな。その後4~5年は続けて〈リキッドルーム〉でやったと思う。〈イエロー〉でやったのはだいぶ後になってからだ。新宿の〈リキッドルーム〉が閉店してしまってからじゃないかな? いずれにせよ、そういう過去があるからいまがある。現在のデトロイトと日本の関係が築かれたんだ。これは俺に限ったことじゃない。デトロイトの連中はみんなそう感じているはずだ。
[[SplitPage]]浅沼:ふたつのミックスCDを日本から出すことになったのは、日本のレーベルにオファーされたからなのか、それともあなた自身が日本のオーディエンスに特別な気持ちがあるからなんですか?
俺は世界中どこへ行っても、自分の好きな音楽をかけている。それはよく知ってるだろう? でも、日本でプレイすると、他のどの場所よりも心地よくそれができる。どうしてなのかは上手く説明できない。もしかしたら、日本の未来的(フューチャーリズム)な部分がそう思わせるのかもしれないな。日本に行くと未来にいるみたいな、エキサイティングな気分になる。いつも日本に着くと、ホテルにいるのがもったいなくてすぐに街に出るんだ。ご飯を食べに行ったり、レコード屋に行ったり、朝はすぐにコーヒーを買いに行ったり。とにかく街を歩き回りたくなる。東京に限らず、日本のどの街に行っても同じだ。それくらい俺にとって居心地がいいんだよ。まあ、いつも言ってることだからよく知ってると思うけど!
僕はこのミックスCDを初めて聴いた夜、泣いたんですが、何故だかわかります?
ええ! マジで? そこまで大したもんじゃないだろ! なんで泣いたかなんてわからねえよ!
まず最初のミックスが素晴らしい! 細かいことを言うと、最初の3~4曲目までのミックスが本当に格好いい。デリック・メイらしい技というか、見事ですよ。
そういうことか。あれを聴いて何か思い出したってことなんだな。なるほど、それなら理解できる。(ここでいきなりiPhoneと取り出し、音声を流す)「カイキョー」。「カイキョー」。
浅沼:は? 改良? 改行? 何ですか???
これだよ(と画面を見せるとそこには「海峡」の文字)。
浅沼:「海峡」!? 日本語勉強アプリですか?
いいだろ、これ。毎日ひとつずつ言葉を教えてくれるんだ。だいぶ上達してきたぜ。今度日本でタクシーに乗ったらまず「カイキョークダサイ!」って言ってみる!!
......ぜひ次回試してみて下さい。で、次の質問ですが......ちょっと真面目な話をしますよね。この10年、音楽環境はずいぶんと変化しました。オンライン・エイジ、mp3、ダウンローダーズ......これらデジタルの大衆運動はある側面では歓迎すべきことでもありますが、ある側面ではどうかと思うことがあります。そのひとつの例を言えば、DJのミックスです。いまやたいてい、どんなミックスCDでもコンピュータで完璧にピッチを合わせてあります。そしてDJはピッチの合わせの練習をすることなく、データを操作してミックスする若いDJも少なくありません。
そうだな、そういう連中はピッチ合わせができるようになることはない。そういう奴らは「DJ」と呼ばれるべきではない。「オーディオ・テック(技術者)」と呼ばれるべきだ。DJの定義は、物理的なマニュアル操作ができる人間に限られるべきだ。こういう新しい種類の「DJ」は音楽は流しているがDJをしているわけではない。テクノロジーを使って音楽をかけているのだから、「オーディオ・テック」だ。この呼び方を俺は定着させたいと思ってる。DJとオーディオ・テックはまったく違うんだってことをみんな理解して欲しいね。オーディオ・テックが悪いってわけじゃない。ただまったく別モノだから、彼らをDJと呼ぶべきではない。DJに出演してもらうのか、オーディオ・テックに出演してもらうのか、頼む方はよく理解しといてもらいたい。
(それはそれで、たとえばリッチー・ホウティンのようなクリエイティヴなこともできるだろうけど)あなたのこれは人間味を排除していく文化状況に抗っているように聴こえるんですよ。
ほう、それは嬉しい感想だな。ただ俺は抗っているつもりもなくて、俺のやり方を貫いているだけだ。これをいつまで続けることができるかはわからない。それが現実だ。このミックスCDを俺は1テイクで録った。途中で止めることもなく、やり直すこともなく、ただそのときの直観でかけたいものをかけたいようにプレイした。それがいい仕上がりになるかどうか考えもせずプレイして、たまたまでき上がったものなんだ。でも、逆にそういうものをリリースしたいと思った。細かい修正を加えて綺麗に仕上げることなく、そのまま出したいと思ったんだ。だからMAYDAYミックス(『MIX-UP』)とは違う。MAYDAYミックスは、テクニックを披露する目的で作ったものだった。俺がラジオ番組をやっていた頃に培ったテクニック、デトロイトではみんなが使っていたテクニックだ。ケヴィンやホアンが編み出したテクニックもある。それを、「見てみろ、俺にはこんなことができるんだぜ!」と見せつける目的で作ったミックスだったんだ。「他のDJには絶対真似できないことをやって見せてやる!」ってね。そういう意味では、俺がMAYDAYミックスでやったテクニックの多くは、やっといまのテクノロジーを使って他の奴らにもやれるようになった。だから今回のミックスは、「ヒューマン・エラー」あるいは人間の「本能」へのトリビュートといったところだな。現在のテクノロジーの力を借りずに、人間の力で作ったものだ。全てが完璧に作られている現在、逆に貴重なものだろう。女性の豊胸手術や鼻の整形に始まり、音楽制作ソフトに至るまで、何にでも傷ひとつない完璧さを追い求めてる世界では、「自然」であることがユニークになってる。俺がやったのは自然なミックスであり、いまの世界ではユニークなものだ。
浅沼:コンピューターでは作れないものですね。
まだね。でも、そのうち「自然っぽく」人間味を作り出すプログラムが開発されるだろうよ。なんとも悲しいことだけどね。人間らしく聴こえるものを作るために人が金を払う時代がくる。そんなソフトウェアを人間が買うなんて、悲しすぎると思わないか? 最悪だな! この世の終わりだ! どのみち、俺がやっていることは今後そう長くは続かないと思う。去年〈Transmat〉からグレッグ・ゴーの「The Bridge」というシングルを出したが、思っていたほどは売れなかった。それなりにレコードもダウンロードも売れたが、もっと売れていいはずだ。素晴らしい音楽を作っている人間はたくさんいるが、それが上手く届くべきところに届いていないように思う。音楽産業、特にダンス・ミュージック産業においては仕組みがめちゃくちゃになっていて、現状を把握出来ている人間がいないんじゃないかな。俺自身も混乱しているし、誰が何をコントロールしているのかみんなわからない状態だ。ディストリビューターは毎日のように倒産しているし、レコード屋も次々と閉店してる。まあそれを嘆いていても仕方ないから、なんとか打開する方法をきっと見つけるけどな!
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あなたのミキシングの影響には、1980年代のロン・ハーディとフランキー・ナックルズがあるけど、どっちの影響が強いんですか?
50/50だな。
浅沼:でも彼らが最も影響を受けたDJですか?
非常に大きな影響は受けているが、それはだいぶ後になってからだ。最初に影響を受けたDJはケン・コーリアーだ。それとデラーノ・スミス。奴は俺とふたつくらいしか歳は違わないが、すでに自分のスタイルを持っているDJだった。彼独自の気品があった。DJにとってはとても大事なことだ。今日のDJの多くに欠けているもの、それがスタイルさ。ただ曲を流せばいいってもんじゃない。そこにその人ならではのパーソナリティが表れているかどうか、スタイルがあるかどうかがDJの善し悪しを決める。それを教えてくれたのがデラーノだった。本当さ、正直に言うよ。
浅沼:へえ! あなたがデラーノについて語っているのは初めて聞きましたよ。
うん、そうかもしれない。でも、俺にとってとても重要な人物なんだ。たしかにいままで彼について触れたことはなかったかもしれないな。
浅沼:彼も〈Music Institute〉でプレイしていたんでしたっけ?
いや、してない。もっとずっと前の話だ。俺たちがみんな高校生だった頃に、地元のハイスクールのパーティなんかでDJしていた。彼は「キング・オブ・ハイスクールDJ」だったんだよ。俺もまだガキんちょでDJをはじめていない頃だ。俺とホアンがDJの練習をしている頃、彼はすでにキングだったってわけさ。俺たちが目指していたDJ像がデラーノだった。ほんと、地元の高校生がちょっとおめかしして出かけるような何てことないパーティ・シーンだったけど、彼がプレイしていた音楽はとても進んでいた。ヨーロッパの音楽もたくさんかけていて、当時アンダーグラウンドだった音楽が流れていた。彼のDJを聴いて、俺もやりたいって本気で思ったね。ちょっと試しにやってみたいというのではなく、俺はこれをやっていきたいって。だからデラーノはいい友人であり、その当時とても影響を受けた人物でもあるんだ。
浅沼:私、デラーノのDJを体験したことがない気がします。
彼は素晴らしいDJだよ。いまでもそれは変わらない。いまでもハングリーだし、新しいことに挑戦している。時代がまったく変わってしまったけど、また最近人気が出て来ているだろう? 結構大きな会場でプレイするようになっているし、聴く機会があったらすごく気に入ると思うよ。彼は常に「クラブっぽい(clubby)」、ヴォーカルものが多めの選曲だが、ミックスのスタイルはとてもオールドスクールで、美しいブレンドでしっかり音楽を聴かせてくれるタイプだ。とてもエレガントにね。オーディエンスを揺さぶるタイプじゃない、ゆっくりとかき混ぜるタイプ。
ほー! あなたのミックスに話を戻しますが......少女の笑い声からはじめたのは何故ですか?
ああ、日本のトラックだな? 一時期俺がよくかけてた「love, peace, harmony...」ってスピーチが入ってるのと同じレコードだよ。日本人が作ったものだ。これを1曲目に選んだのは、まず第一に東京に滞在中にホテルに届けられたものだったから。2週間ほど聴かなかったんだが、ある日聴いてみたらとても面白いレコードだった。パーカッションとか、サウンドエフェクトしか入っていないんだが、とてもクールだった。とくにこの笑い声は日本のちょっとバカっぽい女の子たちのことを連想させた(笑)。「これは絶対使いたい」と思ったんだ。そして第二に、ハッピーな気分にさせる笑い声だったからね。パーティっぽくていいだろう。前のミックスCDはかなりシリアスでダークだったからね。そう、今回はパーティっぽいノリを重視して流れに任せた。
浅沼:レコーディングは自宅のスタジオでやったんですか?
ああ、そうだよ。
今回のミックスCDを聴いてもうひとつ思ったのが、13年前のあれとさほど変わっていないということ。変化というは魅力ですが、あなたは変わらなくても良いこともあるんだと主張しているようにも思ったんですが。
ふむ。要するに、俺は自分を変えずに、変化に順応してきたってことだろ? ブルース・リーが「戦わずして戦う術(the art of fighting without fighting)」と言ったのと同じことだな! ハハハ。たしかにそうだと思う。それは、つねにエネルギーを集中させてやってきたから。当然、ずっと同じレコードをかけているわけにはいかないから、かけているレコードは変わっているんだが、「かけ方」を変えていない。だから、プレイを聴けば俺がかけていることはすぐにわかる。それがどんな曲であってもね。俺は自分のスタイルとエネルギーを保持してきたからだ。
浅沼:どうしてそれが可能だったんでしょう?
それは俺がバッド・マザー○ァッカーだからに決まってんだろ!
浅沼:ハハハ。なるほど(笑)。
俺は好きなことしかやってこなかった。それが秘訣だよ。好きな曲しかかけないから、自分自身が楽しめる。俺がDJするときは、自分もそれで踊っているつもりでやる。俺は好きじゃない曲は絶対にかけない。
浅沼:そうだとしても、さすがにこれだけやっていると飽きたりしませんか?
それはないね。もし特定の曲に飽きたら他のレコードをかければいい。曲単位では飽きることはあっても、音楽やDJをすることに飽きることはない。俺は自宅ではいっさいダンス・ミュージックを聴かないようにしている。車でさえも滅多に聴かない。普段はクラシックやアンビエントを聴いている。ダンス・ミュージックを聴くのはクラブのなかとレコード屋にいるときくらいだ。それが気持ちをフレッシュに保つ秘訣かな。一日中、毎日そればっかり聴いてたら誰でも飽きる。〈Transmat〉のアーティストたちにも、あまり自分の曲を聴き込まないようアドヴァイスしてる。しばらく時間をおいてから聴き直してみろと。制作中でも、2~3日間を空けて聴き直すことで、どこがいけないのか、どこが改善できるのか発見できる。聴き過ぎは禁物だ。
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DJの構成という点でも、一貫しているところがありますよね。ざっくり言ってあなたのDJは、セクシーなパート、スピリチュアルなパート、あとトライバルでファンキーなパートに分かれている。
ああ、合っていると思うよ。要するにストーリーがあるってことだろ? 俺はいつだってストーリーを語るようにしている。曲を作る場合でも、DJセットを構成していく場合でも、そこにはストーリーがある。それはハッピーエンドかもしれないし、最後はジャングルで食われて死ぬってオチかもしれないが、そこには何かしらのはじまりがあり、展開があり、終わりがある。それを旅(journey)と呼ぶ。DJは、お客さんを旅に連れ出すことができなければならない。できない奴は...... DJではない。曲を作る時も同じだ。でも曲を作る際の難しさは完結させなければならないこと。物語をはじめるのは簡単だが、上手く終わらせるのは難しい。そしてこのスキルはやっているうちに自然と身に付くものなんだ。オーディエンスを見て、オーディエンスから学んでいくことだから。自分の恐れと、オーディエンスからもらうポジティヴなエネルギー。自分が前に進んでいるときはそれが感じられるはずだし、そうでない場合もすぐわかるはずだ。「やばい、この曲じゃなかった」と思う瞬間だってある。「次にこの曲をかけて立て直さなければ、2倍強力な曲で持っていきたい方向に軌道修正しなければ」ってね。どんなDJにだってそういう瞬間はある。DJはただ音楽を流すだけではなく、そうやってオーディエンスの気持ちを動かしていかなければならないんだから、そりゃ難しい。お客さんが求めるもの、期待するものにも応えていかなければならない。
逆に、変化について話してください。最近のあなた自身のDJプレイにおける変化がもしあれば。
ふーん。
ますますエレガントになった?
そうは思わないな。もっと怒りのこもった、動物っぽいプレイになったと思うけど? もっとダンスフロアにいる連中の息の根を止めてやろうと、奈落の底に突き落としてやろうと集中してやってるつもりだ!
新しい動きには興味がありますか? ダブステップであるとか、フライング・ロータスのようなエクスペリメンタルなヒップホップであるとか。
まったく興味ない。俺は音楽に興味があるんであって、それが何と呼ばれているかには興味がないんだ。それがどこで誰によって作られたものなのか、どうやって作られたのか、ブラックなのかホワイトなのかイエローなのか、俺にはどうでもいいんだよ。いい音楽はいい音楽。それだけだ。俺がかけたレコードに対して、「それは最高なダブステップ曲ですよね!」なんて言ってくる奴がいるが、俺の反応は「あっそ」だけだ。俺にはダブステップをプレイしてるって自覚すらないんだよ。BBCでやってるラジオ番組でも、ダブステップの曲についてコメントが送られてきたが、俺はそれがダブステップだってことすら知らなかった。俺がかけたカリズマ(Karizma)の曲がダブステップだったっていうんだ。そんなことまったく知らなかったよ。
浅沼:だったら、どうやってレコード屋さんで自分の好きな曲を探すんですか?
人に薦めてもらうこともあるし、ランダムに壁にかかっているものを聴くこともある。東京に行くときは事前にレコード店にいるケイコ(星川慶子)に連絡しておく。そうすると20~30枚お勧めのレコードを選んでおいてくれるんだ。彼女は俺のテイストをわかっているからいいけど、他の国の他の店によってはまったく的外れで最悪なレコードを薦められることもある(笑)。そういう場合はショックだよ。俺がデトロイトから来たテクノDJだって、デリック・メイだって名前だけ知っててプレイを聴いたことないんだろうな、BPMが190くらいの世にも恐ろしい最低な曲を30枚くらい渡してくる。ひと通り聴くだけでも何時間もかかるってのに、全部同じに聴こえるんだ! まあ、そういうこともよくある。そういう場合は、自分で店を一通り見て興味を惹かれたものを聴いてみる。
〈トランスマット〉はいままた動いているんですよね?
いろいろ出るよ。次はZak Khutorestsky(ザック・クトレツキー)というアーティストだ(ミックスCDの最後に収録されている人ですね)。ロシア系だけどミネアポリスに住んでる。素晴らしいアーティストだ。今年5枚、来年5枚は出そうと思ってる。ザックの次は、またグレッグの新曲を出す予定だ。他にもいろいろ計画しているから楽しみにしててくれ。



昨年のハイライトとも言うべきファースト・アルバム『Sub Focus』によってエクストリーム・レイヴ・ドラムンベースの確固たる地位を確立、それを不動のものにしたのがサブ・フォーカスである。そのもっとも待望されていたリリースによってドラムンベース界に新たな核が生まれたというわけだ。もっとも、プロデューサー・デビューから6年もの年月を費やして発表となったファースト・アルバムは、彼の類まれなる才能から考えると少々遅かった感は否めないのだが。
オーストリア、ウィーン発の新鋭レーべル〈Mainflame〉からレーベルのフロントマン、ディザスト(Disaszt)と若手ナンバ-1の呼び声が高いケーモ&クルックト(Damo & krooked)のサイバー・スプリット! "Together"では〈Viper〉、〈Frequency〉などシーンのトップ・レーベルのリリースからMINISTORY OF SOUND主宰DATAなどメジャーのリミックス・ワークなども手掛けるDJサムライ & DJクリプティックのエレクトロ・サイバー・ユニット、DC・ブレイクス(DC Breaks)が担当。レーベル・カラーであるカッティング・エッジでエレクトリックなサイバー感を継承しつつ、よりシンプルに交感し合う各々のサンプル群と、そして女性ヴォーカルが絶え間なくフォローするエレクトロ・ニューロ・ファンクとなっている。昨年からドラムンベースの新しいトレンドとして定着しつつあるエレクトロ・ドラムンベースだが、今作はまさにそれを体現している。まったく"いまこの瞬間の"ダンスフロア・シンフォニーで、レーベルのシンボル的トラックである。
ザリーフ&ダニーバード(Zarif & Danny Byrd)、"California"で昨年、最高のプロデュース・センスをまた見せつけたダニーバード! ハイコントラストとともに〈Hospital〉の制作理念をもっとも体現しているひとりであり、彼の高揚感溢れるキャッチーな作風はいまや誰にも真似できない、まさにダニーバード・サウンドとして定着している、キャリア10年以上の〈Hospital〉所属のベテラン・プロデューサーだ。





















