「ソウルは人に訴える。シンプルだが、特別なインパクトがある。人間の裸の心が発する声だ。楽しいだけじゃない。がっちりとタマを掴んで、高みへ引き上げてくれる」
映画『ザ・コミットメンツ』より
![]() 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 桜富士山 Pヴァイン |
羽目を外すときが来た。夕方の5時前だが、けっこう良い感じに酔っている。取材のテーブルの上には空き缶、ワイン、お菓子......トラベルスイング楽団 のメンバーのうち8人が並んでいる。取材どころではない。宴会だ。
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団にはそうした飲み会的な寛容さがある(笑)。いまどき珍しい酒臭いソウル・ミュージック......ないしは歌謡PUBロックである。この時代に11人とか600人とか、時代に逆行するかのような、大人数のバンド編成も、良い。こうしたバンドのあり方自体がひとつの態度表明になっている。
アラン・パーカーの映画『ザ・コミットメンツ』を思い出す。どんな人間もやっかいで、クセがあり、短所があり、弱さがあり、他人との齟齬を生む......が、ソウル・ミュージックによってそれを乗り越える(あの映画の「アイルランド人はヨーロッパのなかの黒人だ。だから胸を張って俺たちは黒人だと言え」は名言)。奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の魅力もそれに尽きる。飾り気のない、人生に要領を得ない人たちが集まって、ステージに上がっているときだけは、ビシッと素晴らしい演奏を聞かせる。多くの人は、ビールを片手に踊りたくなるだろう。80年代の松田聖子のメロドラマでさえも、彼らにかかるとソウルフルな光沢を発するのである。
いずれにしても、夜を奪われた大阪から実に賑やかなバンドがやって来た。彼らのセカンド・アルバム『桜富士山』は、これからはじまるロマンティックな夏の宴の音楽である。
名乗ってました! 出だしから。ナイアガラ礼太郎と......。世界一デカいとされている滝で。どうせ滝になるならナイアガラになりたいと。おばあちゃんの遺言で。
■まずは自己紹介を......。
奇妙礼太郎(以下奇妙):こんばんは、奇妙礼太郎です! イエーイ!
(拍手起こる)
PEPE安田(以下安田):ベースの安田です。よろしくでーす。
まいこ:サックスのまいこです。
手島幸治:僕ドラムの手島です。
キツネうどん:パーカッションのハマダです。
塩見哲夫:ギターのシオミです。
田中ゆうじ:サックスの田中です。
山藤卓実:トランペットの山藤(サントウ)です。
■じゃ、ビールでも。ぷしゅ。お疲れ様でしたー。
奇妙:ぷしゅ。よろしくお願いしまーす。
(乾杯)
■いつもこんなノリなんですか?
奇妙:はい。
田中:ライヴ前後とかはこんなノリです。
■あのね、奇妙さん。
奇妙:はい。
■本日いらしてるのは8人ですよね。で、11人以上いるとのことですが、正式な人数っていうのは何人ですか?
奇妙:600人ぐらいですかねえ......。
一同:はははは!
■じゃあ中心になってるのは(笑)?
奇妙:まあ中心ぐらいになってるのは......まあこのひとですかねえ。
手島:僕だけってことすか!?
キツネうどん:まあ12、3人はいるんじゃないですか。ローテーションで。
奇妙:マジメか!
■基本的に、メンバーを集めたのは奇妙さん?
キツネうどん:安田さん。
安田:はい。
奇妙:僕が目を閉じていたら......こういう感じで。
安田:集まってきたんや? 指触ったやつがメンバーになったような。
奇妙:すごいここにね、月の光がこう......。
一同:だははは(笑)。
手島:スイッチが入っているんで、比較的に無視していただいて大丈夫なんで。
■いやいや(笑)。じゃあ安田さん、そもそもバンドはどういう風にはじまったか、基本的な質問で申し訳ないんですけど教えてください。
安田:それ奇妙くん言ってみて。
奇妙:まいこが安田くんを産んだときの話をしないと。
安田:まあそういうことですね。
■ああー、まいこさんから安田さんが産まれて。
安田:はい、産まれて。
奇妙:ビートがはじまって。ト、ト、ト、ト......。
安田:ト、ト、ト、ト......。
手島:それ木魚っすよね(笑)? 死んだときっすよね?
■ははははは。安田さん、最初はまいこさんから産まれたとして――。
奇妙:途中ギバちゃんになって。90年代前半にギバちゃんになってー。
手島:はははは!
安田:なってからの?
■これだけ人数が多いから、居酒屋入るのも大変じゃないですか?
奇妙:それはマジ大変です。
■席ないでしょ、だって。
奇妙:席基本5、5で分かれて、休んでるやつの悪口言うっていう。休んでるやつのプレイに対して悪口を言うっていう。
(一同笑)
安田:ドキドキしかせーへんな。
奇妙:まあ俺がいちばんドキドキしてる。
■とにかく、安田さんと奇妙さんの出会いがはじまりなんですね。
奇妙:あれ? なんでわかったん!?
一同:はははははは!
奇妙:出会い系サイトで。
安田:最終的にはね。
■そのときから奇妙礼太郎を名乗ってたんですか?
奇妙:名乗ってました! 出だしから。
■なぜそんな名前を?
奇妙:ナイアガラ礼太郎と......。
安田:デカいのいきましたね。
奇妙:世界一デカいとされている滝で。どうせ滝になるならナイアガラになりたいと。おばあちゃんの遺言で。
塩見:でも名前の由来言ってたじゃないすか。ほら。
奇妙:あれ、コンペイトウついてますけど。
塩見:タトゥーですよ。
奇妙:タトゥー!!
(一同笑)
田中:すいません、続けましょう。
■いやいや、いいですよ。逆にこれもひとつのプロモーションになる......かもしれない。じゃあ、トラベルスイング楽団は大阪だから生まれたバンドだと思います?
奇妙:ああ、まあそうっすねえ。
■大阪っぽいなって自分たちで思います?
安田:そんな思ってない。
■そんなに思ってない、そこは?
奇妙:まあ生粋の大阪人のまいこちゃんが。
まいこ:ぜんぜん違うやん。
安田:コテコテやでー。
奇妙:もうかりまっかー。
安田:ボチボチでんなー。
奇妙:奄美大島出身で。
■松村正人と同じですね。
奇妙:完全に外人や(笑)。
(一同笑)
奇妙:お前登戸住んでるやん。いろいろおかしいやん。
■えっ登戸住んでるんですか!? 俺わりと近くですよ、じゃあ。
田中:登戸ですね。近いですね。
奇妙:これ飲みナカナ発見じゃないんで。飲みナカナって言ってもーた(笑)。
■じゃあバンドのためにわざわざ。
塩見:急に来よったんです。
■急に来たんだ?
田中:そうなんです。
奇妙:もういっこ田中がやってるLa Turboっていうバンドのヴォーカルのひとがすごいべっぴんさんで僕好きやったんですけど。東京に引っ越すっていうんで、「お前もちろん来るやんな?」って言われて。
田中:元々大阪のバンドなんです。いまは東京に。
安田:なんでそこは本当のこと言うん?
[[SplitPage]]みんなに楽しんでもらいたいって気持ちの方が全然大きかったです。で、みんなに楽しんでもらいたいっていうことは、「俺こんなん好きやねん」ってことをプレゼンするっていうことじゃないですか。
■なるほどね。じゃあ安田さんがリーダーなんだよね、たぶん。
安田:そうです。
■......これ仕切るの大変ですね。
安田:いや、もう全然。みんな実はめっちゃマジメなんで。(メンバーに向かって)ありがとうございます、ほんま。
奇妙:もう日本の将来のことしか考えてないですからね、僕ら。
(一同笑)
安田:たまに居眠りしてしまったりしますけどね。
■歌謡曲とか、レトロ・スタイルにこだわる理由っていうのは何なんですか?
手島:好きなだけっすよね、これが。
奇妙:こだわるっていうとそうかな、って思いますし。みんなそれぞれけっこう忙しいんで、あんまり集まれないんですけど。ライヴはけっこうしてるんですけど。みんな知ってる曲のほうがライヴしやすいんです。あとは自分が好きやっていうのがいちばん大きいですけど。まあなんか、何でもいいんですよね。人前でやるっていうと......なんかシーンとしてない? だいじょぶ?
まいこ:いちばん盛り上がってたよ、だいじょぶ。
安田:いまいちばん盛り上がってたよ。
奇妙:何でもいいんですけど。
■芸人道みたいなものをすごく感じました。
安田:ありがとうございます!
奇妙:そう思ってたときがほんまにあるんですよね、ライヴのとき。
■エンターテイナーというか、芸人に徹するっていうか。
奇妙:それがほんまに凄いことやなって思ってました。でもそれはほんまに凄いことすぎて。僕、今年の最初ぐらいまで芸人さんみたいなものに憧れてたのもあるんですよ。
ここ1ヶ月ぐらいは全部取っ払って、舞台に出て人前にばっと出たときに自分はどうするんかみたいなんを整理せな他のこと何もできへんと思って。まあそういう感じっすね。全力で30分とか1時間とかを絶対やるっていう。3日連続ライヴあるとしたら、3日間を30%ずつで割るんじゃなくて、初日100%でやって――。なんて言うんですかね、気持ちは全部100%なんですけど、声の調子とか、どんどんやっぱ減っていくんですよ。それはすごい悔しいんですけど、しょうがないなとも思うんですよ。あれ、何が言いたかったんか......。
■まあ、芸人ですよ。
奇妙:明日のことを考えて今日は60%ぐらいでライヴしたとして、みんながそれで幸せってなったとしても、今日死んだら自分はやっぱそれは悔しいんですよね。お客さんが「めっちゃ良かった」って言ってくれて、バンド・メンバーが「今日いいライヴしたね」って言って、自分でも「いいライヴしたね」ってなっても、やっぱイヤなんですよね。もうそれ以降一生ライヴせーへんとしたら。それやったら、絶対全力でやりたいなと思って。で、全力でやった次の日が声出なくなって、次の次の日もっと声出なくなって、「あ、あ、あ」みたいな声なるんですけど。それはほんまに悔しいです、なんか。「別にお金払ってくれんでいいし」って思うし。でもそれも全力で絶対やるんですけど。まあやっぱ悔しいです。だから最近は、申し訳ないな、と思ってます。
(一同笑)
■はははは、なるほど。でも何て言うんだろう、ある種のプロ根性みたいなことだと思うんですけど。やってる音楽っていうのがポップスっていうか、原点回帰ってことをすごく意識していらっしゃる。
奇妙:そうですね。アルバムなんかはそれを意識してる。
■その原点回帰みたいなものっていうのは最初からあったんですか? 最初から昭和の歌謡曲みたいなものが好きだったんでしょうか? それとも、やってくなかで自分たちでいまのスタイルが定型になった?
奇妙:ほんまに最近までみんなに楽しんでもらいたいって気持ちの方が全然大きかったです。で、みんなに楽しんでもらいたいっていうことは、自分の好きなもの、「俺こんなん好きやねん」ってことをプレゼンするっていうことじゃないですか。別にバンドしてる・してないに関わらず。なんかそういうことやと思います。「こういうバンドおるから一緒に観に行こや」とか。
■エンターテインメントってことは強く意識していらっしゃいますよね。
奇妙:それは最終的にはやっぱ考えてますね。
■それがすごくいいなと思うんですよ。いまお酒でベロベロですけど(笑)。なんで自分たちが原点回帰みたいな方向性になったんだと思います?
奇妙:自分たちがそれを好きやってことやと思います。
■それは、いまの音楽にはなくて、それこそ美空ひばりとか加山雄三とかみたいなものにはあったものを発見したわけですよ。
奇妙:それはありますね。
■それは何だと思いますか?
奇妙:それはまず、難しい言葉は使わないということです。僕が好きな友だちの曲とかもそうです。サンデーカミデさんの曲を僕はすごく歌うんですけども、そのひとの曲も小学生でもわかる単語しかないんですけど。
■ああ、大阪で活動されてる。
奇妙:そうです。なんかびっくりするんですよ。言葉はわかりやすいのに、テキトーに「みんなで仲良くしていこうや」みたいな曲じゃなく。
■簡単な言葉で深いことを言ってくれるっていう?
奇妙:うーん......そうです。
■はははは(笑)。
奇妙:なんかやっぱり、根本的に、根本的に......根本的に。
■はははは(笑)。あとさ、ラヴ・ソングを追求してるでしょう?
奇妙:どうすかね、全部ラヴ・ソングですけど。
■なにゆえラヴ・ソングなんですか?
奇妙:わかんないです。不安なんじゃないですかね。ラヴ・ソングをいっぱいやったほうが、みんなこっちを向いてくれるんじゃないかみたいな、バンドをやる人間の最初の不安があるんじゃないですかね。だからこんなにしょうもない曲が世界中に......。
(一同笑)
奇妙:でもしょうもない曲って結局ないと思うけどね。「うわ、ほんまにあいつクソやったな」みたいな対バンのひとの曲とかも、真剣に聴いたわけじゃないし。でもま、クソみたいなんやけど。でも心底嫌いかって言われたら、まあそんなことないなって思うんですけど。でもなんか、そいつが解決せなあかん問題がそこに含まれすぎてて、そんなん聴くわけないやんっていう。
(一同笑)
奇妙:でもサンデー(カミデ)の曲はそういうのが一切なくて。僕がどこ行ったときでも、全身全霊で歌った後も、その曲をやってくれて。これは自分にとって悔しいことなんですけど、ひととしての凄さがあるなって。自分でもわかりますし。
■なるほど。僕はもういいオッサンで、中学校のときにパンクがやって来た世代なんですよね。ちょうど中1のときにセックス・ピストルズがデビュー・アルバムを出したばかりの頃で。
奇妙:いちばん羨ましいけどな。
■ちょうどその頃RCサクセションっていうバンドも日本で人気が出てきたんですよね。で、僕はそのときRCサクセションっていうのは、みんなすでに年取ってるしね、パンクの真似してるけど全然パンクじゃないし、「こんなの誰が聴くかよ」みたいな感じでいたんですよ。でも友だちがすごく好きで、静岡に来たときに「一緒に行くやついないから一緒に行こうよ」って無理矢理誘われて。
奇妙:(笑)めっちゃ羨ましいけど!
■それで行ったんですよ。で、そのときに彼らの歌う"ラプソディー"とかにむちゃむちゃ感動して。生まれて初めてヴ・ソングというものが好きなれたことをいまでもよく覚えています。
奇妙:それがたぶん、人生でいちばん贅沢なことですよね。
■まあある意味ではね。
奇妙:絶対そうですよ。もうそれ以上のことないんちゃうかと思うぐらい贅沢な。
■いやいや、でもそれを目指してるでしょ? やっぱみんなも。
奇妙:わかんないですけどね。
■でもそのときは童貞だったし、色恋なんてわからないわけじゃない。でも彼らが歌うラヴ・ソングの世界に引き込まれて。パンクにはそういうのはなかったから。
奇妙:ふふ、すごいね。
まいこ:すごいね。
(一同笑)
■ラヴ・ソングっていうものを取り戻そうとしてるでしょ? ポップスの中心の歌として。
奇妙:実は、してます。
全員:ははははははは!
■そういう歌詞を書くときっていうのはどうなんですか?
奇妙:歌詞とか書かないですか、逆に?
■あ、僕!? 歌詞?
奇妙:絶対書いたらいいのにと思う。書いてほしいもんね。
■急に振らないでください(笑)。歌詞は実体験なんですか、それともフィクションとして書きます?
奇妙:僕は基本的に完全フィクションです。まあそうなっちゃうかな、みたいな。内容自体にどうでもいいと思ってるとこがありますね。ま、フィクションというか、そのときに腹立ったこととかもたぶん入ってるとは思うんですけども。それが伝わるようには書いてないですね、全然。自分しかわからないと思います、たぶん。
■ラヴ・ソングもフィクション?
奇妙:ラヴ・ソングはノンフィクション......いや、フィクションですね。
■いや、ノンフィクションでしょう。安田さんがたぶんいちばんわかってる(笑)。
奇妙:安田くんは知らないですよ(笑)。
安田:ははははは(笑)。
奇妙:あんまりないですね、別に。そういう歌詞が好きなんですよね。「誰かのことが忘れられへん」とか、だいたいそういう歌詞じゃないですか。ああいうのを聴いてたら、別に悲しいことなかったのに悲しいことあったみたいな気してくるし。でもそれでいいんや、と。山ですれ違ったら「こんにちは」って言う、みたいな。
安田:山にポテトチップスを運ぶひとやろ。
まいこ:そんな仕事あるんや?
[[SplitPage]]「テンプラ、ゲイシャー」って聞こえてきたら、「何やねん、これ!」っていう(笑)。その「何やねん!」みたいなんが多いほうが、面白いね。人生もそんなん一個多いほうがいいわけやし。そういう縁起物みたいな感じですね。
■曲にもあるんですけど、アルバム・タイトルを『桜富士山(sakura fujiyama)』にしたのは何でなんですか?
安田:これ奇妙くんが考えたんやんね。
奇妙:ただ単純にめでたい感じがするから。2000円とか2500円するわけやし――。
■あと歌詞も、「お寿司」とかさ。「天ぷら」とか。
奇妙:なんか、めでたい感じ。せめてめでたい感じ。
■日本のひとが海外のひとに誇れるものが何だろうってときに、寿司とか天ぷらとか、そういうことなのかなと思って(笑)。
奇妙:いや、もっとありますけど(笑)!
■はははは。
手島:ぱっと出てくる日本語ってことですよね。
奇妙:全然桂離宮のほうが凄いけど(笑)。
■じゃあそういう意味じゃないんですね。
奇妙:いやまあ、でもそういう意味です。外国のひとから見た日本の感じが面白いな、と思って。面白いかな。
■そうか、おめでたい感じにしたかった?
奇妙:もし車運転してて、自分がバンドとかしてなくて、それが流れてきたら「何やねん!」て思う歌詞。「愛してるー」みたいなん聞こえてきても、「ああ、そうなんですか」と思うけど、外人の声で「テンプラ、ゲイシャー」って聞こえてきたら、「何やねん、これ!」っていう(笑)。その「何やねん!」みたいなんが多いほうが、面白いね。人生もそんなん一個多いほうがいいわけやし。そういう縁起物みたいな感じですね。
■ああー。
(ここで唐突にケツメイシの話で盛り上がるメンバー)
■仲いいっすね(笑)。結成は2008年って書いてあるでしょ? それはほんとにそうなんですか?
安田:それはね、ほんとです。
■それ以前に何かやってたってことはないですか?
奇妙:やってましたやってました。
手島:それは個々それぞれ。
■同じようなことをやってたんですか?
奇妙:ま、ジョン・レノンとバンドやってましたけど(吹き出す)。
■ほほぉ、練習スタジオ押さえるのも大変ですよね。
安田:そういったリアルな話はまた後ほど。
■後ほど(笑)。でも、芸人道っていうか、エンターテイナーとしての気概を感じますね。こうやって酒飲みながらも、ストイックな部分も俺は感じますよ。ライヴ前は飲んだりするの?
田中:ライヴ前は、飲むひとと飲まないひとと分かれますね。
手島:飲まないっすね、最近はね。
奇妙:ライヴあかんかったときに、辛くなるから。お酒飲まんかったらあかんなるのが自分でめんどくさいから。別にテッシーとかが飲むんは別にええよ。
手島:ははははは(笑)!
奇妙:そのほうが調子が出るんやったら。
■あと新しい音楽とかって聴かないんですか? DJ YOGURTがリミックスしてたじゃないですか? あれは誰のアイディアなんですか?
手島:あれはヨグさんから連絡が来て、ヨグさんに......。
奇妙:ミック・ジャガーがやってるスーパーヘヴィってバンドめっちゃ気になる。それが新しい音楽なんかって聞かれたら違うかもしれんけど。でもめっちゃラップとか入ってるし。あのひとやっぱ、尋常じゃない元気さがめっちゃカッコいい。
■はははは。ヨーグルトさんを仕掛けたのは安田さん?
安田:いや、ヨグさん本人。
■あ、本人がやりたいって言ったんだ!
安田:そこからヨグさんとはよく話してる。
■へえー。何でそこでヨーグルトなんですか?
安田:それはヨグさんのことが好きっていうことですね、僕が。
■クラブ・ミュージックは聴きます?
奇妙:僕は全然知らないですね。
手島:僕は好きですけどね。
奇妙:テッシーは好きやんな。
■じゃあ、ヨーグルトのリミックスの出来はどうでした?
安田:それは予想外でしたけど、それはそれで面白いなと思いました。全然違う形になってて。ひとり入っただけでこんなにちゃうんや? と思って。でもその前にヨグさんが好きっていう。
■なかなかヨーグルトとって想像つかないよね。すごく意外だった。でも最初は意外じゃなかったんですよ、僕。実は。最初のアルバム聴かせていただいたときに、すごくグルーヴィーな音だし、いわゆるノれる音楽だから。
安田:そうなんですね。でも僕めっちゃ聞かれました、いろんなひとに。「どういう接点なん?」みたいなことをめっちゃ言われましたけど、それは僕はヨグさんにも聞いたことありますけどね。「どこで知ったんですか?」みたいなことを。
■ね、すごいよね。
安田:でもやっぱりね、最初は電話だけやけど、「おもろいな、このひとは」っていうとこからはじまって、全部丸投げですよ。
■なるほどね。でも、奇妙さんの反応はどうだったんですか?
安田:奇妙くんの反応は......奇妙くん、どうなんヨグさん?
奇妙:ヨグさん大好きです。
■ははははは。
安田:そういうことですね(笑)。めっちゃ踊ったよな、りんご音楽祭で。
まいこ:ああー、そうだそうだ。
キツネうどん:3日間筋肉痛で死にそうになった。
まいこ:そんなに!? でも楽しかったね。
手島:先週ヨグさん自分のブログで、「なんで安田さんに僕が電話をかけたか」っていうのを。
安田:それは聞きたい!
手島:いや、それすごい長かったから半分ぐらいしか読んでないねんけど。
安田:それはりんご音楽祭のときに、「書いていいですか?」って言われたから「それは全然任せます」と。
■何を書いていいって?
安田:生い立ちです。
■誰の生い立ち?
安田:僕らのバンドとヨグさんの出会いの、です。歴史です
■ああ、歴史をね。いやーしかし、ほんと破天荒なバンドですね、ほんとね。
安田:いやー、でも根はマジメですよ。
■いやわかりますよ。雰囲気で。いや実はさ、担当さんから朝5時から飲んでるって聞いてたんで。
安田:はいはいはい、朝5時から飲んでましたね。
奇妙:ノラ・ジョーンズさんが行ったという築地の店で海鮮丼を食ってましたね。
キツネうどん:ぽっと小さい灯りがともるような。
安田:どういうこと(笑)?
手島:中島らもみたいな表現しますね(笑)。
■ちなみにメンバーは、やっぱりタイガースなんですか? それともガンバ大阪なんですか、セレッソ大阪なんですか?
一同:ああー。
奇妙:僕スポーツ全部なくなれと思ってます。
■はははは!
安田:いやそこまでは思ってないけど、あんまり知らないです。
奇妙:ラグビー以外のスポーツなくなれと思ってます。
手島:僕ら近鉄ライナーズのファンです。
■はははは!
奇妙:ラグビーと将棋以外の真剣勝負はなくなれと思ってます。
■何で!?
奇妙:ひとが飛んできた球を打とうが打てなかろうが、知らん! っていう。ひとがネットに球入れようが入れまいが。俺が球入れたいわ。球を球に(笑)。
手島:ははははは!
安田:どういうこと(笑)?
■大阪人に対するステレオタイプの偏見がありまして。大阪の人間はみんな阪神タイガースが好きで。
手島:まったく興味ないですもんね。
奇妙&安田:いや、全然あるで。
■はははは!!
手島:これなんすよねー。
(一同笑)
キツネうどん:たまに高校野球のほうが面白いときがある。
[[SplitPage]]「誰かのことが忘れられへん」とか、そういう歌詞じゃないですか。ああいうのを聴いてたら、別に悲しいことなかったのに悲しいことあったみたいな気してくるし。でもそれでいいんや、と。山ですれ違ったら「こんにちは」って言う、みたいな。
■ちなみに大阪でいちばんウマいと思うラーメン屋って何だと思う?
安田:ラーメン屋?
■やっぱほら、金龍とか?
手島:金久右衛門(きんぐえもん)とかどうですか。
安田:金久右衛門ね! 金久右衛門、おいしいですね。
■金久右衛門? こってり系なの?
キツネうどん:いやあっさりです。醤油。
■醤油なんだ? 神座(かむくら)よりもウマい?
安田:あ、ちょっと違う。種類が違う。
キツネうどん:神座はたぶん、大阪のひと以外に人気がある。
安田:いや僕味の素好きなんでねー、意外と好きっすよ。案外ね。
■わかりました。バンドとして目指しているところっていうのは何なんですか?
安田:それは、みんなのとこ行きたいですよね。ニューヨークやしイギリスです。
■え、何が(笑)? 何がニューヨーク?
安田:いやこのひとお母さんニューヨークやし、別のメンバーがお父さんイギリスやし。だからニューヨーク行ってイギリス行って、まあ奄美は行ったし。で、八尾行って。
キツネうどん:めっちゃローカルやん(笑)。八尾市っていうところがあるんです。
安田:泉北行って、で、東大阪でやりたいですね。
■ああー。それが目標ですか?
安田:はい。
■やっぱいろんなところでライヴやるっていうのが?
安田:そっか目標か。
■バンドとしての目指すところは? まあちょっと大きな話ですけど。
安田:まあ、イギリス、アメリカ......、八尾、泉北です。で、東大阪。
■で、ライヴをやると? なんでイギリスとアメリカ?
一同:いや、メンバーの......。
■あ、それぞれの実家でやりたいっていう。
安田:いや、実家ではやりたくないですけど。実家ではないですね。
■出身地というか。
安田:でも、それをやるだけのものは欲しいですもんね。普通に行ってはできることなんで。やっぱりそれは満員にしたいじゃないですか。
キツネうどん:どこを?
安田:いやどこでも! イギリスでも、アメリカでも。泉北でも。っていうのはありますね。
奇妙:まあとりあえずエレベーター満員にしよ(笑)。
手島:大体バンド・メンバーで満員ですからね。
■あ、ステージが?
まいこ:エレベーターが。
■あ、エレベーターがね。地元でのお客さんのノリはどうなんですか?
安田:それはもうね、サントウさんがいちばん知ってますよ。
山藤:ええええ?(笑)
■ウケてますか? じゅうぶん人気者になってる?
山藤:みんな......愛してくれてます。
■おおー!
安田:ああー、すごい、すごいいい表現ですね。
奇妙:サントウさんがしゃべるのがいちばんいいな。
安田:うん。何か安心する。
奇妙:逆ですいません、最近出たライヴDVDなかで「これめっちゃ最高に面白かった」っていうのんありますか? だって買いに行きたいやん。ストーンズのスコセッシのやつあるじゃないですか。あれめちゃくちゃおもろいじゃないですか。あれの真似してるもん、最近。
(一同笑)
奇妙:あれの真似を俺と塩見くんでこっそりするっていう(笑)。
塩見:そうなんすよ(笑)。
奇妙:あれ以上のあります?「バーン!」っていう。あれ凄くないですか?
■スコセッシは本人がホント、ロックが好きだしね。
奇妙:スコセッシはほんま、ただのオカマのおっちゃんかと思ってたけど(笑)、あれはほんまに素晴らしいですね。そういうオススメのん教えてほしいです。買いに行きたい。
■じゃあ、みんなのなかで、レコード3枚選ぶとしたら何になる?
一同:うわー......
奇妙:僕でも、『ぼちぼちいこか』と、『この熱い魂を伝えたいんや』と、『フォーティ・リックス』です。
■『ぼちぼちいこか』っていうのは誰の?
奇妙:上田正樹と有山淳司の。
■あ、やっぱり大阪ってことで?
奇妙:あ、ヤバいサム・クック入ってへん。じゃあ、『ぼちぼちいこか』と......。
塩見:これ一晩かかりますよ(笑)。
■ふふふふ(笑)。
安田:これはやめときましょ(笑)。
■キリがない(笑)? でもやっぱ上田正樹さんに対するリスペクトはあるんですね?
奇妙:僕はでもめっちゃ好き。大好きですね。
■それは大阪っていうのが大きいですか?
奇妙:何かたまたま家にカセットテープがあって、10代前半のときにそれが好きで聴いてたんですよね。誰か分からんと聴いてて。「分かるかー!? 分かるかー!?」っていう。「上田正樹とー! 有山淳司!」 めちゃくちゃカッコいい!
■みんなやっぱ聴かされるんですか、それを?
塩見:いやそれはない(笑)。
奇妙:そういうのはないです、別に。でもそれが超カッコいいですね。
■なるほどね。ちなみに――。
奇妙:いかにそのひとがズルかろうと、それは関係ない。チャック・ベリーなんかヒドいもんね。まあインターネット情報ですけど。チャック・ベリーが女とホテルのロビー歩いてるときに、バッて来たキース・リチャーズに「おー!おー!」って言われて、キース・リチャーズを思い切りどついたっていう(笑)。「何声かけてんねん、白人の子どもが」みたいな。白人に並々ならぬ恨みがあるという。金を巻き上げられた、みたいな。
■自分たちと同じくらいの世代のひとたちで好きなのっています?
奇妙:友だちのバンドとかみんな好きです。
安田:みんな好きやんね。
奇妙:何で好きになったかって言ったら、カッコいいから好きになったっていう。って思ったらそっちの話が先になる。だっておもんなかったら好きになれへんもん。
塩見:8月東京でも......。
安田:あ、〈love sofa〉?
奇妙:アラブ・ソファに聞こえた(笑)。
安田:大阪で11年ぐらいやってね。サンデーカミデの歌詞がいいって言ってるひとが10年同じイヴェントをしてて。それを東京でやるんです。
■ああー。それいつですか?
安田:8月18日です。
■それは楽しみですね。あれでしょ、クラブのことを歌ってるやつでしょ?("93年の歌")
安田:そうそうそうそう!
■あれめちゃくちゃいい曲だよね。
安田:それそれそれ。(ワンダフルボーイズと)CDを同じ日に出すんですよ。
[[SplitPage]]友だちのバンドとかみんな好きです。何で好きになったかって言ったら、カッコいいから好きになったっていう。って思ったらそっちの話が先になる。だっておもんなかったら好きになれへんもん。
■なるほど。みんなを見てると大阪の音楽シーンってほんとに元気があるんじゃないかと思えてくるんだけど、ここだけなのかな?
安田:うーん......広そうで狭そうで広いですよねえ。
■それとも自分たちは大阪のなかのアウトサイダーなの?
奇妙:それはもちろんアウトサイダーですよ。
安田:どれがどうなんか分からへんけど。
奇妙:でもメインストリームのひとをカッコいいと思ったことないもん。あ、ある! エゴ・ラッピンとかやっぱカッコいい。
■エゴ・ラッピンはカッコいいね。
塩見:でもそれ10年前ぐらいやん。
安田:そうねえ。
■まあエゴ・ラッピンもメインストリームとはあまり言えないけどね。
奇妙:ええー!? じゃあ、もうどうしようってことやね(笑)。
塩見:じゃあ誰やろ? 円(まどか)ひろしとか?
手島:円って古ないすか?(笑)
■いまはもう洋楽自体がメインストリームではないですよ。
一同:へえー。
■レディ・ガガとかアデルとか、いち部だけだよ。
奇妙:はあー、そうなんや。すげーなあ。
安田:いま誰なんやろ、じゃあ? ね?
塩見:安田ちゃう? もう安田の時代が来たんちゃう?
奇妙:ギバちゃんじゃないやろ。
(一同笑)
安田:ギバちゃんやで。
奇妙:ネバー・キブアップ、ギバちゃんじゃないで。
安田:いやどういうこと?(笑)
手島:そのネタしましたっけ?(笑)
■じゃあそろそろ最後の質問にしようかなと思ってるんですけど(笑)。好きな女性のタイプと好きな男性のタイプは?
一同:ぎゃははは!(笑)
奇妙:バンドとかに興味ないひとですね。
安田:ああーー。なるほどな。たしかに。
■え、何で!? それ矛盾してるじゃないですか、だって。
奇妙:矛盾はつねにしておきたいですね。
安田:ははは、カッコええ!(笑) ここで締めよ!(笑) 終わったー!!
(拍手)
■お疲れ様でーす!(笑)
安田:すごいいい終わり方した!(笑)
■いやそうだよ、最後女性ひとりに聞かないと。代表して(笑)、好きな男性のタイプを聞いてそれで締めよう。お願いします!
まいこ:ええー、やだ!
(メンバーから個人名が挙がる)
安田:はははは!(笑) 個人名はやめて! 個人名は!(笑)
■個人名はやめようよ!(笑)
奇妙:ウンコを食べろって言わんひとやろ。消しゴムより顔おっきいひとやろ。
■じゃあどうもありがとうございました!
奇妙:終わった(笑)。



























































