「IO」と一致するもの

Jah Shaka - ele-king

 ジャー・シャカ初の日本ツアーから早20年……長年にわたり唯一無二の存在として尊敬を集めてきた御大が、いまふたたびこの極東の地を訪れます。今回のツアーは東京を皮切りに、名古屋、大阪、福岡を巡る予定で、東京公演にはジャー・シャカのサウンド・システムを日本で継承するJah Iration Sound System + Jah Rising Sound Systemがフルで導入されるとのこと。これは本場UKスタイルのパフォーマンスを体験する絶好のチャンスですぞ。

祝! 来日20周年!!

1997年、当時奇跡と言われたJAH SHAKAの初来日公演から20年が経過する。その間、彼の伝道とも呼ぶべき活動によって日本各地にサウンドシステム・カルチャーが伝播し、ルーツ・ミュージックの発展に貢献してきた。今年2月にはJARIA(Jamaica Reggae Industry Association)のHONOUR AWARDSを受賞し、故国ジャマイカに凱旋した。今も地元UKでJAH SHAKA SOUND SYSTEMは定期的に開催され、ポジティヴなメッセージとスピリチュアルなダブ・サウンドの真髄を伝え続けている。

11/2(木・祝前日)代官山UNITでは日本屈指のJAH IRATION SOUND SYSTEM + JAH RISING SOUND SYSTEMをUNITフロアにフル装備。
JAH SHAKAオンリー! 本場UKスタイルのオールナイト・セッションが遂に実現!
Roots Rock Reggae, Dubwise!
"LET JAH MUSIC PLAY"

============

King of Dub
JAH SHAKA
DUB SOUND SYSTEM SESSIONS
- An all night session thru the inspiration of H.I.M.HAILE SELASSIE I -

This REmortal Coil - ele-king

 10/30(月)~11/5(日)、ドイツ文化センター(ゲーテ インスティチュート)にてハードエッジな展示とライヴ「This REmortal Coil」が開催される。
蛍光灯音具OPTRONプレイヤーの伊東篤宏を中心として、カイライバンチ、VELTZの3人の合作インスタレーションがドイツ文化センター/ ゲーテ インスティチュートで展示されるのを皮切りに、11/3(金・祝)には ICC キュレーター 畠 実氏と 伊東篤宏による、「音楽~アートフォームとしての『インダストリアル 』について 」を軸にしたトークイベント、 11/4(土) にはエントランスに設置されたインスタレーションマシンをフル稼働させる上記3名によるライヴをはじめとし、エントランスとホール 2ヶ所を交互に使用したライヴイベントが開催される。しかもすべて入場無料!

10/30(Mon)-11/5(Sun)
--This REmortal Coil--

Group Exhibition & Live performance
@ドイツ文化センター / ゲーテ インスティチュート
期間中の展示、ライヴ、トーク、全て無料!!

■Exhibition version
伊東篤宏 × カイライバンチ × VELTZ によるコラボレーションワークス
10/30(Mon) ?11/5(Sun)
ドイツ文化センター1F エントランス (入場無料)

■11/3(Fri)
1F エントランスにて19時よりトーク (入場無料)
テーマ: 音楽?アートフォームとしての『インダストリアル 』について
トークゲスト: 畠中 実 / ICC 主任学芸員)
司会・進行: 伊東 篤宏

■Live performance version
11/4(Sat)
ドイツ文化センター1F ホール & エントランス
This REmortal Coil
- Live version -
16:30 open 17:00 start
(入場無料)

ACT:
phew
ZVIZMO (テンテンコ × 伊東篤宏)
The Lefty
カイライバンチ
VELTZ × Radio ensembles Aiida
(*全ての会場: ゲーテ・インスティトゥート東京 (東京ドイツ文化センター) エントランス & ホール)
107-0052東京都港区赤坂7-5-56
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/m/sta/tok.html

Zodiak - ele-king

Favorite 2017

Marcus Fischer - ele-king

 00年代後半に電子音響のノイズがアンビエントの海に溶けはじめてから、無数のアンビエント/ドローンが私たちの耳と心をうるおしてきた。この時代、音楽は響きの海の中に溶けていた。
 アメリカのレーベル〈12k〉は、初期のクリック&グリッチな作風からアンビエント/ドローンへと舵をきったことで、この「アンビエントの時代」を体現する重要なレーベルである。みずからもアンビエント・アーティストへと変化を遂げた主宰テイラー・デュプリーのキュレーションによるレーベル・ラインナップは、2010年代以降のアンビエント・ミュージックを知る意味でも重要な指針を与えてくれる。

 そんな〈12k〉を知るうえで重要なアーティストが、マーカス・フィッシャーである。ポートランドはオレゴンを拠点とするマーカス・フィッシャーのサウンドは、〈12k〉のアンビエント/ミュージックを象徴するものだ。淡いドローン、静謐な環境音、微かなノイズ。朝の空気のような清冽なアンビエンス。まさに2010年代的アンビエントの最良の要素を結晶させたかのような音楽/音響を聴かせる。
 とはいえ、マーカス・フィッシャーが〈12k〉からリリースしたソロ・アルバムは2010年の『Monocoastal』のみである。たしかに主宰者テイラー・デュプリーのコラボレーション作品『In A Place Of Such Graceful Shapes』(2011)や『Twine』(2015)など、〈12k〉から素晴らしいアンビエント・アルバムをコンスタントに発表はしてきたものの、ソロ・アルバムではない。また、けっして多い数でもない。
 〈12k〉以外では、〈Tench〉から『Collected Dust』(2012)、自主リリースで(マスタリング担当はテイラー・デュプリー)『Public Works』(2015)をコンスタントにリリースしているし、本年2017年には〈IIKKI〉からテイラー・デュプリーとのコラボレーション・アルバム『Lowlands』をおくりだしてもいるのだが、やはり多作という印象はない。テイラーと協働しつつ、コラボレーションであっても自身が追求する音を誠実にリリースしているような印象である。

 じっさい、マーカス・フィッシャーの作品は、どのトラックも、どのアルバムもアンビエント音楽として、とても澄んでいて、やわらかく、かすかに深淵で、美しい。職人の作るガラスの玉のような音だ。それは彼のつつましい美点でもある。その「つつましやかなアンビエンス」という感覚が、〈12k〉というレーベルのイメージにぴったりとはまる、ひいては2010年代的なアンビエント/ミュージックも。
 じっさいマーカスの演奏映像を観てみると、ギターを中心にさまざまなエフェクターや機材を鳴らして独特のアンビエントを生みだしている。音と音を手で触り、工作するように音を探り、鳴らすかのように。

 それは新作『Loss』でも変わらない。“Nocturna”では、淡い色彩・音色の環境音の中にそっと溶け込むようなギターの響きが鳴る。音楽の手前にある微かな音のうごめきが耳に心地よい。2曲めの“Veering”からして、ひそやかな環境音がドローンに溶け合っていくような楽曲を展開する。まるで風景がゆっくりと変化していくような感覚に耽溺できる。
 そしてアルバム・タイトル曲である“Loss”には、環境音とドローンの交錯の果てに、ピアノがまるで透明な雫のように落とされていく。また、“Murmurations”では、水の音のような環境音に、澄んだ空気のようなドローンと深い響きのギターの音が複雑な色彩のように交錯する。3分ほどの短い曲“While”では、これまで音の欠片のように散りばめられてきたギターの音が、霧のむこうではじめて音楽としてたちあらわれてくる。
 アルバムでキーとなる曲は11分に及ぶ“Home”だろう。曲調としてはアルバム中、もっともダークである。しだいに日が暮れ、あたりが薄暗くなっていく時間、ひたすら家をめざして歩いているような、そんな感覚である。静謐な環境音。ときおり鳴るギターの音のむこうから夜の気配のように聴こえてくるドローン。11分という時間のなかで光景と時間の推移のようなアンビエントを生み出している。この自然音と音楽の非同期的な交錯は、今年リリースされた坂本龍一の新作『async』あたりとも共振するといえないか。

 アルバムには全7曲が収録されているが、どの曲も朝の空気のように清冽で、同時に夜の時間のように親密である。このさわがしい世界から少しだけ離れ、「自分」という存在を再発見するような静謐なオトのつづれおりは、見慣れた風景のように、どこまでも優しく、愛おしい。

 このマーカス・フィッシャーの新作に限らず、現代的なアンビエント・ミュージックは音楽における風景のようなものかもしれない。聴き手の心理、状態、感覚、感性の推移、変化によって、いかようにも見え方が変わってくる景色のような音楽。その意味で、2010年代以降のアンビエントは、写真的かつ映像的である。環境音楽としてだけではなく、もっと聴き手の内面の深いところに作用する音楽/音響作品なのだ。そして、本作『Loss』もまた耳と心をうるおしてくれる逸品なのである。

interview with Yukio Edano - ele-king

去る9月末、突然の衆議院解散と前後して野党第一党だった民進党が分裂し、その後も混乱が続いている。そのような状況のなか、来る22日には48回目となる衆議院議員総選挙が実施される。私たち『ele-king』はおもに音楽を扱うメディアではあるが、いまのこの政局を重要なものと捉え、初めて政治家への取材を試みることにした。以下のインタヴューは必ずしもその政治家への支持を呼びかけるものではないが、これを読んだ各々が自身の考えを深め、政治や社会に関心を寄せる契機となれば幸いである。

interview with Yukio Edano

 「僕は(自分たちを)少数派だとは思いません」──たったひとりで5日前に立憲民主党を立ち上げ、その呼びかけに応えて集まった候補者たちと選挙に臨もうとしている枝野幸男はそう言った。
 9月の衆院解散後の野党第一党の崩壊劇で、小池百合子の「排除します」の一言は、その3ヶ月前に首相が放った「こんな人たち」よりもさらにストレートに私の胸に届いた。この国の与党と野党第一党のトップは、自分と違う考えを持つ人たちを、まさに「排除」している。そんな国で「つねに死票を投じてきた少数派の人間は、政治を考えると無力感を覚えてしまう」というような話をしたとき、枝野幸男は「僕は少数派だとは思いません」と、それまでよりも少し強い口調で言った。

 「我々は少数派なんて自分で言っちゃいけないですよ。いま、顕在化しているのは一部だから少数派に見えているだけで、潜在的には多数派だと思うから僕は勝負しているんです。だって現に国民の半分は投票に行っていないですよ。少数派だと思っている人たちが集まってきたら、それが実は多数派だったんです。
 ええ。いや、実は個々人のことを考えればマイノリティーなんです。例えばLGBTの人たちはたしかに少数派ではあります。障害のある方もいます。でもそういう少数派に対する多様性を認めよという価値を共有している人たちは、マジョリティーなんです。
 でもいままでその人たちは社会的にはつながっていなかった。政治的にはもっとつながっていなかった。そういうところを動かしていく、ということが、僕らがいま、図らずもやっている営みなんじゃないかなと、この数日で思っています。
 従来の選挙でも、動員型の運動をすれば同じくらいの反応の量はあったんです。でもいま感じているのは量ではない。明らかに、いままではどこともつながっていなかった、自分は少数派であると諦めていた人たちが、もしかしたら今回はそうではないのかもしれないと感じてくれているかもしれないという空気感が、ネット上、ツイッター上にもある。
 民主党、民進党のなかで、僕は保守本流だと思っています。日本の保守本流イコール・リベラルだからね。それで、いままでもこういう勢力に対して期待をしてくれて、こっちも名前に記憶のある人たちが紛れてしまうほどに、今回は違う人たちが入ってきているんです。その人たちの反応って面白くて、自分で言うのは傲慢かもしれないけど、党首討論を見て『枝野って、こういう討論、得意なんだ!』って驚いているんですよ。以前から政治に関心のある人たちからすれば、これはいまさら驚くことではないんですよ。僕は地盤も看板もないなかで、討論でここまでやってきたという自負もあるし、世のなかの受け止めもそうなんです。でもそんなことは知らない人たち、枝野という存在を初めて知った人たちが来ている。量的なものではなく、質的なものというのはそういうことです」

 「右か左かではなく上からか下からかだ」という枝野のスローガンを見聞きした人のなかには、エレクトロ・パンクのスリーフォード・モッズやグライムMCたちからも愛される、英国労働党党首のマルクス主義者ジェレミー・コービンや、ヴァンパイア・ウィークエンドやグリズリー・ベアのようなインディ・ロック・バンドからも支援されながら、ヒラリー・クリントンと大統領候補の席を争ったアメリカ民主党のバーニー・サンダースを思い出す人もいるかもしれない。しかし、くどいようだが、彼らも枝野も、長年、左派から失望されてきた“野党第一党”の政治家たちだ。そういう大野党の左派から生まれた政策が、若者を中心に熱狂的に支持されている。
 枝野幸男はコービンやサンダースよりも若く、そして彼らのようなねっからの左翼でもない。けれども立憲民主党の政策もまた、ナショナリズムやネオリベ経済に対抗する潮流にいる。それは気高くドリーミーな理想でも、何かをゼロや百にするといったキャッチーなプランでもない。その代わり「すぐにでもできる」「現実に対して真面目」「効果は確実だが地道」「その政策を採用した後の社会が見えやすい」ものになっている。
 それはこんな経済政策だ。

    interview with Yukio Edano

格差が拡大、富が偏在すれば、全体で消費に回るお金が減るんです。それなのにいまの日本は人口減少に合わせて格差を拡大させちゃったから消費が冷え込んでいるので、この格差を是正して貧困層を中間層に戻せば確実に消費は増えます。まさに下から良くしていかなければならないんです。

「下からの経済政策」について具体的に教えてください。

枝野:ええ、どこから話しましょうか。まず、景気が悪いのは消費が冷え込んでいるからです。輸出は頑張っています。消費冷え込みの理由は格差の拡大です。今、子どもがいて4人家族ということになれば年収500万でも貯蓄や投資にまわせる金額はほとんどないでしょう? 子どもが学校に行って、家のローンがあって、消費性向はほぼ100パーセントです。その人が年収200万になれば300万の消費が減るわけです。逆に年収100万の非正規の人が年収300万の正社員になれば、増えた分、全部消費するでしょう。一方ね、年収1億の人が2億になったからって、増えた1億は使わないでしょ。所得が高くなればなるほど、手にした所得の中で消費に回る比率は低くなるんです。
 つまり、そのように格差が拡大、富が偏在すれば、全体で消費に回るお金が減るんです。それなのにいまの日本は人口減少に合わせて格差を拡大させちゃったから消費が冷え込んでいるので、この格差を是正して貧困層を中間層に戻せば確実に消費は増えます。まさに下からよくしていかなければならないんです。そのために単にお金をばらまくというのは持続可能性がないんです。ところが幸いなことに、需要があるのに供給が少ないサービスってものすごく多い。その代表が介護や保育です。需要があって供給が少なければ、普通は価格が上がるのに、そうなっていない。これは市場原理からいっておかしい。本当は保育士さんや介護士職員の給与はものすごく上がらなければおかしいんですよ。でも現実に上がってないのは政治が抑えているからです。そこに流す金を抑えている。それを本来の市場原理に合うようにお金を出せば、人手不足も解消できる。そのお金を給料としてもらった人は地域で消費するわけで、経済波及効果は大きいんですよ。つまり二度おいしいんです。

公的資金に市場原理を適用させられるのですか? いまはそれができないと思われていると思います。介護も保育も直接には利益を生まない仕事なので賃金も抑えられてしまうと。

枝野:公共的な仕事に従事する人たちの非正規雇用は深刻な問題です。公的にいくら突っ込むかで給料が自動的に決められてしまって、マーケット・メカニズムが働かない。だけど需要があるところにお金を突っ込む。公的なお金だから、もちろん公的な必要性の高いところにお金を流さなければいけないんだけど、介護も保育も必要性が高いことははっきりしている。賃金の決まり方は本来は需要と供給のはずなのに、その市場原理でいけば、上がるはずのものが上がっていないので、市場原理に合わせた形でお金を流していくしかないわけです。でなければ人手不足は永久に解消しません。
 で、実は、公的なサービスには、そこに流すお金が足りないせいで人手不足・低賃金という分野は山ほどあるんです。例えば、ノーベル賞級の研究をするには、大きなチームが必要で、准教授くらいになれば別だけど、その研究をサポートするチームは大部分が非正規なんです。低賃金なんですよね。いわゆるポスドクの問題で、ここを安定的な雇用にしてちゃんと一定の給与を払って人手を確保してくれれば、日本の研究開発はもっともっと進む。研究開発というと、バカでかい設備投資の話ばかりだけど、実は地道に研究開発しているところのそういうスタッフの待遇改善をしたら、まずそれが景気対策になる。その人たちが手にしたものを消費に回すから。しかもそれで研究開発の基盤が充実すれば、二度三度おいしいんです。
 あるいはいま問題になっている教師の部活動の話がありますよね。あれがサービス残業になっている。それなら部活動を担当する先生に対して、昼間の授業を減らすとか、部活動を担当する先生を別枠で増やすとか、いろんな手はあるわけです。
 どれも公的なサービスですから、結局、何らかの形で税か保険料から払うしかないわけです。で、投資効果の小さい大型公共事業をやる金があれば、その金をそっちに回しましょう。その方が経済波及効果は大きいし、二次的三次的な効果もある。これが下からの経済政策です。
 そして、そういうところが人を集められるようになれば、民間の方は労働市場がタイトになって、否応なく給料を払わざるをえなくなる。僕は社会主義者ではないので、マーケットはいい部分は使っていこうということです。でないとカネをばらまいたって持続可能性ないわけだし、経団連の幹部を呼んで「給料あげろ」なんてそれこそ社会主義じゃないですか。うまくいくわけがない。マーケット・メカニズムを使って、賃金の底上げをして、非正規を正規に移していく。こういう発想です。

経済波及効果は大きいと言い続けてきたんだけど、まさに崇高な理念だからそんなこと言うなみたいな意見によって塞がれてきたんだけど、いまは言うチャンスだから(笑)。でも子ども手当なんてまさに景気対策でしょう? だけど同時に、崇高な理念にも通じているんです。こういうことをまとめてやるというと、「下から所得を押し上げる」。こういうことなんです。

まさにトリクルダウンの逆ですね。政府に決定権限のある低賃金の仕事の給料を上げることで、もう少し楽な境遇にいる人にも良い影響が期待できる。トリクルダウンだと失敗したら、「下」は餓死ですが、下からの経済政策なら、上の人にはもう少し待つ体力がありますね。

枝野:もちろんいろんなことを同時にやるんですよ。例えば、これも公的な世界の話ですが、小さな公共事業で公契約条例というのを一生懸命作らせているんです。公共事業の受注額って、人件費がいくらと試算をして、その積み重ねで予定価格が決まります。でも実際にはその賃金は払ってない。だから、それを払えと。入札時に想定されている賃金をちゃんと払わなければならないという条例が公契約条例で、地方自治体はすでに始めているんですよ。これをやることで、公共事業で流した金からも人件費にもっと流れる。これも景気対策です。あえて言えば、高校授業料無償化も幼児教育無償化、それから奨学金も、それは教育政策であり社会政策でもあるけれど、景気対策なんです。
 例えば未就学児を抱えている親御さんは、若くて全体的にはほとんど低賃金の人たちじゃないですか。その人たちが保育園や幼稚園に払っている金が減れば、もともとかつかつでやってるから、その分可処分所得が増えるんです。高校授業料が無償化されればおそらく教育投資になるけど、浮いた金はほとんど消費に回るんです。こういう言い方をすると教育政策をやっている人には嫌がられるんです。もっと崇高な理念に基づくんだと(笑)。
 もちろんそれはそれでいいんです。でも同時にそれは経済対策でもあるんですよ。経済波及効果は大きいと、僕は民進党時代から言い続けてきたんだけど、まさに崇高な理念だからそんなこと言うなみたいな意見によって塞がれてきたんだけど、いまは言うチャンスだから(笑)。民主党は、だから景気対策がないと言われてきたんです。でも子ども手当なんてまさに景気対策でしょう? だけど同時に、崇高な理念にも通じているんです。こういうことをまとめてやるというのが「下から所得を押し上げる」ということなんです。再分配というと、生活保護とか給付という話に行くんだけど、違うんです。仕事がある、その仕事に正当な対価を払う、その払った対価が消費に回る、というルートで行うんです。

いまはお金がある人も将来が不安だから使わないのではありませんか? 若者はとくにそう言われていますよね。「将来不安」ということについてはどうお考えですか? 

枝野:いや、100万が200万に増えたら必ず使う。まずはそれからです。それが順番。政策によって将来不安を小さくするには5年、10年かかります。しかし景気対策はそんなに悠長なことは言って入られません。まず即効性のある景気対策が必要なんです。
 でもこうも言えます。保育所の人手不足が解消に向かい、介護士の人手不足が解消に向かえば、子育てや老後の不安は小さくなるんじゃないですか? 一石二鳥なんです。だから象徴的に「保育と介護」を言っているのは、同時に将来不安を小さくすることにもつながるからなんです。だけどそれは2番目、3番目の目標です。僕が経済政策に自信を持っているのは、いまよりも民主党政権時の方が実質経済成長が高かったからです。なぜなら可処分所得を増やしていたから。子ども手当や児童手当増額、高校授業料無償化もあったし、農村地域に個別所得補償制度ということもやっていました。そういうこと全部がパッケージです。全部パッケージにして、所得が真ん中より低い人たちの、ニーズのある仕事に対してちゃんとしたペイを払います。それでまず消費が増えます。そのことで将来不安は小さくなります。
 ひとつ言いたいのは、世代間の分断に乗ったら、若い人は損ですよという話です。例えば年金制度とか、高齢者の老後の暮らしの話をすると、「若い人は損だ」と言われます。で、若者に重心を置くのか高齢者に置くのかと論争になる。こんな分断に乗っていたら若い人は損をするし、実は違うんです。だって年金制度がなくなったら、あなた、自分の両親と場合によっては配偶者の両親も含めて4人、祖父母までみんな生きていたら16人、年金生活が崩壊したら、その人たちの老後の生活を個人で見なければならないんですよ。むしろ実は困るのは若い人です。自分が将来受け取る年金の前に、年金制度を維持してもらった方がいい。親の世代をどう支えるか、いまはあまり意識しないで済んでいるのは年金制度があるからなんです。介護保険制度が充実すればするほど、自分の親が寝たきりになったときでも、自分でやらなければならないことが最小化できるんです。これが、年金や介護政策が若者を無視しているなんていう批判に載せられないことが大事な理由なんです。若者に向かって、高齢者の安心を語ります。そして高齢者に向かっては、「あなた、近所に保育園ができて喧しいとかいって反対などしていると、あなたの年金や医療は誰が支えるんですか」と問いかける政治をしなければならないんです。

本当は若者も高齢者も一緒に生きているんですよね。でもいつの間にか一緒に生きていられなくなっていたんですね。

枝野:それは政治が無意識にやってきてしまったことなんです。分断していた方が選挙には得だから。「こいつけしからん」と敵を作って分断して、票を集める。この20年、政治はそうやってきたんです。あえて言えば、僕が初当選した日本新党もそうだったかもしれない。2009年の民主党政権もそうだったかもしれない。でもね、それはもう限界にきた。というのは、この解散以来、永田町界隈は予測不能なカオスになっている。それは僕が動いたとか、民進党がどうしたからというのではなく、たぶん限界にきたんだと思うんです。敵を作って分断して、それで一時的にマジョリティーを形成するというやり方が。
 これはもしかしたら間違っているかもしれないし、今回、まだ早すぎるアプローチで、同じところに行くのに今回挫折して、また5年10年とかかることになるかもしれないけど、でも、僕がこの世界に入って24年間やってきた、どうもみんな無意識にやってきたその手法、というか前提が、壊れはじめているのは確実だと思うんです。

interview with Yukio Edano

この解散以来、永田町界隈は予測不能なカオスになっている。それは僕が動いたとか、民進党がどうしたからというのではなく、たぶん限界にきたんだと思うんです。敵を作って分断して、それで一時的にマジョリティーを形成するというやり方が。

「下からの民主主義」という言い方に惹かれているという若い人の声も聞きます。この数年の国会はくだらなさすぎるヤジや噛み合わない質疑答弁、強行採決のような決め方が横行していましたから。

枝野:何年も言われ続けているのが「強いリーダーシップ」です。その前に「決められない政治」という批判があって、とにかく強いリーダーシップでどんどん決めていくことに対して期待が集まりましたよね。これは一理あると、僕は認めるんです。なぜかというと、世のなかの変化のスピードが速いから、それに対応するためには政治決断も早くないといけないという側面がある。異論があっても押し切るという強いリーダーシップは、一面では正しいんです。でも、同時に、世の中の価値観は多様化してもいる。しかし強いリーダーシップは、価値観の多様化には対応できていないんです。
 価値観が多様化した社会では、どんな決定にも、不満、異論というものを常に抱えざるをえません。一億総中流の時代には、異論反論は少ないわけです。利害関係が共通していたから。いまは格差も拡大しているし、価値観も多様化しているから、どんな決定をしても必ず異論があるわけです。それを強いリーダーシップで、意見も聞かずに強引にやればやるほど、不満は大きくなるんです。一個一個はスピード感があっていいように見えても、積み重なっていくと不満の累積の方が大きくなる。で、社会が不安定化するんです。安倍内閣が4年過ぎたくらいから、いろんな意味でフラフラになっているのは、スピード感のある強引なやり方というものへの期待は一方であるんだけど、結局やりすぎて不満が積み重なり、そっちの方が大きくなっているんでしょう。だから強いリーダーシップと同じくらいのパワーを持って、「スピードも大事だけど、同時にみんなの意見もちゃんと聞こうよ、みんな意見が違うんだから」ということが必要です。
 そのために重要なのは政治姿勢です。1億3000万の意見を全部聴けるわけはないので、まずは国会運営です。どんなに野党が反対しても丁寧に時間をかけて、真摯に国会質問に対して答弁をする。その姿勢をある程度の時間繰り返されたら野党は抵抗のしようがないんです。それは仕方ない。それをちゃんとした説明も答弁もしないで時間が来たからと質疑を打ち切るようなことを積み重ねていけば、それは声を聞いてないということになる。
 民主主義のプロセスですね。その具体的な手法は模索しながら進めていくんです。実際にいまそうです。例えば2年前の安保法制、あのとき、国会前に集まってくれた多くの人たち、その相当はそれまで政治にはあまり興味もなく参加もしなかった人たちでした。でもそのネットワークが、各地でギリギリ維持されてきた中で、もちろん、各地域で従来から市民活動、政治活動に関わっていた人たちは少なからずいるけれど、そうでない人も含めた大きな輪、ネットワークとして、これで野党を一本化しろと政治に圧力をかけにきたんです。我々は圧力をかけられたんです。それは間違いなく政治を動かしたんです。こういう人たちの声を無視して俺たちは政治をやれないという、それが立憲民主党を立ち上げ、希望の党に行かなかった人たちのひとつの理由だったんです。それはもう僕たちがどうこうするというのではなく、主体である国民の皆さんがいろんな動きをすることに対して我々がセンシティヴに反応できないと、我々が立っていられない、そういう土壌は、安保法制以降できている。それにちゃんと応える政治勢力です、我々は。

 

「#枝野立て」「#枝野立つ」というような新しいコミュニケーションも出てきています。そこでちょっと不躾ですが伺いたいのは、もし枝野さんや立憲民主党の候補を応援したら、政権奪取までの間、あなた方は政治家として、私たちやこの社会に何をしてくれますか?

枝野:いま僕らが言えることは、「筋を通します」ということです。つまり、こういう政策を実現したいと言っても、それは議会の多数派を占めないとできないことなので──いや、必ずしもそうではなく、野党でも少数派でも一定の力を持っていれば、社会的なプレッシャーや政治的なプレッシャーとしてある程度は可能なんです。やっぱり政府、与党も国会で揉めたくはないから、妥協するんですよ。妥協できる範囲のことは。だから一定の影響力さえ持てば、例えば与党が憲法改悪をごり押ししようとしても、一定のパワーを示せば、「国民投票が不安だから」あるいは「世論が盛り上がっちゃっても心配だから」という抑止力にはなる。でもそれはできるかどうかはわからない。間違いなくできるのは、マジョリティーをとって、政権を取ったとき。だから、いま、約束できることは、「筋を通します」ということです。
 従来の政治、永田町の合従連衡とか、政治家の都合や思惑などとは違うものを、今回、皆さんに感じてもらえていると思うので、そこはブレずにやります。意外に大変なのだけど。
 国会の運営は、従来のルール、慣習で動いています。我々だけがそれと違うことをやっても通用しないから、そのなかで、ちゃんとブレないで筋を通して期待通りにやっていると、ちゃんと思ってもらえるようにしたい。そう思っていただき続けるのはけっこう大変なんですよ。大変だけど、それをやり続けないと、我々はたぶん立っていられない。

では有権者、なかでも立憲民主党に期待しはじめている人びとに、投票の他にしてほしいことはありますか?

枝野:できることをやってください。わたしもできることをやります。

 インタヴューの翌日、新宿アルタ前では集会が開かれた。元SEALDsのメンバーも含むさまざまなアーティストや著名人、スタッフたちが準備したらしい。集会では学生や市民が選挙について思い思いのスピーチをした。枝野幸男と福山哲郎もそのひとりとして脚立に立って話をした。時間より前から広場を埋め尽くしている聴衆には若者から中年までさまざまだが、その表情はなんだかにこやかだ。事故のような経過だったとしても、選挙直前に突然、選択肢が増えたのだ。それってなんと自由なことだろう。アルタ前にはこの自由を満喫するような笑顔が輝いていた。
 「私たちは少数派ではない」──多くの世論調さは与党圧勝を予測している。そういう数字が、また私たちに無力感を植え付ける。大雑把に見れば、この100年、世界はリベラルに向かってきたし、いまもそれは続いている。グローバル経済、ネオリベ経済は、個々の多様性や人権を重視する政治的リベラルの副作用のようなものだ。行き過ぎれば、人権ではなく、グローバリズムが否定される。そして排外主義という副作用を生んでいる。この悪循環はどこから断ち切ることができるのか。枝野幸男の提案する「下からの経済政策」はひとつの答えだ。
 だから、根気よく信じよう。私たちには民主主義を機能させる能力があるということを。あ、これはたしか、アルタ前で誰かが話していたことだ。政治家ではない。自分たちの力を信じたい。

(敬称略)

Ghostpoet - ele-king

 USのラッパーとは異なるUK独自のカラーを持つラッパー/リリシストとして、1990年代から活動する草分け的存在のルーツ・マヌーヴァの名前がまず上がる。彼の特徴にレゲエのトースティングの流れを汲むフロウ・スタイルがあるのだが、マッシヴ・アタックトリッキーのようなブリストル・サウンドにしろ、UKのアーティストにはレゲエやダブから影響を受けている者が多い。2010年にデビューしたゴーストポエットことオバロ・エジミウェは、そのルーツ・マヌーヴァやトリッキーに通じるところを持つロンドンのシンガー/ラッパー/トラックメイカーだ。ジャイルス・ピーターソン主宰の〈ブラウンズウッド・レコーディングス〉からリリースされたデビュー・アルバム『ピーナッツ・バター・ブルース・アンド・メランコリー・ジャム』(2011年)は、ルーツ・レゲエやダブの源流から、ブリストル・サウンドの影響が伺えるダウナーでスモーキーなサウンドに貫かれ、その上でルーツ・マヌーヴァの系譜に位置するゴーストポエットの低くしわがれた声が虚無的なムードを放っていた。ブリアルやコード9のようなダークなダブステップ系がある一方、シングル・カットされた“ライーンズ”はキング・クルールのようなオルタナ・ロック調で、このユニークなアルバムは2011年のマーキュリー・プライズにもノミネートされた。

 その後、〈PIAS (プレイ・イット・アゲイン・サム〉へ移り、『サム・セイ・アイ・ソー・アイ・セイ・ライト』(2013年)、『シェッディング・スキン』(2015年)と2枚のアルバムを残している。『サム・セイ・アイ・ソー・アイ・セイ・ライト』にはディス・ヒートなどで知られる伝説的なドラマーのチャールズ・ヘイワードから、トニー・アレン、デイヴ・オクム(ジ・インヴィジブル)などのジャズやアフロ系ミュージシャンが参加し、『ピーナッツ・バター・ブルース・アンド・メランコリー・ジャム』のダークな世界観を継承しつつ、サウンドの奥行やスケールを拡大させている。音響的にもダビーさが増し、ゴーストポエットの歌はより深遠さを感じさせた。『シェッディング・スキン』にはメラニー・デ・ビアシオ、ナディーン・シャー、ルーシー・ローズ、エッタ・ボンド、ポール・スミス(マキシモ・パーク)と多くのシンガー・ソングライターが参加し、ところどころに日本語の女性MCも挿入される面白い作品集。アルバムの試みとして彼らゲスト・シンガーとのデュエットがあり、そしてサウンドは“ライーンズ”のようなオルタナ・ロック~インディ・フォーク色が強くなっていった。“ナッシング・イン・ザ・ウェイ”のように雄大なストリングスを効果的に用いた曲もある。ゴーストポエットの歌も今までのクールで淡々としたものから、ときにダイナミズムや野性味を感じさせるものが増えてきており、どこかルー・リードを思わせる作品もあった。全体的にシンガー・ソングライター色を打ち出したこの『シェッディング・スキン』は、再び2015年のマーキュリー・プライズにノミネートされた。その後もゴーストポエットは、マッシヴ・アタックの“カム・ニア・ミー”(2016年)にフィーチャーされるなどしていたのだが、『シェッディング・スキン』から2年ぶりの通算4枚目のアルバムとなるのが『ダーク・デイズ+カナッペ』である。

 過去3作はほぼセルフ・プロデュースだったが、『ダーク・デイズ+カナッペ』ではブライアン・イーノ、ジョン・ホプキンスなどを手掛けたレオ・エイブラハムズが共同プロデュースし、マッシヴ・アタックのダディGや女性シンガー・ソングライターのEERAが参加。エイブラハムズはギタリストとしても著名で、“ブラインド・アズ・ア・バット…”に顕著な彼のギター・サウンドが、『ダーク・デイズ+カナッペ』を彩る要素のひとつになっている。オープニングの電子音がうごめく“ワン・モア・シップ”やジューク/フットワークの要素も感じさせる“カロシ”からは、『シェッディング・スキン』とはややテイストの異なるアルバムであるという印象を抱かされる。ダディGとデュエットした“ウォウ・イズ・ミー”は、フォークやブルースの影響を感じさせるトリップ・ホップで、枯れた雰囲気のマッシヴ・アタックとでも言おうか。ダーク&ソリッドさが漂う“メニー・ムーズ・アット・ミッドナイト”も、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドなどブリストル・サウンドに通じるナンバーだ。『シェッディング・スキン』路線のロック調のナンバー“ライヴ>リーヴ”もあるが、全体的にはアブストラクトなムードの“(ウィー・アー)ドミノズ”をはじめ、比較的ファースト・アルバムの頃に戻ったような感じだ。“トラブル+ミー”はロック、ファンク、トリップ・ホップがミックスされたようなナンバーで、リチャード・ラッセルがプロデュースしたギル・スコット=ヘロンの生前最後のレコーディング『アイム・ニュー・ヒア』(2010年)を思い起こさせる。ミュージック・ヴィデオも公開された“フリークショウ”は、ダブの影響が強いオルタナ・ロック~パンク的なナンバーで、“ドーパミン・イフ・アイ・ドゥー”では重厚なゴーストポッツの歌と可憐なEERAの歌が好対照を見せる。同じくミュージック・ヴィデオが作られた“イミグラント・ブギー”は、エイブラムスのギターがカオティックで催眠的なグルーヴを作り出し、ゴーストポエットの歌もパンキッシュな匂いを放つ。UKのメディアには“トラブル+ミー”や“フリークショウ”をレディオヘッドになぞらえているものもあったが、実験的な音響効果が施されたアルバム最後の“エンド・タイムズ”も同様で、エイブラハムズのギター・サウンドを含めてレディオヘッドを投影できるところもある『ダーク・デイズ+カナッペ』だ。

Garden City Movement - ele-king

 夏は終わる。必ず終わる。と思っていてもなかなか終わらないのも夏というものだ。今年の夏も長かった。日本はどこか亜熱帯な気候になってしまった。今や「エンドレス・サマー」は儚い夏の記憶というより、いつまでも終わらない夏に対する飽き飽きする感覚に近い。ロマンティックで、その一瞬、刹那にしかない楽園の記憶としての「エンドレス・サマー」は、既に一種のファンタジーだったのかもしれない。だが音楽はファンタジーである。ブライアン・ウィルソンはサーフィンができなかった。だから終わりゆく永遠の夏を音楽にすることができた。人は現実のむこうにファンタジーを感じるゆえに生きていける。夢のむこうへ。

 2001年にリリースされたフェネスの『エンドレス・サマー』以降、たとえば、マニュアル、グリム、イーサン・ローズなどエレクトロニカもまたビーチ・ボーイズ的な夏の記憶=エンドレス・サマーをポップスの並行世界的に継承してきた(00年代初頭のエレクトロニカが90年代のシカゴ音響派などのポストロックやハイ・ラマズなどのモンド・ポップを継承するものであったことの証でもある)のだが、今回紹介するイスラエルのユニット、ガーデン・シティ・ムーヴメントも、その系譜に加えてみたい。
 メンバーはRoi Avital(ヴォーカル、キーボード、ギター)、Joe Saar(ギター、サンプラー、キーボード)、Johnny Sharoni(ヴォーカル、ギター、サンプラー、パーカッション)の3人。イスラエルの人口第二の都市で「中東のヨーロッパ」とも呼ばれるテルアヴィヴで2013年に結成された。地元の優良インディ・レーベル〈BLDG5 Records〉からすでに4枚のEPをリリースしているユニットである。

 イスラエルは遠い。北にはレバノン、北東にはシリア、東にはヨルダン、南にはエジプトだ。そして彼らからみても日本は遠い。だが今はインターネットがある。そもそもインディ・シーンの少ないイスラエルにあって、インターネットで繋がる外国のシーンの方がより「近い」感覚なのかもしれない。じっさい、ガーデン・シティ・ムーヴメントは、今のエレクトロニック・ポップ・ミュージックだ。
 と「今の」、と思わず書いてしまったが、本作『Move On』は、ガーデン・シティ・ムーヴメントの日本特別編集盤である。本盤は2013年の「Entertainment」と2014年の「Bengali Cinema」のEP 2枚に加えて、最新シングル「She's So Untouchable」や初フィジカル化の音源などを日本独自にコンパイルしたアルバムなのである。つまり2013年から2016年までの3年分のトラックが収録されているわけだ。MVにMayan Toledanoを起用し、YouTubeで200万再生を記録した“Move On”は2013年の曲だ(Mayan Toledanoはアーティストであり、彼らのレーベル〈Me and You〉共同創始者)。
 だが不思議と4年の月日を感じさせないのだ。たしかにジェイムス・ブレイク以降のサウンドなのだが、彼らの音楽には不思議と普遍性がある。エンドレス・サマーの感覚だ。それは少年/少女の記憶の封じ込めなのかもしれない。

 エレクトロニカといってもガーデン・シティ・ムーヴメントの曲はどれもインディ・ロック的であり、ネオ・ソウル的ともいえる。アルバムは1曲めから4曲めまでがEP「Entertainment」収録曲で、5曲めから8曲めまでがEP「Bengali Cinema」収録曲となっている。9曲めから12曲めまでがシングル「She's So Untouchable」収録の表題曲や12インチ・ミックス、コンピレーション・アルバムなどに収録された初フィジカル化の新曲などを収録している。
 1曲め“Casa Mila”からガーデン・シティ・ムーヴメントらしさがあふれている。エディットされたヴォーカルに、夏の夕暮れの空気を感じさせる電子音とコード、細やかなビート。2曲めは彼らの代表曲ともいえる“Move On”。ぐっとBPMを落としたトラックに甘いギターとヴォーカル、ゆったりしたビートの向こうに聴こえる微かな雨の音のような環境音の組み合わせも心地良い。ちなみに“Move On”は、Teen Dazeのリミックスも知られている。4曲め“The More You Make It”はヴォーカル・エディットが控えめになり、ディスコ・ソウル風味のキャッチーな曲を聴かせる。これは2016年のシングル曲“She's So Untouchable”に聴くことができる傾向で、とても良いと思う。


 5曲め以降の「Bengali Cinema」収録曲では7曲め“Lir”に注目したい。おだやかなアコースティック・ギターとエモーショナルな電子音。彼らの曲には、良質で控えめなエモーショナルさがあるのだが、それが楽曲のメロウさを際立たせている。ボーナス・トラック曲では“The Best Of Times?”が素晴らしい。2016年にリリースされた〈BLDG5〉のレーベル・コンピレーション・アルバム『Nightingale Floor Compilation』に収録されたトラックなのだが、夜の空気に満ちたネオ・ソウル的な曲だ。

 以上のように、幅広いリスナーにアピールできそうトラックばかりである。細やかにエディットされた電子音とヴォーカル/メロディ、フローティングする甘いコードのレイヤーは、聴き手を夢の中のビーチへと誘うようなメロウな感覚に満ちている。秋が来て、やがて冬が来ても永遠の夏を夢想したい。そんな永遠のポップ中毒者におすすめしたい1枚だ。
 何より本アルバムはアートワークといい曲の並びといいオリジナル・アルバムといっても過言ではない統一感がある。 ガーデン・シティ・ムーヴメントを初めて聴くリスナーにとって最高の入り口になるだろう。

KANDYTOWN - ele-king

 勢いが止まらない。メンバー各々が精力的にソロ活動を繰り広げるなか、今度はKANDYTOWN本体が動き出した。去る9月29日、かれらにとって2017年最初のリリースとなる新曲“Few Colors”が配信でリリースされたけれど、この度そのMVが公開された。メンバーたちが一堂に会し、同じブーツを着用している風景はじつに壮観である。今後もかれらの動向から目が離せそうにない。


東京の街を生きる幼馴染たち、総勢16名のヒップホップ・クルー:KANDYTOWN
2017年第1弾リリースとなる新曲“Few Colors”(ティンバーランド 2017年FALL&WINTERタイアップソング)のMUSIC VIDEOを遂に公開!

昨年11月に発売した1stアルバム『KANDYTOWN』がiTunes HIP HOPチャート1位を獲得し、各メンバーのソロ名義でのリリースも活発に行い話題のヒップホップ・クルー:KANDYTOWNが、ティンバーランドの2017年FALL&WINTERタイアップ・ソングとなっていることでも話題の2017年第1弾リリースとなる新曲“Few Colors”のMUSIC VIDEOを公開した!

これまでこの映像は“Few Colors”のiTunes Store限定バンドル特典としてしか見ることができなかったが、新曲“Few Colors”が配信されるや否や、各配信サイトのHIP HOPチャートの上位を賑わせている中での、まさに待望のMUSIC VIDEO公開となった! 今回のMUSIC VIDEOも、KANDYTOWN内のIO、YOUNG JUJUが所属するクリエイティヴ・チーム:TAXi FILMSが手掛けており、映像中では、ティンバーランドのアイコンとも言うべき、シックスインチプレミアムブーツを着用したメンバー全員が出演している。重厚感のある楽曲同様、これまで以上に深く、濃くKANDYTOWNの世界観を味わえる内容となっている。

そんな、KANDYTOWNはティンバーランドとのコラボレーションを記念して、MUSIC VIDEO同様にTAXi FILMSが手掛けたビジュアルを始めとしたスペシャル・コンテンツを擁した特設ウェブサイトもOPENしているので、是非チェックしてみよう!

【“Few Colors”YOUTUBE URL】
https://www.youtube.com/watch?v=pKb2qbY7ccg

【“Few Colors”作品詳細】

配信日:2017年9月29日(金)0:00
タイトル:Few Colors(ティンバーランド 2017 FALL&WINTERタイアップソング)
配信URL: https://lnk.to/KFQE0
備考: iTunes限定で特典にMUSIC VIDEOが付いたバンドル配信も決定。

【KANDYTOWN|Timberland特設ウェブサイト】
https://goo.gl/LFdZSK

【KANDYTOWN オフィシャルHP】
https://kandytownlife.com/

【KANDYTOWN WARNERMUSIC JAPAN HP内ARTIST PAGE】
https://wmg.jp/artist/kandytown/

【KANDYTOWN プロフィール】
東京の街を生きる幼馴染たち、総勢16名のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape『KOLD TAPE』
2015年 street album『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 1st album『KANDYTOWN』
2017年 1st album『KANDYTOWN』(4LP)

Oneohtrix Point Never - ele-king

 これは嬉しいお知らせです。11月3日に日本公開される映画『グッド・タイム』のディレクターズ・カット版サウンドトラックCDがリリースされます。こちら、なんと日本限定かつCD限定の試みとなっている模様。OPNによる『グッド・タイム』のサウンドトラックはすでにリリースされていますが、このディレクターズ・カット版は全曲フィルム・エディットで、オーダーも映画での流れに沿ったものとなっており、また未収録曲も追加されているとのこと。新曲の試聴はこちらから。

ONEOHTRIX POINT NEVER
カンヌを震撼させた映像すら飲み込む衝撃の映画音楽体験。
ロバート・パティンソン主演で注目の話題映画『グッド・タイム』
ディレクターズ・カット版サウンドトラックのCDリリースが決定!

本年度のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、主演のロバート・パティンソンが彼のキャリア史上最高の演技を披露していると話題を呼んでいる映画『グッド・タイム』。音楽を手がけたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが、本年度のカンヌ・サウンドトラック賞を受賞し、アメリカで8月に公開された際には、セレーナ・ゴメスや全米シングル・チャート1位をもつ人気シンガー、ザ・ウィークエンドなども大絶賛するなど大きな注目を集める中、日本でも11月3日(祝・金)よりシネマート新宿ほかにて全国公開が決定している。

11月3日公開 ロバート・パティンソン主演『グッド・タイム』予告編
https://www.finefilms.co.jp/goodtime/

また本映画のサウンドトラック・アルバムとしてワンオートリックス・ポイント・ネヴァーが〈Warp Records〉から『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』をリリースしており、映画のエンディング・テーマにもなっている“The Pure and the Damned”でイギー・ポップとコラボレートしたことも大きな話題となった。映画の日本公開を1ヶ月後に控えた中、公開を記念して、全曲フィルム・エディットで収録されたディレクターズ・カット版『Good Time... Raw』の日本限定リリースが決定し、新曲“Elara to Alley”が解禁された。

Oneohtrix Point Never - Elara to Alley
https://pointnever.com/elara-to-bank

本作『Good Time... Raw』は言わば『グッド・タイム』のサントラの完全版だ。オリジナルのサントラは今年8月にもリリースされたが、サフディ兄弟の片割れであるジョシュ・サフディが「映画のままでサントラを聴きたい」とリクエストしたため、完全版の『Good Time... Raw』が制作されることになった。ゆえに本作は映画の流れに沿った曲順であり、イギー・ポップが参加した“The Pure and the Damned”含め、全曲がFilm Editで収録されているほか、8月リリースのオリジナル・ヴァージョンには収められなかった曲も追加収録されており、『グッド・タイム』の世界観をより深く理解するためにも必聴の作品だ。

そんな本作は、これまでのロパティンからすると新たな側面といえる音が多い。とりわけ耳を引くのは、シンセのアルペジオが多用されていることだ。オリジナル・アルバムではあまり強調されないメロディーも前面に出ており、ロパティンのサウンドにしてはキャッチーである。とはいえ、殺伐としたドライな映像が印象的な映画本編と共振するように、不穏な空気を醸す電子音が多いところには、ロパティンが持つアクの強さを見いだせる。それが顕著に見られるのは、メタルみたいな大仰さが映える“Bail Bonds”や、人工的な8ビット・シンセが響く“Flashback”などだろう。また、“6th Floor”“Ray Wake Up”“Entry To White Castle”では秘教的な雰囲気を創出しているが、その雰囲気に『AKIRA』の音楽で有名な芸能山城組の影がちらつくのも面白い。サフディ兄弟とロパティンは、共に『AKIRA』好きとしても知られているが、そうした嗜好は本作にもあきらかに表われてい る。

本作は、ロパティンなりに映画の世界観と上手くバランスを取ろうとする客観性と、アーティストとしてのエゴが絶妙に混ざりあった作品だ。そんな本作を聴いて連想するのは、映画『ロスト・リバー』の音楽を担当したジョニー・ジュエル、あるいはドラマ『ストレンジャー・シングス』の音楽で知名度を高めたカイル・ディクソン&マイケル・ステインあたりのサウンドだが、こうした近年注目されているアーティストに接近したのはなんとも興味深い。そういう意味で本作は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの次なる一手としても重要な作品になるだろう。

話題映画『グッド・タイム』ディレクターズ・カット版サウンドトラック『Good Time... Raw』は、映画公開と同日の11月3日(祝・金)に日本限定、またCDフォーマット限定でリリースされる。また本作には、ジョシュ・サフディによるライナーノーツおよび、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンとジョシュ・サフディによるスペシャルな対談が封入される。また対象店舗にて、『Good Time... Raw』と『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』を2枚同時で購入すると、オリジナル・クリアファイルが先着でもらえる。


label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time... Raw

cat no.: BRC-561
release date: 2017/11/03 FRI ON SALE
国内限定盤CD:ジョシュ・サフディによるライナーノーツ
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとジョシュ・サフディによるスペシャル対談封入
定価:¥2,000+税

【ご予約はこちら】
amazon: https://amzn.asia/gxW5H63

商品詳細はこちら:
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-561


label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time Original Motion Picture Soundtrack

cat no.: BRC-558
release date: 2017/08/11 FRI ON SALE
国内盤CD:ボーナストラック追加収録/解説書封入
定価:¥2,200+税

【ご購入はこちら】
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002171
amazon: https://amzn.asia/6kMFQnV
iTunes Store: https://apple.co/2rMT8JI

商品詳細はこちら:
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-558


映画『グッド・タイム』
2017年11月3日(祝・金)公開
第70回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門選出作品

Good Time | Official Trailer HD | A24
https://youtu.be/AVyGCxHZ_Ko

東京国際映画祭グランプリ&監督賞のW受賞を『神様なんかくそくらえ』で成し遂げたジョシュア&ベニー・サフディ兄弟による最新作。

出演:ロバート・パティンソン(『トワイライト』『ディーン、君がいた瞬間』)、ベニー・サフディ(監督兼任)、ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイト・フルエイト』)、バーカッド・アブティ(『キャプテン・フィリップス』)
監督:ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟(『神様なんかくそくらえ』)

ニューヨークの最下層で生きるコニーと知的障がい者の弟ニック。2人は銀行強盗を行うが、弟が捕まり投獄されてしまう。しかし獄中で暴れ病院へ送られると、それを聞いたコニーは病院へ忍び込み、警察が監視するなか弟ニックを取り返そうとするが……。

2017/アメリカ/カラー/英語/100分
© 2017 Hercules Film Investments, SARL

配給ファインフィルムズ

interview with Ryohu - ele-king


Ryohu - Blur
LIQUOR&FOODS I.K / Less+ Project.

Hip Hop

Amazon Tower HMV iTunes

 グループとしても、それぞれのソロとしても、快進撃を続けるKANDYTOWN。その中でも、まだKANDYTOWNがこれほどまで名前をシーンで上げる以前から、ソロでのリリースや、Base Ball BearやSuchmosといったヒップホップ・シーン外のアーティストへの客演でも注目を集めていたラッパー/トラックメイカーのRyohu。それらに加えプロデュース・ワークや、ラッパーとして参加しているバンド Aun beatzでの動きなど、その活動の幅と創作意欲の高さは衆目を集めていたが、ソロでのリリースとしては「Green Room」や「All in One EP」などがあったものの、現場売りや限定リリースなど、そのリリースは大きな形ではなかった。しかし今回リリースとなる「Blur」は、インディ・リリースではあるが初の全国流通盤となり、その存在をより広い形で伝えることになる作品となるだろう。そして、そのアルバムはバンド ampleの河原太朗を共同プロデューサーに迎え、インタビューでも語られる通り、打ち込みによるヒップホップやクラブ・ミュージックならではの構造性と、バンドとしての音楽的なカラーの豊かさを両立させた作品として完成させた。ラップのアプローチとしても、これまでとも繋がるロマンティックで垢抜けたリリシズムに加え、そのイメージをやや変えるような創作性も垣間見え、そのポテンシャルを作品に塗り込める。確実な進歩を感じさせる、理屈を超えた「気持ちよさ」を感じさせる1枚だ。


やっぱりDJプレミアが多かったですね。リアル・タイムのものより、ナズとかジェル・ザ・ダマジャ、ブラック・ムーン、モブ・ディープみたいな、90年代クラシックを死ぬほど、もうぶち狂うぐらい聴いてて。

まずRyohuくんの音楽的な原点から教えてください。

Ryohu:子どもの頃からバスケやってて、試合で遠征する時はチーム・メイトの家族の車に分乗して会場まで行くんですけど、その中にロック好きなお父さんがいて、その車ではいつもボン・ジョヴィの“It's My Life”がかかってたんですよね。その曲が聴きたいがために、その車に乗ってたのを覚えてます(笑)。ラップはKICK THE CAN CREWとかRIP SLYMEみたいな、当時のポップ・チャートに登場してた人も聴いてたんだけど、最初に衝撃を受けたのはキングギドラの『最終兵器』でしたね。それが小5~6だったと思う。ギドラを聴いて、こういうラップ、ヒップホップがあるんだ、格好いいなってしっかり聴き始めて。世代的にも『空からの力』は後追いですね。

ハードコア・ヒップホップの方がピンときたと。

Ryohu:そうっすね。中学の時には妄走族のライヴも行ってたし。

それは意外!

Ryohu:妄走族はかなり聴いてましたね。雷家族も超好きだったし、練マザファッカーがテレビに出る前からD.Oさんの音源も聴いてて。

ある意味で、KANDYTOWNは世間的にはクールでお洒落な感じで受け取られている部分もあるし、実際にそういう部分もあるんだけど、IOくんは「BOOT STREET」で働いてたり、いわゆる渋谷宇田川カルチャーとも繋がりがあるんですよね。

Ryohu:やっぱり好きなものと、自分がアーティストとして提示したい自分らしいものって違うじゃないですか。だから、その意味でも最終的にハードコアな方向には行かなかったけど、やっぱりリスナーとしては影響を受けてましたね、特に当時は。そういうライヴって、やっぱり中学生なんてほぼいないんだけど、その中に同世代で来てたのがYUSHIで、そこで知り合ったんですよね。

学校の繋がりではないんですね。

Ryohu:俺やB.S.Cは普通の公立校で、YUSHIは和光中学に通ってて。

いわばストリートで出会ったと。

Ryohu:格好良く言えば(笑)。それでYUSHIやIO、KIKUMARUとか和光の人間とも遊ぶようになって。俺は駒場高校に進んで超真剣に部活でバスケやってたんだけど、遊ぶのは後にBANKROLLになる連中ばっかりでしたね。自分の高校の人間とはあんまり遊ばなかったし、行事も参加しないで、部活が終わったらBANKROLLの連中と遊ぶっていう。だから、学校では謎キャラだったと思います(笑)。

自分の高校にはラップを聴いてる人はいなかった?

Ryohu:いたと思うけど、BANKROLLのメンバーぐらい詳しかったり、感覚の合う人間はいなくて。

ではラップを始めたキッカケは?

Ryohu:せざるをえなくなったんですよね。

それはどういうこと?

Ryohu:YUSHIは中学からラップやってたし、一緒に遊んでる人間も高校に入るとみんなラップ始めて、遊ぶ時はみんなフリースタイルしてるんですよ。最初は「俺はいいわ」とか言ってたんですけど、結局みんなそうやって遊んでるから、つまんなくなるじゃないですか。それで「俺もラップするしかねえか」みたいな(笑)。本当はやりたいんだけど、恥ずかしいっていう気持ちが勝ってて踏み出せなかった部分もあって。それで一回やってみたら、あとはもう楽しくなっちゃって、インスト聴いたら曲書こうって感じだったし、MTRでひたすら録ってましたね。それは俺もそうだし、KANDYのメンツはみんな。だから世に出てない曲は山ほどありますよ。

当時、ラップを載っけてたビートは?

Ryohu:やっぱりDJプレミアが多かったですね。リアル・タイムのものより、ナズとかジェル・ザ・ダマジャ、ブラック・ムーン、モブ・ディープみたいな、90年代クラシックを死ぬほど、もうぶち狂うぐらい聴いてて。当時、俺らが格好いいと思ってたライフ・スタイルに、90sのNYヒップホップが近い部分があったと思うんですよね。夜、集団でオーバー・サイズ着て、歩いてたり溜まってるみたいな感じがかっけえっていう。俺らの遊ぶ時もそういう感じでしたね。

高校卒業ぐらいのタイミングで、ズットズレテルズにも参加しますね。後にOKAMOTO'Sに繋がるグループですが、Ryohuくんはどういう経緯で入ったの?

Ryohu:なんなんすかね?

それを聞いてるんだけどさ(笑)。

Ryohu:いや、なんかやろう、ぐらいだったと思いますね。あんまり深い意味はなかったと思います。

話によると、和光の卒業イベントのために結成したんだけど、賞金が欲しくて「閃光ライオット」にもチャレンジしたということですが。

Ryohu:そんな感じだったかもしれない(笑)。でもとにかく一緒にいて、バンドのジャム・セッションに合わせて、YUSHIと俺がフリースタイルするって感じで、とにかく一緒に音楽をやってましたね。実際には半年ぐらいしか活動してないけど、その間ズレテルズのメンバーととにかく一緒に音楽を作ってましたね。それでハマ(オカモト)くんが当時、ズレテルズとは別にEdBUSっていうバンドのサポートやってて、その流れで下北沢GARAGEに出入りしてたんですよね。それで、その年の「閃光ライオット」に出た挫・人間とか関取花ちゃん、ブライアン新世界たちと一緒に、ズレテルズ主催でGARAGEでイヴェントをやったんですよ。そこで当時店長だった出口(和宏)さんが俺のことを気に入ってくれて、それからGARAGEに出入りするようになって。それで当時MPC1000を買って――確か楽器屋に取りに行くのに、IOの車で送ってもらった記憶があります――トラックメイクも始めたんですよね。MPC1000は持ち運びができたんで、夜な夜なGARAGEに機材を持ってって、楽屋兼事務所に溜まってるみんなと、朝まで一緒に曲作ったり。そこでコイちゃん(小出祐介、Base Ball Bear)に出会ったんですよね。

ベボベの“クチビル・ディテクティヴ”に参加したのも、GARAGEの流れだったんですね。

Ryohu:そうですね。あと、閃光ライオットでコイちゃんが審査員だったっていうのもあって。ただ俺はバンドを全然聴いてなかったんで、出会った時にベボベのことも、コイちゃんのことも知らなかったんですよ。それよりも、やたらラップの上手い人って印象でしたね。それで事務所で一緒に遊び終わった後に、そのまま飯食いに行ったんですよね。それで下北の駅前を通ったら「ベボベ武道館」っていうポスターが貼ってあって、一緒にいた人に「これ、コイちゃんのバンド」って言われて、「え、スゴいことですよね、武道館ワンマンて」って(笑)。同じようにGARAGEで出会った(ペトロールズの長岡)亮介さんも知らなかったんで、ライヴを見て「めっちゃギター黒いっすね」とか軽く言ったりして。亮介さんには「マジあの時はすみませんでした」って今も謝ってるんですけど(笑)、単純に生意気な奴って感じだったと思いますね。

同時期には元SIMI LABのQNの別名義、EARTH NO MADの「MUD DAY」にも参加しますね。

Ryohu:BANKROLLは町田のFLAVAとかでライヴをやってたんで、同じようにFLAVAに出てたSIMI LABとも繋がってたんですよね。そこでQNから、「別名義でリリースするからRyohuも入ってくれない?」ってオファーをもらって。で、歌詞書かないでいって、フリースタイルで録って、その時間をタイトルにするっていう(笑)。

いい加減だな~。

Ryohu:もうしっかりしなさいよ、って感じですよ、いまから振り返ると(笑)。

ふと「考えるの止めよう、山に登ろう」と思って、ひとりで山に登ったんですよね。

そうやっていろんなオファーがあったけど、ソロ作にはたどり着いていませんね。

Ryohu:リリースの勧めもあったんですけど、そういうモードじゃなかったというか、俺自身、実際に何をしたいのかが、自分でわかってなくて。だからリリースとかよりも、遊んでたかったっぽいですね。勿論、そこには音楽が付随してて、いろんな出会いだったりがあって、そこで新しい音楽の遊び方を覚えたりはしてるんだけど、「リリース」とか「制作」には自分から向かわなかった。

それはBANKROLLやKANDYTOWNとして動きたかったという部分もある?

Ryohu:正直、それはハナからなかったですね(笑)。なんならIOと超しょうもないこと――かつ完全に俺が悪い内容で――喧嘩してて、1年ぐらい口きいてなかったんじゃないかな、KANDYの仲間と一緒にいたりするのに(笑)。かつ、GARAGEに出入りするようになってたんで、KANDYよりも、そっちが遊ぶ中心になってて。ライヴもやってたけど、人に求められるからやるっていうか。自分からっていう感じでは正直なかったかもしれないですね。

その意味では、アーティストとしてやってこうと思ったタイミングは?

Ryohu:それこそベボベの作品に何作か参加させてもらって、普通に音楽でお金もらってるんだなとは感じてたけど、その時はこれを仕事にしようとは思ってなかったんですね。でも、22~3ぐらいのタイミングで、ふと、ちゃんとしなきゃな、音楽をちゃんとやってみようかな、と思ったんですけど、でもやり方がわかんねえ、みたいな、ただただ時間だけが過ぎてくみたいな期間があって。その中で音楽と向き合うために、11年に「Green Room」を作ったんですけど(リリースは13年)、とにかく暗くなっちゃって。それでふと「考えるの止めよう、山に登ろう」と思って、ひとりで山に登ったんですよね。

また急激な展開(笑)。

Ryohu:体動かしたほうがいいかなって(笑)。その帰りに、KANDYのメンバーではないんだけど、その周りにいる仲間に出会って、「これはもうこの環の中からは逃れられないってことだし、それでいいんだな」って。そこで、スゴくいろんなことに関して軽く考えられるようになったんですよね。

「Blur」に収録される“The More, The Better”には、山の話が出てきますが。

Ryohu:その時に書いたリリックなんですよ。自分の中でのもがきとか、悩みの霧が晴れて、もっと簡単に考えていいんだ、って思った時の曲で。tengal6を手がけたのもその時期じゃなかったかな。

ラップ・アイドル lyrical schoolの前身である、tengal6の「まちがう」に収録された“ルービックキューブ”などを手がけられましたね。アイドルの制作に参加したキッカケは?

Ryohu:ミュージシャンのリキヒダカともGARAGEで繋がったんですけど、彼の繋がりでtengal6のプロデューサーのキム・ヤスヒロくんから連絡をもらって「ラップの指導をやってくんない?」って。それでオーディションぐらいから関わらせてもらったんですよね。

そして、KANDYTOWNが14年に初のミックス「KOLD TAPE」をWEBにアップして、その1年後には「BLAKK MOTEL」「Kruise'」をリリースして、いよいよ本格的に動き始めることになりますね。Ryohuくんはそれと並行して、Suchmos「THE BAY」に収録された“GIRL (feat. Ryohu)”にも参加と。

Ryohu:やっぱりKANDYが注目され始めたのは個人的に嬉しかったですよ。それまでほとんど俺しか表に出てなかったんで、リリースはこれから動こうぜっていうキッカケにもなって。去年フル・アルバム『KANDYTOWN』まで上手いこと進めたし、その流れに沿ってそれぞれのソロもリリースされて、普通に嬉しいみたいな。雑誌の表紙も何人もやってるし、「みんなで、有名になるの良くねえ?」って感じでもあるし、一方で勝ち負けじゃないけど、みんな頑張ってるから俺も負けられねえ、っていう気持ちにもさせられて。

IOくんやYOUNG JUJUくんたちは全国流通作をリリースしていますが、Ryohuくんは現場売りが中心でしたね。昨年リリースの「All in One EP」も流通としてはライヴ会場やタワーレコード限定のリリースでした。

Ryohu:結局、関わる人間が増えれば増えるほど、いろんなことがあるし、ものづくりをする上で、あまり人に関わらせたくなかったというか、アーティストが一番でありたかったんですよね。俺が作った俺の音楽なんだから、って。「Green Room」の頃までは、まだとんがってたと思いますね。「All in One EP」はそれが晴れて、自分からいろんな人に働きかけたら、みんな快く引き受けてくれて。そこで「頼んでもいいんだ、手伝ってくれるんだ」って発見もあったんですよね。それで「Blur」は全国流通で展開しようって。

バンドだとありえない音楽構造で作曲するのは、ヒップホップのトラックメイカーができることだけど、バンドとしての素晴らしさは、やっぱりバンドにしか出せないですよね。そのふたつを組み合わせたくて。

その「Blur」ですが、バンド ampelの河原太朗さんを共同プロデューサーに起用した、バンド・サウンドが基調になった作品ですね。

Ryohu:生音を使ったらどうなるんだろうっていうのは興味あったんですよね。それがキッカケで、太朗ちゃんに声をかけて。

作り方としてはどのように?

Ryohu:俺は楽器ができないんで「こういう感じの曲を作りたい」「こういう曲にしたい」っていうザックリしたイメージを太朗ちゃんに伝えて、それを「こういう感じ?」って組み立ててもらうんですよね。それで「それがいい」「コード感はもう少し明るめ」「これに合うのはこういうドラムだね」とか、ディスカッションで進めていった感じですね。だから、土台を作る時はふたりで部屋にずっとこもってましたね、2日間(笑)。ただ、ドラムは打ち込みにしたかったんですよ。

それはなぜ?

Ryohu:バンドで制作したのは、あまりヒップホップ・サウンドにしすぎないようにっていうイメージだったんですが、でも一方でクラブ対応にはしたくて。

音圧や低音部の響きは、やはり打ち込みならではの強さがありますね。

Ryohu:ジョーイ・バッドアスとかケンドリック・ラマーが提示するような、それぐらいのベースじゃないと物足りないと思ったんですよね。

個人的にはチャンス・ザ・ラッパーのアプローチにも近いモノを感じました。

Ryohu:バンドだとありえない音楽構造で作曲するのは、ヒップホップのトラックメイカーができることだけど、バンドとしての素晴らしさは、やっぱりバンドにしか出せないですよね。そのふたつを組み合わせたくて。

その意味でもKANDYで求められてるものと、Aun beatzやRyohuくんのソロで求められてるものの、両方を納得させられる作品になっていると感じました。また「Blur」というタイトルだけど、リリックは情景がしっかり見えるような構成になっているのと同時に、「君」や「あなた」という二人称が多くて、それは「聴いてるあなた」といったような、具体的な相手が想定されてるのかなとも思えて。

Ryohu:自分の中で見えてる景色があって、その中に登場してる人に向けてる感じですね。「Blur」は単にぼんやりっていう意味じゃなくて、そうなるには何色かが足されて「Blur」になると思うんですよ。例えば、夜と朝、昼と夜が混じり合う微妙な時間とか。その感じが自分にとって「Blur」。だから、それぞれの楽曲にはカラーがあるけど、それが混ざり合ってこの作品ができているので、タイトルを「Blur」にしたんですよね。

今までの作品もそうですが、全体的にロマンティックだし、Ryohuくんはロマンチストだなと。

Ryohu:ロマンティックあふれ出てますか、今回も(笑)。

言わなきゃ良かった(笑)。

Ryohu:俺も含め、KANDYはジェントルマンですから。女の人に優しいのは大事じゃん、っていう。確かに、普通に考えたらクソ恥ずかしいことを書いてるとは思うんですよ。特に“All in One”とか。でも恥ずかしいけど、それを超えて格好いいことを書いてるから、言えちゃうんですよね。“Say My Name”とかも照れるようなリリックではあるけど、格好いいから言えちゃうと思うし、格好いいものを作れば、それは肯定されると思うんですよね。

ただ“Desserts”では、ややサイコパスとも言える男も形にしていて。しかもビートが変わるタイミングで、どんどん狂気じみていくのも面白い。

Ryohu:ストリーテリングとして、愛の表現をもっと狂気じみた感じにしてみたんですよね。だから俺の愛し方ではないんで、勘違いされたらやだなーとか思いながら書きました(笑)。

Ryohuくんのプロジェクトとしては、外部仕事も含めたソロ、Aun beatz、KANDYTOWN、トラックメイクが挙げられると思いますが、その違いは?

Ryohu:KANDYはいまだにみんなで集まって遊びの延長で作るって感じだし、BANKROLLの頃と変わらないですね、俺自身は。トラック提供は基本的にKANDYのメンバーに向けてなんですが、「こういうのがあってもいいんじゃない」みたいな、提供するメンバーが今まで選んできたものとはちょっと違ったり、ギリギリのラインを攻める感じですね。Aunはバンドが作ってきたサウンドに対して、どう返すかっていうチャレンジ。ソロは完全に自分に没入したオタクって感じですね。だから自分の作品が一番難しいですね。誰かと作る作品は、こうした方が面白いかもとか、こういうのが欲しいとかが浮かぶけど、自分のこととなると、どうしたらいいのかなって悩みますね。だから、いろんな動きがそれぞれ良い息抜きになってるんですよ。

外仕事だとエゴを通せない部分もあるし、ソロだけだと煮詰まるし……。

Ryohu:ソロだけだったらリリースしないかもしれないですね。ずっと自分の中で作ってて、それに飽きたらリリースしないで捨てちゃうかもしれない(笑)。だからいろ0んなアプローチがあることで、一生音楽を作り続けられると思うし、関わってくれる皆さんありがとうございますって感じですね。

[10/17追記]

ラッパー/DJでありながら、KANDYTOWNのメンバーであり、Suchmosやペトロールズへの客演参加を行い、ヒップホップとロックをクロスオーバーして活動の幅を広げているアーティスト、Ryohu(呂布)。待望の初全国流通盤EP『Blur』がリリースを迎えたばかりだが、Ryohuと親交深いアーティストの皆さんよりコメント・メッセージが到着!

HIP HOPとMUSIC、
LIFEとSTYLE、
SETAGAYAとSEKAI、
Ryohuは『接着剤』なんだよね。
軽やかさ、柔軟さが、唯一無二。
もんのすんごく、
期待しています!!!!!
――Mummy-D (Rhymester)

〈完璧じゃならない絵に〉(“Say My Name”)というフレーズがたまらなく好きだ。
言い切っているようで、言っていない部分がすごく多い。
だからこそ、漠然とした大事なことが漠然としたまま迫ってくる。
この手渡し方に、Ryohuの感性や在り方が詰まっていると思う。
そして、作品の額縁には「Blur」つまり『曖昧』という題が。
少なくとも完璧にRyohuだよ。
――小出祐介(Base Ball Bear)

気取ってなくて素直、芯があって少し無骨、世代差を感じない人懐こさ、結果としてすごく虫が好く。
出会った時から変わらないRyohuの印象そのままの音楽だね。リリースおめでとう!
雰囲気が好きなアルバム、“って事だけは確か”。
――三浦淳悟(ペトロールズ)

いつも1番暖かくて1番クール。それで、今1番カッコいい。
――オカモトショウ(OKAMOTO'S)

呂布くんの声は軽やかさと切なさと、すこしファニーさ、グッとくるものが全部入っているのだ。
なんでそんなセクシーなのさ?
――オカモトコウキ(OKAMOTO'S)

気持ちよかった、ありがとう。
――ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

タイトなラップでキメるB-boyは無条件でカッコ良いということを再確認させられました。
――オカモトレイジ(OKAMOTO'S)

また、『Blur』の発売を記念して開催される、12/8(金)の渋谷WWWにてRyohu “Blur” Release Partyのチケット一般販売もスタート。
ゲスト・アーティストはSIMI LABに決定!
前売購入者には特典として、Ryohuによる選曲音源を収録したExclusive Cassette Tape「No Pay No Play」をプレゼントとなるので、是非お買い逃しないように。

【イベント情報】

Ryohu “Blur” Release Party

12/8 (Fri) @ Shibuya WWW
OPEN 18:30 / START 19:30
ADV ¥3,000(+1D) / DOOR ¥3,600(+1D)
※前売購入者特典として、Ryohuによる選曲音源を収録したExclusive Cassette Tape「No Pay No Play」をプレゼント

出演者:
Ryohu (Band Set)
SIMI LAB [10/17追記]

10/5(木)~ e+にて先行販売開始
https://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002240412P0050001P006001P0030001

10/14(土)〜 プレイガイド一般発売
▼チケットぴあ 【Pコード:347-789】
https://t.pia.jp/
※電話予約あり:0570-02-9999

▼ローソンチケット 【Lコード:76979】
https://l-tike.com/order/?gLcode=76979
※電話予約なし

▼WWW店頭
03-5458-7685

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467