「Low」と一致するもの

interview with Goth-Trad - ele-king


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

 ......ようやく、ゴス・トラッドとサシで話せました、ようやく、この国のダブステップのキーパーソンと(キーちゃん、ありがとう)。

 さて、以下に紹介する大量の文字は、世界を股にかけて活動するゴス・トラッドとのおよそ1時間半ほどの対話の一部始終である。
 彼は2012年1月11日、ゴス・トラッドとして4枚目となるアルバム『ニュー・エポック』をリリースする。20年前のケン・イシイやDJクラッシュのように、これは国境よりも音楽そのものが優先している作品で、日本人が作っているから......というものではない。国籍にはとくに意味を見出さない音楽だと言えよう。が、『ニュー・エポック』にはゴス・トラッドのこの5年間の国際的な活動、その成果と日本を結びつけるもの、そして3.11、それらがぜんぶ含まれているという点において、過去の3枚とは違った視点を持つアルバムである。
 あるいはまた、いまでは、たとえばDJノブがゴス・トラッドを絶賛するように、その存在はダブステップというカテゴリーを超えて支持者を増やしている。が、興味深いことに『ニュー・エポック』は、実はゴス・トラッドが初めて"ダブステップ"を強く意識して作ったアルバムでもある。
 
 12月の上旬、アジア・ツアー出発の当日、空港に行く数時間前の午後に取材を受けてくれた。作品を特徴づけるディストピック・ヴィジョンとは裏腹に、本人は実に前向きな人柄で、これまでの歴史について丁寧に語ってくれた。

「ゴッドフレッシュがカッコいい」とか〈ワードサウンド〉だとか、「メルツバウやべえじゃん!」とか、そういうところに向かってたんですよね。当時から自分はいろんなパーティ観に行ったりもしてたんですけど......、まあ、「みんな似たような音作るんだな」って思ったりしてたのもあるんですよね。

俺ね、実はゴス・トラッドのデビュー・アルバムの推薦文を書いてるんですよ。

GT:覚えてます(笑)

あれは2003年だよね。「GOTH-TRAD」って名前もそのとき初めて聞いたのかな。秋本武士くんとレベル・ファミリアでいっしょにやってるっていうのが最初は結びつかなくてね。音がレゲエやダブではないでしょう。当時レーベルの人から、「新人だから音聴いて気に入ったら書いてくれ」って言われたんですよ。それで聴いて、けっこう衝撃でしたよ。

GT:自分も覚えてます。

どういうこと書いていたか覚えてる?

GT:あの......「ハイプを信じるな」って書いてましたね。

それは『remix』で書いた小さいレヴューじゃないかな(笑)。

GT:その言葉はすごく覚えてますね(笑)

恥ずかしいんだけど、あの当時の自分の文章をここに載せると、「身の毛もよだつようなノイズとカオスを創造し、1枚のアルバムにまとめている。これはすごいアルバムだ。デトロイトのアーバン・トライブとアレック・エンパイアのファーストを足して割ったようなメランコリーがノイズの砂嵐からできたかのようなビートとともにある。ヒップホップとテクノを切り刻み撹乱させ、怒りを持って吐き出したような音楽だ」ってすごいことを書いているんですけど(笑)。アルバムの前半はちょっとクラウデッドみたいな感じもあったけど、あのアルバムの後半とかね、よく当時あんなの出したなっていうのもあったし、まだ9.11のショックが生々しかった時代だったしね、イラク戦争があって、反戦デモもあって、そういう時代にゴス・トラッドは登場したんだよね。で、その当時、9.11以降のイラク戦争に関するコメントもDJバクといっしょに書いてもらってもいるんだよね。だいたいゴス・トラッドという名前自体にトゲがあるというか、当時のクラブ・ミュージックのピースな流れとはちょっと異質な響きがあった。それでようやく今回、インタヴューすることができるわけだけど、とにかくまず訊きたいのは、そもそも「GOTH-TRAD」がどこから来たのか? ということなんです。

GT:音楽的なルーツってことでですか?

それをふくめてゴス・トラッドがどういう音楽体験をして、どういう思いでここまで来ているのかを知りたくて。

GT:えっと、まずいちば番初めに音楽を好きになったのは、うちの親とか兄が80年代にマドンナとかポーラ・アブドゥルとか、そういう洋楽を聴いていたんですね。まあカッコいいのかなっていう感じじゃないですか。

生まれは東京なんですか?

GT:生まれは岡山で、すぐ山口県に引っ越して。で、アニキはけっこうそういうのに敏感で、カセットテープ買ってきては車のなかで聴いてたから、そういうのをカッコいいなあと思って「僕もダビングして」みたいな。それからテクノトロニックを聴いてたんですよ。で、これはカッコいい、ヒップハウスで----当時はハウスって言葉も知らないんですけど----ラップ乗ってて。

わりとポップなものを聴いてたんだね。

GT:そうですね、それは10歳とか。

小学生の頃だ。

GT:はい。で、テクノトロニックの「テクノ」って何なんだろうな、って思いながら小学6年生ぐらいのときに雑誌を読んでいたら、テクノのルーツが書いてあるものがあって。『スタジオ・ボイス』だったかなー? で、クラフトワークとか書いてあったから「買いに行こう」と思って近くのCDショップに行ったら置いてなくて、取り寄せてもらって。「ショールーム・ダミー」のEPとか何枚か買って、「面白いな」と思ったのが小学生6年生ぐらいのときですね。それからテクノって音楽をもっと聴きたいと思っていろいろ探りはじめて。で、家で衛星放送が入ってたんですけど、そのときたまたまUKチャートが流れてて、ナイトメアズ・オン・ワックスの"アフターマス"が1位だったんですよね。「これはカッコいいな、何か異様な雰囲気だし」って思って、ナイトメアズ・オン・ワックスのファーストを91年に買って。

それは小6で?

GT:それは中1ですね。

それはすごいねー。

GT:その流れでLFOも出てるから、それも買って。そのときKLFとかもヴィデオ・クリップで観てたんですよね。

そうなんだ。

GT:そこからUKの音楽に入っていって。当時タワレコなんかに行くと、T-99とかプロディジーのファーストとかが流れていて。プロディジーのファーストなんかめちゃカッコいいと思ってね。その辺のレイヴ・ミュージックっていうのをいろいろ漁って聴いてましたね。

それはすごく意外な過去だね。

GT:そうですか(笑)? それから中2になったときに広島に引っ越したんですね。そしたらレコード屋がちょくちょくあったので、だんだん通うようになって。そのときの広島のレコード屋は、「テクノ」っていうセクションに全部入ってたんですよね。〈ワープ〉、〈R&S〉、〈ライジング・ハイ〉、〈キッキン・レコーズ〉、ジャングル初期とか、ガバも入ってたしハウスも入ってたし、とりあえず気になったものを聴かせてもらって、「あ、これカッコいいな」ってガバ買ったりとか。『イントゥ・ザ・ジャングル』っていうジャングルのコンピレーションがあって、BPMがまだ150とか160ぐらいのときの(笑)。そういうの聴いて「これジャングルって言うんだ、カッコいいな」と思ってて、そしたらゴールディーが出て。で、そのなかにマッシヴ・アタックも入ってたんで、それも聴いたりとか、ビョークも聴いたりとか......中2から中3にかけてすごく聴いてましたね。テクノっていうセクションにいろんなものが入ってたから、そういう意味ではラッキーだったというか、いろんな音楽を聴くことができたんですよね。

あれはもう、黄金時代だったからね。

GT:で、高校生にになるとブリストル系、それから〈モ・ワックス〉だったり、もちろんポーティスヘッド......、〈ワープ〉は全部押さえてましたね。〈R&S〉とか〈ライジング・ハイ〉とか、あんまり情報はないから、レーベル買いして。コンピレーションに入ってたら、そのアーティストが違うレーベルから出してるものを買ったりとか。そういうのはほんと趣味でやってましたね。レコードもたくさん買ってたんですけど、でもDJをやるつもりもなくて......って感じですね。

そんなたくさん聴いてたんだね(笑)。

GT:本当に単純にレコードが好きで聴いてましたね。レコード屋のおっちゃんも知らないし、まわりの友だちも知らないし。高校生ぐらいのときに大学でDJやってる人と知り合って、その人がちょっと音楽に詳しかったからボアダムスだったり、マーク・スチュワートだったりも聴かせてもらってですね。DJやるつもりも音楽やるつもりもまったくなかったです。ただ趣味で、レコード買って、CD買って、楽しい、カッコいいなーって思ってただけです。
 18になって大学に入って上京したんです。最初はまったく音楽やるつもりはなかったですけどね。で、DJぐらい趣味でやろうかなーと思ってて。ちょうど大学に入るか入らないかぐらいで広島にいたときに、その先輩が〈ワードサウンド〉のコンピレーションを持ってて、「これやべーなー」みたいな感じで聴いてて(笑)。俺はそのとき「ほんとやべーな、この曲!」って感じで。すっごくディープなダブだったりとか、ローテンポでダークなヒップホップだったりとか。

その辺からじょじょにゴス・トラッドに近づくんだね(笑)

GT:そうですね(笑)。で、「わ、これほんとやべーな。これどこで売ってたんですか?」って、「どこどこのレコード屋で売ってたよ」って教えてもらったり。その先輩と朝まで遊んだ帰りにそのままレコード屋開くのを待って買って帰りましたね(笑)。それを聴きこむうちに、「DJやるよりも曲作りたいな」と思うようになった。で、その先輩はサンプラーだけで趣味的な感じでループを作ったりとかしてて。それを3時間ぐらい聴いたりしてて、「やべーループができたのー」みたいな感じで言ったりしてましたね(笑)。毎月ぐらい遊びに行って、そういうのを聴いて、「面白いなー」って。

へー、そこでヒップホップとの出会いがあるんだ。

GT:その人はルーツはヒップホップだから、昔のヒップホップを聴かせてもらったりしてました。でも音楽をやりたいと思ったきっかけはそのコンピレーションでしたね。ダークで、だけど音楽的だなと思って。こういうものを自分で作りたいなと思いはじめて、で、その先輩に何から手を付けたといいか訊いたら、「DJからはじめるとテンポ感覚もつくしいいんじゃないの」って教えられて。で、「作るには何が必要か?」って訊いたら「まずサンプラー。あとはシーケンサーとミキサーがあれば何でもできるよ」と教えてもらって。で、アカイのサンプラーS3000を買って、シーケンサーを買って、ターンテーブルをサンプリング用に1台だけ買って、で、トラック作りをはじめたんですよ。

なるほどねー。すごいですね(笑) なんかね、最初聴いたときに、ほんと正体がわからない音だと思ったんですよね。どこから来たのか背景がわからなかった。レーベルのひとにも訊いたんだけれども、「じゃあとにかく思ったこと書いてくれればいいから」みたいなことを言われて。テクノからの影響も感じるけど、アルバムの後半はもうノイズだし、クラッシュさん系のアブストラクト・ヒップホップのような匂いも感じたんだけど、もっとささくれ立っているし。以前、神波京平さんに「ゴス・トラッドはDJやってるけど、どういうのかけるの?」って訊いたら、「彼はスーサイドをかけてたよ」って言われて(笑)。〈ドラムンベース・セッション〉でスーサイドというのはすごいよ。

GT:はははは! かけましたね(笑)

それが2001年だから、だからアルバム出す前なんだよね。

GT:そうですね。

[[SplitPage]]

秋葉原まで行って、で、自分でネットで回路図を探して、全部書き出して----ぜんぜん知識はないんですけど(笑)----そういうエフェクター工作本みたいなものをオークションで5000円とか出して買ったりとか(笑)。ネットで海外のサイトでのリングモジュレイターのまったく同じ回路を見つけたり。

そもそもどうやってシーンとの接点っていうものができていったんですか?

GT:『士魂』っていう渋谷FMのコンピレーションに1曲だけ参加してたんですよ。ケンセイさんがちょうどアブストラクトのアプローチをはじめたときに、彼にデモテープを渡してたんですよね。一発目渡して、二発目渡すときにケンセイさんが「すごく前の良かったから楽しみにしてた」って言ってくれて、「じゃあ聴いてください!」って渡したら、連絡あって、「いま企画してるから参加してほしい」って言われて。もうその時に10数曲できてたんです。それが2000年ぐらいです。だからトラック作りはじめて1年半ぐらいで、家にずっと籠もってサンプルいじりまくって10数曲作ったんですよ。それをケンセイさんに渡したら、「1曲コンピレーションに参加してほしい」って誘われて、それが12インチで出たんです。それがきっかけで「GOTH-TRAD」という名前ではじめたんですよね。

なんで「GOTH-TRAD」ってつけたの?

GT:いや、「ゴスだね」ってよく言われてたんですよ、なぜか(笑)。作るトラックが。

それはでも、そう言ってるひとの感性が正しいよね(笑)

GT:(笑)それは、自分が好きでよく使うサンプルが----中古レコード屋とかでクラシックのレコードをすごくよく買ってて----。

へえー。クラシックをネタにしてたんだ?

GT:そうですね。だからストリングスの使えるネタをカットして、それをキーボードで弾き直すっていう作業が自分にすごくハマって。で、なんかこう、ストリングスの音というのが自分のなかでフィットするというか、メロディ浮かびやすかったりフレーズが作りやすかったりで。そういうのをやっていると、「ゴスな音だね」ってよく言われるようになりましたね。「あー、そうかゴシックか」と思って辞書なんかでいろいろ調べると、元々のゴシックのカルチャーっていうのはヨーロッパにセンセーショナルな風を吹かせたっていうのがあって、それはすごくいい意味だなっと。それでその言葉を選んだんですよね。

広い意味だからね。

GT:そうですね。

トラッドは?

GT:トラッドは、トラディショナルっていう部分は大事にしたいっていうか、それはどっちかって言うとルーツっていう部分なんですけど。

なるほどね(笑)。紙『エレキング』に年間チャートをくれたじゃないですか。で、あのなかにキャスパのリミックスとか、あとオプティモっていう名詞があるのがすごく意外だったんだけど、実を言うとね。なんかいまのゴス・トラッドのイメージからするとね、やっぱデジタル・ミスティックズとか、ああいうごりごりに硬派なものかなと思ってたんだけれども。いまの話を聞いて、僕が思っていたよりもずっと幅広いんだなと思いました。まあ、でもその、「トラディショナルを大切にしたい」っていうのはいまひとつわかってないですけどね(笑)。まあ、いつかわかるかもしれないけど。

GT:はははは。

10年前のケンセイくんなんかはクラッシュさんフォロワーの第一人者みたいな感じで当時やってたから、やっぱりその辺の流れとかも合流してるってことなんだね。

GT:そうですね。でその後、バクくんとのコラボっていうか。

バクくんにもクラッシュさんの流れがあったよね。

GT:バクのDJ用に"Kaikoo TracK"という曲を作ってあげて、で、そこでリリースもあって。※2001年にリリースされた「DJ Baku 対 Goth-Trad」に収録。

じゃあ、〈ドラムンベース・セッション〉にDJデビューしたり、秋本(武士)くんに出会うっていうのは?

GT:"Kaikoo TracK"のリリースとかがあって、神波さんから声がかかったのかと。だからバクくんと俺と、同じステージでDJやったんですよ。

新宿リキッドルームね、バーの横の。

GT:はい、そうです。まあ、DJ全然できなかったんですけどね(笑)。家にはまだターンテーブル1台しかなかったんで(笑)。

スーサイドはどこから来てたの?

GT:スーサイドは......。

当時はバクくんなんかも、ノイズとか、いわゆるヒップホップの文脈から逸脱したようなサウンドを積極的にアプローチしていた時期だったよね。

GT:そうですね。その当時は逆に俺はバンドを聴いてなかったんですよ。生楽器の音楽を。それが好きじゃなかったんですよね。でもそのことに対してすごく悔しかったんです、なぜか。バンドの音楽って打ち込みの音楽よりも大きいシーンがあるし。ハードコアだったり。19縲鰀20歳のときに「その辺も聴いてみよう」と思って音を聴きはじめたんですよ。そのきっかけはまずテクノ・アニマルの片割れ、ケヴィン・マーティンの片割れのジャスティン・ブロードリックがハードコア・バンドのゴッドフレッシュっていうのをやってたんですよね。打ち込みと、キター、ベース、ヴォーカルなので、そこから聴きはじめて。
 で、それをどんどん辿っていったところで〈イヤーエイク〉っていうレーベルから出してたんで、そこからナパーム・デスとか、ピッチシフターとか、そういうハードコアものを聴きはじめたんですよ。それプラス、打ち込みのドラムをやってるって部分で、生のドラムも研究するんですよね、バンドと対バンするときとか観に行ったときに。生のドラマーってどういう打ち方してるんだろうな、とか。ハットがどうあってシンバルはどういう風に使ってて、オープン・ハイハットはこういう風に使ってて、とか、キックの打ち方とか、そういうのを目で見て研究するようになって。で、バンドとかも聴くようになったんですよね。そういう感じでいろいろ聴いてて、スーサイドなんかに出会った。

......でもあれだね、ここまで話を聞いただけでも、ずーっと音楽なんだね。

GT:そうですね、ほんとに好きだったんです。でもまだ自己満足でしたね。
 上京した頃にちょうどインターネットも普及しはじめて、自分も大学入ってからインターネットはじめたんで、知りたいことをたくさん知れるっていうか、英語で難しいけど何とかわかるから「こういう音源あんだ!」とか、「このひとソロでやってんだ」とか「このドラムのひとこっちでもやってんだ」とか、「どうやって買えばいいんだろう」とか、そういう、「誰もこんなこと知らねーだろ」っていうようなことを調べるのにものめりこんでいって。面白いことを探して、そしてまた探してっていう。で、「自分もこういう音作りたいな」とか、「でもこれと同じものは作れないから、これ1枚に何かレイヤーさせたものを作ろうかな」とか、そういうアイディアを考えてましたね、当時は(笑)。

ホントに音楽ばっかというか......今日は本物の音楽キチガイに会ったって気がする(笑)。

GT:はははは! でもそれがほんとに楽しかったですね、当時は。

四六時中作ってたって感じなんですか?

GT:そうですね。家から出なかったですね(笑)。いまとつい10数年前ってほんと大違いじゃないですか。音の作り方が。アカイの3200XLっていうのを中古で買ったんですけど。それ30万ぐらいしたんですよ。バイトして。

わかりますわかります。

GT:32メガなんですよね。で----。

俺なんてエンソニックですよ(笑)。

GT:エンソニックもありましたね。音がちょっとね(笑)。

フロッピーが2DDですよ、しかも。

GT:フロッピー・ディスクをこうね、1.4メガの。だから〈レベル・ファミリア〉の初期のライヴで、フロッピー・ディスク20枚全部ロードしたんです(笑)。

はははは! じゃあロードしながら?

GT:いや、はじまる30分前ぐらいにロードして「絶対電源落とさないでください!」って言って(笑)

なるほど(笑)。

GT:それでいいキックを探すために八王子のレコ屋で100円とか50円とかのをとりあえず買ってみて、聴いて、「これ使えるな」とか。そこでみんなが「あのソウルのブレイクいいよ」って言うようなやつは絶対使いたくなくて(笑)。

なるほどね。それであの特殊な音色なんだね。

GT:そういうのを繰り返して。当時の曲の作り方っていうか、展開のつけ方っていう感覚はあんまり変わってないですね。

[[SplitPage]]

いちばん衝撃だったのはワイリーのトラックで"モーグ"っていうのがあるんですけど。いま聴くとまさにダブステップだ。ハーフで打ってるトラックで、俺からするとアブストラクト・ヒップホップに近い音色で、ベースラインも「ドドド、ド、ド、ドドド、ド、ド、」みたいな感じでずーっとミニマルで。

秋本くんとはどうやって出会うんですか? 彼は僕と会うたびにゴス・トラッドのことを心底評価していたよ。

GT:その当時、バクくんとコラボしたときにライヴやってたんですよ。そのときにドライ&へビーのセッションでバクくんがスクラッチ入れて......っていう企画もあって。そのイヴェントに出て、ひとりでライヴやってたんですけど、サンプラーとミキサーでね。ほぼいまと同じスタイルです。ダブ・ミックス。フードかぶってお面とかしてライヴやってたんですよね。
 で、秋本くんもたぶんそのときにいたんですよね。「超ダブ・ミックスやってるやつがいる」みたいになって(笑)。それで観に来たみたいで。それからイベントやってたひとづてに話が来て、「1回会って話したい」みたいな感じで。「ちょっとセッションしようよ」みたいな話になったんです。

そのときもまだ大学生だったんでしょ?

GT:そうですね。

いきなりじゃあ、東京でもっとも熱い男と会ってしまったっていう。

GT:はははは、そうですね(笑)。でも俺もその頃はすごく生意気だったんで......別にどうでもいいってわけではないけど、「俺は俺の音でやるから」みたいな感じだった。ぶっちゃけて言うと、ドライ&ヘビーに関しても特別興味があったわけじゃなかったんですよ。クオリティはとても高いのは理解できるんですけどね。でも、「自分のやりたい音ではないな」っていうのは正直あったんです。

〈ワードサウンド〉だもんね。

GT:初め会ったときに俺は秋本くんにひたすら「〈ワードサウンド〉ってやばいレーベルがあって」みたいなそういう話をしてました、全然わかんないのに(笑)。で、「ビル・ラズウェルも参加してるんですよね」っていうところで、「えっそうなんだ!?」って感じでちょっと盛り上がりつつ(笑)、で、「やろうよ」みたいな感じでスタジオ入って。

それで〈レベル・ファミリア〉のファースト・アルバムが生まれてくるんですねー。そういう風に自分で打ち込みはじめて、2003年に『Goth-Trad 1』を出すじゃないですか。で、さっきも言ったように、サウンド・プロダクションもさることながら作品全体から出ている雰囲気みたいなものっていうのに関して言うと、けっこう強いものを感じたんですよね。反抗心みたいなものっていうか、だからああいうことを書いたんだけれども。で、もし僕がそのとき感じた反抗心みたいなものが当たってるんだとしたならば、どういうところからあの感情は来てたの?

GT:自分のダイレクションが、たとえば「ゴッドフレッシュがカッコいい」とか〈ワードサウンド〉だとか、「メルツバウやべえじゃん!」とか、そういうところに向かってたんですよね。当時から自分はいろんなパーティ観に行ったりもしてたんですけど......、まあ、「みんな似たような音作るんだな」って思ったりしてたのもあるんですよね。もっと自由になれんじゃないかな、みたいな反抗心というか。
 あの、〈リバース〉って盛り上がってたじゃないですか。いま思うと、すごくカッコいい日本を代表するレーベルだと思うんですけど、俺当時はたぶんそうじゃなかったんですよ。「似てんな、みんな音!」みたいな、そういう感覚だったんですよね。いま思うとすごくカッコいいシーンだし、すごくカッコいいレーベルだし、アーティストもそれぞれいいアーティストだと思うし。いまもまだまだ活動しているアーティストもいるし。だけどその当時はひねくれてたので、「もっと俺は違うものを作ってやろう」とか「もっと面白い打ち出しをしたいな」と思ってました。

じゃあ最初から他と違うものを目指すんだっていうのがあったんだね。でも、ただたんに違う音を作るんだっていう以上の気持ちみたいなものを感じたけどね。「なにくそ」というようなものというか。まさに「GOTH-TRAD」っていう名前にふさわしい、パンク的なものを。

GT:それはもしかしたら育ち方なのかもしれないですけど。あの、全然音楽に関係ないのかもしれないですけど、うちは......親はすごく教育熱心だったんです。少し居心地悪かった部分もあったし。高校卒業のギリギリまでずっとサッカーやってたんですけど、親は「勉強しなさい」とか「公務員になりなさい」とかそういうのを望んでいましたね。アニキは高校卒業してイギリスのアートの大学に行って、自分はひとり残ってそういうなかでいて。でもそれが日本の社会だし、そうじゃないと生活できないっていうのはわかってるし、親からも聞かされてるし。当時だけかも知れないですけど、そういう世界じゃないですか。そういうのはすごく感じてたし。東京行くんだったら条件としてこの大学、国公立行きなさいって言われて、俺は「わかったよ、じゃあここ受かったらあとの人生俺の好きなようにさせてくれ」って言って(笑)。でもこれって実はすごく恵まれている環境なんですけどね。
 だから俺は親はすごく尊敬してるんです。ただ、親っていうのは世間に対する見栄があったりとか、とくに日本はそういう世のなかじゃないですか。で、そういうのがすごく居心地が悪かったのがあって。そのときはすごく勉強して受かって(笑)。で、それから大学がはじまってからはほんと好きなことをやらせてもらって。大学の卒業研究は、音と脳波との関連を題材にして、ちゃんと卒業しましたし。そのおかげで、サッカーにしても、受験にしても、大学の卒業研究にしても、自分の立てた目標や、いちどはじめたことを達成するまでの根性は身に付いたと思います。これは自分がたとえ音楽をやっていなかったとしても、大切なピリオドだったと思いますよ。

偉いなー。

GT:その反動でやっぱり音楽へののめりこみ方っていうのは強かったんですよね。そこまでして入った大学で、普通にいけば就職できてたかもしれないっていうのを、そうじゃない方向に行くっていうぐらいだからそれぐらいのエネルギーがたぶん自分にはあって。でも食おうっていうイメージはなかったです(笑)。

それはじゃあ、もっとがむしゃらにやってる感じだったんだろうね。

GT:実はファースト以前にもっとアブストラクト・ヒップホップとかブレイクビーツ的なトラックが10曲以上あったんですよ。ファーストには入れなかったんですけど。それを出すっていう話もあったんです。2001年とかに出したいって話だったんですよね。でも俺は頭のなかでは妄想がデカくなって、海外のここから出したいとか、頭ばっかでかくなっちゃってて。

でも......何でそこまで〈ワードサウンド〉に惹かれたの?

GT:いや、〈ワードサウンド〉もそうだし、あとUKの〈アバランチ〉だったかな、テクノ・アニマル周辺にも、ケヴィン・マーティンにもガンガンメール送ってたんです。カセット・テープのデモですね。

ああ、テクノ・アニマルっていうのはわかるなー。なるほど、いまようやくあのアルバムの秘密がちょっとわかった。

GT:だからそういうレーベルから出したいっていうのはすごくあったんです。自分のなかではそこがすごく浅はかっていうか。まあそこが良かったのかもしれないし。それだけ思いが強くて。ただいま思うと、近道をしようとしてすごく遠回りしているっていう。海外に行きたい、海外でDJしたらカッコいいなってそういうイメージばっか大きくなっちゃって、足下見えてないというか、日本を見れてないなということに後ですごく気づいたんですよね。
 いま思えば、最初にアブストラクト時代の作品を出していたら、早い段階で違う積み重ね方ができてたのかもしれないし。だけどそんな意識が強すぎて2年も3年も出さないで結局お蔵入りになっちゃって。で、〈イーストワークス〉で出すっていう、まあその道のりがあったからこそ、あのファーストが完成した訳だし、いまがあるのは間違いないんですけどね。

〈イーストワーク〉も当時よく出したと思うよ、決してわかりやすい音じゃないでしょう。前半は〈ワードサウンド〉っぽい感じがあるけど、後半とか「なんだこりゃ」みたいな挑発的な展開だったし。それに当然まだ「ダブステップのゴストラッド」という評価もないし、本人が意識的に作ったように他にないものだったからね。じゃあ、今度はゴス・トラッドがどうしてUKのダブステップのシーンと結びついていったのかっていうのを教えてください。

GT:さっき話したみたいに90年代初期からUKの音楽っていうのにすごくハマってたんです。ただ好きだったんですよね。ブリストルの〈Vレコーズ〉、ジャングル、ドラムンベース。で、それ以降飽き飽きしてたんです、ドラムンベースに関して。当時はUKのアンダーグラウンド・ミュージックっていうとドラムンベースのことだったし、自分もチェックしてたんですけど、ちょうど90年代末はつまんなくなってて。

みんな大人びてきたし、4ヒーローなんかも洗練の方向に進んでいたしね。

GT:2ステップなんかも聴いてはいたんですけど、「ただのポップ・ミュージックじゃん」って思ってて、とくに日本の取り上げられ方は。だからつまんないな、と思ってたんですよね。自分の音楽性はアブストラクトからインダストリアルの方向にどんどん行って。

じゃあ三田(格)さんが言ってたように、ほんとにノイズに行ってたんだね。※2005年、渋谷〈マイクロオフィス〉で、三田格、バク、筆者の3人でトークショーをやったときに出た話。

GT:そうですね。で、そこから「他に作れない音イコール、自分で音作ればいいじゃないか」っていくところまで行ったんです。てことは、自分で楽器作って自分でエフェクター作ってそれを鳴らしてループさせたら、超オリジナルじゃんとか思って、秋葉原まで行って、で、自分でネットで回路図を探して、全部書き出して----全然知識はないんですけど(笑)----そういうエフェクター工作本みたいなものをオークションで5000円とか出して買ったりとか(笑)。

はははは。

GT:そういうの何冊も持ってて。そういうの見たり、ネットで海外のサイトでのリングモジュレイターのまったく同じ回路を見つけたり、それをコピーしてパーツを秋葉原で買って、ドリルも買って。

すごいねー(笑)

GT:鉄ギリのニッパーとかも買って、それで自分で作って。で、ハンズとか行って金属を合わせて楽器を作って。テルミンの回路をどっかから探して見つけて、それをオブジェっぽくもっとカッコよく作ろうって思って組み立ててみて、「それを使ってライヴやったら超オリジナルじゃん」とか思って(笑)。でもそのときはやっぱり、ビート、ベース、上ものっていうのを残したかったんですよね。
 たとえば、ファーストの後半のノイズっぽい展開、あれってやっぱノイズだけどループになってて、キック、スネアっぽい音になってると思うんですよね、まあ自分のなかではそういう構成で作ってるんです。で、上ものはこのシンセを通して作ってっていうのは頭のなかで回路を組み立ててライヴ・セットを組んでたんですよね。で、現場でダンス・ミュージックというかオリジナルの音を作りたいっていうのがあって、だんだん進化して「もうループじゃなくていいじゃないか」ってなって。表現できれば。そこでセカンド・アルバムまでいったんですよ。

[[SplitPage]]

アルバムの音源を----当時はグライムとかダブステップで知り合いもいないから----アンダーグラウンドのヒップホップとかのいままでで知ってるやつに渡したら、そこから「グライムとかいま来てる音楽だから」みたいな感じのDJにさらに渡してくれて。そしたらけっこう広まったみたいで。

セカンドって、『ジ・インヴァーティッド・パースペクティヴ』(2005年初頭)のことだよね。

GT:そのときもちろん〈レベル・ファミリア〉もやってたじゃないですか。ごくたまにBBCのラジオとか聴いてたんですよ。2003縲鰀4年にネット・ラジオで聴けたんですよね。そのときにたまたまUKガラージのショウか何かで。またすごく面白いんですけど、MCが「pump up the jam」ってテクノトロニックのリリックをガラージに乗せて歌ってた んですよね。

へえー(笑)。

GT:「これすげーカッコいいー!」と思って(笑)。「何だ、ここ繋がんのか!」って。で、ガラージを聴くようになったんですよね。それでちょうど2004年ぐらいからグライムがかかって。まあディジー・ラスカルとかも出たじゃないですか。「おもしれえなー」と思ってよく聴くようになった。2003年には〈リフレックス〉が『グライム』ってコンピ出すじゃないですか。それも持ってたし。「あ、これグライムなんだ。でもBBCで聴くのとちょっと違うしなー」と思いながら、でもたまにそういうのを聴いて、ビートも作ってたんですよね。ノイズも作ってたんですけど。

あの頃のグライム・サウンドは図らずともゴス・トラッドの世界と似てるところがあるんですよね。荒々しい質感とかね。それこそグライムって、ワイリーにしてもそうだけど、パンクなところがあるでしょ。〈リフレックス〉のグライムのコンピレーションも2枚ともまったく愛想がないし(笑)。ただ、『2』のほうのメンツをいま考えるとすごいけどね。コード9、デジタル・ミズティックズにローファでしょ。

GT:やっぱいままでにないビートの打ち方だったし、「変なビートだな、前つんのめってるし」っていう。まあベース・ミュージックという感覚はあんまなかったんですけどね、そのときは。やっぱりいちばん衝撃だったのはワイリーのトラックで"モーグ(The Morgue)"っていうのがあるんですけど。いま聴くと「まさにダブステップだな」って思うんですよ。ハーフで打ってるトラックで、俺からするとアブストラクト・ヒップホップに近い音色で、ベースラインも「ドドド、ド、ド、ドドド、ド、ド、」みたいな感じでずーっとミニマルで。

へー、それって、ワイリーのいつぐらいの作品? アルバムに入ってる?

GT:2003年とかですね。アルバムに入ってないですね。12インチでリミテッドで出てたとか。

それをよく聴いてたねー。

GT:どっかのネット・ラジオか何かをダウンロードしたらそれが入ってたんですよね。「これ超やっべー」って。

ワイリーの影響受けてる人って多いよね。ゾンビーやラスティーみたいな人も最初はワイリーだったみたいだし。向こうの人はワイリーのビートを「エスキー・ビート」って言うけど。

GT:そうですね。それがほんと初期のグライムで、そのドープな部分プラス、もうちょっとがちゃがちゃした変なリズム感、(BPM)70で打ってるんだけど140で乗れる感覚って自分のなかに近いものがあるなと思ったんですよね。ファーストにもそういう曲を入れてます。ハーフで打ってるけど倍で乗る感じとか。「自分が表現したかったことをやってんな、こいつら」とか思って。

リズム的に、ビート的にシンパシーを抱いたんだね。それでは、あのダークさっていうのは?

GT:ダークさはもちろんですね。それありきで、あの空気感。あとあのMCのテンパった感じ、切迫感。で、「レイヴ」と言ってる部分とか。あの音で「レイヴ」って言うのが超カッコいい、新しいと思ったんですよ。そうあるべきだと思ったんですよね。自分が初期で聴いてたレイヴ・ミュージックっていうのは全部バラバラだったし、全部新鮮だったし。ジャングルにしても、プロディジーが出たときも、KLFも、ナイトメアズ・オン・ワックスも。あの辺の音ってスゴクバラバラだけど、全部カッコよかった。そういうものが自分のなかで「レイヴ」だと思っていたんですね。「これがほんとのレイヴ・ミュージックだ」って思ったんです。

そういう考えだったんだね。

GT:でも、日本だとレイヴ・パーティっていうとトランスっていうのが基本ですよね。

そうなんだよね。

GT:「レイヴ・パーティあるから行こうよ」って誘われて行っても、だいたい4つ打ちで、人も似たような格好してて、みたいな。「カッコわりーなー」と俺は思ってた(笑)。そういうのが強くあって、『マッド・レイヴァーズ・ダンス・フロア』(2005年末)を作ろうと思ったんですよね。あとは自分の楽器とエフェクターを使いつつ、ノイズっていうダイレクションで表現する音楽はセカンド・アルバムである程度やり切ったっていうのはありましたね。

なるほど。それでどうやって現地に行くことになるの?

GT:サードはアイディアがたくさん詰まってたんで、半年ぐらいで終わったんです。ストックしてた曲もあるし。で、それを持ってイギリスに行って、友だちのアンダーグラウンドでヒップホップやってるやつとかに渡したんですよ。

それは初の海外?

GT:その前に、ノイズ・ミュージックとしては年に1回まわってたんですよ。

パリかなんかで?

GT:そうですね。バトファーは2002年に行って、そのときたまたま日本の女の子がノイズのミュージシャンをプロモートする仕事してて、そこで知り合って、で、その翌年から毎年無理して行ってたんですよね。そういうノイズの世界ってちょっと閉鎖的じゃないですか。

だからまさに三田さんが言っていたように俺はそんなにノイズ聴いてないからさ(笑)。

GT:ちょっと閉鎖的なんですよね。でも俺はすごく面白い音楽だと思ったから、ヒップホップのパーティでもノイズやったりしたし。俺は音楽をフラットに見たいので。だけどやっぱりすごく閉鎖的な部分もあるし、すごくDIYだから。そういうところに新参者で入るのはすごく難しかったりするんですよね。
 でまあ、ちょっとはライヴとかやらせてもらってすごくいい経験にはなったし、すごく面白いシーンも見れたし。で、2003年から4年まで毎年チャレンジして、けっこうギグはやってて。
 とくにフランスはそういうエクスペリメンタルとかインプロヴィゼーションにすごく寛容だから、市がすごく投資したりだとか、市主催の大きいパーティとかがあるとそういうところにうまく組んでくれたりとか。で、そういうのでやったのと同じテンションで、全然違うアプローチでやったら、ショウをちょっと何個かやりたいっていうのでフランスとかで何本かやらせてもらって。で、「この音楽はやっぱりイギリスでしょ」と思ってイギリスにも行って、そこで自分のアルバムの音源を----当時はグライムとかダブステップで知り合いもいないから----アンダーグラウンドのヒップホップとかのいままでで知ってるやつに渡したら、そこから「グライムとかいま来てる音楽だから」みたいな感じのDJにさらに渡してくれて。そしたらけっこう広まったみたいで。

2005年だっけ?

GT:2005年の終わりですね、アルバム出た頃だから。そしたら2006年の頭に、誰かが「ダブステップ・フォーラムにGOTH-TRADのスレッドが立ってるよ」って言ってきて、「何それ?」っていう(笑)。それをリンク貼ってあって見たら、誰かが「GOTH-TRADってやつが日本でダブステップを作ってるんだよね」って書いてて。そのときちょうどマイスペースを立ち上げたときぐらいだったんですよね。そしたらけっこうメールが来るようになって。『マッド・レイヴァーズ縲怐xに入ってた"バック・トゥ・チル"って曲なんですけど。『マッド・レイヴァーズ縲怐xはどっちかって言うとインストでグライムを作ろうっていうアプローチだったので、ダブステップって言葉もよくわかってなかったし。

じゃあ、『マッド・レイヴァーズ・ダンス・フロア』がほんとグライムの影響を受けてるんだよね。

GT:そうですね。で、イギリスのラジオのDJとかレーベルとかから、ちょうどダブステップが活性化し始めたときだったんで「新しくレーベルはじめるからリリースしたい」って話がどんどん来て。ラジオのDJには渡したり。ダブ・プレート切ったよとか。ラジオでかけたよ、とかそういうのもらって。「これダブステップっていうんだな、ダブステップのシーンがいますごいんだな」って思って。すでにBBCでは「ダブステップ・ウォーズ」もあって、シーンもどんどん大きくなってきてて。

まさかこんなに大きいシーンになるとは夢にも思わなかったなー。

GT:そうですね、だからそのときはまた新しくトラックを作りつつあって、「今年も行くしかねえな」と思ってて。まあそのときはイギリスでも何本かギグがあって。で、イギリス行く前にマーラともマイスペースで話をしてたんですよ。「曲を聴いたけど、あれカッコいいね」みたいな。で、「じゃあ会おうよ、ロンドン行ったら」って、そして〈フォワード〉で会って喋って。「いつか日本にも呼びたいんだよね」って話をすると翌日マーラが「俺がプレイするから遊びに来なよ」って。それで遊びに行ったら〈DMZ〉のカタログとかホワイトとか持ってきてくれて。「これあげるから、かけてね」って言って、全部くれたんですよ。で、「ありがとう」って俺は言って帰るんですけど。
 そのときはリリースするとかいう話も別になかった。別のレーベルとはリリースの話もあったんですよ。それは〈スカッド〉っていうレーベルですよ、"バック・トゥ・チル"をリリースしたレーベルなんですけど。その後もマイスペースに曲をアップしてたら、あるときマーラからコンタクトがあって、「何曲かサインしたい」って言ってくれて。「他の曲もすごく好きだからアルバムいつか出したいな」ってそのときから話してくれて。

それは良い出会いだったね。

GT:そうですね。

いまではダブステップの最高のキーパーソンのひとりだからね、マーラは。

GT:すごく嬉しかったのは、はじめに〈ディープ・メディ〉からリリースしたのが"カット・エンド"って曲なんですけど、マーラが「この曲は絶対に誰にも渡さないで!」って(笑)。「世界で俺とゴス・トラッドだけが持ちたいから、リリースするまで他に絶対渡さないでほしい」って言ってくれた(笑)。で、俺も「わかった」ってね。するとマーラが各地でDJやるときの1曲目にプレイして、みんなが知るようになったんです。そうしたらスクリームとかまわりのやつがみんなコンタクト取ってきて、「あの曲くれ」って言われて、そのたびに「ダメ」って返してましたね(笑)。

[[SplitPage]]

2006年の頭に、誰かが「ダブステップ・フォーラムにGOTH-TRADのスレッドが立ってるよ」って言ってきて、「何それ?」っていう(笑)。それをリンク貼ってあって見たら、誰かが「GOTH-TRADってやつが日本でダブステップを作ってるんだよね」って書いてて。

マーラとの出会いもありつつも、2005年縲鰀2006年っていうのはダブステップのシーンの発展期というか、オリジネイターたちが下地を作っていた時代だったと思うんだけれども、そのときのイギリスのシーンっていうのはゴス・トラッドから見てどうでしたか?

GT:当時自分がイギリス行ったときは、〈フォワード〉ぐらいしか行ってないんですよ。それはすごく盛り上がってましたね。ただ地方はわかんなかったですね、まだ。
 2005年の暮れに行ったときには『マッド・レイヴァーズ縲怐xの音でライヴもやったんです。それはヒップホップのパーティで、そのときはグライムのMCがどんどん入ってきて、「やっぱグライムなんだ」みたいなノリだった。2006年行ったときに〈フォワード〉行くと、グライムのMCがマイクを握りながら、DJはダブステップをかけるって形だったんですよね。で、当時の現場は自分はあまりよくわかってなかったです、ぶっちゃけて言うと。
 2006年から自分も東京でパーティはじめて、どういうノリでやってたのか......ひたすら「こういう感じかな」っていう(手探りな)感じだったと思いますよ、その頃は。初めはMCもつけてたし。ただ......でも、俺、最初にDJやったときはパソコンでやったんですよね(笑)。1回か2回か。CDJも使えないし、トラクターかなんかでやったんですよね。だからわかってなかったんですよね、何て言うかこう......。
 まずどうして自分がパーティはじめてDJはじめたかと言うと、ダブステップのカルチャーで面白いところはダブプレートだったり、未発表の曲をDJがかけるところ。日本だとDJイコールDJで終わることがたくさんあるじゃないですか。でも向こうだとDJイコールプロデューサーっていうのが、まあ基本じゃないけど----。

とくにダブステップの世代はほとんどみんな作ってるからね。

GT:そうじゃないですか。それがないと成り上がれないというか、名前も広げられない。で、「日本もそうあるべきだ」と思って。でも自分はもともとDJやってなくて、自分の音を使ってライヴで勝負するのが当たり前だと思っていたから、そのときまで若干DJっていうのを軽視してたんですよね。

ははは。

GT:ぶっちゃけて言うと。当時から多くのDJが「新譜か何か珍しいレコード買って、エフェクトをごちゃごちゃ駆使して、すごく上手い」みたいな。バトルのスクラッチとか、そういうひとはテクニックだからまた違うと思うんですけど。まあこれはクリエーター視点なんですけど、大元の音源の部分にオリジナルを追求してないですよね。そういう意味でつまんねえな、っていうのはあって。でもデジタル・ミスティックズを見ると、レコード・バッグ半分以上がダブプレートで、ダブプレート1枚切るのに1万円かかって、半分くらい自分のトラックで半分は自分のレーベルとか仲間のやつで、っていう。「ほぼライヴじゃねえか」と思って、その1曲1曲にかける熱意っていうか。そういう部分って絶対オーディエンスにも伝わると信じてますから。

しかもダブプレート重たいしね、運ぶの。

GT:そうですよね。ただね、3万円で30枚集めてるDJと、30枚30万かけて自分のオリジナルで1曲入魂で作ってやってるアーティストって重みが全然違うな、っていうかすげーなっていうのはあって。俺もライヴぐらいの価値があるDJでありプロデューサーでありたいと思って。やっぱそういうことを日本でも当たり前にしたいなと思いましたね。それまで俺は自分でプロデュースしてライヴやってっていうのが当たり前だったから、それをDJにしてもっとわかりやすくやったらまわりのやつもそういう風にしやすいかなと。〈バック・トゥ・チル〉はこうやって、それを外に打ち出していこうよ、っていうコンセプトもあってパーティをはじめたんですよね。そうすればリスナー側ももっと現場にフォーカスするんじゃないかって。

ダブステップのシーンになって、それがますます顕著だよね。ハウス世代だと、まだエディットですよね。テクノ世代はけっこう作っているけど、でもダブステップになるとほんとにみんな作ってるよね。

GT:1曲入魂なんですよね。1曲にすごく愛情があるからダブプレートで切って、自分で絶対プレイするってことじゃないですか。だって自分のためにしか切らないわけだから。その思いっていうのがすごく音楽的だと思ったし、あの、「ネタを買いに行く」って言葉がすごくイヤだなって俺思ってて。

ははははは。

GT:「ネタじゃねえだろ!」みたいな。そこの感覚を俺はやっぱり打ち出したいなと思ったんですよ。もうちょっと日本でも浸透できたらいいなと。でももちろん、日本でもライヴ・カルチャーってあるじゃないですか、打ち込みでも。そこはいい部分だと思うんですけど。もうちょっとDJの単位からやると、面白くなるんじゃないか、もうちょっと触りやすいんじゃないかと。
 あとはやっぱり、自分の曲をリワインドして、とかいう面白さも感じたし、バック・トゥ・バックで面白い結果が生まれるっていうか。そういう部分もダブステップを紹介する上ではやっぱり必要だなと思って。

ただ日本の場合はイギリスみたいにプレス工場がないし、ダブプレートを作ること自体が身近じゃないし。

GT:そうなんですね、うん。

あれは羨ましいと思うけどね。

GT:だからダブプレートじゃなくてもいいと思うんですよ。CD-Rでもいいと思うし。俺が〈バック・トゥ・チル〉はじめた1年ぐらいは喋ってましたからね。「リワインドしたこの曲は、このあいだ作ってできた曲で」とか。誰かの曲をかけたときに「この曲はあいつが最近できた曲で」とか。「これは来年どこどこから出る」とか、そういうのを紹介してすごくわかりやすくやってたときもありましたね。

それがゴス・トラッドが見たダブステップ・シーンの......。

GT:面白い部分でしたね。

じゃあ自分がひとりのダンサーとして、その場でダブステップ・シーンの強烈な何かを感じたっていうことはあった?

GT:やっぱ音圧ですよね。〈プラスティック・ピープル〉ってそんな大きくないんですけど、それに対するシステムの大きさは全部デカかったですね、すごく。そこの音圧の感じはやっぱいままで体感したことがないものでしたね。あとお客さんのノリ。ハーフで打ってるんだけどみんな倍で乗っちゃって、ベースで乗っちゃうっていう。「あ、このノリだ!」っていう。いままで日本では見たことないっていうか。

2005年末から2010年にかけてっていうのはダブステップ・シーンもいっきに多様化して国際化して、で、ポピュラーなものになっていくんだけど、「自分がダブステップのシーンの一員である」という意識がついたのはいつぐらい?

GT:えっと、2007年に12インチ2枚出したあとの9月にがっちりとツアーはじめてもらったんですよね。1ヶ月で10数本。

それはイギリスだけ?

GT:ヨーロッパ全体でですね。そのときにはもう、パリでも人いっぱいだったし。で、グレッグ・Gって、いま日本に住んでる彼がやってくれたんですよ。彼とはそこで俺を呼んでくれて知り合ったんですよ。

あ、そうなんだ。

GT:で、彼が言うには、5月の時点でスクリーム呼んだら80人だったと。その次に誰かが呼んだら150人だった。俺を呼んだときに、9月の時点で250人入ったんです。だから、急に2007年入ってからばーんとパリとかは来たって言ってて。

2007年ってじゃあやっぱ大きかったんだ。

GT:たぶんそうだと思いますね。2006年の終わりから2007年にかけて、こう。

ブリアルとかが出してるし、あとスクリームとかも当時ちょうどヒットして。シーンがデカくなりはじめた実感ってそのときから感じはじめたってこと?

GT:そうですね、やっぱこう(右肩上がりに)来てんな......っていうのは2007年からですね。自分はタイミングがすごく良かった。ロンドンでも〈DMZ〉っていうすごく良いパーティでライヴ・セットをやらせてもらえてたし。しかも、当時はまだライヴ・セットっていうのをやってる人がいなかったから。自分は逆にすごくDJに興味を持ってたんだけど、UK側では「ダブステップのライヴやるんだ?」っていうので、逆に面白がられた(笑)。

〈DMZ〉のパーティっていうのもいまやなかば伝説になってるんだけど、ブリクストンでやってたんでしょ。どういう感じだったんですか?

GT:何かこう......教会があるんですよ。えー......暴動みたいですね、何かもう(笑)

暴動(笑)。

GT:客が「わー! わー!」みたいな。2007年の9月以降もう何回もやってるんですけど、DJでやったときもあるんですよ。そのときなんか、いまはブースの位置も変わったんですけど、当時は客が頭この辺ぐらいのところで。DJやってると手触ってきて、「リワインド、リワインド」っつって(笑)。

はははははは!

GT:で、「イヤだ、イヤだ、いましない、いましない」と言って、そうすると「おい、ゴス・トラッド! リワインド、リワインド!」ってこの辺のやつらがうるさい(笑)。で「しょうがねーなー」ってやったら、「ありがとう、ありがとう」みたいな感じで(笑)。そういうノリですよ、もう。

それはもう、最高だね。

GT:ガキどもが群がって、みたいな。

ああ、なんかその話聞いてると、光景が浮かんでくるんだよね。

GT:1曲にフォーカスするエネルギーがすごいですね、客がね。で、DJ側も「どのダブ・プレートかけてんの?」とか、かけたときに「誰の曲これ?」とか。「俺の曲」って言ったら「くれ! くれ! 次くれ!」って(笑)。やってる側も1曲1曲にフォーカスしてるし。ていうか、お互い一体感がすごいというか、みんなエキサイトしてるっていうか。

イギリスってダンス・ミュージックの文化のあり方っていうのがやっぱすごいんですよね。いまの話聞いてて、1993年にブリクストンで、ジェフ・ミルズとロバート・フッドとスティーヴ・ビックネルが出た〈ロスト〉っていうパーティに行ったときのことを思い出した。汗が天井から落ちるどころか、ホントに天井や壁によじ登ってるやつとかいたんで。

GT:そういうノリですよね。いい意味でちょっと危険を感じるっていうか、圧倒されるっていうか。プレイしてる本人もイッちゃってるというか、みんなそうだと思いますよ。5回とかリワインドしますからね。しかも俺がやってるときに誰かがリワインドしますからね、こっちで(笑)。「まだミックスしてんだけど」みたいな。またはじめてこっちミックスしようとしたら、後ろのDJがまたリワインドしてるとか(笑)。さらにいいMCもいるから。

[[SplitPage]]

俺はもっとエクスペリメンタルな、プログレッシヴな音楽としてダブステップを捉えてたので、そういうものはむしろぜんぜん気に しなかったですね。つまんねーなっていう(笑)。まあ俺がやる音楽じゃねーなと。それもダブステップなんだろうけど、俺は俺のダブステップをやるっていう。


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

そういうシーンのなかで体験したことがゴス・トラッドにどのように影響を与えていったの? たぶん今回のアルバムにもそれがすごく繋がっていくと思うんだけども。

GT:自分のなかではやっぱり〈ワードサウンド〉とか、そういう面白い音楽、新しい音楽を作るっていう意味では同じスタンスだと思うんですよ。さらにダブステップ・シーンが----たとえばディスタンスがメタルやってたとか、マーラはテクノも聴いてたしレゲエも聴いてるしヒップホップもやってたとか、ローファはヒップホップをやってたとか、みんないろんなところから集まってる。BPM140周辺、ベースがすごいあって......っていう共通点でひとつのステージに集まってるっていうところが、お互いが新鮮っていうか。お互いがかける曲も新鮮だし。テンションは同じなんですよ。そういうやつらが集結してるから、興奮するしかないっていうね。で、共通する部分はみんな持ってるから。「こんなん作ってんだ、お前!」みたいな。それのやり合いみたいな、それが止まんないみたいな。その当時はほんとに。

なるほどね。

GT:で、それに対して、すげーディープな音でも客からそういう(熱い)レスポンスが来るから、こっちもそういうレスポンスでいっちゃって、みたいな。どんどんテンションがいい具合で上がり合うっていうか。そういうのはつねにパーティでは感じましたね。

たぶん、最初のピークだったんだろうね。2007年以降っていうのはさらにどんどん大きくなっていくって感じだったかな?

GT:その部分もあるし、やっぱりシーンの流れはちょっと変わりましたよね。2008年後半か、まあ2009年ぐらいから、ちょっとつまんなくなりましたね。リリースされるものが、すごく。まあダブステップってキーワードも大きくなったし、ダブステップっていうルールができちゃったし。新しいアーティストでダブステップを聴いてダブステップを作ってるのがたくさん出てきたし。ドラムの音色も似ててベースの音色も似てて、そういうものが2008年、09年......まあ09年10年特にいっぱい出て、ほんとつまんないリリースが続いて。

じゃあ、初めて「つまんない」っていうのを感じはじめたのがその頃なんだ。

GT:うーん、まあでも、リリースはつまんないと思ってたんですけど、結局自分が聴いたりかけたりするものっていうのはダブプレートで、自分の信頼してるアーティストだったり、そういうとこはそういうとこで回ってるんで、関係ないですよね。ダブステップ・ファンが、まあメディアもそうだけど、「ダブステップ」って言ってるものが「これダブステップじゃねーよ」って思っちゃったりするぐらいの、まさにハイプになってるっていうか(笑)。そういう意味で。それはひとつのダブステップだから、そのなかの何個かは俺も好きだけど、形式ができちゃったっていうのは絶対あると思うんですよ。

音楽の約束事みたいな?

GT:そう、約束事が。とくにアメリカのシーンでは顕著に現れてると思うし。ほんと全部同じだし。

アメリカはまあすごいって言うよね、レイヴ・ミュージックとして。

GT:俺はもっとエクスペリメンタルな、プログレッシヴな音楽としてダブステップを捉えてたので、そういうものはむしろぜんぜん気にしなかったですね。つまんねーなっていう(笑)。まあ俺がやる音楽じゃねーなと。それもダブステップなんだろうけど、俺は俺のダブステップをやるっていう。だから一時期「ダブステップって言うのも何かなー」と思ったりしてたときもあったけど、だけどいまは敢えてこれが俺の打ち出すダブステップっていうことを言いたいとは思ってるんですけど。

ゴス・トラッドがいまそれを言うのは大事だよね。

GT:ダブステップという言葉であるとかそのイメージが、この2縲怩R年ですごく大きくなったと思うんですよ。で、4年縲怩T年経つといち巡してきて、ファンも少しずつ入れ替わってるじゃないですか。この2年でダブステップ好きになったひともたくさんいると思うし。

日本は2011年がいちばん売れたっていうけどね。

GT:あ、そうですか。俺は日本の流れはすごくいいと思うんですよね。

ほんとにー!?(笑) 

GT:いや、ハイプになりきらないじゃないですか。

ああ、そういう意味でね。

GT:たとえばアメリカ的になって、アメリカのああいうダブステップって呼ばれるものが、ガーンと来てたらガーンと下がって終わっちゃうと思うんですよ。

いやいや、でも、ああいうのがどんどん入ってきて、どんどんハイプになったほうがいいとも思うけどね。軟派なものもふくめて、どんどんこっちに入って来て欲しい。

GT:あー。

たしかにさ、現場で当事者として作ってる側だから、あんなのといっしょにされちゃたまらないよ、って気持ちはわかるんだけど。でもそれだけダブステップって音楽にポテンシャルがあったってことだよ。

GT:まあそうですね、そう思います。

オリジネイターたちに話を訊くと最初は20人ぐらいからはじまったわけでしょ。20人でやってた実験が、何百万とかいう人たちの耳を楽しませるぐらいのポテンシャルがあったってことは、すごいことだからさ。

GT:そうですね。まあダブステップっていうすごく大きな括りのひとつのダイレクションだと思うんですよね。

もちろん作品性とは別の問題だけどね。

GT:そうですね。だから自分的には別に全部ヘイトしてるわけではないし。好きなものもあるし。ただ、アーティストとしてそういうのを見たときに、つまんないものが多いなっていうのがあって(笑)。まあ......でもそういう意味で自分の方向性もすごく見えやすくなるっていうか。俺はこういうアプローチで音を出していきたいっていう。

なるほどなるほど。

GT:だから〈ディープ・メディ〉っていうレーベルはそこに関して自分に合ってるレーベルだと思うし。〈ディープ・メディ〉自体は俺のノイズの音源とかも気に入ってるっていう、そのぐらいプログレッシヴな感じだから。

何て言うか、拡張されてるんだね。

GT:そこを理解してもらわないと、俺はちょっと納得いかないんで。

ゴス・トラッドの音源がノイズのレーベルから出るよりは、〈ディープ・メディ〉から出るほうが面白いのはたしかだよね。マーラとも音楽性が違うからね。

GT:そうですね。

今回の『ニュー・エポック』が出るまでは4年ぐらいのブランクがあるじゃないですか。これはどういう理由なんですか?

GT:それはたぶん、自分のなかにアルバムっていうひとつのものにまとめるっていうイメージが沸いてなかったんですよね。トラックの量はあったんですけどね、それをひとつにまとめたからといってアルバムとして出したいかっていうとそうじゃなかったので。やっぱりアルバムに必要な曲っていうのが集まったから出したいっていうことですね。

ダブステップがどんどん盛り上がっていったから、もうちょっと早く出したいって気持ちはなかった?

GT:焦りは全然なかったですね。

シングルを出してるっていうのもあったから?

GT:シングルも出してるし、焦って出すつもりもなかったので。もちろんヨーロッパを回っててもブッキングに影響する部分もあったりとかもあるんですけど、自分にはそこまで影響はなかったんですよ。4年間で1枚しか出してないですけど、それは引き続き現場でプレイをしてプロモーションをしてやってこれた部分はあるので。

年々DJの本数は増えてったって感じ?

GT:DJの本数は増えましたね、はい。

しょっちゅう海外ばっかり行ってるっていうのは聞いてたんだけれども、それこそドミューンで頼もうと俺がいろいろ連絡してた頃も「いまいないんで」とかって言われたりしたからね。相当海外に行ってるんだろうなとは思ってたんだけれども。1年のうちほとんど海外?

GT:いやいやそんなことないですよ。今年とかは4ヶ月ぐらいだと思います。でもヨーロッパ4回行ってるんですよね。フェスが夏、6月と9月に入ったので、それ2週間ずつとか。春と秋は1ヶ月ずつ行って、今日から2週間ぐらいアジア・ツアー行って。でもその前の年は3ヶ月ぐらいだったから。そういう感じですね。ツアーやりながらも制作するんですけど、やっぱり家やスタジオでやんなきゃっていうのもあるんで。

[[SplitPage]]

初期のダブステップの面白かった部分や新しさ、「何でも自由がきくんだよ」っていうような音----まあだからこそファンキーとかポスト・ダブステップが生まれたものかもしれないけど、でも俺からすると、それは違うんですよね。いわゆるダブステップ、でもそのなかから進化させたいっていう気持ちはずっと持ってやってるので。


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

なるほどね。じゃあ今回のアルバムっていうのはDJツアーしながら曲を作り溜めていって、それで揃ったから出たって感じ? それとも、もうちょっと全体のコンセプトっていうか、----僕はすごく今回のアルバムを聴いて、いままでのゴス・トラッドとは別の、グルーヴィーというか、ある種の開放感みたいなものを感じたんだけど----自分の新しいステップというか方向性というものがはっきりしたから出そうっていうことになったの?

GT:それもあると思います。実は俺はこの2年ぐらいですね、さっき言ったダブプレート文化っていうのがダブステップ・シーンの良い部分ではあるには違いないですけども、それをやりすぎちゃうと怖いなっていう風に思いはじめたんですよ。2年ちょい前ぐらいから。だから、そういう(いかにもダブステップ流の)ことから距離を置きはじめたんですよね。

え、なんでですか?

GT:もっと自分の音楽にフォーカスしようと思ったんですよ。たとえばさっき言ったような「DJのネタがない」って思うのがイヤだったので。「じゃあ自分で作ろうよ」って感覚になったんですよね。DJにしてもライヴ・セットにしても、自分に足りないものは自分で作っていこうっていう。もっとそっちにフォーカスしようと思って。ひとの音楽とちょっと距離を置こうかなっていうのがあって。そういう感覚でこの2年間ぐらいやってたと思うんですよね。もちろんひとの音楽も聴くんですけどね。何曲かはダブプレートであげたりもしてるんですけど。流行りとか、そういうところからちょっと距離を置くというか。

なるほど。

GT:とくにこの3縲怩S年、スタイルというかテクニカルな部分がすごくフォーカスされたと思うんですよ。ブリアル的な音だったりとか、フライング・ロータス的な音だったりとか、そこが逆にトゥー・マッチで。俺、デモとかもらっても、「真似ばっかじゃん」みたいな。そういうのをすごく感じたときもあったし。若い子たちにもそういうの感じるし。逆にそういうのを完全無視でやってもいいんじゃねえかって思うし、それでいい曲作ったほうが10年経っても良い曲なんじゃないかなって思ったり(笑)

ゴス・トラッドも最初はどこのシーンにも属してなかったと思うからね。

GT:テクニカルな部分って、たしかに知らなきゃいけないと思うんですよね。上手く使いたいし。そういうのも勉強するんですけど、でもトゥー・マッチになるのはイヤだと思ったりしたし。

ジェームズ・ブレイクは2011年に日本でヒットしたけど、どう思った?

GT:俺は曲によってはすごくカッコいいと思いますよ。俺は何回かいっしょにプレイしたこともあって、向こうで。で、DJプレイもすごくいいんですよ。去年ドイツのベルリンでいっしょになって、DJプレイを観たらノリいいんですよ、すごく。トラックを聴くとディープなイメージで----まあアルバムの前の〈R&S〉から出てるのはもうちょっとグルーヴィーな感じで、DJはけっこうあの路線ですよね。

へー、DJもやるんだね。

GT:だから俺は今回日本来たとき、どうしてDJやんないのかなと思ったりしましたけどね。

彼はそれこそアンコールの1曲目にマーラの曲を歌って。

GT:あー、"アンチ・ウォー・ダブ"ですよね。あれ微妙ですよねー......(笑) はははは!

もちろんオリジナルのほうがいいからね(笑)。

GT:俺はあれは何かなー。「カヴァーばっかやってんなー」と思いますけどね。

それはでもリスペクトなんじゃない? 彼自身に全然罪はないんだけど、彼個人だけが悪い感じでハイプになっちゃったから。一般紙に書いてるジャーナリストが「クラブ・ミュージックもやってるらしい」って書いたり、文化人から「ダブの影響を受けているらしい」とか書かれたり、おいおい少しぐらいは調べてくれよって、そんなレヴェルのものだからさ。だから日本ではゴス・トラッドにかかる期待は大きなものになっていくと思うんだけどね(笑)。

GT:そうですか(笑)?

ジェームズ・ブレイクがきっかけでダブステップを聴きはじめた若い世代も少なくないわけだから。ただ、ゴス・トラッドのインターナショナルな活動歴を考えれば、2009年ぐらいに出しといたほうが良かったんじゃないかぐらいの感じもするんだけどね。

GT:そうかもしれないですね。でも、2009年縲鰀10年ってポップなダブステップがフィーチャーされてた時期だったと思うんですよね。

ポップってブリトニー・スピアーズみたいな......あ、ディプロみたいなの?

GT:そうですね。そういうのもそうだし、マグネティック・マンだったり、スクリレックスだったりとか、ああいう。

ああ、ブローステップっていうやつね。※紙『エレキングvol.4』参照。

GT:はい。そういうのがゴーンと来た時期で。俺はシーン見てきて、まあ場所によるんですけど、ああいうのに飽き飽きしてたひとって多いんですよね。

そりゃそうだよ。

GT:で、戻ってきてるんですよ。

だって空しくなるもん、ああいうのでいくら踊っても(笑)。

GT:何も残らないっていう(笑)。

その瞬間は楽しいけど、そう、残らないからね(笑)。

GT:でも、「バビロン・フォールEP」をこのあいだ10月に出して、それでアルバムが来年に出てっていうタイミングはすごく良かったと思いますね。

"バビロン・フォール"は昔出してる曲じゃないの?

GT:〈レベル・ファミリア〉で出してる曲のダブステップ・リミックスで、それは2008年ぐらいにもう作ってるんです。それはリリースするとか考えずに、自分のプレイのためにダブプレート切ってたんですよ。そしたらファンも「いつ出るの?」とか、レーベル側も「出そう」って話になって。2年前ぐらいからコンタクト取ってて、マックス・ロメオに(笑)。まだ彼が曲の権利持ってたんですよね。そしたらやっと取れたんです。

あの曲は間違いなくアルバムのなかでもクライマックスになっているよね。

GT:あと、EPには"フォーリング・リーフ"って曲があるんですけど、あれも評判も良いですよね。UKの20歳の若くていいプロデューサーがいるんですけど、そいつと喋ったら「僕はあのEPのなかで"フォーリング・リーフ"って曲が大好きなんだよね! あれはやばいよ! あれいつ作ったの?」って言われて、「2006年だ」って言ったら「ええー!?」みたいな。それってやっぱ、ああいうものがいま、逆に新鮮だったりすんのかなって。他の曲のほうが新しいんですけど、2006年のもっとも古いあの曲を、そういう意味で入れたんですよ。

ああ、なるほどね。バック・トゥ・ベーシックな感じなんだろうね。

GT:だからシーンの流れ的には----まあいち部の国とかシーンだけかもしれないですけど----そういうのに飽き飽きして、昔のいわゆるダブステップっていうか、オールドスクールが新鮮なんじゃないかなっていうのを最近ちょっと感じますね。

そういうぶり返しというかね。アメリカに関して言うと、ブローステップみたいに肥大化したレイヴ・シーンみたいなものがあるんでね、そういう話がリアリティあると思うんだけど、日本はまあたぶん、これからだなという気がするんです。それとは別の話で、『ニュー・エポック』は以前の作品に比べるとずいぶんダンス・ミュージックということに意識的なアルバムかなという気がしたんだけど。寄ってくる者を拒まないっていうかね。2曲目の"ディパーチャー"縲怩R曲目の"コスモス"の流れなんかはとても滑らかだし、暗闇のなかの艶っていうかね、録音はすごく繊細だけど音は太いし。"エアブレイカー"みたいなそれまでのゴス・トラッド色を引き継いでいる曲もあるし。"ウォーキング・トゥゲザー"や"アンチ・グリッド"もビート・ミュージックなんだけどグッと来るようなメロディがあるでしょ。"ストレンジャー"なんかはアンビエント・テイストだし、ある意味いままででいちばん聴きやすいんじゃないかなとも思うんですけど、自分自身のなかではどういう方向性があったんですか?

GT:やっぱりこの4年縲怩T年はダブステップ・シーンでやってきたんで、ヨーロッパ行ったときもやっぱりダブステップDJ/プロデューサーのゴス・トラッドっていう認識なんですよね。
 日本、オーストラリア、中国、アジアでもやって。で、たくさんのパイオニアもファンキーに行ったり、ポスト・ダブステップって言われるようなテクノっぽいものになったり。たぶん、現在はパイオニアがパイオニアのやるべきことをやってないっていう状況ではあると思うんですよね。それは進化ではあると思うし。でも何て言うかな、俺は初期のダブステップの面白かった部分や新しさ、「何でも自由がきくんだよ」っていうような音----まあだからこそファンキーとかポスト・ダブステップが生まれたものかもしれないけど、でも俺からすると、それは違うんですよね。いわゆるダブステップ、でもそのなかから進化させたいっていう気持ちはずっと持ってやってるので。

ダークじゃなくなったしね(笑)。

GT:そうですか(笑)?

そういうポスト・ダブステップになってくるとね。

GT:あ、そうですね。そうだから、敢えてここに留まってるから、5年縲怩U年経って、「日本から来たダブステップのパイオニア」ってやっと言ってもらえる部分もあるし。そういう意味で、ダブステップとしての新しいアプローチを見せたいなというか。

[[SplitPage]]

ぶっちゃけ言うと「俺はこんなとこ住めねえな」と思うぐらい、ほんとやばいんじゃないかと疑うんですよ。だけど、同時に、そういう日本人の姿を見るとすごく勇気づけられる部分もあるんですよね。原発のことに関してもそうだけど、新しい世界を創り上げていけるんじゃないか、っていう


E王 Goth-Trad
New Epoch

Deep Medi Musik/Pヴァイン

Amazon

じゃあ変な話、初めてダブステップを意識したアルバムを作ったという言い方もできるんだね。

GT:そうですね。

それは面白い話だね。

GT:もしかしたらこれ、アメリカ人100人集めて「これジャンル何?」って言ったらダブステップっていうやつは10パーセントかもしれないですけど(笑)。

まあそうかもね(笑)

GT:でもこれは、俺なりにダブステップを進化させた形ですっていうことで、敢えて違うテンポのものも入れなかったというか。

ダブステップのオリジネイターのいち部の、それこそコード9とかローファみたいなひとなんかは、逆にブローステップ的なものから距離を置きたくて、新しい刺激としてジュークとかさ、ああいうのを取り入れてるじゃない? ああいうのはどう?

GT:面白いと思いますね。

ああいうアグレッシヴな点っていう意味では、まさに初期のダブステップが持っていたものとちょっとやっぱり近いかなと。

GT:うーん、そうですね。あの感じは、自分が『マッド・レイヴァーズ縲怐xの後半で作ってたようなハーフステップのドラムンベースの感じにすっげー近いなと思う部分があって、面白いと思いますね。YouTubeに"アシッド・ステップス"って曲が上がってるんですけど、それのヒット数がめちゃくちゃ上がってるんですよね。それってやっぱりジュークだったりフットワークだったり、ああいう流れもあんのかなーと思ったり。
 俺は好きですけどね。だけどテンポ感っていうのが俺のなかではダブステップにすごくマッチしてて。ベースで作れるっていうか遊べるっていうか。ジュークはリズムの感じですごく遊べるんですけど。俺はダブステップのBPM140のあの感じっていうのに可能性はまだあると思ってて。もっと何か面白いことできるっていうか。もっと崩していけるんじゃないかっていうのがあって。

それで『ニュー・エポック』っていうデカい言葉をアルバムのタイトルにしたんだ?

GT:まあそうですね。『ニュー・エポック』っていうのは、そういう音的な部分も含めつつ、日本の今年いろいろあったことっていうのも含めて。

3.11のね。そのときは日本にいたの?

GT:いなかったんですよね。

じゃあもう......。

GT:びっくりして。そのときはロンドンにいて。東京には家族がいたんで、すごくショックでした。パソコンで日本のテレビ見てたんですけど、もう動けなかったですね、テレビの前から、ずーっと。ほんとショックで。

その後またさ、自然災害だけならまだしも、原発事故っていうのが重くのしかかってくるから。

GT:そうですね。それでやっぱり、デカい権力の恐ろしさっていうか。何パーセントかわからないですけど、そこの怖さを日本人は知れたんじゃないかっていうか、人のよい日本人が、そういうものを疑う知識を持ったんじゃないかっていうのはありますね。

そうなってくれるとすごくいいなと思うんですけどね。でもなかなか......。自分はサッカーがすごく好きだからね、スカパーに入ってるんで、BBCにも入ってるんですよ。震災直後にBBCのニュースをよく見ててさ、海外メディアがどういう風に日本を扱ってるのかすごく気になってたから。で、早い話、「日本人はお人好しすぎる」ってことをイギリスのメディアのほうが言っていたでしょ。「なんでもっと怒らないんだ」っていう。

GT:いや、ほんとその通りだと思います。もしかして俺ひとりで生きてたら別に気にしてなかったのかもしんないですけど、子どもが1歳でとか、そういうことを考えるともっとそういうところに神経質になるから。食べ物とか。「がんばろう東北」じゃねえだろっていうね(笑)。もちろん国は東北の農家だったり漁師とかを保障しなきゃいけないし。そこ誤魔化して、金使わずにやるっていうのは。テレビもそうだし。どうすんだ? っていう。「テレビが大丈夫って言ってるから」ってなりますよね。だって20歳の若者ですら、俺の〈バック・トゥ・チル〉でやってる子たちに「食べ物とか気にしてんの?」って聞いたら「何が?」みたいな、そんなノリだし。これはまずいなとほんと思ったんですよね。

ほんとに欧米との認識の温度差がすごいよね。

GT:ひとを見たら疑え、じゃないですか、けっこう海外って。でも日本のひとはほんとお人好しだから(笑)

ほんとよくも悪くもっていうか、でも今回は悪いほうのお人好しだかもね(笑)。

GT:だから、けっこうたくさんの日本人がそういう部分に気づいたんじゃないかなと思うんですよね。

それは今回のアルバムのなかでどういうような関係があるんですか?

GT:でも、日本人の良い部分なのかもしれないけど、勤勉で、「ここからスタートしていこう」っていう部分はあるじゃないですか。俺はぶっちゃけ言うと「俺はこんなとこ住めねえな」と思うぐらい、ほんとやばいんじゃないかと疑うんですよ。だけど、同時に、そういう日本人の姿を見ると勇気づけられる部分もあるんですよね。原発のことに関してもそうだけど、新しい世界を創り上げていけるんじゃないか、っていう希望をこめたタイトルというか。新しい世代というか。だからトラックの名前もそういうものがつけてあって。
 1曲目はとくに途方に暮れてる、自分もそうだし。うわべはみんなすごく頑張ってるけど、ほんとはそういう人間がいまの日本にたくさんいるはずなんだっていう思いもあって。それはほんとに震災後にできた曲で。断片のメロディとかだけは作ってたんですけど。そこから完成できてなかったんですけど、あれ以降にタイトルとアイディアができて完成した曲なんですね。

[[SplitPage]]

「俺たち日本だから。ヨーロッパとかUKだったらもっと盛り上がるんだろうな」とかじゃなくて。そう思う時点で負けてると思うから。だってイギリスなんていまなんか6万縲怩V万で行けるじゃないですか。誰でも行けるわけじゃないですか。DJだってプロモーションでちょっと行くってこともできると思うし。

なるほどね。なるほど。ちなみに〈バック・トゥ・チル〉に集まる子たちっていうのは何歳ぐらい? やっぱ若い?

GT:あ、お客さんですか? お客さんはけっこう幅広くて、まあ22縲鰀3歳ぐらいから30ぐらいまでですね。

イギリスはみんな若いんでしょ?

GT:若いですねー。ヨーロッパは若いです。

ここ数年、ロンドンに住んでいるイギリス人の同世代の友だちと話してると「テクノやハウスはoyaji musicだ」って言われるからね(笑)

GT:ははははは。えー。

イギリス人らしい口の悪さというか、イギリスでは、それだけダブステップっていうのは若者の音楽なんだぞって言いたいんだよ。

GT:自分は比較的ディープでダビーで......っていうライヴもプレイするんですけど、ハンガリーとか行くと女の子がすごい前で踊ってて。「いくつなの?」って訊いたら18歳とか。「ダブステップすごく好き」って言ってて。

いいですねえー。日本からも18歳でゴス・トラッドのライヴを最前列で観るような子がどんどん出てきてほしい(笑)。

GT:そうですね(笑)。ブリュッセルでやったときは、自分の前のDJダブステップから流れた4/4っぽいライヴをやってたら前の若い男の子と女の子が「ちょっと来てちょっと来て!」って俺が誰かもたぶんわかってなくて呼ばれて、「あなたダブステップやるの?」って(笑)

ははははは。

GT:「やるやる」って言ったら「よし!」みたいな(笑)。

はははは! 「おまえはわかってる」って(笑)。

GT:そういうこともあるし(笑)。

わかりました。時間もなくなってきたので、もっとたくさん訊きたいことがあるんですけど、続きは2012年に取材させてください。

GT:はい、ぜひ。

あと俺は、日本人アーティストが海外に、ゴス・トラッドみたいにどんどん出てったほうがいいと思ってる人間だから、その辺ももうちょっと訊きたかったんだけどね。

GT:俺はほんとそれやれる思うし、はっきり言って、いまならネットもあるし音楽なんかデジタルで買えるわけだし。どんな田舎だろうが同じじゃないですか、メディアの量なんて。ほとんどの人がいまインターネットで情報を取り入れてるわけじゃないですか。雑誌だってどこでも買えるわけだし。そこを初めから負けてる気持ちの子って多くないですか、地方の子とかって。「僕は地方だから」とかって。
 「俺たち日本だから。ヨーロッパとかUKだったらもっと盛り上がるんだろうな」とかじゃなくて。そう思う時点で負けてると思うから。だってイギリスなんていまなんか6万縲怩V万で行けるじゃないですか。誰でも行けるわけじゃないですか。DJだってプロモーションでちょっと行くってこともできると思うし。だって俺実家広島で、往復すんのに4万かかるんですよ。そんな変わんないじゃないかみたいな(笑)

あとダンス・ミュージックのアンダーグラウンドのカルチャーに関して言うと、マイスペースとかソーシャル・ネットワークがすごく良い形で働いてるとは思うよね。

GT:ほんとそうですよね。サウンド・クラウドだったりフェイスブックだったり。で、たぶんレーベルとかは日本から面白いアーティストが出てきたら「やった!」と思うと思うんですよね。だからチャンスはほんとあるし。俺は最初は自分のことプロモーションするために、ブッキングさえあって、条件さえ合えば、いつでも行きますってノリだったんです。広島行くのと九州行くのと沖縄行くのと、ロンドン行くのと同じ感覚で行くよ、ぐらいの気持ちでやりたかったんですよ。「日本人、日本人だすごい!」っていうのも思ってほしくなかったんですよ。

あー、国境で判断されたくないよね。

GT:DJとも普通に交流したくて。英語は初め全然ダメだったんですけど、1年縲怩Q年やり取りして、喋ってできるようになったし。それは努力なのかもしれないですけど、ほんと誰でもできるし。俺なんか27縲鰀8ぐらいからそれができるようになったわけだから。それは誰でもできるし、誰でも可能性持ってて。負ける気持ちを持たなければ勝てるというか(笑)。

ははははは。やっぱこんな熱い人だったんだ(笑)。

GT:どれを勝ち負けっていうのかわかんないですけど、でも「向こうのほうが自分のやってる音楽はうけるな」とか、それも違うと思うし。日本も同じだし。俺は日本でやることもすごくいいと思うんですよ。逆に敢えて向こうに距離置けるっていうのも。

ダブステップがテクノやハウスのときとちょっと違うのが、まさに21世紀のダンス・ミュージックだからこそこれだけ短時間のあいだにすごく世界的に広がったのかなって思うんだよね。

GT:あの当時のマイスペースだったりとか、横の繋がりはすごかったですね。

あれは、ある種の連帯感のような感じでしょ。

GT:「みんなで盛り上げようぜ!」みたいな。サーポーターもすごく集まったし。パーティやって、それをお手伝いするやつらもすごく集まってたし。そういう意味では絶対誰にでもチャンスはあると思うんですよね。いまはむしろダブステップだけじゃなくて、さっき言ってたみたいなジュークだったりフットワークだったりヒップホップだったりとか、もはやインターナショナルなものだから。

ジュークやフットワークがインターナショナルなものになるかはわからないけどね(笑)。ロンドンはすごいだろうけど、きっとね。イギリス人はそういうの好きだから。エレクトロも、シカゴ・ハウスも大好きだったし。

GT:いや、でも俺はあり得ると思いますよ......って信じたいですよね。

リスニング・ミュージックとして楽しむっていうのはあるよね。僕はそうだから。ただ、あそこまで俊敏に足を動かすのは、自分には絶対に無理だと思った(笑)。あれはもう、ストリート・ミュージックだからねー。

GT:そうなんですよね。オタクっぽくなっちゃうのはちょっとね。もうちょっとストリートな感じで。

フットワークは昔デトロイトで現場を見たことがあって、コンクリートの路上でみんな輪になって、ダンスを順番にしていくわけだけど。

GT:ちょっとクランプとかに似た感じですよね。

ほんとにダンス・バトル。男の子も女の子もいるし白人もいるし黒人もいるし東欧系やラテン系 もっていう......ていうか、話が終わらないね。このままだとゴス・トラッドがアジア・ツアーの飛行機乗り遅れちゃうから今回はここまでにしましょう(笑)。 『ニュー・エポック』が1月11日にリリースされるわけだけど、その反応も楽しみだし、2012年、また会えるのを楽しみにしていますので。今日は出発日 だというのに、こうして時間を作ってくれて、とても貴重な話をありがとうございました。


 ゴス・トラッドは、自分のこれまでの経験を、いま日本で音を作っている多くの若者に伝えたくてうずうずしているようでもあった。それは自力でここまでできるんだという、今日的なDIYミュージックとしてのダブステップとその文化についての話だが、それまた別の機会に。

My Favorite Christmas Songs - ele-king

 2011年も残すところ数週間。先日も街を歩いていたら、レディ・ガガとビヨンセの歌う"クリスマス・ツリー"が流れてました。中古レコード店に入るとこんどはソロモン・バークの渋い"プレゼンツ・フォー・クリスマス"です。コンビニに入れば、ワム!の"ラスト・クリスマス"、セリーヌ・ディオンの"ブルー・クリスマス"、山下達郎の"クリスマス・イブ"......世のなか、ほとんどクリスマスだらけになります。
 独り身の方には、ザ・フォールの"ノー・クリスマス"のような曲もありますし、喧嘩中の方にはラモーンズの有名な"メリー・クリスマ"があります。
 僕はフィル・スペクターの『ア・クリスマス・ギフト・フォー・ユー』がいちばん好きです。あのアルバムは世界でもっとも夢見がちなプロデューサーが作った最高に素敵なファンタジーではないでしょうか(周知のように彼は、ジョン・レノンと小野洋子の"ハッピー・クリスマス"のプロデューサーでもあります)。
 コクトー・ツインズの"フロスティ・ザ・スノーマン"も名曲です。いまどきのチルウェイヴやネオゴシックを追っている若いリスナーにはオススメです。スレイドの"メリー・クリスマス、エヴリボディ"はちょっと上級者向けかもしれません。ジョン・フェイヒィのクリスマス・アルバムはそれと反対の意味で上級者向けですが、クリスマスの曲は来る者を拒まないのが良いところです。フェイヒィの狂ったような技術によるクリスマス・ソングの演奏は、その日がクリスマスであることをも忘れさせるでしょう。
 僕は若い頃は、ザ・ポーグスの"ファーリー・テール・オブ・ニューヨーク"をよく聴いていました。この曲は僕のような賢くない人間にとっては本当に最高のクリスマスのファンタジーです。ぜひ歌詞を読んでみてください。もしもザ・ストリーツがクリスマス・ソングを作っていたら、こんな曲を書いていたでしょう。
 以下、ele-kingによる「30 classic songs」を思いつく限り、ざっと選んでみました。あ、レゲエのクリスマス・カヴァーを忘れてました。たくさんあり過ぎるのですが、僕は〈トロージャン〉から出ているボックスをいつも聴いています。
 高名な音楽評論家の湯浅学さんがクリスマス・ソングの蒐集家で、それだけで2000枚もあるそうです。現在、ライターの方々をはじめ、レーベルの方々、いろんな方々に「My Favourite Christmas Song」についてアンケートしています。お返事が来れば、発表します。お楽しみに!
 なお、読者の方のなかにも、以下のチャート見て、自分の「Favourite Christmas Song」が入ってないじゃないかという方は、ぜひこちらにメールください(ele-king@dommune.com)。お名前(匿名)、アーティスト名/曲名+コメントでお願いします。火曜日(20日)に締め切らせていただきます。



■30 classic songs by ele-king
1. The Ronettes - Sleigh Ride
2. The Pogues - Fairytale of New York
3. The Ramones - Merry Christmas (I Don't Want To Fight Tonight)
4. John & Yoko And The Plastic Ono Band - Happy Xmas (War Is Over)
5. John Fahey - Silent Night, Holy Night
6. Cocteau Twins - Frosty the Snowman
7. Slade - Merry Christmas, Everybody
8. Jackson 5 -Santa Claus is Coming to Town
9. Booker T & the MG's Jingle Bells
10. Yello - Jingle Bells
11. St Etienne feat. Tim Burgess - I Was Born On Christmas Day
12. Manic Street Preachers - Ghost of Christmas
13. James Brown - Go Power At Chirstmas Time
14. Ray Charles - That Spirit of Christmas
15. Wedding Present - No Christmas
16. Donny Hathaway - This Christmas
17. Bright Eyes - Blue Christmas
18. Miles Davis - Blue Christmas
19. The Kinks - Father Christmas
20. The Yeah Yeah Yeahs - All I want for Christmas
21. The Fall - No Xmas for John Quays
22. Johnny Cash - I Heard The Bells On Christmas Day
23. Stevie Wonder - -Christmas Time
24. The Supremes - My Christmas Tree
25. The Beach Boys - Little Saint Nick
26. Duke Ellington - Jingle Bells
27. XTC-Thanks For Christmas
28. Tom Waits & Peter Murphy - Christmas Sucks
29. The Only Ones - Silent Night
30. The Ventures - Christmas Album

●鴨田潤(イルリメ)

Paul McCartney - Wonderful Christmas Time
4年前、MXテレビの「5時に夢中」を見てたらエンディングテーマとしてこの曲が流れ初めて知り、好きになりました。シンセの音色が何というか、家庭的で良いです。

●大久保潤(大甲子園/Filth/メディア総合研究所)

Wizzard - I Wish It Could Be Christmas Everyday
Slade - Merry Christmas, Everybody
Gary Glitter - Another Rock 'n' Roll Christmas
T.Rex - Christmas Bop


一番好きなクリスマスソングは断然少年ナイフの「Space Christmas」だし、先日のライヴ・レポートにも書いたように「Sweet Christmas」も大好きなのだけれど、ちょっと違うのを挙げて見ます。シャッフルと相性がいいのか、グラム・ロックにはいいクリスマスソングが多いのでその中から4曲。ウィザードは定番中の定番ですね。すかんちがやってたカヴァーもよかった(まあコピーですが)。スレイドはサビのシンガロングがライヴだとさぞ大合唱であろうこれまた定番曲。ゲイリー・グリッターはシャッフルではなくロカビリー調なのだけど、軽快にスウィングせずにドタバタしたノリになるのがこの人の味。そしてT.Rexはたしかマーク・ボランの生前にはリリースされなかった曲。「T.Rex'mas」というフレーズも決まった楽しい曲です。

●タバタミツル(ZENI GEVA, ACID MOTHERS TEMPLE, LENINGRAD BLUES MACHINE、e.t.c...)

Caetano Veloso - In The Hot Sun Of A Christmas Day
実は今週の17日〆切りで「きよしこの夜」をソロで録音し、とあるポルトガルのネット・レーベルに送らなアカンのですが、まだ一音も録音していません! パニックなう! ホンマやったらそれを推したいところですが、まだ存在していないものを推す訳にはいきません(笑)。というワケで、「私の好きなクリスマス・ソング」はこれです。ブラジルは南半球で季節が逆ですから、こういうタイトルになったのでしょうね。ロンドン亡命中のアルバムの曲なので、望郷の念もあるのかもしれません。嗚呼、一度でいいから真夏のクリスマスを体験してみたい。サンタの格好でサーフィンしてやる。

●五十嵐慎太郎

James Brown - Funky Christmas(Album)
ワムや山下達郎等は今でも聞きますが、偉大なSOUL of GODの命日でもあるので上記のアルバムを選ばせてもらいました!

●鎌倉慎治

スチャダラパー - Santaful World
クリスマスと聞いて思い出すのはこの曲くらいです。この時期にちょっと聞きたくなって家の棚を探すけど、なかなか見つからないのが恒例で、持ってなかったということに毎年気づかされるのです。

●ひろぽん(某レーベル)

Mariah Carey - All I want for Christmas is You
「Last Christmas」と迷いました。直観的には大嫌いな類の音楽のはずなのに、実際にこの曲を聴くと年の瀬の実感が湧き、師走の中にも幼少のクリスマスの良き思い出と共に平穏と幸福感がナゼか訪れる。

●三田 格

レジデンツ - ダンボ、ザ・クラウン(フー・ラヴド・クリスマス)
これは初めて聴いた時から耳に入り込んで心臓に達してしまいました。レジデンツは「サンタ・ドッグ」を何回もレコーディングし直してるし、何かこだわりがあるとしか思えませんなー。「戦場のメリークリスマス」やシュガーキューブス「バースデイ(クリスマス・リミックス)」も好きですけど。

●西岡由美子(Americo)

飯島愛 - あの娘はハデ好き
聴くたびに泣いてしまう曲です。歌詞はご本人のペンによるもの。この曲が収録されたアルバム『なんてったって飯島愛』はクリスマスをテーマにしたファーストにしてラストアルバム。モータウン歌謡、ボッサ歌謡、モノローグ...愛さんの臆病さと果敢さが入り混じったヴォーカルがかっこいいです。

[[SplitPage]]

●world's end girlfriend (Virgin Babylon Records)

Bing Crosby & David Bowie - Peace on Earth / Little Drummer Boy
1977年、テレビのクリスマス特番でBing Crosby とDavid Bowieが共演し、あまりの評判の良さにシングル化されたもの。唯一無二の声を持つ二人の唄が絡み合う瞬間、互いの個性が打ち消し合うことなく奇跡的に共鳴し神聖な空気に充ちる。

●DJ YOGURT(UPSET REC)

Keith Richards - Run Rudolph Run
Chuck Berryのオリジナルよりキースのカバーの方が好き。PoguesのFairytale Of New Yorkとどちらを挙げるか迷ったけど、Poguesの方は誰かが挙げると思ったし、2011年はキースの読み応えたっぷりの自伝「LIFE」も出たことだし、でキースの78年リリースシングル曲をチョイス。マライアキャリー等が歌っているような典型的なXmas Songに漂う華やかさは嫌いじゃないけど、自宅でPoguesとKeith以外のXmas Songのレコードを聴くことはほとんど無いかも......

●太田真司(Hostess)

R.E.M. - Christmas Griping
今年、惜しまれつつも解散してしまったR.E.M.。僕の青春のバンドです......。実は毎年ファン・クラブ会員向けにクリスマスに彼らのお気に入りのクリスマス・ソングをプレゼントしていたのですが、1991年に初めてオリジナルのクリスマス・ソングを発表したのがこれ。ファンになった当初は、聴く術も無かったのですが、今では進みまくったNET文化のおかげで、過去の貴重な音源を聴くことも簡単に。『Out Of Time』と『Automatic For The People』のリリースの間の、超人気絶頂期だった当時のR.E.M.。そんな彼らが、メンバーの家族やマネージャーも参加させて、かなりリラックスして作りつつも、歌詞は彼ららしい皮肉の効いた楽曲です。
曲はこれ↓ 

●三船宏志(恵比寿リキッドルーム)

TICA - WONDERFUL CHRISTMAS TIME
JINTANA & EMERALDS - Last Christmas

ともに良いカヴァーです。

●シュンタロウ

Big Star - Jesus Christ
ギターフレーズが降らせる雪の中で、アレックス・チルトンが消え入りそうな声で「Jesus Christ was born today.」と歌う。たまんねーっす。アメリカの田舎でひっそりと過ごすクリスマスって感じです。

戸張大輔 - 無題6(ドラム)
日本の感受性豊かなニートのクリスマスです。大学生受けが良さそうです。

The Flaming Lips - Christmas at the Zoo
頭のおかしい奴の最高にハッピーなクリスマスっす。

●WHY SHEEP
「以下、ホワイ・シープの"クリスマス・ソング講座"」

David Sylvian & Ryuichi Sakamoto - Forbidden Colours

つまり「戦メリ」なんだけど、原曲もいいがやっぱりこっちのほうがいい。David Sylvianと教授は本当に良い組み合わせだと思う。この曲は真の意味でのコラボで上に乗せた歌の旋律は全部David Sylvianが作ってるわけで、この単純なコード進行の上にこれだけ豊穣な旋律を乗せていることを聴き取って。

The Three Wise Men (Aka XTC) - Thanks For Christmas

XTCってアンディー・パートリッジのことばっかり語られるけど言ってみれば彼はbeatlesにおけるジョン・レノンであって、旋律を作る才能はコリン・モールディングのほうが格段に上。つまりマッカートニー。

Band Aid - Do They Know Its Christmas
これによって「音楽って本当に世界を変えられるかも?」と思わせてくれた。今となっては音楽やってるどうかもわからない人も参加してるけど。ハイライトはBonoとStingのかけあいでしょうやっぱり。まだ覚えてるけど高校生のときに発売日に茅ヶ崎のレコード屋に開店前かけつけて買った。ちなみに12 inchにのみ収録されたいたExtend Mixは参加アーティストのインタヴューが収録されていて、参加してもいないのにDavid BowieとPaul McCartneyのコメントが入っていた。あいつら大御所すぎて当時は斜陽だったBob Geldofなんか相手にしてなかったんだろうな。後で後悔したことだろう。Bowieは天才に間違いないが偽善者だと思う。参加してないくせにあのコメントはない。

David Bowie - When The Wind Bolws
原爆アニメ映画「風が吹くとき」のタイトルトラック。どうしてクリスマス・ソングとして扱われているかというと、映画の原爆が爆発した日がクリスマスだから。プロデュースはピンク・フロイトのロジャー・ウォーターズ。クラシカルな曲調に声帯ブルブルのBowieのテノールがよく合ってる。311以降1ヵ月はずっとこの曲を聴いてました。映画もお勧め。自分と同じ庶民というのはどれだけ情報統制下にあるのかということを思い知らされる。

David Bowie and Bing Crosby - Little Drummer Boy - Peace On Earth
当時イケイケだったBowieが大御所Bingに対等に挑んでるところはすごいと思う。もともとテレビの企画でやったもので、寸劇の中でやったものが素晴らしい出来なのでレコードになったもの。フル・ヴァージョンはそのドラマセリフもついてます。近所に住んでるBowieがピアノの音が聞こえたというのでBingの家をいきなり訪問したという設定。会話も洒落てます。

John Lennon - Happy Christmas
たぶんこれが20世紀に作られたクリスマス・ソングではナンバーワンなんだろうな。早くこの詩が歌ってるような世界になりますように。それ以上は、この曲については語ることがないというより語りたくない。

Chris Rea - Driving Home For Christmas
名曲とまでは言えないけど、いいよねこういうホームランを狙わない謙虚さ。クリスマス休暇に合わせて家に車を飛ばす中年男の気持ちを歌ってる曲。PVもそれに合わせて作ってた。彼の中ではOn The Beachの次にヒットした曲じゃないかな。

Billy Joel - Nobody Knows But Me
彼の作ったたぶん唯一のクリスマス・ソング。クリスマスに関することは曲中一切言ってないけど。後もう1曲、「She's Right On Time」ってのがあるんだけどこっちはそこそこ。、『n Harmony 2』Iというクリスマス企画盤にのみ収録された曲です。レコードでしか出てないはず。持ってることが自慢。なぜいいかって? billyだから。

The Pogues - Fairytale Of New York
これもタイトルにはクリスマスはないけど詩の内容でクリスマスの情景とわかります。男声女声のかけあいがいい。Irishな感じもいい。

Paul McCartney - Wonderful Christmas Time
ジョン入れたらこれ入れないわけにはいかないよ。名曲であることは間違いない。ジョンと対照的に何の思想もないところがPaulらしくてかえっていいのかも。

Paul McCartney - All Stand Together
これもPaulらしさ全開。名曲とまでは言えないが、全編、オーケストラと動物の鳴き声だけというのはすごい!

The Beatles - Christmas Record (1963-1969)
Beatlesって公式のクリスマス・ソングはないと思うのだけど、これはBeatlesがファンクラブの為に毎年出していた限定レコード。曲というよりコント劇なんだけど、1968のヴァージョンの冒頭は「Christmas Time Is Here Again」という、「All Together Now」に似た曲を披露してます。どの年のか忘れたが皆でべろべろに酔っぱらって「Yesterday」のパロディーやってるのがハイライト!!!

佐野元春 - 聖なる夜に口笛吹いて-Christmas Time in Blue
佐野さん入れないわけにいかないでしょう。やはり元代理店だけあって、マーケッティングを考えすぎてるところは今考えると残念だけど曲は良い曲です。ジョン・レノンへのオマージュです。

山下達郎 - Christmas Eve
なんだかんだ言って、日本人の作った最高のクリスマス・ソングはこれだと思う。途中のコーラルのパートがなかったら違うかもだけど。そういう意味では日本人版のボヘミアン・ラプソディーだ。つまり誰にもカバーできないってこと。

ぷっちモニ - ぴったりしたいX'mas
つんく♂を侮ることなかれ。冒頭の「素敵な人出会いますように!」が「サンタが街にやってくる」の引用であることにどれだけの人が気づいただろう?そしてキャンディーズへのオマージュ。感動はしないが良くできた曲。モー娘はAKB48よりずっとおもしろかった。

ここからはスタンダード・トラック
Wynton Marsalis - O Come All Ye Faithful 神の御子は今宵しも
Wyntonはトランぺッターですが、これはピアノだけ。スタンダードだけど、この曲の一番好きなヴァージョン。一人でイヴを過ごす人はこれを聴いてください。

Little Drummer Boy - Silent Night
Auld Lang Syne /Jimi Hendrix-Silent Night
腐っても鯛。ラリっててもジミヘン!素面で弾いてるわきゃない!!!

Lauryn Hill - Little Drummer Boy
スタンダードのクリスマスソングを自己流に解釈しているという点においてこの曲はいままでで最高でした。時代は過ぎても色あせないアレンジ。そして歌唱法。

Stevie Wonder - Ave Maria (Someday At Christmas)
これは自己流の解釈というよりアフロ・アメリカンにどうしてもなってしまうんだろうけど、シューベルトが聴いたらどう思うんだろうか。僕は子供の頃から聞かされすぎて意味はまったくわからないのにラテン語でソラで歌えますが、スティーヴィーのこれを聴いたときはぶっ飛んだ。素直に負けを認めるしかない?

Eagles - Please Come Home For Christmas
これも名曲。ずっとEaglesのオリジナルと思ってたら違うらしいんだけど、ほとんどオリジナルみたいになっていて、再結成コンサートでイントロが流れた途端オーディエンスが狂喜していた。アメリカ大陸に渡ったクリスマス。切ない曲です。

Why Sheep? / Somewhere At Chrismas
最後に持説を。クリスマス・ソングというのは一人のアーティストが一生に一回だけ作っていいものなんだ。本当に優れたアーティストは2回ぐらいまではやっていいけど。つまりそれだけ満を持して、渾身の一作を作らないといけない。手前味噌でなんですが...自分がいままで作ったメロディーの中でもっとも美しいメロディーだったのでクリスマスソングにしました。Why Sheep?ならではのWorld Musicの果てにあるクリスマス・ソング。レヴィ=ストロースに捧ぐ。次のアルバムの収録予定だけど、クリスマスだけこれを読んでくれた人に限定公開します。
https://soundcloud.com/why-sheep/somewhere-at-christmas/s-r8jFf

(補足)
大切なことを言うのを忘れてました。
いいかい。君がもし敬虔なクリスチャンじゃなくて、恋人もいなくて、家族からも離れてて、クリスマスもイヴも一人っきりですごさなきゃいけないと しても、だからってファック・オフ・クリスマス! なんて思わないでほしいんだ。たとえば日本のバレンタイン・デーが製菓メーカーが都合よくでっちあげた イベントだって話がある。なるほどそうかもしれない。だけどそれがどうだっていうのさ? 便乗して金儲けしたいやつらには今のところはさせておけばいい。
日本のバレンタイン・デーは日本人みたいなシャイな連中がきっかけつけて愛を告白できる日じゃない。クリスマスも同じことなんだ。しかもクリスマ スは恋人限定じゃない! クリスチャンかどうかなんてことは関係ない。ジョンだって誰にも当てはまるように歌ってるじゃない。人間だから、どんなにがん ばっても許せない人がいてもおかしくない。それが人間ってもんだ。
だけど、1年のうち1日だけは全部許す日があってもいいじゃない。次の日からまた憎らしくなるとしてもきっと以前よりなにかが少し変わってるはずなんだ。

●Anchorsong

モグワイ - クリスマス・ステップス" (from "Come On Die Young")
クリスマスの華やかさと一切無縁の男臭さがいいかなと。

●YODA (HORIZON / SLYE RECORDS)

The Kinks - Father Christmas
クリスマスソングといえばパンクの嵐が吹き荒れてた1977年リリースのこの曲、もうすっかり大人になってしまったレイ・デイヴィスが若者にむけたクリスマス・ソング。でもちょっとひねってあるところがキンクスです。この曲はシングルのみの発売でB面のタイトルは『Prince Of The Punks』。

Furyo - Kayashi
そして1998年以降からずーっと12月1日から12月24日までの間でDJがある時にかけているのがこの曲。今はなきAdditiveというレーベルから、多分ドイツの人による戦メリのカバーです。Furyoというアーティスト名もKayashiという曲名もまったく意味不明だったのですが、調べたら映画『戦場のメリークリスマス』の英語タイトルがFuryoでした、これは俘虜ってことですね。なるほど。

●鷲巣功(静岡ロックンロール組合/首都圏河内音頭推進協議会議長/高校の先輩)

 お前、なに今頃こんなことやってんだ。こういうのは10月校了、11月中の発売だぞ。その昔、バッドニューズから「ベスト100クリスマス・レコード」というのを出した事があった。内容はかなり自信があったけど、出来上がったのが12月20日頃で、当然売れなかった。売る期間がなかったのである。FMディレクター時代にも「わたしのトップ・テン」という番組でクリスマス盤の特集を企画した。パイド・パイパー・ハウスの紹介で杉本ユキコという人に来てもらって、奇盤、珍盤ほかを紹介した。確か一位が大瀧詠一の「クリスマス音頭」だったはず。この時、彼女に一緒についてきたのがまだ世に出る前の湯浅学だったと記憶している。
 さて、わたしのはチップマンクス クリスマス・チップマンクス(東芝EMI TOCP-67281)だ。クリスマス物はノヴェルティ・レコード収集の第一段階だ。いろいろと思い出深い物がたくさんあるが、今日はこれにしておこう。この時期になると、シャイ・ライツの「ハヴ・ユーン・シーン・ハー」と「北風の中で」を聞きたくなる、という現象もなぜか起こる。さあ、もう2012年だ。

●二木 信

井上陽水 - お願いはひとつ
「ジキル、ハイドまでがクリスマスプレゼントを買う/野外音楽場の外で/子供達の歌う賛美歌にも賛美されない」 こんなシュールな歌詞を意味もわからず歌いまくってた小学生の頃から、クリスマスになると、この曲が頭の中をループしてウキウキします。この曲が入ってる『LION&PELICAN』は音も歌詞もかなりユニーク。宮沢賢治を皮肉る「ワカンナイ」も面白いし、沢田研二のために作った「背中まで45分」のセルフ・カヴァーなんて極上のアンビエント。カラオケ行きたくなってきた~。

[[SplitPage]]

●ママケーキ(静岡県)

K Foundation - K Cera Cera (War Is Over If You Want It)
エレキングと言えばKLFでしょう!イスラエルのレーベルからシングルが出てて中身はマッシュアップの合唱という謎盤。youtubeでしか聞いたことない

Captain Sensible - One Christmas Catalogue
ニューウェーブの可愛らしいクリスマスソングだけどビデオ見たら意味深だった。ポーグスももちろん好きですが。一昨年くらいにバンプオブ某というバンドが丸パクリしててその元曲とかけ離れたキレイ事っぷりに心底腹が立ちました。

●Photodisco

Darlene Love - All Alone On Christmas
映画『ホーム・アローン2』挿入曲。子供の頃、映画『ホーム・アローン2』を観て知り、毎年この季節になると聴いているクリスマス・ソングです。バブルが愛おしいです。

●田鹿 健太( リトルテンポ、GOMA & The Jungle Rhythm Section )

Omara Portuondo & Chucho Valdes"OMARA & CHUCHO"
今年10月、僕が18年間お供しているラテン歌手、よしろう広石の歌手生活55周年記念コンサートがあった。その時のスペシャルゲストが、ブエナビスタソシアルクラブのディーバ、オマーラポルトゥオンド。この日のためにキューバから駆けつけてくれた。
僕は幸運にも、彼女とは三度目の共演。いつも自由かつグルーヴィ。とてつもなくおおらかでありながら、オチャメで乙女な彼女にいつも感動させられる。この日も、ステージを観たみんなを虜にしたに違いない。
そんな彼女の歌が堪能できる、僕が一番好きなアルバムがこれ。イラケレのリーダー、チューチョのピアノと二人きりで録音されたこの作品。喜び、怒り、哀しみ、出逢い、別れ......。彼女の生きざまがのりうつったかの様な歌を、ぜひ聴いてください!

●松村正人

Roland Kirk - Christmas Song
 このメル・トーメのカヴァー曲は晩年期だけあって、往年のこってりした感じと較べると精彩を欠くが、カークらしい茶目っ気は健在である。二歳で 盲目になって、この二年前に脳溢血よる半身不随から復活した。私はこの時期どうしてもローランド・カークを聴きたくなるのは、その生命力に鼓舞され、たん に黒人音楽としかいいようのない昂揚感が南国うまれには寒すぎる冬をあたたかくするからかも。カークはどれもクリスマスにぴったりだと思うんですけど ねー。

●加藤綾一

GOING STEADY - 銀河鉄道の夜
彼らにとってのクリスマス・ソングと言えば、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』的な敗者のロマンティシズムがむせ返るほど充満している「惑星基地ベオ ウルフ」がそれに当たりますが、でも今回はこちらをセレクト。銀杏BOYZのスロウなヴァージョンも、続編となる「第二章~ジョバンニに伝えよここにいる よと」もすごくいいんですけれども、GOING STEADY時代のこちらのヴァージョンは、コーラス部分で松任谷由実の「守ってあげたい」のメロディをモロになぞっていて、ぐっときます。特にクリスマ スについて歌っているわけではありませんが、間奏のギター・ソロはかのバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」からの引用だったりしますし、(僕はクリスチャ ンという訳ではないですけれども)便乗して、この曲を聴きながら誰かに想いを馳せるというのも悪くないんじゃないかなと思います。あとは仕事帰りに売れ残 りのケーキとビールでも買えれば御の字です。

●沢井陽子

The Music Tapes Covered Louis Armstrong - Is Zat You Santa Claus」
Natalia paruz - HARK! An angel sings
John zorn -ツ黴€ Dreamers Christmas

クリスマスソングは、このあいだのミュージック・テープスのキャロリングで、最後にプレイしていた、面白いサンタ・ソングがあり、それが好きだっ たので、曲名を聞くと、「Is Zat You Santa Claus?」。ルイ・アームストロングのバージョンに影響を受けたらしい。
アメリカにいると、日本ではあまり知らない、本場(?)のクリスマス・ソングがたくさん聞けて楽しい。先日、アザーミュージックというレコード店 に行って、店員に「クリスマス・ソングでオススメある?」と訊いたら、うーん、としばらく考えた後、「シンギングソウでクリスマス・ソングをプレイしてい る素敵なアルバムがあるよ」と言われたので、「もしかしてこのあいだ見た、ミュージック・テープス?」と期待したら、ナタリア・パルズという女の人だっ た。「このクリスマスアルバムは、ほとんどが誰でも知ってるクリスマス・ソングをカバーしている、僕が好きなのは1、2、3番目と......彼女はすごいよ」と 熱っぽく説明してくれた。
今年出たクリスマス関連リリースは、アザーミュージックではジョン・ゾーンの7インチしか見つからなかった。定番だしもうネタがないのかな......。クリスマスだからって、クリスマス・アルバムを出す時代が終わったのかな。

●YYOKKE / ODA / NITES / TSKKA (CUZ ME PAIN)

Nite Jewel - All I Want For Christmas Is You
NITE JEWEL、まさかのマライアをカバー。2010年の暮れには誰もが予想してなかったと思われるこのギャップ感は心踊ります。7インチのみ収録というところが特別感があって更に良いですね。

●NHK'KOYXEN (SKAM/RASTER-NOTON/PAN)

Martin Neukom - Studie 18.9 - (Domizil 2007/2008)
好きなクリスマスソングとか、わからなかったですが......。

●木津 毅

The Flaming Lips - White Christmas
以前年下の女の子に「何歳までサンタクロースを信じてました?」と聞かれたとき、「いまでも信じてるよ!」と元気良く答えたら「ああー」と気の毒そうな顔をされたことがありますが、恰幅のいいヒゲのおじさんが愛を届けにやって来る......と信じたいのは本当です。
そういうわけでクリスマスに(サンタに)オブセッションがある僕は大抵のクリスマス・ソングは好きなのですが、それはザ・フレーミング・リップスの影響かもしれません。彼らほどクリスマスを繰り返しモチーフにしているバンドもいないと思うのですが、それは「サンタクロースを信じる心」と彼らのサイケデリアの哲学がよく似ているからでしょう。彼らならではの頭のネジが数本吹っ飛んだような"ホワイト・クリスマス"はライヴでよく披露されますが、ヘロヘロで感傷的で優しく、あまりにドリーミーで泣きたくなります。フロントマンのウェイン・コインが中心に作った自主制作映画『クリスマス・オン・マーズ』もすごくて、前半はほとんど悪夢のようなバッド・トリップのイメージの連続。でも、そこにこそサンタクロースはやって来るんです! エイリアンですが。
今年も僕はサンタクロースを待つことにします。良いクリスマスを!

●宍戸麻美(Qetic)

戸川純 - 降誕節(84年Yenレーベルコンピ「We Wish You A Merry Christmas」より)
クリスマス・ソングというテーマに意外と苦戦......ということでカバーーソングで考えてみました。正直、John Zorn クリスマスコンピにあるマイク・パットンが唄う"The Christmas Song"と迷ったのですが、やはりここは女性脳で考えて戸川純さんの"降誕節"かなと! クリスマス賛美歌の"荒野の果てに"をカバーしているのですが、イノセントワールド全開な戸川さんの少女声(ボーカル)と途中にはいってくる打ち込みのリズムが単なる賛美歌カバーとは思えない。病みつきになる1曲です!

●金沢俊吾

Vaughn Monroe - Let it snow
ロマンチックで甘く切ないクリスマスのイメージが築かれるのに、クリスマスソングは大きな役割を果たして来た。その中でも、元祖のひとつであり数多くのヴァージョンが存在する"Let it snow"だが、リリックに直接「クリスマス」といったワードは出てくることはない。描かれているのは、雪の降る夜に暖炉を挟んだ男女の甘い駆け引き、それのみだ。
だが、これは僕に取ってクリスマスソング以外の何ものでもない。なぜなら、そのメロディとブラス、そして軽やかと物鬱げの境界線に立ったボーカルが、「ロマンチックで、甘く切ない」クリスマスのイメージを、そっくりそのまま映しているからだ。映画『ダイ・ハード』でパーティーのシーンにこの曲が使われるのも、季節がクリスマスなのだと誰もが一瞬で感じ取ることが出来るからに他ならない。「クリスマス」というリリックや、ベルサウンドなんか無くても、この曲はどんなクリスマスソングよりも強く、僕の脳内にクリスマスのイメージを流し込んでくる。

●野中モモ(Lilmag)

Sparks - Thank God It's Not Christmas
Pet Shop Boys - It doesn't often snow at Christmas


「ポピュラーな日、ポピュラーなやりかた
それは選ばれし者のためのもの
僕や君のためじゃない あきらかにね」(Thank God It's Not Christmas)
35年以上前の曲ですが現在も古びずロマンティックですね!

「クリスマスのメッセージなんてとっくの昔に消え去った
いまじゃショッピングと何がいくらするかの話ばかり
善意もあるけど作り物のお楽しみ、
クリスマス・ナンバーワンがどの曲か
クリスマスに雪なんて滅多に降りゃしない
本来そうあるべきなのに
でも僕はクリスマスに胸が熱くなるのさ
だって君といっしょだから」(It doesn't often snow at Christmas)
イギリスではクリスマスの週のヒット・チャートが、言ってみれば日本における紅白歌合戦のように大きな注目を集めます。賭けの対象になったりして。2000年代半ばからテレビのオーディション番組の優勝者がクリスマス・ナンバーワンを攫う年が続きました。これを阻止すべくレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがSNSを利用したキャンペーンを張り、2009年に見事"Killing in the Name"をナンバーワンに送り込んだのを記憶しているかたもいらっしゃるのでは。あの年、ペット・ショップ・ボーイズもクリスマスEPをリリースしていたのでした。失われたクリスマスの意義、失われたブリティッシュ・ポップの輝き、でもほらこうして生きているじゃない。残念ながら40位という結果に終わってしまいましたが、俗で安っぽくて貴くて私は大好きです。

●橋元優歩

ベンジャミン・ブリテン作曲『キャロルの祭典』より"ゼア・イズ・ノー・ローズ(There is no rose)"

名演をユーチューブで見つけることができませんでしたが、この曲については少年少女による演奏が好ましいというのが私見です。声変わりする前に歌いたかったクリスマス・ソング。けれどTranseamus/Alleluia/Resmiranda/Pares forma/Gaudeamus/Transeamusというラストのくだりなどは、もし今やるならジェイムス・ブレイク以上に似つかわしいアーティストはいないでしょう! ぜひこの曲にビートを入れてほしいです。

●渡辺健吾

鈴木さえ子 - I Wish It Could Be Christmas Everyday
キリストより1日早く生まれたけど、まぁガキの頃からそのおかげでクリスマスなんてめんどくせぇ! とかしか思えなかった。だから、クリスマス・ソングなんてものも、煩いだけであった。唯一好きで繰り返し聴いたのは、鈴木さえ子のデビュー盤『毎日がクリスマスだったら...』(83)のタイトル曲、「I Wish It Could Be Christmas Everyday」。デビュー当時の鈴木さえ子は素人っぽいキュートな声と宝石箱のなかで遊んでるようなキラキラしたサウンド(当時の夫、鈴木慶一との共作)の融合がとってもフレッシュでファンタスティックだった。アルバム全体を通して偏執的な凝った音作りとポップさのバランスがすばらしいんだけど、少し強迫的なリズムで次々表情変えながらもリリカルさを失わないこの曲は、特にサイコーなんである。去年のクリスマスに、ご本人が「クリスマスの日には世界の戦争も休止するのです。私なりの反戦歌なのです」とツイッターでつぶやいていて、かつて子供なりにこの不思議な歌詞の世界には何が隠されてるんだろうなんて思ってたわけだけど、そういう背景だったのかとかなりびっくり。同時に、リリースからこんなに時間がたってるのに、アーティスト本人からこんな裏話を聞けるなんてインターネットすげぇ! なんて無邪気に喜んでしまいました。

●SUMMIT

山下達郎 - クリスマス・イブ
メロディが好きですね。
色々考えましたがこれが一番です。

●Lil MERCY (PAYBACK BOYS / Los Primos)

CRACKS BROTHERS - BAD SANTA (cracks christmas)
今年の冬はこの曲をもらってから、ずっと聴いてました。あとは知らないってこと。CRACKS "MF" メリークリスマス SHIT。

●安孫子真哉(銀杏BOYZ)
 
浜田雅功と槇原敬之 - チキンライス
しんしんと雪が降り積もる東北のクリスマス。古い木造の一軒家。
不似合いなクリスマスケーキに照り焼きチキン。ブラウン管からドリフ大爆笑。
家族と静かに過ごす。サンタさんに欲しいおもちゃなんか書いた手紙に十円玉をのせて布団に入る。
翌朝、目が覚めるとそこにはおもちゃは無く、赤と白の靴下の形をした箱にお菓子が入ってる。
子供の頃のクリスマスは大体いつもそんな感じ。
相変わらず大人になってもクリスマスは出来るだけ街の喧騒には入らず家で静かに過ごしたい。
そんな時頭の中でふと再生されるBGM。

●チン中村(銀杏BOYZ)
 
the ピーズ - クリスマス
最初に浮かんだのがこの曲でした。
「終電 線路にヒトが落ちる」からはじまるこの曲が僕にとっては
東京のクリスマスにしっくりきます。
なんかギリギリで、やさしいです。

●ハヤカワ(KIRIHITO、高品格、Jajouka)

ARB - ブラッククリスマス
高円寺のレンタルビデオ屋で"さらば相棒"借りて観ようかな...。

●DJ END(B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz)
 
RSD - SNOWMAN
クリスマス・ソングを意識する粋な習慣は全くなく悩んだあげく、Bass的にコレを(ソングじゃなくてすいません)。昨年冬にRSD師がおすそ分けしてくれたクリスマス・スペシャル・ダブ! 今年はプレイ出来そうにないですが、いつかこんなトラックをカッコよくプレイしてみたいもんです。

●山田蓉子
 
Zooey Deschanel and Leon Redbone - Baby It's Cold Outside
大好きなおバカ・クリスマス・ムービー「エルフ-サンタの国からやってきた」の中でズーイー・デシャネルがシャワー・ルームで歌っているところに、歌につられて侵入してきたウィル・フェレルが歌をかぶせてきてズーイーちゃんに「出て行けスケベ!」と怒られるシーンで使われてました。ウィル・フェレル作品にしては心温まるヌルいラストは別にして、なかなか笑えるし、ズーイーはかわいいし、「サウンド・オブ・ミュージック」と対極をなす私のお気に入りのクリスマス・ムービーです。サントラではレオン・レッドボーンとの渋さ倍増デュエットで収録されてます。

●Alex from Tokyo (Tokyo Black Star, NYC)
 
Coati Mundi - No more X'mas blues (Rong music)
NYCの伝説バンドKid Creole and the CoconutsのCoati Mundiによる「今年こそはサンタを捕まえていいX'masを迎えるぞう!」的なお笑いクリスマス・ディスコ・ソングです!  2009年のX'masにリリースされてから毎年プレイしている大好きなヒューモラスなパーティX'mas ディスコです。

●Eccy(Slye Records / Milk It)

Jun Kawabata - Equinox
友達が5年前くらいにユニオンでなんとなく買ったこのCD、アーティストの情報も全く分からないし、音も激悪いんですが、個人的な思い出がつまってる曲です。

●YOHEY

Mark Mothersbaugh - Joyeux Mutato
毎年必ず聴いている1枚です。大好きなクリスマス・ソングは他にもたくさんありますが、音色に関してはこのアルバムが一番理想のクリスマス!

New Years Eve Party - ele-king

 年末年始といえばパーティ。都内のいろんな会場では気合いのはいりまくったイヴェントがあるようです。みなさんは2012年をどこで迎えますか? ハシゴする強者もいますよね。リキッドルーム→恵比寿ガーデンホール→明治神宮で初詣というタフな年末年始は若さの特権ですよ。ぜひ、挑戦しましょう。
 以下、恵比寿リキッドルーム、リキッドロフト、そして恵比寿ガーデンホールの年末年始パーティを紹介します。ほかにも渋谷のヴィジョンではデリック・メイ+ジェフ・ミルズなんていう贅沢なパーティもあります。
 迷う必要はありません。自分がいまもっとも好きな音楽が聴けそうな場所に行くべきです。それが最高の年明けです。


■liquidroom presents 2012LIQUID

 東京のカウントダウン・パーティは数あれど、ここまで徹底的に日常から遠く離れたところまで続いて行くパーティはない。そう断言してしまおう。これはカウントダウンにかこつけて開催される"ショーケース・コンサート"ではない。100%混じりっけなしの、1年で特別な日を遊び尽くすための"パーティ"だ。
 大晦日の夜から、その年の初めての太陽が完全にその姿を消す頃までテクノの重いキックがリキッドルームのメインフロアには降り下ろされ続ける。巨大モニターには、宇川直宏をはじめとするVJたちによる映像がスパイスのように明滅する。カウントダウンは前後はもちろん、その年はじめての太陽がしっかりと顔を出す時間になっても、他のダンスフロアを閉め出された遊び足らない人々、もしくはこれから参戦する人々が、初詣へ行く人々をすり抜けてゾンビのように集まってくる。気合いの入ったパーティ・ピープルたちは自分の限界を試すかのように終着地として遊び続ける。試しに通常のパーティが終わるぐらいの明け方に家に帰り、少々の睡眠を取って午後にもう一度来てみるとイイ。おそらく、まだまだパーティは終わることなど微塵も感じさせずに続いているはずだ。もう、新年を祝うのか、どこでなにをしているのかよくわからない、そこまでくると、年をまたいだ狂乱のカウントダウンもはるか昔のことのように思える。もはやそこに日常はない。フロアには、どん欲にその場を楽しもうとする膨大なエネルギーが渦巻いている。それを作り出すテクノのビート。そして2FのLIQUID LOFTでは、今年も宇川直宏のdommuneが仕切る、東京のクラブ・シーンのオールスターたちのプレイも聴くことできるはずだ。もう、どうしようもない。クレイジーにも程がある。
 ほぼまる1日にわたる祝祭のメインフロアを司るのは、石野卓球、田中フミヤ、DJ NOBUのたった3人。さまざまな豪華ゲストが1時間前後で入れ替わり出演するカウントダウン・パーティが主流のなかで、ロングプレイを中心とするこのスタイルは、昨年からDJ NOBUが加わった以外は、新宿歌舞伎町時代の後半から10年以上も続けられている。彼らのプレイは1ヶ月か2ヶ月、東京で過ごせばいつでも聴けるDJたちだ。しかし、ひとびとその場所で鳴らされる彼らのDJを求めて集まってくる。それだけこのパーティは特別で、ある意味で儀式めいた魅力を放っているとも言える。そこに行けば、毎年のように、なぜここまで人を吸い寄せる、ここまでの狂った宴が繰り返されるのかわかるはずだ。(河村祐介)

featuring Artists
Takkyu Ishino
Fumiya Tanaka
DJ NOBU (FUTURE TERROR)

VJ:
DOMMUNE VIDEO SYNDICATE
[宇川直宏+KRAK+DVIDEGIRLS+AKIYOSHI MISHIMA+HEART BOMB]

■LIQUID LOFT x DOMMUNE presents
「HOUSE OF LIQUIDOMMUNE 2012!!!!!!!20HOURS!!!!!!!」
C:O:U:N:T:D:O:W:N & C:O:U:N:T:U:P Special !!!!!!!!!!!!
(※配信はありません)

featuring Artists:
MOODMAN (GODFATHER)
砂原良徳
DJ WADA (Co-Fusion)
NORI (GALLERY)
川辺ヒロシ (TOKYO No.1 SOUL SET)
DJ TASAKA
A.Mochi (Figure)
瀧見憲司 (CRUE-L)
KURUSU (FUTURE TERROR)
HARUKA (FUTURE TERROR)
DJ YAZI (THINKTANK)
TWIN PEAKS
KURI (BLACKFOREST)
RYOSUKE
KABUTO
Shhhhh (NRBKJ / SUNHOUSE)
KEIHIN (ALMADELLA)
COS/MES
根本敬
agraph[※LIVE]
LUVRAW & BTB[※LIVE]
サイプレス上野とロベルト吉野[※LIVE]

SOUND SYSTEM:
DOMMUNE天変地異ZOUNDSYSTEM!!!!!

HOST:
宇川直宏 & DOMMUNE Crew

2011.12.31 - 2012.1.1
at LIQUIDROOM
access→https://www.liquidroom.net/access/
open/start 21:00 *2F LIQUID LOFT start 23:00
door only 4,000yen *2012.1.1 AM5:00~→2,000yen!!

LIQUIDROOM 03-5464-0800
https://www.liquidroom.net/
https://www.liquidroom.net/schedule/liquidloft/
Twitter @LIQUIDROOM
DOMMUNE
https://www.dommune.com/
twitter @DOMMUNE


■ELECTRONIC TRIBE YEBISU NEW YEAR'S PARTY 2012
supported by MONSTER

fearuring
FRANCOIS K. (WAVE MUSIC/DEEP SPACE/USA)
DJ KENTARO (Ninja Tune/JPN)
Y.SUNAHARA (JPN)
RSD a.k.a. ROB SMITH (Smith & Mighty/UK)
ATAK Dance Hall (Keiichiro Shibuya + evala/JPN)
NICK THE RECORD (Life Force/UK)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill/JPN)
RIGHTEOUS (Yabe Tadashi & DJ Quietstorm/JPN)
aus (flau/JPN)
TOWA TEI (JPN)
VJ: SO IN THE CLOUD (JPN)、100LDK (JPN)、LIKI (JPN,HKG)

2011.12.31(Sat) - 2012.01.01(Sun) ALL NIGHT
OPEN 20:30 / START 21:00

YEBISU THE GARDEN HALL/ROOM
東京都目黒区三田1-13-2

¥5,800 (前売券)
¥7,000 (当日券)
¥26,500 (グループ券5枚組セット/枚数限定)※
¥48,000 (グループ券10枚組セット/枚数限定)※
※グループ券はclubberia Online Store限定取扱

https://www.electronic-tribe.com

Chart by Underground Gallery 2011.12.15 - ele-king

Shop Chart


1

TIMELINE

TIMELINE The Greystone Ballroom (UNDERGROUND RESISTANCE / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
JEFF MILLSとの奇跡の競演が話題となった初来日から7年、思えばあの時が、日本で「Hitech Jazz」が初めて演奏された瞬間でした。後のISFバンドの原型とでも言える演奏者としては最強の布陣であったオリジナルTIMELINE。発表された作品は1枚だけでしたが、所謂、「Hitech Jazz」縲怐uKnights Of Jaguar」の流れにある強く美しいものでした。その伝説のユニットが、再来日を前に、G2Gの主要若手メンバーで再構成され、新生TIMELINEとしてシングルを発表します。 G2Gのフロント・マン DeSEAN JONES (Sax)、同じくG2Gのメイン・キーボーディスト JOHN DIXONに、親分 MAD MIKEによるプロデュース作品は、一言で言うなら『ジャズ・テクノ』。「Hitech Jazz」とは違うのか?「Hitech Jazz」のコズミック感から、ストリートに降りてきた感じとでも申しましょうか、きっと今の20代前半のアーティストにはMAD MIKEの世代よりも、ジャズとテクノの融合は自然なものであって、いちいち"Hi-tech"などと言わずに、自然体でセッションしている、そんな感じの楽曲です。オススメは、抑えめのビートにフィルタリングが怪しげな空気感を作り、その中に忍び込んでくる生のサックスが印象的なA1。そして、JOHN DIXONのジャズ・キーボード・プレイが冴えるB-1。

2

MARK FLASH

MARK FLASH The King Of Light (UNDERGROUND RESISTANCE / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
まさかの台風で中止となった2011年の"メタモルフォーゼ"。そこでは、数々の伝説的なステージングが予定されていました。中でも、G2GとMOODYMANNの共演は、幻に終わりましたが、もうひとつ残念だったのは、G2Gの新曲がほとんど演奏されなかったこと。急遽、別のイベントとして渋谷"WWW"にて開催された公演では、会場や機材の都合から演奏リストの変更を余儀なくされたのです。その新曲の中から、MARK FLASHによるプロデュース作品がシングル・カットとなりました。まさにG2Gでの、バンド演奏で聴いてみたくなるようなA-1。ラテンのフレーバーを持ちながら、「Knights Of Jaguar」などのティストとは違ったストリングス・ワークが聴きごたえのあるB-1。そして、一番のオススメは、B-2。これは、まるで「Knights Of Jaguar」の続編かと思うようなドラマチックでロマンチックな展開の...あぁ、そうか...だから「KNIGHTS」の次で「THE KING」なのか?いや、とにかく、タイトルが如く「暗闇を切り裂く強い光が差し込んでくる」ような楽曲です。オススメ!

3

CANYONS

CANYONS See Blind Through (DJ HARVEY Remix) (Modular / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
ここ数年のDJ HARVEYの作品の中でも 最もフロアー・キラーなトラックではないでしょうか!? オーストラリアのエレクトロ/ディスコ系レーベル[Modular]新作は、[Dfa]や[On The Prowl]からリリースを残す、同地のデュオ CANYONSによる1枚。今回は、間もなくリリースが予定される 1stアルバム「Keep Your Dreams」からの「See Blind Through」が12インチ・カット!やはり注目せざるを得ないのは、B面に収録された DJ HARVEYリミックス!! ドープなマシンビート・グルーブを軸に、アシッディーなリフや、ダヴィーな処理が危険なヴォーカル、さらに ハメ系のヴォイス・ループ、サイレンなどのSEを交え サイケ & トリッピーに展開させていき、中盤過ぎからは、意表をつくようなブレイク・パートへと展開する、かなりトリッキーにぶっ飛んだキラーなリミックスを披露! コレ、ここ数年のDJ HARVEYのリミックスワークの中でも、一際ド肝を抜かされた、かつ、最もフロアー・キラーな仕上がりと言っても過言ではないのではないでしょうか!?本当にヤバイです

4

DREXCIYA

DREXCIYA Journey Of The Deep Sea Dweller I (Clone Classic Cuts /Cd) / »COMMENT GET MUSIC
今尚、世界中に大きな影響力を持ち、多くのフォロワーやコレクターが存 在するデトロイト・ディープ・サイドの象徴と言える伝説のエレクトロユニッ トDREXCIYAが、[UR]時代に発表した、超レア・トラックをコンパイルした究極のベスト・アルバムがリリース!1992年にJAMES STINSONとGERALD DONALDによって結成されSubmerge系列[Shock Wave]レーベルから「Deep Sea Dweller」でデビュー、その後は、[UR]を中心に、 [Somewhere In Detroit]、[Warp]、[Rephlex]といった名門レーベルから数多くの作品 をリリースし、APHEX TWINことRICHARD D.JAMESを筆頭に、世界中のDJやプロデューサーなど、特に音楽関係者から「デトロイト・ディープ・サイドの象徴」とまで、形容さ れるほどに、絶大なリスペクトを集めたエレクトロ・ユニットDREXCIYA。2002年にメンバーのJAMES STINSONが突然の心臓発作で他界し、その後は、デトロイトの伝説として語り継がれてきたDREXCIYAが、[UR]時代に残した数多くの名作群を、新たにコンパイルした究極のベスト・アルバムが今作。

5

SEAHAWKS

SEAHAWKS Invisible Sunrise (Ocean Moon / LP) / »COMMENT GET MUSIC
自身主宰[Captain Log]からの数タイトルで、一躍シーンの中心へと上り詰めた UKの新世代バレアリックデュオSEAHAWKS待望のセカンド・アルバムが完成! デビューアルバムで魅せたニュー・エイジ感溢れるアンビエンスたっぷりのシンセ・サウンド、先日リリースされたミニ・アルバムでの、スティールパンやパーカッションなどアコースティック色が強くなった、トロピカルなバレアリック・ディスコ、さらに今作では その二つのエッセンスにAOR的なムードも漂わせ、過去、現在、未来が交差させたノスタルジア・ワールドを披露。この、ありとあらゆる要素が凝縮され、それを巧く昇華される事に成功した、上質なチル・アウト・ミュージック、もはや他の追随を許さない、唯一無二なモノだといえるでしょう!ホント、素晴らしいの一言です!(e-z)

6

ARTTU FT JERRY THE CAT

ARTTU FT JERRY THE CAT Nuclear Funk (Clone Royal Oak / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
アナロジカルでLO-FIな、グルーヴィー・アフロ・チューン![Futuredub]、[Philpot]といったレーベルからリリースを重ねてきたLUMPことARTTUと、THEO PARRISHやMOODYMANNの作品への参加でお馴染みのデトロイトのパーカッショニストJERRY THE CATのコラボレーション! シカゴ・ハウスとも、ベルリン・テクノとも、またひと味違う、モノトーンなハウス・グルーヴに、JERRY THE CATによる、黒々したヴォイスとパーカッションでビルドアップするように展開するA面「Nuclear Funk」が、文句なしにオススメ!リズムの打ち込みも完璧!アシッド風味のB面「Get Up Off It」も、時折リバースする展開が懐かしく新鮮で◎

7

HARMONIOUS THELONIOUS

HARMONIOUS THELONIOUS Drums Of Steel Ep (Asafa / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
[Diskant]レーベルからの作品がDJ PETE(HARDWAX)などのプレイもあり、一部コアなファンの間でカルト・ヒットした、ANTONELLIやRHYTHM MAKER等々の名義で知られる才 人STEFAN SCHWANDERのソロ・プロジェクトHARMONIOUS THELONIOUSの新作12インチ! 怒涛のアフロ・ドラムが、4/4グルーヴと絡み合い、凄まじ渦を巻き上げる、強烈な一 枚!全曲ヤバイです...。入荷枚数が少ないので、気になる方がお早めに

8

MARVIN DASH

MARVIN DASH Workshop 14 (Workshop / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
ベルリンの"ロウ"ハウス・レーベル[Workshop]の新作はベテランMARVIN DASH! 本当にハズレの無い、素晴らしいリリースが続いているベルリンHARDWAXが送る、ロウ・ハウス・レーベル[Workshop]の新作は、LOWTECと共に、90年代から活動するベテラン、MARVIN DASHによる、アンダーグラウンド・ハウス集![Workshop]レーベルらしい、スモーキーでロウなグルーヴは、中毒性あります...

9

MAURICIO MAESTRO Feat NANA VASCONCELOS

MAURICIO MAESTRO Feat NANA VASCONCELOS Upside Down (Far Out / lp) / »COMMENT GET MUSIC
ブラジリアン・ミュージック、超優良レーベル[Far Out]新作は、同レーベルからもリリースされた JOYCEとの 76年作「Vision Of Down」という超名盤でも知られる MAURICIO MAESTROと NANA VASCONCELOSの最強コンビが、ヴォーカルに男性シンガー KAY LYRAを迎え、前述の「Vision Of Down」の続編とでもいうべき、暖かなブラジリアン・ソウル・ワールドを展開させた、最高に気持ちよすぎる1枚をドロップ!これからのブラジル音楽史において確実にその名を残し続けることになるであろう今作、ブラジリアン・ミュージックが好きな方には絶対に押さえておいてもらいたいです! 一家に1枚級の家宝モノ!

10

JON GORR

JON GORR It'S No Lie (Peoples Potential Unlimited / 12inch) / »COMMENT GET MUSIC
カルト & オブスキュアーなディスコ再発で話題を呼ぶ[PPU] 第32弾。今回は、80年代に活躍した ニューイングランド系レゲエバンド THE I-TONESのキーボード奏者 JON GORRが、83年にリリースしたソロ名作「It's No Lie」。なんとも言いようのない、フュージョンテイストな鍵盤と甘い歌声が印象的な ラヴァーズ風モダン・シンセ・ディスコなオリジナル Side-Aがまず最高過ぎる今作ですが、さらにカップリングには、原曲をいい感じに壊してくれた、心地の良い脱力感が◎な 極上ダブミックスを披露。毎度のことながら若干値段は高めではあるのですが、コレは絶対にその価値あります!! 原盤は絶対に出てくることないと思いますので、この機会に必ずゲットしておいて下さい。オススメ!!

Coldplay - ele-king

あの星たちを見てごらん
彼らが君のために輝く様子を
そして、君の行いすべてのために輝く様子を
そう、彼らはイエローなんだ "Yellow"(2000、筆者訳)

 歴史の一側面において、長らく「政治」的なものと向き合い、深くコミットしてきたロック・ミュージックにとって、サブプライム住宅ローン・クライシス以降、「政治」よりもむしろ「経済」の問題が世界にとって支配的になってきたのは不幸だった。『ローリング・ストーン』誌は、はっきりと書いている。「コールドプレイの前作から3年、世界が抱える問題は切迫を増しており、もはや子守唄などでは解決できないところまで来ている。それがたとえ、21世紀で最大のバンドによるものであったとしても、だ」。そう、音楽という抽象表現の役割は、この複雑な世のなかで、ますますシビアなものになっていくだろうし、その渦中で「民衆を導く女神」に扮するには、いるかもわからない「敵」を想定しながら、あくまでも便宜的に抵抗し、傷ついていく人たちに寄り添う(=子守唄を歌う)しかないのであろう。とすれば、その反動として、ダブステップ、チルウェイブ、あるいはジュークと、ポップ・ミュージックの先端が、それぞれの手段で非言語的な方向に逸れていくのは必然だったとも言える。

彼女がまだ幼かった頃
彼女は世界に希望を持っていた
しかしそれは彼女の手の届かないところへ行ってしまう
彼女は逃げ出して夢を見る
パラダイスの夢を....
彼女はいつでも目を閉じている "Paradise"(2011、筆者訳)

 そんな季節に、「希望」はあるのだろうか。「希望が前提でなくなった時代、私たちは何を糧に未来へ進んでいけばいいのでしょうか」(『希望のつくり方』、2010)と、玄田有史は、希望を追求した理由をこのような疑問に求めている。そう、それが無根拠に、素朴に、高々と掲げられることは、多分もうない。そうなってくれば、批評家の筋から「もしかしたら絶望は共有できるかもしれない」(宇野、2009)みたいな声が聞こえてくるのも必然であり、「希望は、戦争」(赤木、2007)のようなアンダークラスからの捨て身の言説が一定の共感を得る、というのも、ゼロ年代のリアリティとしてはONだったのだろう。しかし、結局のところ、「希望を語れない知性」に何の価値があるのだろう、とは、ときどき思う。それだったら、希望を歌う阿呆の方が、いくらか生産的なのでは、とも思う。また、ポップ・ミュージック的には、「シューゲイザーよりはスターゲイザーの方がマシなのでは」、という言い方もできる。

子どもたちは踊る
子どもたちはみな踊り明かす
月曜日の朝に生まれ変わるまで
僕は音量を上げる
いまはすっかりいい調子だ "Every Teardrops Is a Waterfall"(2011、筆者訳)

 それは最初、子守唄に過ぎなかった。だが、ミドルクラスの憂い、日々の漠然としたメランコリアを、いまでいう「セカイ系」(初出不明)的な遠近感でビッグ・スケールに歌い上げていたコールドプレイはいま、驚くべきことに、希望的な何かを無根拠に先取りしようとする。それは捏造、と言ってもいいのかもしれない。透明感の高い、いわゆる叙情的なブリット・ロックに、クリス・マーティンのファルセットを乗せるところからスタートした彼らはいま、アリーナ・ロックの大風呂敷に、ビッグ・エレクトロから剥奪したビビッドなシンセ、U2の諸作に深くインスパイアされたギター、大言壮語な詩情、そして、ほとんどの曲で繰り返される「Wow Wow」のビッグ・コーラスを投入。ビートはいつになく力強く打ち鳴らされており、"Hurts Like Heaven"、"Charlie Brown"から"Don't Let It Break Your Heart"まで、アルバム全編をアップリフティング(高揚的)な矢印が大きく貫いている。当然、それらはたとえ聴き手を強引にアップリフトさせても、その先には「何もない」、ということになる。その空虚さに耐え得るものを、彼らはまだ持ち得ていないし、強引に提出された希望というものを、具体的な何かに置き換えるのは難しい。一時的な気休めと言えば、終わりかもしれない。

 私は、もしかしたら考えすぎだろうか? 『ピッチフォーク』が言うとおり、重要なのは「リアーナを客演に招いた"Princess of China"がグラミー栄えすること」であり、「"Every Teardrops Is a Waterfall"がフェスの大トリにピッタリなこと」なのだろう、多くの人にとっては。それでもなお、野田努のような人間からすれば、これはロックの不名誉なのかも知れない。しかし今、こんな役割を担えるのは、彼ら以外にいないのだろうし、私は彼らがそのことに(多分)自覚的であったことを、好ましく思う。バッド・ニュースを好む人があまりにも多いいま、メインストリームをひた走る世界最大のバンドが、事実、スターゲイズしている(=希望を見上げている)というのは、決して悪い絵ではない。"Every Teardrops Is a Waterfall"で描かれるような、子供たちが夜通し笑い転げ、踊り弾け、世界の朝に小さな革命が灯っていく日を無根拠に夢見ること。"Paradise"で打ちひしがれた少女が、夢から目覚めて、朝の光をもう一度受け入れること。ヒーリング・ロックから出発した『The Bends』(レディオヘッド、1995)症候群のブリット・ロック・バンドは、いまや、数千万人に向けて"Yellow"(=子守唄)を歌うだけ以上の役割を、ついに担いつつある。

interview with Baths - ele-king


Baths
Cerulean

Anticon

Review Amazon iTunes

 バスは周知のとおりデイデラスやフライング・ロータスの周辺から浮上したビート・シーンの鬼っ子だが、リスナーの多くはインディ・ロック寄りの層なのではないかと思う。彼のサンプリングには他人からの引用というものがなく、ほぼ自作の音源しか用いられていないし、ライヴを観れば想像以上に「歌」への比重が置かれていることもわかる。実際のところ、ウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワのような宅録ポッパーたちと近いところにモチベーションがあるのかもしれない。内向的で潔癖的な感覚も共通している。彼らの潔癖とは、ミストのように淡く広がる肯定感と、その肯定する対象への絶対的な距離感という、背反する感覚の表象ではないだろうか。ベッドルームから平熱で世界を祝福するチルウェイヴのマナーが、時代の作法としてバスにも流れ込んでいるように感じる。
 しかし、バスにおいてはそれはもっと激しいエモーションの奔流、エネルギーの過剰として表れるようだ。"プリー"の明るく天上的な響きと、どもって暴れ回るビートの攻撃性とは、背反し、摩擦を起こしながら、ともに彼の純粋さや若さを描き出す。屈託なく、恐れを知らない、本当に14歳の過剰を純粋培養したような音である。また、アートの世界からの影響や日本のカルチャーへの憧憬というものも彼の音楽を立体的にしていることがよくわかる。そうしたアーティスティックなアーティストとしての存在感が、今回のライヴとインタヴューのなかではっきりと増した。『セルリアン』は、若さがもたらした偶然と奇跡のアルバムではない。バスはもっともっと、大きくなるだろう。

僕はビョークが好きなんだ。彼女はソングライティングをエレクトロニクスやビートにミックスするのがとても上手くて、僕はその影響を受けているから、ビートも歌も同じくらい大事にしてる。

今回の滞在で3回のライヴを終えられたわけですが、いかがでしたか?

バス:3回ともまったく違うシチュエーションだったから、それぞれが特別で、すごく楽しかったよ。よけい日本が好きになったし、すぐにでも帰ってきたいね(笑)。

ドミューンなんかは少し変わった体験だったのではないでしょうか。オーディエンスがいないことでなにか変化が生まれたりはしませんか?

バス:過去にイタリアで一度だけウェブのライヴを経験したことがあるけど、ドミューンはサウンド・システムがほんとに素晴らしくて、オーディエンスがいないことは関係なしにほぼいつもの感じのライヴができたよ。ベースもよく出せたし。クラスカのほう(※24日のプレ・パーティ)は音響が少し弱い分、歌に集中できて、それはそれでよかったけどね。

私が観たのは25日のフィーバーの公演なんですが、ほんとにエモーショナルで、エネルギーに満ちたライヴだなと感じました。バスにおけるエモーションの発火点というのはいったい何なんでしょう? ビートですか、歌ですか?

バス:僕は音楽をはじめるにあたってソング・ライティングから入っているので、歌や作曲に重点を置いているんだけど、その後エレクトロも好きになってビートにも傾倒していった。僕はビョークが好きなんだ。彼女はソングライティングをエレクトロニクスやビートにミックスするのがとても上手くて、僕はその影響を受けているから、ビートも歌も同じくらい大事にしてる。

ビートに関しては、あなたはよくフライング・ロータスやデイデラスと比較されますね。でも3人ともまるで音の個性が違います。私のイメージだと、フライング・ロータスっていうのはすごくヒロイックで......

バス:ふふふ。

孤独で......

バス:うん。

タフネスがあって......

バス:うん。

ブルー。

バス:うんうん。

デイデラスの場合は愛、そして愉しみ......プレジャーとかジョイ、というイメージです。

バス:イヤー! あと、ダンディ、ね。

(笑)はい。で、バスはというと、力の定まらないものすごいエネルギーと攻撃性だと思うんです。すごく攻撃的だと感じます。それはたとえば14歳の少年が持っているようなエネルギーですね。まだ無方向的でどんなものにでもなり得るというような。この見方についてどう思われます?

バス:そのキーワードはじつにしっくりくるね。僕については、いま言ってくれたようなイメージを持ってもらえてうれしいよ。自分自身でもそういう作品だなって思っている部分がすごくあるんだ。アルバムの曲によっては、たとえば"ユア・マイ・エクスキューズ・トゥ・トラベル"とかは、若気のいたりっていうような感じをわざと出してもいる。僕はまだとても若いし、20歳のときの曲なんかには未熟な部分もたくさん残っていて、そういうものを含めたエネルギーが凝縮されたアルバムだと思うよ。

ああ、そうですね。さらに言うなら『魔女の宅急便』のほうきに乗れないキキですね。技術的に未熟という意味ではまったくないんですが、ほうきが暴走してるんです。巨大な才能と可能性が放出されるべき出口を求めて暴れている。

バス:キキね! それは素敵だ。

私はあなたのアーティスト写真もすごく好きなんですが、たとえばこのフライヤーに使用されているもの(※1)。顔に白い線が一本引かれていますよね。白い線と、白い犬。この2つはバスの純粋性を象徴しているんじゃないかなって思うんですよ。それは自分のピュアさであると同時に、なにか外界を遮断するような線なのではないかと。あの線は何なんですか?

バス:いやあ、じつはそんなに深い答えがあるわけではなくて......。実際のところ、ありのままの自分を見せるのにためらいがあって、もうちょっとなんかクールに撮れないかなって思ってやってみたというのが正直なところなんだ。でも白い線については、アルバムのイメージ・カラー......青と白なんだけど、それを際立たせるのは狙いではあった。できあがってみたら思ってたよりも印象的に仕上がっていて、自分でもびっくりしたよ。

※1

[[SplitPage]]

"プリー"を書いたときには僕は少し落ちこんでいた。世界は真っ暗だってくらいのテンションだったかもしれない。それがすごく表現されているとは思うよ。いまは、まったく違うテンションで、そんなことは全然思ってないんだけど。

白と青がコンセプトだというのは、タイトルの『セルリアン』にも表れていますが、『セルリアン』というイメージはどこからきたものなんですか? そしてそれは何を表現しているんでしょう?

バス:セルリアンという色自体、たくさんの段階を持った色なんだ。このジャケットでも薄いところや濃いところがあるけど、そのどれもがセルリアン。いろんな可能性を秘めているという比喩だね。それにセルリアンっていう言葉は、ラテン語では「ヘヴン」とか「スカイ」とかそういうポジティヴな意味を持ったものなんだ。そういうところにも惹かれたし、バラエティをもった概念だと思ってタイトルに選んだんだ。それにこのセルリアンという言葉はアルバムを作る前から頭の中にあった。曲を作っているときも、「これは"セルリアン1"。これは"セルリアン2"」って感じでイメージしてたから、バラバラでありながらどこか統一感のあるものになっていると思う。

へえ! いいお話がきけました。実際にそういう天国、天上的な雰囲気がすごくありますね。アニマル・コレクティヴ以降のインディ・ロックには何らかの形でそういった肯定的なムードが示されているようにも感じるのですが、あなた自身のロック体験というものについてうかがいたいです。バスはビート・シーンの俊英という枠に収まらない、とてもロック的な存在だと思うんですが。

バス:ロックの影響はとてもあって、音楽をはじめたばかりの頃はクラシックだったんだけど、そのあとにエレクトリック・ベースとかギターとかそういうものをひと通りさわって、それからネフューズといういわゆるマスロック・バンドを組んだんだ。バンド体験は大きいよ。僕はベースだったんだけど、まずライヴというものをどうやってするかってことを学んだし、ひとりでやるのとはエネルギーが全然違う。観客からのフィードバックとか、メンバー同士での掛け合いなんかも一人でやるときには体験できないことだから、総合的にはとても得がたい経験だったよ。あと、バンドのほうがミステリアスなことができるしね。あの頃のことを思い出すと、うれしくてテンションあがっちゃうな。

バンドの方がミステリアスだっていうのはおもしろいですね。ところでもうちょっと白い線の話でひっぱりたいんですが(笑)、あのようなヴィジュアル的な見せ方を含め、バスには実際にとてもアート的な雰囲気を感じます。お母様が画家だともうかがいましたが、そのような環境や美術の世界から影響を受けていると思いますか?

バス:たしかに、育った環境のなかにアートというものが大きく含まれていたので、そういう影響は知らないうちに受けていると思う。調べてくれたように、母親は画家で水彩画と油絵をやってる。とてもクラシカルなものを描いてるんだ。父はテレビの脚本家をやってて......だから、そういうクリエイティヴィティといったものはどこかで受け継いでいるのかなとは思うよ。僕自身は、音楽でもアートでも映画とかその他の表現ジャンルでも、いちばん大事なのはそこにきちんとエモーションやハートに訴えかけるものがあるかどうかだと思っている。それに、シンプルな表現が好きなんだ。シンプルでありながら多くのことを語っているものがね。マンガやアニメとかでも、白い紙にさらっと線だけが描かれた絵コンテみたいなもの......そこにストーリーがあって、自分の想像力を自由にふくらませることができるようなものに惹かれる。たとえば、E.E.カミングスっていう詩人が好きなんだけど、彼は詩の朗読をしながらスケッチをするんだ。ほんの3~40秒くらいでささっと描いちゃうんだけど、そのなかでとっても好きなのが、ふたりの人が手をとりあっていて月が出ている絵なんだ。ほんとにシンプルで、だけどそこにいろんなストーリーを想像して何時間でも眺めていられる。ていうか、ビョークもE.E.カミングスの詩を使ってるんだ。"サン・イン・マイ・マウス"って曲なんだけど。あとは、ファッションの世界ではアレキサンダー・マックイーンも大好き。ニュー・ヨークのエキシヴィジョンには行けなかったけど、オンラインで全部みて、すごくインスパイアされたよ。いま挙げたものの全部に共通するのが、シンプルであることと、シンプルでありながらそこにきちんとストーリーが存在すること。だから自分が表現をするうえでも、派手派手しい形をとるのではなくて、シンプルだけど......

象徴性の高いもの?

バス:そう、潔くて、たくさんのものをインスパイアできるものにしたいと思ってる。それは僕が日本のカルチャーが好きということにもつながると思うんだけど、日本のカルチャーはシンプルなものが多いよね。トータルに、僕の表現はそういうものにしていきたい。

うんうん、だから、ほら、つながったじゃないですか、白い線! フライング・ロータスの場合、それはお面になるんですよ。けど、バスは一本の線になるんです。シンプルの極致ですね。ビョークもそこまでシンプルではない。あの一本の線の喚起力っていうのはすごくて、バスというアーティストについてとても正確に表現し、伝えてくれるものだと思います。

バス:撮ってるときは無意識にやったことなんだけど、たしかにそうかもしれないね。いまこうやってアナライズしてもらって、やってよかったって思えるよ! すごくいい写真に思えてきた(笑)。

ははは、そうですよ! しつこくてすみませんねー。では、アートつながりでもうひとつ。"ラヴリー・ブラッドフロウ"のミュージック・ヴィデオがありますね(※2)。あれにはまさに日本のファンタジー、ジブリ的な世界が......

バス:(独り言で)あ、ジブリって言った。

あははっ、さすがにジブリは耳が拾っちゃうんですね! 三鷹にも行ったんですよね。......そう、で、そのジブリ的な世界が展開されていると思ってんですが、あんな舞台を設定したり、侍をモデルにしたのはなぜですか?

バス:ディレクターがふたりいて、アレックスとジョーっていうんだけど、メインのアレックスが僕と同じようなカルチャーやアーティストに影響を受けているんだ。影響を受けていたものをリスト・アップしたらほとんどカブっていたくらい。で、いちばんはじめにいろんなアイディアがあったんだけど、その中でざっくり決めていたことが日本を舞台にしようということと、アニメーションにしようということなんだ。ふたりとも石岡瑛子という日本のアーティストの衣装デザインが好きで、その雰囲気を取り入れたいと思ったのもある。それからあまりにベタにアニメっぽいものではなくて、また違ったレヴェルに引き込めるものにしたいとも思った。ほんとにいろんなことを考えていたんだけど、3分のヴィデオにするにはあまりに壮大なアイディアばっかり出てきちゃって......。僕はパッケージでもアートワークでも曲でもパフォーマンスにしても、すごくこだわりをもってやってるんだ。アレックスは僕のそういうこだわりを僕以上に理解してくれてて、歌詞の内容やメッセージについても彼の方が深くいろんなものを感じとってくれてた。だから、途中からクリエイティヴ・コントロールがすべてアレックスの手に移ってしまったんだ。現場での僕はADみたいなもので、「サンドイッチ買ってきて」とか言われてパシリになってたよ(笑)。

ははは。

バス:(笑)そのくらい彼を信用して全面的に任せたんだ。あとは何度も出てきている「シンプル」ってキーワードなんだけど、ここでもそれは大事にした。けど、印象的にはしたいけど、ショッキングにしたくはなかったんだ。穏やかにこのイメージを伝えたかった。『もののけ姫』の雰囲気だね。とてもインスパイアされているよ。自然とか、生命の息吹とか、そんなものを大事に表現したかった。最後、お侍が死んで、土になって、葉っぱとかになって戻ってくるんだ。

ああ!

バス:輪廻転生っていうかね。そんなふうに命を表現した作品なんだ。たださっきも言ったけど、そんなテーマだとふつうは3分のミュージック・ヴィデオじゃなくて映画の規模になっちゃうよね。アレックスとジョーはとても上手にまとめてくれたと思う。すごく満足してるんだ。

うんうん。すごくよくわかります。じゃ"ブラッドフロウ"っていうのは人間の血流というより、宇宙の血流、宇宙のブラッドフロウってことなんですね。

バス:イエス。そうだね! 歌詞からはストレートな意味でとれるけど、自分の血の流れっていうことでは必ずしもないんだ。それはインスピレーションだったり、比喩的なものだったりもするし。

はい。うんうん、今のですごくよくあの歌詞の意味がわかりました。なるほどなあ。あの曲ってどのパートからできたんですか?

バス:ええと、2年くらい前に作ったからいま一生懸命思い出しているんだけど......確実なのはベース・ラインからできたってことだね。

ベース? へえ。

バス:なんとなくベースを弾いてたときに、日本ぽい感じのフレーズだなっていうのが出てきて、それを録音して重ねていったんだ。で、何度も聴いていろいろ録音しているうちに、すごくダークな雰囲気が生まれてきた。そのダークな雰囲気に自分自身がインスパイアされて詞が出てきたんだ。そんな順序だね。このアルバムは、基本的にはポジティヴなものとして作っていたんで、すごくダークなものっていうのは入れているつもりがないんだけど、結果的にはこの曲はダークなものになったかもしれない。

ダークっていう言葉、じつは私もキーワードとして考えていたものなんです。いま聞いてとてもその言葉が響きました。『セルリアン』というタイトルについて話してくださったように、このアルバムには天上的な雰囲気がありますね。明るくて透明なものです。でもそのなかに攻撃性とか暗さというものが分かちがたく張りついていると思うんです。実際に"プリー"なんかには「ダーク・ワールド」ってモチーフが出てきますよね。「セルリアン」は同時にダーク・ワールドを表現してもいるんじゃないかって......あなたは、この世界がほんとに「ダーク・ワールド」だって思いますか?

バス:ええと......この、いま生きている世界がダークな場所だってふうには思っていないよ。他の曲でも、必ずしも書いたことが本心からそう思っていることだというわけではないんだ。と言いつつも、"プリー"を書いたときには僕は少し落ちこんでいた。世界は真っ暗だってくらいのテンションだったかもしれない。それがすごく表現されているとは思うよ。いまは、まったく違うテンションで、そんなことは全然思ってないんだけど、ライヴで演奏するとその時のエモーションがすごく戻ってくるんだ。だから聴いてくれるオーディエンスの人びとにもそれが伝わってしまうんじゃないかな。歌詞の内容は恋の話なんだけど、実際に自分はそのとき恋愛をしていなかったんだ。でも恋愛というものがどういうものか、どんな気持ちになるのかっていうのは、一般的な情報としては知っているから、曲を書くときにそのキャラクターにはなりきれる。そういう演じていた部分もあるかな。よくこういう取材とか友だちからの質問で、恋愛の相手は誰なんだ? ってきかれたりするんだよね。でも相手はべつにいないんだ。

"プリー"の演奏はほんとに心に残りますよ。逆に冒頭の"アポロジェティック・ショルダー・ブレイド"は教会音楽的な響きを持っていて、ずばり天上のイメージなんですが、あの「ヒュー」っていうモチーフはなんですか?「ヒュー」がコンピューターから這い出したってことを祝福する音楽なんですか?

バス:あははは! あれ、くだらないんだけど、ヒュー・ジャックマンのことなんだ。

(一同笑)

が、出てきたんですか(笑)? このインタヴュー、締まらないじゃないですか!

バス:いや、ヒュー・ジャックマンが好きで......あはは! 夢の話なんだ。夢ってすごくロマンチックなものなんだけど、実際の内容はすごくバカみたいでありえなかったりするよね!

あれ、あのワン・センテンスしかなくて(※「ヒューがコンピュータから這い出していった」という一行のみの詞)、しかもむちゃくちゃハイ・トーンで感情こめて歌うじゃないですか(笑)。

(一同笑)

バス:一番はじめに指摘してくれたように、このアルバムはすごく若さにあふれたものなんだ。若いときの攻撃性とかパッションとかエモーションが詰まってるって言ってくれたけど、この曲なんかはまさにそうで、若気のいたりですらあるよ。このときは、こんなふうにやるのが超おもしろいって思ったんだ!歌詞はもっとあったんだけど、全部切ってこれだけにした(笑)。

超、印象的ですね。全部切って正解ですよ。ええと、時間がないということで、私まだまだいろいろ聞くことあったんですけど......

バス:さっき、ダークネスって話も出たけど、次の作品は「ダーク」なものにしよう、そういうインテンスなものにしようと思ってるんだ。楽しみにしててください。アリガトウ!

※2

Chart by UNION 2011.11.24 - ele-king

Shop Chart


1

DERRICK MAY

DERRICK MAY Heartbeat Presents Vol. 2 LASTRUM / JPN »COMMENT GET MUSIC
デトロイトテクノのオリジネーターとして世界中のダンスミュージックシーンから最大級のリスペクトを受け続け、数多くのアーティストにケタ違いの影響を与え続けたデリック・メイ究極のミックスショーが再び!トライバルでファンキーな疾駆するテクノとハウス、圧倒的なターンテーブルスキル、卓越したカットイン、ライブ感溢れるイコライジング、多彩な展開で魅せるストーリー、ピッチ・スイッチングによるスローダウン、現場のテンションを重視するパワフルなミックスには何度も心奪われます。天才にしかつくり得ない唯一無二な神の領域、前作同様、今作もターンテーブルとミキサーのみの生々しい一発ライブ・レコーディング!!

2

DEETRON

DEETRON Balance 020(帯ライナー付き国内盤仕様) BALANCE / JPN »COMMENT GET MUSIC
大人気MIXシリーズ「BALANCE」にDEETRON本作は約3年ぶりとなるMIX CDが登場!!「ヴァイナルというすばらしいフォーマットと、デジタルの尽きることのない可能性に満ちた世界を賞賛するために」DISC 1はCUBASE、WAVELABで加工したデジタル・ミックス、DISC 2は3台のターンテーブルとミキサーを用いヴァイナル・オンリーでのミックス。AUTECHREの"Nine"で幕を開け、TODD TERJEやBURIAL/FOUR TET/THOM YORKEの話題曲"Ego"、THROBBING GRISTLEまで飛び出し縦横無尽な展開で飽きさせないDISC 1、SHEDの変名WAX、SURGEONなどの硬派なテクノ中心に自らの未発表曲も盛り込んだ入魂のミックスを披露するDISC 2 と、どちらもスキルフル!

3

CV313

CV313 Second To Forever ECHOSPACE / US »COMMENT GET MUSIC
Steve Hitchelのリマスタリングを施したマーブル柄カラーヴァイナル仕様の160g重量盤、8ml MYLAR BAGジャケット再発!!!生前、マスタリングの権威NSC Mastering(Detroit) Ron Murphyがマスタリングを行うことで初めて完成に至った22分58秒に及ぶ「Beyond The Clouds(reprise)」が遂にアナログ化。穏やかに音の表情を変化させていくCV313版E2-E4とも言えよう超大作。まもなくアルバムのリリースを迎えるStephen HitchellとRod ModellのユニットCV313。本作はそのアルバムリリースに先駆けてのシングルカット第4弾。E2-E4的な反復の心地よさと、Gas (Wolfgang Voigt)を生っぽく仕上げたようなホワイトノイズが空間を埋め尽くす、CV313ならではのリキッドなアンビエントハウス。

4

RAHAAN

RAHAAN R Music EP FOUR PLAY MUSIC / UK »COMMENT GET MUSIC
2002年にシカゴのFOUR PLAY MUSICからリリースされたRAHAANの「R Music EP」が再入荷!!RON HARDYの意志を継承し、他を圧倒するグルーヴ感、ミックスセンスでシカゴローカルから発信するRAHAAN。エッジの効いたギターリフ、カットアップフレーズでグルーヴを生ませたA-1"Coming Hard"や、歪んだキックに美麗なエレピの調べがフィーチャーされたA-2"Montana Groove"など5トラックを収録!!廃盤状態だった貴重なバックタイトル!!

5

DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS Sounds From Dance Floor UPSET REC / JPN »COMMENT GET MUSIC
アンビエント古典を独自の解釈でリメイクし大きな話題を集めた「Chill Out」や「Sound Of Sleep」新作と、立て続けに注目作を生むユニットDJ YOGURT & KOYAS。DACHAMBO等へ提供したリミックス・ワークや数々のライブ・アクトが益々大きな評判を集める中、待ち望まれていた彼らの初のダンス・アルバムが遂にリリース。これまで数々のライブ・アクトで披露し幾度もオーディエンスを爆発的に盛り上げてきたキラー・トラックの数々、既に12"でリリースされフロア・ヒット中のトラック、GAINAXやDACHAMBOのEIJI、NABOWAのHIKARUやギタリストARATAとのコラボレート作品やリミックス等、2人のダンス指向/ダンス・フロアへの熱い想いを全面に打ち出した初のダンス・アルバムでありながらある意味ベスト盤ともいえる1枚。

6

MAXMILLION DUNBAR

MAXMILLION DUNBAR Everyday L.I.E.S. / US »COMMENT GET MUSIC
RAS GやTOKiMONSTAもリリースするRamp Recordingsを中心に活動中のMAXMILLION DUNBARがNYアンダーグラウンドL.I.E.S.から限定盤3トラックEPをリリース!MOODYMANN至高の傑作JANを彷彿とさせる不穏なベースライン、しかしそれを覆うのは煌びやかでサイケデリックなキーボード、さらにムーグ調のソロシンセも絡み幻想的なスローモーハウスを展開するA1のインパクトも強烈だが、突き抜けるようなキーとクラシカルなパーカスを纏い、浅い時間にマッチするヴィンテージなアンビエントハウスB1、さらにBENT BOYS"Walk The Night"系のランニングベースにLATE 80'sなシカゴの雰囲気たっぷりのオールドスクールな手法がセンス良く配置されたB2も素晴らしい、三様のスタイルを見せ付けた1枚。

7

EQD

EQD Equalized #005 EQUALIZED / GER »COMMENT GET MUSIC
SHED(OSTGUT TON、SOLOACTION)を筆頭にWAX、WK7、STP...等等、様々な変名を用いる鬼才・RENE PAWLOWITZが送るHARDWAX流通のホワイトラベル+スタンプもの、中でも根強い人気を誇る変名のひとつ、EQDの"Equalized"シリーズ最新第5弾が到着!!! ヘビーなキックの中を力強いシンセ・リフがよどみなく疾走するソリッドなミニマル・作品A-1、ボトムの重さはそのままに、トランシーなシンセ・ラインが叙情的に波打つテック・トラックB-1といずれもロング・タームで展開する強力なユース・チューンを収録。

8

V.A.(SOUNDSTREAM,SOUNDHACK,T.S.O.S.)

V.A.(SOUNDSTREAM,SOUNDHACK,T.S.O.S.) Sound Sampler Vol. 1 SOUND SAMPLER / GER »COMMENT GET MUSIC
SMITH N HACKの片割れことFRANK TIMMを代表する変名、ファンキー・ディスコ&ループな作風で人気を確立するSOUNDSTREAM/SOUNDHACKの2作品に加え、更にPANORAMA BARのミックスCDシリーズ第三弾・PROSUMERミックスの「Panorama Bar 03」でもお目見えした楽曲"Over And Over"を含めた、T.S.O.S.による2トラックを搭載したおそろしく強力な4曲入りサンプラーEPが"SOUND SAMPLER"001番として登場!! グッとディープなハウス作品となったA-1、カットアップされたホーンの様な音がキレ味抜群、まさにSOUNDSTREAM & SOUNDHACK仕様なA-2、つんのめった様なキックの中をファンキーなシンセ・ラインがせわしなくうごめくB-1に加え、更にリズム・トラックのみで構成されるDJ的にはかなり応用できそうなB-2と見逃せない内容!

9

BUTCH

BUTCH Butch's Raw Beats Vol.1 REKIDS / UK »COMMENT GET MUSIC
RADIO SLAVEのREKIDS最新作にRICARDO VILLALOBOS主宰のSEI ES DRUM新作"Rawhide/I Love You/Gray"で話題沸騰中のジャーマン・テック・ミニマルの雄・BUTCHがいよいよ登場!!!TRAPEZ、AFU LTD~GREAT STUFFまで、様々な人気レーベルから作品を発表、現在絶好調の俊英が送るスウィンギン・ディスコ・テック!! 生々しいスポークン・ボイス使いも超ファンキーなA-1、ロング・タームのシンセ・ラインが徐々にビルド・アップしフロアの温度をグッと上げていくCOOLなB-1、両サイド共にこれはかなりの強力盤です!!

10

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA Keep Believing (Can You Feel It) FAR OUT RECORDINGS / UK »COMMENT GET MUSIC
FAR OUTの人気シリーズにTHEO PARRISHが登場。MARK Eや4HERO等が続いたFAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRAの16thアニヴァーサリー12"はTHEO PARRISH、ONUR ENGINを擁するUSのPLIMSOLLからリリースするKOMPLEKSが担当。優雅に浮遊するストリングス/シンセのフレージングにポエトリーと鍵盤のカットアップを交え、クラッピングの連打で変化をつける荒削りなドラミングでスリリングに展開するTHEO PARRISHリミックス、肝となるジャジーな鍵盤フレーズを変化させビートダウン・トラックに落とし込んだB-サイドのKOMPLEKSも負けず劣らず好リミックスを披露しています。

APPARAT - ele-king

 アパラットが来日する。しかもバンド・セットだ。
 エレガントなIDMと清々しいアコースティック、あるいはダブステップをブレンドする最新アルバム『Devil's Walk』に感動したリスナーは少なくないはず。
 周知のようにアパラットとは、ドイツでもっとも国際的に成功したアーティストのひとりで、レディオヘッドの日本公演のオープニング・アクトに抜擢など幅広いファンを持っている。また今回のライヴ公演では、砂原良徳のライヴも聴ける。
 エレクトロニカ/IDMのリスナーは行くしかないっすよ!



root & branch / UNIT Presents APPARAT

root & branch / UNIT Presents
APPARAT

11.25 fri @ UNIT
LIVE: APPARAT (BAND SET)
GUEST LIVE: Y. Sunahara
GUEST DJ: DJ KENSEI, INNER SCIENCE

SALOON: soup presents "absolute follies"
LIVE: DUB-Russell (+MUS), miclodiet + Yousuke Fuyama (sludge), shotahirama (SIGNALDADA / mAtter), Pakchee+wk[es] (Hz-records) and more acts TBA.
DJ: wat (THRUST / 秋葉原重工), nobuki nishiyama (Tiltloose)

OPEN / START 23:00
TICKETS: ¥3,800 (ADVANCE), ¥4,000 (w/ FLYER), ¥4,500 (DOOR)
INFORMATION: 03-5459-8630 (UNIT) www.unit-tokyo.com

Chart by JET SET 2011.11.14 - ele-king

Shop Chart


1

坂本慎太郎

坂本慎太郎 幻とのつきあい方 (初回限定盤) »COMMENT GET MUSIC
自身のレーベル、Zelone Records HPでの先行配信曲「幽霊の気分で」と、7インチ・シングルのカップリング曲「何かが違う」の2曲のアルバム・ヴァージョンを含む全10曲収録。インスト・バージョン・アルバム付きの豪華2枚組紙ジャケ仕様初回限定盤。

2

DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS SOUNDS FROM DANCE FLOOR »COMMENT GET MUSIC
DJ Yogurt & Koyasがダンス・トラックを中心にしたアルバムをついにドロップ!『There is Music』収録の"Slow Hand"をはじめ即完売となった12インチ収録曲"Into the Peak""Ride it On"などを収録。

3

SHIMMY SHAM SHAM

SHIMMY SHAM SHAM SHIMMY SHAM SHAM 004 »COMMENT GET MUSIC
Fela Kuti & Roy Ayersリエディッツの第一弾を皮切りに毎リリースがカルト・ヒットを記録しているミステリアス・シリーズ"Shimmy Sham Sham"最新作は、Arthur Russell & Nina Simoneクラシック・ネタ!!

4

ALTZ & RONDEION

ALTZ & RONDEION SOL LEVANTE EP »COMMENT GET MUSIC
Bosconi発"Extra Virgin"シリーズから大注目の一枚、Altz × Rondenionによるディスコ・スプリット。

5

COTTAM

COTTAM DEEP DEEP DOWN EP »COMMENT GET MUSIC
待ちに待ったCottam最新作が英"Aus"から登場。オリジナル2作品に加え昨今話題のウクライナ気鋭Vakulaを抜擢したリミックスもマスト過ぎる大推薦ビートダウン・トラックス!!

6

C.O.M.B.I.

C.O.M.B.I. SNAKES WINES / LOOKING A STAR »COMMENT GET MUSIC
男気溢れるワイルドなフロア・キラー・リエディットを量産しているDr.Dunks a.k.a. Eric Duncanによる"C.O.M.B.i."シリーズ最新作「Q / R」が到着!!

7

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA KEEP BELIEVING (CAN YOU FEEL IT) »COMMENT GET MUSIC
M&M, 4 Hero, Isoul8, Mark E, LTJ Xperienceら豪華陣営によるリリースを繰り広げてきた、UKの老舗レーベル"Far Out"の設立16周年アニヴァーサリー・シリーズに、デトロイト・ビートダウン御大Theo Parrish、そしてUS地下発のリエディット専科"Plimsol"からデビューしたKompleksが手掛けた傑作盤が入荷!!

8

TEEBS

TEEBS COLLECTIONS 01 »COMMENT GET MUSIC
Flying Lotus率いる大人気レーベルBrainfeederからペインターとしての顔も持つTeebsが、優雅な美麗トラックを詰め込んだ2ndアルバムをリリース!

9

ROCKETNUMBERNINE

ROCKETNUMBERNINE LONE RAVER EP »COMMENT GET MUSIC
大人気Textからのデビュー作が大きな注目を集めた兄弟デュオRocketnumbernine。名門Soul Jazzからの初リリースとなる今作でもポスト・ポスト・ロックな強力3トラックスを披露です!!

10

GEORGIA ANNE MULDROW

GEORGIA ANNE MULDROW OWED TO MAMA RICKIE »COMMENT GET MUSIC
今回は生音を中心に、控えめかつ絶妙なシンセ、引き込まれるような雰囲気たっぷりの歌声が絡み合った極上ネオ・ソウル・アルバム。素晴らしいのは言うまでもありません!

interview with Dee Dee - ele-king

奴らは私たちに信じさせたいだけ
バンバンバン あんたは廃人
バンバンバン 私も廃人
"Bhang Bhang, I'm a Burnou"


Dum Dum Girls
Only In Dreams

Sub Pop/Pヴァイン

Review Amazon iTunes

 ダム・ダム・ガールズというのはアメリカ人かするとたとえば「偉そうな校長を部屋から叩きだして、ドアにバリケードを築くような女ギャングのよう」(https://pitchfork.com/)に見えるそうで、つまり映画『if....』で学校の校舎の屋根に上って教師たちをライフルでねらい打ちしているのは、いまや女の子であることを告げる一味というわけだ。たしかにデビュー・アルバム『I Will Be』は、低俗なロックンロールのクリシェをかき集めて攻撃を仕掛ける女性解放運動家たちの聞き分けの悪い娘のような作品だった。
 その生きの良いジェット気流に対して、セカンド・アルバム『オンリー・イン・ドリーム』は内省的で、ポップに展開する(多くの曲がミディアム・テンポで、プロデューサーはブロンディやザ・ゴー・ゴーズを手がけた人)。最小の言葉で最大限の言葉を喚起させるという意味では、彼女=ディー・ディーのソングライターとしての腕は上がっている。そして、沢井さんのライヴ・レポートで、見ていて痛々しくも思えるとあったけれど、たしかに『オンリー・イン・ドリーム』は強がっていた『I Will Be』が嘘のように喪失感が目立つアルバムで、しかしそのマジー・スターを思わせるようなアートワークとシリアスな歌詞は、このバンドの支持が高まっているのも十分にうなずけるほど、前進を感じさせる。

私はいつでもロックンロールが好きで、小さい頃からこれがやりたいとわかっていた。ロニー・スペクターが同じことを言っていたのをどこかのインタヴューで読んだことがある。つまり、これは私の血ね。

LAの音楽シーンは、いまベルリンに匹敵するほど盛り上がっていると言われているそうですが、実際ここ5年でどのような発展があったのですか?

ディー・ディー:とくに参加している以外に、私自身がLA音楽シーンのいち部だと思ったことはないんだけどね。曲を書くのも働くのもひとりだし、私はどのシーンからも遠く離れているのよ。

ここ数年は若い音楽家がニューヨークではなくロスに集まっているのは本当ですか?

ディー・ディー:わからないけど、カリフォルニア出身の私から見ると、LAはアートのために引っ越してくる場所のようには思うわ。でも、ニューヨークのほうが国際色は豊かだと思う。私もこの夏にニューヨークに引っ越したのよ。

ダム・ダム・ガールズが見せるロックンロールへのフィティシズム (バイク、ファッション等々)は、どこまで本気なのでしょうか?

ディー・ディー:そうしたものを自分のライフスタイルに完全に取り入れることはないけど、本当に好きなところはたくさんあるわよ。

革ジャンにバイクというのは、いまでもあなたの特別な感情を誘発するのでしょうか?

ディー・ディー:質の良い革ジャケットは好きよ。バイクのうしろに乗って、長いドライヴをするのも好きよね。

ディー・ディー・ラモーンのどんなところにあなたは愛情を感じるのですか?

ディー・ディー:とにかくラモーンズが好きなのよ。いちばん好きのはジョーイ。ただし、ディー・ディーは私の母の名前で、私のミドルネームなの。

セックス、ドラッグ、ロックンロールというクリシェをあなたはどう考えますか? 

ディー・ディー:そう、だからクリシェ(決まり文句=クール)なんでしょう!

ロックンロールには男性優位の指向がありましたが、ダム・ダム・ガールズはそうした古い価値観を転覆していると思いますか?

ディー・ディー:私は先駆者の女性のあとを追って自分たちのことをやっているのが幸せなのよ。それで、他の女性がもっと簡単に音楽をプレイするようになれば良いと思っている。

ダム・ダム・ガールズは女性の味方ですか?

ディー・ディー:もちろん。

日本の女性/男性にはどんな印象を持っていますか?

ディー・ディー:日本人の文化に関しては、ほとんど知らない。でも、日本でプレイしたり、直接経験できるのを楽しみにしているわ。

パティ・スミス、デボラ・ハリー、マドンナ、この3人のなかでもっとも好きなのは?

ディー・ディー:パティ・スミスかな。でも、みんな好きよ。

シングルでザ・スミスの"There Is a Light That Never Goes Out"をカヴァーした理由を。

ディー・ディー:これは最後の最後に出てきたアイディアだったの。大きな影響を受けた曲だし、私自身のこの曲への愛、明らかな敬意を感じたのよね。
誰もモリッシーのように歌ったり曲を書くことができないし、誰もマーのようにギターが弾けない。それでもこの歌のタイトルが、EPを終了する完全なマントラとして私にヒットしたのよ。

ちなみにあなたがこうしたロックンロールやガール・グループにアプ ローチした理由は何でしょう?

ディー・ディー:私はいつでもロックンロールが好きで、小さい頃からこれがやりたいとわかっていた。ロニー・スペクターが同じことを言っていたのをどこかのインタヴューで読んだことがある。つまり、これは私の血ね。

自分をレトロな人間だと思いますか?

ディー・ディー:思わない。ノスタルジックになって過去のことにはまるのは良いと思うけど、それが原因で混合されることが阻まれたり、前に進めないのなら、それはただ成長を妨げるものなのよ。

セカンド・アルバムは前作以上にポップに展開していますよね。ポップ・ソングとしての魅力を感じます。

ディー・ディー:ありがとう。私もより古典的なポップだと思う。

ところで気になったのはあのアートワークなんですが、あれは何を意味しているのでしょうか?

ディー・ディー:見ての通り、体外遊離の写真よ。

『オンリー・イン・ドリーム』というタイトルはどこから来ているのでしょうか? 絶望的とも解釈できる言葉だと思うのですが。

ディー・ディー:"Wasted Away"の歌詞を読んで欲しいわ。本質的には現実逃避ってことであり、あなたが持っているものと欲しいものとのあいだにときどき存在する分水嶺を参照するってこと。

アメリカはこの先、どうなるのでしょうか? 明るい未来があると思いますか?

ディー・ディー:次の選挙でもオバマ大統領がまた選ばれたら良いと思うわ。アメリカ人は国民健康保険が欲しいし、私はウォール・ストリートのデモを応援しているのよ!

言うことなど何もない
1日の終わりに私は疲れ果てている
このまま疲れ果ててあなたに会いたい
夢のなかで
"Wasted Away"


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291