「CE」と一致するもの

El Mahdy Jr. - ele-king

 イスタンブールでスクリューされたラップとノイズが掻き回され、ベースがうねりを上げながら風景をゆがめる。政治的激動に晒された死せる街の強力なサウンドトラックとはこのことで、読者が初めてブリアルやシャックルトンを聴いたときのような凄まじいインパクトをお探しであるなら、ここにある。しかしエル・マーディ・ジュニア……アルジェリア生まれの、ガンツの盟友でもあるこやつは何者か。

 ロンドンのレーベルからリリースされた本作『ゴースト・テープス』は、USはポートランドの〈Boomarm Nation〉から発表された『いかれた場所の精神(The Spirit Of Fucked Up Places)』以来、2年ぶりのセカンド・アルバムとなる。その間マーディ・ジュニアは、オルター・エコーとガウルスのリミックスを収録した10インチ「ライ・ダブス」(ベーシック・チャンネルの“ネクスト”。日本のバンド、ゴートおよびそのファンは必聴)や12インチ「ガスバ・グライム」によって評判を呼んで、またガンツの12インチの共作者としても名を広めている。
 しかしながら、ガンツのくだんの「Spry Sinister」収録の“Rising”ような、アラビックな旋律があり、グライムめいたビートが打ち鳴らされるといったアレを想像してもらっても困る。リリース元の〈Discrepant〉とは「矛盾/食い違い/不具合」を意味する言葉だが、マーディ・ジュニアの音楽では、国境は溶解され、国籍は失われる。ターキッシュな要素(アラベスク、地元ラジオないしは地元ヒップホップ化したライ)がカットアプされてはいるものの、それらはサンプラーを通して異様なものへと姿を変えている。いったいこれは何なのか……トルコ、知られざる音楽の宝庫だ、などというワールドなオチとは別の、むしろトルコ文化がないがしろにしてきたサブカルチャーを引っぱり出すことが目的でもあると、実際そんなようなことを彼は語っている。
 結果、『ゴースト・テープス』はブリストルのヤング・エコーとほぼ同じ地平にいる。アナログ盤ではA面1曲、B面1曲という構成で、下手したら90年代末のゴッドスピード・ユー・ブラックエンペラー!をも彷彿させる。“デッド・フラッグ・ブルース”のダブ・ヴァージョン? いや、この音が渦巻く空間たるやダブとは言いたくなくなるような独自なものがある。

 「もしダブがアルジェリアや中近東で生まれていたら」というのが彼のもうひとつのコンセプトである。父親のレコード棚にはジャマイカのダブのコレクションがあったというが、彼のダブ解釈はリー・ペリーでもキング・タビーでもなければアラビックな旋律にエコー効かせるだけのものでもない。音が回転するかのようなダブ的感性の背後にはスーフィーの影響があるのでは、と中東好きの友人は言う。
 さらにもうひとつ、東西の境目でもあるイスタンブールのありのままの衝突を描くこと。そう、この音楽はいま起きている何かを懸命に伝えようとしているわけだが、冒頭に書いたように、まずはその圧倒的な迫力と斬新さという点において素晴らしい。つまり、この作品の国籍がどこであれ、『ゴースト・テープス』は1枚の突出したエレクトロニック・ミュージックなのだ。

代官山UNITの11th Anniversary - ele-king

 いよいよ今週末21日金曜日の代官山ユニットに田我流Bandが登場する。今回は、やはりバンド形態でのライヴであること、そして、共演に仙台からGAGLEというのが注目でしょう!! 盛り上がること必至。
 ちなみに田我流Bandのメンバーは以下の通り。

 Vocal : 田我流
 Drums : Taichi
 Bass : 松崎幹雄
 Percussion : 高田陽平
 Keyboards : 中村圭作
 T.Sax : 後関好宏
 B.Sax : 上運天淳市
 Guitar : 竹久圏 (KIRIHITO)
 Chorus : 今井瑠美子
 DJ : Young-G

 さらにDJ KENSEIによる「stillichimiyaの流れ」Live Mixが予定されているほか、交流の深いGAGLEと田我流Bandのセッションも見られるかも知れない──ですよ!

2015/08/21( 金 ) @ 代官山 UNIT
OPEN 18:30 / START 19:30
UNIT & Mary Joy Recordings Presents
UNIT 11th Anniversary 田我流BAND×GAGLE

出演
田我流BAND
GAGLE
DJ KENSEI


 田我流BAND 本格始動! GAGLEとDJ KENSEIを迎えアルバムレコーディングを前に一夜限りの貴重なLIVEを敢行!!!

 田我流が、stimを母体とした自身のバンドでアルバムプロジェクトを始動。今秋に発表予定のプロジェクトから新曲を含む渾身のセットで UNIT のステージに臨む。
 共演は、 昨年アルバム「VG+」をリリースした仙台のGAGLE。
 2013~2014 年にかけて数多くのバンドと、いわゆる“他流試合”を行い、MC+DJ というスタイルからバンド編成へとその表現の幅を拡げる田我流。 片やこれまでcro-magnonやOvallとの共作 / 共演なども繰り広げながら この日は2MC & 1DJという編成で究極のHIPHOP SHOWを見せるGAGLE。
 まさに“挑戦”と“極み”の真っ向勝負!
 さらに、GAGLEともstillichimiyaとも交流が深く、7月にstillichimiyaの音源のミックス CD 「stillichimiya の流れ」 を発表したDJ KENSEIがstillichimiya音源によるlive mixを披露!

ADVANCE TICKET 3,000円 ( 税込 /1D 別途 )
PIA(P:271-954), LAWSON TICKET(L:79719), e+, Mary Joy Online (www.maryjoy.net),
Jazzy Sport Music Shop, Jet Set Tokyo, diskunion (渋谷/新宿/下北沢Club Music Shop, 吉祥寺), UNIT店頭
主催 : Mary Joy Recordings / 株式会社スタンダードワークス
制作協力 : Jazzy Sport
www.maryjoy.net
www.unit-tokyo.com


Sleaford Mods - ele-king

 Key Marketsというのはジェイソン・ウィリアムソンが子供の頃に母ちゃんに連れられて行ってたスーパーの名前ということだが、ダブルミーニングなのは間違いない。最近、英国の政界を震撼させているジェレミー・コービンという爺さんがいて、彼のことをテレビで評論家が語っていたとき、「彼はPRの賜物ではないが、まるでPRで作り上げた政治家のようによく出来ている。Key Marketsに間違いなく受けるキャラ」みたいなことを言っていて、いやーついに政治家を語る時にも「基幹市場」なんて言葉を使う時代になったか。いよいよ政治家も商品か。と感心したものだが、本作にはそういうことに対する憤懣がたぎっているよう感じられた。

 あれは5月の総選挙直前。ある新聞が、労働党のミリバンド前党首が間抜けな顔をしてベーコンサンドウィッチを食べている写真を一面に大アップで掲げ、「こんな不細工な男が首相になってもいいのか」と言わんばかりのアンチ・キャンペーンを張った。これに激怒したのがコメディアンのラッセル・ブランドで、「顔の美醜をどうこうしてメディアが選挙前に世論操作しようとするようなアホな時代が来たか」と嘆き、「投票しない主義」から劇的なUターンを果たして労働党支持に回った。一部の英国の若者たちは、自分が変な顔をしてサンドウィッチを食べているセルフィー画像を続々とツイッターに投稿してミリバンドを擁護した。

 が、ジェイソンにはそういう慈悲心はなかったようだ。ミリバンドもまた、まるで保守党のような政策しか打ち出さない「基幹市場」向けに売り出された(で、売れなかったが)商品だったからだ。商品だからこそリカちゃん人形のように顔をどうこうされる。

 ミリバンドが不細工だといじめられた
 それがどうだってんだ
 あの甲高い声のクソたれが
 国をズタズタにしようとしているのは見え見え 
            “In Quiet Streets”

 エスタブリッシュメント政治に対するカウンターになる党。なんつうことを言って10年前には市民を期待させた(ブライアン・イーノまで期待させた)自由民主党のニック・クレッグが、つるっと5年前に保守党と連立を組んで政権に就き、エリーティズム全開の政治を行ってきたことへの恨みもジェイソンは忘れていない。

 ニック・クレッグはもう一度チャンスが欲しいとよ
 はあ?               
             “Face to Faces”

 現在の英国で、総選挙について歌ったりするのは彼らぐらいのものだ。いつも卑語を連発し飲んだくれているようなイメージだが、彼らはいまどき珍しいほどストレートに政治的だ(最近のインタヴューを読むと、ジェイソンは選挙でみどりの党に入れたそうだが、結果を見て労働党に入れるべきだったと後悔している)。

 昨年まで地方公務員だったジェイソンが、何の部署で働いていたのかわたしは最近ようやく知った。ノッティンガム・ポスト紙のインタヴューを読むと「ベネフィッツ・アドバイザー」だったそうだ。要するに、生活保護や障害者手当などを受けに来る市民の相談窓口に座っていたらしい(ちょっと職安で働いていたイアン・カーティスを思い出させる)。ということは、彼も、拙著『アナキズム・イン・ザ・UK』の後半に登場するような人びとと日々まみれながら、物凄くムカついたり嫌な気分になったりしながら働いていた筈である。5年前に保守党が緊縮政策をはじめてからは、英国の役所でも相談者を追い返す水際作戦が展開されているようなので、ジェイソンもそんなことをしていたのかもしれない。

 何もせずに貰える金だぜ、兄ちゃん
 ただこのフォームに記入するんだ
 できなければ助けてやるから       
                “Face to Faces”

 あの世界で働いた人間は、政治について考えてしまうだろう。それはよくわかる。
 破天荒。とか、やさぐれ。とかいうより、わたしには彼らの音楽はやけに真摯に聞こえるのだが、なるほどな。と思った。

          ******

 音楽的には前作から大きく飛躍して、とかいうタイプの人びとではないので、安定のスリーフォード・サウンドだ。“Tarantula Deadly Cargo”を聴いてThe Fallの『Dragnet』とかを思い出してしまうのはやはりわたしが高齢者だからなんだろうが、アンドリュー・ファーンのトラックを聴いていると、70年代パンクのバンドがイントロのべースとドラムだけを延々と続けているというか、普通はその部分は数秒で終わってすぐにギターがぎゃーんと派手に入って来るものなのに、いつまで経ってもそれが入ってこない、みたいな、リズム隊だけがループ反復するアンチ・カタルシス感はアンチ・パンクみたいだ。

 まあでも、70年代パンクなんてのも大いなるカタルシスを約束しているように見えたがほんとは全然くれなかったムーヴメントだし、プロによるロックやパンクはいまでも、そこでギターがぎゃーんと入って来て、的な古典的形態を保って「基幹市場」に売り出されているが、餅屋が焼いてない餅こそがパンクでもあったのだ。
 そんなわかりきった展開でKey Marketsをなめくさるなよ。という動きがUK政治では盛り上がってるんだが、音楽はどうなるんだろうなあと思って見ている。

Special Talk:OLIVE OIL×K-BOMB - ele-king


OLIVE OIL
ISLAND BAL

BLACK SMOKER

Hip HopExperimental

Amazon

OLIVE OILが7月にBLACKSMOKERから発表したソロ・アルバムのタイトル『ISLAND BAL』は、「島の居酒屋」とでも直訳できるだろうか。このOLIVE OILとK-BOMBという盟友同士の対談を読むと、「島の居酒屋」というタイトルがしっくりくるように思えてくる。もちろんOLIVE OIL×POPY OIL兄弟が徳之島出身で、福岡在住である事実とも関係している。

  だが、「島の居酒屋」がしっくりくるのはそれだけではない。OLIVE OIL×POPY OIL兄弟にしろ、K-BOMBにしろ、旅芸人のように全国津々浦々を渡り歩き、各地のありとあらゆる“シマ”での壮絶なライヴと、変態、変人、強者たちとの交流、そして連日の豪快な遊びを通じてセンスと感性と変態性にさらに磨きをかけ、それらを原動力に大量のビートやラップ、映像や絵を、まるでメシを食い、酒を飲み、セックスをし、風呂に入るのと同じような感覚で日夜吐き出していっているようだ。

  『ISLAND BAL』はそういう彼らの交流と日常的実験のレポートだ。それゆえに音と生活の距離がとても近く感じる。ビート集的側面が強いものの、OLIVE OILは、OMSB、K-BOMB、FREEZE、KOJOE、5lackといった、長年親交を深めてきた全国各地のラッパーの既発のヴァースと新たなビートを組み合わせ、再構築することで最新のラップ・ミュージックを作り上げてもいる。また、OLIVEが今年、金沢で出会ったaddginjahzzというグループのラッパー二人をゲストに招いている。

  音と生活の距離が近い、つまりここで聴ける“肉感的なビート”は、本作のライナーで白石裕一朗(AZZURRO)氏が書いている通り、OLIVE OILが2011年からメインの制作機材をNATIVE INSTRUMENTSのMaschineに変えたことも大きく関係しているのだろう。ジャケットのコラージュは、KILLER-BONGとPOPY OILの合作によるものだ。

  さて、長年の付き合いとなるOLIVE OILとK-BOMBだが、おそらくこれほどまとまった分量の対談記事は初公開と思われる。対談とはいえ、この二人の対話である……まずは恒例となる二人の出会いのエピソードから訊いた。POPY OIL、JUBEも同席して行われた、彼らのはちゃめちゃで、ルーディで、時に驚くほど核心をつくトークをお送りしましょう。

福岡の焼き鳥屋では会計の金額がすごいことになってた。──OLIVE OIL

金の使い方もなんか似てるんだよね。無くなるまで金を使い過ぎちゃう感じ。メシ、頼み過ぎちゃう感じとかね。ははっ。──K-BOMB

OLIVEさんとK-BOMBの出会いは?

K-BOMB:当時はCD-Rを売ってる人があんまりいなかった。CD-Rがビジネスとしてまだ成り立たない頃だよ。

OLIVE OIL:たしかにそう。

2000年代初頭から中盤ぐらいですかね。

K-BOMB:オレはCD-Rで作品を大量に作ってた。で、あるときCHU(INNER SCIENCE)からCD-Rを売れる店があるって教えてもらったのがWENODだったんだ。

OLIVE OIL:CD-R売ってたっすね。WENODに売ってもらってた。

K-BOMB:だから、「オレの他にCD-Rとか売るヤツいるのか?」ってWENODに訊いたら、「いますよ」と。それでOLIVEの作品を聴いたらさ、斬新で最新で歌い辛い感じでたまんないと。そのころトラック作ってくれるいい人を探してたところだったから、すぐにでも会いたかった。そうしたら、「来週(東京に)来ますよ」とまた教えられて、すぐに会った。オレ側のニュアンスとしてはそんな感じさ。

それってどれぐらいの時期ですか?

OLIVE OIL:2006年ぐらいですかね。

K-BOMB:どうなんだろうね。もうね、2000年代に入っちゃうと、オレ、わかんなくなっちゃうんだよ。オレのなかじゃあ、新しいことなんだけどさ、でももう10年ぐらい経ってるっていうことだからさ。ちょっと時空が捻じ曲がっちゃってる。季節感を感じないね。でも、そうなのかもしれない。気持ち的には1980年代ぐらいに会ってるような感じだよね。

OLIVE OIL:ははは。

K-BOMB:初めて会ったのはUNITでのライヴかな? いや、違うか?

OLIVE OIL:WENOD(当時店舗は恵比寿にあった)の近くの神社の裏のバーで会った気がする。

K-BOMB:だいたい年数適当のオレだからさ。1989年の夏、ニューヨークで会ったってことだね。

OLIVE OIL:ははははははははっはーはぁ。

福岡でWENODの神長(健二郎)さんも同席して、OLIVE OIL、POPY OIL、THINK TANKが初対面したという話を聞いたことがありますが、違いますか?

(※2007年11月23日にWILD RIDEというイベントがEARLY BELIVERSで開催。THINK TANKが福岡で初ライヴを行っている。OLIVE OIL、RAMB CAMPらも出演)

OLIVE OIL:そうそう。福岡の焼鳥屋で会いました。THINK TANKが初めて福岡でライヴしたときだ。

K-BOMB:えーーーーーー!? まじで? オレはファースト・コンタクトは恵比寿だと思う。恵比寿で仲良くなって、福岡に行ったはず。だってさ、いきなりさ、知らない人とオレがそんな風に飲むってことないんじゃない? それまで人とメシとかたぶん食いに行ったことなかった。OLIVEと初めてぐらいの勢いで行ったんじゃないかな? 芋の水割りもそれまで飲んだことなかった。だからそれぐらい古い関係だし、OLIVEと出会ってオレ自身の芋がもう捻じ曲げられた。

その福岡の焼鳥屋での出会いが壮絶だったらしいと。

K-BOMB:壮絶だよ、常に。

OLIVE OIL:うちらが店に着いたら、小上がりの座敷でTHINK TANKのメンバーみんなが横になって寛いじゃってた。

K-BOMB:オレたちね、すぐ寛いじゃうタイプだから。

たしか神長さんが両者の間を取り持って、その場で意気投合して、途中で神長さんは「もう任せたよ」って先に消えたみたいな話を聞いたことがある。それは恵比寿なのかな。

K-BOMB:意気投合系だね。

OLIVE OIL:うん。福岡の焼き鳥屋では会計の金額がすごいことになってた。

K-BOMB:金の使い方もなんか似てるんだよね。無くなるまで金を使い過ぎちゃう感じ。メシ、頼み過ぎちゃう感じとかね。ははっ。

[[SplitPage]]

それはOLIVEに常にある雰囲気で、OLIVEはいろいろ絡ませていくからさ。民謡とジャズとか、民謡とヒップホップとか。ひねくれてるのさ。──K-BOMB

オリエンタルな雰囲気や日本昔ばなし的な雰囲気を出したかった。──OLIVE OIL

いずれにせよ、WENODがK-BOMBとOLIVE OILをつなげたことは間違いなさそうですね。K-BOMBとTHINK TANKは最初どういう印象でした?

OLIVE OIL:すげぇ恐い。

K-BOMB:まじで? やだな

OLIVE OIL:だって、全員寝てるわけですよ。畳の部屋で。

K-BOMB:畳だと、オレたち寝ちゃうんだよ可愛い感じで。椅子だと、オレたち野菜とか投げ合っちゃうからさ。

OLIVE OIL:あ、思い出した! そのとき、K-BOMBに「EL NINO(OLIVE OIL×FREEZ)やってるでしょ? オレたちは1997年からEL NINOってイベントをやってるからね」って言われた。

はははは。同じ名前だったから対抗してきたんですね(笑)。

K-BOMB:対抗してきたんだよ。

JUBE:その感じは変わってないよね。いまでも気に入った人物に対抗心むき出しのときたまにみるよ。

OLIVEさんとFREEZさんのEL NINOよりも前から、BLACKSMOKERは同じ名前のパーティをやっていると。EL NINOって1997年からやってたんですね?

K-BOMB:そうだね。たしかOrgan Barで毎週火曜日やってた。イカレたことをやってたよね。

OLIVE OIL:まあ、そういう会話からはじまって、「じゃあ乾杯しよう」と。そしたら、K-BOMBが「魔王って酒があるけど、そこには大魔王ってのがある。もっとこっちのほうが悪いんだろ?」って大魔王という酒を選んだのをよく憶えてる。あれウケたな。

K-BOMB:俺、大魔王のせーでその後、寝ながらLIVEした気がする。

JUBE:たしかに

POPY OIL:僕らが当時福岡でやっていたダダイズムっていうイベントの時にいつも迎えに来てくれる後輩の車のなかでは常にTHINK TANKとK-BOMB、BLACKSMOKERの音楽がかかっていた。

OLIVE OIL:自分は1997年にアメリカに行って、2002年に帰国したんだけど、当時、日本にいる変態系の人たちのビートをすげぇ探してた。福岡でその後輩のキョムってヤツに知り合って、その流れでTHINK TANKとか、全部教えてもらった。

ただ、OLIVEさんとK-BOMBで一緒に曲を作るのはそれから少し先ですよね。

OLIVE OIL:K-BOMBから「TRIPLE SIXXX」(CDは2010年発売。アナログ第一弾は2008年)に入ってる曲のアカペラを直でもらったのが最初だと思う。「BPMもわからないから」って言われて、すげぇ困った思い出がある。

K-BOMB:OLIVE OILは「BPMないんじゃないかな?」っていうのあるじゃない。出来そうだなっていう。ビートが揺れてるからさ。揺れてると、BPMが3ぐらい稼げるような気がするんだ。どこの位置にもコンテンツがあるから、リディムが出るっていうかさ。わかるでしょ? 乾いてると的確に叩かなきゃいけないけど、揺れてると的確な部分の幅が広がるっていうね。

OLIVE OIL:「TRIPLE SIXXX」の「Mr.KATO」が最初ですね。

「Mr.KATO」にはFREEZさんも参加してますね。

OLIVE OIL:EL NINOでちょうど作ってる最中とかだったからね。

K-BOMB:だってさ、あの時期は福岡にライヴしに行くと、次の日の昼からさ、CLUB BASEにベニヤ板みたいなの貼って、「さあ、やりましょう」ってRECがはじまるんだ。もう絶対なんだよ。二日酔いで録らされる。オレはその場でビートを聴いて、リリック書いて、2、3曲録ったりしてさ。そうやって作った曲で世のなかに出てない曲とかいっぱいあるわけ。人の家の二段ベッドの上で正座して歌った歌とか出てないんだ。

OLIVEさんの自宅兼スタジオで録ったりはしなかったんですか?

OLIVE OIL:いや。

K-BOMB:家じゃ録らないよ。もうね、ゲトー団地みたいなところがあるわけよ。福岡からちょっと行ったらさ。「オレは人の家は嫌だよ」つってんのに、車に乗って行ったらもうそこだよね。強制的なんだね、いつも。オレ、人の家は嫌だから、しばらく川歩いてたよ。

OLIVE OIL:川、歩いてた(笑)。

K-BOMB:川歩いてたら、子供たちが魚獲ってて、オレもそれに参加して良い気分になったね。

OLIVEさんがK-BOMBをRECに誘うと。

K-BOMB:いや、みんなでオレを騙すんだよ。

OLIVE OIL:たしかそのときはFREEZの計画だった。

K-BOMB:そう。仲良いから、オレのことわかって来ちゃってたんだろうね。この人に「録音しましょう」って言ったら、「絶対行かない」って言われるから、黙って連れていかれる。「おいしいもの食べたくないですか?」「食べたいね」と。そうやって釣り出されてる。完全に拉致られてる。そうしたら、いつの間にか録ってる。

RECするのが習慣っていうか日常的でスピードが速いんですね。

OLIVE OIL:そうっすね。

K-BOMB:CLUB BASEがあったときはあそこで名作はだいたい録ってるよ。

OLIVE OIL:たしかに。全部あそこかGREENHOUSEで録ってる。

CLUB BASEで生まれた作品には例えば何がありますか?

K-BOMB:RAMB CAMPとTHE LEFTYの曲とかもそうだ。

RAMB CAMP / REBEL MUSIC feat. THE LEFTY (K-BOMB, JUBE)

RAMB CAMPのアルバムとかもそうなんですか?

OLIVE OIL:そうそうそう。

K-BOMB:福岡のラッパーはだいたいあそこで録ってたんじゃないか? 自然にエコーかかっちゃってるの、広いからさ。普通のヴォーカル・ブースより明らかにデカくて、何人もブースにいるっていう感じさ。THINK TANKの録り方と似てるよね。喋り声とか入っちゃってる感じで、アカペラとか聴くとおもしろそうだな。「芋の水割りくれる?」みたいな話し声が入っちゃってんだと思うよ。

ふふふ。

K-BOMB:夕方ぐらいから録りはじめて、それでまた飲んで、次の日にライヴやDJやったりして、福岡に何日もいちゃうんだ。だから、だいたい二日目とか三日目から、オレに付き合えなくなってくる人いるけどね。なんかもう、ゲッソリして、胃液の匂いがプンプンするヤツとか。ははははは。三日とか付き合えるヤツ、なかなかいない。POPY OILぐらいだ。OLIVE OILは上手いこと「違うビジネスがあるんで」って会わない時間が長い。

OLIVE OIL:その三日間でZORJIが痩せていく(笑)。

K-BOMB:そうだね。

そういう録音作業の原点というか、はじまりが「TRIPLE SIXXX」の「Mr.KATO」だったと。

OLIVE OIL:そう。

[[SplitPage]]

福岡にはビートメイカーも多い。CRДMとかLAF とかさ。ラッパーだとREIDAMとか。そういう世代が盛り上がってる感じがする。──OLIVE OIL

OLIVEのせーだ。福岡最高なんだっ。──K-BOMB


OLIVE OIL
ISLAND BAL

BLACK SMOKER

Hip HopExperimental

Amazon

K-BOMBから見て、OLIVEさんとPOPYさんっていうのはどういう人物ですか?

K-BOMB:オレはこの兄弟と1ヶ月に1回……いやもっと会うときもある。いろんな地方で会うんだ。8月もだいたい一緒にいたりとかするしさ。だからもう家族のよーに過ごしてる。オレは朝早く起きて全員分の洗濯とかしてるよ、OLIVEの家で。風呂も入ってる。

OLIVE OIL:ふふふふふふふ。

K-BOMB:この兄弟はもう天才で、音と映像とアートを兄弟で出来てるっていうのもスゴイけど、普通にワールドクラスのレベルなんだ。だから、近づきたかったっていうのはあるよね。よく解読できないレベルっていうのかな。だいたいオレ、解読できるからさ。だからライバルだし、ファンだし、友人だし、ファミリー的な感じだ。深い感じだと思う。教えてもらうことも多いから。

何を教えてもらうんですか?

K-BOMB:芋の水割りとか音の鳴りとかも教えてもらう。ところで最近、野菜食べてないか?

OLIVE OIL:いや食べてませんよ

ふたりからすると、K-BOMBのファースト・インプレッションは?

OLIVE OIL:そういう人間がいると思わない人物。「そういう人、いるの?!」と驚くような人物だった。

POPY OIL:ライヴでドレッドを片手に持ちながら、片手でパッドを叩いている姿を初めて見て、野生の要素と都会の要素を両方併せ持つ、超越している人物だと感じた。

K-BOMB:オレもこの兄弟に野性的なのもと都会的なものを感じたよね。よく言われがちな“黒い音”とかじゃなくてさ。黒いけど、その黒いとは違うんだ。ポップで、メロディアスで、オレの好みなんだ。

ノイズもあるし、ポップもある。

K-BOMB:あるあるある。質感を感じたよね。

OLIVEさんが海外から帰って来てFREEZさんと会ったときに、日本人離れした野太いラップが出来るラッパーだったから、彼とは一緒にできると確信したというような話をしてくれたことがあります。

OLIVE OIL:そう。オレはエイフェックス・ツインやスクエアプッシャーも好きだったけど、90年代ヒップホップのスタイルをもって、徹底して8、16、24という偶数小節でラップしていくFREEZくんとやることで、ヒップホップのスタイルに自分の音楽を落とし込んでいった。そういう音楽を作っていたときに、今度はK-BOMBがオレの目の前に突如現れた。



K-BOMB:ふふっ。

OLIVE OIL:ラッパーなのに「1小節飛ばしてくれ」とか言われて、「やっべぇなあ」と感じた。

ヒップホップとラップのルールを知りながらそのルールを無視して、それでも王道のラッパーのかっこよさがある。そういうことですか?

OLIVE OIL:そうそう。だから、K-BOMBが3だったり、5だったり、7という奇数小節でラップしていくことに驚いた。

K-BOMB:でもそれはワザとじゃないんだ。同じ歌を同じトラックで歌っても1回目は8だけど、2回目が8とは限らないんだね。ラップを小節数で書いたことがないんだ。それが何なのかオレはまだわからない。感情がこもってくると小節数も変わって来る。感情がこもってなくても変わって来るし、かっこつけても変わって来る。かっこつけながら感情込めても変わって来るしさ。

JUBE:オレが数えたりするからね。でもやっぱり数えられない。4、4、4、1みたいに1が入ってきて、次6とか。挙句に頼りにしてたループはなくなって闇へと誘い込む。お手上げですよ。

K-BOMB:それがわからないんだよ。いいと思うものがそういうBPMだったり、そういう拍子だったりするのかもしれないね。サンプリングする時点でオレはもうそう感じてるよね。これはもう打ち難いっていう、そういうのが大好きだ。ゴールデンループっていうワザがあるからね。

ゴールデンループ?

K-BOMB:何日もそのループをかけっぱなしにしてて厭きないものさ。それがゴールデンループ。やっぱ最高なんだよね。OLIVE OILの聴き方さ。

OLIVE OIL:それは最高。

K-BOMB:名曲っていうのはさ、厭きちゃいけないよな。三日間ぐらいかけてても厭きない。ゴールデンっていうのは裏から入って来たりするものなんだよ。ゴールデンをさらに料理するのってすごい難しくて、ワザとらしくなっちゃたりとかするし、ストレートに行くのは誰しもやる手法なんだ。

『ISLAND BAL』には多彩でユニークなビートがあります。“HENCA”という民謡風の曲なんかもありますね。

K-BOMB:それはOLIVEに常にある雰囲気で、OLIVEはいろいろ絡ませていくからさ。民謡とジャズとか、民謡とヒップホップとか。ひねくれてるのさ。

OLIVE OIL:オリエンタルな雰囲気や日本昔ばなし的な雰囲気を出したかった。

K-BOMB:良いネタが入ったら良い曲が出来るっていうのは当たり前なんだけど、そのネタやモノの処理の仕方で変わってくる。絶対に誰しもが通る道っていうのは360度ぐらいあって、その雰囲気っていうのは誰しもが求めてる。OLIVEはそういうのを散らしてる感じがするけどね。それが技術なんだと思う。音の癖みたいなのを持っててさ。たとえば、だいたいヒップホップのビートメイカーはスネアやキックに重きを置くけど、OLIVEはハットに置いてたりとかさ。

OLIVE OIL:ハット、デカめですね。

K-BOMB:デカいと普通は耳が痛くなる。それが痛くならないとかさ。ちょっとよく聴いてみた方がいい他の人が置いてる重点と全然違うんだ。キックとかもさ、輪郭っていうよりベースに近いようなさ。

うんうん。

K-BOMB:ねぇ。丸い感じの。

OLIVE OIL:ブーン。マルチョーキック 最近食わなくなったけど

K-BOMB:芯っていうよりも周りも持ってる感じだしさ。そこに合うベースっていうのが入ってくる。それはほんとは組み合わせ辛いんだ。

OLIVE OIL:LAでマスタリングしたときに、K-BOMBの曲をスタジオで聴いていたら、TOSHINOBU KUBOTAのエンジニアもやっているアメリカ人が衝撃を受けてて。その様子はミュージック・ヴィデオにも写ってる。

K-BOMB × OLV-OIL / 真夜中のJAZZ

K-BOMB:「真夜中のジャズ」だね。たしかにあのときの彼の動きはTOSHINOBU KUBOTAの曲で踊ってるときとあんまり変わんないかもしれないな。つまり俺はTOSHINOBUなんだ

OLIVE OIL:その場にデリシャス・ヴァイナルのLAJさんも一緒にいて、彼もすげぇ上がっていて、ああいうのが正当な評価だと思う。

K-BOMB:それはビートが良かったから。「真夜中のジャズ」はOLIVEがミュージック・ヴィデオも作ってる。最近、OLIVEはシュールで恐い絵も描くし、いろんなセンスがあるんだ。オレたちの仕事を奪おうとしてるんだ。ふふっ。メシを作るの上手いしさ。そういう凡人離れしてるのはあるよね。

今回のアルバムに参加してるaddginjahzzは誰ですか?

OLIVE OIL:5lack世代ですよね。

K-BOMB:それはやっぱり最高の時期だね。OLIVEは同じ現場でいいと思った人とはやってるね。BIGIz'MAFIAとか名作がもうぞろぞろあるよ。

addginjahzz、ラップの訛りがおもしろいですね。

K-BOMB:このグループ、すごいいいね。声のバランスがいい。

彼らとはどういう出会いだったんですか?

OLIVE OIL:ちょっと前に金沢にライヴしに行ったときに会った。彼らすげぇ喜んでた。「BLACKSOKERから出すアルバムに曲が入っちゃうけど、大丈夫?」って言ったとき、「えええっ?!」って。

K-BOMB:よし、今度みんなで金沢に行こう! OLIVEが作って、光シージャーがかけて、ジャンルを超えてくみたいなパターンいっぱいあるんだ。シージャーがさ、BLACKSOKERの服ばっか着過ぎて、シルエットが俺と一緒みたいなときとかあるからね。

OLIVE OIL:それと福岡に最近Transform(https://transform.website/)って新しいクラブ、バーができた。

K-BOMB:朋晃(ツキツキニッコウ)のところだ。あっこいいよ。どんどんよくなってくるんじゃないかな

OLIVE OIL:福岡にはビートメイカーも多い。CRДMとかLAF とかさ。ラッパーだとREIDAMとか。そういう世代が盛り上がってる感じがする。

K-BOMB:OLIVEのせーだ。福岡最高なんだっ。

今後の話も訊きたいですけど、どうですか?

OLIVE OIL:今後はツアーしたいですね。ライヴをしたい。でもわかんない。もしかしたら作っちゃう可能性も高いから。でもリリースしたり、マスタリング済の音があるから、そういうのを持ってあちこち回るのがいいかもしれない。

K-BOMBはどうですか?

K-BOMB:これからのことはわからないよ。絵の仕事をやんなきゃいけないし、アルバムも作りたいなと思ってるけど、年々CD-Rも出すのが少なくなるぐらい時間がなくなってきちゃってさ。自分の課題がまったくこなせてないから、もっと厳しくしたいね、自分に。

OLIVE OIL:ふふふ。

真面目だ(笑)。

K-BOMB:俺はいつでも真面目さ。。。そろそろ旅行でもしてアルバムつくろーかな。

OLIVE OIL:あーぜひ事務所にもよってください。おいしいもの食べに行きましょう。

K-BOMB:いいね~ おいしいもの食べて……えっ? それって……ふふふ、それは高いよ。

BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS
ELNINO

8/29(SAT) at clubasia 23:00-
ACT
KILLER-BONG JUBE BABA YAZI CHEE13 OLIVE OIL
5lack punpee OMSB Hi’spec peepow ROKAPENIS KLEPTOMANIAC
BUN LUVRAW Cocktail Boyz L?K?O VIZZA JOMO LIBERATE TISHIT
and more

DJ BISON Show - ele-king

 DJ BISON (SEMINISHUKEI / FOOT CLUB / THE INVADERS )はダイナミックにチェックするべきDJだ。
 家で遊んでいれば、全く知らない素晴らしい音源からどうでもよい面白い音源まで自分のワードで面白く紹介してくれる。DJでは、なかば未知の領域か大胆に取り出して来たような音源をPLAYしたかと思えば、丁寧にストーリーを繋げていく。
 現在少し更新が止まっているが、BISONが最新のヒップホップを紡ぐ、ばっちりと誰に対しても提出できるミックス日記のような「DJ BISON MIXSHOW」を一度聴いて頂ければ、その魅力の片鱗は伝わるはずだ。
 そんなDJ BISONのMIXと言葉とともにベイエリアの最重要アーティストのひとりを紹介したい。

SHAHEED AKBAR a.k.a "The Jacka" 
8.12.77 ~ 2.2.2015 mob in peace
TEXT : DJ BISON with COTTON DOPE

 ──サンフランシスコ ベイエリアのフッドを代表するラッパー、Dominic“THE Jacka" NEWTONがカリフォルニアのイーストオークランドで殺害される。享年37歳──(2015年2月12日)

 その少し前にASAP YAMSが死んでいる(2015年1月18日 )。国内のメディアはそればかりを取り上げていて、海外のメディアを見に行かないと情報がまるで入ってこなかったように記憶している。
 海を渡ったアメリカでは、all coastで彼の死を偲んでいた。西はE-40,東はCORMEGA、東西のアンダーグラウンドのキングと言えるこのふたりが一早く反応していた。これだけで、どれだけのアーティストから “The Jacka" というラッパーがリスペクトされていたのかが伝わるだろう。
 ベイエリアのヒップホップの偉大なる代表者。
 “The Jacka"
 そんな彼は何者なのか。
 一言で表すならば「ベイエリアのラップヒーロー」だ。

 ──RAP HERO。この言い回しは海外のメディアがJACKAを評する時には必ずと言っていい程でてくる言葉だ──
 その短くはないキャリアのなかでリリースした作品のどれもが高いクウォリティを誇っている。

------------
●2001: Jacka of the Mob Figaz
●2005: The Jack Artist
●2006: Jack of All Trades
●2008: The Street Album (U.S. R&B #80[7])
●2009: Tear Gas (U.S. #93[8])
●2010: Broad Daylight
●2011: Flight Risk (U.S. R&B #70)
●2011: We Mafia
●2011: The Indictment
●2012: The Verdict
●2012: The Sentence
●2013: The Appeal
●2013: Murder Weapon (TBA)[9]
●2014: What Happened To The World (Street Album)
------------
 ディスコグラフィーを見ると2010年以降のソロ作品のリリースの多さに驚かされるが、それだけにとどまらず、リリースしているMIXTAPE、客演仕事まで入れると到底数え切れないほどのworks量。そして数に比例して質を落とす事無く“The Jacka " はラップヒーローとして完璧な仕事をこなす。
 哀愁漂うtrackにのせ歌うように囁くように淡々とラップするそのスタイルはベイエリアの空気を東海岸まで運ぶかのようだ。良く 「冬に聞くNYスタイルは最高」という言葉を聞くが、そう思っている人は是非聞いていただきたい。The Jackaはやばい。
 亡くなってなおリリースされ続ける自身の作品、客演作品の数にはおどろかされる。7月にも、Tina - Blanco featuring Messy Marv, Husalah, & The Jackaなんてヴィデオが公開されている。 (https://youtu.be/7PvPe5b-tyQ) 

 現在のヒップホップはフリーダウンロードのミックステープが中心になっている。そのなかで、ギャングスタ・ラップとカテゴリーされるアーティストの作品はi-Tunesでひっそりとリリースされている作品が多く、その作品を知る機会は決して多くはない。
  本物の良質なベイエリアのラップが聴きたかったら“The Jacka"。
 そして、彼がやっていたレーベル〈The Artist Records〉とそれに所属するアーティスト達はどれも素晴らしい作品を現在進行形で作り続けている。
 ベイエリアのシーンをに興味を持ったのであれば、The Jackaとそのフッドの音楽を覗いてみて欲しい。ここにはヒップホップの現在のまた違う姿が存在する。

Vince Staples - ele-king

 トレイヴォン・マーヴィン射殺事件やファーガソン事件など、フレイヴァー・フレイヴの時計はこのところ勢いをつけて逆回転を続けている。時計の針は50年前のロング・ホット・サマーまで戻るのか、それとも150年前の南北戦争まで後退してしまうのか。今年、5月にはやはりフレディ・グレイが警官に射殺され、ストリーミング・サイトからあらゆる音源を引き上げるなどインターネットとの相性の悪さを強調してきたプリンスがデモ隊を応援するために珍しく“ボルティモア”をサウンドクラウドにアップ、当地でのライヴの模様をジェイ・Zのサイト、タイダルからフリーで中継し、グレイの名にちなんで灰色の衣装を着込んだりしていた (プリンスとの共同作業を喜んだジェイ・Zとビヨンセは同時に遺族の元を訪問も)。

 6月にはサウス・カロライナ州にある黒人たちの教会で9人がディラン・ルーフ容疑者(21歳)によって射殺。州境で逮捕されたルーフの車には南部連合の旗が取り付けられてあったために、公共の建物から南軍旗を引き摺り下ろせという声が広がった。この動きに過剰反応を示した元KKKのメンバーがミズーリ州など近隣の州でも黒人たちの教会に火をつけるという騒ぎが相次ぎ(そのうちのひとつは後に自然発火と判明)、サウス・カロライナ 州議会の建物から南部旗が撤去された後も、モダンKKKとアメリカのしばき隊みたいな人たち合わせて2000人余が衝突、5人以上が逮捕されている。その後もサンドラ・ブランド、サミュエル・デュボーズと黒人の射殺事件は全米各地でいまだ途絶えず、いま、アメリカでは「BLACK LIVES MATTER」(黒人たちの命も大事)というプラカードが掲げられることが増えてきた。あるいは「ザ・ブラック・ライヴス・マター」ムーヴメントの発端は アリシア・ガーザ、パトリス・カラーズ、オパル・トメティによって提唱された明確な政治運動で、8月5日現在、23人の死者を対象としたものだともされている(詳しくは→https://en.wikipedia.org/wiki/Black_Lives_Matter

 このような時代のサウンドトラックは明らかにケンドリック・ラマーだろう。クリーヴランドでは6月に警察のいやがらせをテーマとしたラマーの“オールライト”をデモ隊が合唱し、クリス・ロックが監督した『トップ・ファイヴ』のDVD特典の映像を観ると、ラマーの登場が時代の差を表す象徴のように言及されているシーンもあった(「トップ・ファイヴ」という「タイトルは黒人の男たちが集まるとラッパーのベスト5は誰かを言い争うことが多いことからつけられている。同じく特典映像ではティナ・フェイのシット・コム『30ロック』で名を挙げたコメディアン、トレイシー・モーガンが1位にエミネムの名を挙げ、みんなから大ブーイングを受けるシーンもおもしろい。ちなみに同作のエグゼクティヴ・プロデューサーがまたジェイ・Zとカニエ・ウエストだったり)。

 ……と、ここまで書いてきてなんだけど、僕はどうもケンドリック・ラマーのサウンドが苦手である。同じウエスト・サイドでも笑いを忘れたディジタル・アンダーグラウンドにしか聴こえず、あまり長くは楽しめない。趣味の問題なのでディスりたいわけではないし、盛り上がれる人はそれでいいと思うんだけど、代わりに僕の耳に飛び込んできたのは同じカリフォルニアでもヴィンス・ステイプルズ。すでにオッド・フューチャーの準メンバーのように扱われ、「目標は音楽で人々を不快にさせること」という発言が物議を呼んだこともある。そして、昨年、サウンドパトロールで取り上げた「ブルー・スエード」がすでにして片鱗を漂わせていたものの、思ったより早く届けられたデビュー・アルバムではヴァージン・プルーンズを思わせるエソテリックなサウンド・ループがこれでもかと咲き乱れていた。なんとも呪術的な“ノーフ・ノーフ”やトライバルというにはあまりにオドロオドロしい“ドープマン”など、ヒップ・ホップのプロパーじゃないから楽しめるのかなと思うほど、メインストリームでは見当たらないサウンド・プロダクションばかりが並んでいる。闇の中を蠢くような“ブライズ&ビーズ” のベースラインもじつにカッコいい。アルバム全体を少しばかりスクリュードさせたユーチューブのヴァージョンもけっこうハマる。

 英語で書かれたレヴューを読むと、しかし、「アイス・キューブの再来」などと書いている人もいたので、あれ、もしかすると、コンシャスというにはあまりに暴力的ながら、ファーガソン事件のことにも言及してるみたいだし、ケンドリック・ラマーからものスゴく遠いところにいるわけではないのかもしれない。歌詞カードどころか盤には曲名も記載されていないので、よくわからない。調べてみると生い立ちはかなり悲惨。墓場で流れているようなサウンドにはそれなりの理由がべったりと貼り付いているのかも。


jitsumitsu - ele-king

夏、涼しく暗い所で聞きたい曲10選(順不同)

弓J (S) - ele-king

Moody Summer 10

Hug_Life - ele-king

 国立競技場といわず、東京全体に屋根をつけて欲しい~。いっそのことドームで覆ってエアコンも付けて欲しい~。暑い~。他国に先制攻撃がで きる費用があったら、未来に投資しろ、バカたれ~、つーか、この暑いのにみんなでハグをしようと言い出した人たちがいる。マジかー。それは例によって、ヒップホップの人たちだー。それは今度の日曜のことで、笹塚ボウルという場所で、音楽を聴きながらハグでもしようと呼びかけているのだ。本気かー。世の中がギスギスし ているからだと彼らは言う。デモに行って警官とかをハグしたら公務執行妨害で逮捕されてしまうけど、国民同士は仲良くしようぜとか、そういうことなんだろうか。1日だけのハグライフ。会場に着いてみたら実はハゲライフだったという可能性は……出演者にホワイ・シープ?がいないから、それはなさそうだ。ハグだ、ハグ。ハグをしよう。男女問わずハグをしよう!(本当の理念は下のほうに書いてあります)。つーか、出演者の中にはスチャダラアニもいるけど、この日、アニは下北沢の本多劇場で「男子レッツラゴン」の舞台に立ってるはず! 働きすぎりょうたろー。



『#Hug_Life』
2015/8/9(日)
Location: 笹塚ボウル
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚 1-57-10-3F・4F
※京王線・都営新宿線 笹塚駅より徒歩0分
https://sasazukabowl.com/
Start:14:00 - Close:22:00 (17:00以降ボウリング投げ放題)
2,000円 (ボウリング代+シューズ代込み)

[LIVE]
KANDYTOWN
YUNGGUCCIMANE & Cherry Brown
MOUSOU PAGER
(Sir Y.O.K.O.PoLoGod.+showgunn+Kuma the Sureshot)
MC JOE

[DJ]
DJ KENTASAKA
(DJ TASAKA & DJ KENT)
LIEUTENT'S AQUARIUM
(BUSHMIND & DJ HIGHSCHOOL)
JET SEX
(SEX山口 & Lark Chillout)
The Saturn
(Wardaa & イーグル藤田)
Ultramagnetic MD's
(M.U.D.O. & Mista Donut)
植物物語
(ShioriyBradshaw & Baby☆Star)
SPSP[Spellbound Sports]
(BentheAce & Kuma the Sureshot)

[EXCLUSIVE SHOW]
Donuts Disco Deluxe
(ANI, ロボ宙 & AFRA)

[HUG MATCH]
Threepee Boys vs Y2FUNX

[VJ]
Platina Disco

[SHOP ]
HUG HOUSE
(森光光子+Sir Y.O.K.O.PoLoGod.)
HUG RECORDS
(COCONUTSDISK YOYOGI)

[FIRST COME, FIRST SERVED]
当日特典として、先着30名様に『#Hug_Life Vol.2 mixed by Lark Chillout』 (MIXCD)、先着100名様にV.A.『#Hug_Life Volume 1』(CD-R)をプレゼント! オープンからお越し頂けますとMIXCDとコンピレーションCD-Rの両方をゲット出 来ます!是非早めの時間からご来場下さい!お待ちしております!

[SPECIAL MENU]
HUG CHICKEN
#Hug_Life スペシャルとして、笹塚ボウル名物「ササボバーガー」に次ぐ渾身の フードメニューが登場!普段は別々のメニューで提供されている2つの味が、1枚 のプレー トで同時に楽しめる「HUG CHICKEN」として、8/9ハグの日限定で登場 します。是非ご賞味あれ!

[#Hug_Life is…]
#Hug_Lifeが笹塚ボウルに帰ってくる!!1回目、2回目と異様な盛り上がりでデ イタイムからナイトタイムを彩った#Hug Lifeをもう一度!

世界がどんどん複雑になっていってる感じするよね。目を覆いたくなるような ニュースと、それを取り上げた議論が日常を埋め尽くしてる。そ んな中で今を 生きてるわけなんだけど、心だけでも美しく、温かい気持ちでいるためにスター トしたのがこのパーティーなんだ。

僕らが意味するハグは、決して相手に腕を回す行為のことだけじゃない。チープ でもいいからさ、相手に敬意を持って接して、愛のある気持ち で人と関わり合 おうというパーソナル・スタイルの話なんだ。人が元々持ってる優しさ、それを ちょっと他の人におすそ分けするだけで、まだ 出会ったことのない人と人が繋 がっていくかも知れない。それがまた次の可能性に繋がっていくんだ。

インターネットで地球の裏側の人と知り合うのは簡単だし、それも悪くないよ。 だけど、インターネットの世界に存在する見えない距離を、現 実の世界でちょ こっとでも縮めることができたら…それってドリーミングでクールなことだと 思ってる。だからさ、その距離をみんなと一緒に 縮めて、隔たりを乗り越えて 行きたいんだ。

ハグが苦手、っていうなら無理することなんてない。大好きな音楽で体を揺らし て、敬意と愛情をもって隣にいる人に優しく接するだけでもい い。そんなとて も簡単でシンプルなことすら、完全に忘れてしまっているような人も沢山いるか らね。そうしたちょっとしたマインドの変化 が、どこかを回り回ってループに ループを繰り返して、知らない人達の笑顔を作ってゆく。僕らはそう信じてるんだ。

そんなシンプルだけど大切なテーマを掲げた#Hug_Life の元に、今回もまたとん でもなく豪華な面々が集結してくれたよ。その日限りの超エクスクルーシブなDJ ユニットがBack 2 Back aka Hug 2 Backでフロアに魔法をプイッと掛けてくれた り、これまた豪華なライブ・ラインナップによる、生きた言葉がキミの鼓膜を直 撃したりするよ!ここまで読ん でもらって(なんだか楽しそうだな…!)って 思ってもらえたら嬉しいんだけど、どうかな??

とにかく当日は僕らHug Familiaが真夏のボウリング場を更に熱くさせるって約 束するよ。だからさ…ぜひとも8月9日は笹塚ボウルに来てほしい!ハグで心にフ レンチ Kiss!!勘繰ってないでコッチ来なよ!!!

[TRAILER]
2015/8/9 #Hug_Life @笹塚ボウル trailer


[ATTENTION!]
※場合によっては入場規制を行うこともございます。予めご了承ください。
※パーティー会場は笹塚ボウル3階フロアのみとなります。4階フロアには立ち入 らないようお願い申し上げます。
※ボウリングエリアは全面禁煙です。お煙草は所定の喫煙所でお願いします。
※場内への飲食物の持込はご遠慮願います。
※当店にはお客さま用の駐車場のご用意はございません。なるべく電車、バスを ご利用下さい。
※近隣のご迷惑になりますので、笹塚ボウルの周辺ではなるべく滞留しないよう お願い申し上げます。

[HOSTED by]
Hug Familia


Jan and Riki - ele-king


Jan Shotaro Stigter and Riki Eric Hidaka
Double Happiness in Lonesome China

STEREO RECORDS

 暑い〜、たのむ〜、チルさせてくれ〜……という怠惰な快楽主義者たちには、この夏この日本でもっともサイケデリックなライヴを紹介しよう。先頃、広島のステレオ・レコーズからアルバム『Double Happiness in Lonesome China』(12インチのアナログ盤)をリリース、そのチルアウト満載の鮮やかな幻覚フォーク・サウンドが話題のふたり組、ヤン&リキの滅多にないライヴである!
 8月15日(土)には広島、8月29日(土)には東京。日本にもサン・アロウやソニック・ブームみたいに、あちら側に連れて行ってくれる音をやっているヤツはいないのか? とお探しの人も必見ですよ!

広島公演
日時 8月15日(土)
会場 広島クラブクアトロ
Open19:00 /Start 19:30
(Adv.¥2,500 / Door¥3,000 drink別)
https://www.club-quattro.com/hiroshima/schedule/detail.php?id=4935

東京公演 
日時 8月29日(土)
会場 原宿GALAXY.gingakei
Open 17:30 /Start 18:00
(Doorのみ¥1500+1drink ¥700)
https://www.thegalaxy.jp

Jan (ヤン)
1990年5月4日・東京都出身。GREAT3、jan and naomi、The Silence、Roseなどのグループで活動中。演奏、歌唱、作詞、作曲はもちろん、映像制作やアートワークも手掛けるミュージシャン。jan and naomiはこれまで7inchシングル「A portrait of the artist as young man/time」、EP「jan,naomi are」を発表し、最新作にINO hidefumiと配信ライブアルバム「Crescente Shades (24bit/48kHz)」がある。米・DRAG CITYレーベル よりThe silence 1st album “THE SILENCE” が3月24 日に欧米・日本にてリリース。
https://janphilomela.tumblr.com/
https://twitter.com/1930jan

Riki Hidaka(リキ・ヒダカ)
91年生まれ、ギタリスト。自主制 作のアルバムを今までに3枚発表(いずれも非売品)。14年レコードストアデイにセカンドアルバム「POETRACKS」の12インチを 広島のSTEREO RECORDSからリリース。
https://rikihidaka.com
https://www.stereo-records.com/label/rikihidaka/


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448