「IO」と一致するもの

高岡謙太郎(ライター) - ele-king

HD画質向けミュージック・ビデオ10選

cafe school No.2 開催 - ele-king

「ジェントリフィケーション(gentrification)」ということばをご存知だろうか? 「〔老朽または下層地域などを[が]〕高級(住宅地)化する」という意味の英語の動詞、「gentrify」の名詞形であり、現在のロンドンやニューヨークといった先進国の都市で起こっていることだ。とくにロンドンの例が顕著で、ジェントリフィケーションによる地価の高騰によって、多くのミュージシャンたちがロンドンの、ひいてはUKの外へと活動の拠点を移している。

 東京は、日本は無関係か? いや、そんなことはないだろう。オリンピックによる都市開発によって、老舗のレコード店やクラブが閉店してしまったという知らせは、多くのひとびとを悲しませた。ロンドンがその姿を変えてしまったきっかけのひとつもまたオリンピックである。東京はこれからどうなってしまうのか? またその状況にどうやって抵抗できるのか? 今週土曜、そんな問いに答えるイベントが新宿で開催される。講師は酒井隆隆史と平井玄。抵抗のスペシャリストとともに考えましょう。

interview with Koshiro Hino - ele-king

 昨年のセカンド『Rhythm & Sound』で、goatはオルタナティヴなロック界隈はもとより、クラブ・ミュージック、とくにエクスペリメンタルな志向性のダンス・カルチャー周辺にもその存在感を浸透させつつあるのは、暮れにDJ NOBUの話を訊いたときにも思ったのだった――と、だしぬけの宣伝で恐縮だが、そのインタヴューを収録した『クラブ / インディ・レーベル・ガイドブック』がもうしばらくしたら店頭に並びます。古今東西のクラブ、インディ系のレーベルを国別に総括した類例のないガイドブックで、刺激的な音に目のない親愛なる弊媒体読者にはうってつけであるとともに、この世にはかくも音楽レーベルがなるものがあるかや、と感嘆必至の一冊になったと自負するが、goatの日野浩志郎が運営するレーベル〈birdFriend〉も本書はとりあげている。〈birdFriend〉はフィジカル・リリースにおいてカセットが復権したころあいをみはからった感があるが、レーベルを手がけながらgoatと並行してハードコア・ユニット、ボナンザスを率い、YPY名義でソロ活動にいそしむ日野浩志郎があらたに大編成のプロジェクトを始動すると聞いたのは、本書の入稿を終えたころだった。新プロジェクトはヴァージナル・ヴァリエーションズなる名称で、昨年12月大阪で一度ライヴを行い、今週末の東京で公演は2度めだが、ロック・コンボの可能性をきりつめ、機能性へ反転させた日野浩志郎が、大阪公演よりさらに人数を増やした編成――そのなかにはさきごろ新作をリリースした服部峻らも含む――でなにを志向し、どうおとしこむのか、大阪の日野浩志郎に質問状を送った。これは宣伝ではないどころか、ジャンルを問わず、2016年のもっとも刺激的な音を耳にするまたとないチャンスである、マジで。

■日野浩志郎 / ひの・こうしろう
大阪を拠点として活動するミュージシャン。バンドとしてはgoat、bonanzasのリーダーとして、ソロではYPY名義で名を馳せ、カセットレーベル〈birdFriend〉も主宰する。goatでは2013年にファースト・アルバム『NEW GAMES』、2015年にはセカンド・アルバム『Rhythm & Sound』を、bonanzasでは2枚のライヴ・アルバムにつづいて2013年にファースト・アルバム『BONANZAS』を発表。

クラシック楽器を含めた大編成ユニットの構想は3~4年前くらいからありました。

新プロジェクト「ヴァージナル・ヴァリエーションズ(Virginal Variations)」はどのような経緯で生まれたのでしょう? またヴァージナル・ヴァリエーションズ(以下VV)というグループ名の由来について教えてください。

日野浩志郎(以下日野):アイデアが生まれた具体的なきっかけは憶えていないんですが、クラシック楽器を含めた大編成ユニットの構想は3~4年前くらいからありました。わかりづらい表記にしてしまったんですが、ヴァージナル・ヴァリエーションズというのは作品のタイトル名兼ユニット名であり、次の作品ができた際は「Hino Koshiro plays」の後ろが次の作品名に入れ替わる予定です。
 正直なところ、このプロジェクトをはじめようと踏み切ったときにはっきりとしたコンセプトは定まっていませんでしたが、このユニットで試したいと思っていた漠然としたアイデアはいくつもありました。しかしこれといって統一性はなく、さらにそのアイデアは実際に音を出してみないと使えるかがわかりませんでした。とにかくやっていくうちにまとめていこうと思い、最初につくった曲群の作品ということでヴァージナル(処女らしい、無垢の)ヴァリエーションズと名づけました。

日野さんはgoatやbonanzasでも活動されていますが、これらはいわゆるロック・バンドの編成です。より大部の編成で音楽をつくりにあたり、これまでとちがったところはありましたか。

日野:初ライヴは昨年の12月に行ったんですが、結成のタイミングにかんして特別ななにかを狙ったわけではありません。前にロンドンに行ったとき世話になったグリム・グリムの大阪公演を僕が企画することになったんですが、ソロもバンドも合わないかもしれないと思いこのユニットを試してみることにしました。
 公演の約一カ月前にメンバーを集めて練習を開始したんですが、じつはそのときかなり苦戦しました。バンドの制作をする際は、goatやbonanzasは弦楽器があるものの各楽器をほぼ打楽器として捉えてダンス・トラックを作るようにPC上でデモをつくっていくんですが、VVはハーモニーも重要となります。DTMはそこまで得意ではないのでPCではデモをつくらず、ギターと鍵盤を使いながら脳内で想像しノートとペンで作曲をしていく必要がありました。それも慣れない編成なので事前に考えていたアイデアは使えるものは少なく、練習でアイデアを出していちからつくるはめになりました。それはそれで楽しかったんですが、人数も多いのでなかなか全員で音を出すことができず時間もないので初ライヴ前は本当に気が気でない状態でした……。

DTMはそこまで得意ではないのでPCではデモをつくらず、ギターと鍵盤を使いながら脳内で想像しノートとペンで作曲をしていく必要がありました。

始動にあたり参考にされた作品やグループなどありましたか? 音楽でなくともかまわないですが。

日野:参考にした作品は多くあります。3月13日に原宿VACANTで行うライヴは全部で5つのフェーズに分かれているんですが、それぞれのフェーズで少なくともひとつ以上のモチーフがあります。それを解体していき自分なりに表現していこうとしているんですが、それひとつひとついうのもヤボなのでここでは控えておこうと思います。
 ただ、作品を組み立てていく上で少しずつコンセプトのようなものが見えてきました。ヒントのひとつはエリオット・カーターの弦楽四重奏曲です。正直なところその曲自体はとっつきにくいんですが、作曲の方法がとても興味深いものでした。たとえばある人は巨匠のように、また別のある人はおどおどした感じで弾くなどそれぞれの演奏者にキャラクターを割り当てたり、グループを分けて同時にまったくちがうことを演奏するなどしているところに大きくインスパイアされました。

VVにはさきごろ〈noble〉から新譜を出した服部峻さんやゑでぃまぁこんの元山ツトムさんなども参加されていますが、メンバー編成はどのように決まったのでしょう? また13日のライヴでは〈関西メンバー〉にさらに多数の管と弦が〈東京メンバー〉として加わるようですが、これは(ユニゾンによる)音量の獲得を意図しているのか、それとも(アンサンブルの)複雑さを目的としているのでしょうか?

日野:服部くんにかんしては元々VVとは別に二人で新しいユニットをはじめようとしていました。お互いに忙しくてなかなか進んでいなかったんですが、今後一緒にやるユニットの潤滑剤になればと思い誘いました。このVVが土台となり服部くんとなにか新しいことをする可能性もあります。
 モツさん(元山ツトム)や元ウリチパン郡のカメイナホコさん、チェリストの中川くんなど、参加してもらっているメンバーには本当に感謝しかないです! ゼロからはじめたユニットだったのでかたちにするまでにかなりの労力が強いられるだろうと思い、twitterでメンバーを公募して学生などと実験をしながらつくっていきたいと思っていたんですが、なんと連絡は一人も来ず! 結局身近な人たちにお願いすることになりました。
 初ライヴでは合計8人で当初考えていたハーモニーのアイデアをうまく生かすことができなかったため、東京メンバーを足して表現の幅を増やそうと思いました。あと単純に音量獲得も目的のひとつです。なるべく生楽器はマイキングせず、スピーカーから出る音は電子音だけにして生楽器と電子楽器を完全に分けてしまいたいというのが理想です。しかし実際は楽器の配置を考えたとしても弦はドラムや管に負けてしまうので恐らく弦楽器はラインかマイクで拾ってスピーカーから出さないといけなくなりそうです。理想をかなえるには弦楽器があと2~3倍程度必要かもしれないですね。

譜面はありますが、ほとんどメモ書きのようです。実際に会って説明しなければ、その譜面を見ても理解することは難しかったと思います。

音楽の話が後手にまわってしまいましたが、お送りいただいた練習音源を一聴したところ、VVにはハードコア、ドローンの点描的、という形容はそもそもドローンと矛盾していますが、そのまさに拡大版の趣きだと感じました。厳密に譜面とはいえなくとも、おそらくなにがしかのスコアはあると思いますが、それはどのようなものでしょうか? それにスコアがあるとしたら、それぞれの演奏者はどれくらい裁量を任せられているのでしょう。

日野:聴いてもらったのは初ライヴ前の荒削りな音源なんですね。実はこれでもほとんど演奏者には自由はなくて、決められているものを演奏してもらっているんです。もちろん譜面はありますが、ほとんどメモ書きのようです。東京のメンバーとは先日はじめて練習をしたんですが、実際に会って説明しなければ、その譜面を見ても理解することは難しかったと思います。
 Yoshi Wadaの『The Appointed Cloud』という作品があるんですね。この作品にはグラフィック・スコアのような譜面があるんですが、実際はもっと細かく決められていて特にドラムにかんしては詳細なドラム譜が存在します。
 「ヴァージナル・ヴァリエーションズ」は、フェーズのある部分によってはルールを設けたり、また即興のパートもありますが、このユニットで表現したいのは個人個人の能力を発揮させていくようなものではありません。もちろん作品の範疇で自分らしさを表現するのは大歓迎ですが、海外公演も視野に入れていて現地の人を入れての演奏も考えているので「その人にしか演奏できない」というようなものを譜面に入れるのは避けています。

日野さんはgoatなどで、最近はDJ NOBUさんら、クラブ・ミュージックにも接近しています。YPY名義での活動はもちろんありましたが、『Rhythm & Sound』移行の環境の変化(?)とVVの音楽とはなにか関係がありますか

日野:クラブ界隈と密接につながりはじめたのは最近ですが、goatをはじめる前から好んでクラブ・ミュージックをよく聴いていたのでVVの音楽への影響というのはあまりないと思います。しかしながらドネイト・ドジーやRrose、クラブ以外ではスティーヴン・オマリーやオーレン・アンバーチなどジャンルを軽く超えて表現をしていくひとには深い共感を持っていますし少なからず影響を受けています。『Rhythm & Sound』後の変化といえばEUのブッキングエージェントを獲得したということがいちばん大きいですね。さらに昨年末のFUTURE TERRORで、ある方からすごく光栄なお話もいただき、こういったことの積み重ねがVVをはじめる自信のひとつとなりました。
 VVでやろうとしている音楽というのははっきりいって広い層に対してアピールできるものではないかもしれません。だからといって難しそうなものの表面だけをさらってポップに表現し、あたかもそれらしい説明をつけ加えてアート初心者にもどうぞ……というのは正直毛嫌いしているものが多いです。最終的によかったらなんでもいいんですが。

誰でもできそうな単純なパターンの快楽は避けていて、聴いたひとが簡単に説明できないナゾをつくり出したいと思ってます。

 自分なりにVVの音楽はわかりやすくパッケージングしたつもりですが、全体を通して聴くと少し複雑に聴こえるかもしれません。これだけの人数を揃えてドローンをして快楽に向かうというのは比較的簡単に思いつきます。なので誰でもできそうな単純なパターンの快楽は避けていて、聴いたひとが簡単に説明できないナゾをつくり出したいと思ってます。しかし説明がないと聴いても面白くないというのも避けていて、よくわからないけどとにかくすごい! と思えるものをつくることが目標ですが、実際にそういった音を実験するためには責任と経費が重くのしかかってきます……。3月13日のVACANTの公演はソールド・アウトになっても赤字になる可能性があります。これがもしgoatやYPYなどの活動をしていなかった場合は興味をもってもらうのも大変なことで、もし数年前にVVをやっていたらいまよりもっと厳しい状況だったでしょう。

日野さんには楽器のクレジットがありませんが、VVではコンダクターということなのでしょうか、それとも演奏パートを担当されるのでしょうか。

日野:宣伝を開始した時点で全体があまり見えていなかったので、自分が何を担当するかは決めていませんでした。今回の公演では9割コンダクターに徹し、残りはドラムマシンを操作する予定です。ちなみに初公演の際はギターとピアノも担当していました。理想はコンダクトのみですね。

VVでは服部峻さんは「アレンジャー」とのことですが、おふたりはどのようにして曲をかためていったんですか。

日野:服部くんはアイデアに富んでいて本当に刺激を受けます! 初公演では服部くんは未参加でしたが、最初の公演に向けて作曲しているときに服部くんの新作『MOON』を聴いてとてもインスパイアされました。今回の公演ではアレンジをする時間があまりとれず、服部くんにかぎらずモツさんやカメイさんの意見を取り入れて少しずつアレンジを加えていきましたが、今後服部くんの存在は大きくなっていくだろうと思っています。

お金もかけひとを巻き込んで実験をしていて、以後同じ内容の公演はないのでぜひ公演に足を運んでください。

VVの音源のリリースは予定されていますか(フィジカルでなくても)? 予定があるとすれば、気の早い話で恐縮ですが、いつになりそうですか?

日野:リリースの話をしているレーベルはあります。それも僕にとってそのレーベルはVVを出す上でいちばんの理想といえるレーベルです。本当にリリースできるか現段階ではわかりませんがとても興奮しています! 時期は分かりませんが今年中に録音できればと考えています。録音のアイデアもいくつか浮かんでいるので録音が楽しみです!

3月13日のライヴにかける意気込みをお聞かせください。あと公演告知のヴァージナル・ヴァリエーションズの後に(プロトタイプ)とつけたのはなぜですか。

日野:VVはいずれヴァリエーション群を固めていき、ひとつの大きな作品に落とし込もうと考えています。いまはそのヴァリエーションを増やしたりひとつひとつビルドアップさせている段階なのでプロトタイプとつけましたが、先にもいったように海外公演なども視野に入れメンバーは流動的に考えています。メンバーのスキルや人数によってつくったヴァリエーションも変化していくかと思うので、演奏が固定することはなく永遠にプトロタイプなのかもしれませんがそれはそれで面白いかと思っています。
 僕にとってこのVVは大きなリスクを持ちつつ時間、精神力、体力をすべて注ぎ込んで臨んでいるプロジェクトです。お金もかけひとを巻き込んで実験をしていて、以後同じ内容の公演はないのでぜひ公演に足を運んでください。あとこの場を借りて恐縮ですが、関西もしくは関東在住で実験に付き合っていただける志高い弦楽器、管楽器の方のご連絡をお待ちしています!!

Hino Koshiro plays prototype Virginal Variations
日野浩志郎 ヴァージナル・ヴァリエーションズ(プロトタイプ)

2016年3月13日(日)18時
原宿VACANT
開場17:30 / 開演18:00

出演:
Hino Koshiro plays prototype Virginal Variations
〈関西メンバー〉
日野浩志郎
石原只寛(サックス)
呉山夕子(シンセサイザー)
服部峻(シンセサイザー)
島田孝之(ドラムス)
西河徹志(ドラムス)
中川裕貴(チェロ)
元山ツトム(スチールギター)
カメイナホコ(クラリネット、他)

〈東京メンバー〉
安藤暁彦(サックス)
安藤達哉(サックス)
戸畑春彦(サックス)
出川美樹子(チェロ)
池田陽子(ヴァイオリン)
本田琢也(コントラバス)
448(コントラバス)
Kevin McHugh(アコーディオン)
石原雄治(ティンパニー)
水谷貴次(クラリネット)
松村拓海(フルート)

オープニングアクト:福留麻里
DJ:Shhhhh

料金:予約2,500円 当日3,000円(+1ドリンクオーダー)

予約:info@snac.in
件名「3/13 VV予約」とし、本文に「名前・電話番号・枚数」をご記入の上、ご送信ください。
こちらからの返信を持ってご予約完了となります。定員になり次第受付を締め切らせていただきます。

問い合わせ:SNAC
メール info@snac.in 電話 03-3770-5721(HEADZ内)
電話でのお問い合わせは13:00以降にお願いいたします。不在の場合はご了承ください。

照明:渡辺敬之、佐藤円
PA:馬場友美

主催:吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
助成:公益財団法人セゾン文化財団
協力:HEADZ、VACANT

MOODYMANN - ele-king

 選挙戦略もありなんだろうけど、トランプにしろクリントにしろ「グレートなアメリカ」と叫んでしまうところに思わず引いてはしまうものの、まあ昔はパティ・スミスだってブルース・スプリングスティーンだって星条旗を振りかざしていたし、こんなものかと思って見ているのだけれど、TVのニュースでクリントンが黒人票(ないしはヒスパニック票)をつかんでいると言われると、いや、もうそういう〝黒人〟という括りですべてを表現できる時代ではないだろうと反発したくなる人は少なくないでしょう。とくにデトロイト・テクノを聴いている人たちは。
 ビル・クリントンが大統領時代に初めてデトロイトに行ったんだよなー。いま思えば懐かしい、海外の新聞でも日本の経済破綻が大々的に報じられていた頃で、「デトロイトの黒人は日本車が好きなんだぜ」という社交辞令を言ったのがマイク・バンクスだった。当時ビル・クリントがアメリカ国内の経済政策の一環として日本製品の輸入規制をしていたからで、なるほど世の中には国境を越えたそういう挨拶の仕方もあるのかと感心したものだった。
 この手の話は得意ではないのでもう止めておくが、その頃(1998年)だって、大雑把に見ても、もはや〝黒人〟という言葉ですべてをまとめて表現できる時代ではなかった。

 アメリカ──この惑星上のグレートな泥棒、かつてはそんなタイトルの作品を出しているケニー・ディクソン・ジュニア=ムーディーマンがこれほど長いあいだファンを夢中にさせ、いまもなお増やしているのは、彼のなかには鋭く対立するものが内在しているからだと思う。彼の音楽はよく「黒い」という言葉で表現されるが、じつは「黒」という単色ではないことは、今回の初の公式ミックスCDでも明らかにされている。
 彼のDJを聴いたことがある人は、その選曲の幅の広さにまず驚く。まさかマッシヴ・アタックをかけるとは、まさかローリング・ストーンズをかけるとは……下手したら「黒い」という言葉の乱用によって漂うある種の閉塞性とは逆なのだ。いや、そうじゃないな。黒さ(カラード)とはじつはハイブリッドを意味するからだ。いろいろな色を混ぜたときの黒。
 選曲についていちいちコメントすることは控えるが、このトラックリストが発表されたとき、ぼくは唸った。さすが、素晴らしい、こんなところまで聴いているのか……ヨーロッパの音もけっこうある。セクシーなソウルもあれば、ハイブリッド・ミュージックの最前線にいるUKベース音楽もある。ミックスさえしない箇所もある。音楽をよく知っていて選曲家として優れていることは、DJとしてとても重要な要素だ。しかしなによりも増して感動的なのは、このミックスCDから感じる風通しの良さだ。音楽をかけることが創造的行為であることを彼もまた証明している。

 あらためて選曲リスト。

01. Yaw - Where Will You Be
02. Cody ChesnuTT - Serve This Royalty
03. Dopehead - Guttah Guttah
04. Jitwam - Keepyourbusinesstoyourself
05. Talc - Robot's Return (Modern Sleepover Part 2)
06. Beady Belle - When My Anger Starts To Cry
07. Shawn Lee feat. Nino Moschella - Kiss The Sky
08. Jai Paul - BTSTU
09. Flying Lotus feat. Andreya Triana - Tea Leaf Dancers
10. Nightmares On Wax - Les Nuits
11. Rich Medina feat. Sy Smith - Can’t Hold Back (Platinum Pied Pipers Remix)
12. Julien Dyne feat. Mara TK - Stained Glass Fresh Frozen
13. Little Dragon - Come Home
14. Andrés feat. Lady - El Ritmo De Mi Gente
15. Fort Knox Five feat. Mustafa Akbar - Uptown Tricks (Rodney Hunter Remix)
16. Daniel Bortz - Cuz You're The One
17. José González - Remain
18. Big Muff - My Funny Valentine
19. Les Sins - Grind
20. Tirogo - Disco Maniac
21. SLF & Merkin - Tag Team Triangle
22. Joeski feat. Jesánte - How Do I Go On
23. Kings Of Tomorrow feat. April - Fall For You (Sandy Rivera's Classic Mix)
24. Soulful Session, Lynn Lockamy - Hostile Takeover
25. Anne Clark - Our Darkness
26. Peter Digital Orchestra - Jeux De Langues
27. Noir & Haze - Around (Solomun Vox)
28. Marcellus Pittman - 1044 Coplin (Give You Whatcha Lookin 4)
29. Lady Alma - It's House Music
30. Daniela La Luz - Did You Ever

Omar from Berlin - ele-king

2016.3.1

interview with DMA's - ele-king


DMA's
DMA's

Infectious / ホステス

Rock

Tower HMV Amazon

 DMA'sを本当にオアシスの後継だと考えるひとはいるだろうか? もちろんひとつの売り文句にすぎないが、そうした喧伝が彼らに翼をつけるとも思われない。われわれはべつに次のオアシスを求めているわけではなく、ただそこで90年代のUKインディを思わせる音が素朴に素直に鳴っていることを喜び、また、オーストラリアのバンドであるという出自が、洒落っ気と愛嬌を伴った「いなたさ」としてうまく読み替えられていることに大いに反応しているのだ。

 素朴さの価値はいまそれほどまでに高い。そして、コートニー・バーネットの存在によってにわかに熱いまなざしを向けられているオーストラリアは、その金脈であるかのように幻想されている。彼女は先日グラミー賞「最優秀新人賞」にノミネートされたが、むしろその事実よりも、ロンドンでのゲリラ・ライヴの様子のほうが、この現象をうまく伝えているといえるだろう。みな、ロックを継ぎ得るヒーローではなくて、ふと聴こえてきた素朴さ、その清新な力に足を止めているのだ。

 それに加えて、昨年作『カレンツ』の絶賛ムードで存在感を増したテーム・インパラもオーストラリア熱を支える。系譜としては彼らに近いサイケ・バンド、ガンズにジェザベルズ、あるいはシドニーのインディ・ポッパー、アレックス・ザ・アストロノート、もう少しヴィンテージ感のあるオーシャン・アレイなどなど、ロックはどこに残っているのかと「発掘」が止まらない。

 しかしてDMA'sは? 彼らもまた、素直で少し懐かしい音を聴かせてくれる。ただし、アークティック・モンキーズ以降のロックであることがわかる。かつ、90年代のUKインディだけではなく、同時期のUSインディの感覚もうっすらと漂う。「オルタナ」という名のまま古びていった音を、彼らはいまの感性のまま無邪気に楽しんでいる。

 また、キウイ・ポップの牙城にして、USインディとかの地のロックとの紐帯である〈フライング・ナン〉とも関わりが深いようだ。一貫してガレージ―で素朴なスタイルによって強固なレーベル・カラーを築き愛されてきた彼らの縁戚に、このようにフレッシュなバンドが生まれていることは、現在のバブル状況に関係なく、そもそものシーンの層の厚さを証明しているといえるだろう。

 よって、DMA'sについてはもう、聴くだけだ。彼らが楽しむようにわれわれも楽しめばいい。ただ、ロックというジャンルの可能性について割合にクールな視点を持っているところは現代ふうというべきである。けっしてレイドバック志向なわけではない。コートニー・バーネットがそうであるように、彼らはとても自然にその音を呼吸していて、それがなにより気持ちよいと感じる。もし「大型」新人と呼ぶのなら、そのような点をこそ大型と表現したい。

■DMA's / ディー・エム・エーズ
オーストラリアはシドニー出身の3ピース。トミー・オーデル(Vo)、ジョニー・トゥック(Gt)、マット・メイソン(SW, Gt,Vo)によって2012年に結成。地元の小レーベル〈I Oh You〉からのシングル・リリースなどを経て〈Infectious〉と契約。2015年11月、日本独自EPをリリースし、その直後初来日している。2016年2月、デビュー・アルバム『ヒルズ・エンド(Hills End)』を発表。

シドニーではオーストラリアのヒップホップがとても人気だよ。あとはEDMみたいなエレクトロニック・ミュージックとかね。(ジョニー・トゥック)

みなさんは何歳なんですか?

マット・メイソン:平均26ってとこかな。俺は25歳、ジョニーが26歳で、ここにはいないトミー(・オーデル)が27歳だから。

楽器やバンドをはじめるきっかけになったアルバムやアーティストを教えてください。

マット:俺は13歳のときにソニック・ユースを聴いたのがきっかけでギターを弾きはじめた。友だちのバンドに巻き込まれて、みんなと同じ音楽を聴くようになった。

ジョニー・トゥック:若いころはそこまで音楽が好きじゃなかったんだけど、学校で楽器ひとつをクラリネットとベースの二択からを強制的に選ばせられて、自分はベースを弾くようになった。クラリネットでもよかったかもね(笑)。それでベースをやるようになったら、お父さんがジョニー・ミッチェルの曲を教えてくれて、それを聴いてすごくインスパイアされた。

シドニーではどんな音楽に人気がありますか? またUKとアメリカを比べるとしたらどちらの影響が強いですか?

マット:オーストラリアはイングランドの子どもみたいなものだけど、アメリカの影響のほうが最近は強いと思う。

ジョニー:シドニーではオーストラリアのヒップホップがとても人気だよ。あとはEDMみたいなエレクトロニック・ミュージックとかね。でもヒップホップのMCがオーストラリアなまりでラップしてると、ちょっと笑っちゃうよね(笑)。アメリカでもイギリスなまりでもなくて、オーストラリアなまりで歌うひとも一部にはいるよ。俺たちが好きなポール・ケリーもそうだし、最近出てきたコートニー・バネットなんかも彼にすごく影響を受けているねと思う。あと、ハードコア・メタルが人気で、他の街のメルボルンにはメルボルンのシーンがあったりする。

オーストラリアのインディ系レーベルで1年以上続いているってすごいことだよ。(マット・メイソン)

〈アイ・オー・ユー(I Oh You)〉というレーベルについて教えてください。とくにロック専門レーベルというわけではないですよね。シドニーでどのような役割を担っているのでしょうか?

マット:最初はレーベルもマネージャーもいない状態でやっていたんだけど、あるときビデオをとってネットにアップしたら、マネージャーやブッキング・エージェントみたいなひとたちから、連絡が舞い込んでくるようになった。その流れでいまのマネージャーが決まって、彼が〈アイ・オー・ユー〉を教えてくれたんだよね。大きなレーベルじゃないし、所属アーティストもそんなにいないんだけど、オーストラリアのインディ系レーベルで1年以上続いているってすごいことだよ。すごくヘヴィーなバンドや、俺たちに似ているバンド、女の子のポップ・シンガーとも最近契約したよ。音楽的には幅広いし、運営の仕方もすごくうまいからオーストラリアですごく大きな存在になると言われているし、俺たちも彼ならそうなれると思っているよ。

ニュージーランドについても教えてください。〈フライング・ナン(Flyng Nun)〉やサーフ・シティといったバンドがいて、彼らにはオリジナリティがありますが、同時に90年代の音楽を参照することもあります。ニュージーランドのシーンは馴染み深いものですか?

ジョニー:よく行き来はするよ。実際にいまのライヴ・バンドのギタリストはポップ・ストレンジっていう〈フライング・ナン〉と契約しているバンドのメンバーなんだよね。だから好きなバンドも多いけど、いろんな音楽を聴いているから、とくにニュージーランドのシーンから影響を受けているわけではないかな。

新しい音楽はどのようにして知りますか? 

マット:友だちから教えてもらうことは多いよ。〈アイ・オー・ユー〉のヨハン(Johann Ponniah)がいろいろおすすめしてくれるんだ。あとスポティファイはいいよね。それからいまはライヴ・サーキットにもよく出ているんだけど、知らないバンドのライヴが見られるから、新しい音楽を知るきっかけになっている。

自分たちが楽しめる曲を書いていたらそうなっただけ。だから、昔の音楽に似ているものをやろうとは思ったことはないね。(マット・メイソン)

いまの音楽と比べると、90年代や80年代の方に好きなバンドは多いですか?

マット:たしかに普段聴く音楽は昔のバンドが多いけど、その理由は自分でもよくわからない。でもだからといって、いまの音楽がよくないとは言いたくないし、いいバンドもたくさん出てきているけど、全体的なテイストは時代とともに変わってしまって、自分たちは昔の方が好きなんだと思う。

よく80年代や90年代のバンドと比較されることが多いと思いますが、あなたたちはそういった音楽を参照している意識がありますか? また〈ファクトリー〉や〈クリエイション〉といったレーベルに興味がありますか?

マット:90年代の音楽はよく聴くんだけど、ものすごく影響を受けたわけでもなくて、自分たちが楽しめる曲を書いていたらそうなっただけ。だから、昔の音楽に似ているものをやろうとは思ったことはないね。それからトミーはイギリスの音楽を聴くんだけど、曲を作る俺たちはそこまで聴くわけでもない。

エレクトロニック・ミュージック、たとえばダンス・ミュージックといった他のスタイルにも興味がありますか? 

マット:バンドをはじめたときは生ドラムじゃなかったから、ドラムマシーンを使っていたんだけど、いまはリアムっていうものすごくいいドラマーがいるから必要ない。でも将来的にはまた使う可能性もあると思う。自分たちが新しいシンセを買えば、セカンドではそれを使うし、個人的にヒップホップのビートを作ったりもしているから、エレクトロニック・ミュージックの要素を取り入れる可能性はいまでも十分にあるよ。トミーはダンス・ミュージックのファンでいろいろ聴いているしね。

アルバムの構成はどのように考えたのでしょうか?

マット:本当にシンプルに全体のバランスを考えただけだよ。ビリヤードの玉を三角に並べるときって隣に同じ玉がこないように揃えるけど、そんな感じでラウドな曲と静かな曲が続かないように意識した。

ジョニー:あと全体のダイナミズムは考えたよね。

マット:ストーリー・ラインがあるわけでもないし、曲の流れを決めていたくらいで、そこまで考えて構成したわけでもない。でもEPで作った流れをこのアルバムでも続けたいとは思った。

世の中を変えるような可能性があった頃からやっているひとたちにとっては、そんなこと意味がないように見えるかもしれないけど、いまやっていることにだってちゃんと意味があるんじゃないかな。(マット・メイソン)

「DMA」とはどのような意味を持つ名前なのでしょうか?

マット:初期のバンド名の省略で、とくに意味はないよ(笑)。自分たちの音楽を表すシンボルみたいなものなんだけど、みんなどんな意味があるのか勘ぐるんだよね。オランダのラジオ局へ行ったときは20個くらい意味の候補があって、ここでは言えないような名前の省略形を考えついたひともいた(笑)。そういうのもおもしろいけど、実際には何の意味もないんだよね。

ロックという音楽はいまでも多くのバンドを生んでいますが、音楽的なポテンシャルやその可能性は出尽くしたと思うことはありませんか?

マット:新しく出てきて一気に世の中を変えてしまうような音楽が生まれるという点に関しては、ロックはポテンシャルを失っていると感じることはあるけれども、もう既にあるジャンルで自分が好きなことをやることはできるし、それを楽しむことも可能だと思うよ。世の中を変えるような可能性があった頃からやっているひとたちにとっては、そんなこと意味がないように見えるかもしれないけど、いまやっていることにだってちゃんと意味があるんじゃないかな。

みなさんにとってロックバンドがどのような価値を持ったものなのか教えてください。

マット:ロックバンドをやるってことは、やっていることを楽しむってことだよ。自分たちにとってはね。

IO - ele-king

イメージがリアルを追いつめる “CHECK MY LEDGE”

 2015年の東京のアンダーグラウンドを騒がせたビッグ・ハイプのひとつは、間違いなくKANDYTOWNだった。世田谷区南西部のベッドタウンを拠点とするこのクルーは、ランダムにドロップするヴィデオやミックステープ、さらにはストリート限定のフィジカルCDを通じて、東京の山の手エリア特有の、アーバンで洗練された空気を緻密に演出してみせた。トラックメイク、ラップとともに、映像制作やモデルまでこなす総勢15人。北区王子や川崎南部など、東京の郊外エリアからハードコアなバックグラウンドのトラップ・ミュージックが隆盛する中、「KANDYTOWN」という架空の街のコンセプトと、メロウなサンプリング・アートによって構築される90’Sサウンドは異彩を放っていた。じゅうにぶんに盛り上がったハイプと、おそらくは水面下でくすぶるジェラス混じりの反感。デビューの舞台としては申しぶんない好奇心が渦巻く中、KANDYTOWNの中心人物であるIOのファースト・ソロ・アルバム『SOUL LONG』はリリースされた。

 結論から言おう。IOは見事にハイプの内実を埋めた。彼はこの30年来の日本のヒップホップの伝統の正統な後継者だ。そして同時に『SOUL LONG』は、ジャンルの壁を超え、CEROやSUCHMOSなど、ヒップホップ以降のソウルやファンク、ジャズの咀嚼を通じてシティ・ポップスを現代的に更新/拡張しようとする、新世代のインディ・バンドたちの隣に置かれるべきレコードでもある。つまり、日本の若い世代による、アメリカ音楽のコンテンポラリーでフレッシュな再解釈。そこには、これまでの日本のヒップホップのエッセンスの継承だけでなく、それ以前から東京の文化エリートが綿々とつむぎ続けてきた、外国音楽の真摯な翻訳の伝統が息づいている。豪華プロデューサーたちの集結をうけて、巷では「日本版Illmatic」との言葉も飛び交っているみたいだけれど、『SOUL LONG』は20年前の黄金期ニューヨーク・ラップの焼き直しなんかじゃない。これは、噴出するリアルに対抗しようとする、想像力を武器にしたスタイルの美学だ。

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 ルー・コートニーの“SINCE I LAID EYES ON YOU”の流麗なコーラスをバックに亡き親友の肉声をサンプルする”CHECK MY LEDGE”から期待を裏切らない。腰を落ち着けたIOのラップはどこまでもスムース。いわゆるトラップ以降の、フロウの独創性とフレーズの面白さで勝負する最近の流行とはまるで真逆だ。フロウを壊さぬようになめらかなライミングをキープし、ヴァースの終わりには狙いすましたパンチラインをキックしてみせる。それ以降も、なかばクリシェ的なセルフ・ボースティングやワン・ナイト・スタンド的な色恋沙汰、警察の職務質問をかわすきわどいシーンまで、あくまで一線を越えないクールさだ。

 世代を超えた精鋭プロデューサーたちによるトラックもそれぞれの個性を際立たせながら統一感を失わない。新世代の筆頭、ビート・アルバム『OMBS』で世界水準のビート・メイカーであることを証明したSIMI LABのOMSBによる“HERE I AM”、そしてDOWN NORTH CAMPの若きキーマン、KID FRESINOがビート・メイクとリミックスでの客演をこなす“TAP FOUR”が、とにかく素晴らしい。NEETZが笠井紀美子の楽曲をサンプルして90年代生まれのIOが歌う“PLAY LIKE 80’S”も、いまの東京のバブリーで、どこか殺伐とした空気をうまく切り取っている。KANDYTOWNの面々をゲストに迎えた“119MEASURES”ではスリリングに、BCDMGのJASHWONによる“CITY NEVER SLEEP”では叙情的に、それぞれ対照的にストリングスを使いわけるバランスも新鮮だ。
 クライマックスの終盤、ライムスターのMummy-Dによる完全に90’Sマナーの“PLUSH SAFE HE THINK”ではジャン・ミシェル・バスキアをさらりと引用し、生歌の日本語フックに挑戦した疾走感溢れる追悼タイトル・トラック、“SOUL LONG”はKING OF DIGGIN’、御大MUROプロデュース。いまや太平洋を越えた現象である、90年代の黄金期ニューヨーク・ヒップホップ再評価の流れに呼応して、どれもトラップ的なアプローチとは一線を画す、メロウな90’Sサウンドだ。とくにMummy-DとMUROのベテランならではのプロデュース・ワークは、フレッシュでありながらオーセンティック、というアルバム全体の印象を決定づけている。リリックには故DEV LARGEの名もさらりと飛び出すけれど、彼が存命中ならきっとこの豪華布陣に名を連ねていたに違いない、なんてことも思わずにはいられない。

 日米の90’Sリヴァイバラーの中でのIOの個性は、間違いなくそのメロウネスにある。それはけしてサンプリングを基調としたサウンドのムードだけのことではない。スムースなラップというのはたいてい歌に接近するものだけれど、IOはあくまでクラシカルなラップによって、ソウルフルなフィーリングを表現する。たとえば、ビースト・コーストの震源であるニューヨークのPRO ERAとその中心人物JOEY BADA$$には、サウンドにもリリックにもハードコアなヒップホップ・マナーが顕著にみてとれるし、そもそも長らく90’Sヒップホップの文法に呪縛されてきた日本のシーンで、真の意味での90’Sリバイバルを決定づけたFla$hBackSの洗練されたサウンドにさえ、そのフロウやビート・マナーには言語化以前の鋭い反抗のアティチュードが感じられる。それに対してIOは、あくまで優雅でドライなスタンスを崩さない。葛藤や苛立ちの棘、強い叙情を完璧なまでにコントロールして、ひたすらソフィスティケートされたドラマを演出してみせる。

 ラップというのはえてしてリアルを追求するものだけれど、ここにあるのは逆に、イメージを駆使してリアルを塗り替えようとする想像力だ。KANDYTOWNのミックスやヴィデオにはアメリカのソウルだけでなく、山下達郎の“甘く危険な香り”など、日本産のシティ・ポップスが印象的に登場する。そのことを踏まえれば、口にしてはいけないことを口にしない、この禁欲的な美学は、かなり確信犯的に選びとられている。東京郊外でリアリティ・ラップが盛り上がり、地上波ではフリースタイル・バトルの泥くさい熱気が溢れる中、サウンドの感触と言葉選びによって演出されるこのクールネスは、そのスムースな見た目とは裏腹に、とても野心的なものだ。郊外のトラップ・ミュージックがVICE JAPANのショート・ドキュメンタリーをきっかけに注目を浴びたのとあえて対比させるなら、IOとKANDYTOWNのバックボーンには明確に、映画的な感性がある。

 シティ・ポップス的な想像力を媒介とした、ヒップホップ以降のソウルやジャズ、ファンクのメロウネスの再構築。その音楽的な方向性は、足取りはまったく真逆だけれど、現在の日本のインディ・ロックともリンクする。それは、たとえばCEROがディアンジェロやロバート・グラスパーを経由して最新作『OBSCURE RIDE』で完成させたサウンドや、KANDYTOWNの一員である呂布も客演するSUCHMOSのデビュー盤『THE BAY』とも、切れ目なくつながっている。事実、CEROの“SUMMER SOUL”の12インチのリミックスを担当したのはOMSBだし、STILLICHIMIYAの田我流とカイザーソゼ、5lackの生バンドとのセッションなど、最近のアンダーグラウンド・シーンはバンドサウンドとの実験的融合に舵を切りつつある。
 ただ、こうした交錯現象は、いわゆるクロスオーヴァーとは少しおもむきが違う。本作には昨年急逝したKANDYTOWNの創設者、YUSHIが残したラップやビートがいくつか使われているけれど、彼はかつて、現在のOKAMOTO’Sの前身バンドのフロントマンをつとめていた。つまり、異なった音楽的バックグラウンドを持つ者たちが異種交流し、ハイブリッド的になにか生み出しているというよりは、もともと共通の音楽的素養を持つ者たちが、アウトプットとしてそれぞれ異なる表現方法を選ぶことで、自然にジャンルの壁を超えた交錯が生まれているとみるべきだ。これはディアンジェロやグラスパーの登場を背景とする、90年代以降のヒップホップを軸にしたソウルやジャズの更新なしにはありえなかったことだ。

 少し大げさな話になってしまうけれど、文句なしに去年のベスト・アルバムだったケンドリック・ラマーの『TO PIMP A BUTTERFLY』は、ヒップホップの人脈と若手のジャズ・プレイヤーの人脈が実際の血縁関係も含むクランとしてつながり、その制作を支えていた。サウンド面でのリーダーだったテレス・マーティンにいたってはア・トライブ・コールド・クエストとの出会いがきっかけでジャズの魅力に没頭していったというから、ようはヒップホップ以降の世代にとって、マシンのビートと生楽器による演奏というのはとくに大仰に線が引かれるものじゃない。J・ディラ以降の身体的なズレを反映させたマシン・ビートはすでにクリス・デイヴなど、ディアンジェロやグラスパーのサウンドを支えるドラム・プレイヤーによって、再帰的なプレイ・スタイルに昇華されてさえいるのだ。もちろん『SOUL LONG』そのものは、オーソドックスなヒップホップの方法論で制作されているけれど、そのスタイルがメロウネスを結節点にシティ・ポップスとの共振の萌芽をみせていることは、今後のシーンの動向を占ううえでも非常に重要だ。

 このアルバムのリリースされた2月14日は、KANDYTOWNとっては肉親同然の幼馴染みだった、故YUSHIの一周忌にあたる。作品に昇華するにはいまだ生々しいだろうその傷も、YUSHIの遺した謎の言葉を「ソー・ロング(さよなら)」と読ませるタイトル、詩的なリリックやアートワークを通じて、あくまでも寡黙に、コンセプチュアルに表現される。KANDYTOWN名義のミックステープ『KOLD TAPE』では、サックスをフィーチャーしたバンドサウンド、大橋純子の“キャシーの噂”といった昭和歌謡、JAY-Zやディアンジェロなどの90’Sクラシックをひょうひょうとビートジャックする、自由奔放な実験が繰り広げられていた。『SOUL LONG』のストイックなサウンドとワード・チョイスはおそらく、確固たるスタイルの美学に従って構築されている。

 KANDYTOWNのベースにシティ・ポップス的な洗練の美学がある、というのは、けして表面的な直感だけにとどまらない。1980年代に誕生したシティ・ポップスという日本独自のジャンルを牽引した大瀧詠一や山下達郎といったミュージシャンは、アメリカから遠く離れた島国で、本来は借りものであるソウルやドゥーワップ、ロックンロールなどの海外音楽のエッセンスを抽出し、綿密な計算にもとづいて、なかばフィクショナルに都市的な洗練を演出しようとしていた。それは同時に、直前の学生運動の熱狂、そしてその運動に同期したフォーク・ミュージックの情念や直接的なポリティカル・メッセージから意識的/無意識的に距離をとり、自分たちの新たなリアリティを創造する試みでもあった。

 海外音楽をヒントにした新たなリアリティの創出、というその伝統の遺伝子は、90年代来の日本のヒップホップのルーツにも、もちろん強く刻印されている。そもそもヒップホップのサウンドは、ジャズやソウル、ファンクの偉大な遺産を切り刻み、自分勝手なフレッシュさで再構築するという不遜な哲学にもとづいているけれど、参照先の音楽的遺産がもとより輸入文化である日本では、その情熱はいよいよレコードというフェティッシュなモノへのネクロフィリック(屍体性愛的)なものにならざるをえない。掘りおこした黒いヴァイナルに封印された異国の音楽の屍骸をむさぼり、その音の魔力を血肉化して、自分たちの新たなリアリティの発明を試みる若者たち。そのとても豊かで、どこか屈折した光景は、日本のヒップホップにとっての、愛すべき原風景でもある。

 おそらく、リアリティ・ラップの台頭をうけて最近よく口にされる、裕福なフィクションの時代が終わり、より切実なリアルの時代が始まった、という一見わかりやすいストーリーそのものが、ひとつの罠なのだ。なぜならヒップホップの母胎となった1970年代のニューヨークのゲットーは、警察も立ち入れない、ギャングによる熾烈な内戦状態にあった。いくら経済格差が拡大しているとはいえ、数字上の治安状態としてそこまでの荒廃を経験してはいないはずの日本から、生々しいラップ・ミュージックが生まれる理由は、なし崩しに下降線をたどる自分たちの社会の現実に、ゲットーという虚構=フィクションの補助線を引くことによって、初めて理解される。いかなる切実なリアリティも、リアルにフィクションを足すことなしには存在できない。客観的に現実を切り取ろうとするドキュメンタリーさえ、作り手の主観なしにはけして成立しないように、ここには、リアルとフィクションをめぐる、根源的な秘密がある。

 そして、ヒップホップにおいてそのリアルとフィクションの配合の秘密は、誰もが知るひとつの言葉で表現される。つまり、スタイル、と。いみじくも「スタイル・ウォーズ」という言葉に端的に表れている通り、ヒップホップにとってスタイルとは、けして表層的な飾りではない。明確な意志で選びとられたスタイルこそが、リアルに拮抗するリアリティを創りだし、やがてリアルそのものを変えていく。東京の地下のクラブで、物静かなベッドタウンで醸成された異国由来の夢は、いまその狭い空間から溢れ出し、震災後の東京の真っ暗な路上を覆おうとしている。このロマンティックなドラマは、リアルから逃避するのではなく、リアルをなぞるのでもなく、リアルに牙をむいているのだ。

 KANDYTWONのホームである世田谷区喜多見は閑静な住宅街だ。そこから大規模な再開発によってバブリーな賑わいをみせる二子玉川を抜けて、さらに多摩川を下流にそって橋を渡ると、東京近郊のリアリティ・ラップの雄、BAD HOPを擁する川崎市がある。デ・ラ・ソウルやパブリック・エネミーら、ロングアイランド郊外のサバービア・ヒップホップに対し、インナーシティのプロジェクトから突きつけられたのが、Nasのハードコア・ラップだった。KANDYTOWNが提示するのは、むしろ東京の山の手エリアの音楽的な歴史の蓄積の豊さだ。そこには、ニューヨークと東京の地政学的なズレを背景とした転倒がある。音楽の力学は、都市の力学の反映でもあるのだ。音とイメージはからみあい、ほどけ、予想もしない仕方で連鎖する。

 そして2015年のもうひとつのビッグ・ハイプは、また別な架空の街をつくりあげたYENTOWNのクルーだった。トラップをドラッギーかつフレッシュなスタイルに昇華した彼らの本格的な活動も、今年は期待されている。それにシーンは違うけれど、SUCHMOSのフロントマンであるYONCEのインタヴューなんて、茅ヶ崎のフッドへの愛着やあけっぴろげな上昇志向、社会に中指を立ててみせる挑発的な態度などなど、完璧にヒップホップ的なストリート・マナーで笑ってしまうほどだ。2016年の東京は大きく動くだろう。自由な想像力が、Googleの無味乾燥なマップを上書きし、街を塗り替えていく。異なるスタイルと異なるリアリティがせめぎあう、その衝突のなかで、10年代のリアルは生まれようとしている。時代を語るヒマがあったら想像力を語れ、この音の強靭な美学はそう告げている。

HIROSHI WATANABE『MULTIVERSE』 - ele-king

 〈トランスマット〉からのリリースを控え、ヒロシ・ワタナベが今週末から日本全国ツアーを開始する。無茶苦茶気合いが入っていると思われるので、この機会にぜひ彼のDJを体験して欲しい。〈コンパクト〉のKaitoだけが彼のスタイルではない。彼の新作のように、エモーショナルなところも彼の魅力のひとつであり、その音楽は、きっとあなたを悪夢から覚ましてくれるでしょう。
 なお、アルバムも4月20日に発売が決定しました。

 90年代から現在までを通じて、もっとも幅広いシーンで愛されてきたといえるエレクトロニック・アクト、アンダーワールド。来月には6年ぶりにフル・アルバム『イフ・ラー』が発表される予定で、2012年にロンドンオリンピック開会式の音楽監督を務めて以来だという新曲“アイ・エグゼイル(I Exhale)”も公開され話題を集めている。
 そして今回は緊急来日の情報が解禁となった。抽選で一夜限りのスペシャル・ライヴ(彼ら推奨のハイファイヘッドフォンを使用)を体験できるほか、2次会場にて360度映像のライヴ・ストリーミングも楽しめるようだ。なお、この企画はの一環であり、本展ではカール・ハイドとリック・スミスによるペインティングと音のインスタレーションも見られるとのこと。それぞれ日程や詳細は以下のとおりだ。

アンダーワールドが緊急来日! ライヴで渋谷をジャック!
世界的デザイン集団「TOMATO」結成25周年記念大型企画展に登場!

3月16日に6年ぶり7作目となる最新スタジオ・アルバム『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』をリリースするアンダーワールドの緊急来日が発表された。3月12日から4月3日に渡って、Parcoが東京・渋谷から世界に向けて開催する、世界的デザイン集団Tomato (www.tomato.co.uk) の結成25周年記念エキシビション「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”」 のハイライトとしての来日となり、エキシビション初日に「Underworld Live: Shibuya Shibuya, we face shining future」と題したパフォーマンスで華を添える。

Tomatoの創立メンバーでもあるアンダーワールドのカール・ハイドとリック・スミスは、3月12日渋谷某所で、抽選に当選された幸運な200名のオーディエンスに向け、彼らが推奨するBowers & Wilkins 社製P5 ハイファイヘッドフォンを 使った一夜限りの「SUPER-HIGH-QUALITY-LIVE-TO-HEADPHONE」ライヴを行う。

さらに、今回のライヴは、この春開局する「渋谷のラジオ」(87.6MHz FM)とのコラボレーションで、ラジオ電波を通じて、渋谷の街へ生放送。最新アルバム「Barbara Barbara, we face a shining future」に収められた楽曲も初披露される。(詳細後日発表)

また、このライヴでは、「Galaxy」プロデュースによるライヴストリーミングを2次会場にて開催予定。「Gear VR」とともに360度映像で楽しめるかつてない体験をお届けし、さらに本企画に協力する「Galaxy」と「Bowers & Wilkins」がよりその空間を盛り上げます。(詳細後日発表)

この他、エキシビション本展への参加としてKarl Hydeによるペインティング作品と、Rick Smithによるサウンド演出からなるアートインスタレーションも展示される予定。(Gallery X: 渋谷パルコ・パート1 B1F)

詳細はコチラ >>> www.parco-art.com

また先日ブリストルで開催された6ミュージック・フェスティバルから、不朽の名曲「Cowgirl」と新曲「I Exhale」のパフォーマンス映像も公開されている。

「Cowgirl」 https://youtu.be/BmpBbnPSOTI
「I Exhale」>>> https://youtu.be/l2wOC1JIP1o

8月にはSUMMER SONIC 2016にも初出演を果たすアンダーワールドの6年ぶり7作目となる最新スタジオ・アルバム『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』は3月16日にリリース。 日本盤CD限定のスペシャル・フォーマットとして、Tomatoがデザインを手がけたTシャツ付セットも限定数販売される。なお、2月29日(月) までに対象店舗(※オンラインストアは除く)で、日本盤CDを予約すると、オリジナル・A4クリアファイルがアルバム購入時にプレゼントされる。

Labels: Smith Hyde Productions / Beat Records
artist: UNDERWORLD(アンダーワールド)
title: Barbara Barbara, we face a shining future
『バーバラ・バーバラ・ ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』
release date: 2016/03/16 WED ON SALE
price: ¥2,450+tax
商品情報はこちら:https://www.beatink.com/Labels/Underworld/BRC-500/

Vol.81:Random access NY - ele-king

 今年もまたこの時期がやってきた。あー、アメリカにいるなー、と思える瞬間。スーパーボウルである。アメリカのプロフットボール「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」の優勝決定戦。アメリカで感謝祭の次に多くの食料が消費される日。

 アメリカでは、プロ・アメリカンフットボールが国民的にいちばん人気のあるスポーツ(33%)で、次が野球(15%)、その次が大学アメリカンフットボール(10%)である(ハリス・インタラクティブ2015年12月調べ)。プロと大学を合計した場合は43%で、2人に1人のアメリカ人はアメリカン・フットボール好き、というほど人気ぶり。アメリカの国技になっている。

 筆者は去年まで、スーパーボウルにも、ハーフタイム・ショーにもまったく興味はなかったが、たまたま去年、スーパーボウル時にいたバーで、ゲームを大きな画面で上映していた。周りはやんややんやの大盛り上がりで、ルールのわからない私には、まったく「???」だったのだが、そこまでアメリカ人を惹き付けるスーパーボウルとは何ぞや、と興味を持った。ルールは、実際きちんとは把握できていないのだが、4回の攻撃権で10ヤード進むと得点を入れることができる。まわりの友だちが、「いまのは……」とプレイごとに説明してくれるのだが、すぐに次のプレイに進み、「お~、ぎゃ~、ダメ~!!」など大声で野次を飛ばすので、ルールはいつまでも理解できないまま。詳しくはこのリンクを参照(https://www.nfljapan.com/guide/rule/)。

 観るほうも、自分の人生をかけるように真剣で、私はまわりの人の反応を見るほうがおもしろかった。

 ゲームの前に、真っ赤なパンツ・スーツと真っ赤なアイシャドウのレディ・ガガがナショナル・アンセム(国家)を独唱。グランドピアノ一台とガガのみで、後ろには、巨大なアメリカ国旗が広げられ、選手、オーディエンス、会場が一つになり、皆が胸に手を当て敬意を払う。その前では手話で国歌を通訳している女性がいたり、中継で海軍が敬礼している様子が写されたり、あらためて国家的行事なんだなと。ガガは堂々と落ち着き払い、その様子はオペラ歌手のようにもみえる。そしてお決まりの飛行機が飛ばされ、ゲームはスタート。

 ゲーム内容は割愛するが、スーパーボウルはCMの祭典といわれるほど、流されるCMにも気合が入っている。バドワイザー、T Mobile、アマゾン、コルゲートなど、ここで流すCMは500万円を超えるとか。私が好きだったのは、ケチャップのヘインズ。

 ホットドッグになったダックスフンドがヘインズ・ソース・ファミリーに向かって、パタパタ走っている。「かわいいー」と周りの反応も○。緊張感あるゲームの間、ひととき癒される。スーパーボウルのCMはどれも気合が入っているので見る価値ありだが、オーディエンスのダイレクトな反応もわかりやすい。いけてるユーモアを入れると反応するが、さじ加減がちがうと×なのだ。受けると思って作るとだめらしい。

 ハーフタイムショーには、今年はコールドプレイ、ビヨンセ、ブルーノ・マーズが出演。演奏者、ダンサー、チアリーダー、エキストラ、たくさんの人を巻き込み、豪華絢爛に会場を一つにする。

 コールドプレイがメインアクトなのだが、まずフィールドで歌うクリス・マーティンの後ろをたくさんのファンが走り抜ける。ステージは虹色に飾り付けられ、マーチング・バンドや応援団が登場、虹色の花傘を振りまわし、フィールドがお花畑のようになる。彼らが3曲歌った後にブルーノ・マーズが登場。そこで雰囲気ががらりと変わり、その後のビヨンセで、観客の心をガツーンと鷲づかみにした感がある。ビヨンセはこの一日前にニュー・シングル“Formation”をリリースしたばかりで、その曲を披露。ブラックパンサー党を彷彿させる、黒人女性ダンサーを何十人も従え、娯楽の場に政治的意味を盛り込み、ハーフタイムショーの主役を軽く持って行った。その後にコールドプレイが“Clocks”を演奏しはじめると、いままでのハーフタイムショーの映像が映し出され(ポール・マッカートニー、マイケル・ジャクソン、U2など)、3人がいっしょに登場し、“Fix You”、“Up&Up”と続く。最後は、観客席が「BELIEVE IN LOVE」と文字になって映し出され、まわりがすべて虹色に染まる。

 このショーだけでジーンと来るし元気を100倍ぐらいもらった気がする。これだけアメリカが一つになる日ってあるのでしょうか。 今年は、大統領選もあり、すでにドナルド・トランプとヒラリー・クリントン、バーニー・サンダースあたりの話題で持ちきりだが、皆アメリカにプライドを持っているし熱い! いろんな暗い話もあるが、これを観ると万事OK。スーパーボウルへの情熱は、アメリカを象徴している気がする。この国から生まれる音楽がタフなわけである。

Setlist:

Coldplay“Viva La Vida”
Coldplay“Paradise”
Coldplay“Adventure of a Lifetime”
Mark Ronson and Bruno Mars“Uptown Funk”
Beyonce“Formation”
Coldplay“Clocks”“Fix You”“Up&Up”

(参考リンク)
https://pitchfork.com/news/63378-beyonce-mark-ronson-bruno-mars-join-coldplay-for-super-bowl-halftime-show/

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