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MOODYMANN

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DJ-KICKS

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野田努 Mar 09,2016 UP
E王

 選挙戦略もありなんだろうけど、トランプにしろクリントにしろ「グレートなアメリカ」と叫んでしまうところに思わず引いてはしまうものの、まあ昔はパティ・スミスだってブルース・スプリングスティーンだって星条旗を振りかざしていたし、こんなものかと思って見ているのだけれど、TVのニュースでクリントンが黒人票(ないしはヒスパニック票)をつかんでいると言われると、いや、もうそういう〝黒人〟という括りですべてを表現できる時代ではないだろうと反発したくなる人は少なくないでしょう。とくにデトロイト・テクノを聴いている人たちは。
 ビル・クリントンが大統領時代に初めてデトロイトに行ったんだよなー。いま思えば懐かしい、海外の新聞でも日本の経済破綻が大々的に報じられていた頃で、「デトロイトの黒人は日本車が好きなんだぜ」という社交辞令を言ったのがマイク・バンクスだった。当時ビル・クリントがアメリカ国内の経済政策の一環として日本製品の輸入規制をしていたからで、なるほど世の中には国境を越えたそういう挨拶の仕方もあるのかと感心したものだった。
 この手の話は得意ではないのでもう止めておくが、その頃(1998年)だって、大雑把に見ても、もはや〝黒人〟という言葉ですべてをまとめて表現できる時代ではなかった。

 アメリカ──この惑星上のグレートな泥棒、かつてはそんなタイトルの作品を出しているケニー・ディクソン・ジュニア=ムーディーマンがこれほど長いあいだファンを夢中にさせ、いまもなお増やしているのは、彼のなかには鋭く対立するものが内在しているからだと思う。彼の音楽はよく「黒い」という言葉で表現されるが、じつは「黒」という単色ではないことは、今回の初の公式ミックスCDでも明らかにされている。
 彼のDJを聴いたことがある人は、その選曲の幅の広さにまず驚く。まさかマッシヴ・アタックをかけるとは、まさかローリング・ストーンズをかけるとは……下手したら「黒い」という言葉の乱用によって漂うある種の閉塞性とは逆なのだ。いや、そうじゃないな。黒さ(カラード)とはじつはハイブリッドを意味するからだ。いろいろな色を混ぜたときの黒。
 選曲についていちいちコメントすることは控えるが、このトラックリストが発表されたとき、ぼくは唸った。さすが、素晴らしい、こんなところまで聴いているのか……ヨーロッパの音もけっこうある。セクシーなソウルもあれば、ハイブリッド・ミュージックの最前線にいるUKベース音楽もある。ミックスさえしない箇所もある。音楽をよく知っていて選曲家として優れていることは、DJとしてとても重要な要素だ。しかしなによりも増して感動的なのは、このミックスCDから感じる風通しの良さだ。音楽をかけることが創造的行為であることを彼もまた証明している。

 あらためて選曲リスト。

01. Yaw - Where Will You Be
02. Cody ChesnuTT - Serve This Royalty
03. Dopehead - Guttah Guttah
04. Jitwam - Keepyourbusinesstoyourself
05. Talc - Robot's Return (Modern Sleepover Part 2)
06. Beady Belle - When My Anger Starts To Cry
07. Shawn Lee feat. Nino Moschella - Kiss The Sky
08. Jai Paul - BTSTU
09. Flying Lotus feat. Andreya Triana - Tea Leaf Dancers
10. Nightmares On Wax - Les Nuits
11. Rich Medina feat. Sy Smith - Can’t Hold Back (Platinum Pied Pipers Remix)
12. Julien Dyne feat. Mara TK - Stained Glass Fresh Frozen
13. Little Dragon - Come Home
14. Andrés feat. Lady - El Ritmo De Mi Gente
15. Fort Knox Five feat. Mustafa Akbar - Uptown Tricks (Rodney Hunter Remix)
16. Daniel Bortz - Cuz You're The One
17. José González - Remain
18. Big Muff - My Funny Valentine
19. Les Sins - Grind
20. Tirogo - Disco Maniac
21. SLF & Merkin - Tag Team Triangle
22. Joeski feat. Jesánte - How Do I Go On
23. Kings Of Tomorrow feat. April - Fall For You (Sandy Rivera's Classic Mix)
24. Soulful Session, Lynn Lockamy - Hostile Takeover
25. Anne Clark - Our Darkness
26. Peter Digital Orchestra - Jeux De Langues
27. Noir & Haze - Around (Solomun Vox)
28. Marcellus Pittman - 1044 Coplin (Give You Whatcha Lookin 4)
29. Lady Alma - It's House Music
30. Daniela La Luz - Did You Ever

野田努