「ele-king」と一致するもの

vol.52:NYサマータイム・ブルース - ele-king

 夏、NYの野外活動は拡大する。サマーコンサート、サマーフィルムが毎日何処かで開催される。夏のショーは、ビッグネームでもインディ・バンドでも、フリーで野外ということも多いが、先週までのNYは天候が不安定で、コニーアイランドのチープトリックも(最高!)、リバーロックスのジェネレーショナルも、サマースクリーンも雨模様だったが、今週に入ると、マーサ&ザ・ヴァンデラスさながらヒート・ウェイヴが押し寄せ日中は98°F(=37℃)超え! 週末はみんなビーチに出かけ、夜からようやく外に出はじめる。普段ビーチに行かない著者も、先週はロングアイランドに行って、水に浸ってきた。そのままボードゲームにはまり、帰りの電車のなかまで続ける有様......


野外映画を観ている人たち。

 NYの夏の、野外映画も素晴らしい。ブライアント・パーク、イースト・リバー・パーク、ハドソン・リバーパークなどの公園で上映、日没になると人が集まりだす。知らない人たちが一同に同じ映画を見るのは可笑しいが、大体は、映画は関係なく飲んだり食べたりのんびり状態。なかには折り畳みいす持参で徹底的に楽しむ上級者もいる。子供向け、ファミリー向け、公園によって映画は違うが、『L・マガジン』が、毎夏ブルックリン、グリーンポイントのマカレンパークで開催するサマースクリーンが、インディ音楽ファンの心をついている。映画の前には、いまNYでホットなニュー・バンドがプレイするし、キュレーションはNYのアンダーグラウンド・ブッキングを代表するトッド・P。彼には去年、ブルックリンのインディ・シーンについてのインタビューしているので、未読の方はどうぞ

 参考までにサマースクリーン、今年2013年のラインナップ:

Wednesday, July 10
映画:キャント・ハードリー・ウェイト
音楽:SILENT BARN presents: Jeffrey Lewis and the Sunny Skies、Weed Hounds、Ganjatronics

Wednesday, July 17
映画:ピーウィーの大冒険
音楽:JMC AGGREGATE presents: Oberhofer, Lodro and Bueno

Wednesday, July 24
映画:ザ・クラフト
音楽:285 KENT AVE + AD HOC present: La Misma, Potty Mouth, Divorce Money (Dustin of Beach Fossils, Ren of Herzog Rising, Alex of Dream Diary)

Wednesday, July 31
映画:グーニーズ
音楽:DEATH BY AUDIO + ENTERTAINMENT 4 EVERY 1 present: Hector's Pets, The Numerators, Juniper Rising

Wednesday, August 7
映画:スピード
音楽:SHEA STADIUM presents: Hubble (member of The Men, Zs and Pygmy Shrews), GDFX (member of Liturgy, Man Forever and Guardian Alien)

Wednesday, August 14
映画:オーディエンス・ピック(オーディエンスの投票で映画が決まる)
音楽:MARKET HOTEL presents: Aa (aka Big A Little A), Amen Dunes

 トッド・Pのウェブ・サイトにもリンクが張られている、DIYブッカーたちがバンドをピックする。バンドはまだ若く日本ではほとんど知られていないが、このなかでは、Aa(ビッグエー・リトルエー)が大御所。彼らはライトニング・ボルトやライアーズあたりと良くプレイしている。映画もバンドも偏ってはいるが、このラインナップには少しチージー(良い意味で)な、現在のブルックリンが表されていると思う。ただ、最近のブルックリンは選択肢が多すぎて、結局どれにも行かないという人が増えている(著者の周辺情報)。
 たしかに、インターネットで音楽も聴け映像も見れると、バンドを知った気になってしまう。著者の場合、音楽業界周辺からの口コミや、普段の何気ない会話から生まれるサプライズに託しているが、ライヴに行きたいと思わせるバンド、それをオーガナイズするブッカーがやはり大事だ。そこで、DIYブッカーとしては少し規模が大きくなるが、NYとサンフランシスコにオフィスを持つパナシェがある。パナシェは、その名があるというだけで「見に行こう」と思える数少ないブッカーで、何十年も同じスタンスでいる。彼らがスペシャルでいれる理由は、所属バンドの質と、パナシェだったらという信頼、パナシェ・チームが考える人とのつながり。
 そこで、代表のミシェルに、パナシェ、NY、ブッキング他、彼女が興味のあることまで、ランダムに語ってもらった。彼女のパーソナリティにも注目してほしい。

ミシェル (パナシェ・ブッキング)インタヴュー

取材に応えてくれたパナシェ・ブッキングのミシェルさん。
取材に応えてくれたパナシェ・ブッキングのミシェルさん。

自己紹介をお願いします。NYの音楽業界で働いてどれくらいになるのでしょうか。

ミシェル(M):私はミシェル・ケーブルです。北アメリカのおよそ120バンドのブッキングを扱うタレント・エージェンシーのパナシェ・ブッキングを経営しています。オフィスはブルックリンとサンフランシスコにあり、音楽業界で働いて15年になります。パナシェはファンジンとしてはじまり、私は地元のカリフォルニア、ユリイカのプロモーターになり、1年で約100本のショーをブックしました。最終的に私が尊敬するアーティストのツアーをブッキングすることになり、パナシェ・ブッキングを設立しました。

NYには何年、どこに住んでいますか? NYに住むこと、近所を紹介してください。

M:ブルックリンのグリーンポイントに6年住んでいます。マンハッタンに行くL線とクイーンズとサウスブルックリンに行くG線が走るふた駅へは数ブロックです。近辺はポーランドとイタリア人が住んでいて、家族的な雰囲気で、バーやレコード屋、ライヴハウスがたくさんある、ウィリアムスバーグにも面しています。このエリアは数年で、大きく変わりました。私はNYが好きで、6年経ったいまでも、毎日が映画のようにインスパイアされる瞬間でいっぱいです。その角に何があるか、普通の人びとに驚かされたりと予想がつきません。人は都市の脈で、24時間エネルギーを感じます。ここで強く支持のあるコミュニティを発見し、素晴らしいコラボレーションに繋がって行きました。

いまパナシェでブックしているメインのバンドは?

M:タイ・シーガル、ジ・オーシーズ、マック・デマルコ、ザ・メン、ブリーチド、クール・キース、DJジョナサン・トゥビン、ミカル・クロニンなどです。

どれぐらいの割合でショーに行きますか? 最近で面白かったショーは? 人びとは昔に比べて音楽を見に出かけていると思いますか?

M:時期やツアー時もよりますが、週に2、3回。最近の良かったショーは、NYのリンカンセンターでの、$100を賞金としたダンス・コンテスト、DJジョナサン・トゥビン・ソウル・クラップ&ダンス・オフです。R&Bシンガーのヤング・ジェシーがオープニングで、観客が、7インチのソウル・レコードをヘッドフォンで聴く、初の無音ディスコ・ソウル・クラップでした。歴史的な会場のリンカン・センターなので、老若男女が音楽に合わせてお尻を振っていました。ヘッドフォンをとったら、人が音のないリズムで踊っているのでかなり面白かったです。ライヴ音楽はもちろん、私はダンスとふたつの世界を繋げるのが好きなので、人びとのつながりを強くするこういうイヴェントをもっとやりたいです。人は、まだよく出かけていると思いますが、大多数の人は、小さなインディショーに行くより、フェスティヴァルなどの大きなショーに行くのを好むと思います。

NYで好きな会場はありますか?

M:ブルックリンのディス・バィ・オーディオはまだホームを感じます。200人ぐらい収容できるウィリアムスバーグの真んなかにあるDIYクラブで、壁がカラフルなアートワークで覆われていて、スタッフも家族みたいです。この地上げ地域で、生き残っている数少ないアンダーグラウンド会場で、いつでも良いショーがあると信頼出来るし、音設備も上々で、毎回ショーのレコーディングをしています。他の会場では、ブルックリン・ボウル、マーキュリー・ラウンジ、ユニオン・プールなどです。

どのようにパナシェでブックするバンドを見つけるのですか?

M:大体は、他のバンドを通してか、一緒に働いている人からの推薦です。たまにCMJ、SXSWなどの国際フェスティバルで発見することもあります。

前と比べて、今年のNYの音楽シーンはどう変わっていますか? 注目の会場があれば教えてください。

M:NYのDIYやアンダーグラウンドの会場は閉まったり、立ち退きを強要され、リーズナブルな場所に引っ越しています。いろんな新しい場所ができていますが、NYは大きいので、まだ自分が楽しんで仕事ができる会場があると感じます。

情報を交換したりなど、音楽業界の人と遊んだりしますか?

M:NYの良いところは、アートや音楽において、刺激を受ける人たちに囲まれていることです。回転ドアのように、入れ替わり人がやってきて、Eメールで話していた人に簡単に会え、関係を発展させたり、コラボレートするには良いところです。たくさんのことがはじまっては終わり、いつでも素晴らしいアイディアが生まれています。私は、レーベル、ブッカー、PRの友だちがたくさんいるし、NYに住んでいるバンド、ザ・メン、ティーンガール・ファンタジー、マーニー・ステーン、マック・デマルコ、ジュリアナ・バーウィック、ジョナサン・トゥビンなどと仕事をしているので、NYに住むことはエージェンシーの軌道を早めてくれます。

過去にDMBQ、あふりらんぽなどをブックしていましたが、日本の音楽シーンはどう見ていますか? 新しい日本のバンドでブックしたいバンドはいますか?

M:エージェンシーをはじめたとき、半分が日本のバンドでした。サンフランシスコに住んでいたときに、DMBQ、 あふりらんぽ、ワツシ・ゾンビ、キング・ブラザーズ、ハイドロ・グル、ルインズなどの日本のバンドに会いました。DMBQは、9~10年前のSXSWで、関係を発展させ、自分でニッチェなブッキングの世界を作り、日本のサイケやノイズ・バンドを北アメリカに連れてきました。日本にはDMBQのツアーで2回行き、ある日本のバンドの北アメリカでのツアー・マネージャーもしました。いまはDMBQ、キング・ブラザーズ、そして少年ナイフやバッファロー・ドーターと仕事をしています。

最近、著者が発見する面白いバンド(ソフト・ムーン、ソニー・アンド・ザ・サンセッツ、リトル・ウィング)は、西海岸のバンドが多く、NYは少ないのですが、どう思いますか?

M:ザ・メン、ジュリアンナ・バーウィック、マーニー・ステーンなど、NYにもまだまだ良いアーティストやバンドがいますよ。私は、そのなかの最高のバンドと仕事できることを幸運に思っています。いま、パナシェに所属するバンドは、タイ・シーガル、オーシーズ、ホワイト・フェンスなど、西海岸のバンドが多いです。そこは、明らかにエキサイティングなことが起こっていると思えますが、NYは面白いバンドが来るまでの、凪状態にあると思います。しばらくのあいだは、オーディエンスをインスパイアできる面白く楽しいイベントをキュレートしようと思ってます。

パナシェのこれからの予定を教えてください。音楽以外の事柄や付け加える事があれば是非お願いします。

M:パナシェはあっという間に大きくなりましたが、これからも、オーガニックに行きたいと思います。選ぶバンドは特別で、量より質に集中しています。LAにオフィスを構えたり、オーストラリア、中国、日本、南アメリカなど、海外でのブッキングも考えています。パナシェがはじめた、ブルーズ・クルーズ・フェスティヴァルなどのフェスティヴァルも、もっとキュレートしていきたいです。その他、何人かのミュージシャンの管理もはじめました。アートショーをキュレートしたり、音楽業界代表として、海外のスピーキング・ツアーに参加したり、NYUなどの大学で講義をホストしたりもしています。
 音楽以外では、1年に1回トロピカルなビーチを見つけるようにしています。旅は、私にとって別の情熱なので、音楽に関係なく、最低でも1年に1回は休暇を取るようにしています。次は、この冬にジョシュア・ツリーに行く予定です。
 もうひとつ付け加えたいのは、何年か前にNYで、悲劇の車の事故で亡くなってしまった、DMBQと少年ナイフのドラマーで、私の最愛の友だち、チャイナへ。彼女は、私が見たなかで、最高の素晴らしいドラマーで、最高に美しく、親切で、ゴージャスで、知り合いになれたことを光栄に思っています。チャイナ、あなたがいなくて寂しいです。

 パナシェ・ブッキング:www.panacherock.com


にせんねんもんだい
N

美人レコード

Amazon

2011年のライヴ盤以来久々のリリースとなった、にせんねんもんだい『N』(美人レコード)。〈zelone records〉からはその12インチ・ヴァイナル化の報とともに、レコ発パーティの開催が案内されている(8月リリース予定)。「いつもとは違う」という特別なライヴに期待が高まる。
今年に入ってからも国内の大型フェスに続けて出演し、6月には9度目のEUツアー(4カ国8カ所)を敢行、7月5日には!!!(チックチックチック)との共演、7月13日には〈FREEDOMMUNE〉への出演と、西へ東へ飛び回る彼女たちのいまのエネルギーと、それをクールに閉じ込めた演奏、構築度の高い楽曲スタイルを堪能しよう。

多彩なDJが参加!
まずは今回の12inchのサウンド・プロデューサーであり、Ogre You Assholeやゆらゆら帝国のプロデューサーとしても知られる、石原洋。
つづいて、LIQUD LOFTの名物イヴェント〈COMPUMA 7hours〉や悪魔の沼でもおなじみ、日々フレッシュでユニークなファンク世界を探求し、昨年末には最新MIXCD『MAGNETIC』を自身のプロジェクト〈SOMETHING ABOUT〉からリリースしたばかりのコンピューマ。
そして、今年3月に、最前線のテクノからオルタナティヴ・ハウス、そしてインダストリアル、ノイズ、ドローンなど広義な電子音楽を未体験のサウンドスケープへと昇華した、
2年ぶりのオフィシャルMIXCD『Crustal Movement Volume 01 - Dream Into Dream』をリリース。この国のダンスフロアを語る上でもはや欠かせない存在となっている、〈FUTURE TERROR〉主宰、DJ Nobu。
さらに、〈zelone records〉主宰、坂本慎太郎がDJとして初登場します。

にせんねんもんだいのレコ発パーティにふさわしい、よりミニマルでインダストリアルな一夜になるでしょう。
2013年東京発、ガールズ・オルタナティヴ最前線をいま一度体験せよ!

zelone records presents
"NISENNENMONDAI 12inch vinyl Release Party!"

■LIVE
にせんねんもんだい

■DJ
石原洋
Nobu (FUTURE TERROR/Bitta)
COMPUMA
坂本慎太郎

■開催日
2013年8月20日(火)

■会場
LIQUID LOFT + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]

■開場 / 開演
19:00 / 20:00

■前売券
2,000円(1ドリンク付き)
*ローソンチケット[Lコード 77351]、イープラス、ディスクユニオン(新宿本館 日本のロック・インディーズ館(BF)/渋谷中古センター(2F)/お茶の水駅前店/下北沢店/吉祥寺店/池袋店/立川店/町田店/横浜西口店/柏店)、リキッドルーム

■問い合わせ先
リキッドルーム 03-5464-0800 https:///www.liquidroom.net 
zelone records 03-6320-4396 https:///www.zelonerecords.com

■にせんねんもんだい (NISENNENMONDAI) バイオグラフィ
1999年: にせんねんもんだい結成。G-高田、B-在川、D-姫野、東京を中心に活動。
2004年: ep"それで想像する / ねじ"、2005年ep"トリ"をnisennen/dotlinecircleより発表。
2006年: 自主レーベル "美人レコード" 創立。
同年アルバム"ろくおん"、2008年"デスティネイショントーキョー"、2009年"FAN"を発表。海外レーベルsmalltown supersoundより"TORI/NEJI","DESTINATION TOKYO"をリリース。
2011年: 結成12年の集大成・初のライブ盤"NISENNENMONDAI LIVE!!!"を発表。
過去、3回のUSツアーと8回のヨーロッパツアーを敢行。
2013年: "NO NUKES"、"Sonar Sound Tokyo"に出演、6月には9回目のヨーロッパツアー。
この夏、新作CDを自身の"美人レコード"から、New 12inch Vinylをzelone recordsから発売予定。

official HP: www.wearenisennenmondai.com


Music Video"B-1 (You Ishihara Mix)"zelone official YOU TUBE:

■more info
zelone records official HP:www.zelonerecords.com
official twitter: https://twitter.com/zelonerecords
official face book: https://www.facebook.com/zelonerecords

interview with Soggy Cheerios - ele-king


ソギー・チェリオス
1959

Pヴァイン

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 「Soggy Cheerios(ソギー・チェリオス)」チェリオスとはアメリカ産のシリアルで、形容詞「ソギー(ふやけた)」が頭に乗っかるとまさにいま食べられようとしているかのようだが、彼らがなぜ新バンドにそんな名前をつけたのかを、頭のふやけた私は残念ながら訊きそびれてしまった。もちろんわからなくはない。どころかいくつかの暗喩さえよみとれる。いや、これはむしろ、音楽を何度も聴き、何倍も愉しみ、深く考えるとともに彼らに併走するための入り口のひとつであるにすぎない。彼らとは鈴木惣一朗と直枝政広である。ワールド・スタンダードとしてインストゥルメンタル主体の汎音楽を長年追求し、文筆家として『モンド・ミュージック』で音楽の間口を広げ、プロデューサーとしても後進に影響を与えつづけけた才人、鈴木惣一朗。かくいう私も彼の音楽と文章から多くを学び、前職の『スタジオ・ボイス』時代は私にとって彼の仕事はサブカルチャーの文脈で音楽を語るためのひとつの指標でもあったが、会うのは今回がはじめてだった。と書いて自分でもびっくりしたが出会いにおそすぎることはない。それは鈴木惣一朗ともうひとりのソギー・チェリオス、カーネーションの直枝政広、ともに1959年、亥年生まれの彼らが2013年のいま、はじめていっしょに音楽をつくりはじめたのと似ている。たがいに30年のキャリアすべてを背負ってつくりあげた『1959』の言葉と音のみならず、そこかしこから聞こえる唸り、軋み、擦れ、それをひっくるめた馥郁たる(という形容こそがふさわしい)空気には時間の厚みを感じないわけにいかない。音はアコースティックに比重を置いたシンプルなものだが、マチズモな音楽の常套句である「骨太」が骨粗鬆症にみえるほど、中身がしっかり詰まっている。つまりはロックだが通り一遍のそれではない。だって「お餅」や「お麩」、「イノシシ」を歌った歌なんかあるんだから。


「いまいえよ、いまいったほうがいいよ」という声がどこからか聞こえてきて(笑)、「今度音楽やろうよ」と声をかけたの。(直枝)



片づけして帰ろうとしたら、何気なくポンといわれて。非常にさわやかに僕には聞こえたんですよ。(鈴木)


直枝:京都に行ったらいつも行く護王神社ってのがあるんだけど、そこはイノシシの神社なんですよ。そこには水晶でできた亥の牙の形のキーホルダーがあってそれを買うんだけど、その牙すぐに取れちゃうんだよね(笑)。

鈴木:それミサンガと同じなんじゃない。取れたときに願いごとが叶う。

直枝:たしかに、ソギーのレコーディングが終わったときに取れたんだよ。

鈴木:成就したんだ。

そのレコーディングはいつはじまったんですか?

鈴木:録音は3~4月で、5月頭には終わったかな。

直枝:実質2週間ちょっとでできたんじゃなかったかな。

そういえば、ちょうど3月くらい、紙の『ele-king』の前号で湯浅さんと直枝さんに対談していただいたとき、惣一朗さんといっしょにレコード屋にいったら、「もう買わなくていいんじゃない」といわれたとおっしゃっていましたよね。

直枝:『サージェント・ペパー』ね(笑)。欲しいなと思って見ていたら、押し戻されたって話ね。

鈴木:だって直枝くん、オデオン盤の『サージェント・ペパー』をまだ買おうとするんだよ。直枝くんがそんなもん買ったら、僕はどうすればいいのよって話ですよ。

なるほど。僕らはこれ以上音楽聴かなくていいじゃない、ってことではなかったんですね。

直枝:そうじゃない。そうじゃないよね?

鈴木:『サージェント・ペパー』はもういいじゃないかって。

直枝:俺は何度でも繰り返し聴きたい。『サージェント・ペパー』から何度でもはじめたいんだよ。くすんで見えるかもしれないけど、いまにはいまの響きがあるんだ。そのためにいま、ステレオをアップグレードして接続を変えたり針を掃除したりしているわけでしょ。それで輝きが出てきたりするんだよ。

よいものも悪いものも含め、いまの耳で聴かないといけないってことですね。

直枝:買わないとダメですね。

おふたりとも音楽を聴くことでは人後に落ちないと思うんですが。

鈴木:人後に落ちないどころか聴きすぎです(笑)。前にレコードを売るならそれ以上買えって教えられたことがあって。

直枝:誰にそんなこと教えられるのよ(笑)?

鈴木:Hがつくひと(笑)、細野さん。それはそうだなって思ったんですね。とにかくいっぱい聴いて、それを自分のなかで濾過するというかね。

惣一朗さんのそのスタンスが『モンド・ミュージック』などを通じて、私たちの世代を影響して、ひとつの価値観をつくったと思いますよ。

鈴木:聴き方は匠みたいなものだから、直枝くんは直枝くんで『サージェント・ペパー』をいまの耳で聴くんだろうし、それはもういいんじゃないかとも思いもするけど(笑)、何度も聴けるほどロック・カルチャーはタフなものだとあらためて思うようになってきたというのはありますね。去年、一昨年くらいからかな。リマスタ盤とか出尽くして買うものもなくなってきちゃって、アナログを聴き直すようになったんです。とくに震災以降。最初はシンガー・ソングライターやジャズのアルバムを買っていくなかで、もう一回ふれあっていくわけですよ。ビーチ・ボーイズでもなんでも。さすがに『スマイル』は僕にはもういい。でも『フレンズ』はやっぱりもう一回聴きたいアルバムかな。直枝くんだったら『オランダ』かもしれない。それをもう一度アナログ盤で聴くようになってきて、そのなかに(僕は)今までロック・カルチャーをやってこなかったなという伏線があった。そんなとき、直枝くんと会って刺激されたところはありますね。


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惣一朗くんのドラムは音が小さいんだけど、ふたりの世界にすごく合っていて、演奏をみていたら星が降ってくるような感じがしたの。それが音楽の不思議、ひとがプレイすることのすばらしさを感じた最初かもしれないですね。(直枝)


ソギー・チェリオスの話は直枝さんからですか?

直枝:そうそう。

どういうきっかけで?

直枝:僕たちひとの音楽が好きで――

鈴木:語り部的にね(笑)。

直枝:そうそう。よく対談とかするわけ。ポール・マッカートニーのマニアックな話とかになるとかならず話が来るんだけど、そんなことが何度が続いたんですよ。惣一朗くんと対談したある日、ちょうど僕は一週間、あまり寝てなくて頭おかしかったのかもしれないけど、「いまいえよ、いまいったほうがいいよ」という声がどこからか聞こえてきて(笑)、「今度音楽やろうよ」と声をかけたの。

鈴木:片づけして帰ろうとしたら、何気なくポンといわれて。非常にさわやかに僕には聞こえたんですよ。

学校の放課後にクラス・メイトにいわれた感じですね。

鈴木:そうそう。その言葉がスパンって僕のこころに入ってきたの。僕は「やろうよ」といってプロデュースしてきたから、逆にひとにいわれることはあまりなかったわけ。直枝くんがどうしてそういってくれたのか、その後、僕は一週間ほど咀嚼したんだけど、ああいってくれるなら本気で考えてみようかなと思ったの。この音楽業界に入ってからの直枝くんと僕の30年。さっきいっていた、ロック・カルチャーをわかったっていうんじゃなくて、もう一回対峙してみたいなという気持ち、ビートルズやポールをこれだけ楽しく聴いているんだから、ザ・バンドにももう一度対峙できるだろうし、わかったふりでいる気はさらさらないし、聴けば聴くほど発見があるということ、ロック・カルチャーの歴史はたかだか50年ほどだけど、それをわかったふうにはしたくなかった。そういったいろんなものが直枝くんの言葉でつながった感じはありましたね。

直枝:僕は理屈じゃなかったんだな。82年くらいにすきすきスウィッチのおっかけやっていたんですよ。

直枝さん、影響受けたっておっしゃっていましたもんね。

直枝:パンゴとかすきすきとかが好きで、あと「天国注射の昼」なんかも観にいっていたクチなんで。その82年くらいのすきすきのドラマーが惣一朗くんだったの。そのとき僕は鈴木惣一朗くんというひとは知らないけれども、横浜のとてつもない小さいバーというかライヴハウスで聴いて、そのときの影響で"夜の煙突"をつくることができた。すべて佐藤幸雄さんと惣一朗くんのおかげなんですよ。惣一朗くんのドラムは音が小さいんだけど、ふたりの世界にすごく合っていて、演奏をみていたらライヴハウスに星が降ってくるような感じがしたの。それが音楽の不思議、ひとがプレイすることのすばらしさを感じた最初かもしれないですね。

鈴木:そんなのを観てくれているとは思わなかったからね。

直枝:あそこにいたんだよ(笑)。

鈴木:ついでにいうと、すきすきスウィッチのキーパーソンである佐藤幸雄に去年の夏僕は再会したのね。

活動を再開したんですよね?

鈴木:レコーディングもしていて、ディスク・ユニオンから8月に出るんですよ。3枚同時リリース(註:『それでもはじめて』『ここへきてはじめて』『ライヴ・レコーディング・アット・ラストワルツ』)で40曲録ったかな。

それはソノシートじゃないですよね(笑)?(註:すきすきスウィッチの『忘れてもいいよ』はソノシート5枚組だった)

鈴木:今度はCDです(笑)。彼と再会していくこと、直枝くんと会っていくこと、去年で僕はワールド・スタンダードの活動を止めたので、休んでもいいかなとも思っていた。でもそういった出会いがこういうふうにまわって、いっしょに音楽をやることが自然なことのように思えるようになった。直枝くんに、いっしょに音楽をやらないかといわれて、今度は佐藤くんに僕のほうからいっしょにやらないかと声をかけた。それは僕が直枝くんに声をかけてもらったことで刺激されたのかもしれないですね。

いっしょに音楽をやることに惣一朗さんが驚いたのは、お互い違う場所で音楽をやっているという認識があったからでしょうか?

鈴木:直枝くんは確固たるものを持っている男だから。

お互いそうだと思いますよ。

鈴木:僕はあまりひとのコンサートは観に行かないんだけど、カーネーションは何度か観に行ったことがある。で、びっくりしちゃうわけよ。このレコーディングに入る前にも渋谷の〈WWW〉で観て、もうびっくりして飛んで帰っちゃった。

私も拝見しましたけど濃密でしたよね。

鈴木:理屈じゃないよね。身体から発せられる光みたいなもので。それが同い年で2013年にやっている。確固たるものがあるひとといっしょに音楽ができるだろうかという不安が僕にもあったし、でもやってみようかなと思ったのは、非常にさわやかに「惣一朗くんいっしょにやろうよ」って中学生みたいな感じでほんとうにいってくれたのが、彼の人柄だろうけれども、そんなふうにいえるひとは素敵だなと思ったし、もっと覗いてみたかったんですよ。

直枝:ほんとうに上から「いえ」って聞こえてきたんだ。それは俺、節目節目によくあるんだよ。あと、エブリシング・プレイというバンドを惣一朗くんがやっていたとき、『ポッシュ』ってアルバムが発売中止になったんですけど、そうなる前のテスト盤をうちの最初のマネージャーが彼からもらって、そのカセット・コピーを僕は聴いていたことがあったの。89年かな。それを聴いたときは同い年でこんなに音楽的に成熟したヤツがいるのかと思ったんだよね。僕にないものばかりもっていた。そのとき僕は、作品をつくってきて、批評の部分であれ、歌詞のつくり方であれサウンドであれ、ロック・バンド特有の悩みを抱えていたときだったんだけど、そんなときにエブリシング・プレイはここまで想像力豊かな、それも内省を怖がらないサウンド志向の音楽をつくっていた。しかも同世代。それはすごいと思った。ニューエスト・モデルとか岡村靖幸とか、自分にはない何かをもっているひとたちを僕はそのころつねに意識していて、それでようやく自分で納得いくものがつくれたのが92年の『天国と地獄』というアルバムで、これだったら惣一朗くんたちにも聴かせられるクオリティだと思ったんだよ。

自分にないものをもっているひとを意識するのは、ミュージシャンであるとともにいちリスナーであるということだと思うんですよ。

鈴木:成熟したクリエイターは本来いちばんいいリスナーでもあるはずなんです。いっぱいアルバムを聴いたらいいクリエイターになれるし、逆もあるんですね。だから、よくあるけど、自分の音楽しか聴かないアーティスト、周辺しか聴かないひと、洋楽を全然聴かない邦人アーティストはほんと悔しいよね。

そういうひとにかぎってオリジナリティを云々しますからね。

鈴木:ジェームス・テイラーは知っていますとか。でもあとは自分の音楽ばっかりとか(笑)。もっといろんな世界があるわけで、なぜそこに触手が伸びないのかな、とは思いますね。根本的なかけちがいというか、ものをつくるとか音楽のあり方のかけちがいがあるんですよ。直枝くんと僕が似ているのは、そこは健康的に思春期に育ったっていうのがあるんだと思う。それが1959年生まれの特徴というか、ビートルズはすでにいなくて、スタートから終わっているんだけど、終わっているということは出そろっているということでもある。ジミ・ヘンドリクスは死んでいたけど、ほかはまだ生きていたわけだし。

直枝:あの当時は独特な疲労感をもったロックが出てきた時期だったんだよね。

鈴木:アーリー70Sには倦怠期があったよね。

直枝:同世代にはヘヴィ・メタル好きが多いんですよ。ツェッペリンが初来日したころですね。あとデヴィッド・ボウイが来日したし、いくつか分かれ道があるんですよ。バングラディシュのコンサートもあって。

鈴木:そっちだ(笑)!

直枝:俺たちはそっちなの(笑)。いっこ上の兄ちゃんたちは「おまえ、レッド・ツェッペリン聴かないでどうすんだよ!」っていうんだけど、でも俺は「ボブ・ディラン聴いているから」って断ったことあるもん(笑)。大学入るとそういうひとばかり。ブラック・サバスとか。そういうなかで俺らはオリジナルの曲をつくっていたりしたんだけどね。


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ふたりでザ・バンドのセカンドみたいな、あのべードラの軋み、床鳴り感がほしいというのははじめからいっていたね。それが音楽だから。(鈴木)


ソギー・チェリオス
1959

Pヴァイン

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おふたりが原風景として共有しているものは当然ありますよね。

直枝:あるある。新築の家の棟上げ式にみんなで行って、上から投げたお菓子とかお餅を拾うとかね。

鈴木:それが1曲目("ロックンロールが空から降ってきた日")の「空から紅白の餅が降ってきた」なんだよね。

あの一節はレトリックではなくて、棟上げ式なんですね(笑)。

鈴木:なんで棟上げ式の話を直枝くんとしたのかは憶えてないんですけど(笑)。

直枝:でも僕がお餅好きだというのを彼は気に入ってね。

鈴木:お正月にさ、50個くらい食べたって話を聞いて。

直枝:そんなに食べたら死んじゃうよ(笑)。12個くらいだよ。一食でね。

それもすごいですね(笑)。

鈴木:次の日も食べるんだってさ、12個。さすが大食漢と思ったんだけど、僕はお麩が好きだよ、と言ったの。お味噌汁にしみじみになっているやつがね。それで「お麩」と「お餅」みたいな言葉が歌詞に入るんですね。

直枝:今回、ふたりでつくるにあたって、まず詞のやりとりからはじめたんです。

鈴木:全部詞先なんです。

そうなんですね! 楽曲のクレジットが気になったんですけど。

鈴木:みんなそういうね(笑)。

直枝:共作です。共作にしたんですね。

全曲ですか?

直枝:自分が投げたアイデア、キーワードを受けたひとが曲をつくるというふうに決めたの。

鈴木:レノン=マッカートニーですよね。詳しいひとが聴いたらどっちに主導権があるかわかるかもしれないけど、クリエイティヴの部分でほんとうに僕と直枝くんは共作したので、クレジットとしてはソギー・チェリオスで正しいということですね。印税も山分けだ!(笑)。

ナマナマしい話ですね。

鈴木:ハハハハ。

直枝:投げられた歌詞のアイデアをもとに楽曲をまとめたほうが歌う。

カラーはあると思いますけど、共作なんですね。

直枝:共作にすることの色を出したいんですよ。

その作業はいうは易しですけどけっこうめんどくさい気がしますね。

直枝:最初はとまどいましたよ。メールのやりとりで、あえてスタッフの横尾さんにもCCを入れるんですよ。

客観性を出すために。

鈴木:M的な気持ちだよね。

直枝:そうしたら、惣一朗くんが猪の歌を書いてきたりして。俺、猪の歌なんてどうやってつくればいいのよって思った。

鈴木:「ネーウシトラウータツミー」で、おもしろい歌をつくってくれよと思ってメールするんだけど、直枝くん真面目だから。

直枝:「タツミー」だけじゃ曲になんねえなって、「Touch Me」を加えたのは俺だよ。

鈴木:ザ・フーの「See Me Feel Me Touch Me」("We're Not Gonna Take It")みたいなね。

直枝:それでロックになるんだよ。

鈴木:ちょっと切ない曲になって、僕が思っていたのはちがったけど、それは化学変化が起きたってことだからね。

こういう感じの曲をつくろうという参照のようなものは――

鈴木:それだとおもしくないから固有名は話さないようにしたの。曲調が明るいとか暗いとかも話してない。だからそれがどうなるのかわからない。

直枝:惣一朗くんはまっさきに4曲あげちゃったんだけど、俺のもらったお題は餅とかお麩とか猪とか、とんでもないものばかりだったからね。

惣一朗さんはすぐに書き終わったんですか?

鈴木:すぐ! テレビみながら(笑)。ものすごく不真面目にやっていたの。不真面目っていうとなんだけど、構えたりしないようにしていた。みんな僕が直枝くんとやるとなると、すごく凝った、ニッチなポップ、『ペット・サウンズ』みたいなのつくるのかなって思われるじゃない?

そう思うのが普通ですよね。

鈴木:最初に直枝くんといっていたのは、すごくシンプルにやるということだったんです。いい曲を書きたい気持ちも捨てたいって、僕たしか最初の段階でいったんだよ。だからテレビみながら歌詞を書いたり、直枝くんがみたら怒りそうなつくり方をした。

直枝:怒るよ(笑)。

最初にアイデアを投げかけるほうは勇気が要る気がしますね。

直枝:惣一朗くんが最初に投げてくれたから助かったんだけどね。

鈴木:ただ信頼関係がないとそんなことできないし、(歌詞を)変えてもいいよ、と直枝くんにいってもらって。詞先だと一文字でも変えるとブーイングが出るひともいるし、リミックスみたいにシャッフルしたりなかなかできないんですけど、それもアリにしたんですよ。それはこの年齢とスキルがあったからできたといまは思えるし、もし10年若かったらもっとぶつかったと思う。「ああおもしろいね」とお互いいえるまで30年が必要だったかもしれない。そう考えると、これはいいタイミングでいっしょにやったんだなと思った。いくらでもこれまでやる機会はあったけど、2013年だからこういう内容になったし、こういう共作のスタイルになったんだと思う。

レコーディングはどんな感じで進めたんですか?

直枝:スタジオに入って、いきなりドラムをセットして「じゃあやろうか」って。

スタジオはどちらだったんですか?

鈴木:目黒倉庫っていう武蔵小山にあるスタジオで上が葬儀屋で、その下のスナックを改装したスタジオですね。

直枝:地下でブースが一個しかない。

鈴木:そこは、アノニマスっていうグループがあるんですけど、そのバンドの山本哲也くん所有のスタジオなんですよ。

直枝:アップライトが置いてあってね。

鈴木:それとパールのボロボロのドラムが置いてあるだけであとは何もないの。そこに機材をもっていった。で、アコギを弾きながらドラム叩いたり、クリックとアコギを入れたり、まずそういうトラックを最初に録って。

直枝:それでベーシック録ったら、「直枝くん、ベース弾いて」って言うわけ。俺人前でベース弾かないんだけど(笑)。なんだろうなこいつと思いましたね。

鈴木:ガンガン弾いてほしかったのよ。直枝くん、おもしろいベース弾くからさ。ギターみたいに弾くから、ポール系なんですよ。ベースをチョーキングするんだもん。

直枝:いいじゃん(笑)。

鈴木:それで4リズム、ピアノ、ベース、ドラム、ギターと歌ができて、そこにコーラスを乗せた......だけのすごくシンプルなつくりなんだけど、聴いたらすごく完成されたものにきこえたんですよ。僕は80トラックとか積むプロダクションをすることもあるし、静かな音でも比較的(トラックを)積む方なんだけど、今回は12トラックくらいでけっこうできちゃっているんですよね。それで夕方にはお蕎麦屋さんに行っていた。

ちゃきちゃち録っていったんですね。

直枝:早いんだもん。この人休まないのよ。

鈴木:で、休めって怒るわけよ。働いていて怒られたのはじめだよ(笑)。

直枝:プレイバックも聴かないんだもん。

なぜ聴かないんですか?

鈴木:わかっているからですよ。僕はプレイバックはここ10年くらい聴かないし、録っているときにOKだってわかっているから。みんなプレイバックで確認するけど、あれ時間のムダですよ。


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(ヤイリは)中学生のころから弾いているから僕のなかでヴィンテージになっているんですよ(笑)。40年くらい経っているから。はじめて買ったギターで中学時代に戻ってみようと気持ちもあったんだけど――(鈴木)

音がすごくいいですよね。ここしばらくローファイな音楽がもてはやされていましたが、そういった音楽ともちがうローファイさがあっていいと思いました。

鈴木:季節もね、楽器がちょうど乾いている時期で。

直枝:いい時期だったね。ふたりでザ・バンドのセカンドみたいな、あのべードラの軋み、床鳴り感がほしいというのははじめからいっていたね。それが音楽だから。

鈴木:直枝くんはいつも革靴履いていて、ギブソン弾くときにものすごくタップするわけ。それがすごい入ってますよ。1曲目からタップの音が。

弦のグリスの音とか、楽音以外の音がふんだんに入っていますよね。

鈴木:別に示し合わせたわけじゃなくて、直枝くんはギブソンのJ-50、いわゆる名器をもってきたんですけど、僕はヤイリの井上陽水モデルっていうウェットなヤツをもってきたんですよ。

なぜヤイリだったんですか?

鈴木:中学生のころから弾いているから僕のなかでヴィンテージになっているんですよ(笑)。40年くらい経っているから。はじめて買ったギターで中学時代に戻ってみようと気持ちもあったんだけど――

直枝:コンセプチュアルだね(笑)。

鈴木:後づけだよ(笑)。直枝くんはアコギをエレキのように弾いたり、ベースをエレキのように弾くじゃない。

直枝さんは乱暴ですからね。それが恰好いいんだけど。

直枝:俺、乱暴なの(笑)?

ワイルドということです(笑)。

鈴木:僕は直枝くんはもっとエレキを弾くのかなと思ったんだけど、アンプつなげないといけないし、アコギだったらパッとできるでしょう。

"君がいない"のイントロの最後の音の減衰の仕方が奇妙だったんですが、あれは何か操作しているんですか?

鈴木:あれはトゥールズ上でエディット・リサイジングしているから。そんなところまでよく聴いてますね。

直枝:俺がいないところでそういうことやっているのよ。それがショックなのよ。「この男!」みたいな(笑)。

鈴木:ちょっと早くしたりもしていますよ。もちろんキーはいっしょですが。直枝くんがいると何かいわれるから。

直枝:そりゃいうよ(笑)! 俺はもういいっぱなしだから。「なんできみひとりで決める」というと落ち込むんだよ(笑)。

鈴木:またこの話する? 僕は"知らない町"をつくっている途中で落ち込んだんですよ。

直枝:絶対こっちのほうがいいよっていうアレンジがあったんですよ。

鈴木:曲がどんどんペンタングルみたいになっていくんですよ。それは僕の最初のイメージとはちがった。それを理解するのに一週間ほどかかったんですけど、その間落ちちゃった。自分はなんて無力なんだと思った。

直枝:自意識強すぎ(笑)。

鈴木:そうかもしれないけど、直枝くんは歌だって上手いし、直枝くんは僕の歌も上手いって褒めてくれたけど――

直枝:ドノヴァンみたいな声だよね。

鈴木:でも自分では「いやー」と思うんだよ。で、すごいオケができちゃって、僕のなかにはないメタファーだからそれを受け入れるのに時間がかかったんですよ。そのとき「惣一朗くん、これはバンドなんだからさ」っていわれてハッとしたの。それで「友だちになってください」ってメールを、こういうふうにいっちゃうとギャグみたいだけど、そのときは真剣に書いたんですよ。

直枝:ほんとに。そういったメールが来たんだよ。

鈴木:バンドつくったつもりだったけど、途中でバンドになった、というかね。

直枝:俺は最初からそのつもりだったんだけど、だからいいたいこともいうし、それがお互いやっている意味があるということだから。

鈴木:でもいい方がキツイの。僕がヘラヘラしていると、「何ヘラヘラしてんだよ」って。50過ぎてそういわれると辛いですよ(笑)。あと譜面をろくすっぽ書いてなかったら、「何でちゃんと譜面書かないんだよ」っていうんだよ。たしかにその通りなんだけど、もうちょっといい方ってもんが、ひととしてあるじゃないですか、ねえ? 横尾さん! みたいなね(笑)。

なんで横尾さんが引き合いに出されるんですか(笑)。

鈴木:そんなことで帰宅して落ち込んでいたりすると、朝4時くらいにメールが来るわけ。「惣一朗くん、ごめんなさい」って。「ごめんなさい」って、なんてこのひとまたスパンというんだ。その素直さ。これは本気で僕に接してくれるんだろうし、そんなふうにメールをくれるなら、やっていけるなって、そこではじめてバンドになったっていうか。

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バンドつくったつもりだったけど、途中でバンドになった、というかね。(鈴木)


ソギー・チェリオス
1959

Pヴァイン

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おふたりにとってバンドというのはどういうものですか?

鈴木:それはすごくいい質問だ。いい質問すぎて答えようがないくらい(笑)。

直枝:バンドっていうのは運命的なことなんですよ。ひとが集まって音楽をやるってことは。だからそれは、やるとなった以上、ひととしてやらなきゃならないことなんです。適当なことはできない。捨て曲もあってはならないし、そんな気持ちではできない。

鈴木:僕よく思うんだけど、仕事をいっしょにしながら、これが友だちだったら最高だなと思うときがあるの。普通に学生のころの友だちでいっしょに音楽はつくっていないじゃないですか。友だちで仕事をいっしょにするなんて、最高なわけよ。ジョンとポールがやり合いながら最後まで信頼関係が壊れなかったのをみると、それが友だち、それがバンドなんだって思う。けれど、ザ・バンドでは、ロビー・ロバートソンとリヴォン・ヘルムはけっして仲良くはなかった。でもそれがよい緊張感を生んでいいアルバムにつながっていった。

直枝:バンドそれぞれに育ち方もあるんだけどね。たまたま俺は余計な、考えなくてもいいことを考えてきたタイプなのかもしれないですけど。

直枝さんはバンドマンだという意識は強いですか?

直枝:その言葉は重くてイヤなこともあるんだけど、それが運命だと思えば、受け入れるという意味でバンドマンかもしれない。セッションに呼ばれて、このように弾いてくださいって、僕はあまり頼まれないということを考えると、もしかして僕はバンドのなかで成り立つ音楽をやっているのかもしれない。でも僕を必要としてくれるひとはどこかにいると思うから、一所懸命やるしかない。それしかないんだよね。

ソギー・チェリオスはこれからどうしたいというのはあるんですか?

鈴木:まずはライヴやんなきゃいけない。インストア・イヴェントとか。先々のことを含めると、まだまだ続けたいですね。でもこのひと忙しいからね。

直枝:惣一朗くんだってそうじゃない。

鈴木:曲づくりはちょうど乗ってきたとこなんですよ。『1959』はフォーマットをつくった、最初の一枚だとも思っているので。あと僕にとっては別の命題として歌を歌うというのがあるからね。いままでやってこなかったことが直枝くんとならやっていけると思うんだよ。

惣一朗さんのヴォーカルは味がありますよね。

鈴木:ありがとうございます(笑)。直枝くんは褒めてくれるんですよ。「名人芸だ」っていわれたことがあった。

どこのパートですか?

直枝:(モノマネ入りで)「時間は薄切りの~」("きみがいない")ってとこですよ(笑)。

たしかに印象に残りますね。惣一朗さんはヴォーカリストとして参照にしたひとはいましたか?

鈴木:70年代の拓郎さんとかをよく聴いていたんですよ。

直枝:好きだよね、俺ら。

鈴木:はっぴいえんどとかはちみつぱいはもちろん入っているけど、吉田拓郎さんのことをここ近年考えていたんですよ。大病されたりしたじゃないですか、そういうこともあって、直枝くんにも『つま恋』のCDが出たねって話をしていたんですよ。ようするに、これだけ洋楽を聴いてきた上でドメスティックなフォークをどういうふうに消化するというとなんだけどね。

直枝:その意味でも完全に中学生だったんだよ。だから俺はたまにいったの。それあまりにもドメスティックすぎるんじゃないかなあ......って(笑)。

鈴木:"曇天 夕闇 フェリー"とかね。

直枝:あれはコードを一回解体してつくり直したんですよ。

もうちょっとフォーキーだったんですね。

鈴木:フォーキーだったらジェシー・ハリスみたいなもんだけど、フォークだったの(笑)。

直枝:ライ・クーダーがとりあげるトラディショナル・フォークだったらまだいいんだけど、「どフォーク」だったんだよ(笑)。どうしようと思ったんだけど、いいムードのメロディだから現場で解体して、シンプルに重くしたんですよね。でも彼に重くしたいっていうと、進んで弾いてくれるんだよ。「じゃあこうしたらいいのかな」って。「ああ、それいい」って、コードを弾いたら「それ繰り返せばいいじゃん」ってそういうこっち側のジャッジの仕方でやっていくと、惣一朗くんは無意識をいじられるからすごくイヤなんだろうね。

鈴木:分析されてるなあ(笑)。

直枝:でもバンド組むってことはそのイヤがる部分をなくすことなんだよ。それがイヤなのは、プロデューサーで俯瞰した視点で指示ばっかりしていたからだよ(笑)。

鈴木:すごいプロデュースされた気がするんだよね。

直枝:でもそこに乗ってくれたじゃない。乗ってくれて「いい」っていうんだけど、後で落ちこむんだよこの人(笑)。

さっき惣一朗さんがはっぴいえんどとかはちみつぱいとおっしゃいましたが、最後の"とんかつの唄"に細野さんと鈴木慶一さんが参加しているのは、おふたりの来歴を考えてのことですか?

直枝:そうだし、半年前から俺らはミーティングを重ねてきたんだけど、惣一朗くんのなかには細野さんと慶一さんに歌ってもらうというアイデアは最初からあったんだよね。

鈴木:最初は僕らのオリジナルで歌ってもらって、僕らが後ろでニヤニヤしているっていうのを考えたんだけど、結局カヴァーになったね。

直枝:でも惣一朗くんはきっと曲はつくれなかったと思うよ、気を遣っちゃって。

鈴木:"夏なんです"みたいな曲書いたりしてね。

直枝:こういうひとだから。怒られるようなことしないから。それにじっさい怒られたらよくないわけで。

鈴木:その通り。

直枝:惣一朗くんは制作ノートをつけていて、そこにいつもメモしているんですよ。「お餅」「お麩」とか、54歳と54歳で足したら108歳とかね。そのころには彼はもう、このプロジェクトのことで、細野さんにお伺いを立てていたんですよ、個人的に。

細野さんに、直枝さんとやると伝えたんですね。

鈴木:それで直枝くんには、細野さんを気にし過ぎても仕方ない、といわれて、ああこれは卒業式でもあり入学式でもあるんだな、と思った。細野さんと慶一さんにはオマージュとかリスペクトはいくらでもあるけど、そうしたアルバムをつくってもふたりとも満足しないのはわかりきっていますから。吹っ切っていこうと(笑)。そのくらいの勢いで行こうと直枝くんにいわれたとき、身震いするくらい「そうだな」って思ったんです。

PROM (AVERY ALAN + SEM KAI) - ele-king

2012年に設立されたアーティストコレクティブPROM。国内外のシーンの繋がりを目標に、東京を軸に様々な企画を手がけている。PROM主宰のパーティ「PROM NITE」ではこれまでにNEON INDIAN、LE1F、HEEMS (DAS RACIST)などのアーティストを召還。次の「PROM NITE」は8/2に代官山ユニットでLAのレーベル〈FADE TO MIND〉よりR&BシンガーKELELAとDJ、TOTAL FREEDOMを招いて開催決定。

■PROMオフィシャルWEB 
https://www.tokyoprom.com

■ele-king内関連ページ
https://www.ele-king.net/interviews/003100/
https://www.ele-king.net/news/003201/



Ynfynyt Scroll - Butch Queen (AiR DJ Remix) -#FEELINGS
Baauer - Harlem Shake (MikeQ x Jay R Neutron QB Remix) - Queen Beat
Rihanna - Diamonds (Dj Sliink Remix)
Destiny's CVNT - Nuclear (Cmore Edit by CUNT TR4XXX)
Tempa T - Next Hype (50 Carrot's A Day Keeps The Doctor Away Remix)
Bok Bok - Silo Pass - Night Slugs
Rabit - So Clean (Drippin' Remix) - #FEELINGS
Mike Jones feat. Slim Thug and Paul Wall - Still Tippin' - Swishahouse
Marcus Price & Carli - Flaska & Bas (Ben Aqua Remix) - #FEELINGS
Rizzla - Church - Fade To Mind
Fatima Al Qadiri - Hip Hop Spa (Nguzunguzu Remix) - UNO NYC
Usher - There goes my baby (Chopped & Screwed by Dj Michael 5000 Watts & Swishahouse) - Swishahouse
Hint - Lock The Door (feat. Zed Bias) - Tru Thoughts Records
Lil Silva - Venture - White Label
French Fries - Space & Smoke (Justin Martin Remix) - DIRTYBIRD
Jam City - Her - Night Slugs
Tony Quattro & Doctor Jeep - Forth & Seek (feat B. Ames) - Trouble & Bass Recordings
KW Griff - Bring in the Katz (feat. Pork Chop) - Night Slugs
Cakes Da Killa - Rapid Fire (feat. Dai Burger) - DTM Records

踊ってばかりの国 - ele-king

 ジェイク・バグの音楽が鳴り止んで、照明が落ちる。4人のメンバーがステージに登場する。下津光史はアコースティック・ギターを抱えている。ボブ・ディラン調のコード進行による1曲目は、数ヶ月前にも聴いた。思い出す。そのときも、この忌々しい曲によって僕は吸い込まれたのである。
 「ケープタウンの孤児だったら」「誰が父親かも知れず」、そして、生まれてきたことを否定される僕は銃を持つというその歌を、聴いている誰もが、南アフリカの子供について歌っているなどとは思わないだろう。連続射殺魔としての、それは自分たちのことだと思って聴いているのだ。僕はビールをぐいと飲み込んだ。意識は勝手に音楽に集中している。音楽に身を委ねよう。踊ってばかりの国の再活動ライヴの初陣、いまこの国の、最高のロック・バンドの演奏ははじまったばかりなのだ。
 きのこ帝国のときほどではないが、ほぼ満員だった。前列のほうに突進するかどうか考えているうちに曲はどんどん進行する。初期の楽曲(ラヴソング調のものが多い)が休み無しで演奏されていく。昔から追いかけていそうなファンがのっている。絞り染めの地に反核マークのプリントされた、レトロなTシャツを着ている下津光史は、いつもなら「ビール飲みてー」とか言い出す時間帯になっても、黙々と演奏している。ドラムのケンちゃんが申し訳程度にひとことふたこと、あとは曲、曲、曲。
 僕をもっとも燃え上がらせたのは、新曲"東京"と"踊ってはいけない"のメドレーからだ。初めて聴いた"東京"には、いま僕がこのバンドを好きな理由がはっきりと表れていた。つまり、「くそだ」ということをひたすら繰り返していること。くそだ、くそだ、くそだ。こういうわめき散らしている若者を見ると、良識ある大人は、「世のなかそんなにくそばかりじゃないよ」と説きたくなるのだろう。実際、CD屋には、「世のなかそんなにくそばかりじゃないよ」という音楽ばかりが並んでいる。だから、「くそだ」は必然なのである。隣で見ていた三田格が何を思って「泉谷しげるだ」と言ったのかはさっぱりわからんが、ある種の「吠え」のようなものを感じ取ったのかもしれない。


 "踊ってはいけない"は、曲と言葉で、しっかりとオーディエンスを踊らせた。"サイケデリック・ベイビー"も良い曲だった。ちょうどそのとき、幻覚ではなく、「"世界が見たい"は、現代の『カメラトーク』である」と2年前に僕に講釈をたれたDJのヨーグルトが前列で踊っているのがわかった。本来ならこういう曲はDJカルチャーの側からもっと出て来てもいいのではないかと思うのだが......ベテランDJがこの曲で踊っている光景も悪くない。ピースである。
 圧巻はアンコールの"セシウム"だった。「犬が死んだその日から~」という出だしが最高だ。これは、現代日本が生んだ最高のパンク・ブルース、言わば墓掘り人の12小節である。ラップをやっている人たちは社会問題を主題にすることが多い。ロックをやっている人たちにもいる。311以降は、ポリティカルにならざるえない状況が続いている。"セシウム"を名曲にしているのは、この曲に込められたニヒリズム、ひとつの意見ですべてを塞がれてしまう状況に風穴をあけるような舐めた態度、そして、それらをひっくり返すようなユーモアがあることだ。忌々しいまでに最悪だが、笑える。くそだが、価値観が変わるかもしれない。(この"セシウム"に関しては紙エレキングの最新号で水越真紀が秀逸な論考を書いているので、ぜひ読んで欲しい)

 会場の照明がついて、ふたたびジェイク・バグが流れる。サムシング・イズ・チェンジイン、チェンジイン、チェンジイン......何かが変わっていく、たしかに変わっていく。本当はこのレヴューを、僕は「E王」にしたいところだが、ここをデフォルトにこのバンドを見守っていきたい。

FREEDOMMUNE <ZERO>2013 - ele-king

 最初から最後まで、各ステージ、楽しめました。エレキングまわり(菊地祐樹、天野龍太郎、小原泰広、松村正人)でとくに評判が良かったのは、まずはボア・ドラムと大友良英&あまちゃんスペシャルビッグバンド。そして、hanali、ペニー・リンボー、灰野敬二、GOTH TRAD、にせんねんもんだいあたり。すべてを見れるわけではないので、人によっていろいろでしょう。読者のみなさまにとっては何が最高でしたか。
 とにかく、宇川直宏さま、関係者のみなさま、ありがとうございました&お疲れ様でした。最高にぶっ飛んだひと晩でしたね。



PROM NITE feat KELELA + TOTAL FREEDOM - ele-king

 ジェイムス・ブレイクの「CMYK」がサンプリングで作られた曲の、久しぶりのメガヒットだったことを忘れちゃいないか? つまり、テイ・トウワのreviewでも少し書いたことだが、やっていることは、ダブル・ディー&スタンスキー、M/A/A/R/S、初期のボブ・ザ・ベース、ザ・KLF、初期のコールドカット、初期のマッシヴ・アタック、初期のDJシャドウ......なんかと同じなのだ。何も変わっちゃいない。ベース・ミュージック(UKガラージ/ジャングル)には、ダンス・ミュージックにおけるパンキッシュなエートスがある。「盗め」である。昔はサンプラーとレコードを使って「盗め」だったのが、いまではPC一台で、「盗め」......だ。そこだけが更新されている。

 餌食になっているのは主にR&Bだが、R&B人気は安定しているし、相乗効果にもなっているんじゃないかな。結局、金のない貧乏学生にR&Bシンガーを雇う金などないのだから、どっかから「盗め」。盗んで、そして、創作しよう。ゆえに〈ナイト・スラッグス〉はもっとも重要なレーベルとなって、そこに共振する格好でアメリカのLAから〈フェイド・トゥ・マインド〉もやって来た。斎藤もキクリンも「Fade to Mind」のキャップを被っている。あのデザインはたしかにそそられる。

 東京ではじまった新しいパーティ「PROM NITE」は、思いきりその流れを汲んでいる。オーガナイザーもまだ20代なかばのAvery AlanとSem Kaiというアメリカ人/日本人のコンビ。彼らのフレッシュな〈ミキシング〉は、Bok BokからRihannaやテキサスのラップ、HintからJam CityやKW Griffまで、迫力満点に展開される。これこそレイヴの精神と言わんばかりの、ある種清々しささえ漂うこの音楽に1-DRINKやTOBY FELTWELLのようなベテランが関わっているのも良い。フライヤー書いているのはスケシンだし。
 今回来日するのは、〈フェイド・トゥ・マインド〉からデビューするR&Bシンガー、KELELA。実はいま、Araabmuzik、Blood Orange、Jam City、Kingdom、Nguzunguzu、Girl Unitなどをプロデューサーに迎えての最初のミックステープの発表を控えている。incとも全米ツアーを経験しているほどの期待の歌手だ。(R&Bサンプル全盛の今日では、本物のシンガーの需要がおそろしく高いことは、ジェシー・ウェア人気を見ればわかるでしょう)
 〈フェイド・トゥ・マインド〉からはもうひとり、Total Freedomも来日する。 KingdomやNguzunguzuなどとならんで、レーベルの顔である。8月2日金曜日、代官山ユニットで会おう!

Live performances by
KELELA
TOTAL FREEDOM
DJ by
TOBY FELTWELL (C.E)
1-DRINK
IRIKI (RADD LOUNGE)
RIE (GRIEN MONSTER)
WRACK (CHEMICAL MONSTERS)
AVERY ALAN + SEM KAI (PROM)

2013/08/02/(FRI)
OPEN: 22:00
DOOR: 3000YEN
ACCESS: 代官山ユニット <https://www.unit-tokyo.com/>

Presented by American Apparel <https://www.americanapparel.co.jp/>

More info at <https://www.tokyoprom.com/...>


ele-king presents
THE DODOS Japan Tour 2013
- ele-king

【THE DODOS】

 2006年にメリック・ロング(ヴォーカル ギター)がドードーバードという個人プロジェクトとして活動を開始。その後ローガン・クローバー(ドラム)が参加しドードーズとしてスタート。自主制作でアルバムをリリース、そしてツアーを繰り返し注目を浴びて行きます。 2008年からはFRENCHKISS RECORDSに在籍し、アルバムを三作リリース。特にニーコ・ケースも参加した前作の『No Color, More Life』は、ビルボードにランクインされるなど自身最高のヒットをゲットしました。 そして満を持しての新作『キャリアー』はPOLYVINYLに移籍して間違いなく最高傑作に!彼等の持ち味である確かなテクニックから生まれるパーカッシヴなギター奏法、そしてパワフルなビートは今作でもバリバリ。フォーキーに、パンキッシュに、スリリングに、カラフルに疾走しまくります。そして明らかにこれまで以上に顕著になっているのは、エモーショナルで涙腺直撃のソングライティングではないでしょうか。とんでもなくパワーアップ!王道のインディー・ロック・ファンならヨダレ垂れまくりのメロディーがとてつもなくオンパレードしているのです。 聴いて!そして来て!間違いなく2013年後半は、ここ日本でもドードー鳥が羽ばたきます!!

For Fans of...デス・キャブ・フォー・キューティー、ピンバック、ヴァンパイア・ウィークエンド、モデスト・マウス、スケルトンズ、アニマル・コレクティヴ、プロミス・リング、エリオット・スミス、アメリカン・フットボール etc etc





ライヴとの連動シリーズ、「Beckon You !!」 スタート!!!!
作品を購入→ライヴに行ったら会場でキャッシュ・バックしちゃいます!!


注目の新世代アーティストを中心に作品とライヴを連動させちゃうのが
この「Beckon You !!(来て来て〜おいでおいで〜の意)」シリーズ。
ザ・ドードーズ 『キャリアー』貼付のステッカーを公演当日にお持ち下さい。
その場で500円をキャッシュバック致します。
もちろん前売り券でも当日券でもオッケーです!


ele-king presents
THE DODOS Japan Tour 2013

(チケット発売7/20(土)〜)

10/22(火) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / allon beausoleil
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+

【allon beausoleil】

 オレゴン州、ポートランド出身のSSW。ギターリストやボーカリストとしてバンド活動を初め、その後ソロ活動へ。Beck, Rickie Lee Jones, The Head and the Heart, Sonic Boom, The Dandy Warholsなどと各国でステージを共にし、その後、ポートランドからニューヨークへ、そして東京へ移住。そして今は、世界を飛び回りライヴを行なっている。ニュー・アルバム 『Prince Charming of Darkness』 では、ポップ、フォーク、エクスペリメンタリズムの間を彷徨い、そして、そのあくなき音の探究者としての旅に終わりはない。






10/23(水) 心斎橋CONPASS (06-6243-1666)
THE DODOS / NOKIES!
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:56069)
e+

【NOKIES!】

 大阪南堀江にあるFLAKE RECORDS初の日本人契約アーティストとして2011年2月にデビュー。その圧倒的な洋楽感と抜群のメロディ、アレンジセンスは高く評価され、特に多くのアーティストに支持される事に。ライブパフォーマンスも定評があり、FUJI ROCK 2011のROOKIE A GO GO STAGEへの出演や8otto、miila & The Geeksとのイギリスのフェス出演やフランス、パリ含むヨーロッパツアー、世界最大の音楽見本市SXSW出演〜それを皮切りにシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ラスベガスと渡る全米ツアー、みやこ音楽祭では、くるりやLAMA、在日ファンク、KIMONOS、黒猫チェルシー等と並び堂々のメインステージにも抜される。更にはSTYROFOAM、FRENCH FILMS、CASIOKIDS、RAZIKA、DESMOND & THE TUTUSなどの日本ツアーもサポート。2013年にはりくるりが新たに始めたイベントWHOLE LOVE KYOTOのメインメンツに抜擢。引き続き精力的にライブ活動中。

10/25(金) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / ROTH BART BARON
adv ¥3,800 door¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+

【ROTH BART BARON】

 2008年結成の東京出身ロックバンド。2010年に自主制作による1stEP「ROTH BART BARON」をセルフリリース。ギター、バンジョー、マンドリン、ピアノ、和太鼓、グロッケン、マリンバ、フィドルなど多種多様な楽器を使い、壮大なサウンドスケープと美しいメロディ、剥き出しの感情と生命力に満ちあふれた歌詞が作り出す圧倒的な世界観は日本の音楽シーンだけに留まらず、SoundCloudをはじめとする音楽系SNSサイトから多くの賞賛コメントを受けるなど、海外での評価も高い。2012年12月13日には2年ぶりのNEW EP「化け物山と合唱団」をリリース。SLEEPERS FILMと制作した Music VideoをYouTubeにて公開中。




*各公演のチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netでも受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をメールにてお知らせください。当日、会場受付にて予約(前売り)料金でのご精算/ご入場とさせていただきます。


主催・制作:ele-king / P-VINE RECORDS
協力:シブヤテレビジョン スペースシャワーネットワーク  
TOTAL INFO:ele-king / P-VINE RECORDS 03-5766-1335
event@ele-king.net
www.ele-king.net

ザ・ドードーズ 『キャリアー』

PCD-20278
定価2,100yen
Release:2013.9.4
解説:佐藤一道(Monchicon!)

Amazon


1. Transformer
2. Substance
3. Confidence
4. Stranger
5. Relief
6. Holidays
7. Family
8. The Current
9. Destroyer
10. Death
11. The Ocean
12. Reaction -Bonus Track-

ele-king vol.10  - ele-king

〈u-25新世代特集〉
〈インタヴュー〉福田哲丸(快速東京)、下津光史(踊ってばかりの国)
ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S     他
※電子書籍版へのアクセスキーがついています

interview with Airhead & James Blake - ele-king

(1)空気頭登場 (取材:野田努)


Airhead
For Years

R & S Records/ビート

Amazon iTunes

 エアヘッド、空気頭、自らを藤枝静夫の代表作を名乗る23歳のロンドン子、ロブ・マックアンドリューズがジェイムス・ブレイクのバンドのギタリストとして、去る6月上旬、来日したので取材した。彼のデビュー・アルバム『フォー・イヤーズ』がリリースされる直前のことだった。
 エアヘッドは、名前も良いが、音も良い。とくに10インチの「Wait」が僕は好きだ。ジェイムス・ブレイクの旧友だが、ビートの組み方が明らかにヒップホップ寄りで、ソウル・ヴォーカルのエディットも滑らかだ。センスが良いとしか言いようがない。
 
 会ったのは、同じ日のジェイムス・ブレイクの取材の前の時間だった。渋谷でエアヘッドと話してから、青山でジェイムス・ブレイクを取材した。
 僕がもっとも驚いたのは、ジェイムス・ブレイクの背の高さである。僕も180cmと高いほうだが、彼は190はあるぐらいに見える。学生時代はテニスをやっていたそうで、体格もがっちりしていて、どう見てもヒキコモリでもオタクでもないぞ、いかにも育ちが良さそうな、文武両道といった感じ。印象に残った言葉は、エアヘッドを指して、「あいつ、アホだろ」と呟いたブレイクの言葉。ふたりの友情、ふたりの深い関係性が読み取れやしないか。
 とまれ。時間順に行きます。まずは、ロブ・マックアンドリューズ。エアヘッドのインタヴューから。6月5日、よく晴れた正午、渋谷のカフェ。柔和で、謙虚な青年だった。

18歳未満のときも、偽のIDカードを作って、僕はクラブに入り込もうとして......、昔からジェイムス・ブレイクやベンとは友だちだったんですけど、みんなで「クラブ行こうぜ~!」って、偽のIDを作って行ったのに入れてもらえなかったり(笑)。

この後、ジェイムス・ブレイクと会うんですよ。

ロブ:ホント? アハハハハハ。

うちは基本、オンライン・マガジンなんですが、実は紙でも出していて、ほら、2011年のベスト・ワンをジェイムス・ブレイクのアルバムにしたんですよ。

ロブ:イエイエ(笑)、いいね。

じゃ、よろしくお願いします。ギターを弾きはじめたのは?

ロブ:11歳のときからです。いま23歳なので、もう12年ぐらい弾いています。

2010年に〈ブレインマス〉からシングルを出していますが、打ち込みをやる以前、ギタリストとしてはどんな活動を?

ロブ:最初は物真似で、自分で曲も作ってましたね。11歳の頃はロックにハマって、エレクトリック・ギターを弾いてましたが、途中からアコースティック・ギターにハマってカントリーを弾きました。ミシシッピ・ジョン・ハートが大好きになって、ものすごく影響を受けました。15歳になってから打ち込みにハマって、電子音楽を作るようになりました。

電子音楽を作るようになったきっかけは何だったんですか?

ロブ:友人の従兄弟が実験的な音楽を聴いていて、彼を介して知ったんです。それから、15歳のときにアンチコンのクラウデッド、オッド・ノッザムなんかにハマって、自分でも作りたいと思ったんです。自分が持っているパソコンで作れるんだってことも知って。

ああ、なるほど、アンチコンかぁ。あなたの作品を聴いたとき、ビートメイカーだなと思ったんですよね。

ロブ:なははは、アリガト(笑)。

去年、あなたのシングル「Wait」が都内のレコ屋に並んだときも、ヘッズが買ってましたよ。

ロブ:それはとても嬉しいですね。実はその曲は2009年に出来ていたんですね。でも、僕は、作るだけで出すことがうまくないんです(笑)。その曲はずっと放置されていたんですが、いまジェイムス・ブレイクのマネージャーをやっているダンが、「これは早く出したほうが良い」って、動いてくれたんです。彼はいま僕のマネージャーもやっています。

当時のアンチコンはもっともイルなレーベルでしたが、クラウデッドみたいな不気味な音楽のどこに惚れたんですか?

ロブ:やっぱユニークで変わっていますから。クラウデッドのファースト・アルバムなんかはとくにそうだったと思います。1曲のなかに6つぐらいの違う要素があって、繋がらないものが繋がってしまうというか。あの頃のアンチコンやクラウデッドのサンプルは、古いレコードから取られていたので、オーガニックで、ナチュラルな響きがあったと思うんですね。そこが、僕のなかで、カントリー/ブルースから電子音楽への橋渡しになったんだと思います。
 完全な電子音楽......というか、シンセの音を好きになるのは、アンチコンにハマってから数年後のことだったんです。やっぱ若い頃は、シンセの音に抵抗がありました。

生まれと育ちは?

ロブ:ロンドン。

ロンドンのクラブ・シーンとはどうやって繋がるんですか?

ロブ:クラブとはすごく強い結びつきがあります。18歳未満のときも、偽のIDカードを作って、僕はクラブに入り込もうとして......、昔からジェイムス・ブレイクやベンとは友だちだったんですけど、みんなで「クラブ行こうぜ~!」って、偽のIDを作って行ったのに入れてもらえなかったり(笑)。でも、18歳になって晴れてクラブに行けるようになりました。
 僕は18歳からは、リーズという北部の街の大学に進学したので、その頃はロンドンにはいなかったんですけれど、その街にはウエスト・インディアン・コミュニティ・センターがあって、そこで初めてデジタル・ミスティックズやマーラやコーキのショーを見ました。初めてダブステップを聴いたのはそのときです。コミュニティ・センターのサウンドシステムも素晴らしくて、手作りで、ものすごい迫力のある音を出していました。だから、ロンドンのクラブと繋がっていたんではなく、ロンドンのクラブに影響を受けていたと言ったほうが正確ですね。ジェイムスと一緒に〈ヘッスル・オーディオ〉とか、マウント・キンビーとか追いかけて、あと〈プラスティック・ピープル〉にも遊びに行きましたね。いまではジェイムスたちと一緒に〈プラスティック・ピープル〉でイベントをやっているわけですから、面白いモノですね。

ジェイムスとはいつから知り合い?

ロブ:中学校が一緒だったんですね。だから、12年ぐらいの付き合いになります。

当時のふたりにとっての音楽的なヒーローは誰だったんですか?

ロブ:中学のときは別々の楽器やっていたから、お互い共通する音楽的ヒーローはいなかったと思います。ジェイムスはピアニストだったし、アート・テイタムとか好きだった。彼に直接訊いてみないとわからないけど。僕はロックが好きだったので、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェペリンがヒーローで、それからブルーズが大好きになった。僕とジェイムスの好みが一致するのはダブステップ以降です。17歳、18歳の頃で、ジェイムスはディアンジェロの『ヴードゥー』をよく聴いていましたよ。

名盤ですね。

ロブ:本当にそうですね。

偽のIDを作ってまでしてクラブに行きたかった理由は何なんですか?

ロブ:ロンドンのクラブがすごく盛り上がっていたんです。ジャングルがすごくて、ゴールディーやグルーヴライダーのようなDJがプレイしていました。僕やジェイムスはとにかくそのなかの一部になりたくて......。ロンドンには本当に素晴らしいサウンドシステムもあるし、良いDJがたくさんいる。クラブで遊びたいというよりも、音楽が聴きたいっていう感じでした。音楽のためにクラブに行ってました。

がっつり踊るほうですか?

ロブ:アハハハ......、気分によります。自分のドリンクに何が入っていたかによりますね(笑)。お酒を飲んだくらいなら、まあ、静かに大人しく音楽を聴いていますが、何か別のときは騒ぐこともあります。でも、自分はあんまり踊りがうまくないので、踊らないようにしています(笑)。

ハハハハ。

ロブ:ニューヨークのディープ・スペースというパーティで、フランソワ・ケヴォーキアンのDJを聴いたときは、ちょっとお酒を飲んだだけなのに、ものすごく踊りました(笑)。ジェイムスやベンや僕の彼女と一緒に行ったんですけど、結婚式で酔っぱらったおじさんみたいに、踊ってしまいました。

フランソワの何が良かったんですか?

ロブ:まさに音楽が良かったんです。ディミトリ・フロム・パリもプレイしていました。彼のDJも良かったです。音楽の質とクラブの雰囲気がすごく良かったんです。オーディエンスも、ミーハーな感じではなく、音楽を聴きに来ている感じでした。通っぽい人たちばかりで、良い雰囲気でした。

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自分の名前がジェイムス・ブレイクみたいにキャッチーな名前だったら良かったんですけど......、まあ、何か名義が必要だなって考えていたときに、友だちが彼女に向かって「おまえはエアヘッドだ」って言ったことがあって、エアヘッドというのは、「何も考えていない」、「おばかさん」という意味なんですが、「あ、それもらった」と思って、使っています(笑)。

あなたの世代から見て、ハウス・ミュージックはどこがいいんですか?

ロブ:ハウスはいままた人気が出てきているんです。プロデューサーも、ダブステップ風のトラックよりもハウスっぽいトラックを作っています。ハウスのキックやテンポが踊りやすいからだと思います。ダブステップではひとりで下を向いて踊っている感じが、ハウスだと上を見上げたり、お互い見つめ合ったり、DJを見たり......DJをやっているほうとしてはやり楽しいんです。ハウス・ミュージックは、20年、30年前からあるものなので、僕ら世代がその伝統に新しい解釈を加えることはとても良いことだと思います。僕自身も最近はオマー・Sやムーディーマン、セオ・パリッシュを聴いているので、個人的にもハウスの影響を受けています。

僕は、1991年~1992年のロンドンのレイヴに何回か行って、当時のエネルギーを感じているのですが、あの時代のイギリスは失業者も多かったし、社会的に暗い時代が長く続いて、そうした背景がパーティへのエネルギーにもなっていたようなところがありましたが、現在のダンス・カルチャーにもそうした社会的な背景は関係していると思いますか?

ロブ:僕は、UKのクラブ・カルチャーにはドラッグ・カルチャーが関わっていると思います。91年のUKではエクスタシーが流行っていました。それがあの高まりに繋がったんだと思います。ダブステップにはウィードの影響があったんです。数年前まではクラブのなかで吸えたんですが、法律が変わっていまでは吸えなくなりました。それでダブステップは下火になって、ハウス・ミュージックに変わったんだと思います(笑)。僕は、いまのキッズがフラストレーションを爆発するためにダンスに向かっているとは思っていません。なんて言うか......、90年代とは違う気がします。たとえば、90年代にはフリー・パーティがありました。フライヤーもない、シークレットのパーティです。電話をして場所を訊いていくようなね。

行ってました(笑)。

ロブ:羨ましいです。しかし、政府がバカな法律を作ってしまったお陰で、フリー・パーティが出来なくなりました。8人以上が集まってしまってはダメっていう法律です。

その反対のデモにも行きました(笑)。

ロブ:ハハハハハ。とにかく、そういうレイヴができなくなってしまったことが僕は大きいと思います。昔といまはそこに大きく違います。

ところで、エアヘッド(空気頭)という名義はどこに由来するんですか?

ロブ:自分の名前がジェイムス・ブレイクみたいにキャッチーな名前だったら良かったんですけど......、まあ、何か名義が必要だなって考えていたときに、友だちが彼女に向かって「おまえはエアヘッドだ」って言ったことがあって、エアヘッドというのは、「何も考えていない」、「おばかさん」という意味なんですが、「あ、それもらった」と思って、使っています(笑)。


Airhead
For Years

R & S Records/ビート

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ハハハハ。今回のデビュー・アルバム『フォー・イヤーズ』にはどのようなコンセプトがあるのでしょうか?

ロブ:過去4年間作ってきた音楽の集大成という意味です。ただひたすら、僕は音楽を作っていました。アンビエントにハマってアンビエントを作ったこともあります。なので、アンビエントも入っています。ダンス・ミュージックにハマったときはダンス・ミュージックを作りました。そうやって曲を作っていって、1枚のアルバム分できたということです。決まったコンセプトはないんです。

そのアンビエントの曲は"Masami"ですよね。日本人の女の子の名前でしょう?

ロブ:そうかもしれませんね。僕は曲名を考えるのがものすごく下手です(笑)。この曲名は、たまたま友人の家に行ったときに開いてあった本のなかにあった名詞でした。

マサミさんと付き合っていたわけじゃないんですね(笑)。

ロブ:違います(笑)。でも、そう答えたほうが面白かったですよね。

ハハハハ。女性が歌っている曲が2曲ありますね。シンガーについて教えて下さい。

ロブ:ふたりともジェイムス・ブレイクを介して知り合いました。"Callow"で歌っているのは、キャサリンという人です。ジェイムスとは同じ大学でした。彼女は、ジェイムスが前回来日したときに一緒に行っています。

あー、あのときの彼女でしたか。フロントアクトのギター持って歌っていた。

ロブ:そうです。"Autumn"で歌っているのはアンドレアという人で、彼女はメキシコでのショーのサポートをしてくれました。彼女はメキシコに住んでいるので、メールで曲のやりとりをしながら、彼女がロンドンに来たときにスタジオで録音しました。

『フォー・イヤーズ』を出したことで、あなたの方向性にどのような変化があると思いますか? いままでのような、アンダーグラウンドなリリースも続けていきますか? よりポップな方向に行きますか?

ロブ:ポップ路線は考えていません。ダンス路線を考えています。最近はDJをやることが楽しいです。もっとたくさんDJをやりたいです。セットのなかに自分の曲を入れたいと思っています。ようやくダンス・ミュージックを作れるようになったので。

わかりました。どうもありがとうございました。

ロブ:サンキュー。

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(2)ジェイムス・ブレイク登場 (取材:木津毅/写真:Teppei Kishida)

E王
James Blake
Overgrown

ユニバーサル インターナショナル

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 どうしてひとは、愛を歌わずにはいられないのだろう。
 ジェイムス・ブレイクが"CMYK"から『ジェイムス・ブレイク』、そして『オーヴァーグロウン』へと至った道のりには、ひとりの表現者が愛を歌いはじめる、そのドキュメントを見る思いがする。『オーヴァーグロウン』はもちろん、ファースト以上に彼のトラックに対する感性が研ぎ澄まされたアルバムであり、ハウス、ダブステップ、ヒップホップの多彩なビートを使い分けながらより複雑な音の配合を施した作品である。しかし同時に、前作では多用されていた声にかけられたエフェクトが減り、より生に近い彼自身の声を......その歌を、エモーショナルに響かせることに腐心したレコードだ。それはなぜかと問われれば、僕にはどうしても、彼のなかに愛......それも、はじめて経験する愛が芽生えたことと深く関係しているように感じられる。複雑なトラックをよくコントロールしながら作ることに長けた彼が、愛を歌うことに対しては非常にプリミティヴな動機を抱いたのではないか。
 先の来日公演では、相変わらず地を這うような重々しい迫力を持った低音と、さらに肉感的になった歌唱とのそのどちらもが、けっして彼から切り離せないものとしてそこに立ち現れていた。ジェイムス・ブレイクはいま、デジタル・ミスティックズやブリアルのダブステップにかつて抱いた憧れとジョニ・ミッチェルのような古典的なシンガーソングライターへの思慕とを、自らを媒介にすることによって結びつけようとしている。それは新しい時代の、様式に囚われない新しい形の愛の歌の可能性だ......それも、たしかに彼の感情を解放するものとしての、とてもピュアなラヴ・ソング。

 思っていた以上に長身だったジェイムス・ブレイクは、幼なじみの名前を出した瞬間に顔が綻ぶような、素朴な青年であった。そんな彼がいま、真摯に自らの愛に向き合っている姿は、どうにも胸を打つものだ。
 取材の時間が限られていたため、用意していた最後の質問を訊くことができなかった......「あなたにとっての理想のラヴ・ソングとは?」
 だが、ジェイムス・ブレイクはきっと未来に、美しくそれを歌うことでその問いに答えてくれるだろう。

女性っていうのはユニークな視点を持って音楽に取り組んでいくってところがあると思うんだけど、ただ、いまの音楽業界では残念なことに女性アーティストは注目を浴びるためにどうしてもやらなきゃいけないことがあって......もちろん、そういうことを訊いてるんじゃないってわかってるんだけど(笑)。

野田:ちょうど1ヶ月ほど前にマーラの取材をしたんですけど、じつはあなたとすごく若いときから知り合いで、今度あなたがリミックスしてくれたシングルを出すって言ってましたよ。

ジェイムス:うん、そうなんだ。リミックスをやったんだけど、今後もっとちゃんとした形で何かいっしょに仕事をしたいなと思ってるんだ。じつはスタジオまで行ってちょっといろいろやってみたんだけど、まだ何も形にはなっていなくて。昔のダブ・レコードとかアウトキャストとかを聴いてたりしたんだけど。
 そもそも、こういう音楽をやろうと思うきっかけを作ってくれたのがマーラなんだ。彼はナイスな上に謙虚で、人間としてもとても温かみのあるひとなんだ。またいっしょに仕事したいな、また会いたいなと思いながらも、僕が友だちとも会えないような忙しい状況だから、いつ実現するかわからないんだけど。

野田:そうなんだ。ちなみに、さっきまでエアヘッドにインタヴューしてたんですよ。

ジェイムス:ほんとに? 今日?

野田:ええ、すごくいい話をしてくれましたよ。

ジェイムス:ちゃんとたくさん話してた? 普段はシャイで、インタヴューなんかだとあんまり喋らないタイプなんだよ。

野田:ちゃんと話してましたよー! 中学校時代あなたと同じ学校で、彼がギターであなたがピアノだって聞かせてくれましたよ(笑)。

ジェイムス:あいつはアホなんだよ。

野田&木津:だはははは!

野田:17歳のときいっしょにクラブに行って、IDカード偽装して追い返された話とか(笑)。

ジェイムス:そういう話ならいくらでもあるよ(笑)。

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オートチューンやピッチ・シフトに関しては、メロディ的な要素として使う以外に求められるものはもはやないね。想像力をかき立てるものがそれ以上は何もないから、何か新しい要素が加わらない限りは自分としてはやり尽くしたかな、と。

(笑)じゃあ、アルバムについて話を聞きたいんですけど。『オーヴァーグロウン』は前作よりもさらに、あなたのシンガーソングライターとしての側面が前に出た作品だと感じました。ただそれ以前に、いま思えばその布石のようにしてファイストやジョニ・ミッチェルのカヴァーを作品として発表されてますよね。そこでフィメール・シンガーのラヴ・ソングを選んでいたのはなぜなのでしょうか?

ジェイムス:女性っていうのはユニークな視点を持って音楽に取り組んでいくってところがあると思うんだけど、ただ、いまの音楽業界では残念なことに女性アーティストは注目を浴びるためにどうしてもやらなきゃいけないことがあって......もちろん、そういうことを訊いてるんじゃないってわかってるんだけど(笑)、いまちょっとふとそう思って。でも実際は、シンプルにポイントをついて曲を作るのが上手な女性ミュージシャンが多いと思うんだ。男性にはできないような──もしくは男性がそれをやるためには、意識的にある面を押さえつけないといけないようなところがあると思うんだけど、そうじゃない、女性のそういうユニークな視点が大好きなんだ。
 たとえばジョニ・ミッチェルの曲なんかは本当に的確だし、ファイストのコード使いだってすごく的確だ。ポップなんだけど、他の曲ではできないような的確な音使いで、そこに「タ、タ、タ、ターン」と僕には思いつかないようなメロディが入ってきたりして、すごく上手くまとめてるんだよね。僕もジョニの"ア・ケース・オブ・ユー"なんかはライヴでやってるんだけど、ジョニのほうがもっと端的にピアノを弾いていて、僕はもうちょっとあれこれ装飾をつけつつ弾いてるんだ。とにかく、そういう視点が好きなのかな。女性のラヴ・ソングが好きっていうよりは、彼女たちのあの2曲が好きで、それがなぜかと言うと、こういうことなんだろうな、と。

なるほど。こういう質問をしたのは、僕も多くのひとと同じように、シングルの"CMYK"をはじめて聴いたときにすごく衝撃を受けたんですよ。それで当時は、あなたがシンガーとしての側面にこれほどフォーカスすると思っていなくて。もともと「歌う」っていう行為自体、あなたにとって自然なことだったんでしょうか?

ジェイムス:うん、自然なことだったね。というのは、"CMYK"とかサンプリングを多用した曲は別として、僕は基本的に曲を作るときは歌からはじめることが多くて。そもそも、このアルバムは他のひとのサンプリングをしたくなかったところから始まってるんだよ。それだったら自分のものを作ろう、ということで。クリエイティヴな側面で言っても、他のひとのサンプリングよりも自分の歌のほうが自由を得られるというか。
 あと、いまはサンプリングも多用されすぎていて、新しいことが逆になかなかできなくなってるんだ。僕にとってサンプリングの行為っていうのは、その瞬間を捉えるってことだから、自分が作りたいその瞬間のためのものとして使いたいんだよ。一般的なサンプリングのプロセスっていうのは、もう飽き飽きしちゃってて、何も楽しいと思えるところがないんだよね。アカイのサンプラーでもiPhoneでも、はっきり言ってサンプリングの技術っていうのは10年前とあんまり変わらなくて......速度がちょっと速くなったぐらいだね。だから、サンプリングを使って革新的なことはなかなかできなくなっている。自分が音楽をやっていて、他とは違う新しいことをやるってなると、自分のもので作っていく......それしかないんじゃないかな、と思っているよ。

その、サンプリングに飽き飽きしているなかで、歌??演奏だけじゃなくて、自ら声を出して歌う、って方向に進んだのはどうしてなんでしょう?

ジェイムス:ファーストを作ったときはサンプリングにうんざりしていたわけじゃなくて、そのことにはっと気づいたのはここ最近のことなんだ。同じ作業を3年間もやってるじゃないかって。録音したものを断片的にカットしたりくっつけたりする作業がバカバカしくなっちゃって。ファースト・アルバムのころはまだその作業にワクワクしていたから、その興奮ぶりが伝わる内容にはなってると思うんだけど。わりとそのときの自分のブームっていうのがあるんだけど、すごく熱しやすく冷めやすいタイプで。

ああ、そうなんですか。

ジェイムス:すぐ気が変わるところがあるんだよ。でもいまの自分としては、ヴォーカルをサンプリングして切り貼りした作業を考えただけで、窓から飛び降りたくなるよ。いまだったら、楽器がいろいろあるなかでロブとベンとのバンドで演奏して、その3人のシナジーみたいなものをレコーディングするほうが楽しいかな。

あるいは、あなた自身の声にかけられたピッチ・エフェクトが減ったっていうのも??。

ジェイムス:うん、サンプリングと同じように、自分の声にエフェクトをかけるのも飽きてしまったんだ。世のなかっていうのはテクノロジーが好きで、たとえばiPhoneだってみんなが4Sにだんだん飽きはじめたころに5が出て、するとみんな、わっとそれに飛びつくよね。少ししか違いはないのに、それでも何百万人ってひとが興奮してそれを買ってる。新しいテクノロジーっていうのは新しい可能性を生み出すものだから、僕も「これからどういう音楽ができるんだろう」っていう想いから興奮して、やる気が出てくるところはたしかにある。新しい何かを使うってことは、暗闇のなか手探りで何かを作っていく興奮といっしょなんだ。
 エフェクトに関しては、たとえばリヴァーブだったらまた別の効果があって、特定の空間的なサウンドを生み出すことができる。使い方によっては宇宙からのサウンドみたいにもできる。ただ、オートチューンやピッチ・シフトに関しては、メロディ的な要素として使う以外に求められるものはもはやないね。想像力をかき立てるものがそれ以上は何もないから、何か新しい要素が加わらない限りは自分としてはやり尽くしたかな、と。

では、そうやってバンド・スタイルで、よりストレートにヴォーカルを取るっていう方向に移っていったことと、作品のテーマが「愛」に向かって行ったこととは何か関係はあるんでしょうか。アルバムのテーマは「愛」だとお聞きしていますが。

ジェイムス:まず、愛がテーマになっているという最大の理由は恋に落ちたからなんだ。誰かを愛していなければ、愛についてはなかなか語れないからね。それまでは愛というものは経験したことがなかった。ファースト・アルバムはその、愛のない自分の人生について嘆いていたアルバムだった。だからファーストはすごく悲しげだし、作ったときの自分もぜんぜんハッピーな状態ではなかったし。
 今回のアルバムは......僕たちは遠距離恋愛なんだけど、彼女といっしょにいるときもふたりきりになれるような空間があんまりなかったんだ。だから、いろんなひとといっしょの空間に押し込められているっていう気持ちと、離れているときの心が引き裂かれるほどの寂しさ、その両極端の想いがこのアルバムには入っているんだよ。

なるほど、すごくよくわかります。少ない言葉で歌うエモーショナルなラヴ・ソングが多かったので、ご自身の経験がダイレクトに反映されたのではないかと想像していました。ただ同時に、たとえばあなたが好きなジョニ・ミッチェルであるとか、クラシックなシンガーソングライターたちがやってきたように、「ジェイムス・ブレイクとしてのラヴ・ソング」というものに挑戦したかったところはありましたか?

ジェイムス:うん、それは絶対にそう。歌詞とか曲作りの面ではすごく簡単で、ぱっと思い浮かぶんだけど、そこから構成して曲として完成させていくプロセスのほうが難しい。というのは、やっぱりありきたりなラヴ・ソングにはしたくなかった。地雷がたくさん埋まってる原っぱみたいなものだよ(笑)。安易なトラップにはまらないようにして、オリジナルなものを作っていくのはすごく難しい。自分にとっては新しい試みだったから、いくつか地雷を踏んじゃったと思うんだけど。

そんなことないですよ(笑)。すごくエモーショナルな美しいラヴ・ソング集だと思いました。

ジェイムス:ありがとう(笑)。

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